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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-01-30
(45)【発行日】2023-02-07
(54)【発明の名称】空気調和システム
(51)【国際特許分類】
   F24F 11/41 20180101AFI20230131BHJP
   F24F 11/46 20180101ALI20230131BHJP
   F24F 11/48 20180101ALI20230131BHJP
   F24F 11/70 20180101ALI20230131BHJP
   F24F 11/86 20180101ALI20230131BHJP
   F24F 11/64 20180101ALI20230131BHJP
   F24F 110/10 20180101ALN20230131BHJP
   F24F 140/00 20180101ALN20230131BHJP
【FI】
F24F11/41 200
F24F11/46
F24F11/48
F24F11/70
F24F11/86
F24F11/64
F24F110:10
F24F140:00
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2020513066
(86)(22)【出願日】2018-12-21
(86)【国際出願番号】 JP2018047210
(87)【国際公開番号】W WO2019198277
(87)【国際公開日】2019-10-17
【審査請求日】2021-09-22
(31)【優先権主張番号】P 2018075987
(32)【優先日】2018-04-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000005049
【氏名又は名称】シャープ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100148275
【弁理士】
【氏名又は名称】山内 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100136319
【弁理士】
【氏名又は名称】北原 宏修
(74)【代理人】
【識別番号】100142745
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 世子
(74)【代理人】
【識別番号】100143498
【弁理士】
【氏名又は名称】中西 健
(72)【発明者】
【氏名】内田 敬介
【審査官】嶋田 研司
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2015/173868(WO,A1)
【文献】実開昭57-028226(JP,U)
【文献】特開2009-008352(JP,A)
【文献】特開平03-007841(JP,A)
【文献】特開昭59-145455(JP,A)
【文献】特開2017-083143(JP,A)
【文献】特開2010-096474(JP,A)
【文献】特開2014-149105(JP,A)
【文献】特開2018-066502(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24F 11/41
F24F 11/46
F24F 11/48
F24F 11/70
F24F 11/86
F24F 11/64
F24F 110/10
F24F 140/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヒートポンプサイクルと、
前記ヒートポンプサイクルの動作を制御する制御部と
を備えている空気調和システムであって、
前記制御部は、前記ヒートポンプサイクルによって空調制御が行われる空間の空調性能が所定の空調性能基準よりも低い場合に、前記除霜運転の継続時間の上限値を短縮させる、
空気調和システム。
【請求項2】
前記制御部は、前記空間の空調性能が所定の空調性能基準よりも低い場合に、前記除霜運転の回数を増やす、
請求項1に記載の空気調和システム。
【請求項3】
前記制御部は、前記空間の空調性能に基づいて、前記除霜運転を行う直前の前記空間内の温度の上昇値を決定する、
請求項1または2に記載の空気調和システム。
【請求項4】
前記制御部は、前記除霜運転時の前記空間内の温度変化から前記空間の空調性能を評価する、
請求項1から3の何れか1項に記載の空気調和システム。
【請求項5】
前記ヒートポンプサイクルは、圧縮機を備えており、
前記制御部は、設定時刻までに前記空間内の温度を設定温度に到達させる空調制御を行うものであり、
前記空間の空調性能が所定の空調性能基準よりも高い場合に、前記制御部は、前記ヒートポンプサイクルのエネルギー消費効率が最適となる範囲内の回転数で前記圧縮機の運転を開始させる、
請求項1から4の何れか1項に記載の空気調和システム。
【請求項6】
前記制御部は、前記設定時刻までに前記空間内の温度が設定温度に到達しないと判断したときに、前記圧縮機の回転数を前記ヒートポンプサイクルのエネルギー消費効率が最適となる範囲内の回転数よりも上昇させる、
請求項5に記載の空気調和システム。
【請求項7】
前記制御部と情報通信可能なサーバをさらに備えている、
請求項1から6の何れか1項に記載の空気調和システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、空気調和機などを含む空気調和システムに関する。
【背景技術】
【0002】
空気調和機には、所望とする時刻に室内が設定温度に到達するように、前もって空調運転を開始するように制御できるものがある。しかし、空調運転が開始されてから設定温度に到達するまでの時間は、空気調和機が設置されている部屋の空調性能によって種々に異なる場合が多い。これは、各部屋の空調性能が、断熱性、広さ、気密性、日当たりなどの各要素によって左右されるためである。
【0003】
そこで、特許文献1に開示されている空気調和装置は、住宅の空調負荷(気密性能、断熱性能)に応じて運転条件を変化させる選択手段13を設けている。これにより、住宅の気密性能や断熱性能に応じて運転状態の切り換えを行い、空調負荷の異なる住宅において快適かつ効率的に空調運転を行うことを試みている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2001-343145号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、部屋の空調性能に応じた空調運転の制御の仕方には、改善の余地が残されている。例えば、断熱性能の比較的低い室内において、在室者がより快適に感じる空調運転を行うことが求められている。
【0006】
そこで、本発明の一局面では、空気調和機が設置されている空間の空調性能に基づいてより快適な空調制御を行うことのできる空気調和システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一局面にかかる空気調和システムは、ヒートポンプサイクルと、前記ヒートポンプサイクルの動作を制御する制御部とを備えている。この空気調和システムにおいて、前記制御部は、前記ヒートポンプサイクルによって空調制御が行われる空間の空調性能に基づいて、除霜運転の制御内容を変更する。
【0008】
