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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-01-30
(45)【発行日】2023-02-07
(54)【発明の名称】ハンガーラック装置
(51)【国際特許分類】
   A47G 25/02 20060101AFI20230131BHJP
   F16B 7/20 20060101ALI20230131BHJP
   F16B 7/04 20060101ALI20230131BHJP
【FI】
A47G25/02 B
F16B7/20 C
F16B7/04 302A
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2019093359
(22)【出願日】2019-05-17
(65)【公開番号】P2020185301
(43)【公開日】2020-11-19
【審査請求日】2022-03-07
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 株式会社ロイヤルが、株式会社スペースにて、嘉見哲志が発明したハンガーラック装置について、株式会社スペースの担当者に展示し、製品の意見を聞いた。
(73)【特許権者】
【識別番号】593006010
【氏名又は名称】株式会社ロイヤル
(74)【代理人】
【識別番号】100085213
【弁理士】
【氏名又は名称】鳥居 洋
(74)【代理人】
【識別番号】100087538
【弁理士】
【氏名又は名称】鳥居 和久
(74)【代理人】
【識別番号】100087572
【弁理士】
【氏名又は名称】松川 克明
(74)【代理人】
【識別番号】100105843
【弁理士】
【氏名又は名称】神保 泰三
(72)【発明者】
【氏名】嘉見 哲志
【審査官】村山 睦
(56)【参考文献】
【文献】実開平4-95778(JP,U)
【文献】実開昭62-189447(JP,U)
【文献】登録実用新案第3107201(JP,U)
【文献】特開2014-227766(JP,A)
【文献】特開2006-94805(JP,A)
【文献】特開平5-1469(JP,A)
【文献】登録実用新案第3054484(JP,U)
【文献】特開2001-123757(JP,A)
【文献】実開平6-32501(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47G 25/02
F16B 7/20
F16B 7/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
一対の足フレームと、一対のパイプ製の支柱と、足フレーム間を連結する連結パイプと、支柱の上端間に挿入されるハンガー吊り下げパイプと、を有するハンガーラック装置であって、
前記足フレームは、前記支柱と連結パイプとが装着されるフレーム本体を有し、
前記フレーム本体は、前記支柱が挿入されるパイプ挿入部と連結パイプが連結される連結部を有し、
前記パイプ挿入部は、挿入された支柱が対向する支柱側へ傾くように、前記パイプ挿入部と前記連結部との間の角度が規定され、
前記支柱が互いに離れる方向にテンションを付加されて、前記ハンガー吊り下げパイプに装着されたジョイント部材が前記支柱に挿入されていることを特徴とするハンガーラック装置。
【請求項2】
前記フレーム本体の連結部は、前記パイプ挿入部から85度の角度を隔てて形成されたボス部と、このボス部に挿入固定されるジョイント金具と、からなることを特徴とする請求項1に記載のハンガーラック装置。
【請求項3】
一対の足フレームと、一対のパイプ製の支柱と、足フレーム間を連結する連結パイプと、支柱の上端間に挿入されるハンガー吊り下げパイプと、を有するハンガーラック装置であって、
前記足フレームは、前記支柱と連結パイプとが装着されるフレーム本体を有し、
前記フレーム本体は、前記支柱が挿入されるパイプ挿入部と連結パイプが連結される連結部を有し、
前記パイプ挿入部は、挿入された支柱が対向する支柱側から離れるように、前記パイプ挿入部と前記連結部との間の角度が規定され、
