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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-01-30
(45)【発行日】2023-02-07
(54)【発明の名称】回転電機
(51)【国際特許分類】
   H02K 3/50 20060101AFI20230131BHJP
   H02K 5/22 20060101ALI20230131BHJP
   H02K 5/167 20060101ALI20230131BHJP
【FI】
H02K3/50 A
H02K5/22
H02K5/167 A
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2018236750
(22)【出願日】2018-12-18
(65)【公開番号】P2020099144
(43)【公開日】2020-06-25
【審査請求日】2021-11-19
(73)【特許権者】
【識別番号】000000929
【氏名又は名称】KYB株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】505336622
【氏名又は名称】株式会社TOP
(74)【代理人】
【識別番号】110003339
【氏名又は名称】弁理士法人南青山国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100104215
【弁理士】
【氏名又は名称】大森 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100196575
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 満
(74)【代理人】
【識別番号】100168181
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 哲平
(74)【代理人】
【識別番号】100117330
【弁理士】
【氏名又は名称】折居 章
(74)【代理人】
【識別番号】100160989
【弁理士】
【氏名又は名称】関根 正好
(74)【代理人】
【識別番号】100168745
【弁理士】
【氏名又は名称】金子 彩子
(74)【代理人】
【識別番号】100176131
【弁理士】
【氏名又は名称】金山 慎太郎
(74)【代理人】
【識別番号】100197398
【弁理士】
【氏名又は名称】千葉 絢子
(74)【代理人】
【識別番号】100197619
【弁理士】
【氏名又は名称】白鹿 智久
(72)【発明者】
【氏名】上野 清香
(72)【発明者】
【氏名】三好 広之
【審査官】三澤 哲也
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-208872(JP,A)
【文献】特開2014-158410(JP,A)
【文献】国際公開第2018/016571(WO,A1)
【文献】再公表特許第2005/099068(JP,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02K 3/50
H02K 5/22
H02K 5/167
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
シャフトを有するロータと、
前記ロータと径方向に対向して配置され、複数のコイルを有するステータと、
複数の端子貫通穴を有し、前記シャフトを支持するベアリングを支持するベアリングホルダと、
前記ステータと前記ベアリングホルダとの間に配置されたバスバーユニットと、
コネクタ部品が実装される部品実装基板と、
を備え、
前記ベアリングホルダは、
前記バスバーユニットと前記部品実装基板との間に配置されるとともに、
前記シャフトに対して直交方向に延在する厚肉部と、前記複数の端子貫通孔が形成され前記厚肉部よりも厚さが薄く、前記ベアリングホルダの厚さ方向において前記バスバーユニット側に形成される薄肉部と、前記薄肉部と前記部品実装基板との間に設けられ前記コネクタ部品が部分的に沈み込む凹部と、を有し、
前記バスバーユニットは、
導電材からなる複数のバスバーと、前記複数のバスバーを内包する電気絶縁性のバスバーホルダと、を有し、
