(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-01-31
(45)【発行日】2023-02-08
(54)【発明の名称】回転式破砕混合調理器
(51)【国際特許分類】
A47J 43/046 20060101AFI20230201BHJP
【FI】
A47J43/046
(21)【出願番号】P 2019008605
(22)【出願日】2019-01-22
【審査請求日】2021-09-29
(73)【特許権者】
【識別番号】000003702
【氏名又は名称】タイガー魔法瓶株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100136319
【氏名又は名称】北原 宏修
(74)【代理人】
【識別番号】100148275
【氏名又は名称】山内 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100142745
【氏名又は名称】伊藤 世子
(74)【代理人】
【識別番号】100143498
【氏名又は名称】中西 健
(72)【発明者】
【氏名】中原 健次
(72)【発明者】
【氏名】阪田 雅之
【審査官】武市 匡紘
(56)【参考文献】
【文献】特開昭56-085317(JP,A)
【文献】特開2017-121440(JP,A)
【文献】特開2003-230491(JP,A)
【文献】実開昭55-179630(JP,U)
【文献】実開昭61-140741(JP,U)
【文献】実開昭53-109785(JP,U)
【文献】米国特許出願公開第2008/0089170(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47J 43/046
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
筐体と、前記筐体に収容される電動機と、前記電動機から上方に向かって延びる回転軸とを有する本体と、
底壁部と、前記底壁部の上側に配設されると共に前記回転軸に連結される回転刃とを有し、前記本体に載置される容器と、を備え、
前記筐体の天壁部には、前記電動機の周辺空間と連通する開口が形成されており、
前記本体における前記容器の載置部位および前記容器の被載置部位の少なくとも一方に、前記本体の載置部位と前記容器の被載置部位との間に隙間を形成する隙間形成部位を設け、
前記隙間は、前記開口に連通しており、
前記筐体には、前記電動機を部分的に覆う第1電動機収容体と、前記第1電動機収容体を部分的に覆う第2電動機収容体と、切り欠き部を有し前記第1電動機収容体の側壁部の外周面と前記第2電動機収容体の側壁部の内周面とに部分的に密着する環状の密着部材とが収容されており、
前記第1電動機収容体の内部空間から、前記第1電動機収容体と前記第2電動機収容体との間に形成される狭隙空間を介して前記隙間に連通する連通路が形成されてい
る回転式破砕混合調理器。
【請求項2】
前記狭隙空間は下側が開口している請求項
1に記載の回転式破砕混合調理器。
【請求項3】
前記筐体は、給気口と、前記給気口の外側に配設される排気口とが形成される給排気口付き底壁部と、「前記給気口から前記第1電動機収容体の内部空間への空気流れ」と「前記狭隙空間から前記排気口への空気流れ」とを分離する給排気分離構造とを有する請求項
1または2に記載の回転式破砕混合調理器。
【請求項4】
筐体と、前記筐体に収容される電動機と、前記電動機から上方に向かって延びる回転軸とを有する本体と、
底壁部と、前記底壁部の上側に配設されると共に前記回転軸に連結される回転刃とを有し、前記本体に載置される容器と、を備え、
前記筐体の天壁部には、前記電動機の周辺空間と連通する開口が形成されており、
前記本体における前記容器の載置部位および前記容器の被載置部位の少なくとも一方に、前記本体の載置部位と前記容器の被載置部位との間に隙間を形成する隙間形成部位を設け、
前記隙間は、前記開口に連通して
おり、
前記容器の側壁部の下部外側箇所には、内側に向かって窪む凹部が形成されており、
前記凹部の凹み空間は、前記開口に連通しており、
前記凹部の凹み空間を通じて、上方に向けて排気が外部へ案内される回転式破砕混合調理器。
【請求項5】
前記凹部は、斜め上方に向かって延びるように形成されている請求項
4に記載の回転式破砕混合調理器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ミキサーやフードプロセッサ等の回転式破砕混合調理器に関する。
【背景技術】
【0002】
過去に「本体に内蔵されたモータと、本体の底面に設けられた弾性体からなる足と、本体の底面に設けられた吸気口と排気口とを有し、前記排気口とモータの間に冷却ガイドを固定した電動調理器。(例えば、特開平10-179425号公報参照。)」が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、モータからは熱が生じ、その熱によってモータ周辺の空気が温められる。そして、その温められた空気は上昇しようとする。このため、上述のような電動調理器においてモータ熱の排出効率を向上させようとすると、比較的能力の送風能力が高いファンを採用したり、排気通路を比較的単純なものにしたりする必要がある。しかし、上述のような電動調理器において、費用や、モータ周りの設計に制限がある場合、モータ熱の排出効率を向上させるのは比較的困難であると思われる。
【0005】
本発明の課題は、費用や、モータ周りの設計に制限がある場合であっても、比較的容易にモータ熱の排出効率を向上させることができる電動調理器(回転式破砕混合調理器)を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本願の第1発明に係る回転式破砕混合調理器は、
筐体と、前記筐体に収容される電動機と、前記電動機から上方に向かって延びる回転軸とを有する本体と、
底壁部と、前記底壁部の上側に配設されると共に前記回転軸に連結される回転刃とを有し、前記本体に載置される容器と、を備え、
前記筐体の天壁部には、前記電動機の周辺空間と連通する開口が形成されており、
前記本体における前記容器の載置部位および前記容器の被載置部位の少なくとも一方に、前記本体の載置部位と前記容器の被載置部位との間に隙間を形成する隙間形成部位を設け、
前記隙間は、前記開口に連通しており、
前記筐体には、前記電動機を部分的に覆う第1電動機収容体と、前記第1電動機収容体を部分的に覆う第2電動機収容体と、切り欠き部を有し前記第1電動機収容体の側壁部の外周面と前記第2電動機収容体の側壁部の内周面とに部分的に密着する環状の密着部材とが収容されており、
前記第1電動機収容体の内部空間から、前記第1電動機収容体と前記第2電動機収容体との間に形成される狭隙空間を介して前記隙間に連通する連通路が形成されている。
