(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-01-31
(45)【発行日】2023-02-08
(54)【発明の名称】手摺りおよびベッド
(51)【国際特許分類】
A47C 21/08 20060101AFI20230201BHJP
A61G 7/05 20060101ALI20230201BHJP
【FI】
A47C21/08 A
A61G7/05
(21)【出願番号】P 2019017936
(22)【出願日】2019-02-04
【審査請求日】2021-12-06
(73)【特許権者】
【識別番号】000108672
【氏名又は名称】タカラベルモント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100095337
【氏名又は名称】福田 伸一
(74)【代理人】
【識別番号】100174425
【氏名又は名称】水崎 慎
(74)【代理人】
【識別番号】100203932
【氏名又は名称】高橋 克宗
(72)【発明者】
【氏名】名倉 健
【審査官】松江 雅人
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-097134(JP,A)
【文献】登録実用新案第3143769(JP,U)
【文献】特開平04-341264(JP,A)
【文献】特開平11-319005(JP,A)
【文献】特開2016-154655(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47C 21/08
A61G 7/05
A47D 7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
利用者が載る載置台の縁に配置される手摺り本体部と、
前記載置台の幅方向を軸とする回転軸を有し、前記手摺り本体部に備えられた軸部と、
前記軸部に挿入され、回転することで、前記軸部と共に前記手摺り本体部を回転させ、
前記手摺り本体部が前記載置台の載置面よりも上方に張り出した使用状態、または、前記手摺り本体部が前記載置面よりも下方に収められた不使用状態に変化させる操作部と、を有
し、
前記使用状態において、前記操作部が、前記載置台から離れる方向に、前記手摺り本体部に対して引っ張られることで、前記不使用状態に変化することが可能な解除状態となり、
この解除状態において、前記操作部が、前記載置台に向けて、前記手摺り本体部に対して押されることで、前記不使用状態に変化することが不可能な規制状態となり、
前記不使用状態において、前記操作部が、前記載置台から離れる方向に、前記手摺り本体部と共に引っ張られることで、前記使用状態に変化することが可能な解除状態となり、
この解除状態において、前記操作部が、前記載置台に向けて、前記手摺り本体部と共に押されることで、前記使用状態に変化することが不可能な規制状態となる、
ことを特徴とする手摺り。
【請求項2】
前記使用状態において、前記
手摺り本体部が前記載置台から離れる方向に移動することを規制する移動規制部を有する、
ことを特徴とする請求項1に記載された手摺り。
【請求項3】
前記
操作部が、前記手摺り本体部に対して前記載置台の外側に配置された把持部を有し、この把持部が、前記載置台の幅方向における前記手摺り本体部の厚みの範囲内に収められる、
ことを特徴とする請求項
1または請求項2に記載された手摺り。
【請求項4】
前記
載置台を幅方向から視した状態において、前記手摺り本体部が、前記操作部の表面よりも広い板状である、
ことを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載された手摺り。
【請求項5】
前記
把持部が、前記手摺り本体部の幅方向に向けて長手であり、
前記操作部の回転による前記把持部の向きと、前記手摺り部本体の幅方向の向きとが、前記使用状態、前記不使用状態、および、前記使用状態と前記不使用状態との変化の過程において、一致している、
ことを特徴とする請求項
3または請求項3に従属する請求項
4に記載された手摺り。
【請求項6】
前記
軸部に長孔が形成され、
前記操作部が、前記軸部と交差する方向に向けて突出すると共に前記長孔に通された突部を有し、
前記突部と、この突部が嵌合する溝部が形成された規制本体部とから構成され、前記操作部の回転を規制する回転規制部を有する、
ことを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか1項に記載された手摺り。
