(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-01-31
(45)【発行日】2023-02-08
(54)【発明の名称】シャッター装置、シャッター装置の開放操作方法、シャッター装置の開閉操作方法
(51)【国際特許分類】
E06B 9/82 20060101AFI20230201BHJP
E06B 9/84 20060101ALI20230201BHJP
E06B 9/80 20060101ALI20230201BHJP
E05F 15/72 20150101ALI20230201BHJP
【FI】
E06B9/82 B
E06B9/82 A
E06B9/84 C
E06B9/80 J
E05F15/72
(21)【出願番号】P 2018224333
(22)【出願日】2018-11-30
【審査請求日】2021-09-28
(31)【優先権主張番号】P 2018161198
(32)【優先日】2018-08-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】307038540
【氏名又は名称】三和シヤッター工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100103137
【氏名又は名称】稲葉 滋
(72)【発明者】
【氏名】浅見 優次
(72)【発明者】
【氏名】大塚 啓成
(72)【発明者】
【氏名】皆川 澄人
【審査官】秋山 斉昭
(56)【参考文献】
【文献】実開平7-40995(JP,U)
【文献】特開2017-96072(JP,A)
【文献】特開2014-156771(JP,A)
【文献】特開2018-35560(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E06B 9/00- 9/92
E05F 15/40-15/49
E05F 15/72
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
躯体に設置した左右のガイドレールと、
左右のガイドレール間の開口部を開閉するシャッターカーテンと、
開閉機と、
操作部と、
開閉機へ電力を供給することで、操作部を用いた電動
操作を可能とする電源と、
シャッターカーテン降下時に障害物を検知する障害物検知手段と、
障害物検知時に
降下中のシャッターカーテンを停止させる
停止手段と、
手動閉鎖装置と、
火災検知信号の入力あるいは前記手動閉鎖装置の操作によってシャッターカーテンを自重降下させる自動閉鎖装置と、
を備えたシャッター装置において、
前記開閉機へ電力を供給する電線は外部から接続可能な接続部を備えており、
前記電源は、前記接続部に接続可能な臨時電源であり、前記開閉機は、通常時には前記臨時電源を含むいかなる電源にも接続されておらず、
前記操作部は、開放スイッチを備え、閉鎖スイッチを備えておらず、前記接続部に前記臨時電源を接続した時に、前記操作部からの電動開放操作のみが可能であり、
前記停止手段は、障害物検知時に自重降下中のシャッターカーテンを電力を用いずに機械的に停止させる機械式停止手段であり、障害物検知時に電動降下中のシャッターカーテンを電気的に停止させる電気的停止手段は備えておらず、
開口部の閉鎖は、シャッターカーテンの自重降下のみによって行われ、前記操作部からの電動降下操作は規制されており、障害物検知時に前記機械式停止手段のみによって降下中のシャッターカーテンが停止可能であり、
開口部の開放は、前記接続部に前記臨時電源を接続し、前記操作部からの電動開放操作によるシャッターカーテンの電動上昇によって行われる、
シャッター装置。
【請求項2】
前記電動開放操作は、前記開放スイッチ押し切り動作によるものである、
請求項1に記載のシャッター装置。
【請求項3】
前記開閉機へ電力を供給する電線は、躯体あるいはガイドレールを介して、前記躯体の下方部位あるいは前記ガイドレールの下方部位まで延びており、前記電線は、前記下方部位において外部から接続可能な接続部を備えている、
請求項1、2いずれか1項に記載のシャッター装置。
【請求項4】
前記臨時電源は、前記接続部に接続可能な可搬式発電機あるいは電源コンセントである、
請求項1~3いずれか1項に記載のシャッター装置。
【請求項5】
前記下方部位には、前記手動閉鎖装置、および/あるいは、前記操作部が設けてあり、前記接続部は、前記手動閉鎖装置、前記操作部のいずれかに近接して設けてある、
請求項3、4いずれか1項
(請求項3の従属項に限る)に記載のシャッター装置。
【請求項6】
前記シャッター装置は、通常時は開口部全閉状態あるいは開口部全開状態で使用されており、通常時において、いかなる電源も前記開閉機に電力供給可能な状態に無い、
請求項1~5いずれか1項に記載のシャッター装置。
【請求項7】
前記シャッター装置は、倉庫ないし工場内の仕切り壁を構成しており、通常時は開口部全閉状態で使用されている、
請求項1~6いずれか1項に記載のシャッター装置。
【請求項8】
複数のシャッター装置を備えた倉庫であって、
前記倉庫は、外壁と、内部の複数の壁体と、を備え、
前記外壁には出入口が形成されており、
前記壁体には複数の開口が形成されており、
前記出入口は、商用電源に接続された電動シャッター装置によって開閉可能となっており、
前記複数の開口には、自重降下可能な複数のシャッター装置が
設けてあり、前記複数のシャッター装置のうちの一部あるいは全部のシャッター装置は、通常時は全閉状態あるいは全開状態で使用されることで倉庫内に所望の区画が形成されており、前記全閉状態あるいは前記全開状態にあるシャッター装置は、前記商用電源を含むいかなる電源にも接続されておらず、電動操作が規制されており、
前記自重降下可能なシャッター装置は、
前記開口の左右のガイドレールと、
前記開口を開閉するシャッターカーテンと、
開閉機と、
操作部と、
手動閉鎖装置と、
火災検知信号の入力あるいは前記手動閉鎖装置の操作によってシャッターカーテンを自重降下させる自動閉鎖装置と、
シャッターカーテン降下時に障害物を検知する障害物検知手段と、
障害物検知時に自重降下中のシャッターカーテンを電力を用いずに機械的に停止させる機械式停止手段と、
障害物検知時に電動降下中のシャッターカーテンを停止させる電気的停止手段と、
を備え、
前記開閉機へ電力を供給する電線は外部から接続可能な接続部を備えており、
前記接続部に、臨時電源を接続することで、前記臨時電源によって開閉機へ電力を供給して、操作部を用いた電動開閉
が可能と
なっており、
全閉状態にある所望のシャッター装置を開放する時には、当該シャッター装置に対応する接続部に前記臨時電源を接続し、前記操作部から開操作によってシャッターカーテンを電動上昇させ、
全開状態にある所望のシャッター装置を閉鎖する時には、当該シャッター装置に対応する接続部に臨時電源を接続し、前記操作部から閉操作によってシャッターカーテンを電動下降させるか、あるいは、シャッターカーテンを自重降下させる、
複数のシャッター装置を備えた倉庫。
【請求項9】
複数のシャッター装置を備えた倉庫であって、
前記倉庫は、外壁と、内部の複数の壁体と、を備え、
前記外壁には出入口が形成されており、
前記壁体には複数の開口が形成されており、
前記出入口は、商用電源に接続された電動シャッター装置によって開閉可能となっており、
前記複数の開口には、自重降下可能な複数のシャッター装置が
設けてあり、前記複数のシャッター装置のうちの一部あるいは全部のシャッター装置は、通常時は全閉状態あるいは全開状態で使用されることで倉庫内に所望の区画が形成されており、前記全閉状態あるいは前記全開状態にあるシャッター装置は、前記商用電源を含むいかなる電源にも接続されておらず、電動操作が規制されており、
前記自重降下可能なシャッター装置は、
前記開口の左右のガイドレールと、
前記開口を開閉するシャッターカーテンと、
開閉機と、
操作部と、
手動閉鎖装置と、
火災検知信号の入力あるいは前記手動閉鎖装置の操作によってシャッターカーテンを自重降下させる自動閉鎖装置と、
シャッターカーテン降下時に障害物を検知する障害物検知手段と、
障害物検知時に自重降下中のシャッターカーテンを電力を用いずに機械的に停止させる機械式停止手段と、
を備え、
前記開閉機へ電力を供給する電線は外部から接続可能な接続部を備えており、
前記接続部に、臨時電源を接続することで、前記臨時電源によって開閉機へ電力を供給して、操作部を用いた電動開放
が可能と
なっており、
全閉状態にある所望のシャッター装置を開放する時には、当該シャッター装置に対応する接続部に前記臨時電源を接続し、前記操作部から開操作によってシャッターカーテンを電動上昇させ、
全開状態にある所望のシャッター装置を閉鎖する時には、シャッターカーテンを自重降下させる、
複数のシャッター装置を備えた倉庫。
【請求項10】
前記開閉機へ電力を供給する電線は、躯体あるいはガイドレールを介して、前記躯体の下方部位あるいは前記ガイドレールの下方部位まで延びており、前記電線は、前記下方部位において外部から接続可能な接続部を備えている、
請求項
8、9いずれか1項に記載の
複数のシャッター装置を備えた倉庫。
【請求項11】
前記臨時電源は、前記接続部に接続可能な可搬式発電機あるいは電源コンセントである、
請求項
8~10いずれか1項に記載の
複数のシャッター装置を備えた倉庫。
【請求項12】
請求項8~11いずれか1項に記載の複数のシャッター装置を備えた倉庫に設けられた自重降下可能なシャッター装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シャッター装置、シャッター装置の開放操作方法、シャッター装置の開閉操作方法に関するものである。本発明に係るシャッターは、防火シャッターであり、詳しくは、火災時に、自動閉鎖装置の作動あるいは手動閉鎖装置の操作によってブレーキを解放することによって自重降下するシャッターカーテンを備えた防火シャッターである。
【背景技術】
【0002】
防火シャッターは、火災時に、防災盤からの信号で自動閉鎖装置が作動してブレ-キを解放し、シャッターカーテンが自重降下して建物開口部を閉鎖するようになっている。また、防火シャッターは火災検知信号によらず手動閉鎖装置からの操作でブレーキを解放して自重降下させることもできる。防火シャッターには、自重降下するシャッターカーテンに避難者が挟まれるのを防止するために、いわゆる危害防止装置が設けられる。
【0003】
自重降下するシャッターカーテンを機械的に停止させる機械式危害防止装置は、火災発生時に感知器の火災信号を受けた防災盤からの信号を受信した自動閉鎖装置によって、開閉機のブレーキ解放レバーを移動させてブレーキを解放してシャッターカーテンの自重降下を行い、自重降下中にシャッターカーテン下端の座板が人や障害物を検知すると、開閉機のブレーキ解放レバー及びブレーキを復帰させ、シャッターを一時停止させる構造となっており、シャッター一時停止後に、障害物が取り除かれると、シャッターカーテンは自重で再降下して開口部を閉鎖する。このような防火シャッターを用いて、通常時は開閉機の駆動でシャッターの開閉操作を行い、火災時には自動閉鎖装置により自重降下させる管理併用シャッターがある(特許文献1)。
【0004】
物流倉庫等において、防火シャッターを仕切り壁として全閉状態で運用する場合があるが、メンテナンス等の必要性から通常時は全閉状態にあるシャッターを、年間1~2回程度開放させたいという要望がある。
【0005】
防火シャッターを仕切り壁として用いる場合に、手動シャッターを設置することで対応する場合には、開閉機の入力軸を手動で操作して開放させることになるが、特に倉庫内の開口部は大きいため、手動でシャッターカーテンを巻き上げるにはかなりの時間を要することになる。一方、管理併用シャッターのような電動シャッターで対応する場合には、商用電源の敷設工事の費用が発生するため、年間1~2回程度の開放のために商用電源を敷設することは経済的ではない。
【0006】
特許文献2には、電源として発電機を用いることが記載されているが、通常時の電源(第1電源)である商用電源と、非常時の電源(第2電源)としての発電機とを切り替える電源切替方法を開示するものであり、通常時には商用電源を用いることが前提となっている。
【文献】特開2017-96072
【文献】特開2018-35560
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、通常時に全閉状態あるいは全開状態で使用される防火シャッターとして用いるのに適したシャッター装置、及び、当該シャッター装置の開放操作方法、開閉操作方法を提供することを目的とするものである。
【0008】
本発明が採用した第1の技術手段は、
躯体に設置した左右のガイドレールと、
左右のガイドレール間の開口部を開閉するシャッターカーテンと、
開閉機と、
操作部と、
開閉機へ電力を供給することで、操作部を用いた電動開閉を可能とする電源と、
手動閉鎖装置と、
火災検知信号の入力あるいは前記手動閉鎖装置の操作によってシャッターカーテンを自重降下させる自動閉鎖装置と、
シャッターカーテン降下時に障害物を検知する障害物検知手段と、
障害物検知時に自重降下中のシャッターカーテンを電力を用いずに機械的に停止させる機械式停止手段と、
障害物検知時に電動降下中のシャッターカーテンを停止させる電気的停止手段と、
を備え、
前記開閉機へ電力を供給する電線は外部から接続可能な接続部を備えており、
前記電源は、前記接続部に接続可能な臨時電源であり、前記開閉機は、通常時には前記臨時電源を含むいかなる電源にも接続されておらず、
開口部を閉鎖する時には、シャッターカーテンを自重降下させるか、または、前記接続部に前記臨時電源を接続し、前記操作部からの閉操作によってシャッターカーテンを電動降下させ、
開口部を開放する時には、前記接続部に前記臨時電源を接続し、前記操作部から開操作によってシャッターカーテンを電動上昇させる、
シャッター装置、である。
本発明が採用した第2の技術手段は、
躯体に設置した左右のガイドレールと、
左右のガイドレール間の開口部を開閉するシャッターカーテンと、
開閉機と、
操作部と、
開閉機へ電力を供給することで、操作部を用いた電動開放を可能とする電源と、
手動閉鎖装置と、
火災検知信号の入力あるいは前記手動閉鎖装置の操作によってシャッターカーテンを自重降下させる自動閉鎖装置と、
シャッターカーテン自重降下時に障害物を検知する障害物検知手段と、
障害物検知時に自重降下中のシャッターカーテンを電力を用いずに機械的に停止させる機械式停止手段と、
を備え、
前記開閉機へ電力を供給する電線は外部から接続可能な接続部を備えており、
前記電源は、前記接続部に接続可能な臨時電源であり、前記開閉機は、通常時には前記臨時電源を含むいかなる電源にも接続されておらず、
開口部を閉鎖する時には、シャッターカーテンを自重降下させ、
開口部を開放する時には、前記接続部に前記臨時電源を接続し、前記操作部から開操作によってシャッターカーテンを電動上昇させる、
シャッター装置、である。
臨時電源は、開閉機へ電力を供給する電線に設けた接続部に接続可能な電源であり、かつ、通常のシャッター装置の使用状態では、前記接続部に接続されておらず、開閉機に対して電力を供給可能な状態に無い電源であり、シャッターの電動駆動が必要となった時にのみ一時的に前記接続部に接続される電源である。
1つの態様では、前記開閉機へ電力を供給する電線は、躯体あるいはガイドレールを介して、前記躯体の下方部位あるいは前記ガイドレールの下方部位まで延びており、前記電線は、前記下方部位において外部から接続可能な接続部を備えている。
1つの態様では、前記開閉機へ電力を供給する電線は、開口部上方部位(例えば、シャッターケース内部又は天井)において外部から接続可能な接続部を備えている。
1つの態様では、前記臨時電源は、前記接続部に接続可能な可搬式発電機あるいは電源コンセントである。
本発明に用いられ得る臨時電源は、発電機及び電源コンセントに限定されるものではなく、シャッターを開閉可能な電力を供給可能なバッテリを備えた移動体、例えば電気自動車等であってもよい。
【0009】
1つの態様では、前記下方部位には、前記手動閉鎖装置、および/あるいは、前記操作部が設けてあり、前記接続部は、前記手動閉鎖装置、前記操作部のいずれかに近接して設けてある。
1つの態様では、前記手動閉鎖装置、前記操作部は、操作ボックスとしての筐体内に設けてあり、前記接続部は、筐体内(例えば、筐体内の前面部)に設けてある。
1つの態様では、手動閉鎖装置、操作部がそれぞれ独立した筐体内に設けてあるが、共通する筐体内に設けてある場合も含む。
なお、手動閉鎖装置、操作部とは独立した別の筐体を躯体に設け、筐体内に接続部を設けてもよい。
【0010】
1つの態様では、前記シャッター装置は、通常時は開口部全閉状態あるいは開口部全開状態で使用されており、通常時において、いかなる電源(商用電源やバッテリを含む)も前記開閉機に電力供給可能な状態に無い。
1つの態様では、前記シャッター装置は、倉庫ないし工場内の仕切り壁を構成しており、通常時は開口部全閉状態で使用されている。
火災時以外(例えば、点検時)のシャッターカーテンの自重降下は、典型的には、手動閉鎖装置を用いて行われるが、防災盤の作動ボタンの押圧により生成される疑似信号を用いることによる自重降下、ブレーキ解放レバーを直接作動させることによる自重降下であってもよい。
【0011】
本発明が採用した第3の技術手段は、シャッター装置の開放操作方法であって、
シャッター装置は、
躯体に設置した左右のガイドレールと、
左右のガイドレール間の開口部を開閉するシャッターカーテンと、
開閉機と、
操作部と、
手動閉鎖装置と、
火災検知信号の入力あるいは前記手動閉鎖装置の操作によってシャッターカーテンを自重降下させる自動閉鎖装置と、
シャッターカーテン降下時に障害物を検知する障害物検知手段と、
障害物検知時に自重降下中のシャッターカーテンを電力を用いずに機械的に停止させる機械式停止手段と、
障害物検知時に電動降下中のシャッターカーテンを停止させる電気的停止手段と、
を備え、
前記開閉機へ電力を供給する電線は外部から接続可能な接続部を備えており、
前記接続部に、臨時電源を接続することで、前記臨時電源によって開閉機へ電力を供給して、操作部を用いた電動開閉を可能とし、
前記シャッター装置は、通常時は開口部全閉状態あるいは開口部全開状態で使用されており、前記開閉機は、通常時には前記臨時電源を含むいかなる電源にも接続されておらず、
開口部全閉状態にあるシャッター装置を開放する時には、当該シャッター装置の接続部に前記臨時電源を接続し、前記操作部から開操作によってシャッターカーテンを電動上昇させる。
本発明が採用した第4の技術手段は、シャッター装置の開放操作方法であって、
シャッター装置は、
躯体に設置した左右のガイドレールと、
左右のガイドレール間の開口部を開閉するシャッターカーテンと、
開閉機と、
操作部と、
手動閉鎖装置と、
火災検知信号の入力あるいは前記手動閉鎖装置の操作によってシャッターカーテンを自重降下させる自動閉鎖装置と、
シャッターカーテン自重降下時に障害物を検知する障害物検知手段と、
障害物検知時に自重降下中のシャッターカーテンを電力を用いずに機械的に停止させる機械式停止手段と、
を備え、
前記開閉機へ電力を供給する電線は外部から接続可能な接続部を備えており、
前記接続部に、臨時電源を接続することで、前記臨時電源によって開閉機へ電力を供給して、操作部を用いた電動開放を可能とし、
