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特許7218963スイングテーブル、テーブルスイング方法、及び、スクリーン印刷装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-01-30
(45)【発行日】2023-02-07
(54)【発明の名称】スイングテーブル、テーブルスイング方法、及び、スクリーン印刷装置
(51)【国際特許分類】
   B41F 15/30 20060101AFI20230131BHJP
   B41F 15/08 20060101ALI20230131BHJP
【FI】
B41F15/30
B41F15/08 303L
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2021545007
(86)(22)【出願日】2019-09-10
(86)【国際出願番号】 JP2019035549
(87)【国際公開番号】W WO2021048922
(87)【国際公開日】2021-03-18
【審査請求日】2021-09-09
(73)【特許権者】
【識別番号】593039856
【氏名又は名称】マイクロ・テック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002491
【氏名又は名称】弁理士法人クロスボーダー特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】小島 一夫
【審査官】亀田 宏之
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-209982(JP,A)
【文献】特開平05-254087(JP,A)
【文献】国際公開第2017/086197(WO,A1)
【文献】米国特許第04266476(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41F 15/30
B41F 15/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
筐体と、
シャフトを有するテーブルと、
前記テーブルを上下方向に移動可能に保持しながら、前記シャフトを中心にして前記テーブルをスイングさせるスイング部と、
前記筐体に対して、前記テーブルと前記スイング部とを横方向に移動させるシフト部と、
前記スイング部と前記シフト部とを同期をとって動作させる制御部と
を備え、
前記スイング部は、
前記シャフトを間にして前記テーブルの両側に配置された1対の揺動アクチュエータと、
前記シャフトを回転可能に保持するとともに、前記シャフトを上下方向に移動可能に保持する保持部と
を有するスイングテーブル。
【請求項2】
前記テーブルは、上面に曲面を有する請求項1に記載のスイングテーブル。
【請求項3】
前記1対の揺動アクチュエータの各々の揺動アクチュエータは、シリンダと、ロッドとを有し、
前記シリンダは、前記シフト部に揺動可能に取り付けられており、
前記ロッドは、前記テーブルに回転可能に取り付けられている請求項1又は2に記載のスイングテーブル。
【請求項4】
前記シフト部は、
前記筐体に対して取り付けられたシフトアクチュエータと、
前記シフトアクチュエータによりシフトするとともに、前記シリンダを揺動可能に取り付けたシフトベースと、
を有する請求項3に記載のスイングテーブル。
【請求項5】
前記保持部は、
レールとブロックを有するリニアガイドと、
前記シャフトの軸受けが形成され、前記レールと前記ブロックとの一方を固定した保持板とを有し、
前記シフトベースのサイドに固定され、前記レールと前記ブロックとの他方を固定したサイドベースと
を有する請求項4に記載のスイングテーブル。
【請求項6】
作業距離=L、
前記シャフトと作業開始位置Pとの距離=N、
前記シャフトと作業終了位置Qとの距離=N、
前記シャフトと作業開始位置Pとを結ぶ直線の水平方向に対する傾斜角=S、
前記シャフトと作業終了位置Qとを結ぶ直線の水平方向に対する傾斜角=S、
前記テーブルの前記シャフトの移動距離=M
とし、
前記制御部は、下底=L、上底=M、脚=N、底角=Sの等脚台形を仮定して、
前記シフト部を制御して、前記テーブルをMだけで移動させ、
前記スイング部を制御して、前記テーブルを角度2Sだけ回転させる請求項1から5のいずれか1項に記載のスイングテーブル。
【請求項7】
請求項1から6のいずれか1項に記載のスイングテーブルを有するスクリーン印刷装置。
【請求項8】
シャフトを保持部により回転可能にかつ上下方向に移動可能に保持し、
前記シャフトを有するテーブルを前記テーブルの両側に配置された1対の揺動アクチュエータによりスイングさせ、
前記1対の揺動アクチュエータと前記保持部とを前記スイングに合わせて横方向にシフトさせるテーブルスイング方法。
【請求項9】
筐体と、
シャフトを有するテーブルと、
