(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-01-31
(45)【発行日】2023-02-08
(54)【発明の名称】ローラーにより生産物を塗布するためのシステム
(51)【国際特許分類】
B05C 1/02 20060101AFI20230201BHJP
B05C 11/00 20060101ALI20230201BHJP
B05C 11/10 20060101ALI20230201BHJP
B05D 1/28 20060101ALI20230201BHJP
B05D 3/00 20060101ALI20230201BHJP
B05D 7/26 20060101ALI20230201BHJP
【FI】
B05C1/02 102
B05C11/00
B05C11/10
B05D1/28
B05D3/00 D
B05D3/00 A
B05D7/26
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2021003512
(22)【出願日】2021-01-13
【審査請求日】2021-07-14
(32)【優先日】2020-01-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】516277439
【氏名又は名称】バルベラン ラトーレ, イエズス フランシスコ
(74)【代理人】
【識別番号】100158920
【氏名又は名称】上野 英樹
(72)【発明者】
【氏名】バルベラン ラトーレ, イエズス フランシスコ
【審査官】河内 浩志
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2004/0241328(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B05C1/00- 3/20
7/00-21/00
B05D1/00- 7/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
生産物(3)を板状材(4)に塗布するための塗布ローラー(1)と、前記塗布ローラー(1)の表面に前記生産物(3)を添加するための第1の添加ローラー(2')とを含む、ローラーで生産物(3)を塗布するためのシステムであって、前記第1の添加ローラー(2')によって行われた添加を微調整するように構成された少なくとも1つの第2の添加ローラー(2”)を含み、それによって前記塗布ローラー(1)の表面に添加される生産物(3)の量を調整
し、前記システムは、少なくとも1つの添加本体(6)を含み、該少なくとも1つの添加本体(6)は、前記第1の添加ローラー(2')及び/又は前記少なくとも1つの第2の添加ローラー(2”)を含み、前記添加本体(6)は1つ又は複数の側壁(7)を含み、前記添加本体(6)は、第1の生産物(3)回収チャンバ(9')を、前記塗布ローラー(1)と共に定めることを特徴とする、ローラーで生産物(3)を塗布するためのシステム。
【請求項2】
前記システムは、前記第1の添加ローラー(2')及び/又は前記第2の添加ローラー(2”)が前記塗布ローラー(1)に近づくこと及び/又は前記塗布ローラー(1)から遠ざかることを可能にする移動サブシステムを含むことを特徴とする、請求項1に記載の生産物(3)をローラーで塗布するためのシステム。
【請求項3】
前記塗布ローラー(1)、前記第1の添加ローラー(2')及び前記少なくとも1つの第2の添加ローラー(2”)のための独立したモーターを含むことを特徴とする、請求項1又は2に記載の生産物(3)をローラーで塗布するためのシステム。
【請求項4】
前記第1の添加ローラー(2')及び前記少なくとも1つの第2の添加ローラー(2”)の方向及び回転速度のための調整サブシステムを含むことを特徴とする、請求項3に記載の生産物(3)を塗布するためのシステム。
【請求項5】
前記少なくとも1つの添加本体(6)が、少なくとも1つの第2の生産物(3)回収チャンバ(9”)を、前記塗布ローラー(1)と共に定めることを特徴とする、請求項
1に記載のローラーで生産物(3)を塗布するためのシステム。
【請求項6】
前記第1の生産物(3)回収チャンバ(9')及び/又は前記少なくとも1つの第2の生産物(3)回収チャンバ(9”)から前記生産物(3)を再循環するように構成された生産物(3)再循環路を含むことを特徴とする、請求項
5に記載のローラーで生産物(3)を塗布するためのシステム。
【請求項7】
前記生産物(3)の取り出し又は前記チャンバ(9')(9”)への取り込みにより、前記生産物(3)の一定液位を維持するために、前記第1の生産物(3)回収チャンバ(9')及び/又は前記少なくとも1つの第2の生産物(3)回収チャンバ(9”)に生産物(3)液位維持手段を含むことを特徴とする、請求項5
又は6に記載のローラーで塗布するためのシステム。
【請求項8】
前記第1の生産物(3)回収チャンバ(9')は、前記添加本体(6)の少なくとも1つの側壁(7)と前記塗布ローラー(1)によって定められる開口部(13)を含み、該開口部(13)は、前記板状材(4)に被着されずに前記塗布ローラー(1)に付着して戻る前記生産物(3)の層の前記第1の生産物(3)
回収チャンバ(9')への通過を可能にする大きさを有することを特徴とする、請求項
1から
7のいずれかに記載のローラーで生産物(3)を塗布するためのシステム。
【請求項9】
