(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-01-30
(45)【発行日】2023-02-07
(54)【発明の名称】特定の臍帯間葉細胞集団を含む組成物を得る方法およびその使用
(51)【国際特許分類】
C12N 5/077 20100101AFI20230131BHJP
A61P 9/00 20060101ALI20230131BHJP
A61P 9/04 20060101ALI20230131BHJP
A61P 25/04 20060101ALI20230131BHJP
A61P 29/02 20060101ALI20230131BHJP
A61P 19/02 20060101ALI20230131BHJP
A61P 11/16 20060101ALI20230131BHJP
A61P 11/00 20060101ALI20230131BHJP
A61P 17/02 20060101ALI20230131BHJP
A61K 35/51 20150101ALI20230131BHJP
C12Q 1/6851 20180101ALI20230131BHJP
C12Q 1/686 20180101ALI20230131BHJP
C12Q 1/02 20060101ALI20230131BHJP
G01N 33/53 20060101ALI20230131BHJP
【FI】
C12N5/077 ZNA
A61P9/00
A61P9/04
A61P25/04
A61P29/02
A61P19/02
A61P11/16
A61P11/00
A61P17/02
A61K35/51
C12Q1/6851 Z
C12Q1/686 Z
C12Q1/02
G01N33/53 Y
(21)【出願番号】P 2020515689
(86)(22)【出願日】2018-09-16
(86)【国際出願番号】 CL2018050087
(87)【国際公開番号】W WO2019051623
(87)【国際公開日】2019-03-21
【審査請求日】2021-09-06
(32)【優先日】2017-09-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CL
(73)【特許権者】
【識別番号】520085246
【氏名又は名称】セルズ フォー セルズ ソシエダッド アノニマ
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】弁理士法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】マロン、コーリー
(72)【発明者】
【氏名】フィゲロア、フェルナンド
(72)【発明者】
【氏名】エスピノザ、フランシスコ
(72)【発明者】
【氏名】バルトルッチ、ホルヘ
(72)【発明者】
【氏名】カストロ、ディエゴ
(72)【発明者】
【氏名】モントーヤ、ポーラ
(72)【発明者】
【氏名】ゴンザレス、パス
(72)【発明者】
【氏名】クエンカ、ヒメナ
【審査官】太田 雄三
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-182126(JP,A)
【文献】特表2015-507921(JP,A)
【文献】特開2014-028836(JP,A)
【文献】Molecular Therapy,2011年11月08日,Vol. 20, No. 1,p. 155-167,doi:10.1038/mt.2011.202
【文献】Stem Cells International,2016年,Vol. 2016, Article ID 6901286,p. 1-17,doi:10.1155/2016/6901286
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C12N 5/00
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
組織臍帯間葉細胞の特定の集団を含む組成物を選択する方法であって、以下の段階:
a)臍帯間葉細胞の培養および増殖と、
b)N-カドヘリン、RANKL、ならびにCD44、CD105およびCD56のうちの少なくとも2種のマーカーの存在によるそれらの選択と
を含む、方法。
【請求項2】
段階b)の後に、肝細胞増殖因子(HGF)の産生により前選択が行われ、培地中に1000pg/mLを超えるHGFを分泌する培養物を選択する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
臍帯間葉細胞が、動脈および臍静脈を取り囲み、羊膜下層の内面に隣接する結合組織から特異的に得られる、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
工程b)の後に、TGF-β3発現により任意の選択が行われ、評価されたサンプルと比較して最高レベルの相対発現を発現する培養物を選択する、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
培養細胞が、95%を超えるCD105、CD73、CD90およびHLA-ABCを発現し、同時に非発現時に、すなわち、2%未満のCD45、CD34、CD14およびHLA-DRを発現する間葉細胞として選択するマーカーに従って、サイトメトリーによって選択される、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
工程b)で、細胞が、N-カドヘリン、RANKL、CD105、CD44、およびCD56を発現することにより選択される、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
N-カドヘリン、RANKL、および、CD105、CD44、またはCD56のうちの少なくとも2種のマーカーを発現する間葉細胞を含む臍帯間葉細胞の特定の集団を含む、
医薬組成物。
【請求項8】
細胞療法に使用するための、請求項7に記載の組成物を含む医薬組成物。
【請求項9】
心臓駆出流の問題を処置するための、請求項7に記載の組成物を含む医薬組成物。
【請求項10】
心不全を処置するための、請求項7に記載の組成物を含む医薬組成物。
【請求項11】
疼痛を処置し、関節摩耗の問題に関連する機能を改善するための、請求項7に記載の組成物を含む医薬組成物。
【請求項12】
急性呼吸窮迫症候群を含む急性肺病変を処置するための、請求項7に記載の組成物を含む医薬組成物。
【請求項13】
慢性創傷または皮膚潰瘍を処置するための、請求項7に記載の組成物を含む医薬組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医学の分野に含まれる。特に、本発明は、特定の臍帯間葉細胞集団を得る方法を提供し、心不全患者の駆出不全の処置および/または予防するための組成物を得ること;関節摩耗の問題を抱える患者の疼痛を緩和し、機能を改善すること;呼吸器障害および皮膚病変を処置することに役立つ。
【背景技術】
【0002】
ヒト多能性間質細胞(h-MSC)は、「International Society for Cell Therapy」[1]で定義されているように、特定の免疫表現型の提示、異なる細胞株への接着および分化などの特定の特性を有する間質細胞である。これらの細胞が有する他の特徴の中には、これらの細胞がアロ反応性Tリンパ球の応答を阻害できるため、免疫反応能力がある。
【0003】
この背景を考慮すると、h-MSCは新しい細胞療法のために考慮されてきた。細胞療法は、自己または同種異系のいずれであっても、パーキンソン病、筋萎縮性側索硬化症、多発性硬化症、放射線誘発腸損傷、炎症性腸疾患、肝疾患、デュシェンヌ型筋ジストロフィーおよび糖尿病などの様々な疾患および状態において広く研究されており、異なる結果を示している[2,3]。
【0004】
h-MSCの供給源は、臍帯から得られた細胞である。しかし、これらの細胞は異種であり、異なる表面マーカーを発現し、異なる分化能力を有しており、このため、h-MSCを選択する必要がある。現在、科学界にはh-MSC細胞を定義するためのコンセンサスがあり、これは、表面マーカーの発現プロファイルに基づいて、同一性および純度基準を考慮するものである。具体的には、細胞が間葉系幹細胞とみなされるには、マーカー:CD73、CD90およびCD105を発現しなければならず、一方、マーカーCD45、CD14、CD19は存在してはならない。この発現パターンを有する細胞の選択は、他の種類の細胞の混入を防ぐために行われる。また、造血前駆体の混入を除外するために使用されるマーカーであるCD34の陰性発現によって選択することもできる。さらに、可能性のある免疫応答の予測因子である主要組織適合遺伝子性複合体分子クラスIIの1つであるHLA-DRは存在しないはずである[1]。
【0005】
また、間葉細胞と呼ばれるためには、脂肪細胞、軟骨芽細胞および骨芽細胞に分化する能力(3つの系統への分化)が必要である。最近、h-MSCは、脂肪組織、胎盤、歯髄および臍帯などの様々な組織から得ることができることが発見された。したがって、これらの細胞は、3つの系統の伝統的な分化を有することに加えて、非伝統的な系統にも分化して、筋細胞、内皮細胞、肝細胞および神経細胞などの細胞を産生することができるという結果になった。h-MSCの自己再生および分化の機構は、一連の成長因子、受容体、細胞内シグナル伝達分子および転写因子によって条件付けられていると考えられる。したがって、これらの因子は、これらの因子が特定の系統についてh-MSCの群をとることを同定するのに有用であり得る。
【0006】
既に述べたように、h-MSCは、他の供給源の中でも骨髄、脂肪組織および歯髄を含む成体組織から単離することができる、免疫原性の低い多能性細胞である。h-MSCの特性が微小環境の変化によって大きく影響される可能性があるため、起源のニッチは、細胞型間の生物学的差異の評価における必須因子を表す。ほとんどの実験的および臨床研究は、骨髄由来のMSCを使用してきたが、これらの細胞は、細胞を得るための侵襲的手順、ならびにドナーの年齢および併存疾患に直接関係する増殖および分化の可能性の低下など、臨床応用に不利な点を有する。対照的に、h-MSC臍帯は容易に入手可能であり、インビトロでの増殖が可能であり、加えて、細胞の老化が少なく、それらを入手することは倫理的な懸念が少ない。
【0007】
本発明は、心不全患者における特定の細胞療法、駆出不全の処置および/または予防のための臍帯h-MSCを得ることに関し、関節の摩耗の問題を有する患者における疼痛を緩和し、機能を改善するためにも使用することができ、肺病変などの呼吸器障害を処置するため、ならびに慢性創傷および潰瘍などの皮膚病変を処置するためにも有用である。
【0008】
細胞療法は、10年以上にわたって駆出率の減少を伴う心不全(HFrEF)の処置法として評価されてきた。実験的研究では、分化転換、細胞融合およびパラクリン調節などの機構を介して、心機能の改善および損傷した心臓組織の再生が報告されている。最近の総説では、細胞療法は安全であり、HFrEF患者の生存、左心室機能および生活の質における中程度の臨床的ベネフィットに関連することが示唆されている。虚血性および非虚血性心疾患患者において、異なる生成物および細胞型ならびに投与経路を用いて、様々な臨床研究が行われている。これらの中には、骨髄単核細胞および間葉系幹細胞(MSC)が見出される可能性があり、これらは自己または同種異系であり得る。これらは、心筋内、冠動脈内注射により、および例外的に静脈内注射により投与されてきた。
【0009】
心不全の左室駆出率(LVEF)を処置するための臨床研究がいくつかある。Lunde Kらが実施した、心筋梗塞の患者100名を対象とした臨床研究では、冠動脈内注射によって投与された自己骨髄単核細胞(BMC)が使用された。その結果、LVEFに関して対照群と処置群の間に差は見られなかった[4]。Perin ECらはまた、心不全患者のBMC細胞を用いたランダム化試験を行ったが、対照と比較してBMCで処置した患者のLVEFの改善は認められなかった[5]。Hare Jらは、骨髄由来の同種異系間葉系幹細胞を使用して急性心筋梗塞の患者を処置する臨床研究を行った。LVEFは研究の結果の1つとして測定され、処置開始の3ヵ月後、3.6%の有意でないLVEFの改善が処置患者で観察されたが、この利点は6ヵ月の追跡後に消失する。[6]。
【0010】
別の研究では、虚血性心筋症による慢性心不全の患者がBMCで処置された。60ヵ月の追跡後、BMCで処置された患者は駆出率の改善を示した[8]。Sethらは、骨髄細胞を使用して、3年間の追跡後、「New York Heart Association」の機能的III型クラスに属する患者の76%が、対照に対して駆出率が5.4%改善したことを報告した[9]。
【0011】
したがって、数十年に及ぶ基礎研究および臨床研究の後、細胞の全体的なベネフィットならびに最良の細胞供給源および投与経路は未解決のままである。
【0012】
関節摩耗の問題の中で、変形性関節症(OA)は最も一般的なタイプの関節疾患であり、慢性疼痛、障害、生活の質の悪化および死亡率の増加を引き起こす変性および進行性障害である。膝は最も一般的に影響を受ける部位の1つであり、現在、世界的な健康問題を表している。一方では、この疾患の進行が遅いにもかかわらず、疾患修飾性変形性関節症薬(DMOAD)はなく、その罹患率は、人口の高齢化のために増加しており、75歳以上の人々の35%に影響を及ぼしている。一方では、この疾患は、膝関節全置換術の漸進的増加および早期退職を含む、高い医療費に起因する重要な経済的負担を表す。
【0013】
h-MSCに基づく細胞療法は、その軟骨形成分化能力および抗炎症特性により、変形性関節症の有用な生物学的ツールを提供することができる[10]。
【0014】
前臨床研究では、軟骨分解を回避、妨害または回復することを目的とした、異なる動物モデルにおけるMSC移植後の陽性の結果を示している。臨床的観点から、軟骨局所欠損(CDF)および半月板の問題など、OAの素因となる状態に主に集中した一連の証拠が実証されている。様々なプロトコルで、CDF患者は、磁気共鳴画像法により観察される疼痛スコア、組織学的側面および形態の改善を示すことが観察されている[11]。MSCで処置された部分的な半月板切除術を受けた患者は、変性変化を発症するリスクが3.5少ない。局所投与に関して、いくつかの研究は、平均5年間の追跡後に重篤な有害事象が生じなかったことを示している[12]。
