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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-01-30
(45)【発行日】2023-02-07
(54)【発明の名称】機械式駐車装置の出入口扉開閉制御装置
(51)【国際特許分類】
   E04H 6/18 20060101AFI20230131BHJP
   E04H 6/14 20060101ALI20230131BHJP
【FI】
E04H6/18 601A
E04H6/14 601A
【請求項の数】 1
(21)【出願番号】P 2018207662
(22)【出願日】2018-11-02
(65)【公開番号】P2020070692
(43)【公開日】2020-05-07
【審査請求日】2020-10-20
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000227043
【氏名又は名称】日精株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100208672
【弁理士】
【氏名又は名称】中島 愼一
(72)【発明者】
【氏名】柿岡 真貴
【審査官】兼丸 弘道
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-179899(JP,A)
【文献】特開2017-115364(JP,A)
【文献】特開2017-002538(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04H 6/00-6/42
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
乗降室に至る手前に出入口扉開処理部および出入口扉閉処理部によって開閉可能に設けられた出入口扉と、前記出入口扉の近傍に配置された操作盤と、前記出入口扉開処理部による前記出入口扉の開操作時に前記操作盤を使用して第一認証処理を行う第一認証処理部と、前記第一認証処理後の前記出入口扉の閉操作時に前記操作盤を使用して第二認証処理を行う第二認証処理部とを有する機械式駐車装置の出入口扉開閉制御装置において、
前記操作盤またはその近傍に顔認証用カメラを設け、
前記第一認証処理部は、ICカードに設けられた識別データエリアに記憶された識別データを、利用者の前記操作盤による入出庫時の第一認証操作によってICカード読み取り部から取得して、利用者が機械式駐車装置の登録者であることを判定し、前記利用者が前記登録者であると判定されると、前記第一認証操作の際に初めて前記顔認証用カメラで取得する顔画像データ前記識別データと関連づけて画像処理部が画像記憶部に格納する構成とされ、
前記第一認証処理で認証された後に、搬送処理部によって搬送呼出処理が行われるとともに前記出入口扉開処理部によって前記出入口扉の開動作が行われ、
前記第二認証処理部は、前記出入口扉の閉操作前に、前記利用者の前記操作盤による第二認証操作の際に前記顔認証用カメラから取得した顔画像データと、前記画像記憶部に格納された前記顔画像データとを照合して、前記第一認証操作を行った利用者と前記第二認証操作を行った利用者との一致を確認する第二認証処理が実行される構成とされ、
前記第一認証処理と前記第二認証処理との間に利用者によって乗降室内が無人であるかの安全が確認され、安全確認処理部での前記安全の確認に基づいて前記出入口扉閉処理部によって前記出入口扉の閉動作が行われるように構成され、
前記出入口扉が閉じられると、前記第一認証処理時の顔画像データと前記第二認証処理時の顔画像データは画像処理部によって消去される
機械式駐車装置の出入口扉開閉制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両の入出庫時に開閉操作される入出庫扉を備えた機械式駐車装置の出入口扉開閉制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の機械式駐車装置として、特開2017-57683号公報(特許文献1)が知られている。