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特許7219021工作機械と共に用いるためのバーローダ装置、及び、そのようなバーローダ装置を装備した工作機械
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-01-30
(45)【発行日】2023-02-07
(54)【発明の名称】工作機械と共に用いるためのバーローダ装置、及び、そのようなバーローダ装置を装備した工作機械
(51)【国際特許分類】
   B23B 13/10 20060101AFI20230131BHJP
   B23B 13/04 20060101ALI20230131BHJP
   B23B 9/04 20060101ALI20230131BHJP
   B23Q 11/10 20060101ALI20230131BHJP
【FI】
B23B13/10
B23B13/04
B23B9/04
B23Q11/10 E
【請求項の数】 15
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2018118018
(22)【出願日】2018-06-21
(65)【公開番号】P2019038099
(43)【公開日】2019-03-14
【審査請求日】2021-05-26
(31)【優先権主張番号】17182775.1
(32)【優先日】2017-07-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(31)【優先権主張番号】17177209.8
(32)【優先日】2017-06-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(31)【優先権主張番号】17177210.6
(32)【優先日】2017-06-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】508122046
【氏名又は名称】ギルデマイスター・イタリアーナ・ソシエタ・ア・レスポンサビリタ・リミタータ
【氏名又は名称原語表記】GILDEMEISTER ITALIANA S.R.L.
(74)【代理人】
【識別番号】110002664
【氏名又は名称】弁理士法人相原国際知財事務所
(72)【発明者】
【氏名】ルカ ミレシ
(72)【発明者】
【氏名】ミルコ パッセリーニ
(72)【発明者】
【氏名】フランコ リジョローネ
【審査官】山本 忠博
(56)【参考文献】
【文献】特開平06-246505(JP,A)
【文献】特開平07-136807(JP,A)
【文献】欧州特許出願公開第01332814(EP,A2)
【文献】米国特許第05662014(US,A)
【文献】米国特許出願公開第2005/0193878(US,A1)
【文献】実開平04-035894(JP,U)
【文献】特開平07-299604(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23B 9/04,13/00-13/04;
B23Q 7/04,7/08,11/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
工作機械、特に旋削加工機で用いるためのバーローダ装置であって、
前記工作機械(100)は、細長い工作物(B)を受容するように構成された少なくとも1つの工作物スピンドル(30)を備え、
前記バーローダ装置(300)は、
1つ以上の細長い工作物を格納するように構成された格納部(391)と、
つの細長い工作物を装着システムから前記工作機械(100)の少なくとも1つの工作物スピンドル(30)に装着するように構成された装着システム(350,360,370)と、
細長い工作物を前記格納部(391)から前記装着システムへ移送するように構成された移送装置(392)と、を備え、
前記装着システムは、それぞれの前記工作物スピンドル(30)の前記スピンドル軸に関して軸方向に配置された長手方向に移動するように構成された前記工作機械の各工作物スピンドル(30)について、それぞれの前記工作物が装着され得る前記長手方向に延びるガイドチャネルを提供することにより、それぞれ1つの前記細長い工作物を受容しガイドするためのそれぞれ関連する工作物ガイドチャネルアセンブリ(351,361,371)を備え、
それぞれの工作物ガイドチャネルアセンブリ(351,361,371)は、複数の固定バーガイド部(361)から成る固定ガイドチャネル部と複数のスライド可能なバーガイド部(351;371)から成る少なくとも1つのスライド可能なガイドチャネル部を含み、前記スライド可能なガイドチャネル部の前記複数のスライド可能なバーガイド部(351;371)は、前記少なくとも1つのスライド可能なガイドチャネル部がそれぞれの前記工作物スピンドル(30)と共に移動するよう、それぞれ関連する前記工作物スピンドル(30)の前記スピンドル軸の前記長手方向へ移動可能である、ことを特徴とするバーローダ。
【請求項2】
それぞれの前記工作物ガイドチャネルアセンブリ(351,361,371)は、それぞれの工作物スピンドル(30)の前記スピンドル軸に関して軸方向に配置されるように構成されており、
それぞれの前記工作物ガイドチャネルアセンブリの前記固定ガイドチャネル部は、長手方向に延びており、及び/又は、それぞれの前記工作物ガイドチャネルアセンブリの前記少なくとも1つのスライド可能なガイドチャネル部は、長手方向に延びている、ことを特徴とする請求項1に記載のバーローダ。
【請求項3】
それぞれの前記工作物ガイドチャネルアセンブリ(351,361,371)の前記固定ガイドチャネル部は、前記移送装置(392)によって前記格納部(391)から移送された細長い工作物を受容するために横方向に開放するように、及び、前記受容された細長い工作物(B)を保持するために、受容された細長い工作物のためのガイドチャネルを形成すべく閉じられるように、構成されている、ことを特徴とする請求項1または2に記載のバーローダ。
【請求項4】
それぞれの前記工作物ガイドチャネルアセンブリの少なくとも1つのスライド可能なガイドチャネル部は、細長い工作物をガイドするためのガイドチャネルを有するガイドチューブ(371d)を備える、ことを特徴とする請求項1~3のいずれか1項に記載のバーローダ。
【請求項5】
前記ガイドチューブは回転可能に固定されており、または、前記ガイドチューブ(371b)はその軸方向の周りを回転するように構成されるべく回転可能に支持されている、特に、外側ガイドチューブ(371a)のハウジング内でベアリング(371f)によって回転可能に支持されている、ことを特徴とする請求項4に記載のバーローダ。
【請求項6】
それぞれの前記工作物ガイドチャネルアセンブリ(351,361,371)は、少なくとも2つのスライド可能なガイドチャネル部を含んでおり、
それぞれの前記工作物ガイドの少なくとも他のスライド可能なガイドチャネル部は、前記移送装置(392)によって前記格納部(391)から移送された細長い工作物を受容するために横方向に開放するように、及び、前記受容された細長い工作物を保持するために、前記受容された細長い工作物の周りにガイドチャネルを形成すべく閉じられるように、構成されている、ことを特徴とする請求項4または5に記載のバーローダ。
【請求項7】
前記開放可能でスライド可能なガイドチャネル部は、前記ガイドチューブ(371a)と前記開放可能な固定ガイドチャネル部の間に、特に前記開放可能な固定ガイドチャネル部に隣接して、配置されている、ことを特徴とする請求項6に記載のバーローダ。
【請求項8】
前記バーローダ(300)は、それぞれの前記工作物ガイドの前記開放可能な固定ガイドチャネル部及び前記開放可能でスライド可能なガイドチャネル部の両方において前記移送装置(392)によって前記格納部(391)から移送された細長い工作物(B)を受容するために、それぞれの前記工作物ガイドの前記開放可能な固定ガイドチャネル部及び前記開放可能でスライド可能なガイドチャネル部を共に横方向に開放するように構成されている、ことを特徴とする請求項3、6及び7のうちいずれか1項に記載のバーローダ。
【請求項9】
前記開放可能な固定ガイドチャネル部及び/又は前記開放可能でスライド可能なガイドチャネル部は、1つ以上のガイドアセンブリを含んでおり、各ガイドアセンブリは、それぞれの前記ガイドチャネル部を閉鎖及び解放するために、第1のガイドチャネル要素(351a)と、前記第1のガイドチャネル要素(351a)に対して相対的に回動可能な1つ以上の第2のガイドチャネル要素(351b)を含んでいる、ことを特徴とする請求項8に記載のバーローダ。
【請求項10】
それぞれの前記ガイドチャネル部の開かれた状態において、工作物(B)を横方向に受容するために、V字状の部位を有する1つ以上のガイド要素(351c)が、前記1つ以上の第2のガイドチャネル要素(351b)に対して相対的に前記第1のガイドチャネル要素(351a)と共に回動するように、前記第1のガイドチャネル要素(351a)に取り付けられている、ことを特徴とする請求項9に記載のバーローダ。
【請求項11】
V字状の部位を有する前記1つ以上のガイド要素(351c)は、それぞれの前記ガイドチャネル部を開放するために前記第1及び第2のガイドチャネル要素を互いに離れるように回動した時に、前記第1及び第2のガイドチャネル要素(351a,351b)の間の領域の内部へ立ち上がるように、及び/又は、それぞれの前記ガイドチャネル部を閉鎖するために、特に、前記1つ以上のガイド要素(351c)の前記V字状の部位の先端部に受容された工作物(B)を、それぞれの前記ガイドチャネル部の前記閉じた状態において前記第1及び第2のガイドチャネル要素(351a,351b)の間に形成される前記ガイドチャネルの内部へスムーズに移動させるために、前記第1及び第2のガイドチャネル要素を互いに向かって回動した時に、前記第1及び第2のガイドチャネル要素の間の前記領域から前記1つ以上の第2のガイドチャネル要素(351a,351b)の間の又はこれに隣接した空間の内部へ又はそこを通じて見えなくなるように、前記第1のガイドチャネル要素(351a)に取り付けられている、ことを特徴とする請求項10に記載のバーローダ。
【請求項12】
前記工作機械(100)が、それぞれの工作物スピンドルの前記スピンドル軸と同軸に配置された長手方向に移動するようにそれぞれ構成された複数の工作物スピンドル(30)を備えている場合、
前記装着システムは、前記複数の工作物スピンドル(30)のそれぞれについて、それぞれの関連する工作物ガイドチャネルアセンブリ(351,361,371)を備え、前記複数の工作物ガイドチャネルアセンブリのそれぞれについて、それぞれの前記工作物ガイドチャネルアセンブリ(351,361,371)の前記少なくとも1つのスライド可能なガイドチャネル部(351;371)は、それぞれの関連する前記工作物スピンドル(30)の前記スピンドル軸の前記長手方向へ、他の工作物ガイドチャネルアセンブリ(351,361,371)のスライド可能なガイドチャネル部と独立して移動可能である、ことを特徴とする請求項1~11のいずれか1項に記載のバーローダ。
【請求項13】
前記工作機械(100)が、前記工作機械のマシンフレーム(10)によってタレット軸の周りで回転可能に支持されたタレットボディ(20)を備えている場合、
前記装着システムは、前記タレット軸の周りで前記工作機械の前記タレットボディ(20)と共に回転するために前記タレットボディ(20)に取り付けられるように構成され回転可能に支持されたタレット固定ボディ(340)をさらに含む、ことを特徴とする請求項1~12のいずれか1項に記載のバーローダ。
【請求項14】
前記タレット固定ボディ(340)、前記タレットボディ(20)及び前記タレットボディ(20)によって支持された前記複数の工作物スピンドル(30)と共に回転するように固定され、前記工作物スピンドル(30)の後側部から排出される冷却及び/又は潤滑液を収集するように構成されると共に、
その内部で収集された冷却及び/又は潤滑液のための少なくとも1つの出口(374)を有する回転しない収集リング要素(373)において回転可能に支持される回転可能なポット体(372)、によって特徴付けられる請求項12または13に記載のバーローダ。
【請求項15】
工作機械、特に旋削加工機であって、細長い工作物(B)を受容するように構成された少なくとも1つの工作物スピンドル(30)と、請求項1~14のいずれか1項に記載のバーローダ装置(300)とを備える工作機械。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、工作機械と共に(または工作機械において)使用するためのバーローダ装置(短縮してバーローダと称される)、及び、そのようなバーローダを装備した工作機械、特に単一の主スピンドルを有する旋削加工機または複数の主スピンドルを有する多軸旋削加工機に関する。
