IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社フジキンの特許一覧

特許7219472情報処理装置、製造補助システム、バルブの組立方法、および機器交換方法
<>
  • 特許-情報処理装置、製造補助システム、バルブの組立方法、および機器交換方法 図1
  • 特許-情報処理装置、製造補助システム、バルブの組立方法、および機器交換方法 図2
  • 特許-情報処理装置、製造補助システム、バルブの組立方法、および機器交換方法 図3
  • 特許-情報処理装置、製造補助システム、バルブの組立方法、および機器交換方法 図4
  • 特許-情報処理装置、製造補助システム、バルブの組立方法、および機器交換方法 図5
  • 特許-情報処理装置、製造補助システム、バルブの組立方法、および機器交換方法 図6
  • 特許-情報処理装置、製造補助システム、バルブの組立方法、および機器交換方法 図7
  • 特許-情報処理装置、製造補助システム、バルブの組立方法、および機器交換方法 図8
  • 特許-情報処理装置、製造補助システム、バルブの組立方法、および機器交換方法 図9
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-01-31
(45)【発行日】2023-02-08
(54)【発明の名称】情報処理装置、製造補助システム、バルブの組立方法、および機器交換方法
(51)【国際特許分類】
   G06Q 50/04 20120101AFI20230201BHJP
   G05B 19/418 20060101ALI20230201BHJP
【FI】
G06Q50/04
G05B19/418 Z
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2019534011
(86)(22)【出願日】2018-07-11
(86)【国際出願番号】 JP2018026148
(87)【国際公開番号】W WO2019026576
(87)【国際公開日】2019-02-07
【審査請求日】2021-06-17
(31)【優先権主張番号】P 2017147328
(32)【優先日】2017-07-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】390033857
【氏名又は名称】株式会社フジキン
(74)【代理人】
【識別番号】100183380
【弁理士】
【氏名又は名称】山下 裕司
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 龍彦
(72)【発明者】
【氏名】中田 知宏
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 秀信
【審査官】関 博文
(56)【参考文献】
【文献】特開平10-240794(JP,A)
【文献】特開2007-196485(JP,A)
【文献】特開2007-128501(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
G05B 19/418
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
スペック情報に基づく製造条件により製造された機器の使用情報に基づき、機器に適した適正スペックを示す適正スペック情報を作成する適正スペック作成手段と、
前記適正スペック作成手段により作成された前記適正スペック情報に基づき、機器の製造条件を決定する製造条件決定手段と、を備え
前記機器は、バルブであり、
前記製造条件は、前記バルブの弁体の物性値、前記弁体の寸法、前記バルブの製造時の周囲の温度範囲、および、前記バルブのリーク検出方法の少なくともいずれか一つ含む、情報処理装置。
【請求項2】
前記適正スペック情報と、所定のスペックを示す前記スペック情報とを比較するスペック比較手段と、
前記スペック比較手段による比較結果に基づき、機器の前記スペック情報を更新するスペック更新手段と、
前記製造条件決定手段により決定された製造条件に基づき、表示装置に表示するための前記機器の製造に関する指示情報を作成する指示情報作成手段と、を備える、請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記適正スペック作成手段は、前記所定のスペックを示す前記スペック情報および/または前記適正スペック情報、および前記スペック情報に関する累積情報に基づき、前記適正スペック情報を作成する、請求項1または請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記製造条件は、前記バルブのストローク量を含む、請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の情報処理装置。
