IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ シュンク・コーレンストッフテヒニーク・ゲーエムベーハーの特許一覧

<>
  • 特許-管状炉装置 図1
  • 特許-管状炉装置 図2
  • 特許-管状炉装置 図3
  • 特許-管状炉装置 図4
  • 特許-管状炉装置 図5
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-01-31
(45)【発行日】2023-02-08
(54)【発明の名称】管状炉装置
(51)【国際特許分類】
   G01N 21/31 20060101AFI20230201BHJP
【FI】
G01N21/31 610A
【請求項の数】 16
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2018155970
(22)【出願日】2018-08-23
(65)【公開番号】P2019039919
(43)【公開日】2019-03-14
【審査請求日】2021-07-15
(31)【優先権主張番号】10 2017 214 861.6
(32)【優先日】2017-08-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】594141406
【氏名又は名称】シュンク・コーレンストッフテヒニーク・ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】110001427
【氏名又は名称】弁理士法人前田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ゲルトナー ラルフ
(72)【発明者】
【氏名】ヴェック ルドルフ
【審査官】伊藤 裕美
(56)【参考文献】
【文献】独国特許出願公開第19940095(DE,A1)
【文献】西独国特許出願公開第03545635(DE,A1)
【文献】米国特許第04971438(US,A)
【文献】西独国特許出願公開第03722379(DE,A1)
【文献】独国実用新案第8714925(DE,U1)
【文献】特開平06-281569(JP,A)
【文献】米国特許第05949538(US,A)
【文献】西独国特許出願公開第02225421(DE,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 21/00-21/61
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
原子化炉用、特に原子吸光分光用の管状炉装置(10)において、前記管状炉装置が試料支持装置(11)と試料支持具(12)とを含み、前記試料支持装置は、管形の収容空間(14)を形成する収容管(13)を有し、前記試料支持具は、被分析物を収容しかつ前記収容空間内に配置されており、前記試料支持装置は、前記管状炉装置を原子化炉に保持しかつ電気的に接触させる役割をする2つの支承延長部(15)を前記収容管に有し、前記支承延長部は、前記収容管の長手軸(16)に対して横手方向に、好ましくは長手軸(16)に対して直交して延びており、前記試料支持具は、支え突子(19)を有し、前記支え突子により前記試料支持具が前記収容管の収容管壁(30)と接合されている、管状炉装置であって、
前記試料支持具は、前記支え突子(19)を2つのみ有し、
前記支え突子は、前記試料支持具の対向する長手端(20)にそれぞれ形成されており、
前記収容管壁は、黒鉛製であり、
さらに前記試料支持具は、電位なしで前記収容管内に配置されるように、前記2つの支え突子により、前記収容管壁に二点支えで支持されていることを特徴とする管状炉装置。
【請求項2】
請求項1に記載の管状炉装置において、
前記管状炉装置(10)は、完全に黒鉛から構成されていることを特徴とする管状炉装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の管状炉装置において、
前記収容管(13)は、前記支承延長部(15)を介して横手方向で電気的に加熱できるように構成されていることを特徴とする管状炉装置。
【請求項4】
請求項1~のいずれか1つに記載の管状炉装置において、
前記支承延長部(15)は、支承体(17)と保持ブリッジ(18)とから構成されており、
前記保持ブリッジは、前記支承体を前記収容管(13)と接合することを特徴とする管状炉装置。
