(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-01-30
(45)【発行日】2023-02-07
(54)【発明の名称】コネクタシステム、コネクタおよび接続方法
(51)【国際特許分類】
H01R 13/66 20060101AFI20230131BHJP
B60R 16/02 20060101ALI20230131BHJP
H04L 9/32 20060101ALN20230131BHJP
【FI】
H01R13/66
B60R16/02 621J
H04L9/32 200B
(21)【出願番号】P 2020509620
(86)(22)【出願日】2018-11-30
(86)【国際出願番号】 JP2018044123
(87)【国際公開番号】W WO2019187349
(87)【国際公開日】2019-10-03
【審査請求日】2021-08-04
(31)【優先権主張番号】P 2018060259
(32)【優先日】2018-03-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000002130
【氏名又は名称】住友電気工業株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】504182255
【氏名又は名称】国立大学法人横浜国立大学
(74)【代理人】
【識別番号】110000682
【氏名又は名称】弁理士法人ワンディ-IPパ-トナ-ズ
(72)【発明者】
【氏名】礒山 芳一
(72)【発明者】
【氏名】畑 洋一
(72)【発明者】
【氏名】松本 勉
【審査官】松永 謙一
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-164706(JP,A)
【文献】国際公開第2016/126112(WO,A1)
【文献】特開2011-082135(JP,A)
【文献】特開平03-053475(JP,A)
【文献】特開2010-283902(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01R 1/00-43/28
B60R 16/02
H04L 9/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ECU(Electronic Control Unit)情報を通信する第1の伝送線を含む第1のコネクタと、
ECU情報を通信する第2の伝送線を含む第2のコネクタとを備え、
前記第2のコネクタは、検証に係る暗号情報を生成して前記第1のコネクタへ通信線を介して送信する情報送信処理を行う処理部を含み、
前記第1のコネクタは、
前記第1のコネクタおよび前記第2のコネクタが接続された状態において、前記第1の伝送線および前記第2の伝送線を電気的に接続するか否かを切り替えるスイッチと、
前記第2のコネクタから受信した前記暗号情報に基づいて前記第2のコネクタを検証する検証処理を行う検証部と、
前記検証処理の結果に基づいて前記スイッチを制御する制御部とを含
み、
前記検証部は、前記第1のコネクタおよび前記第2のコネクタが接続されると、前記暗号情報の送信を要求する要求情報を前記第2のコネクタへ送信する、コネクタシステム。
【請求項2】
ECU情報を通信する第1の伝送線を含む第1のコネクタと、
ECU情報を通信する第2の伝送線を含む第2のコネクタとを備え、
前記第2のコネクタは、検証に係る暗号情報を生成して前記第1のコネクタへ通信線を介して送信する情報送信処理を行う処理部を含み、
前記第1のコネクタは、
前記第1のコネクタおよび前記第2のコネクタが接続された状態において、前記第1の伝送線および前記第2の伝送線を電気的に接続するか否かを切り替えるスイッチと、
前記第2のコネクタから受信した前記暗号情報に基づいて前記第2のコネクタを検証する検証処理を行う検証部と、
前記検証処理の結果に基づいて前記スイッチを制御する制御部とを含み、
前記処理部は、前記第1のコネクタからの自発的な前記暗号情報の要求を受けて、前記情報送信処理を開始する、コネクタシステム。
【請求項3】
ECU情報を通信する第1の伝送線を含む第1のコネクタと、
ECU情報を通信する第2の伝送線を含む第2のコネクタとを備え、
前記第2のコネクタは、検証に係る暗号情報を生成して前記第1のコネクタへ通信線を介して送信する情報送信処理を行う処理部を含み、
前記第1のコネクタは、
前記第1のコネクタおよび前記第2のコネクタが接続された状態において、前記第1の伝送線および前記第2の伝送線を電気的に接続するか否かを切り替えるスイッチと、
前記第2のコネクタから受信した前記暗号情報に基づいて前記第2のコネクタを検証する検証処理を行う検証部と、
前記検証処理の結果に基づいて前記スイッチを制御する制御部とを含み、
前記検証部は、定期的または不定期に前記検証処理を行い、
前記制御部は、前記検証処理の結果に基づいて前記スイッチをオンした後、新たな前記検証処理の結果に基づいて、前記スイッチをオフするか否かを判断する、コネクタシステム。
【請求項4】
ECU情報を通信する第1の伝送線を含む第1のコネクタと、
ECU情報を通信する第2の伝送線を含む第2のコネクタとを備え、
前記第2のコネクタは、検証に係る暗号情報を生成して前記第1のコネクタへ通信線を介して送信する情報送信処理を行う処理部を含み、
前記第1のコネクタは、
前記第1のコネクタおよび前記第2のコネクタが接続された状態において、前記第1の伝送線および前記第2の伝送線を電気的に接続するか否かを切り替えるスイッチと、
前記第2のコネクタから受信した前記暗号情報に基づいて前記第2のコネクタを検証する検証処理を行う検証部と、
前記検証処理の結果に基づいて前記スイッチを制御する制御部とを含み、
前記スイッチは、前記第1のコネクタおよび前記第2のコネクタが接続されていない状態においてオフ状態であり、
前記検証部は、所定時間以上、前記暗号情報を受信できない場合、検証失敗を前記制御部へ通知し、
前記制御部は、検証失敗の通知を前記検証部から受けた場合、前記スイッチのオフ状態を維持する、コネクタシステム。
【請求項5】
前記第1のコネクタおよび前記第2のコネクタの各々は、前記第1のコネクタおよび前記第2のコネクタが互いに接続された状態において前記スイッチを介さずに互いに電気的に接続される他の伝送線を含む、請求項1
から請求項4のいずれか1項に記載のコネクタシステム。
【請求項6】
前記第1のコネクタの動作に関する電力は、前記第2のコネクタから供給される、請求項1
から請求項5のいずれか1項に記載のコネクタシステム。
【請求項7】
前記検証部は、前記検証処理において、検証に係る前記暗号情報を有線により前記処理部から受信する、請求項1から請求項
6のいずれか1項に記載のコネクタシステム。
【請求項8】
前記第1のコネクタおよび前記第2のコネクタは、車両に搭載される、請求項1から請求項
7のいずれか1項に記載のコネクタシステム。
【請求項9】
ECU情報を通信する第1の伝送線を含むコネクタであって、
自己のコネクタ、およびECU情報を通信する第2の伝送線を含む他のコネクタが接続された状態において、前記第1の伝送線および前記第2の伝送線を電気的に接続するか否かを切り替えるスイッチと、
前記自己のコネクタの接続相手が生成した暗号情報を、前記接続相手から通信線を介して受信し、受信した前記暗号情報に基づいて、前記接続相手を検証する検証処理を行う検証部と、
前記検証処理の結果に基づいて、前記スイッチを制御する制御部とを含
み、
前記検証部は、前記自己のコネクタおよび前記他のコネクタが接続されると、前記暗号情報の送信を要求する要求情報を前記他のコネクタへ送信する、コネクタ。
【請求項10】
ECU情報を通信する第1の伝送線を含むコネクタであって、
自己のコネクタ、およびECU情報を通信する第2の伝送線を含む他のコネクタが接続された状態において、前記第1の伝送線および前記第2の伝送線を電気的に接続するか否かを切り替えるスイッチと、
前記自己のコネクタの接続相手が生成した暗号情報を、前記接続相手から通信線を介して受信し、受信した前記暗号情報に基づいて、前記接続相手を検証する検証処理を行う検証部と、
前記検証処理の結果に基づいて、前記スイッチを制御する制御部とを含み、
前記検証部は、定期的または不定期に前記検証処理を行い、
前記制御部は、前記検証処理の結果に基づいて前記スイッチをオンした後、新たな前記検証処理の結果に基づいて、前記スイッチをオフするか否かを判断する、コネクタ。
【請求項11】
ECU情報を通信する第1の伝送線を含むコネクタであって、
自己のコネクタ、およびECU情報を通信する第2の伝送線を含む他のコネクタが接続された状態において、前記第1の伝送線および前記第2の伝送線を電気的に接続するか否かを切り替えるスイッチと、
前記自己のコネクタの接続相手が生成した暗号情報を、前記接続相手から通信線を介して受信し、受信した前記暗号情報に基づいて、前記接続相手を検証する検証処理を行う検証部と、
前記検証処理の結果に基づいて、前記スイッチを制御する制御部とを含み、
前記スイッチは、前記自己のコネクタおよび前記他のコネクタが接続されていない状態においてオフ状態であり、
前記検証部は、所定時間以上、前記暗号情報を受信できない場合、検証失敗を前記制御部へ通知し、
前記制御部は、検証失敗の通知を前記検証部から受けた場合、前記スイッチのオフ状態を維持する、コネクタ。
【請求項12】
前記コネクタは車両に搭載される、請求項
9から請求項11のいずれか1項に記載のコネクタ。
【請求項13】
ECU情報を通信する第1の伝送線を含む相手コネクタに接続可能なコネクタであって、
前記相手コネクタにおける前記コネクタの検証処理において用いられる暗号情報を生成して前記相手コネクタへ通信線を介して送信する
情報送信処理を行う処理部と、
前記検証処理が成功した場合に前記第1の伝送線と電気的に接続されてECU情報を通信する第2の伝送線とを含
み、
前記処理部は、前記相手コネクタからの自発的な前記暗号情報の要求を受けて、前記情報送信処理を開始する、コネクタ。
【請求項14】
ECU情報を通信する第1の伝送線を含む第1のコネクタと、ECU情報を通信する第2の伝送線を含む第2のコネクタとを備えるコネクタシステムにおける接続方法であって、
前記第1のコネクタは、さらに、前記第1のコネクタおよび前記第2のコネクタが接続された状態において、前記第1の伝送線および前記第2の伝送線を電気的に接続するか否かを切り替えるスイッチを含み、
前記第2のコネクタが、検証に係る暗号情報を生成して前記第1のコネクタへ通信線を介して送信する情報送信処理を行うステップと、
前記第1のコネクタが、前記第2のコネクタから受信した前記暗号情報に基づいて前記第2のコネクタを検証する検証処理を行うステップと、
前記第1のコネクタが、前記検証処理の結果に基づいて前記スイッチを制御するステップとを含
み、
前記検証処理を行うステップにおいて、前記第1のコネクタが、前記第1のコネクタおよび前記第2のコネクタが接続されると、前記暗号情報の送信を要求する要求情報を前記第2のコネクタへ送信する、接続方法。
【請求項15】
ECU情報を通信する第1の伝送線を含む第1のコネクタと、ECU情報を通信する第2の伝送線を含む第2のコネクタとを備えるコネクタシステムにおける接続方法であって、
前記第1のコネクタは、さらに、前記第1のコネクタおよび前記第2のコネクタが接続された状態において、前記第1の伝送線および前記第2の伝送線を電気的に接続するか否かを切り替えるスイッチを含み、
前記第2のコネクタが、検証に係る暗号情報を生成して前記第1のコネクタへ通信線を介して送信する情報送信処理を行うステップと、