【0015】
特に変形性膝関節症に関しては、近年、3つのパイロット研究により、6ヵ月の追跡で安全性および臨床的有効性の初期の証拠が示された。これらのプロトコルは、骨髄MSC(BM)または脂肪組織(AD)を使用した自己療法に基づいている[13]。
【0016】
しかし、これまでのところ、変形性膝関節症の処置に最適な細胞の供給源を示す証拠はほとんどない。したがって、本発明の組成物など、この疾患の有効な処置および/または予防のための組成物が依然として必要とされている。
【0017】
前述の背景を考慮して、本発明者らは、臍帯から間葉細胞の特定の集団を得る方法を開発し、これは、心不全患者における心臓の駆出量の改善、疼痛の緩和および関節摩耗損傷における機能の改善など、また、肺病変などの呼吸器障害の処置、ならびに創傷および潰瘍など皮膚病変の処置のいずれにおいて、安全で有効な細胞療法のために使用されることを可能にする特定の特徴を有する。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】解剖学的区画を示すヒト臍帯の横断図である。
【
図2】臍帯断面である。(A):羊膜および羊膜下層が除去された後の3つ長軸方向の切断を表す。(B):動脈および静脈が除去された後の結合組織の表示。(C):培養培地を用いてプレート上に組織を配置する方法の表示。
【
図3】International Society of Cell Therapyのガイドラインに従った細胞の特徴付け。臍帯由来細胞組成物は、すべての一般的なMSCマーカーを発現し、軟骨形成、骨形成および脂肪生成系統に分化する能力を示した。(A):細胞組成物をフローサイトメトリーにより分析し、臍帯からのサンプルを、既知のMSC表面マーカー(青色)およびそれぞれのアイソタイプ(赤色)に対して標識されたモノクローナル抗体で染色した。すべての臍帯由来細胞組成物は、CD105、CD73、CD90、CD44、CD146およびCD49aについて陽性であったが、CD14、CD34、CD31、CD45およびHLADRについて陰性であった。(B):特定の誘導および染色後の臍帯由来細胞組成物の分化の代表的な画像:脂肪細胞(オイルレッドO)、骨細胞(アリザリンレッド)および軟骨細胞(サフラニンO)。目盛り付きバー=200mm。すべてのデータは、最低4名のドナーの平均値±SEM(n=3)として示される。
【
図4】UC-MSCおよびBM-MSCは、パラクリン因子において異なるプロファイルを示した。TGFβ3発現をRT-qPCRにより定量化し、HGFをELISAにより測定した。臍帯の異なる供給源からのHGFは、選択方法として使用される対象であるBM-MSCよりも分泌量が多い。***p<0.001、+p<0.05、++p<0.001 UC-MSC-1、2、3と比較したUC-MSC-4
【
図5】特別なマーカー、承認された細胞(ロットCU-108-6)による亜集団の特徴付けは、マーカーCD44、CD56、CD105、CD254(RANKL)およびCD325(N-カドヘリン)を有する。
【
図6】UC-MSCおよびBM-MSCは、炎症性T細胞阻害と同じ抑制能力を示す。CFSEで標識された心不全および駆出率低下(HFrEF)を伴う拡張型心筋症患者から得られたPHA活性化hPBMCを、MSCの有無にかかわらず1:10の比率(MSC:hPBMC)で共培養した。(A):培養後72時間でCFSEの強度を低下させることによりT細胞増殖を評価し、左側のグラフは、CFSEの代表的な増殖パネルを表している(淡色のヒストグラムは活性化PBMCを表し、暗色のヒストグラムはMSCと共培養された活性化PBMCを表す)。(B):PBMCおよびMSCの共培養からのTh1、Th2、CD8および制御性T細胞の分析。結果は、hPBMCに対する少なくとも3つの異なるドナー(健康なドナー患者およびDCM)、UC-MSC、およびBM-MSCを使用した少なくとも3つの独立した実験の平均±SEMとして表される。***p<0.001 PHAに関するUC-MSCまたはBM-MSC。
【
図7】臍帯由来細胞組成物は、BM-MSCと比較して優れた遊走能力を有する。これらの細胞型の遊走能力を、16時間後のHFREF患者の血清に応答するトランスウェルアッセイによって評価した。画像は紫色結晶による代表的な染色を示し、グラフは遊走細胞の%の定量化を示す。グラフに示されているデータは、少なくとも3名の血清ドナー、UC-MSCおよびBM-MSCを含む平均値±SEMに対応している。*P<0.05 UC-MSC対BM-MSC。
【
図8】研究した群における、処置後12ヵ月までのベースラインからの心臓磁気共鳴測定値の変化。(A):左心室の駆出率(LVEF)。(B):左心室の拡張終期容量(LVEDV)。(C):左心室の収縮終期容量(LVESV)。実線は、臍帯由来細胞組成物で処理された群を表す(プロトコルごとにn=14)。点線はプラセボ群を表す(プロトコルごとにn=13、1名の患者からの同意の撤回)。統計分析は、各群についての参照測定値と追跡測定値との間の混合効果の最大尤度の回帰、および群間の変動性に基づいた。
【
図9】例「大腿骨、膝蓋骨および脛骨の相互作用問題を有する患者」の研究および患者集団の設計。
【
図10】例2「大腿骨、膝蓋骨および脛骨の相互作用問題を有する患者の臨床研究」からの患者の疼痛についてのWOMACチャート。
【
図11】例No.2「大腿骨、膝蓋骨および脛骨の相互作用問題を有する患者の臨床研究」の患者機能の評価についてのWOMACチャート。
【
図12】例N°2「大腿骨、膝蓋骨および脛骨の相互作用問題を有する患者の臨床研究」の患者についての総Womac指数グラフ。
【
図13】例N°2「大腿骨、膝蓋骨および脛骨の相互作用問題を有する患者の臨床研究」の患者についてのOMERACT-OARSI反応指数。
【
図14】例2「大腿骨、膝蓋骨および脛骨の相互作用問題を有する患者の臨床研究」の患者についての総WORMSによる構造的結果。
【
図15】International Society of Cell Therapyのガイドラインに従った細胞の特徴付け。臍帯由来のCU-989-6細胞組成物は、すべての一般的なMSCマーカーを発現し、軟骨形成、骨形成および脂肪生成系統に分化する能力を示した。(A):細胞組成物CU-989-6をフローサイトメトリーにより分析し、臍帯からのサンプルを、既知のMSC表面マーカーおよびそれぞれのアイソタイプに対するモノクローナル抗体で染色した。すべての臍帯由来細胞組成物は、CD73、CD90、CD105について陽性であり、CD45、CD34、CD14、CD19およびHLA-DRについて陰性であった。(B):上記のマーカーの存在の割合に加えて、マーカーCD44、CD56、CD105、RANKLおよびN-カドヘリンについて本特許において提示される選択基準のマーカーを有する表。(C):特定の誘導および染色後の臍帯由来細胞組成物の分化の代表的な画像:骨細胞(アリザリンレッド)、脂肪細胞(オイルレッドO)および軟骨細胞(サフラニンO)。
【
図16】International Society of Cell Therapyのガイドラインに従った細胞の特徴付け。臍帯由来のCU-745-3細胞組成物は、すべての一般的なMSCマーカーを発現し、軟骨形成、骨形成および脂肪生成系統に分化する能力を示した。(A):CU-745-3細胞組成物をフローサイトメトリーにより分析し、臍帯からのサンプルを、既知のMSC表面マーカーおよびそれぞれのアイソタイプに対するモノクローナル抗体で染色した。すべての臍帯由来細胞組成物は、CD73、CD90、CD105について陽性であり、CD45、CD34、CD14、CD19およびHLA-DRについて陰性であった。(B):上記のマーカーの存在の割合に加えて、マーカーCD44、CD56、CD105、RANKLおよびN-カドヘリンについて本特許において提示される選択基準のマーカーを有する表。(C):特定の誘導および染色後の臍帯由来細胞組成物の分化の代表的な画像:骨細胞(アリザリンレッド)、脂肪細胞(オイルレッドO)および軟骨細胞(サフラニンO)。
【
図17】International Society of Cell Therapyのガイドラインに従った細胞の特徴付け。臍帯由来のCU-108-6細胞組成物は、すべての一般的なMSCマーカーを発現し、軟骨形成、骨形成および脂肪生成系統に分化する能力を示した。(A):CU-108-6細胞組成物をフローサイトメトリーにより分析し、臍帯からのサンプルを、既知のMSC表面マーカーおよびそれぞれのアイソタイプに対するモノクローナル抗体で染色した。すべての臍帯由来細胞組成物は、CD73、CD90、CD105について陽性であり、CD45、CD34、CD14、CD19およびHLA-DRについて陰性であった。(B):上記のマーカーの存在の割合に加えて、マーカーCD44、CD56、CD105、RANKLおよびN-カドヘリンについて本特許において提示される選択基準のマーカーを有する表。(C):特定の誘導および染色後の臍帯由来細胞組成物の分化の代表的な画像:骨細胞(アリザリンレッド)、脂肪細胞(オイルレッドO)および軟骨細胞(サフラニンO)。
【
図18】International Society of Cell Therapyのガイドラインに従った細胞の特徴付け。臍帯由来のCU-668-K細胞組成物は、すべての一般的なMSCマーカーを発現し、軟骨形成、骨形成および脂肪形成の系統に分化する能力を示した。(A):細胞組成物CU-668-Kをフローサイトメトリーにより分析し、臍帯のサンプルを、既知のMSC表面マーカーおよびそれぞれのアイソタイプに対するモノクローナル抗体で染色した。すべての臍帯由来細胞組成物は、CD73、CD90、CD105について陽性であり、CD45、CD34、CD14、CD19およびHLA-DRについて陰性であった。(B):上記のマーカーの存在の割合に加えて、マーカーCD44、CD56、CD105、RANKLおよびN-カドヘリンについて本特許において提示される選択基準のマーカーを有する表。(C):特定の誘導および染色後の臍帯由来細胞組成物の分化の代表的な画像:骨細胞(アリザリンレッド)、脂肪細胞(オイルレッドO)および軟骨細胞(サフラニンO)。
【
図19】International Society of Cell Therapyのガイドラインに従った細胞の特徴付け。臍帯由来のCU-837-8細胞組成物は、すべての一般的なMSCマーカーを発現し、軟骨形成、骨形成および脂肪形成の系統に分化する能力を示した。(A):細胞組成物CU-837-8をフローサイトメトリーにより分析し、臍帯のサンプルを、既知のMSC表面マーカーおよびそれぞれのアイソタイプに対するモノクローナル抗体で染色した。すべての臍帯由来細胞組成物は、CD73、CD90、CD105について陽性であり、CD45、CD34、CD14、CD19およびHLA-DRについて陰性であった。(B):上記のマーカーの存在の割合に加えて、マーカーCD44、CD56、CD105、RANKLおよびN-カドヘリンについて本特許において提示される選択基準のマーカーを有する表。(C):特定の誘導および染色後の臍帯由来細胞組成物の分化の代表的な画像:骨細胞(アリザリンレッド)、脂肪細胞(オイルレッドO)および軟骨細胞(サフラニンO)。
【
図20】細胞組成物CU-745-3による4名の患者の処置の結果。処置前のベースライン状態と処置後3ヵ月の評価との比較について、Index the Western Ontario and McMaster Universities Osteoarthritis Index(WOMAC)に従って提示した結果。
【
図21】細胞組成物CU-745-3による3名の患者の処置の結果。処置3ヵ月での患者の状態と処置6ヵ月での評価の比較について、Index the Western Ontario and McMaster Universities Osteoarthritis Index(WOMAC)に従って提示した結果。
【
図22】1年間の細胞組成物CU-108-6およびCU-745-3による3名の患者の処置の結果。心室駆出率の割合に従って提示された結果。
【
図23】急性呼吸窮迫症候群の処置のための細胞療法の有効性。(A):本明細書に記載の方法を用いて得られた細胞組成物で処置される前の急性呼吸窮迫症候群に罹患している患者のコンピューター化胸部断層撮影(気管切片)。(B)本発明の方法で選択された細胞組成物で処置された13日後の患者の胸部コンピューター断層撮影(気管切片)。
【
図24】本明細書に記載の方法により選択された細胞組成物108-6および745-3の使用による皮膚再生の改善の評価。(A):様々な時点で評価された創傷の代表的な画像。(B):様々な時点での創傷閉鎖の割合であり、創傷閉鎖の割合はソフトウェアImage Jを使用して計算した。(C):14日後の生検における血管新生の定量化であり、分析はソフトウェアVesSeg-Toolを使用して展開した。その値は、平均±標準誤差を表し、細胞組成群と生理食塩水群の有意性を比較するために、t検定(マンホイットニー)、*p≦0.05を使用した。UC-MSC:本発明の方法により得られた細胞組成物。
【発明の概要】
【0019】
本発明は、臍動脈、静脈、および羊膜下組織の内面に存在する結合組織から必要に応じて選択されてもよい、臍帯間葉系幹細胞の亜集団を得る方法に関する。特定の細胞のこの集団を含む組成物は、駆出率が低下した患者の心臓駆出流に関する問題など、細胞療法に使用される薬剤を調製するのに有用である。同時に、この亜集団は、疼痛を緩和、関節摩耗の機能を回復させる薬剤を調製するのに有用である。また、肺病変などの呼吸器障害の処置、ならびに慢性創傷および潰瘍などの皮膚病変の処置に有用である。
【0020】
臍帯間葉細胞の特定の集団を含む組成物を得る方法であって、以下の段階を含む:
a)臍帯間葉細胞の培養および増殖、
b)N-カドヘリン、CD44、RANKL、CD105およびCD56マーカーのうち、少なくとも3種の存在によるそれらの選択。
【0021】
必要に応じて、段階b)後に、肝細胞増殖因子(HGF)の産生により前選択が行われ、培地中に1000pg/mLを超えるHGF;好ましくは1500pg/mLを超えるHGF、または2000pg/mLを超えるHGF、とりわけ2500pg/mLを超えるHGFを分泌する培養物を選択する。
【0022】
さらに、必要に応じて、工程b)後に、TGF-β3発現により任意の選択が行われ、評価されたサンプルと比較して最高レベルの相対発現を発現する培養物を選択する。