【請求項5】
請求項2に記載された情報処理装置と、
前記指示情報作成手段により作成された前記指示情報を表示する表示装置と、を備える製造補助システム。
【請求項6】
前記表示装置は、撮影装置と一体に構成されている、請求項に記載の製造補助システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置、製造補助システム、バルブの組立方法、および、機器交換方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体プロセスでは様々なレシピが用いられ、各レシピが異なれば半導体プロセスに使用されるバルブに対する要求性能は異なる。このため、各半導体プロセスに適したバルブを製造することが望ましい。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、各半導体プロセスに適したバルブを製造するためには、バルブごとに紙の製造マニュアルを用意する必要があるが、クリーンルーム内に多量の紙を持ち込むこととなるので現実的ではない。
【0004】
このため、高スペックのバルブを量産して、半導体プロセスに使用しているが、オーバースペックによるバルブの高額化を招いている。
【0005】
そこで本発明は、適正なスペックを有する機器を容易に製造可能な技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を解決するために、本発明の一態様である情報処理装置は、スペック情報に基づく製造条件により製造された機器の使用情報に基づき、機器に適した適正スペックを示す適正スペック情報を作成する適正スペック作成手段と、前記適正スペック作成手段作成された前記適正スペック情報に基づき、機器の製造条件を決定する製造条件決定手段と、を備える。
【0007】
前記適正スペック情報と、所定のスペックを示す前記スペック情報とを比較するスペック比較手段と、前記スペック比較手段による比較結果に基づき、機器の前記スペック情報を更新するスペック更新手段と、前記製造条件決定手段により決定された製造条件に基づき、表示装置に表示するための前記機器の製造に関する指示情報を作成する指示情報作成手段と、を備えてもよい。
【0008】
また、前記適正スペック作成手段は、前記所定のスペックを示す前記スペック情報および/または前記適正スペック情報、および前記スペック情報に関する累積情報に基づき、前記適正スペック情報を作成してもよい。
【0009】
本発明の一態様である製造補助システムは、上記の情報処理装置と、前記指示情報作成手段により作成された前記指示情報を表示する表示装置と、を備える。
【0010】
前記表示装置は、撮影装置と一体に構成されていてもよい。
【0011】
本発明の一態様である上記の製造補助システムを用いたバルブの組立方法は、前記機器は、バルブであり、前記製造条件は、前記バルブの弁体の物性値、前記弁体の寸法、および前記バルブの製造時の周囲の温度範囲のいずれか一つ、および、前記バルブのリーク検出方法を含んでいる。
【0012】
前記製造条件は、前記バルブのストローク量を含んでもよい。
【0013】
本発明の一態様である機器交換方法は、情報処理装置における製造条件決定手段により決定された製造条件に基づき、機器を製造し、製造した機器を、使用情報を取得した機器と交換する。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、適正なスペックを有する機器を容易に製造可能な技術を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の実施形態に係る製造指示情報作成装置を備える製造補助システムの構成図を示す。
図2】流体制御装置の外観斜視図を示す。
図3】バルブの正面図を示す。
図4】使用情報テーブルの構成例を示す図である。
図5】スペック情報テーブルの構成例を示す図である。
図6】適正スペック情報テーブルの構成例を示す図である。
図7】製造条件テーブルの構成例を示す図である。
図8】指示情報作成処理の手順を示すフローチャートである。
図9】ヘッドマウントディスプレイの外観図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明の実施形態に係る情報処理装置1について、図面を参照して説明する。
【0017】
