(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-01-30
(45)【発行日】2023-02-07
(54)【発明の名称】機械式駐車装置
(51)【国際特許分類】
E04H 6/28 20060101AFI20230131BHJP
【FI】
E04H6/28 A
(21)【出願番号】P 2019203849
(22)【出願日】2019-11-11
【審査請求日】2021-11-22
(73)【特許権者】
【識別番号】000227043
【氏名又は名称】日精株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100208672
【氏名又は名称】中島 愼一
(72)【発明者】
【氏名】秋葉 竜也
(72)【発明者】
【氏名】森 貴博
【審査官】齋藤 卓司
(56)【参考文献】
【文献】特開2001-207671(JP,A)
【文献】特開2001-349085(JP,A)
【文献】特開平03-217565(JP,A)
【文献】実開平05-077466(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04H 6/28
E04H 6/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
駐車車両を搭載するトレーと、躯体の上部に
旋回可能に配置されるターンテーブル
と、前記躯体と各リフト柱との対向部で結合関係を
有しないリフト装置
と、
前記トレーを前記ターンテーブルと前記リフト装置側との間で受け渡し可能とす
る前記躯体
に形成されるリフト開口および
前記リフト開口の位置に対応させる位置でターンテーブルに形成されるターンテーブル開口
と、を有する機械式駐車装置において、
前記ターンテーブルと前記リフト装置との間で
前記トレーを受け渡しする押上装置
を備え、
前記押上装置は、前記ターンテーブルの下方に位置する前記躯体であって、前記リフト開口における前記トレーの長手方向に沿う縁部に対向して一対設けられる支持部と、前記支持部に対して可回転的に配置
される回転軸と、前記回転軸
の中央部が分断されてそれぞれ回転
可能に連結されるモータと、前記回転軸に一端部を結合すると共に他端の自由端側を前記リフト開口
に向けて上下動させるスイング式の押上アーム
と、前記押上アームの自由端に前記押上アームの旋回方向と同じ方向に回転可能に設けられるローラと、を含んで構成され、
前記押上アームが前記トレーの下面を支持して上昇し、前記トレーが前記ターンテーブルに引き渡される位置に保持されると、前記トレーは前記ターンテーブルに預けられ、前記押上アームは前記トレーの下面から下降して、前記リフト装置の昇降動作と干渉しない位置に待機する構成とされる、
機械式駐車装置。
【請求項2】
駐車車両を搭載するトレーと、躯体の上部に旋回可能に配置されるターンテーブルと、前記躯体と各リフト柱との対向部で結合関係を有しないリフト装置と、前記トレーを前記ターンテーブルと前記リフト装置側との間で受け渡し可能とする前記躯体に形成されるリフト開口および前記リフト開口の位置に対応させる位置でターンテーブルに形成されるターンテーブル開口と、を有する機械式駐車装置において、
前記ターンテーブルと前記リフト装置との間で前記トレーを受け渡しする押上装置を備え、
前記押上装置は、前記ターンテーブルの下方に位置する複数のリフト柱であって、前記リフト柱における前記トレーの長手方向に沿う方向に設置される2本のリフト柱の上部に設置され、前記リフト開口の縁部に対応して対向して一対設けられる押上装置架台と、前記押上装置架台の上に設置される支持部と、前記支持部に対して可回転的に配置される回転軸と、前記回転軸の中央部が分断されてそれぞれ回転可能に連結されるモータと、前記回転軸に一端部を結合すると共に他端の自由端側を前記リフト開口に向けて上下動させるスイング式の押上アームと、前記押上アームの自由端に前記押上アームの旋回方向と同じ方向に回転可能に設けられるローラと、を含んで構成され、
前記押上アームが前記トレーの下面を支持して上昇し、前記トレーが前記ターンテーブルに引き渡される位置に保持されると、前記トレーは前記ターンテーブルに預けられ、前記押上アームは前記トレーの下面から下降して、前記リフト装置の昇降動作と干渉しない位置に待機する構成とされる、
機械式駐車装置。
【請求項3】