前記テーブルを上下方向に移動可能に保持しながら、前記シャフトを中心にして前記テーブルをスイングさせるスイング部と、
前記筐体に対して、前記テーブルと前記スイング部とを横方向に移動させるシフト部と、
前記スイング部と前記シフト部とを同期をとって動作させる制御部と
を備え、
前記スイング部は、
前記シャフトを間にして前記テーブルの両側に上下端が反対方向に揺れ動くように配置された1対の揺動アクチュエータと、
前記シャフトを回転可能に保持するとともに、前記シャフトを上下方向に移動可能に保持する保持部と
を有するスイングテーブル。
【請求項10】
筐体と、
シャフトを有するテーブルと、
前記テーブルを上下方向に移動可能に保持しながら、前記シャフトを中心にして前記テーブルをスイングさせるスイング部と、
前記筐体に対して、前記テーブルと前記スイング部とを横方向に移動させるシフト部と、
前記スイング部と前記シフト部とを同期をとって動作させる制御部と
を備え、
作業距離=L、
前記シャフトと作業開始位置Pとの距離=N、
前記シャフトと作業終了位置Qとの距離=N、
前記シャフトと作業開始位置Pとを結ぶ直線の水平方向に対する傾斜角=S、
前記シャフトと作業終了位置Qとを結ぶ直線の水平方向に対する傾斜角=S、
前記テーブルの前記シャフトの移動距離=M
とし、
前記制御部は、下底=L、上底=M、脚=N、底角=Sの等脚台形を仮定して、
前記シフト部を制御して、前記テーブルをMだけで移動させ、
前記スイング部を制御して、前記テーブルを角度2Sだけ回転させるスイングテーブル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スイングテーブル、テーブルスイング方法、及び、スクリーン印刷をするスクリーン印刷装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、曲面を有するワークの作業箇所を水平に保持する装置が考えられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2017-209982号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、作業箇所が水平になるテーブルを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明のスイングテーブルは、
筐体と、
シャフトを有するテーブルと、
前記テーブルを上下方向に移動可能に保持しながら、前記シャフトを中心にして前記テーブルをスイングさせるスイング部と、
前記筐体に対して、前記テーブルとスイング部とを横方向に移動させるシフト部と、
前記スイング部と前記シフト部との同期をとって動作させる制御部と
を備えた。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、スイング部によりテーブルをスイングさせながら、シフト部によりテーブルを横方向に移動させるので、テーブルの作業箇所を水平にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】実施の形態1におけるスクリーン印刷装置100とスイングテーブル200との正面図。
図2】実施の形態1におけるスクリーン印刷装置100とスイングテーブル200との右側面図。
図3】実施の形態1におけるスイングテーブル200の図1におけるA-A断面図。
図4】実施の形態1におけるスクリーン印刷装置100とスイングテーブル200との動作フローチャート。
図5】実施の形態1におけるスクリーン印刷装置100とスイングテーブル200との印刷開始時の動作説明図。
図6】実施の形態1におけるスクリーン印刷装置100とスイングテーブル200との印刷途中時の動作説明図。
図7】実施の形態1におけるスクリーン印刷装置100とスイングテーブル200との印刷終了時の動作説明図。
図8】実施の形態1における制御部230の制御動作の説明図。
図9】実施の形態1における制御部230の制御動作の説明図。
図10】実施の形態1における制御部230の制御動作の説明図。
図11】実施の形態1におけるスイングテーブル200の保持部90の変形例の正面図。
図12】実施の形態1におけるスイングテーブル200のテーブル101の変形例の正面図。
図13】実施の形態1におけるスイングテーブル200のシフトベース66の変形例を示す図1におけるA-A断面図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以上、本発明の実施の形態について、図を用いて説明する。
なお、各実施の形態の説明において、「上」、「下」、「左」、「右」、「前」、「後」、「表」、「裏」、「奥」、「高さ」、「幅」、「手前」、「縦」、「横」といった方向は、説明の便宜上、そのように記しているだけであって、装置、器具、部品等の配置又は向き等を限定するものではない。
【0009】
実施の形態1.