【0007】
上記構成によれば、開口を介して電動機の周辺空間が隙間に連通している。このため、電動機から生じた熱で温められた空気が移動しやすい上方からその空気を排出することができる。したがって、本発明では、費用や、電動機(モータ)周りの設計に制限がある場合であっても、比較的容易に電動機から生じる熱の排出効率を向上させることができる。また、上記構成によれば、電動機から生じる熱で温められた空気が狭隙空間に移動した場合であっても、その空気は、密着部材の切り欠き部および連通路を通って隙間から排出される。このため、本発明のように筐体内に第1電動機収容体および第2電動機収容体を配設した場合であっても効率よく電動機から生じる熱を外部へ排出することができる。
【0008】
本願の第1発明では、
前記狭隙空間の下側が開口していると好適である。
【0009】
上記構成によれば、電動機から生じる熱で温められた空気が狭隙空間に移動した場合、その空気を下側からも排出することができる。このため、本発明のように筐体内に第1電動機収容体および第2電動機収容体を配設した場合であってもさらに効率よく電動機から生じる熱を外部へ排出することができる。
【0010】
本願の第1発明は、
前記筐体は、給気口と、前記給気口の外側に配設される排気口とが形成される給排気口付き底壁部と、「前記給気口から前記第1電動機収容体の内部空間への空気流れ」と「前記狭隙空間から前記排気口への空気流れ」とを分離する給排気分離構造とを有すると好適である。
【0011】
上記構成によれば、筐体内において電動機への給気が排気と混ざることを防ぐことができる。このため、本発明では、効率よく電動機を冷却することができる。
【0012】
本願の第2発明に係る回転式破砕混合調理器は、
筐体と、前記筐体に収容される電動機と、前記電動機から上方に向かって延びる回転軸とを有する本体と、
底壁部と、前記底壁部の上側に配設されると共に前記回転軸に連結される回転刃とを有し、前記本体に載置される容器と、を備え、
前記筐体の天壁部には、前記電動機の周辺空間と連通する開口が形成されており、
前記本体における前記容器の載置部位および前記容器の被載置部位の少なくとも一方に、前記本体の載置部位と前記容器の被載置部位との間に隙間を形成する隙間形成部位を設け、
前記隙間は、前記開口に連通しており、
前記容器の側壁部の下部外側箇所には、内側に向かって窪む凹部が形成されており、
前記凹部の凹み空間は、前記開口に連通しており、
前記凹部の凹み空間を通じて、上方に向けて排気が外部へ案内される。
【0013】
上記構成によれば、容器の形状を利用して、電動機からの排気熱を上方に向けて案内することで、効率よく本体内の熱を逃すことが可能になる。また、上記構成によれば、開口を介して電動機の周辺空間が凹部にも連通している。このため、本発明では、電動機から生じる熱の排出効率をさらに向上させることができる。
【0014】
本願の第2発明では、
前記凹部が、斜め上方に向かって延びるように形成されていると好適である。
【0015】
上記構成によれば、電動機から生じる熱の排出効率をさらに向上させることができる。また、上記構成によれば、凹部が、容器の内側に向かう凸部となり、調理対象物の攪拌を補助するリブとして機能する。このため、本発明では、調理対象物の撹拌効率を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本発明の実施の形態に係るミキサーの正面面図である。
【
図2】本発明の実施の形態に係るミキサーの平面図である。
【
図5】本発明の実施の形態に係るミキサーを構成する本体の上方斜視図である。
【
図6】
図3の駆動側カップリング付近の拡大図である。
【
図7】本発明の実施の形態に係るミキサーを構成する本体から駆動側カップリングを取り外した状態の平面図である。
【
図10】本発明の実施の形態に係るミキサーの底面図である。
【
図11】本発明の実施の形態に係るミキサーを構成する本体から駆動側カップリング、本体部材、装飾部材および透明カバーを取り外した状態の平面図である。
【
図12】本発明の実施の形態に係るミキサーを構成する本体から駆動側カップリング、本体部材、装飾部材および透明カバーを取り外した状態の斜視図である。
【
図13】本発明の実施の形態に係るミキサーを構成する本体から調芯プランジャーを取り外した状態の上方斜視図である。
【
図14】本発明の実施の形態に係るミキサーを構成する調芯プランジャー付近の簡易断面図である。
【
図15】本発明の実施の形態に係るミキサーを構成するカップの下方斜視図である。
【
図16】
図6のカッター付き底壁部材付近の拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明の実施の形態に係るミキサー100は、
図1および
図2に示されるように、主に、本体110、カップ150および蓋体160から構成される。なお、本体110、カップ150および蓋体160はそれぞれ独立した組立部品であり、ミキサー100は、これらの組立部品が組み立てられることにより完成される。
【0018】
以下、これらの組立部品についてそれぞれ詳述した後に、ミキサー100の組立方法およびミキサー100の動作について説明する。なお、以下の説明において、操作ノブ(後述)120が配設されている側の面を正面と規定することに留意されたい。
【0019】
<ミキサーの組立部品>
【0020】
(1)本体
本体110は、
図3および
図4に示されるように、主に、筐体111、電動機カバー112、内ケース113、第1環状シール部材114、電動機115、上側駆動シャフト116A、下側駆動シャフト116B、駆動側カップリング117、冷却ファン118、調芯プランジャー119、操作ノブ120、回路基板(図示せず)、回路保護装置121、本体側安全機構122および電気プラグコード123から構成されている。以下、これらの構成要素について詳述する。
【0021】
(1-1)筐体
筐体111は、
図1~
図6に示されるように、主に、本体部材111A、底壁部材111B、脚111C、装飾部材111D、透明カバー111Eおよび給気通路形成板111Fから構成されている。以下、これらの部材について詳述する。
【0022】
本体部材111Aは、
図3~
図6に示されるように、主に、第1側壁部111a、第1天壁部111b、円筒台座部111cおよび本体側安全機構収容部111lから構成されている。第1側壁部111aは、樹脂成形体であって、
図1、
図2および
図5に示されるように略切頭四角錐筒形状を呈している。第1天壁部111bは、
図3~
図6に示されるように円環状の壁部位であって、第1側壁部111aの上側の中央部分を覆っている。なお、
図6、
図7および
図13に示されるように、この第1天壁部111bの中央には開口(以下、この開口を「第1天壁開口」という。)Ou1が形成されている。なお、この第1天壁開口Ou1は、