【請求項7】
請求項1から請求項6のいずれか1項に記載された手摺りを有する、
ことを特徴とする
ベッド。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、手摺り、および、この手摺りを有するベッドに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば、医療用や介護用のベッド、ストレッチャー、車椅子など(以下、「ベッド等」と記す。)は、手摺りが取り付けられている。この手摺りは、ベッド等を利用する際、利用者が手で掴むことで自身の身体を支持し、また、利用中に利用者が転落することを防ぐ柵として用いられる。例えば、下記特許文献1に記載されたベッド用介助バーは、ベッドの縁に取り付けられた柵の一部が、側方に向けて扉のように開き、利用者が手摺りとし掴むことができる。しかし、ベッドの側方に医療機器等が近接して配置されていた場合や、部屋が狭い場合などにおいては、柵の開閉が困難となる。
【0003】
そこで、ベッドの幅方向を回転軸として回転する手摺りも存在する。この構成であれば、手摺りを使用する状態と使用しない状態との相互の変化を、外側に張り出さないスペースで実現することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、上記した手摺りは、使用・不使用の各状態に手摺りを変化させるための操作を、手摺りそのものが担っている。すなわち、手摺りそのものが操作されることで、使用・不使用の各状態に変化することから、利用者が、ベッド等に横たわった状態で、内側から手摺りを操作することができるため、手摺りの状態が不本意に変化し、利用者が転落する場合がある。
【0006】
本発明は、上記の実情に鑑みて提案されたものである。すなわち、載置台に載った利用者が、内側から安易に操作するのを防ぐことができる手摺りおよびベッドの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明に係る手摺りは、利用者が載る載置台の縁に配置される手摺り本体部と、前記載置台の幅方向を軸とする回転軸を有し、前記手摺り本体部に備えられた軸部と、前記軸部に挿入され、回転することで、前記軸部と共に前記手摺り本体部を回転させ、前記手摺り本体部が前記載置台の載置面よりも上方に張り出した使用状態、または、前記手摺り本体部が前記載置面よりも下方に収められた不使用状態に変化させる操作部と、を有する、ことを特徴とする。
【0008】
さらに、本発明に係る手摺りは、前記使用状態において、前記操作部が、前記載置台から離れる方向に、前記手摺り本体部に対して引っ張られることで、前記不使用状態に変化することが可能な解除状態となり、この解除状態において、前記操作部が、前記載置台に向けて、前記手摺り本体部に対して押されることで、前記不使用状態に変化することが不可能な規制状態となる、ことを特徴とする。
【0009】
さらに、本発明に係る手摺りは、前記不使用状態において、前記操作部が、前記載置台から離れる方向に、前記手摺り本体部と共に引っ張られることで、前記使用状態に変化することが可能な解除状態となり、この解除状態において、前記操作部が、前記載置台に向けて、前記手摺り本体部と共に押されることで、前記使用状態に変化することが不可能な規制状態となる、ことを特徴とする。
【0010】
さらに、本発明に係る手摺りは、前記使用状態において、前記手摺り本体部が前記載置台から離れる方向に移動することを規制する移動規制部を有する、ことを特徴とする。
【0011】
さらに、本発明に係る手摺りは、前記操作部が、前記手摺り本体部に対して前記載置台の外側に配置された把持部を有し、この把持部が、前記載置台の幅方向における前記手摺り本体部の厚みの範囲内に収められる、ことを特徴とする。
【0012】
さらに、本発明に係る手摺りは、前記載置台を幅方向から視した状態において、前記手摺り本体部が、前記操作部の表面よりも広い板状である、ことを特徴とする。
【0013】
さらに、本発明に係る手摺りは、前記把持部が、前記手摺り本体部の幅方向に向けて長手であり、前記操作部の回転による前記把持部の向きと、前記手摺り部本体の幅方向の向きとが、前記使用状態、前記不使用状態、および、前記使用状態と前記不使用状態との変化の過程において、一致している、ことを特徴とする。
【0014】
