(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-01-30
(45)【発行日】2023-02-07
(54)【発明の名称】筆記入力装置及び筆記入力システム
(51)【国際特許分類】
G06F 3/03 20060101AFI20230131BHJP
【FI】
G06F3/03 400Z
(21)【出願番号】P 2018229851
(22)【出願日】2018-12-07
【審査請求日】2021-09-22
(73)【特許権者】
【識別番号】000005049
【氏名又は名称】シャープ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100167302
【氏名又は名称】種村 一幸
(74)【代理人】
【識別番号】100135817
【氏名又は名称】華山 浩伸
(72)【発明者】
【氏名】田村 直紀
【審査官】塩屋 雅弘
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2017/0285774(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2016/0044422(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2012/0127088(US,A1)
【文献】国際公開第2008/078523(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2009/0295758(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 3/01
3/03-3/04895
G06V30/00-30/12
30/18-30/222
30/226-30/32
30/42-30/424
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
タッチパネルに対して筆記入力が可能な筆記入力装置であって、
前記筆記入力装置の先端部が被接触部に接触する際に生じる接触音を検出するマイクと、
前記マイクにより検出される前記接触音に基づいて、疑似音声を生成する音声生成部と、
前記音声生成部により生成される前記疑似音声を出力させる音声出力部と、
を備え
、
前記音声出力部は、前記マイクにより検出される前記接触音の音量が閾値以下の場合に前記疑似音声を出力し、前記マイクにより検出される前記接触音の音量が前記閾値を超える場合に前記疑似音声を出力しない、筆記入力装置。
【請求項2】
前記音声生成部は、前記マイクにより検出される前記接触音を音声加工することにより前記疑似音声を生成する、
請求項1に記載の筆記入力装置。
【請求項3】
サンプル音声データを記憶する記憶部をさらに備え、
前記音声生成部は、前記マイクにより検出される前記接触音と前記サンプル音声データに基づき前記疑似音声を生成する、
請求項1に記載の筆記入力装置。
【請求項4】
前記音声生成部は、前記サンプル音声データに対して前記接触音の特徴に応じた音声加工を行うことにより、前記疑似音声を生成する、
請求項3に記載の筆記入力装置。
【請求項5】
前記先端部に加わる筆圧を検出する筆圧検出部をさらに備え、
前記音声生成部は、前記筆圧検出部により検出される前記筆圧に応じて前記疑似音声を変化させる、
請求項1~4の何れか1項に記載の筆記入力装置。
【請求項6】
前記音声出力部は、前記筆圧検出部により検出される前記筆圧が第1閾値以上である場合に前記疑似音声を出力し、前記筆圧が前記第1閾値未満である場合に前記疑似音声を出力しない、
請求項5に記載の筆記入力装置。
【請求項7】
前記音声生成部は、前記筆圧検出部により検出される前記筆圧の変化量が第2閾値以上である場合に前記筆圧に基づいて前記疑似音声を生成し、前記筆圧検出部により検出される前記筆圧の変化量が前記第2閾値未満の場合に、前記マイクにより検出される前記接触音に基づいて前記疑似音声を生成する、
請求項5又は6に記載の筆記入力装置。
【請求項8】
前記音声生成部は、前記筆圧検出部により検出される前記筆圧と前記マイクにより検出される前記接触音とに基づいて前記疑似音声を生成する、
請求項5又は6に記載の筆記入力装置。
【請求項9】
前記筆記入力装置により前記タッチパネルに対して前記筆記入力を行った場合に、前記タッチパネルから前記筆記入力に応じた検出信号を取得する検出取得部をさらに備え、
前記音声出力部は、前記検出取得部により前記検出信号が取得された場合に前記疑似音声を出力し、前記検出取得部により前記検出信号が取得されない場合に前記疑似音声を出力しない、
請求項1~4の何れか1項に記載の筆記入力装置。
【請求項10】
音声を出力するスピーカーをさらに備え、
前記音声出力部は、前記音声生成部により生成される前記疑似音声を前記スピーカーから出力させる、
請求項1~
9の何れか1項に記載の筆記入力装置。
【請求項11】
タッチパネルと、当該タッチパネルに筆記入力が可能な筆記入力装置と、を含み、
前記筆記入力装置の先端部が被接触部に接触する際に生じる接触音を検出するマイクと、
前記マイクにより検出される前記接触音に基づいて、疑似音声を生成する音声生成部と、
前記音声生成部により生成される前記疑似音声を出力させる音声出力部と、
を備え
、