前記少なくとも1つの添加本体(6)は、前記第1の生産物(3)回収チャンバ(9')及び/又は前記少なくとも1つの第2の生産物(3)回収チャンバ(9”)の下に配置された生産物(3)回収トレイ(12)を含み、該生産物(3)回収トレイ(12)は、前記第1の添加ローラー(2')及び/又は前記第2の添加ローラー(2”)によって引き込まれた、及び/又は前記塗布ローラー(1)から離脱した前記生産物(3)を貯留するための生産物(3)貯留区画(11)を、前記塗布ローラー(1)及び/又は前記添加本体(6)の前記少なくとも1つの側壁(7)と共に定めることを特徴とする、請求項5から
7のいずれかに記載のローラーで生産物(3)を塗布するためのシステム。
【請求項10】
前記第1の添加ローラー(2')及び/又は前記第2の添加ローラー(2”)によって引き込まれた生産物(3)を保持及び/又は掻き取るように構成された少なくとも1つの保持部(5)を備えることを特徴とする、請求項
1から
9のいずれかに記載のローラーで生産物(3)を塗布するためのシステム。
【請求項11】
請求項1から
10のいずれかに記載のローラーで生産物(3)を塗布するためのシステムを使用することを含むローラーで生産物(3)を塗布する方法であって、前記塗布ローラー(1)の表面に添加される前記生産物(3)の量を減少及び/又は増加させるために、それぞれ前記第1の添加ローラー(2')及び/又は前記少なくとも1つの第2の添加ローラー(2”)を前記塗布ローラー(1)に近づくように又は前記塗布ローラー(1)から遠ざかるように動かすことを含むことを特徴とする、ローラーで生産物(3)を塗布する方法。
【請求項12】
前記第1の添加ローラー(2')及び/又は前記少なくとも1つの第2の添加ローラー(2”)の角速度を設定することを含み、前記角速度が前記塗布ローラー(1)の角速度と同じ方向である場合に、前記塗布ローラー(1)の表面に添加される前記生産物(3)の量が減少し、前記角速度が前記塗布ローラー(1)の角速度と逆方向である場合に、前記塗布ローラー(1)の表面に添加される前記生産物(3)の量が増加することを特徴とする、請求項
11に記載のローラーで生産物(3)を塗布する方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の目的は、板状材(段ボールのシートなど)に生産物(ワニスなど)を均一に塗布して均一な仕上がりを実現することができ、更に生産物が最適に使用されてその生産物の損失を最小限にすることが可能な、ローラーで生産物を塗布するためのシステムである。
【0002】
本発明のローラーで生産物を塗布するためのシステムは、ロジスティクス工学や、包装、看板及びポスターの製造、並びに家具又は同様のものの製造の分野において特別な用途を有する。
【背景技術】
【0003】
ワニスのような生産物をローラーで塗布するシステムは、通常は2つのローラーのセットで構成される。一方は、板状材に生産物を塗布するための、その表面がゴムでコーティングされた塗布ローラーであり、他方は、塗布ローラーの近くに配置された、通常はクロムメッキされた金属表面を備えた添加ローラーであり、それは板状材(シート、プレート、パネル、ポスター、層など)でのその次の塗布のために、塗布ローラーに「たっぷりの」量の生産物を添加するために使用される。
【0004】
塗布と添加の両方のローラーは、その回転のための独立したモーターを備えており、独立した速度調整も備えている。
【0005】
板状材が、固定された塗布システムに対して板状材の輸送システムによって前進することで、板状材に生産物が塗布される。板状材の輸送システムは、例えば、コンベヤーベルト又はローラーとすることができる。
【0006】
生産物を塗布するためのこれらのシステムの基本的な動作原理は、塗布ローラーに生産物を添加することからなる。この生産物は、ポンプ圧送によって両方のローラーの間に供給され、添加は、両方のローラー間の空間又は間隙を調整すること、並びに両方のローラーの角速度及びその回転方向を調整することによってなされる。
【0007】
したがって、特定の生産速度(生産物によってコーティングされた板状材の出力速度)については、その生産速度は、塗布ローラーの特定の速度を要する。
-両方のローラー間の間隙が増加すると、添加される生産物の量が増加する。
-塗布ローラーの角速度とは逆の回転方向において、添加ローラーの角速度が増加すると、添加される生産物の量も増加する。
-塗布ローラーと同じ回転方向において添加ローラーの速度が上がると、添加量が減少する。
【0008】
塗布ローラーに対する生産物の添加により、板状材に塗布される生産物の単位面積当たりの重量を調整することができる。
【0009】
ローラーで生産物を塗布する従来のシステムでは、塗布で消費されなかった一部の生産物(つまりワニス)は、再循環のために漏斗、流路、及びトレイを通り重力によってポンプタンクに戻される。
【0010】
生産物が再循環路に留まっている間、ほとんどの部分が開路であるため、特に水系の生産物を使用する場合、一部の溶剤は蒸発することがある。この蒸発により、粘度、密度などの生産物の特定の特性にはらつきが生じる。この再循環路の構成要素である漏斗、流路、トレイは、使用するたびに洗浄されなければならず、この洗浄作業は、塗布で使用される生産物に応じて、多かれ少なかれ困難である。
【0011】
特定の生産速度、又は塗布される生産物の特定の粘度に関して、この塗布システムでの特定の添加制限がある。例えば、板状材の製造速度が120m/分程度に対して、生産物の粘度が高いと、単位面積当たりの低重量を実現するための生産物の塗布は複雑な作業になる(段ボールでの印刷に適用される、取り扱われる単位面積当たりの重量については、現在80~90m/分程度の速度が高速として考えられている)。これは、一部の塗布、つまり高い生産速度で少量の生産物(単位面積当たりの低重量)の添加をする塗布が直面する主要な課題である。
【0012】