さらに、本発明に係る手摺りは、前記軸部に長孔が形成され、前記操作部が、前記軸部と交差する方向に向けて突出すると共に前記長孔に通された突部を有し、前記突部と、この突部が嵌合する溝部が形成された規制本体部とから構成され、前記操作部の回転を規制する回転規制部を有する、ことを特徴とする。
【0015】
本発明に係るベッドは、上記した手摺りを有する、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明に係る手摺りは、利用者が載る載置台の縁に配置される手摺り本体部と、載置台の幅方向を軸とする回転軸を有し、手摺り本体部に備えられた軸部と、軸部に挿入され、回転することで、軸部と共に手摺り本体部を回転させ、手摺り本体部が載置台の載置面よりも上方に張り出した使用状態、または、手摺り本体部が載置面よりも下方に収められた不使用状態に変化させる操作部とを有している。すなわち、手摺り本体部と操作部とが別々の部材で構成され、仮に、利用者による外力が、手摺り本体部に加えられたとしても、操作部が操作されない限り、手摺りの状態が変化しない。したがって、利用者が、内側から安易に操作するのを防ぐことができる。
【0017】
本発明に係る手摺りは、使用状態において、操作部が、載置台から離れる方向に、手摺り本体部に対して引っ張られることで、不使用状態に変化することが可能な解除状態となり、この解除状態において、操作部が、載置台に向けて、手摺り本体部に対して押されることで、不使用状態に変化することが不可能な規制状態となる。すなわち、使用状態では、手摺り本体部の軸部に挿入された操作部が、手摺り本体部に対して押し引きされることで、解除状態または規制状態となる。したがって、操作が容易であり、片手でも操作することができる。また、操作部が、軸部の軸上にあることからも、操作が容易である。
【0018】
本発明に係る手摺りは、不使用状態において、操作部が、載置台から離れる方向に、手摺り本体部と共に引っ張られることで、使用状態に変化することが可能な解除状態となり、この解除状態において、操作部が、載置台に向けて、手摺り本体部と共に押されることで、使用状態に変化することが不可能な規制状態となる。すなわち、不使用状態では、手摺り本体部の軸部に挿入された操作部が、手摺り本体部と共に押し引きされることで、解除状態または規制状態となる。したがって、操作が容易であり、片手でも操作することができる。
【0019】
本発明に係る手摺りは、使用状態において、手摺り本体部が載置台から離れる方向に移動することを規制する移動規制部を有している。この構成により、仮に、利用者が、載置台側から、この載置台から離れる方向に手摺り本体部を押した場合であっても、移動規制部によって、手摺り本体部の移動が規制される。操作部は、手摺り本体部の軸部に挿入されているところ、手摺り本体部の移動が規制されれば、軸部および操作部も動かない。したがって、利用者が、内側から安易に操作するのを防ぐことができる。
【0020】
本発明に係る手摺りは、手摺り本体部に対して載置台の外側に配置された把持部を有し、この把持部が、載置台の幅方向における手摺り本体部の厚みの範囲内に収められている。すなわち、把持部は、手摺り本体部から張り出していない。したがって、把持部が、載置台の周囲にある物と干渉せず、載置台の側部に近接して物を配置することができる。
【0021】
本発明に係る手摺りは、載置台を幅方向から視した状態において、手摺り本体部が、操作部の表面よりも広い板状である。すなわち、手摺り本体部が操作部よりも広いため、載置台側から視して、操作部は、手摺り本体部に隠れている。そうすると、利用者は、載置台側から、手摺り本体部に対して外側にある操作部を操作することができない。したがって、利用者が、内側から安易に操作するのを防ぐことができる。
【0022】
本発明に係る手摺りは、把持部が、手摺り本体部の幅方向に向けて長手であり、操作部の回転による把持部の向きと、手摺り部本体の幅方向の向きとが、使用状態、不使用状態、および、使用状態と不使用状態との変化の過程において、一致している。すなわち、把持部の向きと、手摺り本体部の幅方向の向きとが、各状態および変化の過程において一致しているため、操作する者は、把持部の向きから、操作方法や変化の過程が観念し易い。したがって、操作が容易である。
【0023】
本発明に係る手摺りは、軸部に長孔が形成され、操作部が、軸部と交差する方向に向けて突出すると共に長孔に通された突部を有し、操作部の回転を規制する回転規制部が、突部と、この突部が嵌合する溝部が形成された規制本体部とから構成されている。したがって、回転規制部が、使用状態または不使用状態において操作部の回転を規制するため、各状態において、規制状態を維持することができる。
