(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-01-30
(45)【発行日】2023-02-07
(54)【発明の名称】パックスクリーン型磁気熱量素子
(51)【国際特許分類】
F25B 21/00 20060101AFI20230131BHJP
H01F 1/01 20060101ALI20230131BHJP
【FI】
F25B21/00 A
H01F1/01 120
(21)【出願番号】P 2017565961
(86)(22)【出願日】2016-06-08
(86)【国際出願番号】 EP2016063034
(87)【国際公開番号】W WO2016202663
(87)【国際公開日】2016-12-22
【審査請求日】2019-06-07
【審判番号】
【審判請求日】2021-08-13
(32)【優先日】2015-06-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】521287245
【氏名又は名称】マグネート ベー.フェー.
(74)【代理人】
【識別番号】100100354
【氏名又は名称】江藤 聡明
(72)【発明者】
【氏名】シャルフ,フロリアン
(72)【発明者】
【氏名】チャン,リヤン
(72)【発明者】
【氏名】レーシンク,ベルナルド ヘンドリク
(72)【発明者】
【氏名】ヴァン アステン,ダヴィット
【合議体】
【審判長】間中 耕治
【審判官】平城 俊雅
【審判官】白土 博之
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2013/147177(WO,A1)
【文献】米国特許第5429177(US,A)
【文献】特開平5-71816(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F25B 9/00,21/00
F28D 17/00-21/00
H01F 1/01
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
磁気熱量ヒートポンプであって、
磁気熱量材料のファイバによって形成された磁気熱量格子素子、及び
該磁気熱量格子素子に外部磁場を印加するための磁石アセンブリを備え、
前記磁気熱量格子素子及び前記磁石アセンブリは、前記磁気熱量格子素子に前記外部磁場を、
前記ファイバの長手伸長方向
により決定された前記主要質量加重方向と平行な磁
場方向で印加するように相互配置するように構成され
、
前記ファイバは、互いに平行な格子面に配列され、各ファイバは、磁気熱量材料のそれぞれの質量を有し、
任意の所定の格子面の前記ファイバは互いに接触しないが、前記所定の格子面の前記ファイバは、それぞれ、前記所定の格子面に隣接する格子面の少なくとも2つのそれぞれの他のファイバに接触し、
前記磁気熱量格子素子は、前記ファイバの長手伸長方向により決定された1つの主要質量加重方向を正確に示し、
各ファイバは、長手方向のファイバセグメントに区切られ、各ファイバセグメントが、セグメント質量と、それぞれの長手方向のセグメント方向に沿ったセグメントの長手伸長方向とを有するとみなされる場合、ファイバの長手伸長方向により決定された前記主要質量加重方向は、ファイバの長手伸長方向の主要方向への、全てのファイバセグメントの前記それぞれのセグメントの長手伸長方向の、全てのスカラー投影の質量加重和が、これに対応する、セグメントの長手伸長方向の他の任意の方向への、全てのファイバセグメントの前記それぞれのセグメントの長手伸長方向の、全てのスカラー投影の質量加重和よりも大きいという条件によって定義され、
全てのファイバは、第1又は第2のファイバセットに属し、前記第1のファイバセットの前記ファイバは、共通の第1のファイバの長手伸長方向に沿って全て延びており、前記第2のファイバセットの前記ファイバは、前記第1のファイバの長手伸長方向とは異なる、共通の第2のファイバの長手伸長方向に沿って全て延びている、磁気熱量ヒートポンプ。
【請求項2】
前記磁気熱量格子素子は、前記第1のファイバの長手伸長方向と前記第2のファイバの長手伸長方向との間の格子角度
が、5°から85°の間の鋭角である、請求項1に記載の磁気熱量ヒートポンプ。
【請求項3】
前記磁気熱量格子素子の前記第1のファイバセットは、磁気熱量材料の質量が
前記磁気熱量格子素子の前記第2のファイバセットよりも
小さいものを含む、請求項
1又は2に記載の磁気熱量ヒートポンプ。
【請求項4】
前記磁気熱量格子素子の前記第1のファイバセット内のファイバの数は、
前記磁気熱量格子素子の前記第2のファイバセット内のファイバの数よりも少ない、請求項
3に記載の磁気熱量ヒートポンプ。
【請求項5】
前記磁気熱量格子素子の前記ファイバの長手伸長方向と垂直な方向の前記ファイバの伸長が、50μmから800μmの間である、請求項1から
4の何れか1項に記載の磁気熱量ヒートポンプ。
【請求項6】
磁気熱量ヒートポンプであって、
磁気熱量材料のファイバによって形成された磁気熱量格子素子、磁気熱量交換器及び前記磁気熱量格子素子に外部磁場を印加するための磁石アセンブリを備え、
前記磁気熱量格子素子及び前記磁石アセンブリは、前記磁気熱量格子素子に前記外部磁場を、
前記ファイバの長手伸長方向
により決定された前記主要質量加重方向と平行な磁
場方向で印加するように相互配置するように構成され
、
前記磁気熱量交換器は、
熱交換器ハウジングと、
前記熱交換器ハウジング内に
前記磁気熱量格子素子と、
前記磁気熱量格子素子を通る流体の流れを案内するように構成された流体チャネルシステムと、を備え、
前記ファイバは、互いに平行な格子面に配列され、各ファイバは、磁気熱量材料のそれぞれの質量を有し、
任意の所定の格子面の前記ファイバは互いに接触しないが、前記所定の格子面の前記ファイバは、それぞれ、前記所定の格子面に隣接する格子面の少なくとも2つのそれぞれの他のファイバに接触し、
前記磁気熱量格子素子は、ファイバの長手伸長方向により決定された1つの主要質量加重方向を正確に示し、
各ファイバは、長手方向のファイバセグメントに区切られ、各ファイバセグメントが、セグメント質量と、それぞれの長手方向のセグメント方向に沿ったセグメントの長手伸長方向とを有するとみなされる場合、ファイバの長手伸長方向により決定された前記主要質量加重方向は、ファイバの長手伸長方向の主要方向への、全てのファイバセグメントの前記それぞれのセグメントの長手伸長方向の、全てのスカラー投影の質量加重和が、これに対応する、セグメントの長手伸長方向の他の任意の方向への、全てのファイバセグメントの前記それぞれのセグメントの長手伸長方向の、全てのスカラー投影の質量加重和よりも大きいという条件によって定義され、
全てのファイバは、第1又は第2のファイバセットに属し、前記第1のファイバセットの前記ファイバは、共通の第1のファイバの長手伸長方向に沿って全て延びており、前記第2のファイバセットの前記ファイバは、前記第1のファイバの長手伸長方向とは異なる、共通の第2のファイバの長手伸長方向に沿って全て延びている、磁気熱量ヒートポンプ。
【請求項7】