【0023】
好ましい実施形態では、必要に応じて、臍帯間葉細胞は、動脈および臍静脈を取り囲み、羊膜下層の内面に隣接する結合組織細胞から特異的に得られてもよい。この実施形態では、羊膜および羊膜下層は、臍帯において最初に除去され、第2に、3つ長軸方向および平行な切断により、静脈および動脈露出させ、それらを組織から除去するように、動脈および臍静脈を通して行われる。動脈および静脈を除いて得られた切片を、静脈および動脈に隣接していた結合組織が培養プレートと直接接触するように、培地に塗布する。
【0024】
一方では、必要に応じて、工程a)で、細胞を少なくとも8日間、または少なくとも10日間培養する。
【0025】
間葉細胞を得るために、95%超のCD105、CD73およびCD90を発現し、同時に発現しない、すなわち2%未満のCD45、CD34、CD14、およびHLA-DRを発現するものを間葉細胞として選択することにより、培養細胞をそれらのマーカーに従ってサイトメトリーによって選択する。その後、選択された間葉細胞を、段階b)で確立されたものに従って増殖し、分離する。
【0026】
最後に、工程b)では、細胞は、N-カドヘリン、およびCD105、CD44、RANKLまたはCD56のうち、少なくとも2種のマーカーを発現するために選択される。より詳細には、細胞は、N-カドヘリン、RANKL、およびCD105、CD44、またはCD56のうち、少なくとも1種のマーカーを発現するために選択される。好ましくは、細胞は、N-カドヘリン、RANKL、およびCD105、CD44、またはCD56のうち、少なくとも2種のマーカーを発現するために選択され、最も好ましくは、細胞は、N-カドヘリン、RANKL、CD105、CD44、およびCD56を発現するために選択される。
【0027】
N-カドヘリン、およびCD105、CD44、RANKLまたはCD56のうち、少なくとも2種のマーカーを発現する間葉細胞を含む臍帯間葉細胞の特定の集団を含み、本発明の方法により得られる、組成物。
【0028】
本発明はまた、細胞療法に有用な薬剤を調製するために、記載された方法に従って得られた臍帯間葉細胞の特定の集団からの細胞を含む組成物の使用を目的とする。特に、心臓駆出流の問題を処置するために有用な薬剤を調製することである。より詳細には、静脈内投与される、心臓駆出流の問題を処置するために有用な薬剤を調製することである。この場合、心不全の処置に有用な薬剤を調製するために有用であることが好ましい。
【0029】
別の実施形態では、本発明の方法により得られる組成物は、疼痛を処置し、関節摩耗の問題に関連する機能を改善するために有用な薬剤を調製するのに有用である。特に、大腿骨、脛骨、および膝蓋骨間の相互作用における摩耗を処置するため;または大腿骨頭と寛骨臼との間の摩耗を処置するため;または距骨、脛骨および腓骨の間との摩耗を処置するため;または橈骨、手根骨/手根骨、または膝関節の摩耗を処置するためである。すなわち、本発明の組成物は、足首、腰、膝、手首、肩、指、肘首および脊椎の関節の摩耗を処置するのに有用な薬剤を調製するのに有用である。
【0030】
一方、本発明の方法により得られる組成物は、肺病変などの呼吸器障害、急性呼吸窮迫症候群などの急性肺病変の処置、および慢性創傷および潰瘍などの皮膚病変の処置に有用な薬剤を調製するのに有用である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
定義
本発明の文脈では、用語「間葉系幹細胞」(「MSC」)は、組織中胚葉に由来する多能性前駆細胞を指す。脂肪、骨、軟骨および筋組織を構成する細胞に分化する能力を有している。International Society of Cell Therapyによって確立された最小基準では、MSC細胞の同一性を確保するために、CD73、CD90およびCD105マーカーについて陽性であり、CD45、CD34およびCD14マーカーについて陰性でなければならないことを提示する。MSCは、人体のほぼすべての組織に見られる。
【0032】
本出願で使用される場合、「薬学的に許容される担体」または「薬学的に許容される希釈剤」は、薬学的投与に適合する、ありとあらゆる溶媒、分散媒、コーティング、抗菌剤および抗真菌剤、等張剤ならびに吸収遅延剤を意味する。薬学的に活性な物質のためのそのような媒体および薬剤の使用は、当技術分野で周知である。許容される溶剤、賦形剤または安定剤は、使用される用量および濃度で受容体に対して毒性がなく、本発明の範囲を制限することなく、以下を含む:追加の緩衝剤;防腐剤;共溶剤;アスコルビン酸およびメチオニンを含む酸化防止剤;EDTAなどのキレート剤;金属錯体(例えば、Znタンパク質錯体);ポリエステルなどの生分解性ポリマー;ナトリウム、多価糖アルコールなどの塩形成対イオン;アラニン、グリシン、グルタミン、アスパラギン、ヒスチジン、アルギニン、リジン、オルニチン、ロイシン、2-フェニルアラニン、グルタミン酸およびトレオニンなどのアミノ酸;ラクチトール、スタキオース、マンノース、ソルボース、キシロース、リボース、リビトール、ミオイニシトース、ミオイニシトール、ガラクトース、ガラクチトール、グリセロール、シクロゾール(例えば、イノシトール)、ポリエチレングリコールなどの有機糖または糖アルコール;尿素、グルタチオン、チオクト酸、チオグリコール酸ナトリウム、チオグリセロール、α-モノチオグリセロールおよびチオ硫酸ナトリウムなどの硫黄含有還元剤;ヒト血清アルブミン、ウシ血清アルブミン、ゼラチンまたは他の免疫グロブリンなどの低分子量タンパク質;ならびにポリビニルピロリドンなどの親水性ポリマー。
【0033】
本出願で使用される用語「処置」および「療法」は、健康問題を改善する目的で疾患および/または症状を治癒および/または緩和することを意図して使用される、一連の衛生的、薬理学的、外科的および/または物理的手段を指す。用語「処置」および「療法」は、両方が個体または動物の健康を維持および/または回復することを目的としているため、予防的、治癒的および緩和的方法が含まれる。症状、疾患および障害の原因にかかわらず、健康上の問題を軽減および/または治癒するための適切な薬剤の投与は、本出願の文脈における処置または療法の形態として解釈されるべきである。
【0034】
本出願で使用される用語「予防」は、疾患および/または症状の発症および/または発生を予防するために使用される、一連の衛生的、薬理学的、外科的および/または物理的手段を指す。用語「予防」は、動物または個体の健康を維持するために使用されるため、予防的方法を包含する。
【0035】
用語「個体」、「患者」または「被験者」は、本出願では互換的に使用され、決して限定することを意図していない。「個体」、「患者」または「被験者」は、あらゆる年齢、性および健康状態のものであってもよい。
【0036】
用語「治療有効量」は、治療効果を有し、疾患および/または損傷を予防および/または処置することができる活性成分および/または細胞の量を指す。
【0037】
用語「心不全」は、心臓がその要件に対応できないこと、具体的には、心臓が正常な効率で血液を送り出すことができないことを指す。好ましい実施形態では、心不全は、駆出率が低下した慢性心不全である。
【0038】
用語「駆出率が低下した心不全」は、心臓によって排出される血液量の欠乏に罹患している心疾患を指し、通常、心エコー検査で左室駆出率が40%以下であると記録される。
【0039】
用語「慢性」は、長期間持続する、または絶えず繰り返される状態および/または疾患を指す。
【0040】
本発明者らは、臍帯から細胞集団を得る方法を開発し、これは、心室駆出の問題、および関節の摩耗の問題、特に大腿骨、膝蓋骨および脛骨の相互作用による摩耗の問題の処置に特に適している。また、肺病変などの呼吸器障害の処置、ならびに慢性創傷および潰瘍などの皮膚病変の処置に有用である。
【0041】
一般的に言えば、本発明の方法は、動脈および臍静脈を取り囲み、臍帯の羊膜下層の内面に隣接する結合組織細胞を特異的に得ること;得られた細胞を培養および増殖させ、これらが間葉細胞であり、また、細胞がN-カドヘリン、CD44、RANKL、CD105およびCD56マーカーのうち、少なくとも3種に応答することを確認することを含む。必要に応じて、しかし好ましくは、示されたマーカーによる選択後、肝細胞増殖因子(HGF)の産生により選択を行い、1000pg/mL超のHGFを分泌する細胞培養物を選択する。この最終段階と並行して、TGF-β3の発現の評価をRT-qPCRにより行う。
【0042】
本発明の背景で示されるように、増殖因子および表面マーカー(CD)などの異なるタンパク質発現パターンは、例えば細胞療法で使用される場合、これらの細胞の分化および能力に関連する。本発明者らは、以下に詳述するように、臍帯内の結合組織の特定の領域から得られる間葉細胞が、N-カドヘリン、CD44、RANKL、CD105およびCD56から選択される5種のマーカーのうち、少なくとも3種を同時に発現し、および必要に応じて、大量の肝細胞増殖因子(HGF)を分泌し、TGF-β3発現は、異なる細胞療法において使用される場合に、より良好な結果を有することを決定した。具体的には、これらの細胞は、心室駆出の問題、関節摩耗の改善においてより良い結果を提供するため、呼吸器障害を処置するため、および皮膚病変を処置するための療法に有用である。
【0043】
本発明の細胞の亜集団のマーカーとして選択されたこれらの分子は、分化系統を誘導またはブロックすることができる:
-N-カドヘリンは、細胞間コミュニケーションに役割を果たす膜貫通タンパク質である。このタンパク質はまた、細胞接着に関連しており、心筋分化に関与している[14]。また、発現プロファイルの変化により、骨髄由来の間葉系幹細胞の骨形成のための重要なモジュレーターとして記載されている[15,16]。
【0044】
-CD44は、h-MSCの細胞増殖、生存および分化に関与するタンパク質のマーカーである[17]。この分子は、ヒアルロン酸と相互作用する3Dマトリックスの軟骨形成経路の活性化の候補として提示されている[18]。
【0045】
-RANKLは、破骨細胞形成における重要なタンパク質として関連付けられており、したがって、存在する場合、骨形成経路を阻害することができる[19]。
【0046】
-CD105は、h-MSCの標準的マーカーであるにもかかわらず、β型組織(TGF-β)のトランスフォーミング因子をシグナル伝達するための重要な共受容体であり、心臓間質細胞による血管新生のパラクリン刺激にも関連している[20]。
【0047】
-CD56は、表面タンパク質であり、MSCA-1などの他のマーカーと組み合わせて、存在しない場合よりも軟骨形成および膵臓経路への分化の可能性が高くなることが報告されている。このタンパク質はまた、細胞遊走、細胞間相互作用および細胞-マトリックス相互作用に関与している。この分子が心臓において有する発現プロファイルは、この分子が異なる細胞型間の相互作用などの異なる事象を調節している可能性があることを示唆する。
【0048】
さらに、これらの5種のマーカーはまた、呼吸器障害に関する問題を改善するのに役立つ細胞を選択するために有用である。細胞亜集団のマーカーとして選択されたこれらの分子は、以下のように応答を調節することができる:
-CD44:急性呼吸窮迫症候群(ARDS)などの呼吸障害モデルを処置するために、抗炎症反応および高い食作用活性を促進するように間葉細胞により使用される細胞外小胞に存在するマーカーである[27]。
【0049】
-RANKL:間葉細胞におけるRANKLの発現は、炎症反応を妨害する主要組織適合遺伝子複合体(MHC II)のクラスII分子を調節することが記載されている[28]。
【0050】
-CD105:研究により、ALIまたはそのより重篤なARDS形態などの呼吸器病変の処置のためのCD105陽性細胞の使用を検証した[29]。さらに、血管新生、内皮細胞増殖および血管系発達においてこのマーカーが果たす役割が示されており[30];これは、ARDSに罹患した患者におけるガス交換インターフェースの修復に不可欠である[31]。
【0051】
-CD56:注入されたMSC細胞の分布を考慮すると、CD56は、これらの細胞を主に肺に収容し[32]、CD56は、細胞間および細胞-マトリックス相互作用に関連する間葉系幹細胞によって発現されるマーカーであり[33]、このマーカーの存在は、肺における罹患組織との相互作用を促進する。
【0052】
-N-カドヘリン:間葉細胞について、N-カドヘリンは、血管の形成(血管新生)における重要な因子である血管内皮増殖因子(VEGF)の調節に関与することが記載されている[34]。さらに、肺病変を処置するためのVEGFによるMSCの処置的重要性が記載されている[35]。したがって、MSCにおけるN-カドヘリンマーカーの存在は、肺病変の処置に役割を果たしている。
【0053】
さらに、これらの5種のマーカーはまた、皮膚創傷の問題を改善するのに役立つ細胞を選択するのに有用である。細胞亜集団のマーカーとして選択されたこれらの分子は、以下のように応答を調節することができる:
-CD44:幹細胞を同定するために使用されている細胞表面接着受容体であり[36]、具体的には、このマーカーの発現は、細胞遊走による皮膚創傷の組織再生に重要な役割を果たしている[37,38]。
【0054】
-RANKL:間葉細胞におけるRANKLの発現は、主要組織適合遺伝子複合体(MHC II)のクラスII分子を調節することが記載されている[28]。この複合体は、創傷修復の機構と直接相互作用する[39]。
【0055】
-CD105:このマーカーは、血管新生、内皮細胞の増殖および血管系の発達[30]、創傷の処置に不可欠な要素に関連している。具体的には、これは、長期的に、炎症期および造血細胞の再増殖を調節するために幹細胞によって使用されるマーカーである[40]。
【0056】
-CD56:細胞間および細胞-マトリックス相互作用を介した細胞接着に関連する間葉系幹細胞によって発現されるマーカーであり[33]、したがって、このマーカーの存在は、患部へのMSC接着を促進する。
【0057】
-N-カドヘリン:間葉細胞について、N-カドヘリンは、組織再生のための血管の形成(血管新生)における重要な因子であるVEGFの調節に関与することが記載されている[3.4]。したがって、MSCにおけるN-カドヘリンマーカーの存在は、創傷処置に役割を果たしている。
【0058】
