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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-01-31
(45)【発行日】2023-02-08
(54)【発明の名称】塗布方法及び塗布装置
(51)【国際特許分類】
   B05D 1/26 20060101AFI20230201BHJP
   B05C 5/02 20060101ALI20230201BHJP
   B05C 11/00 20060101ALI20230201BHJP
   B05C 11/10 20060101ALI20230201BHJP
【FI】
B05D1/26 Z
B05C5/02
B05C11/00
B05C11/10
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2018135697
(22)【出願日】2018-07-19
(65)【公開番号】P2020011199
(43)【公開日】2020-01-23
【審査請求日】2021-05-20
(73)【特許権者】
【識別番号】000003159
【氏名又は名称】東レ株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000219314
【氏名又は名称】東レエンジニアリング株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000280
【氏名又は名称】弁理士法人サンクレスト国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】谷 義則
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 暁雄
(72)【発明者】
【氏名】堀 邦仁
【審査官】磯部 洋一郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-148769(JP,A)
【文献】特開平09-253558(JP,A)
【文献】特開2012-106203(JP,A)
【文献】特開昭52-011868(JP,A)
【文献】特開2016-150311(JP,A)
【文献】特開2015-192984(JP,A)
【文献】特開2014-041950(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B05D 1/26
B05C 5/02
B05C 11/00
B05C 11/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
幅方向に長い塗布器が有する当該幅方向に細長い吐出口を、基板の被塗布面に接近させ、前記塗布器と前記被塗布面とを前記幅方向に交差する方向に相対移動させながら、前記被塗布面に対して前記吐出口から塗布液を吐出して行なう塗布方法であって、
前記相対移動の方向に沿って、枚葉状である第一の基板と枚葉状である第二の基板とを隣接して並べ、
前記第二の基板は、塗布開始側の端部から塗布終了側に向かって前記幅方向の寸法が拡大する形状を有し、
前記第一の基板の前記幅方向の寸法は、前記第二の基板の前記幅方向の寸法以上であり、
当該第一の基板から当該第二の基板へとビードが途切れることなく塗布液を前記吐出口より吐出させる、塗布方法。
【請求項2】
前記塗布器の先端面で開口する前記吐出口から吐出された塗布液が前記被塗布面に付着した状態で、前記塗布器と前記被塗布面とを相対移動させると、前記先端面と前記被塗布面とで形成される隙間を埋める分のみ、前記吐出口から塗布液が引き出されて塗布を行うキャピラリ塗布である、請求項1に記載の塗布方法。
【請求項3】
幅方向に長い塗布器が有する当該幅方向に細長い吐出口を、基板の被塗布面に接近させ、前記塗布器と前記被塗布面とを前記幅方向に交差する方向に相対移動させながら、前記被塗布面に対して前記吐出口から塗布液を吐出して行なう塗布方法であって、
前記相対移動の方向に沿って、枚葉状である第一の基板と、当該第一の基板の後に続けて二枚以上の枚葉状である第二の基板と、をそれぞれ隣接して並べ、
前記第二の基板それぞれの前記幅方向の隣に、第三の基板を配置し、複数の当該第三の基板を前記第一の基板の後に続けて前記相対移動の方向に隣接して並べた状態で、
当該第一の基板から当該第二の基板へとビードが途切れることなく塗布液を前記吐出口より吐出させると共に、二枚以上の前記第二の基板それぞれの間においてもビードが途切れることなく塗布液を前記吐出口より吐出させ、
前記第三の基板に対して、前記第二の基板とあわせて塗布液を前記吐出口より吐出させる、
