(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-01-30
(45)【発行日】2023-02-07
(54)【発明の名称】樹脂組成物、配線板用絶縁層及び積層体
(51)【国際特許分類】
C08L 25/02 20060101AFI20230131BHJP
C08L 71/08 20060101ALI20230131BHJP
C08K 5/5399 20060101ALI20230131BHJP
C08K 3/36 20060101ALI20230131BHJP
B32B 15/085 20060101ALI20230131BHJP
B32B 15/082 20060101ALI20230131BHJP
B32B 15/08 20060101ALI20230131BHJP
【FI】
C08L25/02
C08L71/08
C08K5/5399
C08K3/36
B32B15/085 Z
B32B15/082 Z
B32B15/08 Z
(21)【出願番号】P 2019532512
(86)(22)【出願日】2018-07-13
(86)【国際出願番号】 JP2018026513
(87)【国際公開番号】W WO2019021862
(87)【国際公開日】2019-01-31
【審査請求日】2021-04-06
(31)【優先権主張番号】P 2017145841
(32)【優先日】2017-07-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000006183
【氏名又は名称】三井金属鉱業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100113365
【氏名又は名称】高村 雅晴
(74)【代理人】
【識別番号】100131842
【氏名又は名称】加島 広基
(74)【代理人】
【識別番号】100209336
【氏名又は名称】長谷川 悠
(72)【発明者】
【氏名】大澤 和弘
(72)【発明者】
【氏名】松島 敏文
(72)【発明者】
【氏名】本郷 孝宏
【審査官】三宅 澄也
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-001276(JP,A)
【文献】特開2010-111758(JP,A)
【文献】国際公開第2017/029917(WO,A1)
【文献】特開2010-138364(JP,A)
【文献】特開2007-224162(JP,A)
【文献】特開2016-191029(JP,A)
【文献】特開2013-231132(JP,A)
【文献】国際公開第2013/105650(WO,A1)
【文献】国際公開第2015/133292(WO,A1)
【文献】特開2005-112981(JP,A)
【文献】国際公開第2016/147984(WO,A1)
【文献】特開2013-018806(JP,A)
【文献】国際公開第2017/098969(WO,A1)
【文献】国際公開第2015/186589(WO,A1)
【文献】国際公開第2015/125973(WO,A1)
【文献】特開2007-030326(JP,A)
【文献】特開2002-114981(JP,A)
【文献】国際公開第2007/097196(WO,A1)
【文献】特開2011-162615(JP,A)
【文献】国際公開第2011/093079(WO,A1)
【文献】特開2009-078209(JP,A)
【文献】特開2015-224304(JP,A)
【文献】特開2010-168487(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08K 3/00- 13/08
C08L 1/00-101/14
B32B 1/00- 43/00
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
120℃における粘度が8000Pa・s以上である、
アミン変性の水添又は非水添スチレン系エラストマーである高粘度樹脂(A)と、
120℃における粘度が8000Pa・s未満である、
下記式:
【化1】
(式中、nは1~30、mは1~30である)で表される数平均分子量3000未満のポリフェニレンエーテル樹脂を含む低粘度樹脂(B)と、
下記式(I):
【化2】
(式中、nは3又は4である)で表されるリン系化合物(C)と、
シリカ粒子である充填剤(D)と、
を含み、前記高粘度樹脂(A)、前記低粘度樹脂(B)及び前記リン系化合物(C)の合計量を100重量部として、10~80重量部の前記高粘度樹脂(A)と、10~50重量部の前記低粘度樹脂(B)と、10~50重量部の前記リン系化合物(C)と、5~200重量部の前記充填剤(D)とを含む、樹脂組成物。