前記複数のバスバーは、前記ベアリングホルダの前記複数の端子貫通穴にそれぞれ挿通され、前記複数のコイルと前記コネクタ部品との間を電気的に接続し、
前記バスバーホルダは、前記複数のバスバーが前記端子貫通穴を挿通する部位の周囲を包囲する
回転電機。
【請求項2】
請求項1に記載の回転電機であって、
前記バスバーホルダは、
基部と、
前記基部にそれぞれ突出して形成され、前記複数のバスバーを個々に保持し、前記複数の端子貫通穴にそれぞれ挿入される複数の挿入部と、
前記複数の挿入部に対して直交する方向に延在することにより形成された補強リブと、
を有する
回転電機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回転電機に関し、特にバスバーユニットおよびベアリングホルダを備えたモータなどの回転電機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
モータなどの回転電機として、ステータのコイルへの給電用の電源端子を含むバスバーが、ベアリングをケーシングに回転自在に保持するアリングホルダに設けられた貫通穴を通じて、給電制御用の回路基板とバスバーユニットとの間に接続される構造を有するものがある。このような構成を有する回転電機では、金属製のアリングホルダとバスバーとの電気的接触による短絡を防止するために、アリングホルダの貫通穴の内面とバスバーの表面とを絶縁する必要がある。
【0003】
特許文献1では、アリングホルダの貫通穴の内面とバスバーの表面との電気的接触を回避するために、バスバーの貫通穴の通過部分を覆う絶縁材料からなる端子絶縁保持部を有する部材をバスバーユニットに取り付けていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】国際公開2017/026492(段落[0074]、図10
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし上記のような絶縁構造では、絶縁材料からなる別部材の追加による部品点数の増加と、その部品の組み込み作業の追加による製造工程の増加を招き、製造コストをつり上げてしまう。
【0006】
以上のような事情に鑑み、本発明の目的は、バスバーとアリングホルダとの絶縁をより安価な構造で、かつより確実に確保することのできる回転電機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、本発明の一形態に係る回転電機は、ロータと、ステータと、ベアリングホルダと、バスバーユニットと、コネクタ部品が実装される部品実装基板とを備える。
前記ロータは、シャフトを有する。
前記ステータは、前記ロータと径方向に対向して配置され、複数のコイルを有する。
前記ベアリングホルダは、複数の端子貫通穴を有し、前記シャフトを支持するベアリングを支持する。
前記バスバーユニットは、前記ステータと前記ベアリングホルダとの間に配置される。
前記ベアリングホルダは、前記バスバーユニットと前記部品実装基板との間に配置される。前記ベアリングホルダは、前記シャフトに対して直交方向に延在する厚肉部と、前記複数の端子貫通孔が形成され前記厚肉部よりも厚さが薄く、前記ベアリングホルダの厚さ方向において前記バスバーユニット側に形成される薄肉部と、前記薄肉部と前記部品実装基板との間に設けられ前記コネクタ部品が部分的に沈み込む凹部と、を有する。
前記バスバーユニットは、導電材からなる複数のバスバーと、前記複数のバスバーを内包する電気絶縁性のバスバーホルダとを有する。前記複数のバスバーは、前記ベアリングホルダの前記複数の端子貫通穴にそれぞれ挿通され、前記複数のコイルと前記コネクタ部品との間を電気的に接続する。前記バスバーホルダは、前記複数のバスバーが前記端子貫通穴を挿通する部位の周囲を包囲する。
【0008】
本発明の一形態に係る回転電機では、バスバーホルダが、複数のバスバーがベアリングホルダの各端子貫通穴を通過する部分での絶縁を確保する。バスバーホルダは電気絶縁材料で構成されるため、絶縁用の別部品をバスバーホルダに取り付ける構成に比べ、部品点数を減らすことができ、絶縁用の別部品の取り付け作業が不要になるため製造コストを抑えることができる。さらに、絶縁用の別部品の取り付け精度による絶縁性能のバラツキが生じなくなり、安定した絶縁が確保される。また、バスバーとベアリングホルダとのさらなる絶縁性の向上、回転機器の小型化とコストダウンを図ることができる。