前記磁気熱量格子素子は、前記第1のファイバの長手伸長方向と前記第2のファイバの長手伸長方向との間の格子角度が、5°から85°の間の鋭角であり、
前記ファイバは、それぞれ同じ磁気熱量材料の質量を有し、前記磁気熱量格子素子及び前記磁気アセンブリは、前記磁気熱量格子素子に前記外部磁場を、前記第1のファイバの長手方向と前記第2のファイバの長手方向との間の鋭角の格子角度の二等分線に沿った磁
場方向で印加するように相互に配置される請求項
1又は6に記載の磁気熱量ヒートポンプ。
【請求項8】
前記第1のファイバの長手伸長方向は前記第2のファイバの長手伸長方向と垂直であり、前記磁気熱量格子素子及び前記磁石アセンブリは、前記磁気熱量格子素子に前記外部磁場を、前記ファイバの長手伸長方向
により決定された前記主要質量加重方向を形成する、第2のファイバの長手伸長方向に沿って向いた磁界方向で印加するように配置するように構成され、前記第1のファイバセットは、磁気熱量材料の質量が前記第2のファイバセットよりも少ないものを含む、請求項
1又は6に記載の磁気熱量ヒートポンプ。
【請求項9】
磁気熱量ヒートポンプを動作させるための方法であって、
磁気熱量材料のファイバによって形成された磁気熱量格子素子を提供する工程と、
磁石アセンブリを供給し、前記磁気熱量格子素子に外部磁場を印加する工程と、
前記磁気熱量格子素子及び前記磁石アセンブリを配置して、前記磁気熱量格子素子に前記外部磁場を、
前記ファイバの長手伸長方向
により決定された前記主要質量加重方向と平行な磁場方向で印加する工程とを備え、
前記ファイバは、互いに平行な格子面に配列され、各ファイバは、磁気熱量材料のそれぞれの質量を有し、
任意の所定の格子面の前記ファイバは互いに接触しないが、前記所定の格子面の前記ファイバは、それぞれ、前記所定の格子面に隣接する格子面の少なくとも2つのそれぞれの他のファイバに接触し、
前記磁気熱量格子素子は、ファイバの長手伸長方向により決定された1つの主要質量加重方向を正確に示し、
各ファイバは、長手方向のファイバセグメントに区切られ、各ファイバセグメントが、セグメント質量と、それぞれの長手方向のセグメント方向に沿ったセグメントの長手伸長方向とを有するとみなされる場合、ファイバの長手伸長方向の前記主要質量加重方向は、ファイバの長手伸長方向の主要方向への、全てのファイバセグメントの前記それぞれのセグメントの長手伸長方向の、全てのスカラー投影の質量加重和が、これに対応する、セグメントの長手伸長方向の他の任意の方向への、全てのファイバセグメントの前記それぞれのセグメントの長手伸長方向の、全てのスカラー投影の質量加重和よりも大きいという条件によって定義され、
全てのファイバは、第1又は第2のファイバセットに属し、前記第1のファイバセットの前記ファイバは、共通の第1のファイバの長手伸長方向に沿って全て延びており、前記第2のファイバセットの前記ファイバは、前記第1のファイバの長手伸長方向とは異なる、共通の第2のファイバの長手伸長方向に沿って全て延びている、磁気熱量ヒートポンプの動作方法。
【請求項10】
前記磁気熱量格子素子は、前記第1のファイバの長手伸長方向と前記第2のファイバの長手伸長方向との間の格子角度が、5°から85°の間の鋭角である、請求項9に記載の磁気熱量ヒートポンプの動作方法。
【請求項11】
前記磁気熱量格子素子の前記第1のファイバセットは、磁気熱量材料の質量が前記磁気熱量格子素子の前記第2のファイバセットよりも小さいものを含む、請求項9又は10に記載の磁気熱量ヒートポンプの動作方法。
【請求項12】
前記磁気熱量格子素子の前記第1のファイバセット内のファイバの数は、前記磁気熱量格子素子の前記第2のファイバセット内のファイバの数よりも少ない、請求項11に記載の磁気熱量ヒートポンプの動作方法。
【請求項13】
前記磁気熱量格子素子の前記ファイバの長手伸長方向と垂直な方向の前記ファイバの伸長が、50μmから800μmの間である、請求項9から12の何れか1項に記載の磁気熱量ヒートポンプの動作方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、磁気熱量格子素子、磁気熱量熱交換器、磁気熱量ヒートポンプ、冷却装置、磁気熱量発電機、及び磁気熱量ヒートポンプの動作方法に関する。
【背景技術】
【0002】
磁気熱量材料(magnetocaloric material)は、外部磁場を印加し及び除去する際にそれらの温度が変化する。この挙動は、磁気冷却システムの開発の基礎である。さらに、磁気熱量効果を発電に使用することができる。
【0003】
磁気熱量効果は、適切な磁気熱量材料に外部磁場を印加した状態で、及び周囲温度がそのキュリー温度付近にあるとき生じる。外部磁場を印加したことにより、磁気熱量材料のランダムに位置合わせした磁気モーメントが、不規則な常磁性相から規則的な強磁性相へ位置合わせされ、ひいては磁気相転移を起こし、それは、材料のキュリー温度が周囲温度よりも高く誘導上昇することと説明することもできる。この磁気相転移は、磁気エントロピ
【数1】
の損失を意味し、断熱プロセス(周囲温度からの熱的分離)では、磁気熱量材料の結晶格子のエントロピ寄与がフォノン生成によって増加することにつながり、断熱条件の下でエントロピを節約する。従って、外部磁場を印加した結果、磁気熱量材料の温度上昇(ΔT)が生じる。
【0004】
技術的な冷却用途では、この追加の熱は、熱伝達媒体の形態である周囲のヒートシンクへの熱伝達によって材料から除去される。磁気熱量材料からの熱除去に使用する熱伝達媒体の一例は水である。
【0005】
その後外部磁場を除去することは、キュリー温度が元に戻って周囲温度よりも低く下がり、従って磁気モーメントはランダムな配置に戻ることであると説明できる。外部磁場は、断熱条件、すなわち周囲温度から熱的に分離した断熱された状態で除去され、それは、システム内の全エントロピが変化しないことを意味する。磁気エントロピは、外部磁場なしにその開始レベルまで増加するので、磁気熱量材料自体の結晶格子のエントロピ寄与は、減少し、断熱プロセス条件下で、磁気熱量材料は、周囲温度よりも低く冷却されることになる。従って、磁気熱量材料の温度は、周囲温度よりも低く下がる。
【0006】
磁化及び消磁を含む上述したプロセスサイクルは、通常、デバイス用途において定期的に実行される。
【0007】
磁気熱量効果は、電力変換に、特に、上述したプロセスサイクル中に発生した熱を電気に変換するためにも使用することができる。
【0008】
T.Lei等は、磁気熱量冷凍機におけるメッシュ状の磁気熱量要素の冷却能力及び圧力降下を研究した(「アクティブ磁気熱量冷凍用のパックスクリーン型熱交換器におけるモデリング及び比較研究」、磁気冷凍に関する第6回IIF-IIR国際会議、2014年07月09日~2014年10月09日)。その結果、Lei等には、メッシュ数が概ね75~100ワイヤ/インチであるパックスクリーン型熱交換器が、十分な熱伝達及び適度な圧力降下をもたらし、従って最良の性能を与えると記述している。Lei等は、パック球状型熱交換器と比較して、パックスクリーン型熱交換器が、より大きな冷却能力の他により低い圧力低下も達成できることを見出した。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0009】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は異なる態様に及ぶ。第1の態様では、本発明は、本明細書では磁気熱量格子素子と呼ばれる、パックスクリーン型のメッシュ形状磁気熱量素子を提供する。第2の態様は、磁気熱量熱交換器によって形成される。第3の態様では、本発明は、磁気熱量ヒートポンプを提供する。冷却装置が本発明の第4の態様である。磁気熱量発電機が、本発明の第5の態様を構成する。