【背景技術】
【0002】
先行技術において、工作機械、特に旋削加工機(その他、時には旋盤と称される)、例えば回転ドラム(タレット又はタレットボディ)上に支持された複数の工作物スピンドル(主スピンドル)を含む多軸旋削加工機であって、回転ドラム/タレットボディが、その長手軸の周りに自身を回転/インデックスするように構成されたものが知られている。
【0003】
例えば、特許文献1には、回転ドラム上に支持された複数の工作物スピンドル(主スピンドル)を有し、回転ドラムが、その長手軸の周りに自身を回転/インデックスするように構成され、それぞれの工作物スピンドルについて、1つ以上の工具を保持する工具アセンブリが備えられている多軸旋削加工機が記載されている。工作物スピンドルに受容された工作物と工具アセンブリの工具との間の相対的な移動のために、スピンドルは、それぞれのスピンドル軸と共に軸方向に配置されたZ方向に移動可能である。さらに、工具アセンブリのそれぞれは、ドラムの長手方向の回転軸に関して径方向のX方向、及び、ドラムの長手方向の回転軸に関して接線方向のY方向に移動するように構成されている。
【0004】
さらに、単一の主スピンドル(ただし、例えば他のカウンタースピンドルが設けられえるので、たた一つのスピンドルに限定されない)を有する機械が、先行技術から知られている。
【0005】
そのような旋削加工機は、例えばバー(ロッドとも称され得る)のような工作物に対して加工動作を実行するように構成されることができ、このとき、バーは主スピンドルまたは複数の主スピンドルのうち1つに保持され、バーはそれぞれの主スピンドルによってその長手軸の周りに回転駆動される。また、バーは、1つ以上の固定または回転切削工具によってそれぞれの主スピンドルから延出するその前面において加工され得る。
【0006】
工作機械、特に旋削加工機に加工動作のためのバーを装着するために、先行技術においてバーローダ装置が知られている。例えば特許文献2は、複数のバーを格納し、複数のバーのうちの1つを、工作機械、具体的には旋削加工機のスピンドルに、個々に装着するように構成されたバーローダを示している。
【0007】
具体的には、特許文献2のバーローダは、1つ以上の細長い工作物、特にバーを格納するように構成された格納部と、少なくとも1つの細長い工作物を工作機械の少なくとも1つの工作物スピンドルへ装着するように構成された装着システムと、細長い工作物を格納部から装着システムへ移送する移送装置と、を備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【文献】欧州特許第2163334号明細書
【文献】欧州特許出願公開第2364801号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本開示の目的は、1つ以上の主スピンドルを有する旋削加工機において、または、それと共に用いるためのバーローダ装置であって、コンパクトで、効率的で、信頼性が高く、短いバーのみならずより長いバーに対しても、バー装着動作中及び工作機械での加工動作中に、向上したバー誘導能力と共に向上したバー装着能力を有するものを提供することである。
【0010】
本開示の他の目的は、以上に鑑みて、特許文献1の多軸旋削加工機のコンセプトをさらに発展させ、特に、バー装着動作中及び多軸旋削加工機での加工動作中にもバー装着能力及びバー誘導能力を高め、よりフレキシブルで、正確で、効率的で、かつ、確実な加工動作を可能にするコンパクトな機械コンセプトを提供し、及び/又は、工作機械の精度及び/又は安定性を向上することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的の1つ以上を考慮して、バーローダ装置、及び、独立請求項による工作機械が提案される。従属請求項は、好ましい例示的な実施形態に関する。
【0012】
本発明は、バーローダ装置(または、シングルスピンドル、ダブルスピンドルまたはマルチスピンドルの旋盤または旋削加工機である工作機械のバーローダ装置との組み合わせ)を提案する。
【0013】
バーローダ装置は、細長い工作物、例えばバーを、工作機械の後側から工作機械の1つ以上の工作物スピンドルのうちそれぞれの工作物スピンドルの内部へ供給するように構成され得る。
【0014】
具体的には、1つの態様のバーローダは、1つ以上の細長い工作物、特にバーを格納するように構成された格納部と、少なくとも1つの細長い工作物を工作機械の少なくとも1つの工作物スピンドルへ装着するように構成された装着システムと、細長い工作物を格納部から装着システムへ移送する移送装置と、を備え得る。
【0015】
1つの態様によれば、装着システムは、それぞれの工作物スピンドルのスピンドル軸と同軸に配置され長手方向に移動するように構成された工作機械の各工作物スピンドルについて、細長い工作物のうち1つを受容及び/又はガイドするためのそれぞれ関連する工作物ガイドチャネルアセンブリを備え、当該工作物ガイドチャネルアセンブリは、それぞれの工作物スピンドルのスピンドル軸と同軸に配置されるように構成され得る。
【0016】
さらに、各工作物ガイドチャネルアセンブリは、固定ガイドチャネル部と、少なくとも1つのスライド可能なガイドチャネル部とを含み得る。少なくとも1つのスライド可能なガイドチャネル部は、それぞれの関連する工作物スピンドルのスピンドル軸の長手方向へ移動し得るように構成され得る。
【0017】
例えば、そのようなバーローダ装置の1つの態様は、固定ガイド部、スライド可能な中央ガイド部及びスライド可能な端ガイド部を含む3つの部位を含むバーローダガイドシステムが設けられ、スライド可能な部位が、(工作機械の1つ以上の主スピンドルの)関連するスピンドルのそれぞれについて個別のガイドを有するように配置され、当該ガイドが、それぞれの関連する工作物スピンドルのスピンドル軸の方向へ個々にスライド可能であるようなものであり得る。
【0018】
上述したそのような態様は、1軸、2軸または多軸の旋盤または旋削加工機、回転タレットボディを有する又は有しない多軸の機械が具備することができる。
【0019】
例示的な態様によれば、それぞれの工作物ガイドチャネルアセンブリは、それぞれの工作物スピンドルのスピンドル軸と同軸に配置されるように構成され得る。それぞれの工作物ガイドチャネルアセンブリの固定ガイドチャネル部は長手方向に延びることができ、及び/又は、それぞれの工作物ガイドチャネルアセンブリの少なくとも1つのスライド可能なガイドチャネル部は、長手方向に延びることができる。
【0020】
例示的な態様によれば、それぞれの工作物ガイドチャネルアセンブリの固定ガイドチャネル部は、移送装置によって格納部から移送された細長い工作物を受容するために横方向に開放するように、及び、受容された細長い工作物を保持するために、受容された細長い工作物のためのガイドチャネルを形成すべく閉じられるように、構成されている。
【0021】
例示的な態様によれば、それぞれの工作物ガイドチャネルアセンブリの少なくとも1つのスライド可能なガイドチャネル部は、細長い工作物をガイドするためのガイドチャネルを有するガイドチューブを備え得る。
【0022】
例示的な態様によれば、ガイドチューブは好ましくは回動可能に固定されている。他の例示的な態様によれば、ガイドチューブは、その軸方向の周りを回転するように構成されるべく好ましくは回転可能に支持されている、特に、外側チューブハウジング内でベアリングによって回転可能に支持されている。
【0023】
例示的な態様によれば、それぞれの工作物ガイドチャネルアセンブリは、少なくとも2つのスライド可能なガイドチャネル部を含み得る。例示的な態様によれば、それぞれの工作物ガイドの少なくとも他のスライド可能なガイドチャネル部は、移送装置によって格納部から移送された細長い工作物を受容するために横方向に開放するように、及び、受容された細長い工作物を保持するために、受容された細長い工作物の周りにガイドチャネルを形成すべく閉じられるように、構成され得る。
【0024】
例示的な態様によれば、開放可能でスライド可能なガイドチャネル部は、ガイドチューブと開放可能な固定ガイドチャネル部の間に、特に開放可能な固定ガイドチャネル部に隣接して、配置され得る。
【0025】
例示的な態様によれば、バーローダは、それぞれの工作物ガイドの開放可能な固定ガイドチャネル部及び開放可能でスライド可能なガイドチャネル部の両方において移送装置によって格納部から移送された細長い工作物を受容するために、それぞれの工作物ガイドの開放可能な固定ガイドチャネル部及び開放可能でスライド可能なガイドチャネル部を共に横方向に開放するように構成され得る。
【0026】
例示的な態様によれば、開放可能な固定ガイドチャネル部及び/又は開放可能でスライド可能なガイドチャネル部は、好ましくは1つ以上のガイドアセンブリを含むことができ、各ガイドアセンブリは、それぞれのガイドチャネル部を閉鎖及び/又は解放するために、第1のガイドチャネル要素と、第1のガイドチャネル要素に対して相対的に回動可能な1つ以上の第2のガイドチャネル要素とを含んでいる。
【0027】
例示的な態様によれば、例えばそれぞれのガイドチャネル部の開かれた状態において工作物を横方向に受容するために、好ましくはV字状の部位を有する1つ以上のガイド要素は、好ましくは、好ましくは1つ以上の第2のガイドチャネル要素に対して相対的に第1のガイドチャネル要素と共に回動するよう、第1のガイドチャネル要素に取り付けられている。
【0028】
例示的な態様によれば、V字状の部位を有する1つ以上のガイド要素は、それぞれのガイドチャネル部を開放するために第1及び第2のガイドチャネル要素を互いに離れるように回動した時に、好ましくは第1及び第2のガイドチャネル要素の間の領域の内部へ立ち上がるように、及び/又は、それぞれのガイドチャネル部を閉鎖するために、特に好ましくは、1つ以上のガイド要素のV字状の部位の先端部に受容された工作物を、それぞれのガイドチャネル部の閉じた状態において第1及び第2のガイドチャネル要素の間に形成されるガイドチャネルの内部へスムーズに移動させるために、第1及び第2のガイドチャネル要素を互いに向かって回動した時に、好ましくは第1及び第2のガイドチャネル要素の間の領域から1つ以上の第2のガイドチャネル要素の間の又はこれに隣接した空間の内部へ又はそこを通じて見えなくなるように、好ましくは第1のガイドチャネル要素に取り付けられている。
【0029】
例示的な態様によれば、工作機械が、それぞれの工作物スピンドルのスピンドル軸と同軸に配置された長手方向に移動するようにそれぞれ構成された複数の工作物スピンドルを備えている場合、装着システムは、複数の工作物スピンドルのそれぞれについて、それぞれの関連する工作物ガイドチャネルアセンブリを備えることができ、複数の工作物ガイドチャネルアセンブリのそれぞれについて、それぞれの工作物ガイドチャネルアセンブリの少なくとも1つのスライド可能なガイドチャネル部は、それぞれの関連する工作物スピンドルのスピンドル軸の長手方向へスライド可能なガイドチャネル部と独立して移動可能であることができる。
【0030】
例示的な態様によれば、工作機械が、工作機械のマシンフレームによってタレット軸の周りで回転可能に支持されたタレットボディを備えている場合、装着システムは、タレット軸の周りで工作機械のタレットボディと共に回転するためにタレットボディに取り付けられるように構成され回転可能に支持されたタレット固定ボディをさらに含み得る。
【0031】
例示的な態様によれば、例えば工作機械が、工作機械のマシンフレームによってタレット軸の周りで回転可能に支持されたタレットボディを備え、タレットボディが複数の工作物スピンドルを支持している場合、バーローダは、タレット固定ボディ、タレットボディ及び好ましくはタレットボディによって支持された複数の工作物スピンドルと共に回転するように固定された回転可能なポット体をさらに備えることができ、回転可能なポット体は、好ましくは工作物スピンドルの後側部から排出される冷却及び/又は潤滑液を収集するように構成されている。
【0032】
好ましくは、回転可能なポット体は、好ましくは回転可能なポット体の内部で収集された冷却及び/又は潤滑液のための少なくとも1つの出口を有する回転しない収集リング要素において回転可能に支持されている。
【0033】
1つの態様によれば、細長い工作物を受容するように構成された少なくとも1つの工作物スピンドルと、上述した態様のうち少なくとも1つによるバーローダ装置とを備える工作機械、特に旋削加工機が、さらに提供され得る。
【0034】
幾つかのさらなる態様によれば、工作機械、特に好ましくは多軸旋削加工機械であって、マシンフレームと、マシンフレームに回転可能に支持されたタレットボディと、タレットボディに配置された複数の工作物スピンドルとを備え、工作物スピンドルのそれぞれは、工作機械の加工スペースに面するタレットボディの一方の側に、それぞれの工作物を受容するための工作物受容部を有するものが提供される。
