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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-01-30
(45)【発行日】2023-02-07
(54)【発明の名称】布類搬送装置
(51)【国際特許分類】
   B65G 17/20 20060101AFI20230131BHJP
   D06F 67/04 20060101ALI20230131BHJP
   B65G 47/46 20060101ALI20230131BHJP
【FI】
B65G17/20 C
D06F67/04
B65G47/46 F
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2018128527
(22)【出願日】2018-07-05
(65)【公開番号】P2020007083
(43)【公開日】2020-01-16
【審査請求日】2021-06-02
(73)【特許権者】
【識別番号】502407130
【氏名又は名称】株式会社プレックス
(74)【代理人】
【識別番号】110001542
【氏名又は名称】弁理士法人銀座マロニエ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】矢野 誠
(72)【発明者】
【氏名】出上 弘幸
【審査官】板澤 敏明
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-106659(JP,A)
【文献】特開平06-154499(JP,A)
【文献】特開2014-188377(JP,A)
【文献】特開平04-158899(JP,A)
【文献】国際公開第2016/084401(WO,A1)
【文献】特表2007-511302(JP,A)
【文献】特開2013-075749(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65G 17/00-17/48
B65G 47/34-47/51
D06F 67/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数個の独立した走行クランプと、
前記走行クランプへの布類の角部の取り付けが行われる供給部および前記走行クランプから次工程の処理装置への布類の引き渡しが行われる排出部を経由して循環し、前記走行クランプを個々に走行させる搬送レールと、
を備える布類搬送装置であって、
前記供給部内または前記供給部の前後に、前記搬送レールを第1供給レールと第2供給レールとに分岐させる分岐点と、分岐した前記第1供給レールと前記第2供給レールとを再び合流させる合流点とが設けられており、
前記第1供給レールに位置する前記走行クランプである第1走行クランプは、布類の特定の角部である第1角部を取り付けるためのものであり、前記第2供給レールに位置する前記走行クランプである第2走行クランプは、布類の他の特定の角部である第2角部を取り付けるためのものであり、
前記第1走行クランプおよび第2走行クランプのうち先に布類の前記特定の角部が取り付けられた方が、前記合流点手前の待機位置まで先行して上昇するよう構成されていることを特徴とする布類搬送装置。
【請求項2】
前記第1走行クランプに布類の前記第1角部が取り付けられかつ前記第2走行クランプに該布類の前記第2角部が取り付けられた状態において、常に、前記第1走行クランプおよび前記第2走行クランプのうち特定の一方が先に前記合流点を介して本線に復帰するよう構成されていることを特徴とする、請求項記載の布類搬送装置。
【請求項3】
前記排出部の手前位置に前記搬送レールを第1排出レールと第2排出レールとに分岐させる分岐点が設けられていることを特徴とする、請求項1または2記載の布類搬送装置。
【請求項4】
前記排出部の手前位置に設けられた前記分岐点での前記第1排出レールおよび前記第2排出レールへの前記走行クランプの分配は、前記排出部にて排出される布類の表裏の向きが前記次工程の処理装置での所定の処理に適合するように行われることを特徴とする、請求項に記載の布類搬送装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、布類搬送装置に関し、より詳しくは、リネン設備において布類を搬送するための布類搬送装置に関する。
【背景技術】
【0002】
本発明者らは先に、リネン設備において洗濯済みの布類を供給位置から排出位置に搬送するための布類搬送装置を提案している(下記特許文献1参照)。この布類搬送装置は、供給位置と排出位置とを循環する搬送レールを備えている。搬送レールは、布類を保持する複数の走行体が走行可能となっている。
【0003】