***構成の説明***
図1図2図3に基づいて、スクリーン印刷装置100とスイングテーブル200との構成について説明する。
図1において、紙面に向かって左右方向を横方向ともいう。
図1において、紙面に向かって上下方向を縦方向ともいう。
図1において、紙面に向かって奥行方向を幅方向ともいう。
図1において、スクリーン印刷装置100の印刷方向は、左方向である。
【0010】
スクリーン印刷装置100は、テーブル101に載置されたワーク199に対してスクリーン印刷をする。
スクリーン印刷装置100は、スクリーン192を用いてスキージ191を用いてスクリーン印刷をする。
【0011】
●スイングテーブル200
スクリーン印刷装置100は、スイングテーブル200を有する。
スイングとは、揺り動かすこと、又は、揺れ動くことをいう。
より具体的には、スイングとは、シーソーのように、中央を支点にして両端が交互に上下することをいい、一端が上昇すると他端が下降し、一端が下降すると他端が上昇することをいう。
スイングテーブル200は、テーブル101を有する。
スイングテーブル200は、スイング部210とシフト部220と制御部230とを有する。
スイング部210は、テーブル101を上下方向に移動可能に保持しながら、シャフト102を中心にしてテーブル101をスイングさせる。
シフト部220は、筐体50に対して、テーブル101とスイング部210とを横方向に移動させる。
制御部230は、スイング部210とシフト部220とを同期をとって動作させる。
【0012】
●テーブル101
テーブル101は、左右方向に平行な垂直面による断面が円弧形状の曲面103を有する。
テーブル101は、左右方向に平行な垂直面による断面が直線形状の底面104を有する。
テーブル101は、幅方向に長尺の円柱状のシャフト102を有する。
シャフト102は、テーブル101の底面104の左右方向の中央に配置されている。
テーブル101は、シャフト102を回転軸にしてスイングする。
【0013】
●筐体50
スイングテーブル200は、筐体50を有する。
筐体50は、左右方向に長尺の矩形の金属板である。
筐体50は、水平に配置されている。
筐体50は、左側の幅方向中央と右側の幅方向中央とに1対の開口部51を有する。
開口部51は、左右方向に長い矩形の開口窓又は切欠きである。
【0014】
●スイング部210
スイング部210は、右揺動アクチュエータ70と左揺動アクチュエータ80からなる1対の揺動アクチュエータを有する。
1対の揺動アクチュエータは、シャフト102を中間にしてテーブル101の底面104の両端の下側に配置されている。
1対の揺動アクチュエータは、テーブル101の幅方向中央に配置されている。
スイング部210は、保持部90を有する。
保持部90は、シャフト102を回転可能に保持するとともに、シャフト102を上下方向に移動可能に保持する。
保持部90は、テーブル101の幅方向の片側のみに配置されている。
【0015】
●シフト部220
シフト部220は、テーブル101とスイング部210とを左右方向に移動させる機構である。
シフト部220は、テーブル101とスイング部210を筐体50に対して平行にシフトさせる。
シフト部220は、シフトベース66とシフトアクチュエータ69を有する。
【0016】
●シフトアクチュエータ69
シフトアクチュエータ69は、筐体50に対して取り付けられている。
シフトアクチュエータ69は、シフトベース66を左右に移動させる電動アクチュエータ機構である。
シフトアクチュエータ69は、モータ61とボールネジ62とスライダ63とガイド64とブロック65とを有する。
モータ61は、筐体50に固定されている。
モータ61は、ボールネジ62を回転させる電動機である。
ボールネジ62は、モータ61により回転しスライダ63を左右方向に移動させる。
スライダ63は、右のシフトベース66の下面に固定されており、スライダ63の左右への移動とともに右のシフトベース66も左右に移動する。
ガイド64は、筐体50の幅方向の両端部に固定されている2本の平行なレールである。
ブロック65は、ガイド64に対して左右にスライド可能に取り付けられている。
ブロック65は、左に2個あり右に2個あり、合計4個ある。
ガイド64とブロック65とは、左右方向への直進を提供するリニアガイドを構成している。
【0017】
●シフトベース66
シフトベース66は、シフトアクチュエータ69により左右にシフトする。
シフトベース66は、幅方向に長尺の矩形の金属板である。