【0024】
本発明に係るベッドは、上記した手摺りを有している。したがって、ベッドは上記した効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図1】
図1は、本発明の実施形態に係る手摺りが使用状態であるベッドが示され、(a)は斜視図、(b)は平面図、(c)は底面図、(d)は前面図である。
【
図2】
図2は、本発明の実施形態に係る手摺りが不使用状態であるベッドが示され、(a)は斜視図、(b)は平面図、(c)は底面図、(d)は前面図である。
【
図3】
図3は、本発明の実施形態に係る手摺りであって、使用状態かつ規制状態が示され、(a)は外側から視した外側斜視図、(b)は平面図、(c)は内側から視した内側斜視図、(d)は底面図、(e)は(b)のI-I断面図である。
【
図4】
図4は、本発明の実施形態に係る手摺りであって、使用状態かつ解除状態が示され、(a)は外側斜視図、(b)は平面図、(c)は内側斜視図、(d)は底面図、(e)は(b)のII-II断面図である。
【
図5】
図5は、本発明の実施形態に係る手摺りであって、解除状態かつ回転途中が示された外側斜視図である。
【
図6】
図6は、本発明の実施形態に係る手摺りであって、不使用状態かつ規制状態が示され、(a)は外側斜視図、(b)は平面図、(c)は内側斜視図、(d)は底面図、(e)は(b)のIII-III断面図である。
【
図7】
図7は、本発明の実施形態に係る手摺りの規制本体部が示され、(a)は斜視図、(b)は平面図、(c)は前方図、(d)は側面図、(e)は底面図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下は、本発明の実施形態に係る手摺りおよびベッドの説明である。なお、手摺りは、例えば、医療用や介護用のストレッチャー、車椅子などにも用いられる。
【0027】
図1および
図2は、ベッド1の外観が示されている。
図3から
図6は、手摺り10が示されている。なお、以下の説明では、ベッド1の長手方向を前後、前後と直交するベッド1の幅方向を側方、ベッド1の高さ方向を上下とする(
図1(a)参照。)。特に、手摺り10を基準として、ベッド1の載置台2側を内側、載置台2から離れる側を外側とする。
【0028】
図1および
図2に示されているとおり、ベッド1は、利用者が載る載置台2と、この載置台2における側部の縁に配置された手摺り10と、載置台2の裏面に取り付けられたフレーム部3と、このフレーム部3に取り付けられたキャスター4とを有している。載置台2は、長方形の平板状であり、両側部に手摺り10が二つずつ配置されている。手摺り10は、載置台2の縁に配置される板状の手摺り本体部11を有し、この手摺り本体部11が載置台2の載置面よりも上方に張り出した使用状態(
図1参照。)、および、手摺り本体部11が載置面よりも下方に収められた不使用状態(
図2参照。)に変化する。また、使用状態または不使用状態に変化することが可能な解除状態、使用状態または不使用状態に変化することが不可能な規制状態に変化する。なお、手摺り10の位置や数は任意である。
【0029】
図3から
図6に示されているとおり、手摺り10は、利用者が把持し、または、利用者の転落を防止する手摺り本体部11と、この手摺り本体部11に備えられた軸部15と、この軸部15が通された固定支持部18と、軸部15が通された弾性部材としてのコイルバネ19と、軸部15に挿入された操作部20と、この操作部20の回転を規制する回転規制部32とを有している。
【0030】
手摺り本体部11は、ほぼ円形または多角形の板状であって、上部に、側方に向けて貫通した把持孔12が形成されている。手摺り本体部11の下端部は、一部が切り欠かれて空間13が形成されている。この空間13において、手摺り本体部11の内側面に、板部材14が貼り付けられて固定されている。この構成により、空間部13は、手摺り本体部11の内側面側が板部材14で閉塞され、手摺り本体部11の外側面側に窪みが形成されている。なお、手摺り本体部11と板部材14とは、一体で成型されていてもよい。
【0031】
軸部15は、側方(載置台2の幅方向)に向けて長手の筒状であり、外側方の端が板部材14の内側面に垂直に取り付けられて軸孔が板部材14を貫通している。この構成により、軸部15は、側方を軸として手摺り本体部11を回転させる回転軸となる。また、軸部15の内側方の端部は、上下面側にそれぞれ長孔16が形成されている。長孔16は、長直径が側方(軸部15の長手方向)に向けられている。軸部15の内側方の端は、外周面に、円環状の移動規制部17が取り付けられている。