この特許文献1には、出入口扉を開く前に、利用者による第一認証操作に基づいて当該利用者が登録者であることを確認する第一認証処理部と、前記第一認証処理による一致を確認した後に前記出入口扉を開く出入口扉開処理部と、前記出入口扉を閉じる前に、利用者による第二認証操作に基づいて前記第一認証操作および第二認証操作を行った利用者が一致しているかことを確認する第二認証処理部と、前記出入口扉を閉じる出入口扉閉処理部と、前記出入口扉を開閉操作する出入口扉開ボタンおよび出入口扉閉ボタンとを有する機械式駐車装置の出入口扉開閉制御装置において、前記第一認証操作の信号を受けて一連の処理を開始し、かつ前記出入口扉を一度開いた後に再度閉じるまでの一連の処理を継続的に制御する処理部を設け、前記処理部は、利用者による前記出入口扉閉ボタンを操作することなく前記第二認証処理により利用者が一致しているかことを確認したとき、前記出入口扉閉処理部によって前記出入口扉を閉操作するように構成したことを特徴とする機械式駐車装置の出入口扉開閉制御装置が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2017-57683号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載された従来の機械式駐車装置の出入口扉開閉制御装置は、第一認証処理後の当該利用者が乗降室内に入ったとき次の利用者の誤操作によって乗降室内に閉じ込められてしまう危険を回避するために、当該利用者による第二認証処理を行っているが、複雑な認証操作を繰り返すために面倒な操作が強いられていた。
【0005】
本発明の目的は、簡単な操作で、現在の利用者が乗降室内に入っているとき、次の利用者の誤操作によって現在の利用者が乗降室内に閉じ込められてしまうことを回避できるようにした機械式駐車装置の出入口扉開閉制御装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1態様に係る機械式駐車装置の出入口扉開閉制御装置は、乗降室に至る手前に出入口扉開処理部および出入口扉閉処理部によって開閉可能に設けられた出入口扉と、前記出入口扉の近傍に配置された操作盤と、前記出入口扉開処理部による前記出入口扉の開操作時に前記操作盤を使用して第一認証処理を行う第一認証処理部と、前記第一認証処理後の前記出入口扉の閉操作時に前記操作盤を使用して第二認証処理を行う第二認証処理部とを有し、前記第二認証処理では第一認証処理で記憶された利用者と同一利用者である場合に前記出入口扉閉処理部による前記出入口扉の閉操作を行うように構成した機械式駐車装置の出入口扉開閉制御装置において、前記操作盤またはその近傍に顔認証用カメラを設け、前記第一認証処理時および前記第二認証処理時に前記顔認証用カメラによって利用者の顔画像データをそれぞれ取得し、前記第二認証処理部は、前記第二認証処理時に取得した前記顔画像データと前記第一認証処理時に取得した前記顔画像データとから利用者の同一性を判定し、前記第二認証処理部による利用者の同一性が判定されたとき前記出入口扉閉処理部による前記出入口扉の閉操作を行うように構成したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
第1態様に係る機械式駐車装置の出入口扉開閉制御装置によれば、利用者が操作盤の前に立って第二認証処理を行うとき、第一認証処理時の顔画像データを利用しているため、第二認証処理は操作の簡易化が図られ、利用者の負担を軽減すると共に短時間に行うことができるようになり、第一認証処理を行った利用者が乗降室内にいるときに、別の利用者が操作盤を誤操作して出入口扉が閉じられるリスクを低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明を適用する機械式駐車装置の出入口扉を示す正面図である。
図2】本発明の一実施例による機械式駐車装置の出入口扉開閉制御装置における操作盤を示す拡大正面図である。
図3図2に示した操作盤の要部におけるブロック構成図である。
図4】本発明の一実施例による機械式駐車装置の出入口扉開閉制御装置を示すブロック構成図である。
図5図2に示した操作盤の液晶画面がカード認証画面となった状態を示す正面図である。
図6図2に示した操作盤の液晶画面が無人確認画面に切り替えられた状態を示す正面図である。
図7図2に示した操作盤の液晶画面が安全確認画面に切り替えられた状態を示す正面図である。
図8図4に示した機械式駐車装置の出入口扉開閉制御装置による処理動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明する。
【実施例1】