【0009】
前記バスバーホルダは、基部と、前記基部にそれぞれ突出して形成され、前記複数のバスバーを個々に保持し、前記複数の端子貫通穴にそれぞれ挿入される複数の挿入部と、複数の補強リブとを有するものであってよい。
バスバーホルダは、複数の補強リブによって、バスバーを個々に保持する部分が補強されることによって強度が向上し、変形や破断を防止することができる。
【0010】
前記複数の補強リブと前記基部が、前記バスバーホルダの成形収縮方向とこの成形収縮方向に略直交する方向のそれぞれのせん断補強となるように形成されてもよい。これにより、バスバーホルダの成形収縮方向と成形収縮方向に略直交する方向のせん断強度を高めることができる。
【発明の効果】
【0012】
以上述べたように、本発明によれば、バスバーとアリングホルダとの絶縁をより安価な構造で、かつより確実に確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の一実施形態に係る電子機器としての回転電機の構成例を示す分解斜視図である。
図2】上記回転電機の要部の断面図である。
図3】上記回転電機のバスバーユニットおよびベアリングホルダを示す斜視図である。
図4】上記バスバーユニットとベアリングホルダを組み合わせた状態の斜視図である。
図5】上記回転電機の端子絶縁保持部の構成を示す断面図である。
図6】上記回転電機の端子絶縁保持部の斜視図である。
図7】本発明に係る第2の実施形態の回転電機の要部断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態について説明する。
【0015】
<電子機器の構成>
図1は本発明の一実施形態に係る電子機器としての回転電機100の構成例を示す分解斜視図であり、図2は回転電機100の要部の断面図である。
【0016】
回転電機100は、ケーシング10と、部品実装体20と、モータ30と、バスバーユニット40と、ベアリングホルダ50と、を有する。
【0017】
[ケーシング]
ケーシング10は、開口部11と、開口部11に対向する底部12とを有する概略円筒形状(筒状)に形成される。ケーシング10は形状およびコストを考慮すると、アルミダイカスト、アルミニウム等の金属材料から構成され、図2に示すように、部品実装体20、モータ30、バスバーユニット40、ベアリングホルダ50等を収容する。
【0018】
底部12と開口部11との間には、開口部11から挿入されるベアリングホルダ50をZ軸(シャフト321)方向に落下しないようにするための段状の段部15が形成されている(図2参照)。
【0019】
この段部15は、開口部11と対向する第1の支持面15Sを有する。第1の支持面15Sは、後述するように、ベアリングホルダ50の周縁部を支持する。
ケーシング10は、底部12と段部15との間に設けられ、後述するロータ32を収容するモータ室10M(図2参照)を有する。
【0020】
[部品実装体]
部品実装体20は、図2に示すように、モータ30、バスバーユニット40及びベアリングホルダ50よりも上方においてケーシング10の上端部に保持される。部品実装体20は、部品実装基板21と、ヒートシンク23とを有する。
【0021】
本実施形態の部品実装基板21は、電動パワーステアリング装置(EPS:Electric Power Steering)のECU(Electronic Control Unit)を構成する各種電子機器(図示略)を含む回路基板である。当該電子機器としては、CPU(Central Processing Unit)、メモリ等を含む。部品実装基板21は、複数のネジ部(図示せず)を介してヒートシンク23に固定される。
【0022】
ヒートシンク23は、シールリングS(図2参照)を介してケーシング10の開口部11に組み付けられることで、ケーシング10の内部を密閉する蓋部を構成する。図1に示すように、ヒートシンク23には、部品実装基板21と図示しない電源ユニットとの間を電気的に接続する外部接続端子23aが突出している。ヒートシンク23の周縁部には、ネジ挿通孔を有する複数のブラケット23bが設けられており、これらのブラケット23bを介してヒートシンク23の開口部11の周縁部に設けられた複数の固定ブラケット14にネジ固定される。
【0023】
[モータ]