【請求項5】
請求項1~のいずれか1つに記載の管状炉装置において、
前記支え突子(19)は、前記試料支持具(12)の対称平面内に配置されていることを特徴とする管状炉装置。
【請求項6】
請求項1~のいずれか1つに記載の管状炉装置において、
一方の前記支え突子(19)が浮動支承を形成し、他方の前記支え突子(19)が固定支承を形成するか、又は2つの前記支え突子(19)が固定支承を形成することを特徴とする管状炉装置。
【請求項7】
請求項1~のいずれか1つに記載の管状炉装置において、
前記試料支持具(12)は、被分析物用の槽形収容体(21)を形成することを特徴とする管状炉装置。
【請求項8】
請求項1~のいずれか1つに記載の管状炉装置において、
前記支え突子(19)は、四角形の幾何学形状を有しかつ収容体(21)で軸方向にそれぞれ突き出ていることを特徴とする管状炉装置。
【請求項9】
請求項1~のいずれか1つに記載の管状炉装置において、
前記試料支持具(12)の断面は円形状に形成されており、
前記支え突子(19)は、前記試料支持具の半径方向に突き出ていることを特徴とする管状炉装置。
【請求項10】
請求項1~のいずれか1つに記載の管状炉装置において、
少なくとも1つの前記支え突子(19)は、前記収容管壁(30)内に形成された収容間隙(26)内に挿入されていることを特徴とする管状炉装置。
【請求項11】
請求項10に記載の管状炉装置において、
前記支え突子(19)は、前記収容間隙(26)内に挟まれていることを特徴とする管状炉装置。
【請求項12】
請求項10又は11に記載の管状炉装置において、
前記収容間隙(26)は、前記収容管(13)の長手端(29)に形成されていることを特徴とする管状炉装置。
【請求項13】
請求項1~12のいずれか1つに記載の管状炉装置において、
少なくとも1つの前記支え突子(19)は、前記収容管(13)の内面(23)に接する段(27)を形成することを特徴とする管状炉装置。
【請求項14】
請求項1~13のいずれか1つに記載の管状炉装置において、
前記試料支持具(12)は、熱分解性被膜により前記収容管(13)に固定されていることを特徴とする管状炉装置。
【請求項15】
請求項1~14のいずれか1つに記載の管状炉装置において、
前記管状炉装置(10)は、前記支承延長部(15)と前記収容管(13)とを通り抜ける貫通孔(22)を有することを特徴とする管状炉装置。
【請求項16】
原子化炉を含む分析機器、特に原子吸光分光用の分析機器であって、
前記原子化炉は、請求項1~15のいずれか1つに記載の管状炉装置(10)を有することを特徴とする分析機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は原子化炉用の管状炉装置及び原子化炉、特に原子吸光分光用の原子化炉に関する。管状炉装置は、試料支持装置と試料支持具とを含む。試料支持装置は、管形の収容空間を形成する収容管を有する。試料支持具は被分析物を収容する役割をし、収容空間内に配置されている。試料支持装置は、管状炉装置を原子化炉に保持しかつ電気的に接触させる役割をする2つの支承延長部を収容管に有する。支承延長部は、収容炉の長手軸に対して横手方向に、好ましくは直交して延びている。試料支持具は支え突子を有し、試料支持具はその支え突子を用いて収容管の収容管壁と接合されている。
【背景技術】
【0002】
被分析物を原子化するために黒鉛炉又は黒鉛管が電熱処理で温められる、原子吸入分光(AAS)用原子化炉、特に黒鉛炉原子吸光分光(GF-AAS)用の原子化炉は十分に知られている。黒鉛炉又は管状炉装置は、一般的に、管形状に形成されている収容空間を備えた試料支持装置を有する。管形の収容空間の内部では、被分析物が直接的に収容空間内で、又は収容空間内の例えば皿形の台又は試料支持具上で原子化され得る。光スペクトル分析のために、管形の収容空間の長手端は常時開いて形成されている。管形の収容空間は、黒鉛製の試料支持装置の収容管により形成されている。収容空間又は収容管は、長手方向に加熱されてもよいし、横手方向に加熱されてもよい。すなわち、加熱のための電流は、収容管の長手端から収容管の長手方向にわたり流れてもよく、収容管が、その外装で向き合っている支承延長部を介して電気的に接触されて、電流が収容管の長手軸に対して横手方向にこの収容管を通って流れてもよい。支承延長部は、それぞれ、原子化炉の収容体に保持され、電気的に接触されている。収容管の長手方向の加熱とは異なり、横手方向の加熱の場合は比較的良好な温度恒常性が収容空間の全長にわたり得られる。