【請求項2】
前記シリカ粒子は、平均粒径D50が0.1~3μmである、請求項1に記載の樹脂組成物。
【請求項3】
120℃における粘度が8000Pa・s以上である、水酸基変性の水添又は非水添スチレン系エラストマーである高粘度樹脂(A)と、
120℃における粘度が8000Pa・s未満である、末端水酸基変性ポリアリーレンエーテル化合物である低粘度樹脂(B)と、
下記式(I):
【化3】
(式中、nは3又は4である)で表されるリン系化合物(C)と、
シリカ粒子である充填剤(D)と、
を含み、前記高粘度樹脂(A)、前記低粘度樹脂(B)及び前記リン系化合物(C)の合計量を100重量部として、10~80重量部の前記高粘度樹脂(A)と、10~50重量部の前記低粘度樹脂(B)と、10~50重量部の前記リン系化合物(C)と、5~200重量部の前記充填剤(D)とを含み、
前記低粘度樹脂(B)がカルボジイミドをさらに含む
、樹脂組成物。
【請求項4】
20~70重量部の前記高粘度樹脂(A)と、15~40重量部の前記低粘度樹脂(B)と、15~40重量部の前記リン系化合物(C)と、45~180重量部の前記充填剤(D)とを含む、請求項1~
3のいずれか一項に記載の樹脂組成物。
【請求項5】
請求項1~
4のいずれか一項に記載の樹脂組成物を硬化させてなる、配線板用絶縁層。
【請求項6】
硬化後の10GHzにおける誘電正接が0.003未満である、請求項1~
4のいずれか一項に記載の樹脂組成物。
【請求項7】
請求項1~
4及び
6のいずれか一項に記載の樹脂組成物を硬化させてなる樹脂層を金属層の表面に備えた、積層体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、樹脂組成物、配線板用絶縁層及び積層体に関するものである。
【背景技術】
【0002】
プリント配線板は携帯用電子機器等の電子機器に広く用いられている。特に、近年の携帯用電子機器等の高機能化に伴って信号の高周波化が進んでおり、こうした高周波用途に適したプリント配線板が求められるようになっている。この高周波用プリント配線板には、高周波信号の質を劣化させずに伝送可能とするために、伝送損失の低いものが望まれる。プリント配線板は配線パターンに加工された銅箔と絶縁樹脂基材とを備えたものであるが、伝送損失は、主として銅箔に起因する導体損失と、絶縁樹脂基材に起因する誘電体損失とからなる。したがって、高周波用途に適用する樹脂層付銅箔においては、樹脂層に起因する誘電体損失を抑制することが望ましい。このためには、樹脂層には優れた誘電特性、特に低い誘電正接が求められる。
【0003】
プリント配線板用材料には、難燃性、耐熱性及び銅箔等とのピール強度等の特性も求められており、こうした要求を満たすべく様々な樹脂組成物が提案されている。特に、誘電正接が低い樹脂は難燃性に劣るものが多い傾向があることから、樹脂組成物には難燃剤が添加されることが望ましい。かかる難燃剤としてハロゲン系化合物が知られているが、焼却時に発生するダイオキシン等の有害物質のため環境上好ましくない。また、フッ素を除くハロゲン(例えば臭素等)の化合物は誘電特性が悪い。
【0004】
そこで、ハロゲンフリーの難燃剤であるシクロホスファゼン化合物を含有させた樹脂組成物が提案されている。例えば、特許文献1(国際公開第2015/133292号)には、(A)数平均分子量が500~5000であるポリフェニレンエーテル(PPE)、(B)ビニル基を含有するシクロホスファゼン化合物、(C)非ハロゲン系エポキシ樹脂、(D)シアン酸エステル化合物、及び(E)充填剤を含有する樹脂組成物が開示されており、この樹脂組成物によれば、難燃性、熱膨張係数、及び吸湿時の耐熱性に優れたプリント配線板を提供できるとされている。
【0005】
一方、フレキシブルプリント配線板用のソルダーレジストとして好適な難燃性樹脂組成物として、シアノフェノキシ変性ホスファゼンを含有する樹脂組成物が知られている。例えば、特許文献2(特開2009-191252号公報)には、(A)カルボキシル基及びエチレン性不飽和基含有ウレタン樹脂、(B)フェノキシホスファゼン化合物、(C)光重合開始剤、(D)エチレン性不飽和基含有化合物、(E)難燃成分、(F)熱硬化成分、及び(G)熱硬化助剤を含む、難燃性樹脂組成物が開示されている。この文献において、フェノキシホスファゼン化合物はソルダーレジスト用のウレタン樹脂との相溶性に優れる難燃剤として位置付けられているにすぎず、誘電正接に関する検討は一切なされていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】国際公開第2015/133292号
【文献】特開2009-191252号公報
【発明の概要】