前記シャッター装置は、通常時は開口部全閉状態あるいは開口部全開状態で使用されており、前記開閉機は、通常時には前記臨時電源を含むいかなる電源にも接続されておらず、
開口部全閉状態にあるシャッター装置を開放する時には、当該シャッター装置の接続部に前記臨時電源を接続し、前記操作部から開操作によってシャッターカーテンを電動上昇させる。
1つの態様では、前記開閉機へ電力を供給する電線は、躯体あるいはガイドレールを介して、前記躯体の下方部位あるいは前記ガイドレールの下方部位まで延びており、前記電線は、前記下方部位において外部から接続可能な接続部を備えている。
1つの態様では、前記開閉機へ電力を供給する電線は、開口部上方部位(例えば、シャッターケース内部は天井)において外部から接続可能な接続部を備えている。
1つの態様では、前記臨時電源は、前記接続部に接続可能な可搬式発電機あるいは電源コンセントである。
本発明に用いられ得る臨時電源は、発電機及び電源コンセントに限定されるものではなく、シャッターを開閉可能な電力を供給可能なバッテリを備えた移動体、例えば電気自動車等であってもよい。
【0012】
本発明が採用した第5の技術手段は、シャッター装置の開閉操作方法であって、
複数のシャッター装置が設置されており、
各シャッター装置は、
躯体に設置した左右のガイドレールと、
左右のガイドレール間の開口部を開閉するシャッターカーテンと、
開閉機と、
操作部と、
手動閉鎖装置と、
火災検知信号の入力あるいは前記手動閉鎖装置の操作によってシャッターカーテンを自重降下させる自動閉鎖装置と、
シャッターカーテン降下時に障害物を検知する障害物検知手段と、
障害物検知時に自重降下中のシャッターカーテンを電力を用いずに機械的に停止させる機械式停止手段と、
障害物検知時に電動降下中のシャッターカーテンを停止させる電気的停止手段と、
を備え、
前記開閉機へ電力を供給する電線は外部から接続可能な接続部を備えており、
前記接続部に、臨時電源を接続することで、前記臨時電源によって開閉機へ電力を供給して、操作部を用いた電動開閉を可能とし、
前記複数のシャッター装置のうちの一部あるいは全部のシャッター装置は、通常時は開口部全閉状態あるいは開口部全開状態で使用されており、前記開閉機は、通常時には前記臨時電源を含むいかなる電源にも接続されておらず、
開口部全閉状態にある所望のシャッター装置を開放する時には、当該シャッター装置に対応する接続部に前記臨時電源を接続し、前記操作部から開操作によってシャッターカーテンを電動上昇させ、
開口部全開状態にある所望のシャッター装置を閉鎖する時には、当該シャッター装置に対応する接続部に臨時電源を接続し、前記操作部から閉操作によってシャッターカーテンを電動下降させるか、あるいは、シャッターカーテンを自重降下させる。
本発明が採用した第6の技術手段は、シャッター装置の開閉操作方法であって、
複数のシャッター装置が設置されており、
各シャッター装置は、
躯体に設置した左右のガイドレールと、
左右のガイドレール間の開口部を開閉するシャッターカーテンと、
開閉機と、
操作部と、
手動閉鎖装置と、
火災検知信号の入力あるいは前記手動閉鎖装置の操作によってシャッターカーテンを自重降下させる自動閉鎖装置と、
シャッターカーテン自重降下時に障害物を検知する障害物検知手段と、
障害物検知時に自重降下中のシャッターカーテンを電力を用いずに機械的に停止させる機械式停止手段と、
を備え、
前記開閉機へ電力を供給する電線は外部から接続可能な接続部を備えており、
前記接続部に、臨時電源を接続することで、前記臨時電源によって開閉機へ電力を供給して、操作部を用いた電動開放を可能とし、
前記複数のシャッター装置のうちの一部あるいは全部のシャッター装置は、通常時は開口部全閉状態あるいは開口部全開状態で使用されており、前記開閉機は、通常時には前記臨時電源を含むいかなる電源にも接続されておらず、
開口部全閉状態にある所望のシャッター装置を開放する時には、当該シャッター装置に対応する接続部に前記臨時電源を接続し、前記操作部から開操作によってシャッターカーテンを電動上昇させ、
開口部全開状態にある所望のシャッター装置を閉鎖する時には、シャッターカーテンを自重降下させる。
1つの態様では、前記開閉機へ電力を供給する電線は、躯体あるいはガイドレールを介して、前記躯体の下方部位あるいは前記ガイドレールの下方部位まで延びており、前記電線は、前記下方部位において外部から接続可能な接続部を備えている。
1つの態様では、前記開閉機へ電力を供給する電線は、開口部上方部位(例えば、シャッターケース内部)において外部から接続可能な接続部を備えている。
1つの態様では、前記臨時電源は、前記接続部に接続可能な可搬式発電機あるいは電源コンセントである。
本発明に用いられ得る臨時電源は、発電機及び電源コンセントに限定されるものではなく、シャッターを開閉可能な電力を供給可能なバッテリを備えた移動体、例えば電気自動車等であってもよい。
1つの態様では、前記複数のシャッター装置は、倉庫ないし工場内に設置されている。
火災時以外(例えば、点検時)のシャッターカーテンの自重降下は、典型的には、手動閉鎖装置を用いて行われるが、防災盤の作動ボタンの押圧により生成される疑似信号を用いることによる自重降下、ブレーキ解放レバーを直接作動させることによる自重降下であってもよい。
【0013】
1つの態様では、前記シャッター装置は、
第1の方向及び第2の方向に移動可能であり、第1の方向に移動してブレーキ解放位置となる第1作動体を備えた作動部と、
シャッターカーテン下端に設けられ、上座板と、上座板に対して相対的に上動可能な下座板とからなる座板と、
前記作動部に連結されており、シャッターカーテン降下に伴って引き出されるように構成されている復帰用紐状部材と、
降下中のシャッターカーテンの下座板が障害物に当たって上座板に対して相対的に上動することで、復帰用紐状部材の引き出しを機械的に規制するロック装置と、
を備え、
前記第1作動体は、定常位置から第1の方向に移動することでブレーキ解放位置となって、ブレーキ解放レバーをブレーキ解放方向に移動させて開閉機のブレーキを機械的に解放し、ブレーキ解放位置から第2の方向に移動することで、ブレーキ解放レバーをブレーキ復帰方向に移動させて開閉機のブレーキを機械的に復帰させ、また、定常位置から第2の方向に移動可能に構成されており、
前記作動部は、前記第1作動体が定常位置から第2の方向に移動したことを検知して、障害物検知信号を制御部に出力する第1検知手段を備え、
電動降下中のシャッターカーテンの下座板が障害物に当たった場合には、引き出しが規制された前記復帰用紐状部材のシャッターカーテン降下に伴う引っ張りによって定常位置にある第1作動体を第2の方向に移動させ、前記第1検知手段から障害物検知信号を受信した前記制御部がシャッターカーテンの電動降下を停止し、
自重降下中のシャッターカーテンの下座板が障害物に当たった場合には、引き出しが規制された前記復帰用紐状部材のシャッターカーテン降下に伴う引っ張りよってブレーキ解放位置にある第1作動体を第2の方向に移動させて開閉機のブレーキを機械的に復帰させてシャッターカーテンの自重降下を停止する。
1つの態様では、第1作動体は、「定常位置」、「定常位置から第1の方向へ移動した位置(ブレーキ解放位置)」、「定常位置から第2の方向へ移動した位置(障害物検知位置)」の3つの位置を取る。
「定常位置」とは、通常の電動開閉時における第1作動体の位置を指す。
1つの態様では、ブレーキ解放位置にある第1作動体が第2の方向へ移動して定常位置に戻ることでブレーキが復帰する。この場合、「定常位置」は自重降下時の障害物検知位置でもある。
第1作動体は、火災時に自動閉鎖装置が作動すること(あるいは、手動閉鎖装置からの手動閉鎖操作によって)で、第1の方向に移動するようになっているが、第1作動体が自動閉鎖装置の可動部と直接連結されているか、あるいは、作動部の他の1つあるいは複数の要素を介して第1の方向に移動するかは問わない。後述する実施形態では、自動閉鎖装置の作動時には、第1作動体は、第2作動体と一体で第1の方向に移動し、手動閉鎖操作によって、第1作動体は、第2作動体及び第3作動体と一体で第1の方向に移動する。
1つの態様では、前記第1作動体は、定常位置から第1の方向に移動することで開閉機のブレーキ解放レバーに当たって当該ブレーキ解放レバーを押圧してブレーキを解放し、
前記復帰用紐状部材は、前記第1作動体に接続されている。
【0014】
1つの態様では、前記作動部には、当該作動部がブレーキ解放姿勢となったことを検知して作動確認信号を制御部に出力する第2検知手段が設けてあり、
前記制御部に作動確認信号の入力があった場合には、制御モードが電動開閉モードから自重降下モードに変わる。
1つの態様では、前記作動部は、第1の方向及び第2の方向に移動可能であり、自動閉鎖装置と接続されている第2作動体を備え、
前記第2作動体は、自動閉鎖装置の作動により第1の方向に移動することで、定常位置にある第1作動体を第1の方向に移動させるようになっており、
前記第2検知手段は、前記第2作動体の第1の方向への移動を検知する。
1つの態様では、前記作動部は、第1の方向及び第2の方向に移動可能であり、手動閉鎖装置と接続されている第3作動体を備え、
前記第3作動体は、手動閉鎖装置の操作により第1の方向に移動することで、前記第2作動体を介して定常位置にある第1作動体を第1の方向に移動させるようになっており、
前記第2検知手段は、前記第3作動体の第1の方向への移動に伴う前記第2作動体の第1の方向への移動を検知する。
このように、1つの共通の第2検知手段で、自動閉鎖装置の作動あるいは手動閉鎖装置からの手動閉鎖操作のいずれの場合も、制御モードが電動開閉モードから自重降下モードに変わり、電動開閉のための押しボタン操作を無効にすると共に、電動開閉中のシャッターカーテンを停止させることができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明では、シャッター装置を商用電源と接続せずに、シャッターを開放ないし閉鎖させる時のみ臨時電源を簡単に接続できるようにしたことで、商用電源を利用するための電気配線が不要となり、電源の敷設工事の費用を抑えることができる。本実施形態では、発電機や電源コンセントがあれば、通常時は全閉状態で用いられるシャッター装置(商用電源に接続されておらず、また、バッテリも搭載されていない)を電動で開放することができ、また、1つの可搬式の発電機を用いて複数のシャッター装置の電動開放も可能である。また、本実施形態に係るシャッター装置は、通常時に電源に接続されておらず、またバッテリを搭載していないものであっても、障害物検知が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】危害防止装置を備えた電動シャッター装置の概略正面図である。図中、要素間を繋ぐ実線は電線であり、一点鎖線はワイヤである。
【
図2】危害防止装置を備えた電動シャッター装置(開口部全閉状態)の天井を省略した全体正面図である。
【
図3】
図2の部分拡大図(開閉機が設置された側)である。
【
図7】開口部全開状態における
図6と類似の図である。
【
図10】自動閉鎖装置(火災検知信号によるブレーキ解放時/自重降下)を示す図である。
【
図11】作動部(各要素が定常位置にある)を示す図である。
【
図12】作動部(電動開閉モード)を示す図である。
【
図13】作動部(電動開閉モードにおける障害物検知時)を示す図である。
【
図14】作動部(自動閉鎖装置作動による自重降下時)を示す図である。
【
図15】作動部(自動閉鎖装置作動における障害物検知時)を示す図である。
【
図16】作動部(手動閉鎖装置操作による自重降下時)を示す図である。
【
図17】作動部(手動閉鎖装置操作による障害物検知時)を示す図である。
【
図24】復旧機構の第2レバーの基端部位の縦断面図である。
【
図25】本実施形態に係る復旧機構一体型自動閉鎖装置の動作を説明する図である。
【
図27】ロック装置(ロック状態)を示す部分拡大図である。
【
図28】ロック装置(座板障害物除去時)を示す図であり、シャッターカーテンは停止中である。
【
図29】
図28の状態から各レバーが第2の方向へ僅かに回動したロック装置(座板障害物除去時)を示す図であり、シャッターカーテンは停止中である。
【
図30】ロック装置(シャッターカーテン再降下時)を示す図である。
【
図32】電動降下時の中継部の動作を示す図であり、(A)定常位置(電動降下時)、(B)電動下降時の障害物検知、(C)障害物除去後(電動降下)、を示す。
【
図33】自重降下時の中継部の動作を示す図であり、(A)定常位置(自重降下前の停止時)、(B)自重降下時(自動閉鎖装置の作動、手動閉鎖装置の操作)、(C)自重降下時の障害物検知(定常位置と同じ)、(D)障害物除去後(自重降下)、を示す。
【
図35】(A)は、
図34に示す操作ボックスのA-A断面図、(B)は、
図34に示す操作ボックスのB-B断面図である。
【
図36】
図35(A)の状態から、蓋体を開放して、自動閉鎖装置復旧レバーを引き出した状態を示す図である。
【
図37】シャッターの電動開閉モードにおける動作チャートを示す図であり、(1)は上昇時、(2)は下降時、(3)は障害物検知時を示す。
【
図38】シャッターの動作チャートを示す図であり、(1)は電動上昇時にブレーキ解放が行われた場合、(2)は電動下降時にブレーキ解放が行われた場合、(3)は自重降下中に障害物検知が行われた場合、を示す。
【
図42】遅延機構を示す図であり、上図は正面図、下図は底面図である。
【
図43】通常姿勢にある座板及び検知レバーを示す図であり、左図は縦断面図、右図は正面図である。
【
図44】障害物検知姿勢(下座板の上動姿勢)にある座板及び検知レバーを示す図であり、左図は縦断面図、右図は正面図である。
【
図45】危害防止装置を備えた電動シャッター装置(商用電源を用いない)の概略正面図である。図中、要素間を繋ぐ実線は電線であり、一点鎖線はワイヤである。
【
図45A】危害防止装置を備えたシャッター装置(商用電源を用いない)の概略正面図である。図中、要素間を繋ぐ実線は電線であり、一点鎖線はワイヤである。
【
図46】操作ボックスの正面図であり、蓋体は省略されている。
【
図46A】他の実施形態に係る操作ボックスの正面図であり、蓋体は省略されている。
【
図47】複数のシャッター装置が設置された倉庫の概略平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
[A]機械式危害防止装置付き電動シャッターの全体構成
図1~
図7に示すように、シャッター装置は、開口部を閉鎖するシャッターカーテン1と、開口部上方に位置してシャッターカーテン1を巻装する巻取シャフト2と、開口部左右両端に立設されたガイドレ-ル3と、を備えている。シャッターカーテン1は、複数枚の開口幅方向に延びる長尺状のスラットを上下に連結して構成されており、下端には座板4が設けてある。巻取シャフト2は、躯体12から持ち出し状に設けた左右のブラケット13間に回転可能に支持されている。
図1、
図2に示すように、開口部上方において、開口幅方向の一側に寄った部位に開閉機Mが設けてある。開閉機Mは、開口幅方向の一側のブラケット13に取り付けられている。図示の態様では、天井14内に防火用の簡易ケースを設けたシャッターが収納されるようになっているが、躯体に取り付けられた角型のシャッターボックス(図示せず)内にシャッターを収納するようにしてもよい。通常時には、シャッターカーテン1は、開閉機Mによって巻取シャフト2を正逆回転駆動することで電動昇降して、開口部を開閉する。
図2、
図7、
図8等に示すように、座板4は開口部幅方向に延びる長尺状の上座板40と、上座板40の下方側に上座板40に対して相対的に上下動自在に吊持された長尺状の下座板41とからなり、後述するように、座板4は、電動下降あるいは自重下降するシャッターカーテン1が障害物に当たった時に障害物を検知する障害物検知手段の一構成要素となっている。
【0018】
シャッター装置は、火災時にシャッターカーテン1を自重降下させる自動閉鎖装置6及び作動部7(ブレーキ解放・復帰装置)を備えている。図示の態様では、自動閉鎖装置6と作動部7は離間しており、自動閉鎖装置6と作動部7がワイヤW1(アウターワイヤW1´内で延びている)を介して機械的に接続されており、火災信号が入力されると自動閉鎖装置6が作動してワイヤW1を引っ張ることで、作動部7がブレーキ解放姿勢となって開閉機Mのブレーキが解放される。また、電動降下であるか自重降下であるかを問わず、閉鎖中のシャッターカーテン1が障害物に当たった時のシャッターカーテン1の降下の停止は、作動部7を介して(電動降下の場合はマイクロスイッチSW1の作動、自重降下の場合はブレーキ解放レバーMLの機械的な復帰)行われる。本実施形態では、自動閉鎖装置6には、復旧機構5が一体化されている。自動閉鎖装置6、作動部7、復旧機構5の具体的な構成については後に詳述する。
【0019】
シャッター装置は、制御部を備えており、後述するように、電動開閉モード(通常モード)と自重降下モード(火災モード)で異なる制御が行われる。本実施形態では、制御部は、障害物検知用制御盤11Aと、シャッター制御盤11Bと、からなる。
図1に示すように、本実施形態では、作動部7と障害物検知用制御盤11Aが電気的に接続されており、障害物検知用制御盤11Aとシャッター制御盤11Bが電気的に接続されており、操作ボックス10内の開閉操作スイッチ100(第1操作ボックス10A)と障害物検知用制御盤11Aが電気的に接続されている。電動昇降時において、スイッチからの入力に基づく開放信号、閉鎖信号、停止信号は、障害物検知用制御盤11Aを介してシャッター制御盤11Bに送信される。図示の態様では、障害物検知用制御盤11Aとシャッター制御盤11Bは物理的に離隔しているが、制御部は、障害物検知用制御盤11Aの機能とシャッター制御盤11Bの機能を備えた1つの制御部であってもよい。制御部については、後に詳述する。また、
図1に示すように、感知器6Aと防災盤6B、防災盤6Bと自動閉鎖装置6がそれぞれ電気的に接続されている。なお、本発明は、手動式のシャッター装置にも適用され得るものであり、その場合、障害物検知用制御盤11Aや閉鎖スイッチDは不要となる。
【0020】
シャッターカーテン1は、開口部全開時(収納時)には、開閉機Mの一構成要素であるブレーキによって下降が規制された状態で巻取シャフト2に巻装されている。この状態で火災が発生すると、火災感知器6Aによって火災が感知され、防災盤6Bからの火災検知信号によって自動閉鎖装置6が作動して、ワイヤW1を介して作動部7がブレーキ解放姿勢となって(本実施形態では第2作動体74を介して第1作動体73がブレーキ解放位置に移動する)、開閉機Mのブレーキを解放する。ブレーキが解放されると、シャッターカーテン1は、幅方向両端部がガイドレール3の溝部に案内されながら自重で下降し、座板4が着床することで開口部を全閉する。この時、シャッターカーテン1は、開閉機Mに内蔵された調速機(ガバナ)の働きで調速された速度で下降するようになっている。
【0021】
開閉機Mのブレーキケースからブレーキ解放レバーMLが突出しており(
