(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-01-31
(45)【発行日】2023-02-08
(54)【発明の名称】コンタクトにおいて黒鉛インタフェースを備えるグラフェンFET
(51)【国際特許分類】
H01L 29/786 20060101AFI20230201BHJP
C01B 32/158 20170101ALI20230201BHJP
C01B 32/182 20170101ALI20230201BHJP
H01L 21/28 20060101ALI20230201BHJP
H01L 29/16 20060101ALI20230201BHJP
H10K 10/40 20230101ALI20230201BHJP
H10K 85/20 20230101ALI20230201BHJP
H10K 85/00 20230101ALI20230201BHJP
H01L 29/417 20060101ALI20230201BHJP
H01L 21/336 20060101ALI20230201BHJP
【FI】
H01L29/78 618B
C01B32/158
C01B32/182
H01L21/28 301B
H01L21/28 301R
H01L29/16
H01L29/28 100A
H01L29/28 250E
H01L29/28 280
H01L29/50 M
H01L29/78 616K
H01L29/78 616U
H01L29/78 616V
(21)【出願番号】P 2021148228
(22)【出願日】2021-09-13
(62)【分割の表示】P 2018522913の分割
【原出願日】2016-11-07
【審査請求日】2021-10-08
(32)【優先日】2015-11-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】507107291
【氏名又は名称】テキサス インスツルメンツ インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】230129078
【氏名又は名称】佐藤 仁
(72)【発明者】
【氏名】ルイジ コロンボ
(72)【発明者】
【氏名】アーチャナ ヴェヌゴパル
【審査官】田付 徳雄
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-127652(JP,A)
【文献】特表2013-531878(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0027928(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 29/786
C01B 32/158
C01B 32/182
H01L 21/28
H01L 29/16
H01L 51/05
H01L 51/30
H01L 29/417
H01L 21/336
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
グラフェン電界効果トランジスタ(FET)を有する半導体デバイスであって、前記グラフェンFETが、
基板上のグラフェン層であって、グラフェン表面を有する、前記グラフェン層と、
ソースコンタクト領域における第1の開口とドレインコンタクト領域における第2の開口とを備える金属酸化物
層と、
前記第1の開口における前記グラフェン層の上にソースコンタクトを提供する第1の金属部分と、前記第2の開口における前記グラフェン層の上にドレインコンタクトを提供する第2の金属部分とを含む金属層であって、少なくとも10
17atms/cm
3の炭素濃度を含み、Ni、Co、Cu、Ru、又はPdを含む、前記金属層と、
前記ソースコンタクトと前記グラフェン層との間と前記ドレインコンタクトと前記グラフェン層との間との黒鉛インタフェース層と、
前記グラフェン層の一部の上の頂部ゲート構造とバックゲート構造とのうち少なくとも一方のゲート構造と、
を含む、半導体デバイス。
【請求項2】
請求項1に記載のFETであって、
前記金属酸化物層が、Al、Ti、Hf、Zr、V、Y、
La、Ce、Pr、Nd、Pm、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb又はLuを含む、半導体デバイス。
【請求項3】
請求項2に記載の半導体デバイスであって、