図7に示されるように、円の右斜め前方の部位、右斜め後方の部位および左方の部位それぞれを半径方向外方に向かって引き伸ばした形状を呈している。そして、この第1天壁開口Ou1の内側には、
図6および
図7に示されるように、内ケース113の第3口部113B、駆動側カップリング117の軸受け部117A、および、上側駆動シャフト116Aが存在している。なお、
図6から明らかなように、第1天壁開口Ou1の中央部分には上側駆動シャフト116Aが存在し、その上側駆動シャフト116Aの直ぐ外側に駆動側カップリング117の軸受け部117Aが存在し(上側駆動シャフト116Aは、その軸受け部117Aの内側に挿通されて締結されている。)、駆動側カップリング117の軸受け部117Aの外側であって駆動側カップリング117の軸受け部117Aから離れた位置に内ケース113の第3口部113Bが存在している。円筒台座部111cは、
図5および
図6に示されるように円錐筒壁部Wa、円環上端壁部Wbおよび円筒壁部Wcから形成される略円筒形状の二重壁部位であって、本体部材111Aの上側の外周部位に形成されている。すなわち、この円筒台座部111cは、第1側壁部111aおよび第1天壁部111bの上側に位置するように形成されている。このため、この円筒台座部111cの内側には、略円柱形の空間(以下「円筒形内部空間」という。)Scが存在している(
図5参照)。また、
図5~
図7および
図13に示されるように、円筒壁部Wcには3つの角柱凹部Rr、3つの部分円柱凹部Rcおよび6つの調芯プランジャー収容部Rpが形成されている。
図5および
図7に示されるように、3つの角柱凹部Rrおよび3つの部分円柱凹部Rcは、交互かつ等間隔に配設されており、平面視において駆動側カップリング117の回転中心を挟んで対向している。また、部分円柱凹部Rcの一つは、本体側安全機構収容部111lの近傍に形成されている。6つの調芯プランジャー収容部Rpは、調芯プランジャー119を収容するための略直方体状部位であって、
図13に示されるように、角柱凹部Rrと部分円柱凹部Rcとの間に形成されている。また、
図13に示されるように、この調芯プランジャー収容部Rpの下部には、円筒壁部Wcの半径方向に沿って延びるレール部RLが設けられている。そして、調芯プランジャー119は、このレール部RLに沿って出没可能に配設される。本体側安全機構収容部111lは、
図5および
図6に示されるように第1側壁部111aの右側壁Wdの上側に形成される略逆三角錐状の壁部位であって、
図3に示されるようにその内部に本体側安全機構122を収容している。
【0023】
底壁部材111Bは、本体部材111Aの下側に取り付けられる部材であって、
図8~
図10に示されるように、主に、底壁本体部111d、給気経路形成壁部111e、給気口形成部111f、円筒壁部111g、排気案内リブ111h、給排気分割壁部111i、第1排水部111jおよび第2排水部111kから形成されている。底壁本体部111dは、角椀状の基本部位である。給気口形成部111fは、底面視において底壁本体部111dの略中央に位置する部位である。そして、この給気口形成部111fには、文字通り、給気口Msが形成されている。給気経路形成壁部111eは、
図10に示されるように底面視においてU字形もしくは馬蹄形を呈する壁部位であって、底面視において開端側が左側、すなわち、本体110にカップ150が装着された状態におけるカップ150の注ぎ口側を向き、湾曲側が右側、すなわち、本体110にカップ150が装着された状態におけるカップ150の取っ手152の配設側を向くように形成されている。円筒壁部111gは、文字通り円筒形状を呈する壁部位であって、
図8に示されるように給気口形成部111fの外周縁部から上方に向かって延びている。排気案内リブ111hは、
図8および
図10に示されるように底面視において給気経路形成壁部111eの湾曲側における底壁本体部111dの外周部位に形成される複数の突起であって、その更に外周側に形成される排気口Meから排出される排気を外方に案内する役目を担っている。給排気分割壁部111iは、
図10に示されるように給気経路形成壁部111eの正面側の外側面から操作ノブ120の配設側に向かって延びると共に、給気経路形成壁部111eの背面側の外側面から操作ノブ120の配設側の反対側に向かって延びており、排気口Meから排出される排気が再び給気口Msから本体110の内部に取り込まれないようにその排気を遮断する役目を担っている。第1排水部111jおよび第2排水部111kは、本体110の内部に液状物が浸入した場合にその液状物を本体110の外部に排出する役目を担う部位であって、
図10に示されるように底壁本体部111dの左側中央および背面側中央に形成されている。
【0024】
脚111Cは、
図8~
図10に示されるように底壁本体部111dの四隅から下方に向かって延びている。
【0025】
装飾部材111Dは、切頭円錐筒形状を呈する加飾板、加飾箔、加飾フィルム等であって、
図6に示されるように本体部材111Aの円筒台座部111cの円錐筒壁部Waと透明カバー111Eとの間に配設されている。
【0026】
透明カバー111Eは、装飾部材111Dを視認可能に保護する部材であって、
図3および
図4に示されるように、装飾部材111Dを挟むようにして本体部材111Aの円筒台座部111cの上側および外側を覆っている。この透明カバー111Eは、
図5~
図7に示されるように、主に、円環状の上端壁部111mおよび略切頭円錐筒形の外側壁部111nから形成されている。そして、
図5に示されるように、上端壁部111mの上端面には、円周方向に沿って等間隔に突起部Prが形成されている。また、
図5および
図7に示されるように、この上端壁部111mの内周側は、本体部材111Aの角柱凹部Rrおよび部分円柱凹部Rcに対応する位置がそれぞれ切り欠かれている。
【0027】
給気通路形成板111Fは、底壁部材111Bに形成される給気経路形成壁部111eの下側を覆う板材であって、給気経路形成壁部111eの下端に接合されている。その結果は、給気通路形成板111Fと給気経路形成壁部111eとは、左側から中央側に向かって延びる給気通路Psを形成している(
図3、
図4、
図8および
図9参照)。なお、この給気通路Psの空気取込口の大きさは人の指が入らない程度とされている。
【0028】
(1-2)電動機カバー
電動機カバー112は、
図3および
図4に示されるように、有蓋無底の円筒体であって、主に、第2天壁部112A、第2口部112B、第2側壁部112C、シール部材保持部112Dおよびフランジ部112Eから構成されている。そして、この電動機カバー112の内部には、電動機115が収容されている。第2天壁部112Aは、略円盤状の壁部位である。そして、