前記第1のコネクタが、前記第2のコネクタから受信した前記暗号情報に基づいて前記第2のコネクタを検証する検証処理を行うステップと、
前記第1のコネクタが、前記検証処理の結果に基づいて前記スイッチを制御するステップとを含み、
前記情報送信処理を行うステップにおいて、前記第2のコネクタが、前記第1のコネクタからの自発的な前記暗号情報の要求を受けて、前記情報送信処理を開始する、接続方法。
【請求項16】
ECU情報を通信する第1の伝送線を含む第1のコネクタと、ECU情報を通信する第2の伝送線を含む第2のコネクタとを備えるコネクタシステムにおける接続方法であって、
前記第1のコネクタは、さらに、前記第1のコネクタおよび前記第2のコネクタが接続された状態において、前記第1の伝送線および前記第2の伝送線を電気的に接続するか否かを切り替えるスイッチを含み、
前記第2のコネクタが、検証に係る暗号情報を生成して前記第1のコネクタへ通信線を介して送信する情報送信処理を行うステップと、
前記第1のコネクタが、前記第2のコネクタから受信した前記暗号情報に基づいて前記第2のコネクタを検証する検証処理を行うステップと、
前記第1のコネクタが、前記検証処理の結果に基づいて前記スイッチを制御するステップとを含み、
前記検証処理を行うステップにおいて、前記第1のコネクタが、定期的または不定期に前記検証処理を行い、
前記スイッチを制御するステップにおいて、前記第1のコネクタが、前記検証処理の結果に基づいて前記スイッチをオンした後、新たな前記検証処理の結果に基づいて、前記スイッチをオフするか否かを判断する、接続方法。
【請求項17】
ECU情報を通信する第1の伝送線を含む第1のコネクタと、ECU情報を通信する第2の伝送線を含む第2のコネクタとを備えるコネクタシステムにおける接続方法であって、
前記第1のコネクタは、さらに、前記第1のコネクタおよび前記第2のコネクタが接続された状態において、前記第1の伝送線および前記第2の伝送線を電気的に接続するか否かを切り替えるスイッチを含み、
前記第2のコネクタが、検証に係る暗号情報を生成して前記第1のコネクタへ通信線を介して送信する情報送信処理を行うステップと、
前記第1のコネクタが、前記第2のコネクタから受信した前記暗号情報に基づいて前記第2のコネクタを検証する検証処理を行うステップと、
前記第1のコネクタが、前記検証処理の結果に基づいて前記スイッチを制御するステップとを含み、
前記スイッチは、前記第1のコネクタおよび前記第2のコネクタが接続されていない状態においてオフ状態であり、
前記検証処理を行うステップにおいて、所定時間以上、前記第1のコネクタが前記暗号情報を受信できない場合、前記検証処理の結果は検証失敗であり、
前記スイッチを制御するステップにおいて、前記第1のコネクタが、前記検証処理の結果が検証失敗である場合、前記スイッチのオフ状態を維持する、接続方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コネクタシステム、コネクタおよび接続方法に関する。
この出願は、2018年3月27日に出願された日本出願特願2018-60259号を基礎とする優先権を主張し、その開示のすべてをここに取り込む。
【背景技術】
【0002】
コネクタに関する技術として、たとえば、特開2017-17034号公報(特許文献1)には、以下のような双配向電子コネクタが開示されている。すなわち、双配向電子コネクタは、第1及び第2の主要対向面を有するコネクタタブと、そのコネクタタブによって担持される複数の電気接点とを有する。複数の接点は、第1主要面に形成される第1の外部接点のセット、及び第2主要面に形成される第2の外部接点のセットを含む。第1の複数の接点内の、各個々の接点は、タブ又は本体内部で、第2の複数の接点内の対応する接点に電気的に接続される。一部の実施形態では、互いに正対する、 第1及び第2の複数の接点内の接点が、一体に結合される。一部の他の実施形態では、互いに対角線の関係にある、第1及び第2の複数の接点内の接点が、一体に結合される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2017-17034号公報
【文献】国際公開第2012/026353号
【発明の概要】
【0004】
(1)本開示のコネクタシステムは、第1の伝送線を含む第1のコネクタと、第2の伝送線を含む第2のコネクタとを備え、前記第2のコネクタは、検証に係る情報を作成して前記第1のコネクタへ送信する情報送信処理を行う処理部を含み、前記第1のコネクタは、前記第1のコネクタおよび前記第2のコネクタが接続された状態において、前記第1の伝送線および前記第2の伝送線を電気的に接続するか否かを切り替えるスイッチと、前記第2のコネクタから受信した前記情報に基づいて前記第2のコネクタを検証する検証処理を行う検証部と、前記検証処理の結果に基づいて前記スイッチを制御する制御部とを含む。
【0005】
(10)本開示のコネクタは、第1の伝送線を含むコネクタであって、自己のコネクタ、および第2の伝送線を含む他のコネクタが接続された状態において、前記第1の伝送線および前記第2の伝送線を電気的に接続するか否かを切り替えるスイッチと、自己のコネクタの接続相手を検証する検証処理を行う検証部と、前記検証処理の結果に基づいて、前記スイッチを制御する制御部とを含む。
【0006】
(12)本開示のコネクタは、第1の伝送線を含む相手コネクタに接続可能なコネクタであって、検証に係る情報を作成して前記相手コネクタへ送信する処理部と、第2の伝送線とを含み、前記相手コネクタは、自己の前記相手コネクタおよび他のコネクタが接続された状態において、前記第1の伝送線および前記第2の伝送線を電気的に接続するか否かを切り替えるスイッチと、前記情報に基づいて前記他のコネクタを検証する検証処理を行う検証部と、前記検証処理の結果に基づいて前記スイッチを制御する制御部とを含む。
【0007】
(13)本開示の接続方法は、第1の伝送線を含む第1のコネクタと、第2の伝送線を含む第2のコネクタとを備えるコネクタシステムにおける接続方法であって、前記第1のコネクタは、さらに、前記第1のコネクタおよび前記第2のコネクタが接続された状態において、前記第1の伝送線および前記第2の伝送線を電気的に接続するか否かを切り替えるスイッチを含み、前記第2のコネクタが、検証に係る情報を作成して前記第1のコネクタへ送信する情報送信処理を行うステップと、前記第1のコネクタが、前記第2のコネクタから受信した前記情報に基づいて前記第2のコネクタを検証する検証処理を行うステップと、前記第1のコネクタが、前記検証処理の結果に基づいて前記スイッチを制御するステップとを含む。
【0008】
本開示の一態様は、このような特徴的な処理部を備えるコネクタシステムとして実現され得るだけでなく、かかるステップをコンピュータに実行させるためのプログラムとして実現され得る。また、本開示の一態様は、コネクタシステムの一部又は全部を実現する半導体集積回路として実現され得る。
【0009】
また、本開示の一態様は、このような特徴的な処理部を備えるコネクタとして実現され得るだけでなく、かかる特徴的な処理をステップとする接続方法として実現され得たり、かかるステップをコンピュータに実行させるためのプログラムとして実現され得る。また、本開示の一態様は、コネクタの一部又は全部を実現する半導体集積回路として実現され得る。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】
図1は、本発明の第1の実施の形態に係るコネクタシステムの適用例を示す図である。
【
図2】
図2は、本発明の第1の実施の形態に係るコネクタシステムの構成を示す図である。
【
図3】
図3は、本発明の第1の実施の形態に係るコネクタシステムの動作手順を定めたシーケンス図である。
【
図4】
図4は、本発明の第2の実施の形態に係るコネクタシステムの適用例を示す図である。
【
図5】
図5は、本発明の第2の実施の形態に係るコネクタシステムの構成を示す図である。
【
図6】
図6は、本発明の第2の実施の形態に係るコネクタシステムの動作手順を定めたシーケンス図である。
【
図7】
図7は、本発明の第3の実施の形態に係るコネクタシステムの適用例を示す図である。
【
図8】
図8は、本発明の第3の実施の形態に係るコネクタシステムの構成を示す図である。
【
図9】
図9は、本発明の第4の実施の形態に係るコネクタシステムの適用例を示す図である。
【
図10】
図10は、本発明の第4の実施の形態に係るコネクタシステムの構成を示す図である。
【
図11】
図11は、本発明の第4の実施の形態に係るコネクタシステムの動作手順を定めたシーケンス図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
[本開示が解決しようとする課題]
たとえば特許文献1に記載のコネクタを介して機器同士を接続した場合、機器間で互いに通信を行うことが可能である。その一方で、機器間の通信のセキュリティを十分に確保することが困難である。
【0012】
本開示は、上述の課題を解決するためになされたもので、その目的は、機器同士の電気的な接続をより適切に制御することができるコネクタシステム、コネクタおよび接続方法を提供することである。
【0013】
[本開示の効果]
本開示によれば、機器同士の電気的な接続をより適切に制御することができる。
【0014】
[本願発明の実施形態の説明]
最初に、本発明の実施形態の内容を列記して説明する。
【0015】
(1)本発明の実施の形態に係るコネクタシステムは、第1の伝送線を含む第1のコネクタと、第2の伝送線を含む第2のコネクタとを備え、前記第2のコネクタは、検証に係る情報を作成して前記第1のコネクタへ送信する情報送信処理を行う処理部を含み、前記第1のコネクタは、前記第1のコネクタおよび前記第2のコネクタが接続された状態において、前記第1の伝送線および前記第2の伝送線を電気的に接続するか否かを切り替えるスイッチと、前記第2のコネクタから受信した前記情報に基づいて前記第2のコネクタを検証する検証処理を行う検証部と、前記検証処理の結果に基づいて前記スイッチを制御する制御部とを含む。
【0016】
このように、第1のコネクタによる検証処理の結果に基づいて第1の伝送線および第2の伝送線の電気的接続を切り替える構成により、第1の伝送線および第2の伝送線において通信信号の伝送が行われる場合、意図しない機器との通信を防ぎ、セキュリティを確保することができる。また、第1の伝送線および第2の伝送線において電力伝送が行われる場合、意図しない機器への電力伝送が行われることを防ぐことができる。したがって、機器同士の電気的な接続をより適切に制御することができる。
【0017】
(2)好ましくは、前記第1のコネクタおよび前記第2のコネクタの各々は、前記第1のコネクタおよび前記第2のコネクタが互いに接続された状態において前記スイッチを介さずに互いに電気的に接続される他の伝送線を含む。
【0018】
このような構成により、セキュリティ確保のための伝送線と、セキュリティ確保が不要な伝送線とを設けることができるため、より多様な機器間の接続形態を提供することができる。
【0019】
(3)好ましくは、前記第1のコネクタの動作に関する電力は、前記第2のコネクタから供給される。
【0020】
このような構成により、第1のコネクタが電源を含まない構成であっても、第2のコネクタからの電力供給を受けて検証処理などの動作を行うことができる。
【0021】
(4)好ましくは、前記検証部は、前記第1のコネクタおよび前記第2のコネクタが接続されると、前記検証処理を開始する。
【0022】
このように、第1のコネクタが主体的に検証処理を開始する構成により、第2のコネクタによる情報送信処理をより早期に行わせることができる。
