(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-01-30
(45)【発行日】2023-02-07
(54)【発明の名称】ブリスタシート及びその製造方法並びにブリスタ包装機
(51)【国際特許分類】
B65D 83/04 20060101AFI20230131BHJP
B65B 9/04 20060101ALI20230131BHJP
B65D 75/34 20060101ALI20230131BHJP
【FI】
B65D83/04 D
B65B9/04
B65D75/34
(21)【出願番号】P 2020037547
(22)【出願日】2020-03-05
【審査請求日】2022-01-31
(73)【特許権者】
【識別番号】000106760
【氏名又は名称】CKD株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100111095
【氏名又は名称】川口 光男
(72)【発明者】
【氏名】野田 尚彦
【審査官】吉澤 秀明
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-006961(JP,A)
【文献】特開平03-148430(JP,A)
【文献】特開2017-104146(JP,A)
【文献】特開2014-169089(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 83/04
B65B 9/04
B65D 75/34
A61J 1/03
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
透明又は半透明の容器フィルムに形成された、それぞれ底壁部及び側壁部を有する複数のポケット部のそれぞれに内容物が収容されるとともに、該ポケット部を塞ぐように前記容器フィルムに対しカバーフィルムが取着されてなるブリスタシートであって、
内容物は、表面に印字された文字情報からなる第一印字部、及び、裏面に印字されるとともに前記第一印字部とは内容の異なる文字情報からなる第二印字部を備え、
前記底壁部側に前記第一印字部が位置するようにして前記ポケット部に収容された内容物である表向き内容物と、
前記底壁部側に前記第二印字部が位置するようにして前記ポケット部に収容された内容物である裏向き内容物とを有することを特徴とするブリスタシート。
【請求項2】
前記表向き内容物における前記第一印字部の向きと、前記裏向き内容物における前記第二印字部の向きとが合うように構成されており、
前記ポケット部に収容された内容物の回転及び反転を規制可能に構成されていることを特徴とする請求項1に記載のブリスタシート。
【請求項3】
前記表向き内容物及び前記裏向き内容物が対となって並んだ状態で設けられていることを特徴とする請求項1又は2に記載のブリスタシート。
【請求項4】
複数のシート小片に切離し可能とするための分割ラインを有し、
前記シート小片に、前記表向き内容物及び前記裏向き内容物の双方が含まれるように構成されていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載のブリスタシート。
【請求項5】
前記表向き内容物における前記第二印字部、及び、前記裏向き内容物における前記第一印字部のうちの少なくとも一方は、前記側壁部を通して視認可能に構成されていることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載のブリスタシート。
【請求項6】
透明又は半透明の容器フィルムに形成された、それぞれ底壁部及び側壁部を有する複数のポケット部のそれぞれに内容物が収容されるとともに、該ポケット部を塞ぐように前記容器フィルムに対しカバーフィルムが取着されてなるブリスタシートを製造するためのブリスタ包装機であって、
搬送される帯状の前記容器フィルムの前記ポケット部に対し、内容物を充填する充填手段と、
前記ポケット部に内容物が充填された前記容器フィルムに対し、前記ポケット部を塞ぐようにして帯状の前記カバーフィルムを取着する取着手段と、
前記容器フィルムに前記カバーフィルムが取着されてなる帯状のブリスタフィルムからブリスタシートを切離す切離手段とを備え、
前記充填手段は、
内容物を吸着搬送するとともに、所定の充填ポジションにて該内容物の吸着を解除することで、前記充填ポジションへと搬送されてきた前記容器フィルムの前記ポケット部へと該内容物を充填可能に構成された搬送手段と、
前記搬送手段により吸着搬送されている内容物の表面に対し文字情報からなる第一印字部を印字するとともに、該内容物の裏面に対し前記第一印字部とは内容の異なる文字情報からなる第二印字部を印字する印字手段とを備え、
前記充填手段は、最終的に得られるブリスタシートにおいて、前記底壁部側に前記第一印字部が位置する内容物である表向き内容物と、前記底壁部側に前記第二印字部が位置する内容物である裏向き内容物とが存在するように、前記ポケット部に内容物を充填することを特徴とするブリスタ包装機。
【請求項7】
前記充填手段は、前記表向き内容物における前記第一印字部の向きと、前記裏向き内容物における前記第二印字部の向きとが合うようにして前記ポケット部に内容物を充填することを特徴とする請求項6に記載のブリスタ包装機。
【請求項8】
前記充填手段よりも上流において、帯状の前記容器フィルムに対し前記ポケット部を形成するポケット部形成手段を備え、
前記ポケット部形成手段は、収容される内容物の回転及び反転を規制可能な形状を有してなる前記ポケット部を形成することを特徴とする請求項6又は7に記載のブリスタ包装機。
【請求項9】
前記充填手段は、最終的に得られるブリスタシートにおいて、前記表向き内容物及び前記裏向き内容物が対となって並んだ状態となるように、前記ポケット部に内容物を充填することを特徴とする請求項6乃至8のいずれか1項に記載のブリスタ包装機。
【請求項10】
ブリスタシートは、複数のシート小片に切離し可能とするための分割ラインを有し、
前記充填手段は、前記シート小片に、前記表向き内容物及び前記裏向き内容物の双方が含まれるように内容物の充填を行うことを特徴とする請求項6乃至9のいずれか1項に記載のブリスタ包装機。
【請求項11】
前記搬送手段は、内容物の搬送方向と直交する方向に沿って複数の内容物を並べた状態で、各列の内容物を前記印字手段へと順次搬送していくように構成されており、
前記印字手段は、
前記搬送手段によって1列分の内容物が搬送されてくる度に、これら内容物に対し、前記第一印字部の印字及び前記第二印字部の印字を交互に行う上流側印字手段と、
前記上流側印字手段よりも下流において、前記搬送手段によって1列分の内容物が搬送されてくる度に、これら内容物に対し、前記第一印字部の印字及び前記第二印字部の印字を交互に行う下流側印字手段とを備え、
前記充填手段は、前記下流側印字手段よりも下流において、1列分の内容物の吸着搬送を解除することで、これら内容物を前記容器フィルムの幅方向に並ぶ複数の前記ポケット部へと充填するように構成されていることを特徴とする請求項6乃至10のいずれか1項に記載のブリスタ包装機。
【請求項12】
前記搬送手段は、内容物の搬送方向と直交する方向に沿って複数の内容物を並べた状態で、各列の内容物を前記印字手段へと順次搬送していくように構成されており、
前記印字手段は、
前記搬送手段によって1列分の内容物が搬送されてくる度に、これら内容物のうちの少なくとも1つに対し前記第一印字部の印字を行うとともに、これら内容物のうちの残りに対し前記第二印字部の印字を行う上流側印字手段と、
前記上流側印字手段よりも下流において、前記搬送手段によって1列分の内容物が搬送されてくる度に、これら内容物のうちの前記第一印字部が印字されたものに対し前記第二印字部の印字を行うとともに、これら内容物のうちの前記第二印字部が印字されたものに対し前記第一印字部の印字を行う下流側印字手段とを備え、
前記充填手段は、前記下流側印字手段よりも下流において、1列分の内容物の吸着搬送を解除することで、これら内容物を前記容器フィルムの幅方向に並ぶ複数の前記ポケット部へと充填するように構成されていることを特徴とする請求項6乃至10のいずれか1項に記載のブリスタ包装機。
【請求項13】
透明又は半透明の容器フィルムに形成された、それぞれ底壁部及び側壁部を有する複数のポケット部のそれぞれに内容物が収容されるとともに、該ポケット部を塞ぐように前記容器フィルムに対しカバーフィルムが取着されてなるブリスタシートの製造方法であって、
搬送される帯状の前記容器フィルムの前記ポケット部に対し、内容物を充填する充填工程と、
前記ポケット部に内容物が充填された前記容器フィルムに対し、前記ポケット部を塞ぐようにして帯状の前記カバーフィルムを取着する取着工程と、
前記容器フィルムに前記カバーフィルムが取着されてなる帯状のブリスタフィルムからブリスタシートを切離す切離工程とを備え、
前記充填工程は、
内容物を吸着搬送するとともに、所定の充填ポジションにて該内容物の吸着を解除することで、前記充填ポジションへと搬送されてきた前記容器フィルムの前記ポケット部へと該内容物を充填する搬送工程と、
前記搬送工程において吸着搬送されている内容物の表面に対し文字情報からなる第一印字部を印字するとともに、該内容物の裏面に対し前記第一印字部とは内容の異なる文字情報からなる第二印字部を印字する印字工程とを備え、
前記充填工程では、最終的に得られるブリスタシートにおいて、前記底壁部側に前記第一印字部が位置する内容物である表向き内容物と、前記底壁部側に前記第二印字部が位置する内容物である裏向き内容物とが存在するように、前記ポケット部に内容物を充填することを特徴とするブリスタシートの製造方法。
【請求項14】
前記充填工程では、前記表向き内容物における前記第一印字部の向きと、前記裏向き内容物における前記第二印字部の向きとが合うようにして前記ポケット部に内容物を充填することを特徴とする請求項13に記載のブリスタシートの製造方法。