図7参照)、ブレーキ解放体(本実施形態では第1作動体73)によってブレーキ解放レバーMLを移動させることで、開閉機M及び巻取シャフト2の回転を規制しているブレーキが解放される。電動シャッターにおいて、ブレーキを含む開閉機および当該ブレーキを解放するブレーキ解放レバーは周知である。具体的な態様例では、ブレーキ手段は、開閉機出力軸またはこの出力軸と一体で回転する回転部材に対して接離自在に対向するブレーキ板を有しており、シャッターカーテン収納時にはスプリング等の付勢手段によってブレーキ板が圧接されており、ブレーキが働いて巻取シャフトの回転が規制されている。ブレーキ解放レバーをスプリングに抗して揺動させることでブレーキ板が離隔してブレーキが解放され、巻取シャフトの回転が可能となって、シャッターカーテンが自重降下するようになっている。また、ブレーキ解放レバーをフリーにすれば、前記付勢手段であるスプリングによってブレーキ板が圧接されて自動的にブレーキ及びブレーキ解放レバーが復帰するようになっている。すなわち、開閉機Mのブレーキは、ブレーキ解放レバーの移動によって強制的に解放されると共に、ブレーキ解放レバーによる強制力が解除されると付勢手段により復帰する。
【0022】
シャッター装置は、いわゆる危害防止装置を備えており、自重降下中のシャッターカーテン1の下端の座板4が障害物に当たって当該障害物を検知すると、復帰ワイヤを介して開閉機Mのブレーキを復帰させて、シャッターカーテン1の降下を停止させるようになっている。復帰ワイヤは、第1ワイヤW2と第2ワイヤW3とから構成されている。開口部上方部位には、開口幅方向の開閉機Mが設置された側に寄って、中継装置8が設けてあり、座板4には、中継装置8の下方に位置するように開口幅方向の一側に寄って、ロック装置9が設けてある。ロック装置9は、中継装置8の略直下に位置するロックドラム90と、ロックドラム90に隣接する巻取ドラム91と、障害物検知時にロックドラム90の回転をロックするロック機構と、を備えている。第1ワイヤW2と第2ワイヤW3は中継装置8を介して接続されている。第1ワイヤW2の一端はブレーキ解放体(第1作動体73)をブレーキ復帰方向に移動させるように第1作動体73に連結されており、他端は中継装置8に連結されている。第1ワイヤW2はアウターワイヤW2´内を延出している。第2ワイヤW3の一端は中継装置8に連結されており、他端は座板4に設けたロック装置9のロックドラム90に巻回されて当該ロックドラム90を経由して、巻取ドラム91に巻回可能に連結されている。第2ワイヤW3は、シャッターカーテン1の降下に伴ってシャッターカーテン1の面部に沿って延びるように引き出される。ロック装置9は、上座板40に設けられ、降下中のシャッターカーテン1の下座板41が障害物に当たって上座板40に対して相対的に上動することで、復帰用ワイヤ(第2ワイヤW3)の引き出しを機械的に規制し、当該引き出しが規制された復帰ワイヤ(第2ワイヤW3+第1ワイヤW2)によりブレーキ解放体(第1作動体73)をブレーキ復帰方向に引っ張るようになっている。このようにして、自重降下中のシャッターカーテン1の下座板41が障害物に当たった場合には、復帰ワイヤ(第2ワイヤW3+第1ワイヤW2)によりブレーキ解放体(第1作動体73)をブレーキ復帰位置に移動させてシャッターカーテン1の自重降下を停止させる。
【0023】
障害物が除去されると、復帰ワイヤの引き出しが可能となって、ブレーキ解放体(第1作動体73)がブレーキ解放方向に移動して、シャッターカーテン1が自重再降下する。また、障害物除去後において、シャッターカーテン1が自重で再降下するタイミングを遅延させるようになっている。後述するように、電動降下中のシャッターカーテン1の下端の座板4が障害物に当たった場合にも、復帰ワイヤ(第2ワイヤW3+第1ワイヤW2)によるブレーキ解放体(第1作動体73)の移動を検知して、電動降下中のシャッターカーテン1を停止させる。
【0024】
図39、
図43、
図44に示すように、図示の態様では、障害物検知手段は、座板4を構成する上座板40と下座板41との間に回動可能に設けた検知レバー42を用いるものであり、この障害物検知手段の構成については後に詳述する。図示の態様では、ロック装置9は、座板4の長さ方向の一側、具体的には開口幅方向の開閉機Mが設けられた側に寄った位置で上座板40に取り付けられており、回転自在のロックドラム90と、回転自在の巻取ドラム91と、第1回動レバー92と、第2回動レバー93と、第3回動レバー94と、これらを内装するケース95と、を備えているが、このロック装置9の構成については後に詳述する。また、障害物除去後の自重再降下の遅延手段の構成についても後に詳述する。
【0025】
図6に示すように、中継装置8は、開口部上方のまぐさ部15の受け部材16に取り付けられている。受け部材16は断面視方形状の長尺部材であり、巻取シャフト2の両端を支持する左右のブラケット13の下端間に取り付けられている。
図2に示すように、中継装置8は、開口部上方の開口幅方向の一側で、正面視ロック装置9の直上に位置して、垂直状に延びるワイヤW3に対応するように配置されている。また、
図6示すように、中継装置8は、シャッター芯Cに対して躯体12と反対側に位置している。
【0026】
図31に示すように、中継装置8は、開口部上方に位置して前後方向(室内外方向)に延びる回動体80と、受け部材16に取り付けられた取付ベース81と、からなる。取付ベース81は、回動体80が回動自在に取り付けられる左右の支持片810と、受け部材16に取り付けられる装着片811と、を備えている。回動体80は回動支点82を中心として、前後方向の第1端部、第2端部がそれぞれ上下動するように回動する。第1端部には、第1ワイヤW2の端部の固定部83が形成されており、第2端部には、第2ワイヤW3の上端の固定部84が形成されている。固定部83は、アウターワイヤW2´から露出した第1ワイヤW2の端部を余端部を残して固定する第1固定部830と、前記余端部を固定する第2固定部831とからなり、第1固定部830、第2固定部831の2つの固定部によって第1ワイヤW2の端部を強固に固定している。固定部83の下方にはアウターワイヤW2´の端部の固定部832が設けてある。固定部832は、取付ベース81の左右の支持片810の下方部位に装着されている。第1ワイヤW2及びアウターワイヤW2´は、受け部材16に取り付けられたガイド160を通してシャッター芯Cから離間する方向に導かれており、作動部7の作動機構(第1作動体73)に連結されている。固定部84は、第2ワイヤW3の端部を挟み込むと共に、第2ワイヤW3の端部にはワイヤ径に対して大径の係止部840が形成されており、第2ワイヤW3の端部を強固に固定している。第2端部に形成された固定部84に固定された第2ワイヤW3が下方に引っ張られると、回動体80が回動支点82を中心に回動して、第2端部が下方に下がり、第1端部が上方に移動して、第1ワイヤW2を引っ張るようになっている。
図31に示すように、中継装置8は、一方の支持片810と回動体80とを所定の位置で仮固定する仮固定螺子85を備えている。仮固定螺子85は、取付ベース81に対して所定の角度(ワイヤ取付時の適正角度)で回動体80を仮固定して回動を規制するものであり、回動体80が当該所定の角度の姿勢にある時に、第1ワイヤW2、第2ワイヤW3を回動体80に固定することで、中継装置8に対するワイヤ取付時における回動体80の姿勢の調整が不要となる。仮固定螺子85はワイヤ固定後に取り外される。
【0027】
図1~
図3に示すように、シャッター装置の近傍の壁面には、操作し易い高さに操作ボックス10が設けてある。操作ボックス10は、縦長直方体の箱体である右側の第1操作ボックス10Aと、縦長直方体の箱体である左側の第2操作ボックス10Bと、からなる。操作ボックス10の詳細を、
図34~
図36に示す。図示の態様では、1つの箱体の内部空間を垂直状の仕切り板10Cで左右の空間に仕切ることで、第1操作ボックス10A、第2操作ボックス10Bが形成されているが、2つの独立した箱体を隣接させたものでもよい。第1操作ボックス10Aの前面には第1蓋体101が開閉可能に設けてあり、第2操作ボックス10Bの前面には第2蓋体102が開閉可能に設けてある。第1操作ボックス10Aには第1蓋体101の閉鎖状態をロックする第1鍵手段(シリンダ錠)を備えており、第1蓋体101は第1鍵手段を施解錠するためのキーを差し込むための鍵穴1010を有している。第2操作ボックス10Bには第2蓋体102の閉鎖状態をロックする第2鍵手段(シリンダ錠)を備えており、第2蓋体102は第2鍵手段を施解錠するためのキーを差し込むための鍵穴1020を有している。
【0028】
第1操作ボックス10Aは、スイッチボックスであり、第1操作ボックス10A内には、開放スイッチU、閉鎖スイッチD、停止スイッチSからなる開閉操作スイッチ100(各スイッチは図示せず)が配置されている。開閉操作スイッチ100は、制御部(障障害物検知用制御盤11A、シャッター制御盤11B)と電気的に接続されており、開放スイッチUを押すと、制御部を介して開閉機Mによってシャッターカーテン1が上昇し、閉鎖スイッチDを押すと、制御部を介して開閉機Mによってシャッターカーテン1が下降し、停止スイッチSを押すと、制御部を介して開閉機Mの駆動が停止してシャッターカーテン1が停止する。
【0029】
第2操作ボックス10Bは、手動操作ボックスであり、手動閉鎖装置の操作部、及び、自動閉鎖装置6の復旧装置の操作部が設けられる。第2操作ボックス10Bにおいて、第2蓋体102の下方部位には手動閉鎖用の非常時閉鎖スイッチ(図示の態様では押スイッチである)103が設けてあり、第2操作ボックス10Bの前面の側方部位には第2蓋体102に隣接して回動レバー104が回動可能に設けてある。第2操作ボックス10B内には、手動操作用のワイヤW4の端部(他端)をネジで固定するワイヤ端固定部105が設けてあると共に、自動閉鎖装置復旧レバー106が収容されてある。非常時閉鎖スイッチ103の押し操作、及び、回動レバー104の手動回動操作は、第2操作ボックス10Bの第2蓋体102が閉鎖された状態で行うことができる一方、自動閉鎖装置復旧レバー106を用いた自動閉鎖装置6の復旧操作は、第2鍵手段を解錠して、第2蓋体102を開放させて行う必要がある。
【0030】
手動閉鎖装置の操作部(非常時閉鎖スイッチ103、回動レバー104)は、作動部7のブレーキ解放操作、ブレーキ復帰操作を行えるように手動操作用のワイヤW4の一端に機械的に連結されている。ワイヤW4の他端は、作動部7に連結されている。なお、第2操作ボックス10Bの第2蓋体102には非常時閉鎖スイッチ103に対応して開口が形成されており、当該開口をカバー体が塞いでおり、このカバー体を押し破って、非常時閉鎖スイッチ103を押圧して作動させるようになっている。また、ワイヤW4はアウターワイヤW4´内を延びるようになっている。手動閉鎖装置の操作部は、ブレーキ解放作動前の状態から第1の操作(非常時閉鎖スイッチ103の押し操作)によってブレーキを解放するように作動し、ブレーキ解放作動後の状態から第2の操作(回動レバー104)によってブレーキを復帰させるように作動する。ここで、ワイヤW4には、作動部7の第2コイルスプリング77(後述する)によりワイヤ端固定部104を(
図35(B)において)上方へ引き上げようとする力が加わっているが、図示しないロック機構で、ワイヤ端固定部105が上方へ移動してワイヤW4が緩まないようにロックされている。非常時閉鎖スイッチ103を押すと、前記ロックが外れてワイヤ端固定部105が所定距離上動して緊張状態にあるワイヤW4が緩み、回動レバー104がカバー体101の面に対して手前に傾斜状に傾動する(ブレーキ解放姿勢)。また、傾斜状の回動レバー104を手前に下方に回動すると(
図35(B)に矢印で示す)、ワイヤ端固定部105が前述したロック位置まで引き下げられてワイヤW4が所定距離引っ張られ、ワイヤW4に張力が加わった状態でワイヤW4の移動がロック機構により規制される(ブレーキ復帰姿勢)。その後、回動レバー104を上方へ回動して第2操作ボックス10B内に収めて、セット状態になる。このように手動閉鎖装置の操作部によるシャッターカーテンの自重降下及び停止は、第2操作ボックス10Bの第2蓋体102を開放することなく行うことができる。復旧用レバー106は、復旧機構5と共に、自動閉鎖装置6の復旧装置を構成する。復旧用レバー106の説明については、自動閉鎖装置6の復旧機構5に関連して後述する。
【0031】
図6に示すように、開口部上方のまぐさ部15の受け部材16には、シャッター芯Cに対して躯体12と反対側にスムーサ要素17が設けてあり、シャッター開閉時におけるシャッターカーテン1とまぐさ部15、中継装置8等との接触ないし干渉を防止するようになっている。スムーサ要素17は、受け部材16に固定(例えば溶接)されており、開口幅方向及び高さ方向に段違い状に設けた2つのローラ170を備えている。なお、スムーサ要素17は1つのローラであってもよい。スムーサ要素17の個数は開口幅寸法に応じて例えば1個~5個の間で適宜選択される。まぐさ部15の上辺150には、エマーゼンシースイッチ18設けてあり、通常時に電動開閉されるシャッター装置において、万が一、リミットスイッチLSの故障等により上限リミットでシャッターカーテン1が停止しない場合には、上限オーバーラン検知器としてのエマーゼンシースイッチ18が作動することで開閉機Mによるシャッターカーテン1の上昇を停止させる。
図7に示すように、エマーゼンシースイッチ18は、シャッターカーテン1の移動経路内に突出する第1当接片180(シャッターカーテン1が上限位置を越えて上昇した時に座板4が接触する)と、垂直状に立ち上がり、さらに後方へと略水平に延びる第2当接片181(下降中のシャッターカーテン1が障害物に当たった状態、障害物検知手段の故障等でシャッターカーテン1が継続して繰り出された場合、巻取シャフト2に巻き取られたシャッターカーテン1の径が大きくなって下方に垂れて接触する)と、を備えている。
【0032】
[B]自動閉鎖装置
自動閉鎖装置6は、防災盤6Bからの火災検知信号の入力によって作動して、ワイヤW1、作動部7を介してブレーキ解放レバーMLを移動させてブレーキを解放させる。
図9、
図10に基づいて、自動閉鎖装置6の実施形態について説明する。なお、
図9、
図10に示す自動閉鎖装置6は、1つの実施形態に過ぎないものであり、図示する自動閉鎖装置6の構成によって本発明が限定されるものではない。さらに、
図9、
図10は、自動閉鎖装置6の構成要素及び動作を説明するためのものであり、本実施形態では、
図22~
図25に示すように、自動閉鎖装置6と復旧機構5が一体化されている。
図9、
図10では、作動杆60の先端に自動閉鎖装置復旧ワイヤW5が連結されているが、本実施形態では、自動閉鎖装置復旧ワイヤW5は復旧機構5に連結されていることに留意されたい。
【0033】
[B-1]自動閉鎖装置の構成要素及び動作
自動閉鎖装置6は、第1の方向及び第2の方向に往復動可能に支持された作動杆60と、作動杆60を第1の方向に付勢するコイルスプリング61と、火災検知信号の入力によって通電するソレノイド62と、ソレノイド62のプランジャ620に連結されており、ソレノイドが通電してプランジャが引かれることで第1の姿勢から第2の姿勢へ傾動(回動)するラッチ63と、を備えている。ラッチ63は、コイルスプリング64によって第1の姿勢側に付勢されている。
【0034】
自動閉鎖装置6は、水平片650と対向状の垂直片651、652を備えた側面視コ字状の支持部を含むフレーム65を有しており、作動杆60は、垂直片651、652を挿通して往復動可能に支持されている。作動杆60の軸上の垂直片651と652との間の所定部位にはコイルスプリング61の当接片610が固定されており、コイルスプリング61の一端が垂直片651に当接し、他端が当接片610に当接している。ソレノイド62は、水平片650の上面に装着されている。さらに、水平片65の上面には、並設された2個のマイクロスイッチMS及びマイクロスイッチMSを作動させる回動作動片66が設けてある。回動作動片66は、マイクロスイッチMSをOFFからON状態とする側に付勢されている。マイクロスイッチMSがONからOFF状態となると、ソレノイド62に印加されている火災検知信号を遮断し、防災盤6Bに自動閉鎖装置6がブレーキ解放作動したことを伝える。
【0035】
作動杆60の先端(第1の方向と反対側の端部)には、ブレーキ解放ワイヤW1(
図9、
図10の上図においてのみ図示)の一端側が固定されている。第1の姿勢にあるラッチの軸状の係止部630が、付勢された状態にある作動杆60の被係止溝600に係止することで作動杆60の第1の方向への移動が規制されており、火災検知信号の入力によりソレノイドが通電すると、ラッチ63が第1の姿勢から第2の姿勢へ傾動して、係止部630と被係止溝600との係止状態が外れ、コイルスプリング61の力によって、作動杆60が第1の方向に移動し、作動杆60の先端に固定されたワイヤW1を介して作動部7がブレーキ解放姿勢となって、ブレーキが解放される。
【0036】
図9に示すように、回動作動片66が当接片610に当接することで、回動が規制されてマイクロスイッチMSがON状態にある。
図10に示すように、自動閉鎖装置6が一旦作動すると、コイルスプリング61が伸長して当接片610が回動作動片66から離間して垂直片652に当接し、回動作動片66が回動して、マイクロスイッチMSがOFFとなり、ソレノイド62への通電が遮断される。ラッチ63はコイルスプリング64によって第1の姿勢側に移動し、軸状の係止部630が作動杆60の上縁601に当接した状態にある(
図10参照)。
【0037】
[B-2]自動閉鎖装置の復旧機構
図22~
図25を参照しつつ、自動閉鎖装置6の復旧機構5について説明する。
図22は、復旧機構5が連結された自動閉鎖装置6を示し、
図23は、復旧機構5を示す。自動閉鎖装置6の具体的な要素および作動については、
図9、
図10に基づく上記記載を適宜援用することができる。
図22に示すように、復旧機構5は、自動閉鎖装置6に隣接して設けてあり、いわば復旧機構一体型自動閉鎖装置となっている。自動閉鎖装置6のベース67と復旧機構5のベース55は、側面視L形状の立ち上がり片同士を重ね合わせて螺子で一体化されており、また、自動閉鎖装置6の作動杆60と復旧機構5の第1レバー50が連結され一体化されている。なお、自動閉鎖装置6と復旧機構5は離間していてもよいが、動きの連動や省スペース化等の観点からは、自動閉鎖装置6に隣接させて復旧機構5を配置することが望ましい。
【0038】
復旧機構5は、第1可動体としての第1レバー50と、第2可動体としての第2レバー51と、を備えている。第1レバー50は自動閉鎖装置6の作動杆60と連結されており、作動杆60と一体で待機状態である第1の位置と、作動状態である第2の位置と、の間で可動である。作動杆60にはブレーキ解放ワイヤW1が連結されている。なお、ブレーキ解放ワイヤW1を第1レバー50に連結してもよく、また、第1レバー50と作動杆60を1部材から形成してもよい。第2レバー51は、第1の姿勢と第2の姿勢との間で移動(本実施形態では回動)可能であると共に、自動閉鎖装置復旧ワイヤW5が連結されている。第2レバー51は、第1レバー50が第1の位置から第2の位置へ移動する際には、この移動を妨げることなく許容して第1の姿勢を維持し、第1レバー50が第2の位置に移動した後に、第2レバー51を第1の姿勢から第2の姿勢へ移動させることで、第1レバー50及び自動閉鎖装置6の作動杆60を第1の位置(待機姿勢)へ強制的に移動させるように構成されている。復旧機構5のベース55には、自動閉鎖装置6から離間する側の端部において、スタンド56が立ち上がり状に設けてあり、ブレーキ解放ワイヤW1を挿通させるアウターワイヤW1´、自動閉鎖装置復旧ワイヤW5を挿通させるアウターワイヤW5´の端部がそれぞれ固定されている。以下、復帰装置(復帰機構5+自動閉鎖装置復旧レバー106)のより具体的な構成について詳述する。
