(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-01-31
(45)【発行日】2023-02-08
(54)【発明の名称】エアフィルター清掃装置、ショーケース及び空気調和機
(51)【国際特許分類】
F25D 19/00 20060101AFI20230201BHJP
F24F 1/0073 20190101ALI20230201BHJP
A47F 3/04 20060101ALI20230201BHJP
B01D 46/10 20060101ALI20230201BHJP
F24F 8/90 20210101ALI20230201BHJP
【FI】
F25D19/00 560C
F24F1/0073
A47F3/04 Z
B01D46/10 A
F24F8/90 140
F24F8/90 110
(21)【出願番号】P 2018172721
(22)【出願日】2018-09-14
【審査請求日】2021-09-13
(73)【特許権者】
【識別番号】391044797
【氏名又は名称】株式会社コーワ
(74)【代理人】
【識別番号】100130074
【氏名又は名称】中村 繁元
(72)【発明者】
【氏名】横山 広
(72)【発明者】
【氏名】桑原 龍也
(72)【発明者】
【氏名】森 伸彦
(72)【発明者】
【氏名】小出 剛之
【審査官】西山 真二
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-043264(JP,A)
【文献】特開2009-270820(JP,A)
【文献】特開2014-020772(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01D 46/10
F25D 19/00
A47F 3/04
F24F 1/0073
F24F 1/035
F24F 8/90
F24F 13/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
エアフィルターと、
回転軸とブラシ体とを備えた回転清掃体と、
ダストボックスと、
除塵体とを有し、
前記エアフィルターは、前記回転清掃体と当接する位置に設置され、
前記ダストボックスは、前記回転清掃体の前記ブラシ体から吐き出された塵埃を受けるように
開口を有して形成され、
前記除塵体は、略板状であって、前記回転清掃体に付着した塵埃を掻き取るように当接して前記ダストボックス内に形成されているエアフィルター清掃装置において、
前記回転清掃体の長手方向が略鉛直方向と一致するように設置されるものであって、
前記ダストボックスの内壁面と前記除塵体の側面の延長面との交差部において、前記内壁面と前記延長面との成す角が鈍角となるように形成されていると共に、
前記内壁面は、前記回転清掃体の長手方向と略平行であって、且つ前記開口の一端から他端に向けて塵埃を移送するための連続する凹の曲面又は屈曲角度が90度未満となる多面体の面で形成されていることを特徴とするエアフィルター清掃装置。
【請求項2】
エアフィルターと、
回転軸とブラシ体とを備えた回転清掃体と、
ダストボックスと、
除塵体とを有し、
前記エアフィルターは、前記回転清掃体と当接する位置に設置され、
前記ダストボックスは、前記回転清掃体の前記ブラシ体から吐き出された塵埃を受けるように形成され、
前記除塵体は、略板状であって、前記回転清掃体に付着した塵埃を掻き取るように当接して前記ダストボックス内に形成されているエアフィルター清掃装置において、
前記回転清掃体の長手方向が略鉛直方向と一致するように設置されるものであって、
前記ダストボックスの内壁面は、
前記回転清掃体の長手方向と略平行であって、且つ前記除塵体の側面の延長面との交差部から、前記エアフィルターに対する垂直面を越えて前記除塵体側へ向かう面が形成されるまで、凹の曲面又は、屈曲角度が90度未満となる多面体の面で形成されていることを特徴とするエアフィルター清掃装置。
