(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-01-30
(45)【発行日】2023-02-07
(54)【発明の名称】取付部品及びそれを用いた取付構造
(51)【国際特許分類】
F16B 7/18 20060101AFI20230131BHJP
【FI】
F16B7/18 A
(21)【出願番号】P 2021208918
(22)【出願日】2021-12-23
【審査請求日】2021-12-23
(73)【特許権者】
【識別番号】520027028
【氏名又は名称】株式会社オーハタ
(74)【代理人】
【識別番号】100099645
【氏名又は名称】山本 晃司
(74)【代理人】
【識別番号】100161090
【氏名又は名称】小田原 敬一
(72)【発明者】
【氏名】渡邊 勇
【審査官】児玉 由紀
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-037977(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2009/0028636(US,A1)
【文献】特開平07-279981(JP,A)
【文献】特開2005-147175(JP,A)
【文献】特開2013-035114(JP,A)
【文献】実開平05-019656(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16B 2/00-4/00
7/00-7/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象物品の空隙部内に嵌め合わされる嵌合部を備えた取付部品であって、
軸状の固定部品を装着可能な
複数の取付穴が、前記嵌合部に達するように、かつ前記固定部品を装着したときに、前記対象物品の空隙部の内壁と前記固定部品との間に締め代が生じるように設けられ
、
前記複数の取付穴は前記嵌合部の周方向に位置をずらして形成され、
前記固定部品が雄ねじ部を有し、前記複数の取付穴のそれぞれは前記雄ねじ部が装着されるねじ穴として形成され、
前記対象物品の空隙部及び前記嵌合部のそれぞれが円形の断面形状を有し、前記複数の取付穴は前記嵌合部と同軸のピッチ円上に設けられ、
前記嵌合部の外径をd、前記ピッチ円の直径をP、前記ねじ穴の谷底径に相当する前記取付穴の内径をHとし、前記対象物品の前記空隙部の内径をDとしたときに、
d<D<P+H
の関係が成立する取付部品。
【請求項2】
請求項
1に記載の取付部品の嵌合部が対象物品の空隙部に嵌め合わされ、
かつ前記取付部品の取付穴に軸状の固定部品が装着されて前記取付部品が前記対象物品に取り付けられた取付構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パイプ材等を対象物品の穴部に取り付けるための取付部品等に関する。
【背景技術】
【0002】
パイプ材のような中空部品の端部に何らかの部品を取り付けるための手法としては、例えば、特許文献1に開示されているように、テーパ筒状の部品をパイプ材の端部内に圧入する手法、あるいはナット等の部品をパイプ材の端部に溶接する手法が従来より用いられている。しかしながら、これらの手法は相応の手間を要する。装着時の負担を軽減するための手法として、例えば、特許文献2には、パイプ内に挿入される取付金具にパイプ内径よりも大径の食い込みリングを装着し、その食い込みリングを弾性変形させつつパイプ内に挿入し、取付金具に負荷が作用するときに食い込みリングをパイプ内面に食い込むように変形させて金具を抜け止めする手法が開示されている。特許文献3には、弾性体をワッシャで挟んだ軸状部品をパイプ材の端部に挿入し、その軸状部品をボルトで挟み込んで弾性体を膨らみ変形させることにより軸状部品を抜け止めする手法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2009-14058号公報
【文献】特開2004-76777号公報
【文献】特開2003-172319号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述した食い込みリング、弾性体を用いる場合、圧入や溶接といった手法を用いる場合と比較して、取り付けの手間を軽減できる可能性がある。しかしながら、食い込みリングや弾性体は専用品であり、その調達等に課題がある。