前記金属層がNiを含む、半導体デバイス。
【請求項4】
請求項1に記載の半導体デバイスであって、
グラフェン層がカーボンナノチューブ(CNT)の形態である、半導体デバイス。
【請求項5】
請求項1に記載の半導体デバイスであって、
前記黒鉛インタフェース層が、2~30層のグラフェンを含む、半導体デバイス。
【請求項6】
請求項1に記載の半導体デバイスであって、
前記黒鉛インタフェース層がBernal積層される、半導体デバイス。
【請求項7】
請求項1に記載の半導体デバイスであって、
前記基板がシリコンを含む、半導体デバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、グラフェン及びカーボンナノチューブ(CNT)ベースのデバイスに関連する。
【背景技術】
【0002】
グラフェン及びカーボンナノチューブ(CNT)ベースのデバイスは、アナログデバイス及び種々のタイプのセンサなどの応用例の候補である。これらのデバイスの性能に悪影響を与える要因の一つは、概して非浸潤性/非反応性インタフェースである、金属/グラフェン又はCNTインタフェースにおいて生じるコンタクト抵抗である。このコンタクト抵抗は、概して、短絡チャネルグラフェン及びCNT電界効果トランジスタ(FET)デバイスにおける移動度劣化に著しく寄与し、また、デバイスノイズの潜在的な原因である。
【発明の概要】
【0003】
記載される例において、或る方法が、堆積される低仕事関数金属を用いて有機残存物グラフェンの表面を洗浄することを含み、その後、ウェットエッチングによる、コンタクト領域における(例えば、酸化された形態の)低仕事関数金属材料の選択的除去が続く。その後、グラフェン表面に対する低コンタクト耐性を提供するため、コンタクト金属(本明細書において第2の金属層と称する)とグラフェン表面ソース及びドレインコンタクトとの間で(ソース/ドレインコンタクトにおける)コンタクト領域においてグロウンイン(grown-in)黒鉛(graphitic)インタフェース層が形成され、これにより、外来的影響/汚染の影響が最小化される。グラフェン層はCNTの形態であり得る。
【図面の簡単な説明】
【0004】
【
図1】例示の一実施例に従った、ソース(S)及びドレイン(D)コンタクトにおいて黒鉛インタフェース層を有するグラフェン又はCNTベースのFETを形成するための例示の方法における工程のフローチャートである。
【0005】
【
図2A】例示の一実施例に従った、S及びDコンタクトにおいて黒鉛インタフェース層を有するグラフェン又はCNT FETを形成する例示の方法のための処理進行を示す断面図である。
【
図2B】例示の一実施例に従った、S及びDコンタクトにおいて黒鉛インタフェース層を有するグラフェン又はCNT FETを形成する例示の方法のための処理進行を示す断面図である。
【
図2C】例示の一実施例に従った、S及びDコンタクトにおいて黒鉛インタフェース層を有するグラフェン又はCNT FETを形成する例示の方法のための処理進行を示す断面図である。
【
図2D】例示の一実施例に従った、S及びDコンタクトにおいて黒鉛インタフェース層を有するグラフェン又はCNT FETを形成する例示の方法のための処理進行を示す断面図である。
【
図2E】例示の一実施例に従った、S及びDコンタクトにおいて黒鉛インタフェース層を有するグラフェン又はCNT FETを形成する例示の方法のための処理進行を示す断面図である。
【
図2F】例示の一実施例に従った、S及びDコンタクトにおいて黒鉛インタフェース層を有するグラフェン又はCNT FETを形成する例示の方法のための処理進行を示す断面図である。
【
図2G】例示の一実施例に従った、S及びDコンタクトにおいて黒鉛インタフェース層を有するグラフェン又はCNT FETを形成する例示の方法のための処理進行を示す断面図である。
【
図2H】例示の一実施例に従った、S及びDコンタクトにおいて黒鉛インタフェース層を有するグラフェン又はCNT FETを形成する例示の方法のための処理進行を示す断面図である。
【0006】
【
図3】例示の一実施例に従った、S及びDコンタクトにおいて黒鉛インタフェース層を有する例示のグラフェン又はCNT FETの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
添付の図面は必ずしも一定の縮尺で描いてはいない。図面において、同様の参照番号は、同様の又は同等の要素を指すために用いられる。幾つかの行為又は事象は、異なる順で及び/又は他の行為又は事象と同時に起こり得る。また、幾つかの例示の行為又は事象は、本開示に従った方法論を実装するために必ず要求されるわけではない。