【請求項3】
エアフィルターと、
回転軸とブラシ体とを備えた回転清掃体と、
ダストボックスと、
除塵体とを有し、
前記エアフィルターは、前記回転清掃体と当接する位置に設置され、
前記ダストボックスは、前記回転清掃体の前記ブラシ体から吐き出された塵埃を受けるように形成され、
前記除塵体は、略板状であって、前記回転清掃体に付着した塵埃を掻き取るように当接して前記ダストボックス内に形成されているエアフィルター清掃装置において、
前記回転清掃体の長手方向が略鉛直方向と一致するように設置されるものであって、
前記ダストボックスの内壁面は、
前記回転清掃体の長手方向と略平行であって、且つ前記エアフィルターとの最近部から、前記除塵体の頂部を含み前記エアフィルターのフィルター面に対して平行な仮想面との交差位置に至るまで、凹の曲面又は屈曲角度が90度未満となる多面体の面にて形成されていることを特徴とするエアフィルター清掃装置。
【請求項4】
架台内に設けられた凝縮器と、該凝縮器に空気を送る送風ファンと、
前記凝縮器の前面に配置し請求項1~3のいずれか1項に記載のエアフィルター清掃装置と、を備えたことを特徴とするショーケース。
【請求項5】
空気吸入口から吸入した空気を空気吹出口に導く風路を有する本体と、該本体内に、送風ファンと、請求項1~3のいずれか1項に記載のエアフィルター清掃装置と、を備えたことを特徴とする空気調和機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エアフィルターを清掃する回転清掃体を備えたエアフィルター清掃装置と、このエアフィルター清掃装置を備えたショーケース及び空気調和機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、ショーケース等の内部に設置され、エアフィルターに付着している塵埃等を除去するエアフィルター清掃装置が知られている(特許文献1)。
【0003】
特許文献1のエアフィルター清掃装置は、凝縮器の前面に配置され左右方向に移動が可能なエアフィルターが通過する位置に設置され、回転ブラシがエアフィルターに当接してエアフィルターに付着している塵埃を除去すると共に、回転ブラシに付着した塵埃は、凹凸形状を有する除塵部により剥離し、自重で落下した塵埃は吸引管から吸引部へと移動させる構成としている。また、その他の塵埃は、清掃動作の復路時に回転ブラシによりエアフィルター側に移動させると共に、回転ブラシの回転で塵埃が丸くなることによって吸着力を低下させ、エアフィルターに接触した際に落下させる構成としている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特許文献1に記載のエアフィルター清掃装置は、エアフィルター側に移動した際の塵埃が回転ブラシの押圧を受けることにより、エアフィルターに再付着して除塵効率が低下するという課題を有していた。また、エアフィルターに接触した際に塵埃が落下した場合には、吸引管から吸引部へと塵埃を移動させる必要があることから、メンテナンス頻度が高まるといる課題を有していた。
【0006】
本発明は、前記従来の課題を解決するものであり、エアフィルターに付着した塵埃を除去すると共に、一旦除去した塵埃をダストボックス内に効率的に捕集することによって、エアフィルターに再付着することを抑制し、メンテナンス頻度を抑えることができるエアフィルター清掃装置と、このエアフィルター清掃装置を備えたショーケース及び空気調和機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記従来の課題を解決するために、請求項1のエアフィルター清掃装置の発明は、エアフィルターと、回転軸とブラシ体とを備えた回転清掃体と、ダストボックスと、除塵体とを有し、前記エアフィルターは、前記回転清掃体と当接する位置に設置され、前記ダストボックスは、前記回転清掃体の前記ブラシ体から吐き出された塵埃を受けるように開口を有して形成され、前記除塵体は、略板状であって、前記回転清掃体に付着した塵埃を掻き取るように当接して前記ダストボックス内に形成されているエアフィルター清掃装置において、前記回転清掃体の長手方向が略鉛直方向と一致するように設置されるものであって、前記ダストボックスの内壁面と前記除塵体の側面の延長面との交差部において、前記内壁面と前記延長面との成す角が鈍角となるように形成されていると共に、前記内壁面は、前記回転清掃体の長手方向と略平行であって、且つ前記開口の一端から他端に向けて塵埃を移送するための連続する凹の曲面又は屈曲角度が90度未満となる多面体の面で形成されていることを特徴としている。
【0008】
請求項1の発明では、ダストボックス内の塵埃に加わる内壁面からの抵抗が軽減されると共に、塵埃が圧縮されながら湾曲状にクセづけされることで、ダストボックス内で蜷局を巻くこととなり、効率よく収容できるので、エアフィルターに再付着することを抑制し、メンテナンス頻度を抑えることができる。
【0009】
請求項2のエアフィルター清掃装置の発明は、 エアフィルターと、回転軸とブラシ体とを備えた回転清掃体と、ダストボックスと、除塵体とを有し、前記エアフィルターは、前記回転清掃体と当接する位置に設置され、前記ダストボックスは、前記回転清掃体の前記ブラシ体から吐き出された塵埃を受けるように形成され、前記除塵体は、略板状であって、前記回転清掃体に付着した塵埃を掻き取るように当接して前記ダストボックス内に形成されているエアフィルター清掃装置において、前記回転清掃体の長手方向が略鉛直方向と一致するように設置されるものであって、前記ダストボックスの内壁面は、前記回転清掃体の長手方向と略平行であって、且つ前記除塵体の側面の延長面との交差部から、前記エアフィルターに対する垂直面を越えて前記除塵体側へ向かう面が形成されるまで、凹の曲面又は、屈曲角度が90度未満となる多面体の面で形成されていることを特徴としている。
【0010】
請求項2の発明では、ダストボックス内の塵埃に加わる内壁面からの抵抗が除塵体側に戻り始めるまで軽減されるので、塵埃が徐々に圧縮されながらダストボックス内で蜷局を巻くこととなり、効率よく収容できるので、メンテナンス頻度を抑えることができる。
【0011】
請求項3のエアフィルター清掃装置の発明は、 エアフィルターと、回転軸とブラシ体とを備えた回転清掃体と、ダストボックスと、除塵体とを有し、前記エアフィルターは、前記回転清掃体と当接する位置に設置され、前記ダストボックスは、前記回転清掃体の前記ブラシ体から吐き出された塵埃を受けるように形成され、前記除塵体は、略板状であって、前記回転清掃体に付着した塵埃を掻き取るように当接して前記ダストボックス内に形成されているエアフィルター清掃装置において、前記回転清掃体の長手方向が略鉛直方向と一致するように設置されるものであって、前記ダストボックスの内壁面は、前記回転清掃体の長手方向と略平行であって、且つ前記エアフィルターとの最近部から、前記除塵体の頂部を含み前記エアフィルターのフィルター面に対して平行な仮想面との交差位置に至るまで、凹の曲面又は屈曲角度が90度未満となる多面体の面にて形成されていることを特徴としている。
【0012】
請求項3の発明では、塵埃がダストボックス内で蜷局を巻くのに必要な長さを確保すると共に、塵埃を効率よく収容できるので、ダストボックスを大型化することなく、メンテナンス頻度を抑えることができる。
【0013】
請求項4のショーケースの発明は、架台内に設けられた凝縮器と、該凝縮器に空気を送る送風ファンと、前記凝縮器の前面に配置し請求項1~3のいずれかのエアフィルター清掃装置と、を備えたことを特徴としている。したがって、ショーケースに設置されたエアフィルター清掃装置において塵埃の収容効率を高めることができ、ダストボックスに溜まった塵埃の取り出し回数を減らすことができる。
【0014】