塗布ローラーと添加ローラーの間の特定の間隙に関しては、添加ローラーの角速度を固定した状態では、塗布ローラーの回転速度(n1)が高い程、そして生産物の粘度が高い程、2つのローラーの間での添加量は多くなる。
【0013】
高い生産速度に関して、この添加量を減らすために通常行われることは、添加ローラーと塗布ローラーの間の添加領域において、塗布ローラーの回転の直線的な反対方向に(すなわち、塗布ローラーと同じ方向の角速度で)、添加ローラーを高速(n2)で回転させること及び生産物の粘度を下げることである。
【0014】
粘度は特定の限界まで下げられることができるが、それを過ぎると有効でなくなる。
【0015】
添加ローラー(n2)の速度は、次によって特徴付けられる限界まで上げることができる。
-ローラーシステムの構造そのもの。
-2つのローラーの間の領域で生じるせん断。これが大きいほど、生産物でより大きな乱流が発生し、生産物がより不安定化し、発泡、粘度の増加などが大きくなる。
-構造の起こり得る故障に対する耐性の低さ。例えば、システムが生産物を使い果たした場合、この高せん断では、塗布ローラーのゴムが破損し易い。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
高せん断によって生じる悪影響の明らかである一般的な例は、生産物が発泡し、それによりその粘度が増加することである。ポンプ圧送状態を維持しながら粘度が上昇すると、ポンプがローラーに生産物を供給できなくなる状態に到達する。ある時点で、これらは乾燥したままであり、非常に高いせん断力で、ゴム加工を施したローラーが故障する。
【0017】
現在、90m/分を超える生産速度及び段ボールでの印刷に従来使用されているプライマー又は固着生産物について、5~12グラム/m2の単位面積当たりの重量に相当する厚さを得ることは不可能である。これらのプライマー又は固着生産物は、通常は水系のアクリル分散液であるか、又は紫外線によって活性化される光開始剤による硬化のため溶剤系である。
【0018】
論理的に、使用する生産物の量によるコストを削減し、乾燥時間を短縮し、板状材にワニスを提供することから生じる問題を防ぐために(ワニスが板状材をコーティングする表層に留まり、板状材の内層に浸透しないことが関心となっている)、可能な限り低い単位面積当たりの重量が関心となっている。
【課題を解決するための手段】
【0019】
本発明は、上述の欠点を解決することを目的とする、ローラーで生産物を塗布するためのシステムに関する。
【0020】
ローラーで生産物を塗布するためのシステムは、板状材に生産物を塗布するための塗布ローラーと、塗布ローラーの表面にその生産物を添加するための第1の添加ローラーとを含む。
【0021】
新規の方法では、本発明のローラーで生産物を塗布するためのシステムは、第1の添加ローラーで行われた添加を微調整するように構成された少なくとも1つの第2の添加ローラーを含み、それによって塗布ローラーの表面に添加される生産物の量を調節する。
【0022】
このようにして、第1の添加ローラーで、最初の量の生産物が塗布ローラーの表面に添加され、少なくとも1つの第2の添加ローラーで、最初に添加された生産物の量が調整され、塗布ローラーの表面に塗布された生産物(例えば、ワニス)の層を減らすか又は維持することができる。
【0023】
塗布ローラーへの生産物の添加のこの調整及び微調整は、板状材に塗布される生産物の単位面積当たりの重量のより良好な調整をもたらす。
【0024】
好ましくは、本発明のローラーで生産物を塗布するためのシステムは、第1の添加ローラー及び/又は第2の添加ローラーが塗布ローラーに近づくこと及び/又は塗布ローラーから遠ざかることを可能にする移動サブシステムを含む。
【0025】
この近づく及び/又は遠ざかる動きは、各添加ローラーで個別に行うことも、あるいは塗布ローラーに一緒に近づいたり又は塗布ローラーから一緒に遠ざかったりする2つの添加ローラーについて一緒に行うこともできる。
【0026】
添加ローラーが塗布ローラーに近づくと、塗布ローラーの表面に添加される生産物の量を減らす効果がある。更に、添加ローラーが塗布ローラーから離れる(ある距離まで)と、塗布ローラーの表面に添加される生産物の量を増加させる効果がある。
【0027】
本発明の好ましい実施形態によれば、各添加ローラーは独立したモーターを含み、それは他の添加ローラーのモーターから独立すると共に、塗布ローラーのモーターから独立する。
【0028】
同様に、好ましくは、本発明のローラーで生産物を塗布するためのシステムは、第1の添加ローラー及び少なくとも1つの第2の添加ローラーの方向及び回転速度のための調整サブシステムを含む。
【0029】
独立したモーターと前段落で述べた調整サブシステムにより、その回転方向(その角速度の向き)とその回転速度の大きさ(角速度の絶対値)の両方を、各添加ローラーに対して独立して調整することができる。
【0030】
添加ローラーの回転方向が塗布ローラーの回転方向と反対である場合、塗布ローラーの表面への生産物の添加には有利に働く。このような状況では、塗布ローラーの一定の回転速度に対して添加ローラーの回転速度が増加すると、塗布ローラーの表面に添加される生産物の量が増加する。
【0031】
したがって、各添加ローラーの回転速度の大きさへの作用が可能であり、更にその添加ローラーの回転方向を反転させることさえも可能である。
【0032】
添加ローラーの回転方向が塗布ローラーの回転方向と一致する場合、塗布ローラーの表面への生産物の添加が妨げられ、塗布ローラーの表面からの生産物の除去に有利に働くこともできる。このような状況では、添加ローラーの回転速度が増加すると、この効果は増大する。
