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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-01-30
(45)【発行日】2023-02-07
(54)【発明の名称】平面ハンドル
(51)【国際特許分類】
   E05B 5/02 20060101AFI20230131BHJP
【FI】
E05B5/02 D
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2018226202
(22)【出願日】2018-12-03
(65)【公開番号】P2020090774
(43)【公開日】2020-06-11
【審査請求日】2021-12-01
(73)【特許権者】
【識別番号】000108708
【氏名又は名称】タキゲン製造株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001564
【氏名又は名称】フェリシテ弁理士法人
(74)【代理人】
【識別番号】100081514
【氏名又は名称】酒井 一
(74)【代理人】
【識別番号】100082692
【弁理士】
【氏名又は名称】蔵合 正博
(72)【発明者】
【氏名】峯村 知孝
【審査官】家田 政明
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-174462(JP,A)
【文献】特開2010-153652(JP,A)
【文献】実公昭42-019713(JP,Y1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E05B 5/00-5/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
扉パネルに固着されるハンドルベースと、前記ハンドルベースの基端側に回転可能に挿通されるハンドル軸に回動軸を介して前記ハンドルベースに対して起伏回動可能に装着されるハンドルレバーと、前記ハンドルベースの背面側に前記ハンドル軸を介して回転可能に取り付けられ、前記ハンドルレバーの回転操作によりボックス本体などの固定枠体側の受け部に対して係脱可能な止め金とを備え、扉パネルの開閉時に前記ハンドルレバーを前記ハンドルベースから引き起こして回転操作することにより前記止め金を前記受け部に対して係脱し、扉パネルを閉めた後は前記ハンドルレバーを前記ハンドルベース上に倒伏して収納する形式の平面ハンドルにおいて、
前記ハンドルベース及び前記ハンドルレバーの基端側で相互に対向する部位のいずれか一方に保護部材取付部が設けられて当該保護部材取付部に弾性合成樹脂製の保護部材が取り付けられ、
前記保護部材は、表面に前記保護部材取付部の周囲と一体的な外形を有し、裏面に全体として断面略L字形に突出される一対の係止爪を有し、前記一対の係止爪はそれぞれ、先端が前記保護部材の裏面において外周方向に向け、かつ相互に反対方向に向けて形成され、前記保護部材の裏面で前記各係止爪の間に直線状に溝を形成されて、前記保護部材が前記溝の位置で略くの字形に折り曲げ変形可能に形成され、
前記保護部材取付部は、前記保護部材が嵌合可能に取付凹部を形成されるとともに前記取付凹部の底部に前記保護部材の前記各係止爪が弾性係合可能に断面略L字形に延びる一対の係合孔が形成されて、
前記保護部材は前記保護部材取付部に前記一対の係止爪と前記一対の係合孔との弾性係合により取り付けられる、
ことを特徴とする平面ハンドル。
【請求項2】
保護部材取付部の取付凹部の底部に保護部材裏面の溝に嵌合可能に直線状の凸状部が設けられる請求項1に記載の平面ハンドル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、配電盤、分電盤、通信機器、サーバなどの機器格納用のラック又はキャビネットなどに用いられる平面ハンドルに関し、特に、扉に固定されたハンドルベースに対してハンドルレバーが起伏回転可能な平面ハンドルに関する。
【背景技術】
【0002】