前記音声出力部は、前記マイクにより検出される前記接触音の音量が閾値以下の場合に前記疑似音声を出力し、前記マイクにより検出される前記接触音の音量が前記閾値を超える場合に前記疑似音声を出力しない、筆記入力システム。
【請求項12】
タッチパネルに対して筆記入力が可能な筆記入力装置であって、
前記筆記入力装置の先端部が被接触部に接触する際に生じる接触音を検出するマイクと、
前記マイクにより検出される前記接触音に基づいて、疑似音声を生成する音声生成部と、
前記音声生成部により生成される前記疑似音声を出力させる音声出力部と、
前記先端部に加わる筆圧を検出する筆圧検出部と、
を備え、
前記音声生成部は、前記筆圧検出部により検出される前記筆圧の変化量が閾値以上である場合に前記筆圧に基づいて前記疑似音声を生成し、前記筆圧検出部により検出される前記筆圧の変化量が前記閾値未満の場合に、前記マイクにより検出される前記接触音に基づいて前記疑似音声を生成する、筆記入力装置。
【請求項13】
タッチパネルと、当該タッチパネルに筆記入力が可能な筆記入力装置と、を含み、
前記筆記入力装置の先端部が被接触部に接触する際に生じる接触音を検出するマイクと、
前記マイクにより検出される前記接触音に基づいて、疑似音声を生成する音声生成部と、
前記音声生成部により生成される前記疑似音声を出力させる音声出力部と、
前記先端部に加わる筆圧を検出する筆圧検出部と、
を備え、
前記音声生成部は、前記筆圧検出部により検出される前記筆圧の変化量が閾値以上である場合に前記筆圧に基づいて前記疑似音声を生成し、前記筆圧検出部により検出される前記筆圧の変化量が前記閾値未満の場合に、前記マイクにより検出される前記接触音に基づいて前記疑似音声を生成する、筆記入力システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、タッチパネルに対して筆記入力が可能な筆記入力装置及び筆記入力システムに関する。
【背景技術】
【0002】
スタイラスペンなどの電子ペンによりタッチパネルなどの電子ボード(電子黒板、電子ホワイトボードなど)に筆記入力するシステムが知られている。電子ペンでタッチパネルに記入する方式は、チョークで黒板に記入する従来の方式に比べて、電子ペン及び入力面の材質がチョーク及び黒板の材質と異なるため、筆記する際にほとんど筆記音が発生しない。ここで、教育現場、会議などにおいて、筆記者による筆記音が参加者の集中力の向上に寄与することが知られている。従来、前記システムにおいて、チョークで黒板に筆記する際に生じるような筆記音の疑似音声を発生させる技術が提案されている。例えば特許文献1には、ペンの速度に基づいて前記擬似音声を発生させる技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、電子ペンなどの筆記入力装置が入力面などの被接触部に接触することにより生じる筆記音の再現性が高い疑似音声を出力させることが可能な筆記入力装置及び筆記入力システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一の態様に係る筆記入力装置は、タッチパネルに対して筆記入力が可能な筆記入力装置であって、前記筆記入力装置の先端部が被接触部に接触する際に生じる接触音を検出するマイクと、前記マイクにより検出される前記接触音に基づいて、疑似音声を生成する音声生成部と、前記音声生成部により生成される前記疑似音声を出力させる音声出力部と、を備える。
【0006】
本発明の他の態様に係る筆記入力システムは、タッチパネルと、当該タッチパネルに筆記入力が可能な筆記入力装置と、を含み、前記筆記入力装置の先端部が被接触部に接触する際に生じる接触音を検出するマイクと、前記マイクにより検出される前記接触音に基づいて、疑似音声を生成する音声生成部と、前記音声生成部により生成される前記疑似音声を出力させる音声出力部と、を備える。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、電子ペンなどの筆記入力装置が入力面などの被接触部に接触することにより生じる筆記音の再現性が高い疑似音声を出力させることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、本発明の実施形態に係る筆記入力システムの構成を示す外観図である。
【
図2】
図2は、本発明の実施形態に係る電子ボードの構成を示すブロック図である。
【
図3】
図3は、本発明の実施形態に係るタッチペンの構成を示すブロック図である。
【
図4】
図4は、本発明の実施形態に係るタッチペンの具体的な構成を示すブロック図である。
【
図5】
図5は、本発明の実施形態に係るタッチペンの記憶部に記憶される筆記モード情報の一例を示す図である。
【
図6】
図6は、本発明の実施形態に係るタッチペンの記憶部に記憶される音声データ情報の一例を示す図である。
【
図7】
図7は、本発明の実施形態に係るタッチペンの記憶部に記憶される判定用データの一例を示す図である。
【
図8】
図8は、本発明の実施形態に係るタッチペンの記憶部に記憶されるサンプル音声データの一例を示す図である。
【
図9】
図9は、本発明の実施形態に係る筆記入力システムで実行される音声出力処理の手順の一例を示すフローチャートである。
【
図10】
図10は、本発明の実施形態に係るタッチペンの他の構成を示すブロック図である。
【
図11】
