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特許7218972電気エネルギー機械エネルギー変換機及び電気エネルギー機械エネルギー変換機システム
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-01-30
(45)【発行日】2023-02-07
(54)【発明の名称】電気エネルギー機械エネルギー変換機及び電気エネルギー機械エネルギー変換機システム
(51)【国際特許分類】
   H02K 3/22 20060101AFI20230131BHJP
   H02K 9/19 20060101ALI20230131BHJP
   H02K 3/24 20060101ALI20230131BHJP
【FI】
H02K3/22
H02K9/19 A
H02K3/24 Z
【請求項の数】 22
(21)【出願番号】P 2022115068
(22)【出願日】2022-07-19
【審査請求日】2022-08-01
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】322000867
【氏名又は名称】株式会社ELEMEC
(74)【代理人】
【識別番号】100120178
【弁理士】
【氏名又は名称】三田 康成
(72)【発明者】
【氏名】水谷 祐太
【審査官】尾家 英樹
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-135386(JP,A)
【文献】特開平7-231591(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02K 3/22
H02K 9/19
H02K 3/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
先端側から冷媒が流入する導電性の冷媒入口管と、
前記冷媒入口管に接続され、冷媒入口管を流れた冷媒が流れる中空導線が巻回されて形成されるU相冷媒入口コイルと、
前記U相冷媒入口コイルを流れた冷媒が流れる中空導線が巻回されて形成されるU相冷媒出口コイルと、
前記冷媒入口管に接続され、冷媒入口管を流れた冷媒が流れる中空導線が巻回されて形成されるV相冷媒入口コイルと、
前記V相冷媒入口コイルを流れた冷媒が流れる中空導線が巻回されて形成されるV相冷媒出口コイルと、
前記冷媒入口管に接続され、冷媒入口管を流れた冷媒が流れる中空導線が巻回されて形成されるW相冷媒入口コイルと、
前記W相冷媒入口コイルを流れた冷媒が流れる中空導線が巻回されて形成されるW相冷媒出口コイルと、
前記U相冷媒出口コイル及び前記V相冷媒出口コイル及び前記W相冷媒出口コイルに接続され、U相冷媒出口コイルを流れた冷媒及びV相冷媒出口コイルを流れた冷媒及びW相冷媒出口コイルを流れた冷媒が流れて、先端側に流出する導電性の冷媒出口管と、
前記冷媒入口管と前記冷媒出口管とを導通可能に接続する接続導線と、
前記U相冷媒入口コイルと前記U相冷媒出口コイルとの間に接続されるU相線と、
前記V相冷媒入口コイルと前記V相冷媒出口コイルとの間に接続されるV相線と、
前記W相冷媒入口コイルと前記W相冷媒出口コイルとの間に接続されるW相線と、
を有する電気エネルギー機械エネルギー変換機。
【請求項2】
請求項1に記載の電気エネルギー機械エネルギー変換機において、
前記V相冷媒入口コイルは、前記U相冷媒入口コイルの隣に配置され、
前記W相冷媒入口コイルは、前記V相冷媒入口コイルの隣に配置され、
前記U相冷媒出口コイルは、前記W相冷媒入口コイルの隣に配置され、
前記V相冷媒出口コイルは、前記U相冷媒出口コイルの隣に配置され、
前記W相冷媒出口コイルは、前記V相冷媒出口コイルの隣に配置され、
さらに、前記U相冷媒入口コイル、前記V相冷媒入口コイル、前記W相冷媒入口コイル、前記U相冷媒出口コイル、前記V相冷媒出口コイル及び前記W相冷媒出口コイルが、円状に並ぶように配置される、
電気エネルギー機械エネルギー変換機。
【請求項3】
請求項1に記載の電気エネルギー機械エネルギー変換機において、
前記U相冷媒出口コイルは、前記U相冷媒入口コイルの隣に配置され、
前記V相冷媒入口コイルは、前記U相冷媒出口コイルの隣に配置され、
前記V相冷媒出口コイルは、前記V相冷媒入口コイルの隣に配置され、
前記W相冷媒入口コイルは、前記V相冷媒出口コイルの隣に配置され、
前記W相冷媒出口コイルは、前記W相冷媒入口コイルの隣に配置され、
さらに、前記U相冷媒入口コイル、前記U相冷媒出口コイル、前記V相冷媒入口コイル、前記V相冷媒出口コイル、前記W相冷媒入口コイル及び前記W相冷媒出口コイルが、円状に並ぶように配置される、
電気エネルギー機械エネルギー変換機。
【請求項4】
請求項1に記載の電気エネルギー機械エネルギー変換機において、
前記V相冷媒入口コイルは、前記U相冷媒入口コイルの隣に配置され、
前記W相冷媒入口コイルは、前記V相冷媒入口コイルの隣に配置され、
前記U相冷媒出口コイルは、前記W相冷媒入口コイルの隣に配置され、
前記V相冷媒出口コイルは、前記U相冷媒出口コイルの隣に配置され、
前記W相冷媒出口コイルは、前記V相冷媒出口コイルの隣に配置され、
さらに、前記U相冷媒入口コイル、前記V相冷媒入口コイル、前記W相冷媒入口コイル、前記U相冷媒出口コイル、前記V相冷媒出口コイル及び前記W相冷媒出口コイルが、直線状に並ぶように配置される、
電気エネルギー機械エネルギー変換機。
【請求項5】
請求項1から請求項4までのいずれか1項に記載の電気エネルギー機械エネルギー変換機において、
前記U相線から前記U相冷媒入口コイルまでの電気的距離と前記U相線から前記U相冷媒出口コイルまでの電気的距離とは、等しく又は略等しく、
前記V相線から前記V相冷媒入口コイルまでの電気的距離と前記V相線から前記V相冷媒出口コイルまでの電気的距離とは、等しく又は略等しく、
前記W相線から前記W相冷媒入口コイルまでの電気的距離と前記W相線から前記W相冷媒出口コイルまでの電気的距離とは、等しく又は略等しい、
電気エネルギー機械エネルギー変換機。
【請求項6】
請求項1に記載の電気エネルギー機械エネルギー変換機において、
前記U相冷媒入口コイルを流れた冷媒が流れる中空導線が巻回されて形成されるU相上流側コイルと、
前記U相上流側コイルを流れた冷媒が流れる中空導線が巻回されて形成されるU相下流側コイルと、
前記V相冷媒入口コイルを流れた冷媒が流れる中空導線が巻回されて形成されるV相上流側コイルと、
前記V相上流側コイルを流れた冷媒が流れる中空導線が巻回されて形成されるV相下流側コイルと、
前記W相冷媒入口コイルを流れた冷媒が流れる中空導線が巻回されて形成されるW相上流側コイルと、
前記W相上流側コイルを流れた冷媒が流れる中空導線が巻回されて形成されるW相下流側コイルと、
を有し、
前記U相冷媒出口コイルの中空導線には、前記U相冷媒入口コイルを流れて、前記U相上流側コイルを流れて、前記U相下流側コイルを流れた冷媒が流れ、
前記V相冷媒出口コイルの中空導線には、前記V相冷媒入口コイルを流れて、前記V相上流側コイルを流れて、前記V相下流側コイルを流れた冷媒が流れ、
前記W相冷媒出口コイルの中空導線には、前記W相冷媒入口コイルを流れて、前記W相上流側コイルを流れて、前記W相下流側コイルを流れた冷媒が流れる、
電気エネルギー機械エネルギー変換機。
【請求項7】
請求項6に記載の電気エネルギー機械エネルギー変換機において、
前記V相冷媒入口コイルは、前記U相冷媒入口コイルの隣に配置され、
前記W相冷媒入口コイルは、前記V相冷媒入口コイルの隣に配置され、
前記U相上流側コイルは、前記W相冷媒入口コイルの隣に配置され、
前記V相上流側コイルは、前記U相上流側コイルの隣に配置され、
前記W相上流側コイルは、前記V相上流側コイルの隣に配置され、
前記U相下流側コイルは、前記W相上流側コイルの隣に配置され、
前記V相下流側コイルは、前記U相下流側コイルの隣に配置され、
前記W相下流側コイルは、前記V相下流側コイルの隣に配置され、
前記U相冷媒出口コイルは、前記W相下流側コイルの隣に配置され、
前記V相冷媒出口コイルは、前記U相冷媒出口コイルの隣に配置され、
前記W相冷媒出口コイルは、前記V相冷媒出口コイルの隣に配置され、
さらに、前記U相冷媒入口コイル、前記V相冷媒入口コイル、前記W相冷媒入口コイル、前記U相上流側コイル、前記V相上流側コイル、前記W相上流側コイル、前記U相下流側コイル、前記V相下流側コイル、前記W相下流側コイル、前記U相冷媒出口コイル、前記V相冷媒出口コイル及び前記W相冷媒出口コイルが、円状に並ぶように配置される、
電気エネルギー機械エネルギー変換機。
【請求項8】
請求項6に記載の電気エネルギー機械エネルギー変換機において、
前記U相上流側コイルは、前記U相冷媒入口コイルの隣に配置され、
前記V相冷媒入口コイルは、前記U相上流側コイルの隣に配置され、
前記V相上流側コイルは、前記V相冷媒入口コイルの隣に配置され、
前記W相冷媒入口コイルは、前記V相上流側コイルの隣に配置され、
前記W相上流側コイルは、前記W相冷媒入口コイルの隣に配置され、
前記U相下流側コイルは、前記W相上流側コイルの隣に配置され、
前記U相冷媒出口コイルは、前記U相下流側コイルの隣に配置され、
前記V相下流側コイルは、前記U相冷媒出口コイルの隣に配置され、
前記V相冷媒出口コイルは、前記V相下流側コイルの隣に配置され、
前記W相下流側コイルは、前記V相冷媒出口コイルの隣に配置され、
前記W相冷媒出口コイルは、前記W相下流側コイルの隣に配置され、
さらに、前記U相冷媒入口コイル、前記U相上流側コイル、前記V相冷媒入口コイル、前記V相上流側コイル、前記W相冷媒入口コイル、前記W相上流側コイル、前記U相下流側コイル、前記U相冷媒出口コイル、前記V相下流側コイル、前記V相冷媒出口コイル、前記W相下流側コイル及び前記W相冷媒出口コイルが、円状に並ぶように配置される、
電気エネルギー機械エネルギー変換機。
【請求項9】
請求項6に記載の電気エネルギー機械エネルギー変換機において、
前記V相冷媒入口コイルは、前記U相冷媒入口コイルの隣に配置され、
前記W相冷媒入口コイルは、前記V相冷媒入口コイルの隣に配置され、
前記U相上流側コイルは、前記W相冷媒入口コイルの隣に配置され、
前記V相上流側コイルは、前記U相上流側コイルの隣に配置され、
前記W相上流側コイルは、前記V相上流側コイルの隣に配置され、
前記U相下流側コイルは、前記W相上流側コイルの隣に配置され、
前記V相下流側コイルは、前記U相下流側コイルの隣に配置され、
前記W相下流側コイルは、前記V相下流側コイルの隣に配置され、
前記U相冷媒出口コイルは、前記W相下流側コイルの隣に配置され、
前記V相冷媒出口コイルは、前記U相冷媒出口コイルの隣に配置され、
前記W相冷媒出口コイルは、前記V相冷媒出口コイルの隣に配置され、
さらに、前記U相冷媒入口コイル、前記V相冷媒入口コイル、前記W相冷媒入口コイル、前記U相上流側コイル、前記V相上流側コイル、前記W相上流側コイル、前記U相下流側コイル、前記V相下流側コイル、前記W相下流側コイル、前記U相冷媒出口コイル、前記V相冷媒出口コイル及び前記W相冷媒出口コイルが、直線状に並ぶように配置される、
電気エネルギー機械エネルギー変換機。
【請求項10】
請求項6から請求項9までのいずれか1項に記載の電気エネルギー機械エネルギー変換機において、
前記U相線から前記U相冷媒入口コイルまでの電気的距離と前記U相線から前記U相冷媒出口コイルまでの電気的距離とは、等しく又は略等しく、
前記V相線から前記V相冷媒入口コイルまでの電気的距離と前記V相線から前記V相冷媒出口コイルまでの電気的距離とは、等しく又は略等しく、
前記W相線から前記W相冷媒入口コイルまでの電気的距離と前記W相線から前記W相冷媒出口コイルまでの電気的距離とは、等しく又は略等しく、
前記U相線から前記U相上流側コイルまでの電気的距離と前記U相線から前記U相下流側コイルまでの電気的距離とは、等しく又は略等しく、
前記V相線から前記V相上流側コイルまでの電気的距離と前記V相線から前記V相下流側コイルまでの電気的距離とは、等しく又は略等しく、
前記W相線から前記W相上流側コイルまでの電気的距離と前記W相線から前記W相下流側コイルまでの電気的距離とは、等しく又は略等しい、
電気エネルギー機械エネルギー変換機。
【請求項11】
請求項1から請求項4まで及び請求項6から請求項9までのいずれか1項に記載の電気エネルギー機械エネルギー変換機と、
前記冷媒出口管から流れ出た冷媒が流入するラジエーターと、そのラジエーターに風を送るファンとを備えて、冷媒の放熱を促進する放熱部と、
前記ラジエーターから流れ出た冷媒が流入し、冷媒を吐出して前記冷媒入口管に送る循環ポンプと、
前記ファン及び前記循環ポンプの少なくとも一方の動作を制御するコントローラーと、
を有する電気エネルギー機械エネルギー変換機システム。
【請求項12】
請求項11に記載の電気エネルギー機械エネルギー変換機システムにおいて、
前記コントローラーは、前記電気エネルギー機械エネルギー変換機に要求される出力が大きいほど前記循環ポンプの吐出量を増加させる、
電気エネルギー機械エネルギー変換機システム。
【請求項13】
請求項11に記載の電気エネルギー機械エネルギー変換機システムにおいて、
前記コントローラーは、前記電気エネルギー機械エネルギー変換機から出た冷媒の温度が高いほど前記循環ポンプの吐出量を増加させる、
電気エネルギー機械エネルギー変換機システム。
【請求項14】
請求項11に記載の電気エネルギー機械エネルギー変換機システムにおいて、
前記コントローラーは、前記電気エネルギー機械エネルギー変換機から出た冷媒の温度が高いほど前記循環ポンプの吐出量を増加させるとともに、前記電気エネルギー機械エネルギー変換機に要求される出力に基づいて前記循環ポンプの吐出量を補正する、
電気エネルギー機械エネルギー変換機システム。
【請求項15】
請求項11に記載の電気エネルギー機械エネルギー変換機システムにおいて、
前記コントローラーは、前記電気エネルギー機械エネルギー変換機に要求される出力が大きいほど前記ファンの送風量を増加させる、
電気エネルギー機械エネルギー変換機システム。
【請求項16】
請求項11に記載の電気エネルギー機械エネルギー変換機システムにおいて、
前記コントローラーは、前記電気エネルギー機械エネルギー変換機から出た冷媒の温度が高いほど前記ファンの送風量を増加させる、
電気エネルギー機械エネルギー変換機システム。
【請求項17】
請求項1から請求項4まで及び請求項6から請求項9までのいずれか1項に記載の電気エネルギー機械エネルギー変換機と、
前記冷媒が流れるとともに別の熱交換器をセットする熱交換器と、
前記別の熱交換器から流れ出た冷媒が流入するラジエーターと、
前記ラジエーターに風を送るファンと、
前記熱交換器から流れ出た冷媒が流入し、冷媒を吐出して前記冷媒入口管に送る循環ポンプと、
前記ファン及び前記循環ポンプの少なくとも一方の動作を制御するコントローラーと、
を有する電気エネルギー機械エネルギー変換機システム。
【請求項18】
請求項17に記載の電気エネルギー機械エネルギー変換機システムにおいて、
前記コントローラーは、前記電気エネルギー機械エネルギー変換機に要求される出力が大きいほど前記循環ポンプの吐出量を増加させる、
電気エネルギー機械エネルギー変換機システム。
【請求項19】
請求項17に記載の電気エネルギー機械エネルギー変換機システムにおいて、
前記コントローラーは、前記電気エネルギー機械エネルギー変換機から出た冷媒の温度が高いほど前記循環ポンプの吐出量を増加させる、
電気エネルギー機械エネルギー変換機システム。
【請求項20】
請求項17に記載の電気エネルギー機械エネルギー変換機システムにおいて、
前記コントローラーは、前記電気エネルギー機械エネルギー変換機から出た冷媒の温度が高いほど前記循環ポンプの吐出量を増加させるとともに、前記電気エネルギー機械エネルギー変換機に要求される出力に基づいて前記循環ポンプの吐出量を補正する、
電気エネルギー機械エネルギー変換機システム。
【請求項21】
請求項17に記載の電気エネルギー機械エネルギー変換機システムにおいて、
前記コントローラーは、前記電気エネルギー機械エネルギー変換機に要求される出力が大きいほど前記ファンの送風量を増加させる、
電気エネルギー機械エネルギー変換機システム。
【請求項22】
請求項17に記載の電気エネルギー機械エネルギー変換機システムにおいて、
前記コントローラーは、前記電気エネルギー機械エネルギー変換機から出た冷媒の温度が高いほど前記ファンの送風量を増加させる、
電気エネルギー機械エネルギー変換機システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、電気エネルギーを機械エネルギーに又は機械エネルギーを電気エネルギーに変換する変換機及びその変換機を用いるシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