この種の平面ハンドルは、例えば特許文献1などにより開示されているように、扉パネルに固着されるハンドルベースと、ハンドルベースに回転可能に挿通されるハンドル軸に回動軸を介してハンドルベースに対して起伏回動可能に装着されるハンドルレバーと、ハンドルベースの背面側にハンドル軸を介して回転可能に取り付けられ、ハンドルレバーの回転操作によりボックス本体などの固定枠体側の受け金に対して係脱可能な止め金とを備え、扉パネルの開閉時にハンドルレバーをハンドルベースから引き起こして回転操作することにより止め金を受け金に対して係脱し、扉パネルを閉めた後はハンドルレバーをハンドルベース上に倒伏して収納する形式になっている。
【0003】
ところで、この種の平面ハンドルは、ハンドルベースに対して起立したハンドルレバーをハンドル軸を中心に回転操作するときに、ハンドルレバーをハンドルベース側に押し倒す方向に力をかけやすく、この状態でハンドルレバーを回転させると、ハンドルレバーの基端側でハンドルベースに対向する部位が、ハンドルベースと噛み合い、金属同士の強い接触により両者が損傷することがある。
【0004】
そこで、本願出願人は、従前、特許文献2により、ハンドルレバーを回転操作するときに、ハンドルレバーとハンドルベースが噛み合って損傷することのないようにした平面ハンドルを提案した。
この文献2の平面ハンドルは、ハンドルレバーの基端側のハンドルベースに対向する部位に、ハンドルレバーの回転操作時にハンドルベースとの間に介在するように弾性合成樹脂製の保護部材が固着されたもので、この保護部材によりハンドルレバーの回転操作時にハンドルレバーとハンドルベースの金属同士の噛み合いを阻止するようにしてある。
この場合、ハンドルレバーの背面の基端側に保護部材を受け入れる嵌合凹部と保護部材をカシメ止めするための係合突起が設けられ、保護部材は、嵌合凹部に嵌合する凸部と、係合突起を圧入してカシメ止めするための段付き係合孔とを有し、保護部材の表面がハンドルレバーの背面の基端側の外面を形成するようにしてハンドルレバーの背面の基端側に装着される。
このようにすることで、ハンドルレバーを握って回転操作するときに、ハンドルレバーをハンドルベース側(倒伏方向)へ押したまま回転させても、弾性合成樹脂製の保護部材の表面が金属製のハンドルベースの表面に押し当てられた状態で摺動するため、摩擦抵抗が小さく、操作は円滑に行われ、また相互に噛み合って損傷することもない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2010-144464号公報
【文献】特開2010-174462号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記従来の平面ハンドルでは、保護部材がハンドルレバーの背面の基端側の嵌合凹部に嵌め込まれ、保護部材の係合孔に圧入された係合突起をカシメて固定するため、保護部材の取り付けに多くの手間が掛かり、コストも増大する、という問題がある。
【0007】
本発明は、このような従来の問題を解決するもので、この種の平面ハンドルにおいて、弾性合成樹脂製の保護部材の取付位置を拡大して、この保護部材の取付位置に保護部材を容易にしかも低コストに取り付けできるようにすること、を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明は、
扉パネルに固着されるハンドルベースと、前記ハンドルベースの基端側に回転可能に挿通されるハンドル軸に回動軸を介して前記ハンドルベースに対して起伏回動可能に装着されるハンドルレバーと、前記ハンドルベースの背面側に前記ハンドル軸を介して回転可能に取り付けられ、前記ハンドルレバーの回転操作によりボックス本体などの固定枠体側の受け部に対して係脱可能な止め金とを備え、扉パネルの開閉時に前記ハンドルレバーを前記ハンドルベースから引き起こして回転操作することにより前記止め金を前記受け部に対して係脱し、扉パネルを閉めた後は前記ハンドルレバーを前記ハンドルベース上に倒伏して収納する形式の平面ハンドルにおいて、
前記ハンドルベース及び前記ハンドルレバーの基端側で相互に対向する部位のいずれか一方に保護部材取付部が設けられて当該保護部材取付部に弾性合成樹脂製の保護部材が取り付けられ、
前記保護部材は、表面に前記保護部材取付部の周囲と一体的な外形を有し、裏面に全体として断面略L字形に突出される一対の係止爪を有し、前記一対の係止爪はそれぞれ、先端が前記保護部材の裏面において外周方向に向け、かつ相互に反対方向に向けて形成され、前記保護部材の裏面で前記各係止爪の間に直線状に溝を形成されて、前記保護部材が前記溝の位置で略くの字形に折り曲げ変形可能に形成され、
