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特許7219558コグニティブ植物クリニックのための方法、コンピュータ・プログラムおよびシステム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-01-31
(45)【発行日】2023-02-08
(54)【発明の名称】コグニティブ植物クリニックのための方法、コンピュータ・プログラムおよびシステム
(51)【国際特許分類】
   A01G 7/00 20060101AFI20230201BHJP
   G06Q 50/10 20120101ALI20230201BHJP
【FI】
A01G7/00 603
G06Q50/10
A01G7/00 601Z
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2018115747
(22)【出願日】2018-06-19
(65)【公開番号】P2019004874
(43)【公開日】2019-01-17
【審査請求日】2020-11-30
(31)【優先権主張番号】15/632687
(32)【優先日】2017-06-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】521555742
【氏名又は名称】キンドリル・インク
【氏名又は名称原語表記】Kyndryl Inc.
【住所又は居所原語表記】One Vanderbilt Avenue,15th Floor,New York,New York 10017,USA
(74)【代理人】
【識別番号】110000420
【氏名又は名称】弁理士法人MIP
(72)【発明者】
【氏名】イヴリン・アール・アンダーソン
(72)【発明者】
【氏名】ナタリー・エヌ・ブルックス・パウウェル
(72)【発明者】
【氏名】クリステン・エヌ・コンリー
(72)【発明者】
【氏名】マーティン・ジー・キーン
【審査官】小島 洋志
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-055745(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0131867(US,A1)
【文献】特開平09-262027(JP,A)
【文献】特開2010-075172(JP,A)
【文献】特開2016-165303(JP,A)
【文献】特開2013-162800(JP,A)
【文献】特開2013-111078(JP,A)
【文献】特開2004-121033(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01G 7/00
G06Q 50/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
植物の病害の診断サービスをユーザに対して提供するためのコンピュータによって実施される方法であって、前記コンピュータが、
カメラにより撮られた植物の画像を含む入力データを取得するステップと、
前記画像の視覚認識を用いることによって前記植物の種を識別するステップと、
識別された前記植物の種および該種と一定の病害に対する傾向を共有する他の種に対する症状画像と前記画像を比較し、前記植物の1つまたは複数の視覚的症状を、診断リポジトリに記録された1つまたは複数の既知の診断と相互に関係付け、前記入力データに従って1つまたは複数の候補診断のそれぞれを、それぞれの信頼度スコアに関連付けることによって、前記植物の種のための前記1つまたは複数の候補診断のリストを作成するステップと、
前記リスト内の前記1つまたは複数の候補診断のそれぞれを、それぞれの治療計画にマッピングするステップと、
事前設定された治療モードに従って、前記リスト、および前記リスト内の各候補診断にマッピングされた前記それぞれの治療計画を供給するステップと
を実行する方法。
【請求項2】
前記入力データは、どこで前記画像が撮られたかを示す地理的位置、いつ前記画像が撮られたかを示すタイムスタンプ、前記植物の周囲の1つまたは複数のデバイスによって報告された前記植物の環境データ、植物画像の他の事例、気象データ、土壌データ、およびそれらの組合せを含む、請求項1に記載のコンピュータによって実施される方法。
【請求項3】
植物の病害の診断サービスをユーザに対して提供するためのコンピュータによって実施される方法であって、前記コンピュータが、
カメラにより撮られた植物の画像を含む入力データを取得するステップと、
前記画像の視覚認識を用いることによって前記植物の種を識別するステップと、
前記植物の1つまたは複数の視覚的症状を、診断リポジトリに記録された1つまたは複数の既知の診断と相互に関係付け、前記入力データに従って1つまたは複数の候補診断のそれぞれを、それぞれの信頼度スコアに関連付けることによって、前記植物の種のための前記1つまたは複数の候補診断のリストを作成するステップと、
前記リスト内の前記1つまたは複数の候補診断のそれぞれを、それぞれの治療計画にマッピングするステップと、
事前設定された治療モードに従って、前記リスト、および前記リスト内の各候補診断にマッピングされた前記それぞれの治療計画を供給するステップと
を実行する方法であり、前記作成するステップは、前記コンピュータが、
識別された前記植物の種の前記画像内の、前記植物の前記1つまたは複数の視覚的症状を決定するステップと、
前記1つまたは複数の既知の診断が、決定された前記植物の前記1つまたは複数の視覚的症状と一致することを発見したことに応答して、前記1つまたは複数の候補診断を、前記診断リポジトリから前記1つまたは複数の既知の診断として選択するステップと、
それぞれ各候補診断を裏付ける証拠および各候補診断を否定する証拠のいずれかである1つまたは複数の証拠に従って、前記1つまたは複数の候補診断のそれぞれに対して、前記それぞれの信頼度スコアを設定するステップと、
を実行すること含むコンピュータによって実施される方法。
【請求項4】
前記1つまたは複数の既知の診断は、前記識別された植物の種に対するもの、または前記1つまたは複数の既知の診断を受けやすい他の植物の種に対するものであり、各候補診断を裏付ける証拠は、同じ候補診断の他の事例との地理的な近さ、前記同じ候補診断の前記他の事例との季節または温度あるいはその両方における類似性を含むことができる、請求項3に記載のコンピュータによって実施される方法。
【請求項5】
植物の病害の診断サービスをユーザに対して提供するためのコンピュータによって実施される方法であって、前記コンピュータが、
カメラにより撮られた植物の画像を含む入力データを取得するステップと、
前記画像の視覚認識を用いることによって前記植物の種を識別するステップと、
前記植物の1つまたは複数の視覚的症状を、診断リポジトリに記録された1つまたは複数の既知の診断と相互に関係付け、前記入力データに従って1つまたは複数の候補診断のそれぞれを、それぞれの信頼度スコアに関連付けることによって、前記植物の種のための前記1つまたは複数の候補診断のリストを作成するステップと、
