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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-01-30
(45)【発行日】2023-02-07
(54)【発明の名称】回路遮断器
(51)【国際特許分類】
   H01H 37/32 20060101AFI20230131BHJP
   H01H 9/54 20060101ALI20230131BHJP
   H01H 37/52 20060101ALI20230131BHJP
   H01H 33/59 20060101ALI20230131BHJP
   H02H 7/18 20060101ALI20230131BHJP
   H02J 7/02 20160101ALI20230131BHJP
【FI】
H01H37/32 D
H01H9/54 A
H01H37/52 B
H01H33/59 H
H02H7/18
H02J7/02 H
【請求項の数】 39
(21)【出願番号】P 2020571462
(86)(22)【出願日】2019-06-20
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-08-30
(86)【国際出願番号】 US2019038274
(87)【国際公開番号】W WO2019246414
(87)【国際公開日】2019-12-26
【審査請求日】2020-12-21
(31)【優先権主張番号】62/688,893
(32)【優先日】2018-06-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【早期審査対象出願】
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】505441524
【氏名又は名称】ボーンズ、インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110002860
【氏名又は名称】弁理士法人秀和特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】タダ,キヨシ
(72)【発明者】
【氏名】シーハン,カザル
(72)【発明者】
【氏名】ボーンズ,ゴードン,リー
(72)【発明者】
【氏名】エイハーン,ブライアン
【審査官】立木 林
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-006006(JP,A)
【文献】特表2011-521609(JP,A)
【文献】特開2004-206894(JP,A)
【文献】特表2008-541374(JP,A)
【文献】特開平05-054977(JP,A)
【文献】特開平06-090817(JP,A)
【文献】特開平10-150727(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第106208186(CN,A)
【文献】特開2006-149177(JP,A)
【文献】特開平07-153499(JP,A)
【文献】特表2017-525323(JP,A)
【文献】特開2011-119157(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01H 37/32
H01H 9/54
H01H 37/52
H01H 33/59
H01M 50/581
H02H 7/18
H02J 7/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
1又は複数の電池セルの障害状態に応答する電気遮断器であって、
電池管理システムに電気的に接続するように構成された第1の端子と、
第1の放電抵抗器に電気的に接続するように構成された第2の端子と、
第3の端子と、
前記第3の端子に電気的に接続され、前記第1の放電抵抗器と並列な、第2の放電抵抗器であって、前記第2の放電抵抗器が、前記1又は複数の電池セルのうちの電池セルの第1の電極に電気的に接続するように構成され、前記第3の端子が、前記第1の端子と前記第2の放電抵抗器との間に配置されている、第2の放電抵抗器と、
前記第1の端子と前記第2及び第3の端子との間に配置された熱作動スイッチと、を備え、
前記スイッチは、前記第1の端子が前記第2の端子に電気的に接続された第1の動作状態を有し、前記スイッチは、前記第1の端子が前記第3の端子に電気的に接続された第2の状態を有する、
遮断器。
【請求項2】
前記第1の放電抵抗器を更に備え、前記第1の放電抵抗器が、前記第2の端子に電気的に接続されている、請求項1に記載の遮断器。
【請求項3】
前記第1及び第2の放電抵抗器のうちの少なくとも一方が、正温度係数(PTC)抵抗器を含む、請求項1または2に記載の遮断器。
【請求項4】
前記熱作動スイッチが、バイメタルスイッチング要素を含む、請求項1から3のいずれか一項に記載の遮断器。
【請求項5】
前記バイメタルスイッチング要素が、ドーム型である、請求項4に記載の遮断器。
【請求項6】
請求項1から5のいずれか一項に記載の遮断器を備える電気デバイスであって、前記第1の端子と電気的に通信する前記電池管理システムを更に含む、デバイス。
【請求項7】
前記電気遮断器と並列に配置された第2の電気遮断器を更に備え、前記第2の電気遮断
器が、前記電池セルの第2の電極と電気的に通信するように構成された第1の端子と、前記電池セルの前記第1の電極と電気的に通信するように構成された第2の端子とを有する、請求項6に記載のデバイス。
【請求項8】
前記第2の電気遮断器の前記第2の端子と電気的に通信する第3の放電抵抗器を更に備える、請求項7に記載のデバイス。
【請求項9】
前記第2の電気遮断器が、前記電池セルと熱的に結合されている、請求項7または8に記載のデバイス。
【請求項10】
前記電池管理システムが非作動状態又は誤動作状態にあるとき、前記電池セルの障害状態では、電流が前記第2の電気遮断器を通過して前記電気遮断器を迂回する、請求項7から9のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項11】
前記電池管理システムと電気的に通信するゲートを有するトランジスタと、前記電池セルの第2の電極及び前記電気遮断器の前記第1の端子のうちの一方と電気的に通信するソースと、前記電池セルの前記第2の電極及び前記電気遮断器の前記第1の端子のうちの他方と電気的に通信するドレインと、を更に備える、請求項6から10のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項12】
前記電池セルを更に備える、請求項1から11のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項13】
電気遮断器であって、
電池セルの第1の電極に電気的に接続するように構成された第1の端子と、
電池管理システムに電気的に接続するように構成された第2の端子と、
前記第1の端子と前記第2の端子との間に配置された自動復帰型の熱作動スイッチと、
前記スイッチと並列に配置され、前記電池管理システムに電気的に接続するように構成された抵抗器と、を備え、
前記スイッチは、前記第1の端子が前記第2の端子から切断された電気的な開放状態における第1の動作状態と、前記第1の端子が前記第2の端子に電気的に接続された第2の動作状態とを有し、
前記電気遮断器と前記電池セルとの間の電気的接続が行われる接続段階の間、前記スイッチが、前記第1の動作状態にあり、第1の電流が、前記抵抗器を通過して前記電池管理システムに流れ、
動作段階の間、前記スイッチが、前記第2の動作状態にあり、第2の電流が、前記スイッチを通過して前記電池管理システムに流れ、前記第1の電流が、前記第2の電流よりも大きい、
遮断器。
【請求項14】
前記スイッチが、バイメタル要素を含む、請求項13記載の遮断器。
【請求項15】
請求項13または14に記載の遮断器を備える電気デバイスであって、前記第2の端子及び前記抵抗器に電気的に接続された前記電池管理システムを更に含む、電気デバイス。
【請求項16】
前記第1の端子及び前記電池管理システムに電気的に接続された前記電池セルを更に含む、請求項15に記載の電気デバイス。
【請求項17】
電気遮断器であって、
過電流及び/又は過温度保護のための外部デバイスに電気的に接続可能な第1のI/Oピンに電気的に接続された第1の端子と、
第2の端子と、
第3の端子と、
前記第1の端子と前記第2及び第3の端子との間にある熱作動スイッチと、
前記第3の端子に電気的に接続され、前記スイッチと熱的に結合された抵抗器と、
を含む電気遮断器と、
前記抵抗器、前記第3の端子及び過電流及び/又は過温度保護のための前記外部デバイスに電気的に接続可能な第2のI/Oピンに電気的に接続されたトランジスタと、を備え、
前記トランジスタが第1の状態にあるとき、前記トランジスタと前記遮断器との間に電流が流れず、前記第1の端子が、前記第3の端子に電気的に接続されており、
前記トランジスタが第2の状態にあるとき、前記トランジスタと前記抵抗器との間に電流が流れ、前記スイッチは、前記抵抗器の温度が所定の閾値を超えた場合、前記第3の端子から切断して前記第2の端子に接続するように構成されている、
ヒューズ。
【請求項18】
前記トランジスタが、nチャネル金属酸化物半導体電界効果トランジスタ(MOSFET)を含み、前記MOSFETのドレインが、前記抵抗器及び前記第3の端子に接続されている、請求項17に記載のヒューズ。
【請求項19】
前記スイッチが、バイメタル要素を含む、請求項17または18に記載のヒューズ。
【請求項20】
前記スイッチが、自動自己復帰型ではない、請求項17から19のいずれか一項に記載のヒューズ。
【請求項21】
前記スイッチが、手動自己復帰型である、請求項20に記載のヒューズ。
【請求項22】
負荷に電気的に接続するように構成された出力端子を更に備える、請求項17から21のいずれか一項に記載のヒューズ。
【請求項23】
障害状態に応答する電気遮断器であって、
第1の端子と、
第2の端子と、
第3の端子と、
前記第1の端子と前記第2及び第3の端子との間に配置された熱作動スイッチと、
前記スイッチと並列であり、かつ前記第2の端子と電気的に通信する抵抗器と、
前記スイッチと並列であり、かつ前記抵抗器と直列であるサイリスタと、を備える、
遮断器。
【請求項24】
前記スイッチは、前記第1の端子が前記第2の端子に電気的に接続された正常動作状態を有し、前記スイッチは、前記第1の端子が前記第2の端子及び前記第3の端子の両方に電気的に接続された障害状態を有し、その結果、障害状態では、電流の大部分が、前記第1の端子と前記第3の端子との間に流れ、前記電流の少数が、前記第1の端子と前記第2の端子との間に流れる、請求項23に記載の遮断器。
【請求項25】
前記スイッチが、バイメタル要素を含む、請求項23または24に記載の遮断器。
【請求項26】
前記抵抗器が、正温度係数(PTC)抵抗器を含む、請求項23から25のいずれか一項に記載の遮断器。
【請求項27】
障害状態に応答する電気遮断器であって、
第1の端子と、
第2の端子と、
電気部品を迂回するための電気バイパス経路に接続するように構成された第3の端子と、
圧縮及び拡張されることが可能なバネと、
バイメタルスイッチング要素を含む熱作動スイッチであって、前記スイッチは前記バネに機械的に接続され、前記熱作動スイッチが、前記第1の端子と前記第2及び第3の端子との間に配置され、前記スイッチが、前記第1の端子が前記第2の端子に電気的に接続されるように、第2の端部が第2の端子に接続する正常動作状態を有し、前記スイッチは、前記第1の端子が前記第3の端子に電気的に接続されるように、前記第2の端部が第3の端子に接続する障害状態を有し、その結果、障害状態では、電流の少なくとも大部分が、前記第1の端子と前記第3の端子との間に流れる、熱作動スイッチと、を備え、
前記スイッチは、熱作動時に、前記スイッチが前記正常動作状態から前記障害状態に移行するように構成され、前記スイッチが前記正常動作状態に自動的に戻らないように、前記スイッチの移行が前記バネの機械的なポテンシャルエネルギーに変化を与えて前記バネが付勢される、
遮断器。
【請求項28】
前記スイッチは前記第1の端子に接続された第1の端部と前記第1の端部の反対側にある第2の端部を有し、前記第2の端部は前記バネに機械的に接続されている、請求項27に記載の遮断器。
【請求項29】
前記正常動作状態の間、前記バネが圧縮され、前記バネは、前記スイッチが前記正常動作状態から前記障害状態に移行する際に解放される、請求項27または28に記載の遮断器。
【請求項30】
前記障害状態では、前記第1の端子が、前記第2の端子に電気的に接続され、前記電流の少なくとも少数が、前記第1の端子と前記第2の端子との間に流れる、請求項27または28に記載の遮断器。
【請求項31】
前記第1の端子と前記第2の端子との間に正温度係数(PTC)抵抗器を更に備える、請求項27から30のいずれか一項に記載の遮断器。
【請求項32】
前記第1の端子と前記第2の端子との間に正温度係数(PTC)抵抗器が存在しない、請求項27から31のいずれか一項に記載の遮断器。
【請求項33】
前記熱作動スイッチが、手動自己復帰型である、請求項27から32のいずれか一項に記載の遮断器。
【請求項34】
前記バイメタルスイッチング要素が、ドーム型である、請求項27に記載の遮断器。
【請求項35】
前記熱作動スイッチが、前記第1の端子及び前記バイメタルスイッチング要素に電気的に接続された可動アームを含む、請求項27または34に記載の遮断器。
【請求項36】
前記可動アームは、前記スイッチが前記正常動作状態にある場合、前記第2の端子に電気的に接続されている、請求項35に記載の遮断器。
【請求項37】
前記バイメタルスイッチング要素は、前記スイッチが前記正常動作状態から前記障害状態に移行するのに伴って、形状が反転する、請求項33から36のいずれか一項に記載の遮断器。
【請求項38】
前記スイッチが前記正常動作状態から前記障害状態に移行した後、前記スイッチは、手動自己復帰型で前記正常動作状態に戻すことができる、請求項27から37のいずれか一項に記載の遮断器。
【請求項39】
前記電気部品が、1又は複数の電池セルを含む、請求項27から38のいずれか一項に記載の遮断器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2018年6月22日に出願された米国特許仮出願第62/688,893号の優先権を主張し、その内容全体は、その全体及び全ての目的のために参照により本明細書に組み込まれる。本出願は、2016年12月14日に出願された米国特許出願第15/379,070号、2016年12月14日に出願された米国特許出願第15/379,193号、及び2016年12月15日に出願された国際出願第PCT/US2016/066985号に関連しており、これらの各々は、米国特許仮出願第62/269,420号及び第62/331,756号に対する優先権を主張し、これらの各々の開示は、その全体及び全ての目的のために参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
技術分野は、概して、回路遮断器、及びそのような回路遮断器を組み込んだ電気システムに関する。
【背景技術】
【0003】
種々多様な電気デバイスにおいて、1又は複数のセルを含み得る電池などの回路要素、又は他の構成要素に障害が発生し、より大きな電気デバイスの動作又は信頼性に悪影響を及ぼす可能性がある。例えば、回路要素は、過熱状態になる可能性があり、かつ/又は、過剰な電流が回路要素を通過する過電流障害が発生する可能性がある。このような過温度障害及び/又は過電流障害は、デバイスの機能性、信頼性、寿命、及び/又は安全性を低下させる可能性がある。したがって、動作中、回路要素(電池など)に過温度障害及び/又は過電流障害が発生した場合により大きな電気デバイスを保護する装置が継続して必要とされている。