【0010】
図1は、本発明を適用する機械式駐車装置の出入口扉を示す正面図である。
【0011】
機械式駐車装置内への出入口には、上下方向に移動して開閉される出入口扉1が付設されており、その近傍の外壁面には出入口扉1の開閉操作するための操作盤2が配置されている。
【0012】
入庫の場合、利用者は、駐車車両から降りてきて操作盤2の前に立ち、詳細を後述する第一認証処理を行う。この第一認証処理によって出入口扉1を開状態にした後、利用者は、駐車車両を運転して出入口扉1の奥側に形成されている乗降室に入って駐車車両を所定の位置に停車させる。その後、利用者は、乗降室から出てきて操作盤2の前に立ち詳細を後述する一連の処理の中で第二認証処理を行い、第一認証を行った利用者と同一利用者であることを確認した後に、出入口扉1を元の閉状態に戻す。
【0013】
出庫の場合も同様であって、利用者は操作盤2の前に立ち、詳細を後述する第一認証処理を行う。これによって出入口扉1を開状態にした後、利用者は、出入口扉1の奥側に形成されている乗降室に入って駐車車両に乗り込み、出入口扉1を出た位置で車両を一旦停止させる。その後、利用者は車両から降りて操作盤2の前に立ち、一連の処理の中で第二認証処理を行い、第一認証を行った利用者と同一利用者であることを確認した後に、出入口扉1を再び元の閉状態にする。
【0014】
図2は、本発明の一実施例による機械式駐車装置の出入口扉開閉制御装置における操作盤2を示す拡大正面図である。
【0015】
操作盤2は、利用者に対して表示画面によって操作を促すタッチパネル式の液晶画面3と、その操作を補足する音声案内を行うためのスピーカ4と、主に管理員などによって出入口扉1を開閉動作させるときに操作される出入口扉開ボタン5および出入口扉閉ボタン6と、緊急時に操作される緊急停止ボタン7と、利用者が予め所持しているICカードから情報を読み取るICカード読み取り部8と、操作盤2またはその近傍に配置されて所定のタイミングで利用者の顔画像データを取得する顔認証用カメラ9などを有している。
【0016】
図3は、操作盤2の要部におけるブロック構成図である。
【0017】
ICカード読み取り部8は、ICカード10がかざされたときICカード10の識別データエリア11内の識別データが読み取って詳細を後述する制御装置12側の信号送受信部13にデータを送信する。また、顔認証用カメラ9は、所定のタイミングで利用者の顔画像データを取得したとき、制御装置12側の画像処理部14に画像データを送信し、その後、画像記憶部15にその後の第二認証処理時に使用するために信号送受信部13で取得した識別データと関連づけて格納される。
【0018】
図4は、本発明の一実施例による機械式駐車装置の出入口扉開閉制御装置を示すブロック構成図である。
【0019】
この出入口扉開閉制御装置は、操作盤2との間での信号を送受信する信号送受信部13と、利用者による入庫時の第一認証操作によってICカード読み取り部8から取得した識別データに基づいて当該利用者が登録者であることを確認する第一認証処理部17と、同じ第一認証操作によって顔認証用カメラ9から取得した顔画像データをICカード読み取り部8から取得した識別データと関連づけて画像記憶部15に格納する画像処理部14と、第一認証処理部17で認証された後に出入口扉1の開操作を行う出入口扉開処理部18と、出入口扉1の閉操作前に乗降室内の無人状態を確認するための無人確認処理部19と、無人確認処理部20で安全を確認したとき起動許可を与える安全確認処理部20と、出入口扉1の閉操作前に第二認証操作として顔認証用カメラ9から取得した顔画像データと既に取得されて画像記憶部15に格納している顔画像データを取り出して利用者が一致することを確認する第二認証処理部21と、上述した第二認証処理部21で利用者が一致することを確認した後に出入口扉1の閉操作を行う出入口扉閉処理部22と、各処理部での処理に合わせて液晶画面3の表示を切り替える液晶画面処理部23と、駐車車両の入庫または出庫に備えてトレーを乗降室の所定位置に準備する搬送処理部24と、本機械式駐車装置の利用者を登録した登録者データテーブル25や制御プログラムを格納した記憶部26と、制御プログラムに従って各部を制御する制御部27などを備えている。
【0020】