【請求項15】
前記充填工程よりも前段階において、帯状の前記容器フィルムに対し前記ポケット部を形成するポケット部形成工程を含み、
前記ポケット部形成工程では、収容される内容物の回転及び反転を規制可能な形状を有してなる前記ポケット部を形成することを特徴とする請求項13又は14に記載のブリスタシートの製造方法。
【請求項16】
前記充填工程では、最終的に得られるブリスタシートにおいて、前記表向き内容物及び前記裏向き内容物が対となって並んだ状態となるように、前記ポケット部に内容物を充填することを特徴とする請求項13乃至15のいずれか1項に記載のブリスタシートの製造方法。
【請求項17】
ブリスタシートは、複数のシート小片に切離し可能とするための分割ラインを有し、
前記充填工程では、前記シート小片に、前記表向き内容物及び前記裏向き内容物の双方が含まれるように内容物の充填を行うことを特徴とする請求項13乃至16のいずれか1項に記載のブリスタシートの製造方法。
【請求項18】
前記搬送工程では、内容物の搬送方向と直交する方向に沿って複数の内容物を並べた状態で、各列の内容物を前記印字工程の実行ポジションへと順次搬送していき、
前記印字工程は、
1列分の内容物が搬送されてくる度に、これら内容物に対し、前記第一印字部の印字及び前記第二印字部の印字を交互に行う上流側印字工程と、
前記上流側印字工程よりも後段階において、1列分の内容物が搬送されてくる度に、これら内容物に対し、前記第一印字部の印字及び前記第二印字部の印字を交互に行う下流側印字工程とを含み、
前記充填工程では、前記下流側印字工程よりも後段階において、1列分の内容物の吸着搬送を解除することで、これら内容物を前記容器フィルムの幅方向に並ぶ複数の前記ポケット部へと充填することを特徴とする請求項13乃至17のいずれか1項に記載のブリスタシートの製造方法。
【請求項19】
前記搬送工程では、内容物の搬送方向と直交する方向に沿って複数の内容物を並べた状態で、各列の内容物を前記印字工程の実行ポジションへと順次搬送していき、
前記印字工程は、
1列分の内容物が搬送されてくる度に、これら内容物のうちの少なくとも1つに対し前記第一印字部の印字を行うとともに、これら内容物のうちの残りに対し前記第二印字部の印字を行う上流側印字工程と、
前記上流側印字工程よりも後段階において、1列分の内容物が搬送されてくる度に、これら内容物のうちの前記第一印字部が印字されたものに対し前記第二印字部の印字を行うとともに、これら内容物のうちの前記第二印字部が印字されたものに対し前記第一印字部の印字を行う下流側印字工程とを含み、
前記充填工程では、前記下流側印字工程よりも後段階において、1列分の内容物の吸着搬送を解除することで、これら内容物を前記容器フィルムの幅方向に並ぶ複数の前記ポケット部へと充填することを特徴とする請求項13乃至17のいずれか1項に記載のブリスタシートの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、錠剤などの内容物を収容してなるブリスタシート及びその製造方法、並びに、ブリスタシートを製造するためのブリスタ包装機に関する。
【背景技術】
【0002】
医薬品等の分野においては、例えばPTP(プレススルーパック)シートなどのブリスタシートが用いられている。ブリスタシートは、錠剤などの内容物が収容されるポケット部を有する容器フィルムと、その容器フィルムに対しポケット部の開口側を密封するように取着されるカバーフィルムとを備えている。
【0003】
一般に容器フィルムは、透明又は半透明の材料によって形成されており、ポケット部の突出側からブリスタシートを見たときに、ポケット部内の内容物を視認可能に構成されている。また、ポケット部は、底壁部及び側壁部を備えている。底壁部は、ポケット部における膨出頂部を含む部位であり、ポケット部の底部分を構成する。側壁部は、容器フィルムにおけるカバーフィルムが取着される平坦部分(フランジ部)と前記底壁部とを連接する環状部位であり、ポケット部の側面部分を構成する。
【0004】
ブリスタシートは、ブリスタ包装機によって製造することができる。ブリスタ包装機は、搬送される帯状の容器フィルムに対しポケット部を形成する手段、該ポケット部に内容物を充填する手段、ポケット部の開口側を密封するように容器フィルムに対し帯状のカバーフィルムを取着する手段、容器フィルム及びカバーフィルムからなる帯状のブリスタフィルムをブリスタシート単位に打ち抜く手段等を備えている。
【0005】
近年では、インクジェット方式などを採用した印字手段を用いて文字や記号などの文字情報を印字することにより、表面又は裏面に印字部を形成した内容物も見受けられる。
【0006】
また、内容物に印字部を形成する印字手段と、印字部の形成された面が底壁部側に位置するようにポケット部へと内容物を充填する充填手段とを備えてなるブリスタ包装機が知られている(例えば、特許文献1等参照)。このブリスタ包装機によれば、全てのポケット部において同一内容の印字部が底壁部側に位置しており、ポケット部の突出側から該印字部を視認可能なブリスタシートを得ることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、上記特許文献1に記載の技術では、印字部によって外部に表示される情報は、内容物の表面又は裏面のみにおいて表現可能なものに限られる。従って、印字部によって外部に表示される情報量が少なくなるおそれがある。
【0009】
そこで、情報量の増大を図るべく、カバーフィルムに対し両印字部のうち底壁部とは反対側に位置する側の情報(つまり外部から視認不能又は困難な印字部の情報)を付すことが考えられる。しかしながら、この場合には、ブリスタシートの製造に係る生産性の低下やコスト増大を招くおそれがある。
【0010】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、印字部によって外部に表示される情報量をより増大させること等が可能なブリスタシート等を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
以下、上記目的を解決するのに適した各手段につき、項分けして説明する。なお、必要に応じて対応する手段に特有の作用効果を付記する。
【0012】
手段1.透明又は半透明の容器フィルムに形成された、それぞれ底壁部及び側壁部を有する複数のポケット部のそれぞれに内容物が収容されるとともに、該ポケット部を塞ぐように前記容器フィルムに対しカバーフィルムが取着されてなるブリスタシートであって、
内容物は、表面に印字された文字情報からなる第一印字部、及び、裏面に印字されるとともに前記第一印字部とは内容の異なる文字情報からなる第二印字部を備え、
前記底壁部側に前記第一印字部が位置するようにして前記ポケット部に収容された内容物である表向き内容物と、
前記底壁部側に前記第二印字部が位置するようにして前記ポケット部に収容された内容物である裏向き内容物とを有することを特徴とするブリスタシート。
【0013】
尚、「文字情報」とは、文字や記号によって構成された情報をいう。
【0014】
上記手段1によれば、ブリスタシートは、ポケット部の底壁部側に第一印字部(表面)が位置する表向き内容物と、底壁部側に第二印字部(裏面)が位置する裏向き内容物とを有している。従って、透明又は半透明のポケット部を通して、外部から第一印字部及び第二印字部の双方を視認可能とすることができる。これにより、印字部によって外部に表示される情報量をより増大させることができ、ブリスタシート(内容物)の使用や管理に係る利便性の向上を図ることができる。
【0015】
さらに、上記手段1によれば、両印字部が視認可能となることから、カバーフィルムに印字部の情報を付す必要がなくなる。従って、ブリスタシートの製造に係る生産性向上やコスト低減を効果的に図ることができる。
【0016】
手段2.前記表向き内容物における前記第一印字部の向きと、前記裏向き内容物における前記第二印字部の向きとが合うように構成されており、
前記ポケット部に収容された内容物の回転及び反転を規制可能に構成されていることを特徴とする手段1に記載のブリスタシート。
【0017】
尚、第一印字部や第二印字部の向きとあるのは、これら印字部の文字情報を読む方向をいう(以下同様)。また、内容物の回転とあるのは、印字部の文字情報を読む方向が大きく(例えば90度以上)変化するように内容物が回転することをいい、内容物の反転とあるのは、内容物の表面及び裏面が入れ替わるように内容物が回転することをいう(後述する手段8,15においても同様)。
【0018】
上記手段2によれば、表向き内容物における第一印字部の向きと裏向き内容物における第二印字部の向きとが合わせられるとともに、表向き内容物や裏向き内容物が表裏反転したり回転したりすることを防止可能とされている。従って、外部から第一印字部及び第二印字部の双方を視認可能な状態を確実に維持することができるとともに、第一印字部や第二印字部を構成する文字情報を整列させて、該文字情報をより判読しやすくすることができる。その結果、ブリスタシート(内容物)の使用や管理に係る利便性をより効果的に高めることができる。
【0019】
手段3.前記表向き内容物及び前記裏向き内容物が対となって並んだ状態で設けられていることを特徴とする手段1又は2に記載のブリスタシート。
【0020】
上記手段3によれば、表向き内容物及び裏向き内容物が対となって並んだ状態とされる。従って、第一印字部及び第二印字部の双方を一度に視界に入れることがより確実に可能となり、これら印字部による各情報をまとめて把握することが容易になる。また、使用者等においては、表向き内容物及び裏向き内容物がセットとなって情報を表示していることが分かりやすくなり、使用者等に情報の表示意図が伝わりやすくなる。さらに、使用者等においては、意図的に両印字部が視認可能となるように内容物が収容されている点も分かりやすくなるため、視認される印字部の内容が異なることに起因して不適切な内容物が収容されているのではないかといった不安感が生じることをより確実に防止できる。