【発明の概要】
【0004】
一実施形態では、1又は複数の電池セルの障害状態に応答する電気遮断器が開示されている。遮断器は、電池管理システムに電気的に接続するように構成された第1の端子と、第1の放電抵抗器に電気的に接続するように構成された第2の端子と、第3の端子とを含むことができる。第2の放電抵抗器は、第3の端子に電気的に接続され、第2の放電抵抗器は、1又は複数の電池セルのうちの電池セルの第1の電極に電気的に接続するように構成され、第3の端子は、第1の端子と第2の放電抵抗器との間に配置することができる。熱作動スイッチは、第1の端子と第2及び第3の端子との間に配置することができる。スイッチは、第1の端子が第2の端子に電気的に接続された第1の動作状態を有することができる。スイッチは、第1の端子が第3の端子に電気的に接続された第2の状態を有することができる。
【0005】
別の実施形態では、電気遮断器が開示されている。遮断器は、電池セルの第1の電極に電気的に接続するように構成された第1の端子と、電池管理システムに電気的に接続するように構成された第2の端子と、第1の端子と第2の端子との間に配置された熱作動スイッチとを含むことができる。抵抗器は、スイッチと並列に配置され、電池管理システムに電気的に接続するように構成することができる。スイッチは、第1の端子が第2の端子から切断された第1の動作状態と、第1の端子が第2の端子に電気的に接続された第2の動作状態とを有することができる。電気遮断器と電池セルとの間の電気的接続が行われ得る接続段階の間、スイッチは、第1の動作状態にすることができ、第1の電流が抵抗器を通過して電池管理システムに流れることができる。動作段階の間、スイッチは、第2の動作状態にすることができ、第2の電流がスイッチを通過して電池管理システムに流れることができ、第1の電流は第2の電流よりも大きい。
【0006】
別の実施形態では、ヒューズが開示されている。ヒューズは、第1のピンに電気的に接続された第1の端子と、第2の端子と、第3の端子と、第1の端子と第2及び第3の端子との間の熱作動スイッチと、第3の端子に電気的に接続され、スイッチと熱的に結合された抵抗器とを含む電気遮断器を含むことができる。トランジスタは、抵抗器及び第3の端子に電気的に接続することができる。トランジスタが第1の状態にあるとき、トランジスタと遮断器との間に電流が流れず、第1の端子が、第3の端子に電気的に接続されている。トランジスタが第2の状態にあるとき、トランジスタと抵抗器との間に電流が流れ、スイッチは、抵抗器の温度が所定の閾値を超えた場合、第3の端子から切断して第2の端子に接続するように構成されている。
【0007】
別の実施形態では、障害状態に応答する電気遮断器が開示されている。遮断器は、第1の端子と、第2の端子と、第3の端子と、第1の端子と第2及び第3の端子との間に配置された熱作動スイッチとを含むことができる。抵抗器は、スイッチと並列に、第2の端子と電気的に通信するように設けることができる。サイリスタは、スイッチと並列に、抵抗器と直列に設けることができる。
【0008】
別の実施形態では、障害状態に応答する電気遮断器が開示されている。遮断器は、第1の端子と、第2の端子と、電気部品を迂回するための電気バイパス経路に接続するように構成された第3の端子とを含むことができる。遮断器は、第1の端子と第2及び第3の端子との間に配置された熱作動スイッチを含むことができ、スイッチは、第1の端子が第2の端子に電気的に接続されている正常動作状態を有し、スイッチは、第1の端子が第3の端子に電気的に接続されている障害状態を有し、その結果、障害状態では、電流の少なくとも大部分が、第1の端子と第3の端子との間に流れる。また、スイッチは、スイッチが正常動作状態から障害状態に移行した後、スイッチが自動的に正常動作状態に戻らないように構成することができる。
【0009】
これらの実施形態の全ては、本明細書に開示された本発明の範囲内であることが意図されている。これらの実施形態及び他の実施形態は、添付の図を参照した好ましい実施形態の以下の詳細な説明から、当業者には容易に明らかになるが、本発明は、開示された任意の特定の好ましい実施形態(複数可)に限定されるものではない。
【0010】
本発明の具体的な実装形態を、以下の図面を参照して説明する。これらは例示のために提供されるものであり、限定するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1図1Aは、一実施形態による、正常動作状態における電気システムの概略回路図である。図1Bは、図1Aに示すシステムの障害状態における概略回路図である。
図2図2Aは、一実施形態による、図1A図1Bの実施形態において正常動作状態で使用される電気遮断器の概略側面断面図である。図2Bは、図2Aに示す遮断器の概略回路図である。
図3図3Aは、図2Aの電気遮断器の障害状態における概略側面断面図である。図3Bは、図3Aに示す遮断器の概略回路図である。
図4図4は、種々の実施形態による、例示的なスイッチが正常動作状態から障害状態にトリップする電流及び温度を示すグラフである。
図5図5は、種々の実施形態による、例示的な正温度係数(PTC)抵抗器の温度と抵抗との関係を示す概略グラフである。
図6A図6Aは、別の実施形態による、正常動作状態における電気システムの概略回路図である。
図6B図6Bは、図6Aに示すシステムの障害状態における概略回路図である。
図6C図6Cは、種々の実施形態による、正常動作状態における非自己復帰型遮断器の概略回路図であり、図6A図6Bの実施形態と組み合わせて使用することができる。
図6D図6Dは、図6Cの非自己復帰型遮断器の障害状態における概略回路図である。
図7図7は、更に別の実施形態による、システムの性能をシミュレートするために使用することができる電気システムの概略回路図である。
図8図8Aは、一実施形態による、回路遮断器を組み込んだ電池ハウジングの上面、正面、右方向の概略斜視図である。図8Bは、図8Aに示した電池ハウジングの底面、背面、左方向の概略斜視図である。
図9図9Aは、図8A図8Bに示した電池ハウジングの上面、正面、右方向の概略斜視図であり、第1及び第2の電池セルがハウジング内に配置されている。図9Bは、図9Aの電池ハウジング及び電池セルの底面、背面、左方向の概略斜視図である。
図10図10Aは、図9A図9Bに示した電池ハウジング及び電池セルの概略上面図である。図10Bは、図9A図9B及び図10Aに示した電池ハウジング及び電池セルの概略底面図である。
図11図11Aは、電池ハウジング及び電池セルの上面、背面、右方向の概略断面図であり、当該断面は、電池端子及び第1のセル接点に沿っている。図11Bは、電池ハウジング及び電池セルの上面、背面、右方向の概略断面図であり、当該断面は第2のセル接点に沿っている。
図12図12は、種々の実施形態による、一緒に接続されたモジュール式電池ハウジングのストリングの右後方斜視図である。
図13A図13Aは、種々の実施形態による、直列に接続された電池ハウジングのストリングの概略回路図である。
図13B図13Bは、種々の実施形態による、2つの電池ハウジングが並列に接続された電池ハウジングの概略回路図である。
図14図14は、互いに直列に接続されたセルとバックブーストコンバータを含む電池パックの概略システム図である。
図15A図15Aは、種々の実施形態による電気デバイスを示す概略システム図である。
図15B図15Bは、別の実施形態による電気デバイスを示す概略システム図である。
図16図16は、種々の実施形態による、電池セルのホットスワップ中の過電流状態を管理するための遮断器を組み込んだ電気デバイスの概略システム図である。
図17図17は、本明細書に開示された遮断器の種々の実施形態を組み込むことができるヒューズデバイスの概略システム図である。
図18図18Aは、種々の実施形態による、正常動作状態で示された、抵抗器と直列のサイリスタを組み込んだ遮断器の概略回路図である。図18Bは、図18Aの遮断器の障害状態を示す回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
I.3端子遮断器の実施例
本明細書に開示される種々の実施形態は、過熱及び/又は過剰な電流から電気デバイスを保護するための電気機械式3端子遮断器に関する。電気デバイス及び電気システムは、障害状態(例えば、過温度障害及び/又は過電流障害)が発生し得る多数の回路要素を有する場合があり、当該障害は、システム全体の性能又は信頼性に悪影響を及ぼす可能性がある。例えば、多くのデバイスは、電気システムに電力を供給するために、(直列に接続されているか、並列に接続されているか、又はそれらの組み合わせであるかにかかわらず)複数の電池又は電池セルに依存している。電池は、新しい電池を購入するのではなく、放電後の電池を再利用できる充電式のものが多い。例えば、モバイル電子デバイス(スマ
ートフォン、タブレットコンピューティングデバイス、ラップトップコンピュータなど)は、数時間の動作にわたる高性能コンピューティングを実現するために、高エネルギー容量の二次電池(例えば、リチウムイオン電池)を利用して電子デバイスに電力を供給している。また、電動自転車及び電気自動車、ハイブリッド車も、長時間の走行距離での運転に十分な電力を供給するために、高エネルギー容量の電池に依存している。太陽光発電システムでは、太陽電池で発電したエネルギーを蓄えるために電池を使用することが多い。当業者には、多種多様な電気システム及びデバイスのための、信頼性が高く長持ちする電池に対する継続的な需要があることが理解されている。
【0013】
このような電池駆動システムの1つの問題点は、1又は複数の電池セルで過剰な温度(過温度障害状態)及び/又は過剰な電流(過電流障害状態)が生じ、電気システム全体の性能、信頼性、及び/又は安全性に悪影響を及ぼす可能性があることである。例えば、リチウムイオン電池(例えば、リチウムポリマー又は他の種類のリチウムイオン電池)を利用するシステムでは、セルが十分に高温になり、溶液中のリチウムが固体に変換され、セル内のリチウム層がショートする場合、セルが熱暴走を起こす可能性がある。このような状態になると、電池が回路短絡してセルに過剰な電流が流れ、セルの温度が更に上昇してしまう可能性がある。場合によっては、過剰な温度は、過熱したセルを劣化させたり、より大きな電気システムの動作を中断させたりする原因となる。
【0014】
一部の種類の電気機械式回路遮断器は、例えば、正温度係数(PTC)抵抗器を有するバイメタルスイッチを並列に接続することによって、過温度障害及び/又は過電流障害状態に対処することができる。PTC抵抗器とは、従来の抵抗材料とは異なり、温度が上がるにつれ抵抗が上昇する抵抗器である。一部の遮断器では、特定の回路要素、例えば電池に過剰な電流が流れる場合、バイメタルスイッチ及びPTC抵抗器の温度が上昇する。閾値温度では、バイメタルスイッチが反転位置にトリップしてスイッチを開放することができる。したがって、このような遮断器の障害状態では、開放スイッチにより、回路要素を通る電流の流れを停止させるか、又は大幅に減少させ、障害状態の回路要素を緩和することができる。しかしながら、一部の配置では、回路全体を通る電流の流れを停止させるか、又は大幅に減少させることが、望ましくない場合がある。例えば、回路要素が他の回路要素と直列に配置されている場合、既存の状態の遮断器のスイッチを開放させると、他の回路要素を通る電流の流れが停止するか、又は大幅に減少する場合がある。
【0015】
システム内の他の回路要素との接続を維持しながら回路要素における過温度障害及び/又は過電流障害の影響に対処するために、本明細書に開示された実施形態では、正常動作状態の間は回路要素を流れる電流を許容するが、障害状態の間は問題のある回路要素の周りの電流の大部分(又は全て)をバイパス又はシャントする3端子遮断器が提供されている。例えば、遮断器は、より大きな電気システムの対応する端子に接続できる第1の端子、第2の端子、及び第3の端子を含むことができる。遮断器はまた、第1の端子と第2及び第3の端子との間に配置された熱作動機械的スイッチを含むことができる。スイッチは、第1の端子と第2の端子とが電気的に接続された正常動作状態を有することができる。スイッチは、第1の端子が、抵抗器を介して第2の端子に、かつ直接第3の端子に電気的に接続されている障害状態を有することができる。一部の実施形態では、スイッチは、ドーム型バイメタルディスクなどのバイメタル要素を含むことができる。これを作動して、正常状態から障害状態にスイッチを移行させることができ、又はその逆に移行させることができる。一部の実施形態では、正温度係数(PTC)抵抗器は、第1の端子と第2の及び第3の端子のうちの1つとの間に設けることができる。
【0016】
図1Aは、一実施形態による、正常動作状態における電気システム1の概略回路図である。電気システム1は、負荷Lと、直列に接続された複数の電池セル2a~2eとを含むことができる。一連の電池セルの極性は、本明細書に開示されている全ての図の場合と同
様に、図1Aに示されているのとは逆であってもよいことが理解されるであろう。例えば、一部の実施形態では、電池セル2a~2eは、負荷Lに十分な電力を供給する任意の適切な種類の電池セルを含むことができる。電池セル2a~2eは、例えば、リチウムイオン電池セル又はリチウムポリマー電池セルを含むことができる。負荷Lは、モバイルデバイス(スマートフォン、タブレットコンピューティングデバイス、ラップトップコンピュータなど)の構成要素、車両(ハイブリッド車両又は電気自動車など)の構成要素、電気エネルギー貯蔵システムの構成要素、又は他の任意の適切な電気又は電子システムなど、任意の適切な種類の電気負荷を含むことができる。一部の実施形態では、電池セル2a~2eは、太陽光発電及び蓄電システムにおけるエネルギー貯蔵のために使用されてもよい。図1Aに示す実施形態では、電池セル2a~2eは直列に接続されているが、他の配置では、電池セルは並列に接続されてもよく、それらの組み合わせであってもよいことが理解されるべきである。更に、図1Aでは、5つの電池セル2a~2eが図示されているが、任意の適切な数のセルが使用されてもよいことが理解されるべきである。
【0017】
図1Aにおいて、電池セル2cには、障害状態から回路を保護するための電気遮断器3が接続されている。遮断器3は、正温度係数(PTC)抵抗器5に接続されたスイッチ4を含むことができる。図1Aの実施形態では、例えば、スイッチ4は、PTC抵抗器と並列に接続されているが、他の実施形態では、PTC抵抗器は、他の構成で接続されてもよい。図示された実施形態では、スイッチ4は、熱作動機械的スイッチ、特にバイメタル要素である。本明細書で説明したように、PTC抵抗器5は、温度が高くなるほど抵抗が増加する抵抗要素を含むことができる。PTC抵抗器5は、セラミックPTC抵抗器又は高分子PTC抵抗器を含む、任意の適切な種類のPTC抵抗器とすることができる。遮断器3は、障害状態からの回路の保護を提供するものとして示されているが、各セル2a~2e(又はその任意の組み合わせ)は、障害保護を提供するためにそれ自身の遮断器に接続されてもよいことが理解されるべきである。図1Aに関連して以下に説明するように、例えば、バイパス回路6をセル2cの周囲に配線して、障害状態において電流の全部又は大部分をセル2cから迂回させることができる。
【0018】
