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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-01-30
(45)【発行日】2023-02-07
(54)【発明の名称】変速機ケース
(51)【国際特許分類】
   F16H 57/02 20120101AFI20230131BHJP
   F16H 61/00 20060101ALI20230131BHJP
【FI】
F16H57/02
F16H61/00
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2021555958
(86)(22)【出願日】2020-10-19
(86)【国際出願番号】 JP2020039219
(87)【国際公開番号】W WO2021095445
(87)【国際公開日】2021-05-20
【審査請求日】2022-01-05
(31)【優先権主張番号】P 2019204205
(32)【優先日】2019-11-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000231350
【氏名又は名称】ジヤトコ株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000003997
【氏名又は名称】日産自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002468
【氏名又は名称】弁理士法人後藤特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 務
(72)【発明者】
【氏名】中田 綾
【審査官】稲村 正義
(56)【参考文献】
【文献】実開平3-73754(JP,U)
【文献】特開平10-227352(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16H 57/02
F16H 61/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
組付部材の格納領域を内部に有する変速機ケースであって、
前記格納領域に開口する第1開口部と、
前記格納領域に設けられていると共に、前記第1開口部の開口方向から挿入された前記組付部材が着座する着座部と、
前記組付部材が前記第1開口部に前記開口方向から挿入された際に、前記組付部材の前記着座部との対向部を視認可能にする鏡面部と、を有する変速機ケース。
【請求項2】
前記格納領域は、前記第1開口部の前記開口方向と交差する方向に開口する第2開口部をさらに有しており、
前記第2開口部の開口方向から見て、前記鏡面部は前記第2開口部と重なる領域に設けられている請求項1に記載の変速機ケース。
【請求項3】
前記鏡面部は、前記着座部の着座面に設けられている請求項2に記載の変速機ケース。
【請求項4】
前記着座部には位置決めピンが設けられており、
前記対向部には前記位置決めピンが嵌合する嵌合穴が形成されている請求項1~3のいずれか1に記載の変速機ケース。
【請求項5】
前記組付部材はコントロールバルブユニットであり、
前記格納領域は、変速機ケースのバルブ収容室である請求項1~4のいずれか1に記載の変速機ケース。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、変速機ケースに関する。
【背景技術】
【0002】
JP10-227352Aには、変速機ケースの所定位置に組み付けられるコントロールバルブアッシーが開示されている。
【発明の概要】
【0003】
コントロールバルブアッシーの変速機ケースへの組み付けは、コントロールバルブアッシーを変速機ケースの所定位置に着座させることで行われる。
作業者は、コントロールバルブアッシーを両手で把持した状態で、目視により所定位置に着座させる。
しかしながら、変速機ケースやコントロールバルブアッシーの形状によっては、着座部分が作業者の死角に位置することがある。作業者は目視ができない状況で作業をすることになり、作業効率が低下する。
【0004】
そこで、着座部分が作業者の死角に位置している状態でも、作業効率が低下しないようにすることが求められている。
【0005】
本発明のある態様によれば、組付部材の格納領域を内部に有する変速機ケースは、前記格納領域に開口する第1開口部と、前記格納領域に設けられていると共に、前記第1開口部の開口方向から挿入された前記組付部材が着座する着座部と、前記組付部材が前記第1開口部に前記開口方向から挿入された際に、前記組付部材の前記着座部との対向部を視認可能にする鏡面部と、を有する。