【0005】
そこで、本発明は、汎用性が高い固定部品を利用して対象物品に装着することが可能な取付部品等を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様に係る取付部品は、対象物品の空隙部内に嵌め合わされる嵌合部を備えた取付部品であって、軸状の固定部品を装着可能な少なくとも一つの取付穴が、前記嵌合部に達するように、かつ前記固定部品を装着したときに、前記対象物品の空隙部の内壁と前記固定部品との間に締め代が生じるように設けられたものである。
【0007】
本発明の一態様に係る取付構造は、上記態様に係る取付部品の嵌合部が対象物品の空隙部に嵌め合わされ、かつ前記取付部品の取付穴に軸状の固定部品が装着されて前記取付部品が前記対象物品に取り付けられたものである。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明の一形態に係る取付構造の分解斜視図。
【
図3】
図1の取付構造の組立状態における軸方向断面図。
【
図6】パイプと、ナットに装着される止めねじとの関係を拡大して示す図。
【
図9】取付部品をボルトとして形成した例を示す図。
【
図10】構造物の凹部にナットを取り付けた例を示す図。
【
図11】板材の穴部にナットを取り付けた例を示す図。
【
図12】ナットを角パイプに適合させた例を示す図。
【
図13】結合力を測定するための実験の概要を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
図1~
図3は、本発明の一形態に係る取付部品を用いた取付構造の一例を示し、
図1は分解状態の斜視図、
図2は組立状態の斜視図、
図3は組立状態における軸方向断面図である。図示の取付構造1では、対象物品の一例としてのパイプ2の端部に、取付部品の一例としてのナット3が嵌め合わされ、かつ固定部品の一例としての複数本(図示例では4本)の止めねじ4がナット3の取付穴5に装着されることにより、ナット3がパイプ2の端部に固定される。パイプ2は、円形断面の中空部2aを有する丸パイプである。中空部2aは対象物品の空隙部の一例に相当する。止めねじ4は六角穴付きであり、その全長が雄ねじ部として構成され、「いもねじ」とも通称される固定部品である。
【0010】
図4及び
図5はナット3の詳細を示し、
図4は正面図、
図5は軸方向断面図である。ナット3は金属製でかつ円盤状である。ナット3は、その全体がパイプ2の中空部2aに嵌め合わされる嵌合部の一例に相当する。ナット3の外径(以下、ナット外径と呼ぶことがある。)dは一定でよい、ナット3の軸線X1(
図4)上には、ねじ穴6が形成される。ねじ穴6は、例えばナット3を介してパイプ2と他の部品とを連結するために利用可能である。例えば、ねじ穴6にアイボルトを装着し、これを介してパイプ2から他の部品を吊り下げ、あるいはパイプ2それ自体を吊り下げるといったようにねじ穴6が利用されてよい。
【0011】
取付穴5もねじ穴として形成されている。取付穴5は、ナット3の軸線X1と同軸のピッチ円Cp上に位置する。取付穴5同士の周方向の間隔は互いに等しい。つまり、取付穴5はナット3の周方向に90°ずつ位置をずらしてピッチ円Cp上に配置されている。ただし、取付穴5間の周方向の間隔は適宜に設定されてよい。取付穴5は、嵌合部としてのナット3を軸線X1の方向に貫通する。
【0012】
パイプ2の中空部2aにナット3を容易に嵌め合わせることができるように、ナット3の外径dはパイプ2の中空部2aの内径(以下、パイプ内径と呼ぶことがある。)Dよりもわずかに小さく設定されている。一方、取付穴5は、止めねじ4を装着したときに、止めねじ4とパイプ2の中空部2aの内壁(内周面)との間に締め代が生じるように設けられている。すなわち、取付穴5に止めねじ4を装着したとき、止めねじ4の一部がパイプ2の中空部2aの内壁よりも半径方向外側にせり出すように、ナット3の半径方向における取付穴5の内径H及びピッチ円Cpの直径Pが設定されている。具体的には、ピッチ円Cpの直径P、取付穴5の内径H、パイプ内径D、ナット外径dの間には、
d<D<P+H
の関係が成立する。なお、取付穴5はねじ穴であるため、その内径Hは雌ねじの谷径に相当し、止めねじ4の外径に等しい。