右のシフトベース66は、右の2個のブロック65の天面に固定されている。
左のシフトベース66は、左の2個のブロック65の天面に固定されている。
右のシフトベース66と左のシフトベース66とは、2枚のサイドベース96により連結されている。
右のシフトベース66を左右に移動すれば、左のシフトベース66と2枚のサイドベース96とは右のシフトベース66と一緒に左右に移動する。
シフトベース66は、中央に貫通部41を有する。
貫通部41は、矩形の開口窓又は切欠きである。
シフトベース66は、揺動アクチュエータのシリンダを回転可能に取り付けている。
【0018】
●右揺動アクチュエータ70と左揺動アクチュエータ80
スイング部210は、右揺動アクチュエータ70と左揺動アクチュエータ80とを有する。
右揺動アクチュエータ70と左揺動アクチュエータ80は、棒状の電動アクチュエータである。
右揺動アクチュエータ70と左揺動アクチュエータ80とで1対の揺動アクチュエータを構成している。
右揺動アクチュエータ70と左揺動アクチュエータ80とは、シャフト102を間にしてテーブル101の左右方向両端に配置されている。
図1に示すように、テーブル101が水平状態のとき、右揺動アクチュエータ70と左揺動アクチュエータ80とは、垂直方向と平行になるように揺動可能に取り付けられている。
【0019】
●右揺動アクチュエータ70
右揺動アクチュエータ70は、ロッド71とシリンダ72とを有する。
ロッド71は、シリンダ72に対して進退することが可能である。
ロッド71は、制御部230からの指示により、シリンダ72に対して指示された位置で位置決めされる。
ロッド71の先端は、テーブル101に回転可能に取り付けられている。
すなわち、ロッド71の上部は、幅方向に配置された2本のピン97と2個の軸受け47とにより、テーブル101に対してピン97を中心にして回転可能になっている。
軸受け47は、テーブル101の底面104に固定されており、ピン97はロッド71に固定されており、ピン97は軸受け47に対して回転可能である。
シリンダ72は、シフト部220に回転可能に取り付けられている。
すなわち、シリンダ72の上部は、幅方向に配置された2本の揺動軸67と2個の軸受け68とにより、シフト部220に対して揺動軸67を中心にして揺動可能になっている。
軸受け68は、シフトベース66の上面に固定されており、揺動軸67はシリンダ72に固定されており、揺動軸67は軸受け68に対して回転可能である。
シリンダ72は、シリンダ72の揺動が可能となるように、筐体50の右の開口部51と右のシフトベース66の貫通部41とを貫通している。
揺動とは、揺れ動くことをいう。
より具体的には、揺動とは、揺動軸67を支点にして揺動アクチュエータの上下端が交互に左右に揺れることをいい、揺動アクチュエータの上端が左に振れると揺動アクチュエータの下端が右に振れ、揺動アクチュエータの上端が右に振れると揺動アクチュエータの下端が左に振れることをいう。
【0020】
●左揺動アクチュエータ80
左揺動アクチュエータ80は、ロッド81とシリンダ82とを有する。
左揺動アクチュエータ80の取り付け構造は、前述した右揺動アクチュエータ70の取り付け構造と同じである。
シリンダ82は、シリンダ82の揺動が可能となるように、筐体50の左の開口部51と左のシフトベース66の貫通部41とを貫通している。
テーブル101が水平状態のとき、左右の揺動軸67の水平方向の距離D1と、左右のピン97の水平方向の距離D2は同じである。
テーブル101が傾斜状態のとき、左右の揺動軸67の水平方向の距離D1よりも、左右のピン97の水平方向の距離D2が小さくなる。
【0021】
●保持部90
スイング部210は、保持部90を有する。
保持部90は、シャフト102を回転可能に保持する軸受け91と、シャフト102を上下方向に移動可能に保持するリニアガイド95を有する。
軸受け91は、テーブル101の幅方向の両端部に2個存在する。
軸受け91は、シャフト102のベアリング機構であり、シャフト102の両端を回転可能に保持する。
リニアガイド95は、保持板92とレール93とブロック94を有する。
レール93とブロック94とは、1対の揺動アクチュエータの中央に配置されている。
保持板92は、上下方向に長尺の矩形の金属板である。
保持板92は、上部に軸受け91を配置し、下部にレール93を上下垂直方向に固定している。
保持部90は、サイドベース96を有する。
サイドベース96は、台形形状の金属板である。