【0006】
上記態様によれば、着座部分が死角に位置している状態でも、作業効率が低下しないようにすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1A図1Aは、変速機ケースをコンバータハウジング側からみた図である。
図1B図1Bは、図1AのB領域を拡大して示した斜視図である。
図2図2は、図1Aにおける変速機ケースをII-II矢視方向からみた斜視図である。
図3A図3Aは、図2における変速機ケース2を面Aで切断した切断面の模式図である。
図3B図3Bは、図3AにおけるIIIb-IIIb断面の模式図である。
図4A図4Aは、コントロールバルブユニットを変速機ケースへ組み付ける過程を説明する図であり、コントロールバルブユニットの組み付け方向を示している。
図4B図4Bは、連通孔から第2着座部を見た図である。
図5A図5Aは、コントロールバルブユニットを変速機ケースへ組み付ける過程を説明する図であり、連通孔から第2着座部を覗いた状態を示している。
図5B図5Bは、コントロールバルブユニットの着座過程を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本実施形態を、車両用の無段変速機1の変速機ケース2に適用した場合を例に挙げて説明する。
図1A図1Bは、変速機ケース2を説明する図である。図1Aは、変速機ケース2をコンバータハウジング側からみた図である。図1Bは、図1AのB領域を拡大して示した斜視図である。
なお、図1Aでは、見易くするために、連通孔235が設けられた領域にハッチングを付してある。図1A図1Bでは、説明の便宜上、変速機ケース2は、バルブ収容室R2を鉛直線VL方向上側に向けた状態で示してある。以下の説明では、上下方向とは、図1の変速機ケース2における上、下を意味するものとする。
図2は、変速機ケース2を説明する図であり、図1Aにおける変速機ケース2をII-II矢視方向から見た斜視図である。
なお、図2では、コントロールバルブユニット3を仮想線で示していると共に、鏡面加工が施された領域にハッチングを付してある。また、位置決めピンPは省略してある。
図3A図3Bは、変速機ケース2を説明する図である。図3Aは、図2における変速機ケース2を面Aで切断した切断面の模式図である。図3Bは、図3AにおけるIIIb-IIIb断面の模式図である。
なお、図3Aでは、着座部4を誇張して示している。また、説明の便宜上、コントロールバルブユニット3の油路35、35と変速機ケース2の油路25、25を断面で示している。図3Bでは、着座部5を誇張して示している。
【0009】
[変速機ケース2]
図1Aに示すように、変速機ケース2は、内部空間に中間壁部23を有している。中間壁部23は、無段変速機1のトルクコンバータ(図示せず)の回転軸X1と交差している。中間壁部23の外周縁は、全周に亘って外周壁20によって囲まれている。
【0010】
変速機ケース2における中間壁部23と外周壁20とで囲まれた空間R1には、前後進切替機構(図示せず)や、ファイナルギア(図示せず)が収容されている。
【0011】
[バルブ収容室S3]
図1Aに示すように、鉛直線VL方向における変速機ケース2の上側には、バルブ収容室R2が設けられている。バルブ収容室R2には、後記するコントロールバルブユニット3(図2における仮想線参照)が収容される。
【0012】
図1Aに示すように、バルブ収容室R2は、外周壁20から鉛直線VL方向上向きに延びる周壁部21で囲まれた領域である。
図2に示すように、バルブ収容室R2は、鉛直線VL方向上向きに開口した開口部250を有している。外周壁20のうち、周壁部21で囲まれた領域がバルブ収容室R2の底壁部22となっている。底壁部22は、鉛直線VLに交差していると共に、鉛直線VL方向における開口部250から離れる方向に窪んだ凹形状を成している(図3A参照)。
【0013】
ここで、図1A図1Bに示すように、回転軸X1方向から見て、バルブ収容室R2の一部は、空間R1とオーバーラップしている。中間壁部23は、バルブ収容室R2と空間R1とがオーバーラップする領域に貫通孔235が形成されている。
【0014】
貫通孔235は、中間壁部23を回転軸X1方向に貫通しており、空間R1とバルブ収容室R2と連通している(以下の説明では、貫通孔235を連通孔235と標記する)。空間R1において、連通孔235は、開口部250の開口方向(鉛直線VL方向)と直交する方向(回転軸X1方向)に開口している。
なお、詳細は後記するが、連通孔235は、作業者が回転軸X1方向からバルブ収容室R2側を覗くことができる程度の開口面積を有している。
【0015】