【0003】
計測結果の再現性を保証するためには、被分析物の加熱が収容管を介して間接的に行われることが重要である。このため、被分析物の直接的な加熱を生じさせ得る試料支持具を介した電流の流れを可能な限り防止しなければならない。このため、従来技術で周知の横手方向加熱式の管状炉装置では、試料支持具が常に単一の支え突子でもって収容管の収容管壁に固定されているか、又はこの収容管壁と接合されている。このように、試料支持具の単一の支え突子が挿入される穴が収容管壁に形成されている管状炉装置が知られている。支え突子は、試料支持具での中央でかつ下側に、穴に挿入されるように形成されている。この場合、収容管内で試料支持具を正確に配列するために、その穴を長穴形状に形成する必要がある。これにより、守られるべき公差に従う長穴及び支え突子を整合するように形作るのが難しくなるという欠点がある。加えて支え突子の領域において、収容管から試料支持具へ直接的に熱が伝わり、そのために、一般的に試料支持具上の中央に配置される被分析物は望まれずに直接的に加熱される。
【0004】
さらに、試料支持具が皿形状に形成されている管状炉装置が知られている。この場合、試料支持具は、試料支持具の長手縁に沿って収容管壁に保持されている。これにより、試料支持具は、その長手縁でもって、収容管壁に形成される単一の支え突子に、試料支持装置と一体的に接合されている。このため、試料支持具は、切削加工で試料支持装置と一体的に形成されている。これは比較的高価であるため、費用高を招く。また、この場合、被分析物の望まれない直接的な加熱が、支え突子を介して試料支持具の長手縁で行われてしまう。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
故に本発明の課題は、より正確な計測結果をより少ない作製費用でそれぞれ提供する管状炉装置と分析機器とを提供するということにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本課題は、請求項1の特徴を有する管状炉装置と請求項17の特徴を有する分析機器とにより解決される。
【0007】
原子化炉用の本発明による管状炉装置、特に原子吸光分光用の管状炉装置は、試料支持装置と試料支持具とを含む。試料支持装置は、管形の収容空間を形成する収容管を有する。試料支持具は被分析物を収容する役割をし、収容空間内に配置されている。試料支持装置は、管状炉装置を原子化炉に保持しかつ電気的に接触させる役割をする2つの支承延長部を収容管に有する。支承延長部は収容炉の長手軸に対して横手方向に、好ましくは長手軸に対して直交して延びている。試料支持具は支え突子を有し、その支え突子を用いて試料支持具が収容管の収容管壁と接合されている。試料支持具は2つの支え突子を有し、それらの支え突子は、試料支持具の対向する長手端にそれぞれ形成されている。
【0008】
特に2つの支え突子が、試料支持具の対向する長手端に形成されていることにより、試料支持具を二点支えで収容管壁に配置することが可能になる。収容管に対して2つの支承延長部を配置することにより、収容管を加熱するための電流は、収容管に対して横手方向のみにこの収容管を介して流れ得るため、試料支持具は、電位なしで収容管内に配置される。これにより、試料支持具の間接的な加熱が確保される。2つの支え突子に基づいた、又は試料支持具を収容管壁の2点で支えることに基づいた試料支持具を通る電流の流れは、試料支持具の各々の長手端での支え突子の相対間隔が比較的大きいことによっても防止され得る。これから得られる電気抵抗は、試料支持具を通る電流の流れを、すなわち、被分析物の直接的な加熱を防止する。同時に収容管壁から試料支持具への直接的な熱伝導がその長手端でのみ行われ、試料支持具の中央に通常配置される被分析物は、実際には、この熱伝導により影響を受けない。さらに、試料支持具の長手端に2つの支え突子を備えた試料支持具又は管状炉装置は、とりわけ容易に、すなわち費用面で有利に作製されうるものである。
【0009】
試料支持具は支え突子を2つのみ有する。試料支持具が3つ以上の支え突子を有していない場合、被分析物の間接的な加熱の向上により、取得され得る計測結果の質を高めることができる。同時に試料支持具を容易に収容管の内部に配置する又は配列することも可能である。したがって、試料支持装置とは独立して試料支持具を形成し、その後に試料支持装置と共に試料支持具を管状炉装置に容易に備え付けることができる。