前記押上装置の前記各押上アームの自由端側を、前記ターンテーブル上に前記トレーを保持するトレー上停止位置と、前記トレーを前記リフト装置側に引き渡すトレー下停止位置と、前記回転軸のほぼ真下に位置させて前記各押上アームをほぼ垂直状態にする待機位置を採る構成としたことを特徴とする請求項1
又は2に記載の機械式駐車装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ターンテーブル装置を備えた機械式駐車装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のターンテーブル装置を備えた機械式駐車装置として、特開2001-349085号公報(特許文献1)に記載のように、免震部材の上側建屋構造体の床に開口を有する自動車乗り込み部を有し、下側建屋構造体にリフト装置を配設し、前記開口とその下方に通じる昇降路間で自動車を載置するパレットを乗せたリフトが昇降するように構成した駐車装置において、前記リフト装置を下側建屋構造体で固定し、かつ前記開口レベルより下がった所定レベルまで昇降するようにし、前記開口の両側下部の上側建屋構造体に設けられ、先端をパレット下面に入れ、回転することにより、パレットを前記開口レベルと所定レベル間で昇降させる回転アームを設けることを 特徴とする免震装置を備えた建物の機械式駐車装置が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の機械式駐車装置は、先端をパレット下面に入れて回転することにより、パレットを前記開口レベルと所定レベル間で昇降させる回転アームを設け、この回転アームは十字状の構成であったため、回転アームの構成は複雑で大型化し、簡単に所定の位置に配置することができなかった。
【0005】
本発明の目的は、簡単な構成でターンテーブルの下部に容易に配置することができるようにした受け渡しのための押上装置を備えた機械式駐車装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1態様に係る機械式駐車装置は、躯体の上部にターンテーブルを旋回可能に配置し、前記躯体と各リフト柱との対向部で結合関係を持たないでリフト装置を構成し、駐車車両を搭載することになるトレーを前記ターンテーブルと前記リフト装置側との間で受け渡し可能とするために前記ターンテーブルおよび前記躯体にリフト開口およびターンテーブル開口をそれぞれ形成し、前記ターンテーブルと前記リフト装置側との間で受け渡しする押上装置を備えたターンテーブル装置において、前記リフト装置の昇降台の近傍で前記昇降台に対する相対的固定部に、前記トレーを受け渡しする前記押上装置を設け、前記押上装置は、前記相対的固定部に取り付けた支持部と、前記支持部に対して可回転的に配置した回転軸と、前記回転軸を回転するモータと、前記回転軸に一端部を結合すると共に他端の自由端側を前記リフト開口側で上下動させるスイング式の押上アームをそれぞれ有して構成したことを特徴とする。
第1態様に係る機械式駐車装置によれば、スイング式の押上アームによって押上装置の構成は、固定部側では回転軸が回転するだけで殆ど動かず、リフト開口側のみで各押上アームの自由端側が動く簡単な構成とすることができる。
【0007】
第2態様に係る機械式駐車装置は、前記相対的固定部としては前記躯体であり、前記躯体の上面側に前記トレーを受け渡しする前記押上装置を構成し、前記押上装置の支持部は、前記躯体に取り付けたことを特徴とする。
【0008】
第2態様に係る機械式駐車装置によれば、スイング式の押上アームによって押上装置の構成は、躯体側では回転軸が回転するだけで殆ど動かず、リフト開口側のみで各押上アームの自由端側が動く簡単な構成とすることができる。
【0009】
第3態様に係る機械式駐車装置は、前記押上装置の前記各押上アームの自由端側を、前記ターンテーブル側に前記トレーを引き渡すトレー上停止位置と、前記トレーを前記リフト装置側に引き渡すトレー下停止位置と、前記回転軸のほぼ真下に位置させて前記各押上アームをほぼ垂直状態にする待機位置を採る構成としたことを特徴とする。
【0010】
第3態様に係る機械式駐車装置によれば、待機位置ではスイング式の特徴を生かして簡単に各押上アームをほぼ垂直状態にすることができ、リフト装置との干渉を簡単に避けることができる。
【発明の効果】
【0011】