【0039】
第1レバー50は、自動閉鎖装置6の作動杆60と連結されており、作動杆60と一体で第1の位置(待機状態)と、第2の位置(作動状態)と、の間で往復動可能である。作動杆60には、ブレーキ解放ワイヤW1が連結されており、自動閉鎖装置6の作動杆60及び第1レバー50の移動にしたがって、ブレーキ解放ワイヤW1が移動可能となっている。自動閉鎖装置6の作動杆60及び第1レバー50の移動方向と、ブレーキ解放ワイヤW1において、作動杆60との連結部から延びる部位の長さ方向は一致しており、自動閉鎖装置6が作動して、第1の位置にある自動閉鎖装置6の作動杆60及び第1レバー50が第2の位置への移動することでブレーキ解放ワイヤW1が引かれて、ブレーキが解放される。
【0040】
第1レバー50は、水平面に沿って延びる第1板状部500と、垂直面に沿って延びる第2板状部501と、からなり、第2板状部501には下方に延びる突出片502が一体形成され、第2板状部501において第1板状部500から離間する側には、横長方形状のガイド開口503が形成されている。なお、第1板状部500、第2板状部501の面の向きは、図示の態様に限定されない。第1レバー50の第1板状部500は、自動閉鎖装置6の作動杆60に連結されており、作動杆60には、ブレーキ解放ワイヤW1が連結されている。ガイド開口503は、第1レバー50の移動方向に延びる横長穴であり、自動閉鎖装置6側の第1縁部5030と、自動閉鎖装置6から離間する側の第2縁部5031と、を備えている(
図24参照)。突出片502は、自動閉鎖装置6側の第1縁部5020と、自動閉鎖装置6から離間する側の第2縁部5021と、を備えている(
図24参照)。
【0041】
第2レバー51は、基端側(図示の態様では下端側)の回動支軸53を中心に回動可能な回動レバーであって、先端には自動閉鎖装置復旧ワイヤW5が連結されている。図示の態様では、回動支軸53を支持する垂直片530がベース55に対して立ち上がり状に形成されている。第2レバー51は、先端側が自動閉鎖装置6側に傾いた第1の傾斜姿勢と、先端側が自動閉鎖装置6から離間する側に傾いた第2の傾斜姿勢と、の間で回動可能となっている。第2レバー51は、付勢手段としてのバネ52によって、第1の傾斜姿勢を維持するように付勢されている。したがって、通常時にはバネ52の力によって第1の傾斜姿勢にあり、バネ力に抗して、自動閉鎖装置復旧ワイヤW5が引かれることで、第1の傾斜姿勢から第2の傾斜姿勢へと回動し、自動閉鎖装置復旧ワイヤW5の引っ張り力が解除されると、バネ52の付勢力によって第1の傾斜姿勢に自動的に復帰する。
【0042】
第2レバー51の基端側には、回動支軸53から少し離れた位置(図示の態様では、少し上側)にガイド軸54が設けてあり、ガイド軸54は、回動支軸53と平行状に延びている。ガイド軸54はガイド開口503内を挿通しており、第2レバー51の姿勢、第1レバー50の位置に応じて、ガイド開口503内において、自動閉鎖装置6側の第1の位置と、自動閉鎖装置6から離間する側の第2の位置と、の間でガイド開口503の長さ方向に可動となっている。ガイド開口503内におけるガイド軸54の位置と、第2レバー51の姿勢及び第1レバー50の位置と、の関係は後述する。
【0043】
図24は、付勢手段であるバネ52の詳細を示し、バネ52の巻線部520は回動支軸53に外装されており、第1脚部521はベース55に当接しており、第2脚部522はガイド軸54に掛止されており、第2レバー51は、バネ52によって、第1の傾斜姿勢を維持するように付勢されている。自動閉鎖装置復旧ワイヤW5を引っ張ることで、第2レバー51が第1の傾斜姿勢から第2の傾斜姿勢へと回動する時に、バネ52には、元の姿勢に復帰するような力が蓄勢されていき、自動閉鎖装置復旧ワイヤW5の引っ張り力が解除されると、バネ52の蓄勢力によって、第2レバー51は第1の傾斜姿勢へと自動的に回動復帰する。
【0044】
図36に示すように、一端が第2レバー51の先端に固定された自動閉鎖装置復旧ワイヤW5の他端側は、第2操作ボックス10B内にまで延びており、第2操作ボックス10B内に設けたプーリ107を介して水平状に案内され、端部には自動閉鎖装置復旧レバー106としてのT形状の引き手が設けてある。自動閉鎖装置復旧ワイヤW5は、両端部位を除いてアウターワイヤW5´内を延びており、また、必要に応じて適宜プーリ等の案内部材(図示せず)に掛け回されて第2操作ボックス10Bまで案内される。作動した自動閉鎖装置6を復旧させる場合には、第2操作ボックス10Bの第2鍵手段を解錠して、第2蓋体102を開放し、第2操作ボックス10B内に格納されている自動閉鎖装置復旧レバー106を持って自動閉鎖装置復旧ワイヤW5の端部を引き出し、プーリ107を介して引っ張ることで、第1姿勢にある第2レバー51を第2姿勢へと回動させる。自動閉鎖装置6が作動して、第1レバー50が第2の位置にある時には、ガイド軸54がガイド開口503の自動閉鎖装置6から離間する側の第2縁部5031に接触ないし近接しており、第2レバー51が第1姿勢から第2姿勢へと回動する時に、回動支軸53に対するガイド軸54の位置が移動することで、ガイド軸54の移動によって第1レバー50が第1の位置へと移動する。
【0045】
図25を参照しながら、復旧機構5を備えた自動閉鎖装置6の動作について説明する。自動閉鎖装置6の状態について、
図25上図は、
図9に対応しており、
図25中図は、
図10に対応しており、
図9、
図10に関連する記載を適宜援用することができる。
図25上図は、待機状態にある自動閉鎖装置6を示し、ブレーキは有効である。復帰機構5の第1レバー50は、自動閉鎖装置6から離間した側の第1の位置にあり、第2レバー51は、自動閉鎖装置6側に傾斜した第1の姿勢にあり、第2レバー51に設けられたガイド軸54は、ガイド開口503の長さ方向において自動閉鎖装置6側の第1の位置にあり、第1縁部5030に接触ないし近接している。第1レバー50の突片502の第1縁部5020はベース55から立ち上がり状に形成された当接部57から離間しており、第2縁部5021は回動支軸53に対して離間近接している(
図24参照)。
【0046】
この待機状態において自動閉鎖装置6が作動すると、自動閉鎖装置6の作動杆60が復帰機構5から離間する側に移動し、作動杆60に連結された第1レバー50が自動閉鎖装置6側に移動し、第1レバー50に固定された作動杆60に連結されたワイヤW1が自動閉鎖装置6側に引かれて、作動部7がブレーキ解放姿勢となって、ブレーキが解放される。第1レバー50の移動時に、第2レバー51に設けたガイド軸54は、第1レバー50のガイド開口503内で第1レバー50に対して相対的に移動するので、第2レバー51は、第1レバー50の第1の位置から第2の位置への移動を許容し、自動閉鎖装置6側に傾斜した第1の姿勢が維持される。
図25中図は、作動状態にある自動閉鎖装置6を示し、ブレーキ解放状態にある。復帰機構5の第1レバー50は、自動閉鎖装置6側に近づいた第2の位置にあり、第2レバー51は、自動閉鎖装置6側に傾斜した第1の姿勢が維持され、第2レバー51に設けられたガイド軸54は、ガイド開口503の長さ方向において自動閉鎖装置6から離間する側の第2の位置にあり、第2縁部5031に接触ないし近接している。第1レバー50の突片502の第1縁部5020はベース55から立ち上がり状に形成された当接部57に当接している。
【0047】
自動閉鎖装置復旧ワイヤW5の他端側は、第2操作ボックス10B内に設けた自動閉鎖装置復旧用レバー106に連結されている。火災検知信号の入力により作動した自動閉鎖装置を復旧させたい場合には、第2操作ボックス10Bの第2鍵手段を解錠して、第2蓋体102を開放し、第2操作ボックス10B内に格納されている自動閉鎖装置復旧レバー106を持って自動閉鎖装置復旧ワイヤW5の端部を引き出し、プーリ107を介して引っ張ることで、第1姿勢にある第2レバー51を第2姿勢へと回動させる。第2レバー51が第1姿勢から第2姿勢へと回動することに連動して、第1レバー50及び作動杆60が第2の位置から第1の位置へと移動する。すなわち、自動閉鎖装置復旧ワイヤW5を引くことで、コイルスプリング61を圧縮させながら作動杆60(及び第1レバー50)が第2の位置から第1の位置へと移動し、軸状の係止部630が作動杆60の上縁601上の摺動しながら移動して被係止溝600に係止することで(
図9、
図10参照)、ラッチ63は第1の姿勢となると共に、マイクロスイッチMSがONとなり、自動閉鎖装置6は、
図25下図に示す待機姿勢に復帰する。
【0048】
図25中図に示すように、自動閉鎖装置6が作動して、第1レバー50が第2の位置にある時には、ガイド軸54がガイド開口503の自動閉鎖装置6から離間する側の第2縁部5031に接触ないし近接しており、第2レバー51が第1姿勢から第2姿勢へと回動する時に、回動支軸53に対するガイド軸54の位置が第2縁部5031に当接しながら移動することで、ガイド軸54によって第1レバー50が第1の位置へと移動する。
図25中図と
図25下図とを対比すると明らかなように、位置が固定されている回動支軸53を通る仮想鉛直線に対して、
図25中図では、ガイド軸54は自動閉鎖装置6側に位置しており、
図25下図では、ガイド軸54は自動閉鎖装置6から離間する側に位置している。自動閉鎖装置復旧ワイヤW5を引っ張ることによる力点が第2レバー51の先端側であり、第2レバー51の回動時に力が作用する作用点はガイド軸54とガイド開口503の第2縁部5031との当接部となり、回動支点53から力点までの距離は、回動支点53から作用点までの距離より大きく、いわゆる倍力機構を構成している。すなわち、自動閉鎖装置復旧ワイヤW5を引いて第2レバー51を回動させることで、倍力機構によって、第1レバー50及び作動杆60を引っ張るようになっており、第1レバー50及び作動杆60を直接引っ張る場合に比べて、操作力を軽減することができる。
【0049】
図25下図は、自動閉鎖装置復旧ワイヤW5を引いて自動閉鎖装置6を復旧させた状態を示し、自動閉鎖装置復旧ワイヤW5を引っ張る力が作用している状態であり、第2レバー51は第2の傾斜姿勢にある。この時、第2レバー51には、バネ52によって、第2傾斜姿勢から第1傾斜姿勢へ回動する力が蓄勢されている。自動閉鎖装置復旧ワイヤW5を引っ張る力が解除されると、バネ52の付勢力によって、第2レバー51が第1姿勢へと自動的に復帰して、
図25上図に示す監視状態ないし定常位置となる。
【0050】
[C]作動部(ブレーキ解放・復帰装置)
[C1]作動部の構成
作動部7の構成について、
図11~21に基づいて説明する。作動部7は、フレーム70、フレーム70に設けた第1ガイド軸71、第2ガイド軸72、第1ガイド軸71上を移動可能な第1作動体73、第1ガイド軸71及び第2ガイド軸72上を移動可能な第2作動体74、第2ガイド軸72上を移動可能な第3作動体75、第1マイクロスイッチSW1、第2マイクロスイッチSW2、を備えている。
図11は定常姿勢(通常の電動開閉時)にある作動部7を示し、各要素は、定常位置にある。
図12、
図13は電動降下時の作動部7の動き、
図14、
図15は自動閉鎖装置作動時の作動部7の動き、
図16、
図17は手動閉鎖装置からの手動閉鎖操作時の作動部7の動き、を示している。以下、各要素について詳細に説明する。なお、以下の説明において、要素の姿勢や方向を表す「上」、「下」、「左」、「右」、「垂直」、「水平」等の用語は、図示の態様に基づく記載であって、実際の要素の取付姿勢によって、変わり得る(例えば、上下が入れ替わったり、左右が入れ替わったりする)ことが当業者に理解される。
図11~
図17において、第1作動体73(ブレーキ解放レバーML)の左側への移動がブレーキ解放方向への移動、左側へ移動した第1作動体73(ブレーキ解放レバーML)の右側への移動がブレーキ復帰方向への移動となっている。また、見やすさを考慮し、一部の要素に墨入れしてある。
【0051】
図18に示すように、フレーム70は、上壁700と、上壁700の左右端部より垂下する側壁701、702を備えている。上壁700にはブレーキ解放レバーMLの先端部位を左右方向に移動可能に受け入れる開口7000が形成されており、ブレーキ解放レバーMLの先端部位は上壁700の開口7000を挿通してフレーム70内に延出している。フレーム70の対向状の側壁701、702間には平行して水平状に延出するガイド軸71、72が設けられる。図示の態様では、2本の第1ガイド軸71、2本の第2ガイド軸72の合計4本のガイド軸を備えており、フレーム70の幅方向の両端側には第2ガイド軸72が配置され、各第2ガイド軸72の内側に位置して高さ方向に段違い状に第1ガイド軸71がそれぞれ配置される。蓋をするようにフレーム70を覆う側面視コ字状のカバー体(図示せず)を装着することで、作動部7は箱体として用意され、上壁700を開閉機Mに近接対向させて取り付けられる。
【0052】
図19に示すように、第1作動体73は、水平状に延出する上辺730と、上辺730の左右端部から対向状に垂下する側辺731、732と、側辺732の下端の中央部位に形成した水平状の2つの折曲辺733と、からなり、左右の側辺731、732には第1ガイド軸71を挿通させる挿通孔7310、7320が形成されている。第1作動体73の右側の側辺732には、復帰ワイヤを構成する第1ワイヤW2の一端が固定される。側辺732には第1ワイヤW2の挿通溝7321が形成され、折曲辺733には螺子孔7330が形成されている。挿通溝7321は各折曲辺733間の溝と連通しており、折曲辺733の上側に復帰ワイヤの第1ワイヤW2の端部の係止部(挿通溝7321の溝幅よりも大径)を位置させて、各折曲辺733間の挿通溝7321を下側から覆うようにプレート734を螺子735で折曲辺733に固定する。第1作動体73の左側の側辺731の中央部位には押圧片736が突成されている。
【0053】
第1作動体73は、第1ガイド軸71上を、第1の方向(図では左側)、第1の方向の反対の第2の方向(図では右側)、にスライド移動可能となっている。定常位置にある第1作動体73の押圧片736は、ブレーキ解放レバーMLから離間しており(ブレーキ解放レバーMLを押圧しない状態で近接ないし接触していてもよい)、開閉機Mのブレーキは有効な状態にある。定常位置にある第1作動体73が第1の方向に移動することで、第1作動体73の押圧片736がブレーキ解放レバーMLを第1の方向に押圧して、開閉機Mのブレーキを解放する。
【0054】
図示の態様では、定常位置にある第1作動体73は、第2作動体74が第1の方向に移動することによって第1の方向に移動してブレーキ解放姿勢となる。第2作動体74が第1の方向に移動する場合は、自動閉鎖装置6の作動による場合、手動閉鎖装置10からの手動閉鎖操作による第3作動体75の第1の方向への移動に伴う場合、である。ブレーキ解放姿勢にある第1作動体73は、復帰ワイヤの第1ワイヤW2が右側に引かれることで、第2の方向に移動してブレーキ復帰姿勢(定常位置)となる。定常位置にある第1作動体73は、復帰ワイヤの第1ワイヤW2が右側に引かれることで、第2の方向に移動して、第1マイクロスイッチSW1がONからOFFとなる。すなわち、第1作動体73は、定常位置(ブレーキ復帰位置)、定常位置から第1の方向に移動した位置(ブレーキ解放位置)、定常位置から第2の方向に移動した位置(障害物検知位置)の3つの位置をとる。
【0055】
図20に示すように、第2作動体74は、水平状に延出する水平740と、水平辺740の左右端部に対して垂直状に延びる側辺741、742と、側辺741の下端の中央部位に形成した水平状の2つの折曲辺743と、からなり、左右の側辺741(上半部位)、742には第1ガイド軸71を挿通させる挿通孔7410、7420が形成されており、側辺741の下半部位には第2ガイド軸72を挿通させる挿通孔7411が形成されている。第2作動体74の左側の側辺741には、自動閉鎖装置6から延びるブレーキ解放ワイヤW1の一端が固定されている。第1ガイド軸71には、側壁701と第2作動体74の側辺741との間に位置してコイルスプリング(図示せず)が外装されている。側辺741にはワイヤW1の挿通溝7412が形成され、折曲辺743には螺子孔7430が形成されている。挿通溝7412は各折曲辺743間の溝と連通しており、折曲辺743の上側にワイヤW1の端部の係止部(挿通溝7412の溝幅よりも大径)を位置させて、各折曲辺743間の溝を下側から覆うようにプレート744を螺子745で折曲辺743に固定する。
【0056】
第2作動体74は、第1ガイド軸71及び第2ガイド軸72上をスライド移動可能となっている。定常位置では、第2作動体74の側辺741の上半部位は第1作動体73の側辺731の外側に左側から当接しており、第1ガイド軸71に外装された第1コイルスプリング76の一端(左側端部)は第1作動体73の側辺731の内側に当接しており、第1コイルスプリング76の他端(右側端部)は第2作動体74の側辺742の内側に当接している。定常位置にある第2作動体74が第1の方向に移動すると、第1コイルスプリング76を介して第1作動体73が第1の方向に移動するようになっている。開閉機Mのブレーキを手動で解放するための手動ワイヤ(図示せず)を第2作動体74に設け、手動ワイヤで第2作動体74をブレーキ解放方向へ引けるようにしても良い。
【0057】
図21に示すように、第3作動体75は、水平状に延出する底辺750と、底辺750の左右端部から対向状に垂直に立ち上がる側辺751、752とから側面視コ字形状を備えており、左右の側辺751、752には第2ガイド軸72を挿通させる挿通孔7510、7520が形成されている。第3作動体75の右側の側辺752には、手動閉鎖装置10から延びる手動操作用ワイヤW4の一端が固定されている。側辺752にはワイヤW4の挿通溝7521が形成されており、挿通溝7521は底辺750の溝部7500と連通している。ワイヤW4の端部は、挿通溝7521及び溝部7500の溝幅よりも大径の係止部となっており、ワイヤW4の端部の係止部の抜けが防止されている。底辺750には、幅方向中央かつ側辺732に近接して、溝部7500を挟んで螺子孔7501が形成されている。溝部7500を下側から覆うようにプレート753を底辺750に当接させて、プレート753を螺子754で底辺750に固定する。
【0058】
第3作動体75は、第2ガイド軸72上をスライド移動可能となっている。第3作動体75の側辺752とケース70の側壁702との間にはスペーサ755が設けてあり、第3作動体75の右側への移動が規制されている。ケース70の幅方向両端に位置して断面視コ字状の部材が設けてあり、当該部材から当接片703が形成されている(
図11参照)。第2ガイド軸72に外装された第2コイルスプリング77の左側端部は第3作動体75の左側の側辺751に当接しており、第2コイルスプリング77の右側端部は当接片703に当接している。定常位置において、第3作動体75の右側の側辺752はスペーサ755に当接し、第3作動体75の左側の側辺751の外側には第2作動体74の側辺741が当接している。この時、第3作動体75はワイヤW4によって右側に引かれており、第2コイルスプリング77は圧縮状態にある。手動閉鎖装置10からの操作でワイヤW4の引張力が緩和されると、第2コイルスプリング77が伸長して第3作動体75が右側に移動し、これに伴って、第2作動体74、第1作動体73が左側(第1の方向)に移動する。