請求項5の空気調和機の発明は、空気吸入口から吸入した空気を空気吹出口に導く風路を有する本体と、該本体内に、送風ファンと、請求項1~3のいずれかのエアフィルター清掃装置と、を備えたことを特徴としている。したがって、空気調和機に設置されたエアフィルター清掃装置において塵埃の収容効率を高めることができ、ダストボックスに溜まった塵埃の取り出し回数を減らすことができる。
【発明の効果】
【0015】
請求項1のエアフィルター清掃装置の発明は、ダストボックス内の塵埃に加わる内壁面からの抵抗が軽減されると共に、塵埃が圧縮されながら湾曲状にクセづけされることで、ダストボックス内で蜷局を巻くこととなり、効率よく収容できるので、エアフィルターに再付着することを抑制し、メンテナンス頻度を抑えることができる。また、請求項2のエアフィルター清掃装置の発明は、ダストボックス内の塵埃に加わる内壁面からの抵抗が除塵体側に戻り始めるまで軽減されるので、塵埃が徐々に圧縮されながらダストボックス内で蜷局を巻くこととなり、効率よく収容できるので、メンテナンス頻度を抑えることができる。また、請求項3のエアフィルター清掃装置の発明は、塵埃がダストボックス内で蜷局を巻くのに必要な長さを確保すると共に、塵埃を効率よく収容できるので、ダストボックスを大型化することなく、メンテナンス頻度を抑えることができる。
【0016】
請求項4のショーケースの発明は、ショーケースに設置されたエアフィルター清掃装置において塵埃の収容効率を高めることができ、ダストボックスに溜まった塵埃の取り出し回数を減らすことができる。また、請求項5の空気調和機の発明は、空気調和機に設置されたエアフィルター清掃装置において塵埃の収容効率を高めることができ、ダストボックスに溜まった塵埃の取り出し回数を減らすことができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】(a)本発明に係るショーケースの斜視図(b)本発明に係るエアフィルター清掃装置の斜視図
【
図4】エアフィルター清掃装置の清掃時の状態を示す正面図
【
図5】エアフィルター清掃装置の清掃時の状態を示す断面図
【
図6】(a)~(d)ダストボックス内の塵埃が蜷局を巻く過程を示すダストボックスの断面図(e)
図6(c)の一部拡大図
【
図7】(a)第2実施形態のエアフィルター清掃装置のダストボックスを示す断面図(b)第3実施形態のエアフィルター清掃装置のダストボックスを示す断面図
【
図8】(a)本発明に係る空気調和機を正面方向から視た斜視図(b)本発明に係る空気調和機を背面方向から視た斜視図
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら説明する。なお、この実施の形態によって本発明が限定されるものではない。
【0019】
図1(a)は、本発明に係るショーケースを示す斜視図であり、
図1(b)は、本発明に係るエアフィルター清掃装置の斜視図である。また、
図2は、本発明に係るショーケースの一部断面図である。これらの図を用いて本発明に係るショーケース及びエアフィルター清掃装置の概要を以下に説明する。
【0020】
本発明に係るショーケース1は、正面に開閉扉2a、2a・を備えた箱型形状のケーシング2と、ケーシング2の上部に設けられ、ケーシング2内に供給する冷気を生成する冷媒回路などを収容した架台3とで構成されている。ケーシング2は、食品などを陳列する陳列棚4と、冷媒回路で生成された冷気が吹き出される吹き出し口(図示せず)と、吹き出し口から吹き出された冷気が陳列棚4を通過後に吸い込まれる吸い込み口(図示せず)と、陳列棚4を照らすLEDランプ(図示せず)とを備えている。尚、吸い込み口から吸い込まれた冷気は冷媒回路に戻され、再び吹き出し口から吹き出される。
【0021】