【0021】
手段4.複数のシート小片に切離し可能とするための分割ラインを有し、
前記シート小片に、前記表向き内容物及び前記裏向き内容物の双方が含まれるように構成されていることを特徴とする手段1乃至3のいずれかに記載のブリスタシート。
【0022】
上記手段4によれば、各シート小片には表向き内容物及び裏向き内容物がそれぞれ含まれる。従って、シート小片の状態で内容物を使用したり管理したりするときであっても、第一印字部及び第二印字部の双方を確認することができる。これにより、利便性の更なる向上を図ることができる。
【0023】
手段5.前記表向き内容物における前記第二印字部、及び、前記裏向き内容物における前記第一印字部のうちの少なくとも一方は、前記側壁部を通して視認可能に構成されていることを特徴とする手段1乃至4のいずれかに記載のブリスタシート。
【0024】
上記手段5によれば、ポケット部の側壁部を通して、第一印字部及び第二印字部のうち底壁部とは反対側に位置するものの少なくとも一部を確認することができる。従って、例えば、底壁部を通して視認される印字部の内容が異なることに起因して不適切な内容物が収容されているのではないかといった疑問が仮に生じた場合であっても、ポケット部から内容物を取り出さずに、底壁部や側壁部を通し各錠剤の両印字部を見て、適切な内容物が収容されているか否かを確認することができる。これにより、利便性の向上を一層図ることができる。
【0025】
手段6.透明又は半透明の容器フィルムに形成された、それぞれ底壁部及び側壁部を有する複数のポケット部のそれぞれに内容物が収容されるとともに、該ポケット部を塞ぐように前記容器フィルムに対しカバーフィルムが取着されてなるブリスタシートを製造するためのブリスタ包装機であって、
搬送される帯状の前記容器フィルムの前記ポケット部に対し、内容物を充填する充填手段と、
前記ポケット部に内容物が充填された前記容器フィルムに対し、前記ポケット部を塞ぐようにして帯状の前記カバーフィルムを取着する取着手段と、
前記容器フィルムに前記カバーフィルムが取着されてなる帯状のブリスタフィルムからブリスタシートを切離す切離手段とを備え、
前記充填手段は、
内容物を吸着搬送するとともに、所定の充填ポジションにて該内容物の吸着を解除することで、前記充填ポジションへと搬送されてきた前記容器フィルムの前記ポケット部へと該内容物を充填可能に構成された搬送手段と、
前記搬送手段により吸着搬送されている内容物の表面に対し文字情報からなる第一印字部を印字するとともに、該内容物の裏面に対し前記第一印字部とは内容の異なる文字情報からなる第二印字部を印字する印字手段とを備え、
前記充填手段は、最終的に得られるブリスタシートにおいて、前記底壁部側に前記第一印字部が位置する内容物である表向き内容物と、前記底壁部側に前記第二印字部が位置する内容物である裏向き内容物とが存在するように、前記ポケット部に内容物を充填することを特徴とするブリスタ包装機。
【0026】
上記手段6によれば、上記手段1と同様の作用効果が奏されることとなる。
【0027】
手段7.前記充填手段は、前記表向き内容物における前記第一印字部の向きと、前記裏向き内容物における前記第二印字部の向きとが合うようにして前記ポケット部に内容物を充填することを特徴とする手段6に記載のブリスタ包装機。
【0028】
上記手段7によれば、表向き内容物における第一印字部の向き(文字情報を読む方向)と、裏向き内容物における第二印字部の向きとが合うようにして、ポケット部に内容物が充填される。従って、得られたブリスタシートにおいて第一印字部や第二印字部の判読容易性をより高めることができ、ブリスタシート(内容物)の使用や管理に係る利便性を一層向上させることができる。
【0029】
手段8.前記充填手段よりも上流において、帯状の前記容器フィルムに対し前記ポケット部を形成するポケット部形成手段を備え、
前記ポケット部形成手段は、収容される内容物の回転及び反転を規制可能な形状を有してなる前記ポケット部を形成することを特徴とする手段6又は7に記載のブリスタ包装機。
【0030】
尚、ポケット部は、容器フィルムへとカバーフィルムが取着された状態となったときに、収容された内容物の回転及び反転を規制可能な形状であればよい(後述する手段15においても同様)。
【0031】
上記手段8によれば、外部から第一印字部及び第二印字部の双方を視認可能な状態を確実に維持することができる。また、上記手段7の構成を合わせて採用する場合には、上記手段2と同様の作用効果が奏される。
【0032】
手段9.前記充填手段は、最終的に得られるブリスタシートにおいて、前記表向き内容物及び前記裏向き内容物が対となって並んだ状態となるように、前記ポケット部に内容物を充填することを特徴とする手段6乃至8のいずれかに記載のブリスタ包装機。
【0033】
上記手段9によれば、上記手段3と同様の作用効果が奏される。
【0034】
手段10.ブリスタシートは、複数のシート小片に切離し可能とするための分割ラインを有し、
前記充填手段は、前記シート小片に、前記表向き内容物及び前記裏向き内容物の双方が含まれるように内容物の充填を行うことを特徴とする手段6乃至9のいずれかに記載のブリスタ包装機。
【0035】
上記手段10によれば、上記手段4と同様の作用効果が奏される。
【0036】
手段11.前記搬送手段は、内容物の搬送方向と直交する方向に沿って複数の内容物を並べた状態で、各列の内容物を前記印字手段へと順次搬送していくように構成されており、
前記印字手段は、
前記搬送手段によって1列分の内容物が搬送されてくる度に、これら内容物に対し、前記第一印字部の印字及び前記第二印字部の印字を交互に行う上流側印字手段と、
前記上流側印字手段よりも下流において、前記搬送手段によって1列分の内容物が搬送されてくる度に、これら内容物に対し、前記第一印字部の印字及び前記第二印字部の印字を交互に行う下流側印字手段とを備え、
前記充填手段は、前記下流側印字手段よりも下流において、1列分の内容物の吸着搬送を解除することで、これら内容物を前記容器フィルムの幅方向に並ぶ複数の前記ポケット部へと充填するように構成されていることを特徴とする手段6乃至10のいずれかに記載のブリスタ包装機。
【0037】
上記手段11によれば、1列分の内容物が搬送されてくる度に、上流側印字手段によって、これら内容物に対し第一印字部及び第二印字部が交互に印字される。そして、上流側印字手段よりも下流において、1列分の内容物が搬送されてくる度に、下流側印字手段によって、内容物に対し第一印字部及び第二印字部(より詳しくは、両印字部のうち該内容物に印字されていない方の印字部)が交互に印字される。これにより、下流側印字手段よりも下流では、搬送手段によって、表面(第一印字部のある面)が吸着された内容物の列と裏面(第二印字部のある面)が吸着された内容物の列とが搬送方向に沿って交互に位置するようにして内容物が搬送される。そして、所定の充填ポジションにて1列分の内容物の吸着が解除されることで、これら内容物が容器フィルムの幅方向に並ぶ複数のポケット部へと充填される。従って、1列分の内容物は表裏を交互に入れ換えつつポケット部へと充填されることとなり、表向き内容物及び裏向き内容物を有するブリスタシートをより容易に得ることができる。また、このようなブリスタシートを製造するにあたって、充填手段の構造を複雑化させる必要がないため、ブリスタ包装機の製造やメンテナンス等に係るコストの増大抑制を効果的に図ることができる。
【0038】
さらに、印字手段が、インクを吐出可能な複数の吐出ノズルを有してなる印字ヘッドを備えた、インクジェット方式の装置により構成されており、複数の吐出ノズルのうちの選択・制御されたものがインクを吐出することによって、内容物における任意の位置に印字を施すものである場合には、上記手段11によって次のような作用効果をも得ることができる。すなわち、上記手段11によれば、上流側印字手段及び下流側印字手段は、それぞれ第一印字部及び第二印字部の双方を交互に印字するため、各吐出ノズルがインクの吐出対象として選択されやすくなる。従って、インクの固形化や増粘等による吐出ノズルの目詰まり不良を効果的に抑制して、印字不良の発生をより確実に防止することができる。また、吐出ノズルの目詰まりが生じにくくなることで、印字手段のクリーニング頻度を低くすることができる。これらの結果、ブリスタシートの生産に係るコストの低減や生産速度の一層の向上を図ることができる。
【0039】
手段12.前記搬送手段は、内容物の搬送方向と直交する方向に沿って複数の内容物を並べた状態で、各列の内容物を前記印字手段へと順次搬送していくように構成されており、
前記印字手段は、
前記搬送手段によって1列分の内容物が搬送されてくる度に、これら内容物のうちの少なくとも1つに対し前記第一印字部の印字を行うとともに、これら内容物のうちの残りに対し前記第二印字部の印字を行う上流側印字手段と、
前記上流側印字手段よりも下流において、前記搬送手段によって1列分の内容物が搬送されてくる度に、これら内容物のうちの前記第一印字部が印字されたものに対し前記第二印字部の印字を行うとともに、これら内容物のうちの前記第二印字部が印字されたものに対し前記第一印字部の印字を行う下流側印字手段とを備え、
前記充填手段は、前記下流側印字手段よりも下流において、1列分の内容物の吸着搬送を解除することで、これら内容物を前記容器フィルムの幅方向に並ぶ複数の前記ポケット部へと充填するように構成されていることを特徴とする手段6乃至10のいずれかに記載のブリスタ包装機。
【0040】