本発明の別の一局面にかかる空気調和システムは、圧縮機を含むヒートポンプサイクルと、前記ヒートポンプサイクルの動作を制御する制御部とを備えている。この空気調和システムにおいて、前記制御部は、前記ヒートポンプサイクルによって空調制御が行われる空間の空調性能に基づいて、設定時刻までに前記空間内の温度を設定温度に到達させる空調制御を行うものであり、前記空間の空調性能が所定の空調性能基準よりも高い場合に、前記制御部は、前記ヒートポンプサイクルのエネルギー消費効率が最適となる範囲内の回転数で前記圧縮機の運転を開始させる。
【発明の効果】
【0009】
上記の本発明の各局面にかかる空気調和システムによれば、空気調和機が設置されている空間内の空調性能に基づいてより快適な空調制御を行うことができる。例えば、一局面にかかる空気調和システムによれば、空気調和機が設置されている空間内の断熱性能の高低に応じて除霜運転を制御することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】第1の実施形態にかかる空気調和システムの全体構成と動作概要を示すイメージ図である。
図2】第1の実施形態にかかる空気調和システムを構成する空気調和機の内部構成を示すブロック図である。
図3図2に示す空気調和機におけるヒートポンプサイクルの構成を示す模式図である。
図4】第1の実施形態にかかる空気調和システムを構成するサーバの内部構成を示すブロック図である。
図5図4に示すサーバ内に格納されている空調性能識別テーブルの一例を示す模式図である。
図6図4に示すサーバ内に格納されている除霜運転の制御内容識別テーブルの一例を示す模式図である。
図7】第1の実施形態にかかる空気調和システムにおいて除霜運転の制御内容を変更するときの処理の流れを示すフローチャートである。
図8】空調性能の異なる各部屋(R1,R2,R3)で除霜運転を行ったときの室温TRの変化の例を示すイメージ図である。
図9】第2の実施形態にかかる空気調和システムにおいて空調性能の評価を行う際の動作概要を示すイメージ図である。
図10】第2の実施形態にかかる空気調和システムで行われる空調性能測定を開始するための処理の流れを示すフローチャートである。
図11】空調性能の異なる各部屋(R1,R2,R3)で空調性能測定を行ったときの室温TRの変化の例を示すイメージ図である。
図12図4に示すサーバ内に格納されている除霜運転の制御内容識別テーブルの一例を示す模式図である。
図13】第4の実施形態にかかる空気調和システムで行われる暖房運転開始時の圧縮機の回転数制御と室温の経時変化との関係を示すグラフである。
図14】第4の実施形態にかかる空気調和機の内部構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照しつつ、本発明の実施の形態について説明する。以下の説明では、同一の部品には同一の符号を付してある。それらの名称および機能も同じである。したがって、それらについての詳細な説明は繰り返さない。
【0012】
〔第1の実施の形態〕
<空気調和システム1の全体構成と動作概要>
まず、本実施形態にかかる空気調和システム1の全体構成について説明する。図1には、本実施形態にかかる空気調和システム1の構成を概略的に示す。空気調和システム1は、主な構成要素として、空気調和機10と、サーバ70とを含む。空気調和機10は、インターネットやルータなどを介してサーバ70に接続可能となっている。
【0013】
次に、図1を参照して、本実施形態にかかる空気調和システム1の動作概要について説明する。本実施形態にかかる空気調和システム1には、空気調和機10が設置されている部屋R(空間)の空調性能に関する情報が格納されている。
【0014】
ここで、空調性能に関する情報とは、空気調和機10が設置されている空間(具体的には、部屋、室内)が空調されやすい環境であるか否かの指標となる情報である。部屋Rの空調性能は、部屋Rの断熱性、広さ、気密性、日当たりなどの各要素によって左右される。例えば、部屋Rの断熱性がより高ければ、部屋Rの温度を短時間で設定温度に到達させたり、空調運転時の空気調和機10の消費電力(必要な熱量)を低く抑えたりすることができる。そのため、部屋Rの空調性能は高いと判断される。一方、部屋Rの断熱性がより低ければ、部屋Rの空調性能は低いと判断される。空調性能に関する情報は、断熱性能に関する情報と言い換えることもできる。
【0015】
空気調和機10が設置されている部屋R(空間)の空調性能に関する情報は、部屋Rが存在する建物および立地などの各種条件に基づいて、予め決められていてもよい。またあるいは、例えば、後述するような部屋Rの空調性能の測定方法を用いて評価した結果を、空調性能に関する情報として利用してもよい。
【0016】
そして、本実施形態にかかる空気調和システム1では、部屋Rの空調性能に関する情報に基づいて、空気調和機10の暖房運転中に実施される除霜運転の制御内容を変更する。ここで、除霜運転の制御内容とは、除霜運転の仕方(具体的には、除霜運転の継続時間、実施回数など)を意味する。以下、空気調和システム1の具体的な構成について詳述する。
【0017】
<空気調和機10の構成>
以下、図2および図3を参照して、空気調和システム1を構成する空気調和機10の構成について説明する。図2および図3には、本実施形態にかかる空気調和機10の全体構成を示す。図3では、空気調和機10の暖房運転時の冷媒(熱媒体)の流れを実線の矢印で示し、空気調和機10の冷房運転時の冷媒(熱媒体)の流れを破線の矢印で示している。なお、本空気調和機10は、暖房運転と冷房運転の両方を行うことが可能であるが、暖房運転のみを行う空気調和機(すなわち、暖房機)にも本発明を適用することができる。
【0018】
空気調和機10は、セパレート式の空気調和機であって、主として、室内機20と、室外機50と、リモートコントローラ60とから構成されている。空気調和機10は、ヒートポンプサイクル(冷凍サイクル、または冷媒サイクルとも呼ばれる)を用いて空調対象となる部屋Rの暖房、冷房、および除湿などを行う。
【0019】
室外機50には、圧縮機52、室外側熱交換器54、四方弁53、および膨張弁55などが備えられている。これらと室内機20側に備えられた室内側熱交換器12とによってヒートポンプサイクルが形成される。
【0020】
ヒートポンプサイクルは、室内機20内の室内側熱交換器12と、室外機50内の圧縮機52、室外側熱交換器54、四方弁53、および膨張弁55などが冷媒配管57および58を介して接続されることによって構成されている。以下、室外機50、室内機20、冷媒配管57および58について詳述する。
【0021】
(1)室外機
室外機50は、主に、筐体51、圧縮機52、四方弁53、室外側熱交換器54、膨張弁55、室外送風機56、冷媒配管57、冷媒配管58、二方弁59、および三方弁65から構成されている。なお、この室外機50は、屋外に設置されている。
【0022】
筐体51には、圧縮機52、四方弁53、室外側熱交換器54、膨張弁55、室外送風機56、冷媒配管57、冷媒配管58、二方弁59、三方弁65、外気温度センサ(図示せず)、および室外側熱交換器温度センサ63等が収納されている。
【0023】
圧縮機52は、吐出管52aおよび吸入管52bを有している。吐出管52aおよび吸入管52bは、それぞれ、四方弁53の異なる接続口に接続されている。圧縮機52は、運転時、吸入管52bから低圧の冷媒ガスを吸入し、その冷媒ガスを圧縮して高圧の冷媒ガスを生成した後、その高圧の冷媒ガスを吐出管52aから吐出する。なお、本実施の形態において、この圧縮機52の制御形式は、特に限定されず、定速式の圧縮機であってもよいし、インバータ式の圧縮機であってもよい。