図1は、本実施形態に係る情報処理装置1を備える製造補助システム10の構成図を示している。
【0018】
本発明の実施形態に係る情報処理装置1は、流体制御装置20に設けられるバルブ30に関する製造指示情報を作成する装置である。流体制御装置20は、半導体製造装置に設けられる装置である。バルブ30は機器の一例である。
【0019】
はじめに、流体制御装置20およびバルブ30について説明する。
【0020】
図2は、流体制御装置20の外観斜視図を示している。図3は、バルブ30の正面図を示している。
【0021】
図2に示すように流体制御装置20は、基盤21と、複数(3ライン)のガスライン22と、ガスアウトマニホールド23とを備えている。各ガスライン22の構成は同じであるので、以下では複数のガスライン22のうちの一つのガスライン22についてのみ説明を行う。
【0022】
図2に示すように、ガスライン22は、複数の継手24、25と、複数の流体制御機器27~30とを備える。
【0023】
複数の継手24、25は、プロセスガスの入口となる入口継手24と、入口継手24とガスアウトマニホールド23との間に配置される複数のブロック状の継手25とにより構成さている。複数の継手24、25は、基盤21上に一列に並ぶように設けられ、基盤21に固定されている。ガスアウトマニホールド23には、出口配管26が接続されている。
【0024】
複数の流体制御機器27~30は、手動式のレギュレータ(減圧弁)27と、フィルタ28と、流量制御機器(例えば、マスフローコントローラ(MFC:Mass Flow Controller))29と、自動弁(例えば流体駆動式の自動弁)30と、により構成されている。各流体制御機器27~30は、継手24、25に対しそれぞれ連結されている。そして、入口継手24から流入するガスは、流体制御機器27~30および複数の継手25およびガスアウトマニホールド23を通過して、図示せぬチャンバへ供給される。また、レギュレータ27またはマスフローコントローラ29には、ガスの流量を検知する図示せぬ流量センサが設けられている。
【0025】
図3は、バルブ30の正面図を示している。
【0026】
図3に示すように、バルブ30は、ボディ31と、アクチュエータ32と、ボディ31とアクチュエータ32と接続しトルクレンチ(図示省略)により回転されるボンネット33と、ボディ31とボンネット33とにより外周縁部が挟圧されるダイヤフラム34とを備える。また、バルブ30は、外部からアクチュエータ32へ供給される駆動流体により開閉が行われるバルブである。また、バルブ30には、センサ部35が設けられている。センサ部35は、ガスの圧力を検知する圧力センサ、ガスの温度を検知する温度センサ、ダイヤフラム34の動きを検知する変位センサにより構成されている。ダイヤフラム34は弁体に相当する。
【0027】
次に、情報処理装置1を備える製造補助システム10の構成について図1を参照して説明する。図1に示すように、製造補助システム10は、情報処理装置1と、カメラ2と、表示装置3とを備え、これらは有線または無線により通信可能に構成されている。
【0028】
カメラ2は、例えば、動画を撮影可能なビデオカメラであり、製造中のバルブ30を撮影し、撮影した動画を情報処理装置1へ送信するように構成されている。表示装置3は、ディスプレイを有し、情報処理装置1から送信されるバルブ30の製造に関する指示情報を表示する。
【0029】
情報処理装置1は、CPU(Central Processing Unit)11と、記憶部12と、通信部13とを備え、それらはバスにより互いに接続されている。
【0030】
CPU11は、記憶部12に記憶されたプログラムを読み出して実行することにより、情報処理装置1および製造補助システム10を制御する。
【0031】
記憶部12は、後述の指示情報作成処理に関するプログラムを記憶し、当該プログラムがCPU11に読み出されて実行されることにより、CPU11の各処理部11A~11Gの機能が実現される。
【0032】
また、記憶部12は、バルブ30の使用情報、スペック(仕様)情報、適正スペック(仕様)情報、製造条件、累積情報に関する各種テーブルを格納している。
【0033】
図4は、使用情報テーブル100の構成例を示す図である。
【0034】
使用情報テーブル100は、例えば、流体制御装置20の各ガスライン22の最上流および最下流に位置するバルブ30の使用情報を格納しており、各バルブ30に対応して複数の使用バルブテーブル101が設けられている。各使用バルブテーブル101には、対応するバルブ30のロットNo.が付されている。
【0035】