上記手段12によれば、1列分の内容物が搬送されてくる度に、上流側印字手段によって、これら内容物の少なくとも1つに対し第一印字部が印字され、残りの内容物に対し第二印字部が印字される。そして、上流側印字手段よりも下流では、1列分の内容物が搬送されてくる度に、下流側印字手段によって、これら内容物のうちの第一印字部が印字されたものに対し第二印字部が印字され、これら内容物のうちの第二印字部が印字されたものに対し第一印字部が印字される。これにより、下流側印字手段よりも下流では、搬送手段によって、表面(第一印字部のある面)が吸着された内容物と裏面(第二印字部のある面)が吸着された内容物とが各列中に存在した状態で内容物が搬送される。そして、所定の充填ポジションにて1列分の内容物の吸着が解除されることで、これら内容物が容器フィルムの幅方向に並ぶ複数のポケット部へと充填される。従って、表向き内容物及び裏向き内容物を有するブリスタシートをより容易に得ることができる。また、このようなブリスタシートを製造するにあたって、充填手段の構造を複雑化させる必要がないため、ブリスタ包装機の製造やメンテナンス等に係るコストの増大抑制を効果的に図ることができる。
【0041】
尚、上流側印字手段及び下流側印字手段が、列中の所定位置にある内容物に対し常に第一印字部及び第二印字部のうちの一方のみを印字するように構成してもよい。例えば、5つの内容物によって1列が構成される場合、上流側印字手段が、両端及び中央に位置する3つの内容物に第一印字部を印字するとともに、それ以外の内容物に第二印字部を印字し、また、下流側印字手段が、両端及び中央に位置する3つの内容物に第二印字部を印字するとともに、それ以外の内容物に第一印字部を印字するようにしてもよい。
【0042】
手段13.透明又は半透明の容器フィルムに形成された、それぞれ底壁部及び側壁部を有する複数のポケット部のそれぞれに内容物が収容されるとともに、該ポケット部を塞ぐように前記容器フィルムに対しカバーフィルムが取着されてなるブリスタシートの製造方法であって、
搬送される帯状の前記容器フィルムの前記ポケット部に対し、内容物を充填する充填工程と、
前記ポケット部に内容物が充填された前記容器フィルムに対し、前記ポケット部を塞ぐようにして帯状の前記カバーフィルムを取着する取着工程と、
前記容器フィルムに前記カバーフィルムが取着されてなる帯状のブリスタフィルムからブリスタシートを切離す切離工程とを備え、
前記充填工程は、
内容物を吸着搬送するとともに、所定の充填ポジションにて該内容物の吸着を解除することで、前記充填ポジションへと搬送されてきた前記容器フィルムの前記ポケット部へと該内容物を充填する搬送工程と、
前記搬送工程において吸着搬送されている内容物の表面に対し文字情報からなる第一印字部を印字するとともに、該内容物の裏面に対し前記第一印字部とは内容の異なる文字情報からなる第二印字部を印字する印字工程とを備え、
前記充填工程では、最終的に得られるブリスタシートにおいて、前記底壁部側に前記第一印字部が位置する内容物である表向き内容物と、前記底壁部側に前記第二印字部が位置する内容物である裏向き内容物とが存在するように、前記ポケット部に内容物を充填することを特徴とするブリスタシートの製造方法。
【0043】
上記手段13によれば、上記手段6と同様の作用効果が奏されることとなる。
【0044】
手段14.前記充填工程では、前記表向き内容物における前記第一印字部の向きと、前記裏向き内容物における前記第二印字部の向きとが合うようにして前記ポケット部に内容物を充填することを特徴とする手段13に記載のブリスタシートの製造方法。
【0045】
上記手段14によれば、上記手段7と同様の作用効果が奏されることとなる。
【0046】
手段15.前記充填工程よりも前段階において、帯状の前記容器フィルムに対し前記ポケット部を形成するポケット部形成工程を含み、
前記ポケット部形成工程では、収容される内容物の回転及び反転を規制可能な形状を有してなる前記ポケット部を形成することを特徴とする手段13又は14に記載のブリスタシートの製造方法。
【0047】
上記手段15によれば、上記手段8と同様の作用効果が奏されることとなる。
【0048】
手段16.前記充填工程では、最終的に得られるブリスタシートにおいて、前記表向き内容物及び前記裏向き内容物が対となって並んだ状態となるように、前記ポケット部に内容物を充填することを特徴とする手段13乃至15のいずれかに記載のブリスタシートの製造方法。
【0049】
上記手段16によれば、上記手段9と同様の作用効果が奏されることとなる。
【0050】
手段17.ブリスタシートは、複数のシート小片に切離し可能とするための分割ラインを有し、
前記充填工程では、前記シート小片に、前記表向き内容物及び前記裏向き内容物の双方が含まれるように内容物の充填を行うことを特徴とする手段13乃至16のいずれかに記載のブリスタシートの製造方法。
【0051】
上記手段17によれば、上記手段10と同様の作用効果が奏されることとなる。
【0052】
手段18.前記搬送工程では、内容物の搬送方向と直交する方向に沿って複数の内容物を並べた状態で、各列の内容物を前記印字工程の実行ポジションへと順次搬送していき、
前記印字工程は、
1列分の内容物が搬送されてくる度に、これら内容物に対し、前記第一印字部の印字及び前記第二印字部の印字を交互に行う上流側印字工程と、
前記上流側印字工程よりも後段階において、1列分の内容物が搬送されてくる度に、これら内容物に対し、前記第一印字部の印字及び前記第二印字部の印字を交互に行う下流側印字工程とを含み、
前記充填工程では、前記下流側印字工程よりも後段階において、1列分の内容物の吸着搬送を解除することで、これら内容物を前記容器フィルムの幅方向に並ぶ複数の前記ポケット部へと充填することを特徴とする手段13乃至17のいずれかに記載のブリスタシートの製造方法。
【0053】
上記手段18によれば、上記手段11と同様の作用効果が奏されることとなる。
【0054】
手段19.前記搬送工程では、内容物の搬送方向と直交する方向に沿って複数の内容物を並べた状態で、各列の内容物を前記印字工程の実行ポジションへと順次搬送していき、
前記印字工程は、
1列分の内容物が搬送されてくる度に、これら内容物のうちの少なくとも1つに対し前記第一印字部の印字を行うとともに、これら内容物のうちの残りに対し前記第二印字部の印字を行う上流側印字工程と、
前記上流側印字工程よりも後段階において、1列分の内容物が搬送されてくる度に、これら内容物のうちの前記第一印字部が印字されたものに対し前記第二印字部の印字を行うとともに、これら内容物のうちの前記第二印字部が印字されたものに対し前記第一印字部の印字を行う下流側印字工程とを含み、
前記充填工程では、前記下流側印字工程よりも後段階において、1列分の内容物の吸着搬送を解除することで、これら内容物を前記容器フィルムの幅方向に並ぶ複数の前記ポケット部へと充填することを特徴とする手段13乃至17のいずれかに記載のブリスタシートの製造方法。
【0055】
上記手段19によれば、上記手段12と同様の作用効果が奏されることとなる。
【図面の簡単な説明】
【0056】
【
図1】第1実施形態におけるPTPシートを示す斜視図である。
【
図3】表面側から見たときにおける錠剤の斜視図である。
【
図4】裏面側から見たときにおける錠剤の斜視図である。
【
図5】第1実施形態において、容器フィルム側から見たときにおけるPTPシートの平面図である。
【
図6】第1実施形態におけるPTPフィルムを示す斜視図である。
【
図7】PTP包装機の概略構成を示す模式図である。
【
図8】錠剤充填装置の概略構成を示す部分断面模式図である。
【
図9】第一ドラム及び第二ドラムの概略構成を示す斜視模式図である。
【
図10】印字ヘッドの概略構成を示す模式図である。
【
図11】第1実施形態において、上流側印字装置側から見たときにおける第一ドラムや錠剤を示す側面模式図である。
【
図12】第1実施形態において、下流側印字装置側から見たときにおける第二ドラムや錠剤などを示す側面模式図である。
【
図13】第1実施形態において、ポケット部に収容される錠剤の様子を示す斜視模式図である。
【
図14】第2実施形態において、容器フィルム側から見たときにおけるPTPシートの平面図である。
【
図15】第2実施形態において、上流側印字装置側から見たときにおける第一ドラムや錠剤を示す側面模式図である。
【
図16】第2実施形態において、下流側印字装置側から見たときにおける第二ドラムや錠剤などを示す側面模式図である。
【
図17】別の実施形態におけるPTPシートの斜視図である。
【
図18】別の実施形態において、容器フィルム側から見たときにおけるPTPシートの平面図である。
【
図19】別の実施形態において、ポケット部を側面視した状態を示す側面模式図である。
【
図20】別の実施形態における供給シュート等の概略構成を示す部分断面模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0057】
以下に、実施形態について図面を参照しつつ説明する。
〔第1実施形態〕
まず、PTPシートの構成について詳しく説明する。
図1,2に示すように、PTPシート1は、複数のポケット部2を備えた容器フィルム3と、ポケット部2を塞ぐようにして容器フィルム3に取着されたカバーフィルム4とを有している。本実施形態では、PTPシート1が「ブリスタシート」に相当する。
【0058】
容器フィルム3は、例えばPP(ポリプロピレン)やPVC(ポリ塩化ビニル)等からなる透明又は半透明の熱可塑性樹脂材料により形成されており、透光性を有している。つまり、容器フィルム3は、外部からポケット部2の内部を視認可能とされている。また、容器フィルム3は、ポケット部2の開口側端部から外側に延出形成されており、カバーフィルム4の取着対象となる平坦状のフランジ部3aを有している。尚、ポケット部2は、フランジ部3aとほぼ平行な長円板状をなし、ポケット部2の膨出頂部を含む底壁部2aと、該底壁部2aの外周部及びフランジ部3aを連接する環状の側壁部2bとを備えている。