【課題を解決するための手段】
【0011】
従って、本発明の第1の態様によれば、磁気熱量格子素子(magnetocaloric lattice element)が提供される。磁気熱量格子素子は、磁気熱量材料のファイバによって形成され、
ファイバは、互いに平行である格子面内に配置され、各ファイバは、磁気熱量材料のそれぞれの質量(mass amount)を有し、
任意の所定の格子面のファイバは互いに接触しないが、所定の格子面のファイバは、次に隣接する格子面の少なくとも2つのそれぞれの他のファイバと接触し、
磁気熱量格子素子は、ファイバの長手伸長方向(longitudinal fiber extension)の1つの主要質量加重方向(predominant mass-weighted direction)を正確に示す。
【0012】
本発明の第1の態様による磁気熱量素子は、平面内に配置された磁気熱量材料のファイバを含む。所定の平面のファイバは互いに接触しない。しかしながら、ファイバは、次の隣接する平面の少なくとも2本のファイバと機械的に接触している。この種の少なくともほぼ規則的な構造は、本明細書では、パックされたファイバの磁気熱量格子構造と呼ばれ、ファイバの異なる面は格子面と呼ばれる。それ故、第1の態様の磁気熱量素子は、磁気熱量格子素子とも呼ばれる。このように、磁気熱量格子素子は、構造安定性が高い磁気熱量素子を形成する。磁気熱量素子はまた、パックスクリーン型の磁気熱量素子として説明することもできる。
【0013】
所定の格子面のファイバは互いに接触しないので、各格子面に内部開口部が形成され、それにより、磁気熱量格子素子を組み込んだ応用装置の動作時に、流体は開口部を流通してファイバと流体との間で熱伝達する。磁気熱量格子素子の実施形態は、冷却用途において低い流体抵抗で効果的な熱伝達を達成する。換言すれば、このような磁気熱量格子素子構造の実施形態は、例えば、パックされた球体から作られた多孔質磁気熱量素子と比較して、流体の圧力損失が小さくなる。
【0014】
本発明の第1の態様の磁気熱量格子素子は、ファイバの長手伸長方向が主要質量加重方向であることをさらに特徴とする。以下に説明するように、ファイバの長手伸長方向の主要質量加重方向は、磁気熱量格子素子の磁化にとって最適な方向を形成する。ファイバの長手伸長方向の主要質量加重方向に対する、磁気熱量格子素子及び外部磁場の適切な相対的位置合わせは、特に磁気熱量格子素子の高い磁化につながる。
【0015】
本発明の磁気熱量格子素子では、その磁化特性は、外部磁場の方向に沿って向いていないその磁気熱量ファイバの任意の区分の消磁効果を考慮して生じるという認識に基づいている。消磁効果は最大磁化の低下であり、低下は、全てのファイバが極端に薄く、外部磁場の磁界方向に配置されている場合、同じ体積の磁気熱量材料に発生することがある。従って、消磁効果は、磁気熱量材料のファイバの所定の幾何学的形状及び配置によって生じる磁化の低下である。外部磁場の方向とファイバの所定の向きとの間の正確な位置合わせから始まり、消磁効果は、外部磁場の方向とファイバの向きとの間の角度が増すにつれて上昇する。磁化方向即ち外部磁場の方向と垂直に向いたファイバ又は長手方向のファイバ区分は、最大(質量加重された)の消磁影響力を有する。
【0016】
従って、ファイバの長手伸長方向のその主要質量加重方向が適用装置に設ける外部磁場と位置合わせして配置された場合、本発明の第1の態様による磁気熱量格子素子は、磁気熱量材料の有利な、特に高い磁化を達成し、その結果、磁気熱量ヒートポンプ、冷却装置又は発電機のような適用装置の性能を改善する。
【0017】
以下に、本発明の第1の態様による磁気熱量格子素子の実施形態を説明する。
【0018】
ファイバ形状は、一般に、あらゆる横方向のファイバ伸長よりも大きい縦方向(長手方向)のファイバ伸長を有するとして説明することができ、横方向のファイバ伸長は、縦方向(長手方向)のファイバ伸長と垂直な方向の伸長を指す。ファイバ形状の一般例は円柱形状であり、円柱形状は、ファイバの長手伸長方向と垂直な平面内に円形、楕円形、長円形又は矩形の断面形状を有する、異なる変形形態のファイバを含む。しかしながら、ファイバは、必ずしも円柱形状を呈する必要はない。例えば、ファイバの横方向のファイバ伸長は、ファイバの縦方向(長手方向)の伸長方向に沿って変動することができる。
【0019】
磁気熱量格子素子の実施形態では、ファイバの縦方向(長手方向)の伸長方向と垂直な方向、すなわち横方向の伸長は、50μmから800μmの間である。一部の長方形又は楕円形の断面ファイバ形状では、横方向の伸長は、異なる横方向で変動する。そのような実施形態において、上記値は、好ましい最大横方向伸長を指す。
【0020】
1つの変形例では、磁気熱量格子素子の全てのファイバは、それらの縦方向(長手方向)のファイバの伸長方向と垂直な、実質的に同じ横方向の伸長を有する。横方向のファイバ伸長は、他の変形例の異なるファイバでは異なる。
【0021】
パックされたスクリーン、メッシュ又は格子形状を達成するために、磁気熱量格子素子は、全体として、少なくとも2つの方向に延びるファイバを有する。一部の実施形態では、ファイバの長手伸長の方向は、所定のファイバの異なる区分で異なる。実施例を以下でさらに説明する。
【0022】
一般的に、ファイバは単一の磁気熱量材料で作る。しかしながら、一部の実施形態では、ファイバは、それらの材料組成が均質ではない。異なるファイバ区分は、より多い又はより少ない磁気熱量材料、或いは異なる磁気熱量材料を含む。
【0023】
磁気熱量格子素子は、任意の適切な数のファイバを含むことができる。磁気熱量格子素子を形成するのに必要なファイバの最小数は4本のファイバである。
【0024】
一部の実施形態では、磁気熱量格子素子の格子面は平面である。しかしながら、格子面という用語は、厳密な平面の伸長を暗示する結晶学的意味に限定されない。他の実施形態では、磁気熱量格子素子の格子面は、曲面の形態とされる。
【0025】