図11は、本発明の実施形態に係るタッチペンの記憶部に記憶される判定用データの他の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、添付図面を参照しながら、本発明の実施形態について説明する。なお、以下の実施形態は、本発明を具体化した一例であって、本発明の技術的範囲を限定する性格を有さない。
【0010】
図1に示すように、本発明の実施形態に係る筆記入力システム100は、電子ボード1と、電子ボード1に対して手書き文字などを筆記入力が可能なタッチペン2とを備えている。電子ボード1は、後述する表示パネル13及びタッチパネル14を備え、タッチパネル14の入力面(タッチ面)にタッチペン2のペン先20(
図3参照)が接触することにより、接触位置を検出し、当該接触位置に基づいて表示パネル13の表示面に情報(手書き文字など)を描画する。筆記入力システム100は本発明の筆記入力システムの一例であり、タッチペン2は本発明の筆記入力装置の一例である。
【0011】
[電子ボード1]
本発明では、公知の構成を備える電子ボードを適用することができる。ここでは、一例として、電子ボード1の概略構成を説明し、詳細な説明は省略する。
【0012】
電子ボード1は、制御部11、記憶部12、表示パネル13、タッチパネル14、及び通信部15を備えている。
【0013】
表示パネル13は、画像を表示するディスプレイであり、例えば液晶ディスプレイである。
【0014】
タッチパネル14は、タッチパネル14に対するユーザのタッチペン2によるタッチ入力を受け付ける。タッチパネル14は、静電容量方式のタッチパネルであってもよいし、感圧式のタッチパネルであってもよい。すなわち、タッチパネル14は、タッチ等、ユーザのタッチ入力を受け付けることが可能な装置であればよい。タッチパネル14は、表示パネル13の前面に配置されてもよいし、表示パネル13に内蔵されてもよい。また、タッチパネル14及び表示パネル13は、互いに離れた場所に配置され、互いに通信可能に構成されてもよい。ここでは、タッチパネル14が表示パネル13の前面に配置され、タッチパネル14及び表示パネル13が一体に形成された一体型のタッチパネルディスプレイを例に挙げて説明する。
【0015】
通信部15は、電子ボード1を有線又は無線でネットワークに接続し、ネットワークを介してタッチペン2などの外部機器との間で所定の通信プロトコルに従ったデータ通信を実行するための通信インターフェースである。
【0016】
記憶部12は、各種の情報を記憶するHDD(Hard Disk Drive)又はSSD(Solid State Drive)などの不揮発性の記憶部である。記憶部12には、各種の制御プログラムが記憶されている。制御プログラムは、USB、CD又はDVD(何れも登録商標)などのコンピュータ読取可能な記録媒体に非一時的に記録されており、電子ボード1に電気的に接続されるUSBドライブ、CDドライブ又はDVDドライブなどの読取装置(不図示)で読み取られて記憶部12に記憶される。前記制御プログラムは、ネットワークを介して外部機器からダウンロードされて記憶部12に記憶されてもよい。
【0017】
制御部11は、CPU、ROM、及びRAMなどの制御機器を有する。前記CPUは、各種の演算処理を実行するプロセッサーである。前記ROMは、前記CPUに各種の演算処理を実行させるためのBIOS及びOSなどの制御プログラムが予め記憶される不揮発性の記憶部である。前記RAMは、各種の情報を記憶する揮発性又は不揮発性の記憶部であり、前記CPUが実行する各種の処理の一時記憶メモリー(作業領域)として使用される。そして、制御部11は、前記ROM又は記憶部12に予め記憶された各種の制御プログラムを前記CPUで実行することにより電子ボード1を制御する。
【0018】
具体的に、制御部11は、
図2に示すように、入力検出部111及び描画処理部112などの各種の処理部を含む。なお、制御部11は、前記CPUで前記制御プログラムに従った各種の処理を実行することによって前記各種の処理部として機能する。また、制御部11に含まれる一部又は全部の処理部が電子回路で構成されていてもよい。なお、前記制御プログラムは、複数のプロセッサーを前記各種の処理部として機能させるためのプログラムであってもよい。
【0019】
入力検出部111は、タッチパネル14に対する前記タッチ入力を検出する。具体的には、入力検出部111は、被接触部(例えばタッチパネル14の入力面)においてタッチペン2によって入力(指定)された位置座標を検出する。例えば、入力検出部111は、タッチペン2と前記入力面との間の静電容量の変化を検出することにより前記位置座標を検出する。前記位置座標を検出する方式は、静電容量方式に限定されず、公知の種々の方式を適用することができる。
【0020】
描画処理部112は、入力検出部111により検出される前記タッチ入力に応じた情報を表示パネル13に描画する。例えば、描画処理部112は、入力検出部111により検出される前記タッチ入力の位置情報に基づいて、前記タッチ入力に応じた手書き文字を表示パネル13の所定の位置に描画する。
【0021】
[タッチペン2]
タッチペン2は、ユーザが電子ボード1に対してタッチ入力するための電子ペン(スタイラスペンともいう。)である。例えば、ユーザは、タッチペン2により、タッチパネル14の入力面(被接触部)に対してタッチ入力を行う。
【0022】
図3は、タッチペン2の概略構成を模式的に示すブロック図であり、