架台3の前面には着脱可能な前面パネル5が取り付けられており、架台3内には冷媒回路を構成する圧縮機(図示せず)、凝縮器6、蒸発器(図示せず)と、冷媒回路や蛍光灯などの制御を行う基板を収容した電装ボックス(図示せず)とが配置されている。尚、前面パネル5の凝縮器6と対向する箇所には、凝縮器6へ外気を供給するための複数の吸気口7が形成されている。また、凝縮器6の後方には吸気口7を介して外気を凝縮器6に供給する送風ファン8が配置されている。
【0022】
前面パネル5の吸気口7と凝縮器6との間には、凝縮器6に供給される外気に含まれる塵埃を捕集するエアフィルター9と、エアフィルター9に付着した塵埃を除去する回転清掃体11と、ダストボックス12とを有するエアフィルター清掃装置10が設けられている。尚、エアフィルター清掃装置10は、
図1に示すようにケーシング2の上部に取り付ける場合と、図示しないがケーシング2の下部に取り付ける場合とがある。また、本発明に係るエアフィルター清掃装置10は、ショーケース1に替えて、冷凍庫に取り付けて使用することも可能である。
【0023】
エアフィルター清掃装置10は、清掃装置本体10aに回転清掃体11とダストボックス12が設置されており、清掃装置本体10aには、エアフィルター9の長手方向に沿って配設されたラック(図示せず)に噛み合いつつ回転するピニオンギア13aと、ピニオンギアにより回転させる駆動ギアA13b、駆動ギアB13cとが設けられている。よって、図示しないモータによってピニオンギア13aを回転させると、駆動ギアA13bが回転し一体となって清掃装置本体10aがエアフィルター9の長手方向に沿って移動する。そして、駆動ギアA13bと噛みあいながら駆動ギアB13cも回転し、連結している回転清掃体11が回転する構成としている。尚、エアフィルター9は、フィルター体9aと、フィルター体9aを複数に区画する格子枠9bとを備えている。
【0024】
図3は、清掃装置本体の斜視図であり、
図3を使用して清掃装置本体について説明する。清掃装置本体10aは、その一部がダストボックス12を構成していると共に、回転軸11aとブラシ体11bとを備えた回転清掃体11を回転自在に軸支している。また、ダストボックス12の開口部を塞ぐ開閉可能な蓋体14を備えており、蓋体14の長手方向の端部には、櫛歯状の除塵体15が設けられている。尚、
図3は、蓋体14が開いた状態を示しており、蓋体14を閉じた状態では、除塵体15が回転清掃体11のブラシ体11bにくい込むように当接した状態となる。
【0025】
ダストボックス12は、
図3に示すように、回転清掃体11のブラシ体11bから吐き出された塵埃を受けるように形成されており、内壁12aには複数の仕切り板16a、16aが設置されている。この仕切り板16aは、塵埃を回転清掃体11から遠ざける為に、回転清掃体11から離れるに従い下方に傾斜するように設置されている。尚、
図3においてダストボックス12の底面12bを傾斜させていないが、底面12bを仕切り板16aと同様に、回転清掃体11から離れるに従い下方に傾斜するように形成してもよく、この構成も本発明に含まれる。また、蓋体14にも複数の仕切り板16b,16bが設置されている。この仕切り板16bは、16aと同様に塵埃を回転清掃体11から遠ざける為に、回転清掃体11から離れるに従い下方に傾斜するように設置されており、蓋体14を閉じた状態で、仕切り板16aの側部と仕切り板16bの側部とが当接して一枚の仕切り板16となる構成としている。尚、回転清掃体11は、その長手方向が略鉛直方向に一致するように設置するが、これは塵埃が仕切り板16a上を滑り回転清掃体11から遠ざかる効果が発揮される状態を示している。また、回転清掃体11は、回転軸11aにブラシ体11bを螺旋状に巻いて形成されており、本実施例のように仕切り板16をブラシ体11bに当接させた場合は、螺旋の傾斜方向は、仕切り板16の傾斜方向と一致させることによって、回転清掃体11の回転時の抵抗を軽減させている。
【0026】
