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  • 特許-射撃訓練装置 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-01-31
(45)【発行日】2023-02-08
(54)【発明の名称】射撃訓練装置
(51)【国際特許分類】
   F41J 11/00 20090101AFI20230201BHJP
   F24F 7/007 20060101ALI20230201BHJP
【FI】
F41J11/00
F24F7/007 D
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2019103775
(22)【出願日】2019-06-03
(65)【公開番号】P2020197344
(43)【公開日】2020-12-10
【審査請求日】2021-05-27
(73)【特許権者】
【識別番号】000106955
【氏名又は名称】シバタ工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100101409
【弁理士】
【氏名又は名称】葛西 泰二
(74)【代理人】
【識別番号】100175385
【氏名又は名称】葛西 さやか
(74)【代理人】
【識別番号】100175662
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 英明
(72)【発明者】
【氏名】西本 安志
【審査官】結城 健太郎
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2007/0130845(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2017/0292818(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2017/0211916(US,A1)
【文献】“MoST 2018 - Modular Tactical Shooting Range”,[online][video],Klimawent S.A.,2018年03月05日,[令和4年5月27日検索],インターネット<URL: https://www.youtube.com/watch?v=X6f8WiM3j1o>
【文献】“Displacement ventilation for indoor firing ranges”,ドイツ,Krantz GmbH,2014年,p.02-07
【文献】“Recent Advancements in Gun Range Design”,2018年10月01日,p.2-17
【文献】J. Zemitis, J. Lusis, A. Borodinecs, and A. Prozuments,“Report on Study Findings Regarding Pollution Levels in Indoor Shooting Ranges and Ventilation System Design to Limit Them”,4th International Conference On Building Energy, Environment,2018年02月,p.121-126,ISBN 978-0-646-98213-7
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F41J 11/00,
F24F 7/007
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
射撃位置を含む射撃領域と標的及び停弾材を含む標的領域とを備えた射撃訓練装置であって、
包囲された空間を形成し、前記射撃領域と前記標的領域とを備えた構造物と、
前記射撃領域の気体を前記標的領域の方向へ動かす気体移動手段とを備え、
前記気体移動手段は、
前記射撃領域に設けられ、前記構造物の内部から外部へ繋がる第1開口と、
前記標的領域の天井に設けられ、前記構造物の内部から外部へ繋がる第2開口と、
前記第1開口に設けられ前記構造物の外部から内部へ気体を流入させる気体流入手段、及び、前記第2開口に設けられ前記構造物の内部から外部へ気体を排出させる気体排出手段の少なくとも一方とを備え、
前記停弾材は、前記第2開口よりも前記射撃領域側の天井に設置され、
前記第2開口は、前記射撃位置で射手が構えた拳銃を光源とした場合に、その投影光によって前記停弾材が前記構造物の内面に投影される範囲内に設けられる、
射撃訓練装置。
【請求項2】