【0008】
コンタクト抵抗は、グラフェン及びカーボンナノチューブ(CNT)チャネルベースの電界効果トランジスタ(FET)に対する最小オン抵抗を実質的に制限する。このコンタクト抵抗率に寄与する要因には、搬送及び製造からの残存物、金属によるグラフェンシート又はCNT表面の摂動が含まれ、幾つかの場合において、高抵抗コンタクトにつながり得る幾つかの低仕事関数金属の場合のような、金属におけるOH又はOの存在が含まれる。グラフェンに対し報告されている典型的なコンタクト抵抗率は、10-5~10-6Ω-cm2の範囲である。これに対し、シリコンに対するシリサイド化Ni又はPtコンタクトのコンタクト抵抗率は、10-8Ω-cm2程度に低くなるよう測定されている。
【0009】
図1は、例示の一実施例に従った、S及びDコンタクトにおいて黒鉛インタフェース層を有するグラフェンベースのFETを形成するための例示の方法100における工程を示すフローチャートである。本明細書において用いられるように、開示される「グロウンイン・グラファイト層」における「グラファイト層」とは、コンタクト金属とグラフェン又はCNT表面との間のソース及びドレインに対してコンタクト領域に位置する、互いの上に積層された、2つ又はそれ以上のグラフェン層を指す。開示されるグロウンイン・グラファイト層は、純黒鉛C/多層グラフェンであり、黒鉛C及び非晶質炭素(a-C)の組み合わせではない。開示されるグロウンイン・グラファイト層における各グラフェン層は、規則的な原子スケールの六角形構造で密にパックされた炭素原子を含み、この構造において、各C原子は、各々の3つの近隣との一つのσ結合と、面外に向けられる一つのπ結合との4つの結合を有する。C原子は、ハニカム格子において約1.42Å離れ、平面間の間隔は約3.35Åであるので、例示の5層黒鉛インタフェースは約16.7Åの厚みである。
【0010】
ステップ101は、基板上にグラフェン表面を有するグラフェン層を提供することを含む。グラフェン層は、カーボンナノチューブ(CNT)の形態であり得る。材料科学の技術において知られているように、グラフェンシートは、CNTと呼ばれる炭素の別の同素体を形成するために丸められ得る。CNTは、単層ナノチューブ(SWNT)、又はグラフェンの複数の丸められた層(同心管)を含む多層ナノチューブ(MWNT)であり得る。
【0011】
基板は、SiO
2(シリカ)、SiON、Si
3N
4、h-BN、GaN、又は遷移金属ダイカルコゲナイドなど、その上に誘電体層を有するシリコン又はその他の基板(例えば、石英ガラス、SiC、又はGaAs)を含むウェハを含み得る。
図2Aは、シリコン基板205上のSiO
2層210上のグラフェン又はCNT層211を示す断面図である。グラフェン又はCNT層211の表面は、約300℃の温度で約3時間など、超高真空(UHV)洗浄プロセスを用いて洗浄され得る。
【0012】
ステップ102は、グラフェン又はCNT層211の表面上に、25℃、4.3eVより大きい仕事関数(WF)を有する第1の金属層を堆積することを含む。例えば、第1の金属層の厚みは1.5nm~3nmであり得る。第1の金属層は、Al、Ti、Hf、Zr、V、Y、La、Ce、Pr、Nd、Pm、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、又はLuを含み得る。第1の金属材料が低仕事関数金属である場合、これは、グラフェン又はCNT層211の表面上の汚染をその中に取り込むグラフェン又は
CNTの表面を低減する。
【0013】
ステップ103は、第1の金属酸化物層を形成するため第1の金属層を酸化させることを含む。酸化は、10
-8Torr~1atmの酸素(O
2)分圧、及び、室温~約400℃の温度範囲でなど、空気中で又は制御された酸化環境において成され得る。この酸化プロセスは、第1の金属層をその厚みにわたって酸化させる。
図2Bは、シリコン基板205上のSiO
2層210上のグラフェン又はCNT層211上の第1の金属酸化物層212上のフォトレジスト(レジスト)213の層を示す断面図である。その後、レジスト213の層はリソグラフィプロセスを用いてパターニングされる。
【0014】