ヒトMSCは、肝細胞増殖因子(HGF)を分泌することができ、このタンパク質はパラクリンまたはオートクリンとして作用することができ、様々な種類の細胞および組織の細胞増殖、運動性および形態形成を調節することができる[21]。HGFは、前駆体の形態で合成および分泌され、とりわけ肝臓、腎臓、肺および胃などの一部の組織への損傷に応答してタンパク質分解的に活性化され、したがって、組織修復および再生に関与し、血液凝固および線溶系に関連する[21]。例えば、HGFは、創傷治癒および心保護における応答の媒介に存在することが記載されている[23]。
【0059】
さらに、ヒトMSCはまた、トランスフォーミング増殖因子β3(TGF-β3)を産生することができ、この因子は、胚形成、発生および細胞分化に関与するサイトカインファミリーのタンパク質である。研究により、TGF-β3の存在が、軟骨細胞のII型コラーゲンおよびグリコソアミノグリカン(GAG)の合成を改善し、この合成が、UC-MSCを軟骨細胞に分化させるのを助けることが示された[24]。一方、TGF-β3はまた、その抗線維化活性[25]および組織再生における役割[26]が知られている。
【0060】
選択されたマーカーはすべて公知であるが、これらの特性を有する細胞の亜集団を取得する方法を予測する文献は現在なく、また、N-カドヘリン、CD44、RANKL、CD105およびCD56マーカーのうち、少なくとも3種の存在が、特に心不全患者の駆出不全の処置および/または予防において、これらの細胞を用いる処置におけるより大きな有効性と相関し、関節摩耗の問題を有する患者の疼痛を緩和し;肺損傷などの呼吸器障害、急性呼吸窮迫症候群などの急性肺損傷を処置し、ならびに慢性創傷および潰瘍などの皮膚病変を処置するために使用することができることも明らかでない。
【0061】
臍帯処理
本発明の方法を行うために、臍帯は、インフォームドコンセント後に帝王切開により抽出され、健康なドナーから得られ、抗生物質緩衝溶液中で無菌的に保存された、全段階のヒト胎盤から得られる。
【0062】
臍帯は、ハンクス重炭酸緩衝液またはリン酸緩衝生理食塩水(PBS)などの滅菌緩衝液に保存される。より好ましくは、臍帯は、PBS溶液に保存される。
【0063】
示されるように、臍帯は、それぞれ50~300ユニット/mlおよび50~300μg/mlの濃度で、ペニシリンおよびストレプトマイシンなどの抗生物質で処理される。より好ましくは、臍帯は、それぞれ100ユニット/mlおよび100μg/mlで、ペニシリンおよびストレプトマイシンで処理される。
【0064】
好ましい実施形態では、本発明の方法に従って臍帯を切断し、5時間を超えない時間で緩衝液および抗生物質で洗浄する必要がある。より好ましくは、手順は4時間を超えてはならない。より好ましくは、切断および洗浄手順は3時間を超えてはならない。
【0065】
任意の実施形態では、本発明の対象組織は、
図1に示すように、臍動脈、臍静脈の周囲に存在する層内に位置し、結合組織の外面は、羊膜下層と接触していた。臍帯が8~10cmの小さな切片に切断されると、羊膜および羊膜下層が除去され、静脈および臍動脈を含む結合組織が露出する。
【0066】
図2Aに示すように、結合組織の3つの平行な長軸方向の切断を通して、
図2Bに示すように静脈および臍動脈を露出させ、除去し、次いで、これらの動脈および臍静脈を取り囲む層を培養プレートに播種し、
図2Cに示すように、安定化培養培地中で維持する。対象組織が培養プレートと直接接触していることが重要である。
【0067】
安定化培養培地は、以下の要素、細胞培養培地、糖、抗生物質、抗真菌剤およびアミノ酸などのいずれかで構成されてもよい。好ましくは、培養培地は、DMEM-F12、高グルコース濃度を有するまたは有さないDMEM、高グルコース濃度を有するまたは有さないα-MEM、ペニシリンおよびストレプトマイシンなどの抗生物質、アンホテリシンなどの抗真菌剤、ならびにL-グルタミンなどのアミノ酸などの培養培地を含むべきである。より好ましくは、培養物は、10mlのイーグル最小必須培地(MEM)、10%熱不活化ウシ胎児血清(FBS;Gibco、米国)を添加した高グルコース連結を有するα改変体(α-MEM)(Gibco、グランアイランド、米国)、1%ペニシリン/ストレプトマイシンおよび2mM L-グルタミン(LG)(Gibco、グランアイランド、米国)を含むべきである。
【0068】
外植片による細胞亜集団の単離
臍動脈および静脈を取り囲む層内に存在する細胞集団を得るために、
図2Cに示すように、組織を培養プレートに播種し、動脈および臍静脈を取り囲む層を底部内部プレートに入れなければならない。この外植技術により、結合組織からプラークに移動して接着することができる細胞集団を得ることができる。10~15日の細胞接着の標準時間では、プレートに移動して接着することができる細胞集団は、すべての結合組織に由来する。異なるアプローチでは、本発明で提示される技術の目的は、臍動脈および静脈を取り囲む層内に存在する細胞集団のみを得ることであり、したがって、遊走/接着時間は通常の外植技術よりも短くなければならない。好ましい実施形態では、細胞が結合組織から移動してプラークの内側底部に付着するのを可能にする時間は、10日を超えてはならない。より好ましくは、細胞遊走および接着の時間は8日を超えてはならない。
【0069】
最初の48時間以内に、動脈および臍静脈を取り囲む組織がプラークに付着する可能性があり、これが生じると、安定化培養培地を3日ごとに新鮮な培地と交換し、3継代目まで培養を継続的に分けるべきである。
【0070】
臍動脈および静脈を取り囲む層内に存在する細胞集団を得るためのこの手順は、羊膜下組織によって取り囲まれた結合組織の外面の組織内に存在する細胞を得るために同じ方法で繰り返す必要がある。
【0071】
細胞培養物が70~80%のコンフルエンスに達すると、細胞をプラークから分離し、それが得られた組織セグメントに従って別々のボトルに再播種する必要がある。好ましい実施形態では、細胞は、TrypLE(商標)Express(Gibco、グランアイランド、米国)によりプレートから分離され、続いて、500cm2フラスコ(Nunc、デンマーク)中に1cm2あたり2,500細胞の密度で播種され得、それが抽出された組織のセグメントを同定する。
【0072】
細胞培養物は、International Society of Cell Therapyのガイドラインに従って後に特徴付けられるように、3継代目まで行われる必要がある[1]。
International Society of Cell Therapyのガイドラインに従った特徴付け
【0073】
好ましい実施形態では、特徴付けは、
図3に示すように、マーカーCD105、CD73、CD90、CD45、CD34、CD14、HLA-DRのサイトメトリーならびに骨芽細胞、脂肪細胞および軟骨芽細胞におけるインビトロ分化を使用して、International Society of Cell Therapyのガイドラインに従って行われる必要がある。
【0074】
好ましい実施形態では、組成物中の細胞の少なくとも90%がCD105陽性である。好ましくは、細胞の少なくとも91、92、93または94%がCD105陽性である。より好ましくは、細胞の95%以上がCD105陽性である。
【0075】
好ましい実施形態では、組成物中の細胞の少なくとも90%がCD73陽性である。好ましくは、細胞の少なくとも91、92、93または94%がCD73陽性である。より好ましくは、細胞の95%以上がCD73陽性である。
【0076】
好ましい実施形態では、組成物中の細胞の少なくとも90%がCD90陽性である。好ましくは、細胞の少なくとも91、92、93または94%がCD90陽性である。より好ましくは、細胞の95%以上がCD90陽性である。
【0077】
好ましい実施形態では、組成物中の細胞の少なくとも90%がCD105、CD73およびCD90陽性である。好ましくは、細胞の少なくとも91、92、93または94%がCD105、CD73およびCD90陽性である。より好ましくは、細胞の95%以上がCD105、CD73およびCD90陽性である。
【0078】
好ましい実施形態では、組成物中の細胞の10%未満がCD45陽性である。好ましくは、細胞の10、9、8、7、6、5、4または3%未満がCD45陽性である。より好ましくは、細胞の2%以下がCD45陽性である。
【0079】
好ましい実施形態では、組成物中の細胞の10%未満がCD34陽性である。好ましくは、細胞の10、9、8、7、6、5、4または3%未満がCD34陽性である。より好ましくは、細胞の2%以下がCD34陽性である。
【0080】
好ましい実施形態では、組成物中の細胞の10%未満がCD14陽性である。好ましくは、細胞の10、9、8、7、6、5、4または3%未満がCD14陽性である。より好ましくは、細胞の2%以下がCD14陽性である。
【0081】
好ましい実施形態では、組成物中の細胞の10%未満がHLA-DR陽性である。好ましくは、細胞の10、9、8、7、6、5、4または3%未満がHLA-DR陽性である。より好ましくは、細胞の2%以下がHLA-DR陽性である。
【0082】
好ましい実施形態では、組成物中の細胞の10%未満がCD45、CD34、HLA-DRおよび/またはCD14陽性である。好ましくは、細胞の10、9、8、7、6、5、4または3%未満がCD45、CD34、HLA-DRおよび/またはCD14陽性である。より好ましくは、細胞の2%以下がCD45、CD34、HLA-DRおよび/またはCD14陽性である。
【0083】
好ましい実施形態では、組成物中の細胞の少なくとも70%が生存可能である。好ましくは、細胞の少なくとも71、72、73、74、75、76、77、78または79%が生存可能である。より好ましくは、細胞の80%以上が生存可能である。
【0084】
好ましい実施形態では、組成物は、肉眼的な凝集体、病原性微生物(細菌、マイコプラズマ、梅毒、HBV、HCV、HIV、CMVおよび真菌)による汚染ならびに0.5EU/ml超のエンドトキシン濃度を含まない。
【0085】
この手順により得られた細胞は、細胞療法に適した間葉細胞とみなすことができる。
【0086】
MSC亜集団の特徴付け
細胞が間葉細胞として検証されると、本発明者らは、サイトメトリーによる5種のマーカーに基づく細胞培養物の選択を開発した。これらの細胞培養物は、マーカーCD105、CD56、CD44、RANKL、およびN-カドヘリンのうち、少なくとも3種の存在によって選択される。本発明者らは、これらのマーカーに応答する細胞が、心室駆出の問題、ならびに例えば大腿骨、膝蓋骨および脛骨の相互作用における関節摩耗の問題の処置;肺損傷などの呼吸器障害、急性呼吸窮迫症候群などの急性肺損傷の処置、ならびに慢性創傷および潰瘍などの皮膚病変の処置に特に適していることを確立した。
【0087】
本発明者らは、これらの細胞を詳細に特徴付け、以下の特徴のいずれかを有する細胞は、心臓の心室駆出不全の処置ならびに疼痛の緩和ならびに大腿骨、膝蓋骨および脛骨の相互作用において生じる摩耗の機能の回復;肺損傷などの呼吸器障害、急性呼吸窮迫症候群などの急性肺損傷の処置、ならびに慢性創傷および潰瘍などの皮膚病変の処置において、より有効である可能性が高い。
【0088】
亜集団の特徴付け手順を開始するために、MSC検証から得られた細胞培養物を洗浄、再懸濁、およびインキュベートする必要がある。最も好ましくは、細胞培養物は、pH7.3および4°Cで、滅菌PBSを用いて連続して4回洗浄する必要がある。
【0089】
洗浄が終了したら、細胞培養物を再懸濁する必要があり、好ましい実施形態では、細胞培養物を、pH7.3の滅菌PBSを含む1×106溶液の濃度で再懸濁する。
【0090】
混合後、細胞培養物は、好ましい実施形態でインキュベートし、N-カデリン、CD44、RANKL、CD105および/またはCD56に対する一次抗体の混合物と共に、氷上および暗所で30分間インキュベートする必要がある。
【0091】
サンプルをサイトメーターに配置するために、細胞培養物は、滅菌12x75mmプロピレンチューブにおいて、pH7.3の滅菌PBS10mlで再懸濁する必要がある。
【0092】
サイトメトリーには、より好ましくはBD FACS Canto IIフローサイトメーターを使用する必要がある。最も好ましくは、亜集団は、CD44、CD56、CD105、N-カドヘリンおよびRANKL、またはこれらのマーカーの組み合わせを発現する必要がある。
【0093】
好ましい実施形態では、承認される細胞培養物について、組成物中の細胞の少なくとも10%がCD44陽性である。好ましくは、細胞の少なくとも10、11、12、13または14%がCD44陽性である。より好ましくは、細胞の15%以上がCD44陽性である。
【0094】
好ましい実施形態では、承認される細胞培養物について、組成物中の細胞の少なくとも15%がCD56陽性である。好ましくは、細胞の少なくとも15、16、17、18または19%がCD56陽性である。より好ましくは、細胞の20%以上がCD56陽性である。
【0095】
好ましい実施形態では、承認される細胞培養物について、組成物中の細胞の少なくとも50%がCD105陽性である。好ましくは、細胞の少なくとも91、92、93または94%がCD105陽性である。より好ましくは、細胞の95%以上がCD105陽性である。
【0096】
好ましい実施形態では、承認される細胞培養物について、組成物中の細胞の少なくとも10%がN-カドヘリン陽性である。好ましくは、細胞の少なくとも10、11、12、13または14%がN-カドヘリン陽性である。より好ましくは、細胞の15%以上がN-カドヘリン陽性である。
【0097】
好ましい実施形態では、承認される細胞培養物について、組成物中の細胞の少なくとも1%がRANKL陽性である。好ましくは、細胞の少なくとも1、2、3または4%がRANKL陽性である。より好ましくは、細胞の5%以上がRANKL陽性である。
【0098】
好ましい実施形態では、承認される細胞培養物について、組成物中の細胞の少なくとも10%がマーカーCD44、CD56、CD105、N-カドヘリンおよびRANKLのうち、少なくとも3種に対して陽性である。好ましくは、少なくとも11、12、13、14%の細胞がマーカーCD44、CD56、CD105、N-カドヘリンおよびRANKLのうち、少なくとも3種に対して陽性である。より好ましくは、細胞の15%以上がマーカーCD44、CD56、CD105、N-カドヘリンおよびRANKLのうち、少なくとも3種に対して陽性である。