【0033】
本発明の可能な実施形態によれば、ローラーで生産物を塗布するためのシステムは、少なくとも1つの添加本体を含む。この少なくとも1つの添加本体は、第1の添加ローラー及び/又は少なくとも1つの第2の添加ローラーを含む。言い換えれば、1つの添加ローラーを備えた添加本体、又は複数の添加ローラーを備えた添加本体にすることができる。
【0034】
少なくとも1つの添加本体は、1つ又は複数の側壁を含むことができる。
【0035】
好ましくは、少なくとも1つの添加本体は、第1の生産物回収チャンバを、塗布ローラーと共に定める。この第1の生産物回収チャンバは、塗布ローラーと第1の添加ローラー、更に任意で少なくとも1つの添加本体の側壁の間に定めることができる。この第1の生産物回収チャンバはまた、その第1の生産物回収チャンバの側面にある密閉プレートによって更に定められることができる。
【0036】
生産物回収チャンバは、塗布ローラーの表面に対して作られた、その生産物回収チャンバに貯蔵された生産物の浴として都合が良く、それにより塗布ローラーの表面へ生産物を付けるのに有利に働く。この浴の後、対応する添加ローラーは、(回転速度及び塗布ローラーからのその距離を調節することによって)塗布ローラーの表面に適切な量の生産物を添加する。
【0037】
同様に、この第1の生産物回収チャンバは、塗布ローラーの表面に付けられるが、コンベヤーベルト又は輸送システムでの板状材の通路の外側にある塗布ローラーの両端に位置することで、又はコンベヤーベルト又は輸送システムでの板状材間の空間に対応する領域にあることでいかなる板状材にも塗布されていない生産物の残留物の回収を可能にする。塗布ローラーの表面に付着して戻ってくるこの生産物の残留物は、収容されて第1の生産物回収チャンバに貯蔵された生産物と混合される。
【0038】
本発明の可能な実施形態によれば、少なくとも1つの添加本体は、少なくとも1つの第2の生産物回収チャンバを、塗布ローラーと共に定める。この第2の生産物回収チャンバは、塗布ローラーと少なくとも1つの第2の添加ローラー、更に任意で少なくとも1つの添加本体の側壁の間に定めることができる。この第2の生産物回収チャンバはまた、その第2の生産物回収チャンバの側面にある密閉プレートによって更に定められることができる。
【0039】
好ましくは、本発明によるシステムは、第1の生産物回収チャンバ及び/又は少なくとも1つの第2の生産物回収チャンバから生産物を再循環させるように構成された生産物再循環路を含む。したがって、これにより生産物が乾燥したり、チャンバ内で圧縮されたりするのを防ぎ、塗布システムへ生産物の継続的な供給を行うことができる。
【0040】
生産物を取り出す及び/又は回収チャンバに取り込むために、再循環路が第1の生産物回収チャンバ及び/又は少なくとも1つの第2の生産物回収チャンバに接続されることが考えられる。これは、ある時間に生産物回収チャンバ内に過剰に貯蔵され得る生産物が、再循環して塗布ローラー及び/又は生産物回収チャンバに戻ることができるため有効である。
【0041】
より好ましくは、生産物再循環路は、生産物供給タンクからの生産物を、第1の生産物回収チャンバからの生産物及び/又は少なくとも1つの第2の生産物回収チャンバからの生産物と共に再循環させるように構成される。これによれば、再循環及び回収チャンバに貯められた生産物が、塗布システムの使用中に常に新鮮に保たれることを容易にする。
【0042】
生産物を取り出す及び/又は生産物供給タンクに取り込むために、そのタンクが再循環路に接続されることが考えられる。これによれば、再循環路そのものが、塗布システムでの生産物の供給路として機能する。
【0043】
代わりの又は補完的な方法では、生産物は、第1の生産物回収チャンバ内で又は少なくとも1つの第2の生産物回収チャンバ内で、添加ローラーと塗布ローラーの間に直接供給されることができる。
【0044】
生産物の再循環又は供給は、ポンプ圧送によって行うことができる。ポンプ圧送は、ポンプ圧送された生産物を、塗布ローラー及び/又は第1の生産物回収チャンバ及び/又は少なくとも1つの第2の生産物回収チャンバへと導くように構成される。再循環又は供給は、例えば、少なくとも部分的に重力によって行われることができることも考えられる。
【0045】
本発明のシステムはポンプ圧送路に接続されたポンプを含み、そのポンプ圧送路は、ポンプ圧送された生産物を、塗布ローラー及び/又は第1の生産物回収チャンバ及び/又は第2の生産物回収チャンバへ戻すように構成されることが考えられる。
【0046】
好ましくは、本発明のローラーで生産物を塗布するためのシステムは、チャンバへの生産物の取り出し又は取り込みにより生産物の一定の液位を維持するために、第1の生産物回収チャンバ及び/又は少なくとも1つの第2の生産物回収チャンバに生産物液位維持手段を含む。
【0047】
生産物液位維持手段は、例えば、対応する回収チャンバの側壁に配置されたオーバーフローの形態にすることができる。オーバーフローはある液位での開口部を含み、それにより回収チャンバの生産物がその液位を超えると、生産物が開口部を通ってオーバーフローするようにすることができる。
【0048】
代わりの又は補完的な方法では、生産物液位維持手段は、第1の生産物(3)回収チャンバ(9')及び/又は少なくとも1つの第2の生産物(3)に配置された少なくとも1つの生産物(3)液面センサと、第1の生産物(3)回収チャンバ(9')と再循環路の接続部及び/又は少なくとも1つの第2の生産物(3)回収チャンバ(9”)と再循環路の接続部に配置された少なくとも1つのバルブとを含み、少なくとも1つの生産物(3)液面センサが、第1のチャンバ(9')及び/又は少なくとも1つの第2の生産物(3)回収チャンバ(9”)の生産物(3)液位が所定値を超えたことを検出した時に、その液面センサは少なくとも1つのバルブに開放信号を送り、少なくとも1つの液面センサが、第1のチャンバ(9')及び/又は少なくとも1つの第2の生産物(3)回収チャンバ(9”)での生産物(3)液位がある値より下がったことを検出すると、少なくとも1つの液面センサが少なくとも1つのバルブに閉鎖信号を送る。