塗布方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板に塗布液を塗布する方法、及び、基板に塗布液を塗布する塗布装置に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体の製造工程では、半導体ウエハ(シリコンウエハ)にフォトレジスト液が塗布される。この塗布の方法として、スピンコートが知られているが、近年、フォトレジスト液の利用効率向上の観点から、スリットが設けられた塗布器によるスリットコートが提案されている。スリットは、塗布器が有するノズル部の先端面で開口し、塗布器と半導体ウエハとを相対的に移動させながら、スリットから塗布液を吐出する。特許文献1には、前記塗布器を備えた塗布装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2015-192984公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
図12は、基板(半導体ウエハ)90の平面図である。半導体の製造工程では、基板90の利用効率を高めるために、基板90の外周端91付近までが半導体チップの形成領域Pとされる。このため、基板90では、外周端91からの塗布液の膜厚不良の範囲Qをできるだけ狭くするのが好ましい。
【0005】
前記のようなスリットコートによる塗布方法の一例として、キャピラリ塗布が知られている。この方法は、塗布器内の塗布液を大気圧に対して負圧に保持して行われる。これにより、塗布器から吐出された塗布液が基板に付着した状態で、塗布器と基板とを相対移動させると、塗布器の先端面と基板とで形成される隙間を埋める分のみ、塗布液がスリットから引き出されて塗布が行われる。また、このような塗布方法では、基板に塗布した塗布液の膜厚を一定とするために、塗布器と基板との相対移動の速度を一定とする。ただし、塗布を開始するためには、図13(A)に示されるように、基板90の端部92の直上に塗布器99のスリット98を位置させ、停止状態とする。停止状態で、スリット98から塗布液Rを少し吐出させて、基板90(被塗布面93)に対して液付けを行なう。液付けを終えると、塗布器99と基板90とを相対移動を開始させ、スリット98から塗布液Rを吐出させる(図13(B)参照)。例えば、塗布器99を移動させる場合、速度がゼロである移動開始から、移動速度が一定となるまでの初期の短時間では、つまり、基板90の端部92では、図13(C)に示されるように、塗布液Rの膜厚tは薄くなるという問題点がある。これは、塗布液Rの粘度が高い場合により顕著となる。なお、このような問題点は、キャピラリ塗布による塗布方法以外であっても発生する可能性がある。
【0006】
塗布開始時において膜厚tが薄くなるのを改善するために、図14に示されるように、塗布開始にあわせて、ポンプ95によって塗布液を追加的に塗布器99に供給する方法が考えられる。なお、基板(半導体ウエハ)90は円形であることから、塗布開始の際には、スリット98のうちの基板90が対向して存在する領域90aで、被塗布面93に対する前記液付けがされるが、塗布開始の際に、スリット98のうちの基板90が対向して存在しない領域90bでは、液付けがされない。このため、前記のようにポンプ95による追加的な塗布液の供給が過多になると、スリット98のうちの基板90が対向して存在しない領域90bから、塗布液Rが部分的に吐出されてしまう。このまま、塗布を継続すると、前記領域90bから部分的に吐出されていた塗布液Rによって、塗布膜にスジが生じ、品質不良となってしまう。塗布開始時において膜厚tが薄くなるのを改善するために、ポンプ95によって塗布液Rを追加的に塗布器99に供給する方法は有効であるが、場合によっては限界がある。
【0007】
図13(C)に示されるように、基板90の塗布開始側の端部92において塗布液Rの膜厚tが薄くなる範囲Qが広くなると、半導体チップの形成領域P(図12参照)とすべきである範囲、つまり、塗布膜が均一となる範囲が減ってしまう。
【0008】
そこで、本発明の目的は、被塗布面における塗布開始側の端部で塗布膜が薄くなるのを抑えることにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、幅方向に長い塗布器が有する当該幅方向に細長い吐出口を、基板の被塗布面に接近させ、前記塗布器と前記被塗布面とを前記幅方向に交差する方向に相対移動させながら、前記被塗布面に対して前記吐出口から塗布液を吐出して行なう塗布方法であって、前記相対移動の方向に沿って、枚葉状である第一の基板と枚葉状である第二の基板とを隣接して並べ、当該第一の基板から当該第二の基板へとビードが途切れることなく塗布液を前記吐出口より吐出させる。
【0010】
この塗布方法によれば、第二の基板については、第一の基板からビードが途切れることなく連続的に塗布が行われることから、第二の基板の被塗布面における塗布開始側の端部で塗布膜が薄くなるのを抑えることが可能となる。なお、第一の基板については、塗布のための補助基板(ダミー基板)とすることができる。つまり、第一の基板は製品として用いられず、第二の基板が製品として用いられる。
【0011】