前記支柱が互いに近づく方向にテンションを付加されて、前記ハンガー吊り下げパイプに装着されたジョイント部材が前記支柱に挿入されていることを特徴とするハンガーラック装置。
【請求項4】
前記フレーム本体の連結部は、前記パイプ挿入部から95度の角度を隔てて形成されたボス部と、このボス部に挿入固定されるジョイント金具と、からなることを特徴とする請求項3に記載のハンガーラック装置。
【請求項5】
前記ジョイント金具に径方向に撓む板ばねが設けられ、前記連結パイプに前記板ばねと係合する固定用長孔が設けられていることを特徴とする請求項2または請求項4に記載のハンガーラック装置。
【請求項6】
前記ジョイント部材は、前記支柱内に挿入される挿入ジョイントと前記ハンガー吊り下げパイプに挿入される挿入ジョイントとが直交するように配置されていることを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載のハンガーラック装置。
【請求項7】
前記ジョイント部材の挿入ジョイントに径方向に撓む板ばねが設けられ、前記支柱に前記板ばねと係合する固定用長孔が設けられていることを特徴とする請求項6に記載のハンガーラック装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、ハンガーラック装置にかかり、組み立て現場での作業が簡易で、しかもハンガーラック装置の支柱の横振れを抑制できるハンガーラック装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
衣服を掛けたハンガーを吊り下げておくハンガーラック装置がある。従来のハンガーラック装置は、足部の両端に立設した2本のパイプ製の支柱を有し、それら支柱の上端間に1本のハンガー吊り下げパイプを渡しかけて接続している。
【0003】
ハンガーラック装置は組み立て式が、輸送コスト、保管スペースなどの点から有利である。
【0004】
組み立て式のハンガーラック装置として、特許文献1に開示されたものがある。従来のハンガーラック装置は、一対の足パイプと一対の支柱と、足パイプ間を連結する連結パイプと、パイプ製の支柱の上端間に取り付けられるハンガー吊り下げパイプと、を有する。
【0005】
足パイプの中央部に支柱となるパイプが挿入される取付パイプが溶接により設けられている。この取付パイプに支柱を挿入し、足パイプに支柱を立設する。
【0006】
前記足パイプは、連結パイプが挿入される孔が設けられている。そして、連結パイプの足パイプ内に挿入される部分にねじ山スリーブが設けられている。取付パイプに挿入される支柱の先端部にネジが設けられている。支柱の先端部に設けられたネジは、足パイプに連結パイプを挿入した際に、連結パイプに設けられたねじ山スリーブと対向する位置になるように、支柱のネジと、連結パイプのねじ山スリーブの位置が決められている。
【0007】
足パイプに連結パイプを挿入した後、取付パイプに支柱を挿入し、支柱を回して支柱のネジを連結パイプのネジ山スリーブにねじ込み、支柱と連結パイプとがネジ止めされ、支柱が取付パイプを介して連結パイプと固定される。
【0008】
このように、支柱を取付パイプに挿入し、足パイプに挿入された連結パイプとねじ止めすることにより、支柱を足パイプに固定することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【文献】実用新案登録第3163453号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
上記した特許文献1のハンガーラック装置においては、支柱を回すことにより、支柱を足パイプに取り付けることができる。しかし、ハンガーラック装置を組み立てる際には、支柱のネジと連結パイプのネジ山スリーブの位置合わせと支柱を回して固定するなどの作業が必要となる。
【0011】
組み立てを行う際には、位置合わせなどの細かい作業は省略できることが望まれる。
【0012】
また、ねじ止めなどを行わずに、支柱を足パイプの取付パイプに挿入するだけで、支柱を足パイプに固定できれば、組み立て作業が極めて簡単に行える。しかし、支柱と取付パイプとの間は、足パイプを挿入するために僅かな隙間が必要である。この隙間により支柱が横振れする等の問題がある。
【0013】