ファイバの長手伸長方向の主要質量加重方向を持つ磁気熱量格子素子を達成する異なる方法がある。前述したように、本発明の磁気熱量格子素子では、そのような方向は1つだけである。磁気熱量格子素子の好ましい実施形態では、ファイバの長手伸長方向の主要質量加重方向の達成は、以下のように説明でき、すなわち各ファイバは、長手方向のファイバセグメントに区切られ、各ファイバセグメントは、セグメント質量(a segment mass)と、それぞれの長手方向のセグメント方向に沿ったセグメントの長手伸長方向(a longitudinal segment extension along a respective longitudinal segment direction)とを有するとみなされる場合、ファイバの長手伸長方向の主要質量加重方向は、以下の条件によって定義される、すなわち、ファイバの長手伸長方向の主要方向への、全てのファイバセグメントのそれぞれのセグメントの長手伸長方向の、全てのスカラー投影の加重和が、これに対応する、セグメントの長手伸長方向の他の任意の方向への、全てのファイバセグメントの前記それぞれのセグメントの長手伸長方向の、全てのスカラー投影の加重和よりも大きいという条件によって定義され、ここで、各ファイバセグメントは、そのそれぞれのセグメント質量に比例する加重和で加重される。
【0026】
この実施形態では、スカラー投影は、それぞれの長手方向のセグメント方向に沿った
セグメントの長手伸長方向を持つ長手方向のセグメントnが、長さ1のベクトル
【数2】
としてみなされ、
ファイバの長手伸長方向
【数3】
の主要質量加重方向における対応するスカラー投影が、
【数4】
で表現され、ここで、θ
nは、それぞれの長手方向のセグメント方向と
ファイバの長手伸長方向の主要質量加重方向との間の角度である。従って、この好ましい実施形態では、
ファイバの長手伸長方向
【数5】
の主要質量加重方向は、以下の関係式を満たし、
【数6】
式中、
【数7】
は3次元ベクトルであり、m
nは長手方向セグメントnのセグメント質量である。従って、式(1)は、
ファイバの長手伸長方向の主要質量加重方向はまさにその方向であり、又は、全てのファイバセグメントのそれぞれの
セグメントの長手伸長方向の、
ファイバの長手伸長方向のこの主要方向への、全てのスカラー投影の加重和が、最大を示す、長さが1のベクトルであるという事実を規定する。
【0027】
長手方向のファイバセグメントはサイズが有限であるので、式(1)の総和は加数が有限である。より一般的に言えば、ファイバは例えばコサイン形状に従う長手方向の伸長を有する特定の実施形態に、積分を用いる数学的定式化を使用することができる。
【0028】
磁気熱量格子素子のさらに好ましい実施形態では、ファイバの長手伸長方向の主要質量加重方向は以下のように達成され、すなわち全てのファイバは、第1又は第2のファイバセットに属し、第1のファイバセットのファイバは、全て共通の第1のファイバの長手伸長方向に沿って延び、第2のファイバセットのファイバは、第1のファイバの長手伸長方向とは異なる、共通の第2のファイバの長手伸長方向に沿って全て延びている。従って、このさらに好ましい実施形態のこの変形例では、磁気熱量格子素子のファイバは、2つの方向に延びるので、式(1)に従ってファイバの長手伸長方向の主要質量加重方向を決定するための2つの異なる長手方向のセグメント方向だけがある。平行なファイバは、生産に要する労力が少なく、高い構造安定性をもたらす。この実施形態のさらなる変形例では、各格子面は、それぞれのファイバセットのファイバを提供し、ファイバは、ファイバ伸長の共通のそれぞれの長手方向に沿って全て延びている。この更なる変形例では、第1及び第2のファイバセットのファイバの間で隣接する平面が交互になる。これは、磁気格子素子の基本的に規則的な構造につながり、従って高い構造安定性をもたらすことができる。
【0029】
本発明の第1の態様による磁気熱量格子素子のそのような実施形態のグループでは、第1の長手方向と第2の長手方向との間の格子角度は、5°から85°(弧度)の間の鋭角である。より小さな格子角度、すなわち5°未満の格子角度は、磁気熱量格子素子を通って流れる熱伝達媒体の高い圧力損失につながる。より大きい格子角度、すなわち90°に近い格子角度は、ファイバの第1及び第2の長手方向の形状及び数が実質的に等しい場合に、磁気熱量格子素子の既述の消磁効果を上昇させる。鋭角は、好ましくは20°から70°の間、さらに好ましくは40°から60°の間にある。
【0030】
この実施形態の変形例では、ファイバは、サイズが等しく、同じ磁気熱量材料で生産され、全てが第1又は第2のファイバセットの何れかに属する。結果として、この変形例における長手方向のファイバ伸長の主要質量加重方向は、基本的に、第1のファイバセットの第1の方向及び第2のファイバセットの第2の方向に関する鋭角の格子角度の二等分線に沿っている。
【0031】
磁気熱質量量格子素子のさらなる実施形態では、第1のファイバセットは、磁気熱量材料の質量(mass amount)が前記第2のファイバセットよりも少ない。質量が異なることにより、ファイバの長手伸長方向の主要質量加重方向は、第1のファイバセットのファイバの長手伸長方向よりも、第2のファイバセットのファイバの長手伸長方向によってより強く影響される。このような質量セグメント総計が異なる磁気熱量材料を使用することは、磁気熱量格子素子をヒートポンプ、冷却装置又は発電機内で用いる場合、磁気熱量格子素子を通って流れる熱伝達流体の圧力損失を低下させるために有利となり得る。
【0032】
この実施形態の変形例では、第1のファイバセット内のファイバの総数は、第2のファイバセット内のファイバの総数よりも少ない。この変形例の例では、各々のファイバは、第1のファイバセット又は第2のファイバセットの何れかに属し、第1及び第2のファイバセットは、互いに垂直に向いている。このように、この例では、ファイバの長手伸長方向の主要質量加重方向は、第2のファイバセットのファイバの長手伸長方向に沿って向いている。さらなる変形例では、第1のファイバセットは、第2のファイバセットよりも少なくとも2倍小さく、それぞれのファイバセグメントの長手方向の伸長に平行な表面ベクトルを有する断面積を考慮する。この変形例の例では、全てのファイバは第1及び第2のファイバセットに属し、第1及び第2のファイバセットは互いに垂直に向いている。このように、この例では、ファイバの長手伸長方向の主要質量加重方向は、第2のファイバセットのファイバの長手伸長方向に沿って向いている。
【0033】
磁気熱量格子素子は、例えば、移動ノズルを用いて、磁気熱量材料を含む高負荷のペーストを押し出すことによって形成され、結果として磁気熱量格子素子のファイバが層ごとに生産される。磁気熱量材料を含むペーストは、水のような溶媒、結合剤及び添加剤をさらに含むことができる。一部の変形例では、ペースト中の気泡を避けるために消泡剤も添加される。他の変形例の生産では、磁気熱量格子素子は、三次元印画法によって形成される。
【0034】
磁気熱量格子素子の1つ実施形態では、全てのファイバは、同じ磁気熱量材料から成る。さらなる実施形態では、磁気熱量格子素子は、少なくとも2つの異なる磁気熱量材料から成る。この実施形態の変形例では、それぞれの続く平面内の磁気熱量材料は、それぞれの磁気熱量材料の一連の低下するキュリー温度を示す。続く平面におけるこのような一連の低下するキュリー温度により、磁気熱量格子素子を含む冷却装置を、冷却装置の周囲温度よりはるかに低くエネルギー効率的に冷却することが可能になる。
【0035】
第2の態様によれば、本発明は磁気熱量熱交換器に関し、磁気熱量熱交換器は、
