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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-01-30
(45)【発行日】2023-02-07
(54)【発明の名称】電気モータ用の本体
(51)【国際特許分類】
   H02K 5/04 20060101AFI20230131BHJP
   H02K 11/30 20160101ALI20230131BHJP
【FI】
H02K5/04
H02K11/30
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2021572702
(86)(22)【出願日】2020-02-21
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-04-20
(86)【国際出願番号】 EP2020054660
(87)【国際公開番号】W WO2020169821
(87)【国際公開日】2020-08-27
【審査請求日】2021-08-23
(31)【優先権主張番号】102019104557.6
(32)【優先日】2019-02-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】521375195
【氏名又は名称】メタボヴェルケ ゲーエムベーハー
【氏名又は名称原語表記】Metabowerke GmbH
【住所又は居所原語表記】Metabo-Allee 1 72622 Nuertingen Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100106220
【弁理士】
【氏名又は名称】大竹 正悟
(72)【発明者】
【氏名】フライシュマン,ベルント
(72)【発明者】
【氏名】シュモール,ミヒャエル
(72)【発明者】
【氏名】バウアー,シュテファン
(72)【発明者】
【氏名】フレーテ,エンリコ
(72)【発明者】
【氏名】ヒラ―,マティアス
(72)【発明者】
【氏名】ウィ―ズナー,ベルント
(72)【発明者】
【氏名】シュテンツェル,トーマス
【審査官】島倉 理
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-193572(JP,A)
【文献】特開2013-207824(JP,A)
【文献】特開平10-243597(JP,A)
【文献】特開2008-187755(JP,A)
【文献】特開2018-117105(JP,A)
【文献】特開平10-127007(JP,A)
【文献】特開2019-021604(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02K 5/04
H02K 11/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気モータ(2)用の本体(1)であって、
ほぼ円筒状であって、ロータ(5)を収容するためのロータ空間(4)を少なくとも部分的に内側に形成し、巻線(6)を少なくとも部分的にその外側に取り付けることができる外壁(3)と、
前記外壁(3)によって保持される積層コア(7)と、
前記ロータ空間(4)に隣接し、前記電気モータ(2)の印刷回路板(12)または別の構成要素を収容する役割を担う収容空間(9)と、
前記収容空間(9)を前記ロータ空間(4)から分割する仕切壁(10)と、
前記収容空間(9)内の前記電気モータ(2)の前記印刷回路板(12)または前記別の構成要素の位置合わせのための少なくとも1つの位置合わせ装置(13)と、
前記ロータ空間(4)を閉じるカバー(18)のために設けられ、前記外壁(3)の前記仕切壁(10)に対向する前記ロータ空間(4)の側に位置する受け部(17)と、
前記ロータ(5)のための軸受(21)を収容するための前記仕切壁(10)に隣接して、前記収容空間(9)を前記外壁(3)と共に形成する内壁(20)と、を有し、
前記収容空間(9)は、前記外壁(3)と前記内壁(20)との間の周縁窪み(22)によって形成され、前記巻線(6)の相互接続のためのコネクタ線(23)を収容する役割を有することを特徴とする本体(1)。
【請求項2】