また、前記塗布方法は、前記塗布器の先端面で開口する前記吐出口から吐出された塗布液が前記被塗布面に付着した状態で、前記塗布器と前記被塗布面とを相対移動させると、前記先端面と前記被塗布面とで形成される隙間を埋める分のみ、前記吐出口から塗布液が引き出されて塗布を行うキャピラリ塗布であるのが好ましい。このようなキャピラリ塗布によれば、第一の基板から第二の基板へとビードが途切れることなく連続して塗布液を塗布しても、両基板の間を通じて第一の基板及び第二の基板の裏面側に塗布液が回り込まないようにすることができる。この結果、基板の裏面にまで塗布液が付着するのを防ぐことが可能となる。なお、この方法は、例えば、吐出口が下向き成分を有して開口する場合、前記塗布器内の塗布液の圧力を負圧に調整して塗布を行なうことで実現される。
【0012】
また、前記第二の基板は、塗布開始側の端部から塗布終了側に向かって前記幅方向の寸法が拡大する形状を有し、前記第一の基板の前記幅方向の寸法は、前記第二の基板の前記幅方向の寸法以上であるのが好ましい。この場合、第二の基板において、幅方向に均一の膜厚を得ることができる。
【0013】
本発明は、幅方向に長い塗布器が有する当該幅方向に細長い吐出口を、基板の被塗布面に接近させ、前記塗布器と前記被塗布面とを前記幅方向に交差する方向に相対移動させながら、前記被塗布面に対して前記吐出口から塗布液を吐出して行なう塗布方法であって、前記相対移動の方向に沿って、枚葉状である第一の基板と、当該第一の基板の後に続けて二枚以上の枚葉状である第二の基板と、をそれぞれ隣接して並べ、当該第一の基板から当該第二の基板へとビードが途切れることなく塗布液を前記吐出口より吐出させると共に、二枚以上の前記第二の基板それぞれの間においてもビードが途切れることなく塗布液を前記吐出口より吐出させる。
【0014】
この塗布方法によれば、第一の基板に隣接する第二の基板については、第一の基板からビードが途切れることなく連続的に塗布が行われ、また、第二の基板の間においてもビードが途切れることなく連続的に塗布が行われることから、第二の基板の各被塗布面における塗布開始側の端部で塗布膜が薄くなるのを抑えることが可能となる。なお、第一の基板については、塗布のための補助基板(ダミー基板)とすることができる。つまり、第一の基板は製品として用いられず、第二の基板が製品として用いられる。
【0015】
また、第一の基板と二枚以上の第二の基板とを隣接して並べて行なう前記塗布方法において、更に、前記第二の基板それぞれの前記幅方向の隣に、第三の基板を配置し、複数の当該第三の基板を前記第一の基板の後に続けて前記相対移動の方向に隣接して並べた状態で、前記第三の基板に対して、前記第二の基板とあわせて塗布液を前記吐出口より吐出させるのが好ましい。この場合、塗布器と基板との相対移動を1ストローク行なうことで、多くの基板の塗布が可能となる。
【0016】
本発明の塗布装置は、枚葉状である基板を載置させるステージと、前記基板の幅方向の寸法よりも長い塗布液の吐出口を有する塗布器と、前記塗布器と前記ステージとを前記幅方向に交差する方向に相対移動させる移動手段と、を備え、前記ステージは、枚葉状である第一の基板を配置させる第一領域と、枚葉状である第二の基板を前記第一の基板と隣接して前記相対移動の方向に沿って並べて配置させる第二領域とを含む。
【0017】
この塗布装置によれば、前記相対移動の方向に沿って、枚葉状である第一の基板と枚葉状である第二の基板とを隣接して並べ、当該第一の基板から当該第二の基板へとビードが途切れることなく連続して塗布液を前記吐出口より吐出させることができる。これにより、第二の基板については、第一の基板からビードが途切れることなく連続的に塗布が行われることから、第二の基板の被塗布面における塗布開始側の端部で塗布膜が薄くなるのを抑えることが可能となる。
【0018】
また、前記塗布装置は、前記塗布器内の塗布液の圧力を負圧に調整する圧力調整器を、更に備えるのが好ましい。この場合、前記塗布装置が行なう塗布方法は、塗布器の先端面で開口する吐出口から吐出された塗布液が被塗布面に付着した状態で、塗布器と被塗布面とを相対移動させると、先端面と被塗布面とで形成される隙間を埋める分のみ、塗布液が吐出口から引き出されて塗布が行われる方法となる。そして、第一の基板から第二の基板へとビードが途切れることなく連続して塗布液を塗布しても、両基板の間を通じて第一の基板及び第二の基板の裏面側に塗布液が回り込まないようにすることができる。この結果、基板の裏面にまで塗布液が付着するのを防ぐことが可能となる。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、被塗布面における塗布開始側の端部で塗布膜が薄くなるのを抑えることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】塗布装置の概略構成図である。
図2】ステージ上に保持されている基板、及び塗布器を上方から見た説明図である。
図3】ステージ上に保持されている基板、及び塗布器を上方から見た説明図である。
図4図2のステージ、基板、及び塗布器を側方から見た説明図である。
図5図3のステージ、基板、及び塗布器を側方から見た説明図である。
図6】ステージ上に保持されている基板、及び塗布器を上方から見た説明図である。
図7図6のステージ、基板、及び塗布器を正面から見た説明図である。