図1Aに示すシステム1は、正常動作状態で示されており、スイッチ4は、入力端子とみなすことができる第1の端子T1と、第1の出力端子又は一次出力端子とみなすことができる第2の端子T2とを電気的に接続している。図1Aに示すように、第1の端子T1は、スイッチ4と隣接する電池セル2dとの間に配置されている。第2の端子T2は、スイッチ4と障害状態からの保護対象セル2cとの間に配置されている。図示された実施形態では、PTC抵抗器5は、第1の端子T1と第2の端子T2とを電気的に接続するスイッチ4と並列に配置されている。電気システム1の正常動作の間、各セル2a~2eがシステムに電圧Vを供給する場合、直列に接続されたセル2a~2eは、集合的に5*Vの電圧を負荷Lに供給する。
【0019】
電池セル2a~2eは、負荷Lに第1の電流Iを供給することができる。遮断器3内では、PTC抵抗器5がスイッチ4と並列に設けられているため、スイッチ4を介して第2の電流Iが流れ、PTC抵抗器5を介して第3の電流Iが流れることができ、I=I+Iとなる。また、システム1の正常動作の間、スイッチ4の抵抗Rsは、PTC抵抗器5の抵抗RPTCよりも大幅に小さくてもよい。例えば、正常動作状態では、PTC抵抗器5の抵抗RPTCは1Ω~20Ωの範囲であってもよく、スイッチ4の抵抗Rsは1mΩ~10mΩの範囲であってもよい。したがって、スイッチ4の抵抗Rsが比較的低いため、電流の大部分がPTC抵抗器5を通過せずにスイッチ4を流れることになる。一部の実施形態では、例えば、正常動作中に、スイッチ4を通って流れてPTC抵抗器を迂回する第2の電流Iは、PTC抵抗器5を通って流れる第3の電流Iの100倍より多く、1,000倍より多く、又は10,000倍より多くてもよい。したがって、有利には、スイッチ4の比較的低い抵抗Rsは、正常動作状態の間、より大きな電気シス
テム1の電気的性能を低下させない可能性がある。
【0020】
図1Bは、図1Aに示すシステム1の障害状態における概略回路図である。別段明記しない限り、図1Bに示す参照数字は、図1Aに示す参照数字と同じ構成要素を表している。上述したように、障害状態では、セル2cは、過剰な温度及び/又は電流が発生する可能性がある。セル2cを通過する温度及び/又は電流が所定の温度及び/又は電流を超えると、スイッチ4は、図1Aに示す正常状態から図1Bに示す障害状態に移行することができる。例えば、図2A図3Bに関連して以下に説明するように、障害状態では、スイッチ4は、第2の端子T2から第3の端子T3に移動することができる。図1Bに示すように、第3の端子T3は、セル2cを迂回するバイパス回路6への電気的接続を提供することができる。このように、障害状態では、スイッチ4は、第1の端子T1とセル2cに隣接するセル2bとの間の電気的接続を提供するために、(過温度障害及び/又は過電流障害が発生する)セル2cを迂回することができる。障害状態では、電流の大部分は、セル2cの温度及び/又はセル2cを通って流れる電流の更なる上昇を防ぐために、過温度障害及び/又は過電流障害が発生しているセル2cを迂回する。
【0021】
図2Aは、一実施形態による、図1A図1Bの実施形態において正常動作状態で使用可能な電気遮断器3の概略側面断面図である。図2Bは、図2Aに示す遮断器3の概略回路図である。図3Aは、図2Aの電気遮断器3の障害状態における概略側面断面図である。図3Bは、図3Aに示す遮断器3の概略回路図である。図2A及び図3Aに示すように、遮断器3は、第1の端子T1、第2の端子T2及び第3の端子T3が結合されるハウジング10を含む電気機械式デバイスを含むことができる。ハウジング10は、1又は複数の相互接続部13を介して、第2の端子T2及びPTC抵抗器5に電気的に接続された第1の導電線12を含むことができる。ハウジングはまた、第3の端子T3に電気的に接続された、ハウジング10の上面に沿った第2の導電線14を含むことができる。
【0022】
スイッチ4は、可動(例えば、枢動可能又は屈曲可能な)導電性アーム8と、スイッチング要素7とを含むことができる。枢動可能なアーム8は、第1の端子T1とスイッチング要素7とを接触させて電気的に接続することができる。例えば、図2Aに示す正常状態では、枢動可能なアーム8は、スイッチング要素7の中央部分に電気的に接触することができる。例えば、図2Aでは、枢動可能なアーム8が正常状態で示されており、枢動可能なアーム8の遠位端部分の接点15は、第1の導電線12及び第2の端子T2に接触し、電気的に接続されている。図3Aでは、枢動可能なアーム8が障害状態で示されており、別の接点16が、第2の導電線14及び第3の端子T3に接触し、電気的に接続されている。障害状態では、枢動可能なアーム8はまた、スイッチング要素7の対向する端部部分でスイッチング要素7に電気的に接触することができる。
【0023】
枢動可能なアーム8は、スイッチング要素7とPTC抵抗器5との係合により、正常状態から障害状態へと移行することができる。例えば、スイッチング要素7は、電気機械式スイッチング要素又は熱機械式スイッチング要素、特に温度変化に応じて形状が変化するドーム型のバイメタル要素を含むことができる。正常動作の間、図2A及び図2Bに示すように、第1の電流Iは、枢動可能なアーム8に沿って流れることができる。電流Iの大部分は、PTC抵抗器5を通過することなく、第2の端子T2、第1の導電線12、枢動可能なアーム8を通過する。しかし、小さなトリクル電流I(破線で示す)は、第2の端子T2及び第1の導電線12から、PTC抵抗器5及びスイッチング要素7を介して枢動可能なアーム8へ通過する。上述したように、正常動作の間、PTC抵抗器5を迂回する電流Iは、PTC抵抗器5を通るトリクル電流Iよりもはるかに大きくてもよい。
【0024】
遮断器3を流れる温度及び/又は電流が所定値を超えると、遮断器3は、図2A図2
Bに示す正常動作状態から図3A図3Bに示す障害状態に移行する。例えば、スイッチング要素7の温度が、製造プロセスで選択及び調整可能な特定の温度閾値を超える場合、スイッチング要素7は、図2Aの下向きに湾曲した形状から図3Aの上向きに湾曲した形状に切り替わることができる。過剰な電流は、PTC抵抗器5及びPTC抵抗器5に接触するスイッチング要素7の対応する温度上昇を引き起こすので、PTC抵抗器5はまた、スイッチング要素7の温度を上昇させることができる。スイッチング要素7が図3Aに示す上方に湾曲した形状に変化すると、枢動可能なアーム8の遠位端部分の接点16が接触し、第2の導電線14及び第3の端子T3に電気的に接続する(又は他の実施形態では第3の端子T3に直接、電気的に接続する。図示せず)。スイッチング要素7は、正常状態では下向きに湾曲し、障害状態では上向きに湾曲しているように示されているが、他の配置では、遮断器はまた、スイッチング要素7が正常動作状態では上向きに湾曲した形状にあり、障害状態では下向きに湾曲した形状にあるように構成されてもよいことを理解すべきである。
【0025】
このように、障害状態では、第1の電流Iは、枢動可能なアーム8に沿って第1の端子T1に流れる。セル2cの温度(図1B)に応じてPTC抵抗器5の温度が上昇すると、PTC抵抗器5の抵抗RPTCもそれに対応して上昇する。温度上昇に伴うPTC抵抗器5の抵抗RPTCの増加により、電流Iの大部分は、第2の導電線14及び第3の端子T3から枢動可能なアーム8へと流れる。第2の電流Iは、図1Bに示すバイパス回路6に沿って通過することにより、セル2cを迂回する。しかしながら、小さなトリクル電流Iは、依然として、第1の導電線12及び第2の端子T2から、PTC抵抗器5及びスイッチング要素7(例えば、スイッチング要素7の端部部分)を経て、枢動可能なアーム8及び第1の端子T1へと流れる。図5に関して以下で更に詳細に説明するように、トリクル電流Iは、セル2cから少量の電流を供給して、本質的なデバイス機能を可能にし得るものである。これは、PTC抵抗器5によって生成された熱が、スイッチ4がチャタリングすること、すなわち、障害モードと正常動作モードとの間で繰り返し切り替わることを防ぐために、初期障害状態の後に高温を維持するためである。当業者は、PTC抵抗器5を通るトリクル電流Iが、正常状態と障害状態の下で異なる大きさを有し得ること、及び障害状態の出現中にIの大きさが変化し得ることを理解するであろう。
【0026】
図4は、種々の実施形態による、例示的なスイッチ4が正常動作状態から障害状態にトリップする電流及び温度を示すグラフである。特に、図4は、市販のKomatsulite(商標)KCAシリーズA型遮断器(Bourns,Inc.、カリフォルニア州リバーサイド)で使用されるドーム型バイメタルスイッチの電流対温度のプロットである。特に、図4は、シリーズA型遮断器の4つの異なるバージョンの電流対温度をプロットしている。図4において、線は、特定の遮断器が障害状態にトリップする温度と電流の組み合わせを表している。このように、各線より下の領域は正常状態を示し、各線より上の領域は障害状態を示している。図4に示すように、スイッチ4は、比較的高温(低電流であっても)及び/又は比較的大電流(低温であっても)では、正常動作状態から障害状態にトリップすることができる。例えば、スイッチ4が65℃~85℃の範囲、より具体的には70℃~80℃の範囲の所定の温度に達したときに、スイッチ4は、設計に応じて、正常動作状態から障害状態にトリップすることができる。
【0027】
PTC抵抗器5を使用することは、一部の実施形態において種々の利点を提供することができる。本明細書で説明したように、PTC抵抗器5は、初期障害状態の後に昇温状態を維持することにより、正常状態と障害状態との間で遮断器3が高速でチャタリングすることがないように、スイッチ4と遮断器3とを安定して動作させることができる。更に、PTC抵抗器5の温度を低下させることで、状況によっては、遮断器3を障害状態から正常動作状態にリセットすることを補助することができる。
【0028】
図5は、種々の実施形態による、例示的なPTC抵抗器の温度と抵抗との関係を示す概略グラフである。例えば、図5に示すように、所定の障害温度T以下の温度では、PTC抵抗器5の抵抗RPTCは、比較的低いレベル(ただし、スイッチ4の抵抗Rよりも高いレベル)であり得る。PTC抵抗器5の温度が所定の障害温度Tに達すると、温度の上昇に伴って抵抗RPTCは大きく上昇し得る。図1A図3Bの遮断器3では、PTC抵抗器5の温度が上昇することにより、PTC抵抗器5に接触するスイッチング要素7の温度を更に上昇させることができる。このように、PTC抵抗器5の温度の上昇は、スイッチング要素7の形状を変化させ、図3A図3Bに示す障害状態にトリップさせることを加速させるか、又は他の場合には補助することができる。
【0029】
PTC抵抗器5の対応する高抵抗RPTCは、PTC抵抗器5を通るトリクル電流Iを維持しながら、電流の大部分を枢動可能なアーム8に沿って通過させることができる。迂回されたセル2cの温度が(例えば、迂回されたセル2cを通過する電流が減少したために)低下した場合、ヒステリシスと、PTC抵抗器5の抵抗RPTCが、障害の原因となるより高い温度に伴って増加するという事実とにより、PTC抵抗器5の抵抗RPTCは、依然として高い抵抗RPTCを有してもよく、これにより、PTC要素が存在しない場合よりも長くスイッチング要素(例えば、バイメタル要素)を障害状態に維持するために、自己発熱する。すなわち、PTC抵抗器5の温度が大幅に低下しても、リセット温度T以下に低下するまでは、PTC抵抗器5は、障害状態に起因する高抵抗RPTCレベルを維持する。
【0030】
有利には、図5に示すヒステリシスにより、遮断器3がチャタリングモードで動作することを防止することができる。チャタリングモードでは、図5に示すようなヒステリシスがなければ、温度が(少しでも)低下すると、バイメタルスイッチング要素7の温度が低下し、早期に正常動作状態に切り替わってしまう。動作状態の電流が増加すると、スイッチング要素7の温度が再び障害温度Tを超えて上昇し、遮断器が正常動作状態から障害状態に切り替わって再び戻ることを繰り返す可能性がある。このようなチャタリングモードは望ましくなく、より大きな電気システム1の不安定性につながる可能性がある。
【0031】
したがって、図5に示すヒステリシスにより、PTC抵抗器5は、高い抵抗を維持し、それに対応する比較的高い温度を維持することができ、これにより、温度がリセット温度Tに低下するまで、スイッチング要素7を障害状態に維持することができる。更に、PTC抵抗器を介した小さなトリクル電流Iは、チャタリングを防止するために温度を十分に高く保つのに役立つことができる。遮断器3の温度がリセット温度T以下に低下すると、PTC抵抗器5の抵抗は、正常動作状態の抵抗RPTCに戻ることができる。種々の実施形態では、障害温度Tは、65℃~85℃の範囲内、より具体的には70℃~80℃の範囲内であり得る。種々の実施形態では、リセット温度Tは、30℃~60℃の範囲、より具体的には40℃~55℃の範囲であり得る。
【0032】
このように、図1A図3Bの遮断器3は、有利には、安定した動作状態及び障害状態を維持するために、スイッチ4に接続されたPTC抵抗器5を(例えば、並列に)採用することができる。図1A図3Bの遮断器3は、有利には、一部の配置において、(例えば、電流及び/又は温度の十分な減少によって)障害状態が治まった場合に遮断器3が正常動作状態に戻ることができるように、自己復帰型であり得る。更に、本明細書で説明したように、遮断器3は、チャタリングすることなく、安定して障害状態に移行し、正常動作状態に復帰することができる。
【0033】
図6Aは、別の実施形態による、正常動作状態における電気システム1の概略回路図である。図6Bは、図6Aに示すシステム1の障害状態における概略回路図である。別段明記しない限り、図6A図6Bの構成要素は、図1A図3Bに関連して示され、説明さ
れたものと同じ又は概して類似した特徴を表す。例えば、図1A図1Bの実施形態と同様に、特定の電池セル2cの周囲に電流を迂回するための遮断器3を設けることができる。しかし、図1A図3Bの実施形態とは異なり、図6A図6Bの実施形態では、遮断器3は非自己復帰型であってもよい。このように、図6A図6Bの実施形態では、一旦スイッチ4が正常動作状態から障害状態にトリップすると、スイッチ4は自動的に正常動作状態に戻ってリセットされることはない。したがって、遮断器3は、障害状態が発生するセル2cの周囲に電流を迂回させる非自己復帰型スイッチとして機能してもよい。電池管理システムは、迂回されたセル2cを横切る電圧の低下を検出することができ、セル2cが適切に動作しておらず、回路からシャントアウトされたことをユーザに警告することができる。ユーザは、セル2cを交換又は固定することで警告に対応することができ、手動で遮断器3をリセット又は交換することができる。
【0034】
図6A図6Bの実施形態では、遮断器3は、図1A図3Bに示すPTC抵抗器5などのPTC抵抗器を含まなくてもよい。このような配置では、スイッチ4は、遮断器3の温度が上昇するにつれて形状が変化する(例えば、反転する)バイメタルスイッチング要素(スイッチング要素7と同様)を含んでもよい。遮断器が障害状態に達すると、スイッチ4はトリップして第3の端子T3に接続し、セル2cを迂回することができる。また、非自己復帰型遮断器3において、スイッチング要素は、温度の低下によってスイッチング要素が正常動作状態に復帰しないような形状とすることができる。
【0035】
更に他の配置では、非自己復帰型遮断器3は、図1A図3Bに示すものと同様のPTC抵抗器を含んでもよいが、スイッチ4(及び関連するスイッチング要素)の形状は、スイッチ4が障害状態にトリップした後に正常状態に戻ることを防止するように選択されてもよい。このような配置では、PTC抵抗器は、障害状態をトリガするようにバイメタルスイッチング要素をより急速に加熱するように機能することができる。上述したように、PTC抵抗器はまた、重要なデバイス機能を可能にするために、セル2cを介して小さなトリクル電流を流すことを可能にしてもよい。