【0023】
(5)好ましくは、前記処理部は、前記第1のコネクタからの前記情報の要求を受けて、前記情報送信処理を開始する。
【0024】
このような構成により、たとえば第2のコネクタにおいて第1のコネクタに対する接続を検出しない場合であっても、第2のコネクタから検証に係る情報を送信させて検証処理を行うことができる。
【0025】
(6)好ましくは、前記検証部は、定期的または不定期に前記検証処理を行い、前記制御部は、前記検証処理の結果に基づいて前記スイッチをオンした後、新たな前記検証処理の結果に基づいて、前記スイッチをオフするか否かを判断する。
【0026】
このような構成により、たとえば、第2のコネクタの検証処理が成功した後、新たな検証処理により第1のコネクタから第2のコネクタが取り外されたことを検出することができるため、接続状態の変化に応じたスイッチの制御を行うことができる。
【0027】
(7)好ましくは、前記スイッチは、前記第1のコネクタおよび前記第2のコネクタが接続されていない状態においてオフ状態であり、前記検証部は、所定時間以上、前記情報を受信できない場合、検証失敗を前記制御部へ通知し、前記制御部は、検証失敗の通知を前記検証部から受けた場合、前記スイッチのオフ状態を維持する。
【0028】
このような構成により、たとえば、第1のコネクタと接続したタイミングから所定時間以上、検証に係る情報の送信を行わない機器と、第1のコネクタとの通信を防ぐことができるため、より確実にセキュリティを確保することができる。
【0029】
また、たとえば、前回の検証に係る情報の送信タイミングから所定時間以上、新たな検証に係る情報の送信を行わない機器と、第1のコネクタとの通信を防ぐことができるため、より確実にセキュリティを確保することができる。
【0030】
(8)好ましくは、前記検証部は、前記検証処理において、検証に係る前記情報を有線により前記処理部から受信する。
【0031】
このような構成により、近接したエリアに複数のコネクタが存在しても、意図しない接続、および正しい通信が阻害されることを防ぐことができる。また、近接したエリアにおいて、第1のコネクタおよび第2のコネクタ間における接続方式と同様の方式を採用している多数のコネクタが存在しても、適切な接続を行うことができる。
【0032】
また、第1のコネクタおよび第2のコネクタがノイズの影響を受けやすい環境に設けられた場合であっても、ノイズの影響を低減させることができる。
【0033】
(9)好ましくは、前記第1のコネクタおよび前記第2のコネクタは、車両に搭載される。
【0034】
このような構成により、近接したエリアに複数のコネクタが存在しても、正常に動作することができる。また、機器が多く、ノイズの大きい環境において、ノイズの影響を低減させることができる。
【0035】
(10)本発明の実施の形態に係るコネクタは、第1の伝送線を含むコネクタであって、自己のコネクタ、および第2の伝送線を含む他のコネクタが接続された状態において、前記第1の伝送線および前記第2の伝送線を電気的に接続するか否かを切り替えるスイッチと、自己のコネクタの接続相手を検証する検証処理を行う検証部と、前記検証処理の結果に基づいて、前記スイッチを制御する制御部とを含む。
【0036】
このように、第1のコネクタによる検証処理の結果に基づいて第1の伝送線および第2の伝送線の電気的接続を切り替える構成により、第1の伝送線および第2の伝送線において通信信号の伝送が行われる場合、意図しない機器との通信を防ぎ、セキュリティを確保することができる。また、第1の伝送線および第2の伝送線において電力伝送が行われる場合、意図しない機器への電力伝送が行われることを防ぐことができる。したがって、機器同士の電気的な接続をより適切に制御することができる。
【0037】
(11)好ましくは、前記コネクタは車両に搭載される。
【0038】
このような構成により、近接したエリアに複数のコネクタが存在しても、意図しない接続、および正しい通信が阻害されることを防ぐことができる。また、近接したエリアにおいて、第1のコネクタおよび第2のコネクタ間における接続方式と同様の方式を採用している多数のコネクタが存在しても、適切な接続を行うことができる。
【0039】
また、機器が多く、ノイズの大きい環境において、機器同士の電気的な接続をより適切に制御することができる。
【0040】
(12)本発明の実施の形態に係るコネクタは、第1の伝送線を含む相手コネクタに接続可能なコネクタであって、検証に係る情報を作成して前記相手コネクタへ送信する処理部と、第2の伝送線とを含み、前記相手コネクタは、自己の前記相手コネクタおよび他のコネクタが接続された状態において、前記第1の伝送線および前記第2の伝送線を電気的に接続するか否かを切り替えるスイッチと、前記情報に基づいて前記他のコネクタを検証する検証処理を行う検証部と、前記検証処理の結果に基づいて前記スイッチを制御する制御部とを含む。
【0041】
このような構成により、相手コネクタにおいて、他のコネクタから送信された検証に係る情報を用いて他のコネクタの検証処理を行い、検証処理の結果に基づいて第1の伝送線および第2の伝送線の電気的接続を切り替えることができる。これにより、第1の伝送線および第2の伝送線において通信信号の伝送が行われる場合、意図しない機器との通信を防ぎ、セキュリティを確保することができる。また、第1の伝送線および第2の伝送線において電力伝送が行われる場合、意図しない機器への電力伝送が行われることを防ぐことができる。したがって、機器同士の電気的な接続をより適切に制御することができる。
【0042】
(13)本発明の実施の形態に係る接続方法は、第1の伝送線を含む第1のコネクタと、第2の伝送線を含む第2のコネクタとを備えるコネクタシステムにおける接続方法であって、前記第1のコネクタは、さらに、前記第1のコネクタおよび前記第2のコネクタが接続された状態において、前記第1の伝送線および前記第2の伝送線を電気的に接続するか否かを切り替えるスイッチを含み、前記第2のコネクタが、検証に係る情報を作成して前記第1のコネクタへ送信する情報送信処理を行うステップと、前記第1のコネクタが、前記第2のコネクタから受信した前記情報に基づいて前記第2のコネクタを検証する検証処理を行うステップと、前記第1のコネクタが、前記検証処理の結果に基づいて前記スイッチを制御するステップとを含む。
【0043】
このように、第1のコネクタによる検証処理の結果に基づいて第1の伝送線および第2の伝送線の電気的接続を切り替える方法により、第1の伝送線および第2の伝送線において通信信号の伝送が行われる場合、意図しない機器との通信を防ぎ、セキュリティを確保することができる。また、第1の伝送線および第2の伝送線において電力伝送が行われる場合、意図しない機器への電力伝送が行われることを防ぐことができる。したがって、機器同士の電気的な接続をより適切に制御することができる。
【0044】
以下、本発明の実施の形態について図面を用いて説明する。なお、図中同一または相当部分には同一符号を付してその説明は繰り返さない。また、以下に記載する実施の形態の少なくとも一部を任意に組み合わせてもよい。
【0045】
<第1の実施の形態>
[構成および基本動作]
(コネクタシステム)
図1は、本発明の第1の実施の形態に係るコネクタシステムの適用例を示す図である。
【0046】
図1を参照して、コネクタシステム201は、第1のコネクタ(相手コネクタ)101と、第2のコネクタ102とを備える。第1のコネクタ101および第2のコネクタ102は、たとえば車両に搭載される。
【0047】
より詳細には、第1のコネクタ101は、たとえば、車両に設けられたワイヤハーネス1に接続されている。第2のコネクタ102は、たとえば、センサまたはアクチュエータなどの車載装置2に接続されている。
【0048】
車載装置2は、ワイヤハーネス1と電気的に接続された状態において、センサ情報または動作情報などのECU(Electronic Control Unit)情報を、第2のコネクタ102および第1のコネクタ101を介してワイヤハーネス1へ送信する。また、車載装置2は、ワイヤハーネス1と電気的に接続された状態において、車両情報または動作指示情報などのECU情報をワイヤハーネス1から受信してもよい。
【0049】
なお、第1のコネクタ101および第2のコネクタ102は、共通のグランド(GND)に接続されることが好ましい。
【0050】
図2は、本発明の第1の実施の形態に係るコネクタシステムの構成を示す図である。
【0051】
図2を参照して、たとえば、第1のコネクタ101はレセプタクルであり、第2のコネクタ102はプラグである。
【0052】
第1のコネクタ101は、検証部11と、制御部12と、スイッチ13と、電力線PL11と、通信線TL12と、通信線(第1の伝送線)TL13と、通信線TL14とを含む。検証部11、制御部12およびスイッチ13は、たとえば基板BP1に実装されている。
【0053】
第2のコネクタ102は、処理部14と、電力線PL21と、通信線TL22と、通信線(第2の伝送線)TL23と、通信線TL24とを含む。処理部14は、たとえば、基板BP2に実装され、車載装置2における電源PSから電力の供給を受ける。
【0054】
なお、第2のコネクタ102は、車載装置2における電源PSから電力の供給を受けず、独自の電源を含む構成であってもよい。
【0055】
第2のコネクタ102は、たとえば第1のコネクタ101に対して着脱可能である。第1のコネクタ101および第2のコネクタ102が接続された接続状態において、電力線PL11と電力線PL21とが接続され、通信線TL12と通信線TL22とが接続され、通信線TL13と通信線TL23とがスイッチ13を介して接続され、通信線TL14と通信線TL24とが接続される。
【0056】
なお、接続状態とは、第1のコネクタ101および第2のコネクタ102が機械的に接続された状態であり、たとえば、第1のコネクタ101および第2のコネクタ102が嵌合した状態である。
【0057】
また、接続状態になると、第1のコネクタ101の動作に関する電力が、第2のコネクタ102から供給される。たとえば、検証部11、制御部12およびスイッチ13は、車載装置2における電源PSまたは第2のコネクタ102における図示しない電源から、電力線PL21および電力線PL11を介して電力の供給を受けて動作を開始する。スイッチ13は、第1のコネクタ101および第2のコネクタ102が接続されていない状態、ならびに自己の第1のコネクタ101の動作開始時においてオフ状態である。
【0058】
なお、検証部11、制御部12およびスイッチ13のうちの少なくともいずれか1つが、第2のコネクタ102以外から電力の供給を受けて動作してもよい。
【0059】
第1のコネクタ101における検証部11は、自己の第1のコネクタ101の接続相手を検証する検証処理を行い、検証結果を示す結果情報A1を制御部12へ出力する。検証部11による検証処理の詳細については、後述する。
【0060】
制御部12は、検証部11から出力された結果情報A1を受けて、当該結果情報A1に基づいてスイッチ13を制御する。
【0061】
スイッチ13は、接続状態において、制御部12による制御に従って、通信線TL13および通信線TL23を電気的に接続するか否かを切り替える。
【0062】
より詳細には、制御部12は、検証部11から受けた結果情報A1が自己の第1のコネクタ101の接続相手の検証成功を示す場合、すなわち第1のコネクタ101の接続相手が第2のコネクタ102である場合、スイッチ13をオン状態に切り替える。これにより、通信線TL13および通信線TL23が電気的に接続されるため、車載装置2は、通信線TL23および通信線TL13を介してワイヤハーネス1とECU情報を送受信することができる。