【0099】
International Society of Cell Therapyおよび上記の亜集団のマーカー群の要件を承認する細胞培養物は、続いて、細胞外産物およびそれらのRNA発現を特徴付けることにより評価することができる。
【0100】
分泌因子レベルに応じた亜集団の特徴付け
好ましい実施形態では、
図4に示すように、異なる細胞培養物からの上清を収集し、肝細胞増殖因子(HGF)の分泌レベルを測定する必要がある。より多くのHGFを分泌する細胞培養物を選択する。
【0101】
好ましい実施形態では、異なる上清を、ELISA DuoSet Development System(R&D Systems、ミネアポリス、ミネソタ州)を使用して測定する必要がある。
【0102】
好ましい実施形態では、培養培地中に1000pg/ml超の肝細胞増殖因子(HGF)を分泌する細胞培養物を選択する必要がある。好ましくは、培養培地中に1000、1100、1200、1300、1400、1500、1600、1700、1800、1900、2000、2100、2200、2300、2400、2500、2600、2700、2800または2900pg/ml超のHGFを分泌する細胞培養物を選択する必要がある。より好ましくは、培地中に2500pg/ml超のHGFを分泌する細胞培養物を選択する必要がある。最も好ましくは、培地中に3000pg/ml以上を分泌する細胞培養物を選択する必要がある。
【0103】
遺伝子発現レベルに応じた亜集団の特徴付け
好ましい実施形態では、
図4に示すように、各細胞培養物のサンプルを採取し、RT-qPCRによりTGF-β3の発現を評価する必要がある。より多くのTGF-β3を発現する培養物を選択する。
【0104】
好ましい実施形態では、TGF-β3発現を、Universal SYBR Green Quantitative PCR Protocol(メルク)RT-qPCRキットを使用して測定する必要がある。
【0105】
前述の特徴付けを承認する細胞培養物が混在する。
【0106】
細胞混合物の最終溶液が分類されると、その溶液は、「臍帯由来細胞組成物」と呼ばれ、この溶液はすぐに使用するか、後で使用するために凍結保存することができる。保存された細胞組成物を使用する必要がある場合、各処理に必要な細胞の数に応じて、凍結保存されたバイアルを解凍し、増殖させなければならない。好ましい実施形態では、凍結保存されたバイアルは、5%ヒト血小板溶解物(hPL)を添加したα-MEMを使用して解凍し、5~6継代目まで増殖させる必要がある。
【0107】
例
例1.本発明の細胞の亜集団の取得。
本発明の細胞の亜集団を得るために、臍帯サンプルを、全段階のヒト胎盤から採取し、この胎盤を健康なドナーのインフォームドコンセント後に帝王切開により抽出し;「臍帯処理」の節において詳細に記載されるように、抗生物質を含む緩衝液中で無菌的に保存した。
【0108】
続いて、
図2Aに示すモデルに従って、臍帯を8~10cmのセグメントに切断し、次いで、
図2Bに示すように、3つの長軸方向の切断を行って、静脈および臍動脈を露出させ、除去した。
図2Cに示すように、動脈および静脈を取り囲む内面を、培養プレートの底部と接触するように配置する。プレートに移動および接着した細胞を、「外植片による細胞亜集団の単離」の節で詳述した培地を用いて、3継代目まで増殖させた。
【0109】
得られた異なるプレートを、「MSCの亜集団の特徴付け」の節に記載されているプロトコルを使用して検証した。マーカーCD105、CD73、CD90、CD45、CD34、CD14、HLA-DRならびに骨芽細胞、脂肪細胞および軟骨芽細胞のインビトロ分化について得られた結果を
図3に示す。ほとんどのプレートがこの検証を承認し、CD105、CD73、CD90については98%超であり、CD45、CD34、CD14、HLA-DRについては1%未満であった。
【0110】
さらに、International Society of Cell Therapyのガイドラインに従って承認された細胞培養物を、マーカーCD105、CD56、CD44、RANKLおよびN-カドヘリンの群に従って評価した。評価された細胞培養物は、評価されたすべてのマーカーについて存在を示し、それを用いて次の検証に進むことが承認された。さらに、この場合、
図5に示すように、評価された培養物が少なくとも3種のマーカーについて15%を超えて示されたという要件も満たした。
【0111】
承認された培養物について、
図4に示すように、異なる細胞培養物の上清におけるHGFの分泌を評価した。HGFレベルは、評価された細胞培養物のほとんどで2500pg/ml超であった。
【0112】
並行して、
図4に示すように、TGF-β3の発現をRT-qPCRで評価した。上記の評価に従って承認された培養物は、TGF-β3の高発現を示した。
【0113】
最後に、すべての試験に合格した細胞培養物を最終的な臍帯由来の細胞組成物中で混合し、この溶液を後に使用するために凍結保存した。組成物を使用した場合、細胞を、5%ヒト血小板溶解物(hPL)を添加したα-MEMを使用して6継代目まで増殖させた。
【0114】
例2.駆出量が減少した患者
上記の組成物のいずれかを使用して、以下に記載する患者のいずれかを処置することができる。本発明者らは、患者の特定のサブグループに対する効果的な処置および/または予防処置を開発した。
【0115】
好ましい実施形態では、患者は、心室腔の駆出量の減少を伴う慢性心不全に罹患している。
【0116】
組み入れ基準
好ましい実施形態では、患者は、表1に示すように、心エコー評価により左室駆出率が40%以下で定義される収縮期心室機能不全を伴う拡張駆出率が低下した慢性心不全に罹患している。
【0117】
【0118】
BMI:ボディマスインデックス。ACEI:アンジオテンシン変換酵素阻害剤。ARB:アンジオテンシンII受容体遮断薬。NYHA:ニューヨーク心臓協会。GFR:CKD-EPI式による糸球体濾過率。LBBB:左脚ブロック。LAFB:左脚前枝ブロック。RBBB:右脚ブロック。LVEF:左室駆出率。LVESV:左心室の収縮終期容量。LVEDV左心室の拡張終期容量。NS:p>0.05(群間)。
【0119】
好ましい実施形態では、患者は、駆出率が低下した末期心不全に罹患していてはならない。別の実施形態では、患者は、再発性心筋虚血に罹患していてはならない。別の実施形態では、患者は、制御されていない心室性頻拍に罹患していてはならない。別の実施形態では、患者は、平均余命が1年未満である悪性疾患に罹患していてはならない。別の実施形態では、患者は、顕性心室非同期性に罹患していてはならない。別の実施形態では、患者は、血液疾患に罹患していてはならない。別の実施形態では、患者は、過去3ヵ月間で発生している最近の脳血管疾患に罹患していてはならない。別の実施形態では、患者は、200μM以下の血清クレアチニンレベルを有さなければならない。別の実施形態では、患者は、心房細動に罹患していてはならず、心房細動では、患者は過去3ヵ月間で心拍数の最適な制御を受けていない。
【0120】
好ましい実施形態では、患者は、以下の群から選択される疾患のいずれにも罹患していてはならない:駆出率が低下した末期心不全、再発性心筋虚血、制御されていない心室性頻拍、悪性疾患(患者の余命は1年未満である)、顕性心室非同期性、血液疾患、最近の脳血管疾患(疾患は過去3ヵ月間で発生している)および心房細動(患者は過去3ヵ月間に最適な周波数制御心臓を有していない)。
【0121】
好ましい実施形態では、患者は、200μM以下の血清クレアチニンレベルを有する必要がある。好ましい実施形態では、患者は、うっ血性心不全に罹患していてはならない。好ましい実施形態では、患者は、男性でなければならない。
【0122】
投与
上記の任意の組成物は、下記の任意の手段を介して、上記の任意の患者に投与することができる。
【0123】
組成物は、任意の公知の方法により投与することができる。例えば、組成物は、静脈内、病変内、血管内、動脈内、皮下、脳内、筋内、腹腔内または脳室内に投与することができる。好ましい実施形態では、組成物は、静脈内、動脈内、または脳室内に投与される。より好ましくは、組成物は、静脈内に投与される。
【0124】
投与量が治療有効量を含む限り、任意の量の細胞を患者に投与することができる。好ましい実施形態では、患者の体重1キログラム(kg)あたり少なくとも1×105個の細胞が投与される。好ましくは、患者の体重1kgあたり少なくとも1x105、2x105、3x105、4x105、5x105、6x105、7x105、8x105または9x105個の細胞が投与される。より好ましくは、患者の体重1kgあたり約1x106個の細胞が投与される。用語「約」は、±10%の変動を指す。
【0125】
ヒドロコルチゾンは、任意の型のアレルギー反応を予防するために投与することができる。好ましい実施形態では、組成物の投与前に、少なくとも50mgのヒドロコルチゾンを患者に投与する。好ましくは、少なくとも60、70、80または90mgのヒドロコルチゾンを患者に投与する。より好ましくは、組成物の投与の前に、100mgのヒドロコルチゾンを患者に投与する。
【0126】
クロルフェナミンは、輸血反応を予防するために投与することができる。好ましい実施形態では、組成物の投与前に、少なくとも5mgのクロルフェナミンを患者に投与する。好ましくは、少なくとも6、7、8または9mgのクロルフェナミンを患者に投与する。より好ましくは、組成物の投与前に、10mgのクロルフェナミンを患者に投与する。
【0127】
好ましい実施形態では、組成物の投与前に、少なくとも50mgのヒドロコルチゾンおよび/または少なくとも5mgのクロルフェナミンを患者に投与し、ヒドロコルチゾンおよび/またはクロルフェナミンの投与の少なくとも10分後に組成物を投与する。好ましくは、ヒドロコルチゾンおよび/またはクロルフェナミンの投与の少なくとも15、20または25分後に組成物を投与する。より好ましくは、ヒドロコルチゾンおよび/またはクロルフェナミンの投与の少なくとも30分後に組成物を投与する。
【0128】
好ましい実施形態では、組成物の投与前に、100mgのヒドロコルチゾンおよび10mgのクロルフェナミンを患者に投与し、ヒドロコルチゾンおよび/またはクロルフェナミンの投与の少なくとも30分後に組成物を投与する。好ましい実施形態では、注入反応を避けるために、ヒドロコルチゾンおよび/またはクロルフェナミンを処置の開始時に一度投与する。
【0129】
好ましい実施形態では、組成物は、アンジオテンシン変換酵素阻害剤、アンジオテンシンII受容体遮断薬、β遮断薬、利尿薬、アルドステロン拮抗薬、変力薬およびジゴキシンからなる群から選択される1つまたは複数の治療薬との併用療法において、および/または冠状動脈バイパス手術、心臓弁の修復もしくは置換、埋め込み型除細動器、心臓再同期療法、両心室刺激、ポンプ心臓および心臓移植からなる群から選択される外科的介入もしくは医療デバイスと組み合わせて使用される。
【0130】
アンジオテンシン変換酵素阻害剤の例としては、ベナゼプリル、カプトプリル、エナラプリル、フォシノプリル、リシノプリル、モエキシプリル、ペリンドプリル、キナプリル、ラミプリル、シラザプリル、デラプリル、ペリンドプリル、モエキシプリル、スピラプリル、テモカプリル、イミラプリルおよびトランドラプリルが挙げられる。
【0131】
アンジオテンシンII受容体遮断薬の例としては、ロサルタン、カンデサルタン、テルミサルタン、オルメサルタン、バルサルタン、イルベサルタン、エプロサルタン、タトサルタンおよびアジレサルタンが挙げられる。
【0132】
β遮断薬の例としては、アセブトロール、アテノロール、ベタキソロール、フマル酸ビソプロロール、カルテオロール、カルベジロール、エスモロール、ラベタロール、酒石酸塩およびコハク酸塩の形態のメトプロロール、ナドロール、ネビボロール、ペンブトロール、ピンドロール、プロパノロール、ソタロール、レボブノロール、メトロロロール、セリプロロール、ブシンドロールおよびチモロールが挙げられる。
【0133】
利尿薬の例としては、クロロチアジド、クロルタリドン、インダパミド、ヒドロクロロチアジド、メチロチアジド、メトラゾン、ブメタニド、フロセミド、エタクリナート、トルセミド、アミロライド塩酸塩およびトリアムテレンが挙げられる。
【0134】
アルドステロン拮抗薬の例としては、スピロノラクトン、エプレレノン、インスプラ、カンレノン、カンレノン酸カリウムおよびスピロノラクトンが挙げられる。
【0135】
変力薬の例としては、ドブタミン、イソプレナリン、エノキシモン、ミルリノン、アムリノン、プレナルテロール、ドーパミン、レボシメンダン、ジゴキシン、ノルエピネフリン、アドレナリン、エフェドリン、メトキサミン、フェニレフリン、イボパミン、ドペキサミン、グルカゴン、カルシウム、サルブタモール、ピルブタノール、ピルブタンが挙げられる。
【0136】
好ましい実施形態では、組成物は1回投与される必要があり、および/または2回以上投与されてもよい。好ましい実施形態では、患者は、処置の開始時に患者にある用量を投与する治療計画を受ける。好ましい実施形態では、処置は12ヵ月以下継続する必要がある。
【0137】
研究の期待される結果
予想される安全性の結果には、臍帯由来細胞組成物またはプラセボの静脈内注入後の即時有害事象;世界的な死亡率、主要な心血管事象(心血管死、非代償性心不全(HF)による入院、致命的でない心筋梗塞の複合転帰によって定義される)ならびに心臓発作、持続性心室不整脈および悪性事象を含む他の有害事象の発生が含まれる。
【0138】
有効性の予想される主要評価基準は、心エコー検査における左室駆出率(LVEF)の変化である。さらに、心エコー検査によって評価されたLVEFの絶対的な5%の増加は、治療に対する臨床的に有意な反応とみなされた。二次的有効性評価基準には、心エコー検査での左心室の収縮終期容量(LVESV)および拡張終期容量(LVEDV)の変化;心臓磁気共鳴画像法(CMR)におけるLVEF、LVESVおよびLVEDV;ニューヨーク心臓協会(NYHA)の機能分類;生活の質に関するアンケートの一般的スコア;心肺運動負荷試験により評価される最大酸素消費量ピーク(VO2ピーク)および換気効率(VE/VCO2ペンディング);脳性ナトリウム利尿ペプチド(BNP)および高感度C反応性タンパク質(HSCRP)が含まれる。
【0139】
例2.1:研究設計および患者数