【0032】
操作部20は、軸部15とほぼ同じ長さである棒状の操作軸部21と、この操作軸部21の外側方の端に垂直に連接された把持部22とを有している。把持部22は、前後方向(手摺り本体部11の幅方向)に向けて長手である。操作軸部21は、軸部15と直交する方向に向けて突出した突部23が形成されている。操作軸部21は、軸部15に挿入され、突部23は、軸部15の各長孔16に通されている。この突部23と規制本体部24とから回転規制部32が構成されている。
【0033】
ここで、規制本体部24を図面に基づいて説明する。
図7は、規制本体部24が示されている。
【0034】
図7に示されているとおり、規制本体部24は、平板状の上面部25と、この上面部25の外側方の端に直角に連接された平板状の側面部26と、この側面部26の端に直角に連接されて上面部25と対面した平板状の下面部27とを有している。側方において、下面部27は、上面部25よりも短く形成され、規制本体部24は、外側方の端から内側方の端に向けて溝部28が形成されている。詳説すれば、上面部25は、外側方の端から内側方の端に向けて深溝部30が形成され、下面部27は、外側方の端から内側方の端に向けて浅溝部29が形成されている。溝部28は側面部26において連接されている。
【0035】
図3に示されているとおり、操作部20の操作軸部21が挿入された軸部15は、固定支持部18、コイルバネ19、規制本体部24の側面部26にそれぞれ通されている。操作部20の突部23は、規制本体部24における下面部27の浅溝部29に配置されている。側面部26の内面は、内側方に向けて突出した規制突起31が取り付けられている。規制突起31と軸部15の移動規制部17とは対面している。把持部22は、手摺り本体部11に対して載置台2の外側方に配置され、側方における手摺り本体部11の厚みの範囲内に収められている。換言すれば、前後方向から視した状態において、把持部22は、手摺り本体部11から張り出していない。また、外側方から視した状態において、手摺り本体部11は、把持部22の表面よりも広い。換言すれば、把持部22が手摺り本体部11の空間13に収められ、把持部22の周囲に手摺り本体部11が広がっている。
【0036】
軸部15、コイルバネ19、固定支持部18、回転規制部32(規制本体部24および操作部20の突部23)は、筐体5に収容され、この筐体5に固定支持部18および規制本体部24が固定される。筐体5は、ベッド1における載置台2の裏側面に固定されている(
図1参照。)。
【0037】
上記のとおり、手摺り10が構成されている。
【0038】
次に、手摺り10の動作を説明する。手摺り10は、
図3における使用状態かつ規制状態において、操作部20が引っ張られることで、
図4における使用状態かつ解除状態に変化する。
図5のとおり操作部20が回転させられることで、
図6における不使用状態かつ規制状態に変化する。
【0039】
詳説すれば、
図3に示されているとおり、使用状態かつ規制状態では、操作部20の突部23が、規制本体部24の浅溝部29に嵌合し、操作部20の回転が規制されている。このことから、手摺り本体部11は、載置台2の外側方に張り出し、かつ、載置台2の載置面よりも上方に張り出している(
図1参照。)。操作部20の把持部22は、手摺り本体部11の空間13に収まり、手摺り本体部11の外側面上に揃えられている。したがって、把持部22は、手摺り本体部11から張り出していない。また、軸部15の移動規制部17が、規制本体部24の規制突起31に近接または接触し、手摺り本体部11が外側方に移動することが規制されている。コイルバネ19は、適度に伸長している。
【0040】
図4に示されているとおり、コイルバネ19の弾性力に逆らって、把持部22が、外側方に引っ張られると、操作部20が、軸部15に対して外側方に移動し、操作部20の突部23が、規制本体部24の溝部28から離れて規制本体部24の側面部26の外側に配置され、使用状態かつ解除状態となる。なお、軸部15に対して操作部20が移動する際、いわゆる遊び量程度の範囲で、僅かに軸部15も動く。
【0041】
図5に示されているとおり、操作部20が回転させられることで、軸部15と共に手摺り本体部11も回転し、不使用状態かつ解除状態となる。
【0042】
図2および