前記リスト内の前記1つまたは複数の候補診断のそれぞれを、それぞれの治療計画にマッピングするステップと、
事前設定された治療モードに従って、前記リスト、および前記リスト内の各候補診断にマッピングされた前記それぞれの治療計画を供給するステップと
を実行する方法であり、前記供給するステップは、前記コンピュータが、
前記治療モードが自動化として事前設定されていることを決定するステップと、
前記リストの前記1つまたは複数の候補診断の中から、最も高い信頼度スコアを有する候補診断を選択するステップと、
事前設定された対策に従って、前記候補診断に対応する治療計画を行うステップと
を実行することを含むコンピュータによって実施される方法。
【請求項6】
前記事前設定された対策は、治療薬物/機器を発注すること、給水を制御すること、照明を制御すること、温度を制御すること、およびそれらの組合せから選択され得る、請求項5に記載のコンピュータによって実施される方法。
【請求項7】
前記供給するステップは、前記コンピュータが、
前記治療モードが手動として事前設定されていることを決定するステップと、
前記1つまたは複数の候補診断の前記リスト、およびそれぞれ対応する治療計画を、前記ユーザに伝達するステップと、
前記ユーザからのフィードバックの取得に応答して、前記ユーザによって選択された治療計画を行うステップと
を実行することを含む、請求項1~4のいずれか1項に記載のコンピュータによって実施される方法。
【請求項8】
請求項1~7の何か1項に記載の方法の各ステップを、コンピュータに実行させる、コンピュータ・プログラム。
【請求項9】
請求項8に記載の前記コンピュータ・プログラムを、コンピュータ可読記憶媒体に記録した、コンピュータ可読記憶媒体。
【請求項10】
請求項1~7に記載の方法の各ステップを、コンピュータ・ハードウェアによる手段として構成した、システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示はコグニティブ・コンピューティングおよび視覚認識技術に関し、より詳細には植物の管理人のために臨床サービスをもたらすための方法、コンピュータ・プログラム製品、およびシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、デジタル技術の園芸への応用は限定的であり、園芸家が、世話している植物の異常に遭遇したとき、地域の専門家の助けを求めることが通例であった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明は、コグニティブ植物クリニックのための方法、コンピュータ・プログラムおよびシステムを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0004】
方法の一態様における対策を通じて、従来技術の欠点は克服され、追加の利点がもたらされる。植物のための臨床サービスをもたらす方法は、例えば、1つまたは複数のプロセッサによって、植物の世話をするユーザによって構成されるように、カメラから植物の画像を含む入力を取得するステップと、1つまたは複数のプロセッサによって、画像の視覚認識を用いることによって植物の種を識別するステップと、1つまたは複数のプロセッサによって、植物の1つまたは複数の視覚的症状を、診断リポジトリに記録された1つまたは複数の知られている診断と相互に関係付け、入力に従って1つまたは複数の候補診断のそれぞれを、それぞれの信頼度スコアに関連付けることによって、種のための1つまたは複数の候補診断(candidate diagnosis)のリストを作成するステップと、1つまたは複数のプロセッサによって、リスト内の1つまたは複数の候補診断のそれぞれを、それぞれの治療計画にマッピングするステップと、1つまたは複数のプロセッサによって、事前設定された治療モードに従って、リスト、およびリスト内の各候補診断にマッピングされたそれぞれの治療計画を供給するステップとを含む。
【0005】
本明細書で述べられる技法によってさらなる特徴が実現される。コンピュータ・プログラム製品およびシステムを含むがそれらに限定されない他の実施形態および態様は、本明細書で詳しく述べられ、特許請求される本発明の一部と考えられる。
【0006】
本発明の1つまたは複数の態様は、本明細書の結びにおける「特許請求の範囲」において、例として詳細に指摘され明瞭に請求される。本発明の上記および他の目的、特徴、および利点は、以下の詳細な説明を添付の図面と併せて読めば、明らかとなる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】本明細書で述べられる1つまたは複数の実施形態による、植物診断および治療サービスをもたらすシステム100を示す図である。
図2】本明細書で述べられる1つまたは複数の実施形態による、システムのコグニティブ植物クリニック・エンジンによって行われるフローチャートである。
図3】本発明の実施形態によるクラウド・コンピューティング環境を示す図である。
図4】本発明の実施形態による抽象化モデル・レイヤを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
図1は、本明細書で述べられる1つまたは複数の実施形態による、植物診断および治療サービスをもたらすシステム100を示す。
【0009】
ガーデニングは、非常に人気のある娯楽であり、有望な事業機会である。特に趣味として園芸を行う人にとって、病害にかかった植物の世話を専門家の助けなしに行うことは難しい可能性があるが、その理由は、非専門家には見分けがつかない多くの症状が存在し、同じ病害に対してさえもそれぞれの症状および治療を有する多くの植物種および亜種が存在し、病原体を示す生物的原因と環境要因を示す非生物的原因とに分けられる特有の理由によって引き起こされる、多くの多様な病害が存在するからである。したがって植物の植物種を正しく識別し、症状を正確に識別して植物種に対する病害を診断し、病害に対して植物を適切に治療することが望ましい。
【0010】
システム100は、植物種識別、視覚的症状に基づく診断、および植物101の世話をするユーザ109への治療サービスをもたらす。植物101は、屋内/屋外、日照/日陰の時間、光源、屋内環境に対する空気流および屋外環境に対する風速、空気/土壌中の水分のレベル、土壌組成などを非限定的に含む、多くの要因を用いることによって特定され得る環境に位置し得る。
【0011】
システム100は、コグニティブ植物クリニック・エンジン120を含む。インターネット・オブ・シングス(IoT)デバイス103は、コグニティブ植物クリニック・エンジン120に動作可能に結合された多くのIoTデバイスの1つである。IoTデバイス103は、植物101の環境の監視または制御あるいはその両方を行う。IoTデバイス103の例は、サーモスタット、温度計、植物生育照明、空気調節装置、風速計を含む空気速度指示計、空気品質センサ、様々な他の気象計測器、水耕法成長器コンテナ(hydroponic grower container)などの様々な他の園芸機器を含み得るがそれらに限定されない。したがってIoTデバイス103は、IoTデバイス103の機能に対応する、植物101の、あるタイプの環境データ185を獲得し、環境データ185を植物101に関連付けられた他のIoTデバイスと一緒に、コグニティブ植物クリニック・エンジン120に送る。