電気エネルギーを機械エネルギーに又は機械エネルギーを電気エネルギーに変換する変換機としては、電動機又は発電機として機能する回転電機や、リニアモーターなどがある。これらの変換機では、温度上昇を抑えることが重要である。
【0003】
特許文献1には、1本の中空導線を途中で折り返すことで二重にしてステーターコアに巻回してステーターコイルを構成し、その中空導線に冷媒を流すことで、温度上昇を抑える電気機械が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2004-135386号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、前述した従来の電気機械は、途中で折り返されて二重になっている1本の中空導線をステーターコアに巻回してステーターコイルを構成するので、特殊な中空導線製造装置および巻回装置が必要であり、生産性が悪かった。また、中空導線を束状で複数巻回する場合であっても、往復の流路を確保するため必ずペアの中空導線を用いて巻回しなければならなかった。
さらに、ベルヌーイの定理を用いて冷却水の必要圧力を求めると、コイルの中空導線の長さおよび断面積を一定で計算した際に、特開2004-135386号の場合には1導線または1スロット(コイル)において冷却水の往復通路(2通路)が必要であるため、同じ長さおよび同じ断面積を持つ中空導線では往復通路の各配管内径は1通路の中空導線と比較して片側の通路断面積が1/2以下となるため、同じ冷却水流量時にはポンプの必要圧力は5倍以上となり、すなわち必要圧力は断面積を除した数値の凡そ2.3乗に比例する。同じ冷却水圧力とした場合、冷却水の流量は1/3程度となりコイルからの発熱の除熱熱量も1/3程度となることで、冷却に必要なポンプ動力は5倍以上必要で動力損失の観点からみても好ましくない。また、同圧力・同温度上限の冷却システムを用いた場合、回転電機から取り出せる出力は1/2程度となる。すなわち同じ冷却能力を得る場合には、中空導線の断面積を2倍にする必要があり、回転電機などの体積および重量が増加する。
【0006】
本発明は、このような従来の問題点に着目してなされた。本発明の目的は、冷却性能が高く、生産性にも優れる電気エネルギー機械エネルギー変換機及び電気エネルギー機械エネルギー変換機システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は以下のような解決手段によって前記課題を解決する。なお、理解を容易にするために本発明の実施形態に対応する符号を括弧書きするが、これに限定されるものではない。また符号を付して説明した構成は適宜代替しても改良してもよい。
【0008】
第1の態様は、
先端側から冷媒が流入する導電性の冷媒入口管(121)と、
前記冷媒入口管(121)に接続され、冷媒入口管(121)を流れた冷媒が流れる中空導線が巻回されて形成されるU相冷媒入口コイル(231)と、
前記U相冷媒入口コイル(231)を流れた冷媒が流れる中空導線が巻回されて形成されるU相冷媒出口コイル(234,2310)と、
前記冷媒入口管(121)に接続され、冷媒入口管(121)を流れた冷媒が流れる中空導線が巻回されて形成されるV相冷媒入口コイル(232)と、
前記V相冷媒入口コイル(232)を流れた冷媒が流れる中空導線が巻回されて形成されるV相冷媒出口コイル(235,2311)と、
前記冷媒入口管(121)に接続され、冷媒入口管(121)を流れた冷媒が流れる中空導線が巻回されて形成されるW相冷媒入口コイル(233)と、
前記W相冷媒入口コイル(233)を流れた冷媒が流れる中空導線が巻回されて形成されるW相冷媒出口コイル(236,2312)と、
前記U相冷媒出口コイル(234,2310)及び前記V相冷媒出口コイル(235,2311)及び前記W相冷媒出口コイル(236,2312)に接続され、U相冷媒出口コイル(234,2310)を流れた冷媒及びV相冷媒出口コイル(235,2311)を流れた冷媒及びW相冷媒出口コイル(236,2312)を流れた冷媒が流れて、先端側に流出する導電性の冷媒出口管(122)と、
前記冷媒入口管(121)と前記冷媒出口管(122)とを導通可能に接続する接続導線(120)と、
前記U相冷媒入口コイル(231)と前記U相冷媒出口コイル(234,2310)との間に接続されるU相線(11U)と、
前記V相冷媒入口コイル(232)と前記V相冷媒出口コイル(235,2311)との間に接続されるV相線(11V)と、
前記W相冷媒入口コイル(233)と前記W相冷媒出口コイル(236,2312)との間に接続されるW相線(11W)と、
を有する電気エネルギー機械エネルギー変換機である。
【0009】
第2の態様は、第1の態様の電気エネルギー機械エネルギー変換機において、
前記V相冷媒入口コイル(232)は、前記U相冷媒入口コイル(231)の隣に配置され、
前記W相冷媒入口コイル(233)は、前記V相冷媒入口コイル(232)の隣に配置され、
前記U相冷媒出口コイル(234)は、前記W相冷媒入口コイル(233)の隣に配置され、
前記V相冷媒出口コイル(235)は、前記U相冷媒出口コイル(234)の隣に配置され、
前記W相冷媒出口コイル(236)は、前記V相冷媒出口コイル(235)の隣に配置され、
さらに、前記U相冷媒入口コイル(231)、前記V相冷媒入口コイル(232)、前記W相冷媒入口コイル(233)、前記U相冷媒出口コイル(234)、前記V相冷媒出口コイル(235)及び前記W相冷媒出口コイル(236)が、円状に並ぶように配置される、
電気エネルギー機械エネルギー変換機である。
【0010】
第3の態様は、第1の態様の電気エネルギー機械エネルギー変換機において、
前記U相冷媒出口コイル(234)は、前記U相冷媒入口コイル(231)の隣に配置され、
前記V相冷媒入口コイル(232)は、前記U相冷媒出口コイル(234)の隣に配置され、
前記V相冷媒出口コイル(235)は、前記V相冷媒入口コイル(232)の隣に配置され、
前記W相冷媒入口コイル(233)は、前記V相冷媒出口コイル(235)の隣に配置され、
前記W相冷媒出口コイル(236)は、前記W相冷媒入口コイル(233)の隣に配置され、
さらに、前記U相冷媒入口コイル(231)、前記U相冷媒出口コイル(234)、前記V相冷媒入口コイル(232)、前記V相冷媒出口コイル(235)、前記W相冷媒入口コイル(233)及び前記W相冷媒出口コイル(236)が、円状に並ぶように配置される、
電気エネルギー機械エネルギー変換機である。
【0011】
第4の態様は、第1の態様の電気エネルギー機械エネルギー変換機において、
前記V相冷媒入口コイル(232)は、前記U相冷媒入口コイル(231)の隣に配置され、
前記W相冷媒入口コイル(233)は、前記V相冷媒入口コイル(232)の隣に配置され、
前記U相冷媒出口コイル(234)は、前記W相冷媒入口コイル(233)の隣に配置され、
前記V相冷媒出口コイル(235)は、前記U相冷媒出口コイル(234)の隣に配置され、
前記W相冷媒出口コイル(236)は、前記V相冷媒出口コイル(235)の隣に配置され、
さらに、前記U相冷媒入口コイル(231)、前記V相冷媒入口コイル(232)、前記W相冷媒入口コイル(233)、前記U相冷媒出口コイル(234)、前記V相冷媒出口コイル(235)及び前記W相冷媒出口コイル(236)が、直線状に並ぶように配置される、
電気エネルギー機械エネルギー変換機である。
【0012】
第5の態様は、第1から第4までのいずれかの態様の電気エネルギー機械エネルギー変換機において、
前記U相線(11U)から前記U相冷媒入口コイル(231)までの電気的距離と前記U相線(11U)から前記U相冷媒出口コイル(234,2310)までの電気的距離とは、等しく又は略等しく、
前記V相線(11V)から前記V相冷媒入口コイル(232)までの電気的距離と前記V相線(11V)から前記V相冷媒出口コイル(235,2311)までの電気的距離とは、等しく又は略等しく、
前記W相線(11W)から前記W相冷媒入口コイル(233)までの電気的距離と前記W相線(11W)から前記W相冷媒出口コイル(236,2312)までの電気的距離とは、等しく又は略等しい、
電気エネルギー機械エネルギー変換機である。
【0013】
第6の態様は、第1の態様の電気エネルギー機械エネルギー変換機において、
前記U相冷媒入口コイル(231)を流れた冷媒が流れる中空導線が巻回されて形成されるU相上流側コイル(234)と、
前記U相上流側コイル(234)を流れた冷媒が流れる中空導線が巻回されて形成されるU相下流側コイル(2307)と、
前記V相冷媒入口コイル(232)を流れた冷媒が流れる中空導線が巻回されて形成されるV相上流側コイル(235)と、
前記V相上流側コイル(235)を流れた冷媒が流れる中空導線が巻回されて形成されるV相下流側コイル(2308)と、
前記W相冷媒入口コイル(233)を流れた冷媒が流れる中空導線が巻回されて形成されるW相上流側コイル(236)と、
前記W相上流側コイル(236)を流れた冷媒が流れる中空導線が巻回されて形成されるW相下流側コイル(2309)と、
を有し、
前記U相冷媒出口コイル(2310)の中空導線には、前記U相冷媒入口コイル(231)を流れて、前記U相上流側コイル(234)を流れて、前記U相下流側コイル(2307)を流れた冷媒が流れ、
前記V相冷媒出口コイル(2311)の中空導線には、前記V相冷媒入口コイル(232)を流れて、前記V相上流側コイル(235)を流れて、前記V相下流側コイル(2308)を流れた冷媒が流れ、
前記W相冷媒出口コイル(2312)の中空導線には、前記W相冷媒入口コイル(233)を流れて、前記W相上流側コイル(236)を流れて、前記W相下流側コイル(2309)を流れた冷媒が流れる、
電気エネルギー機械エネルギー変換機である。
【0014】
第7の態様は、第6の態様の電気エネルギー機械エネルギー変換機において、
前記V相冷媒入口コイル(232)は、前記U相冷媒入口コイル(231)の隣に配置され、
前記W相冷媒入口コイル(233)は、前記V相冷媒入口コイル(232)の隣に配置され、
前記U相上流側コイル(234)は、前記W相冷媒入口コイル(233)の隣に配置され、
前記V相上流側コイル(235)は、前記U相上流側コイル(234)の隣に配置され、
前記W相上流側コイル(236)は、前記V相上流側コイル(235)の隣に配置され、
前記U相下流側コイル(2307)は、前記W相上流側コイル(236)の隣に配置され、
前記V相下流側コイル(2308)は、前記U相下流側コイル(2307)の隣に配置され、
前記W相下流側コイル(2309)は、前記V相下流側コイル(2308)の隣に配置され、
前記U相冷媒出口コイル(2310)は、前記W相下流側コイル(2309)の隣に配置され、
前記V相冷媒出口コイル(2311)は、前記U相冷媒出口コイル(2310)の隣に配置され、
前記W相冷媒出口コイル(2312)は、前記V相冷媒出口コイル(2311)の隣に配置され、
さらに、前記U相冷媒入口コイル(231)、前記V相冷媒入口コイル(232)、前記W相冷媒入口コイル(233)、前記U相上流側コイル(234)、前記V相上流側コイル(235)、前記W相上流側コイル(236)、前記U相下流側コイル(2307)、前記V相下流側コイル(2308)、前記W相下流側コイル(2309)、前記U相冷媒出口コイル(2310)、前記V相冷媒出口コイル(2311)及び前記W相冷媒出口コイル(2312)が、円状に並ぶように配置される、
電気エネルギー機械エネルギー変換機である。
【0015】
第8の態様は、第6の態様の電気エネルギー機械エネルギー変換機において、
前記U相上流側コイル(234)は、前記U相冷媒入口コイル(231)の隣に配置され、
前記V相冷媒入口コイル(232)は、前記U相上流側コイル(234)の隣に配置され、
前記V相上流側コイル(235)は、前記V相冷媒入口コイル(232)の隣に配置され、
前記W相冷媒入口コイル(233)は、前記V相上流側コイル(235)の隣に配置され、
前記W相上流側コイル(236)は、前記W相冷媒入口コイル(233)の隣に配置され、
前記U相下流側コイル(2307)は、前記W相上流側コイル(236)の隣に配置され、
前記U相冷媒出口コイル(2310)は、前記U相下流側コイル(2307)の隣に配置され、
前記V相下流側コイル(2308)は、前記U相冷媒出口コイル(2310)の隣に配置され、
前記V相冷媒出口コイル(2311)は、前記V相下流側コイル(2308)の隣に配置され、
前記W相下流側コイル(2309)は、前記V相冷媒出口コイル(2311)の隣に配置され、
前記W相冷媒出口コイル(2312)は、前記W相下流側コイル(2309)の隣に配置され、
さらに、前記U相冷媒入口コイル(231)、前記U相上流側コイル(234)、前記V相冷媒入口コイル(232)、前記V相上流側コイル(235)、前記W相冷媒入口コイル(233)、前記W相上流側コイル(236)、前記U相下流側コイル(2307)、前記U相冷媒出口コイル(2310)、前記V相下流側コイル(2308)、前記V相冷媒出口コイル(2311)、前記W相下流側コイル(2309)及び前記W相冷媒出口コイル(2312)が、円状に並ぶように配置される、
電気エネルギー機械エネルギー変換機である。
【0016】
第9の態様は、第6の態様の電気エネルギー機械エネルギー変換機において、
前記V相冷媒入口コイル(232)は、前記U相冷媒入口コイル(231)の隣に配置され、
前記W相冷媒入口コイル(233)は、前記V相冷媒入口コイル(232)の隣に配置され、
前記U相上流側コイル(234)は、前記W相冷媒入口コイル(233)の隣に配置され、
前記V相上流側コイル(235)は、前記U相上流側コイル(234)の隣に配置され、
前記W相上流側コイル(236)は、前記V相上流側コイル(235)の隣に配置され、
前記U相下流側コイル(2307)は、前記W相上流側コイル(236)の隣に配置され、
前記V相下流側コイル(2308)は、前記U相下流側コイル(2307)の隣に配置され、
前記W相下流側コイル(2309)は、前記V相下流側コイル(2308)の隣に配置され、
前記U相冷媒出口コイル(2310)は、前記W相下流側コイル(2309)の隣に配置され、
前記V相冷媒出口コイル(2311)は、前記U相冷媒出口コイル(2310)の隣に配置され、
前記W相冷媒出口コイル(2312)は、前記V相冷媒出口コイル(2311)の隣に配置され、
さらに、前記U相冷媒入口コイル(231)、前記V相冷媒入口コイル(232)、前記W相冷媒入口コイル(233)、前記U相上流側コイル(234)、前記V相上流側コイル(235)、前記W相上流側コイル(236)、前記U相下流側コイル(2307)、前記V相下流側コイル(2308)、前記W相下流側コイル(2309)、前記U相冷媒出口コイル(2310)、前記V相冷媒出口コイル(2311)及び前記W相冷媒出口コイル(2312)が、直線状に並ぶように配置される、
電気エネルギー機械エネルギー変換機である。
【0017】
第10の態様は、第6から第9までのいずれかの態様の電気エネルギー機械エネルギー変換機において、
前記U相線(11U)から前記U相冷媒入口コイル(231)までの電気的距離と前記U相線(11U)から前記U相冷媒出口コイル(234,2310)までの電気的距離とは、等しく又は略等しく、
前記V相線(11V)から前記V相冷媒入口コイル(232)までの電気的距離と前記V相線(11V)から前記V相冷媒出口コイル(235,2311)までの電気的距離とは、等しく又は略等しく、
前記W相線(11W)から前記W相冷媒入口コイル(233)までの電気的距離と前記W相線(11W)から前記W相冷媒出口コイル(236,2312)までの電気的距離とは、等しく又は略等しく、
前記U相線(11U)から前記U相上流側コイル(234)までの電気的距離と前記U相線(11U)から前記U相下流側コイル(2307)までの電気的距離とは、等しく又は略等しく、
前記V相線(11V)から前記V相上流側コイル(235)までの電気的距離と前記V相線(11V)から前記V相下流側コイル(2308)までの電気的距離とは、等しく又は略等しく、
前記W相線(11W)から前記W相上流側コイル(236)までの電気的距離と前記W相線(11W)から前記W相下流側コイル(2309)までの電気的距離とは、等しく又は略等しい、
電気エネルギー機械エネルギー変換機である。
【0018】
第11の態様は、
第1から第4まで及び第6から第9までのいずれかの態様の電気エネルギー機械エネルギー変換機と、
前記冷媒出口管(122)から流れ出た冷媒が流入するラジエーター(61)と、そのラジエーター(61)に風を送るファン(62)とを備えて、冷媒の放熱を促進する放熱部(6,631)と、