【0059】
カバーフィルム4は、例えばPP樹脂等からなるシーラントが表面に設けられた不透明材料(例えばアルミニウム箔等)により構成されている。尚、各フィルム3,4の材料は、これらに限定されるものではなく、他の材質のものを採用してもよい。
【0060】
PTPシート1は、帯状の容器フィルム3及び帯状のカバーフィルム4から形成された帯状のPTPフィルム6(
図6参照)がシート状に打抜かれることによって製造されるものであり、平面視略矩形状に形成されている。本実施形態では、PTPフィルム6が「ブリスタフィルム」を構成する。
【0061】
PTPシート1には、その長手方向に沿って配列された5個のポケット部2からなるポケット列が、その短手方向に2列形成されている。つまり、計10個のポケット部2が形成されている。各ポケット部2には、「内容物」としての錠剤5が1つずつ収容されている。
【0062】
本実施形態における錠剤5は、平面視長円状をなす素錠であって、側面5aと、該側面5aを挟む表面5b及び裏面5cとを有した構成となっている。尚、表面5b及び裏面5cは、側面5aとの境界部を面取りするテーパ部分をそれぞれ備えている。
【0063】
さらに、
図3及び
図4に示すように、錠剤5における表面5bには、文字情報(文字や記号)からなる第一印字部5fが印字されている。一方、錠剤5における裏面5cには、第一印字部5fとは異なる内容の文字情報からなる第二印字部5gが印字されている。文字情報としては、「製品名」、「含量」、「剤形」、「製造元」及び「ロット番号」などを挙げることができる。
【0064】
加えて、PTPシート1は、
図5に示すように、前記底壁部2a側に第一印字部5fが位置するように収容された錠剤5である表向き錠剤5xと、前記底壁部2a側に第二印字部5gが位置するように収容された錠剤5である裏向き錠剤5yとを備えた構成となっている。本実施形態では、表向き錠剤5xが「表向き内容物」を構成し、裏向き錠剤5yが「裏向き内容物」を構成する。容器フィルム3側からPTPシート1を見たときには、少なくとも底壁部2aを通して第一印字部5f及び第二印字部5gの双方を視認可能となっている。
【0065】
加えて、表向き錠剤5x及び裏向き錠剤5yは、対となってPTPシート1の短手方向に並んだ状態で設けられている。さらに、PTPシート1において、各表向き錠剤5xにおける第一印字部5fの向き(つまり文字情報を読む方向)と、各裏向き錠剤5yにおける第二印字部5gの向きとが合うように構成されている。
【0066】
また、容器フィルム3には、PTPシート1を2つのポケット部2が含まれるシート小片7に分割する(切離す)ための複数の分割ライン3bが形成されている。本実施形態において、分割ライン3bは、PTPシート1の短辺方向に延びる溝(スリット)によって構成されている。尚、複数の貫通孔を間隔をあけて直線状に配設してなるミシン目によって分割ライン3bを構成してもよい。
【0067】
加えて、PTPシート1を複数のシート小片7に分割した際には、各シート小片7に、表向き錠剤5x及び裏向き錠剤5yの双方が含まれるように構成されている。本実施形態では、各シート小片7に、対となって並んだ状態の表向き錠剤5x及び裏向き錠剤5yが1つずつ含まれるように構成されている。
【0068】
さらに、ポケット部2の内側面形状は、錠剤5の形状に対応する形状(例えば、錠剤5の形状を1回り大きくした形状に近い形状)をなしている。そのため、ポケット部2は、容器フィルム3にカバーフィルム4が取着された状態において、収容された錠剤5の反転及び回転を規制可能とされている。
【0069】
次に、上記PTPシート1を製造するPTP包装機10の概略構成について
図7を参照して説明する。本実施形態では、PTP包装機10が「ブリスタ包装機」に相当する。
【0070】
図7に示すように、PTP包装機10の最上流側では、帯状の容器フィルム3の原反がロール状に巻回されている。ロール状に巻回された容器フィルム3の引出し端側は、ガイドロール13に案内されている。容器フィルム3は、ガイドロール13の下流側において間欠送りロール14に掛装されている。間欠送りロール14は、間欠的に回転するモータに連結されており、容器フィルム3を間欠的に搬送する。
【0071】
ガイドロール13と間欠送りロール14との間には、容器フィルム3の搬送経路に沿って、加熱装置15及びポケット部形成装置16が順に配設されている。そして、加熱装置15によって容器フィルム3が加熱されて該容器フィルム3が比較的柔軟になった状態において、ポケット部形成装置16によって容器フィルム3の所定位置に複数のポケット部2が形成される。
【0072】
ポケット部2の形成は、間欠送りロール14による容器フィルム3の搬送動作間のインターバルの際に行われ、また、形成されるポケット部2は、容器フィルム3にカバーフィルム4を取着した状態となったときに、収容される錠剤5の反転及び回転を規制可能な形状とされる。本実施形態では、加熱装置15及びポケット部形成装置16によって「ポケット部形成手段」が構成される。また、容器フィルム3にポケット部2を形成する工程が「ポケット部形成工程」に相当する。
【0073】
間欠送りロール14から送り出された容器フィルム3は、テンションロール18、ガイドロール19及びフィルム受けロール20の順に掛装されている。フィルム受けロール20は、一定回転するモータに連結されているため、容器フィルム3を連続的に且つ一定速度で搬送する。テンションロール18は、容器フィルム3を弾性力によって緊張する側へ引っ張った状態とされており、間欠送りロール14とフィルム受けロール20との搬送動作の相違による容器フィルム3の弛みを防止して容器フィルム3を常時緊張状態に保持する。
【0074】
ガイドロール19とフィルム受けロール20との間には、容器フィルム3の搬送経路に沿って、錠剤充填装置21及び検査装置22が順に配設されている。
【0075】
錠剤充填装置21は、錠剤5を吸着搬送しつつ該錠剤5に印字部5f,5gを印字し、さらに、該錠剤5をポケット部2に充填する「充填手段」としての機能を有する。錠剤充填装置21の詳細については後述する。
【0076】
検査装置22は、例えば錠剤5が各ポケット部2に確実に充填されているか否か、錠剤5の異常の有無、ポケット部2への異物混入の有無など、主として錠剤不良に関する検査を行う。
【0077】
一方、帯状に形成されたカバーフィルム4の原反は、最上流側においてロール状に巻回されている。ロール状に巻回されたカバーフィルム4の引出し端は、ガイドロール24によって加熱ロール25の方へと案内されている。
【0078】
加熱ロール25は、前記フィルム受けロール20に圧接可能となっており、両ロール20,25間に容器フィルム3及びカバーフィルム4が送り込まれるようになっている。そして、両フィルム3,4が両ロール20,25間を加熱圧接状態で通過することにより、容器フィルム3にカバーフィルム4が取着され、ポケット部2がカバーフィルム4で塞がれる。これにより、錠剤5が各ポケット部2に収容された帯状のPTPフィルム6が製造される。本実施形態では、フィルム受けロール20及び加熱ロール25によって「取着手段」が構成される。また、容器フィルム3にカバーフィルム4を取着する工程が「取着工程」に相当する。
【0079】
フィルム受けロール20から送り出されたPTPフィルム6は、テンションロール27及び間欠送りロール28の順に掛装されている。間欠送りロール28は、間欠的に回転するモータに連結されているため、PTPフィルム6を間欠的に搬送する。テンションロール27は、PTPフィルム6を弾性力によって緊張する側へ引っ張った状態とされており、前記フィルム受けロール20と間欠送りロール28との搬送動作の相違によるPTPフィルム6の弛みを防止してPTPフィルム6を常時緊張状態に保持する。
【0080】
間欠送りロール28から送り出されたPTPフィルム6は、テンションロール31及び間欠送りロール32の順に掛装されている。間欠送りロール32は、間欠的に回転するモータに連結されているため、PTPフィルム6を間欠的に搬送する。テンションロール31は、PTPフィルム6を弾性力によって緊張する側へ引っ張った状態とされており、前記間欠送りロール28,32間でのPTPフィルム6の弛みを防止する。
【0081】
間欠送りロール28とテンションロール31との間には、PTPフィルム6の搬送経路に沿って、分割ライン形成装置33及び刻印装置34が順に配設されている。分割ライン形成装置33は、PTPフィルム6の所定位置に分割ライン3bを形成する機能を有する。また、刻印装置34はPTPフィルム6の所定位置(例えばタグ部)に刻印を付す機能を有する。尚、
図1等においては、刻印を省略して図示している。
【0082】
間欠送りロール32から送り出されたPTPフィルム6は、その下流側においてテンションロール35及び連続送りロール36の順に掛装されている。間欠送りロール32とテンションロール35との間には、PTPフィルム6の搬送経路に沿って、シート打抜装置37が配設されている。シート打抜装置37は、PTPフィルム6をPTPシート1単位にその外縁を切離す(打抜く)機能を有する。本実施形態では、シート打抜装置37により「切離手段」が構成される。また、PTPフィルム6からPTPシート1を切離す工程が「切離工程」に相当する。
【0083】
シート打抜装置37によって打抜かれたPTPシート1は、コンベア39によって搬送され、完成品用ホッパ40に一旦貯留される。但し、上記検査装置22によって不良品と判定されたPTPシート1は、完成品用ホッパ40へ送られることなく、図示しない不良シート排出機構によって別途排出される。
【0084】