【0024】
四方弁53は、冷媒配管を介して圧縮機52の吐出管52aおよび吸入管52b、室外側熱交換器54ならびに室内側熱交換器12に接続されている。四方弁53は、運転時、空気調和機10の制御部41(図2参照)から送信される制御信号に従って、ヒートポンプサイクルの経路を切り換える。すなわち、四方弁53は、冷房運転状態と暖房運転状態との間で経路の切り換えを行う。
【0025】
具体的には、暖房運転状態では、四方弁53は、圧縮機52の吐出管52aを室内側熱交換器12に連結させると共に圧縮機52の吸入管52bを室外側熱交換器54に連結させる(図3の実線矢印参照)。一方、冷房運転状態では、四方弁53は、圧縮機52の吐出管52aを室外側熱交換器54に連結させると共に圧縮機52の吸入管52bを室内側熱交換器12に連結させる(図3の破線矢印参照)。
【0026】
室外側熱交換器54は、左右両端で複数回折り返された伝熱管(図示せず)に多数の放熱フィン(図示せず)が取り付けられたものである。室外側熱交換器54は、冷房運転時には凝縮器として機能し、暖房運転時には蒸発器として機能する。なお、熱交換器としてパラレルフロー型熱交換器やサーペン型熱交換器を用いてもよい。
【0027】
膨張弁55は、ステッピングモータを介して開度制御が可能な電子膨張弁であって、一方が冷媒配管57を介して二方弁59に接続されると共に、他方が室外側熱交換器54に接続されている。膨張弁55のステッピングモータは、空気調和機10の制御部41(図2参照)から送信される制御信号に従って動作する。膨張弁55は、運転時において、凝縮器(暖房時は室内側熱交換器12であり、冷房時は室外側熱交換器54である)から流出する高温高圧の液冷媒を蒸発しやすい状態に減圧すると共に、蒸発器(暖房時は室外側熱交換器54であり、冷房時は室内側熱交換器12である)への冷媒供給量を調節する役目を担っている。
【0028】
室外送風機56は、主に、プロペラファンおよびモータから構成されている。プロペラファンは、モータによって回転駆動され、屋外の外気を室外側熱交換器54に供給する。モータは、空気調和機10の制御部(図示せず)から送信される制御信号に従って動作する。
【0029】
二方弁59は、冷媒配管57に配設されている。なお、二方弁59は、室外機50から冷媒配管57が取り外されるときに閉じられ、冷媒が室外機50から外部に漏れることを防ぐ。
【0030】
三方弁65は、冷媒配管58に配設されている。なお、三方弁65は、室外機50から冷媒配管58が取り外されるときに閉じられ、冷媒が室外機50から外部に漏れることを防ぐ。また、室外機50から、あるいは室内機20を含めたヒートポンプサイクル全体から、冷媒を回収する必要があるときは、三方弁65を通じて冷媒の回収が行われる。
【0031】
室外側熱交換器温度センサ63は、室外側熱交換器54の近傍に配置され、室外側熱交換器54の温度を測定する。なお、室外側熱交換器温度センサ63は、室外側熱交換器54と接触して配置されていてもよい。
【0032】
(2)室内機
室内機20は、主に、筐体11、室内側熱交換器12、および室内送風機13から構成されている。
【0033】
筐体11には、室内側熱交換器12、室内送風機13、室内側熱交換器温度センサ14、室内温度センサ15、ルーバ19、および制御部41(図2参照)等が収納されている。
【0034】
室内側熱交換器12は、図3に示すように、3個の熱交換器を、室内送風機13を覆う屋根のように組み合わせたものである。なお、各熱交換器は、左右両端で複数回折り返された伝熱管(図示せず)に多数の放熱フィン(図示せず)が取り付けられたものである。これらの熱交換器は、暖房運転時には凝縮器として機能し、冷房運転時には蒸発器として機能する。室内側熱交換器12の近傍には、当該熱交換器の温度を測定する室内側熱交換器温度センサ14が配置される。なお、室内側熱交換器温度センサ14は、室内側熱交換器12と接触して配置されていてもよい。
【0035】
室内送風機13は、主に、クロスフローファンおよびモータから構成されている。クロスフローファンは、モータによって回転駆動され、室内の空気を筐体11に吸い込んで室内側熱交換器12に供給すると共に、室内側熱交換器12で熱交換された空気を室内に送出する。
【0036】
室内温度センサ15は、室内機20が設置されている室内の温度を測定する。室内温度センサ15は、例えば、室内空気を吸い込むために筐体11に設けられた吸込み口付近に配置されている。
【0037】
ルーバ19は、角度を変更することのできる板状部材で形成されている。この板状部材の角度を適宜変更することで、室内送風機13により送出される空気の風向を上下方向に変更する。また、本実施形態では、ルーバ19は、室内への空気の吹き出しのオンオフ(開閉)を制御するシャッタの役割も果たす。
【0038】
また、室内機20内には、上記以外の構成として、室内温度センサ15、表示部23、通信インターフェイス24、制御部41などが備えられている(図2参照)。
【0039】
室内温度センサ15は、室内温度検出手段であって、室内機20が設置されている部屋R内の温度を測定する。室内温度センサ15としては、サーミスタなどの既知の検出手段を使用することができる。
【0040】
表示部23は、液晶表示パネルおよびLEDライトなどを含む。表示部23は制御部41からの信号に基づいて空気調和機10の動作状況や警報等を表示する。
【0041】
通信インターフェイス24は、アンテナやコネクタによって実現される。通信インターフェイス24は、有線通信あるいは無線通信によって他の装置との間でデータをやり取りする。具体的には、通信インターフェイス24は、リモートコントローラ60を操作した際に送信される赤外線の信号を受信する。
【0042】
また、通信インターフェイス24は、サーバ70から送信される各種信号、各種データ、および各種指令などを受信する。また、通信インターフェイス24は、サーバ70に対して、空気調和機10側の情報を送信することもできる。
【0043】
制御部41は、空気調和機10内の各構成部品と接続され、これらの制御を行う。制御部41は、例えば、室内機20内の側端部に配置された電装品ユニット内に配置される。制御部41内には、メモリ42、およびタイマ43などが備えられている。
【0044】
制御部41は、信号線を介して、ヒートポンプサイクルの各構成部材と接続されている。そして、電装ユニット内の制御部は、ユーザの指示、および室内や戸外の温度を検出する温度計等の各種のセンサの検出信号に基づいて、ヒートポンプサイクルを制御し、冷房運転および暖房運転を行う。
【0045】
メモリ42は、ROM(read only memory)及びRAM(Random Access Memory)を含む。メモリ42は、空気調和機10の動作プログラムや設定データを記憶するとともに制御部41による演算結果を一時記憶する。タイマ43は、必要に応じて、制御部41内で行われる処理の時間、空気調和機10内の各構成部材の動作時間などを計測する。
【0046】
リモートコントローラ60は、ユーザが空気調和機10を操作するための操作部として機能する。ユーザは、例えば、リモートコントローラ60を操作して、空気調和機10の運転モード、設定温度などを選択することができる。
【0047】
(3)冷媒配管
冷媒配管57は、冷媒配管58よりも細い管であって、運転時に液冷媒が流れる。冷媒配管58は、冷媒配管57よりも太い管であって、運転時にガス冷媒が流れる。
【0048】
室外機50の圧縮機52、四方弁53、室外側熱交換器54および膨張弁55、ならびに室内機20の室内側熱交換器12は、冷媒配管57,58によって順次接続され、ヒートポンプサイクル(冷凍サイクル)を構成している。