図6に示されるように、この第2天壁部112Aの中央部分には、円形の開口(以下、この開口を「第2天壁開口」という。)Ou2が形成されている。第2口部112Bは、円筒形状を呈する壁部位であって、
図6に示されるように第2天壁部112Aの第2天壁開口Ou2の縁部から上方に向かって延びている。なお、
図6に示されるように、第2天壁開口Ou2および第2口部112Bの内部空間には上側駆動シャフト116Aが挿通されている。第2側壁部112Cは、略円筒形状を呈する壁部位であって、
図3、
図4および
図6に示されるように第2天壁部112Aの外縁部から下方に向かって延びている。また、この第2側壁部112Cには、
図3に示されるように開口(以下、この開口を「第2側壁開口」という。)Os2が形成されている。なお、この第2側壁開口Os2は、電動機115から生じる熱を外部に排出する役割を担っている。シール部材保持部112Dは、
図3に示されるように上下一対の円環部位であって、第2側壁部112Cの上側部位に形成されている。そして、このシール部材保持部112Dによって形成される円環溝に第1環状シール部材114が嵌め込まれる。フランジ部112Eは、円環部位であって、
図3、
図4、
図8および
図9に示されるように第2側壁部112Cの下端から水平面に沿って外方に向かって延びている。そして、
図8および
図9に示されるようにこのフランジ部112Eの下側には、冷却ファン118の取付翼部118Cを介して冷却ファン118が取り付けられている。
【0029】
(1-3)内ケース
内ケース113は、
図3、
図4および
図12に示されるように、有蓋無底の円筒体であって、主に、第3天壁部113A、第3口部113B、部分囲い壁部113C、第3側壁部113D、溝形成壁部113E、垂直リブ113Fおよび回路保護装置保持部113Gから構成されている。そして、この内ケース113の内部には、電動機115および電動機カバー112が収容されている。第3天壁部113Aは、略円盤状の壁部位である。そして、
図6に示されるように、この第3天壁部113Aの中央部分には、円形の開口(以下、この開口を「第3天壁開口」という。)Ou3が形成されている。第3口部113Bは、円筒形状を呈する壁部位であって、
図6に示されるように第3天壁部113Aの第3天壁開口Ou3の縁部から上方に向かって延びている。なお、
図6に示されるように、第3天壁開口Ou3および第3口部113Bの内部空間には、駆動側カップリング117の軸受け部117A、および、上側駆動シャフト116Aが存在している。なお、
図6から明らかなように、第3天壁開口Ou3および第3口部113Bの中心部分には上側駆動シャフト116Aが存在し、その上側駆動シャフト116Aの直ぐ外側に駆動側カップリング117の軸受け部117Aが存在する(上側駆動シャフト116Aは、その軸受け部117Aの内側に挿通されて締結されている。)。また、この第3口部113Bは、
図6および
図7に示されるように第1天壁111bの第1天壁開口Ou1の内側に位置している。部分囲い壁部113Cは、
図11に示されるように第3口部113bを部分的に囲うように形成されている。
図6に示されるように、この部分囲い壁部113Cの上端面は第3口部113Bの上端面よりも低くなるように設計されている。また、この
図6に示されるように、この部分囲い壁部113Cの上端面には溝が形成されており、この溝に線状シール部材SL1が嵌め込まれている。この線状シール部材SL1は、ゴムやエラストマーからなる線状の弾性部材であって、第1天壁部111bの下面に密着している。この部分囲い壁部113Cと第3口部113bとの間の空間は、第1天壁開口Ou1を通って落下してくる液状物(例えば、水洗時の水や、カップ150中の液状調理物が漏れ出た際の漏出物等)を受ける貯液空間としての役目を担っている。第3側壁部113Dは、略円筒形状を呈する壁部位であって、
図3、
図4および
図6に示されるように第3天壁部113Aの外縁部から下方に向かって延びている。また、この第3側壁部113Dには、
図3および
図12に示されるように2つの開口(以下、これらの開口をそれぞれ「第31側壁開口」、「第32側壁開口」という。)Os31,Os32が形成されている。なお、第31側壁開口Os31および第32側壁開口Os32は、電動機115から生じる熱を外部に排出する役割を担っている。溝形成壁部113Eは、
図12に示されるように一対の対向する平行な平板状の壁部位であって、
図11および
図12に示されるように、部分囲い壁部113Cの端部から第3側壁部113Dの外側面に沿って下方に向かって延びるように形成されている。すなわち、部分囲い壁部113Cと第3口部113bとの間の空間に流入する液状物は、この溝形成壁部113Eの溝を通って下方へと流れることになる。垂直リブ113Fは、
図12に示されるように第31側壁開口Os31と第32側壁開口Os32との間に位置する第3側壁部113Dの部位から外方に向かって延びており、第31側壁開口Os31から流出する排気の排出経路と、第32側壁開口Os32から流出する排気の排出経路とを部分的に分離している。回路保護装置保持部113Gは、回路保護装置121を保持する部位であって、第31側壁開口Os31の一部を覆うように配設されている。
【0030】
(1-4)第1環状シール部材
第1環状シール部材114は、ゴムやエラストマーからなる略円環状の弾性部材である。そして、この第1環状シール部材114の外周部位には等間隔に切り欠き(図示せず)が形成されている。そして、この第1環状シール部材114は、
図3および
図4に示されるように電動機カバー112のシール部材保持部112Dの円環溝に嵌め込まれると共に、内ケース113の上側部分の内周面に部分的に当接している。すなわち、電動機カバー112の外周面と内ケース113の内周面との間に形成される空間は、第1環状シール部材114によって上下に分けられることになるが、上側の空間と下側の空間は第1環状シール部材114の切り欠きを介して連通することになる。
【0031】
(1-5)電動機
電動機115は、
図3および
図4に示されるように、インナーロータ型の両軸電動機であって、上述の通り、電動機カバー112に収容されており、本体110の筐体111の中央付近に配設されている。そして、この電動機115は、
図4に示されるように可変抵抗器VRに接続されており、その可変抵抗器VRのツマミが回転操作されることによってその回転速度が制御される。なお、
図4に示されるように、可変抵抗器VRのツマミに操作ノブ12が取り付けられている。
【0032】
(1-6)上側駆動シャフト
上側駆動シャフト116Aは、
図3および
図4に示されるように、電動機115の回転子の上端から上方に向かって延びている。そして、この上側駆動シャフト116Aの上端部は、駆動側カップリング117の軸受け部117Aの内側に挿通されて締結されている。
【0033】
(1-7)下側駆動シャフト