この発明は、極めて簡単な作業でハンガーラック装置を組み立てることができると共に、支柱の横振れが抑制できるハンガーラック装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
この発明は、一対の足フレームと、一対のパイプ製の支柱と、足フレーム間を連結する連結パイプと、支柱の上端間に挿入されるハンガー吊り下げパイプと、を有するハンガーラック装置であって、前記足フレームは、前記支柱と連結パイプとが装着されるフレーム本体を有し、前記フレーム本体は、前記支柱が挿入されるパイプ挿入部と連結パイプが連結される連結部を有し、前記パイプ挿入部は、挿入された支柱が対向する支柱側へ傾くように、前記パイプ挿入部と前記連結部との間の角度が規定され、前記支柱が互いに離れる方向にテンションを付加されて、前記ハンガー吊り下げパイプに装着されたジョイント部材が前記支柱に挿入されていることを特徴とする。
【0015】
支柱は、対向する支柱側へ傾くように各寸法が規定されているので、支柱間の上端の寸法は、ハンガー吊り下げパイプに取り付けたジョイント部材間の寸法より短くなっている。
【0016】
この状態で支柱間が離れるようにテンションをかけて、ハンガー吊り下げパイプのジョイント部材を支柱内に挿入して、支柱間にハンガー吊り下げパイプが取り付けられる。
【0017】
このように、この発明のハンガーラック装置は、支柱をパイプ挿入部に挿入し、連結パイプとハンガー吊り下げパイプの両方とも挿入という簡単な作業でハンガーラック装置を組み立てることができる。また、支柱間は、外側へテンションをかけた状態でハンガー吊り下げパイプが取り付けられている。このため、支柱は互いに近づく方向にテンションが与えられることになり、支柱の横振れは抑制される。
【0018】
また、この発明は、前記フレーム本体の連結部は、前記パイプ挿入部から85度の角度を隔てて形成されたボス部と、このボス部に固定されるジョイント金具と、で構成することができる。
【0019】
また、この発明は、一対の足フレームと、一対のパイプ製の支柱と、足フレーム間を連結する連結パイプと、支柱の上端間に挿入されるハンガー吊り下げパイプと、を有するハンガーラック装置であって、前記足フレームは、前記支柱と連結パイプとが装着されるフレーム本体を有し、前記フレーム本体は、前記支柱が挿入されるパイプ挿入部と連結パイプが連結される連結部を有し、前記パイプ挿入部は、挿入された支柱が対向する支柱側から離れるように、前記パイプ挿入部と前記連結部との間の角度が規定され、前記支柱が互いに近づく方向にテンションを付加されて、前記ハンガー吊り下げパイプに装着されたジョイント部材が前記支柱に挿入されていることを特徴とする。
【0020】
支柱は、対向する支柱側から離れるように各寸法が規定されているので、支柱間の上端の寸法は、ハンガー吊り下げパイプに取り付けたジョイント部材間の寸法より長くなっている。
【0021】
この状態で支柱間が近づくようにテンションをかけて、ハンガー吊り下げパイプのジョイント部材を支柱内に挿入して、支柱間にハンガー吊り下げパイプが取り付けられる。
【0022】
このように、この発明のハンガーラック装置は、支柱をパイプ挿入部に挿入し、連結パイプとハンガー吊り下げパイプの両方とも挿入という簡単な作業でハンガーラック装置を組み立てることができる。また、支柱間は、内側へテンションをかけた状態でハンガー吊り下げパイプが取り付けられている。このため、支柱は互いに離れる方向にテンションが与えられることになり、支柱の横振れは抑制される。
【0023】
また、この発明は、前記フレーム本体の連結部は、前記パイプ挿入部から95度の角度を隔てて形成されたボス部と、このボス部に挿入固定されるジョイント金具と、で構成することができる。
【0024】
また、前記ジョイント金具に径方向に撓む板ばねが設けられ、前記連結パイプに前記板ばねと係合する固定用長孔が設けられているように構成すればよい。
【0025】
また、前記ジョイント部材は、前記支柱内に挿入される挿入ジョイントと前記ハンガー吊り下げパイプに挿入される挿入ジョイントとが直交するように配置されているように構成すればよい。
【0026】
また、前記ジョイント部材の挿入ジョイントに径方向に撓む板ばねが設けられ、前記支柱に前記板ばねと係合する固定用長孔が設けられているように構成すればよい。