ステップ104は、それぞれ、グラフェン表面ソースコンタクト211a及びグラフェン表面ドレインコンタクト211bを提供するために、グラフェン層の第1及び第2の領域を含むオープン表面コンタクト領域を提供するように第1の金属酸化物層212をエッチングすることを含む。第1の金属酸化物層212をウェットエッチングするために、100:1の水:濃縮HFなどの希釈HF溶液を用いることができる。ドライエッチも用いられ得る。
図2Cは、第1の金属酸化物層212を介してグラフェン表面ソースコンタクト領域211a及びグラフェン表面ドレインコンタクト領域211bを空けるようにウェットエッチングし、その後レジスト層213を取り除いた後の断面図を示す。
【0015】
ステップ105は、第2の金属層214を形成することを含み、第2の金属層214は、グラフェン表面ソースコンタクト211aの上にソースコンタクト214a1を備えるソースを提供する第2の金属層部214aと、グラフェン表面ドレインコンタクト211bの上にドレインコンタクト214b1を備えるドレインを提供する第2の金属層部214bとを含む。例えば、第2の金属層214の厚みは、約10nm~200nmであり得る。
図2Dは、グラフェン又はCNT層211の上に第2の金属層214を堆積した後の断面図を示す。第2の金属層は、Ni、Co、Cu、Ru、Rh、又はPdを含み得る。Ni、Co、Cu、Ru、及びPdを含む幾つかの金属において、炭素は、約500℃~1000℃など、500℃を超える温度で可溶である。
【0016】
第2の金属層214の堆積は、堆積のために低圧化学気相成長(LPCVD)又はプラズマエンハンスト化学気相成長(PECVD)システムを用いるなど、第2の金属前駆物質ガスと共に炭素前駆物質ガスを用いるインサイチュ堆積された炭素を含み得る。LPCVD及びPECVD処理のための炭素前駆物質ガスは、例示のガス源としてのメタン(CH4)又はアセチレン(C2H2)、例示の液体源としてのエタノール又はエチレン、及び例示の固体源としての砂糖又はショウノウなど、種々の炭素前駆物質材料から得ることができ、これらは、各々、C種を生成するために加熱され得又はプラズマソース活性化される。
【0017】
LPCVD及びPECVDの場合、炭素前駆物質ガス気体が、200℃~1,000℃の範囲の温度で第2の金属層214内にインサイチュ導入され得、プロセス温度は、炭素前駆物質ガス又はその他のCの源材料の分解温度に基づいて選択される。結果の第2の金属層214は、≧10
17cm
-3のC濃度を有するようにその厚みにわたってCで事前飽和され得る。
図2Eは、グラフェン表面ソースコンタクト211aの上にソースコンタクト214a1を備えるソースを提供する第2の金属層部214aとグラフェン表面ドレインコンタクト211bの上にドレインコンタクト214b1を備えるドレインを提供する第2の金属層部214bとを提供するように第2の金属層214をパターニングした後の断面図を示す。第2の金属層214をパターニングするためにウェット又はドライエッチが用いられ得る。
【0018】
ステップ106は、ソースコンタクト214a1とグラフェン表面ソースコンタクト211aとの間、及びドレインコンタクト214blとグラフェン表面ドレインコンタクト211bとの間のインタフェースにおいて、グロウンイン・グラファイト層を形成することを含む。上述のように、開示されるグロウンイン・グラファイト層は、純黒鉛C/多層グラフェンであり、黒鉛C及び非晶質炭素(a-C)の組み合わせではない。典型的に、開示されるグロウンイン・グラファイト層は2~30層のグラフェンを含む。しかし、開示されるグロウンイン・グラファイト層は、30層以上のグラフェンを含んでいてもよい。
【0019】
図2F及び
図2Gは、ソースコンタクト214a1とグラフェン表面ソースコンタクト211aとの間、及びドレインコンタクト214blとグラフェン表面ドレインコンタクト211bとの間のインタフェースにおいて、グロウンイン・グラファイト層を形成するための第1のプロセスフローを図示する。上述のように、グロウンイン・グラファイト層は、互いの上に積層された2つ又はそれ以上のグラフェン層を含む。
図2Fは、ソースコンタクト214a1を備えるソースを提供する第2の金属層部214aとドレインコンタクト214blを備えるドレインを提供する第2の金属層部214bとを提供する、
図2Eにおけるパターニングされた第2の金属層214を示し、いずれの金属層部も、その中に、PECVD又はLPCVDプロセスを用いて第2の金属層214においてインサイチュ堆積された上述のように提供され得るCを有する(M