【0063】
一方、制御部12は、検証部11から受けた結果情報A1が自己の第1のコネクタ101の接続相手の検証失敗を示す場合、すなわち第1のコネクタ101の接続相手が第2のコネクタ102とは異なる場合、スイッチ13のオフ状態を維持する。これにより、ワイヤハーネス1と意図しない機器との間で通信が行われることを防ぎ、セキュリティを向上させることができる。
【0064】
また、たとえば第2のコネクタ102が第1のコネクタ101から取り外されると、第1のコネクタ101に電力が供給されず、スイッチ13はオン状態からオフ状態へ切り替わる。
【0065】
なお、通信線TL13、通信線TL23、通信線TL14および通信線TL24は、デジタル信号を伝送する通信線であってもよいし、アナログ信号を伝送する通信線であってもよいし、何らかの電力を伝送する電力線であってもよい。
【0066】
(検証処理の詳細)
第1のコネクタ101における検証部11は、検証処理として、たとえばデジタル署名を用いた認証処理を行う。
【0067】
より詳細には、第2のコネクタ102における処理部14は、たとえば、第1のコネクタ101および第2のコネクタ102の接続を検出すると、検証に係る情報(以下、「検証用情報」とも称する。)を送信する情報送信処理を行う。
【0068】
具体的には、処理部14は、検証用情報として、公開鍵PKおよび秘密鍵SKを作成する。また、処理部14は、作成した公開鍵PKを通信線TL22および通信線TL12を介して第1のコネクタ101へ送信することにより、乱数Rを要求する。
【0069】
なお、処理部14は、公開鍵PKおよび秘密鍵SKを作成する構成に限らない。たとえば、処理部14は、公開鍵PKおよび秘密鍵SKの少なくともいずれか一方を予め保持してもよい。
【0070】
第1のコネクタ101における検証部11は、第2のコネクタ102から送信された公開鍵PKを通信線TL22および通信線TL12を介して受信して、乱数Rを作成する。そして、検証部11は、作成した乱数Rを通信線TL12および通信線TL22を介して第2のコネクタ102へ送信する。
【0071】
第2のコネクタ102における処理部14は、第1のコネクタ101から送信された乱数Rを通信線TL12および通信線TL22を介して受信して、作成した秘密鍵SKおよび受信した乱数Rを用いて、暗号化したデジタル署名Sを検証用情報として作成する。そして、処理部14は、作成したデジタル署名Sを通信線TL22および通信線TL12を介して第1のコネクタ101へ送信する。
【0072】
検証部11は、第2のコネクタ102から送信されたデジタル署名Sを通信線TL22および通信線TL12を介して受信して、公開鍵PKを用いて当該デジタル署名Sを復号化する。そして、検証部11は、復号化したデジタル署名Sおよび乱数Rを用いて第2のコネクタ102の検証処理を行い、検証処理の結果を示す結果情報A1を制御部12へ出力する。
【0073】
なお、検証部11は、上述の方法に限らず、ECDSA(Elliptic Curve Digital Signature Algorithm)などの楕円曲線暗号、RSA(Rivest Shamir Adleman cryptosystem)、DSA(Digital Signature Algorithm)、または、ID(Identification)およびパスワードによる検証処理を用いてもよい。
【0074】
検証部11は、楕円曲線暗号を用いた検証処理を行う場合、256ビット以上のビット長を有する乱数Rを作成することが好ましい。
【0075】
また、検証部11は、第1のコネクタ101および第2のコネクタ102が接続状態になると、検証処理を開始する構成であってもよい。たとえば、検証部11は、接続状態になり、第2のコネクタ102から電力の供給を受けて動作を開始すると、検証用情報の送信を要求する要求情報を、通信線TL12および通信線TL22を介して第2のコネクタ102へ送信することにより、検証処理を開始する。
【0076】
この場合、第2のコネクタ102における処理部14は、第1のコネクタ101から要求情報を受信して、情報送信処理を開始する。
【0077】
また、検証部11は、接続状態となったタイミング、すなわち動作を開始したタイミングから所定時間以上、第2のコネクタ102から送信される検証用情報を受信できない場合、検証失敗を示す結果情報A1を制御部12へ出力する構成であってもよい。制御部12は、検証失敗を示す結果情報A1を検証部11から受けると、スイッチ13のオフ状態を維持する。
【0078】
また、第1のコネクタ101側に電源が設けられてもよい。すなわち、第1のコネクタ101は、電源を有する構成、またはワイヤハーネス1側の電源から電力の供給を受ける構成であってもよい。この場合、第2のコネクタ102は、自己が接続された車載装置2における電源、または第1のコネクタ101側における電源から電力の供給を受ける。
【0079】
また、第1のコネクタ101における検証部11は、定期的または不定期に検証処理を行ってもよい。
【0080】
具体的には、第2のコネクタ102における処理部14は、たとえば、作成したデジタル署名Sを所定時間の間隔で通信線TL22および通信線TL12を介して第1のコネクタ101へ送信する。
【0081】
第1のコネクタ101における検証部11は、検証処理を定期的または不定期に行い、前回のデジタル署名Sを受信したタイミングから所定時間以内に新たなデジタル署名Sを受信できない場合、または新たに受信したデジタル署名Sの送信元の検証に失敗した場合、検証失敗を示す結果情報A1を制御部12へ出力する。
【0082】
制御部12は、検証部11による新たな検証処理の結果に基づいて、スイッチ13をオフするか否かを判断する。すなわち、制御部12は、検証失敗を示す結果情報A1を検証部11から受けると、スイッチ13をオフすると判断し、スイッチ13をオン状態からオフ状態へ切り替える。
【0083】
このような構成により、たとえば、自己の第1のコネクタ101からの第2のコネクタ102の取り外し、または自己の第1のコネクタ101への第2のコネクタ102以外の他の機器の接続を検出し、スイッチ13の制御を適切に行うことができる。
【0084】
また、第1のコネクタ101および第2のコネクタ102は、無線通信、すなわち非接触通信を行う構成であってもよい。しかしながら、車両内に搭載される機器の数は多いことから、第1のコネクタ101および第2のコネクタ102は、ノイズの影響を低減させるため、有線により検証用情報などの送受信を行う構成であることが好ましい。
【0085】
また、第1のコネクタ101および第2のコネクタ102の各々は、接続状態においてスイッチ13を介さずに互いに電気的に接続される通信線TL14および通信線TL24を含まない構成であってもよい。
【0086】
また、第1のコネクタ101および第2のコネクタ102の各々は、接続状態においてスイッチ13を介する伝送線を複数含む構成であってもよい。
【0087】
また、コネクタシステム201は、たとえば、第1のコネクタ101および第2のコネクタ102の各々が電源を含む場合、電力線PL11および電力線PL21を含まなくてもよい。また、コネクタシステム201は、たとえば、第1のコネクタ101および第2のコネクタ102が無線通信を行う場合、通信線TL12および通信線TL22を含まなくてもよい。
【0088】
また、スイッチ13は、第1のコネクタ101および第2のコネクタ102が接続されていない状態において、オン状態であってもよい。この場合、制御部12は、たとえば第1のコネクタ101および第2のコネクタ102が接続状態になると、スイッチ13をオン状態からオフ状態に切り替える。
【0089】
また、第1のコネクタ101および第2のコネクタ102は、車両以外に設けられてもよい。たとえば、第2のコネクタ102は、車載装置2に接続される代わりに、機器の保守などを行う端末等の装置に接続されてもよい。
【0090】
<動作の流れ>
コネクタシステム201における各装置は、コンピュータを備え、当該コンピュータにおけるCPU等の演算処理部は、以下のシーケンス図の各ステップの一部または全部を含むプログラムを図示しないメモリからそれぞれ読み出して実行する。これら複数の装置のプログラムは、それぞれ、外部からインストールすることができる。これら複数の装置のプログラムは、それぞれ、記録媒体に格納された状態で流通する。
【0091】
図3は、本発明の第1の実施の形態に係るコネクタシステムの動作手順を定めたシーケンス図である。
【0092】
図2および
図3を参照して、まず、第2のコネクタ102は、たとえば、第1のコネクタ101に接続される(ステップS11)。
【0093】
次に、第1のコネクタ101は、たとえば、第2のコネクタ102が接続されている車載装置2における電源PSから、第2のコネクタ102を介して電力の供給を受ける(ステップS12)。
【0094】
次に、第2のコネクタ102における処理部14は、公開鍵PKおよび秘密鍵SKを作成し、作成した公開鍵PKを通信線TL22および通信線TL12を介して第1のコネクタ101へ送信する情報送信処理を行う(ステップS13)。
【0095】
次に、第1のコネクタ101における検証部11は、第2のコネクタ102から送信された公開鍵PKを受信して、乱数Rを作成する(ステップS14)。
【0096】
次に、検証部11は、作成した乱数Rを通信線TL12および通信線TL22を介して第2のコネクタ102へ送信する(ステップS15)。
【0097】
次に、第2のコネクタ102における処理部14は、第1のコネクタ101から通信線TL12および通信線TL22を介して乱数Rを受信して、作成した秘密鍵SKおよび受信した乱数Rを用いて、暗号化したデジタル署名Sを作成する(ステップS16)。
【0098】
次に、処理部14は、作成したデジタル署名Sを通信線TL22および通信線TL12を介して第1のコネクタ101へ送信する情報送信処理を行う(ステップS17)。
【0099】
次に、第1のコネクタ101における検証部11は、第2のコネクタ102から通信線TL22および通信線TL12を介してデジタル署名Sを受信して、公開鍵PKを用いて当該デジタル署名Sを復号化する。そして、検証部11は、復号化したデジタル署名Sおよび乱数Rを用いて第2のコネクタ102の検証処理を行い、検証処理の結果を示す結果情報A1を制御部12へ出力する(ステップS18)。
【0100】
次に、制御部12は、検証部11から受けた結果情報A1が自己の第1のコネクタ101の接続相手、すなわち第2のコネクタ102の検証成功を示す場合(ステップS19において「YES」)、スイッチ13をオン状態に切り替える(ステップS20)。
【0101】
次に、第1のコネクタ101および第2のコネクタ102は、車載装置2からワイヤハーネス1へ送信されるECU情報を中継する(ステップS21)。
【0102】
次に、第2のコネクタ102が第1のコネクタ101から取り外されると(ステップS22)、第1のコネクタ101への電力の供給が停止し、スイッチ13はオフ状態に切り替わる(ステップS23およびS24)。
【0103】
一方、制御部12は、検証部11から受けた結果情報A1が自己の第1のコネクタ101の接続相手の検証失敗を示す場合(ステップS19において「NO」)、スイッチ13のオフ状態を維持する(ステップS24)。
【0104】
なお、スイッチ13は、第2のコネクタ102が第1のコネクタ101から取り外された場合(ステップS22)、オフ状態に切り替わらなくてもよい。この場合、制御部12は、たとえば、第2のコネクタ102から電力の供給を受けると(ステップS12)、スイッチ13をオン状態からオフ状態に切り替える。
【0105】