【発明の効果】
【0027】
この発明によれば、極めて簡単な作業でハンガーラック装置を組み立てることができると共に、支柱の横振れが抑制できることができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図1】この発明のハンガーラック装置を示す斜視図である。
図2】この発明のハンガーラック装置を示す分解斜視図である。
図3】この発明のハンガーラック装置の足フレームを下方向から示す斜視図である。
図4】この発明のハンガーラック装置の足フレームを上方向から示す斜視図である。
図5】この発明のハンガーラック装置の足フレームに連結パイプを取り付ける状態を示す斜視図である。
図6】この発明のハンガーラック装置の足フレームに脚部を取り付ける状態を示す斜視図である。
図7】この発明のハンガーラック装置のハンガー吊り下げパイプを示す斜視図である。
図8】この発明のハンガーラック装置のハンガー吊り下げパイプに装着されるジョイント金具を示す正面図である。
図9】この発明のハンガーラック装置のハンガー吊り下げパイプにジョイント金具を取り付けた状態を示す斜視図である。
図10】この発明のハンガーラック装置の支柱にハンガー吊り下げパイプを装着する状態を示す正面図である。
図11図10のA部分の拡大正面図である。
図12】この発明のハンガーラック装置の足フレームに取り付けられるキャスター付きの脚部を示す正面図である。
図13】この発明のハンガーラック装置の足フレームに取り付けられるキャスター付きの脚部を分解した正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
この発明の実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。なお、図中同一または相当部分には同一符号を付し、説明の重複を避けるためにその説明は繰返さない。
【0030】
図1に示すように、この発明のハンガーラック装置1は、一対の足フレーム2と、一対のパイプ製の支柱3と、足フレーム2、2間を連結する連結パイプ4と、支柱3、3の上端間に挿入されるハンガー吊り下げパイプ5と、を有する。
【0031】
図2の分解斜視図に示すように、パイプ製の支柱3とハンガー吊り下げパイプ5とは、ハンガー吊り下げパイプ5に装着されたジョイント部材50を支柱3に挿入することにより装着される。足フレーム2の脚部25はジョイント金具26で足フレーム2の足パイプ22に挿入により取り付けられる。足フレーム2は、支柱3と連結パイプ4とが装着されるフレーム本体20を有する。
【0032】
このフレーム本体20は、支柱3が挿入されるパイプ挿入部20dと連結パイプ4に挿入されるジョイント金具20gが装着されるボス部20eを有する。このフレーム本体20の詳細については、後述する。
【0033】
フレーム本体20のボス部20eに装着したジョイント金具20gに連結パイプ4を挿入することで、足フレーム2、2間に連結パイプ4が装着される。
【0034】
そして、足フレーム2のパイプ挿入部20dに支柱3を差し込む。後述するように、足フレーム2のパイプ挿入部20dに支柱3を挿入すると、支柱3は対向する支柱側へ少し傾くように、フレーム本体20のパイプ挿入部20dとボス部20eとの間の寸法が規定されている。
【0035】
すなわち、上記したパイプ挿入部20dとボス部20eは、鉛直方向に対してパイプ挿入部20dがボス部20e側に傾いて設けられている。この実施形態では、パイプ挿入部20dが5度傾いている。
【0036】
このように、支柱3は、対向する支柱側へ少し傾くように各寸法が規定されているので、支柱3、3の上端の寸法は、ハンガー吊り下げパイプ5に取り付けたジョイント部材50間の寸法より短くなっている。
【0037】
この状態で支柱3、3間が離れるようにテンションをかけて、ハンガー吊り下げパイプ5のジョイント部材50を支柱3内に挿入して、支柱3、3間にハンガー吊り下げパイプ5が取り付けられる。
【0038】