サイドベース96は、左右にあるシフトベース66の両サイドに固定されており、右と左の2個のシフトベース66を連結している。
幅方向の手前側(図3において下側)にあるサイドベース96は、左右方向中央にブロック94を上下垂直方向に固定している。
幅方向の奥側(図3において上)にあるサイドベース96に対しても、左右方向中央にブロック94を上下方向に固定してもよい。
なお、保持板92にブロック94を固定し、サイドベース96にブロック94を固定してもよい。
【0022】
サイドベース96は、左右にあるシフトベース66の両サイドに固定されているので、保持板92がサイドベース96に対して垂直方向に上下可能に取り付けられている。シャフト102と軸受け91とが上下すれば、保持板92は、シャフト102と軸受け91との上下移動に付随して上下移動することができる。
保持板92は、サイドベース96に対して、レール93とブロック94とにより垂直方向の移動のみが可能であり、1対の揺動アクチュエータの中央でのみ垂直方向に上下するから、シャフト102と軸受け91も1対の揺動アクチュエータの中央でのみ垂直方向に上下する。
【0023】
●制御部230
制御部230は、装置全体を制御するものである。
制御部230は、中央処理装置、プログラム、メモリ、及び、記憶装置により実現できる。
制御部230は、スクリーン印刷装置100とスイングテーブル200とを制御し、後述するテーブルスイング動作とスクリーン印刷動作を制御する。
制御部230からの制御信号は、電気信号として信号線により各部に伝達される。
以下に述べる各動作は、制御部230が信号線により命令及び信号を送受信することにより実現できる。
【0024】
***動作の説明***
図4から図7を用いて、スイングテーブルのテーブルスイング方法、及び、スクリーン印刷装置100とスイングテーブル200とのスクリーン印刷方法について説明する。
ここでは、スクリーン印刷装置100が左方向への印刷動作について説明する。
【0025】
*ワーク設置・初期設定工程S1*
スクリーン印刷装置100の電源がオンになると、制御部230は、初期動作を開始し、初期設定をする。
制御部230は、スキージ191を右側の印刷開始位置に移動する。
制御部230は、シフト部220のシフトアクチュエータ69により、テーブル101とスイング部210を右側の印刷開始位置に移動する。
制御部230は、図示していない搬出入装置により、ワーク199をテーブル101に載せ、スクリーン192の下に搬送する。
【0026】
*揺動アクチュエータとシフト部とによるテーブル設定工程S2*
図5は、印刷開始状態を示す図である。
制御部230は、右揺動アクチュエータ70のロッド71を左揺動アクチュエータ80のロッド81よりも上昇させることにより、テーブル101の右端部をスクリーン192に接近させる。
図5に示すように、印刷開始状態では、テーブル101の右側が上昇し左側が下降した右肩上がりの状態となる。
この傾斜状態は、制御部230がロッド71をロッド81よりも上昇させることにより実現できる。
テーブル101が傾斜状態になると、左右の揺動軸67の水平方向の距離D1よりも、左右のピン97の水平方向の距離D2が小さくなるので、右揺動アクチュエータ70は左に傾き、左揺動アクチュエータ80は右に傾く。
【0027】
*揺動アクチュエータによるテーブルのスイング工程S3*
図5の印刷開始状態後、制御部230は、右揺動アクチュエータ70のロッド71の下降を開始し、左揺動アクチュエータ80のロッド81の上昇を開始する。この動作により、テーブル101の右回転のスイングが開始する。
制御部230は、テーブル101の最上部の高さが一定になるように右揺動アクチュエータ70と左揺動アクチュエータ80とを制御する。したがって、印刷中は、テーブル101の最上部とスクリーン192との距離は一定である。
【0028】
*シフト部によるテーブルの左方向へのシフト工程S4*
図5の印刷開始状態後、制御部230は、シフト部220のシフトアクチュエータ69を動作させ、右揺動アクチュエータ70と左揺動アクチュエータ80と保持部90との左方向へのシフト移動を開始する。この動作により、テーブル101の左方向への移動が開始する。
スイング工程S3とシフト工程S4とは同時に開始する。
【0029】
*印刷工程S5*
制御部230は、スイング工程S3とシフト工程S4との開始とともに、スキージ191の左方向への移動を開始して印刷を開始する。