前記保護部材取付部は、前記保護部材が嵌合可能に取付凹部を形成されるとともに前記取付凹部の底部に前記保護部材の前記各係止爪が弾性係合可能に断面略L字形に延びる一対の係合孔が形成されて、
前記保護部材は前記保護部材取付部に前記一対の係止爪と前記一対の係合孔との弾性係合により取り付けられる、
ことを要旨とする。
この場合、保護部材取付部の取付凹部の底部に保護部材裏面の溝に嵌合可能に直線状の凸状部が設けられることが望ましい。
【発明の効果】
【0009】
本発明の平面ハンドルでは、ハンドルベース及びハンドルレバーの基端側で相互に対向する部位のいずれか一方に保護部材取付部を設けてこの保護部材取付部に弾性合成樹脂製の保護部材を取り付けるものとし、保護部材の表面を保護部材取付部の周囲と一体的な外形とし、裏面に全体として断面略L字形に突出する一対の係止爪を設け、保護部材取付部は、保護部材が嵌合可能に取付凹部を形成するとともにこの取付凹部の底部に保護部材の各係止爪が弾性係合可能に断面略L字形に延びる一対の係合孔を形成して、保護部材を保護部材取付部に一対の係止爪と一対の係合孔との弾性係合により取り付けるようにしたので、弾性合成樹脂製の保護部材の取付位置を拡大して、保護部材の取付位置に保護部材を容易にしかも低コストに取り付けることができる、という本発明独自の格別な効果を奏する。
特に、この平面ハンドルでは、一対の係止爪をそれぞれ先端を保護部材の裏面において保護部材の外周方向に向け、かつ相互に反対方向に向けて形成し、保護部材の裏面で各係止爪の間に直線状に溝を形成して保護部材を溝の位置で略くの字形に折り曲げ変形可能に形成することで、保護部材の取り付けに当たり、保護部材を溝の位置で略くの字形に折り曲げ変形することにより、各係止突起を各係合孔に挿入しやすくすることができ、保護部材を保護部材取付部により簡易に取り付けることができる、という利点を有する。
た、この保護部材取付部の取付凹部の底部に保護部材裏面の溝に嵌合可能に直線状の凸状部を設けることで、保護部材が保護部材取付部に取り付けられると、保護部材の溝と保護部材取付部の凸状部との係合により、保護部材が保護部材取付部上でこれら凸状部及び溝に対して直交する方向の外力に抗し、一対の係止爪とともに、保護部材を保護部材取付部により確実に固定することができる、という利点を有する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の一実施の形態における平面ハンドルの全体構成を示す図((a)はハンドルレバーがハンドルベース上に収納された状態を示す斜視図(b)はハンドルレバーがハンドルベースから引き起こされて回動された状態を示す斜視図)
図2】同平面ハンドルの特に保護部材の構成を示す図(斜視図)
図3】同平面ハンドルのハンドルレバー及び保護部材取付部の構成を示す図(斜視図)
図4】同平面ハンドルの保護部材の保護部材取付部への取り付け方を示す図
図5】同平面ハンドルの使用時の保護部材による作用効果を示す図((1)はハンドルレバーがハンドルベース上に収納された状態を示す斜視図(2)はハンドルレバーがハンドルベースから引き起こされて回動され、ハンドルレバーに設けられた保護部材がハンドルベースに接触する状態を示す斜視図)
【発明を実施するための形態】
【0011】
次に、この発明を実施するための形態について図を用いて説明する。
図1に平面ハンドルの全体構成を示し、図2図3にこの平面ハンドル各部の構成を示している。
【0012】
図1に示すように、平面ハンドルHは、扉パネルに固着されるハンドルベース1と、ハンドルベース1の基端側に回転可能に挿通されるハンドル軸(図示省略)に回動軸(図示省略)を介してハンドルベース1に対して起伏回動可能に装着されるハンドルレバー2と、ハンドルベース1の背面側にハンドル軸を介して回転可能に取り付けられ、ハンドルレバー2の回転操作によりボックス本体などの固定枠体側の受け部(図示省略)に対して係脱可能な止め金(図示省略)とを備え、扉パネルの開閉時にハンドルレバー2をハンドルベース1から引き起こして回転操作することにより止め金を受け部に対して係脱し、扉パネルを閉めた後はハンドルレバー2をハンドルベース1上に倒伏して収納する形式になっている。