前記ラジエーター(61)から流れ出た冷媒が流入し、冷媒を吐出して前記冷媒入口管(121)に送る循環ポンプ(5)と、
前記ファン(62)及び前記循環ポンプ(5)の少なくとも一方の動作を制御するコントローラー(7)と、
を有する電気エネルギー機械エネルギー変換機システムである。
【0019】
第12の態様は、第11の態様の電気エネルギー機械エネルギー変換機システムにおいて、
前記コントローラー(7)は、前記電気エネルギー機械エネルギー変換機に要求される出力が大きいほど前記循環ポンプ(5)の吐出量を増加させる、
電気エネルギー機械エネルギー変換機システムである。
【0020】
第13の態様は、第11の態様の電気エネルギー機械エネルギー変換機システムにおいて、
前記コントローラー(7)は、前記電気エネルギー機械エネルギー変換機から出た冷媒の温度が高いほど前記循環ポンプ(5)の吐出量を増加させる、
電気エネルギー機械エネルギー変換機システムである。
【0021】
第14の態様は、第11の態様の電気エネルギー機械エネルギー変換機システムにおいて、
前記コントローラー(7)は、前記電気エネルギー機械エネルギー変換機から出た冷媒の温度が高いほど前記循環ポンプ(5)の吐出量を増加させるとともに、前記電気エネルギー機械エネルギー変換機に要求される出力に基づいて前記循環ポンプ(5)の吐出量を補正する、
電気エネルギー機械エネルギー変換機システムである。
【0022】
第15の態様は、第11の態様の電気エネルギー機械エネルギー変換機システムにおいて、
前記コントローラー(7)は、前記電気エネルギー機械エネルギー変換機に要求される出力が大きいほど前記ファン(62)の送風量を増加させる、
電気エネルギー機械エネルギー変換機システムである。
【0023】
第16の態様は、第11の態様の電気エネルギー機械エネルギー変換機システムにおいて、
前記コントローラー(7)は、前記電気エネルギー機械エネルギー変換機から出た冷媒の温度が高いほど前記ファン(62)の送風量を増加させる、
電気エネルギー機械エネルギー変換機システムである。
【0024】
第17の態様は、
第1から第4まで及び第6から第9までのいずれかの態様の電気エネルギー機械エネルギー変換機と、
前記冷媒が流れるとともに別の熱交換器(632)をセットする熱交換器(631)と、
前記別の熱交換器(632)から流れ出た冷媒が流入するラジエーター(612)と、
前記ラジエーター(612)に風を送るファン(622)と、
前記熱交換器(631)から流れ出た冷媒が流入し、冷媒を吐出して前記冷媒入口管(121)に送る循環ポンプ(5)と、
前記ファン(62)及び前記循環ポンプ(5)の少なくとも一方の動作を制御するコントローラー(7)と、
を有する電気エネルギー機械エネルギー変換機システムである。
【0025】
第18の態様は、第17の態様の電気エネルギー機械エネルギー変換機システムにおいて、
前記コントローラー(7)は、前記電気エネルギー機械エネルギー変換機に要求される出力が大きいほど前記循環ポンプ(5)の吐出量を増加させる、
電気エネルギー機械エネルギー変換機システムである。
【0026】
第19の態様は、第17の態様の電気エネルギー機械エネルギー変換機システムにおいて、
前記コントローラー(7)は、前記電気エネルギー機械エネルギー変換機から出た冷媒の温度が高いほど前記循環ポンプ(5)の吐出量を増加させる、
電気エネルギー機械エネルギー変換機システムである。
【0027】
第20の態様は、第17の態様の電気エネルギー機械エネルギー変換機システムにおいて、
前記コントローラー(7)は、前記電気エネルギー機械エネルギー変換機から出た冷媒の温度が高いほど前記循環ポンプ(5)の吐出量を増加させるとともに、前記電気エネルギー機械エネルギー変換機に要求される出力に基づいて前記循環ポンプ(5)の吐出量を補正する、
電気エネルギー機械エネルギー変換機システムである。
【0028】
第21の態様は、第17の態様の電気エネルギー機械エネルギー変換機システムにおいて、
前記コントローラー(7)は、前記電気エネルギー機械エネルギー変換機に要求される出力が大きいほど前記ファン(62)の送風量を増加させる、
電気エネルギー機械エネルギー変換機システムである。
【0029】
第22の態様は、第17の態様の電気エネルギー機械エネルギー変換機システムにおいて、
前記コントローラー(7)は、前記電気エネルギー機械エネルギー変換機から出た冷媒の温度が高いほど前記ファン(62)の送風量を増加させる、
電気エネルギー機械エネルギー変換機システムである。
【発明の効果】
【0030】
この態様によれば、高い冷却性能を得ることができるとともに生産性にも優れる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
図1図1は、電気エネルギー機械エネルギー変換機のステーターを示す図である。
図2図2は、回転電機1のステーターコイルの配線概要を説明する図である。
図3図3は、U相接続部について説明する図である。
図4図4は、図2のコイルの構成を簡易的に示す図である。
図5図5は、図4の理解を容易にするために、図4の構成図を、U相,V相,W相で上下に分けて示した図である。
図6図6は、図3における冷却液の流れを説明する図である。
図7図7は、図2における冷却液の流れを説明する図である。
図8図8は、図4に示した展開図を用いて冷却液の流れを説明する図である。
図9図9は、図3における電流の流れを説明する図である。
図10図10は、図2において電流がU相線11UからV相線11Vへ流れる様子を説明する図である。
図11図11は、図4に示した展開図を参照して電流がU相線11UからV相線11Vへ流れる様子を説明する図である。
図12図12は、電気エネルギー機械エネルギー変換機システムについて説明する図である。
図13図13は、回転電機の第2実施形態を示す図である。
図14図14は、第3実施形態の回転電機のコイルの構成を簡易的に示す図である。
図15図15は、図14の理解を容易にするために、図14の構成図を、U相,V相,W相で上下に分けて示した図である。
図16図16は、U相接続部について説明する図である。
図17図17は、各コイルの並び方の一例を示す図である。
図18図18は、各コイルの並び方の別の例を示す図である。
図19図19は、各コイルの並び方のさらに別の例を示す図である。
図20図20は、図14における冷却液の流れを説明する図である。
図21図21は、図14に示した展開図を参照して電流がU相線11UからV相線11Vへ流れる様子を説明する図である。
図22図22は、U相接続部について説明する図である。
図23図23は、第4実施形態の回転電機のコイルの構成を簡易的に示す図である。
図24図24は、図23の理解を容易にするために、図23の構成図を、U相,V相,W相で上下に分けて示した図である。
図25図25は、U相接続部について説明する図である。
図26図26は、各コイルの並び方の一例を示す図である。
図27図27は、図23における冷却液の流れを説明する図である。
図28図28は、図23に示した展開図を参照して電流がU相線11UからV相線11Vへ流れる様子を説明する図である。
図29図29は、24コイルの場合のU相接続部について説明する図である。
図30図30は、36コイルの場合のU相接続部について説明する図である。
図31図31は、48コイルの場合のU相接続部について説明する図である。
図32図32は、第5実施形態のU相接続部について説明する図である。
図33図33は、第6実施形態の電気エネルギー機械エネルギー変換機システムのコイルの構成を簡易的に示す図である。
図34図34は、図33の理解を容易にするために、図33の構成図を、U相,V相,W相で上下に分けて示した図である。
図35図35は、図33における冷却液の流れを説明する図である。
図36図36は、図33において電流がU相線11UからV相線11Vへ流れる様子を説明する図である。
図37図37は、回転電機の第7実施形態を示す図であり、U相接続部について説明する図である。
図38図38は、回転電機の第8実施形態を示す図であり、U相接続部について説明する図である。
図39図39は、電気エネルギー機械エネルギー変換機システムのもうひとつの例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下、添付図面を参照しながら本発明の実施形態について説明する。
【0033】
(第1実施形態)
図1は、電気エネルギー機械エネルギー変換機のステーターを示す図である。
なお、以下の説明では、特に断らなければ、電気エネルギー機械エネルギー変換機として、電動機又は発電機として機能する回転電機を挙げて説明する。
【0034】
特開2002-101591号公報にもあるように、スロットを有しないステーターコアの内周面に、空心状のコイルが配設されたスロットレスタイプの回転電機(電気エネルギー機械エネルギー変換機)が知られている。
【0035】
そのような回転電機のステーターの一例を挙げると図1のようになる。
図1は本発明の実施形態を示すスロットレスタイプの回転電機のステーターの斜視図で、ステーターコアの一部を切り欠いて示している。
【0036】
スロットレスタイプの回転電機のステーター2は、絶縁シート201を介してステーターコア21の内側に配設されたコイル23が、さらに内側の保護層202でも保持されて、固定された構成の一例である。なお、図1では、図面の煩雑を避けるために、コイル23は、1回しか巻かれていないが、実際は必要に応じて複数回巻かれている。また、絶縁シートや保護層は適宜別の手段で代替することや使用しない構造も可能である。
スロットレスタイプの回転電機は、コギングトルクや磁石損・鉄損・漂游損などが低減可能である。
【0037】
本実施形態では、コイル23を構成する導線として中空導線が使用されている。各コイルは、大まかには、U相を構成するU相コイル,V相を構成するV相コイル,W相を構成するW相コイルに分けられる。図示は省略するが、U相コイルを形成する中空導線には、U相線が接続される。V相コイルを形成する中空導線には、V相線が接続される。W相コイルを形成する中空導線には、W相線が接続される。
【0038】
図2は、回転電機1のステーターコイルの配線概要を説明する図である。
【0039】
図2に示される回転電機1は、本発明の一例であり、外周側には6つのコイルを備えるステーター2が配置されて、内周側には4つの永久磁石31を備えるローター3が配置された6コイル4極(6N4P)のインナーロータータイプの回転電機である。
【0040】
ステーター2のステーターコア21の内周面には、6つのコイルが配設されている。具体的にはステーターコア21には、第1コイル231と、第2コイル232と、第3コイル233と、第4コイル234と、第5コイル235と、第6コイル236とが配設されている。第1コイル231の隣が第2コイル232である。第2コイル232の隣が第3コイル233である。第3コイル233の隣が第4コイル234である。第4コイル234の隣が第5コイル235である。第5コイル235の隣が第6コイル236である。第6コイル236の隣が第1コイル231である。
【0041】
第1コイル231は、第1中空導線221が巻回されることで形成されている。第1中空導線221のサイズは、一例を挙げれば、外径が0.5-12mm程度、内径が0.3mm以上であり、冷却液が通流可能となっている。ただし、中空導線のサイズおよび形状は、回転電機の仕様に依存するため、回転電機の仕様に応じて適宜最適なものを選択すればよく、また中空導線の断面形状は円形に限らない。以下の中空導線も同様である。また、中空導線絶縁材としては、たとえば、絶縁ワニスを挙げることができる。ただし、ハイグレードのワニスを必要とせずコストを低く抑えることもできる。また、絶縁材に収縮チューブを使用してもよい。極薄タイプの収縮チューブを使用した絶縁材でもよく、導線本数をまとめた状態で収縮させる。また、ポリエステル製などの薄型絶縁テープを導線に巻回して使用しても良い。なお、中空導線を用いた場合、導線内部を直接冷却することで、絶縁塗膜による導線表面の放熱の阻害を考慮する必要がないため、絶縁塗膜を厚くすることも可能でさらなる高電圧化も容易である。
【0042】
また、第1コイル231には、コイル温度を検出する温度センサー241が設けられている。第1中空導線221の一端(冷却液入口)は、冷却液入口管121に接続される。冷却液入口管121は、導電性であり、電気が流れる。冷却液入口管121は、冷却液流れ方向下流側で3つの経路に分岐されており、第1中空導線221の一端(冷却液入口)は、そのうちのひとつに連続する。第1中空導線221の他端(冷却液出口)は、後述するようにU相接続部110Uに接続される。
【0043】
第2コイル232は、第2中空導線222が巻回されることで形成されている。第2中空導線222は、第1中空導線221と同様であり冷却液が通流可能な中空状である。第2コイル232には、コイル温度を検出する温度センサー242が設けられている。第2中空導線222の一端(冷却液入口)は、冷却液入口管121に接続される。第2中空導線222の他端(冷却液出口)は、後述するようにV相接続部110Vに接続される。
【0044】
第3コイル233は、第3中空導線223が巻回されることで形成されている。第3中空導線223は、第1中空導線221と同様であり、冷却液が通流可能な中空状である。第3コイル233には、コイル温度を検出する温度センサー243が設けられている。第3中空導線223の一端(冷却液入口)は、冷却液入口管121に接続される。第3中空導線223の他端(冷却液出口)は、後述するようにW相接続部110Wに接続される。
【0045】
第4コイル234は、第4中空導線224が巻回されることで形成されている。第4中空導線224は、第1中空導線221と同様であり、冷却液が通流可能な中空状である。第4コイル234には、コイル温度を検出する温度センサー244が設けられている。第4中空導線224の一端(冷却液入口)は、後述するようにU相接続部110Uに連続する。第4中空導線224の他端(冷却液出口)は、冷却液出口管122に接続される。冷却液出口管122は、導電性であり、電気が流れる。冷却液出口管122は、冷却液流れ方向上流側で3つの経路に分岐されており、第4中空導線224の他端(冷却液出口)は、そのうちのひとつに連続する。
【0046】
第5コイル235は、第5中空導線225が巻回されることで形成されている。第5中空導線225は、第1中空導線221と同様であり、冷却液が通流可能な中空状である。第5コイル235には、コイル温度を検出する温度センサー245が設けられている。第5中空導線225の一端(冷却液入口)は、後述するようにV相接続部110Vに接続される。第5中空導線225の他端(冷却液出口)は、冷却液出口管122に接続される。
【0047】
第6コイル236は、第6中空導線226が巻回されることで形成されている。第6中空導線226は、第1中空導線221と同様であり、冷却液が通流可能な中空状である。第6コイル236には、コイル温度を検出する温度センサー246が設けられている。第6中空導線226の一端(冷却液入口)は、後述するようにW相接続部110Wに接続される。第6中空導線226の他端(冷却液出口)は、冷却液出口管122に接続される。
【0048】
冷却液入口管121及び冷却液出口管122は、上述の通り、冷却液が通流可能な中空状である。そして、冷却液入口管121及び冷却液出口管122は、中実の導線120を介して電気的に接続されている。
【0049】
図3は、U相接続部について説明する図である。なお図3(A)は、U相接続部110Uの平断面図であり、図3(B)は、U相接続部付近を簡易化して説明する図である。
【0050】
上述の通り、第1コイル231の第1中空導線221の他端(冷却液出口)は、U相接続部110Uに接続される。また、第4コイル234の第4中空導線224の一端(冷却液入口)も、U相接続部110Uに接続される。U相接続部110Uは、筒状であり、第1中空導線221を流れた冷却液が漏れることなく、第4中空導線224に流れる液密構造となっている。そして、このU相接続部110Uに、U相線11Uが接続される。U相接続部110Uから第1コイル231までの電気的距離とU相接続部110Uから第4コイル234までの電気的距離とは等しく又は略等しくなっている。なお電気的距離とは、電気が流れる経路の距離である。
【0051】
また、上述の通り、第1中空導線221の一端(冷却液入口)は、冷却液入口管121に連続し、第4中空導線224の他端(冷却液出口)は、冷却液出口管122に接続される。そして、冷却液入口管121及び冷却液出口管122は、中実の導線120を介して電気的に接続されている。
【0052】
図3は、U相接続部について説明しているが、V相接続部110V,W相接続部110Wも同様の構成であるので、説明を省略する。
