(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-01-31
(45)【発行日】2023-02-08
(54)【発明の名称】排尿を容易にするブリーフとズボン下
(51)【国際特許分類】
A41B 9/02 20060101AFI20230201BHJP
【FI】
A41B9/02 C
A41B9/02 G
(21)【出願番号】P 2017083795
(22)【出願日】2017-04-20
【審査請求日】2019-11-22
【審判番号】
【審判請求日】2021-07-05
(73)【特許権者】
【識別番号】593085299
【氏名又は名称】池尻 良治
(74)【代理人】
【識別番号】100087815
【氏名又は名称】岡本 昭二
(72)【発明者】
【氏名】池尻 良治
【合議体】
【審判長】井上 茂夫
【審判官】柳本 幸雄
【審判官】藤井 眞吾
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-174191(JP,A)
【文献】特開2004-270117(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0074874(US,A1)
【文献】登録実用新案第3174945(JP,U)
【文献】特開平11-241202(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A41B9/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
開口部(11)を有するブリーフ(1)と、開口部(31)を有するズボン下(3)の組み合わせであって、
前記ブリーフ(1)は前記ブリーフ開口部(11)の端部に一端
(21)が固定された引き出し片(2)を有し、
前記引き出し片(2)は、固定された前記一端の反対側の他端(22)が先端に固定具(23)を有すると共に
前記固定された一端(21)を軸にして折り曲げ可能であり、
前記ズボン下(3)は、前記引き出し片(2)の
前記固定具(23)と係合可能な固定具(32)を有する
ことを特徴とする組み合わせ。
【請求項2】
前記ブリーフ(1)が、前記引き出し片(2)の
前記固定具(23)と係合可能な固定具(12)を有するものである請求項1記載の組み合わせ。
【請求項3】
前記引き出し片(2)は、吸水性繊維を内蔵している請求項1項記載の組み合わせ。
【請求項4】
ブリーフ(1)と、ズボン下(3)の使用法であって、
前記ブリーフ(1)は、開口部(11)端部に一端(21)が固定された引き出し片(2)を有し、前記引き出し片(2)の他端(22)は先端に固定具(23)を有すると共に
前記固定された一端(21)を軸にして折り曲げ可能であり、
前記ズボン下(3)は開口(31)を有すると共に前記引き出し片(2)の
前記固定具(23)と係合可能な固定具(32)を有するものにおいて、
前記ブリーフ(1)の前記引き出し片(2)の前記他端(22)を前記ズボン下(3)の前記開口(31)から引き上げる工程、
前記他端(22)の前記固定具(23)と前記ズボン下(3)の前記固定具(32)を係合させる工程、
を有することを特徴とする、ブリーフ(1)と、ズボン下(3)の使用法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、肌に接する下着(ブリーフ、トランクス、パンツ等。以下、「ブリーフ」と総称する。)と、ブリーフとズボンの間に位置する下着(ズボン下、パッチ、股引き、ステテコ等。以下、「ズボン下」と総称する。)に関し、特に排尿行為を容易にしたものに関する。
【背景技術】
【0002】
男性が立って小便をするときには、ズボン前面のチャック,ボタンなどを外して開口部を開け、ズボン下とブリーフの開口部を通して男性器を引き出す。そしてズボンの外に露出させた男性器から便器に向かって放尿する。すなわち、排尿の前段階として、ブリーフ、ズボン下、ズボンの3か所の開口部を一直線にして男性器を引き出す行為が必要である。
【0003】
各開口部の位置には生地がそれぞれ2枚、合計6枚重ねられているので、目視できるズボンの開口部を除き、残り4枚もの生地をほとんど手探りでかき分けなければならない。男性ならほとんどの人が経験あるであろうが、この行為は特に急いでいるときにはイライラさせられるものである。
【0004】
この問題を解決するため、下記するような従来技術が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2014―25181
【文献】特開平11-241202
【文献】登録実用新案第3174945号
【文献】実開昭59―185205
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記4文献の技術は主としてズボン下の改良によりこの問題を解決しようとしている。
【0007】
本発明は、ブリーフとズボン下の独特な組み合わせによりこの問題を解決しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、開口部を有するブリーフと、開口部を有するズボン下の組み合わせであって、前記ブリーフは前記ブリーフ開口部の端部に一端が固定された引き出し片を有し、前記引き出し片は、固定された前記一端の反対側の他端が先端に固定具を有すると共に前記固定された一端を軸にして折り曲げ可能であり、前記ズボン下は、前記引き出し片の前記固定具と係合可能な固定具を有することを特徴とする(請求項1)。
【0009】
好ましくは、前記引き出し片2は、吸水性繊維を内蔵している(請求項2)。
【0010】
本発明は、別の見方では、ブリーフ1と、ズボン下3を別々にとらえることもできる。
【0011】