供給位置は作業員が布類を走行体に取り付ける(供給する)位置であり、排出位置は走行体に保持された布類を、次工程の処理装置に排出する(引き渡す)位置である。走行体は、水平に設けられた梁と、梁の左右両端部に設けられた一対のチャックとを備えており、布類はその左右の角部が一対のチャックで把持されることによって垂下姿勢に保持されたまま、搬送レールに沿って移動する。
【0004】
この布類搬送装置において布類の走行体への取付けは、作業者が供給位置にて布類の所定の辺の角部を探して一対のチャックのうちの一方に取り付けた後、当該辺の他方の角部を探して反対側のチャックに取り付けるという手順で行われる。この際、当該他方の角部を探す作業は布類をたぐり寄せることで行われ、他方の角部を探すのに手間と時間がかかるという問題がある。
【0005】
走行体に左右2つのチャックを取り付けるのに代えて、図10(a)に示すように各々独立した複数の走行クランプ10が一本の搬送レール16上を走行する搬送システムも考えられる。この搬送システムでは、図10(b)に示すように、供給位置において先に見つけた布類Cの所定の辺の角部を先行する走行クランプ10に取り付けるとすぐにその走行クランプ10を上昇させることができ、それに伴い作業者の目の前に他方の角部が自ら出現するので、他方の角部を探す手間と時間が大幅に減少する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2016-106659号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、このような搬送システムにおいても、走行クランプに取り付ける布類の角部に指定がある場合、つまり、供給位置において先行する走行クランプに、常に特定の角部(例えば右角部)を取り付け、後行する走行クランプには、反対側の特定の角部(例えば左角部)を常に取り付けなければならないという制約がある場合がある。この場合、作業者が折角見つけた角部が反対側の角部であった場合には、その角部を放し、もう一方の特定の角部を探して先行する走行クランプに取り付けた後、最初に見つけた角部をもう一度探しなおし、取り付けるという煩雑な作業が必要となる。折角見つけた角部を一度放すという行為は大変な無駄であり、結果、搬送効率の大幅な悪化につながる。
【0008】
本発明の目的は、走行クランプに取り付ける布類の角部の指定がある場合においても、走行クランプへの布類の取り付けを無駄なく効率的に行うことが可能な布類搬送装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の布類搬送装置は、複数個の独立した走行クランプと、前記走行クランプへの布類の角部の取り付けが行われる供給部および前記走行クランプから次工程の処理装置への布類の引き渡しが行われる排出部を経由して循環し、前記走行クランプを個々に走行させる搬送レールと、を備え、前記供給部内または前記供給部の前後に、前記搬送レールを第1供給レールと第2供給レールとに分岐させる分岐点と、分岐した前記第1供給レールと前記第2供給レールとを再び合流させる合流点とが設けられているものである。
【0010】
本発明の布類搬送装置では、前記第1供給レールに位置する前記走行クランプである第1走行クランプは、布類の特定の角部である第1角部を取り付けるためのものであり、前記第2供給レールに位置する前記走行クランプである第2走行クランプは、布類の他の特定の角部である第2角部を取り付けるためのものである。
【0011】
本発明の布類搬送装置では、前記第1走行クランプおよび第2走行クランプのうち先に布類の前記特定の角部が取り付けられた方が、前記合流点手前の待機位置まで先行して上昇するよう構成されている。
【0012】
本発明の布類搬送装置の好適な態様では、前記第1走行クランプに布類の前記第1角部が取り付けられかつ前記第2走行クランプに該布類の前記第2角部が取り付けられた状態において、常に、前記第1走行クランプおよび前記第2走行クランプのうち特定の一方が先に前記合流点を介して本線に復帰するよう構成されている。
【0013】
本発明の布類搬送装置の好適な態様では、前記排出部の手前位置に前記搬送レールを第1排出レールと第2排出レールとに分岐させる分岐点が設けられている。
【0014】
本発明の布類搬送装置の好適な態様では、前記排出部の手前位置に設けられた前記分岐点での前記第1排出レールおよび前記第2排出レールへの前記走行クランプの分配は、前記排出部にて排出される布類の表裏の向きを考慮して行われる。
【発明の効果】
【0015】