上述した液晶画面3の表示などを切り替え制御する液晶画面表示処理部23は、所定のタイミングで液晶画面3の表示を切り替えることによって、利用者の一連の操作を補足的に促すもので、本実施例では少なくともICカード認証画面、無人確認画面、安全確認画面に切り替え表示できるように構成されている。これらの各画面の構成と、各画面の切替タイミングについては、以下に順次説明する。
【0021】
図5は、操作盤2の液晶画面3がカード認証画面となった状態を示す正面図である。
【0022】
図4に示した出入口扉開閉制御装置は、例えば入庫時に、利用者が操作盤2を操作して第一認証操作を行うと、制御プログラムに従って一連の処理が開始される構成である。このため待機状態で液晶画面3は、第一認証時の第一認証処理部17および液晶画面表示処理部23によって、ICカード認証画面となって待機している。
【0023】
このときのICカード認証画面では、図5に示すように液晶画面3の下部に「呼出操作を受け付けています。カードをタッチしてください」という文字表示28が行われたり、スピーカ4からの音声案内が追加されたり、またその操作がどのように行われるものかが一目瞭然となるように画面で例示したりしている。また液晶画面3には、テンキーによる別操作に切り替え表示させるテンキー表示29が割り付けられている。
【0024】
この液晶画面3などによって、操作盤2の前に立っているのが不慣れな利用者であったとしても、今行う操作が何かを容易に知ることができる。そこで、利用者は自分が所持しているICカードをICカード読み取り部8にかざすと、この操作が第一認証の操作信号となり、図3に示したICカード10の識別データが読み取られて出入口扉開閉制御装置側に送信される。
【0025】
図5に示した液晶画面3のテンキー表示29がタッチ操作されると、液晶画面表示処理部23によって液晶画面3が暗証番号認証画面に切り替えられる。このときの暗証番号認証画面では、利用者がICカードの所持を忘れた場合でも、暗証番号の入力によって認証を行うことができる。
【0026】
図6は、操作盤2の液晶画面3が無人確認画面に切り替えられた状態を示す正面図である。
【0027】
この無人確認入力画面は、その下部に「庫内に人がいないことを確認し、無人確認キーを押してください」という文字表示30と、スピーカ4からの音声案内と、乗降室内に設置された監視カメラの映像画面31,32と、無人状態であることを確認したときに操作される無人確認キー33などから構成されている。
【0028】
利用者は、乗降室から出て来たときの目視確認と、映像画面31,32とから乗降室内が無人状態であることを確認し、その後、無人確認キー33を操作することになる。
【0029】
図7は、操作盤2の液晶画面3が安全確認画面に切り替えられた状態を示す正面図である。
【0030】
この安全確認画面は、上述の文字表示30が「庫内の安全を確認し、安全確認キーを押してください」という文字表記に変更され、安全確認キー34が追加されたもので、安全確認キー34を操作することによって起動許可を与えるものである。
【0031】
液晶画面3は、これらの表示に限らず、他の表示に置換したり、文字による補足情報、例えば「出入口扉を閉処理中です」などの文字表示を使用しても良い。また、詳細を後述するように第一認証処理が開始されると、出入口扉1を閉じる処理まで自動継続で行われることになり、出入口扉閉処理中表示画面37の文字表示38によって利用者は、出入口扉閉ボタン6を自分で直接操作しなくても出入口扉1が閉じられることを知ることができる。この通知によって、他の駐車装置では利用者が出入口扉閉ボタン6を直接操作する方式に慣れていたとしても、一連の処理の中で対応する操作が行われたことを知ることができる。
【0032】
図8は、図4に示した機械式駐車装置の出入口扉開閉制御装置による処理動作を示すフローチャートである。
【0033】
出入口扉開閉制御装置は、第一認証処理部17および液晶画面表示処理部23によって液晶画面3を図5で説明したIC認証表示画面に切り替えて待機している。利用者が図5に示したIC認証表示画面に従って自分が所持しているICカード10をICカード読み取り部8にかざしたとする。すると、ステップS1で、第一認証操作の開始信号と、ICカード読み取り部8で読み取った識別データとが信号送受信部13へと送信される。
【0034】
このとき利用者がICカード10を忘れてしまい暗証番号の入力にしたい場合は、図5のテンキー表示29をタッチすると、暗証番号認証画面に切り替えることができる。その後、利用者はテンキーを操作して暗証番号を入力すると、第一認証操作の開始信号と、暗証番号の入力信号が信号送受信部13へと送信される。