前記仕切壁(10)は、ロータシャフト(5b)を通すための開口部(11)を有することを特徴とする、請求項1に記載の本体(1)。
【請求項3】
前記積層コア(7)は、前記外壁(3)から外側に突出して前記巻線(6)を受け止めることができる複数の歯(8)を形成することを特徴とする、請求項1または2に記載の本体(1)。
【請求項4】
前記ロータ(5)を通すための前記仕切壁(10)の前記開口部(11)は、非円形の横断面を有することを特徴とする、請求項2に記載の本体(1)。
【請求項5】
前記電気モータ(2)の前記印刷回路板(12)または前記別の構成要素を支持するための少なくとも2つのウェブ(14)が前記仕切壁(10)に配置されることを特徴とする、請求項1~4の何れか1項に記載の本体(1)。
【請求項6】
前記少なくとも1つの位置合わせ装置(13)は、少なくとも1つの突起(15)を有しており、
前記突起(15)は、前記電気モータ(2)の前記印刷回路板(12)または前記別の構成要素の穴(16)への係合のために、前記複数のウェブ(14)のうちの少なくとも1つに配置されることを特徴とする、請求項5に記載の本体(1)。
【請求項7】
前記外壁(3)は、前記巻線(6)を通すための切欠き(3a)を複数有することを特徴とする、請求項1~6の何れか1項に記載の本体(1)。
【請求項8】
前記ロータ空間(4)を閉じる前記カバー(18)のための前記受け部(17)は、前記外壁(3)の内周上の周縁切欠きとして構成されることを特徴とする、請求項1~7の何れか1項に記載の本体(1)。
【請求項9】
前記ロータ空間(4)を閉じる前記カバー(18)のための前記受け部(17)は、前記カバー(18)の位置合わせのためのスロット(19)を少なくとも1つ有することを特徴とする、請求項1~8の何れか1項に記載の本体(1)。
【請求項10】
位置送信器(24)のための軸方向延長部(25)は、前記仕切壁(10)の前記ロータ空間(4)とは反対の側に設けられることを特徴とする、請求項1~9の何れか1項に記載の本体(1)。
【請求項11】
ロータ(5)と、巻線(6)と、請求項1~10の何れか1項に記載の本体(1)とを有する電気モータ(2)。
【請求項12】
前記電気モータ(2)の前記印刷回路板(12)または前記別の構成要素を固締するための前記少なくとも1つの突起(15)が加締められることを特徴とする、請求項5に記載の本体(1)を有する請求項11に記載の電気モータ(2)。
【請求項13】
前記巻線(6)の前記相互接続を担う複数のコネクタ線(23)は、それぞれのプラグ端子(31)を介してプラグハウジング(32)内に収容され、
前記プラグハウジング(32)は、プラグ受け(33)に接続可能であることを特徴とする、請求項11または12に記載の電気モータ(2)。
【請求項14】
前記プラグハウジング(32)は、スナップ嵌め接続によって前記プラグ受け(33)に接続可能であることを特徴とする、請求項13に記載の電気モータ(2)
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気モータ用の本体及び電気モータに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、ステータとロータとを有するブラシレス電気モータを開示している。それ自体は、公知のように、ステータは、複数の永久磁石を具備したロータがその中で回転できる積層コアを有する。
【0003】
特許文献2は、電気モータ用のステータと、この種のステータの製造方法とを開示している。ここでは、ステータは、相互接続された2つのステータ半体から形成されている。
【0004】
複数の永久磁石を装備したロータを備えたこの種のブラシレス電気モータは、手持ち式電動工具にも一層頻繁に使用されるようになっている。種類の異なる手持ち式電動工具は、電気モータに対する要請が全く異なるので、1つの同じ電気モータを種類の異なる複数の手持ち式電動工具に使用することは、不可能であるか、または少なくとも適切でない。この結果、過去においては、多くの全く異なる電気モータの創作に至っており、前記電気モータの製造コストばかりでなく、開発コストも大幅に増加させている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】独国特許出願公開第10 2007 020 534 A1号