【0053】
図4は、図2のコイルの構成を簡易的に示す図である。
なおこの図4では、図面の煩雑を避けるために、U相接続部110U,V相接続部110V,W相接続部110Wが省略されている。
【0054】
また図5は、図4の理解を容易にするために、図4の構成図を、U相,V相,W相で上下に分けて示した図である。
【0055】
第1コイル231の第1中空導線221の一端(冷却液入口)は、冷却液入口管121に連続し、他端(冷却液出口)は、第4コイル234の第4中空導線224の一端(冷却液入口)に連続する。第4中空導線224の他端(冷却液出口)は、冷却液出口管122に接続される。そして、第1中空導線221及び第4中空導線224にU相線11Uが接続されている。
【0056】
第2コイル232の第2中空導線222の一端(冷却液入口)は、冷却液入口管121に連続し、他端(冷却液出口)は、第5コイル235の第5中空導線225の一端(冷却液入口)に連続する。第5中空導線225の他端(冷却液出口)は、冷却液出口管122に接続される。そして、第2中空導線222及び第5中空導線225にV相線11Vが接続されている。
【0057】
第3コイル233の第3中空導線223の一端(冷却液入口)は、冷却液入口管121に連続し、他端(冷却液出口)は、第6コイル236の第6中空導線226の一端(冷却液入口)に連続する。第6中空導線226の他端(冷却液出口)は、冷却液出口管122に接続される。そして、第3中空導線223及び第6中空導線226にW相線11Wが接続されている。
【0058】
そして、冷却液入口管121及び冷却液出口管122は、中実の導線120を介して電気的に接続されている。この導線120が中性点になる。
【0059】
続いて、冷却液の流れについて説明する。
図6は、図3における冷却液の流れを説明する図である。なお矢印が冷却液の流れ方向を示している。
矢印に示すように、冷却液入口管121を流れた冷却液は、第1コイル231の第1中空導線221を流れ、U相接続部110Uを経由して、第4コイル234の第4中空導線224を通って冷却液出口管122に流れる。
【0060】
図7は、図2における冷却液の流れを説明する図である。なお矢印が冷却液の流れ方向を示している。
【0061】
冷却液入口管121を流れた冷却液は、3つの流れに分かれる。
【0062】
1つめの流れは、第1コイル231の第1中空導線221を流れ、U相接続部110Uを経由して、第4コイル234の第4中空導線224を通って冷却液出口管122に流れる。
【0063】
2つめの流れは、第2コイル232の第2中空導線222を流れ、V相接続部110Vを経由して、第5コイル235の第5中空導線225を通って冷却液出口管122に流れる。
【0064】
3つめの流れは、第3コイル233の第3中空導線223を流れ、W相接続部110Wを経由して、第6コイル236の第6中空導線226を通って冷却液出口管122に流れる。
【0065】
冷却液の流れを、展開図を用いて説明すると以下のようになる。
図8は、図4に示した展開図を用いて冷却液の流れを説明する図である。なお矢印が冷却液の流れ方向を示している。
【0066】
冷却液入口管121を流れた冷却液は、3つの流れに分かれる。
1つめの流れは、第1コイル231の第1中空導線221を流れ、第4コイル234の第4中空導線224を通って冷却液出口管122に流れる。
【0067】
2つめの流れは、第2コイル232の第2中空導線222を流れ、第5コイル235の第5中空導線225を通って冷却液出口管122に流れる。
【0068】
3つめの流れは、第3コイル233の第3中空導線223を流れ、第6コイル236の第6中空導線226を通って冷却液出口管122に流れる。
【0069】
続いて、電流の流れについて説明する。
図9は、図3における電流の流れを説明する図である。なお矢印が電流の流れ方向を示している。
【0070】
U相線11Uを流れた電流は、ひとつの流れとして、第1中空導線221を流れて冷却液入口管121に達する。また、U相線11Uを流れた電流のもうひとつの流れは、第4中空導線224を流れて冷却液入口管121に達する。冷却液入口管121に達した後の電流の流れは、後述する。
【0071】
図10は、図2において電流がU相線11UからV相線11Vへ流れる様子を説明する図である。なお矢印が電流の流れ方向を示している。
【0072】
U相線11Uから入力された電流は、ひとつの流れとして、第1中空導線221を流れて冷却液入口管121を通って第2中空導線222を流れてV相線11Vに達する。また、U相線11Uから入力された電流のもうひとつの流れは、第4中空導線224を流れて冷却液出口管122を通って第5中空導線225を流れてV相線11Vに達する。
【0073】
この電流の流れを、展開図を参照して説明すると以下のようになる。
図11は、図4に示した展開図を参照して電流がU相線11UからV相線11Vへ流れる様子を説明する図である。なお矢印が電流の流れ方向を示している。
【0074】
U相線11Uから入力された電流は、ひとつの流れとして、第1中空導線221を流れて冷却液入口管121を通って第2中空導線222を流れてV相線11Vに達する。また、U相線11Uから入力された電流のもうひとつの流れは、第4中空導線224を流れて冷却液出口管122を通って第5中空導線225を流れてV相線11Vに達する。
【0075】
なお、冷却液入口管121及び冷却液出口管122が、中実の導線120で電気的に接続されることで、この導線120が中性点となる。冷却液入口管121及び冷却液出口管122は、同電位となり電位差がないので、導線120には電流が流れない。
【0076】
また、U相接続部110Uから第1コイル231までの電気的距離とU相接続部110Uから第4コイル234までの電気的距離とは等しく又は略等しくなっているので、導線120がなくても、基本的には、冷却液入口管121及び冷却液出口管122は、同電位となり電位差がない。しかしながら、仮に、導線120がなく冷却液入口管121及び冷却液出口管122が電気的に接続されていなければ、第1コイル231又は第4コイル234が断線するなど何らかの異常が生じた場合に、冷却液入口管121と冷却液出口管122との間に大きな電位差が生じて短絡してしまう恐れがある。これに対して、本実施形態では、導線120によって冷却液入口管121及び冷却液出口管122が電気的に接続されているので、そのような事態を回避することができる。
【0077】
そして、各コイルは、中空導線が巻回されることで形成されている。この中空導線の中を冷却液(冷媒)が通流する。回転電機から出た冷却液(冷媒)は、後述されるように、ラジエーターで冷却されて再び回転電機に送られる。このような構成であるので、回転電機の冷却性能に優れる。そのため、ローター3に用いられる磁石としては、高耐熱仕様である必要はなく、磁石に要するコストを低く抑えられ、また省資源化も可能となる。また、磁力が高いものの、耐熱性が低い磁石を使用することも可能になるので、回転電機のさらなる小型軽量化も図ることが可能になる。
【0078】
(電気エネルギー機械エネルギー変換機システムの第1実施形態)
図12は、電気エネルギー機械エネルギー変換機システムについて説明する図である。
なお、以下の説明では、特に断らなければ、電気エネルギー機械エネルギー変換機として、電動機又は発電機として機能する回転電機を挙げて説明する。そこで、電気エネルギー機械エネルギー変換機システムのことを、適宜、回転電機システムとも称する。
【0079】
続いて、上述の回転電機(電気エネルギー機械エネルギー変換機)を使用する具体的なシステムについて説明する。
【0080】
回転電機システム(電気エネルギー機械エネルギー変換機システム)Sは、電気エネルギー機械エネルギー変換機(回転電機)1と、循環ポンプ5と、熱交換部6と、コントローラー7とを備える。
【0081】
回転電機1からは、U相線11U,V相線11V,W相線11W,冷却液入口管121,冷却液出口管122などが外部に出ている。U相線11Uには、電流センサー111Uが設けられる。W相線11Wには、電流センサー111Wが設けられる。冷却液入口管121及び冷却液出口管122は、冷却液循環路50に接続される。電流センサー111U及び電流センサー111Wの信号は、コントローラー7に送られ、循環ポンプ5及び冷却ファン62の制御に用いられる。また回転電機1のステーターの各コイルには、コイルの温度を検出する温度センサー241-246が取り付けられている。温度センサー241-246の信号は、コントローラー7に送られ、警告灯81の制御に用いられる。温度センサーは、各コイルに必ず必要なものではないが、あることが望ましい。
【0082】
循環ポンプ5は、回転電機1に冷却液(冷媒)を送る。循環ポンプ5は、冷却液循環路50に設けられている。より詳細には、循環ポンプ5は、回転電機1よりも冷却液循環路50の冷却液流れ方向上流に設けられている。
【0083】
なお、循環ポンプ5としては、たとえば、ダイアフラムポンプを使用することができる。ダイアフラムポンプは、ゴム板のダイアフラムのピストン運動により容積を変化させて液体を圧送する中圧ポンプである。吐出圧は、0.1-1MPa程度である。
【0084】
また、循環ポンプ5として、プランジャーポンプを使用してもよい。プランジャーポンプは、金属製またはセラミック製のピストンがピストン運動により容積を変化させて液体を圧送する高圧ポンプである。吐出圧は、0.1-20MPa以上可能である。
【0085】
さらに、循環ポンプ5として、ベーンポンプを使用してもよい。ベーンポンプは、自己潤滑性のベーンが回転運動により容積を変化させて液体を圧送させる中圧ポンプである。吐出圧は、0.1-1.8MPa程度である。
【0086】
さらにまた、循環ポンプ5として、ギアポンプを使用してもよい。ギアポンプは、噛み合うギア同士の回転運動により容積を変化させて液体を圧送させる高圧ポンプである。吐出圧は、0.1-30MPa以上可能である。なお、ギアポンプの場合は、潤滑性液体に限られる。
【0087】
また、循環ポンプ5として、渦巻ポンプを使用してもよい。渦巻ポンプは、一般の自動車で広く使用されており、タービン回転式の非容積変化、遠心力で液体を圧送するポンプである。低圧大流量向けで圧はかけられない。吐出圧は、0.1-0.4MPa程度である。
【0088】
以上説明したように、循環ポンプ5として、種々のポンプを使用することができる。
【0089】
熱交換部6は、図1に示したシステムではラジエーター61と冷却ファン62とを備える。ラジエーター61は、冷却液循環路50に設けられている。より詳細には、ラジエーター61は、回転電機1よりも冷却液循環路50の冷却液流れ方向下流かつ循環ポンプ5よりも冷却液循環路50の冷却液流れ方向上流に設けられている。冷却ファン62は、ラジエーター61に風を送り、ラジエーター61を流れる冷却液の温度の低下を促進する。
【0090】
以上のような構成であるので、循環ポンプ5が吐出した冷却液は、冷却液入口管121から入って回転電機1の内部を流れて冷却液出口管122から出て、ラジエーター61で冷却された後、循環ポンプ5に戻って、再び回転電機1へ送られる。
【0091】
なお、冷却液の仕様は、以下の通りである。
【0092】
冷却液の粘度は、低いことが好ましい。電気エネルギー機械エネルギー変換機のステーターには、中空導線が巻回されることで形成されたコイルが備えられる。この中空導線に冷却液(冷媒)が流れるので、粘度が低いほど流れやすいので好ましい。
【0093】
冷却液の比熱は、高いことが好ましい。冷却液が中空導線を流れて電気エネルギー機械エネルギー変換機を冷却するので、冷却液の比熱は、高いほうが好ましい。また、熱伝導率も高いほうが好ましい。
【0094】
冷却液の腐食性であるが、金属への攻撃性が低いことが好ましい。冷却液は、金属製の中空導線内部を流れるので、金属への攻撃性が低いことが望ましい。
【0095】
さらに、冷却液が絶縁性であれば、なお一層安全性が高まるので好ましい。
【0096】
続いて冷却液循環路50のさらに詳細な構成について説明する。
【0097】
循環ポンプ5と回転電機1との間の冷却液循環路50には、フィルター511が設けられている。フィルター511は、使用する中空導線の内径サイズおよび流量を考慮して適宜メッシュサイズなどを選択する。今回試作した回転電機に用いたフィルターは、200メッシュのラインフィルターである。フィルター511は、回転電機1に入る冷却液を濾過する。
【0098】
ラジエーター61と循環ポンプ5との間の冷却液循環路50には、バッファータンク52及びフィルター512が設けられている。より詳しくは、フィルター512は、バッファータンク52と循環ポンプ5との間の冷却液循環路50に設けられている。バッファータンク52は、冷却液を一時的に貯蔵するタンクである。フィルター512は、たとえば200メッシュ程度のラインフィルターである。フィルター512は、循環ポンプ5に入る冷却液を濾過する。
【0099】
また、このフィルター511と回転電機1との間の冷却液循環路50には、圧力センサー531が設けられている。この圧力センサー531が冷却液入口管121に入る冷却液の圧力を検出する。圧力センサー531の信号は、コントローラー7に送られ、循環ポンプ5及び冷却ファン62の制御に用いられる。
【0100】
回転電機1とラジエーター61との間の冷却液循環路50には、圧力センサー532が設けられている。この圧力センサー532が、冷却液出口管122から出てラジエーター61に入る冷却液の圧力を検出する。圧力センサー532の信号は、コントローラー7に送られ、循環ポンプ5及び冷却ファン62の制御に用いられる。
【0101】
回転電機1と圧力センサー532との間の冷却液循環路50には、液温センサー533が設けられている。この液温センサー533が、冷却液出口管122から出てくる冷却液の温度を検出する。液温センサー533の信号は、コントローラー7に送られ、循環ポンプ5及び冷却ファン62の制御に用いられる。
【0102】
コントローラー7は、アクセル操作量センサー82の操作量信号,液温センサー533の温度信号,電流センサー111Uの電流信号,電流センサー111Wの電流信号,圧力センサー531の圧力信号,圧力センサー532の圧力信号を入力し、これらの信号に基づいて、循環ポンプ5及び冷却ファン62の動作を制御する。
【0103】
また、コントローラー7は、温度センサー241-246の信号を入力し、これらの信号に基づいて、警告灯81の表示を制御する。
【0104】
続いて、コントローラー7の具体的な制御内容について説明する。
ここでは、電気エネルギー機械エネルギー変換機システムが、出力が調整される機械に搭載されている場合で説明する。なお、出力が調整される機械とは、たとえば、出力が調整されて速度がコントロールされる乗り物であり、自動車(一般車両に限らずレース用の車両やトラック、バス、重機(建機)、農業車両、特殊車両なども含む)、ATV(All Terrain Vehicle:四輪バギー)、トライク、自動二輪車、スノーモービル、雪上車などである。さらに、船舶、ジェットスキー、飛行機、電車、トロッコなども含む。また、ドローンやヘリコプターについては、大型で人が乗れるタイプのものや、小型で人が乗れないタイプのものもあるが、いずれも出力が調整されて速度がコントロールされる機械であるので含まれる。
【0105】
(第1制御方法)
コントローラー7は、出力要求信号を入力する。出力要求信号とは、自動車であれば、たとえばアクセルペダル踏込量信号である。また、別のものとしては、アクセルペダル踏込量信号に基づいて決定される回転電機に流す電流値をCTセンサー(Current Transformer Sensor)などで測定した測定値の信号であってもよい。また、クレーンなどであれば、巻上装置の出力を操作するレバー信号や、そのレバー信号に基づいて決定される回転電機に流す電流値の信号などである。
【0106】
コントローラー7は、入力した出力要求信号に基づいて、循環ポンプ5の吐出量を調整する。具体的には、要求される出力が大きいほど、循環ポンプ5の吐出量を増加させる。
【0107】
回転電機に要求される出力が大きいほど、回転電機を流れる電流値が大きくなり、回転電機の温度が上昇することが見込まれる。そこで、この第1制御方法のように制御することで、温度上昇が想定される場合に、循環ポンプ5の吐出量を増加させることで、冷却性能を上げることができ、回転電機の温度上昇を抑えることができる。その一方で、温度上昇が想定されない場合は、循環ポンプ5の吐出量を減少させておくことで無用なエネルギー消費を避けることができる。
【0108】
また、コントローラー7は、温度センサー241-246の信号を入力し、いずれかひとつでも許容温度を超えた場合は、警告灯81を表示する。このようにすることで、システムの異常を早期に検出することができる。