【0059】
第1マイクロスイッチSW1は、シャッターカーテン1の電動降下時に障害物検知があったことを検知する検知手段である。第1マイクロスイッチSW1は、障害物検知用マイクロスイッチであり、障害物検知時に作動するものであり、監視時(通常のシャッター開閉時)には接点がONであり、マイクロスイッチ作動時には接点がOFFとなる。すなわち、シャッターカーテン1の電動降下時に第1マイクロスイッチSW1がONからOFF状態となった時に、障害物検知が行われたものとする。シャッターカーテン1の電動降下時に第1マイクロスイッチSW1がONからOFF状態となると、障害物検知用制御盤11Aに障害物検知信号が入力され、シャッター制御盤11Bを介して開閉機Mの電動降下を停止させる。本実施形態では、第1マイクロスイッチSW1はONからOFFとなることで作動するが、OFFからONとなるこことで作動するように設計し得ることが当業者に理解される。
【0060】
第1マイクロスイッチSW1は、定常位置にある第1作動体73が第2の方向に所定量移動した時にONからOFF状態と切り替わるように、第1作動体73の移動路の所定位置において、フレーム70の所定部位(図示の態様では、上壁700の側壁702側の一方の側縁の近く)に設けてある。図示の態様では、
図19に示すように、第1作動体73の上辺730の側辺732側の両側縁は、第1ガイド軸71と平行状に延びる縁部7300と、縁部7300に対して第1方向側(側辺732から離間する側)に形成された凹部7301と、を備えている。第1作動体73が定常位置、ブレーキ解放位置にある時には、第1マイクロスイッチSW1が第1作動体73の縁部7300に当接して閉じ姿勢(ON状態)にあり、第1作動体73が定常位置から第2の方向に移動した時に、第1マイクロスイッチSW1が第1作動体73の凹部7301に位置して開き姿勢(OFF状態)となる。
【0061】
第2マイクロスイッチSW2は、自動閉鎖装置6が作動したこと、または、手動閉鎖装置10から手動閉鎖操作が行われたこと、を検知する手段である。第2マイクロスイッチSW2は、操作禁止用マイクロスイッチであり、自動閉鎖装置6の作動時、手動閉鎖装置10からの手動操作時に作動するものであり、監視時には接点がOFFであり、作動時には接点がONとなる。第2マイクロスイッチSW2がOFFからON状態となると、障害物検知用制御盤11Aに作動確認信号が入力され、シャッターカーテン1が電動開閉中の場合には、シャッター制御盤11Bを介して開閉機Mの駆動を停止し、また、押しボタン操作が無効とされる。本実施形態では、第1マイクロスイッチSW1はOFFからONとなることで作動するが、ONからOFFとなることで作動するように設計し得ることが当業者に理解される。
【0062】
第2マイクロスイッチSW2は、自動閉鎖装置6の作動時、手動閉鎖装置10からの手動閉鎖操作時における作動部7の可動要素の移動を検知するように設けられる。本実施形態では、自動閉鎖装置6の作動時、手動閉鎖装置10からの手動閉鎖操作時のいずれの場合にも第2作動体74が定常位置から第1の方向に移動するため、第2マイクロスイッチSW2は、定常位置にある第2作動体74が第1の方向に所定量移動した時にOFFからON状態と切り替わるように、第2作動体74の移動路に位置して、フレーム70の所定部位に設けてある。
図18に示すように、上壁700の側縁の左右方向中央部位には上壁700に対して垂直状に延びる舌状片704が形成されており、舌状片704の内側面に第2マイクロスイッチSW2が装着されている。第2マイクロスイッチSW2は、第2作動体74の右側側辺742の一方の端部の移動経路に位置しており、第2作動体74が定常位置にある時には、側辺742と第2マイクロスイッチSW2は離間しており、定常位置にある第2作動体74が第1の方向へ移動すると、側辺742が第2マイクロスイッチSW2を押圧して閉じることで、第2マイクロスイッチSW2はOFFからON状態と切り替わる。
【0063】
[C2]電動降下時の作動部の動き
電動降下時の障害物検知について、
図12、
図13を参照しつつ、説明する。
図12は、電動開閉時の作動部7の各要素の姿勢を示しており、各要素は定常位置にある。第1マイクロスイッチSW1はON、第2マイクロスイッチSW2はOFFである。
図32(A)は、
図12の状態における中継装置8の回動体80の姿勢を示す。
【0064】
図13は、電動降下時(
図12の状態)に障害物検知が行われた状態を示す。座板4が障害物を検知すると、復帰ワイヤの第1ワイヤW2が引かれて、第1作動体73が第1コイルスプリング76を圧縮しながら定常位置から第2の方向へスライド移動する。
図32(B)は、
図13の状態における中継装置8の回動体80の姿勢を示す。
図32(B)では、
図32(A)の状態から復帰ワイヤの第2ワイヤW3が下方に引かれて、回動体80が回動して第1ワイヤW2を引っ張っていることがわかる。第1作動体73の第2の方向へのスライド移動によって、第1マイクロスイッチSW1がONからOFFとなって、障害物検知信号が障害物検知用制御盤11Aに送信される。障害物検知用制御盤11Aに障害物検知信号の入力があると、シャッター制御盤11Bを介して開閉機Mの電動降下を停止させる(1つの形態では、停止後一旦上昇させた後停止、すなわちタッチアップさせる)。
図13において、第2作動体74、第3作動体75は定常位置にあり、第2マイクロスイッチSW2はOFFの状態にある。なお、
図13の状態において、障害物が取り除かれると、復帰ワイヤの第1ワイヤW2の引っ張り力が無くなり、第2コイルスプリング76が伸長して、第1作動体73が第1の方向に移動して定常位置に復帰して、
図12の状態に戻り、第1マイクロスイッチSW1はOFFからONとなる。
図32(C)は、作動部7が
図12の状態に復帰した時の中継装置8の回動体80の姿勢を示し、実質的に
図32(A)の姿勢と同じである。
図13は、第1作動体73が第2の方向の限度位置まで引かれた状態を示しており、実際には、定常位置にある第1作動体73が第2の方向へ少し動いた時点で第1マイクロスイッチSW1が作動して電動降下中のシャッターが停止するように設定される。万が一、
図13の限度位置まで復帰用ワイヤ(第1ワイヤW2、第2ワイヤW3)が引かれて、さらに、座板4が降下した場合は、後述するようにロック装置9のロックドラム90に3周巻かれた第2ワイヤW3が滑り、第2ワイヤW3が引き出されることで、作動部7や中継装置8が破損しないようになっている。
【0065】
[C-3]自重降下時(自動閉鎖装置の作動による)の作動部の動き
自動閉鎖装置6の作動によるシャッターカーテン1の自重降下及び障害物検知について、
図14、
図15を参照しつつ、説明する。火災感知器6Aによって火災が感知されると、防災盤6Bより信号(DC24V)が出力され、自動閉鎖装置6が作動して、ブレーキ解放ワイヤW1を引っ張る。
図11の状態から、自動閉鎖装置6によってワイヤW1が左側に引かれると、第2作動体74の左側側辺741が第1の方向に移動し、同時に第2作動体74の右側側辺742が第1の方向に移動することで、第1コイルスプリング76(第1コイルスプリング76は、開閉機Mに内蔵されたブレーキ解放レバーの復帰手段よりも大きい弾性力を有している)を介して、定常位置にある第1作動体73が第1の方向に移動してブレーキ解放位置となり、第1作動体73の左側側辺731の上端部の押圧片736がブレーキ解放レバーに当接してこれを移動させることでブレーキを解放する。
図14はブレーキが解放された状態を示している。
図33(A)は、
図11の状態における中継装置8の回動体80の姿勢を示し、
図33(B)は
図14の状態における中継装置8の回動体80の姿勢を示す。第1作動体73が定常位置から第1の方向へ移動することに伴って、復帰ワイヤの第1ワイヤW2が下方に引かれて回動体80が回動していることがわかる。
【0066】
第2作動体74が
図11の定常位置から
図14の位置まで移動すると、第2マイクロスイッチSW2がOFFからONとなり、障害物検知用制御盤11Aに作動確認信号が送信され、電動開閉のための押しボタン操作が無効となり、シャッターカーテン1が電動開閉中の場合には、シャッターカーテン1の移動が停止される。第1マイクロスイッチSW1はON状態にある。
【0067】
自重降下中のシャッターカーテン1の下端の座板4が障害物に当たって当該障害物を検知すると、復帰ワイヤの第1ワイヤW2が右側に引っ張られて、第1コイルスプリング76を圧縮しながら第1作動体73が右側に移動する。第1作動体73の右側側辺731の上部の押圧片736が右側に移動することで、ブレーキ解放レバーMLを左側(ブレーキ解放方向)に押圧する力が解除され、ブレーキ解放レバーMLがフリーとなって、ブレーキに内蔵された復帰手段によってブレーキ及びブレーキ解放レバーMLが復帰する(
図15)。ブレーキの復帰により自重降下中のシャッターカーテンが停止する。この時、第1コイルスプリング76が圧縮されるだけで、第2作動体74、第3作動体75は移動しない。障害物の除去後には、復帰ワイヤ(第1ワイヤW2、第2ワイヤW3)の引き出しが可能となり、第1コイルスプリング76が伸長して
図14の状態となって、ブレーキが解放され、シャッターカーテン1が再降下する。
図33(C)は、
図15の状態における中継装置8の回動体80の姿勢を示す。
図33(C)では、
図33(B)の状態から復帰ワイヤの第2ワイヤW3が下方に引かれて、回動体80が回動して第1ワイヤW2を引っ張っていることがわかる。
図33(C)の状態は、定常位置同じであり、
図33(A)と実質的に同じである。
図33(D)は、作動部7が
図14の状態(自重降下時)に復帰した時の中継装置8の回動体80の姿勢を示し、実質的に
図32(B)の姿勢と同じである。
図15の状態において、第1マイクロスイッチSW1はON状態のままであり、第2マイクロスイッチSW2はON状態のままである。
【0068】
火災検知信号の入力により一旦作動した自動閉鎖装置6を監視姿勢に復旧させたい場合には、自動閉鎖装置復旧レバー106の操作によって、自動閉鎖装置復旧ワイヤW5を第2の方向に引くことで、コイルスプリング61を圧縮させながら作動杆60が第2の方向に移動し、軸状の係止部630が作動杆60の上縁601上の摺動しながら移動して被係止溝600に係止することで、ラッチ63は第1の姿勢となると共に、マイクロスイッチMSがONとなり、
図25下図に示す待機状態となり、そして、第2レバー51が復帰して、
図25上図に示す監視状態ないし定常位置となる。
【0069】
[C-4]自重降下時(手動閉鎖装置からの手動閉鎖操作による)の作動部の動き
手動閉鎖装置からの手動操作によるシャッターカーテン1の自重降下及び障害物検知について、
図16、
図17を参照しつつ、説明する。随時閉鎖を行いたい時には、第2操作ボックス10Bの第2蓋体102上の非常時閉鎖スイッチ103を押すと、
図11の状態から、第3作動体75の側辺752を図中右側に引っ張って第2コイルスプリング77を圧縮状態に維持しているワイヤW4が緊張状態から緩み、圧縮された第2コイルスプリング77が伸長することで、コイルスプリング77の左側端部が左側に移動し、第3作動体75の側壁751が図中左側に押し出されて第3作動体75が左側に移動する。左側に押し出される側壁751によって、第2作動体74の側壁741が左側に押し出されて、第2作動体74が左側に移動する。第2作動体74の右側側辺742は第1コイルスプリング76の右側端部に右側から当接しており、第2作動体74の側辺742が右側に移動することによって、第1コイルスプリング76を介して、第1作動体73の側辺731が左側に押し出されて、側辺731の押圧片736がブレーキ解放レバーMLを左側(第1の方向)に移動させて、ブレーキを解放する(
図16)。この時、2本の第1コイルスプリング76の弾性力の合計は、ブレーキ解放レバーMLの付勢力(開閉機Mに内蔵された復帰手段により提供される復帰力)より大きいので、第1コイルスプリング76はそのままの状態で、ブレーキ解放レバーMLの付勢力に打ち勝って左側に移動して、ブレーキ解放レバーMLを移動させてブレーキを解放する。ブレーキ解放により、シャッターカーテン1は自重降下を開始する。
図33(A)は、
図11の状態における中継装置8の回動体80の姿勢を示し、
図33(B)は
図16の状態における中継装置8の回動体80の姿勢を示す。第1作動体73が定常位置から第1の方向へ移動することに伴って、復帰ワイヤの第1ワイヤW2が下方に引かれて回動体80が回動していることがわかる。
【0070】
第3作動体75の第1の方向への移動に伴って、第2作動体74が
図11の定常位置から
図16の位置まで移動すると、第2マイクロスイッチSW2がOFFからONとなり、障害物検知用制御盤11Aに作動確認信号が送信され、手動操作部からの押しボタン操作が無効となり、シャッターカーテン1が電動開閉中の場合には、移動が停止される。第1マイクロスイッチSW1はON状態にある。
【0071】
自重降下中のシャッターカーテン1の下端の座板4が障害物に当たって当該障害物を検知すると、ワイヤW2が右側に引っ張られて、第1コイルスプリング76を圧縮しながら第1作動体73が右側に移動する。第1作動体73の右側側辺731の押圧片736が右側に移動することで、ブレーキ解放レバーMLを左側(ブレーキ解放方向)に押圧する力が解除され、ブレーキ解放レバーMLがフリーとなって、ブレーキに内蔵された復帰手段(バネ部材)によってブレーキ及びブレーキ解放レバーMLが復帰する(
図17)。ブレーキの復帰により自重降下中のシャッターカーテンが停止する。この時、第1コイルスプリング76が圧縮されるだけで、第2作動体74、第3作動体75は移動しない。障害物の除去後には、復帰ワイヤ(第1ワイヤW2、第2ワイヤW3)の引き出しが可能となり、第1コイルスプリング76が伸長して
図16の状態となって、ブレーキが解放され、シャッターカーテン1が再降下する。
図33(C)は、
図17の状態における中継装置8の回動体80の姿勢を示す。
図33(C)では、
図33(B)の状態から復帰ワイヤの第2ワイヤW3が下方に引かれて、回動体80が回動して第1ワイヤW2を引っ張っていることがわかる。
図33(C)の状態は、定常位置同じであり、
図33(A)と実質的に同じである。
図33(D)は、作動部7が
図16の状態(自重降下時)に復帰した時の中継装置8の回動体80の姿勢を示し、実質的に
図32(B)の姿勢と同じである。
図17の状態において、第1マイクロスイッチSW1はON状態のままであり、第2マイクロスイッチSW2はON状態のままである。
【0072】
手動で自重降下させたシャッターカーテンを再び手動で停止させたい場合には、第2操作ボックス10Bの回動レバー104を手前に引くと、第3作動体75に連結されているワイヤW4が右側に引っ張られ、第2コイルスプリング77を圧縮しながら第3作動体75が右側に移動する。
図16の状態において、ブレーキ解放レバーMLを復帰方向に移動させる復帰手段(バネ部材)に打ち勝ってブレーキ解放レバーMLをブレーキ解放位置に保持する第2コイルスプリング77の伸長力が解除されることで、ブレーキ解放レバーMLは、開閉機側の上記復帰手段の力で、第1作動体73、第2作動体74を伴って右側に移動し、ブレーキ及びブレーキ解放レバーMLが復帰する(詳しくは、
図11において、ブレーキ解放レバーMLと押圧片736とが軽く当接した状態まで復帰する)。ブレーキの復帰により自重降下中のシャッターカーテンが停止する。このようにして、ブレーキ解放レバーMLは
図11の位置に戻る。
【0073】
本実施形態では、自重降下時の障害物検知では、ブレーキ復帰位置にある第1作動体73が第2の方向に移動して定常位置となることで、ブレーキ解放レバーMLが復帰して開閉機Mのブレーキが復帰するようになっている。ここで、仮に経年劣化や調整誤差等によって、ブレーキが復帰する前に、第1作動体73が定常位置を越えてさらに第2の方向に移動することも考えられる。この時、第1作動体73の第2の方向への移動によって、第1マイクロスイッチSW1がONからOFF状態に切り替わる。ここで、自重降下時であっても、障害物検知信号が障害物検知用制御盤11Aに入力されるようにすることで、商用電源が有効な場合には、自重降下中のシャッターカーテン1を障害物検知後に電気的に制御して停止させることができる。
【0074】
[D]制御部
本発明に係る機械式危害防止装置付き電動シャッターにおいて、電動開閉モード(通常モード)と自重降下モード(火災モード)で異なる制御が行われる。通常の電動開閉時には、シャッターカーテン1の動作制御は通常モードで行われる。自動閉鎖装置6への火災検知信号の入力または手動閉鎖操作による自重降下時には、制御モードが通常モードから自重降下モードに変わり、シャッターカーテン1の動作制御は自重降下モードで行われる。本実施形態では、制御部は、障害物検知用制御盤11Aと、シャッター制御盤11Bと、からなる。以下、詳細に説明する。
【0075】
[D-1]電動開閉モード
通常モードでは開閉操作スイッチ100の押しボタン操作でシャッターカーテン1の電動開閉が行われる。より具体的には、開口部全閉状態あるいは半開状態で開放スイッチUを押すと、障害物検知用制御盤11Aを介してシャッター制御盤11Bに信号が送信され、開閉機Mが作動して巻取シャフト2を第1の方向に回転させてシャッターカーテン1を巻取りながら上昇させる(
図37(1))。シャッターカーテン1の上昇時に、第2ワイヤW3は巻取ドラム91に巻き取られていく。シャッターカーテン1が予め設定された上限位置まで上昇すると上限リミットスイッチが作動して開閉機Mの作動が停止し、巻取シャフト2の回転が停止してシャッターカーテン1の巻き取りが停止する。万が一、リミットスイッチLSの故障等により上限リミットでシャッターカーテン1が停止しない場合には、エマーゼンシースイッチ18が作動することで開閉機Mによるシャッターカーテン1の上昇を停止させる。
【0076】
開口部全開状態あるいは半開状態で閉鎖スイッチDを押すと、障害物検知用制御盤11Aを介してシャッター制御盤11Bに信号が送信され、開閉機Mが作動して巻取シャフト2を第2の方向に回転させてシャッターカーテン1を降下させる(
図37(2))。シャッターカーテン1の下降時に、第2ワイヤW3は、シャッターカーテン1の面部に沿って延びながら巻取ドラム91から引き出されていく。下降中のシャッターカーテン1の下端の下座板41が障害物に当たると、下座板41が上座板40に対して相対的に上動し、ロック装置9によって第2ワイヤW3の引き出しが規制され、上座板40が下座板41に対して下動することで、引き出しが規制された第2ワイヤW3が引かれ、中継装置8を介して第1ワイヤW2が引かれて、第1作動体73が定常位置から第2の方向(図では右側)へ移動して第1マイクロスイッチSW1がONからOFFとなり、障害物検知信号(座板作動信号)が障害物検知用制御盤11Aに送信される。障害物検知信号を受信した障害物検知用制御盤11Aは、シャッター制御盤11Bを介して、開閉機Mの作動を所定時間(例えば1秒間)停止させ、その後開閉機Mを作動させてシャッターカーテン1を所定時間(例えば1.5秒間)上昇させた後(タッチアップ)、停止させる((
図37(3)))。その後、開閉操作スイッチ100の閉鎖スイッチDを押すことで、シャッターカーテン1を電動再降下させることができる。
【0077】