本発明による機械式駐車装置によれば、スイング式の押上アームによって押上装置の構成は、躯体側では回転軸が回転するだけで殆ど動かず、リフト開口側のみで各押上アームの自由端側が動く簡単な構成とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明の一実施例による機械式駐車装置の要部を示す平面図である。
【
図2】
図1に示した機械式駐車装置におけるA-A線に沿った要部の断面図である。
【
図3】
図1に示した押上装置における駆動系のみを示す平面図である。
【
図4】
図1に示した機械式駐車装置におけるB-B線に沿った押上装置のトレー上停止位置を示す断面図である。
【
図5】
図4に示した押上装置のトレー下停止位置を示す断面図である。
【
図6】
図4に示した押上装置の待機位置を示す断面図である。
【
図7】本発明の他の実施例による機械式駐車装置の要部を示す平面図である。
【
図8】
図7に示した機械式駐車装置におけるC-C線に沿った要部の断面図である。
【
図9】
図7に示した機械式駐車装置におけるD-D線に沿った押上装置のトレー上停止位置を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明する。
【0014】
図1および
図2は、本発明の一実施例による機械式駐車装置における要部を示す平面図および断面図である。
【0015】
通常、機械式駐車装置は、扉1を配置した出入口2を備えた乗込室3が形成され、この出入口2から乗り込まれてきた駐車車両を、乗込室3が形成されている階床とは異なる階床、例えば地下側に駐車車両のための格納部が形成されている。このため、乗込室3内には、ターンテーブル装置4が構成され、乗降室3内に乗り込んできた駐車車両をトレー5上に搭載状態にした後、駐車車両を格納階へと搬送するリフト装置に受け渡すために、先ずリフト装置に合わせた向きに方向変換を行い、その後、トレー5と共に駐車車両をリフト装置側に引き渡すように構成されている。
【0016】
この種のターンテーブル装置4は、ターンテーブルとその旋回駆動を行う躯体側構成を有しており、躯体側構成は、躯体6A,6Bの上面側に取り付けられた複数個の旋回駆動装置7A~7Dや複数個の受ローラ8A~8Dなどを有している。これらの躯体側構成の上部には、躯体側構成である旋回駆動装置7A~7Dによって旋回駆動されるターンテーブルが配置され、このターンテーブルの図示は省略されている。特に、
図1のA-A線に沿った断面図である
図2から分かるように躯体6A,6Bの上面側に据え付けられた旋回駆動装置7A~7Dや受ローラ8A~8Dの上部にターンテーブルが実装配置されたとき、ターンテーブルはその裏面側から旋回駆動装置7A~7Dによって旋回力を受け、複数個の受ローラ8A~8Dによって旋回を案内されることになる。
【0017】
躯体6A,6Bの対向部には、駐車車両を搭載した状態のトレー5を受け渡しするためのリフト開口9が形成されている。このリフト開口9を避けた位置の躯体6A,6Bには、複数個の旋回駆動装置7A~7Dと複数個の受ローラ8A~8Dがほぼ同一仮想円周上に分散して配置されている。躯体6A,6Bの対向部における中央部付近に形成された開口9には、図示しないターンテーブルの下面側や躯体6A,6Bと接触することのない頂部を有した例えば四本のリフト柱10A~10Dが配置され、各リフト柱10A~10Dの下端部が格納階で固定されている。
【0018】
このように乗込室3を形成している床側に対して、各リフト柱10A~10Dの上端は結合関係にない。このため乗込室3の床側を含む上方階が、免震構造で地震発生時に揺れたとしても、その振れが各リフト柱10A~10Dの上端部に伝達されることはない。
【0019】
また、各リフト柱10A~10Dの上端部が
図1に示した各受ローラ8A~8Dを配置した仮想円周上に位置していることを利用して、各リフト柱10A~10Dの上端部に各受ローラ8A~8Dと同様の受ローラ8E~8Hが追加されている。これらの受ローラ8E~8H上にもターンテーブルが搭載されるが、ローラは乗込室3の床側と各リフト柱10A~10Dの上端部とを結合関係にするものではないので、上述した免震機能が損なわれることはない。
【0020】
一方、各リフト柱10A~10Dの上端が分離されているが、乗込室3とリフト装置間で、駐車車両が搭載された状態のトレー5を受け渡しする必要があるため、躯体6A,6Bの対向部付近にそれぞれスイング式の押上装置11,12が構成されている。
【0021】
スイング式の押上装置11,12は、基本的には