【0109】
(第2制御方法)
コントローラー7は、液温センサー533の信号に基づいて、循環ポンプ5の吐出量を調整する。具体的には、液温センサー533が検出した温度が高いほど、循環ポンプ5の吐出量を増加させる。
【0110】
このようにすれば、回転電機1から出てきた冷却液の温度が高いほど、循環ポンプ5の吐出量を増加させることで、冷却性能を上げることができ、回転電機1の温度上昇を抑えることができる。その一方で、冷却液の温度が高くなければ、循環ポンプ5の吐出量を減少させておくことで無用なエネルギー消費を避けることができる。
【0111】
(第3制御方法)
コントローラー7は、液温センサー533の信号及び出力要求信号に基づいて、循環ポンプ5の吐出量を調整する。具体的には、液温センサー533が検出した温度が高いほど、循環ポンプ5の吐出量を増加させるとともに、出力要求信号に基づいて、循環ポンプ5の吐出量を補正する。
【0112】
このようにすれば、回転電機1から出てきた冷却液の温度が高いほど、循環ポンプ5の吐出量を増加させることで、冷却性能を上げることができ、回転電機1の温度上昇を抑えることができる。また、要求される出力が大きいほど回転電機を流れる電流値が大きくなり、回転電機の温度が上昇することが見込まれる。そこで、実際に液温が上昇する前に予め循環ポンプ5の吐出量を増加させておくことで、回転電機の温度上昇を抑えることができる。その一方で、冷却液の温度が高くなければ、循環ポンプ5の吐出量を減少させておくことで無用なエネルギー消費を避けることができる。
【0113】
(第4制御方法)
コントローラー7は、入力した出力要求信号に基づいて、冷却ファン62の送風量を調整する。具体的には、要求される出力が大きいほど、冷却ファン62の送風量を増加させる。
【0114】
回転電機に要求される出力が大きいほど、回転電機を流れる電流値が大きくなり、回転電機の温度が上昇することが見込まれる。そこで、この第4制御方法のように制御することで、温度上昇が想定される場合に、冷却ファン62の送風量を増加させることで、冷却性能を上げることができ、回転電機の温度上昇を抑えることができる。その一方で、温度上昇が想定されない場合は、冷却ファン62の送風量を減少させておくことで無用なエネルギー消費を避けることができる。
【0115】
(第5制御方法)
コントローラー7は、液温センサー533の信号に基づいて、冷却ファン62の送風量を調整する。具体的には、液温センサー533が検出した温度が高いほど、冷却ファン62の送風量を増加させる。
【0116】
このようにすれば、回転電機1から出てきた冷却液の温度が高いほど、冷却ファン62の送風量を増加させることで、冷却性能を上げることができ、回転電機1の温度上昇を抑えることができる。その一方で、冷却液の温度が高くなければ、冷却ファン62の送風量を減少させておくことで無用なエネルギー消費を避けることができる。
【0117】
(第2実施形態)
図13は、回転電機の第2実施形態を示す図である。
なお以下では前述と同様の機能を果たす部分には同一の符号を付して重複する説明を適宜省略する。
【0118】
第1実施形態の回転電機は、外周側には6つのコイルを備えるステーター2が配置されて、内周側には4つの永久磁石31を備えるローター3が配置された6コイル4極(6N4P)のインナーロータータイプであった。
【0119】
図13に示されている第2実施形態の回転電機は、外周側には8つの永久磁石31を備えるローター3が配置されて、内周側には6つのコイルを備えるステーター2が配置された6コイル8極(6N8P)のアウターロータータイプである。
【0120】
ステーター2のステーターコア21の内周面には、6つのコイルが配設されている。具体的にはステーターコア21には、第1コイル231と、第2コイル232と、第3コイル233と、第4コイル234と、第5コイル235と、第6コイル236とが配設されている。第1コイル231の隣が第2コイル232である。第2コイル232の隣が第3コイル233である。第3コイル233の隣が第4コイル234である。第4コイル234の隣が第5コイル235である。第5コイル235の隣が第6コイル236である。第6コイル236の隣が第1コイル231である。
【0121】
各コイルの構成は、基本的には第1実施形態と同様である。そこで、ここでは、特に、第1コイル231及び第4コイル234を挙げて説明する。
【0122】
第1コイル231は、第1中空導線221が巻回されることで形成されている。第1中空導線221は、冷却液が通流可能な中空状である。第1中空導線221の一端(冷却液入口)は、冷却液入口管121に接続される。第1中空導線221の他端(冷却液出口)は、U相接続部110Uに接続される。
【0123】
第4コイル234は、第4中空導線224が巻回されることで形成されている。第4中空導線224は、冷却液が通流可能な中空状である。第4中空導線224の一端(冷却液入口)は、U相接続部110Uに接続される。第4中空導線224の他端(冷却液出口)は、冷却液出口管122に接続される。
【0124】
このように、第1コイル231及び第4コイル234の構成は、第1実施形態と同様である。他のコイルも第1実施形態と同様であるので、詳細な説明は省略する。
【0125】
そして、冷却液が通流可能な中空状の冷却液入口管121及び冷却液出口管122は、中実の導線120によって電気的に接続されている。
【0126】
このようなアウターロータータイプであっても、第1実施形態と同様の作用効果を得ることができる。すなわち、中空導線の中を冷却液(冷媒)が通流し、この冷却液(冷媒)が、ラジエーター61で冷却されるので、電気エネルギー機械エネルギー変換機の冷却性能に優れる。
【0127】
また、冷却液入口管121及び冷却液出口管122が、中実の導線120で電気的に接続されることで、この導線120が中性点となり、高い安全性能を得ることができる。
【0128】
(第3実施形態)
図14は、第3実施形態の回転電機のコイルの構成を簡易的に示す図である。図15は、図14の理解を容易にするために、図14の構成図を、U相,V相,W相で上下に分けて示した図である。
【0129】
第1実施形態では、6つのコイルを備えるステーター2が配置されているタイプであったが、コイル数がもっと多くてもよい。たとえば、図14に示されるように、12のコイルを備えるタイプであってよい。この場合、コイルは、第1コイル231,第2コイル232,第3コイル233,第4コイル234,第5コイル235,第6コイル236,第7コイル2307,第8コイル2308,第9コイル2309,第10コイル2310,第11コイル2311,第12コイル2312の12個である。
【0130】
第1コイル231,第2コイル232,第3コイル233,第4コイル234,第5コイル235,第6コイル236の構成は、基本的には第1実施形態と同様である。そこで、ここでは、特に、第1コイル231及び第4コイル234を挙げて説明する。
【0131】
第1コイル231は、第1中空導線221が巻回されることで形成されている。第1中空導線221は、冷却液が通流可能な中空状である。第1中空導線221の一端(冷却液入口)は、冷却液入口管121に接続される。第1中空導線221の他端(冷却液出口)は、U相接続部110Uに接続される。
【0132】
第4コイル234は、第4中空導線224が巻回されることで形成されている。第4中空導線224は、冷却液が通流可能な中空状である。第4中空導線224の一端(冷却液入口)は、U相接続部110Uに接続される。第4中空導線224の他端(冷却液出口)は、冷却液出口管122に接続される。
【0133】
このように、第1コイル231及び第4コイル234の構成は、第1実施形態と同様である。他の第2コイル232,第3コイル233,第5コイル235,第6コイル236も第1実施形態と同様であるので、詳細な説明は省略する。
【0134】
また、第7コイル2307は、第1コイル231と同様である。すなわち、第7コイル2307は、第7中空導線2207が巻回されることで形成されている。第7中空導線2207は、冷却液が通流可能な中空状である。第7中空導線2207の一端(冷却液入口)は、冷却液入口管121に接続される。第7中空導線2207の他端(冷却液出口)は、U相接続部110Uに接続される。
【0135】
第8コイル2308は、第2コイル232と同様である。すなわち、第8コイル2308は、第8中空導線2208が巻回されることで形成されている。第8中空導線2208は、冷却液が通流可能な中空状である。第8中空導線2208の一端(冷却液入口)は、冷却液入口管121に接続される。第8中空導線2208の他端(冷却液出口)は、V相接続部110Vに接続される。
【0136】
第9コイル2309は、第3コイル233と同様である。すなわち、第9コイル2309は、第9中空導線2209が巻回されることで形成されている。第9中空導線2209は、冷却液が通流可能な中空状である。第9中空導線2209の一端(冷却液入口)は、冷却液入口管121に接続される。第9中空導線2209の他端(冷却液出口)は、W相接続部110Wに接続される。
【0137】
第10コイル2310は、第4コイル234と同様である。すなわち、第10コイル2310は、第10中空導線2210が巻回されることで形成されている。第10中空導線2210は、冷却液が通流可能な中空状である。第10中空導線2210の一端(冷却液入口)は、U相接続部110Uに接続される。第10中空導線2210の他端(冷却液出口)は、冷却液出口管122に接続される。
【0138】
第11コイル2311は、第5コイル235と同様である。すなわち、第11コイル2311は、第11中空導線2211が巻回されることで形成されている。第11中空導線2211は、冷却液が通流可能な中空状である。第11中空導線2211の一端(冷却液入口)は、V相接続部110Vに接続される。第11中空導線2211の他端(冷却液出口)は、冷却液出口管122に接続される。
【0139】
第12コイル2312は、第6コイル236と同様である。すなわち、第12コイル2312には、第12中空導線2212が巻回されることで形成されている。第12中空導線2212は、冷却液が通流可能な中空状である。第12中空導線2212の一端(冷却液入口)は、W相接続部110Wに接続される。第12中空導線2212の他端(冷却液出口)は、冷却液出口管122に接続される。
【0140】
図15図5と比較することで明らかなように、図15の構成は、要するに図5の構成を2組用意して、並列に接続したものである。
【0141】
図16は、U相接続部について説明する図である。なお図16(A)は、U相接続部110Uの平断面図であり、図16(B)は、U相接続部付近を簡易化して説明する図である。
【0142】
上述の通り、第1コイル231の第1中空導線221の他端(冷却液出口)は、U相接続部110Uに接続される。また、第4コイル234の第4中空導線224の一端(冷却液入口)も、U相接続部110Uに接続される。さらに、第7コイル2307の第7中空導線2207の他端(冷却液出口)も、U相接続部110Uに接続される。さらにまた、第10コイル2310の第10中空導線2210の一端(冷却液入口)も、U相接続部110Uに接続される。
【0143】
なお、図16では、図面の煩雑を避けるために、冷却液入口管121及び冷却液出口管122が2つずつ記載されているが、実際は1つずつである。
【0144】
U相接続部110Uは、筒状であり、第1中空導線221又は第7中空導線2207を流れた冷却液が漏れることなく、第4中空導線224又は第10中空導線2210に流れる液密構造となっている。そして、このU相接続部110Uに、U相線11Uが接続される。U相接続部110Uから第1コイル231までの電気的距離と、U相接続部110Uから第4コイル234までの電気的距離と、U相接続部110Uから第7コイル2307までの電気的距離と、U相接続部110Uから第10コイル2310までの電気的距離とは等しく又は略等しくなっている。
【0145】
図16は、U相接続部について説明しているが、V相接続部110V,W相接続部110Wも同様の構成であるので、説明を省略する。
【0146】
図16図3と比較することで明らかなように、図16の構成は、要するに図3の構成を2組用意して、並列に接続したものである。
【0147】
図17は、各コイルの並び方の一例を示す図である。
【0148】
図14では、構成を簡易的に示すために各コイルを展開して横一列に並んで示したが、12コイル8極(12N8P)のインナーロータータイプの回転電機であれば、図17(A)に示されるような並びで各コイルを配置する。すなわち、時計回りにU相コイルである第1コイル231の隣がV相コイルである第2コイル232である。第2コイル232の隣がW相コイルである第3コイル233である。第3コイル233の隣がU相コイルである第4コイル234である。第4コイル234の隣がV相コイルである第5コイル235である。第5コイル235の隣がW相コイルである第6コイル236である。第6コイル236の隣がU相コイルである第7コイル2307である。第7コイル2307の隣がV相コイルである第8コイル2308である。第8コイル2308の隣がW相コイルである第9コイル2309である。第9コイル2309の隣がU相コイルである第10コイル2310である。第10コイル2310の隣がV相コイルである第11コイル2311である。第11コイル2311の隣がW相コイルである第12コイル2312である。
【0149】
また、12コイル8極(12N8P)のアウターロータータイプの回転電機であっても、図17(B)に示されるように、図17(A)と同様の並びで各コイルを配置する。
【0150】
図18は、各コイルの並び方の別の例を示す図である。
【0151】
12コイル14極(12N14P)のインナーロータータイプの回転電機であれば、図18(A)に示されるような並びで各コイルを配置する。すなわち、時計回りにU相コイルである第1コイル231の隣がU相コイルである第4コイル234である。第4コイル234の隣がV相コイルである第2コイル232である。第2コイル232の隣がV相コイルである第5コイル235である。第5コイル235の隣がW相コイルである第3コイル233である。第3コイル233の隣がW相コイルである第6コイル236である。
第6コイル236の隣がU相コイルである第7コイル2307である。第7コイル2307の隣がU相コイルである第10コイル2310である。第10コイル2310の隣がV相コイルである第8コイル2308である。第8コイル2308の隣がV相コイルである第11コイル2311である。第11コイル2311の隣がW相コイルである第9コイル2309である。第9コイル2309の隣がW相コイルである第12コイル2312である。
【0152】
また、12コイル14極(12N14P)のアウターロータータイプの回転電機であっても、図18(B)に示されるように、図18(A)と同様の並びで各コイルを配置する。
【0153】
図19は、各コイルの並び方のさらに別の例を示す図である。
【0154】
電気エネルギー機械エネルギー変換機がリニアモーターであれば、図19に示されるような並びで各コイルを配置する。すなわち、U相コイルである第1コイル231の隣がV相コイルである第2コイル232である。第2コイル232の隣がW相コイルである第3コイル233である。第3コイル233の隣がU相コイルである第4コイル234である。第4コイル234の隣がV相コイルである第5コイル235である。第5コイル235の隣がW相コイルである第6コイル236である。第6コイル236の隣がU相コイルである第7コイル2307である。第7コイル2307の隣がV相コイルである第8コイル2308である。第8コイル2308の隣がW相コイルである第9コイル2309である。第9コイル2309の隣がU相コイルである第10コイル2310である。第10コイル2310の隣がV相コイルである第11コイル2311である。第11コイル2311の隣がW相コイルである第12コイル2312である。
【0155】
図20は、図14における冷却液の流れを説明する図である。なお矢印が冷却液の流れ方向を示している。
【0156】
冷却液入口管121を流れた冷却液は、分流して、ひとつめの流れは、第1コイル231の第1中空導線221を流れ、第4コイル234の第4中空導線224又は第10コイル2310の第10中空導線2210を通って冷却液出口管122に流れる。また、別の流れは、第7コイル2307の第7中空導線2207を流れ、第10コイル2310の第10中空導線2210又は第4コイル234の第4中空導線224を通って冷却液出口管122に流れる。
【0157】