【0035】
幾つかの例示的な態様において、工作物スピンドルのそれぞれは、好ましくは、例えばタレットボディの長手方向の回転軸に平行な、及び/又は、それぞれのスピンドル軸に平行な長手方向(Z方向)に移動またはスライドし得る。それに応じて、スピンドル軸方向における独立した正確なスピンドル移動を備える有利にコンパクトな設計が提供される。
【0036】
幾つかの例示的な態様において、工作機械は、さらに、タレットボディの周りのマシンフレームによって支持された複数の工具ポストアセンブリを備えている。
【0037】
幾つかの例示的な態様において、各工具ポストアセンブリは、それぞれのスピンドル軸を横断して又は垂直に、1つ又は2つの方向に移動可能である。
【0038】
幾つかの例示的な態様において、各工具ポストアセンブリは、それぞれのX方向に移動可能である。このX方向は、それぞれのスピンドル軸に垂直であり、及び/又は、タレットボディの長手軸に関して径方向に配置されている。
【0039】
幾つかの例示的な態様において、各工具ポストアセンブリは、それぞれのスピンドル軸に垂直な、及び/又は、タレットボディの長手軸に関して接線方向に配置されたそれぞれのY方向に移動可能である。
【0040】
特定の例示的な態様が以上で記述されてきたが、そのような態様は広義の発明の理解を助けるものにすぎず、これを制限するものではなく、また、発明の実施形態は、以上の段落で示されたものに加えて様々な他の変更、組み合わせ、省略、改良及び置換が可能であるから、図示され記述された特定の構造及び配置に限定されないことが、理解されるべきである。
【0041】
当業者は、上述した態様の様々な適合、改良及び/又は組み合わせが構成され得ることを、正しく理解するであろう。したがって、さらなる態様が、ここに具体的に記載された以外に実施され得ることが、理解されるべきである。当業者は、この開示を考慮して、ここに記載された様々な態様が、本開示の他の態様を形成するために組み合わされ得ることをも、正しく理解するであろう。
【図面の簡単な説明】
【0042】
図1】例示的な一実施形態による多軸旋削加工機の概略的な前側透視図を例示している。
図2】付加的なチップコンベヤを備える図1の多軸旋削加工機の概略的な後側透視図を例示している。
図3A】多軸旋削加工機での使用のための例示的な一実施形態によるバーローダ及びその内部部品の概略的な透視図を例示している。
図3B】多軸旋削加工機での使用のための例示的な一実施形態によるバーローダ及びその内部部品の概略的な透視図を例示している。
図3C】多軸旋削加工機での使用のための例示的な一実施形態によるバーローダ及びその内部部品の概略的な透視図を例示している。
図4A図3A~3Cのバーローダの内部部品のさらなる概略的な透視図を例示している。
図4B図3A~3Cのバーローダの内部部品のさらなる概略的な透視図を例示している。
図4C図3A~3Cのバーローダの内部部品のさらなる概略的な透視図を例示している。
図4D図3A~3Cのバーローダの内部部品のさらなる概略的な透視図を例示している。
図4E図3A~3Cのバーローダの内部部品のさらなる概略的な透視図を例示している。
図5A】例示的な一実施形態による多軸旋削加工機のドラムの概略的な透視図を例示している。
図5B】例示的な一実施形態による多軸旋削加工機のドラムの概略的な透視図を例示している。
図6A】他の例示的な実施形態によるバーローダの内部部品のさらなる概略的な透視図を例示している。
図6B】他の例示的な実施形態によるバーローダの内部部品のさらなる概略的な透視図を例示している。
図6C】他の例示的な実施形態によるバーローダの内部部品のさらなる概略的な透視図を例示している。
図7A図6A~6Cによるバーローダの内部部品の詳細の概略的な透視図を例示している。
図7B図6A~6Cによるバーローダの内部部品の詳細の概略的な透視図を例示している。
図8図6A~6Cによるバーローダのガイドチューブの概略的な断面図を例示している。
図9】工作機械のスピンドルに取り付けられたバーローダのガイドチューブアセンブリの概略的な縦断面図を例示している。
図10A図9によるバーローダのガイドチューブアセンブリの詳細の概略図を例示している。
図10B図9によるバーローダのガイドチューブアセンブリの詳細の概略図を例示している。
図10C図9によるバーローダのガイドチューブアセンブリの詳細の概略図を例示している。
図11A】例示的な実施形態によるバーローダのバーホルダアセンブリの概略的な透視図を例示している。
図11B】例示的な実施形態によるバーローダのバーホルダアセンブリの概略的な透視図を例示している。
図11C図11A及び11Bのバーホルダアセンブリの開いた状態における概略的な前面図を例示している。
図11D図11A及び11Bのバーホルダアセンブリの閉じた状態における概略的な前面図を例示している。
【発明を実施するための形態】
【0043】
以下において、好ましい態様及び実施形態が、添付図面を参照してより詳細に説明される。異なる図面及び実施形態における同一または類似の特徴は、類似の参照番号によって参照される。様々な好ましい態様及び好ましい実施形態に関する以下の詳細な説明は、本発明の範囲を限定することを意図するものではないことが理解されるべきである。
【0044】
以下に記載される例示的な実施形態は、回転するタレットボディ上に配置された複数の工作物スピンドルを有する多軸旋削加工機に関する構成を参照している点に注意することが重要である。そのような多軸旋削加工機として、例示的に、複数の軸方向に配置されたバーガイド部351,361,371の列(1つのスピンドルにつき1列)が例示的に記述される。しかしながら、本発明は、他のタイプの旋削加工機または旋盤にも適用可能である点に注意されたい。そのようなタイプは、(例えば1つの主スピンドル及び任意に1つ以上のカウンタースピンドルを含む)シングルスピンドル旋削加工機を含み、そのような場合、ただ1つのバーガイド部361,351及び371の列が、例えば回転体340/341なしに設けられ得る。それに応じて、バーガイド部361,351及び371に関して以下に記述される実施形態の態様は、シングルスピンドル旋削加工機を含む他のタイプの旋削加工機または旋盤にも適用され得る。
【0045】
図1は、例示的な実施形態による多軸旋削加工機100の概略的な透視図を例示している。
【0046】
図1の多軸旋削加工機100は、例示的に、マシンベッド11を例示的に含むマシンフレーム10、第1のマシンフレーム直立部12(前方フレーム部)及び第2のマシンフレーム直立部13(後方フレーム部)を含み、第1のマシンフレーム直立部12及び第2のマシンフレーム直立部13は、マシンベッド11上に配置されている。
【0047】
タレットボディ20(スピンドルドラム)は、例示的に多軸旋削加工機100のマシンフレーム10の第1のマシンフレーム直立部12及び第2のマシンフレーム直立部13によって、回転可能に支持されている。タレットボディ20は、例示的に、複数の工作物スピンドル30を支持しており、それらは、例示的に、工作物スピンドル30のそれぞれのスピンドル軸がタレットボディ20の回転軸(長手軸)と平行に配置されるように、配置されている。具体的に、工作物スピンドル30は、例示的にはタレットボディ20の回転軸(長手軸)の周りに、例示的には等角度間隔で配置されている。
【0048】
タレットボディ20は、第1及び第2のマシンフレーム直立部12及び13によって回転可能に支持されており、例示的にはタレットボディ20が2つのマシンフレーム直立部12及び13のみによって支持されるよう、第1及び第2のマシンフレーム直立部12及び13の間に自由空間が設けられている。具体的に、例示的にはタレットボディ20の前端部が第1のマシンフレーム直立部12(前方フレーム部)によって回転可能に支持され、タレットボディ20の後端部が第2のマシンフレーム直立部13(後方フレーム部)によって回転可能に支持されている。
【0049】
図1において、タレットボディ20は例示的には6つの工作物スピンドル30を担持しているが、本発明は、タレットボディ20上に配置された6つの工作物スピンドル30を備える構成に限定されず、スピンドルの数は6より少なくても多くてもよく、例えば、タレットボディは4つ、5つ、7つ、8つ、またはそれより多くの工作物スピンドルを支持する。例示的には、6つの工作物スピンドル30の場合、隣り合うそれぞれの工作物スピンドルの間の等角度間隔は、360°の1/6、すなわち例示的には60°である。
【0050】
さらに、例示的には第1のマシンフレーム直立部12(前方フレーム部)は、各工作物スピンドル30についてそれぞれ1つの工具ポストアセンブリ40を支持しており、当該工具ポストアセンブリ40は、それぞれの工作物スピンドル30に受容される工作物を処理/加工するための工具を担持している。このように、本例においては、第1のマシンフレーム直立部12(前方フレーム部)が、6つの工具ポストアセンブリ40を、例示的には隣り合う工作物スピンドル30の間の等角度間隔と同様の隣り合う工具ポストアセンブリの間の等角度間隔をもって支持している。
【0051】
そのような構成により、タレットボディのある加工位置において、各工具ポストアセンブリ40は、例示的に、その時点で関連付けられている工作物スピンドル30によって保持された工作物を処理することができるように位置決めされ、タレットボディ20をインデキシング(回転)することにより、各工作物スピンドル30は隣の工具ポストアセンブリ40の次の位置へと移動され得る。このように、タレットボディ20は、それぞれの工具ポストアセンブリ40の複数の加工位置の間で工作物スピンドル30をインデックス/回転するように構成されている。タレットボディ20のそのような回転(インデキシング)は、時計方向及び/又は反時計方向に為され得る。
【0052】
多軸旋削加工機100の運動キネマティクスに関して、例示的には、各工具ポストアセンブリ40によって保持された1つまたはそれより多くの工具は、例示的には、それぞれの工作物スピンドル30に受容された工作物に対して、3つの並進方向(3つの線形自由度)に移動され得る。例示的には、これは、各工作物スピンドル30が、それぞれのスピンドル軸(「Z方向」と称する;Z軸)と同軸に配置された長手方向において移動可能であり、かつ、各工具ポストアセンブリ40が、例示的には互いに垂直かつ長手方向(Z方向)に垂直な2つの直線方向に独立して移動され得ることによって達成される。そのような方向は、例示的には「X方向」(X軸)及び「Y方向」(Y軸)と称される。
【0053】
例示的には、各工具ポストアセンブリ40について、それぞれのX方向は、タレットボディ20の回転軸に関して径方向に配置され(すなわち、それぞれの工具ポストアセンブリ40は、タレットボディ20の回転軸に関して垂直かつ径方向であるX方向に移動されることができ)、例示的には、それぞれの工作物スピンドル30のZ方向に垂直に配置されている。
【0054】
例示的には、各工具ポストアセンブリ40について、それぞれのY方向は、タレットボディ20の回転軸に関して接線方向に配置され(すなわち、それぞれの工具ポストアセンブリ40は、タレットボディ20の回転軸に関して垂直かつ接線方向であるY方向に移動されることができ)、例示的に好ましくは、それぞれの工作物スピンドル30のZ方向に垂直、かつ、それぞれの工具ポストアセンブリ40のそれぞれのX方向に垂直に配置されている。
【0055】
第2のマシンフレーム直立部13(後方フレーム部)とは反対側の第1のマシンフレーム直立部12(前方フレーム部)の側(がわ)には加工スペースが提供され、この側(がわ)において第1のマシンフレーム直立部12に工具ポストアセンブリ40が提供される。
【0056】
工具ポストアセンブリ40の下には、例示的にはマシンフレーム10のマシンベッド11にチップ落下開口が設けられ、マシンフレーム10のマシンベッド11の前側にはコンベヤ開口11Aが設けられている。コンベヤ開口11Aはチップコンベヤ(例えば図2、例えばチップコンベヤ200参照)を差し込むために設けられている。利点は、工作物スピンドル30に受容された工作物を工具ポストアセンブリ40に保持された工具によって加工する加工プロセスによって生成されるチップが、スピンドル位置から下方へ自由落下し、チップ落下開口を通じて、コンベヤ開口11Aを経て差し込まれたチップコンベヤのチップコレクタ部の中へと落ち得ることである。
【0057】
図2は、付加的なチップコンベヤ200を備える図1の多軸旋削加工機の概略的な後側透視図を例示している。
【0058】