【0049】
<空気調和機の基本的な動作>
以下、本実施の形態にかかる空気調和機10の暖房運転、および冷房運転について詳述する。
【0050】
(1)暖房運転
暖房運転では、四方弁53が図3の実線で示される状態、すなわち、圧縮機52の吐出管52aが室内側熱交換器12に接続され、かつ、圧縮機52の吸入管52bが室外側熱交換器54に接続された状態となる。また、このとき、二方弁59および三方弁65は開状態とされている。この状態で、圧縮機52が起動されると、ガス冷媒が、圧縮機52に吸入され、圧縮された後、四方弁53および三方弁65を経由して室内側熱交換器12に供給され、室内空気を加熱すると共に凝縮されて液冷媒となる。その後、この液冷媒は、二方弁59を経由して膨張弁55に送られ、減圧されて気液二相状態となる。気液二相状態の冷媒は、室外側熱交換器54に送られて、室外側熱交換器54において蒸発させられてガス冷媒となる。最後に、そのガス冷媒は、四方弁53を経由して、再び、圧縮機52に吸入される。
【0051】
(2)冷房運転
冷房運転では、四方弁53が図3の破線で示される状態、すなわち、圧縮機52の吐出管52aが室外側熱交換器54に接続され、かつ、圧縮機52の吸入管52bが室内側熱交換器12に接続された状態となる。また、このとき、二方弁59および三方弁65は開状態とされている。この状態で、圧縮機52が起動されると、ガス冷媒が、圧縮機52に吸入され、圧縮された後、四方弁53を経由して室外側熱交換器54に送られ、室外側熱交換器54において冷却され、液冷媒となる。その後、この液冷媒は、膨張弁55に送られ、減圧されて気液二相状態となる。気液二相状態の冷媒は、二方弁59を経由して室内側熱交換器12に供給され、室内空気を冷却するとともに蒸発されてガス冷媒となる。最後に、そのガス冷媒は、三方弁65および四方弁53を経由して、再び、圧縮機52に吸入される。
【0052】
(3)除霜運転
暖房運転時には、室外側熱交換器54に霜が付き熱交換能力が落ちる場合がある。そこで、制御部41(図2参照)は、室外側熱交換器温度センサ63の測定温度などに基づいて、室外側熱交換器54に霜が付いたか否かを判定する。制御部41は、霜が付いたと判断した場合に、四方弁53を切り換えて冷凍サイクルを上述の冷房運転と同じサイクルとし、室内ファンを停止させた状態で冷媒を循環させることによって除霜する(リバース除霜)。また、制御部41は、室外側熱交換器温度センサ63が測定した温度に基づいて、適切に室外側熱交換器54の霜が除かれたか否かを判定する。なお、本実施形態にかかる空気調和機10では、サーバ70から取得した部屋Rの空調性能に関する情報に基づいて、除霜運転の制御内容を変更する。具体的には、除霜運転の継続時間および回数などを変更する。除霜運転の方法は、上述のリバース除霜に限定はされない。
【0053】
<サーバ70の構成>
続いて、図4を参照して、空気調和システム1を構成するサーバ70の構成について説明する。サーバ70は、主たる構成要素として、CPU(Central Processing Unit)71と、メモリ72と、ディスプレイ73と、操作部74と、通信インターフェイス75とを含む。
【0054】
CPU(制御部)71は、メモリ72に記憶されているプログラムを実行することによって、サーバ70の各部を制御する。たとえば、CPU71は、メモリ72に格納されているプログラムを実行し、各種のデータを参照することによって、後述する各種の処理を実行する。
【0055】
また、CPU71の内部には、空調性能評価部76が設けられている。空調性能評価部76は、空気調和機10の運転状態が所定の条件を満たしたときに、部屋R内の環境の変化(例えば、部屋R内の温度変化)を測定し、その結果に基づいて部屋Rの空調性能を評価する。なお、サーバ70のCPU71には、空調性能評価部76が部屋Rの空調性能を評価することができるように、空気調和機10の通信インターフェイス24から、空気調和機10の運転状態、室内温度センサ15の測定データなどに関する情報が定期的に送信される。
【0056】
メモリ72は、各種のRAM(Random Access Memory)、各種のROM(Read-Only Memory)などによって実現される。メモリ72は、CPU71によって実行されるプログラムや、CPU71によるプログラムの実行により生成されたデータ、入力されたデータ、および、本実施形態にかかる空気調和機10の運転制御に利用される各種データベースなどを記憶する。例えば、メモリ72は、空調性能評価部76が作成した部屋Rの空調性能情報(図5に示す空調性能識別テーブル81など)などを格納する。なお、本実施の形態においては、これらの情報がサーバ70内のメモリ72に格納されているが、これらの情報はサーバ70がアクセス可能な他の装置に格納されていてもよい。
【0057】
また、ディスプレイ73は、CPU71からの信号に基づいて、テキストや画像を表示する。操作部74は、サービスの管理者などの命令を受け付けて、当該命令をCPU71に入力する。
【0058】
通信インターフェイス75は、CPU71からのデータを、インターネット、キャリア網、ルータなどを介して、空気調和機10などの他の装置に送信する。逆に、通信インターフェイス75は、インターネット、キャリア網、ルータなどを介して空気調和機10などの他の装置からのデータを受信して、CPU71に受け渡す。
【0059】
<部屋の空調性能に基づく除霜運転の制御方法>
続いて、部屋Rの空調性能に基づいて、空気調和機10の除霜運転の制御内容を変更する方法について、図1、および図5から図7を参照しながら説明する。
【0060】
図5には、サーバ70内のメモリ72に格納されている空調性能識別テーブル81を示す。空調性能識別テーブル81には、各部屋の識別IDと部屋の空調性能とが対応付けて記憶されている。サーバ70と情報通信可能な空気調和機が複数台存在する場合に、このようなテーブルは有効である。部屋の識別IDは、各空気調和機が設置されている部屋単位で割り振られている。
【0061】
例えば、図5において、空調性能が「中」に該当する部屋R2は、現在の住宅の断熱性能の評価基準において、標準的(平均的)な断熱性能を有している空間である。また、空調性能が「高」に該当する部屋R1は、空調性能が「中」に該当する部屋R2と比較して断熱性能が約20%以上優れた空間である。また、空調性能が「低」に該当する部屋R3は、空調性能が「中」に該当する部屋R2と比較して断熱性能が約20%以上劣る空間である。
【0062】
図6には、サーバ70内のメモリ72に格納されている除霜運転の制御内容識別テーブル82を示す。制御内容識別テーブル82には、除霜運転の制御内容(具体的には、除霜運転の継続時間の上限値、および再除霜運転の設定のON/OFF)が、部屋の空調性能と対応付けて記憶されている。
【0063】
図6に示す制御内容識別テーブル82では、空調性能が「低」に該当する部屋において除霜運転を行う場合の除霜運転の継続時間の上限値をT2と設定している。この上限値T2は、空調性能が「中」および「高」に該当する部屋における上限値T1と比較して短い時間となっている。これは、空調性能が劣る部屋では、除霜運転中の室内温度の低下の程度が、空調性能が優れた部屋と比較して大きくなるためである。このように、部屋Rの空調性能が標準的な部屋R2の空調性能よりも低い場合に、除霜運転の継続時間の上限値を、予め設定されている上限値(例えば、T1)よりも短縮させることで、部屋Rにおける除霜運転中の室内温度の低下の程度を小さくすることができる。