熱交換器ハウジングと、
熱交換器ハウジング内にある、本発明の第1の態様の少なくとも1つの実施形態による磁気熱量格子素子と、
磁気熱量格子素子を通る流体の流れを案内するように構成された流体チャネルシステムとを備える。
【0036】
本発明の第2の態様による磁気熱量熱交換器は、本発明の第1の態様の磁気熱量格子素子の利点を共有する。
【0037】
磁気熱量熱交換器は、流体チャネルシステムをさらに提供し、流体チャネルシステムは、例えば磁気熱量冷却装置、ヒートポンプ又は熱源としての用途において、熱交換器の動作時に、所望のプロセスサイクルに従って、磁気熱量格子素子を通る熱伝達流体の流れを達成する。
【0038】
第3の態様によれば、本発明は磁気熱量ヒートポンプに関し、磁気熱量ヒートポンプは、
本発明の第1の態様による磁気熱量格子素子、又はその実施形態の1つ、或いは本発明の第2の態様による磁気熱量熱交換器、又はその実施形態の1つを備え、
磁気熱量格子素子に外部磁場を印加するための磁石センブリをさらに備え、
磁気熱量格子素子及び磁石センブリは、磁気熱量格子素子に外部磁場を、長手方向のファイバ伸長の主要質量加重方向と平行な磁場方向で印加するように相互配置するように構成される。
【0039】
本発明の第3の態様による磁気熱量ヒートポンプは、本発明の第1の態様による磁気熱量格子素子に関連して説明した利点を共有する。
【0040】
磁気熱量ヒートポンプは、磁気熱格子素子及び磁石センブリの相互配置をさらに達成し、相互配置は、磁気熱量ヒートポンプ内で発生した外部磁場の方向と平行に位置合わせした、ファイバの長手伸長方向の主要質量加重方向の有利な向きである。
【0041】
ヒートポンプは、1つの実施形態では、異なる動作位置合わせ位置にある磁気熱量格子素子のファイバの長手伸長方向の主要質量加重方向に関して、複数の可能な磁界方向のうちの異なるものを達成する、異なる相対的な位置合わせ位置を可能にするように構成される。磁気熱量効果及びその望ましい技術的影響の最適化は、平行な位置合わせで達成される。しかしながら、磁気熱量格子素子に印加される外部磁場の磁場成分のみが、ファイバの長手伸長方向の主要質量加重方向と平行な磁場方向を示す場合、低減された効果を達成することもできる。
【0042】
本発明の第3の態様による磁気熱量ヒートポンプの実施形態では、磁気熱量ヒートポンプは、磁気熱量格子素子をさらに備え、
全てのファイバは、第1又は第2のファイバセットに属し、第1のファイバセットのファイバは、全て、共通の第1のファイバの長手伸長方向に沿って伸び、第2のファイバセットのファイバは、全て、第1のファイバの長手伸長方向とは異なる、共通の第2のファイバの長手伸長方向に沿って延び、
第1のファイバの長手伸長方向と第2のファイバの長手伸長方向との間の格子角度は、5°から85°の間、好ましくは20°から70°の間、好ましくは40°から60°の間の鋭角であり、
全てのファイバは、それぞれの磁気熱量材料と同じ質量を有し、
磁気熱量格子素子及び磁石センブリは、磁気熱量格子素子に外部磁場を、第1の長手方向と第2の長手方向との間の鋭角の格子角度の二等分線に沿って向いた磁場方向で印加するように相互配置するように構成される。
【0043】
この実施形態では、ファイバの長手伸長方向の主要質量加重方向は、第1のファイバの長手伸長方向と第2のファイバの長手伸長方向との間の鋭角の格子角度の二等分線に沿って向いている。
【0044】
磁気熱量ヒートポンプのさらなる実施形態では、磁気熱量ヒートポンプは、磁気熱量格子素子を備え、
全てのファイバは、第1のファイバセット又は第2のファイバセットに属し、第1のファイバセットのファイバは、全て、共通の第1のファイバの長手伸長方向に沿って延び、第2のファイバセットのファイバは、全て、第1のファイバの長手伸長方向とは異なる、共通の第2のファイバの長手伸長方向に沿って延び、
第1のファイバセットは、磁気熱量材料の質量総計が第2のファイバセットよりも小さく、
第1のファイバの長手伸長方向は第2のファイバの長手伸長方向と垂直であり、磁気熱量格子素子及び磁石センブリは、磁気熱格子素子に外部磁場を、ファイバの長手伸長方向の主要質量加重方向を形成する、第2のファイバの長手伸長方向に沿って向いた磁界方向で印加するように相互配置するように構成される。
【0045】
磁気熱量ヒートポンプの実施形態では、磁気熱量ヒートポンプは制御ユニットをさらに備え、制御ユニットは、磁気熱量格子素子に外部磁場を、ファイバの長手伸長方向の主要質量加重方向と平行な磁界方向で印加するために、磁石センブリ及び磁気熱量格子素子の相互配置を制御するように構成される。この実施形態では、制御ユニットは、自動的に及び/又は手動で、磁気熱量格子素子及び磁石センブリの互いに対して有利な向きをもたらす。この実施形態の変形例では、制御ユニットは、磁気熱量格子素子及び磁石センブリの向きをプロセッサ装置に記憶された基準値と比較するように構成されたプロセッサ装置を備える。さらなる変形例では、制御ユニットは、磁気熱量格子素子及び磁石センブリの向きの何れの変更を手動で行なう必要があるかをユーザに示すように構成された、視覚的表示器を備える。別のさらなる変形例では、制御ユニットは、磁石センブリの周期的な運動に従って、磁気熱量格子素子の周期的な運動を自動的に実行する。
【0046】
第4の態様によれば、本発明は、本発明の第1の態様の実施形態の少なくとも1つによる磁気熱量格子素子を備える冷却装置に関する。
【0047】
本発明の第4の態様による冷却装置は、本発明の第1の態様による磁気熱量格子素子の文脈で説明した利点を共有する。
【0048】
冷却装置の実施形態では、冷却装置は、本発明の第2の態様の実施形態の少なくとも1つによる磁気熱量熱交換器を備える。
【0049】
冷却装置のさらなる実施形態では、冷却装置は、本発明の第3の態様の実施形態の少なくとも1つによる磁気熱量ヒートポンプを備える。
【0050】
好ましい実施形態では、冷却装置は、磁気熱量格子素子の磁化及び消磁を含むプロセスサイクルを実行する。この実施形態の変形例では、冷却装置は、磁気熱量冷却の第1の相及び第2の相を示す、上述したプロセスサイクルを実行する。
【0051】
第5の態様によれば、本発明は、本発明の第1の態様の実施形態の少なくとも1つによる磁気熱量格子素子を備える磁気熱量発電機に関する。
【0052】
本発明の第5の態様による磁気熱量発電機の実施態様において、磁気熱量発電機は、磁気熱量格子素子を加熱及び冷却してその磁界を周期的に変化させるように配置及び構成された加熱リザーバ及び冷却リザーバと、磁気熱量格子素子に配置されて磁気熱量格子素子の磁場の変化によって誘起される電流を供給するコイルとを備える。
【0053】
第6の態様によれば、本発明は、磁気熱量ヒートポンプを動作させる方法に関する。この方法は、
本発明の第1の態様の実施形態の少なくとも1つによる磁気熱量格子素子を供給する段階と、
磁気熱量格子素子に外部磁場を印加するための磁石センブリを供給する段階と、
磁気熱量格子素子及び磁石センブリを配置して、磁気熱量格子素子に外部磁場を、ファイバの長手伸長方向の主要質量加重方向と平行な磁場方向で印加する段階とを備える。
【0054】