図8】塗布方法の他の形態を説明する図であり、ステージ上に保持されている基板、及び塗布器を上方から見た図である。
図9】塗布方法の他の形態を説明する図であり、ステージ上に保持されている基板、及び塗布器を側方から見た図である。
図10】塗布方法の更に別の形態を説明する図であり、ステージ上に保持されている基板、及び塗布器を上方から見た図である。
図11】第一の基板及び第二の基板を拡大して示す説明図である。
図12】基板(半導体ウエハ)の平面図である。
図13】(A)は、基板及び塗布器を側方から見た図であって液付けの説明図であり、(B)は、基板及び塗布器を側方から見た図であって塗布中の説明図である。
図14】基板及び塗布器を正面から見た説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
〔塗布装置、及び塗布方法について〕
図1は、塗布装置5の概略構成図である。塗布装置5は、塗布器(スリットダイともいう)10、移動手段20、装置基台30、供給手段40、及び制御装置45を備える。装置基台30は、枚葉状である基板7を保持するステージ31を有する。なお、後にも説明するが、ステージ31には複数枚の基板7が同一面状となって載置される。制御装置45はコンピュータ装置により構成される。本実施形態の基板7には、半導体ウエハ(シリコンウエハ)が含まれ、基板7は、塗布液(フォトレジスト液)Rが塗布される被塗布面8を有する。
【0022】
塗布器10は、幅方向(図1において紙面に直交する方向)に長い部材により構成されている。塗布器10は、その内部に、塗布液Rが溜められる溜め部14と、この溜め部14と繋がるスリット(スリット状の流路)15とを有する。スリット15は塗布器10が有するノズル部17の先端面13において開口し、この開口が塗布液Rの吐出口16となる。つまり、溜め部14の塗布液Rは、スリット15を通じて吐出口16から吐出される。溜め部14、及びスリット15は、塗布器10の幅方向に沿って長く設けられている。吐出口16(スリット15)は、幅方向に細長く、基板7の幅方向の寸法よりも長い。塗布器10は基板7の上方に位置し、吐出口16から塗布液Rは下向きに吐出される。基板7の上面側が、塗布液Rが塗布される被塗布面8となる。塗布器10は圧力センサ46を有する。圧力センサ46は、塗布器10内(溜め部14)の塗布液Rの圧力を計測する。
【0023】
移動手段20は、塗布器10の幅方向に交差する方向(本実施形態では直交する方向)、つまり、図1では左右方向に移動可能である移動体22と、移動体22を移動させるリニアアクチュエータ23とを有する。移動体22に塗布器10が搭載されている。移動手段20は、被塗布面8と先端面13との隙間Kを一定に保ちつつ、塗布器10を基板7に対して移動させる。なお、本実施形態の移動手段20は、固定状態にある基板7に対して、塗布器10を移動させる構成であるが、移動手段20は、塗布器10と基板7とを相対移動させる構成であればよく、図示しないが、固定状態にある塗布器10に対してステージ31(基板7)を移動させる構成であってもよい。
【0024】
供給手段40は、タンク41と圧力調整器42とを有する。タンク41は、塗布液Rを溜めると共に、配管43を通じて塗布器10(溜め部14)と接続される。タンク41は、塗布器10よりも高い位置に設けられる。配管43には開閉切り換えバルブ44が設けられ、バルブ44が開状態で、タンク41と塗布器10(溜め部14)との間で塗布液Rが流通可能となる。このため、塗布器10から塗布液Rが吐出され塗布液Rが消費されると、タンク41から塗布器10へ塗布液Rが補充される。圧力調整器42は、制御装置45によって制御されるレギュレータからなり、タンク41の塗布液Rの圧力を変化させる(圧力を調整する)。タンク41と塗布器10とは配管43を通じて接続されていることから、タンク41の塗布液Rの圧力が調整されると、塗布器10(溜め部14)の塗布液Rの圧力が所定の値に調整される(つまり制御される)。本実施形態では、タンク41内が吸引されており、圧力調整器42によって、タンク41の塗布液Rの圧力(ゲージ圧)が負圧に調整される。これにより、塗布器10(溜め部14)の塗布液の圧力(ゲージ圧)が負圧になる。圧力調整器42は、塗布器10内の塗布液Rの圧力を所定の値(負圧)に保つように、タンク41に溜めている塗布液Rの圧力を調整する。この調整は、圧力センサ46の検出結果に基づいて行われる。
【0025】
塗布器10内の塗布液Rの圧力が(大気圧に対して)負圧の所定の値に調整されることで、塗布装置5は、基板7に対してキャピラリ塗布が可能となる。本実施形態の塗布方法は、下向きのキャピラリ塗布方法となる。つまり、塗布器10の先端面13と被塗布面8とを接近させた状態とする。先端面13でスリット15が開口している。スリット15から塗布液Rが先端面13と被塗布面8との間における毛細管現象(表面張力)によって引き出されることで、基板7に塗布液Rが塗布される。更に詳しく説明すると、スリット15(吐出口16)からの塗布液Rが被塗布面8に接触すると、先端面13と被塗布面8との間に塗布液Rの液溜まり(以下「ビード」と称する。)が形成される。この状態で、基板7に対して塗布器10を移動させると、先端面13と被塗布面8との隙間Kを埋める分のみ吐出口16から塗布液Rが引き出され、基板7に対して連続的に塗布液Rが塗布される。