例示的に、図1の多軸旋削加工機の工具ポストアセンブリ40のそれぞれは、例えば、それぞれのX及びY軸によって定まる平面がタレットボディ20の長手方向軸に垂直に配置されるように(すなわち、それぞれのX及びY軸のそれぞれがタレットボディ20の長手方向軸に垂直に配置されるように)、及び、それぞれのX軸がタレットボディ20の長手方向軸(回転軸)に関して径方向に配置されるように、例示的に互いに垂直に配置されたそれぞれのX及びY軸がタレットボディの長手方向軸に依存して配置されるような態様で、加工スペースに面する側において第1のマシンフレーム直立部12(前方フレーム部)に取り付けられているという点のみにおいて、同様に構成されている。
【0059】
X及びY軸を規定するために、工具ポストアセンブリ40は、例示的には、X方向において移動可能な第1のスライド(Xスライド)及びY方向において移動可能な第2のスライド(Yスライド)を含むクロススライドアセンブリを備え、第1のスライド(Xスライド)は例示的に第2のスライド(Yスライド)の上に配置されている。
【0060】
工具ポストアセンブリ40は、さらに、例示的には、それぞれの駆動部46及び48を備え、駆動部46(例えば駆動モータ)は第1のスライド(Xスライド)のX方向への直線運動を駆動するように構成されており、駆動部48(例えば駆動モータ)は第2のスライド(Yスライド)のY方向への直線運動を駆動するように構成されている(例えば図2参照)。
【0061】
X及びY方向の運動は独立して駆動されることができ、X及びY方向の運動を同時に駆動することにより、工具ポストは、タレットボディ20の長手軸に垂直、かつ、それぞれの工作物スピンドル30のそれぞれのスピンドル軸に垂直な、X及びY方向の平面内における如何なる方向にも移動され得る。
【0062】
案内要素を、例えば図1及び2に示されたそれぞれの位置において第1のマシンフレーム直立部12(前方フレーム部)に取り付けることが可能であり、当該案内要素に沿って第2のスライド(Yスライド)のガイドが案内される。
【0063】
例示的に、図1の多軸旋削加工機の各工具ポストアセンブリ40は、工具を受容するための複数の(例示的には3つの)工具受容開口を備え得る。例示的には、工具受容開口は、互いに隣接して配置され、かつ、Y方向に沿って配置されている。
【0064】
これによって、工具ポストをY方向に移動させることにより、それぞれの工作物スピンドルに受容された工作物に実際に関与するそれぞれの工具は、工具受容開口に受容された工具の間で交換され得るという利点が得られる。このようにして、工具ポストに新たな工具を実際に挿入することなく、それぞれの工作物スピンドル30における加工動作に関与する工具は、工具ポストをY方向に移動させるだけで、迅速、効率的かつ確実に交換され得る。
【0065】
また、工具ポストアセンブリ40は、工具受容開口に受容された工具(いわゆるライブツール)を、駆動部(例えば駆動ハウジング内の駆動モータ)及びギアボックスを含む任意選択の駆動機構によって駆動するように構成されている。具体的には、ギアボックスは、異なるギア比のために1つまたはそれより多くのギアチェンジを可能とするように構成され得るギア機構を含むことができ、ギア機構は、工具受容開口に受容された1つまたはそれより多くの工具を駆動するよう駆動部によって駆動され得る。
【0066】
例えば、ギアボックスは、1つのギア設定にセット、または、複数のギア設定の間で切り替えることができるギア機構を含むように構成されることができる。当該ギア機構は、工具受容開口に受容された1つまたはそれより多くの工具を、例えば意図される加工条件により、及び/又は、使用されているライブツールにより、高速で、及び/又は、高トルクで駆動するために設けられ得る。
【0067】
(カートリッジ受容開口としての)工具受容開口に工具保持工具カートリッジを固定して保持するために、工具ポストは、機械的な固定、または、受容された工具またはカートリッジを例えばスクリュー及び/又はクランプ、または、例えばクイック作動ファスナまたはクイッククランプをも含む他の機械的なロック機構によってロックすることを可能とするように構成され得る。
【0068】
さらなる例示的な実施形態において、代替的に又は追加的に、工具ポストは、工具ポストの(カートリッジ受容開口としての)工具受容開口に受容された工具カートリッジTCを自動的にロック/ロック解除するための自動作動ロック/ロック解除機構を備え得る。具体的には、そのような自動作動ロック/ロック解除機構は、機械的な、空気による、油圧による又は電気的なロック/ロック解除機構を含み得る。このように、工具ポストの(カートリッジ受容開口としての)工具受容開口に受容された工具カートリッジのロック/ロック解除は、機械的な、空気による、油圧による及び/又は電気的なアクチュエータによって自動的に作動され得る。
【0069】
これによって、例示的には、有利には、自動工具交換機能の可能性が、多軸旋削加工機に提供され得る。自動工具交換機構は、フライス盤またはフライス加工マシニングセンタのような工具担持軸を備える工作機械の分野において周知であるが、効率的で信頼性の高い自動工具交換機構は、旋削加工機/旋盤の分野においては、特に多軸旋削加工機については未だ実現されておらず、したがって、多軸旋削加工機のような旋削加工機において、そのような自動工具交換システムは非常に有益であり、それぞれの旋削加工機の汎用性を著しく向上させる。
【0070】
例えば、多軸旋削加工機にハンドリングロボットを装備する場合、そのようなロボットは、(例えば加工プロセスの後の工作物の取り外しのために)工作物スピンドルにおいて工作物を操作するために、及び/又は、工具ポストアセンブリ40のうち1つの工具ポストから取り外されるべき、または、そこへ挿入されるべき工具を操作するために利用され得る。
【0071】
自動作動ロック/ロック解除機構がない場合であっても、工具受容開口に適合された複数の相互交換可能な工具保持カートリッジを備える高度にフレキシブルで効率的に利用可能な工具カートリッジシステムによって、有利には、多軸旋削加工機のような旋削加工機において、手動、自動又は半自動で、効率的に、より迅速かつ正確に工具を交換することができるようになる。
【0072】
既に述べたように、図2は、付加的なチップコンベヤ200を備える図1の多軸旋削加工機の概略的な後側透視図を例示している。
【0073】
例示的には、チップコンベヤ200(チップコンベヤ装置)は、上面が開口したチップコレクタ部を含んでいる。チップコレクタ部は、例えば図1に示されているように、多軸旋削加工機のマシンフレーム10のマシンベッド11のチップコンベヤ開口11Aの中に挿入され得る。それによって、コンベヤ開口11Aの中に挿入された場合、工作物スピンドル30に受容され、工具ポストアセンブリ40の工具によって加工される工作物の加工動作によって生成されたチップは、有利には、チップコンベヤ200のチップコレクタ部の中へ真っすぐに落ちることが可能となる。
【0074】
チップコンベヤ200は、例示的にはさらに、チップコレクタ部の中に収集されたチップをチップ出力部へ向けて上方へ搬送するためのコンベヤシステムを内部に有する傾斜搬送部を含んでいる。チップ出力部は、例えば当該チップ出力部の下に設置され得る収集コンテナの中へと搬送されたチップを出力するための下向きの開口を有している。コンベヤシステムを駆動するために、チップコンベヤ200は、さらに、コンベヤ駆動部を含んでいる。
【0075】
図3A~3Cは、多軸旋削加工機100での使用のためのバーローダ300及びその部品の概略的な透視図を例示している。そのようなバーローダ300は、例示的に、ここで説明される如何なる工作機械においても用いられ得る。
【0076】
図3Aは、ハウジング310及びスタンド320を備えるバーローダ300を例示している。ハウジング310の側の開口を通じて、バーローダは、多軸旋削加工機100で加工されるべき未加工のバー、ロッド又は他の細長い工作物を受容する(供給される)ためのバー受容部330を含んでいる。そのような細長い工作物は、様々な幅の丸い輪郭、または、例えば6角形の断面形状の輪郭のような角張った輪郭を有し得る。
【0077】
バーローダ300の一方の側において、タレット固定ボディ340が、バーローダ300から横方向に延びている。タレット固定ボディ340は、多軸旋削加工機100のタレットボディ20の回転長手軸と同軸に配置されるよう、長手軸の周りに回転可能に支持されている。タレット固定ボディ340は、タレットボディ20と同軸に配置されたその長手軸の周りを回転するよう、多軸旋削加工機100の後側から後方フレーム部13の貫通孔を通じて(例えば複数の固定ロッド380によって)タレットボディ20に固定されるように構成されている。
【0078】
具体的には、タレットボディ20とタレット固定ボディ340は、例示的に、共通の長手軸の周りを共に回転するよう、互いに堅固に固定されるように構成されている。このように、例示的に、タレット固定ボディ340によって支持されたバーローダのガイドシステムの駆動された回転は、機械の後方フランジの外径に作用する(例えば複数の固定ロッド380による)複数の機械的な連結を通じたタレット固定ボディ340のタレットボディ20の後側との機械的な連結によって実現される。タレット固定ボディ340のタレットボディ20の後側とのこの機械的な連結によって、タレットボディ20自体の内部のスピンドルとの適切な角度同期が保証される。このように、バーローダガイドシステム及びバーローダ300のタレット固定ボディ340の回転は、例示的に、以下で説明されるトルクモータによって実現される。
【0079】
図3Bは、図3Cに例示されている内部ガイドシステムを有するハウジング310の無い状態の図3Aのバーローダ300を例示している。
【0080】
バーローダガイドシステム全体は、タレット固定ボディ340と共に、タレット固定ボディ340の長手軸(ガイドシステムの長手軸)の周りを回転可能に支持されており、ガイドシステムは、固定ガイド部360、スライド可能な中央ガイド部350及びスライド可能な端ガイド部370を含み、固定ガイド部360、スライド可能な中央ガイド部350及びスライド可能な端ガイド部370のそれぞれは、共に、タレット固定ボディ340の長手軸(ガイドシステムの長手軸)の周りを回転可能に支持されている。
【0081】
このように、多軸旋削加工機100のタレットボディ20が回転/インデックスされると、多軸旋削加工機100のタレットボディ20に固定されたバーローダ300のタレット固定ボディ340は、多軸旋削加工機100のタレットボディ20と同期した態様で回転し、固定ガイド部360、スライド可能な中央ガイド部350及びスライド可能な端ガイド部370を含むガイドシステムは、バーローダ300のタレット固定ボディ340及びタレットボディ20と共に共通の長手軸の周りを回転すべく駆動される。
【0082】
好ましくは、ガイドシステムの駆動された回転の制御は、多軸旋削加工機100の数値制御装置(NC)及び/又はプログラマブルロジックコントローラ(PLC)からの制御によってタレット20の回転を駆動することによって実現される。これによって、タレットボディ20の回転及びバーローダ300のガイドシステムの回転の制御が、同期して制御されるという利点が得られる。
【0083】
また、好ましくは、多軸旋削加工機100の数値制御システム(NC及び/又はPLCを含む)は、バーローダの制御システムと、マスター/スレーブの関係に従って通信可能に接続され得る。これによって、機械の数値制御装置(NC)及び/又はPLCは、バーローダの複数の又は全ての機能を直接的に管理することが可能となる(例えば、機械が「マスター」、バーローダが「スレーブ」)。バーローダシステムの機能は、以下の少なくとも1つを含み得る。
・バー貯蔵エリアから新しいバーを選択し、バーローダのガイドシステムへと持ち上げる。
・新しいバーをガイドシステムのバーローダチャネル内へ導入する。
・(例えば、例示的にはスピンドルコレットが開かれたことを示す特定の信号を受信した後に)加工プロセスのための新しい原材料を供給するためにバーを押す。
・バー要素を操作する。
【0084】
バーローダ300の固定ガイド部360は、例示的に、長手軸の周りに配置された複数の長手方向に配置された固定バーガイド部361の列を有している。長手方向に配置された固定バーガイド部361のそれぞれは、多軸旋削加工機100の工作物スピンドル30のそれぞれ1つのためのバー/細長い工作物を受容するために設けられており、その結果、タレットボディ20上に配置された多軸旋削加工機100の工作物スピンドル30の角距離に対応する同一の角距離において、固定バーガイド部361の個数は、多軸旋削加工機100の工作物スピンドル30の個数と同一である。
【0085】
スライド可能な中央ガイド部350は、例示的に、長手軸の周りに配置された複数の長手方向に配置されたスライド可能なバーガイド部351の列を有している。長手方向に配置されたスライド可能なバーガイド部351のそれぞれは、多軸旋削加工機100の工作物スピンドル30のそれぞれ1つのためのバー/細長い工作物を受容するために設けられており、その結果、タレットボディ20上に配置された多軸旋削加工機100の工作物スピンドル30の角距離に対応する同一の角距離において、長手方向に配置されたスライド可能なバーガイド部351の列の数は、例示的に、多軸旋削加工機100の工作物スピンドル30の個数と同一である。