モータ30は、図2に示すようにケーシング10内のモータ室10Mに収容され、ステータ(固定子)31と、ロータ(回転子)32とを有する。
【0024】
ステータ31は、ケーシング10の内側に円環状に配置された複数のティース(ステータコア)と、複数のティースにそれぞれ巻回されたコイル(ステータコイル)を含む。ティースは、磁性材からなり、例えば複数の磁性剛板の積層体で構成される。ステータ31は、ケーシング10の内周に嵌合されることによりケーシング10に固定される。コイルは、U相、V相及びW相の三相電磁コイルを形成するように、それらの両端部(図示せず)がバスバーユニット40に電気的に接続される。
【0025】
ロータ32は、一軸(Z軸)まわりに回転するシャフト321と、シャフト321に取り付けられるロータコア322とを有する。シャフト321は、ケーシング10の軸心に沿って配置され、ロータコア322の中央に形成された貫通孔に圧入される。シャフト321は、ベアリングB1及びベアリングB2を介してケーシング10に回転自在に支持される。ロータコア322は、周方向に配列された複数の磁極を有する。ロータ32は、ステータ31の内側に配置され、ステータ31との電磁作用によりシャフト321をその軸まわりに回転させる。
【0026】
シャフト321の一端(図1及び図2において下端)は、ケーシング10の底部12を貫通し、その先端部にギヤ部323を有する。ギヤ部323は、ステアリングシャフトに連絡する相手側ギヤ(図示略)に噛み合い、シャフト321の回転を上記ステアリングシャフトに伝達する。
【0027】
一方のベアリングB1は、ケーシング10の底部12に取り付けられ、シャフト321の一端側を回転可能に支持する。他方のベアリングB2は、シャフト321の他端側を回転可能に支持する。
ベアリングB2は、ロータコア322とヒートシンク23との間に配置され、ベアリングホルダ50を介してケーシング10に固定される。ベアリングホルダ50に関しては後に詳述する。
【0028】
[バスバーユニット]
バスバーユニット40は、導電材からなる複数のバスバー41と、これらバスバー41を内包する電気絶縁性のバスバーホルダ42とを有する(図2参照)。バスバーホルダ42は、円環状の成形体で構成され、複数のバスバー41は、バスバーホルダ42の外周面から径外方へ突出する複数の接続端子41aと、バスバーホルダ42の天面に一軸方向に突出し、U相、V相及びZ相のそれぞれに対応した複数の電源端子41bとを有する。複数の電源端子41bは、部品実装基板21のコネクタ部品22と電気的に接続されるプレスフィット端子である。バスバーホルダ42は、電気絶縁性を有する絶縁材料、例えば合成樹脂などにより成形される。
【0029】
バスバーユニット40は、ケーシング10の内部に配置され、シャフト321と同心的に、ステータコイルに接続される。複数の接続端子41aは、U相、V相及びW相のステータコイルの一端にそれぞれ電気的に接続され、部品実装基板21の下面に実装されたコネクタ部品22と電気的に接続される(図2参照)。
【0030】
[圧入リング]
圧入リング60は、図1に示されているような円環状のものである。圧入リング60は、段部15とでベアリングホルダ50をZ軸方向に挟持するように、ケーシング10に開口部11から圧入される。
【0031】
圧入リング60は、ケーシング10と同一の材料(アルミダイカスト、アルミニウム等)または、ケーシング10と同程度の線膨張係数を有する材料(例えば黄銅やマグネシウム合金)から成る。これにより、回転電機100の温度変化による、圧入リング60のベアリングホルダ50への圧入固定緩みを防止することができる。
【0032】
[ベアリングホルダ]
図3はバスバーユニット40およびベアリングホルダ50を示す斜視図、図4はバスバーユニット40とベアリングホルダ50とを組み合わせた状態を示す斜視図である。
【0033】
ベアリングホルダ50は、ベアリングB2(図2参照)をケーシング10内に位置決め保持するためのものであり、金属板のプレス成形体で構成される。本実施形態においてベアリングホルダ50は、金属板を立体形状に深絞り加工及び折り曲げ加工することで作製される。ベアリングホルダ50が金属材料で構成されることにより、ベアリングホルダ50を介してベアリングB2で生じる摩擦熱を効率よくケーシング10へ逃がすことができ、ベアリングB2の放熱性が向上する。
【0034】