また、この平面ハンドルHでは、ハンドルベース1にハンドルレバー2の受け部(図示省略)に係脱可能な錠止部材(図示省略)を有する錠前ユニット3が組み込まれて、錠前ユニット3のキー穴30がハンドルレバー2に形成された開口20から臨むようになっており、ハンドルベース1上にハンドルレバー2が収納された状態で、キー(図示省略)をキー穴30に挿入し所定の施錠方向に回転操作することにより、ハンドルベース1側の錠前ユニット3の錠止部材とハンドルレバー2側の受け部が係合してハンドルレバー2が施錠され、キーを所定の解錠方向に回転操作することにより、錠前ユニット3の錠止部材と受け部との係合が解除されてハンドルレバー2が解錠されるようになっている。
【0013】
そして、この平面ハンドルHにおいては、ハンドルベース1及びハンドルレバー2の基端側で相互に対向する部位のいずれか一方に保護部材取付部4が設けられて、この保護部材取付部4に弾性合成樹脂製の保護部材5が取り付けられる。
保護部材5は、図2に示すように、表面に保護部材取付部4の周囲と一体的な外形を有し、裏面に裏面の中心を対称中心として対称的に形成され、先端を相互に反対方向に向けられて全体として断面略L字形に突出される一対の係止爪51を有する。保護部材取付部4は、図3に示すように、保護部材5が嵌合可能に取付凹部40を形成されるとともにこの取付凹部40の底部401に保護部材5の各係止爪51が弾性係合可能に断面略L字形に延びる一対の係合孔41が形成されて、保護部材5は保護部材取付部4に一対の係止爪51と一対の係合孔41との弾性係合により取り付けられる。
【0014】
この平面ハンドルHの場合、ハンドルベース1は、図1に示すように、亜鉛ダイカストやアルミニウムなどにより、ベース本体11が薄形で縦に長い略長方形状(但し、上部基端縁部111及び下部先端縁部112は略円弧状をなす。)に形成され、ベース本体11の上部基端側にハンドル取付部12、ベース本体11の正面にハンドル収納部13、ハンドル収納部13の下部に錠前ユニット収納部14を備えて構成される。
この場合、ハンドル取付部12は、ベース本体11の上部基端側、この場合、正面の上部基端側中央と背面の上部基端側中央との間を貫通して形成される円形の穴120と、この穴120に連通してベース本体11の背面から突出形成される軸筒部121とからなり、軸筒部121にステンレスバネ鋼からなる曲面板(図示省略)を介してハンドル軸が回転可能に挿着される。ハンドル収納部13は、ベース本体11の正面の上部基端側に円形の穴120の周囲に沿って略逆U字形に凸状部131を形成されるとともにこの略逆U字形の凸状部131で囲まれた穴120の下部面をフラットに形成されて、ベース本体11の上部基端側の略逆U字形の凸状部131の内側にハンドルレバー2の上部基端側を嵌合可能に形成されるハンドル嵌合収納部13Aと、このハンドル嵌合収納部13Aの下方、つまり、ベース本体11の正面の上下方向中間部から下部先端側に上部基端側の円形の穴120の下部から下方に向けて錠前ユニット3の組み込み位置の近傍まで直線形に凸状部132を形成されるとともにこの直線形の凸状部132の周囲の面全体を上部基端側の略U字形の凸状部131で囲まれた面に連続してフラットに形成されて、ベース本体11の正面の上下方向中間部から下部先端側にかけてハンドルレバー2の上下方向中間部から下部先端側までを載置可能に形成されるハンドル載置収納部13Bとからなる。錠前ユニット収納部14はハンドル収納部13のハンドル載置収納部13Bの下部側に筒状に形成され、この錠前ユニット収納部14に、錠前ユニット3としてロック・ロック解除を表示するインジケータi付きのシリンダー錠Sが挿着固定される。
一方、ハンドルレバー2は、図3に示すように、亜鉛ダイカストやアルミニウムなどにより、レバー本体21が薄形で縦に長い略長方形状(但し、上部基端縁部211は略半円形、下部先端縁部212は略円弧状をなす。)に形成され、レバー本体21の上部基端側に軸挿通部22、レバー本体21の上下方向中間部から下部先端側にかけてグリップ部23、レバー本体21の下部先端側に開口20を備えて構成される。