【0026】
以上のように、本実施形態の塗布装置5は、枚葉状である基板7を載置させるステージ31と、塗布液が吐出される吐出口16を有する塗布器10と、塗布器10とステージ31とを相対移動させる移動手段20とを備える。この塗布装置5によって行われる塗布方法は、吐出口16(先端面13)を、基板7の被塗布面8に接近させ、塗布器10と被塗布面8とを相対移動させながら、被塗布面8に対して吐出口16から塗布液Rを吐出して行なう方法となる。また、塗布装置5は、圧力調整器42を更に備える。圧力調整器42は、塗布器10内の塗布液Rの圧力を大気圧に対して負圧に調整する。
【0027】
図2は、ステージ31上に保持されている基板7、及び塗布器10を上方から見た説明図である。なお、図2(後述する図3)では、塗布器10を想像線(二点鎖線)で示している。以下の説明において、基板7と塗布器10との相対移動の方向を「移動方向」と称する。図2等の各図において、この移動方向が矢印Xで示され、移動方向に直行する幅方向が矢印Yで示される。ステージ31は、複数枚の基板7を載置可能とする広さを有する。ステージ31、及びステージ31に配置される基板7について、具体的に説明する。ステージ31が有する基板7を載置可能とする領域には、第一領域Q1と第二領域Q2とが含まれる。第一領域Q1には、枚葉状である基板7が配置される。第一領域Q1の基板7を「第一の基板7a」と称する。第二領域Q2には、枚葉状である基板7が配置される。第二領域Q2の基板7を「第二の基板7b」と称する。第一領域Q1と第二領域Q2とは移動方法に沿って連続している。枚葉状である第二の基板7bが、第一の基板7aと隣接して移動方向に沿って並べて配置されている。前記「隣接」とは、隣り合う二つの基板7a,7bそれぞれの側面の(少なくとも)一部が隙間の無い状態で接触している状態を意味する。
【0028】
本実施形態の場合、平面視において、第一の基板7aは矩形であり、第二の基板7bは円形である。このため、第二の基板7bの一部が、第一の基板7aの一辺に接した状態となる。第二の基板7bは、円形であることから、塗布開始側の端部51から塗布終了側(図2では左側)に向かって幅方向の寸法が徐々に拡大する形状を有していると言える。そして、第二の基板7bの後半部分は、塗布終了側(図2では左側)に向かって幅方向の寸法が徐々に縮小する形状を有していると言える。
【0029】
図2及び図3に示されるように、第一の基板7a及び第二の基板7bに塗布液Rが塗布される。第二の基板7bは被塗布面8の全面に塗布液Rが塗布される。第一の基板7aは被塗布面8の全面に塗布液Rが塗布されなくてよい。つまり、第一の基板7aの被塗布面8には塗布液Rが部分的に塗布される。第二の基板7bがシリコンウエハであり最終的に製品となる。これに対して、第一の基板7aは、製品としない基板である。第一の基板7aは、第二の基板7bの塗布のために用いられる補助基板であり、ダミー基板とも呼ばれる。ただし、第一の基板7aへの塗布液Rの塗布と第二の基板7bへの塗布液Rの塗布とを同じ環境(同じ条件)で行なうために、第一の基板7aは、第二の基板7bと同じ材質からなるのが好ましい。なお、第一の基板7aの形状は、第二の基板7bと同じであってもよい。
【0030】
このようにステージ31に配置された基板7a,7bに対して塗布液Rの塗布を行なう方法は、次のとおりとなる。図2から図3に示されるように、移動方向に沿って、枚葉状である第一の基板7aと枚葉状である第二の基板7bとを隣接して並べ、塗布器10を第一の基板7a上から第二の基板7b上へと水平移動させ、第一の基板7aから第二の基板7bへとビードRaが途切れることなく連続して塗布液Rを塗布器10の吐出口16(スリット15)より吐出させる。塗布方法の具体例については後に説明する。
【0031】
図2に示される実施形態では、ステージ31に二枚の基板7(7a,7b)が配置されるが、後で説明する図8図9、及び図10に示されるように、ステージ31は、三枚以上の基板7を載置可能とする広さに構成されていてもよい。
【0032】
〔塗布方法について〕
前記構成を備える塗布装置5によって行われる塗布方法の具体例について説明する。この塗布方法には、準備工程、液付け工程、及び塗布工程が含まれる。
【0033】
準備工程では、ステージ31上において、移動方向に沿って、枚葉状である第一の基板7aと枚葉状である第二の基板7bとを隣接して並べる(図2参照)。これにより、第二の基板7bの一部である塗布開始側の端部51が、第一の基板7aの一辺に接した状態となる。
【0034】