下側駆動シャフト116Bは、
図3および
図4に示されるように、電動機115の回転子の下端から下方に向かって延びている。そして、
図8および
図9に示されるように、この下側駆動シャフト116Bの下端部は、冷却ファン118のファン118Aの回転中心に接合されている。
【0034】
(1-8)駆動側カップリング
上述の通り、駆動側カップリング117には軸受け部117Aが設けられており、この軸受け部117Aに上側駆動シャフト116Aの上端部が挿入されて締結されている。そして、この駆動側カップリング117は、ミキサー100が組み立てられた状態において本体側の上側駆動シャフト116とカップ側の従動シャフト151eとを連結する役割を担う(
図3および
図4参照)。
【0035】
(1-9)冷却ファン
冷却ファン118は、軸流ファンであって、
図8および
図9に示されるように、主に、ファン118A、ファン筐体118Bおよび取付翼部118Cから構成されている。ファン118Aは、回転可能なようにファン筐体118Bに組み込まれている。そして、このファン118Aの回転中心には、上述の下側駆動シャフト116Bが接合されている。すなわち、電動機115が駆動されると、下側駆動シャフト116Bを介してその回転動力がファン118Aに伝達され、その結果、ファン118Aが回転される。ファン筐体118Bは、上述の通り、ファン118Aを回転可能に軸支している。取付翼部118Cは、冷却ファン118を電動機カバー112のフランジ部112Eに取り付けるための部位であって、
図8および
図9に示されるようにファン筐体118Bから外側に向かって延びている。そして、上述の通り、この冷却ファン118は、取付翼部118Cを介して電動機カバー112のフランジ部112Eの下側に取り付けられている。また、
図8および
図9に示されるように、ファン筐体118Bの下面には、第2環状シール部材SL2を介して底壁部材111Bの円筒壁部111gが密接している。なお、ここで、第2環状シール部材SL2は、ゴムやエラストマーからなる略円環状の弾性部材である。すなわち、ファン118Aが回転すると、外部の空気が給気通路Ps、給気口Msおよび円筒壁部111gの内部を通ってファン118Aに吸い込まれ、電動機115に供給されることになる。そして、電動機115に供給された空気は、電動機115から発せられる熱を奪って電動機115を冷却すると共に、加熱されることになる。
【0036】
(1-10)調芯プランジャー
調芯プランジャー119は6つ存在しており、各調芯プランジャー119は、
図5および
図13に示されるように円筒壁部Wcの調芯プランジャー収容部Rpに配設されている。なお、この調芯プランジャー119は、上述した通り、円筒壁部Wcの半径方向に沿って延びるレール部RL(
図13参照)に沿って出没可能なように収容されている。調芯プランジャー119は、
図14に示されるように、主に、プランジャー本体119Aおよびコイルバネ119Bから構成されている。プランジャー本体119Aは、
図14に示されるように、角板部119a、部分球状突起部119bおよびコイルバネ取付突起部119cから形成されている。部分球状突起部119bは、
図14に示されるように角板部119aの表側に形成されている。なお、この部分球状突起部119bは、後述するカップ150の下側円筒壁部(後述)151cに形成される角溝(後述)Grの溝幅よりもわずかに大きく形成されている。すなわち、カップ150が本体110に装着された状態では、部分球状突起部119bは角溝Grに完全に嵌まり込むことなく、その一部だけが角溝Grの角部に当接することになる。コイルバネ取付突起部119cは、
図14に示されるように角板部119aの裏側から後方に向かって延びている。コイルバネ119Bは、プランジャー本体119Aのコイルバネ取付突起部119cの外側に嵌め込まれており、プランジャー本体119Aを円筒壁部Wcの筒軸に向かって付勢している。
【0037】
(1-11)操作ノブ
操作ノブ120は、
図1および
図2に示されるように、本体110の筐体111の正面側の第1側壁部111a上に1つ設けられている。上述の通り、この操作ノブ120には、可変抵抗器VRのツマミが取り付けられている。すなわち、使用者がこの操作ノブ120を回転させると可変抵抗器VRの抵抗値が変化し、その結果、電動機115の回転速度が変化させられる。
【0038】
(1-12)回路基板
回路基板は、筐体111の内部に収容されており、制御線等を介して電動機115、可変抵抗器VR、回路保護装置121および本体側安全機構122等に接続されると共に、電気プラグコード123にも接続されている。
【0039】
(1-13)回路保護装置
回路保護装置121は、いわゆるサーキットプロテクターであって電動機115に接続される電気配線に過電流が生じたり、電気配線の短絡によって過負荷が生じたりしたときに自動で過電流を遮断する装置であって、内ケース113の回路保護装置保持部113Gに保持されている。
【0040】
(1-14)本体側安全機構
本体側安全機構122は、
図3に示されるように、主に、本体側上下移動バー122A、コイルバネ(図示せず)、マイクロスイッチ122Bから構成されている。本体側上下移動バー122Aは、筐体111の本体側安全機構収容部111lの内部に上下移動自在に収容されている。また、この本体側上下移動バー122Aは、コイルバネによって上方に向かって付勢されている。マイクロスイッチ122Bは、本体側上下移動バー122Aの下方に配置されている。そして、本体側上下移動バー122Aがコイルバネの付勢力によって上方に押し上げられている状態では、マイクロスイッチ122Bがオフ状態となっている。このため、この状態では、操作ノブ120が操作されても、ミキサー100は全く動作しない。その一方、本体側上下移動バー122Aがコイルバネの付勢力に逆らって下方に押し下げられると、マイクロスイッチ122Bがオン状態となる。そして、マイクロスイッチ122Bがオン状態となると、操作ノブ120の回転操作によりミキサー100が動作可能な状態となる。
【0041】
(1-15)電気プラグコード
電気プラグコード123は、
図10に示されるように、主に、電気コード123Aおよびプラグ123Bから構成されている。電気コード123Aは、一端が回路基板に接続されており、もう一端がプラグ123Bに接続されている。プラグ123Bは、外部電源のソケットに対して抜き差し可能となっている。
【0042】
(2)カップ
カップ150は、
図1~
図4および
図15に示されるように、主に、カップ本体151、取っ手152およびカップ側安全機構153から構成される。以下、これらの構成要素について詳述する。
【0043】
(2-1)カップ本体
カップ本体151は、
図3および