【文献】独国特許出願公開第10 2011 088 518 A1号
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一目的は、電気モータ用の本体であって、異なる目的のために使用される異なる装備の電気モータの場合でも、同様にして使用可能な本体を提供することである。
【0007】
本発明によると、前記目的は、請求項1に記載の特徴によって達成される。
【0008】
本発明による本体は、キットのように構成されるので、その多様な特徴が電気モータに対する極めて多様な要請に適合するため、極めて多岐にわたる使用目的のために使用可能となる。
【0009】
ここで、外壁は、電気モータのロータを収容できるロータ空間を形成する。同時に、外壁は、その外側に巻線を受け止める役割と、ステータの一部を形成する積層コアを固定する役割と、を有する。積層コアは、外壁の材料でオーバーモールドされて前記外壁に一体化されることが好ましい。巻線の相互接続に関しては、星形および三角形の両形状の相互接続、および他の何れかの所望の相互接続を問題なく実現できる。同じことは、本体を具備した電気モータの転流にも当てはまる。この転流は、ブロック転流、サイン転流、磁界方向制御(FOC:field oriented control)として、または別の公知の転流形式として、それ自体は公知のように構成可能である。特に、磁界方向制御によって、本発明による本体を具備する電気モータの効率性を幾分大きく向上させることができる。
【0010】
本発明によると、ロータ空間は、電気モータの印刷回路板または別の構成要素を収容できる収容空間に隣接している。収容空間への電気モータの印刷回路板または別の構成要素の収容は、可能であるだけであり、必ずしも必須ではないことは、言うまでもない。この理由により、(上記のような)本体は、電気モータの極めて多様な実施形態のために使用可能となる。
【0011】
収容空間は、仕切壁によってロータ空間から分けられている。ここで、仕切壁が意味するのは、ロータからの、特に前記ロータ上に配置されている永久磁石からの収容空間に収容可能な印刷回路板の分離である。これにより、印刷回路板は、静電電圧または静電荷から保護される。ここで、収容空間に収容されている印刷回路板または別の構成要素の配置は、収容空間内に位置する位置合わせ装置によって位置合わせ出来るようになっている。
【0012】
特定の用途の場合に、例えば、著しい汚染にさらされる手持ち式電動工具の場合に、ロータ空間を包封する必要があるときに、それに応じてこの種のカバー向けの本発明による受け部にカバーを取り付けることができる。電気モータの汚染、および場合によっては損傷を防止するために、受け部は、外壁の仕切壁に対向するロータ空間の側に配置されている。
【0013】
最終的に、本体へのロータまたはロータシャフトの適切な取り付けを可能にするために、仕切壁に隣接する内壁は軸受の収容を可能にする。
【0014】
したがって、本発明による本体は、極めて多様な種類および設計の電気モータのために汎用的に使用可能となるので、前記本体をそれぞれの要請に特別に適合化できる。本発明による解決策の特定の一利点は、その高い融通性である。その理由は、本体を複数の異なる順次方法ステップによって製造可能となるので、この本体を有する電気モータの所望の実施形態に応じて、特定の方法ステップを省いて、他の方法ステップを実施できるからである。
【0015】
本発明の極めて好適な1つの発展において、仕切壁は、ロータシャフトを通すための開口部を有するようにできる。その結果、ロータに接続されるロータシャフトを極めて簡単に本体に収容でき、場合によっては、前記本体上に取り付けることができる。
【0016】
本発明の極めて好適な別の発展において、積層コアは複数の歯を形成する。これらの歯は、外壁から外側に突出し、巻線を受け止めることができる。外壁から外側に突出する積層コアの複数の歯の結果として、巻線を本体に極めて簡単に取り付けることができる。その結果、本発明による本体を有する電気モータを極めて安価に製造できる。
【0017】
本体内のロータの位置決めを簡素化するために、本発明の更に好適な一改善においては、ロータを通すための仕切壁の開口部が非円形の横断面を有するようにできる。
【0018】