図4は、エアフィルター清掃装置の清掃時の状態を示す正面図(初期位置)であり、清掃装置本体10aが初期位置であるエアフィルター9の長手方向の一方の端部にある状態を示している。尚、ダストボックスの内部構造が見えるように清掃装置本体の一部を透過して図示している。ショーケース1の冷蔵又は冷凍運転時は、前述のとおり送風ファン8により吸気口7から外気を凝縮器6に供給する際に、フィルター体9aには塵埃18が付着して堆積し、綿状又は絨毯状の塊となる。プラスチック等の合成樹脂で形成されている格子枠9bには塵埃は付着しないので、塵埃18は格子枠9b毎に区画された塊となる。ここで、仕切り板16の回転清掃体11側の端部は、エアフィルター9の格子枠9bの延長線上に形成されている。また、仕切り板16は、回転清掃体11のブラシ体11bに当接させている。尚、フィルター体9aに付着する塵埃18は、エアフィルター清掃装置10の設置位置によって異なる。エアフィルター清掃装置10を床面に近い場所に設置した場合には糸くずや砂等も含まれることになる。また、本実施例では塵埃18を綿状又は絨毯状の塊として図示しているが、塊となっておらず薄くフィルター体9aに堆積した塵埃や、部分的に付着した塵埃など、その形状や付着位置は使用環境によって様々な状態が想定される。
【0027】
図5は、エアフィルター清掃装置の清掃時の状態を示す断面図(初期位置)であり、清掃装置本体10aが初期位置であるエアフィルター9の長手方向の一方の端部にある状態を示している。この状態では、仕切り板16は、回転清掃体11に当接している。そして、
図4及び
図5の矢印で示すように、清掃装置本体10aは、図面上、左から右へと移動し、エアフィルター9の長手方向の他方の端部に到達して清掃が終了した後、再び初期位置に復帰する構成としている。
【0028】
図6(a)~(e)は、ダストボックス内の塵埃が蜷局を巻く過程を示すダストボックスの断面図であり、
図6(e)は、
図6(c)の一部拡大図である。これらの図を用いて本発明に係るエアフィルター清掃装置の第1実施形態について説明する。尚、
図6において図面の手前側がエアフィルター清掃装置の下方で、エアフィルターが上下方向に設置されている場合を示しているが一例であり、エアフィルターの設置方向を変えた場合でも本発明の効果は発揮される。
【0029】
図6に示すように、除塵体15は、内壁面12cと一体的に形成されているが、屈折している箇所の前側の略板状の部分までを除塵体15とし、それ以降の部分を内壁面12cとする。また、
図6(a)~(c)において、破線は除塵体15の側面の延長面を示している。また、
図6(e)において、角度A17は、内壁面12cの屈曲角度を示している。さらに、
図6(b)の一点鎖線は、内壁面12cと除塵体15の側面の延長面との交差部における内壁面12cの接線を示している。また、
図6(c)の二点鎖線は、エアフィルター9のフィルター平面に対する垂直面を示している。
【0030】
除塵体15によって回転清掃体11から掻き取られた塵埃18は、
図6(a)に示すように、除塵体15の側面を滑ってダストボックス12の内部に収容される。塵埃18は、綿状又は絨毯状の塊となって矢印A方向に押し出されて行く。そして、
図6(b)に示すように、内壁面12cに到達すると、矢印B方向に押し出されて行く。ここで、ダストボックス12の内壁面12cは、除塵体15の側面の延長面との成す角Cが、ダストボックス中心側において鈍角となるように形成されている。また、内壁面12cと除塵体15の側面の延長面との交差部Dが凹の曲面にて形成されている。
【0031】
角Cが鈍角となるように内壁面12cを形成することにより、塵埃18が過度な圧縮を受けること無く矢印B方向に押し出されて行くので、塵埃18が蜷局形状を形成しやすくなる。一方、角Cが鋭角となるように内壁面12cを形成した場合には、塵埃18に加わる抵抗が大きくなるため、塵埃18をスムーズに収容することができず、回転清掃体11側へ押し戻される可能性もある。また、塵埃18の移動方向が一定とならないことから、ダストボックス12内部を有効活用することができない。