図2に示すように、周壁部21は、回転軸X1方向に沿う短壁部211、212と、これら短壁部211、212の端部同士を接続する長壁部213、214とから構成されている。これら短壁部211、212と長壁部213、214は、開口部250を囲むように設けられている。
【0016】
図2図3Aに示すように、バルブ収容室R2には、後記するコントロールバルブユニット3が着座する着座部4が設けられている。着座部4は、バルブ収容室R2の底壁部22から鉛直線VL方向上向きに延びている。
【0017】
本実施形態では、着座部4は、短壁部211近傍に設けられた第1着座部41と、長壁部214近傍に設けられた第2着座部42と、長壁部213近傍に設けられた第3着座部43と、から構成されており、3カ所でコントロールバルブユニット3を支持するようになっている(図2参照)。
【0018】
第1着座部41、第2着座部42、第3着座部43のそれぞれ着座面41a、42a、43aは、鉛直線VL方向に直交する平坦面である。
【0019】
着座面41a、42a、43aは、全面に亘って鏡面加工が施されている(図2におけるハッチング部参照。以下、鏡面加工が施された領域を鏡面部Mとも表記する)。
ここで、従来の着座面は、フライス加工によって所定の平面度を有するように形成される。本実施形態のように着座面に鏡面加工を施す場合、フライス加工は不要である。鏡面加工を施すことで、フライス加工よりも高い平面度の着座面が得られるからである。
なお、着座面41a、42a、43aの全てに鏡面加工をする必要はない。詳細は後記するが、少なくとも着座面42aが鏡面加工されていれば良い。
【0020】
着座面41a、42a、43aには、ボルト穴41b、42b、43bがそれぞれ開口している。これらボルト穴41b、42b、43bは、コントロールバルブユニット3の外形に沿って複数個設けられている。
【0021】
回転軸X1方向から見て、第3着座部43の一部と、第2着座部42は、連通孔235と重なる領域に設けられている。第2着座部42の着座面42aは、鉛直線VL方向における連通孔235の上縁235aよりも下側に位置している(図1A図1B参照)。
【0022】
図3Aに示すように、第2着座部42の着座面42aには、ボルト穴42bの他にピン穴42cが開口している。ピン穴42cには、位置決めピンPが挿入されている。位置決めピンPは、当該位置決めピンPの中心線C1が、鉛直線VLに平行になるようにピン穴42cに挿入されている。
【0023】
バルブ収容室R2の底壁部22には油路25、25が設けられている(図2参照)。
図3Aに示すように、油路25、25は鉛直線VL方向で底壁部22から離れる方向に延びている。油路25、25は、変速機ケース2内の図示しない油室と連通している。油路25、25には、それぞれシール材Ca、Caが内嵌されている。これらシール材Ca、Caは、油路25、25の先端25a、25aよりも上側に突出している。
【0024】
[コントロールバルブユニット3]
コントロールバルブユニット3は、バルブ収容室R2の開口部250の開口形状と略整合する外形を有している(図2参照)。コントロールバルブユニット3は、第1着座部41と第2着座部42と第3着座部43とに跨って支持されている。コントロールバルブユニット3は、油路25、25の上側を鉛直線VLに直交する方向に横切って設けられている(図3A参照)。
【0025】
図3Aに示すように、コントロールバルブユニット3は、アッパーバルブ31とロアバルブ32とを重ね合わせて構成されている。アッパーバルブ31とロアバルブ32との間にはセパレートプレート(図示せず)が設けられている。アッパーバルブ31とロアバルブ32は内部にそれぞれ油路(図示せず)が形成されており、セパレートプレートと合わせて油圧制御回路を構成している。
【0026】
コントロールバルブユニット3は、アッパーバルブ31とロアバルブ32の重ね合わせ方向を鉛直線VL方向に沿わせた状態で、アッパーバルブ31を下向きにしてバルブ収容室R2に収容されている。前記した着座部4には、アッパーバルブ31の下面310が着座するようになっている。この状態において、下面310は、鉛直線VL方向で底壁部22と間隔を空けて対向している。
【0027】
図3Bに示すように、アッパーバルブ31の下面310には、前記した着座部4(第1着座部41、第2着座部42、第3着座部43)と鉛直線VL方向で対向する着座部5(第1着座部51、第2着座部52、第3着座部53)が設けられている。着座部5は、アッパーバルブ31の下面310から僅かに突出している。
【0028】
第1着座部51、第2着座部52、第3着座部53のそれぞれの着座面51a、52a、53aは、鉛直線VL方向に直交する平坦面となっている。
【0029】