【0013】
図6に拡大して示したように、1本の止めねじ4に関する締め代δは、芯間距離Lと取付穴5の内径Hの1/2の合計値と、パイプ内径Dの1/2との差で与えられる。つまり、1本の止めねじ4に関する締め代δは、
δ=(P+H-D)/2
となる。換言すれば、止めねじ4は、パイプ内径Dに対して締め代δに相当する分だけ半径方向外側にはみ出る。なお、
図6は締め代δを示すために誇張して描かれており、実際の寸法の大小関係を必ずしも示すものではない。
【0014】
締め代δは、パイプ2とナット3との間の結合力と、止めねじ4の操作に必要なトルクとを考慮して適切な範囲に設定すればよい。締め代δが過度に大きいと止めねじ4が装着困難となり、過度に小さいとパイプ2とナット3との間の結合力を十分に確保できないおそれがある。一例として、パイプ内径Dが23mmの場合、止めねじ4がJIS規格のM4並目ねじとすれば、取付穴5の内径(雌ねじの谷径)Hは4mmであるため、ピッチ円直径Pを19.5mmに設定すれば、締め代δを0.25mmに設定することができる。この場合、ナット外径dはパイプ内径D未満であればよいが、一例としてナット外径dを22.8mmとすれば、パイプ2の内周とナット3の外周との間に0.1mmの隙間を全周に亘って設けることができる。
【0015】
以上の構成によれば、ナット3をパイプ2の中空部2aに嵌め合わせるとともに、各取付穴5に止めねじ4を装着して締め付けると、パイプ2やナット3が締め代δに応じて弾性変形し、止めねじ4とパイプ2との間に半径方向の圧縮力が作用する。それにより、パイプ2と止めねじ4との間に摩擦力が発生し、ナット3がパイプ2に対して抜け止めされる。
【0016】
止めねじ4は、調達が容易で汎用性の高い規格品であって、六角レンチ等の汎用的な作業工具で操作することができる。ナット外径dはパイプ内径Dよりも小径であり、ナット3はパイプ2の中空部2aに容易に嵌め合わせることができる。止めねじ4は、締め代δが設定されているためにその締め付けに対して抵抗が生じるが、ナット3の嵌め合わせ後に徐々に締め付ければよい。止めねじ4の締め付けに対する負荷は、ナット3の全体を圧入する場合のそれよりも軽度である。特に、パイプ2に対しては、止めねじ4の位置にて局部的に圧縮応力が作用するのみであるから、ナット3の全体を圧入する場合と比較して装着に要する負担が小さい。ナット3を一旦取り付けた後でも、止めねじ4を取り外してナット3を抜き取ることが可能であり、ナットを溶接するような不可逆的な構造に比して利点がある。例えば、パイプ2の他用途への転用やナット3の再利用を図ることもできる。
【0017】
なお、取付穴5が上記のように形成される結果、取付穴5の一部はナット3の外周よりも半径方向外側に位置し、その部分ではナット3の外周が部分的に破れて取付穴5の内部が露出する。
図1では取付穴5が部分的に破れている状態を示している。しかしながら、取付穴5をねじ穴として形成した場合、その下穴径との関係で取付穴5が完全には破れず、加工時の塑性変形に起因する薄肉部分(薄皮状の部分)が取付穴5の外側に残ることがある。そのような薄肉部分の有無は、本形態の取付構造1における締結力に関して、特段に支障となるものではない。
【0018】
本発明は上記の形態に限定されず、種々の変形又は変更が施された形態にて実施されてよい。以下に、幾つかの変形例を示す。
図7及び
図8は、ナット3Aは、ナット本体11の片側にフランジ12を同軸的に設けた例である。ナット本体11は、
図4及び
図5のナット3と同じであり、嵌合部の一例として機能する。フランジ12は、パイプ内径D(
図5)よりも大径である。取付穴5はナット3Aを軸線方向に貫くように設けられる点で
図4及び
図5の取付穴5と同じである。この例では、フランジ12をパイプ2の端面に突き当ててナット3Aを位置決めすることができる。
【0019】
図9は、取付部品をボルト3Bとして構成した例である。ボルト3Bは、円盤状の頭部13と、その頭部13と同軸のねじ軸部14とを有する。頭部13は、
図4及び
図5のねじ穴6が省略される以外はナット3と実質的に同一構成でよい。ねじ軸部14は、ボルト3Bを介してパイプ2と他の部品とを連結するために利用可能である。ねじ軸部14を
図4及び
図5のねじ穴6と同一規格の雄ねじとすれば、ナット3(又は