【0086】
スライド可能な中央ガイド部350の長手方向に配置されたスライド可能なバーガイド部351のそれぞれは、例示的に、固定ガイド部360の長手方向に配置された固定バーガイド部361のそれぞれと関連しており、特定の列のスライド可能なバーガイド部351のそれぞれは、長手方向に平行な関連する固定バーガイド部361の関連する列と同軸に配列されている。その結果、スライド可能なバーガイド部351のそれぞれは、関連する列の関連する固定バーガイド部361と共に、バー受容部330を通じて供給されるバー/細長い工作物を同時に受容するように構成されている。
【0087】
それに応じて、スライド可能なバーガイド部351及び関連する固定バーガイド部361の両方が、バー受容部330を通じて供給される同一のバー/細長い工作物を横方向から受容するために横方向に開かれるように作動され、その後、バーを包囲し、受容されたバーのそれぞれのための長手方向に延びるガイドチャネルを提供するために、横方向に閉じられるように作動され得る。
【0088】
バーローダの供給機構は、スライド可能なバーガイド部351及び関連する固定バーガイド部361に受容されたバー/細長い工作物を、長手方向にスライド可能な端ガイド部370並びにタレットボディ20及びそれぞれのスピンドル30に向かって供給するように構成されている。
【0089】
スライド可能な端ガイド部370は、長手軸の周りに配置された複数のスライド可能なバーガイド部371を有している。スライド可能なバーガイド部371のそれぞれは、多軸旋削加工機100の工作物スピンドル30のそれぞれ1つのためのバー/細長い工作物を受容するために設けられており、その結果、例示的にタレットボディ20上に配置された多軸旋削加工機100の工作物スピンドル30の角距離に対応する同一の角距離において、スライド可能なバーガイド部371の個数は、例示的に多軸旋削加工機100の工作物スピンドル30の個数と同一である。
【0090】
スライド可能な端ガイド部370のスライド可能なバーガイド部371のそれぞれは、例示的にスライド可能な中央ガイド部350のスライド可能なバーガイド部351のそれぞれの列と関連しており、スライド可能なバーガイド部371のそれぞれは、長手方向に平行な関連するスライド可能なバーガイド部351の列と同軸に配列されている。その結果、それぞれのバー/細長い工作物が固定ガイド部360からスライド可能な端ガイド部370及びタレットボディ340へ向かって供給されると、スライド可能なバーガイド部371のそれぞれは、関連するスライド可能なバーガイド部351と共に、バー/細長い工作物を同時に受容するように構成されている。
【0091】
また、スライド可能な端ガイド部370のスライド可能なバーガイド部371のそれぞれは、多軸旋削加工機100のタレットボディ20の後端部21の開口26を通じて延びるよう、多軸旋削加工機100のタレットボディ20に固定されたバーローダ300のタレット固定ボディ340を通じて長手方向に延びている。その結果、スライド可能なバーガイド部371のそれぞれは、1つ以上の、好ましくは図3A及び3B(連結要素380)に例示されているようにスピンドル毎に1つ以上の連結要素(例えば連結ロッド又は同様のもの)によって、それぞれの工作物スピンドル30のそれぞれのスピンドルボディ32に連結又は固定され得る。
【0092】
それぞれのバー/細長い工作物が、それぞれのスライド可能なバーガイド部371を通じて供給され、それぞれの工作物スピンドル30の連結されたスピンドルボディ32の内部へ延びる場合、それぞれの工作物スピンドル30のスピンドルボディ32の内部に、別の任意の供給機構が設けられえる。その結果、スライド可能なバーガイド部351及び371は、別の供給機構なしに設けられることができ、かつ、スライド可能なバーガイド部351及び371は、好ましくは、長いバー又は他の細長い工作物のためのガイドサポートを提供するガイドチャネルを提供し得る。
【0093】
例示的に、固定ガイド部360の固定バーガイド部361とは対照的に、スライド可能なバーガイド部371は、(例えば関連するスライド可能なバーガイド部351のそれぞれと共に)例示的に、それぞれの工作物スピンドル30の長手Z方向における長手方向の移動と共に長手方向にスライドするように構成されている。
【0094】
具体的には、工作物スピンドル30は、長手Z方向に互いに独立して駆動されるように構成されているので、スライド可能なバーガイド部371のそれぞれは、(例えば関連するスライド可能なバーガイド部351のそれぞれと共に)他のスライド可能なバーガイド部371(及び例えば関連するスライド可能なバーガイド部351)のそれぞれから独立して長手方向にスライドするように構成されている。
【0095】
これによって、バーローダ300が、長いバー又は他の細長い工作物のための信頼性の高い正確なガイドサポートを付加的に提供するという利点が得られ、それによって、工作物スピンドル30がZ方向に駆動される場合にも一定のガイドサポートが得られる。
【0096】
図4A~4Cは、図3A~3Cのバーローダ300の内部部品の概略的な透視図をさらに例示している。
【0097】
バーローダ300の固定ガイド部360の領域には、例示的に、長手方向に配置された列のそれぞれに複数の固定バーガイド部361が設けられている。例示的に、4つの別個の固定バーガイド部361が、長手方向に配置された列のそれぞれにおいて、タレット固定ボディ340の長手方向に延びる回転体341の長手方向に沿って平行に、互いに同軸に配置されている。
【0098】
回転体341は、工作機械100のタレットボディ20の長手タレット軸と同軸に整列され得る長手軸の周りを回転するように配置されている。
【0099】
長手方向に配置された列のそれぞれにおいて互いに同軸に配置された複数の固定バーガイド部361は、工作物ガイドチャネルアセンブリの固定ガイドチャネル部を共に形成する。工作物スピンドル30の個数はこの例では6であり、固定ガイドチャネル部及び工作物ガイドチャネルアセンブリのそれぞれは工作物スピンドル30のそれぞれについて設けられているので、例示的に、互いに同軸に配置された固定バーガイド部361の6つのグループ(長手方向に配置された列)が存在する。これらの固定バーガイド部361のグループ(列)は回転体341の周りに配置されており、その結果、固定バーガイド部361の各グループ(列)は、スピンドル30の1つのそれぞれのスピンドル軸と同軸に配置されている。
【0100】
それに応じて、バーローダ300の固定ガイド部360は、例示的に、スピンドル30の1つのそれぞれのスピンドル軸について、それぞれの工作物ガイドチャネルアセンブリの固定ガイドチャネル部を有する。
【0101】
バーローダ300のスライド可能な中央ガイド部350の領域には、例示的に、長手方向に配置された列のそれぞれに複数のスライド可能なバーガイド部351が設けられている。例示的に、複数の別個のスライド可能なバーガイド部351が、長手方向に配置された列のそれぞれにおいて、タレット固定ボディの長手方向に延びる回転体341の長手方向に沿って平行に、互いに同軸に配置されている。
【0102】
長手方向に配置された列のそれぞれにおいて互いに同軸に配置された複数のスライド可能なバーガイド部351は、工作物ガイドチャネルアセンブリのスライド可能なガイドチャネル部を共に形成する。工作物スピンドル30の個数はこの例では6であり、スライド可能なガイドチャネル部及び工作物ガイドチャネルアセンブリのそれぞれは工作物スピンドル30のそれぞれについて設けられているので、例示的に、互いに同軸に配置されたスライド可能なバーガイド部351の6つのグループ(長手方向に配置された列)が存在する。これらのスライド可能なバーガイド部351のグループ(列)は回転体341の周りに配置されており、その結果、スライド可能なバーガイド部351の各グループ(列)は、スピンドル30の1つのそれぞれのスピンドル軸に関して同軸に配置されている。
【0103】
それに応じて、バーローダ300のスライド可能な中央ガイド部350は、例示的に、スピンドル30の1つのそれぞれのスピンドル軸について、それぞれの工作物ガイドチャネルアセンブリのスライド可能なガイドチャネル部を有する。
【0104】
さらに、それぞれの工作物ガイドチャネルアセンブリのそれぞれのスライド可能なガイドチャネル部は、関連するそれぞれの工作物スピンドル30と共に長手方向(Z方向)に移動するように構成されている。工作物スピンドル30も長手方向に互いに独立して移動し得るので、このスライド可能なガイドチャネル部は互いに独立して移動し得る点に注意されたい。
【0105】
バーローダ300のスライド可能な端ガイド部370の領域には、例示的に、複数のスライド可能なバーガイド部371が設けられている。例示的に、スライド可能なバーガイド部371は、例示的にスライド可能なガイドチューブ(以下の記載参照)によって実現される。例示的にそれぞれのガイドチューブによって実現されるスライド可能なバーガイド部371のそれぞれは、工作物ガイドチャネルアセンブリのスライド可能なガイドチャネル部を形成する。
【0106】
工作物スピンドル30の個数はこの例では6であり、スライド可能なガイドチャネル部及び工作物ガイドチャネルアセンブリのそれぞれは工作物スピンドル30のそれぞれについて設けられているので、例示的に、6つのスライド可能なバーガイド部371が存在し、スライド可能なバーガイド部371は回転体341の周りに配置されており、その結果、スライド可能なバーガイド部371のそれぞれは、スピンドル30の1つのそれぞれのスピンドル軸に同軸に配置されている。
【0107】
それに応じて、バーローダ300のスライド可能な端ガイド部370は、例示的に、スピンドル30の1つのそれぞれのスピンドル軸について、それぞれの工作物ガイドチャネルアセンブリのスライド可能なガイドチャネル部を有する。
【0108】
このことから、回転体341はスピンドル30のうちの1つのそれぞれのスピンドル軸について複数の工作物ガイドチャネルアセンブリを支持しており、工作物ガイドチャネルアセンブリのそれぞれは、例示的に、関連する工作物スピンドル30のそれぞれのスピンドル軸と同軸に配置された複数の固定バーガイド部361と、関連する工作物スピンドル30のそれぞれのスピンドル軸と同軸に配置された複数のスライド可能なバーガイド部351と、関連する工作物スピンドル30のそれぞれのスピンドル軸と同軸に配置されたスライド可能なバーガイド部371とを含んでいる。
【0109】
それぞれの工作物ガイドチャネルアセンブリの複数の固定バーガイド部361は、例示的に回転体341に固定され、細長い工作物/バーを受容するための固定ガイドチャネル部を形成する。
【0110】
それぞれの工作物ガイドチャネルアセンブリの複数のスライド可能なバーガイド部351は、回転体341の長手方向へ移動し得るよう例示的に回転体341に配置され、細長い工作物/バーを受容するためのスライド可能なガイドチャネル部を形成する。
【0111】
それぞれの工作物ガイドチャネルアセンブリのスライド可能なバーガイド部371は、回転体341の長手方向へ移動し得るよう例示的に回転体341に配置され、細長い工作物/バーを受容するための他のスライド可能なガイドチャネル部を形成する。上述したように、スライド可能なバーガイド部371は、ガイドチューブによって実現される。
【0112】
さらに、図4A~4Cは、格納部として複数の細長い工作物/バーを共に格納するように構成された複数の格納部要素391を例示している。また、格納部要素391から工作物ガイドチャネルアセンブリのうちの1つへ細長い工作物/バーを移送するように構成された複数の移送装置392も設けられている。
【0113】
図4Eは、格納部要素391のうちの1つの詳細図を、関連するストッパ要素394及び支持部392aを含む移送装置392と共に例示している。支持部392aは、例示的に、循環チェーン392b及び循環チェーン392bの1つの位置に取り付けられた移送要素392cを支持している。
【0114】
支持部392aによって支持された循環チェーン392bの移動を駆動して、移送要素392cを支持部392aの底部から頂部へ移動させることにより、移送要素392cは格納部要素391に格納された最も近い細長い工作物/バーと噛み合う状態とされ、また、移送要素392cを上方へされに移動させることにより、移送要素392cは格納部391に格納された最も近い細長い工作物/バーを持ち上げ、これを工作物ガイドチャネルアセンブリのうちの1つへと移送する。
【0115】