図1に示すように躯体6A,6Bにそれぞれ据え付けられた対称形で、かつほぼ同一構成である。押上装置11は、リフト開口9側に収納可能に延びた二本の押上アーム13A,13Bを有し、押上装置12も同様に、リフト開口9側に収納可能に延びた二本の押上アーム13A,13Bをそれぞれ有している。
【0022】
図1に示すように押上装置11,12は、複数個の旋回駆動装置7A~7Dと複数個の受ローラ8A~8Dを分散して配置したほぼ同一仮想円の内側に構成されている。尚、両押上装置11,12は上述したように対称形ではあるがほぼ同一構成であるため、以下、基本的には押上装置11について説明する。
【0023】
押上装置11は、トレー5の長手方向と同方向に延びて形成された支持部15と、支持部15をその長手方向における数カ所で躯体6Aに固定した固定部16A~16Cと、支持部15と同方向に延びて配置されると共に支持部15へ可回転的に支持された回転軸17と、回転軸17の軸方向における両端部にそれぞれ結合された押上アーム13A,13Bと、支持部15の長手方向における中央部に配置された駆動源のモータ18と、モータ18と回転軸17の間に構成された減速機19などを有して構成されている。
【0024】
図3は、押上装置11における駆動系のみを示す平面図である。
【0025】
長手方向の中央部に配置されたモータ18の回転軸には、減速機19の入力側が連結され、減速機19の出力側には回転軸17が連結されている。モータ18による一方向回転によって、押上アーム13A,13Bの先端部をトレー上停止位置に停止させることができ、モータ18による反対方向回転によって、押上アーム13A,13Bの先端部をトレー下停止位置と待機位置に停止させることができる。
【0026】
図4は、
図1に示した機械式駐車装置におけるB-B線に沿った押上装置11,12のトレー上停止位置を示す断面図である。
【0027】
図1に示した躯体6A,6Bの上面側に取り付けた受ローラ8A~8Dなどの上部には、ターンテーブル20が搭載されている。ターンテーブル20の中央部にもトレー5が上下方向に通過可能なターンテーブル開口21が形成されているが、トレー5の図示の状態は押上装置11,12の各押上アーム13A,13Bによってターンテーブル20側にトレー5を引き渡す位置に保持されている。ターンテーブル20の旋回時は、それに先立ってターンテーブル20側にトレー5が預けられて、ターンテーブル20側で保持される。
【0028】
図5は、押上装置11,12のトレー下停止位置を示す断面図である。
【0029】
図4に示したように、トレー5をターンテーブル20側からリフト装置側に渡すとき、リフト装置の昇降台は各リフト柱10A~10Dの上端付近で待機している。この状態で、押上装置11,12の各押上アーム13A,13Bによってトレー5の下面側から受けた状態から、各押上アーム13A,13Bの各自由端側を下方に下げるように作動させる。これは、
図1および
図3に示したモータ18および減速機19を介して回転軸17を反時計方向に回転すると共に、押上装置12側においてはその回転軸を逆方向に回転させることによって行われる。
【0030】
すると、押上装置11,12の各押上アーム13A,13Bによって保持されたトレー5は下降して、リフト装置の昇降台上に渡される。押上装置11,12の各押上アーム13A,13Bは、リフト装置の昇降動作時に干渉しない位置の躯体6A,6Bの上面側に支持した回転軸17を中心にして可回転的に支持され、各押上アーム13A,13Bの自由端側がトレー5側に突出した構成である。このため、回転軸17を中心にしてスイングするスイング式であり、躯体6A,6B側では回転軸17が回転するだけで殆ど動かずリフト開口9側のみで各押上アーム13A,13Bの自由端側が動く簡単な構成とすることができる。このため、押上装置11,12の追加によって、躯体6A,6B側の受ローラ8A~8Dや旋回駆動装置7A~7Dに影響を与えることがなく、押上装置11,12の取り付け工事も簡単である。
【0031】
しかも、躯体6A,6B側には、モータ駆動式の旋回駆動装置7A~7Dが配置されているため、その配線作業と同時に、押上装置11,12におけるモータ18の配線作業も行うことができる。
【0032】
図6は、押上装置11,12の待機位置を示す断面図である。
【0033】
一方、駐車車両を搭載した状態のトレー5をリフト装置側からターンテーブル装置4に受け渡すときは、少なくともこの時までに、押上装置11,12の各押上アーム13A,13Bを待機状態とする。
【0034】
先ず、