前記連続送りロール36の下流側には、裁断装置41が配設されている。そして、シート打抜装置37による打抜き後に帯状に残った残材部(スクラップ部)を構成する不要フィルム部42は、テンションロール35及び連続送りロール36に案内された後、裁断装置41に導かれる。裁断装置41は、不要フィルム部42を所定寸法に裁断する。裁断された不要フィルム部42(スクラップ)はスクラップ用ホッパ43に貯留された後、別途廃棄処理される。
【0085】
次いで、錠剤充填装置21についてより詳しく説明する。
図8に示すように、錠剤充填装置21は、貯留部45、供給シュート46、第一ドラム47、第二ドラム48及び印字装置49を備えている。また、錠剤充填装置21は、各機構部(貯留部45、供給シュート46、ドラム47,48、印字装置49)を制御するための制御装置71を備えている。本実施形態では、第一ドラム47及び第二ドラム48によって「搬送手段」が構成され、印字装置49によって「印字手段」が構成される。
【0086】
貯留部45は、多数の錠剤5を貯留可能に構成されるとともに、ここから供給シュート46へ錠剤5が順次供給されるように構成されている。貯留部45に貯留される錠剤5は、両印字部5f,5gが印字されていないものである。
【0087】
供給シュート46は、水平搬送される容器フィルム3の幅方向(
図8の紙面奥行方向)における各ポケット部2の位置に対応して、それぞれ設けられている。つまり、本実施形態では、容器フィルム3の幅方向に沿って5本の供給シュート46が並設されている。各供給シュート46は、筒状をなし、錠剤5を横姿勢で鉛直方向に一列に積載できるよう構成されている。
【0088】
また、各供給シュート46は、その下側開口部が第一ドラム47に近接するように配置されている。そして、各供給シュート46の下側開口部の近傍にはシャッタ(不図示)が設けられており、該シャッタが開閉動作を行うことにより、各供給シュート46から錠剤5が1錠ずつ自然落下して第一ドラム47へ供給されるようになっている。
【0089】
次に、第一ドラム47及び第二ドラム48について説明する。尚、第一ドラム47及び第二ドラム48は、基本的には同一構成となっている。
【0090】
ドラム47,48は、円筒形状をなし、回転可能に軸支されている。
図9に示すように、ドラム47,48の外周面には、錠剤5を吸着保持するための吸着部55aが多数形成されている。吸着部55aは、ドラム47,48の周方向及び軸方向に所定間隔で規則的に配列されている。本実施形態では、容器フィルム3の幅方向における各ポケット部2の位置に対応して、ドラム47,48の軸方向に等間隔で5つの吸着部55aが設けられている。そして、この軸方向に並ぶ5つの吸着部55aからなる列がドラム47,48の周方向に等間隔で複数設けられている。さらに、ドラム47,48の周方向における吸着部55aの形成間隔(ピッチ)は、容器フィルム3の搬送方向(
図8の右向き方向)に対するポケット部2の形成間隔とほぼ同一間隔となっている。
【0091】
各吸着部55aは、ドラム47,48の外周面において窪んだ凹状をなしており、ドラム47,48の径方向に見た平面視で略長円形状をなしている。そして、吸着部55aによって錠剤5を吸着保持した状態では、該錠剤5の一部がドラム47,48の外周面から突出するようになっている。
【0092】
さらに、各吸着部55aの底部中央には、ドラム47,48の径方向に沿って形成された吸引孔55bが開口している。そして、吸着部55aがドラム47,48の回転軸の略真上付近から略真下付近に移動するまでの間、該吸着部55aの底部にて開口する吸引孔55bは、所定の真空ポンプによって真空引きされた状態(負圧が供給された状態)となるように構成されている。これにより、錠剤5は、ドラム47,48の回転に伴い該ドラム47,48の回転軸の略真上付近から略真下付近まで搬送される間、吸着部55aによって吸着保持された状態となる。つまり、ドラム47,48は、錠剤5の搬送方向と直交する方向に沿って複数(本実施形態では5つ)の錠剤5を並べた状態で、各列の錠剤5を印字装置49へと順次搬送していくこととなる。
【0093】
一方、吸着部55aがドラム47,48の回転軸の略真下付近から略真上付近に移動するまでの間、該吸着部55aの底部に開口する吸引孔55bは、大気に開放された状態となるように構成されている。これにより、ドラム47,48の回転に伴い該ドラム47,48の回転軸の略真下付近に錠剤5が到達したときに、吸着部55aによる該錠剤5の吸着保持が解除される。
【0094】
尚、ドラム47,48には、それぞれ図示しないエンコーダが設けられており、該エンコーダから前記制御装置71へ回転角度に関する信号が所定時間毎に出力される。これにより、前記制御装置71は、ドラム47,48の回転位置を把握可能であり、ひいては吸着搬送される錠剤5の位置を把握可能となっている。
【0095】
上記構成の下、
図8に示すように、第一ドラム47及び第二ドラム48は、鉛直方向に互いに近接するように配置されている。さらに、第二ドラム48は、水平搬送される容器フィルム3と近接するように配置されている。
【0096】
また、第一ドラム47及び第二ドラム48は、PTP包装機10による容器フィルム3の搬送動作と同期するように、同一の回転速度でそれぞれ所定方向(
図8の各太線矢印方向)に常時連続回転するように前記制御装置71により駆動制御される。本実施形態では、
図8の紙面上において、第一ドラム47は時計回り方向に連続回転し、第二ドラム48は反時計回り方向に連続回転する。
【0097】
また、第一ドラム47の真下位置かつ第二ドラム48の真上位置にあたる第三ポジションP3を、第一ドラム47の吸着部55aが通過するタイミングと、第二ドラム48の吸着部55aが通過するタイミングとが一致するように設定されている。
【0098】
さらに、第二ドラム48の真下位置にあたる第五ポジションP5を、第二ドラム48の吸着部55aが通過するタイミングと、容器フィルム3のポケット部2が通過するタイミングとが一致するように設定されている。本実施形態では、第五ポジションP5が「充填ポジション」に相当する。
【0099】
次いで、印字装置49について説明する。印字装置49は、第一ドラム47に対応して設けられた上流側印字装置61と、第二ドラム48に対応して設けられた下流側印字装置62とを備えている。本実施形態では、上流側印字装置61によって「上流側印字手段」が構成され、下流側印字装置62によって「下流側印字手段」が構成される。
【0100】
各印字装置61,62は、それぞれ所定のインクジェット方式(例えばピエゾ方式やサーマル方式)の印字ヘッドを用いて錠剤5に対し非接触で印字を行う。印字装置61,62は、ドラム47,48の回転軸方向に並ぶ複数の吸着部55a(錠剤5)に対応するようにして、該回転軸方向に並ぶ複数(本実施形態では5つ)の印字ヘッド63をそれぞれ備えている。これら印字ヘッド63には、錠剤5に対しインクの液滴を吐出する複数の吐出ノズル64が設けられている(
図10参照)。これら吐出ノズル64から可食性インクの液滴を吐出することで、錠剤5に文字情報を印字することができる。
【0101】
上流側印字装置61は、第一ドラム47の側方位置にあたる第二ポジションP2に配置されている。そして、上流側印字装置61は、第一ドラム47により吸着搬送されて第二ポジションP2を通過する各錠剤5に向けて各印字ヘッド63からインクを吐出し、非接触で印字を行う。
【0102】
下流側印字装置62は、第二ドラム48の側方位置にあたる第四ポジションP4に配置されている。そして、下流側印字装置62は、第二ドラム48により吸着搬送されて第四ポジションP4を通過する各錠剤5に向けて各印字ヘッド63からインクを吐出し、非接触で印字を行う。本実施形態では、第二ポジションP2及び第四ポジションP4が、それぞれ「印字工程の実行ポジション」に相当する。
【0103】
また、両印字装置61,62の各印字ヘッド63に対応して、吐出ノズル64の内部に詰まった塵埃や増粘又は固形化したインク等を外部に排出する加圧パージを行うクリーニング機構や、パージ後の印字ヘッド63を拭くワイピング機構などを備えたクリーニング装置(不図示)が設けられている。
【0104】
制御装置71は、演算手段としてのCPUや、各種プログラムを記憶するROM、各種データを一時的に記憶するRAM、情報を長期記憶するための記憶媒体(例えばハードディスク等)などを備えている。制御装置71は、CPUが所定のプログラムを実行することによって、各印字装置61,62などの錠剤充填装置21の各機構部に関する制御処理を実行する。本実施形態において、前記記憶媒体には、第一印字部5f及び第二印字部5gに係る印字データが記憶されている。
【0105】
制御装置71は、両印字部5f,5gに係る印字データなどを用いて、第一ドラム47によって1列分の錠剤5が第二ポジションP2に搬送されてくる度に、これら錠剤5に対し両印字部5f,5gを交互に形成するように上流側印字装置61の動作を制御する。その結果、第二ポジションP2を通過する1列分の錠剤5のそれぞれには、両印字部5f,5gが交互に印字されていく(
図11参照)。また、制御装置71は、各錠剤5に印字される各第一印字部5fのそれぞれの向き(文字情報を読む方向)が同一となり、また、各錠剤5に印字される各第二印字部5gのそれぞれの向きが同一となるように上流側印字装置61を制御する。
【0106】
さらに、制御装置71は、両印字部5f,5gに係る印字データなどを用いて、第二ドラム48によって1列分の錠剤5が第四ポジションP4に搬送されてくる度に、これら錠剤5に対し両印字部5f,5gを交互に形成するように下流側印字装置62の動作を制御する。その結果、第四ポジションP4を通過する1列分の錠剤5のそれぞれには、両印字部5f,5gが交互に印字されていく(
図12参照)。但し、制御装置71は、上流側印字装置61によって第一印字部5fが印字された錠剤5には第二印字部5gを印字し、上流側印字装置61によって第二印字部5gが印字された錠剤5には第一印字部5fを印字するように下流側印字装置62を制御する。