【0012】
ユーザ109は、植物101の一定の視覚的異常に気付くとすぐに、植物画像181を獲得するため、または植物101にはいずれの病害もないか否かを把握するために、IoTカメラ105によって植物101の写真を撮る。IoTカメラ105は、植物画像181をコグニティブ植物クリニック・エンジン120に直接、またはユーザ・デバイス107を通じて送信することができる。IoTカメラ105は、ユーザ109がコグニティブ植物クリニック・エンジン120と通信するためのユーザ・デバイス107の一部とすることができる。ユーザ・デバイス107の例は、スマートフォン、ラップ・トップ、タブレットなどとすることができる。IoTカメラ105の例は、スマートフォンのデジタル・カメラ部分、様々なネットワークを経由する通信機能を設けた独立型のデジタル・カメラなどとすることができる。
【0013】
コグニティブ植物クリニック・エンジン120は、1つまたは複数のソーシャル・コミュニケーション・プラットフォーム111、植物カタログ/診断リポジトリ113、気象データ・ソース115、土壌データ・ソース117、および視覚認識/分析ツール119を含む、様々な外部ツール/データ・ソースに動作可能に結合される。外部ツール111、113、115、117、および119のそれぞれの機能/データは、コグニティブ植物クリニック・エンジン120のために容易に使用可能である。
【0014】
コグニティブ植物クリニック・エンジン120は、中でも治療計画(TR)モード125のため、ならびに種および症状識別プロセス130、診断プロセス140、および治療計画(TR)プロセス150などのプロセスのための、構成データを含む。種および症状識別プロセス130、診断プロセス140、および治療計画(TR)プロセス150は、コグニティブ植物クリニック・エンジン120のそれぞれの機能を示し、個別のプロセスとして実施されてもよくそうでなくてもよい。コグニティブ植物クリニック・エンジン120は、図2および対応する記述に示される動作に従って、植物画像181および環境データ185を処理する。結果としてコグニティブ植物クリニック・エンジン120は、診断および治療計画199の生成または実行あるいはその両方を行い、ユーザ109に報告し、その詳細は図2および対応する記述に示される。
【0015】
図2は、本明細書で述べられる1つまたは複数の実施形態による、図1のコグニティブ植物クリニック・エンジン120によって行われるフローチャートを示す。
【0016】
図2のブロックは、コグニティブ植物クリニック・エンジン120に対するそれぞれの動作段階を示し、これは個別のプロセスとして実施されてもよくそうでなくてもよい。図2の各ブロックは、要求を送り、要求に応答して結果を受け取ることによって、1つまたは複数の外部ツールを関与させることを含む、複数のプロセス、サブプロセス、または動作あるいはその組合せを含むことができる。
【0017】
ブロック210でコグニティブ植物クリニック・エンジン120は、植物を監視しデータを送ることに応答して、IoTデバイスまたはユーザ・デバイスあるいはその両方から、環境データおよび植物画像データを取得する。次いでコグニティブ植物クリニック・エンジン120は、ブロック220に進む。
【0018】
本発明のいくつかの実施形態においてIoTカメラは、ユーザによって手動で獲得されるとすぐに、植物画像をコグニティブ植物クリニック・エンジン120に送るように構成され得る。本発明のいくつかの実施形態においてIoTカメラは、複数の植物画像を一括してコグニティブ植物クリニック・エンジン120に送るように構成され得る。本発明のいくつかの実施形態においてIoTカメラは、所定の調査期間に少なくとも1回、定期的に1つまたは複数の植物画像を獲得し送るように構成され得る。IoTカメラは、個別のカメラ・デバイス、またはスマートフォン内のカメラなどユーザ・デバイスの多くの機能の1つ、あるいはその両方とすることができる。本発明のいくつかの実施形態において植物画像は、エクスチェンジャブル・イメージ・ファイル・フォーマット(Exif)とすることができる。いくつかの画像ファイル・フォーマットにおいて植物画像には、地理的位置およびタイムスタンプなどのメタデータを埋め込むことができ、地理的位置は、どの位置/アドレス/座標において植物画像が撮られたかを示し、タイムスタンプは、どの日付および時間に植物画像が獲得されたかを示す。
【0019】
ブロック220でコグニティブ植物クリニック・エンジン120は、植物画像において獲得された植物101の種を、植物画像と、視覚的特徴を対応する植物種に関連付ける植物カタログの内容とを、比較することによって識別する。コグニティブ植物クリニック・エンジン120はさらに、種を決定すること、または類似の種を区別することあるいはその両方において、ブロック210からの環境データ入力を利用することができる。次いでコグニティブ植物クリニック・エンジン120は、ブロック230に進む。
【0020】
本発明のいくつかの実施形態においてコグニティブ植物クリニック・エンジン120は、植物の視覚的特徴を分析すること、および植物カタログ内にリストされた植物の視覚的特徴と比較することによる、植物種の識別において、外部視覚認識ユーティリティまたは画像分析ツールあるいはその両方を利用することができる。本発明のいくつかの実施形態においてコグニティブ植物クリニック・エンジン120は、候補植物種の範囲を絞り込むために、屋外植物の識別において地理的位置データおよびタイムスタンプを、地理的位置およびタイムスタンプからの日付および時間における気象記録に対する気候/土壌データと組み合わせて利用することができる。コグニティブ植物クリニック・エンジン120は、植物種の識別において、気候の居住適性、土壌組成、季節的成長パターンなどに関する、それぞれの植物種の特性を考慮することができる。コグニティブ植物クリニック・エンジン120は、最も高い確率に関連付けられた候補の種の1つとして植物の種を決定し、この確率は植物画像において獲得された植物が識別された種であり得る可能性が、どれだけ高いかを示す信頼度スコアとして、識別された種に割り当てられる。
【0021】
ブロック230でコグニティブ植物クリニック・エンジン120は、ブロック210からの入力を分析することによって、ブロック220からの識別された種に対する症状を決定する。コグニティブ植物クリニック・エンジン120は、各症状の特定において、植物のどの部分のどのようなタイプの異常かを決定する。植物の異常の例は、斑点、病変、退緑を含む変色、しおれ/衰弱、根腐れ、変形などを含み得るがそれらに限定されない。植物部分の例は、根、茎、葉身、葉柄(petiole/leafstalk)、花、種子/果実、葉芽、花芽など、およびそれらの組合せを含み得るがそれらに限定されない。次いでコグニティブ植物クリニック・エンジン120は、ブロック240に進む。