【0035】
いずれの場合も、この信号を受けた出入口扉開閉制御装置では一連の処理が開始され、出入口扉1の実際の開処理に先立って、第一認証処理部17はステップS2で、第一の認証処理が行われる。第一認証処理部17は第一認証処理を実行し、取得した識別データと、予め登録された登録者データテーブル25とを用いて、今回の利用者が登録者かどうか判定される。
【0036】
同時に、今回のICカードの識別データまたは暗証番号が記憶されると共に、対応する利用者の前回のデータを参照して入庫か出庫かの判定が下される。
【0037】
第一認証処理の結果、登録者でない場合は、ステップS3に移行してエラー表示処理がなされ、エラー表示画面に切り替えられたりスピーカ4からエラーメッセージが音声出力されたりする。
一方、ステップS2で今回の利用者が登録者であると判定された場合、ステップS4で顔認証用カメラ9は利用者の顔を撮影し、その顔画像データが信号送受信部13へと送信される。画像処理部14は、ステップS5でこの顔画像データを識別データと関連づけて画像記憶部15に格納する。
【0038】
次いで、搬送処理部24は、ステップS6で搬送呼出処理を行う。搬送呼出処理としては、入庫の場合は空のトレーが、また出庫の場合は当該駐車車両を搭載した状態のトレーがそれぞれ乗降室内の所定の位置に搬送されて準備される。このトレーの到着後に出入口扉開処理部18では、ステップS7で出入口扉1を上方へと開いて出入口9を開放する。
【0039】
利用者は、入庫の場合には出入口の前に停車させておいた駐車車両内に再び乗り込んで運転して、準備されたトレー上の所定位置に駐車車両を停車させる。その後、乗降室内における作業を完了した利用者は、開扉状態の出入口から出て再び操作盤2の前へと移動する。
【0040】
これに先立って、出入口扉開閉制御装置の無人確認処理部19は、出入口扉開処理部18から完了信号を受けて、ステップS8で液晶画面表示処理部23を通して液晶画面3を図6に示すように無人確認入力画面に切り替えている。
【0041】
乗降室から出て来るとき利用者は、近傍の状況を目視によって確認しているが、再度、図6に示した無人確認入力画面を使用して乗降室内が無人状態であることを確認することになる。無人確認入力画面には、その下部に「庫内に人がいないことを確認し、無人確認キーを押してください」という文字表示30と、スピーカ4からの音声案内と、乗降室内に設置された監視カメラの映像画面31,32とがある。これらを見聞きした利用者は、無人状態であることを確認したとして無人確認キー33を操作する。
【0042】
この信号を受けた信号送受信部13は、無人確認処理部19での処理を完了させ、次いでステップS9で安全確認処理部20での処理を開始させる。安全確認処理部20は、図7に示すように液晶画面3を安全確認画面に切り替えて表示させる。この安全確認画面を見た利用者は、文字表示34やスピーカ4からの音声案内に従って、安全確認キー33を操作すると、起動許可が与えられる。
【0043】
安全確認キー33の操作信号が出入口扉開閉制御装置側に取り込まれると、安全確認処理部20での処理が終了となる。第二認証処理部21は、遅くても安全確認処理部20での終了信号を受けてステップS10で顔認証用カメラ9によって利用者の顔を再度撮影し、二度目の顔画像データを信号送受信部13を通して受け取る。また第二認証処理部21はステップS11で、画像処理部14の画像記憶部15にステップS5で既に格納されている第一認証処理時の顔画像データを取り出し、第二認証処理時の顔画像データと照合し、同一人物であるかどうかを判定する。
【0044】
その結果、第二認証処理部21が同一人物である判定した場合、出入口扉閉処理部22は、例えば、第二認証処理部21を通して信号を受けた液晶画面表示処理部23は、液晶画面3を出入口扉閉処理中表示画面に切り替え、「出入口扉を閉処理中です」などの文字表示によって、一連の自動継続処理の中で出入口扉1を閉じる処理が既に受け付けられていることを利用者に通知する。
【0045】
一方、第二認証処理の結果、第一認証処理時の利用者と一致しない場合は、ステップS12に移行してエラー表示処理がなされ、エラー表示画面に切り替えられたりスピーカ4からエラーメッセージが音声出力されたりする。
【0046】