【0036】
このように、種々の実施形態では、遮断器3は、スイッチ4が、チャタリングのない安定した方法で、正常動作状態と障害状態との間を行ったり来たりすることができるような自己復帰型であってもよい。一部の実施形態では、遮断器3は、障害状態にトリップした後、スイッチ4が自動的に正常動作状態に戻らないような非自己復帰型であってもよい。
【0037】
図6Cは、正常動作状態における非自己復帰型遮断器3の概略回路図であり、種々の実施形態による、図6A図6Bの実施形態と組み合わせて使用することができる。図6Dは、図6Cの非自己復帰型遮断器3の障害状態における概略回路図である。図6C図6Dは、遮断器3が、自動自己復帰型でない方法、例えば、非自己復帰型の方法、又はユーザによる手動自己復帰型の方法で作製され得る一例を示している。例えば、図6Cに示す正常動作状態では、スイッチ4は、第1の端子T1を第2の端子T2に電気的に接続することができる。種々の実施形態では、スイッチ4は、上述したように、バイメタル要素を含むことができる。他の実施形態では、スイッチ4は、他の種類のスイッチを含むことができる。図6Cに示すように、T2又はT3のいずれかに接続するスイッチ4の端部には、機械的なバネ55を機械的に接続することができる。図6Cの正常動作構成において、バネ55は、正常動作状態の間、バネ55に機械的なポテンシャルエネルギーが蓄積されるような圧縮状態にあり得る。
【0038】
上述したように、(ドーム型要素などのバイメタルスイッチング要素を含み得る)スイッチ4の温度が閾値を超える場合、図6Dに示すような障害状態において、第1の端子T1を第2の端子T3に接続するようにスイッチ4を逆転又は反転させることができる。図示していないが、スイッチ4に対する加熱効果を高めるために、図6Cの経路に沿って追
加の抵抗器を設けてもよい。スイッチ4が図6Cに示す第3の端子T3に移動すると、バネ55は、弛緩構成又は拡張構成に移行してもよく、バネ55は、スイッチを第2の端子T2に戻す傾向の力に抵抗する。このように、バネ55は、スイッチ4のヒステリシス特性により、スイッチ4が第2の端子T2に戻るのを防止することができ、その結果、スイッチ4は、自動自己復帰型ではない。一部の実施形態では、遮断器3は、非自己復帰型とすることができ、遮断器は、一回限りの使用ヒューズを含むことができる。しかしながら、他の実施形態では、遮断器3は手動自己復帰型とすることができ、その場合、ユーザは、例えば、図6Cに示す構成にバネ44を再圧縮するボタンを押すことによって、第2の端子T2に接続するためのスイッチ4を手動でリセットすることができる。
【0039】
図7は、更に別の実施形態による電気システム1の概略回路図である。一部の配置では、図7に示すシステム1は、図1A図6Bに開示された実施形態を利用したシステムの性能をモデル化するために使用することができる。他の配置では、システム1は、本明細書に記載されているように、実質的に3端子遮断器として機能するように物理的に(例えば、ディスクリート電気部品及び/又は集積回路/デバイス技術を使用して)実施することができる。別段明記しない限り、図7の構成要素は、図1A図6Bに関連して示され、説明されたものと同じ又は概して類似した特徴を表す。例えば、システム1は、直列に接続された複数の電池セルBT1、BT2、BT3を含むことができる。遮断器3は、障害状態からの保護対象である特定のセルBT2に電気的に接続することができる。図1A図3Bの実施形態と同様に、遮断器3は、PTC抵抗器5に接続されたスイッチ4を含むことができる。図7では、スイッチ4はPTC抵抗器5と並列に配置されてもよいが、他の実施形態では、PTC抵抗器5は他の場所に配置されてもよい。スイッチ4及び/又はPTC抵抗器5の温度が上昇すると、PTC抵抗器5の抵抗RPTCもそれに対応して上昇する。更に、スイッチ4及び/又はPTC抵抗器5の温度の上昇により、温度及び/又は電流が所定の閾値を超えたときにスイッチ4を開放することができる。
【0040】
しかし、図1A図3Bの実施形態とは異なり、図7の実施形態では、スイッチ4が第3の端子T3に直接接触していない場合がある。これに対し、セル2cを迂回するバイパス回路6は、正常動作状態では常開状態にあるリレー20を含んでもよい。障害状態の間、感知回路30(これはまた、電流感知抵抗器、磁気電流抵抗器、及び/又は温度感知サーミスタを含み得る)は、スイッチ4が障害状態にトリップしたときに、遮断器3を横切る電圧降下を検出することができる。感知回路30は、リレー20に信号を送ってリレー20を閉鎖し、保護セル2cの周囲に電流を流すことができる。このように、図7の実施形態では、スイッチ4を第3の端子T3に直接接続させる代わりに、感知回路30は、遮断器3を横切る電圧降下に基づいて障害状態を検出し、スイッチ4が開放されている間、リレー20を第3の端子T3に接続させることができる。
【0041】
実施例
図7に示すシステム1の自動試験は、専用の試験ボードと外部ホルダを用いて、3個の3.6Vdcリチウムイオンセル(BT1、BT2、BT3に対応)を2.5Ahで試験するものである。試験ボードは、ケルビンモードで接続された3つの抵抗温度検出器(RTD)温度センサと、外部ホルダ内の個々の電池セルBT1、BT2、BT3と、外部負荷と、ネジ式端子台を介して接続される遮断器3とを含むことができる。本実施例の試験で使用した遮断器3は、Komatsulite(商標)モデルNR82CBO(Bourns,Inc.製、カリフォルニア州リバーサイド)である。端子台は、RTDを測定するためのケルビン方式の外部抵抗測定器を接続するために使用することもでき、他の3つのネジ端子は、RTDのシールドの接地に使用されてもよい。
【0042】
本試験は、遮断器3に大電流常開リレー20を追加して、遮断器3が単極双投(SPDT)スイッチング動作を有するかの如く機能するように実施することができる。遮断器3
の電圧降下が監視されている。例示的な試験手順では、遮断器3を横切る0.65Vdc以上の電圧がリレー20を閉鎖させ、遮断器がトリップして開放されたことを示す。遮断器3を横切る0.5Vdc以下の電圧により、リレー20が開放状態となり、遮断器がリセットされたことを示す。当該動作により、リレー20と遮断器の接点は、SPDTスイッチをエミュレートすることができる。遮断器3が閉鎖されているとき、又はトリップしていないときには、3つのセルBT1~BT3が直列に接続されており、任意に負荷をかけてもよい。ボード上の240Ωの軽負荷は、全てのセルBT1~BT3にまたがって配置することができる。また、外部に取り付けられた負荷(例えば、10Aまで)は、セルをまたいで接続することができる。遮断器3は、3個のセルが連続している第2のセルBT2又は中央セルBT2を保護するために適用することができる。過電流障害及び/又は過熱障害のために遮断器3が開放されると、第2のセルBT2は、一連の3つのセルから迂回され、開放された遮断器を横切って短絡状態となり、PTC抵抗器5を加熱するためのエネルギーを供給する。第2のセルBT2がPTC抵抗器5を暖めて遮断器3を開放状態に維持するための電荷を有している限り、当該動作によって遮断器3が開放状態に維持される。保護セル電圧が、遮断器のPTC抵抗器5が遮断器3をリセットできる程度に冷却されるレベルまで低下すると、遮断器3がリセットされ、外部リレー20が開放される。当該動作は、保護セルBT2を再び一連の3つのセルに戻す。試験手順を実施して、遮断器3が開放された状態でトリップした後、保護セルBT2が放電しすぎてそれを継続できなくなる前に、保護セルBT2が遮断器3を開放し続け得る時間を決定できる。
【0043】
また、ソフトウェアは、試験手順を実施するために実施されている。ソフトウェアは、コンピュータ上のユーザインタフェースでプログラムされ、図7のシステム1を自動的に試験するように構成することができる。遮断器3がトリップした場合、ソフトウェアは、トリップした遮断器の時間、各セルBT1~BT3の電圧、遮断器3を横切る電圧、接続されたセルBT1及びBT3を横切る合計電圧、PTC抵抗器5を通る電流、保護セルBT2及び遮断器3の温度、他のセルBT1及びBT3の温度、並びに/又は他の適切なデータを繰り返し記録する。プログラムは、(1)BT1~BT3のいずれかの電圧が1.10Vdc未満に低下する、(2)遮断器3が閉鎖状態にリセットされる(例えば、0.2Vdc未満の遮断器電圧で示される)、(3)BT1~BT3の3つのセルのいずれかの温度が85℃を超える、若しくは(4)遮断器電流が5mA未満である(例えば、遮断器3の障害による)、かつ/又はその他の適切な所定の条件の任意の組み合わせが満たされたときに、終了することができる。
【0044】
また、試験ボード及びシステム1は、電池セルBT1~BT3を充電するために使用することができる。セルBT1~BT3は、3つの独立した充電源を用いて個別に同時に充電することができ、又は、3つの電池セルBT1~BT3のストリング全体を、単一セルの3倍の充電電圧を用いて単一の充電源を用いて一度に充電することができる。本配置では、3つのセルBT1~BT3全てが、4.10Vdcの最大電圧で定電流(例えば、最大1Aに制限される)を印加することにより、個別に初期充電される。特定のセルの電圧が4.10Vdcに達し、充電電流が100mAに低下すると、充電が完了したとみなされ、終了する。
【0045】
一部の配置では、試験ボード及びシステム1を使用して、12.3Vdc/1Aのソースを用いて、0.4Cの充電レートで3つのセルBT1~BT3の充電を試験することができる。例えば、遮断器3がリセットされたためにソフトウェアが終了したこと、又は中断されたことをシステム1が検出した場合、かつBT2の電圧が正である場合、ソフトウェアは、3つのセルBT1~BT3の充電を開始することができる。3つのセルBT1~BT3にわたって最大電圧12.3Vdcで1Aの電流を流して充電することができる。したがって、システム1は、電池管理システムとして機能することができ、各セルBT1~BT3の電圧、3つのセル全ての合計電圧、アンペア単位の電流、及び各セルBT1~
BT3の温度を測定することができる。充電動作は、(1)セルBT1~BT3のいずれか1つの電圧が4.099Vdcを超える、(2)電流が100mA未満に低下する、かつ/又はセルBT1~BT3のいずれかの温度が50℃を超えている、の条件の任意の組み合わせが発生したときに、終了することができる。
【0046】
本明細書に開示された実施形態は、電池を利用する電気システム及びデバイスに関するものであってもよいが、本明細書に開示された遮断器3は、任意の他の適切な種類の回路要素で使用することができることを理解すべきである。例えば、本明細書に開示された遮断器3は、過温度障害及び/又は過電流障害状態の影響を受けやすい任意の回路要素に使用されてもよい。更に、本明細書に開示された遮断器3は、直流(DC)及び交流(AC)の両方のアプリケーションを含む非電池電源システムに使用されてもよい。
【0047】
II.電池ハウジングの実施例
一部のシステムでは、電池セルは、金属リボン又は他の種類の電気的相互接続部を使用して一緒に接続されている。リボン又は他の相互接続部は、セルの正端子及び負端子にスポット溶接、はんだ付け、又はその他の方法で接合してもよい。例えば、(電動自転車で使用されるような)円筒形のリチウムイオンセルは、典型的には、リボン相互接続部を使用して直列又は並列に互いにスポット溶接されている。溶接接合、はんだ接合、又は他の種類の金属接合プロセスを利用した接続でセルを置き換えるために、ユーザは、接合部を壊し、電池セルを交換し、所望の金属接合プロセスを利用して、新しい電池セルへの接続を再接合する。しかし、溶接、はんだ付け等の金属接合プロセスでは、接合部を形成するために過剰な時間、設備、及び/又は専門知識を必要とする場合がある。更に、2つの電池セル間の金属接合部が十分な電気的接続を提供する場合であっても、相互接続部及び接合部が十分に収容されていないか、又はコンパクトに包装されていない場合がある。例えば、一部の配置では、適切な包装が提供されていない場合、相互接続部及び/又は接合部は、絡み合い、かつ/又は揺動する可能性がある。種々の実施形態では、図1A図7に関して本明細書に開示された遮断器3はまた、適切な金属接合プロセスを用いて、溶接、はんだ付け、又は他の方法で相互接続部及び/又は電池と接合されてもよい。しかし、上述したように、このような金属接合プロセスは、時間とコストを要し、専門的な知識が必要となる場合がある。本明細書に開示された電池ハウジングは、図1A図7に関連して上述したいずれかの遮断器3と組み合わせて使用することができる。
【0048】
このように、本明細書に開示された種々の実施形態は、図1A図7に関連して上で開示された機能及び/又は形態を有する回路遮断器を組み込んだモジュール式電池ハウジングを利用するものである。電池ハウジングは、1又は複数の電池セルを受容するためのサイズ及び形状のキャビティを画定するハウジング本体を含むことができる。スイッチを有する遮断器(図1A図7に関して開示された遮断器3と類似又は同一であってもよい)は、ハウジング本体と結合又は統合されてもよい。第1の導電体は、ハウジング本体の第1の端部部分に配置され、スイッチに電気的に接続することができる。第1の導電体は、電池の第1の電池セル端子に電気的に接続するように構成することができる。第2の導電体は、ハウジング本体の第2の端部部分に配置することができる。第2の導電体は、電池セルの第2の電池セル端子に電気的に接続して、第1の導電体と第2の導電体との間に第1の電気経路を画定するように構成することができる。また、バイパス導体をハウジング本体に結合することもできる。バイパス導体は、スイッチと第2の導電体とに電気的に接続して、スイッチと第2の導電体との間に第2の電気経路を画定することができる。
【0049】
正常状態では、遮断器は、全ての電流が、第1の導電体と第2の導電体との間の電池セルを通る第1の電気経路に沿って流れるように構成されてもよい。障害状態(過温度状態及び/又は過電流状態など)では、遮断器は、電流の大部分(又は全て)が電池セルを迂回し、スイッチと第2の導電体との間の第2の経路に沿って流れるように構成されてもよ
い。一部の実施形態では、障害状態では、少数の電流が電池セルを流れる。有利には、本明細書に開示された電池ハウジングは、溶接、はんだ付けなどの金属接合プロセスを行うことなく、ユーザが電池セルを電池ハウジングのキャビティ内に単にスナップさせることを可能にし得る。更に、電池ハウジングは、1又は複数の電池セルのためのコンパクトな構造的支持体を提供し、かつ、複数の電池ハウジングを互いに接続して任意の数の電池セルを直列又は並列に提供し得るモジュール式構造を提供する。ハウジング本体は、ハウジングの構成要素が互いに短絡するのを防ぐために、セルの絶縁体被覆ハウジング、セル接点、モジュール式電池端子、及び導電性セグメントなどの導電性構成要素を機械的及び電気的に分離することができる絶縁壁を含んでもよい。ハウジング本体は、ハウジングの構成要素が互いに短絡するのを防ぐために、セルの絶縁体被覆ハウジング、セル接点、リード、及び導電性セグメントなどの導電性構成要素を機械的及び電気的に分離するためのエアギャップを提供する絶縁性スペーサ要素を代替的又は追加的に含んでもよい。
【0050】
図8Aは、一実施形態による電池ハウジング100の上面、正面、右方向の概略斜視図である。図8Bは、図8Aに示す電池ハウジング100の底面、正面、左方向の概略斜視図である。電池ハウジング100は、ハウジング本体101を含むことができ、ハウジング本体101は、1又は複数の壁110を有し、1又は複数の電池セル(図9A図9Bを参照)を受容するようなサイズ及び形状のキャビティ102を画定する。ハウジング本体101の壁110は、絶縁材料を含むことができ、絶縁材料は、セルを受容するためのレセプタクルを画定し、壁110に結合されているか、又は壁110と形成されている導電性材料を電気的に分離するのに役立つ。例えば、壁110の絶縁材料は、プラスチック又はポリマー材料、セラミック材料等を含んでもよい。