【0022】
本発明のいくつかの実施形態においてコグニティブ植物クリニック・エンジン120は、外部視覚認識/分析ツールを用いることによって、ブロック210からの植物画像の分析を行う。コグニティブ植物クリニック・エンジン120は、植物カタログ/診断リポジトリに記録された知られている診断を有する症状画像に対比して、植物画像に示される症状を比較する。コグニティブ植物クリニック・エンジン120はまた植物画像を、植物画像に対する識別された種と同じ種、および植物画像の識別された種と一定の病害に対する傾向を共有し得る他の種に対する症状画像に対比して比較することができるが、これはこのような他の種の症状は植物画像の識別された種に対して同じ診断を示し得るからである。コグニティブ植物クリニック・エンジン120はまた、植物カタログ/診断リポジトリ内の症状画像の日付および位置メタデータに対比して、一年の季節、植物の位置を比較することができる。コグニティブ植物クリニック・エンジン120は、植物画像に対する診断に対応する信頼度スコアに類似性を割り当てるために、診断リポジトリ内の画像と植物画像との、それぞれの季節および位置における類似性を追跡する。コグニティブ植物クリニック・エンジン120は、知られている診断を有する症状の複数の画像を発見し得るので、コグニティブ植物クリニック・エンジン120は、植物画像に対する最も可能性のある診断を決定するために、信頼度スコアを利用する。
【0023】
本発明のいくつかの実施形態においてコグニティブ植物クリニック・エンジン120はさらに、ソーシャル・メディア(SM)に掲載された基準画像を分析することができ、これは植物画像の識別された種と同じ種の、または同様な視覚的症状を有するあるいはその両方の、植物を含む。コグニティブ植物クリニック・エンジン120は、視覚認識/分析ツールを用いることによって、同様な視覚的症状を有する、同様な視覚的特性を有する植物種を含む掲載された画像に対して、ソーシャル・メディアに問合せを送る。コグニティブ植物クリニック・エンジン120は、植物画像を視覚認識/分析ツールに送り、これは植物の名前、植物画像内に示された症状の記述などの植物画像の特徴から、テキスト分類子(textual classifier)を導出する。コグニティブ植物クリニック・エンジン120は、テキスト分類子と等価な用語を用いてソーシャル・メディアに問い合わせ、それによりソーシャル・メディアは、ソーシャル・メディア・プラットフォーム上に掲載された画像を探索する。いくつかのソーシャル・メディア・プラットフォームは、SM掲載画像に関連付けられた表題およびタグを探索することができる。テキスト記述が植物種および視覚的症状に対する完全一致を決定するのに十分な詳細を有しないために、部分的一致が発見されたときは、ソーシャル・メディア・プラットフォームは、SM掲載画像を用いてコグニティブ植物クリニック・エンジン120に応答することができる。コグニティブ植物クリニック・エンジン120はその後、SM掲載画像を記述する完全なテキスト分類子を導出するために、植物画像の分析でのように、視覚認識/分析ツールを用いることによって部分的に一致するSM掲載画像をさらに分析することができる。コグニティブ植物クリニック・エンジン120が植物画像のテキスト分類子はSM掲載画像のテキスト分類子と同一であることを発見した場合、コグニティブ植物クリニック・エンジン120は、SM掲載画像が植物画像に対する様々な比較のため、および種識別および診断に関連付けられた信頼度スコアを調整するための、基準画像として使用可能であると決定する。
【0024】
次いでコグニティブ植物クリニック・エンジン120は、植物画像に対する視覚的症状における類似性、ならびに日付および位置を含むメタデータをチェックする。さらにコグニティブ植物クリニック・エンジン120は、SM掲載画像内の視覚的症状に関するコメントおよびディスカッションを考慮に入れることができるが、これは、コメントが診断、症状の地理的範囲、植物の特定の供給業者、他の植物管理人による意見に、関連があり得るからであり、これらはブロック210からの植物画像に対する診断および視覚的症状の原因の発見に寄与し得る。視覚的症状画像と同様に、コグニティブ植物クリニック・エンジン120は、植物画像に有するSM掲載画像のそれぞれの季節および位置における類似性を追跡して、植物画像に対する診断に対応する信頼度スコアを増加させるが、これは時間および位置において近接したSM掲載画像に対する同じ診断が、植物画像に対する診断を裏付けるからである。
【0025】
ブロック240でコグニティブ植物クリニック・エンジン120は、識別された種に対するブロック230で特定された視覚的症状に基づいてそれぞれが信頼度スコアに関連付けられた、候補診断のリストを生成する。コグニティブ植物クリニック・エンジン120は、ブロック230から特定された視覚的症状を引き起こした可能性があるそれぞれの植物病害に対応する1つまたは複数の名称を求めて、植物カタログ/診断リポジトリを探索する。コグニティブ植物クリニック・エンジン120は、候補診断のリスト内で一致する視覚的症状を有するとして発見された、1つまたは複数の植物病害名を含める。植物病害の例は、炭疽病/癌腫病、胴枯れ病、枝枯れ病、立枯れ病、根腐れ病、根頭癌腫病などを含むがそれらに限定されない。いくつかの視覚的症状は一定の植物病害、ならびに生物的または非生物的原因あるいはその両方に容易に相互に関係付けることができ、いくつかの他の視覚的症状は多くの植物病害に共通となり得る。植物病害の生物的原因は通常、昆虫によって伝染する菌類および細菌である。植物病害の非生物的原因は、渇水、栄養不足、極端な温度、土壌水分レベル、汚染などの環境要因であり得る。
【0026】
コグニティブ植物クリニック・エンジン120は、植物画像が、同様な視覚的症状を明示する基準画像に、どれだけ密接に関係し得るかを示す要因に基づいて、候補診断のリスト内の各診断に関連付けられたそれぞれの信頼度スコアを評価する。信頼度スコア要因の例は、地理的および時間的近さ、気候、温度、または季節あるいはその組合せとの適合性、エリア内の多数の確認された同一の診断、ソーシャル・メディアを通じた同一の診断の多数の報告、植物画像と、確認された診断の画像との間の類似性のレベル、確認された診断の条件を満たす植物画像の他の状態など、および基準画像に基づく植物画像の診断を裏付けるまたは否定する何らかの証拠とすることができるが、それらに限定されない。コグニティブ植物クリニック・エンジン120はさらに診断を、植物画像の地理的出所に対する気象データおよび土壌データと照合することができるが、その理由は、このような降水量、土壌組成などの非生物的環境要因は、視覚的症状の一定の原因を示し得るからである。コグニティブ植物クリニック・エンジン120は、診断を裏付ける証拠が検出されたときは診断の信頼度スコアを増加させることができ、診断を否定する証拠が発見されたときは診断の信頼度スコアを減少させることができる。コグニティブ植物クリニック・エンジン120はさらに、ユーザ・フィードバックなどを用いることによって候補診断を検証することができる。コグニティブ植物クリニック・エンジン120は、種識別、および閾値より高い信頼度スコアに関連付けられた診断を用いて、植物カタログ/診断リポジトリを更新することができる。