前記第1開口は、射手の顔の高さと同等の高さ又はそれより低い位置に設けられる、請求項記載の射撃訓練装置。
【請求項3】
前記第2開口は、前記第1開口より高い位置に設けられる、請求項1又は請求項2記載の射撃訓練装置。
【請求項4】
前記射撃位置から見て、前記標的の背面側に配置される停弾材を更に備える、請求項1から請求項3のいずれかに記載の射撃訓練装置。
【請求項5】
前記構造物は輸送用コンテナにより構成される、請求項1から請求項4のいずれかに記載の射撃訓練装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、射撃訓練装置に関し、特に移動可能な射撃訓練装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
警察官や自衛官の射撃訓練は、室内施設もしくは屋外の専用区域で行われる。そのため、訓練場所が限られており、訓練のたびに移動しなければならない。
【0003】
そこで、特許文献1及び特許文献2のように、トレーラーによって移動可能なコンテナを利用した射撃訓練装置が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】実開平2-77494号公報
【文献】特開平3-95399号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
コンテナのような密閉空間での射撃訓練では硝煙が充満するため、換気する手段を備えることが必要になる。しかしながら特許文献1には、エアーコンディショナーを装備することについて記載はあるものの硝煙の排気についての説明は無い。又、特許文献2では、射手の頭上やや後方に特別排風装置が設けられているが、硝煙が射手の顔に近づく方向に移動するため、煙を吸い込みやすくなる。
【0006】
本発明は、上記のような課題を解決するためになされたもので、射手が硝煙を吸い込みにくい射撃訓練装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の目的を達成するために、請求項1記載の発明は、射撃位置を含む射撃領域と標的及び停弾材を含む標的領域とを備えた射撃訓練装置であって、包囲された空間を形成し、射撃領域と標的領域とを備えた構造物と、構造物の天井に設けられる停弾材と、射撃領域の気体を標的領域の方向へ動かす気体移動手段とを備え、気体移動手段は、射撃領域に設けられ、構造物の内部から外部へ繋がる第1開口と、標的領域の天井に設けられ、構造物の内部から外部へ繋がる第2開口と、第1開口に設けられ構造物の外部から内部へ気体を流入させる気体流入手段、及び、第2開口に設けられ構造物の内部から外部へ気体を排出させる気体排出手段の少なくとも一方とを備え、停弾材は、第2開口よりも射撃領域側に設置され、第2開口は、射撃位置で射手が構えた拳銃を光源とした場合に、投影光によって停弾材が構造物の内面に投影される範囲内に設けられるものである。
【0008】
このように構成すると、気体が上方向へ流れる。又、射手の近くから気体を流入させるか、或いは空気が拡散されずに第2開口へ流れやすくなるから、硝煙が射手から遠ざかる。更に、弾丸が標的を外れても標的領域側の気体移動手段に当たりにくい。
【0013】
請求項記載の発明は、請求項記載の発明の構成において、第1開口は、射手の顔の高さと同等の高さ又はそれより低い位置に設けられるものである。
【0014】
このように構成すると、射手の顔付近の気体が標的領域の方向へ動かされる。
【0015】
請求項記載の発明は、請求項1又は請求項2記載の発明の構成において、第2開口は、第1開口より高い位置に設けられるものである。
【0016】
このように構成すると、硝煙を効率よく排出できる。
【0017】
請求項載の発明は、請求項1から請求項3のいずれかに記載の発明の構成において、射撃位置から見て、標的の背面側に配置される停弾材を更に備えるものである。
【0021】
請求項記載の発明は、請求項1から請求項4のいずれかに記載の発明の構成において、構造物は輸送用コンテナにより構成されるものである。
【0022】
このように構成すると、トレーラーによって移動可能である。
【発明の効果】
【0023】
以上説明したように、請求項1記載の発明は、硝煙が射手から遠ざかるので、射手が硝煙を吸い込みにくい。しかも、気体が上方向へ流れるので、硝煙を効率よく排出できる。
【0024】
又、射手の近くから気体を流入させるので、射手から効率良く硝煙を遠ざけることができる。
【0025】
或いは、空気が拡散されずに第2開口へ流れやすいので、射手が硝煙を吸い込みにくい。更に、弾丸が標的を外れても標的領域側の気体移動手段に当たりにくいので、気体移動手段の破損を防止できる。
【0026】