2-Cとして示される)。
【0020】
炭素はまた、他の炭素源プロセスにより第2の金属層214において提供され得る。例えば、炭素イオン注入が、Colomboらに付与された特許番号US8,461,028、発明の名称「イオン注入を用いる金属-炭素ソリューションによるグラフェン合成」、及びColomboらに付与された特許番号US8,309,438、発明の名称「イオン注入を用いる金属炭素ソリューションによるグラフェン合成」に開示されるものなど、所望の量のCを第2の金属層214に導入するために用いることができる。
【文献】米国特許番号第8,461,028号
【文献】米国特許番号第8,309,438号
【0021】
また、炭素は、第2の金属層214の頂部表面上に非晶質炭素層を堆積することにより第2の金属層内に所望の量で提供され得、その後、アニーリングプロセスが続く。非晶質炭素層の厚みは概して数nmの厚みであり、この厚みは、金属における溶解度限界を補償し、金属を介して拡散するために充分な炭素原子を提供する。上述の炭素源実施例のいずれか(インサイチュC事前飽和を備えた第2の金属層214、C注入された第2の金属層214、又は、第2の金属層214の頂部上の非晶質炭素層)に対して、第2の金属層214膜はその後、第2の金属層とグラフェン又はCNT表面との間のインタフェースにおいてグロウンイン・グラファイト層を形成するために、200℃~1000℃の温度範囲で1秒から600秒の範囲の時間、アニーリングされ得る。
【0022】
図2Gは、200℃を超える温度でアニーリングし、その後、黒鉛インタフェース層220を形成するために100℃/sでなど、ファーネス冷却及び高速冷却により室温まで冷却した後の断面図を示す。グラフェン層の堆積は、上述のようにアニーリング温度に応じて、アニーリング温度からの冷却の間に又は等温的に(一定温度)、成され得る。
【0023】
図2Hは、ソースコンタクト214a1とグラフェン表面ソースコンタクト211aとの間、及びドレインコンタクト214b1とグラフェン表面ドレインコンタクト211bとの間のインタフェースにおいて、開示されるグロウンイン・グラファイト層220を形成するための第2のプロセスフローを示し、このプロセスは、600℃を超える温度など、200℃を超える温度で炭素前駆物質金属(例えば、メタン、アセチレン、エタノール、又はショウノウ)からの炭素前駆物質ガス又は気体で第2の金属層214が処理されるように、
図2Eに示す構造を露出させることに関与する。このプロセスにおいて、炭素前駆物質ガスの熱分解から生成される炭素は、図示される黒鉛インタフェース層220を形成するために第2の金属層214を介して拡散する。
【0024】
例えば、上述のように、LPCVD及びPECVDの場合、分解温度を超えるメタンが炭素及びH2に分解し、Cは、Ni又はその他の第2の金属層214の表面からその金属の溶解度限界まで第2の金属層214内に拡散し、この時点で、Cは第2の金属層を介して均一に分布される。しかしながら、特定の金属に対するC可溶性限界に達し、より多くのCがメタン又はその他のC前駆物質ガス分解から金属の表面上に生成された後、Cは、等温過飽和のため、反対側で(グラフェン又はCNT表面)沈殿し始める。この時点で、C濃度勾配が生じ、頂部の第2の金属層表面が前駆物質ガスからCに晒される限りプロセスが継続し得、第2の金属層214とグラフェンとのインタフェースにおいて黒鉛炭素が沈殿し続け得る。これにより、単にアニーリング温度及び/又は露出時間を変えることによって、開示されるグロウンイン・グラファイト層におけるグラフェン層の数の制御が可能となる。
【0025】
また、グラフェン層の数は、C過飽和の状況において、異なる時間の間、第2の金属層をCに晒すことによって制御され得る。この場合、グラフェン層の数は、第2の金属層214におけるCの等温過飽和によって形成され得る。そのため、黒鉛層は、等温的に第2の金属層214を介してCの拡散及び沈殿によって形成され、層の数は、C源のタイプに応じて露出時間又はアニーリング時間により制御される。露出時間とは、炭素前駆物質が用いられている時間を指し、アニーリング時間とは、Cが第2の金属層上に堆積されている時間を指す。
【0026】
上述のように、黒鉛インタフェース層は、ABABタイプの積層配置でBernal積層され得る。この配置において、一つのシート(A又はB)における炭素原子は、全てsp2混成される(C原子が3つのグループに取り付けられ、そのため、混成セットにおいて3つの軌道を有する3つのσ結合に関与する)。シートBにおけるC原子は、典型的に、シートAにおけるC原子から60度オフセットされる。Bernal積層されたグラファイトの横方向熱伝導率は、そのアウトオブプレイン(out of plane)熱伝導率の約10倍より大きい。