このように、この発明のハンガーラック装置1は、パイプ挿入部20dへの支柱3の挿入と、ハンガー吊り下げパイプ5に装着されたジョイント部材50の挿入ジョイント50bと支柱3の挿入の作業により、組み立てが完了する。このように,この発明のハンガーラック装置1は、パイプに挿入する組み立て作業が簡単に行える。また、支柱3、3間は、外側へテンションをかけた状態でハンガー吊り下げパイプ5が取り付けられている。このため、支柱3、3は互いに近づく方向にテンションが与えられることになり、支柱3、3の横振れは抑制される。
【0039】
次に、足フレーム2について、図3から図5を参照して説明する。足フレーム2には、支柱3と連結パイプ4とが装着されるフレーム本体20を有する。
【0040】
このフレーム本体20は、支柱3が挿入されるパイプ挿入部20dと連結パイプ4に挿入されるジョイント金具20gが装着されるボス部20eを有する。さらに、フレーム本体20には、足パイプ22が挿入される挿入部20fが設けられている。連結パイプ4に挿入されるジョイント金具20gとジョイント金具20gが装着されるボス部20eとで、連結パイプ4をフレーム本体20に連結する連結部を構成する。
【0041】
フレーム本体20は、亜鉛ダイカストにより、パイプ挿入部20d、ボス部20eと、足パイプ22を挿入する挿入部20fが一体に設けられる。更に、フレーム本体20は、ボス部20eの内部にジョイント金具20gをねじ固定するためのねじ孔が設けられている。
【0042】
図4に示すように、パイプ挿入部20dの内面には、ボス部20eが形成されている面とは逆側に一対の突起24が互いに45度の角度を隔てて設けられている。この突起24は、パイプ挿入部20dに支柱3が挿入され、支柱3がハンガー吊り下げパイプ5の装着により外側に押された際に当接し、支柱3を2つの突起24とボス部20e側の内面との三点で支持し、支柱3をパイプ挿入部20dに確実に固定するように機能する。
【0043】
ボス部20eは、ジョイント金具20gが装着されている。このジョイント金具20gは、アルミの押し出し成形より形成され、パイプ内面に当接する複数の当接片が円周方向に設けられている。このジョイント金具20gの複数の当接片を繋ぐ外周径が連結パイプ4の内周面にスムーズに挿入される寸法に形成され、作業者が手で簡単に挿入できるように構成されている。
【0044】
ジョイント金具20gには、径方向に撓む板ばね20hが取り付けられている。板ばね20hは、ジョイント金具20gの先端から後方に向かって径方向に突出するようにテーパ形状に形成され、連結パイプ4が挿入される際に板ばね20hを乗り越えて連結パイプ4がボス部20eの方向へスムーズに移動するように構成されている。
【0045】
この実施形態においては、ジョイント金具20gは、ボルト8をボス部20eの内部に設けたねじ孔(図示しない)に締結することで、ジョイント金具20gがボス部20eに固定される。
【0046】
そして、図5に示すように、連結パイプ4には、位置決め用切り欠き41と固定用長孔42が設けられている。連結パイプ4の位置決め用切り欠き41とジョイント金具20gの板ばね20hを位置合わせし、連結パイプ4をジョイント金具20gに差し込むと、連結パイプ4の内周に当接する間は、板ばね20hが撓み、固定用長孔42にジョイント金具20gの板ばね20hが位置すると、板ばね20hの付勢力により径方向に突出し、板ばね20hと固定用長孔42とが係合する。この係合により、連結パイプ4と足フレーム2、2とは離脱することなく、両者が連結される。連結パイプ4を足フレーム2から取り外す時には、板ばね20hを押し込み、足フレーム2と連結パイプ4とを引き離すことで、板ばね20hと固定用長孔42との係合が外れ、足フレーム2から連結パイプ4を取り外すことができる。
【0047】
フレーム本体20の挿入部20fの内径は足パイプ22が挿入される寸法に形成されている。この実施形態では、フレーム本体20の挿入部20fの下方側には肉厚部20aを設けて、ねじ孔20b、20bを設けている。足パイプ22を挿入部20fに挿入し、ねじ孔20bにタップねじ20cをねじ込み、足パイプ22を挿入部20fに固定している。
【0048】
前述したように、パイプ挿入部20dとボス部20eは、鉛直方向に対してパイプ挿入部20dがボス部20e側に傾いて設けられている。この実施形態では、パイプ挿入部20dが5度傾いている。図5及び図11に示すように、ボス部20eに装着されたジョイント金具20gに連結パイプ4を挿入して固定し、パイプ挿入部20dに支柱3を挿入すると、連結パイプ4とパイプ挿入部20dに挿入された支柱3との間の角度は85度となる。