【0007】
プリント配線板製造において回路上への絶縁層の形成は、樹脂付銅箔を回路が形成された基板に積層して、絶縁層としての樹脂層で回路を埋め込むことにより行われる。しかしながら、この作業は、樹脂が半硬化状態(B-stage)で行われるため、樹脂の流動性(レジンフロー)が高すぎると、樹脂の流出により必要な絶縁層厚を確保できなくなる反面、樹脂の流動性(レジンフロー)が低すぎると、絶縁層に望ましくないボイド(空隙)が生じたまま硬化することとなる。すなわち、レジンフローが高すぎても低すぎても回路埋め込み性が低下するため、こうした特性の変動を踏まえた極めて慎重な組成設計が望まれる。一方、硬化後(C-stage)の樹脂組成物においては、低い誘電正接、優れた耐熱性、難燃性、ハンドリング性(柔軟性)等の諸性能を具備していることが望まれる。しかしながら、回路埋め込み性やハンドリング性(柔軟性)の向上を重視した組成設計を試みると、硬化後の樹脂組成物の諸特性が悪くなりやすい、特に難燃性と誘電特性(低誘電正接)の両立が難しくなる。すなわち、硬化状態(C-stage)の樹脂組成物の諸特性(誘電特性及び難燃性など)を改善しながら、半硬化状態(B-stage)における回路埋め込み性にも優れた樹脂組成物が望まれる。
【0008】
本発明者は、今般、所定の高粘度樹脂(A)、所定の低粘度樹脂(B)、所定のリン系化合物(C)、及び所定の充填剤(D)を含む樹脂組成物が、難燃性、回路埋め込み性、ハンドリング性(柔軟性)等の諸特性に優れながら、有意に低い誘電正接をもたらすとの知見を得た。
【0009】
したがって、本発明の目的は、難燃性、回路埋め込み性、ハンドリング性(柔軟性)等の諸特性に優れながら、有意に低い誘電正接をもたらすことが可能な、樹脂組成物を提供することにある。
【0010】
本発明の一態様によれば、
120℃における粘度が8000Pa・s以上である、シアネート化合物、ポリアリーレンエーテル化合物、シクロオレフィン化合物、水添又は非水添スチレン系エラストマー、ポリイミド化合物、シロキサン化合物、ポリアルキル化合物、並びにエポキシ化合物と反応する際に水酸基を発生しない反応機構を有する化合物からなる群から選択される1種以上の高粘度樹脂(A)と、
120℃における粘度が8000Pa・s未満である、シアネート化合物、ポリアリーレンエーテル化合物、シクロオレフィン化合物、水添又は非水添スチレン系エラストマー、ポリイミド化合物、シロキサン化合物、ポリアルキル化合物、並びにエポキシ化合物と反応する際に水酸基を発生しない反応機構を有する化合物からなる群から選択される1種以上の低粘度樹脂(B)と、
下記式(I):
【化1】
(式中、nは3又は4である)
で表されるリン系化合物(C)と、
有機充填剤又は無機充填剤である充填剤(D)と、
を含む、樹脂組成物が提供される。
【0011】
本発明の他の一態様によれば、前記樹脂組成物を硬化させてなる、配線板用絶縁層が提供される。
【0012】
本発明の他の一態様によれば、前記樹脂組成物を硬化させてなる樹脂層を金属層の表面に備えた、積層体が提供される。
【発明を実施するための形態】
【0013】
樹脂組成物
本発明の樹脂組成物は、高粘度樹脂(A)と、低粘度樹脂(B)と、リン系化合物(C)と、充填剤(D)とを含む。高粘度樹脂(A)は、120℃における粘度が8000Pa・s以上である樹脂であり、シアネート化合物、ポリアリーレンエーテル化合物、シクロオレフィン化合物、水添又は非水添スチレン系エラストマー、ポリイミド化合物、シロキサン化合物、ポリアルキル化合物、並びにエポキシ化合物と反応する際に水酸基を発生しない反応機構を有する化合物からなる群から選択される1種以上である。低粘度樹脂(B)は、120℃における粘度が8000Pa・s未満であり、シアネート化合物、ポリアリーレンエーテル化合物、シクロオレフィン化合物、水添又は非水添スチレン系エラストマー、ポリイミド化合物、シロキサン化合物、ポリアルキル化合物、並びにエポキシ化合物と反応する際に水酸基を発生しない反応機構を有する化合物からなる群から選択される1種以上である。リン系化合物(C)は、前述した式(I)で表される環状シアノフェノキシホスファゼン化合物である。充填剤(D)は有機充填剤又は無機充填剤である。このように、所定の高粘度樹脂(A)、所定の低粘度樹脂(B)、所定のリン系化合物(C)、及び所定の充填剤(D)を含む樹脂組成物によれば、回路埋め込み性及びハンドリング性(柔軟性)等の諸特性に優れながら、硬化後には有意に低い誘電正接と難燃性をもたらすことができる。例えば、本発明の樹脂組成物は、硬化後の10GHzにおける誘電正接が、好ましくは0.0030未満、より好ましくは0.0025未満、さらに好ましくは0.0020未満である。誘電正接の下限値は特に限定されないが、典型的には0.0001以上である。