【0027】
例えば、診断された植物病害は一定のタイプの細菌を拡散する一定の昆虫によって引き起こされることが知られている場合、植物画像の出所から一定の地理的境界内でコグニティブ植物クリニック・エンジン120によって探索可能な画像において、同じタイプの昆虫が観察され、獲得されたとき、コグニティブ植物クリニック・エンジン120は、診断の信頼度スコアを増加し得る。
【0028】
ブロック230で示されるようにコグニティブ植物クリニック・エンジン120はまた、SM掲載画像における視覚的症状の分析に基づいて、候補診断の信頼度スコアを調整することができる。コグニティブ植物クリニック・エンジン120は、植物画像からのそれぞれの症状と基準画像との間の、地理的位置、気候、または季節あるいはその組合せを含む環境関連性の比較において、ブロック230から入手されるソーシャル・メディアからの別の基準画像より大きな重みを、植物カタログ/診断リポジトリからの基準画像に与えることができる。
【0029】
ブロック250でコグニティブ植物クリニック・エンジン120は、候補診断のリスト内の各候補診断を、ゼロ個以上の対応する治療計画にマッピングする。本発明のいくつかの実施形態において候補診断に対応する治療計画は、各病害名によってインデックス付けされて、植物カタログ/診断リポジトリに含められ得る。次いでコグニティブ植物クリニック・エンジン120は、ブロック260に進む。
【0030】
本発明のいくつかの実施形態において、コグニティブ植物クリニック・エンジン120は、ある植物病害の診断を、その植物病害があるタイプの菌類を運ぶ昆虫によって引き起こされることが知られている場合、殺菌剤治療にマッピングすることができる。コグニティブ植物クリニック・エンジン120は別の植物病害の別の診断を、その植物病害が環境条件によって引き起こされることが知られている場合、水やり、土壌養分、照明、または換気あるいはその組合せに関する一定の管理計画にマッピングすることができる。
【0031】
ブロック260でコグニティブ植物クリニック・エンジン120は、コグニティブ植物クリニック・エンジン120の治療モードの現在の設定を決定する。コグニティブ植物クリニック・エンジン120は治療モードを、ユーザ入力、使用可能なIoTデバイスおよびそれぞれの機能、ならびにそれぞれの治療モードを行うために必要な他の情報/ユーティリティに従って事前設定する。例えば本発明のいくつかの実施形態においてコグニティブ植物クリニック・エンジン120は、{自動化,手動}からの1つのインスタンスを用いて治療モードを設定することができる。コグニティブ植物クリニック・エンジン120が治療モードは現在、自動化治療に設定されていると決定した場合、コグニティブ植物クリニック・エンジン120はブロック270に進む。コグニティブ植物クリニック・エンジン120が治療モードは現在、手動治療に設定されていると決定した場合、コグニティブ植物クリニック・エンジン120はブロック280に進む。
【0032】
治療モードが自動化されているブロック270で、コグニティブ植物クリニック・エンジン120は、リスト内のそれぞれの候補診断に対する信頼度スコアの中で、最も高い信頼度スコアに関連付けられた候補診断のための事前設定された対策に従って、ブロック250でマッピングされた治療計画を自動的に行う。コグニティブ植物クリニック・エンジン120は、使用可能なIoTデバイスおよびIoTデバイスのセットアップに従って前もってユーザにより設定された、{治療薬物/機器を発注する}、{給水を制御する}、{照明を制御する}、{温度を制御する}などおよびそれらの組合せとして、事前設定された対策を有することができる。事前設定された対策は、植物を治療する間の一定の期間に対してスケジューリングすることができ、その間、コグニティブ植物クリニック・エンジン120はそれぞれのIoTデバイスを制御して治療計画を行う。コグニティブ植物クリニック・エンジン120はユーザに、一定の事前設定された対策が行われたことを知らせる通知を送る。次いでコグニティブ植物クリニック・エンジン120は、ブロック210で取得された植物画像のためのサービスを終了する。
【0033】
ブロック280でコグニティブ植物クリニック・エンジン120は、治療モードが手動である場合、候補診断およびブロック250でマッピングされた治療計画を、植物画像を提出したユーザに提示する。コグニティブ植物クリニック・エンジン120はまた、コグニティブ植物クリニック・エンジン120によって自動的に行われ得るが未だ設定されていなかった選択肢を提示し、ユーザが自動化治療モードを選択することを容易にすることができる。それに従ってコグニティブ植物クリニック・エンジン120は、ユーザから入力を取得し、ユーザ入力によって指示されるように治療計画の実行を継続することができる。次いでコグニティブ植物クリニック・エンジン120は、ブロック210で取得された植物画像のためのサービスを終了する。
【0034】
本発明のいくつかの実施形態は、植物の画像に基づく植物の臨床診断および治療サービスを含む、様々な技術的コンピューティングの利点を提供することができる。植物の画像は、画像内に獲得された植物の種および視覚的症状を識別するために、視覚的に分析される。種および候補診断の決定にはそれぞれの信頼度スコアが関連付けられ、信頼度スコアは基準画像および基準画像のメタデータの様々な側面から調べられた証拠に従って調整され得る。裏付けるまたは否定するあるいはその両方の証拠は、それに従って種識別および候補診断に対する信頼度スコアに反映され得る。本発明のいくつかの実施形態は、もたらされる臨床サービスのために自動化治療計画が設定され得る場合、最も高い信頼度スコアを有する候補診断の1つに従った植物の治療において、様々なインターネット・オブ・シングス(IoT)デバイスおよび他のシステムを用いることによって実施され得る。本発明のいくつかの実施形態は、クラウド・プラットフォーム/データ・センタを用いることによって実施され得るものであり、植物クリニック・サービスは、個人または組織あるいはその両方のユーザに対して、加入によるサービスとしてもたらされ得る。
【0035】
図3~4は、本明細書で述べられる1つまたは複数の態様による、クラウド・コンピューティング・システムを含むコンピューティングの様々な態様を示す。
【0036】
本開示はクラウド・コンピューティングについての詳しい説明を含むが、本明細書に記載される教示の実施は、クラウド・コンピューティング環境に限定されないことが理解される。むしろ本発明の実施形態は、現在知られているまたは後に開発される任意の他のタイプのコンピューティング環境と共に実施される能力を有する。
【0037】