図4は、タッチペン2の具体的な構成を示すブロック図である。タッチペン2は、制御部21、記憶部22、マイク23、スピーカー24、通信部25、モードスイッチ26、及び音声スイッチ27を備えている。マイク23は、タッチペン2の一端であるペン先20の近傍に設けられ、スピーカー24は、タッチペン2の他端に設けられる。
【0023】
マイク23は、タッチペン2のペン先20がタッチパネル14の入力面などの被接触部に接触する際に生じる接触音を検出する。なお、本願でいう「音」とは、媒質を伝わる振動を意味するものであって、空気中を伝わる空気の振動である狭義の「音」以外に、タッチペン2を伝わる物体の振動が含まれる。前記被接触部は、タッチパネル14の入力面に限定されず、机などであってもよい。タッチパネル14の入力面及び机は、本発明の被接触部の一例である。またペン先20は、本発明の筆記入力装置の先端部の一例である。マイク23は、前記接触音を検出すると検出信号を制御部21に出力する。
【0024】
スピーカー24は、制御部21の命令に従って所定の音声を出力する。スピーカー24は、本発明のスピーカーの一例である。例えば、スピーカー24は、筆記を開始する際にペン先20がタッチパネル14の入力面に接触することにより生じる打撃音(ファーストタッチ音)の疑似音声、筆記中にペン先20が前記入力面を擦る(移動する)ことにより生じる摩擦音の疑似音声などを外部に報知する。前記ファーストタッチ音は、ペン先20が前記入力面を叩く音である。前記摩擦音は、ペン先20と前記入力面との接触開始後にペン先20が前記入力面に接触した状態で移動する際に生じる音である。
【0025】
なお、スピーカー24は、タッチペン2の外部に設けられてもよい。例えば、スピーカー24は、電子ボード1に設けられてもよいし、タッチペン2及び電子ボード1の外部の機器に設けられてもよい。例えば、スピーカー24は、筆記入力システム100が導入される会議室に設置されたスピーカーであってもよい。
【0026】
通信部25は、タッチペン2を有線又は無線でネットワークに接続し、ネットワークを介して電子ボード1などの外部機器との間で所定の通信プロトコルに従ったデータ通信を実行するための通信インターフェースである。
【0027】
モードスイッチ26は、前記疑似音声の種類(音質、音色など)に応じた筆記モードを切り替えるためのスイッチである。前記筆記モードには、例えば、黒板にチョークで筆記する際に生じる音に対応する黒板筆記モードM1と、紙に鉛筆で筆記する際に生じる音に対応する鉛筆筆記モードM2と、紙にボールペンで筆記する際に生じる音に対応するボールペン筆記モードM3とが含まれる。ユーザがモードスイッチ26を押下する度に、前記筆記モードが黒板筆記モードM1、鉛筆筆記モードM2、及びボールペン筆記モードM3に順に切り替われる。
【0028】
音声スイッチ27は、前記疑似音声を出力させる音声モードと、前記疑似音声を出力させない非音声モードとを切り替えるためのスイッチである。音声スイッチ27をON状態にすると、前記音声モードに切り替わり、音声スイッチ27をOFF状態にすると、前記非音声モードに切り替わる。ユーザは、前記疑似音声を出力させたい場合に、音声スイッチ27をON状態にして前記音声モードに設定する。
【0029】
記憶部22は、各種の情報を記憶する半導体メモリ、HDD(Hard Disk Drive)又はSSD(Solid State Drive)などを含む不揮発性の記憶部である。例えば、記憶部22には、制御部21に後述の音声出力処理(
図9参照)を実行させるための音声出力プログラムなどの制御プログラムが記憶されている。例えば、前記音声出力プログラムは、USB、CD又はDVD(何れも登録商標)などのコンピュータ読取可能な記録媒体に非一時的に記録されており、タッチペン2に電気的に接続されるUSBドライブ、CDドライブ又はDVDドライブなどの読取装置(不図示)で読み取られて記憶部22に記憶される。前記音声出力プログラムは、ネットワークを介して外部機器からダウンロードされて記憶部22に記憶されてもよい。
【0030】
また、記憶部22には、筆記モード情報221、音声データ情報222、判定用データ223、及びサンプル音声データ224が含まれる。
【0031】
図5は、筆記モード情報221の一例を示す図である。筆記モード情報221には、前記筆記モードM1,M2,M3などの情報が登録される。筆記モード情報221には、予め1又は複数の筆記モードの情報が登録されている。なお、タッチペン2は、タッチペン2のユーザが適宜、前記筆記モードを追加したり削除したりすることが可能な構成であってもよい。
【0032】
図6は、音声データ情報222の一例を示す図である。音声データ情報222には、筆記モードの情報と、判定用データの情報と、サンプル音声データの情報と、音声加工情報(例えば後述する「音量係数」)とが互いに関連付けられて登録されている。前記筆記モードは、
図5に示す筆記モード情報221に登録される前記筆記モードである。
【0033】
第1の例としては、前記判定用データは、マイク23により検出される接触音の種類を特定するための照合用の波形データ(音声波形データ)である。前記判定用データは、
図7に示す判定用データ223に記憶されている。例えば、判定用データ223には、音量が大きいファーストタッチ音の判定用データDF11の音声波形データと、音量が小さいファーストタッチ音の判定用データDF12の音声波形データと、音量が大きい摩擦音の判定用データDR11の音声波形データと、音量が小さい摩擦音の判定用データDR12の音声波形データとが登録されている。音声データ情報222(