【0027】
FETの形成を完成するために、ソースコンタクト214a1とグラフェン表面ソースコンタクト211aとの間、及びドレインコンタクト214b1とグラフェン表面ドレインコンタクト211bとの間のインタフェースにおいて、グロウンイン・グラファイト層210を形成した後の処理に関して、Siなどの基板へのコンタクトが、バックゲートを形成するために用いられ得る。バックゲートに加えて又はバックゲートの代替として、頂部ゲートも可能である。典型的なグラフェンFETは、デュアルゲート(頂部及びバックゲート)制御を有し得る。
【0028】
図3は、例示の一実施例に従った、頂部ゲート320及びバックゲート340両方を有する、例示のグラフェン又はCNT FET(FET)300の断面図である。FET300は、上にSiO
2層210を有するシリコン基板として示される基板205上に、グラフェン表面ソースコンタクト211a及びグラフェン表面ドレインコンタクト211bを有するグラフェン又はCNT層211を含む。第1の金属酸化物層212により提供されるゲート誘電体層が、グラフェン又はCNT層211のチャネル部の上に示される。代わりに、第1の金属酸化物層212が、ゲート領域の上で取り除かれ得、ゲート誘電体層は、Al
2O
3、HfO
2、Y
2O
3、SiO
2、ZrO
2、HfZrO
4、SiON、h-BN、パリレン、又はペリレン3、4、9、10テトラカルボン酸ジアンヒドリド(PTCDA)を含むなどの堆積されたゲート誘電体層であり得る。
【0029】
上述のように、第1の金属酸化物層は、4.3eVより大きい仕事関数(WF)を有する第1の金属を含み、オープンコンタクト領域(コンタクト領域)表面が、グラフェン又はCNT層211のS及びD表面コンタクトに対応する。FET300は、グラフェン表面Sコンタクト211aの上にSコンタクト214a1を備えるSを提供する第2の金属層部214aと、グラフェン表面ドレインコンタクト211bの上にDコンタクト214blを備えるDを提供する第2の金属層部214bとを含む。第2の金属層部分214a、bは、少なくとも1017atms/cm3の炭素濃度を含む。第2の金属層は典型的に、≧1017atms/cm3の一定炭素濃度を有するが、第2の金属層の厚みにわたって炭素が非等方的に分布される場合、第2の金属層は、平均炭素濃度>1017atms/cm3を提供し得る。黒鉛インタフェース層220は、第2の金属コンタクトとグラフェン又はCNT表面211の表面との間にある。黒鉛インタフェース層220によりイネーブルされると、グラフェン又はCNT表面211の表面への開示される第2の金属コンタクトに対するコンタクト抵抗率は、概して1×10-7Ω-cm2~5×10-7Ω-cm2であり、これは、上述のシリコンに対するシリサイド化したNi及びPtコンタクトの超低コンタクト抵抗率(10-8Ω-cm2)に匹敵する。
【0030】
325として示される層は、SiO2、Si3N4、HfO2、又はZrO2を含むなどの誘電体層である。頂部又は底部ゲートのみが必要とされるが、FET300は、グラフェン又はCNT層211のチャネル部に対して頂部ゲート320及びバックゲート340両方を有して示される。図示していないが、頂部ゲート320に対するコンタクトがあり得る。
【0031】
開示されるFETは、ディスクリートデバイスであってもよく、又はアレイ状に配されてもよい。開示されるFETは、同じダイ上の種々のその他の回路要素と共に製造され得る。
【0032】
開示される実施例は、種々の異なるデバイス及び関連する製品を形成するために種々のアッセンブリフローに統合され得る半導体ダイを形成するために有用である。半導体ダイは、障壁層、誘電体層、デバイス構造、能動要素、及びソース領域、ドレイン領域、ビットライン、ベース、エミッタ、コレクタ、導電性ライン、導電性ビアなどを含む受動要素を含む、その中の種々の要素及び/又はその上の層を含み得る。また、半導体ダイは、バイポーラ、絶縁ゲートバイポーラトランジスタ(IGBT)、CMOS、BiCMOS、及びMEMSを含む種々のプロセスから形成され得る。
【0033】
本発明の特許請求の範囲内で、説明した例示の実施例に変形が成され得、他の実施例が可能である。