液付け工程では、第一の基板7aの被塗布面8に対して、塗布器10の吐出口16から吐出させた塗布液Rを付ける。この処理を「液付け」と称する。液付けを実行する前に、塗布器10内の塗布液Rの圧力が大気圧に対して負圧に調整される。この調整は、前記圧力調整器42によって行われる。図2及び図4に示されるように、塗布器10の吐出口16を第一の基板7aの上方に位置させ、停止状態とする。図4は、図2のステージ31、基板7a,7b、及び塗布器10を側方から見た説明図である。停止状態のまま、図外のポンプから塗布液Rを塗布器10(溜め部14)に追加的に供給する。この供給により、吐出口16から少量の塗布液Rが吐出され、第一の基板7aに対する液付けが行われる(図4参照)。液付けにより、塗布器10の先端面13と、第一の基板7aの被塗布面8との間に、塗布液RのビードRaが形成される。
【0035】
図2において、第一の基板7aに対する液付けは、第二の基板7bの幅方向の寸法Wb以上の範囲とされる。つまり、第一の基板7aにおいて形成されるビードRaの幅方向の寸法Waは、第二の基板7bの幅方向の寸法Wb以上とされる(Wa≧Wb)。本実施形態では、吐出口16の幅方向の全長にわたって、第一の基板7aとの間にビードRaが形成される。このために、第一の基板7aの幅方向の寸法Wcは、第二の基板7bの幅方向の寸法Wbよりも大きく(Wc≧Wb)、更に、吐出口16の幅方向の寸法(Wa)よりも大きい(Wc≧Wa)。前記幅方向の寸法についてまとめると、Wc≧Wa≧Wbとなる。以上より、液付け工程が終了となる。
【0036】
液付け工程が終了すると、塗布工程が開始される。つまり、ステージ31と塗布器10との相対移動を開始する(図5参照)。本実施形態では、塗布器10を移動させる。塗布器10を移動させる間においても、継続して、塗布器10内の塗布液Rの圧力が大気圧に対して負圧に調整される。この移動により、スリット15から塗布液Rが先端面13と被塗布面8との間における毛細管現象(表面張力)によって引き出されることで、まず、第一の基板7aに塗布液Rが塗布され、次に第二の基板7bに塗布液Rが連続して塗布される。塗布器10の移動は、一定の速度で行われ、塗布は第一の基板7aから第二の基板7bへビードRaが途切れることなく連続的に行われる。つまり、第一の基板7aと第二の基板7bとの間でビードRaは連続し、これらの間でビードRaは消滅しない。塗布器10から塗布液Rが吐出されると、つまり、塗布によって塗布液Rが消費されると、図外のポンプ及び/又はタンク41から塗布器10へ塗布液Rが供給される。塗布器10の移動は、先端面13が、第二の基板7bの終端52(図3参照)を移動方向に越えるまで継続される。以上より、塗布工程が終了する。このように、塗布工程では、塗布液Rを液付けした第一の基板7aから第二の基板7bへとビードRaが途切れることなく塗布液Rを吐出口16より吐出させる。
【0037】
〔本実施形態の塗布方法について〕
以上のように、本実施形態の塗布方法は、移動方向に沿って、枚葉状である第一の基板7aと枚葉状である第二の基板7bとを隣接して並べ、第一の基板7aから第二の基板7bへと連続して塗布液Rを吐出口16より吐出させることで行われる。前記「連続して」とは、塗布器10の先端面13と被塗布面8との間に形成されたビードRbが、塗布器10の移動によって第一の基板7aから第二の基板7bへと移行する間、そのまま先端面13と被塗布面8との間に形成され続けている状態にあることを意味する。つまり、本実施形態の塗布方法は、第一の基板7aから第二の基板7bへとビードRaが途切れることなく塗布液Rを吐出口16より吐出させることで行われる。
【0038】
この塗布方法によれば、第二の基板7bについては、第一の基板7aからビードRaが途切れることなく連続的に塗布が行われることから、第二の基板7bの被塗布面8における塗布開始側の端部51で塗布膜が薄くなるのを抑えることが可能となる。なお、前記のとおり、第一の基板7aについては、塗布のための補助基板(ダミー基板)となる。つまり、第一の基板7aは製品として用いられず、第二の基板7bが製品として用いられる。
以上より、第二の基板7bにおいて外周端からの膜厚不良の範囲Q(図12参照)が狭くなり、半導体チップの形成領域Pとすべきである範囲、つまり、塗布膜が均一となる範囲を増やすことが可能となる。
【0039】
第二の基板7bの塗布が完了とすると、塗布済みの第二の基板7bがステージ31から取り出され、未塗布の第二の基板7bがステージ31に、第一の基板7aと隣接して載せられる。本実施形態では、塗布液Rが塗布された第一の基板7aについても、ステージ31から取り出され、未塗布の第一の基板7aがステージ31に未塗布の第二の基板7bと隣接して載せられる。この場合、第一の基板7aは使い捨てとなる。この変形例として、第一の基板7aについては再利用してもよい。この場合、第一の基板7aに塗布された塗布液Rが、図外の機構によって除去される。また、この場合、第一の基板7aは、ステージ31に固定されていてもよい。
【0040】