【0064】
また、図6に示す制御内容識別テーブル82における「再除霜運転の設定」とは、除霜運転が終了してから所定時間経過した後に、再び除霜運転を強制的に実施するという設定である。このような設定は、1回目の除霜運転では、除霜が不十分な場合に実行されることが好ましい。したがって、図6に示す制御内容識別テーブル82では、除霜運転の継続時間の上限値が比較的短い空調性能が「低」の場合に、「再除霜運転の設定」がONとなっている。一方、除霜運転の継続時間の上限値が比較的長い空調性能が「中」および「高」の場合には、「再除霜運転の設定」はOFFとなっている。
【0065】
このように、本実施形態では、空調性能が「低」に該当する部屋において除霜運転を行う場合には、除霜運転の継続時間を、空調性能が標準的な部屋よりも短くし、かつ、除霜運転の実施回数を、空調性能が標準的な部屋よりも増やしている。
【0066】
図7には、部屋Rの空調性能に基づいて、空気調和機10の除霜運転の制御内容を変更するときの処理の流れを示す。この処理は、例えば、空気調和機10が部屋Rの暖房運転を開始するときに実行される。以下に、図7を参照しながら、空気調和機10における除霜運転の制御内容の変更処理の流れを説明する。
【0067】
まず、ユーザがリモートコントローラ60を操作するなどして空気調和機10に対して運転開始の指令が送信されると、制御部41は、その指令が暖房運転を行うという指令であるか否かを判断する(ステップS11)。当該指令が暖房運転以外(例えば、冷房運転など)の指令の場合には(ステップS11でNO)、処理を終了する。
【0068】
一方、当該指令が暖房運転の指令の場合には(ステップS11でYES)、制御部41は、サーバ70に対して暖房運転開始の指令があった旨を通知する。サーバ70のCPU71は、メモリ72内の空調性能識別テーブル81を参照して、空気調和機10が設置されている部屋の識別IDに対応付けられている空調性能の情報を取得する(ステップS12)。例えば、空気調和機10が設置されている部屋の識別IDが「R3」の場合には、空調性能「低」を取得する。
【0069】
次に、サーバ70のCPU71は、メモリ72内の制御内容識別テーブル82を参照して、取得した部屋Rの空調性能に対応する除霜運転の制御内容に関する情報を取得する。(ステップS13)。
【0070】
その後、サーバ70は、通信インターフェイス75を介して、取得した除霜運転の制御内容に関する情報を空気調和機10へ送信する(ステップS14)。空気調和機10へ送信された情報は、通信インターフェイス24を介して、制御部41へ送信される。制御部41は、サーバ70から送信された情報にしたがって、メモリ42内に格納されている除霜運転の制御内容に関する情報を変更する(ステップS15)。
【0071】
そして、空気調和機10は、暖房運転を開始する(ステップS16)。そして、制御部41は、例えば、室外側熱交換器温度センサ63の測定温度が所定温度以下に低下するなどして、除霜運転開始の条件を満たした場合に、ステップS15で変更された除霜運転の制御内容にしたがって、除霜運転を実行する。
【0072】
<部屋Rの空調性能の評価方法について>
次に、部屋Rの空調性能を評価する方法について、以下に説明する。本実施形態にかかる空気調和システム1では、空気調和機10が除霜運転を行っているときの部屋R内の温度変化から部屋Rの空調性能を評価する。
【0073】
除霜運転は、暖房運転中に実施される。上述したように、除霜運転時には、ヒートポンプサイクル内の冷媒を冷房運転時と同じ方向に循環させる。除霜運転中は暖房運転が行われないため、部屋R内の温度は低下する傾向にある。この温度の低下傾向は、部屋の断熱性能の高低に応じて異なる。図8には、空調性能の異なる各部屋(R1,R2,R3)で除霜運転を行ったときの室温の変化の例を示す。
【0074】
図8に示すように、空気調和機10が除霜運転を開始した後の室内の温度変化は、各部屋の断熱性、気密性などによって左右される。その結果、部屋ごとに異なる空調性能を示す。図8に示す例では、除霜運転開始後の室内の温度低下量が、部屋R1<部屋R2<部屋R3の順で小さい。そのため、空調性能は、部屋R1>部屋R2>部屋R3の順で高いと評価される。したがって、例えば、部屋R1は空調性能「高」と判定され、部屋R2は空調性能「中」と判定され、部屋R3は空調性能「低」と判定される。
【0075】
なお、本実施の形態では、部屋R1は空調性能「高」と判定され、部屋R2は空調性能「中」と判定され、部屋R3は空調性能「低」と判定される例を示しているが、部屋R1、R2、R3の全ての空調性能が「高」となる場合、あるいは「中」となる場合、あるいは「低」となる場合もあり得る。すなわち、部屋R1、R2、R3の各空調性能は、いろいろな組み合わせが考えられる。
【0076】
このような評価基準に基づいて、例えば、上述したような空調性能識別テーブル81(図5参照)が作成される。なお、空気調和機10が除霜運転を開始した後の室内の温度変化の程度は、そのときの外気温度、天候など屋外の環境によって左右される可能性がある。そのため、除霜運転開始後の室内の温度低下量は、除霜運転を実施する毎に測定されてもよい。そして、除霜運転毎の測定結果をサーバ70内のメモリ72に蓄積し、蓄積したデータの平均値から空調性能識別テーブル81を作成してもよい。
【0077】
また、空調性能識別テーブル81は、サーバ70と接続可能な複数の空気調和機について、同じものを用いることもできる。この場合、空調性能識別テーブル81は、サーバ70と接続可能な複数の空気調和機から得られる各部屋の性能測定の結果を参照して、逐次更新してもよい。
【0078】
(第1の実施形態のまとめ)
以上のように、本実施形態においては、空気調和機10が設置されている部屋Rの空調性能に関する情報に基づいて、除霜運転の制御内容(具体的には、除霜運転の継続時間、実施回数など)を変更している。
【0079】
例えば、空調性能が「低」に該当する部屋において除霜運転を行う場合には、除霜運転の継続時間を、空調性能が標準的な部屋よりも短くし、かつ、除霜運転の実施回数を、空調性能が標準的な部屋よりも増やしている。これにより、空調性能が「低」に該当する部屋における除霜運転時の室温の低下を抑制することができるとともに、室外側熱交換器54の除霜も適切に行うことができる。すなわち、除霜中に下がった室温を暖房運転で暖めなおし、再び除霜運転を行うことで、室温の変化を少なくすることができる。
【0080】
したがって、本実施形態にかかる空気調和システム1によれば、空気調和機10が設置されている部屋R内の空調性能に基づいてより快適な空調制御を行うことができる。
【0081】
〔第2の実施の形態〕
続いて、本発明の第2の実施形態について以下に説明する。第2の実施形態では、部屋Rの空調性能の評価方法が第1の実施形態とは異なっている。また、第2の実施形態では、除霜運転の制御方法が第1の実施形態とは異なっている。そこで、以下では、第1の実施形態とは異なる点を中心に説明する。
【0082】
<部屋Rの空調性能の評価方法について>
図9には、本実施形態にかかる空気調和システム1において部屋Rの空調性能の測定を行うときの動作概要を示す。
【0083】
本実施形態にかかる空気調和システム1では、空気調和機10に備えられた人感センサ22を利用して、部屋R内に人がいるか否かを定期的に検知する。そして、サーバ70内に備えられた空調性能評価部76(図4参照)は、部屋R内に人がいないと検知されたときに、部屋Rの空調性能の測定を行い、部屋Rの空調性能に関する情報を作成する。