本発明の布類搬送装置にあっては、供給部内またはその前において、搬送レールが分岐点を介して第1供給レールと第2供給レールとに分岐されており、布類の所定の辺の右角部と左角部のうち作業者が先に見つけた角部をそれに対応した第1供給レール上の走行クランプまたは第2供給レール上の走行クランプに取り付けることができる。これにより、作業者が最初に見つけた角部を一旦放して、その放した角部を後でもう一度探しなおし、取り付けるという煩雑な作業が不要となり、走行クランプへの布類の取り付けを無駄なく効率的に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の一実施形態の布類搬送装置の概略構成を示す平面図である。
図2図1の布類搬送装置における供給部の側面図である。
図3図1の布類搬送装置において本線に設けられた分岐点を示す図であり、(a)は走行クランプを上側の経路に分配する様子を示し、(b)は走行クランプを下側の経路に分配する様子を示すものである。
図4図1の布類搬送装置において本線に設けられた合流点を示す図であり、(a)は上側の経路から合流する様子を示し、(b)は下側の経路から合流する様子を示すものである。
図5図1の布類搬送装置における供給部を示し、(a)は正面図であり、(b)は(a)中のA部拡大図であって走行クランプが右側の第1供給レールに振り分けられる様子を示し、(c)は(a)中のA部拡大図であって走行クランプが左側の第2供給レールに振り分けられる様子を示すものである。
図6図1の布類搬送装置における供給部を示し、(a)は背面図であり、(b)は(a)中のB部拡大図であって走行クランプが左側の第1供給レールから本線に合流する様子を示し、(c)は(a)中のB部拡大図であって走行クランプが右側の第2供給レールから本線に合流する様子を示すものである。
図7】(a)~(d)は、図1の布類搬送装置の動作を説明する図であって、作業者が布類の右角部を先に見つけた場合における走行クランプへの布類の取付けから本線への合流までの動作を示す図である。
図8】(a)~(d)は、図1の布類搬送装置の動作を説明する図であって、作業者が布類の左角部を先に見つけた場合における走行クランプへの布類の取付けから本線への合流までの動作を示す図である。
図9】本発明の他の実施形態の布類搬送装置の概略構成を示す平面図である。
図10】比較として、搬送レールが2つに分岐されていない供給部を示し、(a)は正面図であり、(b)は側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づき詳細に説明する。実施形態の布類搬送装置は、リネン設備において、洗濯済みの矩形状の布類を次工程まで垂下状態で搬送するものであり、特に、走行クランプに取り付ける布類の角部に指定がある場合の搬送に適したものである。
【0018】
図1に、本発明の一実施形態の布類搬送装置の概略構成を示し、この布類搬送装置は、複数個の独立した走行クランプ10と、作業者等によって走行クランプ10への布類Cの角部Cr,Clの取り付けが行われる供給部12と、走行クランプ10で保持した布類Cを次工程の処理装置Tに引き渡す(排出する)排出部14と、少なくとも供給部12および排出部14を経由して循環し、走行クランプ10を個々に走行させる搬送レール16と、供給部12および排出部14における制御を含む布類搬送装置全体の制御を行う図示しない制御部とを備えている。処理装置Tは例えば、布類投入機Taと、布類投入機Taの下流側に接続されたロールアイロナTbと、ロールアイロナTbの下流側に接続された布類折畳機Tcとを備える。布類投入機Taは、排出部14において走行クランプ10から布類Cを受け取るとともにロールアイロナTbに投入し、ロールアイロナTbは投入された布類Cのアイロンがけを行い、布類折畳機Tcはアイロンがけされた布類Cの折畳みを行う。
【0019】
供給部12では、洗濯工程から送られてきた洗濯済みの布類Cを受け取り、作業員がその布類Cを搬送レール16上の走行クランプ10に吊り下げる作業を行う。図示例では、3つの供給部12が設けられているが、供給部12は少なくとも1つあればよい。
【0020】
走行クランプ10は、搬送レール16上を走行する移動体であり、図1中の拡大図に示すように、走行部10Aとクランプ部10Bとを有している。走行部10Aは、本体10A1と、本体10A1の前後両端で左右位置に取り付けられた4個の走行輪10A2と、本体10A1の前後位置に取り付けられたガイド輪(図示せず)とを有する。走行輪10A2は、搬送レール16の上向き平面壁から構成される走行面上を転動し、ガイド輪は搬送レール16の垂直壁で構成されるガイド面に沿って転動する。これらの走行輪10A2およびガイド輪の転動により走行クランプ10が搬送レール16上を走行する。
【0021】
走行部10Aの本体10A1からはステーを介してクランプ部10Bが吊持されている。図示例では、1つの走行クランプ10につき2つのクランプ部10Bが互いに近接して設けられているが、クランプ部10Bは1つでもよい。2つのクランプ部10Bは協働して布類Cの1つの角部Cr,Clを把持するものである。クランプ部10Bは、図2中の拡大図に示すように、揺動するクランプ爪10B1と固定の対面板10B2とからなる公知のクランプである。布類Cを保持、解放可能であれば、クランプ部10Bの構造に限定はない。