請求項記載の発明は、請求項記載の発明の効果に加えて、射手の顔付近の気体が標的領域の方向へ動かされるので、より硝煙を吸い込みにくくなる。
【0027】
請求項記載の発明は、請求項1又は請求項2記載の発明の効果に加えて、硝煙を効率よく排出できるので、より硝煙を吸い込みにくくなる。
【0028】
請求項記載の発明は、請求項1から請求項3のいずれかに記載の発明の効果に加えて、射撃訓練において発砲された弾丸を回収することができる。
【0030】
請求項記載の発明は、請求項1から請求項4のいずれかに記載の発明の効果に加えて、トレーラーによって移動可能なので、任意の場所に射撃訓練装置を設置できる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
図1】この発明の第1の実施の形態による射撃訓練装置の概略側面図である。
図2】この発明の第2の実施の形態による射撃訓練装置の概略側面図であって、図1に対応するものである。
図3】この発明の第3の実施の形態による射撃訓練装置の概略側面図であって、図1に対応するものである。
図4】この発明の第4の実施の形態による射撃訓練装置の概略側面図であって、図1に対応するものである。
図5】この発明の第5の実施の形態による射撃訓練装置の概略側面図であって、図1に対応するものである。
【発明を実施するための形態】
【0032】
図1はこの発明の第1の実施の形態による射撃訓練装置の概略側面図である。同図を参照して、射撃訓練装置1の基本的構成について説明する。射撃訓練装置1は、射撃領域14と標的領域15とを備え、包囲された空間を形成し、射撃領域14と標的領域15とを備えた構造物としてのコンテナ2と、射撃領域14の気体を標的領域15の方向へ動かす気体移動手段として第1開口7、第2開口8及び気体排出手段9を備える。
【0033】
以下、各構成について説明する。
【0034】
コンテナ2は、例えば輸送用の40フィートコンテナであり、トレーラーによって移動可能であり、移動先においてコンテナ2を吊りおろして設置可能であり、訓練終了後にはトレーラーによって撤収することができる。コンテナ2の内面は、跳弾防止材が取り付けられている。
【0035】
コンテナ2の図1における左側に射手5が射撃する射撃位置11を設け、右側に標的3を設け、更に右側に停弾材4を設け、射手5が拳銃6を用いて射撃位置11から標的3に向けて射撃訓練を行う配置となっている。標的3は拳銃6による射撃訓練用の標的である。停弾材4は、射撃訓練において発砲された弾丸を回収する停弾装置であり、例えば特開2015-075262に開示したような停弾装置を利用可能である。
【0036】
射撃位置11を含む射撃領域14には、図1における左端の壁に、コンテナ2の内部から外部へ繋がる開口である第1開口7を設ける。第1開口7は、射手5の顔の高さより低い位置に設けられる。第1開口7を設ける高さの目安としては、警察及び自衛隊の身長についての規定が150cm以上であることから、本実施の形態で第1開口7は、床から1300~1500mmに設けるとした。
【0037】
標的3を含む標的領域15には、図1における右側の壁に、コンテナ2の内部から外部へ繋がる開口である第2開口8が設けられる。第2開口8にはコンテナ2の内部の空気を外部へ排出する例えば排気ファンのような気体排出手段9が設置されている。第2開口8は、第1開口7よりも高い位置で、且つ、拳銃6を光源とした場合に、投影線12a、12bが示す、停弾材4がコンテナ2の内面に投影される斜線の範囲に設けられる。これにより、発射された弾丸が停弾材4を外れても第2開口8及び気体排出手段9に当たりにくく、第2開口8及び気体排出手段9の破損を防止できる。
【0038】
次に、空気の流れ及び硝煙について説明する。
【0039】
気体排出手段9によってコンテナ2内の空気が第2開口8から外部に排出されるため、射撃領域14の空気は標的領域15の方向へと動き、射撃領域14の圧力は外気に対して負圧となり、第1開口7からコンテナ2の内部に外部の空気が流入し、空気は流路10のように動く。射撃領域14の空気が標的領域15の方向へと動かされるため、拳銃6から発砲した際に拳銃6の周囲に発生する硝煙は空気と共に流路10の方向に動かされてコンテナ2の外部へと排出される。
【0040】
このように、硝煙が射手5から遠ざかる方向へ動くため、射手5が硝煙を吸い込みにくい。又、コンテナ2内が負圧となるため、硝煙が拡散しにくく、効率よく外部へ排出できる。
【0041】
図2は、この発明の第2の実施の形態による射撃訓練装置の概略側面図であって、図1に対応するものである。
【0042】
尚、説明に当たっては、基本的には第1の実施の形態によるものと同一であるため、その相違点を中心に説明する。
【0043】