その後、処理の最後として、出入口扉閉処理部22は、ステップS13で出入口扉1を実際に閉じる。このとき、利用者の履歴データとして入庫または出庫データが次回使用のために保存されるが、今回の第一認証処理時の顔画像データと、第二認証処理時の顔画像データは、画像処理部14によってステップS14で消去される。
【0047】
このような一連の処理を行うため、第一認証処理を行った利用者が乗降室内でまだ作業を行っているときに、別の利用者が操作盤2を誤操作して出入口扉1が閉じられるリスクを低減することができる。また、利用者が操作盤2の前に立って第二認証処理を行うとき、第一認証処理時の顔画像データを利用しているため、第二認証処理の簡易化を図って利用者の負担を軽減すると共に短時間に行うことができるようになる。このため、第二認証処理時に、次の利用者や他の人が乗降室内に入り込んでしまうことを確実に防止することができる。
【0048】
同様に、第二認証処理後に、利用者自身が忘れ物などをしたことを思い出し、しかも、まだ出入口扉1が閉じられていないという理由で乗降室内に入っても、次の利用者によって出入口扉1を操作されて現在の利用者が乗降室内に閉じ込められてしまうことを防止することができる。こうして、操作の簡易化と共に、利用者の安全性を一層向上させることができる。
【0049】
尚、上述した実施例でステップS1の第一認証操作は、利用者が所持しているICカードをかざしたり、暗証番号を入力したりすることから始まるものとして説明したが、利用者がそれぞれ所持するリモコンを操作することから始まるようにしてもよい。この場合、操作盤2あるいは出入口扉開閉制御装置側でリモコンの操作信号を受信し、操作信号に含まれる暗号キーから利用者を識別し、利用者データテーブルの情報と比較して登録者かどうかを判定するようにする。
【0050】
また上述した実施例では、液晶画面表示処理部23によって液晶画面3の表示を少なくともカード認証画面、暗証番号認証画面、無人確認画面、安全確認画面を切り替え表示可能なものとして説明したが、一部を省略したり、さらに他の表示画面を追加したりすることができ、また各表示画面の構成も図示のものに限定するものではない。
【0051】
さらに本発明は、上述した実施例で説明した操作盤2および出入口扉開閉制御装置に限らず、他の構成の操作盤および出入口扉開閉制御装置を使用した機械式駐車装置に適用することができる。つまり、乗降室に至る出入口扉1の開操作時に第一認証処理を行い、その後の出入口扉1の閉操作時に第二認証処理を行い、この第二認証処理では第一認証処理を行った利用者と同一利用者である場合に出入口扉1の閉操作を行う構成の機械式駐車装置の出入口扉開閉制御装置に適用することができる。
【0052】
以上説明したように本発明は、乗降室に至る手前に出入口扉開処理部18および出入口扉閉処理部22によって開閉可能に設けられた出入口扉1と、出入口扉1の近傍に配置された操作盤2と、出入口扉開処理部18による出入口扉1の開操作時に操作盤2を使用して第一認証処理を行う第一認証処理部17と、第一認証処理後の出入口扉1の閉操作時に操作盤2を使用して第二認証処理を行う第二認証処理部21とを有し、第二認証処理では第一認証処理を行った利用者と同一利用者である場合に出入口扉閉処理部22による出入口扉1の閉操作を行うように構成した機械式駐車装置の出入口扉開閉制御装置において、操作盤2またはその近傍に顔認証用カメラ9を設け、第一認証処理時および第二認証処理時に顔認証用カメラ9によって利用者の顔画像データをそれぞれ取得し、第二認証処理部21は、第二認証処理時に取得した顔画像データと第一認証処理時に取得した顔画像データとから利用者の同一性を判定し、第二認証処理部21による利用者の同一性が判定されたとき出入口扉閉処理部22による出入口扉1の閉操作を行うように構成した。
【0053】
このような機械式駐車装置の出入口扉開閉制御装置によれば、利用者が操作盤2の前に立って第二認証処理を行うとき、第一認証処理時の顔画像データを利用しているため、第二認証処理は操作の簡易化が図られ、利用者の負担を軽減しながら短時間に行うことができるようになり、第一認証処理を行った利用者が乗降室内にいるときに、別の利用者が操作盤2を誤操作して出入口扉1が閉じられるリスクを低減することができる。
【符号の説明】
【0054】
1 出入口扉
2 操作盤
9 顔認証用カメラ
17 第一認証処理部
18 出入口扉開処理部
21 第二認証処理部
22 出入口扉閉処理部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8