ベアリングホルダ50は、概略円盤形状を有し、その中心部にはシャフト321が貫通する軸穴501が設けられている。この軸穴501を包囲するように、ベアリングB2を圧入保持するためのベアリング保持部502が設けられている。ベアリング保持部502は、ベアリングB2のアウタレースとの嵌合あるいは嵌着作用によってベアリングB2を一体的に保持する。この際、ベアリング保持部502の開口下端部をカシメることで、ベアリングB2との一体的結合が得られるようにしてもよい。
【0035】
ベアリングホルダ50は、バスバーユニット40から軸方向(Z方向)に引き出された複数の電源端子41bを個別に通すための複数の端子貫通穴503と、複数の通気用穴504と、をさらに備える。通気用穴504は肉抜き用の穴であってもよい。
【0036】
(電源端子41bの絶縁構造)
バスバーユニット40のバスバーホルダ42の天面に突出した複数の電源端子41bは、ベアリングホルダ50に設けられた端子貫通穴503を貫通させて部品実装基板21上のコネクタ部品22と電気的に接続される。ここで、ベアリングホルダ50は金属材料で構成される。このため、端子貫通穴503の内面と電源端子41bの表面との電気的接触による短絡を防止すべく、両者間の電気的絶縁を確保する絶縁構造が採用される。
【0037】
典型的には、電源端子41bにおいて、少なくとも端子貫通穴503を貫通する部位の表面を絶縁材料からなる別部材で被覆した絶縁構造などが考えられるが、このような絶縁材料からなる別部材の追加による部品点数の増加と、その部品の組み込み作業の追加による製造工程の増加を招き、製造コストをつり上げてしまう。
【0038】
本実施形態では、バスバーユニット40のバスバーホルダ42に、電源端子41bがベアリングホルダ50の端子貫通穴503を貫通する部位での電気的絶縁を確保するための端子絶縁保持部44が一体成形により設けられる。
【0039】
図5は端子絶縁保持部44の拡大断面図、図6は端子絶縁保持部44の拡大斜視図である。これらの図に示されるように、端子絶縁保持部44は、基部441と、複数の挿入部442と、複数の補強リブ443とを有する。
基部441は端子絶縁保持部44の基部である。端子絶縁保持部44はこの基部441の部分でバスバーユニット40のバスバーホルダ42と一体化される。
【0040】
複数の挿入部442は個々の電源端子41b毎に形成され、それぞれベアリングホルダ50の複数の端子貫通穴503に個別に挿入あるいは圧入される部分である。したがって、それぞれの電源端子41bがベアリングホルダ50の端子貫通穴503を貫通する部位において、端子貫通穴503の内面と電源端子41bの表面とは絶縁体である挿入部442によって互いの電気的接触が妨げられることによって絶縁が確保される。
【0041】
本実施形態では、端子絶縁保持部44がバスバーホルダ42に一体成形されたものであるため、絶縁用の別部品をバスバーホルダ42に取り付ける構造に比べ、部品点数を減らすことができ、絶縁用の別部品をバスバーホルダに取り付ける作業が不要になるため製造コストを抑えることができる。
【0042】
また、ベアリングホルダ50の端子貫通穴503の内面と電源端子41bの表面との電気的接触がより確実に防止されるためには、回転電機100の組み上がり状態において、端子絶縁保持部44の挿入部442の先端がベアリングホルダ50の部品実装基板21側の面より上の高さにあることが求められる。本実施形態では、端子絶縁保持部44がバスバーホルダ42に一体成形されたものであるため、上記の高さ関係の条件がより確実に保証され、信頼性の高い絶縁構造が得られる。すなわち、絶縁用の別部品の取り付け精度による絶縁性能のバラツキが生じなくなり、安定した絶縁が確保される。
【0043】
なお、本実施形態では端子貫通穴503の形状を円形、電源端子41bの形状を矩形とすることで、電源端子41bのZ軸まわり回転姿勢のくるいに対するマージンを確保している。
【0044】
ところで、ベアリングホルダ50の複数の端子貫通穴503と端子絶縁保持部44の複数の挿入部442との位置関係にずれがあると、複数の端子貫通穴503に端子絶縁保持部44の複数の挿入部442を挿入した際、端子絶縁保持部44の特に根元部分に大きなせん断力が加わり、端子絶縁保持部44が電源端子41bごと根元から変形し、最悪、破断するおそれがある。
【0045】