【0049】
このように、パイプ挿入部20dに挿入された支柱3は、連結パイプ4側に向かって傾いた状態で取り付けられることなる。
【0050】
従って、支柱3はパイプ挿入部20d側から上に向かって対向する支柱3側に傾き、上端が下端よりその間隔が狭くなる。
【0051】
図6に示すように、足フレーム2は、足パイプ22にジョイント金具26を取り付けた脚部25が圧入される。足フレーム2は、両端に脚部25が取り付けられ、脚部25により足フレーム2が床上に設置される。
【0052】
脚部25は、脚部本体27を備え、この脚部本体27は、アジャスタを取り付ける箇所と直交する方向にジョイント金具26をボルト8で固定するためのねじ孔が設けられている。また、脚部本体27には、高さを変えることができるアジャスタ28とジョイント金具26が取り付けられている。
【0053】
ジョイント金具26には、径方向に撓む板ばね26aが取り付けられている。板ばね26aは、ジョイント金具26の先端から後方に向かって径方向に突出するようにテーパ形状に形成され、足パイプ22が挿入される際に板ばね26aを乗り越えて足パイプ22が脚部25の方向へスムーズに移動するように構成されている。
【0054】
この実施形態においては、ジョイント金具26は、ボルト8を図示しないねじ孔に締結することで、ジョイント金具26が脚部本体27に固定される。
【0055】
そして、図6に示すように、足パイプ22には、位置決め用切り欠き22aと固定用長孔22bが設けられている。足パイプ22の位置決め用切り欠き22aとジョイント金具26の板ばね26aを位置合わせし、足パイプ22をジョイント金具26に差し込むと、足パイプ22の内周に当接する間は、板ばね26aが撓み、固定用長孔22bにジョイント金具26の板ばね26aが位置すると、板ばね26aの付勢力により径方向に突出し、板ばね26aと固定用長孔22bとが係合する。この係合により、足パイプ22に脚部25が取り付けられる。脚部25を足パイプ22から取り外す時には、板ばね26aを押し込み、足パイプ22と脚部25とを引き離すことで、板ばね26aと固定用長孔22bとの係合が外れ、足パイプ22から脚部25を取り外すことができる。
【0056】
脚部25は、アジャスタ28の代わりにキャスター29を取り付けることもできる。キャスター29を取り付けた脚部25について、図12及び図13を参照して説明する。
【0057】
脚部本体27にキャスター取り付け用スリーブ29aが取り付けられる。キャスター取り付け用スリーブ29aにはキャスター軸29bが挿入される孔部(図示しない)が設けられている。キャスター取り付け用スリーブ29aの孔部に、キャスター軸29bを挿入して、キャスター29が装着された脚部25が得られる。
【0058】
足パイプ22の位置決め用切り欠き22aとジョイント金具26の板ばね26aを位置合わせし、足パイプ22をジョイント金具26に差し込み、キャスター29が装着された脚部25を足パイプ22に取り付ける。ジョイント金具26と足パイプ22との取り付けは、アジャスタ28を取り付けた脚部25と同様に行えばよい。
【0059】
前述したように、フレーム本体20のボス部20eにジョイント金具20gが取り付けられ、このジョイント金具20gに連結パイプ4を挿入して取り付ける。このようにして、連結パイプ4の両端に足フレーム2が取り付けられる。
【0060】
図7は、ハンガー吊り下げパイプ5を示す斜視図である。このハンガー吊り下げパイプ5の両端にジョイント部材50が挿入される。ハンガー吊り下げパイプ5の両端には、位置決め用切り欠き51と固定用長孔52が設けられている。
【0061】
図8に示すように、ジョイント部材50は、支柱3内に挿入される挿入ジョイント50aとハンガー吊り下げパイプ5に挿入される挿入ジョイント50bとが直交するように配置されている。
【0062】
ジョイント部材50は、ジョイント部材本体50cの内部にねじ孔(図示しない)が設けられている。挿入ジョイント50aと挿入ジョイント50bは、それぞれボルト8にて前述のねじ孔に締結することで、ジョイント部材本体50cに固定される。