本発明の更なる好適な一改善において、電気モータの印刷回路板または別の構成要素を支持するための少なくとも2つのウェブが仕切壁に配置されると、印刷回路板または別の構成要素を本体上に確実に支持できる。加えて、これらウェブは、印刷回路板の公差補償および仕切壁からの離間を保証する。その結果、複数の電子素子を印刷回路板の両側に取り付けることができる。
【0019】
電気モータの印刷回路板または別の構成要素の極めて簡単な位置合わせがもたらされるのは、少なくとも1つの位置合わせ装置が少なくとも1つの突起を有し、この突起が電気モータの印刷回路板または別の構成要素の開口部への係合のために、少なくとも1つのウェブ上に配置されている場合である。
【0020】
巻線を所望の位置に配置可能にするために、更に、巻線を通すための複数の切欠きが外壁に設けられるようにできる。
【0021】
本体の製造を大幅に簡素化できるのは、ロータ空間を閉じるカバーのための受け部が外壁の内周上の周縁切欠きとして構成されている場合である。
【0022】
ロータ空間を閉じるために設けられ得るカバーの正確な位置合わせを可能にするために、更に、ロータ空間を閉じるカバーのための受け部に、カバーの位置合わせのためのスロットが少なくとも1つ設けられるようにできる。
【0023】
本発明の更なる好適な一改善において、収容空間は、外壁と内壁との間の周縁窪みによって形成され、巻線の相互接続のためのコネクタ線を収容する役割を有する。これにより、前記コネクタ線のための極めて申し分ない保護がもたらされる。
【0024】
ロータの角度位置の判定のための位置送信器の簡単な収容を可能にするために、更に、位置送信器のために軸方向延長部を仕切壁のロータ空間とは反対の側に設けることとしてもよい。
【0025】
請求項12は、ロータと、巻線と、本発明による本体とを有する電気モータを規定している。
【0026】
この種の電気モータは、それぞれ必要とされる、または所望される構成要素または素子を前記電気モータに装備することによって、極めて汎用的に、特に多種多様な手持ち式電動工具のために使用可能となる。特に、この電気モータは、電力網および充電式電池の両方からの給電が可能であり、高電圧用途の場合の絶縁のために必要な安全間隔の維持も可能である。更に、この電気モータは、電力網を介して、または電池または充電式電池によって、電流の供給が可能である。更に、この電気モータは、多種多様な電子開ループおよび/または閉ループ制御装置によって有利に作動可能になる。
【0027】
電気モータの好適な1つの発展においては、電気モータの印刷回路板または別の構成要素を固締するための少なくとも1つの突起が加締められるようにできる。これによって、極めて容易に電気モータの印刷回路板または別の構成要素を固定することができるようになる。
【0028】
巻線の相互接続を担うコネクタ線がそれぞれのプラグ端子を介してプラグハウジング内に収容され、このプラグハウジングをプラグ受けに接続されると、電気モータの制御装置への巻線の同様に簡単で安定した電気的接続がもたらされる。
【0029】
ここで、プラグ受けへのプラグハウジングの接続をスナップ嵌め接続によって行える場合には、前記構成要素の相互間の組み付けが極めて簡単になる。
【0030】
さらに、「を備えた(comprising)」、「を有する(have)」、または「を有する(with)」などの用語は、更なる特徴またはステップを排除しないことに留意されたい。更に、単数のステップまたは特徴を示す「一つ(a)」または「その(the)」などの用語は、複数の特徴またはステップを排除せず、およびこの逆も成り立つ。
【0031】
本発明の更なる各特徴および各利点は、本発明の1つの例示的実施形態の以下の説明から明らかになる。これらの図は、本発明の複数の特徴を相互に組み合わせて示している。ただし、当業者は、この目的のために進歩性を主張することなく、これら特徴を互いに切り離して考えることも、更なる適切な部分組み合わせを形成するために、これら特徴を組み合わせることもできることは、言うまでもない。
【0032】
図として、以下が模式的に示されている。
【図面の簡単な説明】
【0033】
図1】電気モータのための本発明による本体の平面図を示す。
図2図1の矢印IIの方向に見た本体の図を示す。
図3図2の矢印IIIの方向に見た本体の図を示す。