【0022】
搬送レール16は、複数のレール材を所定の経路に沿って連結してなり、各レール材は例えば、断面略コ字(C字)形の一対のチャンネル材16a,16bを、その開口側が対向しかつ一定の間隔が形成されるように平行に配設してなる。各レール材は、上述した走行面を構成する上向き平面壁と、ガイド面を構成する垂直壁とを有するものであれば、チャンネル材に限らずL字形のアングル材でもよく、あるいは、リップ溝形材を、その溝側を下方に配向しその一対のリップ部を走行面としてもよい。搬送レール16は、供給部12等の特定の範囲を除いて、走行クランプ10によって垂下保持された布類Cが地面等に接触して汚損しないよう十分に高い位置に設置するのが好ましい。搬送レール16は、図示しない駆動機構によって走行クランプ10を強制的に移動させる強制移動区間と、下向きの傾斜を有し走行クランプ10が自重により降下、移動する自由移動区間とを有する。駆動機構の一例は、一対のプーリと、該プーリ間に掛架された歯付きベルトと、プーリを回転させる駆動モータとからなるものであり、駆動モータを介して周回する歯付きベルトが走行クランプ10の例えば上面部に噛み合うことで、走行クランプ10は搬送レール16に沿って個々に移動可能である。歯付きベルトに代えてチェーンを用いてもよい。
【0023】
搬送レール16はまた、各供給部12に走行クランプ10を提供するために本線を3つに分岐する分岐点16Aと、分岐した経路を再び合流する合流点16Bを有している。また、排出部14の手前にも走行クランプ10を左右の第1排出レール161と第2排出レール162とに交互にもしくは所定の順序で振り分ける分岐点16Cが設けられている。搬送レール16には、布類投入機Taにおける投入箇所の数に応じて、4つ以上の排出レールを設けることができる(図示せず。)さらに、排出部14の下流側にも同様の合流点16Dが設けられている。分岐点16A,16Cおよび合流点16B,16Dには、図3、4に示すような切替装置18がそれぞれ設けられている。切替装置18は、先細りの形状を有しその先端側が揺動するように基端側で軸支された切替案内部18aと、切替案内部18aを揺動させて走行すべきレールを切り替える駆動手段18bとからなり、駆動手段は図示例ではシリンダであるが、モータを用いることもできる。なお、合流点16B,16Dにおいては切替装置18が省略される場合もある。この場合、先に合流点16B,16Dに到達した走行クランプ10が先に合流されることになる。
【0024】
搬送レール16は、各供給部12において、図2に示すように、高い本線位置から作業者の上半身の高さ位置まで下方に延びた後、再び本線へ向けて上方へ延びる側方視で略U字形を有する。これにより作業者は、供給部12において布類Cを走行クランプ10に取り付けることができる。
【0025】
そして搬送レール16は、図5に示すように、各供給部12内においても、正面側の分岐点(分岐位置)12Aにて作業者からみて右側の第1供給レール163と左側の第2供給レールと164に分岐した後、図6に示すように、背面側の合流点(合流位置)12Bにて再び合流している。供給部12における分岐点12Aおよび合流点12Bには、切替装置20がそれぞれ設けられている。切替装置20は、先細りの形状を有しその先端側が揺動するように基端側で軸支された切替案内部20aと、切替案内部20aを揺動させて走行すべきレールを切り替える駆動手段20bとからなり、駆動手段は図示例ではシリンダであるが、モータを用いることもできる。分岐点12Aでは、走行クランプ10は右側の第1供給レール163と左側の第2供給レール164に交互に振り分けられる。図5(b)は、切替装置20が走行クランプ10を右側の第1供給レール163に振り分ける様子を示し、図5(c)は、切替装置20が走行クランプ10を左側の第2供給レール164に振り分ける様子を示している。合流点12Bでは、第1供給レール163上の走行クランプ10と第2供給レール164上の走行クランプ10は、所定の順序で本線に戻される。図6(b)は、切替装置20が左側の第1供給レール163から走行クランプ10を本線に戻す様子を示し、図6(c)は右側の第2供給レール164から走行クランプ10を本線に戻す様子を示している。なお、合流点12Bにおいては切替装置20が省略される場合もある。この場合、先に合流点12Bに到達した走行クランプ10が先に合流されることになる。このために、第1および第2供給レール163,164のうち、常に特定の側にある走行クランプ10を合流点12Bに到達、通過させる、上述したような駆動機構を設けてもよい。
【0026】