使用バルブテーブル101は、使用情報の項目として、ガス種102と、環境温度103と、流体温度104と、開閉頻度105と、流量106と、圧力107と、駆動圧108とを格納する。
【0036】
ガス種102は、バルブ30において使用されているガスの種類を示す。環境温度103は、バルブ30の周囲の平均温度(℃)を示す。流体温度104は、バルブ30を流れるガスの平均温度(℃)を示す。開閉頻度105は、使用期間におけるバルブ30の開閉回数(開閉の合計値)を示す。流量106は、使用期間においてバルブ30を流れたガスの流量(m/s)を示す。圧力107は、バルブ30に流れるガスの平均の圧力(MPa)を示す。駆動圧108は、バルブ30を開閉するためにアクチュエータ32へ供給される駆動流体の平均の駆動圧(MPa)を示す。
【0037】
バルブ30に設けられたセンサ部35、レギュレータ27またはマスフローコントローラ29に設けられた図示せぬ流量センサにより、環境温度103、流体温度104等が取得され、流体制御装置20に設けられた記憶部に蓄積される。なお、記憶部に蓄積せずに、無線通信により外部の他の情報処理装置に送信してもよい。そして、半導体製造装置に設けられた流体制御装置20が所定の期間(例えば1週間)使用されて当該記憶部に蓄積されたデータに基づき、使用情報テーブル100が作成される。また、使用情報テーブル100の作成は、情報処理装置1で行ってもよいし、外部の他の情報処理装置において使用情報テーブル100を作成して情報処理装置1に入力するようにしてもよい。また、使用情報テーブル100において、温度および圧力は平均値であったが、使用期間における温度および圧力の範囲(上限および下限)であってもよい。
【0038】
図5は、スペック情報テーブル200の構成例を示す図である。
【0039】
スペック情報テーブル200は、使用情報テーブル100に使用情報が格納されているバルブ30のスペック(仕様)情報を格納している。よって、スペック情報テーブル200には、各バルブ30に対応するスペックバルブテーブル201が設けられている。
【0040】
スペックバルブテーブル201は、スペック情報の項目として、ガス種202と、環境温度範囲203と、流体温度範囲204と、上限開閉頻度205と、上限流量206と、最高圧力207と、駆動圧範囲208とを格納する。
【0041】
ガス種202は、バルブ30において使用されているガスの種類を示すが、製造時には使用されるガスが不明であるので、何も入力されていない。環境温度範囲203は、バルブ30を使用可能な周囲の温度範囲(℃)を示す。流体温度範囲204は、バルブ30に流すガスの温度範囲(℃)を示す。上限開閉頻度205は、使用期間におけるバルブ30の開閉回数(開閉の合計値)の上限を示す。上限流量206は、使用期間においてバルブ30を流れるガスの流量(m/s)の上限を示す。最高圧力207は、バルブ30に流すことが可能なガスの最高圧力(MPa)を示す。駆動圧208は、バルブ30を開閉するためにアクチュエータ32へ供給される駆動流体の駆動圧(MPa)の範囲を示す。
【0042】
図6は、適正スペック情報テーブル300の構成例を示す図である。
【0043】
適正スペック情報テーブル300は、後述のように使用情報テーブル100に基づき作成されるテーブルであり、各バルブ30に対応する適正スペックバルブテーブル301を備える。
【0044】
適正スペックバルブテーブル301は、使用情報に基づく適正なスペック情報として、ガス種302と、環境温度範囲303と、流体温度範囲304と、上限開閉頻度305と、上限流量306と、最高圧力307と、駆動圧範囲308とを格納する。適正スペックバルブテーブル301に格納されている項目は、スペックバルブテーブル201に格納されている項目と同様であるので、説明を省略する。なお、適正スペックバルブテーブル301では、使用されるガスが入力されている。
【0045】
図7は、製造条件テーブル400の構成例を示す図である。
【0046】
製造条件テーブル400は、各バルブ30を製造するための製造条件が格納されている。よって、製造条件テーブル400には、各バルブ30に対応する製造バルブテーブル401が設けられている。
【0047】
製造バルブテーブル401は、製造情報の項目として、トルク値402と、ダイヤフラム寸法403と、ダイヤフラム硬度404と、ダイヤフラム変位量405と、温度範囲406と、工具407と、リーク試験方法408とを格納する。
【0048】