図6参照)には、
図7に示す判定用データ223に登録される判定用データ(音声波形データ)の識別情報が登録される。この判定方法は、音声波形の歪みなどの形状的特徴を判定に用いることができるので、波形の形状的特徴を応じて異なる疑似音声を生成するような場合に適している。
【0034】
第2の例としては、前記判定用データは、マイク23により検出される接触音の種類を音声の特徴量により特定するための判定条件である。ここでいう判定条件とは、例えば、音声の特徴量の閾値、および上記の閾値を用いて判定を行うための情報である。例えば音声の特徴量として音量を用いる場合、前記判定用データには、判定を行うための音量閾値の情報と、当該閾値による判定の条件の情報とを含んでいる。なお、この判定方法は、音声波形の形状的特徴を判定に用いることができないが、前述の音声波形データの波形照合による判定方法よりも、判定に必要なデータ量や演算処理を軽減することができる。
【0035】
また、前述の第1の例及び第2の例の共通の特徴として、音声データ情報222において、前記判定用データには、音声加工情報関連付けられている。前記音声加工情報は、前記判定用データの音量に応じて予め設定される。例えば音量が大きいファーストタッチ音の判定用データDF11には、値が大きい音声加工情報が関連付けられ、音量が小さいファーストタッチ音の判定用データDF12には、値が小さい音声加工情報が関連付けられる。
【0036】
前記サンプル音声データは、前記疑似音声を生成するための基準となる波形データ(音声波形データ)である。前記サンプル音声データは、
図8に示すサンプル音声データ224に記憶されている。例えば、サンプル音声データ224には、ファーストタッチ音のサンプル音声データ(以下、「第1サンプル音声データSF1」という。)の音声波形データと、摩擦音のサンプル音声データ(以下、「第2サンプル音声データSR1」という。)の音声波形データとが登録されている。音声データ情報222(
図6参照)には、
図8に示すサンプル音声データ224に登録されるサンプル音声データ(音声波形データ)の識別情報が登録される。
【0037】
記憶部22の筆記モード情報221、音声データ情報222、判定用データ223、及びサンプル音声データ224の少なくとも何れか1つは、タッチペン2の外部に設置されたデータサーバ(図示せず)に記憶されてもよい。前記データサーバは、1つの物理サーバで構成されてもよいし、複数の物理サーバで構築されたクラウドサーバで構成されてもよい。
【0038】
制御部21は、CPU、ROM、及びRAMなどの制御機器を有する。前記CPUは、各種の演算処理を実行するプロセッサーである。前記ROMは、前記CPUに各種の演算処理を実行させるためのBIOS及びOSなどの制御プログラムが予め記憶された不揮発性の記憶部である。前記RAMは、各種の情報を記憶する揮発性又は不揮発性の記憶部であり、前記CPUが実行する各種の処理の一時記憶メモリー(作業領域)として使用される。そして、制御部21は、前記ROM又は記憶部22に予め記憶された各種の制御プログラムを前記CPUで実行することによりタッチペン2を制御する。
【0039】
具体的に、制御部21は、
図4に示すように、接触音取得部211、音声生成部212、及び音声出力部213などの各種の処理部を含む。なお、制御部21は、前記CPUで前記音声出力プログラムに従った各種の処理を実行することによって前記各種の処理部として機能する。また、制御部21に含まれる一部又は全部の処理部が電子回路で構成されていてもよい。なお、前記音声出力プログラムは、複数のプロセッサーを前記各種の処理部として機能させるためのプログラムであってもよい。
【0040】
接触音取得部211は、タッチペン2のペン先20が被接触部に接触する際に生じる接触音をマイク23から取得(検出)する。具体的には、接触音取得部211は、ペン先20がタッチパネル14の入力面に接触した場合にマイク23から取得する検出信号に基づいて前記接触音を取得する。例えば、接触音取得部211は、筆記を開始する際にペン先20がタッチパネル14の入力面に接触するとき(接触開始時:ファーストタッチ)の接触音(以下「第1接触音」という。)と、筆記中にペン先20が前記入力面を擦るとき(接触開始後)の接触音(以下「第2接触音」という。)とを取得する。
【0041】
音声生成部212は、マイク23により検出される前記接触音に基づいて、前記疑似音声を生成する。音声生成部212は、前記第1接触音に基づき前記ファーストタッチ音の疑似音声(以下、「第1疑似音声」という。)を生成し、前記第2接触音に基づき前記摩擦音の疑似音声(以下、「第2疑似音声」という。)を生成する。音声生成部212は、本発明の音声生成部の一例である。
【0042】
また音声生成部212は、マイク23により検出される前記接触音と前記サンプル音声データとに基づいて前記疑似音声を生成する。例えば、音声生成部212は、前記サンプル音声データに対して前記接触音の特徴に応じた音声加工を行うことにより、前記疑似音声を生成する。例えば音声生成部212は、サンプル音声データ224(
図8参照)に記憶された前記第1サンプル音声データSF1に対して、前記第1接触音の特徴に応じた音声加工を行うことにより、前記第1疑似音声を生成する。また音声生成部212は、サンプル音声データ224に記憶された前記第2サンプル音声データSR1に対して、前記第2接触音の特徴に応じた音声加工を行うことにより、前記第2疑似音声を生成する。前記接触音の特徴とは、例えば接触音の波形の特徴、音量の特徴などである。