【0014】
高粘度樹脂(A)及び低粘度樹脂(B)
本発明の樹脂組成物に含まれる高粘度樹脂(A)は120℃における粘度が8000Pa・s以上であり、好ましくは10000~300000Pa・s、より好ましくは50000~200000Pa・s、特に好ましくは70000~150000Pa・sである。一方、本発明の樹脂組成物に含まれる低粘度樹脂(B)は、120℃における粘度が8000Pa・s未満であり、好ましくは5000Pa・s以下、より好ましくは1000Pa・s以下、特に好ましくは0.0001~10Pa・sである。このように2種類の樹脂を混合することで、望ましいレジンフローを実現して回路形成時の回路埋め込み性を向上するとともに、ハンドリング性(柔軟性)をも向上させることができる。
【0015】
なお、本明細書において言及される「120℃における粘度」は、半硬化状態(B-stage)に対して、レオメーター(動的粘弾性測定装置)(Thermo Scientific製HAAKE MARS)を用い、JIS K 7117に準拠し、以下の方法にて測定するものとする。すなわち、直径10mmのプレート及び直径10mmのトルク測定部の平板間に直径10mm×厚み100μmの樹脂サンプルを設置し、角速度6.2832rad/s、昇温速度2℃/minで昇温させた際の120℃における粘度を測定した。粘度の測定を3回行い、3回の平均値を採用した。
【0016】
高粘度樹脂(A)及び低粘度樹脂(B)は、それぞれ独立して、シアネート化合物、ポリアリーレンエーテル化合物、シクロオレフィン化合物、水添又は非水添スチレン系エラストマー、ポリイミド化合物、シロキサン化合物、ポリアルキル化合物、並びにエポキシ化合物と反応する際に水酸基を発生しない反応機構を有する化合物からなる群から選択される。これらの化合物は、それ自体で(ポリマーの場合)又は硬化剤が添加されて硬化された場合(モノマーの場合)に、いずれも低い誘電性質(例えば10Gzにおいて0.005以下の誘電正接)をもたらすものである。
【0017】
本発明の好ましい態様によれば、高粘度樹脂(A)及び/又は低粘度樹脂(B)はシアネート化合物を含むことができる。とりわけ、低粘度樹脂(B)がシアネート化合物を含むのがより好ましい。いずれにしても、シアネート化合物は、シアナト基又はトリアジン骨格を含むあらゆる有機化合物であることができ、特に限定されない。シアネート基を含む化合物の官能数は単官能でも多官能でもよく特に限定されないが、架橋硬化の観点から多官能の方が樹脂付銅箔(RCC)に使いやすく好ましい。シアネート基を含む化合物の例としては、フェノールノボラック型シアネート、クレゾールノボラック型シアネート、ジシクロペンタジエンノボラック型シアネート、ビフェニルノボラック型シアネート、ビスフェノールA型ジシアネート、ビスフェノールF型ジシアネート、ジシクロペンタジエンジシアネート、ビフェニルジシアネート等が挙げられる。これらのシアネート化合物は1種で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。一方、トリアジン骨格を含むシアネート化合物の場合、シアナト基を含むシアネート化合物の1種又は2種以上の化合物が三量化した骨格を含む化合物であれば特に限定はされない。トリアジン骨格は、反応性官能基を含んでいても含んでいなくてもよいが、架橋硬化の観点で反応性官能基を含んでいる方が樹脂付銅箔(RCC)に使いやすく好ましい。
【0018】
本発明の好ましい態様によれば、高粘度樹脂(A)及び/又は低粘度樹脂(B)はポリアリーレンエーテル化合物、好ましくはポリフェニレンエーテル化合物を含むことができる。とりわけ、低粘度樹脂(B)がポリフェニレンエーテル化合物を含むのがより好ましい。いずれにしても、ポリアリーレンエーテル化合物ないしポリフェニレンエーテル化合物は下記式:
【化2】
(式中、R
1、R
2、R
3及びR
4はそれぞれ独立して水素原子又は炭素数1~3の炭化水素基であり、nは繰り返し数であり、典型的には4~1000である)
で表される骨格を分子中に含む化合物であるのが好ましい。低粘度樹脂(B)に用いるポリフェニレンエーテル化合物の例としては、ポリフェニレンエーテルオリゴマーのスチレン誘導体、末端水酸基変性ポリフェニレンエーテルオリゴマー、末端メタクリル変性ポリフェニレンエーテルオリゴマー、末端グリシジルエーテル変性ポリフェニレンエーテルオリゴマー等が挙げられる。ポリフェニレンエーテルオリゴマーのスチレン誘導体の製品例としては、三菱ガス化学株式会社製OPE-2St-1200及びOPE-2St-2200が挙げられる。末端水酸基変性ポリフェニレンエーテルオリゴマーの製品例としては、SABIC社製SA-90及びSA-120が挙げられる。末端メタクリル変性ポリフェニレンエーテルオリゴマーの製品例としては、SABIC社製SA-9000が挙げられる。