【0049】
好ましくは、第1の生産物回収チャンバは、添加本体の少なくとも1つの側壁と塗布ローラーで定められる開口部を含む。その開口部は、(既に考えられたように)板状材に被着されずに塗布ローラーに付着して戻る生産物の層の第1の生産物回収チャンバへの通過を可能にするような大きさを有する。
【0050】
本発明の可能な実施形態によれば、少なくとも1つの添加本体は、第1の生産物回収チャンバの下及び/又は少なくとも1つの第2の生産物回収チャンバの下に配置された生産物回収トレイを含む。この生産物回収トレイは、生産物貯留区画を、塗布ローラー及び/又は添加本体の少なくとも1つの側壁と共に定める。
【0051】
この生産物貯留区画は、第1の添加ローラー及び/又は第2の添加ローラーで引き込まれた及び/又は塗布ローラーから離脱した生産物の貯留を可能にする。生産物回収トレイの底部に対応して位置する添加本体の領域は、廃棄物ダクト又は再循環路へ生産物を移動させるためのドレンを含むことができる。
【0052】
生産物回収トレイは、塗布生産物の代わりに塗布システムに供給される洗浄生産物によって、塗布システムの洗浄を容易にする。洗浄のために、洗浄生産物は、第1の添加ローラー及び/又は第2の添加ローラーを通り、過剰な塗布生産物を洗浄生産物と共にその貯留区画に引き込み、そこにその生産物は貯留して、そこからドレンによって除去されることができる。
【0053】
可能な実施形態によれば、本発明のローラーで生産物を塗布するためのシステムは、第1の添加ローラー及び/又は第2の添加ローラーで引き込まれた生産物を保持及び/又は掻き取るように構成された少なくとも1つの保持部を含む。
【0054】
その保持により、生産物回収チャンバの外への生産物の通過を防止又は低減することができ、それによりベアリングやモーターなどのシステムの一部が生産物から隔離された状態を保つ。
【0055】
掻き取る場合、保持部は刃の形態にすることができる。掻き取ることにより、添加ローラーによって引き込まれてそれに付着した過剰な生産物を取り除くことができる。システムの完全な作動については、添加ローラーは塗布ローラーの表面に適用されて、添加ローラーの表面には生産物がないことが求められる。
【0056】
このようにして、添加ローラーの表面は、その表面に付着した過剰な生産物が除去され、その生産物は、生産物回収チャンバ内に、生産物回収トレイに、又は特定の生産物の回収モジュール内に留まるようにして回収される。
【0057】
好ましくは、その貯留区画は、生産物再循環路に向けられた出口を有する。
【0058】
有利なことに、生産物回収は、生産物が節約されることを促進し、第2の添加ローラーの表面に付着した過剰な生産物を回収してそれを再循環路に導く。
【0059】
本発明はまた、ローラーで生産物を塗布するための方法に関する。この方法は、上述したローラーで生産物を塗布するためのシステムを使用することを含む。
【0060】
本発明のローラーで生産物を塗布するための方法は、塗布ローラーの表面に添加される生産物の量を減少及び/又は増加させるために、それぞれ第1の添加ローラー及び/又は少なくとも1つの第2の添加ローラーを塗布ローラーに近づける又は塗布ローラーから遠ざけることを含む。
【0061】
可能な実施形態によれば、ローラーで生産物を塗布するための方法は、第1の添加ローラー及び/又は少なくとも1つの第2の添加ローラーの角速度を設定することを含み、それにより添加ローラーの角速度が塗布ローラーの角速度と逆方向である場合に、塗布ローラーの表面に添加される生産物の量が増加し、そして添加ローラーの角速度が塗布ローラーの角速度と同じ方向である場合に、塗布ローラーの表面に添加される生産物の量が減少する。
【発明の効果】
【0062】
説明されたシステム及び方法は、高速であっても、板状材に非常に広範囲の生産物の単位面積当たりの重量が添加されることを可能にする。更に、生産物回収チャンバはほぼ閉じており、そして再循環はパイプによって行われるため、飛び散り及び実際の清掃に関して従来のものより清潔なシステムであることに加えて、蒸発、したがって粘度を、遥かに良好に制御することができる。
【図面の簡単な説明】
【0063】
以下の図は、本発明の少なくとも1つの実施形態の説明の一部として含まれる。
【
図1】ローラーで生産物を塗布するための従来のシステムの概略図を示す。
【
図2】本発明の第1の実施形態の概略図を示し、ローラーで生産物を塗布するためのシステムは添加本体を含み、添加本体は、第1の生産物回収チャンバと、第1の添加ローラーと、第2の生産物回収チャンバと、第2の添加ローラーと、生産物回収トレイとを備える。
【
図3】本発明の第2の実施形態の概略図を示し、ローラーで生産物を塗布するためのシステムは、2つの生産物回収チャンバと、第1の添加ローラーと、第2の添加ローラーとを含む。
【
図4】第1の添加ローラーと、第2の添加ローラーと、第2の添加ローラーで引き込まれた生産物を掻き取るためのブレード又はスパイクとを備えた、本発明の第3の実施形態の概略図を示す。
【
図5a】コンベヤーベルト上を動く一連の板状材への生産物の塗布の側面図を示す。
【
図6a】本発明の変形の実施形態の概略図を示しており、添加本体は、添加ローラーのための支持要素を含む。
【