この場合、レバー本体21の上部基端側はハンドルベース1のハンドル嵌合収納部13Aに嵌合可能に幅狭に形成され、その上端に回動軸を(ハンドルレバー2の)幅方向に向けて挿通するための軸挿通部22が形成され、その下端にハンドルレバー2の直線形の凸状部132の上端部が嵌合可能に凹部221が形成される。グリップ部23はハンドルベース1のハンドル載置収納部13Bに対応する形状に形成され、下部先端がハンドルベース1の下部先端から少し突出可能に形成される。また、グリップ部23は表面が手で握りやすいように高さの低い断面略台形状に形成され、背面がハンドルベース1の直線形の凸状部132を被覆可能に高さの低い断面略台形の凹状に形成されるとともに、この凹状の面の上下方向中間にハンドルベース2の直線形の凸状部132を両側から挟持可能に2つの突起231が形成される。レバー本体21の下部先端側には後述する錠前ユニット収納部14に対向する位置にインジケータi付きのシリンダー錠Sのキー孔30をインジケータiとともに臨ませるための開口20が正面、背面間を貫通して形成される。
このようにしてハンドルレバー2はハンドルベース1の上部基端側に回転可能に挿通されたハンドル軸に回動軸を介してハンドルベース1に対して起伏回動可能に取り付けられる。
【0015】
かくしてハンドルベース1及びハンドルレバー2が構成され、この平面ハンドルHでは、保護部材取付部4は、図3に示すように、ハンドルレバー2の上部基端側でハンドルベース1に対向する部位、すなわち、ハンドルレバー2の背面の上部基端側の幅狭の部分で、特に、ハンドルベース1に対してハンドルレバー2を起伏回動した際にハンドルレバー2の背面がハンドルベース1の正面(この場合、ハンドルベース1の正面上部基端側の略U字形の凸状部131の片側一方の側部)に摺接する可能性のあるその上下方向中間部、この場合、軸挿通部22と凹部221との間に設けられて、この保護部材取付部4に弾性合成樹脂製の保護部材5が取り付けられる。
保護部材5は、図2に示すように、弾性、柔軟性、耐摩耗性、摺動性に優れた合成樹脂材からなり、保護部材取付部4に取り付け可能な大きさ、形状に形成される。保護部材5の表面は保護部材取付部4の周囲と一体的な外形に形成され、裏面に一対の係止爪51が裏面の中心を対称中心として対称的に、それぞれ先端が保護部材5の裏面において保護部材5の外周方向に向けられて全体として断面略L字形に突出形成される。この場合、保護部材5は、ポリアセタールからなり、保護部材取付部4に取り付け可能に、横に長い長方形に形成される。保護部材5の表面はハンドルレバー2の上部基端側の背面と面一のフラットに形成され、裏面に一対の係止爪51が裏面の中心を対称中心として対称的に、それぞれ、断面略四角形(各係止爪51の突出方向に対して直角方向の断面形状が略四角形)の形状で先端が保護部材5の裏面において保護部材5の短辺方向に向けられて、全体として断面略L字形に形成される。また、この場合、保護部材5の裏面には各係止爪5の間に、この場合、保護部材5の長手方向中央位置に、長手方向一方の縁部から他方の縁部まで直線状に溝52を形成されて保護部材5の長手方向中央位置が少し薄肉に形成され、保護部材5がこの溝52の位置で保護部材5の裏面を内側にして略くの字形に折り曲げ変形可能に形成される。
保護部材取付部4は、図3に示すように、ハンドルレバー2の背面上部基端側の軸挿通部22と凹部221との間に保護部材5が嵌合可能に取付凹部40が横に長い長方形状を形成されるとともに、この取付凹部40の底部401で保護部材5の各係止爪51に対応する位置にそれぞれ、一対の係合孔41が保護部材5の各係止爪51を弾性係合可能に、この場合、底部401の各対応位置に各係止爪51の断面形状(各係止爪51の突出方向に対して直角方向の断面形状)よりも僅かに大きい断面四角形の孔411が底部401の奥に向けて各係止爪51の長さ分だけ穿設され、この底部401の奥からハンドルレバー2の各側部213に向けて各係止爪51の爪の突出長さよりも長い孔412が、この場合、各側部213まで各側部213を開口して穿設されて、全体として保護部材取付部4の底部401の各対応位置から各側部213まで断面略L字形に延出形成される。なお、この場合、各係合孔41は保護部材取付部4の底部401から各側部213へ貫通されて各側部213で開口されるものとしたが、各係合孔41は底部401から各側部213への途中までとし、各側部213は開口されず閉塞されたものとしてもよい。また、この場合、この保護部材取付部4の底部401で保護部材5裏面の溝52に対応する位置、つまり、保護部材取付部4の長手方向中央位置に、保護部材5の溝52に嵌合可能に、長手方向一方の縁部から他方の縁部まで直線状に凸状部402が形成されて、保護部材5が保護部材取付部4に取り付けられた際に、保護部材5の溝52に係合可能としてある。
【0016】
図4に保護部材5の保護部材取付部4への取り付け方を示している。