図4】ロータと、巻線と、本発明による本体とを有する本発明による電気モータの斜視図を示す。
図5図4の電気モータの別の斜視図を示す。
図6図4および図5による電気モータの側面図を示す。
図7図6の矢印VIIの方向に見た電気モータの図を示す。
図8図6の矢印VIIIの方向に見た電気モータの図を示す。
図9図6の線IX-IXに沿った電気モータの断面図を示す。
図10図6の線X-Xに沿った電気モータの断面図を示す。
図11】電気モータのための本発明による本体の別の実施形態の側面図を示す。
図12図11の矢印XIIの方向に見た図を示す。
図13図11および図12の本体の斜視図を示す。
図14図12の線XIV-XIVに沿った断面図を示す。
図15図11図14による本体の別の図を示す。
図16図15の本体を有する電気モータの一部分を示す。
図17】更なる付属部品を有する図16の電気モータの当該部分を示す。
図18】本発明による電気モータの別の実施形態を示す。
図19図18の電気モータに接続可能な構成要素の図を示す。
図20図18の電気モータおよび図19の構成要素の別の図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0034】
図1図2および図3は、図4図10に詳細に示されている電気モータ2用の本体1の極めて模式的な図を示す。電気モータ2は、特に、手持ち式電動工具、例えば、アングルグラインダ、電気ドリル、鋸、または別の手持ち式電動工具での使用のために提供される。極めて多種多様な用途向けの電気モータ2の場合に、本体1を使用できるようにするために、前記本体1は、以下に詳細に説明するように、極めて汎用的な構成を有する。
【0035】
本体1は、ほぼ円筒状の外壁3を有する。外壁3は、電気モータ2のロータ5(例えば図4に図示)を収容するためのロータ空間4を形成する。電気モータ2は、ブラシレス電気モータとして構成される。この場合、ロータ5は、複数の永久磁石5aを有するか、または複数の永久磁石5aが取り付けられている。ここで、例えば、図11の断面図を見て明らかなように、それ自体は公知のロータシャフト5bを有するロータ5は、ロータ空間4内または外壁3内に少なくとも部分的に配置される。
【0036】
更に、コイルまたは巻線6(例えば図4に図示)は、外壁3に取り付けられ、少なくとも部分的に外壁3の外側に取り付けられる。更に、外壁3は、積層コア7を固定する役割を有する。積層コア7は、互いに積み重ねられた複数の個々の層から、それ自体は、公知の態様で形成されている。本実施形態において、積層コア7は、外壁3の材料で、好ましくは適したプラスチック材料でオーバーモールドされる。これにより、積層コア7は、外壁3に、ひいては本体1に一体化される。本体1は、1つ以上の巻線6および積層コア7と共に、電気モータ2のためのステータを形成する。巻線6への通電、すなわち、巻線6内またはステータ内でのロータ5の回転によってもたらされる作用は、それ自体が公知であるので、本願明細書では詳細に説明しない。
【0037】
積層コア7は、図2に示すように、外壁3から外側に突出する歯8を複数(本ケースにおいては、6つ)形成する。歯8は、巻線6を受け止めることができる。この場合、巻線6のうちの1つは、各歯8の周りに延びることが好ましい。巻線6は、例えば、一次元に配置された担持要素(図示せず)に巻回可能である。その後、巻線6を本体1に取り付けるために、前記担持要素を変形させて、巻線6を三次元の輪郭にすることができる。このため、担持要素は、例えば、ジョイント、またはこれに類するものを適用することができる。この場合では、積層コア7を形成する各層は、ほぼ環状構成である。各層は、その外周に計6つの歯8を有する。更に、外壁3は、巻線6を通す役割を担う複数の切欠き3a、または巻線6のための相互接続部(図12図14および図16図20に図示)を有する。
【0038】