図7のナット3A)とボルト3Bとを組み合わせてパイプ2同士の連結に用いることもできる。その他にも、取付部品は、ナット又はボルトといった他の部品を結合するための中間的な部品の形態に限らず、適宜の形態で形成されてよい。例えば、パイプ材の端部を塞ぐためのプラグとして取付部品が構成されてもよい。本発明に係る取付部品は、対象物品との間に幾らかの隙間が生じるため、対象物品の空隙部を気密に、あるいは液密に塞ぐことは困難であるが、パイプ材の開放端を適度に塞ぐといった用途に適用することが可能である。したがって、上述したねじ穴6やねじ軸部14は必ずしも必須の要素ではなく、適宜に省略されてよい。あるいは、ねじ穴6やねじ軸部14に代えて、又は加えて、他の結合要素が取付部品に設けられてよい。
【0020】
対象物品はパイプ2に限定されず、かつその空隙部も対象物品の中空部や穴部に限定されない。例えば、
図10に示す取付構造1Aのように、壁その他の構造物2Aが対象物品として設定され、その構造物2Aに設けられた有底の凹部2bを空隙部としてナット3等の取付部品が装着されてもよい。あるいは、
図11に示す取付構造1Bのように、板材2Bが対象物品として設定され、その板材2Bを貫く穴部2cを空隙部としてナット3等の取付部品が装着されてもよい。
【0021】
本発明の取付部品が装着されるべき対象物品の空隙部は、円形断面を有する中空部や穴部であることを必ずしも要しない。また、取付部品の嵌合部も円形断面の軸状の部位として形成されることを必ずしも要しない。対象物品の空隙部は適宜の形状であってよく、嵌合部も対象物品の空隙部の形状に応じて適宜の形状に形成されてよい。一例として、
図12に示す取付構造1Cのように、四角形状の断面を有する角パイプ2Cを対象物品として設定し、その中空部2dに相似形のナット3Cを嵌め合わせ、ナット3Cの外周の取付穴5に止めねじ4を装着して角パイプ2Cとナット3Cとを結合してもよい。この場合も、止めねじ4と角パイプ2Cの内壁との間に締め代が生じるように、取付穴5の位置及び大きさを設定すれば、
図4の取付構造1等と同様にナット3Cを角パイプ2Cに結合することができる。
【0022】
その他にも、対象物品の空隙部及び取付部品の嵌合部の断面形状は多角形状、楕円状等といった適宜の形状に形成されてよい。さらに、対象物品の空隙部は、穴部や中空部のようにその全周が内壁で囲まれた領域であることを必ずしも要しない。対象物品に設けられた溝部の一対の内壁間に取付部品の嵌合部が嵌め合わされ、その嵌合部の内壁と止めねじ4等の固定部品との間に締め代が生じるように取付穴が形成されてもよい。
【0023】
本発明の取付部品において、取付穴の個数は対象物品の空隙部の形状、取付部品の嵌合部の形状、必要とされる結合力の大きさ等に応じて適宜に設定されてよい。最もシンプルな例として、取付部品に単一の取付穴が形成され、その取付穴に単一の固定部品が装着されることによって取付部品が対象物品に装着される形態も採用可能である。固定部品は上記の形態で示した止めねじに限定されず、取付穴に装着可能である限り、適宜の軸状の固定部品が用いられてよい。例えば、ボルト、スプリングピン、ノックピン等の各種の軸状の規格品を固定部品として利用可能である。取付穴は、嵌合部を軸線方向に貫通するように設けられることを必ずしも要しない。嵌合部に達し、固定部品をその半径方向において対象物品の空隙部の内壁に押し付けられた状態に保持できる限り、取付穴は適宜の範囲に設けられてよい。
【0024】
次に、
図4及び
図5に示したナット3を製作し、これを
図1及び
図2に示したようにパイプ2に取り付けて結合力を測定した結果を説明する。
図13は実験に用いた構成を示す。パイプ2にナット3を嵌め合わせて止めねじ4を装着し、ねじ穴6にアイボルト20を装着し、これを下向きに固定して錘Wを吊り下げた。パイプ2及びナット3の寸法は、上記で例示した通り、パイプ内径D=23mm、ナット外径d=22.8mm、ピッチ円直径P=19.5mm、取付穴径H=4mm(止めねじがJIS規格のM4並目ねじ)とし、1本の止めねじ4の締め代δは0.25mmに設定した。実験によれば、錘Wの重量を60kgに設定してもナット3はパイプ2から抜け落ちることなく、パイプ2とナット3との結合状態が維持されることが確認された。一方、比較例として、止めねじ4を装着せず、パイプ2にナット3を嵌め合わせるのみとした場合には、パイプ2からナット3が抜け落ちるのみであって、ナット3をパイプ2内に保持することは不可能であった。