【0084】
本実施形態では、部屋Rの性能の測定は、部屋R内に人がいない状態で、空気調和機10が暖房運転を停止した後の部屋R内の温度の変化を測定することによって行われる。部屋R内の温度は、空気調和機10に備えられた室内温度センサ15によって測定される。
【0085】
なお、部屋Rの性能は、空気調和機10が設置されている場所の屋外の環境にも左右され得る。そのため、部屋Rの性能測定時の屋外の環境を判断するための指標として、外気温度のデータを取得してもよい。外気温度のデータは、空気調和機10の室外機50に備えられた外気温度センサ(図示せず)から取得することができる。
【0086】
人感センサ22は、制御部41からの信号に基づいて、空気調和機10が設置されている部屋R内に人が存在するか否かを検知し、検知結果を制御部41へ送信する。本実施形態においては、制御部41は、人感センサ22から送信される検知結果に基づいて部屋R内に人がいるか否かに関するデータを作成し、通信インターフェイス24を介して当該データをサーバ70に送信する。
【0087】
<部屋Rの空調性能の測定および評価方法について>
次に、部屋Rの空調性能を測定するときの処理の流れを説明する。図10には、サーバ70からの指令に基づいて、空気調和機10が設置されている部屋Rの空調性能測定を開始するまでの処理の流れを示す。
【0088】
本実施形態では、サーバ70内のCPU71が、図10に示すフローチャートに沿って、空気調和機10が設置されている部屋Rについて空調性能の測定を行うか否かを決定する。図10に示す処理は、部屋R内の空気調和機10が暖房運転を停止したタイミングで実行される。ユーザがリモートコントローラ60を操作するなどして空気調和機10が暖房運転を停止すると、空気調和機10の制御部41から通信インターフェイス24を介して、サーバ70へ暖房運転を停止した旨の情報が送信される。
【0089】
サーバ70内のCPU71は、空気調和機10から暖房運転を停止した旨の情報が送信されると、図10に示す処理をスタートする。まず、CPU71は、空気調和機10が暖房運転を停止する直前に、暖房運転を所定時間以上(例えば、1時間以上)継続して行っていたか否かを判定する(ステップS21)。ここで、直前の暖房運転の継続時間が所定時間未満の場合には(ステップS21でNO)、空調性能の測定を行うことなく、処理を終了する。これは、直前の暖房運転の継続時間が短いと、部屋R内が設定温度に達していない可能性があり、空調性能を正確に判定できないおそれがあるためである。
【0090】
一方、直前の暖房運転の継続時間が所定時間以上である場合には(ステップS21でYES)、部屋R内に人が存在するか否かを判定する(ステップS22)。この判定は、空気調和機10から送信されるデータ(部屋R内に人がいるか否かに関するデータ)に基づいて行われる。
【0091】
ここで、部屋R内に人が存在すると判定された場合には(ステップS22でYES)、空調性能の測定を行うことなく、処理を終了する。これは、部屋R内に人が存在していると、部屋Rの空調性能を正確に判定できないおそれがあるためである。
【0092】
一方、部屋R内に人が存在しないと判定された場合には(ステップS22でNO)、CPU71は、空調性能の測定を開始する(ステップS23)。
【0093】
部屋Rの空調性能測定が開始されると、制御部41は、部屋R内の温度変化の測定を開始する。すなわち、室内温度センサ15の経時変化を測定する。図11には、空調性能の異なる各部屋(R1,R2,R3)で空調性能の測定を行ったときの室温の変化の例を示す。
【0094】
図11に示すように、空気調和機10が暖房運転を停止した後の室内の温度変化は、各部屋の断熱性、気密性などによって左右される。その結果、部屋ごとに異なる空調性能を示す。図11に示す例では、暖房運転停止後の室内の温度低下量が、部屋R1<部屋R2<部屋R3の順で小さい。そのため、空調性能は、部屋R1>部屋R2>部屋R3の順で高いと評価される。したがって、例えば、部屋R1は空調性能「高」と判定され、部屋R2は空調性能「中」と判定され、部屋R3は空調性能「低」と判定される。
【0095】
なお、本実施の形態では、部屋R1は空調性能「高」と判定され、部屋R2は空調性能「中」と判定され、部屋R3は空調性能「低」と判定される例を示しているが、部屋R1、R2、R3の全ての空調性能が「高」となる場合、あるいは「中」となる場合、あるいは「低」となる場合もあり得る。すなわち、部屋R1、R2、R3の各空調性能は、いろいろな組み合わせが考えられる。
【0096】
このような評価基準に基づいて、第1の実施形態と同様に、空調性能識別テーブル81(図5参照)が作成される。
【0097】
なお、直前の暖房運転の継続時間が所定時間以上である場合に空調性能の測定を行う場合に代えて、室内温度が設定温度になっている状態で暖房運転が停止された場合は、空調性能の測定を行い、室内温度が設定温度でない状態で暖房運転が停止された場合は、空調性能測定を行わないようにしてもよい。
【0098】
<部屋の空調性能に基づく除霜運転の制御方法>
続いて、部屋Rの空調性能に基づいて、空気調和機10の除霜運転の制御内容を変更する方法について、図5および図12を参照しながら説明する。
【0099】
図5には、サーバ70内のメモリ72に格納されている空調性能識別テーブル81を示す。空調性能識別テーブル81には、各部屋の識別IDと部屋の空調性能とが対応付けて記憶されている。サーバ70と情報通信可能な空気調和機が複数台存在する場合に、このようなテーブルは有効である。部屋の識別IDは、各空気調和機が設置されている部屋単位で割り振られている。
【0100】
図12には、サーバ70内のメモリ72に格納されている除霜運転の制御内容識別テーブル83を示す。制御内容識別テーブル83には、除霜運転の制御内容(具体的には、除霜運転直前の室温の上昇値、除霜運転の継続時間の上限値、再除霜運転の設定のON/OFF、および再除霜運転直前の室温の上昇値)が、部屋の空調性能と対応付けて記憶されている。
【0101】
制御内容識別テーブル83における「除霜運転の継続時間の上限値」および「除霜運転の継続時間の上限値」については、第1の実施形態で説明した制御内容識別テーブル82と同じものである。
【0102】
制御内容識別テーブル83における「除霜運転直前の室温の上昇値」とは、空気調和機10が除霜運転を開始する直前の部屋R内の温度の設定温度に対する上昇値を示すものである。この数値は、除霜運転中は、暖房運転が一旦停止されることで部屋Rの温度が低下し得ることを見越して、部屋R内の温度を予め設定温度よりもある程度高くしておくための制御に用いられる。制御部41は、制御内容識別テーブル82のこの項目を参照して、部屋Rの空調性能に応じて、室内温度センサ15によって測定された部屋Rの温度が、現在の暖房運転の設定温度よりも何度上昇した場合に、除霜運転開始の指示を出すかを決める。
【0103】
制御内容識別テーブル83では、空調性能が「高」に該当する部屋において「除霜運転直前の室温の上昇値」をt1以上と設定している。また、空調性能が「中」に該当する部屋において「除霜運転直前の室温の上昇値」をt2以上と設定している。また、空調性能が「低」に該当する部屋において「除霜運転直前の室温の上昇値」をt3以上と設定している。
【0104】
ここで、t1<t2<t3となっている。具体的には、t1=+1℃と設定し、t2=+2℃と設定し、t3=+3℃と設定することができる。これは、空調性能が劣る(「低」の)部屋では、除霜運転中の室内温度の低下の程度が、空調性能が優れた部屋(「高」)と比較して大きくなるためである。除霜運転直前の室温の上昇値をこのように設定することで、空調性能が劣る部屋であっても、除霜運転中の室内温度の低下の程度を小さくすることができる。