本発明の第5の態様による方法は、本発明の第1の態様による磁気熱量格子素子の文脈で説明した利点を共有する。
【0055】
請求項1にも規定された本発明の第1の態様の磁気熱量格子素子、請求項6にも規定された第2の態様の磁気熱量熱交換器、請求項7にも規定された第3の態様の磁気熱量ヒートポンプ、請求項10にも規定された第4の態様の冷却装置、請求項11にも規定された第5の態様の磁気熱量発電機、請求項12にも規定された磁気熱量格子素子を動作させる方法では、実施形態は、類似し又は全く同じである。
【図面の簡単な説明】
【0056】
以下、添付図面を参照して、さらなる実施形態が説明される。
【
図1】本発明の第1の態様による磁気熱量格子素子の実施形態を示す図である。
【
図2】本発明の第1の態様による磁気熱量格子素子の別の実施形態を示す図である。
【
図3】本発明の第1の態様による磁気熱量格子素子の別の実施形態を示す図である。
【
図4a】本発明の第1の態様による磁気熱量格子素子のさらなる実施形態を示す図である。
【
図4b】本発明の第1の態様による磁気熱量格子素子のさらなる実施形態を示す図である。
【
図5】本発明の第1の態様による磁気熱量格子素子の単一ファイバの実施形態を示す図である。
【
図6a】本発明の第1の態様による磁気熱量格子素子のさらなる実施形態を示す図である。
【
図6b】本発明の第1の態様による磁気熱量格子素子のさらなる実施形態を示す図である。
【
図6c】本発明の第1の態様による磁気熱量格子素子のさらなる実施形態を示す図である。
【
図6d】本発明の第1の態様による磁気熱量格子素子のさらなる実施形態を示す図である。
【
図7】本発明の第2の態様による磁気熱量熱交換器の実施形態を示す図である。
【
図8】本発明の第3の態様による磁気熱量ヒートポンプの実施形態を示す図である。
【
図9】本発明の第4の態様による冷却装置の実施形態の概略図を示す図である。
【
図10】本発明の第5の態様による磁気熱量発電機の実施形態の概略図である。
【
図11】本発明の第6の態様による、磁気熱量ヒートポンプを動作させるための方法の実施形態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0057】
図1は、本発明の第1の態様による磁気熱量格子素子100の実施形態を示す。図示するように、磁気熱量格子素子100は、磁気熱量材料のファイバ105’、105”によって形成され、ファイバ105’、105”は、2つのそれぞれ平行かつ平坦な格子面134、138に配置され、各ファイバ105’、105”は、2つの長手方向114,118のそれぞれの1つと、磁気熱量材料のそれぞれの質量とを有する。磁気熱量格子素子100の描いたファイバ105’、105”は、それらの長手方向のファイバ伸長と垂直な方向に、50μmから800μmの間の伸長(直径)を示す。全てのファイバは、第1又は第2のファイバセット105’、105”に属し、第1のファイバセット105’のファイバは、全て
、共通の
第1のファイバの長手伸長方向114に沿って延び、第2のファイバセット105”のファイバは、全て
第1のファイバの長手伸長方向114とは異なる
、共通の
第2のファイバの長手伸長方向118に沿って延びている。
【0058】
さらに、一方のファイバセット105’及び他方のファイバセット105”は、それぞれの格子面134,138で互いに平行であるため、それらは互いに接触しないが、所定の格子面134の各ファイバ105’は、他の格子面138でファイバ105”に取り付け、その逆も同様である。所定のファイバの接続点は、所定のファイバと、その次に隣接する格子面の一方の他のファイバとの交差点である。最も外側の格子面(磁気熱量格子素子の頂部及び底部)のファイバを除いて、各格子面は、2つの次に隣り合う格子面を有し、所定の格子面の各ファイバには、両方の次の隣り合う格子面に存在する他のファイバへの接触点がある。接触点は、ファイバ同士の相互の取付けをもたらして、全体としてパックスクリーン型構造の機械的安定性を達成する。第1の長手方向114と第2の長手方向118との間の格子角度110は、40°から60°の間の鋭角である。結果として生じる磁気熱量格子素子100の菱形構造は、ファイバの長手伸長方向の1つの主要質量加重方向140を正確に示し、主要質量加重方向140は、鋭角の格子角度110の二等分線に沿って向いている。
【0059】
菱形構造は、
ファイバの長手伸長方向の主要質量加重方向140を直感的に示すが、主要質量加重方向140の向きを理解するための定量的な方法は、以下に
図5の文脈でさらに与える。
【0060】
図2は、本発明の第1の態様による磁気熱量格子素子200の実施形態を示す。
【0061】
全てのファイバ205’、205”は、第1又は第2のファイバセットに属し、第1のファイバセット205’のファイバは、全て共通の第1のファイバの長手伸長方向214に沿って延び、第2のファイバセット205”のファイバは、全て第1のファイバの長手伸長方向214と垂直な、共通の第2のファイバの長手伸長方向218に沿って延びている。
【0062】
第1のファイバセット205’内のファイバの総数は、第2のファイバセット205”内のファイバの総数よりも少ない。その結果、第1のファイバセット205’は、磁気熱量材料が、第2のファイバセット205”よりも少ない。
【0063】
このデザイン方策により、
ファイバの長手伸長方向の主要重量加重方向240を
第2のファイバの長手伸長方向218に沿って向けることができる。上述したように、
ファイバの長手伸長方向の主要質量加重方向240の決定は、
図5の文脈で定量的に説明する。
【0064】
図3は、本発明の第1の態様による磁気熱量格子素子300のさらなる実施形態を示す。
【0065】
図2の実施形態と同様に、全てのファイバ305’、305”は、第1のファイバセット又は第2のファイバセットの何れかに属し、第1のファイバセット305’のファイバは、全て共通の
第1のファイバの長手伸長方向314に沿って延び、第2のファイバセット305”のファイバは、全て
第1のファイバの長手伸長方向314と垂直な
、共通の
第2のファイバの長手伸長方向318に沿って延びている。しかしながら、本実施形態では、第1のファイバセット305’のファイバの横方向の伸長は、第2のファイバセット305”のファイバの横方向の伸長より少なくとも2倍小さく、たとえばそれぞれのファイバの長手方向の伸長と平行な表面ベクトルを有する、それらの断面積を考慮することによって決定する。
【0066】
このデザインのおかげで、
ファイバの長手伸長方向の主要質量加重方向340は、
第2のファイバの長手伸長方向318に沿って向いている。
ファイバの長手伸長方向の主要質量加重方向340の向きの決定は、
図5の文脈で定量的に説明する。
【0067】
図示しない実施形態では、第1のファイバセットのファイバの横方向の伸長は、第2のファイバセットのファイバの横方向の伸長よりも4倍から8倍小さい。
【0068】
図4a及び
図4bは、本発明の第1の態様による磁気熱量格子素子400a、400bの2つの別の実施形態を示す。図示した実施形態の構造は、
図1及び