図3Bに示すように、着座面51a、52a、53aには、貫通孔51b、52b、53bがそれぞれ開口している。これら貫通孔51b、52b、53bは、前記したボルト穴41b、42b、43bに対応する位置に設けられている。貫通孔51b、52b、53bは、鉛直線VL方向でコントロールバルブユニット3を貫通している(図3A参照)。
【0030】
ここで、鉛直線VL方向で第2着座部42に対向する第2着座部52において、当該第2着座部52の着座面52aには、前記した位置決めピンPが嵌合する嵌合穴52cが開口している(図3A図3B参照)。
【0031】
図3A図3Bに示すように、アッパーバルブ31の下面310には、油路35、35が設けられている。油路35、35は、コントロールバルブユニット3内の油圧制御回路に接続されている。油路35、35は、鉛直線VL方向下向きに延びている。油路35、35は、鉛直線VL方向における底壁部22から延びる油路25、25に対応する位置に設けられている。
【0032】
図3Aに示すように、コントロールバルブユニット3は、貫通孔51b、52b、53bにボルトBを挿入すると共に、ボルトBを着座部4のボルト穴41b、42b、43bに螺入することで着座部4に固定されている。この状態において、嵌合穴52cの中心線は、位置決めピンPの中心線C1と一致している。油路35、35は、シール材Ca、Caを介して前記した油路25、25とそれぞれ接続している。
【0033】
[組み付け]
図4A図4Bは、コントロールバルブユニット3を変速機ケース2へ組み付ける過程を説明する図である。図4Aは、コントロールバルブユニット3の組み付け方向を示す図である。図4Bは、連通孔235から第2着座部42を見た図である。
図5A図5Bは、コントロールバルブユニット3を変速機ケース2へ組み付ける過程を説明する図である。図5Aは、連通孔235から第2着座部42を覗いた状態を示す図である。図5Bは、コントロールバルブユニット3の着座過程を説明する図である。
【0034】
図4Aに示すように、作業者は、コントロールバルブユニット3を両手で把持した状態で、コントロールバルブユニット3を鉛直線VL方向に沿って開口部250から挿入して、バルブ収容室R2に収容する(図中、矢印方向)。
【0035】
作業者は、まずコントロールバルブユニット3の第2着座部52の嵌合穴52c(図5A参照)を、位置決めピンPに嵌合させる。
【0036】
ここで、コントロールバルブユニット3を鉛直線VL方向上側から見ると、嵌合穴52cは、作業者の死角に位置している。また、前記した通り、コントロールバルブユニット3は開口部250の形状と略整合する外形を有している(図2参照)。
従って、作業者は、開口部250における周壁部21とコントロールバルブユニット3の隙間などから嵌合穴52cを視認することはできない。つまり、開口部250側からは嵌合穴52cを視認することはできない。
【0037】
作業者は、連通孔235を通して、回転軸X1方向における空間R1側からバルブ収容室R2の第2着座部42の着座面42aを覗くことができる(図4B参照)。
着座面42aは鏡面加工が施された鏡面部Mでもあるため、コントロールバルブユニット3を着座部4に接近させると、コントロールバルブユニット3側の第2着座部52(嵌合穴52c)が、着座面42a(鏡面部M)に映る。
作業者は、連通孔235から鏡面部Mに映った嵌合穴52cの鏡像52c'(図5A参照)を視認することができる。
【0038】
例えば、図5Aに示すように、コントロールバルブユニット3を着座部4に接近させた際、嵌合穴52cの中心線C2が、位置決めピンPの中心線C1からずれることがある。この場合において、作業者は鏡像52c'を視認することで、嵌合穴52cが位置決めピンPからずれていることを把握できる。
【0039】
作業者は、鏡像52c'を見ながら、嵌合穴52cの中心線C2が位置決めピンPの中心線C1に一致する方向に動かして、嵌合穴52cに位置決めピンPを嵌合させることができる。
【0040】
図5Bに示すように、嵌合穴52cに位置決めピンPを嵌合させた状態において、コントロールバルブユニット3の油路35、35は、油路25、25のシール材Ca、Caと鉛直線VL方向で所定間隔CL1を空けてそれぞれ対向している。また、コントロールバルブユニット3の着座部5は、変速機ケース2の着座部4と鉛直線VL方向で所定間隔CL2を空けて対向している。
この場合において、油路35とシール材Caとの間隔CL1は、着座部5(着座面51a、52a、53a)と着座部4(着座面41a、42a、43a)との間隔CL2よりも短くなるように設定されている(CL1<CL2)。
【0041】
この状態において、コントロールバルブユニット3は、中心線C1回りに回転可能である。しかしながら、前記した通りコントロールバルブユニット3は、開口部250の形状と略整合する外形を有しているため、中心線C1周りの周方向で大きく着座位置がずれることはない。