また、別の流れは、第2コイル232の第2中空導線222を流れ、第5コイル235の第5中空導線225又は第11コイル2311の第11中空導線2211を通って冷却液出口管122に流れる。また、別の流れは、第8コイル2308の第8中空導線2208を流れ、第11コイル2311の第11中空導線2211又は第5コイル235の第5中空導線225を通って冷却液出口管122に流れる。
【0158】
さらに、別の流れは、第3コイル233の第3中空導線223を流れ、第6コイル236の第6中空導線226又は第12コイル2312の第12中空導線2212を通って冷却液出口管122に流れる。また、別の流れは、第9コイル2309の第9中空導線2209を流れ、第12コイル2312の第12中空導線2212又は第6コイル236の第6中空導線226を通って冷却液出口管122に流れる。
【0159】
図21は、図14に示した展開図を参照して電流がU相線11UからV相線11Vへ流れる様子を説明する図である。なお矢印が電流の流れ方向を示している。
【0160】
U相線11Uから入力された電流は、ひとつの流れとして、第1中空導線221を流れて冷却液入口管121を通って第2中空導線222を流れてV相線11Vに達する。また、U相線11Uから入力された電流のもうひとつの流れは、第4中空導線224を流れて冷却液出口管122を通って第5中空導線225を流れてV相線11Vに達する。さらに、U相線11Uから入力された電流のもうひとつの別の流れは、第7中空導線2207を流れて冷却液出口管122を通って第8中空導線2208を流れてV相線11Vに達する。さらにまた、U相線11Uから入力された電流のさらにもうひとつの別の流れは、第10中空導線2210を流れて冷却液出口管122を通って第11中空導線2211を流れてV相線11Vに達する。
【0161】
このように、12コイルタイプであっても、第1実施形態の6コイルタイプと同様の作用効果を得ることができる。すなわち、中空導線の中を冷却液(冷媒)が通流し、この冷却液(冷媒)が、ラジエーター61で冷却されるので、電気エネルギー機械エネルギー変換機の冷却性能に優れる。
【0162】
また、冷却液入口管121及び冷却液出口管122が、中実の導線120で電気的に接続されることで、この導線120が中性点となり、高い安全性能を得ることができる。
【0163】
また、図5(6コイルタイプ)と図15(12コイルタイプ)との比較から明らかなように、コイルを増やす場合は、必要組数の図5の構成を、並列に接続すればよい。たとえば、18コイルタイプであれば、3組の図5の構成を、並列に接続すればよい。24コイルタイプであれば、4組の図5の構成を、並列に接続すればよい。
【0164】
そして、図22に示されるように、各相の中空導線を各相の接続部に接続するとともに、各相の電線をその接続部に接続すればよい。なお、図22では、第1コイル231の第1中空導線221,第4コイル234の第4中空導線224,第7コイル2307の第7中空導線2207,第10コイル2310の第10中空導線2210,第13コイル2313の第13中空導線2213,第16コイル2316の第16中空導線2216,第19コイル2319の第19中空導線2219,第22コイル2322の第22中空導線2222が、U相接続部110Uに接続されるとともに、そのU相接続部110UにU相線11Uが接続されている。
【0165】
また、図22では、図面の煩雑を避けるために、冷却液入口管121及び冷却液出口管122が4つずつ記載されているが、実際は1つずつである。
【0166】
このように、コイルを増やす場合は、必要組数の図5の構成を、並列に接続すればよい。
【0167】
(第4実施形態)
図23は、第4実施形態の回転電機のコイルの構成を簡易的に示す図である。図24は、図23の理解を容易にするために、図23の構成図を、U相,V相,W相で上下に分けて示した図である。
【0168】
第3実施形態(12コイルタイプ)は、複数組の第1実施形態(6コイルタイプ)の構成を並列に接続することで、コイル数を増やした。本実施形態では、それとは異なる接続によってコイル数を増やす。
【0169】
はじめにU相について説明する。
第1コイル231は、第1中空導線221が巻回されることで形成されている。第1中空導線221は、冷却液が通流可能な中空状である。第1中空導線221の一端(冷却液入口)は、冷却液入口管121に接続される。なお、冷却液入口管121は、冷却液流れ方向下流側で3つの経路に分岐されており、第1中空導線221の一端(冷却液入口)は、そのうちのひとつに接続される。第1中空導線221の他端(冷却液出口)は、第4コイル234の第4中空導線224の一端(冷却液入口)に連続する。
【0170】
第4コイル234は、第4中空導線224が巻回されることで形成されている。第4中空導線224は、冷却液が通流可能な中空状である。第4中空導線224の一端(冷却液入口)は、第1中空導線221の他端(冷却液出口)に連続する。第4中空導線224の他端(冷却液出口)は、後述するようにU相接続部110Uに接続される。なお、第4中空導線224は、第1中空導線221と同一のものであって、第1中空導線221が、第1コイル231とは別の場所で巻回されることで第4中空導線224として形成されている。また、第4中空導線224は、第1中空導線221と別体のもので形成されて、第1中空導線221に連続するようにされてもよい。
【0171】
第7コイル2307は、第7中空導線2207が巻回されることで形成されている。第7中空導線2207は、冷却液が通流可能な中空状である。第7中空導線2207の一端(冷却液入口)は、後述するようにU相接続部110Uに接続される。第7中空導線2207の他端(冷却液出口)は、第10コイル2310の第10中空導線2210の一端(冷却液入口)に連続する。
【0172】
第10コイル2310は、第10コイル2310が巻回されることで形成されている。第10中空導線2210は、冷却液が通流可能な中空状である。第10中空導線2210の一端(冷却液入口)は、第7中空導線2207の他端(冷却液出口)に連続する。第10中空導線2210の他端(冷却液出口)は、冷却液出口管122に連続する。冷却液出口管122は、冷却液流れ方向上流側で3つの経路に分岐されており、第10中空導線2210の他端(冷却液出口)は、そのうちのひとつに接続される。なお、第10中空導線2210は、第7中空導線2207と同一のものであって、第7中空導線2207が、第7コイル2307とは別の場所で巻回されることで第10中空導線2210として形成されている。また、第10中空導線2210は、第7中空導線2207と別体のもので形成されて、第7中空導線2207に連続するようにされてもよい。
【0173】
そして、U相接続部110Uには、U相線11Uが接続される。
【0174】
V相についても同様である。
【0175】
すなわち、第2コイル232は、第2中空導線222が巻回されることで形成されている。第2中空導線222は、冷却液が通流可能な中空状である。第2中空導線222の一端(冷却液入口)は、冷却液入口管121に接続される。第2中空導線222の他端(冷却液出口)は、第5コイル235の第5中空導線225の一端(冷却液入口)に連続する。
【0176】
第5コイル235は、第5中空導線225が巻回されることで形成されている。第5中空導線225は、冷却液が通流可能な中空状である。第5中空導線225の一端(冷却液入口)は、第2中空導線222の他端(冷却液出口)に連続する。第5中空導線225の他端(冷却液出口)は、V相接続部110Vに接続される。なお、第5中空導線225は、第2中空導線222と同一のものであって、第2中空導線222が第2コイル232とは別の場所で巻回されることで第5中空導線225として形成されている。また、第5中空導線225は、第2中空導線222と別体のもので形成されて、第2中空導線222に連続するようにされてもよい。
【0177】
第8コイル2308は、第8中空導線2208が巻回されることで形成されている。第8中空導線2208は、冷却液が通流可能な中空状である。第8中空導線2208の一端(冷却液入口)は、V相接続部110Vに接続される。第8中空導線2208の他端(冷却液出口)は、第11コイル2311の第11中空導線2211の一端(冷却液入口)に連続する。
【0178】
第11コイル2311は、第11中空導線2211が巻回されることで形成されている。第11中空導線2211は、冷却液が通流可能な中空状である。第11中空導線2211の一端(冷却液入口)は、第8中空導線2208の他端(冷却液出口)に連続する。第11中空導線2211の他端(冷却液出口)は、冷却液出口管122に接続される。なお、第11中空導線2211は、第8中空導線2208と同一のものであって、第8中空導線2208が、第8コイル2308とは別の場所で巻回されることで第11中空導線2211として形成されている。また、第11中空導線2211は、第8中空導線2208と別体のもので形成されて、第8中空導線2208に連続するようにされてもよい。
【0179】
そして、V相接続部110Vには、V相線11Vが接続される。
【0180】
W相についても同様である。
【0181】
すなわち、第3コイル233は、第3中空導線223が巻回されることで形成されている。第3中空導線223は、冷却液が通流可能な中空状である。第3中空導線223の一端(冷却液入口)は、冷却液入口管121に接続される。第3中空導線223の他端(冷却液出口)は、第6コイル236の第6中空導線226の一端(冷却液入口)に連続する。
【0182】
第6コイル236は、第6中空導線226が巻回されることで形成されている。第6中空導線226は、冷却液が通流可能な中空状である。第6中空導線226の一端(冷却液入口)は、第3中空導線223の他端(冷却液出口)に連続する。第6中空導線226の他端(冷却液出口)は、W相接続部110Wに接続される。なお、第6中空導線226は、第3中空導線223と同一のものであって、第3中空導線223が、第3コイル233とは別の場所で巻回されることで第6中空導線226として形成されている。また、第6中空導線226は、第3中空導線223と別体のもので形成されて、第3中空導線223に連続するようにされてもよい。
【0183】
第9コイル2309は、第9中空導線2209が巻回されることで形成されている。第9中空導線2209は、冷却液が通流可能な中空状である。第9中空導線2209の一端(冷却液入口)は、W相接続部110Wに接続される。第9中空導線2209の他端(冷却液出口)は、第12コイル2312の第12中空導線2212の一端(冷却液入口)に連続する。
【0184】
第12コイル2312は、第12中空導線2212が巻回されることで形成されている。第12中空導線2212は、冷却液が通流可能な中空状である。第12中空導線2212の一端(冷却液入口)は、第9中空導線2209の他端(冷却液出口)に連続する。第12中空導線2212の他端(冷却液出口)は、冷却液出口管122に接続される。なお、第12中空導線2212は、第9中空導線2209と同一のものであって、第9中空導線2209が、第9コイル2309とは別の場所で巻回されることで第12中空導線2212として形成されている。また、第12中空導線2212は、第9中空導線2209と別体のもので形成されて、第9中空導線2209に連続するようにされてもよい。
【0185】
そして、W相接続部110Wには、W相線11Wが接続される。
【0186】
図25は、U相接続部について説明する図である。なお図25(A)は、U相接続部110Uの平断面図であり、図25(B)は、U相接続部付近を簡易化して説明する図である。
【0187】
上述の通り、第1中空導線221の他端(冷却液出口)は、第4中空導線224の一端(冷却液入口)に連続する。したがって、第1コイル231(第1中空導線221)及び第4コイル234(第4中空導線224)は、直列に接続されている、と言うことができる。なお、第4中空導線224は、第1中空導線221と同じものであってもよい。すなわち、第1中空導線221が巻回されて第1コイル231を形成するとともに、第1コイル231とは別の場所で巻回されて第4コイル234をも形成してもよい。
【0188】
また、第7中空導線2207の他端(冷却液出口)は、第10中空導線2210の一端(冷却液入口)に連続する。したがって、第7コイル2307(第7中空導線2207)及び第10コイル2310(第10中空導線2210)も、直列に接続されている、と言うことができる。なお、第10中空導線2210は、第7中空導線2207と同じものであってもよい。すなわち、第7中空導線2207が巻回されて第7コイル2307を形成するとともに、第7コイル2307とは別の場所で巻回されて第10コイル2310をも形成してもよい。
【0189】
また、第4中空導線224の他端(冷却液出口)は、U相接続部110Uに接続される。また第7中空導線2207の一端(冷却液入口)も、U相接続部110Uに接続される。したがって、直列接続された第1コイル231及び第4コイル234と、直列接続された第7コイル2307及び第10コイル2310とは、並列接続されている、と言うことができる。
【0190】
そして、U相接続部110Uは、筒状であり、第4中空導線224を流れた冷却液が漏れることなく、第7中空導線2207に流れる液密構造となっている。そして、このU相接続部110Uに、U相線11Uが接続される。U相接続部110Uから第4コイル234までの電気的距離と、U相接続部110Uから第7コイル2307までの電気的距離とは等しく又は略等しくなっている。また、U相接続部110Uから第1コイル231までの電気的距離と、U相接続部110Uから第10コイル2310までの電気的距離も等しく又は略等しくなっている。
【0191】
また、上述の通り、第1中空導線221の一端(冷却液入口)は、冷却液入口管121に接続され、第10中空導線2210の他端(冷却液出口)は、冷却液出口管122に接続されている。そして、冷却液入口管121及び冷却液出口管122は、中実の導線120で電気的に接続されている。
【0192】
図25は、U相接続部について説明しているが、V相接続部110V,W相接続部110Wも同様の構成であるので、説明を省略する。
【0193】
図26は、各コイルの並び方の一例を示す図である。
図23では、構成を簡易的に示すために各コイルを展開して横一列に並べて示したが、12コイル8極(12N8P)のインナーロータータイプの回転電機であれば、図26(A)に示されるような並びで各コイルを配置する。すなわち、時計回りにU相コイルである第1コイル231の隣がV相コイルである第2コイル232である。第2コイル232の隣がW相コイルである第3コイル233である。第3コイル233の隣がU相コイルである第4コイル234である。第4コイル234の隣がV相コイルである第5コイル235である。第5コイル235の隣がW相コイルである第6コイル236である。第6コイル236の隣がU相コイルである第7コイル2307である。第7コイル2307の隣がV相コイルである第8コイル2308である。第8コイル2308の隣がW相コイルである第9コイル2309である。第9コイル2309の隣がU相コイルである第10コイル2310である。第10コイル2310の隣がV相コイルである第11コイル2311である。第11コイル2311の隣がW相コイルである第12コイル2312である。
【0194】
このような並びは、図17(A)を参照して明らかなように、第3実施形態と同じである。なお、12コイル8極(12N8P)のアウターロータータイプの回転電機の場合も、図17(B)に示される第3実施形態と同じであるので、詳細な説明は省略する。
【0195】
また、12コイル14極(12N14P)のインナーロータータイプの回転電機であれば、図26(B)に示されるような並びで各コイルを配置する。すなわち、時計回りにU相コイルである第1コイル231の隣がU相コイルである第4コイル234である。第4コイル234の隣がV相コイルである第2コイル232である。第2コイル232の隣がV相コイルである第5コイル235である。第5コイル235の隣がW相コイルである第3コイル233である。第3コイル233の隣がW相コイルである第6コイル236である。第6コイル236の隣がU相コイルである第7コイル2307である。第7コイル2307の隣がU相コイルである第10コイル2310である。第10コイル2310の隣がV相コイルである第8コイル2308である。第8コイル2308の隣がV相コイルである第11コイル2311である。第11コイル2311の隣がW相コイルである第9コイル2309である。第9コイル2309の隣がW相コイルである第12コイル2312である。
【0196】
このような並びは、図18(A)を参照して明らかなように、第3実施形態と同じである。なお、12コイル14極(12N14P)のアウターロータータイプの回転電機の場合も、図18(B)に示される第3実施形態と同じであるので、詳細な説明は省略する。
【0197】