【0019】
特に好ましくは、低粘度樹脂(B)に用いるポリフェニレンエーテル化合物は下記式:
【化3】
(式中、nは1~30、mは1~30である)
で表される数平均分子量3000未満のポリフェニレンエーテル樹脂を含むものであり、より好ましい数平均分子量は800~2800である。かかる上記式を満たすポリフェニレンエーテル樹脂の製品例としては、三菱ガス化学株式会社製OPE-2St-1200及びOPE-2St-2200が挙げられる。なお、数平均分子量は、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)法によりポリスチレン換算で測定した値を用いてもよい。
【0020】
本発明の好ましい態様によれば、高粘度樹脂(A)及び/又は低粘度樹脂(B)がシクロオレフィン化合物を含みうる。シクロオレフィン化合物は、下記式:
【化4】
(式中、R
1、R
2、R
3及びR
4はそれぞれ独立して-H又は炭素数1~5のアルキル基であり、nは1~3000である)
で表されるジシクロペンタジエン骨格を含む化合物、又は下記式:
【化5】
(式中、Xは-CH
2-又は-C
2H
4-であり、R
1、R
2、R
3及びR
4はそれぞれ独立して-H又は炭素数1~5のアルキル基であり、nは0~2、mは1~1000である)
で表されるノルボルネン骨格を含む化合物、又は下記式:
【化6】
(式中、R
1、R
2、R
3及びR
4はそれぞれ独立して-H又は炭素数1~5のアルキル基であり、nは1~3000である)
で表されるインダン骨格を含む化合物のいずれかであるのが好ましい。シクロオレフィン化合物の例としては、(i)ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、(ii)ノルボルネンモノマー、(iii)上記ジシクロペンタジエン骨格、上記ノルボルネン骨格及び上記インダン骨格から選ばれる1種以上の骨格を含むシクロオレフィン系ポリマー等が挙げられる。シクロオレフィン系ポリマーの製品例としては、日本ゼオン株式会社製ZEONOR(登録商標)、Topas Advanced Polymers GmbH製TOPAS(登録商標)等が挙げられる。
【0021】
本発明の好ましい態様によれば、高粘度樹脂(A)及び/又は低粘度樹脂(B)がスチレン系エラストマーを含みうる。とりわけ、高粘度樹脂(A)がスチレン系エラストマーを含むのがより好ましい。いずれにしても、スチレン系エラストマーは水添及び非水添のいずれであってもよい。すなわち、スチレン系エラストマーは、スチレン由来の部位を含む化合物であって、スチレン以外にもオレフィン等の重合可能な不飽和基を有する化合物由来の部位を含んでもよい重合体である。スチレン系エラストマーの重合可能な不飽和基を有する化合物由来の部位に二重結合が存在する場合、二重結合部は水添されているものであってもよいし、水添されていないものであってもよい。スチレン系エラストマーの例としては、JSR株式会社製TR、JSR株式会社製SIS、旭化成株式会社製タフテック(登録商標)、株式会社クラレ製セプトン(登録商標)、株式会社クラレ製ハイブラー(登録商標)等が挙げられる。特に、高粘度樹脂(A)として水添スチレン-ブタジエン系エラストマーを用いるのが好ましい。
【0022】
本発明の好ましい態様によれば、高粘度樹脂(A)及び/又は低粘度樹脂(B)がポリイミド化合物を含むことができる。ポリイミド化合物はイミド骨格を含む化合物であり、前駆体の酸無水物及びアミンの骨格は任意の骨格であってよい。
【0023】
本発明の好ましい態様によれば、高粘度樹脂(A)及び/又は低粘度樹脂(B)がシロキサン化合物を含みうる。シロキサン化合物は下記式:
【化7】
(式中、R
1及びR
2はそれぞれ独立してアルキル基、フェニル基又は側鎖に枝分かれしたシロキサン骨格であり、nは1~100である)
で表されるシロキサン骨格を含む化合物であるのが典型的であるが、他の樹脂との相溶性や反応性という点でシロキサン以外の骨格ないし官能基を含むのが好ましい。シロキサン化合物の例としては、シリコーンオイル等が挙げられる。例えば、他成分との反応性や相溶性の観点から、信越化学工業株式会社製KF-8010、X-22-161A、X-22-2445や東レダウコーニング株式会社製BY16-853U、BY16-855等の反応性官能基を有するシリコーンオイルを任意に変性させたものやプレポリマー化したものを用いてもよい。
【0024】
本発明の好ましい態様によれば、高粘度樹脂(A)及び/又は低粘度樹脂(B)がポリアルキル化合物を含みうる。ポリアルキル化合物は下記式:
【化8】
(式中、nは2~100000である)
で表されるアルキル骨格を含む化合物であるのが典型的であるが、アルキル骨格以外の骨格も任意に含むことができる。ポリアルキル化合物の例としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、三井化学株式会社製APEL
TM等のオレフィンコポリマー、長鎖アルキルエポキシ等が挙げられる。
【0025】
本発明の好ましい態様によれば、高粘度樹脂(A)及び/又は低粘度樹脂(B)は、エポキシ化合物と反応する際に水酸基を発生しない反応機構を有する化合物を含むことができる。とりわけ、低粘度樹脂(B)が、上記化合物を含むのがより好ましい。いずれにしても、上記化合物の例としては、イミダゾール、活性エステル、カルボジイミド等が挙げられ、反応性の観点からカルボジイミドが特に好ましい。
【0026】
上述のとおり、高粘度樹脂(A)及び低粘度樹脂(B)は粘度を除けば同種又は異種の樹脂を用いることができるが、高粘度樹脂(A)として水添又は非水添スチレン系エラストマーを選択し、かつ、低粘度樹脂(B)としてポリアリーレンエーテル化合物を選択するのが特に好ましい。そして、ポリアリーレンエーテル化合物としてポリフェニレンエーテル化合物を選択するのがより好ましい。
【0027】
本発明の樹脂組成物の各種成分の含有比率は各成分の組み合わせにより最適化することができ、含有比率は特に限定されるものではないが、高粘度樹脂(A)の含有量は、高粘度樹脂(A)、低粘度樹脂(B)及びリン系化合物(C)の合計量を100重量部として、10~80重量部であるのが好ましく、より好ましくは15~75重量部、さらに好ましくは20~70重量部、特に好ましくは25~65重量部、最も好ましくは30~60重量部である。上述した高粘度樹脂(A)の含有量は、高粘度樹脂(A)が水添又は非水添スチレン系エラストマーであり、かつ、低粘度樹脂(B)がポリフェニレンエーテル化合物である場合に特に好ましく当てはまる。
【0028】
一方、本発明の樹脂組成物における低粘度樹脂(B)の含有量は、高粘度樹脂(A)、低粘度樹脂(B)及びリン系化合物(C)の合計量を100重量部として、10~50重量部であるのが好ましく、より好ましくは15~45重量部、さらに好ましくは15~40重量部、特に好ましくは20~40重量部、最も好ましくは20~35重量部である。上述した低粘度樹脂(B)の含有量は、高粘度樹脂(A)が水添又は非水添スチレン系エラストマーであり、かつ、低粘度樹脂(B)がポリフェニレンエーテル化合物である場合に特に好ましく当てはまる。
【0029】
リン系化合物(C)
本発明の樹脂組成物に含まれるリン系化合物(C)は、難燃剤として機能するものであり、下記式(I):
【化9】
(式中、nは3~4である)
で表される環状シアノフェノキシホスファゼン化合物である。リン系化合物は、上記式におけるn=3の化合物と、式(I)におけるn=4の化合物との混合物であってもよい。例えば、式(I)におけるn=3単独の化合物の製品例としては、株式会社伏見製薬所製FP-300が挙げられ、式(I)におけるn=3の化合物とn=4の化合物の混合物の製品例としては、株式会社伏見製薬所製FP-300Bが挙げられる。
【0030】
本発明の樹脂組成物におけるリン系化合物(C)の含有量は、高粘度樹脂(A)、低粘度樹脂(B)及びリン系化合物(C)の合計量を100重量部として、10~50重量部であるのが好ましく、より好ましくは15~45重量部、さらに好ましくは15~40重量部、特に好ましくは18~38重量部、最も好ましくは20~35重量部である。上述したリン系化合物(C)の含有量は、高粘度樹脂(A)が水添又は非水添スチレン系エラストマーであり、かつ、低粘度樹脂(B)がポリフェニレンエーテル化合物である場合に特に好ましく当てはまる。
【0031】
充填剤(D)
本明細書において「充填剤」とは、樹脂組成物中において相溶化せず、充填剤単相として樹脂組成物中に存在するものをいう。充填剤は、充填剤表面に表面処理層を有していてもよいし有していなくてもよく、表面処理層は樹脂組成物中の樹脂成分と相溶化していてもよいし相溶化していなくてもよい。本発明の樹脂組成物に含まれる充填剤(D)は特に限定されず、樹脂組成物への添加に一般的に用いられる様々な充填剤が使用可能である。したがって、充填剤は、有機充填剤及び無機充填剤のいずれであってもよいが、電気特性及び難燃性の観点から無機充填剤が好ましい。無機充填剤の例としては、シリカ、タルク、窒化ホウ素(BN)等が挙げられる。無機充填剤は、樹脂組成物中に分散可能であれば特に限定されるものではないが、分散性及び誘電特性の観点からシリカが好ましい。有機充填剤としては高粘度樹脂(A)及び低粘度樹脂(B)と非相溶であれば特に限定されるものではないが、誘電特性及び難燃性の観点からフッ素系有機充填剤が好ましい。