【0051】
ハウジング本体101は、第1の端部111(例えば、上側)と、第1の端部111に対向する第2の端部112(例えば、下側)を含むことができる。第1の壁110a及び第2の壁110bは、第1の端部111と第2の端部112との間に延在することができ、電池セルの幅を受容するのに十分な距離だけ、図示されたy軸に沿って互いに離間することができる。第3の壁110c及び第4の壁110dは、それぞれの第1の端部111及び第2の端部112に配置することができ、電池セルの長さを受容するのに十分な距離だけ、図示されたz軸に沿って互いに離間することができる。図8A図8Bに示すように、第3の壁110c及び第4の壁110dの各々は、電池セルの端子が露出し得る開口部117を含んでもよい。キャビティ102は、第1、第2、第3、及び第4の壁110a~110dによって画定されてもよい。図示された実施形態では、キャビティ102は、ハウジング100の両端(例えば、左端及び右端)のz-y平面内に画定された開口によってアクセスすることができる。他の実施形態では、完全に密閉されたハウジングを形成するように、z-y平面内に形成された追加の壁があってもよい。そのような実施形態では、キャビティ102は、電池セル(単数)又は電池セル(複数)を挿入及び/若しくは取り外すときに開閉可能な1又は複数のドアを提供することによってアクセスされてもよく、かつ/又は第1の壁110a及び第2の壁110bの開口部を介してアクセスされてもよい。
【0052】
図8A図8Bに図示されたキャビティ102は、2つの円筒形リチウムイオン電池セルなどの2つの電池セルを受容するようなサイズ及び形状を有しているが、キャビティ102は、他の種類、サイズ、形状又は数の電池セルを受容するように形状を有してもよいことが理解されるべきである。例えば、キャビティ102は、代わりに、1個の電池セルのみを受容するサイズであってもよく、3個の電池セル、4個の電池セル、5個の電池セル、6個の電池セル、7個の電池セル、8個の電池セル、又は8個を超える電池セルを受容するサイズであってもよい。更に、図8A図8Bに示すキャビティ102は、細長い円筒形の電池セルを受容するように形成されているように示されているが、他の配置では、キャビティ102は、長方形、正方形、又は多角形の断面を有する電池セルを受容する
ように、又はコインプロファイル(例えば、電池セルの高さ又は長さが幅又は直径よりも小さい)を有する電池セルを受容するようなサイズ及び形状を有してもよい。
【0053】
有利には、ハウジング本体101及びキャビティ102は、電池セルをハウジング110に接続するための工具を必要とせずに、例えば工具レス接続によって、電池セルをハウジング本体101にスナップさせることができるようなサイズ及び形状とすることができる。例えば、一部の実施形態では、電池セルの電池セル端子に接続するセル接点は、電池セルが接点の間でスナップすることができるように(例えば、電池セルが接点の間で付勢され、接点を互いに離れて偏向させることができるように)、電池セルの長さよりも短い距離だけ離間することができる。他の実施形態では、ハウジング本体101の(z軸に沿った)長さ及び/又は(y軸に沿った)幅は、電池セルのそれぞれの長さ及び幅の寸法よりもわずかに小さくなるように選択されてもよい。ハウジング本体101は、ユーザがわずかに大きい電池セル(又は複数の電池セル)をキャビティ102内に付勢することができ、ハウジング本体101が電池セル(単数)又は電池セル(複数)を屈曲させて受容するために十分に適合していてもよい。電池セル(単数)又は電池セル(複数)がハウジング100内に入ると、ハウジング本体101は、電池セル(単数)又は電池セル(複数)をキャビティ102内に固定するために弛緩させることができる。このようなスナップフィット接続は、比較的簡単な電池セルの設置又は交換プロセスを可能にする。この場合、電池セル(単数)又は電池セル(複数)は、スナップフィット接続によってハウジング100に機械的及び電気的に接続される。スナップフィット接続が本明細書に記載されているが、セルとハウジングとの間の他の工具レス接続が使用されてもよいことが理解されるべきである。更に、一部の実施形態では、セルは、任意の適切な金属接合プロセス又は材料を使用して、セル接点105a~105cに接続されてもよい。例えば、一部の実施形態では、セル接点105a~105dは、はんだ、溶接、導電性エポキシなどを用いてセルに接続することができる。このような金属接合接続部は、接続部の抵抗を低減し、及び/又は電池ハウジングの信頼性を向上させるために使用することができる。
【0054】
電池ハウジング100はまた、第1のモジュール式電池端子104a及び第2のモジュール式電池端子104bを含むことができ、それぞれが、別のモジュール式に接続された電池ハウジング、電気負荷などの外部構成要素と電気的に通信するように構成されている。ハウジング100はまた、図9A図12に関連して詳細に説明したように、種々の電気経路に沿って電流を導くように構成された複数の導電体を含むことができる。例えば、ハウジング100は、第1の導電性セグメント107a、第2の導電性セグメント107b、第3の導電性セグメント107c、第4の導電性セグメント107d、第5の導電性セグメント107e、及び第6の導電性セグメント107fを含むことができる。第1のセル接点105aは、第1のセルの第1の電池セル端子に接触するように構成し、第2のセル接点105bは、第2のセルの第2の電池セル端子に接触するように構成することができる。同様に、第3のセル接点105cは、第1のセルの第2の電池セル端子に接触するように構成し、第4のセル接点105dは、第2のセルの第1の電池セル端子に接触するように構成することができる。ハウジング100はまた、第1のバイパス導体106a及び第2のバイパス導体106bを含むことができる。また、第1の導電性セグメント107a、第2の導電性セグメント107b、第1のバイパス導体106aに第1の遮断器3aを接続することができる。第2の遮断器3bは、第3の導電性セグメント107c、第4の導電性セグメント107d、及び第2のバイパス導体106bに接続することができる。
【0055】
本明細書で説明したように、(単一セル又は複数セルを受容し得る)電池ハウジング100及び導電体は、ハウジング100及びハウジング100内に配置された1又は複数のセル(複数可)を通る電流の流れのための種々の電気経路を画定することができる。電池ハウジング100は、電池ハウジング100と統合された3端子遮断器(例えば、遮断器
3a、3b)を含むことができる。図1A図7に関連して上述したように、遮断器3a、3bは、正常動作状態及び障害状態を有することができる。遮断器3a、3bは、セル(複数可)が過温度状態及び/又は過電流状態に供されたときに、障害状態に入ることができる。電池ハウジング100は、遮断器が正常動作状態にあるときに、セルを通る一次電流経路を画定することができる。電池ハウジング100は、回路遮断器が障害状態にあるときに、セルを迂回するように構成されたバイパス電流経路を画定することができる。例えば、正常動作状態では、遮断器3a、3bの第1の端子T1は、電流がT1をT2に接続するスイッチを介して、一次電流経路に沿ってセルを介して流れるように、第2の端子T2に接続することができる。障害状態では、第1の端子T1は、遮断器3a、3bの第3の端子T3に接続されるように移動することができる。障害状態では、少数の電流(例えば、小さなトリクル電流)が一次電流経路に沿って流れることができ、大部分の電流がバイパス電流経路に沿って流れることができる。一部の配置では、遮断器3a、3bにPTC抵抗器が設けられている。上述したように、遮断器3a、3bは、セルが障害状態にあるときに第2の端子T2から第3の端子T3に移動可能なバイメタルスイッチを含むことができる。遮断器3a、3bは、障害状態(例えば、過温度状態及び/又は過電流状態)を検出し、障害状態にあるときにセルを迂回するように電流を流すために、電池ハウジング内の任意の適切な場所に位置決めすることができる。
【0056】
本明細書に例示される導電体は、別個の導電性セグメント又は接点に対応するものとして記載されてもよいが、導電性セグメント又は接点は、代わりに、より少ない導電性セグメントから形成されてもよい(例えば、導電体は連続していてもよい)ことが理解されるべきである。例えば、第1の導電性セグメント107aは、モジュール式電池端子104aとは別個のものとして図示されているが、他の実施形態では、モジュール式電池端子104aは、セグメントを介在させることなく遮断器3aに直接接続されてもよく、又は、モジュール式電池端子104aは、連続した導電性材料を介して遮断器3aに接続されてもよい。同様に、第2の導電性セグメント107bは、第1のセル接点105aとは別個のものとして図示されているが、遮断器3aは、セグメントを介在させることなくセル接点105aと直接接続されていてもよく、又は、セル接点105aは、遮断器3aとセルとの間に連続した導電性材料を含んでもよいことが理解されるべきである。同様に、遮断器3bは、セグメント107c、107dを介在させることなく、セル接触を介してセルに直接接続されてもよい。そして、バイパス導体106a、106bは、セグメントを介在させることなく(又は連続した導電性材料を介して)、遮断器3a、3bからセル接点105a、105bに直接接続されてもよい。当業者であれば、種々多様な電気的ルーティング配置が、本明細書に開示された実施形態での使用に適している可能性があることを理解するであろう。
【0057】
導電体(例えば、導電性セグメント107a~107f、セル接点105a~105d、モジュール式電池端子104a~104b、バイパス導体106a、106b)は、ハウジング本体101に結合されるか、又はハウジング本体101と一緒に形成することができる。例えば、一部の実施形態では、ハウジング本体101は、射出成形、三次元(3D)印刷などの適切なプロセスを用いて形成することができる。導体は、導体を受容するためのサイズ及び形状の凹部に接続することができ、又は、ハウジング本体101は、所望の導体の周りに成形することができる。一部の実施形態では、接着剤が導体をハウジング本体101に接続するために使用されてもよい。他の実施形態では、(例えば、絶縁ハウジング本体101及び導電体を含む)電池ハウジング100全体は、単一のモノリシック本体の中に絶縁構造及び導電構造を同時に画定することができる3D印刷プロセスを使用して製造されてもよい。
【0058】
更に、図8A図8Bに示すように、第1のコネクタ135aは、第2のセル接点105bに結合されるか、又は第2のセル接点105bと一緒に形成することができる。第2
のコネクタ135bは、第3のセル接点105cに結合されるか、又は第3のセル接点105cと一緒に形成することができる。第1のコネクタ135a及び第2のコネクタ135bは、電池管理システム(BMS)に電気的に接続するように構成された導電性のタブ又はラグを含むことができる。例えば、一部の実施形態では、第2のセル接点105b及び第3のセル接点105cは、それぞれ第1のコネクタ135a及び第2のコネクタ135bと電池セルの負の端子を電気的に接続することができる。BMS(図13A図13B参照)は、各電池セルの電圧を監視することができ、セルの電圧が非許容レベルまで上昇又は低下した場合には、ユーザに(例えば、アラーム又は他のインジケータを用いて)通知することができる。例えば、一部の実施形態では、BMSは、例えば、スイッチが障害状態にあるために、1又は複数の電池セルが迂回されたかどうかを判断することができる。このような通知は、電池セルを交換する必要があることをユーザに警告することができる。
【0059】
図9Aは、図8A図8Bに示す電池ハウジング100の上面、正面、右方向の概略斜視図であり、第1のセル114a及び第2のセル114bが電池ハウジング100内に配置されている。図9Bは、図9Aの電池ハウジング100及びセル114a、114bの底面、正面、左方向の概略斜視図である。図10Aは、図9A図9Bに示す電池ハウジング100及びセル114a、114bの概略上面図である。図10Bは、図9A図10Aに示す電池ハウジング100及びセル114a、114bの概略底面図である。図11Aは、電池ハウジング100及びセル114a、114bの上面、背面、右方向の概略断面図であり、当該断面は、モジュール式電池端子104a、104b及び第1のセル接点105aに沿っている。図11Bは、電池ハウジング100及びセル114a、114bの上面、背面、右方向の概略断面図であり、当該断面は、第2のセル接点105bに沿っている。
【0060】
図9A図11Bに示す第1及び第2のセル114a、114bは、円筒形の電池セル(例えば、リチウムイオン電池セル)であるが、上述したように、電池セルは、任意の適切な形状又はプロファイル、及び任意の適切な種類の電池セルを含むことができる。更に、上述したように、2つのセル114a、114bが示されているが、ハウジング100内には、より多くの又はより少ない電池セルが配置されてもよい。例えば、一部の実施形態では、電池ハウジング100は、単一セルを受容するためのサイズ及び形状を有することができる。1又は複数のセルを有する複数のハウジングは、モジュール式配置で一緒に接続することができる。図9A図9Bの配置では、各セル114a、114bは、第1の電池セル端子113a(例えば、正の端子)と第2の電池セル端子113b(例えば、負の端子)とを含む。セル114a、114bは、第1のセル114aの第1の電池セル端子113aが第1の端部111に配置されるか、又はその近傍に配置され、第1のセル114aの第2の電池セル端子113bが第2の端部112に配置されるか、又はその近傍に配置されるように、ハウジング101内に配置されてもよい。また、第2のセル114bの第1の電池セル端子113aは、第1のセル114aの第2の電池セル端子113bに隣接する第2の端部112に配置されてもよく、又はその近傍に配置されてもよい。第2のセル114bの第2の電池セル端子113bは、第1のセル114aの第1の電池セル端子113aに隣接する第1の端部111に配置されてもよく、又はその近傍に配置されてもよい。
【0061】
図9A図9Bは、電池ハウジング100によって画定される種々の電気経路P1~P7を示す。図示された実施形態では、経路P1~P7の矢印は、(第1の電池セル端子113aが正の端子であると仮定して)電子の流れの方向を示している。これは、当業者であれば理解するものであるが、従来の電流の定義の方向とは逆である。このように、提供される実施例における電流の流れを想定するために、全ての矢印の方向を逆にすることができる。他の実施形態では、電子は、ハウジング100に対するセル114a、114b
の極性に応じて、図示された方向とは逆方向に流れてもよい。
【0062】
第1のモジュール式電池端子104aと遮断器3aとの間に第1の経路P1(図9A及び10A)を画定することができ、当該経路P1は、本開示全体に開示されるものと同様のスイッチを含んでもよい。第1のモジュール式電池端子104aは、別の電池ハウジング、電気負荷などの外部構成要素との電気的通信を提供するように構成することができる。なお、第1のモジュール式電池端子104aは、ハウジング本体101の外面に配置することができ、例えば、第1の壁110aの外面に配置することができる。しかしながら、他の実施形態では、第1のモジュール式電池端子104aは、ハウジング100の他の表面に配置されてもよく、他の形状及びプロファイルを含んでもよい。例えば、他の実施形態では、モジュール式電池端子104aは、外部構成要素との電気的接続を容易にするために、ハウジング本体101から外方に延在してもよい。電流は、第1の導電性セグメント107aに沿って、第1のモジュール式電池端子104aと第1の遮断器3aとの間に流れることができる。上述したように、一部の実施形態では、第1のセグメント107aは、モジュール式電池端子104a及び遮断器3aに接合される導電性材料の別個の個片であってもよい。他の実施形態では、第1の経路P1は、導電性材料の連続個片に沿って、モジュール式電池端子104aと遮断器3aとの間に画定される。