トルク値402は、ボンネット33をボディ31にねじ込む際のトルク値を示す。当該トルク値により、外周縁部が挟圧されるダイヤフラム34の形状が変化する。例えば、トルク値を上げれば、ダイヤフラム34の形状が急な山形状となるため、バルブ30のストローク量およびガス流量が増大し、ダイヤフラム34の耐久性は低下する。一方、トルク値を下げれば、ダイヤフラム34の形状がなだらかな山形状となるため、バルブ30のストローク量およびガス流量が減少し、ダイヤフラム34の耐久性は増加する。
【0049】
ダイヤフラム寸法403は、ダイヤフラム34の寸法を示す。ダイヤフラム34の寸法は製造ロットに応じて多少の誤差があるため、寸法A-Cの順に寸法が大きくなるように分類される。そして、ダイヤフラム34の寸法が大きいほど、ダイヤフラム34の形状が、なだらかな山形状となるため、バルブ30のストローク量およびガス流量が減少する。一方、ダイヤフラム34の寸法が小さいほど、ダイヤフラム34の形状が、急な山形状となるため、バルブ30のストローク量およびガス流量が増加する。
【0050】
ダイヤフラム硬度404は、ダイヤフラム34の硬度(ビッカース硬さ)を示す。ダイヤフラム34の硬度は製造ロットに応じて多少の誤差があるため、硬度A-Cの順に硬度が硬くなるように分類される。そして、ダイヤフラム34の硬度が硬いほど、ダイヤフラム34の形状が、急な山形状となるため、バルブ30のストローク量およびガス流量が増加する。一方、ダイヤフラム34の硬度が軟らかいほど、ダイヤフラム34の形状が、なだらかな山形状となるため、バルブ30のストローク量およびガス流量が減少する。ダイヤフラム34の硬度は、弁体の物性値に相当する。
【0051】
ダイヤフラム変位量405は、バルブ30のダイヤフラム34が弁座に着座するまでの距離、即ちバルブ30のストローク量を示す。ダイヤフラム変位量405は使用するバルブ30のCv値を決定するうえで、重要な項目となる。そして、ダイヤフラム変位量405が大きいほど、ダイヤフラム34の形状が急な山形状となるため、ガス流量が増大し、ダイヤフラム変位量405が小さいほど、ダイヤフラム34の形状がなだらかな山形状となるため、ガス流量が減少する。
【0052】
温度範囲406は、バルブ30の製造時の周囲の温度範囲を示す。
【0053】
工具407は、ボンネット33をボディ31にねじ込む際に使用するレンチの種類を示す。
【0054】
リーク試験方法408は、バルブ30が完成した後に行うリーク試験の方法を示す。バルブ30に流すガス種によって、リーク試験が変更される。例えば、モノシラン(SiH)を流すバルブ30に対しては、窒素を流すバルブ30に対し行われるリーク試験よりもより厳しい試験が行われる。リーク試験の方法は、リーク検出方法に相当する。
【0055】
累積情報テーブル500には、過去に情報処理装置1において指示情報が作成されたバルブに関する使用情報テーブル100、スペック情報テーブル200、適正スペック情報テーブル300、および製造条件テーブル400を蓄積したテーブルであり、後述の指示情報作成処理が行われた後、使用されたテーブルが格納される。
【0056】
通信部13は、カメラ2および表示装置3と通信を行い、カメラ2から送信される動画を受信し、CPU11の表示制御部11Gからの情報を表示装置3へ送信する。
【0057】
CPU11は、解析部11Aと、スペック比較部11Bと、スペック更新部11Cと、製造条件作成部11Dと、製造条件更新部11Eと、指示情報作成部11Fと、表示制御部11Gとを有する。
【0058】
解析部11Aは、使用情報テーブル100に格納された使用情報を解析し、スペック情報テーブル200に格納されたスペック情報および累積情報テーブル500に格納された累積情報に基づき、適正なスペック情報を作成する。例えば、使用情報テーブル100に格納された使用情報の各項目と、当該バルブ30のスペック情報の各項目を比較して、合致する項目については、当該スペックを適正スペックとして用い、合致しない項目については、合致するように変更したスペックを適正スペックとしてもよい。
【0059】
また、累積情報において、当該バルブ30と同様のスペックを有するバルブについて、使用情報の開閉頻度105が、スペック情報の上限開閉頻度205を上回ることまたは大幅に下回ることがなかった場合には、適正スペック情報の上限開閉頻度305を使用情報の開閉頻度105に基づき作成しなくてもよい。また、使用情報の全ての項目に合致するスペックを、累積情報の適正スペック情報から適正なスペックを抽出するようにしてもよい。
【0060】
バルブ30はストローク量が小さくなるほど、ダイヤフラム34の変位量が小さくかつ繰り返し応力が小さくなるため、耐久性、即ち使用可能な開閉回数を増すことができる。しかし、バルブ30のストローク量を小さくすると、圧力損失が大きく流量を確保することができず、耐久性と流量とは相反する関係にある。