【0032】
交差部Dが凹の曲面となるように形成することにより、一層圧縮が軽減されると共に、塵埃18に湾曲状のクセが付くので、より蜷局形状が形成され易くなる。尚、交差部Dから一定の長さの間を連続して曲面が形成されている方がよりクセ付けされるので、蜷局形状を形成しやすくなる。また、本実施例では内壁面12cを除塵体15との接合部分からエアフィルター9側に向かい屈折させて形成しているが、屈折させずに除塵体15の側面と同一平面で交差部Dまで到達するよう形成しても本発明に含まれる。かかる場合は、塵埃18が屈折方向に曲がることなく、内壁面12cから過度な抵抗を受けず交差部Dまで誘導できるため、より蜷局形状が形成され易くなる。
【0033】
また、ダストボックス12の内壁面12cは、除塵体15の側面の延長面との交差部Dから、エアフィルターに対する垂直面を越えて除塵体15側へ向かう面が形成されるまで、凹の曲面又は、屈曲角度が90度未満となる多面体の面で形成されているのが好ましい(
図6(c)参照)。このように構成することによって、塵埃18は内壁面12cが除塵体15側に向かう面が形成される始点Mを通過するまで、塵埃18の先端部に過度な抵抗が加わることがなく、内壁面12cに沿って移動方向が90度以上変化している間は屈曲形状のクセ付けが成されているため、矢印O方向に押し出された後、蜷局形状が形成され易くなる。尚、
図6において除塵体15の側面の延長面との交差部Dから、エアフィルターに対する垂直面を越えて除塵体15側へ向かう面が形成されるまでの内壁面12cは、凹の曲面としているが、屈曲角度が90度未満となる多面体の面で形成されていても同様に、塵埃18の先端部に過度な抵抗が加わることがないので、屈曲形状のクセ付けが成されて、蜷局形状が形成され易くなる。
【0034】
また、塵埃18がダストボックス12内で蜷局形状を形成させるためには、ダストボックス12の内壁面12cがエアフィルター9との最近部Gから、除塵体15の頂部Eを含みエアフィルター9のフィルター面に対して平行な仮想面(
図6(d)の三点鎖線)との交差位置Fに至るまで、凹の曲面又は屈曲角度が90度未満となる多面体の面にて形成されているのが好ましい。このように構成することによって、塵埃がダストボックス内で蜷局を巻くのに必要な長さを確保すると共に、塵埃を効率よく収容できるので、ダストボックスを大型化することなく、メンテナンス頻度を抑えることができる。また、除塵体15の傾斜角度や塵埃の太さ等によっては、塵埃18の先端が交差部D方向には向かわず、最近部G方向に向かう場合が想定されるが、その場合でも屈曲形状のクセ付けが成されて、蜷局形状が形成され易くなる。
【0035】
尚、
図6(d)において、点線矢印は、塵埃18の移動順路を示しており、
図6(d)に示すように、塵埃18が二重、三重に蜷局形状を形成することによって、効率よく最大限の塵埃18を収容することができる。
【0036】
図7(a)は、第2実施形態のエアフィルター清掃装置のダストボックスを示す断面図である。
図7(a)のダストボックス28において、破線は、除塵体30の側面の延長面を示している。また、一点鎖線は、内壁面29cと除塵体30の側面の延長面との交差部Nにおける内壁面29cの接線を示している。また、二点鎖線は、エアフィルター9のフィルター平面に対する垂直面を示している。また、点Hは内壁面29cが除塵体30側へ向かう面が形成される始点を示している。第2実施形態と、
図6に示した第1実施形態との相違点は、内壁面29cが全て曲面であって、断面が略楕円形状になっている点と、除塵体30が傾斜しておらず、エアフィルター9のフィルター平面と平行になっている点である。
【0037】
内壁面29cを全て曲面としたことによって、より蜷局形状が形成され易くなる。また、内壁面29cの断面を略楕円形状としたことによって、塵埃の先端が二重目に移り易くなる。また、除塵体30をフィルター平面と平行としたことによって、塵埃の収容量を増やすことができる。