【0063】
第1のセグメント107aの一端は、図1A図3B及び図6A図7に関連して説明及び図示された第1の端子T1などの遮断器3aの第1の端子に電気的に接続することができる。例えば、セグメント107aは、第1の端子T1に溶接又ははんだ付けするか、他の方法で電気的に接続することができる。第2の導電性セグメント107bは、遮断器3aと第1のセル接点105aとを電気的に接続することができる。例えば、第2のセグメント107bの一端は遮断器3の第2の端子T2に電気的に接続し、第2のセグメント107bの他端は第1のセル接点105aに電気的に接続することができる。上述したように、一部の実施形態では、第2のセグメント107bは、遮断器3a及びセル接点105aとは別個の導電性材料個片を含むことができる。他の実施形態では、遮断器3aの第2の端子T2と第1のセル接点105aは、導電性材料の連続個片を含むことができる。一例として、図11Aに示すように、第2のセグメント107bは、第1のセル接点105aの開口を通って延在して第2のセグメント107aをセル接点105aに固定し、第1のセル114aの第1の端子113aに電気的接続を提供するように屈曲させることができる。第1のバイパス導体106aは、遮断器3aの第3の端子T3と、第3の導電性セグメント107cに接続された第3のセル接点105cとに電気的に接続することができる(図9A図9B図10A図10B参照)。例えば、第1のバイパス導体106aを遮断器3aの第3の端子T3に接続して、セル114aの周囲にバイパス経路を設けることができる。バイパス導体106aは、ハウジング本体101に固着又は形成することができる。
【0064】
図1A図7に関連して上述したように、遮断器3aは、正常状態及び障害状態を有するスイッチを含むことができる。なお、正常状態では、図1A図7に関連して上述したように、遮断器3aの第1の端子T1は、第2の端子T2(図10A参照)に接続されてもよい。このような配置では、動作電流及び/又は温度が正常範囲内にある場合、電流は、第1のセル114aを介して第2の電気経路P2に沿って流れることが許容される。例えば、正常状態では、電子は、遮断器3a(図9A)から第2のセグメント107b及び第1のセル接点105aに沿って、経路P2に沿って流れ、第1の電池セル端子113aを通ってセル114aに入り、第2の電池セル端子113b(図9B)を通ってセル接点105cとハウジング100の第2の端部112にある第3の導電性セグメント107cに入ってもよい。
【0065】
第3のセル接点105cは、第1のセル114aの第2の端子113bから第3の導電
性セグメント107cに電子を搬送するのに役立つ場合がある。有利には、第1のセル接点105a及び第3のセル接点105cの各々は、溶接、はんだ付け等の金属接合操作を使用せずに、電池セルの各端子113a、113bに接触するようなサイズであってもよい。代わりに、上述したように、セル接点105a、105cとセル114aとの間の電気的接触は、セル接点105aとセル接点105cとの間でセル114aが付勢されるスナップフィット接続によって提供されてもよい。セル接点105a、105cは、導電性材料の円盤状の個片として図示されているが、他の実施形態では、セル接点105a、105cは、導電性材料の細長い個片を含み得ることが理解されるべきである。更に、セル114aは、単純なスナップフィット接続によってハウジング100に機械的及び電気的に接続されてもよいが、一部の実施形態では、ユーザは、特に二次電池の場合には、端子113a、113bをセル接点105a、105cに接続するための接合手順(溶接、はんだ付けなど)を追加的に又は代替的に行ってもよい。
【0066】
このように、より大きなシステムの正常動作の間、電流は、第2の経路P2に沿って(図示された矢印とは逆方向に)、すなわちセル114aを通って流れる。しかし、上述したように、一部の例では、セル114aが過熱されてもよく、セル114aに過大な電流が流れてもよい。図1A図7に関連して上述したように、セル114aの温度及び/又はセル114aを流れる電流が種々の所定値を超える場合、遮断器3aが障害状態に入る可能性があり、この場合、遮断器内のスイッチ5が移動して遮断器3aの第1の端子T1を第3の端子T3に接続する。このような障害状態では、少数の電流が依然として、第1の端子T1と第2の端子T2との間を流れ、第2の経路P2に沿ってセル114aを通って流れる可能性がある。しかしながら、電流の大部分(又は全部)は、遮断器3aの第3の端子T3と第3のセル接点105cとの間に延在する第3の経路P3に沿って、セル114aの周囲にシャントされるか、又は迂回される。セル114aの周囲の電流の大部分又は全てをシャントすることで、セル114aの損傷を防ぐことができ、セル114aの寿命を延ばすことができる。更に、障害状態では、第2のセル114b及びより大きな電気システムへの電流の流れを途絶させることなく、セル114aを迂回させることができる。有利には、図9A図9Bに示す配置は、正常動作ではセル114aとの間のより短い電気経路P2を利用し、障害状態ではバイパス導体106aを通るより長いバイパス経路P3を利用することができる。より長いバイパス経路P3は、セル114aを通る経路P2よりも高い抵抗器性を有してもよい。正常動作の間に提供される比較的低い抵抗は、発熱による電力損失を有益に低減することができる。
【0067】
図10Bに示すように、第1のバイパス導体106aは、第1のバイパス導体106aと第3の導電性セグメント107cとの間の電気的通信を提供する第3のセル接点105cに接触することができる。第3の導電性セグメント107cは、第2の経路P2及び第3の経路P3と第2の遮断器3bとの接合部の間に第4の電気経路P4を画定することができる。例えば、正常状態では、電流は、セル114aを通って第2の経路P2に沿って、第4の経路P4及び第3のセグメント107cに沿って第2の遮断器3bに流れることができる。障害状態では、電流(図1BのI)の大部分又は全部が、第3の経路P3及び第1のバイパス導体106aに沿って第3のセル接点105c及び第3のセグメント107cに流れ、電流(図1BのI)の少数が、第2の経路P2に沿って第3のセル接点105c及び第3のセグメント107cに流れることができる。結合電流(図1BのI)は、第3のセグメント107c及び第4の経路P4に沿って遮断器3bに流れることができる。
【0068】
第2の遮断器3bは、第1の遮断器3aと同様に、正常動作状態及び障害状態を有している。正常状態では、第3のセグメント107cは、遮断器3bの第1の端子T1に接続され、次に、遮断器3bの第2の端子T2に接続される。遮断器3bの第2の端子T2は、第4の導電性セグメント107d、第4のセル接点105d、及び第2のセル114b
の第1の電池セル端子113aと接続することができる(図10B参照)。このように、正常状態では、電流は、第4のセル接点105dと第2のセル接点105bとの間の第2のセル114bを通る第5の経路P5に沿って遮断器3bを流れる(図9B参照)。
【0069】
障害状態(例えば、過温度障害及び/又は過電流障害)では、遮断器3bのスイッチは、第1の端子T1を第2のバイパス導体106bの第1の端部に接続し得る第3の端子T3に接続するように移動することができる。第1の遮断器3aと同様に、第2のセル114bが障害状態にある場合には、電流の大部分が第6の電気経路P6に沿ってバイパス導体106bを通過し、電流の少数が第5の電気経路P5に沿ってセル114bを通過する。前述したように、図面の矢印は、電流が図示された矢印とは逆の方向に流れるように、(113aが正、113bが負であると仮定して)電子の流れの方向を示している。
【0070】
図9A図10A図11Bに示すように、第2のバイパス導体106bの第2の端部は、第5の電気セグメント107eに接続することができる。また、第2のセル接点105bは、第5の電気セグメント107eに接続することができる。第5の経路P5及び/又は第6の経路P6に沿って流れる電流は、第5のセグメント107e及び第6のセグメント107fを通って、第7の電気経路P7に沿って第2のモジュール式電池端子104bに流れることができる。第2のモジュール式電池端子104bは、ハウジング100の外面、例えば、第2の壁110bの外面に形成することができる。第2のモジュール式電池端子104bは、別の電池ハウジング又は電気負荷などの別の外部構成要素との電気的通信を提供するように構成することができる。図11A図11Bに示すように、チャネル116は、ハウジング壁110の一部に沿って画定することができ、第6のセグメント107fを受容するようにサイズ及び形状を決定することができる。
【0071】
図12は、種々の実施形態による、互いに接続された電池ハウジング100A~100Dのストリング120を含む電池パックの右後方斜視図である。有利には、図9A図11Bに示す電池ハウジング100は、多数の電池ハウジングを電気的及び機械的に一緒に接続することができるモジュール式プラットフォームを提供することができる。モジュール式配置で一緒に接続された多数の電池ハウジングの使用により、自動車用途(自動車、スクーター又は自転車などの電気自動車用のセル)、コンピューティング用途(ラップトップコンピュータ、モバイルスマートフォン、タブレットなど)、医療デバイスなどの高電力用途のための高電圧電源の使用が有益に可能となる。更に、各ハウジング100A~100Dに1又は複数の遮断器3を組み込むことにより、電池パックは、障害状態により1又は複数の電池セルが迂回されても、デバイス動作のための電流を供給し続けることができ、ユーザは、電気負荷への電流の供給を中断することなく、電池セルを電池ハウジングから取り外して、交換用の電池セルをスナップインするだけで、欠陥のある電池セルを交換することができる。
【0072】
図12に示すように、第1のハウジング100Aの第1のモジュール式電池接点104aは、第2のハウジング100Bの第2のモジュール式電池接点104bに電気的に接続することができ、第2のハウジング100Bの第1のモジュール式電池接点104aは、第3のハウジング100Cの第2のモジュール式電池接点104bに電気的に接続することができ、第3のハウジング100Cの第1のモジュール式電池接点104aは、第4のハウジング100Dの第2のモジュール式電池接点104aに電気的に接続することができる。隣接するハウジングのそれぞれの第1のモジュール式電池接点104a及び第2のモジュール式電池接点104bの間の接続は、金属接合プロセスを使用せずに行うことができる。例えば、一部の実施形態では、隣接するハウジングのモジュール式電池接点104a、104bは、隣接するハウジング間の電気的及び機械的接続を提供するために一緒にスナップすることができる。一部の実施形態では、隣接する電池ハウジングのモジュール式電池接点104a、104bは、隣接する電池ハウジング間の電気的及び機械的接続
を提供するために、摺動接続で噛み合うことができる。一部の実施形態では、ユーザは、隣接するハウジングのモジュール式電池接点104a、104bを一緒に溶接又ははんだ付けすることを選択してもよい。種々の実施形態では、各ハウジング100A~100Dのハウジング本体101は、隣接する電池ハウジング間の機械的な係合を提供するために、種々の機械的な係止機構を含むことができる。図12には、4つのハウジング100A~100Dが図示されているが、任意の適切な数の電池ハウジングが互いに接続され得ることが理解されるべきである。ストリング120が組み立てられたとき、最も外側の電気的モジュール式電池接点(例えば、図12のハウジング100Aの第2のモジュール式電池接点104b及びハウジング100Dの第1のモジュール式電池接点104a)は、所望の電気的負荷(例えば、モータ)に電気的に接続して、そこに電力を供給することができる。
【0073】
図13Aは、種々の実施形態による、直列に接続された電池ハウジング100A~100Cのストリング120を含む電池パックの概略回路図である。別段明記しない限り、図13Aに示す参照数字は、図1A図12に示すものと同じ又は類似の構成要素を表す。本明細書で説明したように、複数の電池ハウジング100A~100Cは、直列に一緒に接続することができる。ハウジング100A~100Cを一緒に直列に接続すると、有利には、電気負荷に供給するために利用可能な電気エネルギーの総量を増加させることができる。例えば、図13Aには、3つのハウジング100A~100Cが示されており、各ハウジング100A~100Cは、2つのセル114a、114bを含む。各セル114a、114bがVの電圧を有する場合、図示のように直列に接続された6つの電池セルのストリング120は、6Vの電圧を供給する。ハウジングのモジュール化により、高出力が要求されるアプリケーションに多数の電池を使用することが可能となる。電池セルのうちの1つに障害が発生した場合、関連する遮断器3a、3bは、より大きなシステムに電力を供給するために、障害が発生した電池セルの周りの電流の大部分を有利にルーティングすることができる。ハウジング100A~100Cのスナップフィット接続により、障害が発生した電池セルを容易に取り外して交換することができる。更に、図13Aに示すように、電池管理システム(BMS)は、電池セルの選択された端子(例えば、負の端子)と電気的に結合されたそれぞれの第1のコネクタ135a及び第2のコネクタ135bに接続することができる。本明細書で説明したように、BMSは、各電池セルの電圧を監視することができ、特定のセルの電圧が望ましくないレベルまで上昇又は下降した場合、ユーザに警告を発することができる。例えば、一部の実施形態では、BMSは、例えば、スイッチが障害状態にあるために、1又は複数の電池セルが迂回されたかどうかを判断することができる。
【0074】
図13Bは、種々の実施形態による、並列に接続された電池ハウジング100A~100Bのグループ122を含む電池パックの概略回路図である。別段明記しない限り、図13Bに示す参照数字は、図1A図12に示すものと同じ又は類似の構成要素を表す。図13Aの実施形態とは異なり、図13Bでは、2つの電池ハウジング100A、100Bが並列に接続されている。第1のハウジング100Aからの電池セルの1つに障害が発生した場合(例えば、セル114a)、遮断器3aは、セル114aを迂回して、第2のセル114b及びより大きな電気システムに電流を供給することができる。更に、図13Aと同様に、BMSは、上述したように、各電池セルの電圧を監視するために、それぞれの第1のコネクタ135a及び第2のコネクタ135bに電気的に接続することができる。
【0075】
図13Bに示す配置の1つの課題は、1つのセルに障害が発生して遮断器によって迂回される場合、結果として生じる配置は、2つのセルと並行して1つのセルを含むことになるということである。結果として生じる2つのストリング間の電圧の不均衡は、動作を継続するセルを損傷する可能性があり、及び/又は、より大きな電気システムの性能を低下させる可能性がある。一部の実施形態では、そのような電圧不均衡は、セルを介した逆バ