クラウド・コンピューティングは、最少の管理上の努力またはサービスのプロバイダとの対話により迅速に用意され、リリースされ得る、構成可能なコンピューティング・リソース(例えばネットワーク、ネットワーク帯域幅、サーバ、処理、メモリ、ストレージ、アプリケーション、仮想マシン、およびサービス)の共有されたプールへの便利な、オンデマンド・ネットワーク・アクセスを可能にするためのサービス供給のモデルである。このクラウド・モデルは、少なくとも5つの特徴、少なくとも3つのサービス・モデル、および少なくとも4つのディプロイモデルを含むことができる。
【0038】
特徴は以下の通りである。
【0039】
オンデマンド・セルフサービス:クラウド消費者は、サービスのプロバイダとの人的対話なしに必要に応じて自動的に、サーバ時間およびネットワーク・ストレージなどの、コンピューティング能力を一方的に用意することができる。
【0040】
広いネットワーク・アクセス:能力はネットワークを通して使用可能であり、標準の機構を通じてアクセスされ、これは異種のシンまたはシック・クライアント・プラットフォーム(例えば携帯電話、ラップトップ、およびPDA)による使用を促進する。
【0041】
リソース・プーリング:プロバイダのコンピューティング・リソースは、異なる物理および仮想リソースが需要に従って動的に割り当ておよび再割り当てされながら、マルチ・テナント・モデルを用いて複数の消費者にサービスするようにプールされる。消費者は一般に、もたらされるリソースの正確な位置に対する制御性または知識をもたないが、抽象化のより高いレベルにおいて位置を指定する(例えば国、州、またはデータセンタ)ことが可能になり得るという点で、位置からの独立性の観念がある。
【0042】
迅速な融通性:能力は、いくつかの場合には自動的に、速やかにスケール・アウトし、または速やかにスケール・インするように迅速にリリースされるように、迅速におよび弾力的に用意され得る。消費者には、用意するために使用可能な能力は無限であるように見えることが多く、任意の時点で任意の量において購入され得る。
【0043】
測定されたサービス:クラウド・システムは、サービスのタイプ(例えばストレージ、処理、帯域幅、およびアクティブ・ユーザ・アカウント)に適した、何らかのレベルの抽象化における計量能力を活用することによって、リソース使用を自動的に制御および最適化する。リソース使用量は監視され、制御され、報告されて、利用されるサービスのプロバイダおよび消費者の両方に対して透明性をもたらす。
【0044】
サービス・モデルは以下の通りである。
【0045】
ソフトウェア・アズ・ア・サービス(SaaS):消費者にもたらされる能力は、クラウド・インフラストラクチャ上で稼働するプロバイダのアプリケーションを使用することである。アプリケーションは、ウェブ・ブラウザ(例えばウェブ・ベースの電子メール)などのシン・クライアント・インターフェースを通して、様々なクライアント・デバイスからアクセス可能である。限られたユーザ固有のアプリケーション構成設定を可能性のある例外として、消費者は、ネットワーク、サーバ、オペレーティング・システム、ストレージ、さらには個別のアプリケーション能力を含む、基礎をなすクラウド・インフラストラクチャを管理も制御もしない。
【0046】
プラットフォーム・アズ・ア・サービス(PaaS):消費者にもたらされる能力は、プロバイダによってサポートされるプログラミング言語およびツールを用いて作成された、消費者により作成されたまたは取得されたアプリケーションを、クラウド・インフラストラクチャ上にディプロイすることである。消費者は、ネットワーク、サーバ、オペレーティング・システム、またはストレージを含む基礎をなすクラウド・インフラストラクチャを管理も制御もしないが、ディプロイされたアプリケーション、および場合によっては環境構成をホストするアプリケーションに対する制御性を有する。
【0047】
インフラストラクチャ・アズ・ア・サービス(IaaS):消費者にもたらされる能力は、処理、ストレージ、ネットワーク、および他の基本的なコンピューティング・リソースを用意することであり、消費者は任意のソフトウェアをディプロイおよび稼働することができ、これはオペレーティング・システムおよびアプリケーションを含むことができる。消費者は、基礎をなすクラウド・インフラストラクチャを管理も制御もしないが、オペレーティング・システム、ストレージ、ディプロイされたアプリケーションに対する制御性、および場合によっては選ばれたネットワーク化構成要素(例えばホスト・ファイアウォール)の限られた制御性を有する。
【0048】
ディプロイモデルは以下の通りである。
【0049】
プライベート・クラウド:クラウド・インフラストラクチャは、専ら組織のために運用される。これは組織またはサード・パーティによって管理することができ、構内または構外に存在し得る。
【0050】
コミュニティ・クラウド:クラウド・インフラストラクチャは、いくつかの組織によって共有され、共通の関心(例えばミッション、セキュリティ要件、ポリシー、およびコンプライアンス考慮事項)を有する特定のコミュニティをサポートする。これは組織またはサード・パーティによって管理することができ、構内または構外に存在し得る。
【0051】
パブリック・クラウド:クラウド・インフラストラクチャは、一般大衆または大きな業界グループに対して使用可能とされ、クラウド・サービスを販売する組織によって所有される。
【0052】
ハイブリッド・クラウド:クラウド・インフラストラクチャは、独自のエンティティのままであるが、データおよびアプリケーション可搬性(例えばクラウド間の負荷バランスのためのクラウド・バースティング)を可能にする標準化されたまたは独自開発の占有技術によって一緒に結び付けられた、2つ以上のクラウド(プライベート、コミュニティ、またはパブリック)の複合体である。
【0053】
クラウド・コンピューティング環境は、ステートレスであること、低いカップリング、モジュール性、およびセマンティック相互運用性に焦点を当てて方向付けられたサービスである。クラウド・コンピューティングの中心は、相互接続されたノードのネットワークを備えたインフラストラクチャである。
【0054】
次に図3を参照すると、例示的クラウド・コンピューティング環境50が示される。示されるようにクラウド・コンピューティング環境50は、例えば携帯情報端末(PDA)または携帯電話54A、デスクトップ・コンピュータ54B、ラップトップ・コンピュータ54C、または自動車コンピュータ・システム54Nあるいはそれらの組合せなどの、クラウド消費者によって用いられるローカル・コンピューティング・デバイスが通信することのできる、1つまたは複数のクラウド・コンピューティング・ノード10を含む。ノード10は互いに通信することができる。それらは、本明細書で上記に述べられたようなプライベート、コミュニティ、パブリック、またはハイブリッド・クラウド、またはそれらの組合せなどの、1つまたは複数のネットワークにおいて物理的または仮想的にグループ化(図示せず)され得る。これはクラウド・コンピューティング環境50が、クラウド消費者はローカル・コンピューティング・デバイス上にリソースを維持する必要がない、サービスとしてのインフラストラクチャ、プラットフォーム、またはソフトウェアあるいはそれらの組合せを提供することを可能にする。図4に示されるコンピューティング・デバイス54A~Nのタイプは例示のためのみであること、ならびにコンピューティング・ノード10およびクラウド・コンピューティング環境50は、任意のタイプのネットワークまたはネットワーク・アドレス指定可能な接続(例えばウェブ・ブラウザを用いた)あるいはその両方を通して、任意のタイプのコンピュータ化されたデバイスと通信できることが、理解される。