図6に示されているとおり、使用状態と比較して、手摺り本体部11が、180度回転し、載置台2の載置面よりも下方に配置される。
図6に示されているとおり、把持部22が、内側方に向けて押されると共にコイルバネ19の復元力で押されると、操作部20が、軸部15と共に内側方に移動し、操作部20の突部23が、規制本体部24の深溝部30に嵌合し、不使用状態かつ規制状態となる。浅溝部29と深溝部30との差によって、これらに嵌合する突部23の位置が、使用状態と比較して、内側方に寄せられるため、手摺り本体部11が、載置台2の裏側に収容される。
【0043】
以上と逆の動作により、再び使用状態かつ規制状態となる。すなわち、不使用状態かつ規制状態において、把持部22が、外側方に引っ張られると、操作部20が、軸部15と共に外側方に移動し、操作部20の突部23が、規制本体部24の溝部28から離れて規制本体部24の側面部26の外側に配置され、不使用状態かつ解除状態となる。この状態で、操作部20が回転させられることで、軸部15と共に手摺り本体部11も回転し、使用状態かつ解除状態となる。この状態において、把持部22が、内側方に向けて押されると共にコイルバネ19の復元力で押されると、操作部20が、軸部15に対して内側方に移動し、操作部20の突部23が、規制本体部24の浅溝部28に嵌合し、使用状態かつ規制状態となる。なお、軸部15に対して操作部20が移動する際、いわゆる遊び量程度の範囲で、僅かに軸部15も動く。
【0044】
図3に示された使用状態、
図6に示された不使用状態、および、
図5に示された各状態間の変化の過程において、操作部20の回転による把持部22の向きと、手摺り本体部11の幅方向の向きとは、一致している。すなわち、操作部20は、突部23が軸部15の長孔16に通され、また、軸部15は、手摺り本体部11に固定されているため、手摺り本体部11の回転動作は、操作部20の回転操作に追随する。したがって、ベッド1を基準として前後方向に向けられた把持部22が、90度回転して上下方向に向けられれば、同時に、手摺り本体部11も90度回転し、さらに、把持部22が90度回転して再び前後方向に向けられれば、同時に手摺り本体部11もさらに90度回転する。外側方から視した状態では、把持部22と手摺り本体部11との相対的な位置は常に一致する。
【0045】
上記のとおり、手摺り本体部11が動作する。次に、本実施形態の効果を説明する。
【0046】
上記したとおり、手摺り10は、手摺り本体部11の板部材14の内側面に垂直に取り付けられた軸部15に、操作部20の操作軸部21が挿入され、操作部20の把持部22が、手摺り本体部11に対して載置台2の外側方に配置されている。すなわち、手摺り本体部11と操作部20とが別々の部材で構成され、仮に、利用者による外力が、手摺り本体部11に加えられたとしても、操作部20が操作されない限り、使用状態・不使用状態が変化しない。したがって、利用者が、内側から安易に操作するのを防ぐことができる。
【0047】
また、軸部15が、側方(載置台2の幅方向)を軸として手摺り本体部11を回転させる回転軸となるため、手摺り本体部11は、軸部15を軸として、載置台2の側面上を回転し、上下方向を回転軸としては回転しない。したがって、各状態の相互の変化を、外側に張り出さないスペースで実現することができ、変化の過程において、手摺り本体部11が、ベッド1の周囲にある医療機器等と干渉しない。
【0048】
手摺り10は、使用状態において、把持部22が、外側方に引っ張られると、操作部20が、軸部15に対して外側方に移動し、操作部20の突部23が、規制本体部24の溝部28から離れて規制本体部24の側面部26の外側に配置され、使用状態かつ解除状態となる。この状態において、把持部22が、内側方に向けて押されると共にコイルバネ19の復元力で押されると、操作部20が、軸部15に対して内側方に移動し、突部23が、浅溝部28に嵌合し、使用状態かつ規制状態となる。すなわち、使用状態では、軸部15に挿入された操作部20の操作軸部21が、手摺り本体部11に対して押し引きされることで、解除状態または規制状態となる。したがって、操作が容易であり、片手でも操作することができる。また、操作部20が、軸部15の軸上にあることからも、操作が容易である。
【0049】