図2に示した構造と同様である。第1のファイバセット405a’、405b’のファイバは、互いに平行に延びているが、先述した実施形態とは対照的に、それらは真っ直ぐになっていない。ファイバは、それらの長手方向の伸長に沿って、湾曲したコサイン型(
図4a)又は鋸歯型(
図4b)又はジグザグな線形を呈する。生産にあたり、鋸歯形状は、一般的に、第2のファイバセットのファイバ405b”との取付け点にて一定の曲率半径で作る。
【0069】
従って、
図4a及び
図4bに示すこれらの第1のファイバセットは、共通の
第1のファイバの長手伸長方向は存在しない。対照的に、第2のファイバセット405a”、405b”のファイバは、直線形状であり
、共通の
第2のファイバの長手伸長方向418a、418bを有する。
【0070】
両方の実施形態において、
ファイバの長手伸長方向の主要質量加重方向440a、440bは、
第2のファイバの長手伸長方向418a、418bに沿って向いている。
ファイバの長手伸長方向の主要質量加重方向440a、440bの向きの決定は、
図5の文脈で定量的に説明する。
【0071】
図示しない実施形態では、互いに平行に配置されたファイバが存在しないので、共通の第1又は第2のファイバの長手伸長方向は存在しない。
【0072】
図5は、本発明の第1の態様による磁気熱量格子素子の2つの単一ファイバ500、510の実施形態を示す。ファイバは、直線状ではないので、一定の長手方向に延びるとは言えない。
【0073】
図5は、磁気熱量格子素子の主要質量加重方向の向きを決める概念を示す。この決定は、ファイバ500、510を長手方向のファイバセグメント505、515に区切ることを含み、各ファイバセグメント505、515は、セグメント質量m
nと、それぞれの長手方向のセグメント方向
【数8】
に沿った伸長とを有し、n=1、...、8である。このようにファイバセグメントに区切ることは、磁気熱量格子素子のコンピュータモデルを用いる最新のコンピュータ支援設計ツールによって容易に達成できる。区切ることは、所定のファイバをその長手方向の伸長に沿ってファイバセグメントに分解するのに役立つ。長手方向の伸長に沿ったセグメントのサイズは、以下の考察を用いて選ぶことができる。各々のファイバセグメントにつき、長手方向伸長の単一の方向が決定される。最適に区切ることにより、各ファイバセグメントに、長手方向伸長の正確な方向がもたらされる。しかしながら、最適に区切る必要はなく、それぞれの方向の決定では、ある角度範囲の不正確さは容認可能とできる。
【0074】
磁気熱量ファイバの材料特性(体積当たりの質量)と、ファイバ及びそれらのファイバセグメント、これらの有限な長手方向のファイバセグメント505、515の幾何学的伸長とが分かると、2つのファイバ500、510のためのファイバの長手伸長方向の主要質量加重方向540は、以下の関係を満たす方向
【数9】
を見出すことによって決定できる。
【0075】
【0076】
これは式(1)であり、対応する変数はすでに上述した。
【0077】
従って、上記で与えられた関係は、数学的に、ファイバの長手伸長方向の主要質量加重方向540が、全ての方向のうちの正確にその方向であるという事実を定義し、それは数学的表現では、
ファイバの長手伸長方向のこの主要方向への、全てのファイバセグメントのそれぞれの
セグメントの長手伸長方向の全てのスカラー投影の加重合計が最大値をとる、長さ1のそのベクトルである。本発明によれば、そのような方向が1つだけ存在する。説明図を簡略化するために、
図5では、長手方向のファイバセグメントn=3及び対応するスカラー投影
【数11】
について、ただ1つのスカラー投影550が示されている。
【0078】
ファイバを長手方向のファイバセグメントに区切ることを考慮して、そのような区切りは、ファイバの長手伸長方向の主要質量加重方向を本質的に見出すのに十分正確に選ぶ。有限数の長手方向のファイバセグメントに区切ることは、ファイバの長手伸長方向の主要質量加重方向を決定するのに十分である。
【0079】
図6a、6b、6c及び6dは、本発明の第1の態様による磁気熱量格子素子600a、600b、600c及び600dの別の実施形態を示す。図は、各々、磁気熱量格子素子の断面のそれぞれの概略図を示し、縮尺通りには描いていない。特に、紙平面におけるそれぞれの磁気熱量格子素子のファイバの数は、一般的に、図示したそれぞれの区分によってカバーされるファイバの数よりもずっと多い。さらに、
図6aから
図6dは、各々、それぞれの図の紙面と垂直な方向に隣接する2つの隣接する格子面のみを覆う。実際の実施形態は、この方向に積み重ねた格子面の数がはるかに多い。図示した断面の図形表示は、説明図を本発明の文脈における構造の本質的な特徴に限定するために、円形の外形とされている。従って、円形は、それぞれの磁気熱量格子素子の実際の外形を必ずしも反映せず、磁気熱量格子素子は、所定の用途に適した外形とすることができる。それぞれの磁気熱量格子素子は、パックスクリーン型磁気熱量格子素子を形成し、さらに紙面と垂直な方向に積層された格子面を有する。
【0080】
これらの実施形態は、
図1に示す磁気熱量格子素子100と同様である。それぞれの磁気熱量格子素子600a、600b、600c、600dの空隙率、すなわち、磁気熱量格子素子の総体積で除したファイバの磁気熱量材料の体積の間の関係は、
図6aから
図6dの全ての4つの実施形態について同じ0.4764の値になる。
【0081】
図6aは、
第1のファイバの長手伸長方向614aと
第2のファイバの長手伸長方向618aとの間の格子角度620aが鋭角70°である、磁気熱量格子素子600aを示す。結果として生じる磁気熱量格子素子600aの菱形構造は、鋭角の格子角度620aの二等分線に沿って向いた、
ファイバの長手伸長方向の1つの主要質量加重方向630aを正確に示す。グレースケールによるファイバのトーンは、磁気熱量格子素子600aの消磁率Nを視覚化し、消磁率は、垂直配列(図示しない)において、ファイバの空隙度が同じである、対応する基準磁気熱量格子素子の場合に比べて14%小さい。
【0082】
図6bは、
第1のファイバの長手伸長方向614bと
第2のファイバの長手伸長方向618bとの間の格子角度620bが鋭角50°である、磁気熱量格子素子600bの別の変形例を示す。結果として生じる磁気熱量格子素子600bの菱形構造は、鋭角の格子角度620bの二等分線に沿って向いた、
ファイバの長手伸長方向の1つの主要質量加重方向630bを正確に示す。グレースケールによるファイバのトーンは、磁気熱量格子素子600bの消磁率Nを示し、消磁率Nは、
図6aの磁気熱量格子素子に比べてさらに低下し、すなわち、基準磁気熱量格子素子の場合よりも27%小さい。
【0083】
図6cは、
第1のファイバの長手伸長方向614cと
第2のファイバの長手伸長方向618cとの間の格子角度620cが鋭角30°である、磁気熱量格子素子600cのさらなる変形例を示す。結果として生じる磁気熱量格子素子600cの菱形構造は、鋭角の格子角度620cの二等分線に沿って向いた、