ロータ空間4は、収容空間9に隣接している。収容空間9は、仕切壁10によって、ロータ空間4から分けられている。仕切壁10は、平坦面によって形成され、ロータ5を通すための開口部11を有する。仕切壁10は、ロータ5またはロータシャフト5bを通す役割を有する開口部11を除いて完全に閉じており、これによって、ロータ空間4を密閉する。この領域に追加の封止要素を使用することも可能である。収容空間9は、環状の印刷回路板12(例えば図7に図示)を収容する役割を有する。電気モータ2を制御する役割を有する多種多様な電子部品を印刷回路板12に取り付けることができる。印刷回路板12は、センサ12a(例えば図12および図13に図示)、特に、電気モータ2のブロック転流の場合に使用されるホールセンサまたはホールPCBAを有するか、またはこれらを取り付けることが好ましい。この種のセンサ12aは、例えば、ロータ5の位置をできる限り正確に判定するために役立てることができる。このため、センサ12aは、ロータ5上に配置された対応する磁石と連携される。ただし、センサ12aとして、例えば、温度センサを使用してもよい。印刷回路板12の代わりに、電気モータ2の別の構成要素(詳細には図示せず)を収容空間9に収容することもできる。前記構成要素は、同様に電気モータ2用のセンサを収容または固定するために設けることができる。外壁3の上記切欠き3aは、収容空間9を取り囲む外壁3の領域に配置される。巻線6のための相互接続部(図12図13、および図14に図示)は、印刷回路板12の上方に、すなわち、印刷回路板12の仕切壁10と反対の側に位置付けることができる。このために、外壁3は、対応する長さをこの領域に有する。すなわち、収容空間9は、印刷回路板12と巻線6のための相互接続部との両方を収容するために十分な深さを有する。
【0039】
位置合わせ装置13は、仕切壁10に設けられている。位置合わせ装置13は、収容空間9内での、ひいては巻線6またはロータ5に対する電気モータ2の印刷回路板12または上記別の構成要素の角度位置の位置合わせを行う機能を有する。更に、電気モータ2の印刷回路板12または上記別の構成要素を支持するための少なくとも2つの(本ケースにおいては、計6つの)ウェブ14が仕切壁10に配置されている。印刷回路板12は、その搭載状態において、ウェブ14上に載っている。その結果、印刷回路板12の下面に位置する各構成要素も仕切壁10から離れている。全く異なる数のウェブ14を設けることもできるのは、言うまでもない。ウェブ14の高さは、選択可能であるので、印刷回路板12上に配置し得るセンサとロータ5との間の十分な結合を、ひいては前記センサの正常機能を保証するために、仕切壁10の反対側に配置されるロータ5から印刷回路板12までの望ましい間隔を設定できる。
【0040】
位置合わせ装置13は、少なくとも1つの(本ケースにおいては、3つの)突起15を有する。突起15は、電気モータ2の印刷回路板12または上記別の構成要素の穴16に係合するために、少なくとも1つのウェブ14に(本ケースにおいては、3つの異なるウェブ14に)配置されている。印刷回路板12を収容空間9内に配置した後、本体1への印刷回路板12の固締または固定のために、少なくとも1つの突起15または複数の突起15を加締めることができる。
【0041】
更に、仕切壁10に対向するロータ空間4の側に受け部17が設けられている。受け部17は、ロータ空間4を閉じるので、ロータ空間4を塵または他の汚染物質の侵入ら保護するカバー18を受け止める役割を有する。ここで、ロータ空間4を閉じるカバー18のための受け部17は、外壁3の内周上の周縁切欠きとして構成される。したがって、カバー18のための受け部17は、本体1の切欠き3aに対向する側に設けられている。また、カバー18のための受け部17は、カバー18の位置合わせのためのスロット19を少なくとも1つ有する。このスロット19にカバー18の突起(図示せず)が係合できる。更に、カバー18は、ロータ5を取り付けるための軸受(図示せず)を収容する役割を有することもできる。
【0042】
仕切壁10は、ほぼ円筒状の内壁20に隣接している。内壁20は、ロータ5のための軸受21を収容する役割を担い、収容空間9を外壁3と共に形成する。軸受21は、ロータ5に押し当てられ得る。
【0043】
同時に、内壁20は、印刷回路板12のためのセンタリング手段を形成する。ロータ5を通すための開口部11は、横断面が非円形、本実施形態では八角形であり、仕切壁10に位置し、内壁20によって取り囲まれている。
【0044】
本体1の外壁1、仕切壁10、各ウェブ14、各突起15、および内壁20は、好ましくは適したプラスチック材料で構成され、射出成形によって製造可能である。この理由により、およびその形状のために、本体1は、オーバーモールドされたトゥーススター(overmolded tooth star)と称することもできる。