【0025】
上述した実施の形態及び変形例のそれぞれから導き出される本発明の各種の態様を以下に記載する。なお、以下の説明では、本発明の各態様の理解を容易にするために添付図面に図示された対応する構成要素を括弧書きにて付記するが、それにより本発明が図示の形態に限定されるものではない。
【0026】
本発明の一態様に係る取付部品は、対象物品(2;2A;2B;2C)の空隙部(2a;2b;2c;2d)内に嵌め合わされる嵌合部(3;11;3C;13)を備えた取付部品(3;3A;3B;3C)であって、軸状の固定部品(4)を装着可能な少なくとも一つの取付穴(5)が、前記嵌合部に達するように、かつ前記固定部品を装着したときに、前記対象物品の空隙部の内壁と前記固定部品との間に締め代(δ)が生じるように設けられたものである。
【0027】
上記態様によれば、取付穴に固定部品を装着すると、対象物品の空隙部の内壁と固定部品との間に設定された締め代に応じて対象物品及び取付部品が弾性変形し、固定部品と対象物品との間に圧縮力が作用する。その圧縮力を利用して取付部品を対象物品の空隙部に対して抜け止めすることができる。固定部品は取付穴に装着可能な軸状体であればよいので、調達が容易な規格品、汎用品の止めねじ、ボルト、ピン等を利用することが可能であり、取付穴はそれらの固定部品に適合するように形成すればよい。したがって、汎用性が高い固定部品を利用して対象物品に装着することが可能な取付部品を提供することが可能である。
【0028】
上記態様において、複数の前記取付穴が前記嵌合部の周方向に位置をずらして形成されてもよい。これによれば、複数の固定部品を利用して取付部品を対象物品の空隙部に確実に取り付けることができる。
【0029】
上記態様において、前記対象物品の空隙部及び前記嵌合部のそれぞれが円形の断面形状を有し、前記取付穴は前記嵌合部と同軸のピッチ円(Cp)上に設けられ、前記嵌合部の外径をd、前記ピッチ円の直径をP、前記取付穴の内径をHとし、前記対象物品の前記空隙部の内径をDとしたときに、d<D<P+Hの関係が成立するものとしてもよい。これによれば、嵌合部の外径dを対象物品の空隙部の内径Dよりも小さくして嵌合部を空隙部に容易に嵌め合わせることでき、その一方、ピッチ円の直径Pと取付穴の内径Hとの合計値を空隙部の内径Dよりも大きく設定することにより、その差分を固定部品の締め代に振り分けることができる。
【0030】
上記態様において、前記固定部品が雄ねじ部を有し、前記取付穴は前記雄ねじ部が装着されるねじ穴として形成されてもよい。これによれば、取付穴に対して固定部品をねじ込むことにより、対象物品及び取付部品を漸次弾性変形させて取付部品を装着することができる。固定部品を緩めて取付穴から抜き取ることにより、取付部品を対象物品から取り外し、対象物品の多用途への転用や取付部品の再利用を図ることもできる。
【0031】
本発明の一態様に係る取付構造(1;1A;1B;1C)は、上記態様に係る取付部品の嵌合部が対象物品の空隙部に嵌め合わされ、かつ前記取付部品の取付穴に軸状の固定部品が装着されて前記取付部品が前記対象物品に取り付けられたものである。このような取付構造によれば、汎用性が高い固定部品を利用して、対象物品の空隙部に取付部品を装着して抜け止めすることが可能である。
【符号の説明】
【0032】
1、1A、1B、1C 取付構造
2 パイプ(対象物品)
2A 構造物(対象物品)
2B 板材(対象物品)
2C 角パイプ(対象物品)
2a、2d 中空部(空隙部)
2b 凹部(空隙部)
2c 穴部(空隙部)
3、3C ナット(取付部品、嵌合部)
3A ナット(取付部品)
3B ボルト(取付部品)
4 止めねじ(固定部品、雄ねじ部)
5 取付穴
11 ナット本体(嵌合部)
13 頭部(嵌合部)
【要約】
【課題】汎用性が高い固定部品を利用して対象物品に装着することが可能な取付部品を提供する。
【解決手段】対象物品2の空隙部2a内に嵌め合わされる嵌合部を備えた取付部品3において、軸状の固定部品4を装着可能な少なくとも一つの取付穴5を、嵌合部に達するように、かつ固定部品4を装着したときに、対象物品2の空隙部2aの内壁と固定部品4との間に締め代が生じるように設ける。
【選択図】
図1