図6b】支持要素をより良く示すための
図6aの概略図のA-A断面拡大図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0064】
本発明は、上述のように、ローラーで生産物(3)を塗布するためのシステムに関する。
【0065】
図1は、最新技術に対応するローラーで生産物(3)を塗布するためのシステムを示す。生産物(3)を板状材(4)に塗布するための塗布ローラー(1)が示されている。塗布ローラー(1)に生産物(3)を添加又は塗布するための添加ローラー(2)も示されている。この図は、添加ローラー(2)がその動作で生産物(3)を保持して反時計回りに回転する時に添加ローラー(2)をこするブレード(5)を示し、添加のために生産物(3)をもう一度利用可能にするか、生産物(3)を再循環路(不図示)に戻す。
【0066】
本発明のローラーで生産物(3)を塗布するためのシステムは、(従来のシステムと同様に)板状材(4)に生産物(3)を塗布するための塗布ローラー(1)と、第1の添加ローラー(2')とを含む。
【0067】
塗布ローラー(1)は、好ましくは、ゴム表面(8)を含む。
【0068】
本発明によれば、ローラーで生産物(3)を塗布するためのシステムは、少なくとも1つの第2の添加ローラー(2”)を含む。第1の添加ローラー(2’)によって、塗布ローラー(1)での生産物(3)の最初の(又は厚い)添加がなされる。第2の添加ローラー(2”)によって、塗布ローラー(1)での生産物(3)の添加を微調整して、塗布ローラー(1)で添加される生産物(3)の量及び/又は層の厚さを所定の値に調整することができる。
【0069】
各添加ローラー(2’、2”)は、好ましくは金属表面を含み、金属表面は典型的にはクロム鋼で作られる。
【0070】
上述した少なくとも2つの添加ローラー(2’、2”)は、単一の添加本体(6)の一部を構成し得るか、又は独立した複数の添加本体(6)であり得る。
【0071】
任意で、各添加本体(6)は、1つ又は複数の側壁(7)を含むことができる。
【0072】
各添加本体(6)は、少なくとも1つの生産物(3)回収チャンバ(9’)、(9”)を、塗布ローラー(1)と共に定めることができる。その少なくとも1つの生産物(3)回収チャンバ(9')、(9”)は、生産物(3)を回収して、ポンプ圧送及び塗布ローラー(1)での新しい添加のためにポンプへ再循環させるために、並びに/又は回収チャンバ(9')、(9”)へ再循環させるために使用される。
【0073】
図2に示される本発明の第1の実施形態によれば、第1の添加ローラー(2’)及び第2の添加ローラー(2”)を含む単一の添加本体(6)が存在する。この実施形態では、添加本体(6)は、いくつかの側壁(7)を含む。添加本体(6)は、ポンプから来る生産物(3)を受け入れてその生産物(3)をポンプへ再循環させるための第1の生産物(3)回収チャンバ(9')及び第2の生産物回収チャンバ(9”)を、生産物(3)回収チャンバ(9'、9”)に向けた新たな循環のために、塗布ローラー(1)と共に定める。より具体的には、この第1の実施形態では、第1の生産物(3)回収チャンバ(9')は、第1の添加ローラー(2')と、添加本体(6)の少なくとも1つの側壁(7)と、塗布ローラー(1)とによって定められ、第2の生産物(3)回収チャンバ(9”)は、第2の添加ローラー(2”)と、添加本体(6)の少なくとも1つの側壁(7)と、第1の添加ローラー(2')と、塗布ローラー(1)とによって定められる。
【0074】
図2に示される実施形態によれば、保持部(5)は、添加ローラー(2'、2”)と添加本体(6)の間の接続領域で、添加ローラー(2'、2”)の上部及び下部の両方に配置され、添加ローラー(2'、2”)に付着した生産物(3)を保持及び/又は掻き取る機能を提供する。
【0075】
図3は、本発明のローラーで生産物(3)を塗布するためのシステムの第2の実施形態を示し、第1の添加本体(6)は、第1の添加ローラー(2')と、少なくとも1つの側壁(7)とを含む。第1の添加本体(6)は、第1の生産物(3)回収チャンバ(9’)を、塗布ローラー(1)と共に定める。第1の添加ローラー(2')によって第1の生産物(3)回収チャンバ(9')から添加された生産物(3)は、塗布ローラー(1)の表面によって、第2の添加ローラー(2”)(それ自体で、第2の添加本体(6)を形成する)に向けられる。この実施形態では、ローラーで生産物(3)を塗布するためのシステムは、保持部(5)を備えた回収モジュール(10)を備える。その生産物の回収モジュール(10)は、第2の添加ローラー(2”)によって引き込まれた添加量から過剰な生産物(3)を貯留するための第2の生産物(3)回収チャンバ(9”)を、第2の添加ローラー(2”)と共に定める。第2の生産物回収チャンバ(9”)には、再循環路に向けられた出口がある。示されているように、
図3に示される実施形態は、
図2に示される実施形態とは第2の生産物回収チャンバ(9”)の配置において異なる。
【0076】
図3に示す実施形態によれば、保持部(5)は、添加ローラー(2')と添加本体(6)の間の接続領域の上部領域と下部領域の両方に配置され、添加ローラー(2')に付着した生産物(3)を保持及び/又は掻き取る機能を提供する。同様に、回収モジュール(10)には、その下部に保持部(5)を含む。
【0077】
図4は、本発明のローラーで生産物(3)を塗布するためのシステムの第3の実施形態を示す。前のものよりもより単純であるこの実施形態では、第1の添加ローラー(2’)と第2の添加ローラー(2”)が存在する。各添加ローラー(2’、2”)は、それ自体が独立した添加本体(6)を構成する。第2の添加ローラー(2”)によって引き込まれて塗布ローラー(1)に添加されなかった過剰な生産物(3)を掻き取るためのスパイク(先のとがった金属)又はブレード(5)がある。