【0061】
具体的には、図4の使用情報の各項目102~108と、図5のスペック情報の各項目202~208を比較する。使用情報の項目103、107~108についてはスペック情報の項目203、207~208と合致しているので、当該スペックを適正スペックとして用いる。一方、使用情報の項目102、104~106については、スペック情報の項目202、204~206の項目と合致していないので、合致するように変更したスペックを適正スペックとして用いる。これにより、図6に示す適正スペック情報が作成される。解析部11Aは、適正スペック作成手段に相当する。
【0062】
スペック比較部11Bは、スペック情報テーブル200に格納されたスペック情報と、適正スペック情報テーブル300に格納された適正スペック情報とを比較する。例えば、スペック情報テーブル200に格納された項目203~208と、適正スペック情報テーブル300に格納された項目303~308とを比較し、全て一致しているか否かを判定する。
【0063】
スペック更新部11Cは、スペック比較部11Bによる比較結果に基づき、スペック情報において、適正スペック情報と異なる項目の情報を、適正スペック情報の項目の情報に更新する。例えば、図5、6において、スペック情報テーブル200に格納されたスペック情報と、適正スペック情報テーブル300に格納された適正スペック情報とでは、流体温度範囲204、304と、上限開閉頻度205、305と、上限流量206、306が異なってる。よって、スペック情報の流体温度範囲204、上限開閉頻度205、および上限流量206の情報を、適正スペック情報の流体温度範囲304、上限開閉頻度305、および上限流量306の情報に更新する。
【0064】
製造条件作成部11Dは、更新されたスペック情報テーブル200に格納されたスペック情報に基づき、バルブ30の製造条件を作成する。具体的には、製造条件テーブル400に格納された製造条件と同様の項目(トルク値、ダイヤフラム寸法等)について作成する。例えば、ガス種302がSiHであるため、リーク試験方法408は、より厳しい試験方法が選択される。また、スペック情報の更新により、上限開閉頻度205が変更された場合には、ダイヤフラム34の耐久性が影響するため、適切なトルク値402の値が設定され、または、適切なダイヤフラム寸法403およびダイヤフラム硬度404が選択される。また、上限流量206が変更された場合には、ダイヤフラム34の変位量を変更するため、適切なトルク値402の値が設定され、または、適切なダイヤフラム寸法403およびダイヤフラム硬度404が選択される。
【0065】
製造条件更新部11Eは、製造条件作成部11Dにより作成された製造条件に基づき、製造条件テーブル400に格納された製造条件を更新する。製造条件作成部11Dと製造条件更新部11Eとは、製造条件決定手段に相当する。
【0066】
指示情報作成部11Fは、製造条件更新部11Eにより更新された製造条件に基づき、バルブ30の製造時に表示装置3に表示するための指示情報を作成する。例えば、製造条件テーブル400のトルク値402に基づき、トルク値「6.0」を表示装置3に表示するための指示情報、ダイヤフラム寸法403に基づき、「寸法A」を表示装置3に表示するための指示情報等を作成する。
【0067】
表示制御部11Gは、カメラ2から受信した動画に基づき、バルブ30製造工程を判断し、製造工程に応じて、指示情報作成部11Fが作成した指示情報を表示装置3に送信する。
【0068】
上記のような構成を備える本実施形態の情報処理装置1は、以下に説明する手順で指示情報作成処理を行う。
【0069】
図8は、指示情報作成処理の手順を示すフローチャートである。
【0070】
情報処理装置1のCPU11が実行する指示情報作成処理は、例えば、ユーザが記憶部12に記憶された指示情報作成処理に関するプログラムを実行することにより開始される。
【0071】
まず、解析部11Aは、図4に示す使用情報テーブル100に格納された使用情報を解析し、図6に示す適正なスペック情報を適正スペック情報テーブル300に格納する(ステップS1)。
【0072】
スペック比較部11Bは、スペック情報テーブル200に格納されたスペック情報と、適正スペック情報テーブル300に格納された適正スペック情報とを比較する(ステップS2)。具体的には、スペック情報テーブル200に格納された項目203~208と、適正スペック情報テーブル300に格納された項目303~308とを比較し、全て一致しているか否かを判定する。
【0073】