格納部要素391に加えて、図4Eは、それぞれの格納部要素391の上方で格納部要素391と平行に延びるガイド要素393を例示している。それぞれの格納部要素391の上方のガイド要素393の高さは、細長い工作物/バーの異なる直径に移送装置を適合させるために、鉛直に配置された歯付きラック及び関連するピニオンを有するギア機構によって調節可能である。
【0116】
ガイド要素393は、互いに平行に配置され、回転体341及びそれぞれの工作物ガイドチャネルアセンブリの長手方向に平行なバー/細長い工作物の単一の列を押し進めるように、複数のバー(細長い工作物)が互いに上下に重なり合って格納されることを制限する機能を有している。
【0117】
また、格納部要素391の傾斜角も、細長い工作物/バーの異なる断面形状に適合させるために調節可能である。例えば、丸い又は正に円形の断面形状を有する工作物に対してはより低い傾斜角を設定することができ、六角形の断面形状のようなエッジのある断面形状を有する工作物に対してはより高い傾斜角を設定することができる。
【0118】
上述したように、移送装置392は、細長い工作物/バーを、格納部要素391によって形成された格納部から、装着位置におけるそれぞれの工作物ガイドチャネルアセンブリへと移送するように構成されている。バー/細長い工作物を他の工作物ガイドチャネルアセンブリに装着するために、回転体341が、他の工作物ガイドチャネルアセンブリを同一の装着位置に位置付けるべく回転される。
【0119】
装着位置は、細長い工作物/バーが、関連する工作物スピンドル30へ長手方向に供給(搬送)される工作物ガイドチャネルアセンブリの供給位置でもあり得る点に注意されたい。しかしながら、そのような供給位置は回転体341の他の角度位置に配置されることもでき、その結果、細長い工作物/バーが装着位置においてそれぞれの工作物ガイドチャネルアセンブリに装着された後、回転体341が、それぞれの工作物ガイドチャネルアセンブリが供給位置に位置付けられるような位置へ回転される。
【0120】
さらに他の例示的な実施形態において、バーローダ300は、それぞれの工作物ガイドチャネルアセンブリが、回転体341の複数の位置又は如何なる位置においても、細長い工作物/バーをそれぞれの関連する工作物スピンドル30に供給するように構成されるよう、構成され得る。
【0121】
上の例において、バーローダ300のスライド可能な中央ガイド部350のスライド可能なバーガイド部351及びバーローダ300の固定ガイド部360の固定バーガイド部361は、バー/細長い工作物を装着位置において受容し得るよう、横方向に開かれるように構成され得る。そして、バー/細長い工作物が、それぞれの工作物ガイドチャネルアセンブリの固定バーガイド部361及びスライド可能なバーガイド部351に装着される時、それぞれの工作物ガイドチャネルアセンブリのスライド可能なバーガイド部351及び固定バーガイド部361は、共通に形成された工作物ガイドチャネル内でバー/細長い工作物を保持しガイドするために、再び閉じられるように構成され得る。
【0122】
バー/細長い工作物がそれぞれの関連するスピンドル30に供給又は搬送されると、バー/細長い工作物は次に工作物スピンドルにおいてクランプされる。しかしながら、バー/細長い工作物は次に、有利には、工作物ガイドチャネルアセンブリに形成された工作物ガイドチャネル内を、特にスライド可能なガイド部350,370のスライド可能なバーガイド部351及びスライド可能なバーガイド部371によって形成されたチャネル部内を、依然としてガイドされ、それぞれの工作物ガイドチャネルアセンブリのそれぞれのスライド可能なバーガイド部351及びスライド可能なバーガイド部371は、加工動作の間、関連する工作物スピンドル30と共に、長手方向(Z方向)に移動し得る。
【0123】
それに応じて、それぞれの工作物ガイドチャネルアセンブリの有利なスライド位置に起因して、工作物/バーは、それぞれの工作物スピンドル30と共に移動するそれぞれの工作物ガイドチャネルアセンブリのそれぞれのスライド可能なバーガイド部351及びスライド可能なバーガイド部371によって確実に且つ正確にガイドされ得る。
【0124】
この目的のために、工作物ガイドチャネルアセンブリのそれぞれのスライド可能な部位は、例えばロッド380をそれぞれの関連する工作物スピンドル30に固定することによって、好ましくはそれぞれ固定される。例えば、スライド可能なバーガイド部371のそれぞれは、好ましくは、それぞれの固定ロッド380によって、関連する工作物スピンドル30に固定される。また、例示的に、各固定ロッド380は追加的にタレットボディ20にスライド可能に固定されることができ、その結果、ロッド380は(例えばタレットボディ20の後端部21のそれぞれの貫通孔を通じて延びることにより)タレットボディ20に関して長手方向にスライドすることができ、また、ロッド380はタレットボディ20と共にタレット軸(タレットボディ20の長手軸)の周りを回転し、それによって好ましくはさらに、タレットボディ20の駆動された回転をバーローダ300の回転体341へ伝達する。
【0125】
図5A及び5Bは、(例えば図1及び2による)多軸旋削加工機100のドラム/タレットボディ20の概略的な透視図を例示している。
【0126】
タレットボディ20には、例示的に前端部22及び後端部21が取り付けられ、これらは、それぞれマシンフレーム10の前方フレーム部12及び後方フレーム部13によって回転可能に支持されている部位である。タレットボディ20に取り付けられた後端部21は開口部26を含み、当該開口部26を通じて、各スピンドル30に多軸旋削加工機100の後側から、(例えばバーのような)工作物が、例えば以上及び以下で述べるようなバーローダ300によって供給され得る。
【0127】
タレットボディ20は、各工作物スピンドル30に対して、前端部22から後端部21まで長手方向に(Z方向/タレットボディ20の長手方向)に延びる、それぞれ1つの長手方向溝23を有している。長手方向溝23は、例示的に、マシンフレーム10の前方フレーム部12と後方フレーム部13の間のスペースに開放するように、タレットボディ20の外周側に開放している。
【0128】
例示的に、タレットボディ20は、隣り合う溝23のそれぞれの対の間に、前端部22から後端部21まで長手方向に(Z方向/タレットボディ20の長手方向)に延びるそれぞれの棚部24を有している。例示的に、溝23の個数は、長手方向の棚部24の個数と同一である。
【0129】
工作物スピンドル30のスピンドルボディ32は、例示的に、それぞれの長手方向の溝23の内部でガイドされ、タレットボディ20の外周側に配置されたそれぞれのスピンドルスライド31によって支持されている。具体的には、各スピンドルスライド31は、例示的に、それぞれの溝23の両側に形成された長手方向の棚部24の上をガイド要素35によってガイドされる。
【0130】
そのような構成によって、スライド31及びそれらの駆動機構がタレットボディ20の外周面の外側に設けられることができ、その結果、溝・棚配置を有するタレットボディ20の放射状に広がる輪郭が、棚の厚さが比較的小さい場合にも非常に高い安定性と剛性を与えるために、タレットボディ20を効率的にコンパクトかつ軽量にすることができ、スピンドルスライド及びそれらの駆動機構が前方及び後方フレーム部12及び13の間のスペースを効率的に用いてタレットボディ20の外周側に配置され得るために、スピンドルがよりコンパクトに配置されることができ、かつ、タレットボディ20が非常にコンパクトな場合にもスライド及びそれらの駆動機構の大きさをコンパクトにする必要がない、という利点が得られる。
【0131】
例示的に、スライド駆動機構は、駆動部33(駆動モータ)によって駆動されるネジ軸34を含んでいる。図5A及び5Bにおいて、駆動部33は、例示的に、スピンドルスライド31に取り付けられていないが、前端部22またはタレットボディ20の前方の部位に取り付けられている。
【0132】
図5A及び5Bにおいて、駆動部33によってネジ軸34を回転駆動する場合、それぞれの工作物スピンドル30のスピンドルボディ32をZ方向に(例えば、加工スペースに向かって又は加工スペースから遠ざかるように)それぞれの長手方向溝23の内部で移動させるように、それぞれのスピンドルスライド31は、例示的に、案内棚部24に沿って長手方向(Z方向、それぞれのスピンドル軸に関して軸方向)に駆動される。
【0133】
しかしながら、他の例示的な実施形態において、駆動部33は、スピンドルスライド31、または、タレットボディ20の後部のマウント構造に搭載され(または取り付けられ)得る。
【0134】
例示的に上述したように、タレットボディ20上の工作機械100のスピンドルスライド機構は、各スピンドル30について、それぞれのスピンドルボディ32を支持するそれぞれのスピンドルスライド31を含んでいる。スピンドルボディ32は、受容されロックされた工作物をスピンドル駆動部によって回転駆動すべく、スピンドルに受容された(例えばバーのような)工作物を自動的にロックするために、一体化されたスピンドル駆動部(例えば内蔵スピンドルモータ)、及びさらに作動ロック機構(例えば、機械的に、油圧によって、空気圧によって、及び/又は、電気的に作動されるロック機構)を含み得る。
【0135】
例えば、それぞれの工作物スピンドル30のスピンドルボディ32は、それぞれの工作物スピンドル30に受容されたバー又は細長い工作物を堅固にクランプするように構成されたクラピングユニットをさらに含むことができ、クラピングユニットは、例示的に、バー又は他の細長い工作物のクランプ及びアンクランプを作動させるための油圧アクチュエータを含み得る。他の例示的な実施形態において、クラピングユニットは、空気圧式、機械式及び/又は電気式のアクチュエータによって作動され得る。
【0136】
タレットボディ20は、例示的に前端部22及び後端部21を含み、これらは、それぞれマシンフレーム10の前方フレーム部12及び後方フレーム部13によって回転可能に支持されている部位である。タレットボディ20の前端部22は、工作物スピンドル30(具体的にはその前部)を受容するための開口を含んでいる。タレットボディ20の後端部21は、開口26を含んでおり、当該開口26を通じて、各スピンドル30に(例えばバーのような)工作物が多軸旋削加工機100の後側から、例えばバーローダ300によって供給される。
【0137】
これにより、例えば長いバーのような工作物は、工作物側から挿入される必要はなく、より多くのスペースが利用可能である場合、機械の後側からバーローダまたはバーフィーダによって供給/挿入され得るという利点が得られる。その際、そのような工作物が、例えば、外部ハンドリングロボット又は付加的に一体化されたロボットによって自動的に、より操作し易い場合には、加工の後、工作物のみが加工スペースの前側から取り外されればよい。
【0138】
例示的に、タレットボディ20は、公知の多軸旋削加工機から通常知られているように、各スピンドル30について前側から後側へ至る貫通孔を有していない。しかし、タレットボディ20は、各工作物スピンドル30について、タレットボディ20の前端部22からタレットボディ20の後端部21まで長手方向に(Z方向/タレットボディ20の長手方向)に延びるそれぞれの長手方向溝23を有している。長手方向溝23は、例示的に、マシンフレーム10の前方フレーム部12と後方フレーム部13の間のスペースに開放するように、タレットボディ20の外周側に開放している。
【0139】
例示的に上述したように、マシンフレーム10の後方フレーム部13と対向する多軸旋削加工機100の後側にバーローダ300を配置することができ、バーローダ300は、細長い工作物、例えばバー(例えば、丸い又は円形の断面を有するバー、あるいは、例えば六角形の断面のような角のある断面を有するバー)を、後側からタレットボディ20の後端部21に形成された孔26(例えば図5B参照)を通じてそれぞれの工作物スピンドル30へ供給するように構成されている。
【0140】
例示的に上述したように、タレットボディ20は、タレットボディ20の後側端部21(例えば、タレットボディ20と一体にされ、あるいは、タレットボディ20の後側に取り付けられている)がマシンフレーム10の後方フレーム部13において回転可能に支持され、タレットボディ20の前側端部22(例えば、タレットボディ20と一体にされ、あるいは、タレットボディ20の工作物と対向する前側に取り付けられている)がマシンフレーム10の前方フレーム部12において回転可能に支持されるような態様で、長手回転軸の周りを回転可能に支持されている。
【0141】
タレットボディ20の回転運動を駆動するために、例示的に、マシンフレームの後方フレーム部13にトルクモータが設けられている。トルクモータの使用によって、工作物スピンドル30の加工位置の間の回転が、タレットボディ20の回転運動のための駆動部としてのトルクモータを制御する工作機械の数値制御部によって、効率的に、確実に、正確に及び迅速な応答時間で制御され得るという利点が得られる。
【0142】