印刷中、制御部230は、揺動アクチュエータによるテーブルの右回転のスイングと、シフト部によるテーブルの左方向へのシフト移動とが継続する。
印刷中、制御部230は、テーブル101の作業箇所が水平になるように揺動アクチュエータを制御する。
印刷中、制御部230は、テーブル101の曲面とスクリーン192の下面との位置ずれが生じないように、シフトアクチュエータ69を駆動する。
【0030】
図6は、印刷途中状態を示す図である。
図6に示すように、印刷中央では、右揺動アクチュエータ70のロッド71の上昇高さと、左揺動アクチュエータ80のロッド81の上昇高さとは同じになり、テーブル101が水平状態になる。
印刷開始状態以後は、左右のピン97の水平方向の距離D2が左右の揺動軸67の水平方向の距離D1に次第に近づくので、左右の揺動アクチュエータの傾きは減少し、印刷中央時点でテーブル101が水平状態になったとき、1対の揺動アクチュエータはともに垂直方向と平行になる。
【0031】
図7は、印刷終了状態を示す図である。
図7に示すように、印刷終了状態では、テーブル101は左肩上がりである。
印刷中央時点以後は、左右のピン97の水平方向の距離D2が左右の揺動軸67の水平方向の距離D1より次第に小さくなるので、左右の揺動アクチュエータの傾きは増加する。
印刷終了状態では、テーブル101の左側が上昇し右側が下降した状態となる。
右の揺動アクチュエータは左に傾き、左の揺動アクチュエータは右に傾く。
【0032】
*ワークの搬出工程S6*
印刷が終了すると、制御部230は、図示していない搬出入装置により、印刷が終了したワーク199を搬出する。
制御部230は、印刷が終了したワーク199の搬出後、次の印刷があるか判断し、次の印刷がある場合、ワーク設置・初期設定工程S1に戻る。
制御部230は、次の印刷がなければ、印刷を終了する。
【0033】
●制御部230の同期制御
図8の印刷概念図により、制御部230のスイング部210とシフト部220との同期制御について説明する。
テーブル101は、曲面103と底面104とを有する。
曲面103は、円弧面であり、底面104は、円弧の弦を含む平面である。
テーブル101の底面104の中央にシャフト102が存在する。
図8では、テーブル101の曲面103の右端を印刷の開始位置Pとし、テーブル101の曲面103の左端を印刷の終了位置Qとしている。
スキージ191が移動距離Lだけ左に移動すると、シャフト102は距離Mだけ左に移動する。
また、シャフト102は、軌跡105のように曲線を描いて左に移動する。
シャフト102の軌跡105は、印刷の中央までは上昇し、その後、下降する。
テーブル101の曲面103の円弧の長さ=スキージ191の移動距離=印刷作業の作業距離=L、
シャフト102と印刷作業の開始位置Pとの距離=テーブル101の底面104の左右方向の長さ(弦の長さ)の半分=N、
シャフト102と印刷作業の終了位置Qとの距離=テーブル101の底面104の左右方向の長さ(弦の長さ)の半分=N、
シャフト102と印刷作業の開始位置Pとを結ぶ直線の水平方向に対する傾斜角=
テーブル101の印刷作業の開始位置Pの底面104の水平方向に対する傾斜角=S
シャフト102と印刷作業の終了位置Qとを結ぶ直線の水平方向に対する傾斜角=
テーブル101の印刷作業の終了位置Qの底面104の水平方向に対する傾斜角=S
テーブル101のシャフト102の水平方向の移動距離=M
とし、制御部230は、図8の破線で示すような、下底=L、上底=M、脚=N、底角=Sの等脚台形を仮定する。
下底=L、上底=M、脚=N、底角=Sは、テーブル101の構造仕様と動作仕様とから求めることができる。
【0034】
制御部230は、印刷時に以下の制御を同時に開始し同時に終了する。
1.スイング部210の1対の揺動アクチュエータを制御して、テーブル101の底面104の水平方向に対する傾斜角度を時計回りに角度Sから0度にし、更に、テーブル101の底面104の水平方向に対する傾斜角度を時計回りに0度から角度Sにする。すなわち、角度2Sだけ速度一定で角度変更させながらテーブル101を時計回り方向に回転させる。
【0035】
2.シフト部220のシフトアクチュエータ69を制御して、テーブル101を長さMだけ速度一定で左に移動させる。
【0036】
3.スキージ駆動部を用いて、スキージ191に印刷圧力をかけながらスキージ191を長さLだけ速度一定で左に移動させる。スキージ191の移動速度とテーブル101の移動速度との比は、L:M(L>M)である。