図4に示されるように、主に、側壁部材151A、カッター付き底壁部材151B、第3環状シール部材SL3およびカップ側安全機構収容部151Cから構成されている。以下、これらの構成要素について詳述する。
【0044】
(2-1-1)側壁部材
側壁部材151Aは、ガラス製または樹脂製の筒状成形体であって、主に、本体部151a、底隅部151bおよび下側円筒壁部151cから形成されている。なお、
図3に示される通り、この側壁部材151Aには、底壁が存在しない。この側壁部材151Aは、下側円筒壁部151cにカッター付き底壁部材151Bが装着されることによって初めて容器として機能する。
【0045】
ところで、本体部151aは、
図1、
図3および
図15に示されるように、略逆切頭円錐筒形状を呈している。なお、この本体部151aの下端面は平坦な円環状面となっている。そして、この本体部151aには、
図1、
図3および
図15に示されるように、注ぎ口Mpが形成されており、その注ぎ口Mpの逆側にカップ側安全機構収容部151Cが一体的に取り付けられている。本体部151aおよび底隅部151bには、攪拌リブおよび排気通路として機能する凹部REが形成されている(
図1、
図3および
図15参照)。ところで、この凹部REは、
図1、
図3および
図15に示されるように斜め上方に向かって延びるように形成されている。そして、この凹部REは、カップ150が本体110に装着された状態において筐体111の円筒台座部111c内の円筒形内部空間Scと連通するようにその奥行が設計されている。底隅部151bは、略円環状を呈する部位であって、
図3に示されるように本体部151aの下端付近から内側に向かうに従って下方に延びている。下側円筒壁部151cは、底隅部151bの内端付近から下方に向かって延びる略円筒形状の壁部位であって、その内側に雌ネジが形成されている。また、
図15に示されるように、この下側円筒壁部151cの外周には嵌込リブRyが配設されており、下側円筒壁部151cの外周面には角溝Grが形成されている。嵌込リブRyは、
図15に示されるように下側円筒壁部151cの外周面に等間隔に3つ形成されており、カップ150が本体110に装着される際、筐体111の本体部材111Aの3つの角柱凹部Rrに嵌まり込む。角溝Grは、
図15に示されるように下側円筒壁部151cの嵌込リブRyの間の下部において周方向に沿って形成されている。
【0046】
(2-1-2)カッター付き底壁部材
カッター付き底壁部材151Bは、
図15および
図16に示されるように、主に、回転刃151d、従動シャフト151e、従動側カップリング151f、軸受151g、軸受け収容壁151h、翼部151i、円筒部151j、円環部151k、雄ネジ部151lおよび下端部151mから構成されている。
【0047】
回転刃151dは、金属製の刃物であって、調理対象物を破砕しながら混合する役目を担っている。そして、
図16に示されるように、この回転刃151dの回転中心には従動シャフト151eが締結されている。従動シャフト151eは、先の説明の通り、回転刃151dの回転中心に締結されており、
図16に示されるように軸受151gによって軸が上下方向に沿うように支持されている。従動側カップリング151fは、
図16に示されるように従動シャフト151eの下端部に取り付けられており、カップ150が本体110に装着された状態において、駆動側カップリング117と噛み合って連結される(
図3および
図16等参照。)。したがって、カップ150が本体110に装着された状態において、電動機115が駆動されると、その回転動力が上側駆動シャフト116A、駆動側カップリング117および従動側カップリング151fを介して従動シャフト151eに伝達される。そして、その結果、回転刃151dが回転される。軸受151gは、特に限定されないが、例えば、滑り軸受や転がり軸受等であって、
図16に示されるように軸受け収容壁内に上下に一つずつ配設されている。そして、この軸受151gには、従動シャフト151eが回転自在に保持されている。軸受け収容壁151hは、
図16に示されるように上下2つの軸受151gを収容している。翼部151iは、
図16に示されるように、軸受け収容壁151hの高さ方向中央部から外周側に向かって広がっている。なお、この翼部151iは、切頭円錐筒形状を呈している。すなわち、断面視において、この翼部151iは、軸受け収容壁151hから外周側へ向かうに従って下方に傾斜している(
図16参照)。円筒部151jは、円筒形状を呈する部位であって、
図16に示されるように翼部151iの外周端部から下方に向かって延びている。円環部151kは、円環形状を呈する部位であって、
図16に示されるように円筒部151jの下端から外周側に向かって略水平方向に広がっている。雄ネジ部151lは、
図16に示されるように円環部151kの外周端部から下方に向かって延びている。そして、この雄ネジ部151lには外側に雄ネジが形成されている。下端部151mは、円筒形状を有する部材であって、雄ネジ部151lの下端から外周側に向かって僅かに延びた後に下方に向かって延びている。
【0048】
(2-1-3)第3環状シール部材
第3環状シール部材SL3は、ゴムやエラストマーからなる略円環状の弾性部材であって、
図6に示されるように側壁部材151Aの底隅部151bの内側端部と、カッター付き底壁部材151Bの円環部151kとに密着している。
【0049】
(2-1-4)カップ側安全機構収容部
カップ側安全機構収容部151Cは、
図1および
図3に示されるように側壁部材151Aの本体部151aの注ぎ口Mpの逆側に形成されており、側壁部材151Aの本体部151aと一体とされている。そして、このカップ側安全機構収容部151Cには、
図3に示されるようにカップ側安全機構153が収容されている。また、
図1および
図3に示されるように、このカップ側安全機構収容部151Cの上端部に取っ手152が一体的に取り付けられている。
【0050】
(2-2)取っ手
取っ手152は、上述の通り、カップ側安全機構収容部151Cの上端部に取り付けられている(
図1~
図3参照)。
【0051】
(2-3)カップ側安全機構
カップ側安全機構153は、上述の通り、カップ側安全機構収容部151Cに収容されている(例えば、
図3参照。)。このカップ側安全機構153は、