【0043】
具体的には、音声生成部212は、先ず、マイク23の検出値(波形データ)を判定用データ223に登録された音声波形データ(
図7参照)と波形照合又は音声の特徴量を判定条件により判定する。なお、判定用データには、音声波形データ(
図7参照)又は判定条件と、それに対応する基準のサンプル音声データの音声波形データ(
図8参照)と、音声加工情報とが互いに関連付けられて記憶されている(
図6、
図7及び
図8参照)。音声生成部212は、前記判定により、サンプル音声データ及び音声加工情報を決定する。
【0044】
次に、音声生成部212は、決定した前記サンプル音声データに前記音声加工情報に応じた音声加工を施して前記疑似音声(第1疑似音声、第2疑似音声)を生成する。音声加工情報とは、各種の上記音声加工を行うための情報であり、具体的には、音量の倍率を定めた係数である音量係数、音声周波数の変更倍率を定めた係数である周波数変更係数、あるいはその他の音声加工を行うための各種の音声加工フィルタ(例えば、音声波形変更フィルタやバンドパスフィルタなど)が含まれる。前記音声加工は、例えば前記音量係数に基づいて前記サンプル音声データを増幅する処理(音量調整処理)、前記周波数変調係に基づいて前記サンプル音声データの音声周波数を変更する処理(周波数変更処理)、前記音声波形変更フィルタを用いて前記サンプル音声データの音声波形を方形波、正弦波のような特定の波形に近づけるように変化させる処理(音声波形変更処理)、前記サンプル音声データを前記バンドパスフィルタであるローパスフィルタ、ハイパスフィルタなどにより特定周波数の音声を強調する処理(バンドパスフィルタ処理)などを含む。ここでは一例として、音声生成部212は、前記サンプル音声データに前記音量係数に応じた音量調整処理を施して前記疑似音声を生成する。
【0045】
音声生成部212による音声生成方法は、上記の方法に限定されない。他の方法として、例えば、音声生成部212は、接触音取得部211により取得される前記接触音を音声加工することにより、前記疑似音声を生成してもよい。具体的には、音声生成部212は、前記サンプル音声データを利用せず、前記マイクにより検出される前記接触音を音声加工することにより前記疑似音声を生成する。例えば、音声生成部212は、前記マイクにより検出される前記接触音を、前記音量係数に基づいて増幅することにより前記疑似音声を生成する。
【0046】
また前記サンプル音声データを利用する場合の音声生成方法の他の方法として、例えば、音声生成部212は、前記サンプル音声データに前記音声加工を施さず、当該サンプル音声データをそのまま前記擬似音声としてもよい。
【0047】
音声出力部213は、音声生成部212により生成された前記疑似音声(第1疑似音声、第2疑似音声)をスピーカー24から出力させる。音声出力部213は、本発明の音声出力部の一例である。
【0048】
[音声出力処理]
図9を参照しつつ、筆記入力システム100によって実行される音声出力処理の一例について説明する。例えば、前記音声出力処理は、タッチペン2の制御部21によって実行される。なお、ここでは、前記筆記モードが黒板筆記モードM1に設定されたものとする。
【0049】
なお、本発明は、前記音声出力処理に含まれる一又は複数のステップを実行する音声出力方法の発明として捉えることができ、ここで説明する当該音声出力処理に含まれる一又は複数のステップが適宜省略されてもよい。なお、前記音声出力処理における各ステップは同様の作用効果を生じる範囲で実行順序が異なってもよい。さらに、ここでは制御部21によって前記音声出力処理における各ステップが実行される場合を例に挙げて説明するが、複数のプロセッサーによって当該音声出力処理における各ステップが分散して実行される音声出力方法も他の実施形態として考えられる。
【0050】
先ずステップS11において、制御部21は、タッチペン2のペン先20が被接触部(タッチパネル14の入力面)に接触することにより生じる接触音を検出(取得)したか否か判定する。制御部21が前記接触音を検出すると(S11:YES)、処理はステップS12に移行する。
【0051】
ステップS12において、制御部21は、検出した前記接触音の波形データを判定用データ223に登録された音声波形データ(
図7参照)と波形照合又は音声の特徴量を判定条件により判定する。
【0052】
次にステップS13において、制御部21は、前記波形照合した結果、又は、音声の特徴量を判定条件により判定した結果、合致した判定用データに関連付けられた前記サンプル音声データ及び前記音声加工情報を決定する(
図6参照)。
【0053】
次にステップS14において、制御部21は、決定した前記サンプル音声データに前記音声加工情報に応じた音声加工を施して疑似音声を生成する。
【0054】
最後にステップS15において、制御部21は、生成した前記疑似音声(第1疑似音声、第2疑似音声)をスピーカー24から出力させる。以上の手順で前記音声出力処理が実行される。
【0055】