好ましくは、供給部12における分岐点12Aと合流点12Bの間では、第1供給レール163上の走行クランプ10と第2供給レール164上の走行クランプ10は互いに独立して移動可能である。このために、例えば、第1供給レール163および第2供給レール164のそれぞれに駆動機構(図示せず)を設けることができる。駆動機構の一例は、一対のプーリと、該プーリ間に掛架された歯付きベルトと、プーリを回転させる駆動モータとからなるものであり、駆動モータを介して周回する歯付きベルトが走行クランプ10の例えば上面部に噛み合うことで、走行クランプ10は搬送レール16に沿って個々に移動可能である。あるいは、一つの駆動モータの動力をクラッチを介して第1供給レール163用の歯付きベルトと第2供給レール164用の歯付きベルトとに交互に伝達することで、第1供給レール163上の走行クランプ10と第2供給レール164上の走行クランプ10とを互いに独立して移動させる構成としてもよい。歯付きベルトに代えてチェーンを用いてもよい。
【0027】
つぎに、上記布類搬送装置を用いて洗濯済みの布類Cを次工程の処理装置Tまで搬送するにあたり、供給部12から出る布類Cを、その右角部Crを第1角部として先行させ、左角部Clを第2角部として後行させる使用例について説明する。しかし、その逆に左角部Clを第1角部として先行させ、右角部Crを第2角部として後行させてもよい。
【0028】
まず、図7(a)に示すように、供給部12において作業員が布類Cの短辺等の所定の辺の右角部Crまたは左角部Clを探し、右角部Crを先に見つけた場合には、図7(a)に示すように、第1供給レール163上の走行クランプ10(以下、第1走行クランプ10ともいう。)に該右角部Crを取り付ける。右角部Crが取り付けられた第1走行クランプ10は、図7(b)に示すように、合流位置手前の待機位置12Cまで先行して上昇し、この上昇に伴い作業者の目の前に左角部Clが自ら出現するので、作用者は出現した左角部Clを第2供給レール164上の走行クランプ10(以下、第2走行クランプ10ともいう。)に取り付ける。先行して上昇させる距離は、好ましくは布類Cの上記所定の辺の長さ以下、より好ましくは布類Cの上記所定の辺の長さと同じである。第2走行クランプ10に左角部Clが取り付けられると、図7(c)に示すように、第1走行クランプ10および第2走行クランプ10がこの順を保持したまま共に前進し、合流点12Bを経て交互に本線に復帰する。これにより、供給部12から出た布類Cは、図7(d)に示すように、その右角部Crが先行側、左角部Clが後行側となる順序で排出部14へ向けて搬送される。
【0029】
反対に、供給部12において作業員が布類Cの左角部Clを先に見つけた場合には、図8(a)に示すように、第2走行クランプ10に該左角部Clを取り付ける。左角部Clが取り付けられた第2走行クランプ10は、図8(b)に示すように、合流位置手前の待機位置12Cまで先行して上昇し、この上昇に伴い作業者の目の前に右角部Crが自ら出現するので、作業者は出現した右角部Crを第1走行クランプ10に取り付ける。先行して上昇させる距離は、好ましくは布類Cの上記所定の辺の長さ以下、より好ましくは布類Cの上記所定の辺の長さと同じである。第1走行クランプ10に右角部Crが取り付けられると、図8(c)に示すように、第1走行クランプ10が前進し、待機位置12Cで停止している第2走行クランプ10を追い抜いて、合流点12Bを経て先に本線へ復帰する。それに続いて第2走行クランプ10が前進し、合流点12Bを経て後から本線へ復帰する。したがって、この場合においても、図8(d)に示すように、供給部12から出た布類Cは、その右角部Crが先行側、左角部Clが後行側となる順序で排出部14へ向けて搬送される。
【0030】
その後、布類Cを保持した走行クランプ10は、図1に示すように、搬送レール16上を排出部14に向かって走行する。排出部14の手前で先行側の走行クランプ10と後行側の走行クランプ10は、分岐点16Cを介して左右の第1排出レール161と第2排出レール162とに交互に振り分けられ、排出部14に到達した走行クランプ10は保持していた布類Cを布類投入機Taに引き渡す。布類Cを布類投入機Taに引き渡した後の空の走行クランプ10は、搬送レール16を走行して再び供給部12に戻る。走行クランプ10は、分岐点16Aを介して所定の割合で3箇所の供給部12に分配される。
【0031】
以上のように、供給部12において、搬送レール16は、分岐点12Aにて第1供給レール163と第2供給レール164とに分岐され、作業者は、右角部Crと左角部Clのうち先に見つけた角部CrまたはClをそれに対応した第1供給レール163上の走行クランプ10または第2供給レール164上の走行クランプ10に取り付けることができる。これにより、作業者が最初に見つけた角部CrまたはClを一旦放して、その放した角部CrまたはClを後でもう一度探しなおし、取り付けるという煩雑な作業が不要となり、走行クランプ10への布類Cの取り付けを無駄なく効率的に行うことができる。