また、第1のコネクタ101からの第2のコネクタ102の取り外し(ステップS22)は、第1のコネクタ101および第2のコネクタ102によるECU情報の中継(ステップS21)の後に限らず、ステップS11以降のいずれのタイミングで行われてもよい。
【0106】
第2のコネクタ102が取り外されたタイミングにおいてスイッチ13がオフ状態である場合、すなわちステップS20より前に第2のコネクタ102が取り外された場合、スイッチ13はオフ状態を維持する。一方、第2のコネクタ102が取り外されたタイミングにおいてスイッチ13がオン状態である場合、すなわちステップS20以降に第2のコネクタ102が取り外された場合、スイッチ13はオン状態からオフ状態に切り替わる(ステップS23)。
【0107】
ところで、たとえば特許文献1に記載のコネクタを介して機器同士を接続した場合、機器間で互いに通信を行うことが可能である。その一方で、機器間の通信のセキュリティを十分に確保することが困難である。
【0108】
そこで、機器間におけるセキュリティを確保するために、たとえば、機器同士の接続部分を鍵付きのカバーで物理的に覆うなどの方法が考えられる。しかしながら、機器同士の接続または接続解除を行うたびに鍵の開閉を行う必要があり、手間を要する。
【0109】
また、各機器において暗号化された信号を送信するという方法が考えられる。しかしながら、暗号化機能を有していない機器から送信される通信信号に対しては、セキュリティを確保することが困難である。また、機器から送信される通信信号が微弱なアナログ信号である場合など、通信信号の暗号化を容易に行うことができない場合がある。
【0110】
これに対して、本発明の第1の実施の形態に係るコネクタシステム201では、第1のコネクタ101は、通信線TL13を含む。第2のコネクタ102は、通信線TL23を含む。第2のコネクタ102における処理部14は、検証用情報を作成して第1のコネクタ101へ送信する情報送信処理を行う。第1のコネクタ101におけるスイッチ13は、第1のコネクタ101および第2のコネクタ102の接続状態において、通信線TL13および通信線TL23を電気的に接続するか否かを切り替える。第1のコネクタ101における検証部11は、第2のコネクタ102から受信した検証用情報に基づいて第2のコネクタ102を検証する検証処理を行う。そして、第1のコネクタ101における制御部12は、検証部11による検証処理の結果に基づいてスイッチ13を制御する。
【0111】
このように、第1のコネクタ101による検証処理の結果に基づいて通信線TL13および通信線TL23の電気的接続を切り替える構成により、ワイヤハーネス1と意図しない機器との通信を防ぎ、セキュリティを確保することができる。
【0112】
したがって、本発明の第1の実施の形態に係るコネクタシステム201では、機器同士の電気的な接続をより適切に制御することができる。
【0113】
また、本発明の第1の実施の形態に係るコネクタシステム201では、第1のコネクタ101および第2のコネクタ102の各々は、第1のコネクタ101および第2のコネクタ102の接続状態においてスイッチ13を介さずに互いに電気的に接続される他の伝送線を含む。
【0114】
このような構成により、セキュリティ確保のための伝送線と、セキュリティ確保が不要な伝送線とを設けることができるため、より多様な機器間の接続形態を提供することができる。
【0115】
また、本発明の第1の実施の形態に係るコネクタシステム201では、第1のコネクタ101の動作に関する電力は、第2のコネクタ102から供給される。
【0116】
このような構成により、第1のコネクタ101が電源を含まない構成であっても、第2のコネクタ102からの電力供給を受けて検証処理などの動作を行うことができる。
【0117】
また、本発明の第1の実施の形態に係るコネクタシステム201では、検証部11は、第1のコネクタ101および第2のコネクタ102が接続状態になると、すなわち第2のコネクタ102から電力が供給されるとすぐに、検証処理を開始する。
【0118】
このように、第1のコネクタ101が主体的に検証処理を開始する構成により、第2のコネクタ102による情報送信処理をより早期に行わせることができる。
【0119】
また、本発明の第1の実施の形態に係るコネクタシステム201では、処理部14は、第1のコネクタ101からの検証用情報の要求を受けて、情報送信処理を開始する。
【0120】
このような構成により、たとえば第2のコネクタ102において第1のコネクタ101に対する接続を検出しない場合であっても、第2のコネクタ102から検証用情報を送信させて検証処理を行うことができる。
【0121】
また、本発明の第1の実施の形態に係るコネクタシステム201では、検証部11は、定期的または不定期に検証処理を行う。そして、制御部12は、検証部11による検証処理の結果に基づいてスイッチ13をオンした後、新たな検証処理の結果に基づいて、スイッチ13をオフするか否かを判断する。
【0122】
このような構成により、たとえば、第2のコネクタ102の検証処理が成功した後、新たな検証処理により第1のコネクタ101から第2のコネクタ102が取り外されたことを検出することができるため、接続状態の変化に応じたスイッチ13の制御を行うことができる。
【0123】
また、本発明の第1の実施の形態に係るコネクタシステム201では、スイッチ13は、第1のコネクタ101および第2のコネクタ102が接続されていない状態においてオフ状態である。検証部11は、所定時間以上、検証用情報を受信できない場合、検証失敗を制御部12へ通知する。制御部12は、検証失敗の通知を検証部11から受けた場合、スイッチ13のオフ状態を維持する。
【0124】
このような構成により、たとえば、第1のコネクタ101と接続したタイミングから所定時間以上、検証用情報の送信を行わない機器と、第1のコネクタ101との通信を防ぐことができるため、より確実にセキュリティを確保することができる。
【0125】
また、たとえば、前回のデジタル署名Sの送信タイミングから所定時間以上、新たなデジタル署名Sの送信を行わない機器と、第1のコネクタ101との通信を防ぐことができるため、より確実にセキュリティを確保することができる。
【0126】
また、本発明の第1の実施の形態に係るコネクタシステム201では、検証部11は、検証処理において、検証用情報を有線により処理部14から受信する。
【0127】
このような構成により、近接したエリアに複数のコネクタが存在しても、意図しない接続、および正しい通信が阻害されることを防ぐことができる。また、近接したエリアにおいて、第1のコネクタ101および第2のコネクタ102間における接続方式と同様の方式を採用している多数のコネクタが存在しても、適切な接続を行うことができる。
【0128】
また、第1のコネクタ101および第2のコネクタ102がノイズの影響を受けやすい環境に設けられた場合であっても、ノイズの影響を低減させることができる。
【0129】
また、本発明の第1の実施の形態に係るコネクタシステム201では、第1のコネクタ101および第2のコネクタ102は、車両に搭載される。
【0130】
このような構成により、近接したエリアに複数のコネクタが存在しても、正常に動作することができる。また、機器が多く、ノイズの大きい環境において、ノイズの影響を低減させることができる。
【0131】
また、本発明の第1の実施の形態に係る第1のコネクタ101では、スイッチ13は、自己の第1のコネクタ101および第2のコネクタ102の接続状態において、第1のコネクタ101における通信線TL13および第2のコネクタ102における通信線TL23を電気的に接続するか否かを切り替える。検証部11は、自己の第1のコネクタ101の接続相手を検証する検証処理を行う。そして、制御部12は、検証部11による検証処理の結果に基づいて、スイッチ13を制御する。
【0132】
このように、第1のコネクタ101による検証処理の結果に基づいて通信線TL13および通信線TL23の電気的接続を切り替える構成により、ワイヤハーネス1と意図しない機器との通信を防ぎ、セキュリティを確保することができる。
【0133】
したがって、本発明の第1の実施の形態に係る第1のコネクタ101では、機器同士の電気的な接続をより適切に制御することができる。
【0134】
また、本発明の第1の実施の形態に係る第1のコネクタ101は、車両に搭載される。
【0135】
このような構成により、近接したエリアに複数のコネクタが存在しても、意図しない接続、および正しい通信が阻害されることを防ぐことができる。また、近接したエリアにおいて、第1のコネクタ101および第2のコネクタ102間における接続方式と同様の方式を採用している多数のコネクタが存在しても、適切な接続を行うことができる。
【0136】
また、機器が多く、ノイズの大きい環境において、機器同士の電気的な接続をより適切に制御することができる。
【0137】
また、本発明の第1の実施の形態に係る第2のコネクタ102は、通信線TL13を含む第1のコネクタ101に接続可能なコネクタであって、検証用情報を作成して第1のコネクタ101へ送信する処理部14と、通信線TL23とを含む。第1のコネクタ101におけるスイッチ13は、第2のコネクタ102が接続された状態において、通信線TL13および通信線TL23を電気的に接続するか否かを切り替える。第1のコネクタ101における検証部11は、検証用情報に基づいて第2のコネクタ102を検証する検証処理を行う。第1のコネクタ101における制御部12は、検証処理の結果に基づいてスイッチ13を制御する。
【0138】
このような構成により、第1のコネクタ101において、第2のコネクタ102から送信された検証用情報を用いて第2のコネクタ102の検証処理を行い、検証処理の結果に基づいて通信線TL13および通信線TL23の電気的接続を切り替えることができる。これにより、ワイヤハーネス1と意図しない機器との通信を防ぎ、セキュリティを確保することができる。
【0139】
したがって、本発明の第1の実施の形態に係る第2のコネクタ102では、機器同士の電気的な接続をより適切に制御することができる。
【0140】
また、本発明の第1の実施の形態に係る接続方法では、まず、第2のコネクタ102における処理部14が、検証用情報を作成して第1のコネクタ101へ送信する情報送信処理を行う。次に、第1のコネクタ101における検証部11が、第2のコネクタ102から受信した検証用情報に基づいて第2のコネクタ102を検証する検証処理を行う。次に、第1のコネクタ101における制御部12が、検証処理の結果に基づいてスイッチ13を制御する。
【0141】
このように、第1のコネクタ101による検証処理の結果に基づいて通信線TL13および通信線TL23の電気的接続を切り替える方法により、ワイヤハーネス1と意図しない機器との通信を防ぎ、セキュリティを確保することができる。
【0142】
したがって、本発明の第1の実施の形態に係る接続方法では、機器同士の電気的な接続をより適切に制御することができる。
【0143】
次に、本発明の他の実施の形態について図面を用いて説明する。なお、図中同一または相当部分には同一符号を付してその説明は繰り返さない。
【0144】
<第2の実施の形態>
上述した本発明の第1の実施の形態に係るコネクタシステム201では、第1のコネクタ101が、自己の接続相手の検証処理を行う。これに対して、本発明の第2の実施の形態に係るコネクタシステム202では、第1のコネクタ111および第2のコネクタ112が互いの検証処理を行う。
【0145】
図4は、本発明の第2の実施の形態に係るコネクタシステムの適用例を示す図である。
【0146】