【0105】
また、制御内容識別テーブル83における「再除霜運転直前の室温の上昇値」とは、空気調和機10が再除霜運転を開始する直前の部屋R内の温度の設定温度に対する上昇値を示すものである。この数値は、「再除霜運転の設定」がONとなっている場合にのみ用いられる。
【0106】
第1の実施形態で説明した除霜運転の制御では、「再除霜運転の設定」がONとなっている場合には、除霜運転が終了してから所定時間経過した後に、再び除霜運転を強制的に実施する。これに対して、本実施形態における除霜運転の制御では、「再除霜運転の設定」がONとなっている場合には、最初の除霜運転が終了して暖房運転が再開された後に、部屋R内の温度が設定温度に対してα(例えば、+2℃)以上上昇したら、再除霜運転を開始する。これにより、除霜運転を終了した後の暖房運転が不十分であり、部屋R内の温度が設定温度よりも低下したままの状態で、再度除霜運転が実施されることを抑えることができる。
【0107】
なお、別の実施態様にかかる空気調和システム1では、第1の実施形態で説明した除霜運転中の室内の温度変化に基づいて、部屋Rの空調性能を評価し、かつ、上述の方法で除霜運転の制御内容を変更してもよい。部屋Rの空調性能の評価方法については、上述の各実施形態で説明した方法以外の方法を採用することもできる。
【0108】
(第2の実施形態のまとめ)
以上のように、本実施形態においては、空気調和機10が設置されている部屋R内に人がいないときに性能を測定し、部屋Rの空調性能に関する評価を行う。そのため、作成される空調性能に関する情報に、部屋R内に存在する人の数などに起因した誤差が含まれることを抑えることができる。したがって、本実施形態にかかる空気調和システム1は、より正確な空調性能に関する情報を取得することができる。そして、この情報に基づいて空調運転の制御を行うことで、結果としてより快適な空調運転を行うことができる。
【0109】
また、本実施形態にかかる空気調和システム1では、制御内容識別テーブル83を用いて除霜運転の制御を行っている。そのため、空調性能が劣る部屋において、除霜運転時の部屋R内の温度低下をより適切に抑えることができる。
【0110】
〔第3の実施の形態〕
続いて、本発明の第3の実施形態について以下に説明する。本実施形態にかかる空気調和システム1では、部屋Rの空調性能に基づいて、除霜運転の制御内容を変更することに加えて、暖房運転時の圧縮機の回転数の制御も行う。部屋Rの空調性能に基づいて、除霜運転の制御内容を変更する方法については、上述の第1または第2の実施形態で説明した方法と同じ方法が適用できるため、詳しい説明は省略する。
【0111】
本実施形態にかかる空気調和システム1は、主な構成要素として、空気調和機10と、サーバ70とを含む。空気調和機10の全体構成については、図2および図3に示すとおりである。サーバ70の構成については、図4に示すとおりである。
【0112】
本実施形態にかかる空気調和システム1において、空気調和機10は圧縮機52を備えている。また、空気調和機10内の制御部41は、設定時刻までに部屋R内の温度を設定温度に到達させるように、ヒートポンプサイクルを起動させて暖房運転を開始する。このとき制御部41は、空気調和機10が設置されている部屋Rの空調性能に基づいて空調制御を行う。具体的には、部屋Rの空調性能が所定の空調性能基準(例えば、標準的な空間の空調性能)よりも高い場合に、制御部41は、定格運転の回転数で圧縮機52の運転を開始させる。
【0113】
ここで、定格運転の回転数とは、COP(成績係数)などで表されるヒートポンプサイクルのエネルギー消費効率が最適となる範囲内の回転数の一例である。また、定格運転の回転数は、「消費電力上最適な回転数」と言い換えることができる。また、ここで、「定格運転の回転数で圧縮機の運転を開始させる」とは、ヒートポンプサイクル内の冷媒を循環させるために、一旦、より高い回転数で圧縮機を回転させた後に、定格運転の回転数に低下させるような運転も含む。定格運転の回転数は、各圧縮機の能力、仕様などによって決まる。
【0114】
<部屋の空調性能に基づく圧縮機の制御方法>
続いて、部屋Rの空調性能に基づいて、空気調和機10の圧縮機52の回転数を変更する方法について、図13を参照しながら説明する。図13は、空気調和機10において、設定時刻までに部屋R内の温度を設定温度に到達させるような制御を行う場合に、圧縮機52の運転状態と、部屋R内の温度変化との関係を示すグラフである。
【0115】
図13では、通常運転で圧縮機52を稼働させた場合の室温変化をAで示し、定格運転で圧縮機52を稼働させた場合の室温変化をBで示す。また、図13には、運転開始当初は定格運転の回転数で圧縮機52を稼働させた後に、通常運転の回転数に変更した場合の室温変化をCで示す。
【0116】
図13では、設定時刻よりも前の時刻t1の時点で圧縮機52を通常運転の状態で起動させた時に、設定時刻0において部屋R内の温度が設定温度に到達する例を示す。
【0117】
本実施形態にかかる空気調和システム1では、制御部41は、定格運転の回転数で圧縮機52の運転を開始させる。この場合、図13においてBおよびCに示すように、部屋R内の温度上昇は、圧縮機52を通常運転で動作させた場合よりも遅くなる。
【0118】
本実施形態にかかる空気調和システム1では、制御部41は、時刻t1よりも前の時刻t2において圧縮機52の運転を開始させる。これにより、圧縮機52を定格運転の回転数で稼働させ続けた状態で、設定時刻0の時点で部屋R内の温度を設定温度に到達させることができる。ここで、時刻0を7時とすると、例えば、時刻t1は6時であり、時刻t2は5時となり得る。
【0119】
また、別の方法として、時刻t1の時点で圧縮機52を定格運転の回転数で起動させた後、制御部41が、設定時刻0までに部屋R内の温度が設定温度に到達しないと判断したときに、圧縮機52の回転数を定格運転の回転数よりも上昇させ、通常運転の回転数での運転に変更させてもよい(図13のC参照)。このような運転を行うことで、時刻t1の時点で圧縮機52を通常運転で起動させて、設定時刻0よりも早い時点で部屋R内の温度が設定温度に到達するような制御(図13のD参照)と比較して、空気調和機10の消費電力を低く抑えることができる。
【0120】
以上のように、本実施形態にかかる空気調和システム1によれば、運転開始時の圧縮機52の回転数を定格運転の回転数に抑えた状態とすることで、ヒートポンプサイクルのエネルギー消費効率を向上させることができる。
【0121】
なお、本発明の別の態様にかかる空気調和システムでは、部屋Rの空調性能に基づく除霜運転の制御内容の変更は行わず、暖房運転時の圧縮機の回転数の制御のみを上述の方法で行ってもよい。
【0122】
〔第4の実施の形態〕
続いて、本発明の第4の実施形態について以下に説明する。上述の各実施形態では、サーバ70と、空気調和機10とを含む空気調和システム1で、本発明の一態様を実現する例について説明した。しかし、空気調和機10単体で本発明の一態様にかかる空気調和システムを実現することもできる。そこで、本実施形態では、空気調和機10単体で実現される空気調和システムについて説明する。
【0123】
図14には、本実施形態にかかる空気調和機(空気調和システム)110の内部構成を示す。空気調和機110は、セパレート式の空気調和機であって、主として、室内機120と、室外機50と、リモートコントローラ60とから構成されている。