この見方では、本発明は、引き出し片2を有するブリーフ1であって、前記引き出し片2は、一端21が前記ブリーフ開口部11の裏側に固定され、他端22が固定具23を有すると共に自由回動であり、前記ブリーフ1前記引き出し片2の固定具23と係合可能な係合具12を有することを特徴とする(請求項3)。
【0012】
さらにこの見方では、本発明は、ズボン下3であって、前記ズボン下3は、請求項1項又は2項記載の前記引き出し片2の固定具23と係合可能な係合具32を有することを特徴とする(請求項4)。
【0013】
別の観点では、本発明は、ブリーフと、ズボン下の使用法であって、前記ブリーフは、開口部端部に一端が固定された引き出し片を有し、前記引き出し片の他端は先端に固定具を有すると共に前記固定された一端を軸にして折り曲げ可能であり、前記ズボン下は開口を有すると共に前記引き出し片の前記固定具と係合可能な固定具を有するものにおいて、前記ブリーフの前記引き出し片の前記他端を前記ズボン下の前記開口から引き上げる工程、前記他端の前記固定具と前記ズボン下の前記固定具を係合させる工程、を有することを特徴とする(請求項4)。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、使用者が指で引き出し片を持ち上げるだけで、ブリーフ、ズボン下の開口が一列に整列する。さらに目視が可能なズボンの開口の位置と一致させれば、ブリーフ、ズボン下、ズボンの3か所の開口が整列する。この状態であれば、男性器を引き出すのは容易である。
【0015】
さらに請求項2によれば、引き出し片は吸水性を有するので、尿漏れがあったときでも吸収されるので、不愉快な思いをしなくてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】実施例1に係る(a)ブリーフの正面図、(b)ズボン下(ブリーフの位置を点線で示す。)の正面図であり、前布が着用者の右側にある状態である。
【
図2】実施例1に係る(a)ブリーフの正面図、(b)ズボン下の正面図(ブリーフの位置を点線で示す。)であり、前布が着用者の右側にある状態である。
【
図3】(a)
図2のA-A断面図(ブリーフのみのとき)、(b)
図2のB-B断面図(ブリーフとズボン下を組み合わせたとき)、(c)
図2のB-B断面図(ブリーフとズボン下を着用して排尿するとき)である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
図1(a)に示すように、本実施例のブリーフ1の開口部11には引き出し片2が取り付けられている。右利きの人の場合、通常は図示の状態で右端21が開口部11の裏側に縫い付けられて固定されている。左利きの人用に逆に取り付けてもよいので、本明細書では「右」「左」は相対的な表現である。
【0018】
右端21以外は固定されていないので、
図1(a)の引き出し片2は折り曲げて、
図2(a)の状態にすることができる。ブリーフ1の前面(
図1において開口部11の右側)及び引き出し片の左端22には1組の固定具12,23が取り付けられていて、
図2(a)に示すように、相互に係合させることができる。ズボン下3を着用しないときには、この状態で使用するので、引き出し片2がぶらぶらして邪魔になることはない。なお、固定具12,23は、ボタンとボタン穴、雌雄ボタン、雌雄面ファスナなど公知のものを使用することができる。
【0019】
ブリーフ1の上からズボン下3を着用するとき、
図1(b)に示すように、ブリーフ1及びズボン下3のそれぞれの開口部11,31を通じて、ブリーフ1の引き出し片2をズボン下3の上に引き上げることができる。当然、右端21以外は固定されていないので、
図1(b)の引き出し片2は折り曲げて、
図2(b)の状態にすることができる。
【0020】
引き出し片2の左端及びズボン下3の前面(
図1において開口部31の右側)には固定具23,32が取り付けられていて、
図2(b)に示すように、相互に係合させることができる。固定具23,32は、ボタンとボタン穴、雌雄ボタン、雌雄面ファスナなど公知のものを使用することができる。下着の着替え時、ブリーフ1とズボン下3を着用するときに、ひと手間かけてこの状態にしておく。
【0021】
図示していないが、ズボン下3の上にズボンを穿くことは言うまでもない。
【0022】
引き出し片2は、
図3に示すように、薄い袋24であり、中に吸水性繊維25を封入しておくことが好ましい。これは、ある程度の硬さを持たせて手で操作しやすくするため、及び、排尿時に尿漏れがあったとき吸収させるためである。吸水性繊維としては、例えば、パルプ繊維、セルロース繊維、レーヨンが挙げられる。
【0023】
図3(a)は
図2のA-A断面図(ブリーフ1のみのとき)である。引き出し片はブリーフ1の開口部11の生地を抱えている。
【0024】
図3(b)は
図2のB-B断面図(ブリーフ1とズボン下3を組み合わせたとき)である。引き出し片がブリーフ1の開口部11の生地とズボン下3の開口部31の生地を両方とも抱えていることがわかる。
【0025】
図3(c)は
図2のB-B断面図(ブリーフ1とズボン下3を着用して排尿するとき)である。使用者が指で引き出し片2を持ち上げてこの状態にすると、ブリーフ1、ズボン下3の開口11,31が一列に整列する。さらにズボンの開口(図示せず)の位置と一致させれば、ブリーフ1、ズボン下3、ズボンの3か所の開口が整列する。この状態であれば、
図3(c)の矢印のように、男性器を引き出すのは容易である。
【0026】
排尿のときなどに尿漏れを起こす場合もあるがそのときには、吸収性繊維25が尿を吸収してくれるので、不快感を和らげることができる。
【0027】
最後に付記すると、引き出し片2の形状や大きさは、自由端部22がブリーフ1やズボン下3の各開口部11,31を通り抜けられるものであれば、どのようなものであってもよい。
【符号の説明】
【0028】
1 ブリーフ
11 開口部
12 固定具
2 引き出し片
21 右端
22 左端
23 固定具
24 袋
25 吸水性繊維
3 ズボン下
31 開口部
32 固定具