本実施形態では、このように端子絶縁保持部44の変形や破断を防止するために、端子絶縁保持部44に補強リブ443が設けられる。補強リブ443は、ベアリングホルダ50の複数の端子貫通穴503と端子絶縁保持部44の複数の挿入部442との位置関係が、バスバーホルダ42の成形収縮方向(径方向)に最も大きくずれやすいことを考慮して、このバスバーホルダ42の成形収縮方向のせん断強度を高めるように設けられる。より具体的には、補強リブ443は、複数の挿入部442に対して直交する方向に延在するように形成される。
【0046】
また、端子絶縁保持部44は、バスバーホルダ42の成形収縮方向のみならず、成形収縮方向に略直交する方向のせん断強度も向上するように形成される。より具体的には、端子絶縁保持部44は、複数の電源端子41bを個々に保持する複数の挿入部442がそれぞれの下部において基部441によって成形収縮方向に略直交する方向において互いに繋がっている。これにより、成形収縮方向に略直交する方向においても高いせん断強度が得られる。
【0047】
<第2の実施形態>
次に、本発明に係る第2の実施形態を説明する。
図7は、本発明の第2の実施形態に係る電子機器としての回転電機101の構成例を示す要部断面図である。
なお、同図において、第1の実施形態の回転電機100と同一の部分には同一の符号を付し、これらについての重複する説明は省略する。
【0048】
本実施形態の回転電機101では、特にベアリングホルダ150の構成が第1の実施形態と異なる。このベアリングホルダ150は、第1の実施形態の回転電機100のように圧入リン60を用いず、ベアリングホルダ150の外周面をケーシング10の内周面に当接させた状態でケーシング10内に圧入され、ケーシング10内の段部15の支持面15S上に設置される。ベアリングホルダ150とケーシング10との係合部分は接着剤によりさらに強固に固定されてもよい。
【0049】
このベアリングホルダ150はシャフト321に対して直交方向に延在する厚肉部151と、厚肉部151よりも厚さが薄い薄肉部152とを有する。すなわち、ベアリングホルダ150は、複数の端子貫通穴503の周囲の薄肉部152を除いて、第1の実施形態の回転電機100のベアリングホルダ50に比べ十分大きな厚みを有する厚肉部151によって構成される。薄肉部152は、ベアリングホルダ50の、バスバーユニット40と反対側つまり部品実装基板21側に開口させた凹部153を形成することによってバスバーユニット40側に薄く残った部分によって形成される。
【0050】
ベアリングホルダ150を上記のような構成とすることで次のような効果が得られる。
1.ベアリングホルダ150が厚肉部151を有するので、ベアリングホルダ150の強度を高くすることができる。また、厚肉部151をケーシング10内に圧入するだけで取り付けられるので、製造工数を低減できる。
2.ベアリングホルダ150の端子貫通穴503の周囲の部位を部品実装基板21側から凹ませることによって出来る凹部153の開口サイズをコネクタ部品22よりも大きくすることで、凹部153内にコネクタ部品22を部分的に沈め込ませることができる。これにより第1の実施形態に比べ、回転電機101の全体的な高さの小型化を図れる。さらに、電源端子41bとベアリングホルダ150部材間の距離を十分確保することができ、電源端子41bとアリングホルダ150との絶縁性が向上する。
【0051】
<変形例>
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上述の実施形態にのみ限定されるものではなく種々変更を加え得ることは勿論である。
【0052】
また以上の実施形態では、電子機器として、車両の電動パワーステアリング装置に用いられる回転電機100を例に挙げて説明したが、他の用途の回転電機(モータ)にも適用可能である。さらに、本発明に係る電子機器は、モータだけでなく、発電機等の他の回転電機にも適用可能であり、加えて、回転電機以外の他の電子機器にも適用可能である。
【符号の説明】
【0053】
21…部品実装基板
30…モータ
31…ステータ
32…ロータ
321…シャフト
40…バスバーユニット
41…バスバー
41b…電源端子
42…バスバーホルダ
44…端子絶縁保持部
441…基部
442…挿入部
443…補強リブ
50…ベアリングホルダ
503…端子貫通穴
100…回転電機
B1,B2…ベアリング
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7