制御部230の上記1と2の制御により、スイング部210とシフト部220との同期がとれ、曲面103の上面(ワーク199の上面)とスクリーン192の下面との位置ずれが生じないようになる。
また、制御部230の上記3の制御により、印刷中のテーブル101の曲面103の最上部の位置とスキージ191の印刷位置が一致し、スキージ191がテーブル101の水平な最上部の真上で印刷できる。
【0037】
図9は、テーブル101の曲面103の途中位置を印刷開始位置とし、テーブル101の途中位置を印刷終了位置としている。
図9においても、破線で示すような、下底=L、上底=M、脚=N、底角=Sの等脚台形を仮定することができる。
すなわち、
印刷の長さ=スキージ191の移動距離=作業距離=L、
シャフト102と印刷作業の開始位置Pとの距離=N、
シャフト102と印刷作業の終了位置Qとの距離=N、
シャフト102と印刷作業の開始位置Pとを結ぶ直線の水平方向に対する傾斜角=S
シャフト102と印刷作業の終了位置Qとを結ぶ直線の水平方向に対する傾斜角=S
テーブル101のシャフト102の水平方向の移動距離=M
である。
したがって、制御部230は、図8と同様な制御により印刷をすることができる、
【0038】
図10は、テーブル101の曲面103の中央Cの左側の印刷が中央Cの右側の印刷より短い左右非対称の印刷の場合を示している。
左右非対称の印刷の場合は、中央Cの右側の印刷長さと中央Cの左側の印刷長さとが同じであると仮定し、図10の破線で示すように、図8又は図9と同様の等脚台形を仮定して、制御部230の制御により、中央Cの左側の印刷を途中の停止位置Rで停止すればよい。
図示しないが、テーブル101の曲面103の中央Cの右側の印刷が中央Cの左側の印刷より短い左右非対称の印刷の場合も、中央Cの右側の印刷長さと中央Cの左側の印刷長さとが同じであると仮定し、図10の破線で示す等脚台形を仮定して、制御部230の制御により、中央Cの右側の印刷を途中から開始すればよい。
【0039】
***実施の形態1の特徴***
実施の形態1では、テーブル101の両側に配置された1対の揺動アクチュエータにより能動的にテーブル101をスイングさせる。
また、実施の形態1では、同時に、シフト部220により、1対の揺動アクチュエータをスイングに合わせて横方向にシフトさせる。
このため、実施の形態1では、曲面103を有するテーブル101でもテーブル101の最上部の円弧の接線が常に水平になる。
また、シャフト102は保持部90により回転可能に保持されているので、テーブル101はシャフト102を回転軸としてスイングすることができる。
また、シャフト102は保持部90により上下方向に移動可能に保持されているので、1対の揺動アクチュエータによるテーブル101の左右端の昇降に追随してシャフト102の高さ方向の位置を変更することができる。
【0040】
スイング部210は、シャフト102を支点としてテーブル101をスイングさせることができるものであればよい。
シフト部220は、テーブル101のスイングによるシャフト102の横方向の移動を実現できるものであればよい。
保持部90は、テーブル101のスイングによるシャフト102の縦方向の移動を吸収できるものであればよい。
【0041】
***実施の形態1の効果の説明***
実施の形態1によれば、テーブル101の最上部の作業箇所が水平になる。
実施の形態1によれば、曲面103を有するテーブル101に曲面を有するワーク199を載せ、曲面印刷が可能になる。
実施の形態1によれば、スキージ191の駆動が平面のワークへの印刷と同じ動作となり、スキージ駆動部に何ら変更を加えることなく、テーブル機構のみを変更するだけで曲面印刷が可能になる。
【0042】
***実施の形態1の変形例1***
●保持部90の形状変更(図11
図11のスイングテーブル200は、保持部90の構成を変更している。
保持部90は、縦開口部98を形成した保持板92を有する。
保持板92は、縦長の矩形の金属板である。
保持板92は、サイドベース96の固定されており、サイドベース96から垂直に立設されている。
保持板92は、サイドベース96と一体に形成されてもよい。
縦開口部98は、保持板92の中央に開口された縦長の矩形の孔である。
縦開口部98は、シャフト102を回転可能に保持するとともに、シャフト102を上下方向に移動可能に保持する。
図11の構成によれば、保持部90の構成が簡素化できる。
保持部90は、1個のサイドベース96のみの設けられてもよいし、2個のサイドベース96にそれぞれ設けられてもよい。