試験は、第1/2相、無作為化、二重盲検、プラセボ対照臨床試験であった。研究は、チリのClinica Santa MariaおよびClinica Davilaで行った。参加者は、これらの民間医療センターまたは公立病院から紹介され、2012年12月から2014年6月までの間に無作為に割り当てられた。実験デザインは、参加している保健センターの倫理委員会およびチリのメトロポリタン保健サービスによって承認された。登録前に、すべての患者は参加することに同意し、治験審査委員会によって承認されたインフォームドコンセントに署名した。この研究は、Clinicaltrials.gov(NCT01739777)で登録された。
【0140】
適格な患者は、臍帯由来細胞組成物またはプラセボの静脈内注入に対する1:1無作為化に登録した。ランダム化リストは、研究に関係のない人によってコンピューターで生成された。すべての患者を、ベースラインと、3、6、および12ヵ月の事前に設定された追跡ポイントで評価した。これらの評価は、NYHAの有害事象の臨床的評価および機能分類;ミネソタ心不全質問表(MLHFQ)およびカンザスシティ心筋症質問表(KCCQ);全血球算定、肝機能および腎機能試験、脳性ナトリウム利尿ペプチド(BNP)、高感度C反応性タンパク質(HSCRP)を含む実験室分析;安静時心電図、平均シグナル心電図、24時間ホルター心電図モニタリング;経胸壁心エコー検査、心臓磁気共鳴画像法(CMR)および心肺運動負荷試験で構成されていた。臨床研究者、研究看護師および患者は、処置の割り当てを知らされていなかった。
【0141】
臍帯由来細胞組成物患者およびプラセボ患者のベースライン特性は、人口統計学的変数、心血管リスク因子、NYHAクラスおよび心電図の点でに関して異ならなかった(表1)。虚血性心筋症は、HFrEFの主要な病因であった(21名の患者、70%)。心臓リモデリングを修正する療法薬に関して、群間に差はなかった。埋め込み型心臓電子デバイスを有する患者はいなかった。発症時に明白な心室非同期性を示した患者はいなかったが、各群の1名の患者は脚ブロックを残していた。プラセボで処置された患者は、ベースラインでBNPレベルが高く、LVEDVが25%高かった(p<0.05)。
【0142】
例2.2 臍帯由来細胞組成物の調製、特徴付けおよび注入。
臍帯由来細胞組成物に基づく治療はFDAガイド「Guidance for Industry:Current Good Tissue Practice(CGTP)and Additional Requirements for Manufacturers of Human Cells,Tissues,and Cellular and Tissue-Based Products(HCT/Ps)」に従う条件下で、医薬品製造管理および品質管理に関する基準(GMP)の下で開発された。臍帯は、健康なドナーのインフォームドコンセントの後、帝王切開によりヒト胎盤から得た。臍帯は、本明細書の「発明を実施するための形態」の節に記載されている方法として処理した。
【0143】
例2.3:パラクリン因子。
BM-MSCと臍帯由来細胞組成物との間の成長因子分泌レベルを比較するために、3X104個の細胞を6ウェルプレート中の無血清培地に播種した。24時間のインキュベーション後、条件培地を収集し、DuoSet ELISA Development System(R&D Systems、ミネアポリス、ミネソタ州)を使用して、血管内皮増殖因子(VEGF)および肝細胞増殖因子(HGF)の分泌レベルを測定した。さらに、RNA抽出用のRNeasy mini kit(キアゲン、米国)を使用して、TGFβ1の相対発現を測定し、SuperScript III First-Strand Synthesis for RT-PCR(インビトロジェン、米国)を使用して、20μlの反応混合物で相補的DNAを合成した。SYBR Green Reagents(QPCR Master Mix、アジレント・テクノロジー)を使用して、RT-qPCRを行った。スプリッタのすべてのセットは、有効性について予め選択され、それらの配列は、以下のとおりであった:B2M(F:5’TTCAGTTTACTCACGTCATCC 3’、R:5’ ACACGGCAGGCATACTCATC 3’)、TGFβ1(F:5’ACAATTCCTGGCGATACCTCAGCA3’、F:5’TGCAGTGTGTCTCCTGTCTCCTGCATT ’)。
【0144】
図4に示すように、臍帯由来細胞組成物は、BM-MSCと比較して、より多くのTGF-β3遺伝子発現を示した(p<0.001)。臍帯由来細胞組成物は、BM-MSCと比較して、55倍多いHGF発現を示し(p>0.0001)(
図4)、場合によっては、未検出レベルのHGFを示したことに言及すべきである。この最後の因子は、どの臍帯および/または細胞集団を使用するかを選択するための重要な試験である。
【0145】
例2.4 免疫調節効果
図6に示すように、インビトロでのPHA刺激後の末梢血単核細胞(PBMC)の増殖反応に対する効果を評価することにより、臍帯由来細胞組成物の免疫抑制特性を分析した。
【0146】
最も好ましくは、このアッセイに含まれるHFrEFを有する4名の患者の異なるT細胞サブグループの増殖をインビトロで行い、臍帯由来細胞組成物およびBM-MSCの免疫調節効果を評価した。単核細胞は、製造者の指示に従って、Ficoll-Paque Plus(GEヘルスケア、アマシャム、RU)(1,077g/ml)の密度勾配により、ヒト末梢血から分離した。
【0147】
PBMC細胞を、製造者のプロトコルに従って、カルボキシフルオレセインスクシンイミジルエステル(CFSE、ライフテクノロジーズ、カールスバッド、カリフォルニア州)で染色し、10%FBS、1%LG、1%非必須アミノ酸(シグマアルドリッチ、米国)、100mMピルビン酸ナトリウム(シグマ、米国)、25mMβ-メルカプトエタノール(Gibco、ニューヨーク州)および15mg/mlのフィトヘマグルチニン(PHA)(シグマ、米国)を添加した培地RPMI(ロズウェルパーク記念研究所培地)(シグマアルドリッチ、米国)中、96ウェルプレートを用いて、MSCと1:10の比率(MSC:hPBMC)で共培養した。
【0148】
72時間後、PBMCを、ブレフェルジンA(Biolegend、サンディエゴ、カリフォルニア州)の存在下で、50ng/mlホルムボルミステロテート(PMA)(シグマアルドリッチ)および1μg/mlイオノマイシン(シグマアルドリッチ)で4時間刺激した。
【0149】
表面染色のために、細胞をヒトCD4、CD8、CD3およびCD25(BDバイオサイエンス、米国)に対する抗体と共に、4℃で30分間暗所でインキュベートした。細胞内染色は、BD Cytofix/Cytoperm溶液を使用して、製造者のプロトコルに従って、ヒトIL-17、IL4およびIFNγに対する抗体(eBioscience、米国)を用いて行った。転写因子の評価のために、製造者のプロトコルに従って、染色緩衝液および特定の抗体(eBioscience、米国)を用いて、FoxP3発現を評価した。FACS Canto IIフローサイトメーター(BDバイオサイエンス)を使用して細胞を取得し、
図6に示すように、CFSE蛍光の減少によって計算される表現型および増殖についてFlowJoソフトウェア(Tristar、Stanford)で分析した。
【0150】
臍帯由来細胞組成物は、1:10の比率でBM-MSCと比較して、T細胞増殖に対して同様の阻害効果を示し、阻害の割合は、MSCの非存在下でのPHA誘導性増殖に関して、UC-MSCおよびBM-MSCについて21.53%±3.85%および23.96%±4.50%であった(p<0.005対対照)(
図6A)。協働T細胞1、協働T細胞2および細胞傷害性T細胞は、臍帯由来細胞組成物またはBM-MSCと共培養した後、増殖を減少させる傾向を示した(p>0.05)。調節性T細胞の増殖に対する臍帯由来細胞組成物の共培養の効果は観察されなかった(
図6B)。
【0151】
例2.5 遊走プロファイル
遊走実験では、
図7に示すように、8μmポアポリカーボネート膜を用いたTranswell 2チャンバー細胞培養法(コーニング、ケンブリッジ、マサチューセッツ州)で細胞遊走アッセイを行った。Transwell膜の上側を、PBS(シグマアルドリッチ、セントルイス、ミズーリ州)中の0.1%ゼラチンで37°Cで2時間コーティングした。臍帯由来細胞組成物およびBM-MSCを、Transwell装置の上部チャンバーに、1%DMEM P/S、0.1%FBS100μlあたり15,000細胞の密度で別々に播種した。細胞は、DMEM単独またはHFrEF患者から分離した5%血清を含む下部チャンバー内の培地(500μl)に遊走することができた。Transwellシステムを、5%CO2を含む加湿雰囲気で16時間、37°Cでインキュベートした。インキュベーション後、綿棒を用いて、非遊走細胞をTranswellインサートの上面から慎重に除去した。Transwellインサートに残っている結合細胞を70%メタノールで固定し、20%メタノール中の1%バイオレット結晶で1時間染色した。洗浄後、膜の上部から底部に遊走した染色細胞を、倍率20倍の明視野倒立顕微鏡でカウントした。遊走細胞の数を、対照値の変化率として表した(DMEMのみ)。各実験は、生物学的および実験的に3回繰り返して行った。
図7に示すように、遊走細胞の割合は、HFrEF患者の血清に反応して、BM-MSCと比較して、臍帯由来細胞組成物において有意に高かった(41.18±6.53対29.67±8.35;p<0,01)。したがって、本発明で提示された方法によって得られた細胞が高い遊走を有することを検証する。
【0152】
例2.6:安全性
同種異系臍帯由来の細胞組成物の注入に対する液性免疫応答は、Luminex200(Kashi Clinical Laboratories Inc、ポートランド)を用いた療法の注入の0日目、15日目および90日目に、12名の患者(UC-MSCで処置した7名、プラセボを受けた5名)の群において評価した。
【0153】
同種異系臍帯由来細胞組成物またはプラセボの注入に関連した急性有害事象はなかった。評価された個体のいずれも、注入後の同種抗原に対する抗体を産生しなかった。臍帯由来細胞組成物の注入前に、52の異なるHLA特異性でベースライン反応性を有する患者が、90日目にこれらの特異性のうちの16つの反応性を失ったことは注目に値する。さらに、注入された細胞が分類されたので、臍帯投与細胞組成物に存在する特異性の100%とは対照的に、臍帯投与細胞組成物において発現されない特異性の21%のみが消失したことを検出することが可能であった(p=0.004)。結果は、臍帯由来細胞組成物に対する体液性免疫反応がないことを確認するだけでなく、文献から知られているように、MSCがそれ自体のHLA分子に対する反応性を優先的に抑制することも確認する。
【0154】
例2.7:臨床的に関連するイベント
12ヵ月の追跡期間中の臨床的に関連するイベントを表2に示す。プラセボ群の死亡した患者は、追跡の5ヵ月で急性心筋梗塞を生じた。臍帯由来細胞組成物の患者は、臍帯由来細胞組成物の静脈内注入の5ヵ月後に急性リンパ球性白血病を発症し、ベースラインおよび3ヵ月の追跡で白血病を示唆する臨床的および実験的要素を欠いていた。プラセボ群の患者が悪性黒色腫を発症した。主要な心血管イベントに関しては、プラセボ群の3名の患者およびUC-MSCの1名が心不全の代償不全により入院し、プラセボ群では1名の患者のみが急性冠症候群を経験した。急性虚血性脳卒中を呈した患者はいなかった。追跡中に新たに発生した上室性不整脈、持続性心室性不整脈、房室ブロックまたは脚ブロックは診断されず、ホルター心電図モニタリングでは何も観察されなかった。Lown分類の平均に変化はなかったが、追跡時にプラセボ群では24時間心電図モニタリングにおいて心室期外収縮の量の増加があった。追跡において、時間領域または頻度に有意な変動は観察されなかった。この研究の完了時に、CMRで胸部異所性組織形成は観察されなかった。モニタリングポイント中に、全血球算定、腎機能および肝機能に有意な異常は観察されなかった。
【0155】
【0156】
例2.8:心臓画像
ベースラインおよび追跡において評価された心エコー指標を表3に示す。ベースラインと比較して、臍帯由来細胞組成物で処置した群では、LVEFの改善が見られ、追跡の3ヵ月で始まり(+3.71±5.01%、p=0.010)、6ヵ月(+5.43±4.99%、p=0.001)および12ヵ月(+7.07±6,22%、p=0.001)続いた。左心室の容積に変化はなかった。プラセボ群では、これらの変数に大きな違いは見られなかった。ベースラインから12ヵ月目までのLVEFの変化は、両群で有意に異なっていた(+7.07±6.22%対+1.85±5.60%、p=0.028)。処置に対する反応に関して、臍帯由来細胞組成物群の患者11名およびプラセボ群の患者3名が、臨床的に関連するLVEFの改善を示した(78.6%対35.7%;p=0.054)。臍帯由来細胞組成物群における応答者は、6ヵ月で+6.73±4.82%(ベースラインと比較してp=0.005)、12ヵ月で+9.18±5.15%(ベースラインと比較してp=0.002)の平均増加を有した。さらに、14名の患者のうち7名が、臍帯由来細胞組成物の投与後12ヵ月でLVEFの有意な増加およびLVEF>40%を示したが、両方の条件を満たしたプラセボ群は1名のみであった(50,0%対7.1%、p=0.0365)。
【0157】
CMR測定値を表3に示す。臍帯由来細胞組成物の静脈内注入で処置された患者は、LVEF(p=0.0003)およびLVEDV(p=0.012)の増加を示した(
図8)。LVEFの最も顕著な改善は、6ヵ月の追跡時であった(+4.67±4.51、p=0.005)。臍帯由来細胞組成物で処置したLVEDVは、12ヵ月で増加した(p=0.033)。プラセボ群では、LVEFまたは左室容積に変化は観察されなかった(n=13)。プラセボ群の患者1名がCMRの同意を撤回した。
【0158】
【表3】
TTE:経胸壁心エコー図。CMR:心臓磁気共鳴。LVEF:左室駆出率(%)。LVESV:左心室の収縮終期容量(ml)。LVEDV:左心室の拡張終期容量(ml)。NYHA:ニューヨーク心臓協会。MLHFQ:「ミネソタ心不全」質問表。KCCQ-CS:質問表「カンザスシティ心筋症質問表の臨床要約」。VO2ピーク:最大酸素消費量(ml/Kg/分)。VE/VCO2:二酸化炭素生成比の最小換気速度。BNP:脳性ナトリウム利尿ペプチド(pg/ml)。HSCRP:高感度C反応性タンパク質(mg/L)。*P<0.05対プラセボ。†p<0.05対ベースライン条件。‡ベースライン条件に対してp<0.0167。