【0010】
その際、管状炉装置が完全に黒鉛から構成されていることは特に有利である。この際、試料支持装置と試料支持具とをそれぞれ切削加工により互いに分けて作製することができる。さらに、管状炉装置全体又はその個別の部分は、熱分解処理で被覆されてもよい。これにより、管状炉装置の寿命を長くすることができる。
【0011】
特に、収容管は、支承延長部を介して横手方向に電気的に加熱できるように形成されてもよい。このように、収容管全長にわたり温度恒常性を確保することができる。
【0012】
支承延長部は、支承体と保持ブリッジとから構成されてもよく、その際、保持ブリッジは支承体を収容管と接合し得る。保持ブリッジを収容管に成形し、支承体を保持ブリッジに成形してもよい。つまり、収容管は、2つの支承延長部と一体的に構成されてもよい。このように構成される試料支持装置の作製は、黒鉛体を切削加工することにより行われ得る。各支承体及び保持ブリッジが収容管の長手軸の方向に連続形鋼のように形成されている場合、例えば、収容管に成形される試料支持具のような特殊な幾何学形状の輪郭を形成する必要がないので、試料支持装置をとりわけ容易に作製することができる。
【0013】
支え突子は試料支持具の対称面に配置されてもよい。つまり、試料支持具は対称的に形成されてもよい。
【0014】
1つの支え突子が浮動支承を形成し、1つの支え突子が固定支承を形成することがあり得る、又は2つの支え突子が固定支承を形成することがあり得る。すなわち、一方の支え突子は、収容管の収容管壁と固く接合されてもよい。その際、他方の支え突子は、収容管の収容管壁に緩く接しているか又は載っている。このように、温度差又は作製に起因し得る試料支持具内の起こり得る応力を確実に回避することができる。このような応力による試料支持具の破壊を可能な限り取り除くことができる。代わりに2つの支え突子は収容管と固く接合されてもよい。これにより、試料支持具を収容管内に特に安定的に保持し、正確に配置することを確保することができる。
【0015】
また、試料支持具が被分析物用の槽形収容体を形成してもよい。収容体が被分析物用の槽形収容空間であってもよい。このように、被分析物が試料支持具から容易には落ち得ないことを保証することができる。
【0016】
支え突子が四角形の幾何学形状を有し、それぞれ、収容体で軸方向に突き出てもよい。試料支持具の生材を機械加工することにより、このような支え突子の形を容易に彫り出すことができ、これは、試料支持具の作製を容易にする。したがって、支え突子は、試料支持具の槽形収容体で軸方向に突き出ることにより、試料支持具の長さを増加させることができる。これにより、試料支持具の電気的な接触抵抗が高まる。
【0017】
また、試料支持具の断面は円形状に形成されてもよい。この際、支え突子は、試料支持具の半径方向に突き出てもよい。このように、隙間を形成することにより、試料支持具を又は被分析物用の槽形収容空間を収容管壁から隔てることができる。したがって、被分析物の均一で間接的な加熱を確保することができる。試料支持具自体は、円形断面に基づいて原理上は管形にも形成されてもよい。しかしながら、好ましくは、試料支持具をその断面に関して円弧形状に形成するように設定してもよい。
【0018】
試料支持具を収容管壁に固定するために、収容管壁内に形成された収容間隙内に少なくとも1つの支え突子を挿入してもよい。収容間隙を、例えば、鋸挽き又はフライス加工により収容管壁内に容易に形成することができるので、試料支持具と試料支持装置との接合を特に費用面で有利に作製することができる。支え突子を収容間隙内に固定するためには、収容間隙と支え突子又はその平行な側面との間の嵌合を成すことのみが必要である。好ましくは、2つの支え突子をそれぞれ収容間隙内に挿入してもよい。
【0019】
その際、支え突子が収容間隙内に挟まれていると有利である。例えば、収容間隙と支え突子又はその平行な側面との間の圧嵌が容易に行われ得る。試料支持具には大きな力が作用しないので、支え突子(単数)又は支え突子(複数)を、収容間隙(単数)又は収容間隙(複数)内に単に差し込んで、挟み込むことにより、試料支持具を試料支持装置に備え付けることができる。
【0020】
収容間隙が収容管の長手端に形成されている場合、管状炉装置はさらに容易に作製可能になる。収容間隙を鋸挽き又はフライス加工によりとりわけ容易に長手端に形成することができる。
【0021】