【0043】
***実施の形態1の変形例2***
●テーブル101の形状変更(図12
図12のスイングテーブル200は、テーブル101の形状を変更している。
テーブル101の右半分は平面であり、左半分は曲面である。
ワーク199も、右半分は平面であり、左半分は曲面である。
制御部230は、平面部分を印刷中には、平面部分が水平になるように右揺動アクチュエータ70と左揺動アクチュエータ80とを制御し、平面部分の水平を維持する。
制御部230は、平面部分を印刷中には、スイング部210とシフト部220との動作を停止する。
すなわち、制御部230は、平面部分を印刷前に、平面部分が水平になるように右揺動アクチュエータ70と左揺動アクチュエータ80とを制御し、平面部分を印刷中には、右揺動アクチュエータ70と左揺動アクチュエータ80との動作を固定して平面部分の水平を維持する。
また、制御部230は、平面部分を印刷中には、シフト部220との動作を停止して、平面部分とスクリーン192の下面との位置ずれが生じないようにする。
制御部230は、テーブル101の曲面部分では、前述したとおり、曲面部分の最上部が水平になるようにスイング部210とシフト部220とを動作させる。
図示しないが、テーブル101とワーク199の左半分が平面であり、右半分が曲面でもよい。
図示しないが、テーブル101とワーク199に平面と曲面とが複数あってもよい。
【0044】
***実施の形態1の変形例3***
●シフトベース66の形状変更(図13
図13のスイングテーブル200は、シフトベース66の形状を変更している。
シフトベース66は、1個だけであり、H形状の金属板である。
シフトベース66は、4個のブロック65の天面に固定されている。
奥側(図3において上)にあったサイドベース96は、シフトベース66が1枚だけなのでので、不要となる。
手前側(図13において下側)にあるサイドベース96には、ブロック94を設置している。
【0045】
図示しないが、筐体50、サイドベース96、保持板92、及び、シフトベース66は、金属でなくてもよく、セラミック、樹脂、他の材質でもよい。
図示しないが、筐体50、サイドベース96、保持板92、及び、シフトベース66は、板でなくてもよく、枠体、組み立て体、他の構造物でもよい。
【0046】
***実施の形態1の変形例4***
●スイングテーブル200の加工装置又は作業装置への適用
図示しないが、スイングテーブル200は、せん断装置、穴あけ装置、研磨装置、塗布装置、その他の加工装置又は作業装置に対して用いることができる。
特に、スイングテーブル200は、曲面を有するワークに対して、加工又は作業をする装置に好適である。
図示しないが、スイングテーブル200は、図1の状態から90回転させて横向きにして使用することができる。
また、スイングテーブル200は、図1の状態から180回転させて下向きにして使用することができる。
また、スイングテーブル200は、図1の状態から任意の角度だけ回転させ傾斜した状態で使用することができる。
【0047】
以上、本発明の実施の形態と変形例について説明したが、これらの実施の形態と変形例のうち、2つ以上を組み合わせて実施しても構わない。あるいは、これらの実施の形態と変形例のうち、1つを部分的に実施しても構わない。あるいは、これらの実施の形態と変形例のうち、2つ以上を部分的に組み合わせて実施しても構わない。なお、本発明は、これらの実施の形態と変形例に限定されるものではなく、必要に応じて種々の変更が可能である。
【符号の説明】
【0048】
100 スクリーン印刷装置、101 テーブル、102 シャフト、103 曲面、104 底面、105 軌跡、191 スキージ、192 スクリーン、199 ワーク、200 スイングテーブル、210 スイング部、220 シフト部、230 制御部、41 貫通部、47 軸受け、50 筐体、51 開口部、61 モータ、62 ボールネジ、63 スライダ、64 ガイド、65 ブロック、66 シフトベース、67 揺動軸、68 軸受け、69 シフトアクチュエータ、70 右揺動アクチュエータ、71 ロッド、72 シリンダ、80 左揺動アクチュエータ、81 ロッド、82 シリンダ、90 保持部、91 軸受け、92 保持板、93 レール、94 ブロック、95 リニアガイド、96 サイドベース、97 ピン、98 縦開口部。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13