以上説明したように、本実施形態に係る筆記入力システム100は、タッチペン2のペン先20が被接触部(例えばタッチパネル14の入力面)に接触することにより検出される接触音に基づいて疑似音声を生成し、生成した前記疑似音声を出力させる構成を備える。このため、タッチペン2の速度、傾き、筆圧、筆記開始時、筆記中などの様々な条件に応じた筆記音の疑似音声を出力することができる。よって、前記筆記音の再現性が高い疑似音声を出力させることが可能となる。また、ファーストタッチにより発生する音(ファーストタッチ音)と、ファーストタッチに続く筆記中の音(摩擦音)とを適切に再現することができる。
【0056】
本発明は上述の実施形態に限定されない。本発明の他の実施形態に対応する変形例について以下に説明する。
【0057】
[変形例1]
前述した実施形態(実施形態1)では、音声生成部212がサンプル音声データに対して接触音の特徴に応じた音声加工を行うことにより、疑似音声を生成する実施形態について説明した。これに対して、変形例1では、音声生成部212は、マイク23により検出される前記接触音を音声加工することにより前記疑似音声を生成する。
【0058】
変形例1と実施形態1との違いは、実施形態1ではサンプル音声データを音声加工することにより疑似音声を生成するのに対して、変形例1では接触音自体を音声加工することにより疑似音声を生成する点である。なお、音声加工の方法など、それ以外の特徴は実施形態1と共通である。
【0059】
変形例1は、前記接触音の音声波形を、出力すべき筆記音の音声波形に近付くように音声加工した上で、疑似音声として出力する。したがって、変形例1は、前記接触音の音声波形が音声加工により似せることができる程度に出力すべき筆記音の音声波形と類似している場合は有効である。一方で、前記接触音の音声波形と出力すべき筆記音の音声波形が全く異なる場合は、実施形態1において出力すべき筆記音の音声波形に類似する音声をサンプル音声データとして用い、当該サンプル音声データを音声加工することにより疑似音声を生成することが有効である。
【0060】
[変形例2]
上述した実施形態では、ユーザが音声スイッチ27をON状態にした場合には、ユーザがタッチペン2によりタッチパネル14の入力面に筆記していない場合であっても前記疑似音声が出力される場合がある。例えば、ユーザがタッチペン2によりタッチパネル14の入力面に筆記していない場合において、タッチペン2のマイク23がファーストタッチ音又は摩擦音に類似した音を検出した場合には、検出した音に応じた前記疑似音声が出力される。この場合の前記疑似音声は、ユーザが意図したものとは言えない。
【0061】
そこで、変形例2に係る筆記入力システム100は、ユーザがタッチペン2によりタッチパネル14の入力面に筆記していることを条件に前記疑似音声を出力する構成を備える。
図10は、変形例2に係るタッチペン2の構成を示すブロック図である。
図10に示すように、変形例2に係るタッチペン2は、上述の実施形態に係るタッチペン2(
図4参照)に、さらに感圧センサ28と筆圧検出部214とを備えている。
【0062】
感圧センサ28は、タッチペン2のペン先20がタッチパネル14の入力面などの被接触部に接触した場合に、ペン先20に加わる筆圧を検知する。感圧センサ28には、例えば圧電素子を用いた公知の圧力センサを適用することができる。感圧センサ28は、筆圧を検知すると検知信号を制御部21に出力する。
【0063】
筆圧検出部214は、タッチペン2のペン先20が被接触部に接触することによる筆圧を検出する。筆圧検出部214は、本発明の筆圧検出部の一例である。具体的には、筆圧検出部214は、ペン先20がタッチパネル14の入力面に接触した場合に感圧センサ28から取得する前記検知信号に基づいて前記筆圧を検出する。
【0064】
音声出力部213は、筆圧検出部214により検出される前記筆圧が閾値(本発明の第1閾値に対応)以上である場合に前記疑似音声を出力し、前記筆圧が前記閾値未満である場合には前記疑似音声を出力しない。これにより、ユーザがタッチペン2によりタッチパネル14の入力面にタッチ入力している場合に前記疑似音声を出力させ、ユーザがタッチペン2によりタッチパネル14の入力面にタッチ入力していない場合には前記疑似音声を出力させない構成を実現することができる。
【0065】
変形例2に係る筆記入力システム100は以下の構成であってもよい。
【0066】
例えば、電子ボード1の制御部11(入力検出部111)がタッチペン2によって入力(指定)された位置座標を検出した場合に検出信号をタッチペン2に通知する。タッチペン2の制御部21(本発明の検出取得部に対応)は、電子ボード1からタッチ入力に応じた検出信号を取得する。制御部21(音声出力部213)は、電子ボード1から前記検出信号を取得した場合に前記疑似音声を出力し、電子ボード1から前記検出信号を取得しない場合には前記疑似音声を出力しない。
【0067】
また他の構成として、タッチペン2は加速度センサ(図示せず)を備え、加速度センサの検出結果に基づいてタッチペン2が使用状態(移動状態)であるか未使用状態(静止情報)であるかを判定する。そして、制御部21(音声出力部213)は、タッチペン2が使用状態である場合に前記疑似音声を出力し、タッチペン2が未使用状態である場合には前記疑似音声を出力しない。変形例2に係る各構成によれば、ユーザが意図しない前記疑似音声の出力を防ぐことができる。
【0068】
[変形例3]
筆記入力システム100は、前記接触音の種類に応じて異なる方法により前記疑似音声を生成してもよい。具体的には、音声生成部212は、筆圧検出部214(