【0055】
ここで図4を参照すると、クラウド・コンピューティング環境50(図3)によってもたらされる、機能抽象化レイヤのセットが示される。前もって、図4に示される構成要素、レイヤ、および機能は、例示のためのみであり、本発明の実施形態はそれらに限定されないことが理解されるべきである。示されるように以下のレイヤ、および対応する機能がもたらされる。
【0056】
ハードウェアおよびソフトウェア・レイヤ60は、ハードウェアおよびソフトウェア構成要素を含む。ハードウェア構成要素の例は、メインフレーム61、RISC(縮小命令セット・コンピュータ)アーキテクチャ・ベースのサーバ62、サーバ63、ブレード・サーバ64、記憶デバイス65、ならびにネットワークおよびネットワーク化構成要素66を含む。いくつかの実施形態においてソフトウェア構成要素は、ネットワーク・アプリケーション・サーバ・ソフトウェア67およびデータベース・ソフトウェア68を含む。
【0057】
仮想化レイヤ70は、以下の仮想エンティティの例、すなわち仮想サーバ71、仮想ストレージ72、仮想プライベート・ネットワークを含む仮想ネットワーク73、仮想アプリケーションおよびオペレーティング・システム74、ならびに仮想クライアント75をもたらし得る、抽象化レイヤをもたらす。
【0058】
一例において管理レイヤ80は、以下に述べられる機能をもたらすことができる。リソース供給81は、クラウド・コンピューティング環境内でタスクを行うために利用されるコンピューティング・リソースおよび他のリソースの動的調達をもたらす。計量および価格設定82は、クラウド・コンピューティング環境内でリソースが利用される場合のコスト追跡、およびこれらのリソースの消費に対する請求書作成または送付をもたらす。一例においてこれらのリソースは、アプリケーション・ソフトウェア・ライセンスを含むことができる。セキュリティは、クラウド消費者およびタスクに対する識別検証、ならびにデータおよび他のリソースに対する保護をもたらす。ユーザ・ポータル83は、消費者およびシステム管理者のために、クラウド・コンピューティング環境へのアクセスをもたらす。サービス・レベル管理84は、要求されるサービス・レベルが満たされるように、クラウド・コンピューティング・リソース割り振りおよび管理をもたらす。サービス・レベル・アグリーメント(SLA)計画および達成85は、SLAに従って将来の要求が予想されるクラウド・コンピューティング・リソースの事前準備および調達をもたらす。
【0059】
作業負荷レイヤ90は、クラウド・コンピューティング環境が利用され得る機能性の例をもたらす。このレイヤからもたらされ得る作業負荷および機能の例は、マッピングおよびナビゲーション91、ソフトウェア開発およびライフサイクル管理92、仮想教室教育配信(virtual classroom education delivery)93、データ分析処理94、トランザクション処理95、および本明細書で述べられるようなコグニティブ植物クリニック・エンジンのための処理構成要素96を含む。
【0060】
本発明は、統合の任意の可能な技術的詳細レベルにおける、システム、方法、またはコンピュータ・プログラム製品あるいはそれらの組合せとすることができる。コンピュータ・プログラム製品は、プロセッサに本発明の態様を実行させるためのコンピュータ可読プログラム命令を有する、(1つまたは複数の)コンピュータ可読記憶媒体を含むことができる。
【0061】
コンピュータ可読記憶媒体は、命令実行デバイスによる使用のための命令を保持および記憶することができる、有形のデバイスとすることができる。コンピュータ可読記憶媒体は、例えば電子的記憶デバイス、磁気記憶デバイス、光記憶デバイス、電磁的記憶デバイス、半導体記憶デバイス、または上記の任意の適切な組合せとすることができるが、それらに限定されない。コンピュータ可読記憶媒体のより具体的な例の非網羅的なリストは、ポータブル・コンピュータ・ディスケット、ハード・ディスク、ランダム・アクセス・メモリ(RAM)、読み出し専用メモリ(ROM)、消去可能プログラマブル読み出し専用メモリ(EPROMまたはフラッシュ・メモリ)、スタティック・ランダム・アクセス・メモリ(SRAM)、ポータブル・コンパクト・ディスク読み出し専用メモリ(CD-ROM)、デジタル多用途ディスク(DVD)、メモリ・スティック、フロッピ(R)・ディスク、パンチカードまたは命令を記録された溝内の隆起構造などの機械的エンコード型デバイス、および上記の任意の適切な組合せを含む。本明細書で用いられるコンピュータ可読記憶媒体とは、電波または他の自由に伝搬する電磁波、導波路または他の伝送媒体を通して伝搬する電磁波(例えば光ファイバ・ケーブルを通過する光パルス)、または線材を通して送信される電気信号など、それ自体が一時的信号であると解釈されるものではない。
【0062】
本明細書で述べられるコンピュータ可読プログラム命令は、コンピュータ可読記憶媒体からそれぞれのコンピューティング/処理デバイスに、またはネットワーク、例えばインターネット、ローカル・エリア・ネットワーク、広域ネットワークまたは無線ネットワークあるいはそれらの組合せを経由して外部コンピュータまたは外部記憶デバイスに、ダウンロードされ得る。ネットワークは、銅の伝送ケーブル、光伝送ファイバ、無線伝送、ルータ、ファイアウォール、スイッチ、ゲートウェイ・コンピュータまたはエッジ・サーバあるいはそれらの組合せを備えることができる。各コンピューティング/処理デバイス内のネットワーク・アダプタ・カードまたはネットワーク・インターフェースは、ネットワークからコンピュータ可読プログラム命令を受信し、コンピュータ可読プログラム命令を、それぞれのコンピューティング/処理デバイス内のコンピュータ可読記憶媒体における記憶のために送る。
【0063】
本発明の動作を実行するためのコンピュータ可読プログラム命令は、アセンブラ命令、命令セット・アーキテクチャ(ISA)命令、マシン命令、マシン依存型命令、マイクロコード、ファームウェア命令、状態設定データ、集積回路のための構成データ、あるいはSmalltalk(R)、C++などのオブジェクト指向プログラミング言語、および「C」プログラミング言語または同様なプログラミング言語などの手続き型プログラミング言語を含む、1つまたは複数のプログラミング言語の任意の組合せで書かれた、ソース・コードまたはオブジェクト・コードとすることができる。コンピュータ可読プログラム命令は、専らユーザのコンピュータ上で、スタンド・アロン・ソフトウェア・パッケージとして部分的にユーザのコンピュータ上で、部分的にユーザのコンピュータ上で、かつ部分的にリモート・コンピュータ上で、あるいは専らリモート・コンピュータまたはサーバ上で、実行することができる。後者のシナリオにおいてリモート・コンピュータは、ローカル・エリア・ネットワーク(LAN)または広域ネットワーク(WAN)を含む、任意のタイプのネットワークを通してユーザのコンピュータに接続され得、あるいは外部コンピュータへの接続が(例えばインターネット・サービス・プロバイダを用いてインターネットを通して)なされ得る。いくつかの実施形態において、例えばプログラマブル・ロジック回路、フィールド・プログラマブル・ゲート・アレイ(FPGA)、またはプログラマブル・ロジック・アレイ(PLA)を含む電子回路は、本発明の態様を行うために、コンピュータ可読プログラム命令の状態情報を利用することによって、コンピュータ可読プログラム命令を実行して電子回路を個人化することができる。