さらに、電気エネルギー機械エネルギー変換機がリニアモーターであれば、図26(C)に示されるような並びで各コイルを配置する。すなわち、U相コイルである第1コイル231の隣がV相コイルである第2コイル232である。第2コイル232の隣がW相コイルである第3コイル233である。第3コイル233の隣がU相コイルである第4コイル234である。第4コイル234の隣がV相コイルである第5コイル235である。第5コイル235の隣がW相コイルである第6コイル236である。第6コイル236の隣がU相コイルである第7コイル2307である。第7コイル2307の隣がV相コイルである第8コイル2308である。第8コイル2308の隣がW相コイルである第9コイル2309である。第9コイル2309の隣がU相コイルである第10コイル2310である。第10コイル2310の隣がV相コイルである第11コイル2311である。第11コイル2311の隣がW相コイルである第12コイル2312である。
【0198】
このような並びは、図19を参照して明らかなように、第3実施形態と同じである。
【0199】
図27は、図23における冷却液の流れを説明する図である。なお矢印が冷却液の流れ方向を示している。
【0200】
冷却液入口管121を流れた冷却液は、分流して、1つめの流れは、第1コイル231→第4コイル234→第7コイル2307→第10コイル2310→冷却液出口管122と流れる。
【0201】
また、別の流れは、第2コイル232の第2中空導線222→第5コイル235の第5中空導線225→第8コイル2308の第8中空導線2208→第11コイル2311の第11中空導線2211→冷却液出口管122と流れる。
【0202】
さらに、別の流れは、第3コイル233の第3中空導線223→第6コイル236の第6中空導線226→第9コイル2309の第9中空導線2209→第12コイル2312の第12中空導線2212→冷却液出口管122と流れる。
【0203】
図28は、図23に示した展開図を参照して電流がU相線11UからV相線11Vへ流れる様子を説明する図である。なお矢印が電流の流れ方向を示している。
【0204】
U相線11Uから入力された電流は、ひとつの流れとして、第4コイル234→第1コイル231→冷却液入口管121→第2コイル232→第5コイル235→V相線11Vと流れる。
【0205】
また、U相線11Uから入力された電流のもうひとつの流れは、第7コイル2307→第10コイル2310→冷却液出口管122→第11コイル2311→第8コイル2308→V相線11Vと流れる。
【0206】
このように、第4実施形態のように直列接続した中空導線をさらに並列接続するタイプであっても、第3実施形態のように中空導線を並列接続したタイプと同様の作用効果を得ることができる。すなわち、中空導線の中を冷却液(冷媒)が通流し、この冷却液(冷媒)が、ラジエーター61で冷却されるので、電気エネルギー機械エネルギー変換機の冷却性能に優れる。
【0207】
また、冷却液入口管121及び冷却液出口管122が、中実の導線120で電気的に接続されることで、この導線120が中性点となり、高い安全性能を得ることができる。
【0208】
なお、コイル数を増やす場合、たとえば、24コイルの場合は、U相について説明すると図29に示されるようにする。すなわち、図25の構成に以下の構成を加える。第13コイル2313と第16コイル2316とを直列に構成する。そして、第13コイル2313の第13中空導線2213の一端(冷却液入口)を冷却液入口管121に接続する。また、第16コイル2316の第16中空導線2216の他端(冷却液出口)をU相接続部110Uに接続する。また、第19コイル2319と第22コイル2322とを直列に構成する。そして、第19コイル2319の第19中空導線2219の一端(冷却液入口)をU相接続部110Uに接続する。第22コイル2322の第22中空導線2222の他端(冷却液出口)を冷却液出口管122に接続する。
【0209】
なお、図29では、図面の煩雑を避けるために、冷却液入口管121及び冷却液出口管122が2つずつ記載されているが、実際は1つずつである。
【0210】
そして、冷却液入口管121及び冷却液出口管122は、中実の導線120で電気的に接続されている。
【0211】
なお、U相接続部110Uから第4コイル234までの電気的距離と、U相接続部110Uから第7コイル2307までの電気的距離と、U相接続部110Uから第16コイル2316までの電気的距離と、U相接続部110Uから第19コイル2319までの電気的距離とは等しく又は略等しくなっている。
【0212】
また、U相接続部110Uから第1コイル231までの電気的距離と、U相接続部110Uから第10コイル2310までの電気的距離と、U相接続部110Uから第13コイル2313までの電気的距離と、U相接続部110Uから第22コイル2322までの電気的距離も等しく又は略等しくなっている。
【0213】
図29は、U相について説明しているが、V相,W相も同様の構成であるので、説明を省略する。
【0214】
このように構成することで、24コイルタイプとすることができる。
【0215】
また、36コイルの場合は、U相について説明すると図30に示されるようにする。すなわち、図29の構成に以下の構成が加えられている。第25コイル2325と第28コイル2328とが直列に構成されている。そして、第25コイル2325の第25中空導線2225の一端(冷却液入口)が冷却液入口管121に接続されている。また、第28コイル2328の第28中空導線2228の他端(冷却液出口)がU相接続部110Uに接続されている。さらに、第31コイル2331と第34コイル2334とが直列に構成されている。そして、第31コイル2331の第31中空導線2231の一端(冷却液入口)がU相接続部110Uに接続されている。また、第34コイル2334の第34中空導線2234の他端(冷却液出口)が冷却液出口管122に接続されている。
【0216】
なお、図30では、図面の煩雑を避けるために、冷却液入口管121及び冷却液出口管122が3つずつ記載されているが、実際は1つずつである。
【0217】
そして、冷却液入口管121及び冷却液出口管122は、中実の導線120で電気的に接続されている。
【0218】
なお、U相接続部110Uから第4コイル234までの電気的距離と、U相接続部110Uから第7コイル2307までの電気的距離と、U相接続部110Uから第16コイル2316までの電気的距離と、U相接続部110Uから第19コイル2319までの電気的距離と、U相接続部110Uから第28コイル2328までの電気的距離と、U相接続部110Uから第31コイル2331までの電気的距離とは等しく又は略等しくなっている。
【0219】
また、U相接続部110Uから第1コイル231までの電気的距離と、U相接続部110Uから第10コイル2310までの電気的距離と、U相接続部110Uから第13コイル2313までの電気的距離と、U相接続部110Uから第22コイル2322までの電気的距離と、U相接続部110Uから第25コイル2325までの電気的距離と、U相接続部110Uから第34コイル2334までの電気的距離も等しく又は略等しくなっている。
【0220】
図30は、U相について説明しているが、V相,W相も同様の構成であるので、説明を省略する。
【0221】
このように構成することで、36コイルタイプとすることができる。
【0222】
また、48コイルの場合は、U相について説明すると図31に示されるようにする。すなわち、図30の構成に以下の構成を加える。第37コイル2337と第40コイル2340とが直列に構成されている。また、第37コイル2337の第37中空導線2237の一端(冷却液入口)は冷却液入口管121に接続されている。第40コイル2340の第40中空導線2240の他端(冷却液出口)はU相接続部110Uに接続されている。さらに、第43コイル2343と第46コイル2346とが直列に構成されている。また、第43コイル2343の第43中空導線2243の一端(冷却液入口)はU相接続部110Uに接続されている。また、第46コイル2346の第46中空導線2246の他端(冷却液出口)は冷却液出口管122に接続されている。
【0223】
なお、図31では、図面の煩雑を避けるために、冷却液入口管121及び冷却液出口管122が4つずつ記載されているが、実際は1つずつである。
【0224】
そして、冷却液入口管121及び冷却液出口管122は、中実の導線120で電気的に接続されている。
【0225】
なお、U相接続部110Uから第4コイル234までの電気的距離と、U相接続部110Uから第7コイル2307までの電気的距離と、U相接続部110Uから第16コイル2316までの電気的距離と、U相接続部110Uから第19コイル2319までの電気的距離と、U相接続部110Uから第28コイル2328までの電気的距離と、U相接続部110Uから第31コイル2331までの電気的距離と、U相接続部110Uから第40コイル2340までの電気的距離と、U相接続部110Uから第43コイル2343までの電気的距離とは等しく又は略等しくなっている。
【0226】
また、U相接続部110Uから第1コイル231までの電気的距離と、U相接続部110Uから第10コイル2310までの電気的距離と、U相接続部110Uから第13コイル2313までの電気的距離と、U相接続部110Uから第22コイル2322までの電気的距離と、U相接続部110Uから第25コイル2325までの電気的距離と、U相接続部110Uから第34コイル2334までの電気的距離と、U相接続部110Uから第37コイル2337までの電気的距離と、U相接続部110Uから第46コイル2346までの電気的距離も等しく又は略等しくなっている。
【0227】
図31は、U相について説明しているが、V相,W相も同様の構成であるので、説明を省略する。
【0228】
このように構成することで、48コイルタイプとすることができる。
【0229】
(第5実施形態)
図32は、第5実施形態のU相接続部について説明する図である。なお図32(A)は、U相接続部110Uの平断面図であり、図32(B)は、U相接続部付近を簡易化して説明する図である。
【0230】
第4実施形態では、2つのコイルが直列に連続しており、一方のコイルの中空導線の一端(冷却液入口)が冷却液入口管121に接続されるとともに他方のコイルの中空導線の他端(冷却液出口)がU相等の接続部に接続される。さらに、別の2つのコイルも直列に連続しており、一方のコイルの中空導線の一端(冷却液入口)がU相等の接続部に接続されるとともに他方のコイルの中空導線の他端(冷却液出口)が冷却液出口管122に接続される。このような構成のコイルのグループが複数用意されて、U相等の接続部に接続されることで、コイル数の増加に対応していた。そのため、U相等の接続部は、コイル数が増え、コイルのグループが増えることで、比較的大きなスペースを要してしまう。
【0231】
これに対して、本実施形態では、以下のように構成される。すなわち、第1コイル231と第4コイル234と第7コイル2307と第10コイル2310とが直列に連続している。そして、第1コイル231の第1中空導線221の一端(冷却液入口)が冷却液入口管121に接続される。また、第10コイル2310の第10中空導線2210の他端(冷却液出口)がU相接続部110Uに接続される。さらに、第13コイル2313と第16コイル2316と第19コイル2319と第22コイル2322とか直列に連続している。そして、第13コイル2313の第13中空導線2213の一端(冷却液入口)がU相接続部110Uに接続される。また、第22コイル2322の第22中空導線2222の他端(冷却液出口)が冷却液出口管122に接続される。
【0232】
そして、冷却液入口管121及び冷却液出口管122は、中実の導線120で電気的に接続される。
【0233】
なお、U相接続部110Uから第10コイル2310までの電気的距離と、U相接続部110Uから第13コイル2313までの電気的距離とは等しく又は略等しくなっている。また、U相接続部110Uから第7コイル2307までの電気的距離と、U相接続部110Uから第16コイル2316までの電気的距離とは等しく又は略等しくなっている。さらに、U相接続部110Uから第4コイル234までの電気的距離と、U相接続部110Uから第19コイル2319までの電気的距離とは等しく又は略等しくなっている。さらにまた、U相接続部110Uから第1コイル231までの電気的距離と、U相接続部110Uから第22コイル2322までの電気的距離とは等しく又は略等しくなっている。
【0234】
図32は、U相について説明しているが、V相,W相も同様の構成であるので、説明を省略する。
【0235】
本実施形態では、このように、直列に連続しているコイルを増やすことで、コイル数の増加に対応する。このように構成することでも、24コイルタイプとすることができる。そして、本実施形態のように構成することで、コイル数が増えても、U相等の小スペース化が可能である。また、コイルの設計段階で、内部スペースや各パラメータにより第4実施形態および第5実施形態のどちらかのコイル巻形態を使用するか最適な形状を適宜選択可能である。
【0236】
(第6実施形態)
図33は、第6実施形態の電気エネルギー機械エネルギー変換機システムのコイルの構成を簡易的に示す図である。図34は、図33の理解を容易にするために、図33の構成図を、U相,V相,W相で上下に分けて示した図である。
【0237】
上記各実施形態は、各コイルが重ならない集中巻タイプであったが、これには限られない。各コイルが重なる分布巻タイプであってもよい。
【0238】
図33に示される電気エネルギー機械エネルギー変換機システムは、各コイルが重なる分布巻タイプである。
【0239】
この実施形態のステーター2のステーターコア21の内周面には、6つのコイルが配設されている。具体的にはステーターコア21には、第1コイル231と、第2コイル232と、第3コイル233と、第4コイル234と、第5コイル235と、第6コイル236とが配設されている。
【0240】
第1コイル231は、第1中空導線221が巻回されて形成される。第1中空導線221は、冷却液が通流可能な中空状である。第1中空導線221の一端(冷却液入口)は、冷却液入口管121に接続される。第1中空導線221の他端(冷却液出口)は、U相接続部110Uに接続される。
【0241】
第2コイル232は、第2中空導線222が巻回されて形成される。図面では、煩雑を避けるために、第2コイル232が第1コイル231よりも一回り大きく示されているが、実際は同様のサイズである。第2コイル232は、第1コイル231とは交互に重なるように配設される。第2中空導線222は、冷却液が通流可能な中空状である。第2中空導線222の一端(冷却液入口)は、冷却液入口管121に接続される。第2中空導線222の他端(冷却液出口)は、V相接続部110Vに接続される。
【0242】
第3コイル233は、第3中空導線223が巻回されて形成される。図面では、煩雑を避けるために、第3コイル233が第2コイル232よりも一回り大きく示されているが、実際は同様のサイズである。第3コイル233は、第1コイル231とは反対側に交互に第2コイル232に重なるように配設される。第3中空導線223は、冷却液が通流可能な中空状である。第3中空導線223の一端(冷却液入口)は、冷却液入口管121に接続される。第3中空導線223の他端(冷却液出口)は、W相接続部110Wに接続される。
【0243】
第4コイル234は、第4中空導線224が巻回されて形成される。図面では、煩雑を避けるために、第4コイル234が第3コイル233よりも一回り大きく示されているが、実際は同様のサイズである。第4コイル234は、第2コイル232とは反対側に交互に第3コイル233に重なるように配設される。第4中空導線224は、冷却液が通流可能な中空状である。第4中空導線224の一端(冷却液入口)は、U相接続部110Uに接続される。第4中空導線224の他端(冷却液出口)は、冷却液出口管122に接続される。
【0244】
第5コイル235は、第5中空導線225が巻回されて形成される。図面では、煩雑を避けるために、第5コイル235が第4コイル234よりも一回り大きく示されているが、実際は同様のサイズである。第5コイル235は、第3コイル233とは反対側に交互に第4コイル234に重なるように配設される。第5中空導線225は、冷却液が通流可能な中空状である。第5中空導線225の一端(冷却液入口)は、V相接続部110Vに接続される。第5中空導線225の他端(冷却液出口)は、冷却液出口管122に接続される。
【0245】