【0032】
また、第1走行クランプ10および第2走行クランプ10のうち先に角部CrまたはClが取り付けられた方が待機位置12Cまで先行して上昇する好適な例によれば、この上昇に伴い作業者の目の前に反対側の特定の角部ClまたはCrが自ら出現するので、作業者は当該反対側の特定の角部ClまたはCrを容易に見つけることができる。
【0033】
さらに、第1走行クランプ10に布類Cの第1角部(例えばCr)が取り付けられかつ第2走行クランプ10に該布類Cの第2角部(例えばCl)が取り付けられた状態において、常に、第1走行クランプ10および第2走行クランプ10のうち特定の一方(例えば第1走行クランプ10)が先に合流点12Bを介して本線に復帰するよう構成されている好適な例によれば、供給部12から出た布類Cを、常に、特定の角部(例えばCr)が先行側、反対側の角部(例えばCl)が後行側となる順序で搬送することができる。
【0034】
さらに、排出部14の手前位置に搬送レール16を第1排出レール161と第2排出レール162とに分岐させる分岐点16Cが設けられている好適な例によれば、搬送レール16と布類投入機Taとの干渉を避けつつ、布類Cを布類投入機Taの真正面まで搬送することができる。この場合、排出部14の手前位置に設けられた分岐点16Cにおいて、第1排出レール161および第2排出レール162への走行クランプ10の分配を、排出部14にて排出される布類Cの表裏の向きを考慮して行うことができる。例えば、供給部12において特定の角部Cr,Clが常に先行するように合流点12Bを介して整流を行う方法に代えて、排出部14手前の分岐点16Cにおいて、第1排出レール161および第2排出レール162への走行クランプ10の振分け制御による整流を介して、排出部14における布類Cの表裏の向きの調整を行ってもよい。具体的には、走行クランプ10にICチップや二次元コードなどの個体管理手段を実装し、その個体管理手段を用いて、走行クランプ10が保持した角部が右、左どちらであるかの情報を紐付けし、その情報を合流点前の読取手段で読み取ることで、排出部14手前の分岐点16Cにおいて、布類Cが特定の表裏向きで布類投入機Taに引き渡されるよう走行クランプ10の振分け制御を行うことができる。また、個体管理手段を用いて、走行クランプ10のメンテナンス時期を把握したり、布類投入機Taにおける投入モードの違い(例えば第1、第2排出レール161,162のみを使用する1レーン投入モード、第1および第2排出レール161,162に加えて図示しない第3および第4排出レールを使用する2レーン投入モード)に応じて、布類Cを退避させたりすることができる。
【0035】
次に、図9を参照して本発明の他の実施形態の布類搬送装置について説明する。本実施形態において、図1~8を参照して説明した部材または要素と同様のものには、同じ符号を付して説明を省略し、ここでは主として相違点について説明する。
【0036】
図9に示すように、本実施形態の布類搬送装置10は、分岐点12Aが供給部12の直前(上流側)に配置されるとともに合流点12Bが供給部12の直後(下流側)に配置される点で前述の実施形態の布類搬送装置10とは異なる。第1および第2供給レール163,164は、側面視略U字形状の供給部12の全域に亘って並設される。これにより、スペースに制限がある場合が多い供給部12に分岐点12Aおよび合流点12Bを設置しなくて済む分、その大型化を避けることができる。なお、供給部12の手前に配置された分岐点12Aには、図5で示したような切替装置20が設けられる。供給部12の後に配置された合流点12Bには、図6で示したような切替装置20が設けられるが、省略される場合もある。その場合、先に合流点12Bに到達した走行クランプ10が先に合流されることになる。このために、第1および第2供給レール163,164のうち、特定の側にある走行クランプ10を合流点12Bに常に先行して到達、通過させるための上述したような駆動機構を設けてもよい。本実施形態においても、供給部12内に待機位置12Cを設けるのが好ましい。
【産業上の利用可能性】
【0037】
本発明によれば、走行クランプに取り付ける布類の角部に指定がある場合においても、走行クランプへの布類の取り付けを無駄なく効率的に行うことが可能な布類搬送装置を提供することができる。
【符号の説明】
【0038】
10 走行クランプ
12 供給部
12A 分岐点
12B 合流点
12C 待機位置
14 排出部
16 搬送レール
161 第1排出レール
162 第2排出レール
163 第1供給レール
164 第2供給レール
16A,16C 分岐点
16B,16D 合流点
18 切替装置
20 切替装置
T 処理装置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10