【0032】
充填剤(D)は無機充填剤であるのが好ましい。無機充填剤の平均粒径D50は好ましくは0.1~3μm、より好ましくは0.3~1.5μmである。上記範囲内の平均粒径D50を有するシリカ粒子(例えば球状シリカ粒子)を用いることで、流動性及び加工性に優れた樹脂組成物を提供することができる。充填剤(D)は粉砕粒子、球状粒子、コアシェル粒子、中空粒子等、いかなる形態であってもよい。
【0033】
本発明の樹脂組成物における充填剤(D)の含有量は、高粘度樹脂(A)、低粘度樹脂(B)及びリン系化合物(C)の合計量を100重量部として、5~200重量部であるのが好ましく、より好ましくは25~190重量部、さらに好ましくは45~180重量部、特に好ましくは90~170重量部、最も好ましくは110~160重量部である。上述した充填剤(D)の含有量は、高粘度樹脂(A)が水添又は非水添スチレン系エラストマーであり、かつ、低粘度樹脂(B)がポリフェニレンエーテル化合物である場合に特に好ましく当てはまる。
【0034】
用途
本発明の樹脂組成物は、回路形成時の回路埋め込み性及びハンドリング性(柔軟性)等の諸特性に優れながら、硬化後には低い誘電正接と優れた難燃性を示すため、高周波用途向けのプリント配線板の絶縁層に特に適している。すなわち、本発明の樹脂組成物は配線板用絶縁層に用いられることが好ましい。したがって、本発明の好ましい態様によれば、樹脂組成物を硬化させてなる、配線板用絶縁層が提供される。また、本発明の別の好ましい態様によれば、樹脂組成物を硬化させてなる樹脂層を金属層の表面に備えた、積層体が提供される。
【実施例】
【0035】
本発明を以下の例によってさらに具体的に説明する。
【0036】
例1~16
(1)原料の用意
まず、表1に示される各種原料を用意した。各原料の詳細は以下のとおりである。
【0037】
<高粘度樹脂(A)>
MP-10(水添スチレン系エラストマー、旭化成株式会社製、120℃での粘度:75400Pa・s)
HG-252(SEEPS-OH:ポリスチレン-ポリ(エチレン-エチレン/プロピレン)ブロック-ポリスチレン、末端水酸基変性、株式会社クラレ製、120℃での粘度:10060Pa・s)
<低粘度樹脂(B)>
V-03(カルボジイミド樹脂、日清紡ケミカル株式会社製、120℃での粘度:8000Pa・s未満)
OPE-2St-1200(二官能ポリフェニレンエーテルオリゴマーのスチレン誘導体、三菱ガス化学株式会社製、数平均分子量約1200、120℃での粘度:8000Pa・s未満)
OPE-2St-2200(二官能ポリフェニレンエーテルオリゴマーのスチレン誘導体、三菱ガス化学株式会社製、数平均分子量約2200、120℃での粘度:8000Pa・s未満)
SA-90(二官能ポリフェニレンエーテルオリゴマー、SABIC社製、120℃での粘度:8000Pa・s未満)
<リン系化合物(C)>
FP-300B(環状シアノフェノキシホスファゼン化合物、株式会社伏見製薬所製、式(I)においてn=3~4である化合物)
FP-110(環状フェノキシホスファゼン化合物、株式会社伏見製薬所製、式(I)を満たさない化合物)
SPH-100(環状ヒドロキシフェノキシホスファゼン化合物、大塚化学株式会社製、式(I)を満たさない化合物)
<充填剤(D)>
SC4050(球状シリカ粒子、株式会社アドマテックス製、レーザー回折式粒度分布測定により測定された平均粒径D50:1.0μm)
【0038】
(2)ワニスの製造
表1に示される原料名及び固形分重量比の高粘度樹脂、低粘度樹脂(例15を除く)、リン系化合物(例14を除く)及び充填剤(例16を除く)に、固形分濃度が50%となるようにトルエン溶媒を添加し、60℃にて分散機を用いて溶解分散した。こうして調整された樹脂溶液(ワニス)を得た。
【0039】
(3)半硬化状態(B-stage)の樹脂付銅箔の製造
得られた樹脂溶液を、電解銅箔(TQ-M4-VSP箔、三井金属鉱業株式会社製、厚さ18μm、十点平均粗さ(Rzjis)0.4μm)の表面に、コンマ塗工機を用いて、乾燥後の樹脂層の厚みが130μmとなるように塗布した。塗布膜を150℃で3分間乾燥させることにより、樹脂組成物を半硬化させた。こうして半硬化状態(B-stage)の樹脂層を備えた樹脂付銅箔を作製した。
【0040】
(4)樹脂フィルム単体の製造
2枚の樹脂付銅箔をそれらの樹脂層同士が当接するように貼り合わせ、200℃、90分間、30kgf/cm2の加熱加圧条件下で熱間真空プレス成形を施して、両面銅張積層板を製造した。得られた銅張積層板の両面の銅を全てエッチングにより除去して、単体としての樹脂フィルムを得た。