図4に示すように、この平面ハンドルHでは、一対の係止爪51がそれぞれ先端が保護部材5の裏面において保護部材5の外周方向に向けて、この場合は、保護部材5の短辺方向に向けて形成され、保護部材5の裏面で各係止爪51の間に直線状に溝52を形成されて保護部材5が溝52の位置で略くの字形に折り曲げ変形可能に形成されているので、保護部材5の取り付けに当たり、保護部材5を溝52の位置で裏面を内側にして略くの字形に折り曲げ変形させて、各係止爪51を内方に倒すことで、各係止爪51の先端(爪の部分)を保護部材取付部4の各係合孔41に容易に挿入することができ、各係止爪51を各係合孔41に挿入して少し強く押し込めば、ワンタッチで、各係止爪51の先端は各係合孔41の穴411の内壁を滑って孔411の奥まで進み、そこから各側部213方向へ向かう孔412の壁面に係止され、保護部材5は保護部材取付部4の取付凹部40に嵌合されて保護部材取付部4の周囲と面一の状態で取り付け固定される。
またこの場合、保護部材取付部4の取付凹部40の底部401に保護部材5裏面の溝52に嵌合可能に直線状の凸状部402が設けられているので、保護部材5が保護部材取付部4に取り付けられると、保護部材5の溝52と保護部材取付部4の凸状部402が係合されて、保護部材5は保護部材取付部4上でこれら凸状部402及び溝52に対して直交する方向、この場合、保護部材5の短辺方向の外力に抗して一対の係止爪51の先端と一対の係合孔41との係合状態を保持し、一対の係止爪51とともに、保護部材5が保護部材取付部4により確実に固定される。
【0017】
この平面ハンドルHはかかる構成を備え、図5に示すように、扉パネルDに、ここでは特に図示しないが、防水パッキンを介して、取付プレート、取付ねじにより取り付けられる。
【0018】
図5にこの平面ハンドルHの使用時の保護部材5による作用効果を併せて示している。
扉パネルDがボックス本体などの固定枠体に対して閉じられているときは、図5(1)に示すように、ハンドルレバー2がハンドルベース1上に倒伏され、キーにより錠前ユニット3が施錠されて、ハンドルレバー2がロックされる。このロック状態がハンドルレバー2の下部先端側の開口20を通してインジケータiにより表示される。
そして、このような扉パネルDの施錠状態から、扉パネルDを開けるときは、図5(1)に示すように、まず、キーを錠前ユニット3のキー穴30に通し解錠方向に回転して、錠前ユニット3を解除する。この錠前ユニット3の解錠により、ハンドルレバー2のロックが解錠される。このロック解除状態はハンドルレバー2の下部先端側の開口20を通してインジケータiにより表示される。次に、図5(2)に示すように、ハンドルレバー2をハンドルベース1から引き起こすと、このハンドルレバー2の任意の引き起こし位置で、ハンドルレバー2により曲面板バネが押圧変形されてこの曲面板バネに生じる反力により、この引き起こし位置にハンドルレバー2が保持される。続いて、この状態から、ハンドルレバー2を所定の開方向に回す。このときに、ハンドルレバー2がハンドルベース1側へ押されて少し倒伏されると、ハンドルレバー2の背面の上部基端側の一部、すなわち、ハンドルレバー2の背面上部の軸挿通部22と凹部221との間の部分がハンドルベース1の正面の上部基端側、すなわち、略U字形の凸状部131の片側一方の側部と摺接するが、この平面ハンドルHでは、ハンドルレバー2の背面上部の軸挿通部22と凹部221との間に弾性合成樹脂製の保護部材5が組み込まれており、この保護部材5が弾性、柔軟性、耐摩耗性、摺動性に優れた素材から形成されているので、ハンドルレバー2の背面上部の軸挿通部22と凹部221との間に組み込まれた保護部材5とハンドルベース1の略U字形の凸状部131の片側一方の側部が小さい摩擦抵抗で接触して円滑に摺動する。したがって、ハンドルレバー2とハンドルベース1の金属同士の噛み合いがなく、相互に損傷することがない。かくしてハンドルレバー2を開方向に回すと、止め金がボックス本体などの固定枠体側の受け部から離脱される。この状態から扉パネルDを開動し、扉パネルDを開く。