【0078】
好ましくは、各生産物(3)回収チャンバ(9')、(9”)は、塗布ローラー(1)の両側面に対して閉鎖シール又は側面密閉プレート(不図示)によって側面が閉じられることにより閉鎖され、それにより生産物(3)が失われることなく、生産物(3)回収チャンバ(9')、(9”)から出ていくことを保証する。
【0079】
実施形態のいずれにも、ポンプから第1の生産物(3)回収チャンバ(9')及び/又は第2の生産物(3)回収チャンバ(9”)及び/又は塗布ローラー(1)の表面へ向かうポンプ圧送路がある。ポンプ圧送路もポンプも、図には示されていない。
【0080】
生産物(3)がポンプ圧送路から第1の生産物(3)回収チャンバ(9')及び/又は第2の生産物(3)回収チャンバ(9”)及び/又は塗布ローラー(1)の表面に到着すると、生産物(3)は、対応する添加ローラー(2'、2”)によって塗布ローラー(1)に添加される。
【0081】
少なくとも1つの生産物(3)回収チャンバ(9')、(9”)、第1の生産物(3)回収チャンバ(9')及び該当する場合には第2の生産物(3)回収チャンバ(9”)が存在するそれらの実施形態では、ポンプへ向かい、そして再びポンプ圧送路に向かう再循環路(不図示)への生産物(3)の通路にバルブ(不図示)を含む。第1チャンバ(9')及び/又は第2チャンバ(9”)のバルブを開くために、各チャンバ(9')、(9”)に液面センサ(不図示)があり、そのチャンバ(9')、(9”)のそれぞれにおいて所定の生産物(3)液位に達すると、チャンバ(9')、(9”)のそれぞれにおいて生産物(3)の液位が再びその所定の液位より低くなるまで、バルブが開かれて生産物(3)を再循環させる。代わりの又は補完的な方法では、生産物(3)回収チャンバ(9')、(9”)は、対応する回収チャンバ(9')、(9”)の側壁に配置された、生産物(3)用のオーバーフロー開口部を備えたオーバーフロー(不図示)を有することができる。
【0082】
図2に示されるように、添加本体(6)は、生産物(3)回収トレイ(12)を含むことができる。その回収トレイ(12)は、第2の添加ローラー(2”)によって引き込まれた及び/又は塗布ローラー(1)から離脱した生産物(3)を貯留するための生産物(3)貯留区画(11)を、添加本体(6)の少なくとも1つの側壁(7)及び塗布ローラー(1)と共に定める。
【0083】
生産物(3)回収トレイ(12)の底部に対応して位置する添加本体(6)の領域は、廃棄物ダクト又は再循環路へ向けて生産物(3)を移動させるためのドレン(
図2には示されない)を含む。回収トレイ(12)のこのドレンは、貯留区画(11)の洗浄を容易にする。
【0084】
生産物回収トレイ(12)は、塗布生産物(3)の代わりに塗布システムに供給される洗浄生産物によって、塗布システムの洗浄を容易にする。洗浄のために、洗浄生産物は、第1の添加ローラー(2')及び/又は第2の添加ローラー(2”)を通り、過剰な塗布生産物(3)を洗浄生産物と共に貯留区画(11)に引き込み、そこにその生産物は貯留して、そこからドレンによって除去されることができる。洗浄は、ポンプ圧送洗浄生産物を様々な配置の貯留区画(11)及び添加ローラー(2'、2')の回転と組み合わせて行うことができる。洗浄については、添加ローラー(2”)を時計回りに回転させることができる。
【0085】
可能な実施形態によれば、第1の生産物(3)回収チャンバ(9’)は、添加本体(6)の少なくとも1つの側壁(7)と塗布ローラー(1)とによって定められる開口部(13)を備える。その開口部(13)は、板状材(4)に被着されずに塗布ローラー(1)に付着して再び第1の生産物(3)チャンバ(9')に戻る生産物(3)が通ることができるように、十分に広くなっている。
【0086】
生産物(3)を塗布ローラー(1)に塗布/添加した後、2つの連続する板状材(4)間の空間(14)に対応するコンベヤーベルトの領域に塗布されるか、又は板状材(4)の外側である板状材(4)の右側及び/又は左側の側方空間(15)に対応するコンベヤーベルトの領域に塗布されることにより、その生産物(3)が板状材(4)に付着しないことがある(
図5a及び
図5bを参照)。
【0087】
好ましくは、本発明のローラーで生産物(3)を塗布するためのシステムは、第1の添加ローラー(2')及び/又は第2の添加ローラー(2”)が、塗布ローラー(1)に近づく及び/又は塗布ローラー(1)から遠ざかるように移動することを可能にする移動サブシステムを含む。これは、1つ又は複数の添加本体(6)を、塗布ローラー(1)に近づくように又は塗布ローラー(1)の反対方向へ塗布ローラー(1)から遠ざかるように動かすことによって行われることができる。それはまた、1つ又は複数の添加本体(6)を塗布ローラー(1)に対して旋回させることによってなされることもできる。
【0088】
また好ましくは、ローラーで生産物(3)を塗布するためのシステムは、塗布ローラー(1)のモーターから独立した第1の添加ローラー(2')のモーター及び/又は第2の添加ローラー(2”)のモーターを含む。
【0089】
塗布ローラー(1)に対する第1の添加ローラー(2')及び/又は第2の添加ローラー(2”)の距離を制御することにより、塗布ローラー(1)に添加される生産物(3)の層の厚さ、したがって板状材(4)に塗布される生産物(3)の層の単位面積当たりの重量を決めることができる。添加ローラー(2’、2”)と塗布ローラー(1)の間の距離が大きいほど、添加される生産物(3)の量が多くなる。
【0090】
しかしながら、