電動降下するシャッターカーテン1の下端の下座板41が着床すると、下座板41が上座板40に対して相対的に上動し、ロック装置9によって第2ワイヤW3の引き出しが規制され、上座板40が下座板41に対して下動することで、引き出しが規制された第2ワイヤW3が引かれ、中継装置8を介して第1ワイヤW2が引かれて、第1作動体73が定常位置から第2の方向(図では右側)へ移動して第1マイクロスイッチSW1がONからOFFとなり、障害物検知信号が障害物検知用制御盤11Aに送信される。障害物検知信号を受信した障害物検知用制御盤11Aは、シャッター制御盤11Bを介して、開閉機Mの作動を停止してシャッターカーテン1の降下を停止させる(
図37(2))。電動降下時にシャッターカーテン1が予め設定された下限位置まで降下するとタイマーが作動し、タイマー作動中に障害物検知信号が出力された場合には、タッチアップは行われないように設定されている。また、タイマー作動中に障害物検知信号が出力されない場合には、タイマー終了時に障害物検知用制御盤11A、シャッター制御盤11Bを介して開閉機Mの作動を停止して巻取シャフト2の回転を停止する。なお、特に第1作動体73が僅かに動いた位置で第1マイクロスイッチSW1が動作するような敏感な設定にした場合、第2ワイヤW3の自重、第2ワイヤW3とロックドラム90の摩擦、巻取ドラム91に内装されるぜんまいばねの力、各装置の慣性等により、電動降下開始時、瞬間的に第2ワイヤW3が引き下げられて、第1作動体73が第2の方向へ移動して第1マイクロスイッチSW1が動作することも考えられる。そのため、制御装置には、電動降下開始直後の一定時間内に、第1マイクロスイッチSW1が動作したときに停止等の制御を行わないようにする機能や、また、前記機能により障害物に当接後の再降下の際に誤って障害物を無視するような誤動作を防止するために、障害物を検知し一旦停止した後の反転上昇の動作時間を延長する機能が備えられ、必要に応じて選択可能になっている。
【0078】
[D-2]自重降下モード
防災盤6Bからの火災検知信号の入力により自動閉鎖装置6が作動すると、ワイヤW1が引かれることで第2作動体74が定常位置から第1の方向(図では左側)に移動し、第2作動体74の第1の方向への移動と共に、第1作動体73が第1の方向に移動してブレーキが解放される。また、第2操作ボックス10Bの非常時閉鎖スイッチ103の押し操作によってワイヤW4の緊張が緩和されると、第3作動体75が定常位置から第1の方向(図では左側)に移動し、第3作動体75の第1の方向への移動と共に、第2作動体74、第1作動体73が第1の方向に移動してブレーキが解放される。第2作動体74が定常位置から第1の方向に移動することで、第2マイクロスイッチSW2がOFFからONとなると、作動部7から障害物検知用制御盤11Aに作動確認信号が連続で出力され、障害物検知用制御盤11Aは作動確認信号を受信することで、電動開閉モード(通常モード)から自重降下モード(火災モード)に変わる。障害物検知用制御盤11Aが自重降下モードとなると、開閉操作スイッチ100の開放スイッチU、閉鎖スイッチD、停止スイッチSからの電動開閉操作(電動開閉のための押しボタン操作)が無効化される。
【0079】
自重降下中のシャッターカーテン1の下端の下座板41が障害物に当たると、下座板41が上座板40に対して相対的に上動し、ロック装置9によって第2ワイヤW3の引き出しが規制され、上座板40が下座板41に対して下動することで、引き出しが規制された第2ワイヤW3が引かれ、中継装置8を介して第1ワイヤW2が引かれて、ブレーキ解放位置まで移動した第1作動体73が定常位置へ向かって第2の方向へ移動して開閉機Mのブレーキが復帰して、自重降下中のシャッターカーテン1が停止する。障害物が除去されると、上動した下座板41の下動が可能となり、第2ワイヤW3の引き出し規制が解除されて、第1コイルスプリング76が伸長して第1作動体73がブレーキ解放位置に移動して、ブレーキ解放レバーMLによって開閉機Mのブレーキが解放され、シャッターカーテン1は自重再降下する(
図38(3))。自重降下中のシャッターカーテン1の下端の下座板41が着床すると、下座板41が上座板40に対して相対的に上動し、ロック装置9によって第2ワイヤW3の引き出しが規制され、上座板40が下座板41に対して下動することで、引き出しが規制された第2ワイヤW3が引かれ、中継装置8を介して第1ワイヤW2が引かれて、第1作動体73がブレーキ解放位置から定常位置へ移動し、ブレーキが復帰する。開閉機Mのブレーキが復帰して、自重降下中のシャッターカーテン1が停止して全閉状態となる(
図38(3))。
【0080】
なお、仮に経年劣化や調整誤差等によって、ブレーキが復帰する前に、第1作動体73が定常位置を越えてさらに第2の方向に移動した場合には、第1マイクロスイッチSW1がONからOFFとなり、障害物検知信号が障害物検知用制御盤11Aに送信される(停電時には、障害物検知信号は送信されない。)。この時、自重降下時に通電が有効である場合には、障害物検知信号を受信した障害物検知用制御盤11Aは、シャッター制御盤11Bを介して、開閉機Mを作動させてシャッターカーテン1を、障害物検知信号受信から所定時間(例えば、1.5秒)上昇させた後停止させるようにしてもよい(
図38(3)の点線)。
また、自重降下モードは(自動閉鎖装置6のみが作動し又は自動閉鎖装置6と手動閉鎖装置の両方が作動している場合は自動閉鎖装置6を復旧することで、また、手動閉鎖装置のみが作動している場合は手動閉鎖装置を復帰操作することで)作動部7の第2作動体74が定常位置に復帰して第2マイクロスイッチSW2がONからOFF状態になり、電動開閉モードに変わるようになっているが、操作ボックス10(第1操作ボックス10Aあるいは第2操作ボックス10B)内に自重降下モードから電動開閉モードに復帰させるための専用のモード復帰スイッチを設けて、その操作により復帰するようにしても良い。
【0081】
シャッターカーテンの電動上昇中に自動閉鎖装置6がブレーキ解放作動した場合には、定常位置にある第2作動体74及び第1作動体73が第1の方向へ移動して、第2マイクロスイッチSW2がOFFからONとなり、第2マイクロスイッチSW2がONとなると、障害物検知用制御盤11Aに作動確認信号が入力され、障害物検知用制御盤11Aは、電動開閉モード(通常モード)から自重降下モード(火災モード)に変わると共に、作動確認信号の入力と同時にシャッター制御盤11Bを介して開閉機Mの駆動を停止し、シャッターカーテンは自重降下を開始する(
図38(1))。シャッターカーテンの電動下降中に自動閉鎖装置6がブレーキ解放作動した場合には定常位置にある第2作動体74及び第1作動体73が第1の方向へ移動して、第2マイクロスイッチSW2がOFFからONとなり、第2マイクロスイッチSW2がONとなると、障害物検知用制御盤11Aに作動確認信号が入力され、障害物検知用制御盤11Aは、電動開閉モード(通常モード)から自重降下モード(火災モード)に変わると共に、作動確認信号の入力と同時にシャッター制御盤11Bを介して開閉機Mの駆動を停止し、シャッターカーテンは自重降下を開始する(
図38(2))。
【0082】
[E]座板の構成
障害物検知手段を備えた座板4の構成について説明する。シャッターカーテン下端に設けられた座板4は、上座板40と、上座板40に対して相対的に上動可能な下座板41とからなる。本実施形態では、上座板40は、上面部400と、上面部400の幅方向両端から垂下する左右の側面部401と、左右の側面部401の下端から互いに接近する方向に水平状に延びる被当接片402と、からなり、下座板41の上端の左右の水平状の当接片411が上座板40の被当接片402上に載ることで、上座板40に対して下座板41が吊持される(
図41、
図43参照)。下座板41が上座板40に対して上限位置まで上動した姿勢では、下座板41の水平部414が上座板40の被当接片402に下側から当接する(
図44参照)。
【0083】
図39、
図43、
図44に示すように、座板4を構成する上座板40と下座板41との間には、複数の検知レバー42が、座板4の長さ方向に間隔を存して、回動支点421を中心として回動可能に設けてあり、電動降下中あるいは自重降下中のシャッターカーテン1の下端が障害物に当接して、下座板41が上座板40に対して相対的に上動すると、下座板41の上動に連動して検知レバー42が回動するようになっている。複数の検知レバー42はワイヤ43によって互いに連結されており、ワイヤ43の一端はコイルスプリング98を介してロック装置9のロック機構を構成する第1回動レバー92(後述する)の下端側に連結されている。下座板41が上座板40に対して相対的に上動すると、検知レバー42は、検知レバー42の下端がロック装置9のロックドラム90から離隔する方向に回動し、ワイヤ43はロック装置9のロックドラム90から離隔する方向に引っ張られる。
【0084】
ワイヤ43が引っ張られて、第1回動レバー92が回動すると、ロック装置9のロック機構(詳細は後述する)によってロックドラム90の回転が規制され、シャッターカーテン1の降下中にロック装置9から引き出されている第2ワイヤW3の引き出しが停止し、さらに、シャッターカーテン1が降下することで第2ワイヤW3が下方に引かれ、中継装置8を介して、第1ワイヤW2が引かれて、第1作動体73がブレーキ復帰位置に移動して、ブレーキ解放レバーMLの押し付けが解除され、開閉機Mのブレーキに内蔵された復帰手段によってブレーキが復帰して、降下中のシャッターカーテン1が停止する。
【0085】
上述の座板4の障害物検知手段の構成は1つの実施形態であって、本発明の権利範囲を限定するものではない点に留意されたい。例えば、障害物検知手段は、座板4を構成する上座板40と下座板41との間に回動可能に設けた検知体を用いて、下座板41の上動を検知するものであればよく、検知体の形状や個数は図示の態様に限定されず、また、ワイヤ43を用いないもの(例えば、検知体が座板の長さ方向に延びる回動体である)でもよい。
【0086】
[F]ロック装置
ロック装置9の構成について、
図26~
図30に基づいて詳細に説明する。なお、
図26と
図27~
図30とで要素の形状に異なる箇所があるが構成要素自体は同じである。また、各要素の参照番号は
図27に最も詳細に記載されており、適宜参照されたい。ロック装置9は、回転自在のロックドラム90と、回転自在の巻取ドラム91と、第1回動レバー92と、第2回動レバー93と、第3回動レバー94と、これらを内装するケース95と、を備えている。本実施形態では、ロックドラム90は、中継装置8の直下に位置しており、巻取ドラム91は、ロックドラム90の第1側に隣接して配置されており、第1回動レバー92と、第2回動レバー93と、第3回動レバー94は、ロックドラム90の第2側に隣接して配置されている。通常時には、第1回動レバー92、第2回動レバー93、第3回動レバー94は第1の姿勢(非ロック姿勢)にある(
図26、
図30参照)。障害物検知によるシャッター停止時には、第1回動レバー92、第2回動レバー93、第3回動レバー94は第2の姿勢(ロック姿勢)にあり(
図27参照)、また、第2回動レバー93が第2の姿勢を維持する間は、第1回動レバー92が回動を開始しても、ロック装置9のロック状態が維持される(
図28、
図29参照)。
【0087】
ケース95は、上板950と、左右の側板951、952と、後板953と、着脱可能な前面カバー954(
図4参照)を備えており、下面は開放状となっている。上板950には、第2ワイヤW3を挿通させるガイド9500が形成されている。
図26に示すように、ロックドラム90、巻取ドラム91の前面側には、ロックドラム90及び巻取ドラム91を挟んで後板953と対向するように前板954´が設けてある。前板954´は、少なくともロックドラム90、巻取ドラム91の中心部(支持軸900、910に対応する部位)の前側を覆うように延びている。図示の態様では、前板954´は、上側及び右側に折り曲げ片が一体形成されており、上側折り曲げ片を上板950に、右側折り曲げ片を側片952に当接させて螺子でケース95に固定される。支持軸900及び支持軸910は一端が後板953に、他端が前板954´に支持されている。支持軸900、支持軸910を両端で支持することで、片持ち支持に比べてより安定してロックドラム90、巻取ドラム91を回転支持することができる。
図26に示す態様では、ロックドラム90と巻取ドラム91間で延びるワイヤW3を挿通させるガイド部958は前板954´の下端の折曲部に形成されている。
図26、
図27には図示していないが、ケース95の前面には、さらに、前面カバー954が設けられる。側片951、952の下端はそれぞれ外側に折り返されて折曲片956、957が形成されており、ケース95は、折曲片956、957を介して螺子956A、957A(
図39参照)で上座板40の上面部400に取り付けられている。ケース95は外部に露出する螺子956A、957Aを用いて上座板40に取り付けられているので、メンテナンス時等のケース95の取り外しが容易となる。
【0088】
ロックドラム90は、ロックドラム90を回転自在に支持する支持軸900と、ワイヤを巻回する凹状の周面901と、ロックドラム90の周縁(具体的には、周面901の厚さ方向の一側に位置して設けられ、周面901よりも大径の円板部902の周縁に連続状に形成された多数の歯状の被係止部903と、を備えている。ロックドラム90の周縁はいわば歯車を形成している。1つの態様では、周面901の厚さ方向の寸法は、ワイヤが並列状に3周巻回できるような寸法となっている。
【0089】
巻取ドラム91は、巻取ドラム91を回転自在に支持する支持軸910と、ワイヤを巻回する周面911と、巻取ドラム91をワイヤの巻取方向に付勢するための手段としてのぜんまいばね(図示せず)と、を備えている。
【0090】
第1回動レバー92は、上下方向に延出する回動片であり、上側の第1部分920と、第1部分920に対してやや角度を付けて下方に延びる第2部分921と、からなり、第1部分920と第2部分921との接続部に位置して形成された回動支点922(ケース95の後板953に突設された支持軸P1によって形成される)を中心として回動可能にケース95に設けてある。
【0091】
第1回動レバー92は、回動支点922を中心として、上側の第1部分920がロックドラム90に接近する方向の第1の方向(ロック方向)、上側の第1部分920がロックドラム90から離間する方向の第2の方向(ロック解除方向)に回動可能となっている。通常の開閉時及び停止時には、第1回動レバー92は、上側の第1部分920がロックドラム90から離間した側に回動した第1の姿勢にあり(
図26、
図30参照)、ロック装置9がロック状態にある時には、第1回動レバー92は、上側の第1部分920がロックドラム90に近接した側に回動した第2の姿勢にある(
図27参照)。
【0092】
第1回動レバー92は、付勢手段として例示するコイルスプリング96によって第2の方向へ付勢されている。図示の態様では、コイルスプリング96の一端は、ケース95の左側の側板951の下端に近接して、ケース95の後板953から突設したピンP2に連結され、他端は第1回動レバー92の第1部分920の上端において、ロックドラム90から離間する側に連結されている。ケース95の後板953の所定部位にはストッパとしてのピンP3が突設されており、第1回動レバー92が第1の姿勢にある時には、第1回動レバー92の第1部分920のロックドラム90から離間する側の部位がピンP3に当接している。
【0093】
第1回動レバー92の第2部分921の下側は、ケース95の下端から下方に延出しており、下端には、フック状の係止部92A(
図26参照)が形成されており、ワイヤ43の端部(ワイヤ43の端部にコイルスプリング98(
図39、
図40参照)連結されている場合には、コイルスプリング98の端部)が係止部92Aに係脱可能に係止されている。下座板41の上動に連動してワイヤ43に引かれると、第1回動レバー92がコイルスプリング96の付勢力に打ち勝って、第1方向に回動する。係止部92Aは、第1回動レバー92の下端側において、ワイヤ43が延びる側とは反対側に形成された開口と、開口から下方に延びる溝部と、溝部によってワイヤ43が延びる側と反対側に形成された立ち上がり部と、から形成されており、溝部の底部はワイヤ43側に若干膨らんでおり、立ち上がり部の上端は開口に隣接して肉厚に形成されている。係止部92Aの形状は、機械式危害防止装置の動作時に、第1回動レバー92がいかなる回動姿勢にあっても、ワイヤ43が係止部92Aから外れることがないような形状に形成されている。メンテナンス時等にはワイヤ43の端部を係止部92Aから取り外すことができるので有利である。
【0094】
第2回動レバー93は、短辺930、931、長辺932を備えた2等辺三角形状の回動片であり、短辺931をロックドラム90に対向させて、短辺931及び長辺932の下側に位置する頂点に近接して形成された回動支点933(ケース95の後板953に突設された支持軸P1によって形成される)を中心として回動可能にケース95に設けてある。図示の態様では、第2回動レバー93の回動支点933と第1回動レバー92の回動支点922は共通の支持軸P1から形成されている。短辺930、931によって形成される頂点に近接して係止部934が形成されており、係止部934から離間するように長辺932に近接して当接部935が形成されており、短辺930、長辺932によって形成される頂点に近接して当接部936が形成されている。第2回動レバー93の係止部934は、ロックドラム90の被係止部903(歯車の歯)に係脱可能な形状を備えている。
【0095】
本実施形態では、第2回動レバー93は、対向する2枚のプレートを備え、支持軸P1は2枚のプレート間に貫設されており、係止部934は2枚のプレート間を連結するピン(回転自在な回転ピン)であり、当接部935は2枚のプレート間を連結するピンであり、当接部936は2枚のプレート間を連結するピンに回転自在に外装されたベアリングである。なお、2枚のプレートからなる構成は第2回動レバー93の1つの態様に過ぎないものである。
【0096】
第2回動レバー93は、下側の回動支点933を中心として、上側がロックドラム90に接近する方向の第1方向、上側がロックドラム90から離間する方向の第2方向に回動可能となっている。通常の開閉時及び停止時には、第2回動レバー93は、上側がロックドラム90から離間した側に回動した第1の姿勢にあり(
図26、
図30参照)、ロック装置9がロック状態にある時には、第2回動レバー93は、上側がロックドラム90に近接する側に回動した第2の姿勢にある(
図27参照)。第2回動レバー93が第1の姿勢にある時には、係止部934がロックドラム90の被係止部903から離間した非係止状態にあり、また、当接部935には、第1回動レバー92の第1部分920のロック装置に近い側の部位が当接している。第2回動レバー93が第2の姿勢にある時には、係止部934がロックドラム90の被係止部903に係止した係止状態にある。第2回動レバー93の係止部934とロックドラム90の被係止部903とが係止状態にある時には、ロックドラム90の回転が規制され、ロック装置9はワイヤW3の引き出しが規制されたロック状態となる。
【0097】