同様に、不使用状態において、把持部22が、内側方に向けて押されると共にコイルバネ19の復元力で押されると、操作部20が、軸部15と共に内側方に移動し、操作部20の突部23が、規制本体部24の深溝部30に嵌合し、不使用状態かつ規制状態となる。この状態において、把持部22が、外側方に引っ張られると、操作部20が、軸部15と共に外側方に移動し、突部23が、溝部28から離れて規制本体部24の側面部26の外側に配置され、不使用状態かつ解除状態となる。すなわち、不使用状態では、手摺り本体部11の軸部15に挿入された操作部20の操作軸部21が、手摺り本体部11と共に押し引きされることで、解除状態または規制状態となる。したがって、操作が容易であり、片手でも操作することができる。
【0050】
手摺り10は、軸部15に移動規制部17が取り付けられ、一方、規制本体部24の側面部26に規制突起31が取り付けられている。移動規制部17と規制突起31とは対面している。移動規制部17が、規制突起31に接触することで、手摺り本体部11が外側方に移動することが規制される。この構成により、仮に、利用者が、載置台2側から、外側方に手摺り本体部11を押した場合であっても、手摺り本体部11の移動が規制される。操作部20の操作軸部21は、軸部15に挿入されているところ、手摺り本体部11の移動が規制されれば、軸部15および操作部20も動かない。したがって、手摺り本体部11が不本意に解除状態となることを防ぐことができる。
【0051】
手摺り10は、操作部21の把持部22が、側方における手摺り本体部11の厚みの範囲内に収められ、前後方向から視した状態において、把持部22は、手摺り本体部11から張り出していない。したがって、把持部22が、ベッド1の周囲にある医療機器等と干渉せず、ベッド1の側部に近接して医療機器等を配置することができる。
【0052】
手摺り10は、外側方から視した状態において、手摺り本体部11が、把持部22の表面よりも広く、把持部22が手摺り本体部11の空間13に収められ、把持部22の周囲に手摺り本体部11が広がっている。この構成により、載置台2側から視して、操作部20は、手摺り本体部11に隠れている。そうすると、利用者は、載置台2側から、手摺り本体部11に対して外側にある操作部20を操作することができない。したがって、利用者が、内側から安易に操作するのを防ぐことができる。
【0053】
手摺り10は、使用状態、不使用状態、および、各状態間の変化の過程において、操作部20の回転による把持部22の向きと、手摺り本体部11の幅方向の向きとが一致し、外側方から視した状態では、把持部22と手摺り本体部11との相対的な位置が常に一致する。したがって、操作する者は、把持部22の向きから、操作方法や変化の過程が観念し易く、操作が容易である。
【0054】
手摺り10は、操作部20の操作軸部21が、手摺り本体部11の軸部15と直交する方向に向けて突出した突部23を有し、一方、軸部15の内側方の端部は、上下面側にそれぞれ長孔16が形成されている。操作軸部21は、軸部15に挿入され、突部23は、軸部15の各長孔16に通されている。この突部23と規制本体部24とから回転規制部32が構成されている。突部23は、規制本体部24における上下各面部25,27の溝部28に配置される。規制状態では、突部23が、規制本体部24の浅溝部29または深溝部30に嵌合し、操作部20の回転が規制される。したがって、使用状態・不使用状態において、規制状態を維持することができる。
【0055】
また、浅溝部29と深溝部30との差によって、これらに嵌合する操作部20の突部23の位置が、載置台2の側方において変化する。この構成により、使用状態において、手摺り本体部11が不使用状態よりも張り出し、不使用状態において、手摺り本体部11は、使用状態と比較して、内側方に寄せられるため、載置台2の裏側に収容される。したがって、手摺り本体部11が、ベッド1の周囲にある医療機器等と干渉せず、ベッド1の側部に近接して医療機器等を配置することができる。
【0056】
以上、本発明の実施形態を詳述したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。そして本発明は、特許請求の範囲に記載された事項を逸脱することがなければ、種々の設計変更を行うことが可能である。
【符号の説明】
【0057】
1 ベッド
2 載置台
3 フレーム部
4 キャスター
5 筐体
10 手摺り
11 手摺り本体部
12 把持孔
13 空間
14 板部材
15 軸部
16 長孔
17 移動規制部
18 固定支持部
19 コイルバネ(弾性部材)
20 操作部
21 操作軸部
22 把持部
23 突部
24 規制本体部
25 上面部
26 側面部
27 下面部
28 溝部
29 浅溝部
30 深溝部
31 規制突起
32 回転規制部