【0159】
例2.9:機能状態、生活の質および臨床的バイオマーカー
結果を表3に要約する。臍帯由来細胞組成物で処置された患者では、3ヵ月目から開始してNYHAクラスの実質的な改善が見られ(-0.54±0.56;p=0.011)、12ヵ月目の追跡では依然として見られた(-0.62±0.46、p=0.003)。臍帯由来細胞組成物で処置された群のみが、ベースラインからすべての追跡点までMLHFQの改善を経験した(p<0.05)。両群とも、3および6ヵ月の追跡でKCCQの臨床的要約の初期改善を経験し、臍帯由来細胞組成物で処置された群のみで試験の最後に改善が持続した(p=0.014)。臍帯由来細胞組成物で処置された患者は、12ヵ月でVE/VCO2の改善を示したが(-1.89±3.19、ベースラインと比較してp=0.023)、VO2のピークに差は観察されなかった。表3に示すように、METS、無酸素性閾値での酸素消費量、最大呼吸交換比および細胞療法後の運動時間を含む、運動能力の他の変数に差は見られなかった。3および12ヵ月の追跡で、臍帯由来細胞組成物で処置された群のBNPレベルがわずかに減少した。
【0160】
結論
本発明により得られた細胞の亜集団の静脈内注入は、最適な医学的処置下にあるHFrEF患者のこの群において実行可能で安全であった。この同種異系処置は、試験された個人において体液性免疫応答を誘発しなかった。介入により、左心室機能、機能状態および生活の質が有意に改善された。したがって、この用途のために本発明に記載される臍帯由来細胞組成物の溶液の使用を検証する。
【0161】
例3.大腿骨、膝蓋骨および脛骨の相互作用に問題がある患者。
上記の組成物のいずれかを使用して、以下に記載する患者を処置することができる。本発明者らは、患者の特定のサブグループに対する効果的な処置および/または予防処置を開発した。
【0162】
好ましい実施形態では、患者は膝の疼痛および機能の問題を抱えている。好ましくは、患者は、大腿骨、膝蓋骨および脛骨の相互作用で生じる摩耗に起因する膝の痛みおよび機能の問題に罹患している。
【0163】
組み入れ基準
好ましい実施形態では、患者は症候性変形性膝関節症(OA)に罹患しているはずである。より好ましくは、患者は包含される12ヵ月以内に、罹患した関節における毎日の疼痛に罹患しているはずである。
【0164】
表4に示すように、患者は40~46歳でなければならない。別の実施形態では、患者は、Kellgren-Lawrenceスケールおよび安定した標的膝に従って、グレードI、II、またはIIIのX線撮影による変化を有さなければならない。
【0165】
別の実施形態では、患者は症候性の両側膝OAに罹患してはならない。別の実施形態では、患者はMRIにおいて、顆または脛骨プラトーを伴う全身性骨髄浮腫に罹患してはならない。別の実施形態では、患者は Valgusによって定義された10°超の軸方向偏差の偏差、および/またはVarusに従った5°超の膝の変形を有してはならない。別の実施形態では、患者は、処置開始前の最後の6ヵ月間、ステロイドまたはヒアルロン酸の経口または静脈内投与を使用してはならない。別の実施形態では、患者は同側性股関節痛または足首痛を有してはならない。別の実施形態では、患者は局所感染または全身感染を有してはならない。別の実施形態では、患者はいかなる形態の続発性関節炎を有してはならない。別の実施形態では、患者は以前に悪性腫瘍に罹患していてはならない。
【0166】
【0167】
投与
上記の任意の組成物は、下記の任意の手段を介して、上記の任意の患者に投与することができる。
【0168】
組成物は、任意の公知の方法により投与することができる。例えば、組成物は、静脈内、病変内、血管内、動脈内、皮下、脳内、筋内、腹腔内または脳室内に投与することができる。好ましい実施形態では、組成物は、病変内、皮下または関節内に投与される。好ましくは、組成物は、関節内に投与される。
【0169】
投与量が治療有効量を含む限り、任意の量の細胞を患者に投与することができる。好ましい実施形態では、患者あたり少なくとも1×106個の細胞が投与される。好ましくは、患者あたり少なくとも5x106、10x106または15x106個の細胞が投与される。より好ましくは、患者あたり少なくとも約20×106個の細胞が投与される。用語「約」は、±10%の変動を指す。
【0170】
最も好ましくは、3mlの最終容量(生理食塩水、5%AB血漿)に懸濁し、5mlシリンジに分注された合計20x106個の細胞を、研究設計に従って1つ以上の指定用量で関節内注射する。
【0171】
患者に投与される投与回数は、処置期間に関係していなければならない。好ましい実施形態では、処置の開始時に、処置のために少なくとも1用量を投与する必要があり、この処置は52週間を超えて続いてはならない。好ましくは、52週間を超えて続かない処置について、処置のために少なくとも2回の投与を行う必要があり、1回は処置の開始時に、1回は処置の中間に投与する必要がある。より好ましくは、52週間を超えて続かない処置について、処置のために少なくとも2回の投与を行い、1回は処置の開始時に、1回は処置の24週目に投与する。
【0172】
研究の期待される結果
試験の主要評価基準は安全性であった。有害事象(EA)を、有害事象共通用語基準(CTCAE)の分類によってコード化した。AEは各来院時に記録され、重症度、発生率および関節内浸潤との関係の観点から記載された。
【0173】
試験の二次的目的は有効性であった。以下の臨床エンドポイントは、Western Ontario and Mc Master Universities Arthritis Index(WOMAC)、疼痛の視覚的アナログスケール(VAS)、Short-form 36(SF-36)質問表による生活の質、患者による包括的評価(PGA)およびOMERACT-OARSI反応指数であった。構造評価のために、MRIを、ベースラインで、ならびにその後6ヵ月目および12ヵ月目に、公平な放射線科医によって行った。全臓器磁気共鳴画像法(WORMS)スコアを使用した。
【0174】
例3.1:研究設計および患者数
この試験は、
図9に見られるように、膝のOAにおける、臍帯由来細胞組成物の関節内注射の安全性および有効性を評価した、同種異系臍帯由来細胞組成物に対する無作為化二重盲検比較対照薬、実薬対照薬、第I/II相試験に対応した。患者は臨床研究の前に、書面によるインフォームドコンセントを提供した。すべての被験者は、2015年11月から2016年1月の間に、チリのロスアンデス大学臨床センターで募集された。40名の患者を選択し、29名の患者を処置群に連続して割り当て:MSC-1群は、研究の開始時に注射で臍帯由来細胞組成物の投与を受けた。MSC-2群は、研究開始時および6ヵ月後に、臍帯由来細胞組成物の順次投与を受けた。対照群(n=9)は、研究の開始時および6ヵ月後に、ヒアルロン酸(HA)を投与された。電子データ入力システムをランダム化に使用した。すべてのデータは、手順および臨床データの評価を行う人々のためにマスクされた。各群の1名の患者は、処置の実施前に研究から脱落した(
図8)。この研究は、ClinicalTrials.gov(NCT02580695)に登録されており、良き臨床上の基準(GCP)のガイドラインおよびヘルシンキ宣言に従って行われた。チリ保健省の地域倫理委員会(CECSSMO131015)から承認を得た。
【0175】
例3.2 臍帯由来細胞組成物の調製、特徴付けおよび注入
臍帯由来細胞組成物の製造は、Davila Clinicの倫理委員会およびEastern Metropolitan Health Service(SSMO)により承認された。臍帯由来細胞組成物に基づく処置はFDAガイド「Guidance for Industry:Current Good Tissue Practice(CGTP)and Additional Requirements for Manufacturers of Human Cells,Tissues,and Cellular and Tissue-Based Products(HCT/Ps)」に従う条件下で、医薬品製造管理および品質管理に関する基準(GMP)の下で開発された。臍帯は、健康なドナーのインフォームドコンセントの後、帝王切開によりヒト胎盤から得た。臍帯は、本明細書の「発明を実施するための形態」の節に記載されている方法として処理した。
【0176】
例3.3:信頼性
試験中に重大な有害事象は記録されなかった。関節内注射に関連するASに関しては、感染事象は生じなかった。表5に示すように、滲出評価は、注射後の第1週において中程度から中程度であり、統計的有意性に達することなくMSC群においてより高かった(1回目の注射、34%MSC1、33%MSC2対25%HA、p=0.64および2回目の注射MSC2、41%対HA 37.5%、P=0.76)。
【0177】
【0178】
例3.4:臨床結果
ベースラインからの平均変化に関して、臍帯由来細胞組成物の群のみが有意な改善を示す。3つの研究群間の比較により、
図10および
図11に示すように、臍帯由来細胞組成物の両群が、6ヵ月での疼痛および機能においてHAと比較して統計的優位性を有することが示された。さらに、臍帯由来細胞組成物で2回処置された患者は、
図11に示す総WOMAC評価に記載されたすべての臨床結果でHAより優れていた(WOMAC
total MSC2 4.44±1.76対HA 12.6±4,5、95%CI 5.1、21.3、p<0.01)。追跡の最後に、
図13に示すように、OMERACT-OARSI奏効率基準(p<0.05)により測定したMSC連続投与群の患者の100%と比較して、HA群の患者の62.5%が応答者であった。
【0179】
例3.5:構造的な結果
構造変化の評価について、
図14に示すように、12ヵ月で、半月板、軟骨、滑膜炎、骨棘および関節下骨髄を含むWORMSスコアの14の特性に変化は観察されなかった。
【0180】
結論
本発明により得られた臍帯由来細胞組成物の関節内注射は、この患者群において実行可能であり安全である。この同種異系処置は、膝OAにおける臍帯由来細胞組成物の安全性および臨床的有効性を実証し、この細胞療法をOAの処置のための代替療法とみなす証拠を提供する。したがって、本発明に記載される臍帯由来細胞組成物の溶液の、この適用のための使用、ならびに股関節、足首および手首のOAにおけるような類似の適用のための使用を検証する。より具体的には、臍帯由来細胞組成物は、大腿骨頭と寛骨臼との間、距骨-脛骨-腓骨間、および手根骨/手根骨の橈骨-尺骨間に生じる摩耗に影響を与える可能性がある。
【0181】
本発明者らが知る限り、この例は、臍帯由来細胞組成物の2回の連続投与と、細胞療法の単回投与、およびヒアルロン酸などの活性比較物を比較する最初の試験である。
【0182】
例4.臨床適用のための本発明の細胞の亜集団の取得。
本発明の細胞の亜集団を得るために、全段階のヒト胎盤から得られた5つの異なる臍帯サンプルを採取し、これらの胎盤を健康なドナーのインフォームドコンセント後に帝王切開により抽出し;「臍帯処理」の節において詳細に記載されるように、抗生物質を含む緩衝液中で無菌的に保存した。
【0183】
続いて、
図2Aに示すモデルに従って、臍帯を8~10cmのセグメントに切断し、次いで、
図2Bに示すように、3つの長軸方向の切断を行って、静脈および臍動脈を露出させ、除去した。
図2Cに示すように、動脈および静脈を取り囲む内面を、培養プレートの底部と接触するように配置する。移動してプレートに接着した細胞を、「外植片による細胞亜集団の分離」の節で詳述した培地を用いて、増殖させた。
【0184】
異なる細胞バッチを、「International Society of Cell Therapyのガイドラインに従った細胞の特徴付け」の節に記載されるプロトコルによって検証した。マーカーCD73、CD90、CD105、CD45、CD34、CD14、CD19、HLA-DR、ならびに骨芽細胞、脂肪細胞および軟骨芽細胞のインビトロ分化について得られた結果を
図15~
図19に示す。表6に結果を示す。
【0185】
【0186】
CU-989-6およびCu-837-8臍帯の単離された細胞バッチのCD73マーカーの存在は95%未満であるため、これらのバッチは、「International Society of Cell Therapyのガイドラインに従った特徴付け」の節に記載されるこの選択方法の最初の要件を満たさないため、使用することができない(Dominiciら、2006、多能性間葉系間質細胞を定義するための最小限の基準。International Society of cellular Therapyの声明。細胞療法Vol.8、No.4、315-317)。
【0187】
細胞バッチCU-745-3、CU-108-6およびCU-668-Kは、間葉系幹細胞の選択基準を満たしているため、「MSC亜集団の特徴付け」の節に記載したマーカーを分析し、結果を
図16、
図17および
図18ならびに表7に示す。
【0188】
【0189】
3つの異なる臍帯から分析した集団は、マーカーCD44、CD56、CD105、RANKLおよびN-カドヘリンを有し、したがって、必要な亜集団を表す。具体的には、評価した3つの細胞培養物は、CD44、CD56、RANKLおよびN-カドヘリンマーカーについて低、中および高濃度を有する。したがって、本発明のマーカーの存在のみが、所望の治療結果を得るのに十分であることが実証されている。
細胞亜集団の特徴付けが承認されたら、異なるバッチを後で使用するために凍結保存した。具体的には、そのようなバッチを以下の例で使用した:
・例3ではロットCU-108-6を使用した。例6「大腿骨、膝蓋骨および脛骨の相互作用に問題がある患者」。「駆出量が減少した患者に対する間葉系亜集団の使用」および例8「皮膚創傷を処置するための間葉系亜集団の使用」。
【0190】
・例5ではロット745-3を使用した。「大腿骨、膝蓋骨および脛骨の相互作用に問題がある患者に対する間葉系亜集団の使用」、例6「駆出量が減少した患者に対する間葉系亜集団の使用」、および例8「皮膚創傷を処置するための間葉系亜集団の使用」。
【0191】
・例7ではロットCU-668-Kを使用した。「呼吸器傷害に罹患する患者に対する間葉系亜集団の使用」。
【0192】
例5.変形性関節症患者に対する間葉系亜集団の使用。