【0063】
挿入ジョイント50aと挿入ジョイント50bは、アルミ押し出し成形より成形され、パイプ内面に当接する複数の当接片が円周方向に設けられている。挿入ジョイント50aの複数の当接片を繋ぐ外周径がハンガー吊り下げパイプ5の内周面にスムーズに挿入される寸法に形成され、作業者が手で簡単に挿入できるように構成されている。
【0064】
挿入ジョイント50bの複数の当接片を繋ぐ外周径が支柱3の内周面にスムーズに挿入される寸法に形成され、作業者が手で簡単に挿入できるように構成されている。
【0065】
挿入ジョイント50aには、径方向に撓む板ばね50eが取り付けられている。板ばね50eは、挿入ジョイント50aの先端から後方に向かって径方向に突出するようにテーパ形状に形成され、ハンガー吊り下げパイプ5に挿入される際に板ばね50eを乗り越えてハンガー吊り下げパイプ5がジョイント部材本体50cの方向へスムーズに移動するように構成されている。
【0066】
挿入ジョイント50bには、径方向に撓む板ばね50fが取り付けられている。板ばね50fは、挿入ジョイント50bの先端から後方に向かって径方向に突出するようにテーパ形状に形成され、支柱3に挿入される際に板ばね50fを乗り越えて支柱3がジョイント部材本体50cの方向へスムーズに移動するように構成されている。
【0067】
図9に示すように、ハンガー吊り下げパイプ5の両端に位置決め用切り欠き51と挿入ジョイント50aの板ばね50eを位置合わせし、挿入ジョイント50aを挿入させ、板ばね50eを固定用長孔52に係合させ、ハンガー吊り下げパイプ5の下方に挿入ジョイント50bが位置するように取り付ける。
【0068】
図10に示すように、足フレーム2のフレーム本体20のパイプ挿入部20dに支柱3を挿入する。両端の足フレーム2に挿入された支柱3は、先端側に互い近寄るように立設される。
【0069】
この実施形態では、足フレーム2、2のフレーム本体20のボス部20eと支柱3の中心間の寸法W1は、1212.94mmである。また、ハンガー吊り下げパイプ5のジョイント部材50の中心間の距離W3は1200mmである。ボス部20eの中心から支柱3の先端までの長さHは1245mmである。支柱3、3の先端間の距離W2は、981.51mmである。
【0070】
この実施形態は、図11に示すように、支柱3は、連結パイプ4側へ5度、すなわち、水平方向から85度の角度でフレーム本体20に取り付けられている。
【0071】
支柱3、3間にハンガー吊り下げパイプ5が取り付けられる。ハンガー吊り下げパイプ5のジョイント部材50より、支柱3の先端は内側に位置しているので、支柱3を外側に拡がるようにテンションをかける。そして、テンションをかけた状態で支柱3、3にジョイント部材50の挿入ジョイント50bを挿入し、支柱3、3間にハンガー吊り下げパイプ5を取り付ける。
【0072】
支柱3には、位置決め用切り欠き31と固定用長孔32が設けられている(図2参照)。支柱3の位置決め用切り欠き31とジョイント部材50の挿入ジョイント50bの板ばね50fの位置合わせし、ジョイント部材50の挿入ジョイント50bを支柱3内に挿入すると、固定用長孔32にジョイント部材50の板ばね50fが係合する。この係合により、ハンガー吊り下げパイプ5と支柱3とは離脱することなく、両者が取り付けられる。
【0073】
ハンガー吊り下げパイプ5を支柱3から取り外す時には、板ばね50fを押し込み、ハンガー吊り下げパイプ5を支柱3の上方へ引き上げことで、板ばね50fと固定用長孔32との係合が外れ、ハンガー吊り下げパイプ5を取り外すことができる。
【0074】
この発明のハンガーラック装置1は、支柱3、3間が外側へテンションをかけた状態でハンガー吊り下げパイプ5が取り付けられている。このため、支柱3、3は互いに近づく方向にテンションが与えられることになり、支柱3、3の横振れは抑制される。
【0075】
ハンガーラック装置1の組み立て手順につき、簡単に説明する。予め、フレーム本体20に足パイプ22を固定し、ボス部20eにはジョイント金具20gが取り付けられた状態、ハンガー吊り下げパイプ5の両端には、ジョイント部材50が取り付けられた状態、脚部25には、ジョイント金具26が取り付けられた状態で搬送、または保管されている。