図4を参照して、コネクタシステム202では、第1のコネクタ111および第2のコネクタ112は、たとえば、車両以外に設けられた、互いに信号の送受信を行う通信装置に接続されている。たとえば、第1のコネクタ111は通信装置3に接続され、第2のコネクタ112は通信装置4に接続されている。
【0147】
通信装置3および通信装置4は、互いに電気的に接続された状態において、第2のコネクタ112および第1のコネクタ111を介して通信信号の送受信を行う。
【0148】
図5は、本発明の第2の実施の形態に係るコネクタシステムの構成を示す図である。
【0149】
図5を参照して、第1のコネクタ111は、検証部31と、制御部32と、スイッチ33と、処理部34と、電力線PL31と、通信線TL32と、通信線TL33と、通信線(第1の伝送線)TL34とを含む。検証部31、制御部32、スイッチ33および処理部34は、たとえば基板BP3に実装されている。検証部31、制御部32およびスイッチ33の構成および動作は、それぞれ、以下で示す内容を除き、
図2に示す検証部11、制御部12およびスイッチ13の構成および動作と同様である。
【0150】
第2のコネクタ112は、処理部35と、検証部36と、制御部37と、スイッチ38と、電力線PL41と、通信線TL42と、通信線TL43と、通信線(第2の伝送線)TL44とを含む。処理部35、検証部36、制御部37およびスイッチ38は、たとえば基板BP4に実装されている。処理部35の構成および動作は、以下で示す内容を除き、
図2に示す処理部14の構成および動作と同様である。スイッチ38は、第1のコネクタ111および第2のコネクタ112が接続されていない状態、ならびに自己の第2のコネクタ112の動作開始時においてオフ状態である。
【0151】
第2のコネクタ112は、たとえば第1のコネクタ111に対して着脱可能である。第1のコネクタ111および第2のコネクタ112が接続された接続状態において、通信線TL32と通信線TL42とが接続され、通信線TL33と通信線TL43とが接続され、通信線TL34と通信線TL44とがスイッチ33およびスイッチ38を介して接続される。
【0152】
なお、通信線TL34および通信線TL44は、デジタル信号を伝送する通信線であってもよいし、アナログ信号を伝送する通信線であってもよいし、何らかの電力を伝送する電力線であってもよい。
【0153】
第1のコネクタ111および第2のコネクタ112は、たとえば、互いに自己の接続相手の検証処理を行う。
【0154】
より詳細には、第2のコネクタ112における検証部36は、たとえば自己の第2のコネクタ112に対する第1のコネクタ111の着脱を検出する。そして、検証部36は、第1のコネクタ111が接続されたことを検出すると、検出結果を示す検出情報を処理部35へ出力する。
【0155】
処理部35は、第1のコネクタ111が接続された旨の検出情報を検証部36から受けると、検証用情報を作成し、作成した検証用情報を通信線TL43および通信線TL33を介して第1のコネクタ111へ送信する。
【0156】
第1のコネクタ111における検証部31は、
図2に示す検証部11と同様に、第2のコネクタ112から送信された検証用情報を通信線TL43および通信線TL33を介して受信し、受信した検証用情報に基づいて、自己の第1のコネクタ111の接続相手を検証する検証処理を行い、検証結果を示す結果情報A1を制御部32へ出力する。
【0157】
第1のコネクタ111における検証部31は、たとえば自己の第1のコネクタ111に対する第2のコネクタ112の着脱を検出する。そして、検証部31は、第2のコネクタ112が接続されたことを検出すると、検出結果を示す検出情報を処理部34へ出力する。
【0158】
処理部34は、第2のコネクタ112が接続された旨の検出情報を検証部31から受けると、検証用情報を作成し、作成した検証用情報を通信線TL32および通信線TL42を介して第2のコネクタ112へ送信する。
【0159】
第2のコネクタ112における検証部36は、第1のコネクタ111から送信された検証用情報を通信線TL32および通信線TL42を介して受信して、受信した検証用情報を用いて、第1のコネクタ111の検証処理を行う。そして、検証部36は、検証処理の結果を示す結果情報A2を制御部37へ出力する。
【0160】
処理部34による検証用情報、すなわち公開鍵PK、秘密鍵SKおよびデジタル署名Sの作成、ならびに検証部36による検証処理は、それぞれ、
図2に示す処理部14による検証用情報の作成、および検証部11による検証処理と同様である。
【0161】
第1のコネクタ111における制御部32は、検証部31から出力された結果情報A1を受ける。そして、制御部32は、結果情報A1が自己の第1のコネクタ111の接続相手の検証成功を示す場合、スイッチ33をオン状態に切り替える。
【0162】
第2のコネクタ112における制御部37は、検証部36から出力された結果情報A2を受ける。そして、制御部37は、結果情報A2が自己の第2のコネクタ112の接続相手の検証成功を示す場合、スイッチ38をオン状態に切り替える。
【0163】
これにより、通信線TL34および通信線TL44が電気的に接続される。このため、通信装置3および通信装置4は、通信線TL34および通信線TL44を介して互いに通信信号の送受信を行うことができる。
【0164】
また、第1のコネクタ111における検証部31は、たとえば、自己の第1のコネクタ111から第2のコネクタ112が取り外されたことを検出した場合、検出結果を示す検出情報を制御部32へ出力する。制御部32は、第2のコネクタ112が取り外された旨の検出情報を検証部31から受けると、スイッチ33をオン状態からオフ状態へ切り替える。
【0165】
また、第2のコネクタ112における検証部36は、たとえば、自己の第2のコネクタ112から第1のコネクタ111が取り外されたことを検出した場合、検出結果を示す検出情報を制御部37へ出力する。制御部37は、第1のコネクタ111が取り外された旨の検出情報を検証部36から受けると、スイッチ38をオン状態からオフ状態へ切り替える。
【0166】
このように、第1のコネクタ111および第2のコネクタ112が互いに検証処理を行う構成により、通信装置3および通信装置4間におけるより高いセキュリティを確保することができる。
【0167】
なお、検証部31は、検証処理を定期的または不定期に行う構成であってもよい。この場合、検証部31は、たとえば前回のデジタル署名Sを受信したタイミングから所定時間以内に新たなデジタル署名Sを受信できたか否かを確認することにより、第2のコネクタ112の取り外しを検出することができる。検証部31は、前回のデジタル署名Sを受信したタイミングから所定時間以内に新たなデジタル署名Sを受信できない場合、検証失敗を示す結果情報A1を制御部32へ出力する。
【0168】
また、検証部36は、検証処理を定期的または不定期に行う構成であってもよい。この場合、検証部36は、たとえば前回のデジタル署名Sを受信したタイミングから所定時間以内に新たなデジタル署名Sを受信できたか否かを確認することにより、第1のコネクタ111の取り外しを検出することができる。検証部36は、前回のデジタル署名Sを受信したタイミングから所定時間以内に新たなデジタル署名Sを受信できない場合、検証失敗を示す結果情報A2を制御部37へ出力する。
【0169】
また、第1のコネクタ111および第2のコネクタ112は、車両に搭載されてもよい。
【0170】
<動作の流れ>
図6は、本発明の第2の実施の形態に係るコネクタシステムの動作手順を定めたシーケンス図である。
【0171】
図5および
図6を参照して、まず、第2のコネクタ112は、たとえば、第1のコネクタ111に接続される(ステップS31)。
【0172】
次に、第2のコネクタ112における処理部35は、公開鍵PKおよび秘密鍵SKを作成し、作成した公開鍵PKを通信線TL33および通信線TL43を介して第1のコネクタ111へ送信する情報送信処理を行う(ステップS32)。
【0173】
次に、第1のコネクタ111における検証部31は、第2のコネクタ112から送信された公開鍵PKを受信して、乱数Rを作成する(ステップS33)。
【0174】
次に、検証部31は、作成した乱数Rを通信線TL33および通信線TL43を介して第2のコネクタ112へ送信する(ステップS34)。
【0175】
次に、第2のコネクタ112における処理部35は、第1のコネクタ111から乱数Rを受信して、作成した秘密鍵SKおよび受信した乱数Rを用いて、暗号化したデジタル署名Sを作成する(ステップS35)。
【0176】
次に、処理部35は、作成したデジタル署名Sを通信線TL43および通信線TL33を介して第1のコネクタ111へ送信する情報送信処理を行う(ステップS36)。
【0177】
次に、第1のコネクタ111における検証部31は、第2のコネクタ112からデジタル署名Sを受信して、公開鍵PKを用いて当該デジタル署名Sを復号化する。そして、検証部31は、復号化したデジタル署名Sおよび乱数Rを用いて第2のコネクタ112の検証処理を行い、検証処理の結果を示す結果情報A1を制御部32へ出力する(ステップS37)。
【0178】
次に、制御部32は、結果情報A1に基づいて、第2のコネクタ112の検証が成功したか否かを確認する(ステップS38)。そして、制御部32は、第2のコネクタ112の検証が成功した場合(ステップS38において「YES」)、スイッチ33をオン状態に切り替える(ステップS39)。
【0179】
次に、第1のコネクタ111における処理部34は、公開鍵PKおよび秘密鍵SKを作成し、作成した公開鍵PKを通信線TL32および通信線TL42を介して第2のコネクタ112へ送信する情報送信処理を行う(ステップS40)。
【0180】
次に、第2のコネクタ112における検証部36は、第1のコネクタ111から送信された公開鍵PKを受信して、乱数Rを作成する(ステップS41)。
【0181】
次に、検証部36は、作成した乱数Rを通信線TL42および通信線TL32を介して第1のコネクタ111へ送信する(ステップS42)。
【0182】
次に、第1のコネクタ111における処理部34は、第2のコネクタ112から乱数Rを受信して、作成した秘密鍵SKおよび受信した乱数Rを用いて、暗号化したデジタル署名Sを作成する(ステップS43)。
【0183】
次に、処理部34は、作成したデジタル署名Sを通信線TL32および通信線TL42を介して第2のコネクタ112へ送信する情報送信処理を行う(ステップS44)。
【0184】
次に、第2のコネクタ112における検証部36は、第1のコネクタ111からデジタル署名Sを受信して、公開鍵PKを用いて当該デジタル署名Sを復号化する。そして、検証部36は、復号化したデジタル署名Sおよび乱数Rを用いて第1のコネクタ111の検証処理を行い、検証処理の結果を示す結果情報A2を制御部37へ出力する(ステップS45)。
【0185】
次に、制御部37は、結果情報A2に基づいて、第1のコネクタ111の検証が成功したか否かを確認する(ステップS46)。そして、制御部37は、第1のコネクタ111の検証が成功した場合(ステップS46において「YES」)、スイッチ38をオン状態に切り替える(ステップS47)。
【0186】
次に、第1のコネクタ111および第2のコネクタ112は、
図4に示す通信装置3および通信装置4間において送受信される通信信号を中継する(ステップS48)。
【0187】
次に、たとえば、第2のコネクタ112における検証部36は、第1のコネクタ111が取り外されたことを検出し、検出結果を示す検出情報を制御部37へ出力する(ステップS49)。
【0188】