【0041】
(5)各種評価
上記(4)で得られた樹脂フィルム単体又は上記(3)で得られた半硬化状態の樹脂付銅箔について、以下の各種評価を行った。
【0042】
(5a)誘電特性
樹脂フィルム単体について、摂動式空洞共振器法により、10GHzにおける誘電率Dk及び誘電正接Dfを測定した。この測定は、樹脂フィルム単体を共振器のサンプルサイズに合わせて切断した後、測定装置(KEYCOM製共振器及びKEYSIGHT製ネットワークアナライザー)を用い、JIS R 1641に準拠して行った。測定されたDf値を以下の基準で格付け評価した。
<誘電特性評価基準>
‐評価A:10GHzにおけるDf値が0.0020未満
‐評価B:10GHzにおけるDf値が0.0020以上0.0025未満
‐評価C:10GHzにおけるDf値が0.0025以上0.0030未満
‐評価D:10GHzにおけるDf値が0.0030以上
【0043】
(5b)ガラス転移温度(Tg)
樹脂フィルム単体について、動的粘弾性測定(DMA:Dynamic Mechanical Analysis)により、Tanδのピーク温度をガラス転移温度(Tg)として測定した。この測定は、JIS C 6481に準拠し、動的粘弾性測定装置(セイコーインスツル株式会社製、DMS6100)を用いて行った。測定したガラス転移温度(Tg)を以下の基準で格付け評価した。
<ガラス転移温度(Tg)評価基準>
‐評価A:Tgが170℃以上
‐評価B:Tgが150℃以上170℃未満
‐評価C:Tgが130℃以上150℃未満
‐評価D:Tgが130℃未満
【0044】
(5c)ハンドリング性
樹脂フィルム単体のハンドリング性評価を以下の手順で行った。まず、サイズ10cm×30cm、厚さ250μmの樹脂フィルム単体を用意した。この樹脂フィルム単体の片側の短辺を水平なクランプに固定し、もう一方の短辺をクランプから15cmの高い位置にまで鉛直に吊り上げた後、樹脂フィルム単体を離した。自重により樹脂フィルムが落下して曲がった際の樹脂フィルムの割れの有無を目視確認し、同サンプルを180°の角度で折り曲げた際の白化の有無を目視確認し、以下の基準で格付け評価した。
<ハンドリング性評価基準>
‐評価A:樹脂フィルムが割れず、かつ、白化が生じなかった。
‐評価B:樹脂フィルムが割れなかったが、白化が生じた。
‐評価D:樹脂フィルムが割れた。
ここで、「白化」とは、樹脂フィルムに応力が掛かることで内部に微細な亀裂が生じ、白く濁ったように見えることを指す。
【0045】
(5d)レジンフロー
半硬化状態(B-stage)の樹脂付銅箔(樹脂層厚み130μm)から10cm×10cmのサイズの4枚のシート片を切り出した。これら4枚のシート片を樹脂-銅箔層が互い違いになるように積層してサンプルとした。得られたサンプルに対し、熱プレス機を用いて、170℃で10分間、14kgf/cm2の圧力で熱プレス処理した。元のサイズである10cm×10cmの面積からはみ出した樹脂の重量を元の樹脂重量で除し、得られた値に100を乗じることにより、レジンフローを測定した。測定したレジンフロー値を以下の基準で格付け評価した。
<レジンフロー評価基準>
‐評価A:レジンフロー値が1.0%より大きく5.0%以下
‐評価B:レジンフロー値が0.0%より大きく1.0%以下、又は5.0%より大きく10.0%以下
‐評価C:レジンフロー値が10.0%より大きく20.0%以下
‐評価D:レジンフロー値が0.0%又は20.0%より大きい
【0046】
(5e)難燃性
樹脂フィルム単体に対して、UL94規格に準拠して垂直燃焼試験を実施し、下記の基準で格付け評価した。
<難燃性評価基準>
‐評価A:UL94規格においてV-0評価
‐評価B:UL94規格においてV-1評価
‐評価C:UL94規格においてV-2評価
‐評価D:UL94規格においてHB評価
【0047】
(5f)回路埋め込み性
半硬化状態(B-stage)の樹脂付銅箔(樹脂層厚み130μm)を、回路パターン(回路高さ35μm)を形成した基板上に積層して、樹脂層からなる絶縁層に回路パターンが埋め込まれた積層体を得た。得られた積層体において、(i)ボイドが存在するか否か、及び(ii)必要な絶縁層厚(具体的には回路頂部から95μm±10%以内)を確保できているかどうかを確認して、以下の基準で格付け評価した。
<埋め込み性評価基準>
‐評価A:必要な絶縁層厚を確保できており、かつ、ボイドが存在しない。
‐評価B:ボイドは存在しないが必要な絶縁層厚を確保できていない、あるいは絶縁層厚を確保できているがボイドが存在する。
‐評価D:必要な絶縁層厚を確保できておらず、かつ、ボイドが存在する。
【0048】
(5g)評価結果
評価結果は表1及び2に示されるとおりであった。
【0049】
【0050】