イアスを防止するためのダイオード(例えば、ショットキー型ダイオード)を各並列ストリングに提供することによって対処されてもよい。一部の実施形態では、ポテンシャル電圧の不均衡は、各ストリング内にトランジスタ(例えば、pチャネルMOSFET)を提供することによって対処されてもよく、このトランジスタは、セルを介した逆バイアスを防止又は低減するためにダイオードと同様に機能することができる。
【0076】
図14は、互いに直列に接続されたセル114a~114eのストリング120とバックブーストコンバータ130とを含む電池パックの概略システム図である。セル114a~114eは、本明細書に開示された電池ハウジング100のいずれかと結合することができ、又は他の適切な方法で一緒に結合することができる。バックブーストコンバータ130は、ストリング120の出力電圧を許容電圧範囲内に維持するDC-DC変換構造を含むことができる。例えば、セル114a~114eのうちの1つが遮断器によってストリングから迂回される場合、ストリング120の全体の電圧は、迂回されたセルによって供給される電圧に等しい量だけ低下する。バックブーストコンバータ130は、有利には、ストリング120の出力を所望の電圧範囲内に維持することができる。例えば、図14に示すように、各セル114a~114eが3.6Vの電圧を供給する場合、ストリング120は通常、合計18Vを供給することになる。セルの1つが迂回されている場合、供給電圧は合計14.4Vまで低下する。バックブーストコンバータ130は、1又は複数のセルが迂回されていても、ストリング120の総出力を18Vに維持することができる。
【0077】
本明細書で説明したように、1又は複数のセルが障害状態のために遮断器によって迂回されても、迂回されたセルは、他のセル及び電気負荷に供給される電流を遮断しない。過電流障害状態及び/又は過温度障害状態が治まると、図1A図7に関連して上述したように、遮断器はリセットされ、正常動作状態に戻ることができる。更に、ユーザは、ハウジングと新しいセルの電気的及び機械的接続を提供する簡単なスナップフィット接続を使用して、迂回され、損傷したセルを容易に取り外し、新しいセルと交換することができる。種々の実施形態では、使用中にセルが迂回されるかどうかを決定する電気的電池監視システムを提供することができる。電池監視システムは、1又は複数のセルを交換すべきであることをユーザに警告するための信号をユーザに送信することができる。電池監視システム又は電池管理システム(BMS)の使用を容易にするために、端子又は接点をモジュール式電池ハウジングに組み込むことができ、モジュール式電池ハウジングは、各セル間の回路内の点へのBMSの接続を容易にする。本明細書に開示された遮断器の使用は、過温度障害状態及び/又は過電流障害状態を自動的に監視するために、電池又は電池パックのハウジングに組み込むことができ、電池セル自体内ではなく、ハウジングレベルで遮断器を提供するためのコストを有益に削減することができる。各セルの遮断器をなくすことで、システム全体のコストを削減しつつ、遮断器を省略する場合に比べてシステムの安全性を高めることができる。更に、本明細書に開示された遮断器を利用することで、液冷システムなどのコストのかかる熱管理システムの必要性を低減することもできる。一部の実施形態では、電池の性能を向上させるために、特に寒冷環境下での電池の性能を向上させるために、1又は複数の加熱要素、例えばPPTC要素がハウジングに組み込まれてもよい。
【0078】
III.追加の回路遮断器の実施例
本明細書に開示される追加の実施形態は、例えば、電池セル監視回路を含む種々多様な電気回路に統合することができる回路遮断器に関する。上述したように、本明細書に開示された実施形態は、電気自動車、電動自転車、又は任意の他の適切なシステムなどのシステムのための大容量及び/又は高電圧電池パックのための過電流保護及び/又は過温度保護を提供するのに有用であり得る。一部の実施形態では、回路遮断器は、上記に開示されたスイッチと同様のスイッチを含むことができる。一部の実施形態では、遮断器は、上述
の3端子スイッチと同様の3端子スイッチを含むことができる。他の実施形態では、遮断器は、2端子スイッチを含むことができる。種々の実施形態では、遮断器は、遮断器を第1の状態(例えば、正常動作状態)から第2の状態(例えば、障害状態)に移行させ、又はその逆に移行させるのを補助するように構成された正温度係数(PTC)抵抗器を含むことができる。
【0079】
A.セルバランシングのための回路遮断器
本明細書に開示される種々の実施形態は、複数のセル(例えば、直列又は並列に提供される)を有する電池パックの容量を改善するためのセルバランシングに使用することができる。例えば、電池パック内の異なる電池セルは、それぞれ異なる充電状態(SOC)を有する場合があり、これは、電池パックの容量と寿命に悪影響を与える可能性がある。したがって、一部の実施形態では、最小のSOCを有するセルは、電池パック内の他のセルを充電及び/又は動作させる能力を制限する場合がある。一部の回路は、アクティブバランシング技術を採用しており、この場合、集積回路チップは、高いSOCを有するセルから低いSOCを有する他のセルに電気エネルギーを伝達するように構成することができる。例えば、種々の実装形態では、電池管理システム(BMS)は、SOCが低いセルに印加される電圧を調整することができる、1又は複数の直流-直流(DC-DC)コンバータを含む集積回路を含むことができる。本明細書に開示された種々の実施形態は、有益には、BMSの設計を簡素化し、及び/又はBMSに障害が発生した場合又は非作動状態にある場合に、バックアップ保護(例えば、冗長性)を提供することができる。
【0080】
図15Aは、種々の実施形態による電気デバイス200を示す概略システム図である。デバイス200は、電池管理システム240と電気的に通信する複数の電池セル202a、202bを含むことができる。図15Aでは、2つのセル202a、202bのみが示されているが、任意の適切な数の電池セルが電気回路200に使用されてもよいことが理解されるべきである。本明細書で説明したように、電池管理システム240は、電池パック内のセルのアクティブバランシングのために構成することができる。デバイス200はまた、電池管理システム240によって制御され得る(金属酸化物半導体電界効果トランジスタ、又はnチャネルMOSFETなどのMOSFETを含み得る)トランジスタ241を含む。トランジスタ241は、例えば、絶縁ゲートバイポーラトランジスタ(IGBT)、MOSFET、バイポーラ接合トランジスタ(BJT)などを含む、任意の適切な種類のトランジスタを含むことができる。図15Aは、電池管理システム240がセル202aの障害状態(例えば、セル202aが他のセルと比較して過充電されている可能性があること)を検出したバランシング構成のデバイス200を図示している。図15Aにおいて、電池管理システム240は、障害状態を検出すると、電池パック内の別のセル(例えば、セル202b)にエネルギーを伝達するように、トランジスタ241をオン位置に配置することができる。電池パックは、セル202aを迂回した後に充電を継続することができる。オフ位置では、電流はトランジスタ241を通過することはない。その結果、電流は、正常動作状態で電池セル202aを通過する。
【0081】
障害状態では、電流はバイパス経路Pに沿ってトランジスタ241を介して伝達され得る。一部の実施形態では、バイパス経路Pに沿った電流の量は、例えば、バイパス経路Pに沿った電流が他のセルで過電流状態又は過温度状態を引き起こす場合、又はトランジスタ241及び/又は電池管理システム240が損傷又は他の方法で非作動になる場合、所望よりも高くなってもよい。したがって、図15Aの実施形態では、遮断器203は、トランジスタ241と直列に(例えば、nチャネルMOSFETトランジスタのドレインと直列に)接続することができる。遮断器203は、スイッチ204を含むことができる。スイッチ204は、本明細書に開示されたスイッチ4のいずれかを含むことができる。例えば、一部の実施形態では、スイッチ204は、本明細書に記載されているようなバイメタル要素(例えば、ドーム型バイメタル要素)などの熱作動機械的スイッチを含む
ことができる。他の実施形態では、他の種類のスイッチが適していてもよい。上記のように、スイッチ204は、第1の端子T1と、第2の端子T2と、第3の端子T3とを含むことができる。更に、種々の実施形態では、スイッチ204は、自己復帰型とすることができる。他の実施形態では、スイッチ204は自己復帰型でなくてもよく、手動自己復帰型であってもよい。
【0082】
また、図15Aに示すように、第1の放電抵抗器205a及び第2の放電抵抗器205bを並列に設けることができる。第1の状態では、図15Aに示すように、第1の端子T1は、第2の端子T2に接続することができる。図15Aに示す第1の状態では、トランジスタ241がオン状態に置かれると、電流は、端子T1及びT2を通って第1の経路Pに沿って、第2の放電抵抗器205bを通って、電池パックの別のセル(例えば、セル202b)に流れてもよい。第1の経路Pに沿って流れる電流が特定の電流閾値及び/又は温度閾値を超える場合、スイッチ204(例えば、バイメタルドーム型スイッチング要素)は、第1の端子T1を第3の端子T3に電気的に接続するように逆転してもよい。第2の状態(例えば、障害状態)では、電流は、第1の放電抵抗器205aを通って、電池パック内の別のセル(例えば、セル202b)に第2の経路Pに沿って流れることができる。
【0083】
第1の放電抵抗器205a及び第2の放電抵抗器205bは、任意の適切な種類の抵抗器を含むことができる。一部の実施形態では、例えば、一方又は両方の放電抵抗器205a、205bは、正温度係数(PTC)抵抗器を含むことができる。種々の実施形態では、抵抗器205a、205bの一方又は両方は、ユーザが経路P、Pのいずれかに対して所望の抵抗を選択できるように、可変抵抗器を含むことができる。一部の実施形態では、抵抗器205a、205bの一方はPTC抵抗器を含むことができ、他方の抵抗器205bはPTC抵抗器ではなくてもよい。又は、これらは逆であってもよい。このような実施形態では、第1の経路Pに沿って第2の抵抗器205bを通過する電流の量が過剰である場合、スイッチ204は、第1の抵抗器205a(例えば、PTC抵抗器)を通過する電流を伝達するように切り替えることができる。このような実施形態では、第1の抵抗器205a(この例では、PTC抵抗器)を通る電流の突入は、第1の抵抗器205aの温度を上昇させ、それに応じてその抵抗を上昇させ、それにより、第2の経路Pに沿った電流を減少させることができる。第1の抵抗器205aの抵抗は、第2の抵抗器205bの抵抗と同じであってもよく、異なってもよい(例えば、第2の抵抗器205bの抵抗よりも高い)。
【0084】
有益には、図15Aの実施形態は、過剰な電流がバイパス経路P及びトランジスタ241を通過する場合に、遮断器203が後続の電池セル(例えば、セル202b)に通過する電流を更に減少させる受動的なバックアップ回路を提供するような、冗長性又はバックアップ回路を提供することができる。図15Aにはセル202a、202bが示されているが、電池パックの各セルは、それ自身の関連するバイパス経路を有することができる。更に、図15Aのトランジスタ241は、セル202aが迂回されるときに発生し得る比較的大きな電流の突入に対応するために、大きな電流容量を有するように選択されてもよい。図15Aの実施形態は、有利には、デバイス200のユーザが、より小さいトランジスタ241、例えば、より低い量の電流を扱う可能性のあるトランジスタを使用することを可能にし得る。このように、図15Aの実施形態は、電池管理回路を簡素化し、トランジスタ241のサイズを小さくし、トランジスタ241及び/又は電池管理システム240が損傷又は非作動の場合にバランシング保護を提供するような、冗長な過電流保護を提供することができる。
【0085】
図15Bは、別の実施形態による電気デバイス200を示す概略システム図である。別段明記しない限り、図15Bの構成要素は、図15Aと同じ番号の構成要素と同じであっ
てもよく、概して類似してもよい。例えば、図15Aと同様に、デバイス200は、電池管理システム240と、電池管理システム240と通信するトランジスタ241(上述したように、任意の適切な種類のトランジスタを含むことができる)と、電池セル202aと、トランジスタ241と電気的に通信する遮断器203とを含むことができる。図15Bの遮断器203は、図15Aの遮断器203と概して類似した方法で動作してもよい。
【0086】
しかし、図15Aの実施形態とは異なり、図15Bの実施形態では、追加の遮断器243が、電池セル202aと並列に設けられ、電池セル202aと遮断器203との間に電気的に配置されてもよい。例えば、一部の配置では、電池管理システム240及び/又はトランジスタ241は誤動作するか、又は他の場合には非作動となる場合がある。このような場合、トランジスタ241が遮断器203への電流を遮断した場合などに、遮断器203が経路P、Pを通る電流を規制しない場合がある。有益には、遮断器243は、電池管理システム240及び/又はトランジスタ241が誤動作した場合に、更なる水準の冗長性として機能してもよい。
【0087】
一部の実施形態では、遮断器243は、スイッチ242を含むことができ、このスイッチ242は、電気作動機械的スイッチ又は熱作動機械的スイッチ(例えば、ドーム型バイメタル要素などのバイメタル要素)と、スイッチ242と直列に配置された第3の放電抵抗器205cとを含むことができる。種々の実施形態では、スイッチ242は、セル202と熱的に接続することができる。遮断器243は、セル202aが温度閾値を超えた場合に受動的なセルバランシングを提供するように、セル202aに熱的に結合又は接合することができる。なお、スイッチ242は、正常動作状態ではスイッチ242が開放されているような常開スイッチであってもよい。スイッチ242は、図15Bでは、閉鎖状態の障害状態で図示されている。更に、種々の実施形態では、スイッチ242は、自己復帰型とすることができる。他の実施形態では、スイッチ242は自己復帰型でなくてもよく、手動自己復帰型であってもよい。第3の放電抵抗器205cは、PTC抵抗器を含む任意の適切な種類の抵抗器を含むことができる。有益には、第3の放電抵抗器205cは、スイッチ242が閉鎖されているとき、例えば第1の端子T1が第2の端子T2に接続されているときに、遮断器243を通過する電流を制限することができる。種々の実施形態では、第3の放電抵抗器205cは、ユーザが検討中のアプリケーションのために負荷の値を選択することができるように、可変抵抗器を含むことができる。
【0088】
スイッチ242は、第1の端子T1及び第2の端子T2を含むことができる。電池パック(及び/又は電池セル202aの障害状態の間の電池管理システム240)の正常動作状態の間、トランジスタ241は、(遮断器203への電流の通過を遮断するように)オフであってもよく、スイッチ242は、電池セル202aを電流が通過できるように、開放されていてもよい。電池管理システム240が過電流状態又は過温度状態を検出した場合、電池管理システム240は、トランジスタ241をオンに切り替えることができ、図15Aに関連して上述したように遮断器203を動作させることができる。しかし、電池管理システム240及び/又はトランジスタ241が誤動作した場合(トランジスタ241を電流が通過しないような場合)、セル202aの過電流状態によりスイッチ242の温度が上昇し、第1の端子T1が第2の端子T2に電気的に接続されるように、スイッチ242が開放状態から図15Bに示す閉鎖状態に逆転する場合がある。電流Iは、図15Bに図示されているように、T1及びT2を通り、第3の放電抵抗器205cを通り、別のセル(図示せず)に至る経路Pに沿って通過してもよい。したがって、図15Bに示す遮断器243は、電池管理システム240及び/又はトランジスタ241に障害が発生した場合であっても、障害状態においてセル202aの周囲に別個の冗長バイパス経路を提供することができる。有利には、図15Bの遮断器243は、冗長回路保護を提供するために、電池管理システム240及びトランジスタ241とは独立して動作することができる。