【0045】
ここで、外壁1、仕切壁10、各ウェブ14、各突起15、および内壁20は、好ましくは、互いに一体に構成され、特に1回の射出成形工程によって製造される。ここで、本体1の上記の極めて汎用的な構成のために、原則として、単一の射出成形ダイのみが必要とされる。開口部11の上記の非円形横断面の結果として、前記射出成形ダイは、開口部11を形成する領域において極めて正確な構成とすることができ、その結果として、開口部11内のロータ5に対して、同様に正確な中心位置決めが可能となる。ロータ5のための軸受21を収容する内壁20を仕切壁10の上に成形した結果、この領域において極めて簡単な封止、とりわけロータ空間4の申し分ない密閉が実現されるので、追加のカバー、注型材料、またはこれらに類するものを必要としない。
【0046】
図11図17は、本体1または本体1を備えた電気モータ2の別の実施形態を示す。この実施形態は、大部分が上記の実施形態に一致する。ここでは、収容空間9は、外壁3と内壁20との間の周縁窪み22によって形成されている。したがって、周縁窪み22は、収容空間9に相当する。周縁窪み22は、巻線6の相互接続のために使用可能なコネクタ線23を収容する役割を有する。その結果、コネクタ線23を確実に敷設でき、摩耗から保護できる。巻線6の相互接続後、コネクタ線23を注封材料(図示せず)で注封できる。ここで、コネクタ線23は、外壁3に設けられた切欠き3aを通って延びる。この収容の結果として、更に、コネクタ線23を保持するための追加の保持装置を省くことができる。窪み22、または、この実施形態では、外壁3と内壁20との間の収容空間9は、迷宮と称することもできる。その理由は、巻線6のためのコネクタ線23が位置する領域への塵等の侵入を防止するからである。原則として、巻線6は、星形または三角形の相互接続、あるいは何れか他の相互接続によって相互接続可能である。
【0047】
図14の断面図では、位置送信器24がロータシャフト5bに取り付けられていることが示されている。位置送信器24を収容するために、内壁20は、軸方向延長部25に隣接している。軸方向延長部25は、本体1と一体に構成された閉鎖壁26によって遮断されている。閉鎖壁26は、同時に別の空間27の底部を形成している。本実施形態において、印刷回路板12は、センサ12aと共に、空間27に配置されている。本実施形態において、センサ12aは、位置送信器24と連携する位置センサである。空間27は、周壁28によって取り囲まれ、閉鎖壁26とは反対の側に開口している。図1図10を参照して説明されている実施形態の場合、空間27は、エンドキャップ29によって形成されている。エンドキャップ29は、加締め、クリップ留め、または何れか他の方法で本体1に接続可能である。
【0048】
周壁28は、図15に示すように、その内側に複数の突起30を有する。これらの突起30によって、印刷回路板12の位置決めが簡素化される。
【0049】
図18図20は、電気モータ1の更なる一改善を示す。ここでは、巻線6の相互接続を行うコネクタ線23は、それぞれのプラグ端子31に接続されている。これらプラグ端子31は、プラグハウジング32内に一緒に収容されている。プラグハウジング32は、電子機器筐体34上に直接形成されたプラグ受け33への差込みのために使用される。不図示の方法で回路板上に形成された複数の差込み片は、同様に不図示の方法でプラグ受け33内に設けられている。その結果、巻線6の全てのコネクタ線23を1つのプラグハウジング32によって、電気モータ2に設けられ、不図示の方法で電子機器筐体34に収容されている制御装置に接続できるので、個々の線の差込みを省くことができる。更に、これにより、その制御装置を有する電気モータ2の防塵性が向上する。
【0050】
プラグハウジング32およびプラグ受け33は、何れの場合も、簡単な方法で製造可能なプラスチック製の構成要素である。本実施形態において、プラグハウジング32は、スナップ嵌め接続によって、プラグ受け33に接続される。不図示の方法で、プラグハウジング31を本体1に固定的に接続できる。これにより、電気モータ2の組み立て中、その電気的接続を同時に行うことができる。
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