図3に示されるように、主に、カップ側上下移動バー153A、コイルバネ153Bおよび押し具153Cから構成されている。カップ側上下移動バー153Aは、カップ側安全機構収容部151Cの内部に上下移動自在に収容されている。また、このカップ側上下移動バー153Aの上端部には押し具153Cが取り付けられている。コイルバネ153Bは、押し具153Cを上方に向かって付勢している。すなわち、カップ側上下移動バー153Aも押し具153Cと同様にコイルバネ153Bによって上方に向かって付勢されていることになる。押し具153Cは、先の説明の通り、カップ側上下移動バー153Aの上端部に取り付けられている。そして、この押し具153Cは、蓋体160がカップ150に装着された際、蓋体160の突起部164によって押し下げられる。そして、蓋体160がカップ150に装着されていない状態では、カップ側上下移動バー153Aがコイルバネ153Bの付勢力によって上方に押し上げられており、本体側上下移動バー122Aを下方に押し下げることがない。このため、この状態では、本体側安全機構122のマイクロスイッチ122Bがオフ状態となっている。このため、この状態では、操作ノブ120が操作されても、ミキサー100は全く作動しない。その一方、蓋体160がカップ150に装着された状態では、カップ側安全機構153の押し具153Cが蓋体160の突起部164によって押し下げられ、その結果、カップ側上下移動バー153Aがコイルバネ153Bの付勢力によって下方に押し上げられる。そして、カップ側上下移動バー153Aがコイルバネ153Bの付勢力に逆らって下方に押し下げられると、カップ側上下移動バー153Aが本体側上下移動バー122Aに当接して本体側上下移動バー122Aをコイルバネの付勢力に逆らって下方に押し下げる。その結果、マイクロスイッチがオン状態となる。そして、マイクロスイッチがオン状態となると、操作ノブ120の回転操作によりミキサー100が作動可能な状態となる。
【0052】
(3)蓋体
蓋体160は、
図3に示されるように、主に、蓋本体部161、円筒壁部162、給排気口部163および突起部164から構成される。蓋本体部161は、
図1~
図4および
図15に示されるように円盤部位161A、注ぎ口閉塞部位161Bおよび延設部位161Cから形成されている。円盤部位161Aは、略円盤形状を有する板状部位である。注ぎ口閉塞部位161Bは、
図2に示されるように平面視において円盤部位161Aから僅かに突出する部位であって、蓋体160がカップ150に装着された状態において側壁部材151Aの本体部151aの注ぎ口Mpを覆う。延設部位161Cは、注ぎ口閉塞部位161Bの反対側において円盤部位161Aから注ぎ口閉塞部位161Bの延設方向と逆方向に向かって延びている。円筒壁部162は、
図3に示されるように蓋本体部161の円盤部位161Aの外周近傍の下面から下方に向かって延びている。そして、この円筒壁部162の外周には、
図3および
図4に示されるように第4環状シール部材SL4が配設されている。給排気口部163は、
図3および
図4に示されるように蓋本体部161の中央部分に形成されており、略円筒形状を呈している。そして、
図3および
図4に示されるように、この給排気口部163には貫通孔Boが形成されている。この貫通孔Boが、蓋体160の開け閉め時の空気の給気口または排気口として機能する。突起部164は、
図3に示されるように延設部位161Cの下面から下方に向かって延びている。そして、蓋体160がカップ150に装着されると、突起部164は、カップ側安全機構153のカップ側上下移動バー153Aに当接してカップ側上下移動バー153Aを押し下げる。
【0053】
<ミキサーの組立の例>
先ず、カッター付き底壁部材151Bの円環部151kの上に第3環状シール部材SL3を配設した後に、側壁部材151Aにカッター付き底壁部材151Bを螺合してカップ150をつくる。
【0054】
次に、上述の通りにして組み立てられたカップ150の下側円筒壁部151cおよび下端部151mを円筒台座部111cの内側に挿入して、カップ150を本体110に載置する。そして、このとき、嵌込リブRyが筐体111の本体部材111Aの3つの角柱凹部Rrに嵌まり込むと共に、調芯プランジャー119の部分球状突起部119bがカップ150の下側円筒壁部151cの角溝Grに嵌まり込む。また、調芯プランジャー119の部分球状突起部119bがカップ150の下側円筒壁部151cの角溝Grに嵌まり込む際、「カチッ」というクリック音が鳴る。
【0055】
<ミキサーの動作>
先ず、上述のようにして組み立てられた蓋なし状態のミキサー100のカップ150内に飲食材料を投入した後、カップ150に蓋体160を装着する。すると、蓋体160の突起部164によりカップ側安全機構153のカップ側上下移動バー153Aがコイルバネ153Bの付勢力に逆らって押し下げられる。その結果、本体110の本体側安全機構122のカップ側上下移動バー153Aがコイルバネの付勢力に逆らって押し下げられ、マイクロスイッチがオン状態となる。この状態で操作ノブ120が回転操作されると、電動機115により回転刃151dが、操作ノブ120の回転角度に応じた速度で回転して、カップ150内の飲食材料を切断・せん断すると共に混合する。なお、このとき、調芯プランジャー119によって駆動側カップリング117の軸芯と従動側カップリング151fの軸芯との調芯が行われる。
【0056】
<電動機の排熱処理>
上述の通り、使用者による操作ノブの回転操作により電動機115が動作し出すと、回転刃151dが回転し出すと共に、ファン118Aが回転し出す。そして、ファン118Aが回転すると、外部の空気が給気通路Ps、給気口Msおよび円筒壁部111gの内部を通ってファン118Aに吸い込まれ、電動機115に供給される。電動機115に供給された空気は、電動機115から発せられる熱を奪って電動機115を冷却すると共に、自身が加熱される。そして、その加熱された空気(以下「加熱空気」という。)の一部は、a1)電動機カバー112の第2天壁開口Ou2と上側駆動シャフト116Aとの隙間、a2)電動機カバー112の第2口部112Bと上側駆動シャフト116Aとの隙間、a3)内ケース113の第3天壁開口Ou3と上側駆動シャフト116Aとの隙間、a4)内ケース113の第3口部113Bと駆動側カップリング117との隙間、a5)筐体111の円筒台座部111c内の円筒形内部空間Scを通って、a6)透明カバー111Eの突起部Prによって形成される透明カバー111Eと、カップ150の側壁部材151Aの本体部151aの下端面との隙間、および、a7)側壁部材151Aの凹部REから外部へ排出される。
【0057】
また、加熱空気の他の一部は、b1)電動機カバー112の第2側壁開口Os2、b2)第1環状シール部材114の切り欠き、b3)第1環状シール部材114よりも上側の電動機カバー112の部位と、第1環状シール部材114よりも上側の内ケース113の部位との隙間を通って、a2)電動機カバー112の第2口部112Bと上側駆動シャフト116Aとの隙間に流れる加熱空気と合流した後、上述のa3)~a5)の経路を通ってa6)透明カバー111Eの突起部Prによって形成される透明カバー111Eと、カップ150の側壁部材151Aの本体部151aの下端面との隙間、および、a7)側壁部材151Aの凹部REから外部へ排出される。
【0058】