全て一致している場合(ステップS2:YES)、スペック比較部11Bは、指示情報作成処理を終了する。一方、一致しない項目がある場合(ステップS2.NO)、スペック比較部11Bは、ステップS3に進む。
【0074】
スペック更新部11Cは、ステップS2におけるスペック比較部11Bによる比較結果に基づき、スペック情報において、適正スペック情報と異なる項目の情報を、適正スペック情報の項目の情報に更新する(ステップS3)。
【0075】
製造条件作成部11Dは、更新されたスペック情報テーブル200に格納されたスペック情報に基づき、バルブ30の製造条件を作成する(ステップS4)。
【0076】
製造条件更新部11Eは、製造条件作成部11Dにより作成された製造条件に基づき、製造条件テーブル400に格納された製造条件を更新する(ステップS5)。
【0077】
指示情報作成部11Fは、製造条件更新部11Eにより更新された製造条件に基づき、バルブ30の製造時に表示装置3に表示するための指示情報を作成する(ステップS6)。
【0078】
また、本実施形態に係る機器交換方法では、製造条件更新部11Eにより更新された製造条件に基づき、バルブを製造し、製造したバルブを、使用情報を取得した流体制御装置20のバルブ30と交換する。これにより、常に半導体プロセスに応じた適切なスペックを有するバルブを提供することができる。
【0079】
上記のような、情報処理装置1によれば、解析部11Aは、バルブ30の使用情報に基づき、バルブ30に適した適正スペックを示す適正スペック情報を作成し、スペック比較部11Bは、適正スペック情報と、所定のスペックを示すスペック情報とを比較し、スペック更新部11Cは、スペック比較部11Bによる比較結果に基づき、バルブ30のスペック情報を更新し、製造条件作成手段(製造条件作成部11D、製造条件更新部11E)は、スペック更新部11Cにより更新されたスペック情報に基づき、バルブ30の製造条件を作成し、指示情報作成部11Fは、製造条件決定手段により決定された製造条件に基づき、表示装置3に表示するためのバルブの製造に関する指示情報を作成する。
【0080】
かかる構成によれば、バルブ30の使用状態に応じた適正なスペックを有するバルブを製造するための製造条件が作成され、当該製造条件に基づき、表示装置3に表示するためのバルブの製造に関する指示情報が作成される。このため、バルブ30と同じバルブの注文があった場合に、半導体プロセスに応じた適切なスペックを有する様々なバルブを容易に製造することができる。これにより、バルブのオーバースペックを防止でき、バルブの高額化を抑制することができる。したがって、ユーザは、リピート発注または同プロセスのバルブであれば、自身の使用環境に適したスペックのバルブを入手可能となる。
【0081】
また、解析部11Aは、所定のスペックを示すスペック情報および/または累積情報に基づき、適正スペック情報を作成する。これにより、バルブ30と同じバルブの注文があった場合に、半導体プロセスに応じたより適切なスペックを有する様々なバルブを容易に製造することができる。
【0082】
また、上記の製造補助システム10によれば、情報処理装置1と、指示情報作成部11Fにより作成された指示情報を表示する表示装置3とを備えるので、作業者が表示装置3を見ながら容易に様々なバルブを製造することができる。
【0083】
なお、本発明は、上述した実施例に限定されない。当業者であれば、本発明の範囲内で、種々の追加や変更等を行うことができる。
【0084】
例えば、上記の実施形態では、機器をバルブ30としたが、他の流体制御機器であってもよい。
【0085】
また、カメラ2と表示装置3とは、一体に構成されたタブレット端末4(図1)であってもよく、例えば、作業者とバルブ30との間にタブレット端末4を配置して、カメラ2で撮影した動画を表示装置3に表示して、製造補助を行ってもよい。さらに、情報処理装置1、カメラ2、および表示装置3が一体に構成されていてもよい。
【0086】
また、図9に示すように、カメラ2と表示装置3とは、一体に構成されたヘッドマウントディスプレイ5であってもよい。
【符号の説明】
【0087】
1:情報処理装置、2:カメラ、3:表示装置、4:タブレット端末、5:ヘッドマウントディスプレイ、10:製造補助システム、11:CPU、11A:解析部、11B:スペック比較部、11C:スペック更新部、11D:製造条件作成部、11E:製造条件更新部、11F:指示情報作成部、12:記憶部、100:使用情報テーブル、200:スペック情報テーブル、300:適正スペック情報テーブル、400:製造条件テーブル、500:累積情報テーブル、30:バルブ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9