【0076】
上記した状態の各部品が用意される。まず、足フレーム2の足パイプ22に脚部25のジョイント金具26を挿入し、脚部25を取り付ける。
【0077】
次に、足フレーム2、2を連結パイプ4により連結する。フレーム本体20のボス部20eに固定されたジョイント金具20gに連結パイプ4を挿入し、足フレーム2、2間に連結パイプ4を取り付ける。
【0078】
続いて、フレーム本体20のパイプ挿入部に支柱3をそれぞれ挿入し、一対の足フレーム2、2のパイプ挿入部20dに支柱3、3をそれぞれ取り付ける。
【0079】
続いて、支柱3を外側に拡がるようにテンションをかける。そして、テンションをかけた状態で支柱3、3にジョイント部材50の挿入ジョイント50bを挿入し、支柱3、3間にハンガー吊り下げパイプ5を取り付けて、ハンガーラック装置1が形成される。
【0080】
このように、この発明のハンガーラック装置1は、パイプの挿入作業だけで、ハンガーラック装置1を組み立てることができる。そして、この発明のハンガーラック装置1は、支柱3、3間が外側へテンションをかけた状態でハンガー吊り下げパイプ5が取り付けられている。このため、支柱3、3は互いに近づく方向にテンションが与えられることになり、支柱3、3の横振れは抑制される。
【0081】
上記した実施形態では、前記パイプ挿入部20dは、挿入された支柱3が対向する支柱側へ傾くように、前記パイプ挿入部20dと前記連結部(20e、20g)との間の角度が規定されているが、前記パイプ挿入部20dは、挿入された支柱3が対向する支柱側から離れるように、前記パイプ挿入部20dと前記連結部(20e、20g)との間の角度が規定されて構成してもよい。
【0082】
例えば、ボス部20eに装着されたジョイント金具20gに連結パイプ4を挿入して固定し、パイプ挿入部20dに支柱3を挿入すると、連結パイプ4とパイプ挿入部20dに挿入された支柱3との間の角度は95度となるように構成してもよい。
【0083】
従って、支柱3はパイプ挿入部20d側から上に向かって対向する支柱3から離れる方向に傾き、上端が下端よりその間隔が広くなる。
【0084】
このように、支柱3は、対向する支柱側から離れるように各寸法が規定すると、支柱3、3の上端の寸法は、ハンガー吊り下げパイプ5に取り付けたジョイント部材50間の寸法より長くなる。
【0085】
この状態で支柱3、3間が近づくようにテンションをかけて、ハンガー吊り下げパイプ5のジョイント部材50を支柱3内に挿入して、支柱3、3間にハンガー吊り下げパイプ5を取り付ければよい。
【0086】
支柱3、3間は、内側へテンションをかけた状態でハンガー吊り下げパイプ5が取り付けられている。このため、支柱3、3は互いに離れる方向にテンションが与えられることになり、支柱3、3の横振れは抑制される。
【0087】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。この発明の範囲は、上記した実施の形態の説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0088】
1 :ハンガーラック装置
2 :足フレーム
3 :支柱
4 :連結パイプ
5 :ハンガー吊り下げパイプ
8 :ボルト
20 :フレーム本体
20a :肉厚部
20b :ねじ孔
20c :タップねじ
20d :パイプ挿入部
20e :ボス部
20f :挿入部
20g :ジョイント金具
20h :板ばね
22 :足パイプ
22a :位置決め用切り欠き
22b :固定用長孔
24 :突起
25 :脚部
26 :ジョイント金具
26a :板ばね
27 :脚部本体
28 :アジャスタ
29 :キャスター
29a :キャスター取り付け用スリーブ
29b :キャスター軸
31 :位置決め用切り欠き
32 :固定用長孔
41 :位置決め用切り欠き
42 :固定用長孔
50 :ジョイント部材
50a :挿入ジョイント
50b :挿入ジョイント
50c :ジョイント部材本体
50e :板ばね
50f :板ばね
51 :位置決め用切り欠き
52 :固定用長孔
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13