そして再び、扉パネルDを閉めるときは、扉パネルDの閉動後、まず、図5(2)、(1)に示すように、任意の引き起こし位置に保持されたハンドルレバー2を所定の閉方向に回す。このときも同様に、ハンドルレバー2がハンドルベース1側へ押されて少し倒伏されると、ハンドルレバー2の背面上部の軸挿通部22と凹部221との間の部分がハンドルベース1の正面上部の略U字形の凸状部131の片側一方の側部と摺接するが、ハンドルレバー2の背面上部の軸挿通部22と凹部221との間に組み込まれた弾性合成樹脂製の保護部材5とハンドルベース1の略U字形の凸状部131の片側一方の側部が小さい摩擦抵抗で接触して円滑に摺動するので、ハンドルレバー2とハンドルベース1の金属同士の噛み合いがなく、相互にキズを付けることがない。かくしてハンドルレバー2を閉方向に回すと、止め金がボックス本体などの固定枠体側の受け部に係合される。これにより扉パネルDが閉められる。続いて、図5(1)に示すように、ハンドルレバー2をハンドルベース1上に倒伏すると、このハンドルレバー2により曲面板バネが押圧変形されてこの曲面板バネに生じる反力により、この倒伏位置にハンドルレバー2が保持される。これにより、扉パネルDを閉めた状態が保持される。そして、キーを錠前ユニット3のキー穴30に通し施錠方向に回転して、錠前ユニット3を施錠する。この錠前ユニット3の施錠により、ハンドルレバー2がロックされる。このロック状態がハンドルレバー2の下部先端側の開口20を通してインジケータiにより表示される。
【0019】
以上説明したように、この平面ハンドルHによれば、ハンドルベース1及びハンドルレバー2の上部基端側で相互に対向する部位のいずれか一方に、この実施の形態では、ハンドルレバー2の上部基端側でハンドルベース1に対向する部位に保護部材取付部4を設けてこの保護部材取付部4に弾性合成樹脂製の保護部材5を取り付けるものとし、保護部材5の表面を保護部材取付部4の周囲と一体的な外形とし、裏面に裏面の中心を対称中心として対称的に、先端を相互に反対方向に向けて全体として断面略L字形に突出する一対の係止爪51を設け、保護部材取付部4に保護部材5が嵌合可能に取付凹部40を形成するとともにこの取付凹部40の底部401に保護部材5の各係止爪51が弾性係合可能に断面略L字形に延びる一対の係合孔41を形成して、保護部材5を保護部材取付部4に一対の係止爪51と一対の係合孔41との弾性係合により取り付けるようにしたので、弾性合成樹脂製の保護部材5の取付位置を拡大して、この保護部材5の取付位置に保護部材5を容易にしかも低コストに取り付けることができる。
また、この平面ハンドルHでは、一対の係止爪51をそれぞれ先端を保護部材5の裏面において保護部材5の外周方向に向けて形成し、保護部材5の裏面で各係止爪51の間に直線状に溝52を形成して保護部材5を溝52の位置で略くの字形に折り曲げ変形可能に形成したことで、保護部材5の取り付けに当たり、保護部材5を溝52の位置で略くの字形に折り曲げ変形することにより、各係止爪51を各係合孔41に挿入しやすくして、保護部材5を保護部材取付部4にワンタッチでより簡易に取り付けることができる。またこの場合、この保護部材取付部4の取付凹部40の底部401に保護部材5裏面の溝52に嵌合可能に直線状の凸状部402を設けたので、保護部材5が保護部材取付部4に取り付けられると、保護部材5の溝52と保護部材取付部4の凸状部402との係合により、保護部材5が保護部材取付部4上でこれら凸状部402及び溝52に対して直交する方向の外力に抗して一対の係止爪51と一対の係合孔41との係合状態を保持し、一対の係止爪51とともに、保護部材5を保護部材取付部4により確実に固定することができる。
【0020】
なお、この実施の形態では、一対の係止爪51はそれぞれ先端が保護部材5の裏面において保護部材5の外周方向として、外向きに向けて、形成されるものとしたが、内向きに向けて(先端が相互に対向するように)、形成されるものとしてもよい。このようにしても上記実施の形態と同様の作用効果を奏することができる。
【0021】
また、この実施の形態では、ハンドルレバー2の上部基端側でハンドルベース1に対向する部位に保護部材取付部4を設けてこの保護部材取付部4に弾性合成樹脂製の保護部材5を取り付けるものとしたが、この平面ハンドルHでは、既述のとおり、ハンドルベース1及びハンドルレバー2の上部基端側で相互に対向する部位のいずれか一方に保護部材取付部4を設けてこの保護部材取付部4に弾性合成樹脂製の保護部材5を取り付けるので、ハンドルレバー2に代えてハンドルベース1の上部基端側でハンドルベース1に代えてハンドルレバー2に対向する部位に保護部材取付部4を設けて、この保護部材取付部4に弾性合成樹脂製の保護部材5を取り付けるようにしてもよい。