同図を参照して、この実施の形態による射撃訓練装置21は、第2開口8及び気体排出手段9がコンテナ2の天井に設置されており、第2開口8の射撃領域14側の天井に更に停弾材24を設置する。
【0044】
第1開口7を射手5の顔の高さより低い位置に設けられ、第2開口8及び気体排出手段9をコンテナ2の上方領域である天井に設けたことにより、第1開口7から侵入した空気が射手5の顔の付近を通って標的領域15の上方領域へ流れるため、射手5の顔付近の硝煙を効率良く射手5から遠ざけることができる。又、第2開口8及び気体排出手段9は、拳銃6を光源とした場合に、投影線12c、12dが示す、停弾材24がコンテナ2の内面に投影される斜線の範囲に設けられるため、発砲された弾丸が当たりにくい。
【0045】
図3は、この発明の第3の実施の形態による射撃訓練装置の概略側面図であって、図1に対応するものである。
【0046】
尚、説明に当たっては、基本的には第1の実施の形態によるものと同一であるため、その相違点を中心に説明する。
【0047】
同図を参照して、この実施の形態による射撃訓練装置31は、第1開口7に、気体移動手段の一部として外部の空気をコンテナ2の内部へ流入させる、例えば給気ファンのような気体流入手段39が設置されており、気体排出手段9を設けていない。
【0048】
この構成によると、気体流入手段39によって第1開口7からコンテナ2の外部の空気が内部へ流入されてコンテナ2の内部が外気に対して正圧となり、射手5の後方から顔に近い位置の空気を動かして、射撃領域14の空気が標的領域15の方向へ積極的に流されるので、硝煙を射手5から遠ざかる方向へ効率よく移動させることができ、第2開口8からコンテナ2の外部へ排出される。
【0049】
図4は、この発明の第4の実施の形態による射撃訓練装置の概略側面図であって、図1に対応するものである。
【0050】
尚、説明に当たっては、基本的には第1の実施の形態によるものと同一であるため、その相違点を中心に説明する。
【0051】
同図を参照して、この実施の形態による射撃訓練装置41は、排気ファンのような気体排出手段9及び給気ファンのような気体流入手段39を設置している。
【0052】
この実施の形態では、気体移動手段の一部として気体排出手段9及び気体流入手段39を設置しているため、コンテナ2の内部が常圧に近い状態になるため、射撃訓練においてより好ましい状態となる。又、気体排出手段9及び気体流入手段39の負担を軽減できる。
【0053】
図5は、この発明の第5の実施の形態による射撃訓練装置の概略側面図であって、図1に対応するものである。
【0054】
尚、説明に当たっては、基本的には第1の実施の形態によるものと同一であるため、その相違点を中心に説明する。
【0055】
同図を参照して、この実施の形態による射撃訓練装置51は、排気ファンのような気体排出手段9及び給気ファンのような気体流入手段39を設置していない。
【0056】
この構成では、コンテナ2を矢印13の向きに移動させることによって第1開口7から外部の空気を流入させ、射撃領域14の空気を標的領域15の方向へ動かして第2開口8から排出させる。コンテナ2の移動はトレーラーなどを利用可能である。この場合、トレーラーが気体移動手段の一部に対応したものになる。
【0057】
尚、上記の各実施の形態では、第1開口7の高さは床から1300~1500mmとしたが、1300mmよりも低い位置に設けても良い。
【0058】
又、上記の各実施の形態では、第1開口7の高さは射手5の顔の高さより低い位置に設けるとしたが、顔の高さと同等の高さとしても良い。
【0059】
更に、上記の各実施の形態では、第2開口8は、第1開口7よりも高い位置としたが、第1開口7を射手の顔の高さより上に設けて、第2開口8を射手の顔の高さより低い位置に設置するとしても良い。
【0060】
更に、上記の第1から第3の実施の形態では、第1開口7、第2開口8、気体排出手段9及び気体流入手段39をそれぞれ一つ設けるとして説明したが、2以上であっても良く、第1開口を複数設けて、第2開口及び気体排出手段を1か所に設けるとしても良い。
【0061】
更に、上記の各実施の形態では、第1開口7は射手の後方の壁に設けるとしたが、他の壁、天井又は床に設けるとしても良く、第2開口8も同様に、他の壁、天井又は床に設けても良い。
【0062】
更に、上記の各実施の形態では、コンテナ2として説明したが、包囲された空間を形成する構造物であればコンテナでなくても良い。
【符号の説明】
【0063】
1…射撃訓練装置
2…コンテナ
3…標的
4…停弾材
7…第1開口
8…第2開口
9…気体排出手段
14…射撃領域
15…標的領域
尚、各図中同一符号は同一又は相当部分を示す。
図1
図2
図3
図4
図5