そのようなトルクモータはロータ及びステータを含むことができ、ロータはタレットボディ20の後側端部21の外周部に取り付けられており、ステータはマシンフレーム10の後方フレーム部13に取り付けられている。トルクモータは、工作物スピンドル30の加工位置の間の工作物スピンドル30の移動のために、タレットボディ20の回転運動を駆動するように構成され得る。
【0143】
トルクモータをタレットボディ20の端部の回転可能な支持部に含めることにより、有利には、コンパクトかつ効率的で省力化された駆動機構が提供され得る。さらに、駆動機構によって潜在的に生成される潜在的な熱は、トルクモータがフレーム部12及び13の間のエアスペースによって分離されており、かつ、工作物に対向するタレットボディ20の後端部22に関してタレットボディ20の反対側の端部に位置付けられているという点において、有利には、前方フレーム部12及び前端部22から遠くに位置しており分離されている。
【0144】
したがって、工作物側における加工動作の正確さ及び精度が向上され得る。なぜなら、熱によって正確さに影響を及ぼし得る潜在的な熱源としてのトルクモータが、タレットボディ20の反対側の端部に位置しており、その結果、工作物スピンドル30の工作物受容部及び工具ポストアセンブリ40の近くの加工スペースに面した側における熱的影響は、有利には最小化される。同時に、効率的かつ正確で直接的な駆動機構がトルクモータによって提供される。
【0145】
加工動作及びタレットボディ20の移動制御の正確さをさらに高めるために、例示的に、位置決めシステムが、前方フレーム部12の回転可能な支持部の位置の工作物に対向するタレットボディ20の前端部の周りに周方向に配置され得る。
【0146】
位置決めシステムは、例示的に、タレットボディ20の回転位置を決定するための、周方向に配置されたアブソリュートエンコーダを含み得る。
【0147】
アブソリュートエンコーダからの位置信号によってタレットボディ20の回転位置を検出することによって、工作物スピンドル30の位置をそれぞれの工具ポストアセンブリ40と整列させるために、トルクモータの駆動制御は、意図される加工位置に従う回転位置へタレットボディ20を正確に駆動するための正確なフィードバック制御に基づくことができる。
【0148】
位置決めシステムは、加工スペースに直接的に面し工具ポストアセンブリ40に近接したる前方フレーム部12のタレットボディ20の前側に設けられ得るので、位置決めシステムの正確さ及び精度は有利には向上される。
【0149】
アブソリュートエンコーダを用いることは非常に好ましい例示的な実施形態ではあるが、本発明は、位置決め検出デバイスとしてのアブソリュートエンコーダの使用に限定されず、例えばインクリメンタルエンコーダのような、例えば絶対位置ではなく加工位置の間の距離を計測するような、他の位置決め検出デバイスも用いられ得る。
【0150】
さらに、位置決めシステムは、例示的に、前方フレーム部12の回転可能な支持部の位置の工作物に面するタレットボディ20の前端部に関して周方向に配置された複数のブレーキ機構(例えば油圧式、空気圧式及び/又は電気式のブレーキ)を含み得る。
【0151】
それに応じて、タレットボディ20の回転位置が、アブソリュートエンコーダからの位置信号によって、意図された加工位置に正確に精度良く位置付けられていることが検出された場合、ブレーキ機構(位置ロッキングシステム)は、タレットボディ20の回転位置を加工フェーズの間、意図された加工位置に固定及びロックするために作動される。
【0152】
幾つかの好ましい態様では、工作物スピンドル30がそれぞれの加工位置に位置付けられた時に複数の工作物スピンドル30に受容された1つ以上の工作物の加工を制御するために、コントローラが設けられ得る。
【0153】
幾つかの好ましい態様では、コントローラは更に、それぞれの加工位置の間で工作物スピンドル30をインデックスするためのタレットボディ20の回転運動を制御するためにトルクモータを制御するように、及び/又は、1つ以上の工作物の加工の間、工作物スピンドルの回転位置を加工位置にロックするために位置ロッキング機構(ブレーキ機構)を制御するように、構成され得る。
【0154】
さらに、それぞれの工作物スピンドル30のスピンドルボディ32は、それぞれの工作物スピンドル30に受容されたバー又は細長い工作物を固定してクランプするように構成されたクラピングユニットをさらに含み、クラピングユニットは、例示的に、バー又は細長い工作物のクランプ及びアンクランプを作動させるための油圧アクチュエータを含み得る。他の例示的な実施形態において、クラピングユニットは、油圧式、空気圧式、機械式及び/又は電気式のアクチュエータによって作動され得る。
【0155】
図6A~6Cは、他の例示的な実施形態によるバーローダ300の内部部品のさらなる概略的な透視図を例示している。
【0156】
以上の例示的な実施形態とは異なり、図6A~6Cのバーローダ300は、図4A~4Dに例示されるような分割されたバーガイド部の代わりに、1つの工作物ガイドチャネルアセンブリにつき1つの固定バーガイド部361と1つのスライド可能なバーガイド部351のみを有している。
【0157】
バーローダ300の固定ガイド部360の領域には、例示的に、複数の固定バーガイド部361が設けられている。複数の固定バーガイド部361のそれぞれは、タレット固定ボディの長手方向に延びる回転体341の長手方向に平行に配置されると共に、それぞれの工作物ガイドチャネルアセンブリの固定ガイドチャネル部を形成する。工作物スピンドル30の個数はこの例では6であり、固定ガイドチャネル部及び工作物ガイドチャネルアセンブリのそれぞれは、工作物スピンドル30のそれぞれについて設けられているので、例示的に、回転体341の周りに配置された6つの固定バーガイド部361が存在し、その結果、各固定バーガイド部361は、関連する工作物スピンドル30のそれぞれのスピンドル軸に同軸に配置されている。
【0158】
それに応じて、バーローダ300の固定ガイド部360は、例示的に、スピンドル30の1つのそれぞれのスピンドル軸について、それぞれの工作物ガイドチャネルアセンブリの固定ガイドチャネル部を有する。
【0159】
バーローダ300のスライド可能な中央ガイド部350の領域には、例示的に、複数のスライド可能なバーガイド部351が設けられている。スライド可能なバーガイド部351のそれぞれは、タレット固定ボディ341の長手方向に延びる回転体341の長手方向に平行に配置されると共に、工作物ガイドチャネルアセンブリのスライド可能なガイドチャネル部を形成する。工作物スピンドル30の個数はこの例では6であり、スライド可能なガイドチャネル部及び工作物ガイドチャネルアセンブリのそれぞれは、工作物スピンドル30のそれぞれについて設けられているので、例示的に、回転体341の周りに配置された6つのスライド可能なバーガイド部351が存在し、その結果、スライド可能なバーガイド部351のそれぞれは、関連する工作物スピンドル30のそれぞれのスピンドル軸に同軸に配置されている。
【0160】
それに応じて、バーローダ300のスライド可能な中央ガイド部350は、例示的に、スピンドル30の1つのそれぞれのスピンドル軸について、それぞれの工作物ガイドチャネルアセンブリのスライド可能なガイドチャネル部を有する。
【0161】
バーローダ300のスライド可能な中央ガイド部350の領域には、例示的に、複数のスライド可能なバーガイド部351が設けられている。例示的に、複数の別個のスライド可能なバーガイド部351が、タレット固定ボディ340の長手方向に延びる回転体341の長手方向に沿って平行に、互いに同軸に配置されている。
【0162】
さらに、それぞれの工作物ガイドチャネルアセンブリのそれぞれのスライド可能なガイドチャネル部は、関連するそれぞれの工作物スピンドル30と共に長手方向(Z方向)に移動するように構成されている。工作物スピンドル30も長手方向に互いに独立して移動し得るので、このスライド可能なガイドチャネル部は互いに独立して移動し得る点に注意されたい。
【0163】
バーローダ300のスライド可能な端ガイド部370の領域には、例示的に、複数のスライド可能なバーガイド部371が設けられている。例示的に、スライド可能なバーガイド部371は、例示的にスライド可能なガイドチューブ(以下の記載参照)によって実現される。例示的にそれぞれのガイドチューブによって実現されるスライド可能なバーガイド部371のそれぞれは、工作物ガイドチャネルアセンブリのスライド可能なガイドチャネル部を形成する。
【0164】
工作物スピンドル30の個数はこの例では6であり、スライド可能なガイドチャネル部及び工作物ガイドチャネルアセンブリのそれぞれは工作物スピンドル30のそれぞれについて設けられているので、例示的に、6つのスライド可能なバーガイド部371が存在し、スライド可能なバーガイド部371は回転体341の周りに配置されており、その結果、スライド可能なバーガイド部371のそれぞれは、スピンドル30の1つのそれぞれのスピンドル軸に同軸に配置されている。
【0165】
それに応じて、バーローダ300のスライド可能な端ガイド部370は、例示的に、スピンドル30の1つのそれぞれのスピンドル軸について、それぞれの工作物ガイドチャネルアセンブリのスライド可能なガイドチャネル部を有する。
【0166】
このことから、回転体341はスピンドル30のうちの1つのそれぞれのスピンドル軸について複数の工作物ガイドチャネルアセンブリを支持しており、工作物ガイドチャネルアセンブリのそれぞれは、例示的に、関連する工作物スピンドル30のそれぞれのスピンドル軸と同軸に配置されたそれぞれの固定バーガイド部361と、関連する工作物スピンドル30のそれぞれのスピンドル軸と同軸に配置されたそれぞれのスライド可能なバーガイド部351と、関連する工作物スピンドル30のそれぞれのスピンドル軸と同軸に配置されたそれぞれのスライド可能なバーガイド部371とを含んでいる。
【0167】
工作物ガイドチャネルアセンブリの複数の固定バーガイド部361は、例示的に回転体341に固定され、それぞれの固定ガイドチャネル部を形成する。
【0168】
工作物ガイドチャネルアセンブリの複数のスライド可能なバーガイド部351は、回転体341の長手方向へ移動し得るよう例示的に回転体341に配置され、それぞれのスライド可能なガイドチャネル部を形成する。
【0169】
図6Cに例示されているように、スライド可能なバーガイド部351は、回転体341上に配置されたガイド341bの上を長手方向にスライドするように構成されたキャリッジ351eによって支持されている。例えば、キャリッジ351eは、循環するボールベアリングガイドを含み得る。他方で、固定バーガイド部361は、回転体341に固定されている。別の方法では、図6A~6Cのバーガイド部351及び361は同様である(例えば図11参照)。
【0170】
それぞれの工作物ガイドチャネルアセンブリのスライド可能なバーガイド部371は、回転体341の長手方向へ移動し得るよう例示的に回転体341に配置され、スライド可能なガイドチャネル部を形成する。上述したように、スライド可能なバーガイド部371は、ガイドチューブによって実現される。
【0171】
例示的に、回転体341の工作機械側に面する端部に、回転体341をハウジング310の支持構造(図3A参照)において回転可能に支持するために、リング状の支持体373が設けられている。支持体373の外側には、中空円筒状のポット体372が取り付けられている。支持体373及びポット体372の両者は、回転体341と共に回転するよう、回転体341に堅固に固定されている。
【0172】
ポット体372の端面は、例示的に開口372aを有しており、当該開口372aを通じて、それぞれのスライド可能なバーガイド部371(例えばガイドチューブ)が延びている。スライド可能なバーガイド部371は、開口372aを通じて長手方向に移動可能である。さらに、ポット体372の端面は、例示的に開口372bを有しており、当該開口372bを通じて、それぞれの固定ロッド380が延びている。固定ロッド380は、開口372bを通じて長手方向に移動可能である。例示的に、ただ1つのスライド可能なバーガイド部371が、関連する固定ロッド380と共に図6A~6Cに示されている。
【0173】
図7A及び7Bは、図6A~6Cによるバーローダ300の内部部品の詳細の概略的な透視図を例示している。
【0174】
それぞれの固定ロッド380は、例示的に、その一端において、関連する工作物スピンドル30のスピンドルキャリッジ32に固定されており、他端において、例示的に工作物スピンドル30とは反対側を向いたスライド可能なバーガイド部371の一端に固定された固定要素に固定されている。
【0175】