第6コイル236は、第6中空導線226が巻回されて形成される。図面では、煩雑を避けるために、第6コイル236が第5コイル235よりも一回り大きく示されているが、実際は同様のサイズである。第6コイル236は、第4コイル234とは反対側に交互に第5コイル235に重なるように配設される。第6中空導線226は、冷却液が通流可能な中空状である。第6中空導線226の一端(冷却液入口)は、W相接続部110Wに接続される。第6中空導線226の他端(冷却液出口)は、冷却液出口管122に接続される。
【0246】
冷却液入口管121及び冷却液出口管122は、冷却液が通流可能な中空状である。そして、冷却液入口管121及び冷却液出口管122は、中実の導線120を介して電気的に接続されている。
【0247】
そして、U相接続部110Uに、U相線11Uが接続される。V相接続部110Vに、V相線11Vが接続される。W相接続部110Wに、W相線11Wが接続される。
【0248】
なお、図33及び図34は、図面の煩雑を避けるために簡易的な記載となっているが、U相接続部110Uから第1コイル231までの電気的距離とU相接続部110Uから第4コイル234までの電気的距離とは等しく又は略等しくなっている。
【0249】
また、V相接続部110Vから第2コイル232までの電気的距離とV相接続部110Vから第5コイル235までの電気的距離とは等しく又は略等しくなっている。
【0250】
さらに、W相接続部110Wから第3コイル233までの電気的距離とW相接続部110Wから第6コイル236までの電気的距離とは等しく又は略等しくなっている。
【0251】
このような構成とすることで、各コイルが重なる分布巻タイプの回転電機とすることができる。
【0252】
冷却液の流れについて説明する。
図35は、図33における冷却液の流れを説明する図である。なお矢印が冷却液の流れ方向を示している。
【0253】
冷却液入口管121を流れた冷却液は、3つの流れに分かれる。
1つめの流れは、第1コイル231の第1中空導線221を流れ、第2コイル232の第2中空導線222を通って冷却液出口管122に流れる。
【0254】
2つめの流れは、第3コイル233の第3中空導線223を流れ、第4コイル234の第4中空導線224を通って冷却液出口管122に流れる。
【0255】
3つめの流れは、第5コイル235の第5中空導線225を流れ、第6コイル236の第6中空導線226を通って冷却液出口管122に流れる。
【0256】
続いて、電流の流れについて説明する。
図36は、図33において電流がU相線11UからV相線11Vへ流れる様子を説明する図である。なお矢印が電流の流れ方向を示している。
【0257】
U相線11Uから入力された電流は、ひとつの流れとして、第1中空導線221を流れて冷却液入口管121を通って第3中空導線223を流れてV相線11Vに達する。また、U相線11Uから入力された電流のもうひとつの流れは、第2中空導線222を流れて冷却液出口管122を通って第4中空導線224を流れてV相線11Vに達する。
【0258】
このように、各コイルが重なるタイプであっても、各コイルが重ならないタイプと同様の作用効果を得ることができる。すなわち、中空導線の中を冷却液(冷媒)が通流し、この冷却液(冷媒)が、ラジエーター61で冷却されるので、電気エネルギー機械エネルギー変換機の冷却性能に優れる。
【0259】
また、冷却液入口管121及び冷却液出口管122が、中実の導線120で電気的に接続されることで、この導線120が中性点となり、高い安全性能を得ることができる。
【0260】
(第7実施形態)
図37は、回転電機の第7実施形態を示す図であり、U相接続部について説明する図である。なお図37(A)は、U相接続部110Uの平断面図であり、図37(B)は、U相接続部付近を簡易化して説明する図である。
【0261】
第1実施形態では、1本の中空導線を巻回すことでコイルを形成していた。これに対して、この第7実施形態では、2本の中空導線を一緒に巻回すことでコイルを形成する。
【0262】
具体的には、2本の中空導線221-1,221-2が巻回されてコイル231-1,231-2が形成されている。つまり本実施形態は、第1実施形態の1本の中空導線が、2本で構成されているものである。
【0263】
特開2004-135386号公報では、途中で折り返されて二重になっている特殊な中空導線を巻回すので、特殊な製造装置が必要であった。これに対して、本実施形態の回転電機は、2本の中空導線を一緒に巻回すので、特殊な製造装置が必要なく、生産性がよい。
前述した従来の電気機械は、途中で折り返されて二重になっている1本の中空導線を巻回してステーターコイルを構成するので、特殊な中空導線製造装置および巻回装置が必要であり、生産性が悪かった。また、中空導線を束状で複数巻回する場合であっても、往復の流路を確保するため必ずペアの中空導線を用いて巻回しなければならなかった。
さらに、ベルヌーイの定理を用いて冷却水の必要圧力を求めると、コイルの中空導線の長さおよび断面積を一定で計算した際に、特開2004-135386号の場合には1導線において冷却水の往復通路(2通路)が必要であるため、同じ長さおよび同じ断面積を持つ中空導線では往復通路の各配管内径は1通路の中空導線と比較して片側の通路断面積が1/2以下となるため、同じ冷却水流量時にはポンプの必要圧力は5倍以上となり、すなわち必要圧力は断面積を除した数値の凡そ2.3乗に比例する。同じ冷却水圧力とした場合、冷却水の流量は1/3程度となりコイルからの発熱の除熱熱量も1/3程度となることで、冷却に必要なポンプ動力は5倍以上必要で動力損失の観点からみても好ましくない。また、同圧力・同温度上限の冷却システムを用いた場合、回転電機から取り出せる出力は1/2程度となる。すなわち同じ冷却能力を得る場合には、中空導線の断面積を2倍にする必要があり、回転電機などの体積および重量が増加する。
【0264】
中空導線221-1及び中空導線221-2の一端(冷却液入口)は、冷却液入口管121に連続する。中空導線221-1及び中空導線221-2の他端(冷却液出口)は、U相接続部110Uに接続される。
【0265】
また、2本の中空導線224-1,224-2が巻回されてコイル234-1,234-2が形成されている。
【0266】
中空導線224-1及び中空導線224-2の一端(冷却液入口)は、U相接続部110Uに接続される。中空導線224-1及び中空導線224-2の他端(冷却液出口)は、冷却液出口管122に接続される。
【0267】
U相接続部110Uに、U相線11Uが接続される。U相接続部110Uからコイル231-1,231-2までの電気的距離とU相接続部110Uからコイル234-1,234-2までの電気的距離とは等しく又は略等しくなっている。冷却液入口管121及び冷却液出口管122は、中実の導線120を介して電気的に接続されている。
【0268】
図37は、U相接続部について説明しているが、V相接続部110V,W相接続部110Wも同様の構成であるので、説明を省略する。また、冷却液や電気流れは第1実施形態と同様であるので、説明を省略する。
【0269】
このような構成にすれば、第1実施形態よりも細い中空導線を使用することが可能になり、巻線の密度を上げることができる。
【0270】
(第8実施形態)
図38は、回転電機の第8実施形態を示す図であり、U相接続部について説明する図である。なお図38(A)は、U相接続部110Uの平断面図であり、図38(B)は、U相接続部付近を簡易化して説明する図である。
【0271】
第7実施形態では、2本の中空導線を一緒に巻回すことでコイルを形成していた。これに対して、この第8実施形態では、3本の中空導線を一緒に巻回すことでコイルを形成する。
【0272】
具体的には、3本の中空導線221-1,221-2,221-3が巻回されてコイル231-1,231-2,231-3が形成されている。つまり本実施形態は、第1実施形態の1本の中空導線が、3本で構成されているものである。
【0273】
中空導線221-1及び中空導線221-2及び中空導線221-3の一端(冷却液入口)は、冷却液入口管121に連続する。中空導線221-1及び中空導線221-2及び中空導線221-3の他端(冷却液出口)は、U相接続部110Uに接続される。
【0274】
また、3本の中空導線224-1,224-2,224-3が巻回されてコイル234-1,234-2,234-3が形成されている。
【0275】
中空導線224-1及び中空導線224-2及び中空導線224-3の一端(冷却液入口)は、U相接続部110Uに接続される。中空導線224-1及び中空導線224-2及び中空導線224-3の他端(冷却液出口)は、冷却液出口管122に接続される。
【0276】
U相接続部110Uに、U相線11Uが接続される。U相接続部110Uからコイル231-1,231-2,231-3までの電気的距離とU相接続部110Uからコイル234-1,234-2,234-3までの電気的距離とは等しく又は略等しくなっている。冷却液入口管121及び冷却液出口管122は、中実の導線120を介して電気的に接続されている。
【0277】
図38は、U相接続部について説明しているが、V相接続部110V,W相接続部110Wも同様の構成であるので、説明を省略する。また、冷却液や電気流れは第1実施形態と同様であるので、説明を省略する。
【0278】
このような構成にすれば、1本の中空導線では対応できない構造などにおいて、第1実施形態や第7実施形態より多数の導線を並列に巻回することで、電流密度・冷却水圧力の低下により更なる高出力化が可能となる。巻回する中空導線の本数に関して、上限はなく、設計時において束数を決定する。
【0279】
このように、複数の中空導線を束ねて巻回すことでコイルを形成することが可能であり、既存の回転電機設計仕様を大きく変更することなく巻回も可能であり、設計上の自由度が増す。
【0280】
(電気エネルギー機械エネルギー変換機システムの第2実施形態)
図39は、電気エネルギー機械エネルギー変換機システムのもうひとつの例を示す図である。
【0281】
図12には、ラジエーター61が冷却液循環路50に設けられ、冷却ファン62がこのラジエーター61に風を送ることで、ラジエーター61を流れる冷却液の温度の低下を促進するタイプの電気エネルギー機械エネルギー変換機システムSが示されていた。
【0282】
これに対して、図39に示される電気エネルギー機械エネルギー変換機システムSは、電気エネルギー機械エネルギー変換機ユニットUと、冷却システムS1とを有する。
【0283】
電気エネルギー機械エネルギー変換機ユニットUは、回転電機(電気エネルギー機械エネルギー変換機)1と、循環ポンプ5と、プレートフィン熱交換器631と、コントローラー7とを備える。基本的な構成は、図1に示される電気エネルギー機械エネルギー変換機システムと同じであるので、同様の機能を果たす部分には同一の符号を付して重複する説明を適宜省略する。
【0284】
ただし、電気エネルギー機械エネルギー変換機ユニットUでは、冷却液循環路50に、プレートフィン熱交換器631が設けられている。そして、回転電機(電気エネルギー機械エネルギー変換機)1と、循環ポンプ5と、プレートフィン熱交換器631と、コントローラー7とがユニット化されている。
【0285】
冷却システムS1は、プレートフィン熱交換器632と、循環ポンプ52と、熱交換部602とを備える。
【0286】
プレートフィン熱交換器632は、プレートフィン熱交換器631と対となるものであり、プレートフィン熱交換器631にセットされる。
【0287】
循環ポンプ52は、冷却液循環路502に設けられている。より詳細には、循環ポンプ52は、プレートフィン熱交換器632よりも冷却液循環路502の冷却液流れ方向上流に設けられている。
【0288】
熱交換部602は、ラジエーター612と冷却ファン622とを備える。ラジエーター612は、冷却液循環路502に設けられている。より詳細には、ラジエーター612は、プレートフィン熱交換器632よりも冷却液循環路502の冷却液流れ方向下流かつ循環ポンプ52よりも冷却液循環路502の冷却液流れ方向上流に設けられている。冷却ファン622は、ラジエーター612に風を送り、ラジエーター612を流れる冷却液の温度の低下を促進する。
【0289】
このように、電気エネルギー機械エネルギー変換機1が、循環ポンプ5やプレートフィン熱交換器631などとともにユニット化されていれば、冷却システムS1としては従来システムを流用できる。たとえば、内燃エンジン車を電気自動車に改造するコンバージョンEVであれば、内燃エンジンに代えて電気エネルギー機械エネルギー変換機ユニットUを搭載するとともに、従来から車両に搭載されているラジエーター等を利用して、冷却システムS1とすればよい。また、船舶などにおいてはモーター本体には直接腐食性の高い冷媒を循環させることなく、海水等で二次的に冷却可能となる。
【0290】
このようにすることで、電気エネルギー機械エネルギー変換機システムSの製造コストを安価に抑えることができる。
【0291】
以上、本発明の実施形態について説明したが、上記実施形態は本発明の適用例の一部を示したに過ぎず、本発明の技術的範囲を上記実施形態の具体的構成に限定する趣旨ではない。
【0292】
回転電機の種類について問わない。例えば、アキシャルフラックス型回転電機や、SR回転電機、誘導回転電機、同期回転電機、同期リラクタンス回転電機、ヨークレス型回転電機などにも応用可能である。
【0293】
また、使用する冷媒としては、水系冷媒および空気などの気体はもちろんのこと、それ以外に、不凍液、液化フロン・ハロン類、液化炭化水素類、シリコーン油類、液化アンモニア、液化窒素、液化水素、液化希ガス類、液化炭酸ガスなどであってもよい。水などの冷媒は、適宜腐食防止などの添加剤などを混合しても良い。
【0294】
冷媒を液体窒素や液体ヘリウムなどの極低温冷媒にし、超電導素材を中空導線とすることで、超電導回転電機とすることができる。
【0295】
さらに、冷媒経路上に、イオン交換樹脂フィルターを設置してもよい。このようにすることで、冷媒中のイオンを除去して冷媒の電気伝導度を低下させ絶縁性を高めておくことができ、万一伝導性のある冷媒が漏洩した際にも漏電などを最小限に抑えることが可能となる。
【0296】
さらにまた、上記においては、電気エネルギー機械エネルギー変換機システムが、出力が調整される機械に搭載されている場合で説明したが、これに限られない。風車や水車などの発電機に使用してもよい。ハイブリッドユニットの発電機としても使用でき、この場合、システムの高効率・小型・軽量化も図ることができる。また、可搬タイプの発電機に使用してもよい。また、ロボット用の回転電機に使用してもよい。
【0297】
導線であるコイル形状に関しては、丸型や角型・多角形型などが使用でき、また金属3Dプリンタなどで成形しても良い。また、コイル素材に関しても銅やアルミに限らずあらゆる導体を使用できる。
【0298】
なお上記実施形態は、適宜組み合わせ可能である。
【符号の説明】
【0299】
1 電気エネルギー機械エネルギー変換機(回転電機,リニアモーター)
2 ステーター
11U U相線
11V V相線
11W W相線
120 接続導線
121 冷媒入口管
122 冷媒出口管
21 ステーターコア
231 第1コイル(U相冷媒入口コイル)
232 第2コイル(V相冷媒入口コイル)
233 第3コイル(W相冷媒入口コイル)
234 第4コイル(U相冷媒出口コイル)
235 第5コイル(V相冷媒出口コイル)
236 第6コイル(W相冷媒出口コイル)
2307 第7コイル
2308 第8コイル
2309 第9コイル
2310 第10コイル(U相冷媒出口コイル)
2311 第11コイル(V相冷媒出口コイル)
2312 第12コイル(W相冷媒出口コイル)
5 循環ポンプ
6 放熱部
61 ラジエーター
62 冷却ファン
7 コントローラー
【要約】
【課題】冷却性能が高く、生産性にも優れる電気エネルギー機械エネルギー変換機及びそれを用いるシステムを提供する。
【解決手段】冷媒入口管121と、冷媒出口管122と、冷媒入口管121と冷媒出口管122とを導通可能に接続する接続導線120と、ステーターコア21と、冷媒が通流可能な中空導線によるU相冷媒入口コイル231と、中空導線によるU相冷媒出口コイル234と、中空導線によるV相冷媒入口コイル232と、中空導線によるV相冷媒出口コイル235と、中空導線によるW相冷媒入口コイル233と、中空導線によるW相冷媒出口コイル236と、U相冷媒入口コイル231とU相冷媒出口コイル234との間に接続されるU相線11Uと、V相冷媒入口コイル232とV相冷媒出口コイル235との間に接続されるV相線11Vと、W相冷媒入口コイル233とW相冷媒出口コイル236との間に接続されるW相線11Wとを有する。
【選択図】図2
図1
図2
図3
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図5
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