本実施形態の塗布方法は、塗布器10内の塗布液Rの圧力を負圧に調整して塗布を行なう方法である。このため、本実施形態の塗布方法は(図4及び図5参照)、吐出口16から吐出された塗布液Rが被塗布面8に付着した状態で、塗布器10を移動させると、先端面13と被塗布面8とで形成される隙間Kを埋める分のみ、吐出口16から塗布液Rが引き出されて塗布を行うキャピラリ塗布方法となる。このようなキャピラリ塗布方法によれば、第一の基板7aから第二の基板7bへとビードRaが途切れることなく連続して塗布液Rを塗布しても、両基板7a,7bの間を通じて第一の基板7a及び第二の基板7bの裏面53側(つまり、ステージ31側)に塗布液Rが回り込まないようにすることができる。この結果、基板7a,7bの裏面53にまで塗布液Rが付着するのを防ぐことが可能となる。
【0041】
本実施形態(図2参照)の第二の基板7bの輪郭形状は、円形である。このため、第二の基板7bの直径が、第二の基板7bの幅方向の寸法Wbとなる。そして、第一の基板7aの幅方向の寸法Wcは、第二の基板7bの幅方向の寸法Wb以上とされている(Wc≧Wb)。このため、第一の基板7aに対する塗布液Rの液付けが、第二の基板7bの幅方向の寸法Wb、つまり、第二の基板7bの被塗布面8の幅方向(Wb)以上の範囲で行われる。
【0042】
これに対して、図6に示されるように、第一の基板7aの幅方向の寸法Wcが、第二の基板7bの幅方向の寸法Wb未満である場合(Wc<Wb)、次のとおりとなる。第一の基板7aに対する液付けは、第二の基板7bの幅方向の寸法Wb未満の範囲S1(「第一範囲S1」と称する)でしか行われない。このため、第一の基板7aへの液付けのために、この第一の基板7aのうちの第一範囲S1でのみビードRaが形成され、第一範囲S1の両側の範囲(「第二範囲S2」と称する)ではビードRaが形成されない。塗布器10を第二の基板7b側へ移動させると、第二の基板7bの塗布開始側の端部51では、ビードRaが第一の基板7aから継続して形成される。しかし、キャピラリ塗布の場合、塗布器10(吐出口16)が第一の基板7aの上方から第二の基板7b側へ移動すると、前記第一範囲S1のうちの前記端部51以外の範囲(「第三範囲S3」と称する)では、ビードRaが一旦消滅する。すると、図7に示されるように、幅方向に長い吐出口16のうち、ビードRaが一旦消滅した第三範囲S3では、塗布液Rが先端面13から僅かに露出した状態となって維持される。これに対して、吐出口16のうち、はじめからビードRaが形成されていない前記第二範囲S2では、塗布液Rは先端面13から塗布器10の内側に引き込まれた状態で維持される。このような吐出口16の状態で、第一の基板7aから第二の基板7bへとビードRaが途切れることなく連続的に塗布が行われると、第三範囲S3と第二範囲S2との間を境として、塗布液Rの状態が異なり、第二の基板7bにおいて、幅方向に均一の膜厚が得られない部分が発生する可能性がある。つまり、第二の基板7bの塗布膜に移動方向のスジが発生する場合がある。
【0043】
しかし、本実施形態では(図2参照)前記のとおり、第一の基板7aの幅方向の寸法Wcは、第二の基板7bの幅方向の寸法Wb以上とされている(Wc≧Wb)。このため、第一の基板7aに対する塗布液Rの液付けが、第二の基板7bの幅方向の寸法Wb以上の範囲で行われる。よって、第二の基板7bの塗布開始側の端部51以外の領域でビードRaが一旦消滅しても、その後、第二の基板7bにおいて、塗布液Rの吐出は幅方向に同じ状態であり、均一の膜厚を得ることができる。よって、第二の基板7bの塗布膜に移動方向のスジが発生するのを防ぐことが可能となる。
【0044】
〔他の形態について〕
図2及び図3により説明した塗布方法は、ステージ31上に二枚の基板7a,7bを配置して行なう方法である。他の形態として、ステージ31上に三枚以上の基板7を移動方向に並べて配置して行なう塗布方法であってもよい(図8及び図9参照)。更に、別の形態として、ステージ31上に、複数の基板7を移動方向に並べて配置するとともに、幅方向にも基板7を並べて配置して行なう塗布方法であってもよい(図10参照)。これらの場合、ステージ31において基板7を載置する領域が広くなる。また、幅方向に複数の基板7を並べる場合(図10の場合)、これに応じて、図2に示す形態と比較して、塗布器10が幅方向に長く構成される。
【0045】
図8及び図10それぞれの場合の塗布方法は、次のとおりとなる。すなわち、塗布方法は、幅方向に長い塗布器10が有する幅方向に細長い吐出口16(図9参照)を、基板7の被塗布面8に接近させ、塗布器10と被塗布面8とを幅方向に交差する方向(直交する方向)に相対移動させながら、被塗布面8に対して吐出口16から塗布液Rを吐出して行なう方法である。この点は、前記実施形態(図2及び図3)と同じである。また、前記準備工程、前記液付け工程、及び前記塗布工程をこの順で行なう点、及び、キャピラリ塗布を行なう点についても、前記実施形態と同じである。
【0046】
図8及び図10それぞれの場合の塗布方法では、移動方向に沿って、枚葉状である第一の基板7aと、この第一の基板7aの後に続けて二枚以上(図例では三枚)の枚葉状である第二の基板7bとがそれぞれ隣接して並べられている。そして、第一の基板7aから第二の基板7bへとビードRaが途切れることなく連続して塗布液Rを吐出口16より吐出させると共に、二枚以上(図例では三枚)の第二の基板7bそれぞれの間においてもビードRaが途切れることなく連続して塗布液Rを吐出口16より吐出させる。