【0064】
本明細書において本発明の態様は、本発明の実施形態による方法、装置(システム)、およびコンピュータ・プログラムの、フローチャート図またはブロック図あるいはその両方を参照して述べられる。フローチャート図またはブロック図あるいはその両方の各ブロック、およびフローチャート図またはブロック図あるいはその両方におけるブロックの組合せは、コンピュータ可読プログラム命令によって実施され得ることが理解されるであろう。
【0065】
コンピュータ可読プログラム命令は、コンピュータまたは他のプログラマブル・データ処理装置のプロセッサによって実行する命令が、フローチャートまたはブロック図あるいはその両方の1つまたは複数のブロックにおいて指定された機能/動作を実施するための手段を作成するように、汎用コンピュータ、専用コンピュータ、または他のプログラマブル・データ処理装置のプロセッサに与えられて、マシンを作り出すものであってよい。これらのコンピュータ可読プログラム命令はまた、命令が記憶されたコンピュータ可読記憶媒体が、フローチャートまたはブロック図あるいはその両方の1つまたは複数のブロックにおいて指定された機能/動作の態様を実施する命令を含んだ製品を備えるように、コンピュータ可読記憶媒体に記憶され、コンピュータ、プログラマブル・データ処理装置、または他のデバイスあるいはそれらの組合せに特定のやり方で機能するように指示することができるものであってもよい。
【0066】
コンピュータ可読プログラム命令はまた、コンピュータ、他のプログラマブル装置、または他のデバイス上で実行する命令がフローチャートまたはブロック図あるいはその両方の1つまたは複数のブロックにおいて指定された機能/動作を実施するように、コンピュータによって実施されるプロセスを形成するべく、コンピュータ、他のプログラマブル・データ処理装置、または他のデバイス上にロードされ、コンピュータ、他のプログラマブル装置、または他のデバイス上で一連の動作ステップを実行させるものであってもよい。
【0067】
図におけるフローチャートおよびブロック図は、本発明の様々な実施形態による、システム、方法、およびコンピュータ・プログラムの可能な実装形態のアーキテクチャ、機能、および動作を示す。この関連において、フローチャートまたはブロック図内の各ブロックは、指定された論理機能を実施するための1つまたは複数の実行可能命令を備える、モジュール、セグメント、または命令の一部分を表すことができる。いくつかの代替的実装形態において、ブロック内に記された機能は、図に記されたものとは異なる順序で行われ得る。例えば連続して示される2つのブロックは、実際は実質的に並行して実行され得、またはブロックは時には関わる機能に応じて、逆の順序で実行され得る。またブロック図またはフローチャート図あるいはその両方の各ブロック、およびブロック図またはフローチャート図あるいはその両方におけるブロックの組合せは、指定された機能または動作を行う、または専用ハードウェアおよびコンピュータ命令の組合せを実行する、専用ハードウェア・ベースのシステムによって実施され得ることが留意されるであろう。
【0068】
本明細書で用いられる用語は、特定の実施形態を述べるためのみのものであり、限定するためのものではない。本明細書の方法のステップまたはデバイスの要素は、それら1つまたは複数の特徴を所有するが、それら1つまたは複数の特徴のみを所有することに限定されない。さらに一定の方法で構成されるデバイスまたは構造は、少なくともその方法で構成されるが、列挙されない方法においても構成され得る。
【0069】
以下の「特許請求の範囲」内の対応する構造、材料、動作、およびすべてのミーンズ・プラス・ファンクション要素またはステップ・プラス・ファンクション要素の均等物は、具体的に特許請求されるものとして、他の特許請求される要素との組合せにおいて機能を行うための、構造、材料、または動作を含むことが意図される。本明細書に記載の説明は、例示および説明のために示されたが、網羅的であること、または開示された形に限定することを意図するものではない。当業者には、本開示の範囲および思想から逸脱せずに、多くの変更および変形が明らかになるであろう。実施形態は、本明細書に記載の1つまたは複数の態様の原理、および実際の応用例を最もよく説明するように、ならびに他の当業者が、企図される特定の使用に適するように様々な変更を有する様々な実施形態に対する本明細書に記載の1つまたは複数の態様を理解することを可能にするように選ばれ、述べられた。
【符号の説明】
【0070】
10 コンピューティング・ノード
50 クラウド・コンピューティング環境
54A 携帯電話
54B デスクトップ・コンピュータ
54C ラップトップ・コンピュータ
54N 自動車コンピュータ・システム
60 ハードウェアおよびソフトウェア
61 メインフレーム
62 RISCアーキテクチャ・サーバ
63 IBM(R)xSeries(R)システム
64 IBM(R)Blade Center(R)システム
65 ストレージ
66 ネットワーク化
67 ネットワーク・アプリケーション・サーバ・ソフトウェア
68 データベース・ソフトウェア
70 仮想化
71 仮想サーバ
72 仮想ストレージ
73 仮想ネットワーク
74 仮想アプリケーション
75 仮想クライアント
80 管理
81 リソース供給
82 計量および価格設定
83 ユーザ・ポータル
84 サービス・レベル管理
85 SLA計画および達成
90 作業負荷
91 マッピングおよびナビゲーション
92 ソフトウェア開発およびライフサイクル管理
93 仮想教室教育配信
94 データ分析処理
95 トランザクション処理
96 コグニティブ植物クリニック・エンジンのための処理構成要素
100 システム
101 植物
103 IoTデバイス
105 IoTカメラ
107 ユーザ・デバイス
109 ユーザ
111 ソーシャル・コミュニケーション・プラットフォーム
113 植物カタログ/診断リポジトリ
115 気象データ・ソース
117 土壌データ・ソース
119 視覚認識/分析ツール
120 コグニティブ植物クリニック・エンジン
125 TRモード
130 種および症状識別プロセス
140 診断プロセス
150 治療計画(TR)プロセス
181 植物画像
185 環境データ
199 診断および治療計画
図1
図2
図3
図4