【0107】
また、制御装置71は、各錠剤5に印字される各第一印字部5fのそれぞれの向き(文字情報を読む方向)が同一となり、各錠剤5に印字される各第二印字部5gのそれぞれの向きが同一となるように下流側印字装置62の動作を制御する。このとき、制御装置71は、最終的に得られるPTPシート1において、表向き錠剤5xにおける第一印字部5fの向きと裏向き錠剤5yにおける第二印字部5gの向きとが合うように、下流側印字装置62による印字動作を制御する。
【0108】
尚、本実施形態では、ドラム47,48により吸着搬送される錠剤5を撮像するためのカメラ(不図示)が設けられており、該カメラにより得られた画像データにおける錠剤5の向きや位置に合わせて、印字位置が適宜調整され、その結果、各錠剤5に印字される印字部5f,5gの向きがより確実に同一となるように構成されている。尚、錠剤5が割線を有する場合には、割線の位置や向きに応じて、割線を避けた位置に印字部5f,5gを印字するように構成してもよい。
【0109】
上記のように構成された錠剤充填装置21では、次のようにして錠剤5の搬送及び印字が行われる。
【0110】
すなわち、第一ドラム47の回転に伴い移動する空の吸着部55aが所定の第一ポジションP1(
図8参照)に到達する所定のタイミングで、各供給シュート46の前記シャッタを開閉動作させることで、各供給シュート46から錠剤5が1つずつ落下し、これら錠剤5が第一ポジションP1へ移動してきた吸着部55aにそれぞれ吸着保持される。第一ポジションP1は、供給シュート46からの錠剤5の落下位置に相当するポジションである。
【0111】
そして、第一ドラム47の回転に伴い1列分の錠剤5が第二ポジションP2に到達するタイミングになると、制御装置71によって上流側印字装置61が動作制御される。その結果、上流側印字装置61によって、第二ポジションP2を通過する1列分の錠剤5の非吸着面側に両印字部5f,5gが交互に印字されていく。本実施形態では、上流側印字装置61によって両印字部5f,5gを交互に印字する工程が「上流側印字工程」に相当する。
【0112】
その後、第一ドラム47の回転に伴い、1列分の錠剤5が前記第三ポジションP3に配置されると、これら錠剤5は吸着解除されて第二ドラム48へと受け渡される。このとき、各錠剤5は、表裏反転しつつ第二ドラム48によって吸着保持される。
【0113】
そして、第二ドラム48の回転に伴い1列分の錠剤5が搬送され、前記第四ポジションP4に到達するタイミングになると、制御装置71によって下流側印字装置62が動作制御される。その結果、下流側印字装置62によって、第四ポジションP4を通過する1列分の錠剤5の非吸着面側に両印字部5f,5gが交互に印字されていき、各錠剤5は両印字部5f,5gをそれぞれ備えたものとなる。本実施形態では、下流側印字装置62によって両印字部5f,5gを交互に印字する工程が「下流側印字工程」に相当する。また、両印字装置61,62によって錠剤5の表面5bに第一印字部5fを印字し、該錠剤5の裏面5cに第二印字部5gを印字する工程が「印字工程」に相当する。
【0114】
その後、第二ドラム48の回転に伴い1列分の錠剤5が前記第五ポジションP5に到達すると、これら錠剤5が、該第五ポジションP5に搬送されてきた容器フィルム3のポケット部2内に入り込む。さらに、これら錠剤5の吸着保持が解除されることで、これら錠剤5が落下して、容器フィルム3の幅方向に並ぶ複数のポケット部2へと充填される。結果的に、1列分の錠剤5が表裏を入れ換えつつポケット部2へと順次充填されていくこととなる(
図13参照)。尚、
図13では、ポケット部2に充填される錠剤5の様子をより明確に示すために、第二ドラム48の図示を省略している。
【0115】
上記のように錠剤5の印字や充填を行うことで、最終的に得られるPTPシート1において表向き錠剤5x及び裏向き錠剤5yが存在するように、ポケット部2に対する錠剤5の充填が行われることとなる。また、最終的に得られるPTPシート1において、両錠剤5x,5yが対となって並んだ状態になるとともに、シート小片7に両錠剤5x,5yが含まれ、さらに、表向き錠剤5xの第一印字部5fの向きと裏向き錠剤5yの第二印字部5gの向きとが合った状態となるように、ポケット部2に対する錠剤5の充填が行われることとなる。
【0116】
本実施形態では、ドラム47,48によって錠剤5を吸着搬送するとともに、第二ドラム48による1列分の錠剤5の吸着を解除することで、これら錠剤5をポケット部2へと充填する工程が「搬送工程」に相当する。また、この工程と印字装置61,62による印字部5f,5gの印字工程とを含む工程が「充填工程」に相当する。
【0117】
尚、ポケット部2に対する錠剤5の充填後には、容器フィルム3に対しカバーフィルム4を取着する工程(すなわち「取着工程」)、PTPフィルム6に対し分割ライン3bや刻印を形成する工程、PTPフィルム6をPTPシート1単位に切離す工程(すなわち「切離工程」)を経ることで、PTPシート1が得られる。
【0118】
以上詳述したように、本実施形態によれば、PTPシート1は、表向き錠剤5x及び裏向き錠剤5yを有するため、透明又は半透明のポケット部2を通して、外部から第一印字部5f及び第二印字部5gの双方を視認可能とすることができる。これにより、印字部によって外部に表示される情報量をより増大させることができ、PTPシート1(錠剤5)の使用や管理に係る利便性の向上を図ることができる。
【0119】
さらに、両印字部5f,5gが視認可能となることから、カバーフィルム4に対し印字部の情報を付す必要はない。従って、PTPシート1の製造に係る生産性向上やコスト低減を効果的に図ることができる。
【0120】
また、表向き錠剤5xにおける第一印字部5fの向きと裏向き錠剤5yにおける第二印字部5gの向きとが合わせられるとともに、各錠剤5x,5yが表裏反転したり回転したりすることを防止可能とされている。従って、外部から両印字部5f,5gを視認可能な状態を確実に維持することができるとともに、各印字部5f,5gを構成する文字情報を整列させて、該文字情報をより判読しやすくすることができる。その結果、PTPシート1(錠剤5)の使用や管理に係る利便性をより効果的に高めることができる。
【0121】
加えて、両錠剤5x,5yが対となって並んだ状態とされるため、両印字部5f,5gの双方を一度に視界に入れることがより確実に可能となり、これら印字部5f,5gによる各情報をまとめて把握することが容易になる。また、使用者等においては、表向き錠剤5x及び裏向き錠剤5yがセットとなって情報を表示していることが分かりやすくなり、使用者等に情報の表示意図が伝わりやすくなる。さらに、使用者等においては、意図的に両印字部5f,5gが視認可能となるように錠剤5が収容されている点も分かりやすくなるため、視認される印字部5f,5gの内容が異なることに起因して不適切な錠剤5が収容されているのではないかといった不安感が生じることをより確実に防止できる。
【0122】
さらに、各シート小片7には各錠剤5x,5yがそれぞれ含まれるため、シート小片7の状態で錠剤5を使用したり管理したりするときであっても、両印字部5f,5gを確認することができる。これにより、利便性の更なる向上を図ることができる。
【0123】
さらに、PTPシート1の製造時には、1列分の錠剤5の表裏を交互に入れ換えつつ、これら錠剤5がポケット部2へと順次充填されるため、表向き錠剤5x及び裏向き錠剤5yを有するPTPシート1をより容易に得ることができる。また、このようなPTPシート1を製造するにあたって、錠剤充填装置21の構造を複雑化させる必要がないため、PTP包装機10の製造やメンテナンス等に係るコストの増大抑制を効果的に図ることができる。
【0124】
さらに、各印字装置61,62は、それぞれ両印字部5f,5gを交互に印字するため、各吐出ノズル64がインクの吐出対象として選択されやすくなる。従って、インクの固形化や増粘等による吐出ノズル64の目詰まり不良を効果的に抑制して、印字不良の発生をより確実に防止することができる。また、吐出ノズル64の目詰まりが生じにくくなることで、前記クリーニング装置によるクリーニング頻度を低くすることができる。これらの結果、PTPシート1の生産に係るコストの低減や生産速度の一層の向上を図ることができる。
〔第2実施形態〕
次いで、第2実施形態について上記第1実施形態との相違点を中心に説明する。本第2実施形態では、
図14に示すように、PTPシート1には、その長手方向に沿って配列された5個のポケット部2からなるポケット列が、その短手方向に3列形成されている。つまり、計15個のポケット部2が形成されている。
【0125】
さらに、上記第1実施形態と同様に、PTPシート1は分割ライン3bを備えるところ、分割ライン3bによってPTPシート1を複数のシート小片7に分割した際には、各シート小片7に、表向き錠剤5x及び裏向き錠剤5yの双方が含まれるようになっている。但し、本第2実施形態では、各シート小片7に含まれる表向き錠剤5x及び裏向き錠剤5yのそれぞれの数が異なり、また、各シート小片7においては両錠剤5x,5yのうちの一方を両錠剤5x,5yの他方で挟むようにして両錠剤5x,5yが配置されている。
【0126】
さらに、本第2実施形態では、
図16に示すように、容器フィルム3は、その幅方向に沿って2シート分に対応する数(本第2実施形態では6つ)のポケット部2が配列された構成となっている。また、本第2実施形態の錠剤充填装置21は、上記第1実施形態と同様に、各印字装置61,62(
図15,16では印字装置61,62を不図示)、ドラム47,48、制御装置71などを備えているが、