このようにする場合でも、保護部材5は、同様に、弾性、柔軟性、耐摩耗性、摺動性に優れた合成樹脂材からなり、保護部材取付部4に取り付け可能な大きさ、形状に形成される。保護部材5の表面は保護部材取付部4の周囲と一体的な外形に形成され、裏面に一対の係止爪51が裏面の中心を対称中心として対称的に、それぞれ先端が保護部材5の裏面において保護部材5の外周方向に向けられて全体として断面略L字形に突出形成される。上記実施の形態のハンドルベース1に適用した場合、保護部材5は、保護部材取付部4に取り付け可能に、縦に長い長方形に形成される。保護部材5の表面はハンドルベース1の正面の上部基端側(ハンドルベース1の正面上部基端側の略U字形の凸状部131の片側一方の側部(すなわち、ハンドルレバー2を起立回動させた場合にハンドルレバー2が接触する側の側部))と一体的な凸形状に形成され、裏面に一対の係止爪51が裏面の中心を対称中心として対称的に、それぞれ、断面略四角形(各係止爪51の突出方向に対して直角方向の断面形状が四角形)の形状で先端が保護部材5の裏面において保護部材5の短辺方向に向けられて、全体として断面略L字形に形成される。また、保護部材5の裏面には各係止爪51の間に、この場合、保護部材5の長手方向中央位置に、長手方向一方の縁部から他方の縁部まで直線状に溝52を形成されて保護部材5の長手方向中央位置が少し薄肉に形成され、保護部材5がこの溝52の位置で略くの字形に折り曲げ変形可能に形成される。そして、保護部材取付部4は、同様に、ハンドルベース1の背面上部基端側の略U字形の凸状部131の片側一方の側部(すなわち、ハンドルレバー2を起立回動させた場合にハンドルレバー2が接触する側の側部)に保護部材5が嵌合可能に取付凹部40が縦に長い長方形状に形成されるとともに、この取付凹部40の底部で保護部材5の各係止爪51に対応する位置にそれぞれ、一対の係合孔41が保護部材5の各係止爪51を弾性係合可能に、この場合、底部401の各対応位置に各係止爪51の断面形状(各係止爪51の突出方向に対して直角方向の断面形状)よりも僅かに大きい断面四角形の孔411が底部401の奥に向けて各係止爪51の長さ分だけ穿設され、この底部401の奥からハンドルベース1の上下方向に向けて各係止爪51の爪の突出長さよりも長い孔412が穿設されて、全体として保護部材取付部4の底部401の各対応位置から上下方向に断面略L字形に延出形成される。また、この場合、この保護部材取付部4の底部401で保護部材5の裏面の溝52に対応する位置、つまり保護部材取付部4の長手方向中央位置に、保護部材5の溝52に嵌合可能に、長手方向一方の縁部から他方の縁部まで直線状に凸状部402が形成されて、保護部材5が保護部材取付部4に取り付けられた際に、保護部材5の溝52に係合可能とする。
このようにしても上記実施の形態と同様の作用効果を奏することができる。
【0022】
さらに、この実施の形態では、平面ハンドルHのハンドルベース1及びハンドルレバー2の一例を示し、このハンドルレバー2又はハンドルベース1に保護部材取付部4を設け、保護部材5を取り付ける場合について説明したが、この発明はこのようなハンドルベースやハンドルレバーに限定されるものではなく、ハンドルベースやハンドルレバーの形状や構造は任意に変更可能であり、保護部材取付部4は取付凹部40の形状、大きさや深さ、一対の係合孔41の断面形状、大きさや長さなどが、保護部材5は外形、大きさや厚み、表面の形状、裏面の一対の係止爪51、溝52の形状、大きさなどが、ハンドルベースやハンドルレバーの形状や構造に応じて、適宜変更される。
【符号の説明】
【0023】
H 平面ハンドル
1 ハンドルベース
11 ベース本体
111 上部基端縁部
112 下部先端縁部
12 ハンドル取付部
120 穴
121 軸筒部
13 ハンドル収納部
131 略U字形の凸状部
13A ハンドル嵌合収納部
132 直線形の凸状部
13B ハンドル載置収納部
14 錠前ユニット収納部
2 ハンドルレバー
20 開口
21 レバー本体
211 上部基端縁部
212 下部先端縁部
213 側部
22 軸挿通部
221 凹部
23 グリップ部
231 突起
3 錠前ユニット
30 キー穴
i インジケータ
S シリンダー錠
4 保護部材取付部
40 取付凹部
401 底部
402 凸状部
41 係合孔
411 孔
412 孔
5 弾性合成樹脂製の保護部材
51 係止爪
52 溝
D 扉パネル
図1
図2
図3
図4
図5