第2回動レバー93は、付勢手段として例示するコイルスプリング97によって、第2方向へ付勢されている。図示の態様では、コイルスプリング97の一端は、ケース95の左側の側板951の下端に近接して、ケース95の後板953から突設したピンP2に連結され、他端は第2回動レバー93の当接部935に連結されている。図示の態様では、第2回動レバー93を第2方向へ付勢するコイルスプリング97と第1回動レバー92を第2方向へ付勢するコイルスプリング96は共通のピンP2に連結されているが、それぞれ別個のピンを用意して、別個のピンに連結させてもよい。また、図示の態様では、当接部935を形成するピンが、コイルスプリング97の他端の連結部を兼用しているが、
図26に示すように、当接部935とは異なる部位(立ち上がり片935´)にコイルスプリング97の他端を連結してもよい。
【0098】
第2回動レバー93の当接部935には、第1回動レバー92の上側の第1部分920のロックドラム90に近い側の部位が当接している。下座板41の上動に連動してワイヤ43が引かれて第1回動レバー92がコイルスプリング96の付勢力に打ち勝って第1の方向に回動すると、第1回動レバー92の第1部分920が第2回動レバー93の当接部935を押すことで、第2回動レバー93は、コイルスプリング97の付勢力に打ち勝って第1の方向に回動する。第2回動レバー93が第1の方向に回動することで、ロックドラム90の被係止部903に対して離間していた第2回動レバー93の係止部934がロックドラム90の被係止部903に係止して、ロック状態となる。
【0099】
第3回動レバー94は、第1回動レバー92及び第2回動レバー93の上方に位置して横方向に延びる部材であり、係止状態(第2の姿勢)にある第2回動レバー93の第2の方向への回動を規制する回動規制手段、換言すると、障害物除去後において、第2回動レバー93の係止状態を所定時間保持する保持レバーである。第3回動レバー94は、ロックドラム90に近い側の端部を回動支点940として、回動可能にケース95に設けてあり、ロックドラム90から遠い側の端部が上下方向に回動可能となっている。回動支点940は、ケース95の後板953に突設した支持軸P4から形成されている。
【0100】
第3回動レバー94は、第1回動レバー92及び第2回動レバー93が第1の姿勢にある時には、ロックドラム90から遠い側の端部である先端が第1の位置(上側)に回動した第1の姿勢(
図26参照)にあり、第1回動レバー92及び第2回動レバー93が第2の姿勢にある時には、先端が第2の位置(下側)に回動した第2の姿勢(
図27参照)にある。
【0101】
横方向に延びる第3回動レバー94の下側部位には、ロック装置9がロック状態にある時、つまり、第1回動レバー92、第2回動レバー93、第3回動レバー94が第2の姿勢にある時に、第2回動レバー93の当接部936に係止する係止部941が形成されている。第3回動レバー94の下側部位には、係止部941に対して先端側に位置して当接部942が形成されている。
【0102】
本実施形態では、第3回動レバー94は、対向する2枚のプレートを備え、支持軸P4は2枚のプレート間に貫設されており、係止部941は2枚のプレートの先端間に挟持したブロックであり、当接部942は2枚のプレート間を連結するピンに回転自在に外装されたベアリングである。2枚のプレートからなる構成は第3回動レバー94の1つの態様に過ぎず、また、係止部941は一体形成されたものでもよい。図示の態様では、係止部941は側面視段部状であるが、係止部941の形状は限定されず、爪状ないし突起状であってもよい。
【0103】
第1回動レバー92、第2回動レバー93、第3回動レバー94が第1の姿勢にある時に、第3回動レバー94の係止部941の角部が第2回動レバー93の当接部936に当接しており、第3回動レバー94の先端が下側へ回動することが規制されており、第1の姿勢が保持されている。この状態から、第2回動レバー93が第1の方向に回動することで、第2回動レバー93の当接部936が第3回動レバー94の係止部941の角部を乗り越えると同時に第3回動レバー94が下側に回動し、第2回動レバー93の当接部936が係止部941に係止する。
【0104】
図27に示すように、第1回動レバー92、第2回動レバー93、第3回動レバー94が第2の姿勢にある時に、第2回動レバー93の当接部936は第3回動レバー94の係止部941の係止辺9410に対向しており、また、第1回動レバー92の上端に形成された当接部923が第3回動レバー94の当接部942に当接している。第1回動レバー92の当接部923と第3回動レバー94の当接部942との当接状態及び第2回動レバー93の当接部936と第3回動レバー94の係止部941の係止辺9410との対向状態(
図27参照)ないし係止状態(
図28参照)は、少なくとも、第1回動レバー92が第2の姿勢から第2の方向へ所定量回動する間は維持される。第2の姿勢にある第3回動レバー94が上側に所定量回動することで、第3回動レバー94の係止部941と第2回動レバー93の当接部936の係止状態が解除され、第3回動レバー94による回動規制が解除され、コイルスプリング97の力で第2姿勢にある第2回動レバー93は第2方向に回動する。
【0105】
第3回動レバー94の先端側には周面状の突片943が形成されており、第3回動レバー94が第1の姿勢にある時に、突片943が左側の側片951に当接するようになっており、第3回動レバー94のさらなる上側への回動が規制されている。こうすることで、第3回動レバー94が第2姿勢から第1姿勢へ回動した時の跳ね上がりを防止している。
【0106】
ロック装置の作用について説明する。シャッターカーテン1が降下を開始すると、座板4の降下に伴って座板4に設けられたロック装置9(ロックドラム90、巻取ドラム91)も降下し、ロック装置9の降下に伴って、ぜんまいばねの力に打ち勝って、第2ワイヤW3は巻取ドラム91及びロックドラム90が回転しながら、シャッターカーテン1の降下距離分だけシャッターカーテン1の面部に沿って引き出されていく。
【0107】
ロック装置9は、降下中のシャッターカーテン1の下端の座板4が障害物に当接した時に、下座板41が上座板40に対して相対的に上動することに連動してロックドラム90の回転が規制されるように作動する。自重降下中のシャッターカーテン1の下端が障害物に当接して、下座板41が上座板40に対して相対的に上動すると、下座板41の上動に連動して検知レバー42が回動するようになっている。複数の検知レバー42の下端部位はワイヤ43によって互いに連結されており、ワイヤ43の一端はコイルスプリング98を介して第1回動レバー92に連結されている。検知レバー42は、下座板41が上座板40に対して相対的に上動すると、ロックドラム90から離隔する方向に回動してワイヤ43をロックドラム90から離隔する方向に引っ張り、第1回動レバー92が第1の姿勢から第2の姿勢へと回動する。
【0108】
第1回動レバー92が
図26に示す第1の姿勢から第1の方向へ回動すると、第1回動レバー92の第1部分920が第2回動レバー93の当接部935に当接しながら押すことで、第1の姿勢にある第2回動レバー93は第1の回動レバー92と一緒に第1の方向へ回動して、第2回動レバー93の係止部934がロックドラム90の歯状の被係止部903に係止してロックドラム90の回転を規制する(
図27)。
【0109】
一方、
図26に示すように、第1の姿勢にある第3回動レバー94は、第1の姿勢にある第2回動レバー93の当接部936に当接することで、下側への回動が規制されている。第1の姿勢にある第2回動レバー93が第1回動レバー92と共に第1の方向へ回動することで、第2回動レバー93の当接部936が第3回動レバー94の係止部941の角部を乗り越えて係止部941に係止すると同時に、第3回動レバー94が自重で下側へ回動して第2の姿勢となる(
図27)。
【0110】
第1回動レバー92、第2回動レバー93、第3回動レバー94が第2の姿勢にある時には、第1回動レバー92の第2の姿勢は、ワイヤ43の引っ張り力により保持され、第2回動レバー93の第2の姿勢は、第2の姿勢にある第1回動レバー92の第1部分920が第2回動レバー93の当接部935に当接することで保持され、第3回動レバー94の第2の姿勢は、第1回動レバー92の当接部923が第3回動レバー94の当接部942に当接することで保持される。したがって、ワイヤ43が引っ張られた状態、すなわち、障害物検知状態にある時には、第1回動レバー92、第2回動レバー93、第3回動レバー94が第2の姿勢を維持し、ロック装置9がロック状態にあってロックドラム90の回転が規制される。
【0111】
ロックドラム90の回転が停止すると、第2ワイヤW3の引き出しが規制され第2ワイヤW3の長さが一定となり、この状態で上座板40(すなわちロックドラム90)が下座板41に対して降下すると、第2ワイヤW3、中継装置8を介して第1ワイヤW2が引かれて、第1作動体73が第2の方向へスライド移動する。電動降下中の場合は、定常位置にある第1作動体73が第2の方向に移動して第1マイクロスイッチSW1がONからOFFとなり、障害物検知信号(座板作動信号)が障害物検知用制御盤11Aに送信され、障害物検知信号を受信した障害物検知用制御盤11A、シャッター制御盤11Bによって開閉機Mの駆動を停止して、シャッターカーテン1の降下が停止する。自重降下中の場合には、ブレーキ解放位置にある第1作動体73が定常位置(ブレーキ復帰位置)へ移動することで、ブレーキ解放レバーMLが復帰してブレーキが復帰し、巻取シャフト2の回転を規制してシャッターカーテン1の降下が停止する。
【0112】
ここで、ブレーキ復帰のためには復帰ワイヤ(第1ワイヤW2、第2ワイヤW3)を所定量引っ張る必要があり(すなわち、シャッターカーテン1が所定量降下する必要がある)、障害物に当たった下座板41は、ブレーキ復帰をさせるだけのシャッターカーテン1の降下量に対応する上動ストロークを備えていることが望ましい。さらに、この上動ストロークに加え、下座板41は、上座板40に対して、相対的に上動可能とするような余裕ストロークを備えていることが望ましい。この余裕ストロークによって、下座板41に障害物が接触した時に、当該下座板41の荷重のみを障害物に作用させることができ、障害物にシャッターカーテン全体の荷重が作用することを防止する。ここで、上座板40に対して相対的に上動する下座板41とから座板4を構成することは公知であるが、本実施形態では、上座板40に対する下座板41の可動距離は、従来の可動距離よりも大きい。具体的には、上座板40に対する下座板41の相対的な可能距離は、自重降下するシャッターカーテン1下端の下座板41が障害物に当たった時に検知レバー42を回動させて、第2回動レバー93をロックドラム90に係止させて当該ロックドラム90の回転を規制して巻取ドラム91に収納されている復帰ワイヤの引き出しを規制するまでの第1移動量(ロックのために第1回動レバー92及び第2回動レバー93を回動させる必要あり)と、復帰ワイヤの引き出しが規制された状態で上座板40が下座板41に対して相対的に下動することで前記引き出しが規制された復帰ワイヤを下方に引っ張ってブレーキを復帰させるまでの第2移動量(ロック後に復帰ワイヤを下方に引っ張る必要あり)と、ブレーキ復帰によってシャッターカーテン1の下降が停止した後で上座板40に対する下座板41の上動を許容する第3移動量(障害物に作用するであろう荷重を緩和する)と、の合計からなる。なお、復帰ワイヤを引くことに関連して、下座板41の上動ストロークが小さい場合であっても、復帰ワイヤの途中(例えば、中継装置8)や復帰ワイヤ(第1ワイヤW2)と作動部7の作動機構との連結部位に位置させて、第2ワイヤW3の上動ストロークに対して大きい作動機構(ブレーキ解放体)の牽引量を取り出す機構(例えば、リンク機構)を設けることでブレーキを復帰させることができる。
【0113】
障害物除去後に下座板41が下動して、ワイヤ43の引っ張りが無くなると、第2の姿勢にある第1回動レバー92がコイルスプリング96の力によって第2の方向に回動を開始する。後述するように、本実施形態では、第1回動レバー92の第2の方向への回動速度は減速されている。第1回動レバー92の上端の当接部923は凹状の円弧面となっており、回動初期には、第3回動レバー94の当接部942の周面に対して摺動しながら、第1回動レバー92が第2の方向に回動を開始する一方、第2回動レバー93は、第2の姿勢(ロック状態)を維持している(
図28)。
図27と
図28を対比すればわかる通り、第2回動レバー93の当接部936と第3回動レバー94の係止部941との係止状態の遊びの範囲において、第2の姿勢にある第1回動レバー92が第2の方向へ回動すると、第2回動レバー93もわずかに第2の方向に回動するが、当該係止状態は維持されており、第2回動レバー93の係止部934とロックドラム90の被係止部903とはロック状態にある。
【0114】
第1回動レバー92が所定量回動した時点から、第1回動レバー92の当接部923が第3回動レバー94の当接部942に当接して作用し、第3回動レバー94の先端側の当接部942が第1回動レバー92の回動に連動して上方に押し上げられ、第3回動レバー94が所定量押し上げられると、第3回動レバー94の係止部941と第2回動レバー93の当接部936との係止状態が解除され(係止状態が解除される直前まで、第2回動レバー93のロック状態が維持される)、第2回動レバー93はコイルスプリング97の力によって第2の方向に瞬時に回動し、第2回動レバー93の係止部934とロックドラム90の被係止部903との係止状態が解除され、ロック状態が解除される。ロック状態が解除される直前の状態を
図29に示す。
図29の状態から第1回動レバー92の当接部923によって第3回動レバー94の当接部942が完全に押し上げられると、第2回動レバー92の当接部936と第3回動レバー94の係止部941との係止状態が外れて、同時に、コイルスプリング97によって第2回動レバー93が第2の方向に瞬時に回動して、係止部934がロックドラム90の被係止部903から外れて、ロックドラム90の回転が可能となる(
図30)。
【0115】
本実施形態では、第2ワイヤW3を、ロックドラム90と、巻取ドラム91に分けて巻き取るようにしている。1つの回転体にワイヤの巻取機構とロック機構の両方を設けた場合には(本発明の範囲には、かかる態様も含まれるが)、ワイヤが回転体に乱巻きされ、多層に巻かれたワイヤに外側のワイヤが食い込んで、いわゆる巻き絞りが生じるおそれがある。ワイヤに巻き絞りが生じると、ワイヤの円滑な繰り出し、巻取りに影響を与える可能性がある。本実施形態では、第2ワイヤW3は先ずロックドラム90に3周巻かれてから、巻取ドラム91に巻装されるようになっており、第2ワイヤW3に発生し得る力はロックドラム90に作用するようになっている。ここで、ロックドラム90の周面901には、第2ワイヤW3が一層巻き(並行状の3巻き)なので、第2ワイヤW3に力が作用しても、回転中のロックドラム90の回転が急に停止しても、ワイヤに巻き絞りが生じることがない。また、第2ワイヤW3をロックドラム90に複数巻くことで、第2ワイヤW3がロックドラム90の周面901で滑ることを防止しており、ロックドラム90と巻取ドラム91が一緒に回転するようになっている。また、巻取ドラム91には、第2ワイヤ3を巻き取る方向に付勢するぜんまいばねが内蔵されているので、ロックドラム90がロックされて回転が停止しても、第2ワイヤW3の弛みは生じない。また、ロック状態でシャッターカーテン1が上昇した場合には、ロックドラム90に3周巻かれた第2ワイヤW3が緩むが、緩んだ第2ワイヤW3は、ぜんまいばねを内蔵した巻取ドラム91に巻き取られるので、第2ワイヤW3が弛むことがない。障害物検知時におけるシャッターカーテン1のタッチアップを、遅延機構により遅延されたロック解除を待たなくても行うことができ、シャッターカーテン1が停止してからタッチアップするまでの時間を短くすることができる。また、障害物検知時にはロックドラム90に3周巻かれた第2ワイヤW3の摩擦力によって第2ワイヤW3を下方に引くようになっているが、仮に、ロック状態で前記摩擦力を超える大きな下向きの力が作用した場合には、ロックドラム90に3周巻かれた第2ワイヤW3が滑ってシャッターカーテン1を降ろすことで第2ワイヤW3の切断を防止する。
【0116】
第1回動レバー92の下端は、コイルスプリング98を介してワイヤ43に連結されており、コイルスプリング98は緩衝用バネを構成している。ブレーキ復帰のためには復帰ワイヤを所定量引っ張る必要があり(すなわち、シャッターカーテン1が所定量降下する必要がある)、障害物に当たった下座板41は、第2回動レバー93の係止部934がロックドラム90の歯状の被係止部903に係止した後も相対的に上動する必要がある。この時、コイルスプリング98が伸びることで、ロックドラム90がロックされた後の下座板41の上動に伴うワイヤ43や係止部分(係止部934、被係止部903)への負荷を緩和している。より具体的に説明すると、ロック後(係止部934が被係止部903に係止した後)、さらに上座板40が下座板41に対して下動することで、下動した分だけ復帰ワイヤが引き下げられる。同時に、上座板40の下動によって、検知レバー42がさらに上方に回動して、ワイヤ43がさらに引かれるが、この時、コイルスプリング98が伸びることで、第2回動レバー93の係止部934がロックドラム90の被係止部903に押し付けられることを防止する。
【0117】
以上説明したロック装置9の構成は1つの実施形態であって、本発明の権利範囲を限定するものではない点に留意されたい。図示の態様では、ロックドラム90と巻取りドラム91は隣接しているが、ロックドラム90と巻取ドラム91を離間(非限定な例示として、これらのドラムの半径寸法から直径寸法程度)させて配置してもよい。本実施形態では、ロックドラム90と巻取ドラム91を別体として設け、ロックドラム90をロックする構成に基づいて説明したが、出願人の先の出願である特許第4906612号(特開2009-13647号)に記載したもののように、ロックドラムと巻取ドラムを一体化してもよい。図示の態様では、ロックドラム90の一側にのみ第1回動レバー92、第2回動レバー93、第3回動レバー94、検知レバー42を配置したが、ロックドラム90の両側に検知レバーを配置すると共に、それぞれの検知レバーに連結されるワイヤに連結される左右一対の第1回動レバーを設けてもよい。図示の態様では、3つの回動レバー(第1回動レバー92、第2回動レバー93、第3回動レバー94)を示したが、1つの回動ロックレバーを備えたものでもよい(
図33参照、特許文献1参照)。
【0118】
ロック装置は、下座板41の上動によって復帰ワイヤの引き出し規制を行うものであれば、その構成は限定されない。例えば、ロック装置は巻取ドラムを備えていなくてもよい。すなわち、巻取ドラムをロック装置とは別の場所(例えば、ロック装置から離間した座板の部分、まぐさ部等の開口部上方部位、ガイドレール内部等)に設けもよい。巻取ドラムをまぐさ部に設ける態様は、例えば特許文献1に開示されている。また、復帰ワイヤは必ずしも巻取ドラムに巻装されるものに限定されず、例えば、復帰ワイヤの下端側をプーリによってガイドレール内部に案内し、下端を床面やガイドレールに固定してもよい。ロック装置は、必ずしもロックドラムを備えたものに限定されず、例えば、挟持手段や圧接手段によって復帰ワイヤの引き出しを機械的に規制するものでもよい。ロック装置は、必ずしも全ての構成要素が上座板に設けられているものに限定されず、ロック装置の構成要素の一部が下座板に設けられる態様も含む。
【0119】
[G]自重再降下遅延機構