図7A及び7Bは、さらに、工作物スピンドル30に受容された細長い工作物としてのバーBを例示している。バーBは、スライド可能なバーガイド部371を通じて延び、工作物スピンドル30のスピンドルボディ32の内部でクランプされ、加工側においてスピンドル30から延出している。さらに、バーBは、例示的にガイドチューブとして具現されたスライド可能なバーガイド部371のガイドチャネルの内部でガイドされた状態を維持する。
【0176】
バーBの前端の加工動作の間、工作物スピンドル30がそのスピンドル軸に平行な長手方向(Z方向)に移動されると、長手方向に延びる固定ロッド380を用いてスピンドル30に(例示的には、そのスピンドルキャリッジ31に)固定されたスライド可能なバーガイド部371は、工作物スピンドル30と共に移動し、バーは、スライド可能なバーガイド部371の内部で正確に且つ確実にガイドされた状態を維持する。そのような移動の間、固定ロッド380は貫通孔372bを通じて長手方向にスライドし、スライド可能なバーガイド部371は貫通孔372aを通じて長手方向にスライドする。
【0177】
図8は、図6A~6Cによるバーローダ300のガイドチューブ(スライド可能なバーガイド部371)の概略的な断面図を例示している。
【0178】
例示的に、回転体341の前部は六角形の形状を有し、スライド可能なバーガイド部371は、回転体341の側面上においてスライド可能に支持されている。例えば、スライド可能なバーガイド部371は、回転体341の側面上に配置された長手方向のガイド341aの上をガイドされる平行なキャリッジ371gの上に取り付けられている。
【0179】
図9は、図7A及び7Bによるガイドチューブアセンブリの概略的な縦断面図を例示している。
【0180】
上述したように、スライド可能なバーガイド部371は、スライド可能なバーガイド部371の工作物スピンドル30とは反対側を向いた一端に固定された固定要素371を介して、長手方向に延びる固定ロッド380を用いてスピンドル30に(例示的には、そのスピンドルキャリッジ31に)固定されている。スライド可能なバーガイド部371の工作物スピンドル30と対向する他端は、例示的に、中空円筒状の連結要素30aを介してスピンドルに連結されている。バーBは、連結要素30aを通じて、スライド可能なバーガイド部371から工作物スピンドル30のスピンドルボディ32へと延びている。
【0181】
さらに、バーBの被加工端部の加工スペース内で用いられる冷却液及び/又は潤滑液は、工作物スピンドル30に流入し、スピンドルボディ32を経て連結要素30aへ、また、連結要素30aを経て工作物スピンドル30とは反対側を向いている他端において開放しているスライド可能なバーガイド部371の収集チューブ371bへ流れ得る。その結果、冷却液及び/又は潤滑液は、収集チューブ371bの反対側の端部から流出し、ポット体372の内部空間へ流入することができる。
【0182】
これによって、それぞれのスピンドル30からそれぞれの連結要素30aを経て複数のライド可能なバーガイド部371のそれぞれの収集チューブ371bへ流入する冷却液及び/又は潤滑液は、ポット体372の内部空間に共通して収集され得る。
【0183】
(回転する)ポット体372の反対側の端部には、外側の(回転しない)収集リング要素379が形成されており、収集リング要素379は、全てのスピンドル30から収集された冷却液及び/又は潤滑液を都合よく排出するための出口374を有している。収集された冷却液及び/又は潤滑液は、図9に例示されているように、ポット体372の内部空間から支持体373の径方向に延びる貫通孔373cを通じて収集リング要素379へ流れ得る。
【0184】
これによって、有利には、全てのスピンドル30から冷却液及び/又は潤滑液を収集するためのシンプルで効率的な機構が可能となる。
【0185】
図7Bに例示されているように、支持体373の例示的に閉じた面は、例示的に開口373aを有しており、当該開口373aを通じて、それぞれのスライド可能なバーガイド部371(例えばガイドチューブ)が延びている。スライド可能なバーガイド部371は、開口373aを通じて長手方向に移動可能である。さらに、支持体373の閉じた面は、例示的に開口373bを有しており、当該開口373bを通じて、それぞれの固定ロッド380が延びている。固定ロッド380は、開口372bを通じて長手方向に移動可能である。
【0186】
図10A~10Cは、図9によるバーローダ300のガイドチューブアセンブリ(スライド可能なバーガイド部371)の詳細の概略図を例示しており、具体的には、図10Aは透視図、図10Bは透視断面図、図10Cは断面図である。
【0187】
ガイドチューブアセンブリ(スライド可能なバーガイド部371)は、上述した外側の収集チューブ371b及び外側のガイドチューブ371aを含んでおり、ガイドチューブ371aは、その一端が外側の収集チューブ371bの内部へ部分的に延びており、その他端には、固定ロッド380に固定される固定要素371cが取り付けられている。
【0188】
外側のガイドチューブ371aの内部には、内側のガイドチューブ371dが配置されており、ベアリング371f(図10C参照)によって支持された外側のガイドチューブ371aの内部において回転可能に支持されている。
【0189】
細長い工作物/バーがガイドチューブアセンブリを通じて延びると共にこれによってガイドされる場合に、当該細長い工作物/バーをスライド可能に支持するために、複数の軸方向に配置されたスリーブ371eが、内側のガイドチューブ371dの内部に設けられている。
【0190】
細長い工作物/バーがスピンドル30に供給されると、それはリング状のスリーブ371eを通じてスピンドル側に向かってスライドし、加工動作の間、工作物が工作物スピンドル30によって回転駆動されると、ガイドされた工作物が回転すると共に、スリーブ371e及び内側のガイドチューブ371dの回転しない外側のガイドチューブ371aの内部でスピンドル軸/工作物軸の周りを回転する。
【0191】
その一方で、加工動作の間、スピンドル30が工作物を長手Z方向に移動させると、工作物、スリーブ371e、内側及び外側のガイドチューブ371d及び371a並びに外側の収集チューブ371bは、スピンドル30と共に移動する。
【0192】
図11A及び11Bは、例示的な実施形態によるバーローダ300のバーホルダアセンブリ(バーガイド部351または361)の概略的な透視図を例示している。
【0193】
図11A及び11Bのバーガイド部351(361)は、図6Aに例示されているバーガイド部351及び361に相当する。これらのバーガイド部351及び361は、移送装置392によって移送される細長い工作物を横方向に受容するために、装着位置において横方向に開放されるように構成されている。
【0194】
図11A及び11Bのバーガイド部351(361)は、バーローダ340の回転体341にスライド可能に支持されるか(移動可能なガイド部350の場合)、または、回転体341に固定される(固定ガイド部360の場合)ことができる。
【0195】
さらに、図11C及び11Dは、図11A及び11Bのバーホルダアセンブリの、それぞれ開いた状態及び閉じた状態における概略的な前面図を例示している。
【0196】
具体的に、図11Cは、開いた状態におけるバーホルダアセンブリの前面図を例示しており、バーBは開かれたバーホルダアセンブリ/バーガイド部の内部へ横方向に(具体的には、図11Cに例示された矢印の方向に)挿入/移送され得る。
【0197】
そして、図11Dは、閉じた状態におけるバーホルダアセンブリの前面図を例示しており、バーBは、閉じられたバーホルダアセンブリ/バーガイド部の内部に形成されたガイドチャネルの内部においてガイドされた状態で保持されている。そのような閉じた状態において、バーは、その軸方向には移動/スライドできるものの、その径方向(バーBの軸方向に対して横方向)に関してはガイドされた位置に保持されるよう、ガイドされる。
【0198】
例示的に、バーホルダアセンブリのバーガイド部351(361)は、上側ガイドチャネルセクション要素351aと、それぞれピボット要素351dに連結された複数の下側ガイドチャネルセクション要素351bとを含んでいる。上側ガイドチャネルセクション要素351a及び複数の下側ガイドチャネルセクション要素351bは、ピボット要素351dのピボット軸の周りを回動するように、ピボット要素351dに取り付けられている。
【0199】
図11A及び11B並びに図11Cは、バーガイド部351(361)の開かれた状態を例示しており、その状態においては、細長い工作物は、バーガイド部351(361)の横方向の開かれた側から受容され得る。そして、上側ガイドチャネルセクション要素351a及び複数の下側ガイドチャネルセクション要素351bを互いに向かって回動させることによりバーガイド部351(361)を閉じると、上側ガイドチャネルセクション要素351a及び複数の下側ガイドチャネルセクション要素351bによって細長い工作物を受容するためのチャネル部が形成される(図11D参照)。
【0200】
さらに、例示的に、受容ガイド要素351cが、上側ガイドチャネルセクション要素351aと共に回動するように、上側ガイドチャネルセクション要素351aに取り付けられている。バーガイド部351(361)の開かれた状態において、受容ガイド要素351cは、受容ガイド要素351cのV字状の部位が下側ガイドチャネルセクション要素351bの工作物チャネル溝の上方に位置するよう、下側ガイドチャネルセクション要素351bの間から上側及び下側チャネルセクション要素の間の空間内へそれぞれ立ち上がっている(図11C参照)。
【0201】
バーガイド部351(361)の開かれた状態において、受容ガイド要素351cのV字状の部位の一方の側は、バー/細長い工作物がバーガイド部351(361)の外側から受容ガイド要素351cのV字状の部位の先端部に向かって転がり又はスライドするように、傾斜した状態でバーガイド部351(361)から延び出ている(図11Cの矢印参照)。
【0202】
細長い工作物/バーが受容ガイド要素351cのV字状の部位の先端部(図11CにおけるバーBの位置を参照)において開かれたバーガイド部351(361)の内部に受容されると、細長い工作物/バーは、上側ガイドチャネルセクション要素351a及び複数の下側ガイドチャネルセクション要素351bを互いに向かって回動させることにより、バーガイド部351(361)の閉じられたガイドチャネル部に受容され得る。そのような回動運動によって、受容ガイド要素351cは、上側ガイドチャネルセクション要素351aと共に回動し、複数の下側ガイドチャネルセクション要素351bの間で見えなくなる(図11D参照)。
【0203】
複数の下側ガイドチャネルセクション要素351bは、それぞれギャップによって隔てられている。当該ギャップは、上側ガイドチャネルセクション要素351a及び複数の下側ガイドチャネルセクション要素351bのそれぞれの回動運動によって、上側ガイドチャネルセクション要素351aに取り付けられたそれぞれの受容ガイド要素351cが、当該ギャップ(図11A~11C)を通じて又はそこから立ち上がり、当該ギャップ(図11D)の内部へまたはそこを通じて見えなくなることを可能とする。
【0204】
上記構成によって、細長い工作物が、受容ガイド要素351cの傾斜した部位を経て、開かれたバーガイド部351(361)の内部へスムーズに挿入されることができ(図11Cの矢印参照)、閉鎖運動の間の細長い工作物の位置がV字状の部位によって簡便な手段により正確に定義され得る(図11CにおけるバーBの位置を参照)という利点が得られる。
【0205】
上述したような例示的な実施形態によれば、多軸旋削加工機の加工オプションを増大させ、よりフレキシブルで、正確で、効率的で、かつ、確実な加工動作を可能にするコンパクトな機械コンセプトを提供し、及び/又は、工作機械の精度及び/又は安定性を向上する有益な態様及び特徴が提案される。
【0206】
特定の例示的な実施形態が記述され添付図面に示されてきたが、そのような実施形態は広義の発明の理解を助けるものにすぎず、これを制限するものではなく、また、発明の実施形態は、以上の段落で示されたものに加えて様々な他の変更、組み合わせ、省略、改良及び置換が可能であるから、記述され図示された特定の構造及び配置に限定されないことが、理解されるべきである。
【0207】
当業者は、上述した実施形態の様々な適合、改良及び/又は組み合わせが、本発明の開示の範囲から逸脱することなく構成され得ることを、正しく理解するであろう。当業者は、この開示を考慮して、ここに記載された発明の様々な実施形態が、発明の他の実施形態を形成するために組み合わされ得ることをも、正しく理解するであろう。したがって、本発明が、ここに具体的に記載された以外の態様で実施され得ることが、理解されるべきである。
図1
図2
図3A
図3B
図3C
図4A
図4B
図4C
図4D
図4E
図5A
図5B
図6A
図6B
図6C
図7A
図7B
図8
図9
図10A
図10B
図10C
図11A
図11B
図11C
図11D