本明細書に記載の選択基準「MSC亜集団特徴付け」により承認された組成物はいずれも、本明細書に記載の適応症のいずれかに投与することができる。具体的には、例4「臨床適用のための本発明の細胞の亜集団の取得」で選択されたCU-745-3細胞組成物を、本例の患者の処置に使用した。
【0193】
本発明者らは、特定の群の適応症に対する効果的な処置および/または予防処置を開発した。
【0194】
一実施形態では、本発明の処置が適用される患者は膝の痛みおよび機能の問題を抱えている。処置は、大腿骨、膝蓋骨および脛骨の相互作用で生じる変性障害に起因する疼痛および膝の機能の問題に罹患している患者に特に有用である可能性がある。
【0195】
本発明の処置が適用される患者は、症候性変形性関節症に罹患している。処置は、症候性変形性関節症の原因である関節の1つまたは複数を損なう疼痛および機能的不能に罹患する患者に特に有用である可能性がある。
【0196】
組み入れ基準
本発明の処置の候補は、変形性関節症(OA)に罹患している患者から選択される。および特に、組み入れ前6ヵ月以内に罹患した関節において毎日、機能的に制限された慢性疼痛を呈する患者から選択される。
【0197】
Kellgren-LawrenceスケールによるグレードI、IIまたはIIIのX線写真の変化がある患者も、本発明の処置の候補とみなされる。処置を受けている患者は、局所感染または全身感染を有してはならないことが重要である。同様に、候補患者は、いかなる形態の続発性関節炎も、いかなる以前の悪性疾患も有してはならない。
【0198】
この例では、ロットCU-745-3の開発された細胞組成物で示される組み入れ基準を満たす7名の患者が、本発明の選択方法を満たしたため処置された。
【0199】
投与
本明細書に記載される選択基準「MSCの亜集団の特徴付け」により承認された組成物はいずれも、当技術分野で利用可能な手段のいずれか、例えば以下に記載する手段を介して、組み入れ基準を満たす患者のいずれかに投与することができる。
【0200】
細胞組成物は、任意の公知の方法により投与することができる。例えば、細胞組成物は、静脈内、病変内、関節内、血管内、動脈内、皮下、側脳室内、筋内、腹腔内または脳室内に投与することができる。好ましい実施形態では、組成物は、病変内、皮下または関節内に投与される。好ましくは、組成物は、関節内に投与される。
【0201】
投与量が治療有効量を含む限り、任意の量の細胞を患者に投与することができる。好ましい実施形態では、患者あたり少なくとも1×106個の細胞が投与される。好ましくは、患者あたり少なくとも5x106、10x106または15x106個の細胞が投与される。より好ましくは、患者あたり少なくとも約20×106個の細胞が投与される。用語「約」は、±10%の変動を指す。
【0202】
最も好ましくは、3mlの最終容量(生理食塩水、5%AB血漿)に懸濁し、5mlシリンジに分注された合計20x106個の細胞を、研究設計に従って1つ以上の指定用量で関節内注射する。
【0203】
患者に投与される投与回数は、処置期間に関係していなければならない。好ましい実施形態では、処置の開始時に、処置のために少なくとも1用量を投与する必要があり、この処置は52週間を超えて続いてはならない。好ましくは、52週間を超えて続かない処置について、処置のために少なくとも2回の投与を行う必要があり、1回は処置の開始時に、1回は処置の中間に投与する必要がある。より好ましくは、52週間を超えて続かない処置について、処置のために少なくとも2回の投与を行い、1回は処置の開始時に、1回は処置の中間に投与する。
【0204】
処置の結果
治療の有効性を評価するために、患者の経過を、Western Ontario clinical questionnaire and the McMaster Universities Arthritis Index(WOMAC)に基づいて分析した。この分析を2つの比較に分け、第1の比較は、患者の3ヵ月の経過に焦点を当て、これらの結果を以下の
図20に示す。
【0205】
図20に見られるように、処置の3ヵ月で、投与された細胞組成物は、総WOMAC測定に従って平均4.5ポイントを超えて検証された臨床指数に従って、疼痛、こわばりを低減し、機能性を改善するのに役立つ。具体的には、3ヵ月で、それぞれ3.3ポイントおよび1.3ポイントの疼痛およびこわばりの減少が見られ、より顕著には、機能性の場合、患者の平均は、WOMAC指数に従って平均10ポイント改善する。
【0206】
第2の比較は、処置後3ヵ月および6ヵ月での変化を示し、これらの結果を
図21に示す。
【0207】
見てわかるように、6ヵ月で、投与された細胞組成物はまた、総WOMAC指数によると、3ヵ月に対して2.3ポイント、疼痛、こわばりを減少させ、機能性を改善する。具体的には、6ヵ月で、それぞれ2ポイントおよび1.3ポイントの疼痛およびこわばりの平均的な減少が見られ、より顕著には、機能性の場合、患者の平均は、平均3.7ポイント改善する。
【0208】
したがって、本明細書に記載される方法によって選択された細胞組成は、変形性関節症の患者に有益であることが実証されている。
【0209】
例6.駆出量が減少した患者に対する間葉系亜集団の使用
組み入れ基準
本発明の処置のための候補は、心エコー評価により左室駆出率が40%以下で定義される収縮期心室機能障害を伴う拡張駆出率が低下した慢性心不全に罹患している患者から選択された。
【0210】
この例では、3名の患者を、本発明の選択方法に適合するロットCU-108-6およびCU-745-3から開発された細胞組成物で処置した。
【0211】
投与
上記の任意の組成物は、下記の任意の手段を介して、上記の任意の患者に投与することができる。
【0212】
組成物は、任意の公知の方法により投与することができる。例えば、組成物は、静脈内、病変内、血管内、動脈内、皮下、脳内、筋内、腹腔内または脳室内に投与することができる。好ましい実施形態では、組成物は、静脈内、動脈内、または脳室内に投与される。より好ましくは、組成物は、静脈内に投与される。
【0213】
投与量が治療有効量を含む限り、任意の量の細胞を患者に投与することができる。好ましい実施形態では、患者の体重1キログラム(kg)あたり少なくとも1×105個の細胞が投与される。好ましくは、患者の体重1kgあたり少なくとも1x105、2x105、3x105、4x105、5x105、6x105、7x105、8x105または9x105個の細胞が投与される。より好ましくは、患者の体重1kgあたり約1x106個の細胞が投与される。用語「約」は、±10%の変動を指す。
【0214】
好ましい実施形態では、組成物は、アンジオテンシン変換酵素阻害剤、アンジオテンシンII受容体遮断薬、β遮断薬、利尿薬、アルドステロン拮抗薬、変力薬およびジゴキシンからなる群から選択される1つまたは複数の治療薬との併用療法において、および/または冠状動脈バイパス手術、心臓弁の修復もしくは置換、埋め込み型除細動器、心臓再同期療法、両心室刺激、ポンプ心臓および心臓移植からなる群から選択される外科的介入もしくは医療デバイスと組み合わせて使用される。
【0215】
上記処置薬の例は、例1に記載されている。
【0216】
一実施形態では、本発明の組成物は1回のみ投与される。好ましくは2回以上投与される。
【0217】
処置の結果
治療の有効性を評価するために、心エコー検査における左室駆出率(LVEF)の変化を求める。さらに、心エコー検査によって評価されたLVEFの絶対的な5%増加は、治療に対する臨床的に有意な反応とみなされた。
【0218】
次に、本明細書に記載される細胞組成物で処置した3名の患者の追跡を
図22に示す。
【0219】
見てわかるように、患者は3、6、および12ヵ月で左室駆出率を改善した。絶対的な増加は14%超であり、有意な臨床反応を示している。したがって、本明細書に記載される方法によって開発された細胞組成物は、駆出率が低下した心不全患者に有益であることが実証されている。
【0220】
言及した患者では、本発明の組成物の静脈内注入後の即時有害事象;世界的な死亡率、主要な心血管事象(心血管死、非代償性心不全(HF)による入院、致命的でない心筋梗塞の複合転帰によって定義される)ならびに心臓発作、持続性心室不整脈および悪性事象を含む他の有害事象の発生は観察されなかったことに留意すべきである。
【0221】
例7.呼吸器傷害に罹患する患者に対する間葉系亜集団の使用
この例は、本発明の選択方法によって選択された細胞組成物を使用して、肺損傷、急性肺損傷または急性呼吸窮迫症候群などの呼吸器障害を有する患者を処置することにある。具体的には、この例は、急性呼吸窮迫症候群を呈する患者を処置することにある。
【0222】
組み入れ基準
本発明の処置の候補は、呼吸器損傷に罹患している患者から選択される。特に、任意の病因の急性呼吸窮迫症候群などの任意のタイプの急性肺損傷を有する患者から選択される。酸素血圧比対吸気酸素分率PAO2/FIO2(PAFIまたはKirby 指数として知られる)が200未満の患者も、本発明の処置の候補とみなされる。
【0223】
この例では、1名の患者を、本発明の選択方法に適合するバッチCU-668-Kの開発された細胞組成物で処置した。
【0224】
投与
本明細書に記載の選択基準「MSC亜集団の特徴付け」により承認された組成物はいずれも、以下に記載の手段のいずれかにより、記載の患者のいずれかに投与することができる。
【0225】
組成物は、任意の公知の方法により投与することができる。例えば、組成物は、静脈内、病変内、肺内、血管内、動脈内、皮下、脳内、筋内、腹腔内または脳室内に投与することができる。好ましい実施形態では、組成物は、病変内、皮下または関節内に投与される。好ましくは、組成物は、関節内に投与される。
【0226】
投与量が治療有効量を含む限り、任意の量の細胞を患者に投与することができる。好ましい実施形態では、患者1キログラムあたり少なくとも1×104個の細胞が投与される。好ましくは、患者1キログラムあたり少なくとも5x104、1x105または5x105個の細胞が投与される。より好ましくは、患者1キログラムあたり少なくとも約8×105個の細胞が投与される。用語「約」は、±10%の変動を指す。
【0227】
最も好ましくは、患者1キログラムあたり合計1x106個の細胞が、少なくとも15分間かけて静脈内注射される。
【0228】
一実施形態では、本発明の組成物は1回のみ投与される。好ましくは2回以上投与される。
【0229】
処置の結果
治療の有効性を評価するために、本発明者らは、肺胞凝縮および胸部のCTスキャン上のすりガラスパターン(灰色)の可視化を特徴とする肺炎症の改善を観察しようとする。
【0230】
図23は、本明細書に記載の方法によって選択された細胞組成物を用いた急性呼吸窮迫症候群に罹患している患者の処置の結果を示す。見てわかるように、処置を受けてから13日後に、急性肺浸潤の減少が見られる。具体的には、コンピューター断層撮影法では、肺胞凝縮およびすりガラスパターンの領域の有意な減少を視覚化することが可能であり、急性肺損傷によって引き起こされる慢性損傷に続発する肺線維症の領域の持続を伴う。この断層撮影法の改善は、ガス交換および肺コンプライアンスの改善に関連している。
【0231】
したがって、本明細書に記載の方法によって選択された細胞組成物は、肺損傷、急性呼吸窮迫症候群などの急性肺損傷の処置に有効である。
【0232】
例8.皮膚創傷を処置するための間葉系亜集団の使用
この例は、本明細書に記載の選択方法によって選択された細胞組成物を使用して皮膚創傷を処置することにある。このために、「マウス切除創傷副子モデル」モデル[35]に基づく開裂創傷を有するマウスモデルを使用して、選択された細胞組成物で処置した。この例では、選択された細胞組成物の皮内注射を使用し、組成物で処置した7匹の動物を、生理食塩水で処理した9匹の動物と比較した。
【0233】
この例では、本明細書に記載の方法を使用して選択した2つの細胞組成物を使用し、使用したロットは108-6および745-3であった。
【0234】
投与
本明細書に記載の選択基準「MSC亜集団の特徴付け」により承認された組成物はいずれも、以下に記載の手段のいずれかにより、記載の患者のいずれかに投与することができる。
【0235】
組成物は、任意の公知の方法により投与することができる。例えば、組成物は、静脈内、皮内、病変内、関節内、血管内、動脈内、皮下、脳内、筋内、腹腔内または脳室内に投与することができる。好ましい実施形態では、組成物は、病変内、皮下または関節内に投与される。好ましくは、組成物は皮内投与される。
【0236】
投与量が治療有効量を含む限り、任意の量の細胞を患者に投与することができる。好ましい実施形態では、創傷の平方センチメートルあたり少なくとも1×105個の細胞が投与される。好ましくは、創傷の平方センチメートルあたり少なくとも10×105、20×105または25×105個の細胞が投与される。より好ましくは、創傷の平方センチメートルあたり少なくとも約3×106個の細胞が投与される。用語「約」は、±10%の変動を指す。
【0237】
最も好ましくは、創傷の平方センチメートルあたり合計3.5×106個の細胞が、パッチまたは足場として皮内注射される。
【0238】
一実施形態では、本発明の組成物は1回のみ投与される。好ましくは2回以上投与される。
【0239】
処置の結果
治療の有効性を評価するために、経時的な創傷の閉鎖または組織における血管の形成のいずれかにおいて、組織再生の改善が求められる。
【0240】
本明細書に記載される細胞組成物の処置の結果を
図24に示す。見られるように、細胞組成物は、14日間において良好な創傷閉鎖を示す(
図24A)。具体的には、細胞組成物は、94.67+/-1,136(SEM、平均の標準誤差)の14日間の閉鎖率を有するが、生理食塩水は、わずか84.14+/-3,322(SEM)の閉鎖率しかなく、この差は統計的に有意である(
図24B)。血管新生に関して、細胞組成物は、生理食塩水と比較して創傷における血管形成の割合がはるかに高く(
図24C)、具体的には、細胞組成物は、49.2+/-5,755(SEM)を有する塩組成物に対して、68.10+/-6.247(SEM)の血管形成を有し、この差は統計的に有意である。
【0241】
したがって、本明細書に記載の方法により選択された細胞組成物は、皮膚創傷の再生に有益である。
【0242】
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