【0089】
B.電池セルホットスワップ用回路遮断器
本明細書に開示された種々の実施形態は、電池セルがホットスワップされているとき、例えば、デバイスの動作中に(例えば、デバイスをシャットダウンすることなく)電池セルを交換するときに、過電流状態及び/又は過温度状態を管理するためにも使用することができる。図16は、種々の実施形態による、電池セル302のホットスワップ中の過電流状態を管理するための遮断器303を組み込んだ電気デバイス300の概略システム図である。別段明記しない限り、図16の構成要素は、図15A図15Bの参照数字を相対的に100ずつ増分された参照数字を有する、図15A図15Bの同じ番号の構成要素と同じであってもよく、概して類似してもよい。
【0090】
例えば、電気デバイス300は、電気自動車、電動自転車、電動工具などの電気システムに電力を供給するために、複数の電池セルを直列に配置して構成された電池パックを含むことができる。図16には、1つのセル302のみが示されているが、上述したように、任意の適切な数の電池セルを提供することができる。電池管理システム340は、電池パックのセルの充電状態を管理するように構成することができる。更に、セルバランシング回路344は、セル302の充電を均衡させるために、電池管理システム340に接続することができる。
【0091】
種々の態様において、電池セル302は、システムがオン又は作動している間、デバイス300に電気的に接続されてもよい。例えば、デバイス300の製造中に(例えば、デバイスの接続段階中に)、電池セル300をデバイス内に挿入し、デバイス構成要素を作動させてもよい。製造中又は組立中にデバイスが作動すると、電池管理システム340及びバランシング回路344につながる配線に沿って、初期電流Iの突発的な突入が生じる場合がある。同様に、セル302がデバイス300の動作中に交換又はスワップされた場合、同様に、バランシング回路344及び電池管理システム340に電流Iが突入する可能性がある。このような電流の突入は、バランシング回路344、電池管理システム340、及び/又はデバイス300の他の構成要素を損傷させる可能性がある。
【0092】
したがって、図16の実施形態では、遮断器303は、電池セル302のホットスワップ中に発生し得る電流の初期突入から保護するために提供することができる。遮断器303は、セル302と電池管理システム340及びバランシング回路344との間の電気経路に沿って、抵抗器305と並列に常開スイッチ304を含むことができる。上述の実施形態と同様に、スイッチ304は、熱作動機械的スイッチ又は電気作動機械的スイッチ、例えば、要素の温度が所定の閾値を超えたときに位置を逆転させることができるドーム型バイメタル要素などのバイメタル要素を含むことができる。抵抗器305は、任意の適切な種類の抵抗器を含むことができる。一部の実施形態では、抵抗器305は、PTC抵抗器を含まなくてもよい。他の実施形態では、抵抗器305は、PTC抵抗器を含んでもよい。
【0093】
図16の実施形態では、スイッチ304は、図16に示すように、初期に開放構成にある。製造中又は使用中に(例えば、セルの接続段階に)セル302がデバイス300にホットスワップされると、図16に示すように、電流Iの突入が抵抗器305を通過する場合がある。スイッチ304(例えば、熱作動スイッチ)は、電流Iが抵抗器305を通過すると、抵抗器305の温度が上昇するように、抵抗器305に熱的に接続されてもよい(例えば、抵抗器305に包装されていてもよく、及び/又は抵抗器305と接触してもよい)。したがって、電池管理システム340及び/又はバランシング回路344に通過する電流を低下させるため、電流Iの初期突入は、抵抗器305によって大幅に低減され、電流Iの初期突入の間、電池管理システム340及びバランシング回路344への損傷を緩和又は防止することができる。
【0094】
スイッチ304及び/若しくは抵抗器305の温度(並びに/又は抵抗器305を通る電流)が所定の閾値を超えると、スイッチ304は、第1の端子T1が第2の端子T2に電気的に接続され、それによって、(例えば、動作構成中)抵抗器305を迂回するような閉鎖接続に切り替えることができる。抵抗器305は、比較的短い期間(例えば、ミリ秒のオーダー)であり得る突入電流の期間中、バランシング回路344及び/又は電池管理システム340を損傷しないレベルまで電流Iの突入を低減するのに十分な抵抗特性を有するように選択することができる。したがって、スイッチ304が第1及び第2の端子T1、T2を接続するために閉鎖位置に移動するとき、回路を通過する電流は、バランシング回路344及び/又は電池管理システム340によって収容され得るレベルであってもよい。(例えば、抵抗器305が突入電流Iを十分に減少させた後の)より低い電流は、閉鎖されたスイッチ304を通過して、電池管理システム340及び/又はバランシング回路344に入ることができる。
【0095】
一部の実施形態では、スイッチ304は、スイッチ304が閉鎖構成に移行した後、図16に示す開放構成に自動的に戻らないように構成されるような非自己復帰型であってもよい。例えば、一部の電気システム(電気自動車又は電気通信システムの電池など)では、抵抗器305が電池管理システム340に提供される電流を減少させるか、又は遮断するので、スイッチ304が再び開放されないようにすることが好ましい場合がある。そのような実施形態では、例えば、抵抗器305は、PTC抵抗器を含まなくてもよい。一部の実施形態では、スイッチ304は手動自己復帰型であってもよい。例えば、セル302を交換する前に、ボタン及び/又は機械的リンケージをデバイス300上に設けることができ、その結果、ユーザが手動でスイッチ304を例えば開放位置にリセットすることができる。まだ他の実施形態では、抵抗器305は、PTC抵抗器を含むことができ、これにより、スイッチ304を一部のアプリケーションに対して自動自己復帰型にすることができる。
【0096】
したがって、図16に開示された実施形態は、セル302がホットスワップされたときに、バランシング回路344及び/又は電池管理システム340の損傷を防止するために有益に使用することができる。一部の実施形態では、スイッチ304は、非自己復帰型であってもよく、遮断器303のPTC抵抗器305を含まなくてもよい。そのような実施形態はまた、製造者が突入電流を処理するための解決策を手動設計する必要性を省略するために、デバイス300の製造プロセスを簡素化することができる。
【0097】
C.遮断器の追加の実施例
図17図18Bは、遮断器又はヒューズの追加の実施例を示す図である。図17は、本明細書に開示された遮断器の種々の実施形態を組み込むことができるヒューズデバイス400の概略システム図である。別段明記しない限り、図17の構成要素は、図16の参照数字を相対的に100だけ増分された参照数字を有する、図16の同じ番号の構成要素と同じであってもよく、概して類似してもよい。ヒューズデバイス400は、電池パック及び/又は電池管理システムなどの過電流及び/又は過温度保護のための外部デバイスに電気的に接続するように構成された第1及び第2のI/Oピンp及びpを含むことができる。ヒューズデバイス400は、第2のピンpとトランジスタ441との間に、並列に配置された抵抗器RとコンデンサCと電気的に通信するトランジスタ441を含むことができる。トランジスタ441は、任意の適切な種類のトランジスタ、例えば、図17に示すようなnチャネルMOSFETトランジスタ、又は絶縁ゲートバイポーラトランジスタ(IGBT)、MOSFET、バイポーラ接合トランジスタ(BJT)などを含むことができる。また、トランジスタ441のゲートGの動作を制御するゲートドライバ回路448を設けることができる。より大きな電気システムの正常動作の間、トランジスタ441は、ヒューズデバイス400を介して電流が流れないように、例えばゲートドライバ
回路448によって、オフ位置に配置されてもよい。
【0098】
ヒューズデバイス400はまた、遮断器403を含むことができる。遮断器403は、スイッチ404を含むことができ、これは、本明細書に記載されたスイッチと同様の電気作動機械的スイッチ又は熱作動機械的スイッチであってもよい。上述したように、例えば、スイッチ404は、ドーム型バイメタル要素などのバイメタル要素を含むことができる。スイッチ404は、一部の実施形態では、第1の端子T1、第2の端子T2、及び第3の端子T3を有する3端子スイッチを含むことができる。他の実施形態では、スイッチ404は、2端子スイッチを含むことができる。種々の実施形態において、出力端子Toutは、デバイスの正常動作中に負荷Lに電気的に接続するために設けることができる。図示された実施形態では、スイッチ404は、より大きな電気デバイスの正常動作中(例えば、トランジスタ441がオフのとき)にT1がT3に電気的に接続された常閉スイッチを含むことができる。また、遮断器403は、第3の端子T3に直列に接続された抵抗器405を含むことができる。一部の実施形態では、抵抗器405は、PTC抵抗器を含まなくてもよい。他の実施形態では、抵抗器405は、PTC抵抗器を含んでもよい。図示された実施形態では、第3の端子T3は、遮断器403の抵抗器405及びトランジスタ441のドレインDに電気的に接続することができる。正常動作の間、電流Iは、第1の端子T1と第3の端子T3との間を通過することができ、出力端子Toutを介して負荷Lに接続することができる。
【0099】
トランジスタ441は、ヒューズ400に接続された外部の電気デバイス、例えば電池管理システム(図示せず)によってオンにすることができる。トランジスタ441が例えば電池管理システムによってオンにされると、より大きな外部電気デバイスの一部を迂回するために、電流がヒューズデバイス400を通って流れることができ、その結果、電流は、トランジスタ441、抵抗器405、及び閉鎖スイッチ404を通って流れる。抵抗器405の温度が所定の閾値を超えると、スイッチ404は端子T2に移動し、例えば開放構成又は障害構成となる。このような配置では、ヒューズ400は、開放されたままとすることができ、非自己復帰型(又は、例えばボタンを介した手動自己復帰型)であってもよい。しかしながら、他の配置では、ヒューズ400は、自動自己復帰型又は手動自己復帰型であってもよい。そのような実施形態では、ヒューズ400は、より大きな電気デバイスが、トリップしたときにシャットダウンするか、又は動作電力を減少させることができ、例えば、電源又は電池は、トリップ時に迂回されてもよい。
【0100】
図18Aは、種々の実施形態による、正常動作状態で示された抵抗器505と直列のサイリスタ556を組み込んだ遮断器503の概略回路図である。図18Bは、図18Aの遮断器503の障害状態を示す回路図である。別段明記しない限り、図18A図18Bの構成要素は、参照数字が500で始まる図1図17に図示された構成要素と類似してもよい。上述したように、スイッチ504は、バイメタルスイッチング要素、例えば、一部の実施形態ではドーム型スイッチング要素を含むことができる。抵抗器505は、任意の適切な種類の抵抗器を含むことができる。一部の実施形態では、抵抗器505は、PTC抵抗器を含むことができる。他の実施形態では、抵抗器505は、PTC抵抗器を含まなくてもよい。
【0101】
サイリスタ556は、例えば、TISP(登録商標)サイリスタサージプロテクタ(Bourns,Inc.製、カリフォルニア州リバーサイド)を含む、任意の適切なサイリスタサージ保護デバイスとすることができる。図18Aに示すサイリスタ556(例えば、正常動作状態)は、サイリスタ556を横切る電圧が所定の電圧閾値未満であるときに開放状態になるように構成することができる。したがって、図18Aでは、正常状態では、第1の端子T1は第2の端子T2に接続することができ、電流Iは、スイッチ504と端子T1、T2を通過することができる。図18Aでは、サイリスタ556は開放状態
にあるため、サイリスタ556又は抵抗器505を電流が通過することはない。遮断器503が接続されている電池セルが過充電になった場合、サイリスタ556は、(例えば、所定の閾値を超える電圧に基づいて)過充電を検出して、サイリスタ556と抵抗器505とを電流が通過する閉鎖状態に移行することができる。
【0102】
電流が抵抗器505及び/又はスイッチ504の温度を十分に高温に上昇させる場合、スイッチ504は、図18Bに示すように、第1の端子T1を第3の端子T3に接続するように逆転又は反転させることができる。図18Bでは、電流Iは、第1及び第3の端子T1、T3を介してスイッチ504に沿った第2の電流Iの経路と、サイリスタ556及び抵抗器505を介した第3の電流Iの経路とに分割することができる。一部の実施形態では、上述したように、電流の大部分は第2の電流Iの経路に沿って通過することができ、電流の少数は第3の電流Iの経路に沿って通過することができる。遮断器503は、上述したように、抵抗器505の温度が別の閾値以下に低下した場合に、スイッチ504が第1の端子T1を第2の端子T2に接続するために正常動作状態に戻るように、自己復帰型遮断器を含むことができる。
【0103】
種々の実施形態では、2端子の常閉遮断器(これは、PTC抵抗器を含んでもよく、含まなくてもよい)は、その2つの端子のうちの1つをセルの端子又は電極のうちの1つと物理的及び電気的に接触させた状態で使用することができ、他方の遮断器端子は、熱監視のためにBMSラインに接続されたライン又はワイヤに接続することができる。このような構成では、特定のセルの温度が遮断器のトリップ温度を超える場合、当該セルのBMS熱監視ラインでは開放回路が発生し、当該セルが接続された遮断器のトリップ温度を超えたと解釈するようにBMSをプログラムすることができる。遮断器は、開放されているときには冷却され、閉鎖されているときには加熱されるように、間欠的に開閉するように構成されてもよい。有益には、本実施形態では、遮断器は、より高価で潜在的に大きい熱監視デバイス、例えば、PTCの代わりになるか、又は代替することができる。
【0104】
本発明は、特定の実施形態及び実施例の文脈で開示されてきたが、本発明は、具体的に開示された実施形態を超えて、本発明の他の代替的な実施形態及び/又は用途、並びにそれらの明白な修正例及び同等物にまで及ぶことが、当業者によって理解されるであろう。更に、本発明の一部の変形例が示され、詳細に記載されているが、本発明の範囲内にある他の修正例は、本開示に基づいて当該技術分野の当業者には容易に明らかになるであろう。また、実施形態の特定の特徴及び態様の種々の組み合わせ又はサブ組み合わせがなされてもよく、それでも本発明の範囲内に収まることが企図される。開示された実施形態の種々の特徴及び態様は、開示された本発明の種々の態様を形成するために、互いに結合され、又は置換され得ることが理解されるべきである。したがって、本明細書に開示された本発明の範囲は、上述した特定の開示された実施形態によって限定されるべきではなく、後続の特許請求の範囲を公正に読みとることによってのみ決定されるべきであることが意図される。
図1
図2
図3
図4
図5
図6A
図6B
図6C
図6D
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13A
図13B
図14
図15A
図15B
図16
図17
図18