ファイバの長手伸長方向の1つの主要質量加重方向630cを正確に示す。グレースケールによるファイバのトーンは、磁気熱量格子素子600cの消磁率Nを示し、消磁率Nは、
図6bの磁気熱量格子素子に比べてさらに低下し、すなわち、基準磁気熱量格子素子の場合よりも37%小さい。
【0084】
図6dは、
第1のファイバの長手伸長方向614dと
第2のファイバの長手伸長方向618dとの間の格子角度620dが鋭角10°である、磁気熱量格子素子600dを示す。結果として生じる磁気熱量格子素子600dの菱形構造は、鋭角の格子角度620dの二等分線に沿って向いた、
ファイバの長手伸長方向の1つの主要質量加重方向630dを正確に示す。グレースケールによるトーンは、磁気熱量格子素子600cの消磁率Nを視覚化し、消磁率Nは、
図6cの磁気熱量格子素子と比較してさらに低下し、すなわち、基準磁気熱量格子素子の場合よりも43%小さくなる。
【0085】
図6a、
図6b、
図6c及び
図6dは、磁気熱量格子素子において、小さい鋭角格子角度が消磁効果を大幅に低下させることを示す。他方、減少する格子角度620a、620b、620c、620dにつれて消磁に関するプラス効果は、伝熱媒体の圧力損失の増加を伴い、増加した圧力損失は、冷却装置内にあるそれぞれの磁気熱量格子素子600a、600b、600c、600dの細孔を通って案内される。高い圧力の損失は通常望ましくない。所定の適用シナリオに最適に適合する磁気熱量的な格子素子を設計するに当たり、両方の効果を考慮して釣り合わせる必要がある。
【0086】
図7は、本発明の第2の態様による磁気熱量熱交換器700の実施形態を示す。磁気熱量熱交換器700は、熱交換器ハウジング710と、熱交換器ハウジング710内の磁気熱量格子素子720と、磁気熱量格子素子720を通る流体740の流れを案内するように構成された流体チャネルシステム730とを備える。この実施形態では、磁気熱量格子素子720は、
図6aに示した磁気熱量格子素子600aと同様である。
【0087】
図8は、本発明の第3の態様による磁気熱量ヒートポンプ800の実施形態を示す。磁気熱量ヒートポンプ800は、
図7に示した磁気熱量格子素子720を持つ磁気熱量熱交換器700と、輪状の回転可能な支持構造(図示しない)に設けた、磁気熱量格子素子720に外部磁場を印加するための磁石アセンブリ840、840’とを備える。磁気熱量格子素子720及び磁石センブリ840、840’は、相互に配置されて、磁気熱量格子素子720に、外部磁場を、
ファイバの長手伸長方向の主要質量加重方向850と平行な磁界方向830で印加する。磁場は、少なくとも磁気熱量格子素子720によって想定される体積で、実質的に均一であることが好ましい。
【0088】
この実施形態では、磁気熱量格子素子720の全てのファイバは、それぞれの磁気熱量材料の質量と同じであり、磁気熱量格子素子720及び磁石センブリ840、840’は、磁気熱量格子素子720に外部磁場を磁界方向830で印加し、磁界方向830は、第1のファイバの長手伸長方向824と第2のファイバの長手伸長方向826との間の鋭角の格子角度822の二等分線に沿って向くように相互配置するように構成される。この二等分線は、ファイバの長手伸長方向の主要質量加重方向850に沿って向いている。
【0089】
図示しない同様の実施形態では、磁気熱量格子素子のファイバの
第1のファイバの長手伸長方向は、
図2及び
図3に示すように、
第2のファイバの長手伸長方向と垂直であり、磁気熱量格子素子及び磁石センブリは、磁気熱量格子素子に外部磁場を磁界方向で印加するように相互に配置するように構成される。磁場方向は、
ファイバの長手伸長方向の主要質量加重方向を形成する
第2のファイバの長手伸長方向に沿って向いている。
【0090】
図9は、本発明の第4の態様による冷却装置900の実施形態の概略図を示す。冷却装置900は、本発明の第2の態様の実施形態による磁気熱量熱交換器920内に配置された、本発明の第1の態様による磁気熱量格子素子910を備える。磁気熱量熱交換器920は、本発明の第3の態様の実施形態による磁気熱量ヒートポンプ930内に配置され、ポンプは、動作時、冷却装置900から周囲環境に熱を逃がし、こうして冷却装置900を効果的に冷却する。冷却装置900からのポンプ作用による熱の取出しは、既に上述したように、磁気熱量格子素子910の磁化及び消磁を含むプロセスサイクルを備える。
【0091】
図10は、本発明の第5の態様による磁気熱量発電機1000の実施形態の概略図を示す。磁気熱量発電機1000は、加熱リザーバ1010及び冷却リザーバ1020を備え、それらは、磁気熱量格子素子1030を加熱及び冷却してその磁界を周期的に変化させるように配置及び構成される。さらに、磁気熱量発電機1000は永久磁石1040を備え、永久磁石1040は、磁気熱量格子素子1030に配置されて、磁気熱量格子素子1030の磁場の変化によって誘起される電流を供給する。磁気熱量格子素子1030において、磁気熱量材料のファイバは、互いに平行に積み重ねた格子面に配置される。任意の所定の格子面のファイバは互いに接触しないが、所定の格子面のファイバは、次の隣接する格子面の少なくとも2つのそれぞれの他のファイバと各々接触する。磁気熱量格子素子は、
ファイバの長手伸長方向の主要質量加重方向を正確に示す。
ファイバの長手伸長方向の主要質量加重方向は、永久磁石1040の磁界方向と平行である。
【0092】
図11は、本発明の第6の態様による、磁気熱量ヒートポンプを動作させるための方法の実施形態を示す。
【0093】
この方法は、第1のステップ1110として、本発明の第1の態様による少なくとも1つの実施形態による、磁気熱量格子素子を供給する段階を備える。
【0094】
この方法の第2のステップ1120は、磁気熱量格子素子に外部磁場を印加するための磁石センブリを供給する段階である。
【0095】
最後のステップ1130は、磁気熱量格子素子及び磁石センブリを配置して、磁気熱量格子素子に外部磁場を磁界方向で印加する段階であり、磁界方向は、長手方向のファイバ伸長の主要質量加重方向と平行である。
【0096】
要約すると、本発明は、磁気熱量材料のファイバによって形成された磁気熱量格子素子に関し、ファイバはそれぞれの平行な格子面に配置され、各ファイバは磁気熱量材料のそれぞれの質量とされ、所定の格子面のファイバは、互いに接触しないが、所定の格子面の各ファイバは、次の隣接する格子面内で少なくとも2本のファイバに取り付け、磁気熱量格子素子は、ファイバの長手伸長方向の主要質量加重方向を正確に示す。
【0097】
本発明は、開示した実施形態に限定されない。特に、本発明は、特定形状のファイバの使用に、又はファイバの2つの長手伸長方向にのみに、又は磁気熱量格子素子を冷却装置と共に用いることに限定されない。本発明は、さらに、磁石センブリとの組合せに限定されない。
【0098】
請求項における参照符号は、範囲を限定するものと解釈すべきではない。
【符号の説明】
【0099】
100 磁気熱量格子素子
105’ ファイバ
105” ファイバ
110 格子角度
114 第1のファイバの長手伸長方向
118 第2のファイバの長手伸長方向
134 格子面
138 格子面
140 主要質量加重方向