図5の状態から押上装置11のモータ18を駆動して回転軸17をさらに反時計方向に回転させ、押上装置12側においてはその回転軸を逆方向に回転させることによって行われる。すると、各押上アーム13A,13Bの各自由端側を下方に下げるように作動され、押上装置11,12における各押上アーム13A,13Bの自由端側は、回転軸17のほぼ真下に位置し、各押上アーム13A,13Bはほぼ垂直状態となる。このため、昇降動作時のリフト装置が押上装置11,12と干渉することはない。
【0035】
上述した説明では、
図5に示したトレー下停止位置と、
図6に示した待機位置とを分けているが、
図5のトレー下停止位置に達してトレー5をリフト装置側に渡した後、継続して各押上アーム13A,13Bを作動させて
図6の待機位置となるようにしても良い。
【0036】
その後、リフト装置側からトレー5を受け取る場合は、リフト装置によって各リフト柱10A~10Dの上端部付近までトレー5を移動させた後、
図6の待機位置から押上装置11,12の各押上アーム13A,13Bを再び
図4に示したトレー上停止位置へと駆動し、トレー5の下面側から接触させて受け取り、トレー5を押上装置11,12で保持した状態とする。
【0037】
上述した望ましい実施例においては、モータを使用した各旋回駆動装置7A~7Dと、モータを使用した押上装置11,12をターンテーブル20の下面側における躯体側6A,6Bに設置し、ターンテーブル20側にはモータを使用した駆動装置を設置しない構成としている。このため、ターンテーブル20側には動力用配線がなく、ターンテーブル装置4全体としての動力用配線は躯体6A,6Bだけに設けられた構成となり、配線作業を効率的に行うことができ、構造も一層簡略化され、組立時における作業時間も短縮することができる。
【0038】
尚、上述した実施例では、押上装置11,12における支持部15を例示したが、支持部15としての構成は図示のものに限定することなく使用できる。また、各リフト柱10A~10Dの上端部が
図1に示した各受ローラ8A~8Dを配置した仮想円周上に位置していることを利用して、各リフト柱10A~10Dの上端部に各受ローラ8A~8Dと同様の受ローラ8E~8Hを追加しているが、本発明はこの種の構成に限定することなく使用できる。
図7は、本発明の他の実施例による機械式駐車装置における要部を示す平面図である。
先の実施例では躯体6A,6Bにそれぞれスイング式の押上装置11,12を取り付けたが、本実施例では各リフト柱10A~10Dにそれぞれスイング式の押上装置11,12が取り付けられており、同等物には同一符号を付けて詳細な説明を省略し、相違する構成についてのみ説明する。
リフト装置における昇降台やトレー5の昇降移動が妨げることのない位置に押上装置架台22が配置され、この押上装置架台22の両端部がリフト柱10Aとリフト柱10Bにそれぞれ結合されている。同様に、リフト装置における昇降台やトレー5の昇降移動を妨げることのない位置に押上装置架台23が配置され、この押上装置架台23の両端部が他のリフト柱10Cとリフト柱10Dにそれぞれ結合されている。
押上装置架台22上には、先の実施例で説明した押上装置11が支持構成されており、押上装置架台23上には、先の実施例で説明した押上装置12が支持構成されている。ただし、先の実施例で説明した押上装置11は、固定部16A~16Cなどによって躯体6Aに取り付けられていたが、本実施例における押上装置11は、躯体6Aではなく押上装置架台22にそれぞれ支持構成されており、押上装置11がずれた際の動きを規制する転倒防止装置24A,24Bが新たに追加されている。押上装置11と対称形でほぼ同一構成の押上装置12側も同様であり、先の実施例の説明の場合と同様に押上装置11を代表してさらに説明する。尚、上述した転倒防止装置24A,24Bについては
図9でさらに説明する。
図8は、
図7に示した機械式駐車装置におけるC-C線に沿った要部の断面図である。
同図は、
図2と同様に押上装置11,12の各押上アーム13A,13Bの先端部が、図示しないトレー5をターンテーブル側とリフト装置側で受け渡し可能なトレー上停止位置にある。
押上装置11,12が押上装置架台22,23上にそれぞれ支持構成されているため、躯体6A,6Bの互いの対向側端面は
図2に示した躯体6A,6Bよりも互いに離反する側に後退して形成されている。
図9は、
図7に示した機械式駐車装置におけるD-D線に沿った要部の断面図である。