【0124】
室外機50およびリモートコントローラ60については、第1の実施形態において説明した構成と同様の構成を適用できる。
【0125】
室内機120は、部屋Rの内部に設置されている。室内機120の内部には、室内側熱交換器12、室内送風機13、室内側熱交換器温度センサ14、室内温度センサ15、表示部23、通信インターフェイス124、および制御部141などが備えられている。
【0126】
室内側熱交換器12、室内送風機13、室内側熱交換器温度センサ14、室内温度センサ15、および表示部23については、第1の実施形態において説明した構成と同様の構成を適用できる。
【0127】
制御部141は、空気調和機110内の各構成部品と接続され、これらの制御を行う。制御部141内には、メモリ142、およびタイマ43などが備えられている。タイマ43は、第1の第1の実施形態において説明した構成と同様の構成を適用できる。
【0128】
また、制御部141には、空調性能評価部176が設けられている。空調性能評価部176は、空気調和機110の運転状態が所定の条件を満たしたときに、部屋R内の環境の変化(例えば、部屋R内の温度変化)を測定し、その結果に基づいて部屋Rの空調性能を評価する。すなわち、空調性能評価部176は、第1の実施形態で説明したサーバ70の空調性能評価部76と同様の役割を果たす。
【0129】
メモリ142は、ROM(read only memory)及びRAM(Random Access Memory)を含む。メモリ142は、空気調和機110の動作プログラムや設定データを記憶するとともに制御部141による演算結果を一時記憶する。なお、本実施形態では、メモリ142には、空調性能評価部176が作成した部屋Rの空調性能情報(図5に示す空調性能識別テーブル81など)などが格納されている。つまり、メモリ142は、第1の実施形態で説明したサーバ70のメモリ72と同様の役割を果たす。
【0130】
通信インターフェイス124は、アンテナやコネクタによって実現される。通信インターフェイス124は、赤外線通信によって、リモートコントローラ60との間でデータをやり取りする。なお、本実施形態では、空気調和機110は、インターネット接続されていない。そのため、通信インターフェイス124は、リモートコントローラ60との間でのみデータをやり取りする。
【0131】
以上の構成により、空気調和機110によれば、空気調和機110が設置されている部屋R内の空調性能に基づいてより快適な空調制御を行うことができる。
【0132】
〔まとめ〕
本発明の一局面にかかる空気調和システムは、ヒートポンプサイクルと、前記ヒートポンプサイクルの動作を制御する制御部とを備えている。この空気調和システムにおいて、前記制御部は、前記ヒートポンプサイクルによって空調制御が行われる空間の空調性能(例えば、断熱性能)に基づいて、除霜運転の制御内容を変更する。例えば、ヒートポンプサイクルは、熱媒体を圧縮する圧縮機と、暖房運転時には凝縮器として機能するとともに、冷房運転時には蒸発器として機能する室内側熱交換器と、熱媒体を減圧する膨張弁と、暖房運転時には蒸発器として機能するとともに、冷房運転時には凝縮器として機能する室外側熱交換器とを含む。
【0133】
上記の本発明の一局面にかかる空気調和システムにおいて、前記制御部は、前記空間の空調性能が所定の空調性能基準よりも低い場合に、前記除霜運転の継続時間の上限値を短縮させてもよい。例えば、前記制御部は、前記空間の空調性能が標準的な空間の空調性能よりも低い場合に、前記除霜運転の継続時間の上限値を、予め設定されている上限値よりも短縮させる。これにより、空調性能が劣る空間において、除霜運転をより短時間で終了させることができ、除霜運転中の空間内の温度低下を抑えることができる。
【0134】
また、上記構成の空気調和システムにおいて、前記制御部は、前記空間の空調性能が所定の空調性能基準よりも低い場合に、前記除霜運転の回数を増やしてもよい。すなわち、空間の空調性能が標準的な空間の空調性能よりも低い場合には、除霜運転をより短時間で終了させる一方、除霜運転の実施回数を標準的な空調性を有する空間における除霜運転の実施回数よりも増やしてもよい。これにより、空調性能が劣る空間において、室外側熱交換器の除霜が不十分と可能性を低減させることができる。
【0135】
上記の本発明の一局面にかかる空気調和システムにおいて、前記制御部は、前記空間の空調性能に基づいて、前記除霜運転を行う直前の前記空間内の温度の上昇値を決定してもよい。
【0136】
上記の本発明の一局面にかかる空気調和システムにおいて、前記制御部は、前記除霜運転時の前記空間内の温度変化から前記空間の空調性能を評価してもよい。
【0137】
上記の本発明の一局面にかかる空気調和システムにおいて、前記ヒートポンプサイクルは、圧縮機を備えていてもよい。そして、前記制御部は、設定時刻までに前記空間内の温度を設定温度に到達させる空調制御を行うものであり、前記空間の空調性能が所定の空調性能基準よりも高い場合に、前記制御部は、前記ヒートポンプサイクルのエネルギー消費効率が最適となる範囲内の回転数で前記圧縮機の運転を開始させてもよい。
【0138】
また、本発明の別の一局面にかかる空気調和システムは、圧縮機を含むヒートポンプサイクルと、前記ヒートポンプサイクルの動作を制御する制御部とを備えている。この空気調和システムにおいて、前記制御部は、前記ヒートポンプサイクルによって空調制御が行われる空間の空調性能に基づいて、設定時刻までに前記空間内の温度を設定温度に到達させる空調制御を行うものであり、前記空間の空調性能が所定の空調性能基準よりも高い場合に、前記制御部は、前記ヒートポンプサイクルのエネルギー消費効率が最適となる範囲内の回転数で前記圧縮機の運転を開始させる。
【0139】
なお、ヒートポンプサイクルのエネルギー消費効率が最適となる範囲内の回転数とは、例えば、COP(成績係数)などで表されるヒートポンプサイクルのエネルギー消費効率に基づいて決定することができる。このような回転数としては、例えば、圧縮機が定格運転を行っているときの回転数が挙げられる。
【0140】
上記の本発明の各局面にかかる空気調和システムにおいて、前記制御部は、前記設定時刻までに前記空間内の温度が設定温度に到達しないと判断したときに、前記圧縮機の回転数を前記ヒートポンプサイクルのエネルギー消費効率が最適となる範囲内の回転数よりも上昇させてもよい。ここで、圧縮機の回転数を前記ヒートポンプサイクルのエネルギー消費効率が最適となる範囲内の回転数よりも上昇させるとは、例えば、圧縮機の運転状態を定格運転から通常運転に変更することを意味する。
【0141】
上記の本発明の各局面にかかる空気調和システムは、前記制御部と情報通信可能なサーバをさらに備えていてもよい。
【0142】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなく特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。また、本明細書で説明した異なる実施形態の構成を互いに組み合わせて得られる構成についても、本発明の範疇に含まれる。
【符号の説明】
【0143】
1 :空気調和システム
10 :空気調和機
20 :室内機
41 :(空気調和機の)制御部
50 :室外機
52 :圧縮機
70 :サーバ
71 :CPU(制御部)
76 :空調性能評価部
110:空気調和機(空気調和システム)
R :部屋
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