図10参照)により検出される前記筆圧の変化量が閾値(本発明の第2閾値に対応)以上である場合には前記筆圧に基づいて前記ファーストタッチ音の前記疑似音声(第1疑似音声)を生成し、筆圧検出部214により検出される前記筆圧の変化量が前記閾値未満の場合には、マイク23により検出される前記接触音に基づいて前記摩擦音の前記疑似音声(第2疑似音声)を生成する。このように、音声生成部212は、筆圧検出部214により検出される前記筆圧に応じて前記疑似音声を変化させてもよい。
【0069】
通常、筆記開始時にタッチペン2のペン先20が前記入力面に接触することにより生じる打撃音(ファーストタッチ音)は筆圧の変化量が大きく、筆記中にペン先20が前記入力面に擦れることにより生じる摩擦音は筆圧の変化量が小さい。そこで、筆圧検出部214により検出される前記筆圧の変化量が前記閾値以上となる場合は、音声生成部212は、筆圧の変化量に基づいて、前記ファーストタッチ音の疑似音声を生成する。この場合、記憶部22において、感圧センサ28の出力値(波形データ)と波形照合するための筆圧波形データが判定用データ225(
図11参照)に記憶されてもよい。音声生成部212は、筆圧検出部214により検出される前記筆圧の変化量が前記閾値以上である場合は、感圧センサ28の出力値又は微分値を用いて前記波形照合を行って、サンプル音声データ及び音声加工情報を決定する。一方、音声生成部212は、筆圧検出部214により検出される前記筆圧の変化量が前記閾値未満である場合は、マイク23により検出される前記接触音を用いて前記波形照合を行って、サンプル音声データ及び音声加工情報を決定する。
【0070】
音声出力部213は、音声生成部212により生成された前記疑似音声(第1疑似音声、第2疑似音声)をスピーカー24から出力させる。すなわち、音声出力部213は、筆圧検出部214により検出される前記筆圧の変化量が前記閾値以上である場合に前記筆圧に基づいて生成された前記ファーストタッチ音の前記疑似音声をスピーカー24から出力させ、筆圧検出部214により検出される前記筆圧の変化量が前記閾値未満の場合に、マイク23により検出される前記接触音に基づいて生成された前記摩擦音の前記疑似音声をスピーカー24から出力させる。
【0071】
このように、音声生成部212は、筆圧検出部214により検出される前記筆圧とマイク23により検出される前記接触音とに基づいて前記疑似音声を生成する。上記の構成によれば、ファーストタッチのタッチ入力を敏感に検出することができるため、精度よくファーストタッチを検出することができる。すなわち、マイク23の音声波形データのみを用いて前記擬似音声を生成する場合と比べて、感圧センサ28を用いてファーストタッチ音及び摩擦音を精度よく判定した上で、それぞれの種類に応じた擬似音声を出力することができる。また、感圧センサ28により検出される筆圧の筆圧波形データによる波形照合は、マイク23により検出される音声波形データによる波形照合と比べて、短時間で行うことができるため、ファーストタッチの瞬間に発生する音に対応する疑似音声を遅延無く出力させることができる。このように、筆記入力システム100は、マイク23により検出される音声波形データと、感圧センサ28により検出される筆圧波形データとを用いて、前記疑似音声を生成及び出力することが有効である。
【0072】
[変形例4]
通常、タッチペン2が前記入力面に接触した場合に生じる前記接触音が大きい場合には、前記接触音を直接聞き取ることができる。その上、このような場合に前記疑似音声を出力させた場合、前記接触音と前記疑似音声とが二重に聞き取られることになってしまうため、ユーザが違和感を覚える。このため、前記疑似音声を出力させる必要性が低い。一方、タッチペン2が前記入力面に接触した場合に生じる前記接触音が小さい場合には、前記接触音を直接聞き取り難くなるため、前記疑似音声を出力させる必要性が高い。そこで、変形例4に係る筆記入力システム100では、音声出力部213は、マイク23により検出される前記接触音の音量が閾値以下の場合に前記疑似音声を出力し、マイク23により検出される前記接触音の音量が閾値を超える場合に前記疑似音声を出力しない構成とすることが好ましい。これにより、前記接触音の音量に応じて違和感のない疑似音声を出力することができる。
【0073】
上述した各形態に係る筆記入力システム100では、タッチペン2の制御部21の各処理部(接触音取得部211、音声生成部212、及び音声出力部213)と、記憶部22に記憶される各情報(筆記モード情報221、音声データ情報222、判定用データ223、及びサンプル音声データ224)とが、電子ボード1に含まれてもよい。またマイク23及びスピーカー24が、電子ボード1に含まれてもよい。例えば、電子ボード1は、左右2箇所にスピーカー24を備え、タッチペン2によりタッチ入力された位置(位置座標)に近い方のスピーカー24から前記疑似音声を出力させる構成であってもよい。
【符号の説明】
【0074】
1 :電子ボード
2 :タッチペン
11 :制御部
12 :記憶部
13 :表示パネル
14 :タッチパネル
20 :ペン先
21 :制御部
22 :記憶部
23 :マイク
24 :スピーカー
26 :モードスイッチ
27 :音声スイッチ
28 :感圧センサ
100 :筆記入力システム
111 :入力検出部
112 :描画処理部
211 :接触音取得部
212 :音声生成部
213 :音声出力部
214 :筆圧検出部
221 :筆記モード情報
222 :音声データ情報
223 :判定用データ
224 :サンプル音声データ
225 :判定用データ