同図では、躯体6A,6Bの上面側にターンテーブル20が搭載されており、このターンテーブル20の中央部にトレー5が上下方向に通過可能なターンテーブル開口21が形成されている。トレー上停止位置では、トレー5の下面側が押上装置11,12の各押上アーム13A,13Bによって支えられて、ターンテーブル20側にトレー5を引き渡す位置に保持されている。
図7の説明で言及した転倒防止装置24Bは、躯体6Aにおける躯体6Bとの対向側端面の近傍でリフト装置の昇降方に沿って延びて、かつ、押上装置11における支持部15に固定された転倒防止部材25と、この転倒防止部材25に対向する位置の躯体6Aにおける対向側端面に貼り付けた防振ゴム26を有して構成されている。
また上述した転倒防止部材25の同図における左方に構成されている押上装置12における他の転倒防止装置24Bも同様に、躯体6Bにおける躯体6Aとの対向側端面の近傍でリフト装置の昇降方に沿って延びて、かつ、押上装置12における支持部に固定された転倒防止部材25と、この転倒防止部材25に対向する位置の躯体6Bにおける対向側端面に貼り付けた防振ゴム26を有して構成されている。さらに
図7に示した転倒防止装置24Bも、上述した転倒防止部材25と同様に構成されている。
このような構成の転倒防止部材25は、押上装置11がずれた際の動きを規制することができ、各押上装置11,12を躯体6A,6Bの上面側に固定した場合と同様にしっかりと保持することができる。
上述した実施例においても、リフト装置の昇降台に対する相対的固定部である躯体6A,6Bに代えて、同じ相対的固定部であるリフト装置の各リフト柱10A~10Dに、各押上装置11,12を支持構成したため、先の実施例の場合と同様の効果を得ることができる。
以上説明したように本発明は、躯体6A,6Bの上部にターンテーブル20を旋回可能に配置し、躯体6A,6Bと各リフト柱10A~10Dとの対向部で結合関係を持たないでリフト装置を構成し、駐車車両を搭載することになるトレー5をターンテーブル20とリフト装置側との間で受け渡し可能とするためにターンテーブル20および躯体6A,6Bにリフト開口9およびターンテーブル開口21をそれぞれ形成し、ターンテーブル20とリフト装置側との間で受け渡しする押上装置11,12を備えたターンテーブル装置において、リフト装置の昇降台の近傍で昇降台に対する相対的固定部6A,6B,10A~10Dに、トレー5を受け渡しする押上装置11,12を設け、押上装置11,12は、相対的固定部6A,6B,10A~10Dに取り付けた支持部15と、支持部15に対して可回転的に配置した回転軸17と、回転軸17を回転するモータ18と、回転軸17に一端部を結合すると共に他端の自由端側をリフト開口側で上下動させるスイング式の押上アーム13A,13Bをそれぞれ有して構成したことを特徴とする。
このような構成によれば、スイング式の押上アーム13A,13Bによって押上装置11,12の構成は、相対的固定部6A,6B,10A~10D側では回転軸17が回転するだけで殆ど動かず、リフト開口9側のみで各押上アーム13A,13Bの自由端側が動く簡単な構成とすることができる。
また本発明は上述の構成に加えて、相対的固定部としては躯体6A,6Bであり、躯体6A,6Bの上面側にトレー5を受け渡しする押上装置11,12を構成し、押上装置11,12の支持部15は、躯体6A,6Bに取り付けたことを特徴とする。
【0039】
このような構成によれば、スイング式の押上アーム13A,13Bによって押上装置11,12の構成は、躯体6A,6B側では回転軸17が回転するだけで殆ど動かず、リフト開口9側のみで各押上アーム13A,13Bの自由端側が動く簡単な構成とすることができる。
【0040】
また本発明は上述した構成に加えて、押上装置11,12の各押上アーム13A,13Bの自由端側を、ターンテーブル20側にトレー5を引き渡すトレー上停止位置と、トレー5をリフト装置側に引き渡すトレー下停止位置と、回転軸17のほぼ真下に位置させて各押上アーム13A,13Bをほぼ垂直状態にする待機位置を採る構成としたことを特徴とする。
【0041】
このような構成によれば、待機位置ではスイング式の特徴を生かして簡単に各押上アーム13A,13Bを全体としてほぼ垂直状態にすることができ、リフト装置との干渉を簡単に避けることができる。
【符号の説明】
【0042】
5 トレー
6A,6B 躯体
9 リフト開口
10A~10D リフト柱
11,12 押上装置
13A,13B 押上アーム
15 支持部
17 回転軸
18 モータ
20 ターンテーブル
21 ターンテーブル開口