次に、制御部37は、第2のコネクタ112が取り外された旨の検出情報を検証部36から受けて、スイッチ38をオン状態からオフ状態へ切り替える(ステップS50およびS51)。
【0189】
一方、第2のコネクタ112における制御部37は、結果情報A2に基づいて、第1のコネクタ111の検証が失敗した場合、すなわち第2のコネクタ112と、第1のコネクタ111以外の機器とが接続された場合(ステップS46において「NO」)、スイッチ38のオフ状態を維持する(ステップS51)。
【0190】
次に、第1のコネクタ111における検証部31は、第2のコネクタ112が取り外されたことを検出し、検出結果を示す検出情報を制御部32へ出力する(ステップS52)。
【0191】
次に、制御部32は、第2のコネクタ112が取り外された旨の検出情報を検証部31から受けて、スイッチ33をオン状態からオフ状態へ切り替える(ステップS53およびS54)。
【0192】
一方、第1のコネクタ111における制御部32は、結果情報A1に基づいて、第2のコネクタ112の検証が失敗した場合、すなわち第1のコネクタ111と、第2のコネクタ112以外の機器とが接続された場合(ステップS38において「NO」)、スイッチ33のオフ状態を維持する(ステップS54)。
【0193】
なお、第1のコネクタ111および第2のコネクタ112によるステップS32~S39の動作は、第1のコネクタ111および第2のコネクタ112によるステップS40~S47の動作の後に行われてもよい。また、第1のコネクタ111および第2のコネクタ112によるステップS32~S39の動作、ならびに第1のコネクタ111および第2のコネクタ112によるステップS40~S47の動作は、同時に行われてもよい。
【0194】
また、第1のコネクタ111と第2のコネクタ112との取り外し(ステップS49,S52)は、第1のコネクタ111および第2のコネクタ112による通信信号の中継(ステップS48)の後に限らず、ステップS31以降のいずれのタイミングで行われてもよい。
【0195】
第1のコネクタ111と第2のコネクタ112とが取り外されたタイミングにおいてスイッチ33がオフ状態である場合、すなわちステップS39より前に第1のコネクタ111と第2のコネクタ112とが取り外された場合、スイッチ33はオフ状態を維持する。
【0196】
また、第1のコネクタ111と第2のコネクタ112とが取り外されたタイミングにおいてスイッチ33がオン状態であり、スイッチ38がオフ状態である場合、すなわちステップS39以降であり、かつステップS47より前に第1のコネクタ111と第2のコネクタ112とが取り外された場合、スイッチ33はオン状態からオフ状態に切り替わり、スイッチ38はオフ状態を維持する。
【0197】
また、第1のコネクタ111と第2のコネクタ112とが取り外されたタイミングにおいてスイッチ33およびスイッチ38の両方がオン状態である場合、すなわちステップS47以降に第1のコネクタ111と第2のコネクタ112とが取り外された場合、スイッチ33およびスイッチ38の両方はオン状態からオフ状態に切り替わる(ステップS53,50)。
【0198】
上記のように、本発明の第2の実施の形態に係るコネクタシステム202では、第1のコネクタ111は、通信線TL32,TL33を含む。第2のコネクタ112は、通信線TL42,TL43を含む。第2のコネクタ112における処理部35は、検証用情報を作成して第1のコネクタ111へ送信する情報送信処理を行う。第1のコネクタ111におけるスイッチ33は、第1のコネクタ111および第2のコネクタ112の接続状態において、通信線TL34および通信線TL44を電気的に接続するか否かを切り替える。第1のコネクタ111における検証部31は、第2のコネクタ112から受信した検証用情報に基づいて第2のコネクタ112を検証する検証処理を行う。そして、第1のコネクタ111における制御部32は、検証部31による検証処理の結果に基づいてスイッチ33を制御する。
【0199】
さらに、第1のコネクタ111における処理部34は、検証用情報を作成して第2のコネクタ112へ送信する情報送信処理を行う。第2のコネクタ112におけるスイッチ38は、第1のコネクタ111および第2のコネクタ112の接続状態において、通信線TL34および通信線TL44を電気的に接続するか否かを切り替える。第2のコネクタ112における検証部36は、第1のコネクタ111から受信した検証用情報に基づいて第1のコネクタ111を検証する検証処理を行う。そして、第2のコネクタ112における制御部37は、検証部36による検証処理の結果に基づいてスイッチ38を制御する。
【0200】
このように、第1のコネクタ111による検証処理の結果、および第2のコネクタ112による検証処理の結果に基づいて通信線TL34および通信線TL44の電気的接続を切り替える構成により、意図しない機器間における通信を防ぎ、セキュリティを確保することができる。
【0201】
したがって、本発明の第2の実施の形態に係るコネクタシステム202では、機器同士の電気的な接続をより適切に制御することができる。
【0202】
なお、第1のコネクタ111における通信線TL32および通信線TL33を1つの通信線で実現してもよい。また、第2のコネクタ112における通信線TL42および通信線TL43を1つの通信線で実現してもよい。
【0203】
その他の構成および動作は、上述した本発明の第1の実施の形態に係るコネクタシステム201と同様であるため、ここでは詳細な説明を繰り返さない。
【0204】
<第3の実施の形態>
本発明の第3の実施の形態に係るコネクタシステム203では、第1のコネクタ131および第2のコネクタ132は、電力線を介する電力の伝送を中継する。
【0205】
図7は、本発明の第3の実施の形態に係るコネクタシステムの適用例を示す図である。
【0206】
図7を参照して、第1のコネクタ131は、たとえば電気機器16に接続されている。第2のコネクタ132は、たとえばコンセント15に接続されている。電気機器16は、コンセント15と電気的に接続された状態において、第1のコネクタ131および第2のコネクタ132を介してコンセント15側から供給される電力を受ける。
【0207】
図8は、本発明の第3の実施の形態に係るコネクタシステムの構成を示す図である。
【0208】
図8を参照して、第1のコネクタ131は、検証部71と、制御部72と、スイッチ73と、電力線PL71と、通信線TL72と、電力線(第1の伝送線)PL73と、電力線PL74とを含む。検証部71、制御部72およびスイッチ73は、たとえば基板BP7に実装されている。検証部71、制御部72およびスイッチ73の構成および動作は、
図2に示す検証部11、制御部12およびスイッチ13の構成および動作と同様である。
【0209】
第2のコネクタ132は、処理部74と、電力線PL81と、通信線TL82と、電力線(第2の伝送線)PL83と、電力線PL84とを含む。処理部74は、たとえば、基板BP8に実装されている。処理部74の構成および動作は、
図2に示す処理部14の構成および動作と同様である。
【0210】
すなわち、第1のコネクタ131における検証部71は、第2のコネクタ132の検証処理を行い、検証結果を示す結果情報A1を制御部72へ出力する。制御部72は、検証部71から出力された結果情報A1を受けて、当該結果情報A1が第2のコネクタ132の検証成功を示す場合、スイッチ73をオン状態に切り替える。
【0211】
これにより、電力線PL73および電力線PL83が電気的に接続される。このため、電気機器16は、電力線PL83および電力線PL73を介してコンセント15側から供給される電力を受けることができる。
【0212】
一方、制御部72は、検証部71から受けた結果情報A1が自己の第1のコネクタ131の接続相手の検証失敗を示す場合、すなわち第1のコネクタ131の接続相手が第2のコネクタ132とは異なる機器である場合、スイッチ73のオフ状態を維持する。
【0213】
なお、第2のコネクタ132から第1のコネクタ131へ供給される電力は、交流電力であってもよいし、直流電力であってもよい。第1のコネクタ131へ供給される電力が交流電力である場合、たとえば、第1のコネクタ131における図示しないAC/DCコンバータが、交流電力を直流電力に変換する。しかしながら、第1のコネクタ131がAC/DCコンバータを含む場合は第1のコネクタ131のサイズが大きくなるため、第1のコネクタ131へ供給される電力は直流電力であることが好ましい。
【0214】
上記のように、本発明の第3の実施の形態に係るコネクタシステム203では、第1のコネクタ131は、電力線PL73を含む。第2のコネクタ132は、電力線PL83を含む。第2のコネクタ132における処理部74は、検証用情報を作成して第1のコネクタ131へ送信する情報送信処理を行う。第1のコネクタ131におけるスイッチ73は、第1のコネクタ131および第2のコネクタ132の接続状態において、電力線PL73および電力線PL83を電気的に接続するか否かを切り替える。第1のコネクタ131における検証部71は、第2のコネクタ132から受信した検証用情報に基づいて第2のコネクタ132を検証する検証処理を行う。そして、第1のコネクタ131における制御部72は、検証部71による検証処理の結果に基づいてスイッチ73を制御する。
【0215】
このように、第1のコネクタ131による検証処理の結果に基づいて電力線PL73および電力線PL83の電気的接続を切り替える構成により、電力線PL73および電力線PL83が電力伝送を行う場合、意図しない機器への電力伝送が行われることを防ぐことができる。
【0216】
したがって、本発明の第3の実施の形態に係るコネクタシステム203では、機器同士の電気的な接続をより適切に制御することができる。
【0217】
その他の構成および動作は、上述した本発明の第1の実施の形態に係るコネクタシステム201と同様であるため、ここでは詳細な説明を繰り返さない。
【0218】
<第4の実施の形態>
本発明の第4の実施の形態に係るコネクタシステム204では、第1のコネクタ121および第2のコネクタ122は、コンセント5およびプラグ7にそれぞれ接続されて、電力線を介する電力の伝送を中継する。
【0219】
図9は、本発明の第4の実施の形態に係るコネクタシステムの適用例を示す図である。
【0220】
図9を参照して、本発明の第4の実施の形態に係るコネクタシステム204では、第1のコネクタ121は、たとえばコンセント5に接続されている。第2のコネクタ122は、たとえば電気機器6のプラグ7に接続されている。電気機器6は、コンセント5と電気的に接続された状態において、第1のコネクタ121および第2のコネクタ122を介してコンセント5側から供給される電力を受ける。
【0221】
図10は、本発明の第4の実施の形態に係るコネクタシステムの構成を示す図である。
【0222】
図10を参照して、第1のコネクタ121は、検証部51と、制御部52と、スイッチ53と、電力線PL51と、通信線TL52と、電力線(第1の伝送線)PL53とを含む。検証部51、制御部52およびスイッチ53は、たとえば基板BP5に実装されている。検証部51、制御部52およびスイッチ53の構成および動作は、それぞれ、以下で示す内容を除き、
図2に示す検証部11、制御部12およびスイッチ13の構成および動作と同様である。
【0223】
第2のコネクタ122は、処理部54と、電力線PL61と、通信線TL62と、電力線(第2の伝送線)PL63とを含む。処理部54は、たとえば基板BP6に実装されている。処理部54の構成および動作は、以下で示す内容を除き、
図2に示す処理部14の構成および動作と同様である。
【0224】