【0047】
この塗布方法によれば、前記実施形態と同様、第一の基板7aに隣接する第二の基板7bについては、第一の基板7aからビードRaが途切れることなく連続的に塗布が行われる。そして、隣接する第二の基板7b,7bの間においてもビードRaが途切れることなく連続的に塗布が行われる。このため、第二の基板7bの各被塗布面8における塗布開始側の端部51で塗布膜が薄くなるのを抑えることが可能となる。この塗布方法においても、第一の基板7aについては、塗布のための補助基板(ダミー基板)となる。つまり、第一の基板7aは製品として用いられず、複数の第二の基板7bが製品として用いられる。
【0048】
更に、図10の場合の塗布方法では、第一の基板7aと二枚以上の第二の基板7bとを隣接して移動方向に並べて行なうと共に、更に、次のように行われる。つまり、第二の基板7bそれぞれの幅方向両側の隣に、第三の基板7cを配置する。つまり、中央の列L1の幅方向の一方側(図10では、上側)において複数(三枚)の第三の基板7cを第一の基板7aの後に続けて移動方向に隣接して並べ、中央の列L1の幅方向の他方側(図10では、下側)において複数(三枚)の第三の基板7cを第一の基板7aの後に続けて移動方向に隣接して並べた状態とする。つまり、第一の基板7aと、最初の第三の基板7cとも隣接した状態にあり、複数の第三の基板7c,7c同士も隣接した状態にある。この状態で、六枚の第三の基板7cに対しても、三枚の第二の基板7bとあわせて、順に塗布液Rを吐出口16より吐出させる。なお、図10に示されるように、この塗布方法のために、第一の基板7aの幅方向の寸法Wcは、第二の基板7bと第三の基板7cとが幅方向に配置された領域の幅方向の寸法Wd以上であるのが好ましい(Wc≧Wd)。この塗布方法によれば、塗布器10の移動を1ストローク行なうことで、多く(図例では九枚)の基板7(7b,7c)の塗布が可能となる。
【0049】
図8及び図10の場合のステージ31に関して、第一の基板7aを配置する領域が、第一領域Q1であり、第二の基板7b(及び第三の領域7c)を配置する領域が、第二領域である。図例では、第三の基板7cと第二の基板7bとは同じ形状であるが、異なっていてもよい。なお、図10の場合において、移動方向に並ぶ基板7,7同士は隣接するが、幅方向に並ぶ第二の基板7bと第三の基板7cとの間には、隙間があってもよく、隣接していてもよい。
【0050】
図示しないが、前記各形態において、第二の基板7bの移動方向の終わり側の隣に、さらなる別のダミー基板(補助基板)が配置されていてもよい。この場合、第二の基板7b(及び第三の基板7c)の移動方向の終端52を、前記ダミー基板と接触させた状態とする。そして、第二の基板7b(及び第三の基板7c)から前記ダミー基板へとビードRaが途切れることなく連続的に塗布液の塗布が行われる。この場合、第二の基板7b(及び第三の基板7c)において、塗布の終了側の端部においても、塗布の途中と同じ一定厚さの塗布膜を得ることが可能となる。
【0051】
図11に示されるように、ステージ31上の第一の基板7aの被塗布面8と、第二の基板7bの被塗布面8とは、同じ高さとされる。本実施形態では、ステージ31の上面が水平な平面により構成されており、前記第一領域Q1と前記第二領域Q2とが同じ高さであることから、第一の基板7aと第二の基板7bとを同じ厚さの基板とすればよい。これにより、第一の基板7aに対する塗布の環境(条件)と、第二の基板7bに対する塗布の環境(条件)とが同じとなる。なお、第二の基板7bの周縁に面取り部55が設けられていても、この面取り部55を除く平面部56の高さが、第一の基板7aの被塗布面8と同じ高さとなる。また、第一の基板7aには、面取り部が形成されていないのが好ましい。つまり、第一の基板7aのおもて面となる被塗布面8と、その周囲の側面59とは直角で交わる形状となる。
また、図8(及び図10)の場合、第二の基板7b(及び第三の基板7c)が配置される領域が、第二領域Q2となる。この場合、ステージ31上の第一の基板7a、第二の基板7b(及び第三の基板7c)それぞれの被塗布面8は、同じ高さとされる。
【0052】
〔その他〕
今回開示した実施形態はすべての点で例示であって制限的なものではない。本発明の権利範囲は、上述の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲の範囲に記載された構成と均等の範囲内でのすべての変更が含まれる。
例えば、基板7(第二の基板7b及び第三の基板7c)は、円形以外であってもよい。
【符号の説明】
【0053】
5:塗布装置 7:基板 7a:第一の基板
7b:第二の基板 7c:第三の基板 8:被塗布面
10:塗布器 13:先端面 16:吐出口
20:移動手段 31:ステージ 42:圧力調整器
51:塗布開始側の端部 Q1:第一領域 Q2:第二領域
R:塗布液 Wb:第二の基板の幅方向寸法
Wc:第一の基板の幅方向寸法
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14