少なくとも1つの支え突子が、収容管の内面に接する段を形成することも有利である。このように、試料支持具が収容管の内面までの所定の間隔に配置されていることを常時保証することができる。好ましくは、2つの支え突子は、それぞれ、試料支持具が内面に対して平行に収容管内に配置されているような段を形成してもよい。そして、段を止め具のように形成してもよい。
【0022】
試料支持具は、熱分解性被膜により収容管に固定されてもよい。管状炉装置を作製する際、試料支持具を収容管内において所定位置に配置することができる。その後、管状炉装置の表面に塗布された熱分解性被膜は、2つの部品を材料接着で互いに接合することができる。
【0023】
さらに管状炉装置は、支承延長部と収容管とを通り抜け得る貫通孔を有することができる。貫通孔は、特に、被分析物を試料支持具上の中央にとりわけ容易に配置することを可能にする被分析物投入口のように形成されてもよい。
【0024】
本発明に係る分析機器、特に原子吸光分光用の分析機器は原子化炉を含み、その原子化炉は本発明に係る管状炉装置を有する。分析機器の追加の実施形態は、管状炉装置に関する請求項1を典拠とする従属請求項から明らかになる。
【0025】
以下に本発明の好ましい実施形態を付属の図面を参照しつつ説明する。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】管状炉装置の斜視図である。
図2】管状炉装置の側面図である。
図3図2の線III-IIIに沿った管状炉の断面図である。
図4】管状炉装置の試料支持装置の斜視図である。
図5】管状炉装置の試料支持具の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
図1~5は、管状炉装置10及びその部品を様々な見方で示す。管状炉装置10は、完全に黒鉛から構成されており、原子化炉内での使用のために、特に原子吸光分光用に構成されている。管状炉装置10は、不図示の被分析物を収容するための試料支持装置11と、試料支持具12とを含む。試料支持装置11は、さらに収容管13を有し、該収容管13は、試料支持具12がその内部に配置されている管形の収容空間14を形成する。試料支持装置11は、管状炉装置10をここに図示されていない原子化炉に保持しかつ電気的に接触させる役割をする2つの支承延長部15を収容管13に有する。支承延長部15は、収容管13の長手軸16に対して横手方向に、又は長手軸16に対して直交して形成されている。各支承延長部15は、支承体17と保持ブリッジ18とから構成されており、保持ブリッジ18は、支承体17をそれぞれ収容管13に接合する。このため、収容管13は、支承延長部15を介して前記横手方向に電気的に加熱できるように構成されている。
【0028】
試料支持具12は、さらに支え突子19を2つのみを有し、これらの支え突子19は、試料支持具12の対向する長手端20にそれぞれ形成されている。さらに試料支持具12は、被分析物用の槽形収容体21を形成する。この被分析物は、ここでは、収容管13及び支承延長部15内の貫通孔22を介して収容体21上の中央に配置され得る。収容管13の長手軸16に関して、ここでは、四角形の幾何学形状で形成されている支え突子19は、収容体21から離れる軸方向に延びている。同時に支え突子19は、試料支持具12が収容管13の内面23から又は収容管壁30から間隙24を介して隔てられているように、試料支持具12の半径方向に突き出ている。これにより、収容体21内の被分析物の間接的な電位なしの加熱が可能になる。
【0029】
支え突子19の末端25は、それぞれ、収容管13内に形成された収容間隙26内に挿入されている。末端25には、各支え突子19が内面23に止め具28のように接するのを可能にする段27が形成されている。このように、間隙24は、収容管壁30までの所望の均一な間隔を有することを容易に保証することができる。収容間隙26は、それぞれ収容管の長手端29に形成されている。収容間隙26は、例えば、鋸挽き及びフライス加工により容易に形成され得る。また、収容間隙26と各支え突子19の末端25との間の所望の嵌合を容易に成すことが可能になる。その理由は、収容間隙26の幅及び末端25のみが対応する公差で構成されるべきであるからである。また、長手軸16の方向での試料支持具12の正確な位置決めは、既に比較的互いに遠くに隔てられた支え突子19によってのみ得られるので、ここでは半径方向において試料支持具12と収容間隙26との間の遊合を容易に成すことができる。
図1
図2
図3
図4
図5