【0038】
図7(b)は、第3実施形態のエアフィルター清掃装置のダストボックスを示す断面図である。
図7(b)のダストボックス31において、破線は、除塵体32の側面の延長面を示している。また、一点鎖線は、内壁面33cと除塵体32の側面の延長面との交差部Jにおける内壁面33cの接線を示している。また、二点鎖線は、エアフィルター9のフィルター平面に対する垂直面を示している。また、点Lは内壁面33cが除塵体32側へ向かう面が形成される始点を示している。そして、ダストボックス31の内壁面33cがエアフィルター9との最近部J(交差部と同じ位置)から、除塵体32の頂部Iを含みエアフィルター9のフィルター面に対して平行な仮想面(
図7(b)の三点鎖線)との交差位置Kに至るまで、屈曲角度が90度未満となる多面体の面にて形成されている。第3実施形態と、
図6に示した第1実施形態との相違点は、内壁面33cが全て鈍角で形成されており、断面が略六角形状になっている点と、除塵体32の根元が内壁面33cのよりエアフィルター9に近い位置に形成されている点である。
【0039】
内壁面33cを全て鈍角で形成したことによって、蜷局形状が形成され易くなる。また、内壁面33cの断面を六角形状としたことによって、塵埃の先端が二重目に移り易くなる。また、除塵体32の根元を内壁面33cのよりエアフィルター9に近い位置に形成したことによって、塵埃の収容量を増やすことができる。
【0040】
図8(a)は、本発明に係る空気調和機を正面方向から視た斜視図であり、
図8(b)は、本発明に係る空気調和機を背面方向から視た斜視図である。本発明に係る空気調和機20は、吸込み口21と排気口22a、22bを有する本体23と、本体23に形成され、吸込み口21と排気口22a、22bとを連通する通過風路(図示せず)と、室内の浮遊塵埃を含む外気を吸込み口21から吸引して排気口22a、22bから排出する送風機(図示せず)と、エアフィルター清掃装置(図示せず)とを備えている。また、本体23の両側面近傍には、通過風路を構成する通気口(図示せず)が形成されている。
【0041】
本体23は、本体カバーA23aと、この本体カバーA23aに対して着脱自在な本体カバーB23bとを備えており、本体カバーA23aの正面側には、排気口22a、22bが形成されている。また、本体カバーA23aの背面側の中央には、本体カバーB23bが着脱自在に取り付けられており、本体カバーB23bには、取っ手25と、吸込み口21とが形成されている。そして、本体カバーB23bを取り外すことによって、エアフィルター清掃装置を着脱可能としている。
【0042】
本発明に係る空気調和機20は、前述のように構成されており、吸込み口21から吸引された室内の浮遊塵埃を含む外気は、エアフィルター清掃装置によって塵埃が取り除かれた後、両側の通気口を経て、排気口22a、22bより排出される。
【産業上の利用可能性】
【0043】
本発明に係るエアフィルター清掃装置は、エアフィルターに付着している塵埃等を除去するために、ショーケースや空気調和機に設置されて利用される。
【符号の説明】
【0044】
1 ショーケース
2 ケーシング
2a 開閉扉
3 架台
4 陳列棚
5 前面パネル
6 凝縮器
7 吸気口
8 送風ファン
9 エアフィルター
9a フィルター体
9b 格子枠
10 エアフィルター清掃装置
10a 清掃装置本体
11 回転清掃体
11a 回転軸
11b ブラシ体
12、28、31 ダストボックス
12a 内壁
12b 底面
12c、29c、33c 内壁面
13a ピニオンギア
13b 駆動ギアA
13c 駆動ギアB
14 蓋体
15、30、32 除塵体
16、16a、16b 仕切り板
17 角度A
18 塵埃
20 空気調和機
21 吸込み口
22a、22b 排気口
23 本体
23a 本体カバーA
23b 本体カバーB
D、J、N 交差部
E、I 頂部
F、K 交差位置
G、J 最近部
H、L、M 始点