さらに、加熱空気の他の一部は、b1)電動機カバー112の第2側壁開口Os2、c1)第1環状シール部材114よりも下側の電動機カバー112の部位と、第1環状シール部材114よりも下側の内ケース113の部位との隙間、c2)内ケース113の第3側壁部113Dの第31側壁開口Os31および第32側壁開口Os32を通って底壁部材111Bの排気口Meから外部へ排出される。
【0059】
<本体に液状物が浸入した場合の液状物の流れ>
例えば、水洗時の水や、カップ150中の液状調理物が漏れ出た際の漏出物が、筐体111の円筒台座部111c内の円筒形内部空間Scに浸入してきた場合、その水や漏出物(以下「液状物」とまとめる。)は、駆動側カップリング117に落ちた後に駆動側カップリング117を伝って、または、第1天壁部111bに落ちて直接に、第1天壁開口Ou1に浸入する。第1天壁開口Ou1に浸入した液状物は、その後、内ケース113の部分囲い壁部113Cと第3口部113bとの間の空間に落下した後、溝形成壁部113Eの溝を通って下方へと流れて、筐体111の底壁部材111Bの第1排水部111jおよび第2排水部111kから排出される。
【0060】
また、第1天壁開口Ou1に浸入した液状物が、駆動側カップリング117の軸受け部117Aを伝って、第3天壁開口Ou3と上側駆動シャフト116Aとの隙間に浸入することがあり得るが、かかる場合、その液状物は、電動機カバー112の第2天壁部112Aのうち第2天壁開口Ou2よりも外側部分に落下した後(これは、駆動側カップリング117の軸受け部117Aの径が、第2天壁部112Aの第2天壁開口Ou2の径よりも大きいため。)、b3)第1環状シール部材114よりも上側の電動機カバー112の部位と、第1環状シール部材114よりも上側の内ケース113の部位との隙間、b2)第1環状シール部材114の切り欠き、c1)第1環状シール部材114よりも下側の電動機カバー112の部位と、第1環状シール部材114よりも下側の内ケース113の部位との隙間を流れて、筐体111の底壁部材111Bの第1排水部111jおよび第2排水部111kから排出される。
【0061】
<本発明の実施の形態に係るミキサーの特徴>
【0062】
(1)
本発明の実施の形態に係るミキサー100では、電動機115の周辺空間が第1天壁開口Ou1を介して、「本体110の透明カバー111Eの突起部Pr」と「カップ150の側壁部材151Aの本体部151aの下端面」との間に形成される隙間に連通している。また、このミキサー100では、電動機115の周辺空間が第1天壁開口Ou1を介して、カップ150の側壁部材151Aに形成される凹部REにも連通しており、その凹部REが斜め上方に向かって延びるように形成されている。このため、このミキサー100では、電動機115から生じた熱で温められた空気が移動しやすい上方からその空気を排出することができる。したがって、このミキサー100では、費用や、電動機周りの設計に制限がある場合であっても、比較的容易に電動機115から生じる熱の排出効率を向上させることができる。
【0063】
(2)
本発明の実施の形態に係るミキサー100では、カップ150の側壁部材151Aに形成される凹部REが、カップ150の側壁部材151Aの内側に向かう凸部となり、調理対象物の攪拌を補助するリブとして機能する。このため、このミキサー100では、調理対象物の撹拌効率を向上させることができる。
【0064】
(3)
本発明の実施の形態に係るミキサー100では、加熱空気の一部は、b1)電動機カバー112の第2側壁開口Os2、b2)第1環状シール部材114の切り欠き、b3)第1環状シール部材114よりも上側の電動機カバー112の部位と、第1環状シール部材114よりも上側の内ケース113の部位との隙間を通って、a2)電動機カバー112の第2口部112Bと上側駆動シャフト116Aとの隙間に流れる加熱空気と合流した後、上述のa3)~a5)の経路を通ってa6)透明カバー111Eの突起部Prによって形成される透明カバー111Eと、カップ150の側壁部材151Aの本体部151aの下端面との隙間、および、a7)側壁部材151Aの凹部REから外部へ排出される。このため、このミキサー100では、電動機115から生じる熱で温められた空気が、電動機カバー112と内ケース113との隙間に移動した場合であっても、その空気は、第1環状シール部材114の切り欠きを通って、「本体110の透明カバー111Eの突起部Pr」と「カップ150の側壁部材151Aの本体部151aの下端面」との間に形成される隙間から排出される。このため、筐体111の内部に電動機カバー112および内ケース113を配設した場合であっても電動機115から生じる熱を効率よく外部へ排出することができる。
【0065】
(4)
本発明の実施の形態に係るミキサー100では、円筒壁部111gが給気口形成部111fの外周縁部から冷却ファン118の下面近傍まで延びており、冷却ファン118と円筒壁部111gとに第2環状シール部材SL2が密着している。また、このミキサー100では、底面視において給気経路形成壁部111eの外側に排気口Meが形成されている。このため、このミキサー100では、筐体111の内部において電動機115への給気が排気と混ざることを防ぐことができる。したがって、このミキサー100では、効率よく電動機115を冷却することができる。
【0066】
<変形例>
先の実施の形態に係るミキサー100では、本体110の透明カバー111Eの上端壁部111mの上端面に突起部Prを形成することによって、「本体110の透明カバー111E」と「カップ150の側壁部材151Aの本体部151a」との間に隙間を形成したが、カップ150の側壁部材151Aの本体部151aの下端面に突起部を形成することによって同隙間を形成するようにしてもよいし、「本体110の透明カバー111Eの上端壁部111mの上端面」および「カップ150の側壁部材151Aの本体部151aの下端面」の両方に突起部を形成して同隙間を形成するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0067】
100 :ミキサー(回転式破砕混合調理器)
110 :本体
111 :筐体
111b :天壁部
111d :底壁本体部
111f :給気口形成部(給排気分離構造)
111g :円筒壁部(給排気分離構造)
111m :上端壁部(載置部位)
112 :電動機カバー(第1電動機収容体)
112C :第2側壁部(側壁部)
113 :内ケース(第2電動機収容体)
113D :第3側壁部(側壁部)
114 :第1環状シール部材(密着部材)
115 :電動機
116A :上側駆動シャフト(回転軸)
150 :カップ(容器)
151a :本体部(被載置部位)
151b :底隅部(底壁部)
151d :回転刃
151e :従動シャフト(回転軸)
151i :翼部(底壁部)
Me :排気口
Ms :給気口
Ou1 :第1天壁開口(開口)
Pr :突起部(隙間形成部位)
RE :凹部