図15,16に示すように、本第2実施形態において、ドラム47,48等は、容器フィルム3の幅方向に沿ったポケット部2の数に対応する構成を有している。つまり、両ドラム47,48は、回転軸方向に沿ったポケット部2の数に対応する数(つまり6つ)の吸着部55aを備えている。また、各印字装置61,62は、ドラム47,48の回転軸方向に並ぶ複数の吸着部55a(錠剤5)に対応するようにして、該回転軸方向に並ぶ複数(つまり6つ)の印字ヘッド63をそれぞれ備えている。
【0127】
そして、本第2実施形態において、制御装置71は、第一ドラム47によって1列分の錠剤5が第二ポジションP2へと搬送されてくる度に、上流側印字装置61に対し所定の動作制御を行う。その結果、上流側印字装置61は、1列分の錠剤5が第二ポジションP2へと搬送されてくる度に、これら錠剤5のうちの少なくとも1つに対し第一印字部5fを印字し、これら錠剤5のうちの残りに対し第二印字部5gの印字する工程(つまり「上流側印字工程」)を行う。
【0128】
尚、本第2実施形態において、上流側印字装置61は、一列分の錠剤5に対し、これら錠剤5の並び方向に沿って両印字部5f,5gが交互に形成されるように印字を行う。そのため、上流側印字装置61においては、個々の印字ヘッド63の担当する印字内容は同じものとなり、列中の所定位置にある錠剤5に対しては、両印字部5f,5gのうちの一方のみが印字されることとなる。
【0129】
さらに、制御装置71は、第二ドラム48によって1列分の錠剤5が第四ポジションP4へと搬送されてくる度に、下流側印字装置62に対し所定の動作制御を行う。その結果、下流側印字装置62は、1列分の錠剤5が第四ポジションP4へと搬送されてくる度に、これら錠剤5のうちの第一印字部5fが印字されたものに対し第二印字部5gを印字し、これら錠剤5のうちの第二印字部5gが印字されたものに対し第一印字部5fを印字する工程(つまり「下流側印字工程」)を行う。
【0130】
尚、本第2実施形態において、下流側印字装置62は、一列分の錠剤5に対し、これら錠剤5の並び方向に沿って両印字部5f,5gが交互に形成されるように印字を行う。そのため、下流側印字装置62においても、個々の印字ヘッド63の担当する印字内容は同じものとなり、列中の所定位置にある錠剤5に対しては、常に両印字部5f,5gのうちの一方のみが印字されることとなる。
【0131】
以上、本第2実施形態によれば、基本的には、上記第1実施形態と同様の作用効果が奏される。
【0132】
また、本第2実施形態によれば、下流側印字装置62よりも下流では、第二ドラム48によって、表面5b(第一印字部5fのある面)が吸着された錠剤5と裏面5c(第二印字部5gのある面)が吸着された錠剤5とが各列中に存在した状態で錠剤5が搬送されることとなる。そして、第五ポジションP5にて1列分の錠剤5の吸着が解除されることで、底壁部2a側に第一印字部5fが配置される錠剤5と、底壁部2a側に第二印字部5gが配置される錠剤5とが一度にポケット部2に充填される。従って、表向き錠剤5x及び裏向き錠剤5yを有するPTPシート1をより容易に得ることができる。また、このようなPTPシート1を製造するにあたって、錠剤充填装置21の構造を複雑化させる必要がないため、PTP包装機10の製造やメンテナンス等に係るコストの増大抑制を効果的に図ることができる。
【0133】
さらに、シート小片7から錠剤5を取り出す際には、通常、シート小片7の端側に位置する錠剤5をまず取出すと考えられるところ、本第2実施形態のシート小片7においては、表向き錠剤5x及び裏向き錠剤5yの一方が両者のうちの他方で挟まれるように構成されている。そのため、シート小片7から錠剤5が1つ取り出された場合であって、該シート小片7に各錠剤5x,5yが含まれた状態を維持しやすくなる。従って、使用者等にとっての利便性を一層向上させることができる。
【0134】
尚、上記実施形態の記載内容に限定されず、例えば次のように実施してもよい。勿論、以下において例示しない他の応用例、変更例も当然可能である。
【0135】
(a)PTPシート1におけるポケット部2の配列や個数に関しては、上記実施形態に何ら限定されるものではなく、様々な配列、個数からなるPTPシートを採用することができる。従って、例えば、
図17,18に示すように、PTPシート1は、その長手方向に沿って配列された3個のポケット部2からなるポケット列を、その短手方向に2列有するものであってもよい。さらに、ポケット部2の形状を適宜変更してもよく、例えば、ポケット部2を平面視矩形状や平面視円形状、平面視多角形状、平面視楕円形状などとしてもよい。
【0136】
また、上記実施形態において、PTPフィルム6は、その幅方向に沿って1又は2シート分に対応する数のポケット部2が配列された構成となっているが、これに限定されるものではなく、例えば、その幅方向に沿って3シート分以上に対応する数のポケット部2が配列された構成であってもよい。
【0137】
さらに、上記実施形態では、ブリスタシートとしてPTPシート1を挙げているが、PTPシート1以外のブリスタシートに対し本発明の技術思想を適用してもよい。
【0138】
(b)上記実施形態では、表向き錠剤5xにおける第二印字部5g及び裏向き錠剤5yにおける第一印字部5f(すなわち、底壁部2aとは反対側に位置する印字部)は、外部から視認不能又は視認困難とされている。これに対し、
図19に示すように、錠剤5の形状を適宜変更すること等によって、表向き錠剤5xにおける第二印字部5g及び裏向き錠剤5yにおける第一印字部5fのうちの少なくとも一方を、前記側壁部2bを通して視認可能に構成してもよい(
図19では、表向き錠剤5xにおける第二印字部5gの少なくとも一部を視認可能な例を示す)。
【0139】
このように構成した場合には、例えば、底壁部2aを通して視認される印字部5f,5gの内容が異なることに起因して不適切な錠剤5が収容されているのではないかといった疑問が仮に生じた場合であっても、ポケット部2から錠剤5を取り出さずに、底壁部2aや側壁部2bを通し各錠剤5における両印字部5f,5gを見て、適切な錠剤5が収容されているか否かを確認することができる。これにより、利便性の向上を一層図ることができる。
【0140】
(c)上記実施形態において、PTPシート1は、表向き錠剤5x及び裏向き錠剤5yをそれぞれ複数備えているが、表向き錠剤5x又は裏向き錠剤5yを1つのみ備えるものであってもよい。例えば、上記第1実施形態のPTPシート1の場合、表向き錠剤5xが9つあり、裏向き錠剤5yが1つのみあるように構成してもよい。
【0141】
(d)上記実施形態では、シート小片7に表向き錠剤5x及び裏向き錠剤5yの双方が含まれるように構成されているが、シート小片7に各錠剤5x,5yの一方のみが含まれるように構成してもよい。
【0142】
(e)上記実施形態では、内容物として錠剤5を挙げているが、内容物は錠剤に限定されるものではない。
【0143】
また、上記実施形態では、錠剤5として、平面視長円形状をなす素錠が例示されているが、錠剤の種別や形状等については、上記実施形態に限定されるものではない。例えば錠剤には、医薬のみならず、飲食用に用いられる錠剤なども含まれる。また、錠剤には、素錠のみならず、糖衣錠やフィルムコーティング錠、口腔内崩壊錠、腸溶錠、ゼラチン被包錠などが含まれるのは勿論のこと、硬カプセルや軟カプセルなどの各種カプセル錠なども含まれる。
【0144】
さらに、錠剤5などの内容物の形状に関しても適宜変更可能であり、例えば、平面視矩形状や平面視円形状、平面視多角形状、平面視楕円形状などであってもよい。
【0145】
(f)上記実施形態の印字装置61,62に係るクリーニング装置は、塵埃やインク等を加圧パージにより取り除く構成となっているが、これに限らず、塵埃等を吸引パージにより取り除く構成としてもよい。
【0146】
また、インクジェット方式以外の方式を利用した印字装置49(印字装置61,62)を用いてもよい。例えば、印字装置として、錠剤5と直接接触することで印字を施すものや、錠剤5にレーザを照射することで印字を施すものなどを用いてもよい。
【0147】
(g)ポケット部2に収容された錠剤5の反転及び回転を規制する手法は、上記実施形態で挙げた手法に限定されるものではない。例えば、ポケット部2の底壁部2aとカバーフィルム4とによって錠剤5を挟み込むことで、該錠剤5の反転及び回転を規制するように構成してもよい。
【0148】
(h)上記実施形態では、搬送手段として、第一ドラム47及び第二ドラム48を用いているが、これに限らず、例えば錠剤5を吸着搬送する機能を備えた搬送ベルトなどを用いてもよい。
【0149】
また、上記実施形態において、各供給シュート46は錠剤5を横姿勢で鉛直方向に一列に積載しつつ該錠剤5を第一ドラム47へと供給するように構成されているが、
図20に示すように、錠剤5を縦姿勢で鉛直方向に積載しつつ該錠剤5を第一ドラム47へと供給するように各供給シュート46を構成してもよい。この場合においても、上記実施形態と同様に、各供給シュート46の下側開口部の近傍に設けられたシャッタ(不図示)が開閉動作を行うことにより、錠剤5が第一ドラム47へ供給されることとなる。
【符号の説明】
【0150】
1…PTPシート(ブリスタシート)、2…ポケット部、2a…底壁部、2b…側壁部、3…容器フィルム、3b…分割ライン、4…カバーフィルム、5…錠剤(内容物)、5f…第一印字部、5g…第二印字部、5x…表向き錠剤(表向き内容物)、5y…裏向き錠剤(裏向き内容物)、6…PTPフィルム(ブリスタフィルム)、7…シート小片、10…PTP包装機(ブリスタ包装機)、15…加熱装置(ポケット部形成手段)、16…ポケット部形成装置(ポケット部形成手段)、20…フィルム受けロール(取着手段)、21…錠剤充填装置(充填手段)、25…加熱ロール(取着手段)、37…シート打抜装置(切離手段)、47…第一ドラム(搬送手段)、48…第二ドラム(搬送手段)、49…印字装置(印字手段)、61…上流側印字装置(上流側印字手段)、62…下流側印字装置(下流側印字手段)。