第2のコネクタ122は、たとえば第1のコネクタ121に対して着脱可能である。第1のコネクタ121および第2のコネクタ122が接続された接続状態において、電力線PL51と電力線PL61とが接続され、通信線TL52と通信線TL62とが接続され、電力線PL53と電力線PL63とがスイッチ53を介して接続される。
【0225】
また、接続状態において、第2のコネクタ122における処理部54は、たとえば、コンセント5側から第1のコネクタ121を介して供給される電力を用いて動作する。また、処理部54は、検証用情報を作成し、作成した検証用情報を通信線TL62および通信線TL52経由で第1のコネクタ121へ送信する。
【0226】
第1のコネクタ121における検証部51は、第2のコネクタ122から送信された検証用情報を通信線TL62および通信線TL52経由で受信し、受信した検証用情報に基づいて、第2のコネクタ122の検証処理を行う。そして、検証部51は、検証結果を示す結果情報A1を制御部52へ出力する。検証部51による検証処理は、図2に示す検証部11による検証処理と同様である。
【0227】
制御部52は、検証部51から出力された結果情報A1を受けて、当該結果情報A1に基づいてスイッチ53を制御する。
【0228】
より詳細には、制御部52は、検証部51から受けた結果情報A1が自己の第1のコネクタ121の接続相手の検証成功を示す場合、すなわち第1のコネクタ121の接続相手が第2のコネクタ122である場合、スイッチ53をオン状態に切り替える。これにより、電力線PL53および電力線PL63が電気的に接続される。このため、電気機器6は、電力線PL53および電力線PL63を介してコンセント5側から供給される電力を受けることができる。
【0229】
一方、制御部52は、検証部51から受けた結果情報A1が自己の第1のコネクタ121の接続相手の検証失敗を示す場合、すなわち第1のコネクタ121の接続相手が第2のコネクタ122とは異なる機器である場合、スイッチ53のオフ状態を維持する。これにより、コンセント5側から意図しない機器へ電力の供給が行われることを防ぐことができる。
【0230】
また、第1のコネクタ121における検証部51は、たとえば、自己の第1のコネクタ121に対する第2のコネクタ122の着脱を検出する。検証部51は、自己の第1のコネクタ121から取り外されたことを検出すると、検出結果を示す検出情報を制御部52へ出力する。
【0231】
制御部52は、第2のコネクタ122が取り外された旨の検出情報を検証部51から受けると、スイッチ53をオン状態からオフ状態へ切り替える。
【0232】
なお、検証部51は、検証処理を定期的または不定期に行う構成であってもよい。この場合、検証部51は、たとえば前回のデジタル署名Sを受信したタイミングから所定時間以内に新たなデジタル署名Sを受信できたか否かを確認することにより、第2のコネクタ122の取り外しを検出することができる。検証部51は、前回のデジタル署名Sを受信したタイミングから所定時間以内に新たなデジタル署名Sを受信できない場合、検証失敗を示す結果情報A1を制御部52へ出力する。
【0233】
<動作の流れ>
図11は、本発明の第4の実施の形態に係るコネクタシステムの動作手順を定めたシーケンス図である。
【0234】
図10および
図11を参照して、まず、第2のコネクタ122は、たとえば、第1のコネクタ121に接続される(ステップS61)。
【0235】
次に、第2のコネクタ122における処理部54は、公開鍵PKおよび秘密鍵SKを作成し、作成した公開鍵PKを通信線TL62および通信線TL52を介して第1のコネクタ121へ送信する情報送信処理を行う(ステップS62)。
【0236】
次に、第1のコネクタ121における検証部51は、第2のコネクタ122から公開鍵PKを受信して、乱数Rを作成する(ステップS63)。
【0237】
次に、検証部51は、作成した乱数Rを通信線TL52および通信線TL62を介して第2のコネクタ122へ送信する(ステップS64)。
【0238】
次に、第2のコネクタ122における処理部54は、第1のコネクタ121から乱数Rを受信して、作成した秘密鍵SKおよび受信した乱数Rを用いて、暗号化したデジタル署名Sを作成する(ステップS65)。
【0239】
次に、処理部54は、作成したデジタル署名Sを通信線TL62および通信線TL52を介して第1のコネクタ121へ送信する情報送信処理を行う(ステップS66)。
【0240】
次に、第1のコネクタ121における検証部51は、第2のコネクタ122からデジタル署名Sを受信して、公開鍵PKを用いて当該デジタル署名Sを復号化する。そして、検証部51は、復号化したデジタル署名Sおよび乱数Rを用いて第2のコネクタ122の検証処理を行い、検証処理の結果を示す結果情報A1を制御部52へ出力する(ステップS67)。
【0241】
次に、制御部52は、検証部51から受けた結果情報A1が自己の第1のコネクタ121の接続相手の検証成功を示す場合(ステップS68において「YES」)、スイッチ53をオン状態に切り替える(ステップS69)。
【0242】
次に、第1のコネクタ121および第2のコネクタ122は、コンセント5側から電気機器6への電力伝送を中継する(ステップS70)。
【0243】
次に、たとえば第2のコネクタ122が第1のコネクタ121から取り外されると(ステップS71)、第1のコネクタ121における検証部51は、第2のコネクタ122が取り外されたことを検出し、検出結果を示す検出情報を制御部52へ出力する(ステップS72)。
【0244】
次に、制御部52は、第2のコネクタ122が取り外された旨の検出情報を検証部51から受けて、スイッチ53をオン状態からオフ状態へ切り替える(ステップS73およびS74)。
【0245】
一方、制御部52は、検証部11から受けた結果情報A1が自己の第1のコネクタ121の接続相手の検証失敗を示す場合(ステップS68において「NO」)、スイッチ53のオフ状態を維持する(ステップS74)。
【0246】
また、第1のコネクタ121からの第2のコネクタ122の取り外し(ステップS71)は、第1のコネクタ121および第2のコネクタ122による電力伝送の中継(ステップS70)の後に限らず、ステップS61以降のいずれのタイミングで行われてもよい。
【0247】
第2のコネクタ122が取り外されたタイミングにおいてスイッチ53がオフ状態である場合、すなわちステップS69より前に第2のコネクタ122が取り外された場合、スイッチ53はオフ状態を維持する。一方、第2のコネクタ122が取り外されたタイミングにおいてスイッチ53がオン状態である場合、すなわちステップS69以降に第2のコネクタ122が取り外された場合、スイッチ53はオン状態からオフ状態に切り替わる(ステップS73)。
【0248】
上記のように、本発明の第4の実施の形態に係るコネクタシステム204では、第1のコネクタ121は、電力線PL63を含む。第2のコネクタ122は、電力線PL63を含む。第2のコネクタ122における処理部54は、検証用情報を作成して第1のコネクタ121へ送信する情報送信処理を行う。第1のコネクタ121におけるスイッチ53は、第1のコネクタ121および第2のコネクタ122の接続状態において、電力線PL53および電力線PL63を電気的に接続するか否かを切り替える。第1のコネクタ121における検証部51は、第2のコネクタ122から受信した検証用情報に基づいて第2のコネクタ122を検証する検証処理を行う。そして、第1のコネクタ121における制御部52は、検証部51による検証処理の結果に基づいてスイッチ53を制御する。
【0249】
このように、第1のコネクタ121による検証処理の結果に基づいて電力線PL53および電力線PL63の電気的接続を切り替える構成により、電力線PL53および電力線PL63が電力伝送を行う場合、意図しない機器への電力伝送が行われることを防ぐことができる。
【0250】
したがって、本発明の第4の実施の形態に係るコネクタシステム204では、機器同士の電気的な接続をより適切に制御することができる。
【0251】
その他の構成および動作は、上述した本発明の第1の実施の形態に係るコネクタシステム201と同様であるため、ここでは詳細な説明を繰り返さない。
【0252】
なお、本発明の第1の実施の形態に係るコネクタシステム201、第2の実施の形態に係るコネクタシステム202、第3の実施の形態に係るコネクタシステム203および第4の実施の形態に係るコネクタシステム204の各々の特徴を適宜組み合わせることも可能である。
【0253】
上記実施の形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記説明ではなく請求の範囲によって示され、請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【0254】
以上の説明は、以下に付記する特徴を含む。
[付記1]
第1の伝送線を含む第1のコネクタと、
第2の伝送線を含む第2のコネクタとを備え、
前記第2のコネクタは、検証に係る情報を作成して前記第1のコネクタへ送信する情報送信処理を行う処理部を含み、
前記第1のコネクタは、
前記第1のコネクタおよび前記第2のコネクタが接続された状態において、前記第1の伝送線および前記第2の伝送線を電気的に接続するか否かを切り替えるスイッチと、
前記第2のコネクタから受信した前記情報に基づいて前記第2のコネクタを検証する検証処理を行う検証部と、
前記検証処理の結果に基づいて前記スイッチを制御する制御部とを含み、
前記第1の伝送線および第2の伝送線は、互いに異なる機器に接続され、機器間において伝送される通信信号または電力の中継が行われ、
前記検証部は、前記情報であるデジタル署名を用いた前記検証処理を行う、コネクタシステム。
【0255】
[付記2]
第1の伝送線を含むコネクタであって、
自己のコネクタ、および第2の伝送線を含む他のコネクタが接続された状態において、前記第1の伝送線および前記第2の伝送線を電気的に接続するか否かを切り替えるスイッチと、
自己のコネクタの接続相手を検証する検証処理を行う検証部と、
前記検証処理の結果に基づいて、前記スイッチを制御する制御部とを含み、
前記第1の伝送線および第2の伝送線は、互いに異なる機器に接続され、機器間において伝送される通信信号または電力の中継が行われ、
前記検証部は、デジタル署名を用いた前記検証処理を行う、コネクタ。
【0256】
[付記3]
第1の伝送線を含む相手コネクタに接続可能なコネクタであって、
検証に係る情報を作成して前記相手コネクタへ送信する処理部と、
第2の伝送線とを含み、
前記相手コネクタは、自己の前記相手コネクタおよび他のコネクタが接続された状態において、前記第1の伝送線および前記第2の伝送線を電気的に接続するか否かを切り替えるスイッチと、
前記情報に基づいて前記他のコネクタを検証する検証処理を行う検証部と、
前記検証処理の結果に基づいて前記スイッチを制御する制御部とを含み、
前記第1の伝送線および第2の伝送線は、互いに異なる機器に接続され、機器間において伝送される通信信号または電力の中継が行われ、
前記他のコネクタは、前記情報であるデジタル署名を用いて前記コネクタの検証処理を行う、コネクタ。
【符号の説明】
【0257】
1 ワイヤハーネス
2 車載装置
3,4 通信装置
5,15 コンセント
6,16 電気機器
7 プラグ
11,31,36,51,71 検証部
12,32,37,52,72 制御部
13,33,38,53,73 スイッチ
14,34,35,54,74 処理部
101,111,121,131 第1のコネクタ(相手コネクタ)
102,112,122,132 第2のコネクタ
201,202,203,204 コネクタシステム