【0042】
嵌合穴52cを位置決めピンPに嵌合させた状態で、さらにコントロールバルブユニット3を下側に移動させると、コントロールバルブユニット3の油路35、35が、シール材Ca、Caを介して油路25、25とそれぞれ接続される。そのあと、着座部5(着座面51a、52a、53a)と、着座部4(着座面41a、42a、43a)とがそれぞれ当接して着座が完了する。
【0043】
着座完了後に、ボルトBを貫通孔51b、52b、53bに挿入すると共に、ボルト穴41b、42b、43bにそれぞれ螺入して、コントロールバルブユニット3を着座部4に固定することで、コントロールバルブユニット3のバルブ収容室R2への収容は完了する(図3A参照)。
【0044】
本実施形態にかかる変速機ケース2は、以下の構成を有している。
(1)変速機ケース2は、コントロールバルブユニット3(組付部材)のバルブ収容室R2(格納領域)を内部に有する。
バルブ収容室R2には、開口部250(第1開口部)が開口している。
バルブ収容室R2には、開口部250の開口方向から挿入されたコントロールバルブユニット3が着座する着座部4が設けられている。
バルブ収容室R2には、コントロールバルブユニット3が開口部250の開口方向から挿入された際に、コントロールバルブユニット3の着座部5(着座部4との対向部)を視認可能にする鏡面部Mが設けられている。
【0045】
このように構成すると、着座部5が作業者の死角に位置している状態でも、作業者は鏡面部Mに映し出された着座部5を視認しながら作業ができる。
よって、作業効率を低下させることなくコントロールバルブユニット3を変速機ケース2に組み付けることができる。
【0046】
本実施形態にかかる変速機ケース2は、以下の構成を有している。
(2)バルブ収容室R2は、開口部250の開口方向と交差する回転軸X1方向に開口する連通孔235(第2開口部)をさらに有している。
連通孔235の開口方向から見て、鏡面部Mは連通孔235と重なる領域に設けられた第2着座部42の着座面42aに設けられている。
【0047】
このように構成すると、着座面42aに映し出された着座部5を連通孔235から視認できる。よって、開口部250の開口方向から見たときに、着座部5が作業者の死角に位置し、さらに開口部250から着座部5を見ることができない場合でも、作業効率を低下させることなくコントロールバルブユニット3を変速機ケース2に組み付けることができる。
また、第2着座部42の着座面42aに鏡面加工を施すことで、従来のフライス加工よりも平面度の高い着座面42aが得られる。よって、従来のフライス加工を省略することができるので、工程集約が可能になる。
【0048】
本実施形態にかかる変速機ケース2は、以下の構成を有している。
(3)第2着座部42には、位置決めピンPが設けられている。
コントロールバルブユニット3の第2着座部52には位置決めピンPに嵌合する嵌合穴52cが形成されている。
【0049】
このように構成すると、作業者は、鏡面部Mに映った嵌合穴52cの鏡像52c'から、嵌合穴52cと位置決めピンPの位置関係がわかるので、嵌合穴52cに位置決めピンPを嵌合させることができる。
【0050】
本実施形態では、位置決めピンPが第2着座部42にのみ設けられたものを例示したが、これに限定されない。位置決めピンPは、第2着座部42の他に第1着座部41、第3着座部43に設けられていても良い。これにより、中心線C1周りの周方向におけるコントロールバルブユニット3の位置決めをすることができる。
また、第2着座部42の着座面42aを鏡面部Mにした場合を例示したが、これに限定されない。作業者が連通孔235から視認できる範囲であれば、バルブ収容室R2の任意の領域を鏡面部Mにしても良い。例えば周壁部21において、回転軸X1方向における第2着座部42を挟んだ連通孔235と反対の側面(長壁部214:図2参照)を鏡面部Mにしても良い。
【0051】
本実施形態では、コントロールバルブユニット3の変速機ケース2への組み付けを例示したが、これに限定されない。例えば、ATCUを変速機ケース2のオイルポンプ収容室に組み付ける場合において、当該オイルポンプ収容室にATCUの着座面を映す鏡面部Mを設けても良い。
【0052】
本実施形態にかかる発明は、上記した実施形態に限定されるものではなく、その技術的思想の範囲内でなしうる様々な変更、改良が含まれる。
【0053】
本願は、2019年11月11日付けで日本国特許庁に出願した特願2019-204205号に基づく優先権を主張し、その出願の全ての内容は、参照により本明細書に組み込まれる。
図1A
図1B
図2
図3A
図3B
図4A
図4B
図5A
図5B