図2に示される第1の実施形態では、第1の添加ローラー(2')と塗布ローラー(1)の間の距離が閾値を超えて増加すると、生産物(3)は添加されなくなり、第1の添加ローラー(2')によって第1のチャンバ(9')の外側に向かって引き込まれることができる生産物(3)は、第2のチャンバ(9”)又は回収トレイ(12)に落ちる。同様に、第2の添加ローラー(2”)と塗布ローラー(1)の間の距離が閾値を超えて増加すると、生産物(3)は添加されなくなり、第2の添加ローラー(2”)によって引き込まれることができる生産物(3)は、第2のチャンバ(9”)の内側に落ちる。
【0091】
更に、第1の添加ローラー(2')及び/又は第2の添加ローラー(2”)の速度を制御することにより、塗布ローラー(1)に添加される生産物(3)の量、したがって板状材(4)に塗布される生産物(3)の量もまた、制御されることができる。
【0092】
第1の添加ローラー(2')及び/又は第2の添加ローラー(2”)の線速度の方向が、第1の添加ローラー(2')及び/又は第2の添加ローラー(2”)が塗布ローラー(1)と近い領域において、塗布ローラー(1)の線速度の方向と一致する場合(すなわち、第1の添加ローラー(2')及び/又は第2の添加ローラー(2”)の角速度が、塗布ローラー(1)の角速度と反対の方向を有する場合)、塗布ローラー(1)への生産物(3)の添加が好ましいものとなる。この状況では、上述したように、第1の添加ローラー(2')及び/又は第2の添加ローラー(2”)の速度が増加すると、塗布ローラー(1)に添加される生産物(3)の量が増加する。
【0093】
図2から
図4を参照すると、塗布される生産物(3)の量、つまりその単位面積当たりの重量を減らすために、したがって塗布ローラー(1)から生産物を取り除くために、添加ローラー(2'、2”)は反時計回りに回転する。このようにして、本発明によれば、添加ローラー(2”)は板状材(4)に塗布される生産物(3)の量の追加の削減をもたらす。
【0094】
また、
図2に示されるように、第2の添加ローラー(2”)によって添加された生産物(3)が過剰な場合、生産物(3)の一部が回収トレイ(12)に落ち得る。更に、第2の添加ローラー(2”)によって過剰に添加された生産物(3)の一部が、第2の添加ローラー(2”)に付着したままである可能性がある。この場合、第2の添加ローラー(2”)のすぐ下に位置し、第2の添加ローラー(2”)と同一平面に位置する保持部(5)が、その過剰な生産物(3)を掻き取り又は持ち上げ、この過剰な生産物(3)を回収トレイ(12)に落とす。
【0095】
更に、第1の添加ローラー(2')及び/又は第2の添加ローラー(2”)の線速度の方向が、第1の添加ローラー(2')及び/又は第2の添加ローラー(2”)が塗布ローラー(1)と近い領域において、塗布ローラー(1)の線速度の方向と反対である場合(すなわち、第1の添加ローラー(2')及び/又は第2の添加ローラー(2”)の角速度が、塗布ローラー(1)の角速度と同じ方向を有する場合)、塗布ローラー(1)への生産物(3)の添加が遮断又は妨げられる。この状況では、上述したように、第1の添加ローラー(2')及び/又は第2の添加ローラー(2”)の速度が増加すると、塗布ローラー(1)に添加される生産物(3)の量が減少する。
【0096】
本発明の1つの利点によれば、本発明の添加ローラー(2'、2”)を、従来の添加ローラー(2)に比べて直径を小さくすることが可能であり、これにより添加本体(6)がより小さな寸法を有して、よりコンパクトなシステムが得られる。この低減されたサイズは、添加ローラー(2')(2”)のより低い慣性の結果として、添加ローラー(2')、(2”)及び添加本体(6)の曲げ剛性の低下につながる可能性がある。それは、例えば、添加ローラー(2')、(2”)が、添加本体(6)に対してその両端で支持されて配置されている場合に、システムの動作中に塗布ローラー(1)から添加ローラー(2')、(2”)を離すことの多い曲げ又は変形を添加ローラー(2')、(2”)に引き起こすことがある。その添加ローラー(2')、(2”)の曲げは、生産物(3)の不適切な添加の問題を引き起こす。
【0097】
この問題を解決するために、
図6a及び6bに示されているように、本発明による実施形態では、添加本体(6)は、添加ローラー(2')(2”)のための支持要素(16)を含むことが考えられる。支持要素(16)は、添加ローラー(2')、(2”)の長さに沿って少なくとも部分的に延びて、添加本体(6)に対する添加ローラー(2')、(2”)の曲げ又は変形を補正することができる。この支持要素(16)は、添加ローラー(2')、(2”)をその添加位置に保持し、システムの作動中に添加ローラー(2')、(2”)を塗布ローラー(1)と強要的に接触させる。
図6a及び6bに示される変形の実施形態では、支持要素(16)は、システムの作動中において支持要素(16)が膨張した又は膨らんだ時に、塗布ローラー(1)に対して添加ローラー(2')(2”)を保持するように、膨張可能な又は空気注入式のゴムによって形成される。
図6bに示されるように、摺動要素(17)が、支持要素(16)と添加ローラー(2')、(2”)の間の摩擦を防ぐために、支持要素(16)と添加ローラー(2')、(2”)の間に配置されることができる。
【符号の説明】
【0098】
1 塗布ローラー
2、2'、2” 添加ローラー
3 生産物
4 板状材
5 保持部、スパイク又はブレード
6 添加本体
7 側壁
8 ゴム表面
9’、9” 生産物回収チャンバ
10 回収モジュール
11 生産物貯留区画
12 回収トレイ
13 開口部
14 板状材間の空間
15 側方空間
16 支持要素
17 摺動要素