上述のように、障害物の除去後には、下座板41が上座板40に対して相対的に下動することで、ロック装置9が非ロック状態となって復帰ワイヤ(第1ワイヤW2+第2ワイヤW3)の引き出しが可能となり、自動閉鎖装置6の作動機構によって開閉機Mのブレーキが解放され、シャッターカーテン1が自重再降下する。ここで、ロック装置9の可動ロック部(例えば、第1回動レバー92)や検知レバー42の第2の姿勢から第1の姿勢への変位に抵抗を与えるように減衰機構を設けることで、ロック姿勢である第2の姿勢にある可動ロック部の速度を低減させて第1の姿勢へと回動させて、復帰ワイヤ(第1ワイヤW2、第2ワイヤW3)の引き出し規制を解除するタイミングを遅延させる。すなわち、ロック状態にあるロック装置9が非ロック状態となるタイミングを遅延させて復帰ワイヤ(第1ワイヤW2、第2ワイヤW3)を引き出し可能とすることで、障害物除去後にシャッターカーテン1が自重再下降を開始するまでの時間を遅らせるようにしている。具体的な構成例について、以下に説明する。
【0120】
まず、
図26~
図30に示すように、ロック装置9は、ロックドラム90と、巻取ドラム91と、第1回動レバー92と、第2回動レバー93と、第3回動レバー94を備えている。このロック装置9の構成や動作の詳細については、既述の記載を援用することができる。また、同じ参照番号が付されている要素については、既述の記載を援用することができる。本実施形態における自重再降下遅延機構は、第1回動レバー92の復旧を遅延させる遅延機構46である。
【0121】
図41~
図42に示すように、遅延機構46は、ロータリーダンパ460と、回動アーム461と、連結バー462と、支持プレート463と、を備えている。支持プレート463は垂直状に延びており、上端を上座板40の上面部 400の下面に固定することで、上座板40の上面部400に対して垂下状に設けてある。支持プレート463の面部にロータリーダンパ460が固定されている。
【0122】
回動アーム461は概ね上下方向に延びた縦姿勢となっており、回動アーム461の基端(上端)はロータリーダンパ460に連結され、先端(下端)は連結バー462の一方の端部に近い部位に連結されている。連結バー462は座板4の長さ方向に延びており、連結バー462の一方の端部は、コイルスプリング98を介してワイヤ43と連結され、連結バー462の他方の端部は第1回動レバー92の下端に連結されている。連結バー462は、第1回動レバー92の第1の方向への回動、第2の方向への回動に連動して座板4の長さ方向に左右に移動するようになっており、連結バー462の左右の移動に連動して回動アーム461が第1の方向、第2の方向に回動するようになっている。
【0123】
ロータリーダンパ460は、ワンウェイダンパであり、回動アーム461の第1の方向の回動には抵抗を与えずに回動アーム461の第1の方向への回動を自由に許容する一方、回動アーム461の第2の方向の回動に抵抗を与えることで、連結バー462の移動速度、第1回動レバー92の第2の方向への回動速度を低減するようになっている。
【0124】
上座板40には、座板4の長さ方向に間隔を存して複数の検知レバー42が設けてある。
図43~
図44に示すように、検知レバー42は、上座板40の上面部400の内側に固定された支持部42Aに対して回動可能に取り付けられている。座板4は、通常の姿勢では、下座板41が上座板40から吊持された状態にあり、具体的には、
図41に示すように、下座板41は、上座板40の左右の側面部401の下端に形成した被当接片402に、下座板41の左右の側面部413の上端に形成した当接片411が掛止されることで、上座板40に対して相対的に上下動自在に吊持されている。また、
図41に示すように、座板4(上座板40、下座板41)の内部空間の幅は、遅延装置46に対して遥かに大きいので、下座板41の上動時に上座板40に対する下座板41の前後方向の傾動を許容する空間が確保されており、床面が傾斜していても良好に対応することができる。
【0125】
検知レバー42は被当接部420を備えており、
図41、
図43に示す通常姿勢では、下座板41の当接片411が検知レバー42の被当接部420に下側から近接している。下座板41の下面410に障害物が当たって、上座板40に対して下座板41が上動すると、下座板41の当接片411が被当接部420に下側から当接して押し上げるようになっており、これによって検知レバー42が第1回動レバー92の下端から離隔する方向に回動し、ワイヤ43が第1回動レバー92を第1の方向に回動させるように移動する。下座板41が上座板40に対して上限位置まで上動した姿勢では、下座板41の水平部414が上座板40の被当接片402に下側から当接している(
図44参照)。なお、障害物に当接した際は、下座板41が前記の上限位置まで上動する前に、自重降下及び電動降下を停止する設定となっている。
【0126】
ロック装置9、検知レバー42、遅延機構46の作用について説明する。なお、ロック装置9の作用について、適宜、
図26~
図30を参照されたい。自重降下中のシャッターカーテン1の下端が障害物に当接して、下座板41が上座板40に対して相対的に上動すると、下座板41の上動に連動して検知レバー42が回動するようになっている。複数の検知レバー42の下端部位(通常姿勢での)はワイヤ43によって互いに連結されており、ワイヤ43の一端はコイルスプリング98、遅延機構46を介して第1回動レバー92に連結されている。検知レバー42は、下座板41が上座板40に対して相対的に上動すると、ロックドラム90から離隔する方向に回動してワイヤ43をロックドラム90から離隔する方向に引っ張り、第1回動レバー92が第1の姿勢から第2の姿勢へと回動する。この時、減衰機構46のワンウェイのロータリーダンパ460は、連結バー462の移動に伴う回動アーム461の回動に抵抗を与えることがないので、検知レバー42の回動に連動して速やかに第1回動レバー92が回動する。
【0127】
第1回動レバー92が第1の姿勢(
図26)から第1の方向へ回動すると、第1回動レバー92の第1部分920が第2回動レバー93の当接部935に当接しながら押すことで、第1の姿勢にある第2回動レバー93は第1の回動レバー92と一緒に第1の方向へ回動して、第2回動レバー93の係止部934がロックドラム90の歯状の被係止部903に係止してロックドラム90の回転を規制する(
図27)。
【0128】
一方、
図26に示すように、第1の姿勢にある第3回動レバー94は、第1の姿勢にある第2回動レバー93の当接部936に当接することで、下側への回動が規制されている。第1の姿勢にある第2回動レバー93が第1回動レバー92と共に第1の方向へ回動することで、第2回動レバー93の当接部936が第3回動レバー94の係止部941の角部を乗り越えて係止部941に係止すると同時に、第3回動レバー94が自重で下側へ回動して第2の姿勢となる(
図27)。
【0129】
第1回動レバー92、第2回動レバー93、第3回動レバー94が第2の姿勢にある時には、第1回動レバー92の第2の姿勢は、ワイヤ43の引っ張り力により保持され、第2回動レバー93の第2の姿勢は、第2の姿勢にある第1回動レバー92の第1部分920が第2回動レバー93の当接部935に当接することで保持され、第3回動レバー94の第2の姿勢は、第1回動レバー92の当接部923が第3回動レバー94の当接部942に当接することで保持される。したがって、ワイヤ43が引っ張られた状態、すなわち、障害物検知状態にある時には、第1回動レバー92、第2回動レバー93、第3回動レバー94が第2の姿勢を維持し、ロック装置9がロック状態にあってロックドラム90の回転が規制される。
【0130】
ロックドラム90の回転が停止すると、第2ワイヤW3の引き出しが規制され第2ワイヤW3の長さが一定となり、この状態で上座板40(すなわちロックドラム90)が下座板41に対して降下すると、第2ワイヤW3、中継装置8を介して第1ワイヤW2が引かれて、第1作動体73が第2の方向へスライド移動する。電動降下中の場合は、定常位置にある第1作動体73が第2の方向に移動して第1マイクロスイッチSW1がONからOFFとなり、障害物検知信号(座板作動信号)が障害物検知用制御盤11Aに送信され、障害物検知信号を受信した障害物検知用制御盤11A、シャッター制御盤11Bによって開閉機Mの駆動を停止して、シャッターカーテン1の降下が停止する。自重降下中の場合には、ブレーキ解放位置にある第1作動体73が定常位置(ブレーキ復帰位置)へ移動することで、ブレーキ解放レバーMLが復帰してブレーキが復帰し、巻取シャフト2の回転を規制してシャッターカーテン1の降下が停止する。
【0131】
障害物除去後に下座板41が下動して、検知レバー42によるワイヤ43の引っ張りが無くなると、第2の姿勢にある第1回動レバー92がコイルスプリング96の力によって第2の方向に回動を開始する。この時、遅延装置46のワンウェイロータリーダンパ460によって、回動アーム461の第2の方向への回動に抵抗が与えられ、回動アーム461がゆっくりと第2の方向へ回動することで、ワイヤ43に引かれて第1の方向に移動した連結バー462がゆっくりと第2の方向へ移動する。したがって、連結バー462の端部に連結された第1回動レバー92の第2の方向への回動速度が減速される。
【0132】
第1回動レバー92が所定量回動した時点から、第1回動レバー92の当接部923が第3回動レバー94の当接部942に当接して作用し、第3回動レバー94の先端側の当接部942が第1回動レバー92の回動に連動して上方に押し上げられ、第3回動レバー94が所定量押し上げられると、第3回動レバー94の係止部941と第2回動レバー93の当接部936との係止状態が解除され(係止状態が解除される直前まで、第2回動レバー93のロック状態が維持される)、第2回動レバー93はコイルスプリング97の力によって第2の方向に瞬時に回動し、第2回動レバー93の係止部934とロックドラム90の被係止部903との係止状態が解除され、ロック状態が解除される。ロック状態が解除される直前の状態を
図29に示す。
図29の状態から第1回動レバー92の当接部923によって第3回動レバー94の当接部942が完全に押し上げられると、第2回動レバー92の当接部936と第3回動レバー94の係止部941との係止状態が外れて、同時に、コイルスプリング97によって第2回動レバー93が第2の方向に瞬時に回動して、係止部934がロックドラム90の被係止部903から外れて、ロックドラム90の回転が可能となる(
図30)。
【0133】
本実施形態では、座板に設けた遅延装置46を用いることで、障害物除去後にロック装置9のロック状態が解除されるまでの時間を遅延させると共に、所定の遅延後には、ロック状態(係止状態)が瞬時に解除されるようにして、障害物検知によって一旦停止したシャッターカーテンが再下降するタイミングを遅延させる機構を実現している。より具体的には、本実施形態では、回動ロックレバーを2つの部材(下座板の上動に連動して回動する第1回動レバー92、ロックドラムに係止する第2回動レバー93)から構成し、第2回動レバー93のロック解除方向(第2の方向)への回動を、第1回動レバー92の第2の方向への回動と分離することで、第2回動レバー93を、第1回動レバー92が第2の方向へ所定量回動した時点で第2の方向へ回動してロック状態が解除されるように構成し、遅延機構46によって第1回動レバー92の第2の方向への回動をゆっくりと行うことによって、ロック状態解除のタイミングを遅延させて、障害物除去からシャッターカーテン再下降が開始されるまでの時間を遅延させる。
【0134】
[H]商用電源を用いない機械式危害防止装置付き防火シャッター(第1実施形態)
図45を参照しつつ、商用電源を用いない機械式危害防止装置付き防火シャッターの第1実施形態について説明する。
図45は、危害防止装置を備えた電動シャッター装置の概略正面図であり、図中、要素間を繋ぐ実線は電線であり、一点鎖線はワイヤである。機械式危害防止装置付き防火シャッターの基本的な構成は、必要に応じて、既述の防火シャッターと同様であり、既述の説明を適宜援用することができる点に留意されたい。
【0135】
[H-1]防火シャッターの全体構成
図45に示すように、シャッター装置は、左右のガイドレール3の間に形成された開口部を開閉するシャッターカーテン1と、開口部上方において、開口幅方向の一側に寄った部位に設けられた開閉機Mと、制御部(11A、11B)と、開閉操作部(第1操作ボックス10A)と、手動閉鎖装置(第2操作ボックス10B)と、防災盤6bからの火災検知信号の入力あるいは手動閉鎖装置からの操作によってシャッターカーテン1を自重降下させる自動閉鎖装置6と、電動下降あるいは自重下降するシャッターカーテン1が障害物に当たった時に障害物を検知する障害物検知手段と、この障害物検知手段を用いた機械式危害防止装置と、を備えている。
【0136】
シャッターカーテン1は、複数枚の開口幅方向に延びる長尺状のスラットを上下に連結して構成されており、下端には座板4が設けてある。座板4は、座板4は開口部幅方向に延びる長尺状の上座板40と、上座板40の下方側に上座板40に対して相対的に上下動自在に吊持された長尺状の下座板41とからなり、座板4は、障害物検知手段の一構成要素となっている。
【0137】
シャッター装置は、火災時にシャッターカーテン1を自重降下させる自動閉鎖装置6及び作動部7(ブレーキ解放・復帰装置)を備えている。自動閉鎖装置6は、防災盤6bからの火災検知信号の入力によって作動して、ワイヤW1、作動部7を介してブレーキを解放させる。図示の態様では、自動閉鎖装置6と作動部7は離間しており、自動閉鎖装置6と作動部7がワイヤW1を介して機械的に接続されており、火災信号が入力されると自動閉鎖装置6が作動してワイヤW1を引っ張ることで、作動部7がブレーキ解放姿勢となって開閉機Mのブレーキが解放される。本実施形態では、自動閉鎖装置6には、復旧機構5が一体化されている。自動閉鎖装置6、作動部7、復旧機構5の具体的な構成については既述の説明を参照することができる。
【0138】
本実施形態では、制御部は、障害物検知用制御盤11Aと、シャッター制御盤11Bと、からなる。
図45に示すように、本実施形態では、作動部7と障害物検知用制御盤11Aが電気的に接続されており、障害物検知用制御盤11Aとシャッター制御盤11Bが電気的に接続されており、操作ボックス10の第1操作ボックス10A内の開閉操作スイッチ100(開放スイッチU、閉鎖スイッチD、停止スイッチS)と障害物検知用制御盤11Aが電気的に接続されている。電動昇降時において、スイッチからの入力に基づく開放信号、閉鎖信号、停止信号は、障害物検知用制御盤11Aを介してシャッター制御盤11Bに送信される。図示の態様では、障害物検知用制御盤11Aとシャッター制御盤11Bは物理的に離隔しているが、制御部は、障害物検知用制御盤11Aの機能とシャッター制御盤11Bの機能を備えた1つの制御部であってもよい。既述のように、電動開閉モードと自重降下モード(火災モード)で異なる制御に対応可能となっている
【0139】
開口部全開状態で火災が発生すると、火災感知器6aによって火災が感知され、防災盤6bからの火災検知信号によって自動閉鎖装置6が作動して、ワイヤW1を介して作動部7がブレーキ解放姿勢となって、開閉機Mのブレーキを解放する。ブレーキが解放されると、シャッターカーテン1は、幅方向両端部がガイドレール3の溝部に案内されながら自重で下降し、座板4が着床することで開口部を全閉する。
【0140】
シャッター装置は、いわゆる危害防止装置を備えており、自重降下中のシャッターカーテン1の下端の座板4が障害物に当たって当該障害物を検知すると、復帰ワイヤを介して開閉機Mのブレーキを復帰させて、シャッターカーテン1の降下を停止させるようになっている。復帰ワイヤは、第1ワイヤW2と第2ワイヤW3とから構成されている。開口部上方部位には、開口幅方向の開閉機Mが設置された側に寄って、中継装置8が設けてあり、座板4には、中継装置8の下方に位置するように開口幅方向の一側に寄って、ロック装置9が設けてある。
【0141】
第1ワイヤW2と第2ワイヤW3は中継装置8を介して接続されている。第1ワイヤW2の一端はブレーキ解放体(第1作動体73)をブレーキ復帰方向に移動させるように作動部7(第1作動体73)に連結されており、他端は中継装置8に連結されている。第2ワイヤW3の一端は中継装置8に連結されており、他端は座板4に設けたロック装置9に連結されている。第2ワイヤW3は、シャッターカーテン1の降下に伴ってシャッターカーテン1の面部に沿って延びるように引き出される。
【0142】
ロック装置9は、上座板40に設けられ、降下中のシャッターカーテン1の下座板41が障害物に当たって上座板40に対して相対的に上動することで、復帰用ワイヤ(第2ワイヤW3)の引き出しを機械的に規制し、当該引き出しが規制された復帰ワイヤ(第2ワイヤW3+第1ワイヤW2)によりブレーキ解放体(第1作動体73)をブレーキ復帰方向に引っ張るようになっている。このようにして、自重降下中のシャッターカーテン1の下座板41が障害物に当たった場合には、復帰ワイヤ(第2ワイヤW3+第1ワイヤW2)によりブレーキ解放体(第1作動体73)をブレーキ復帰位置に移動させてシャッターカーテン1の自重降下を停止させる。
【0143】
障害物が除去されると、復帰ワイヤの引き出しが可能となって、ブレーキ解放体(第1作動体73)がブレーキ解放方向に移動して、シャッターカーテン1が自重再降下する。また、障害物除去後において、シャッターカーテン1が自重で再降下するタイミングを遅延させるようになっている。既述のように、電動降下中のシャッターカーテン1の下端の座板4が障害物に当たった場合にも、復帰ワイヤ(第2ワイヤW3+第1ワイヤW2)によるブレーキ解放体(第1作動体73)の移動を検知して、電動降下中のシャッターカーテン1を停止させる。中継装置8、ロック装置9の具体的な構成については既述の記載を援用することができる。
【0144】
本実施形態では、電動降下であるか自重降下であるかを問わず、閉鎖中のシャッターカーテン1が障害物に当たった時のシャッターカーテン1の降下の停止は、作動部7を介して(電動降下の場合はマイクロスイッチSW1の作動、自重降下の場合はブレーキ解放レバーMLの機械的な復帰)行われる。本実施形態に係るシャッター装置は、シャッターカーテン1の降下時に障害物を検知する障害物検知手段(座板4、検知レバー42、ロック装置9の巻取ドラム91、第2ワイヤW3等から構成される)と、障害物検知時に自重降下中のシャッターカーテン1を機械的に停止させる機械式停止手段(ブレーキ解放レバーMLの機械的な復帰)と、障害物検知時に電動降下中のシャッターカーテン1を停止させる電気的停止手段(マイクロスイッチSW1の作動)と、を備えている。既述のように、本実施形態に係るシャッター装置は、障害物検知状態から障害物非検知状態となった時に、停止したシャッターカーテン1を再降下させる再降下手段(自重再降下手段)を備えている。
【0145】
図45に示すように、シャッター装置の近傍の壁面には、操作し易い高さに操作ボックス10が設けてある。操作ボックス10は、縦長直方体の箱体である右側の第1操作ボックス10Aと、縦長直方体の箱体である左側の第2操作ボックス10Bと、からなる。操作ボックス10は、例えば、1つの箱体の内部空間を左右の空間に仕切ることで、第1操作ボックス10A、第2操作ボックス10Bを形成しても、あるいは、2つの独立した箱体を隣接させたものでもよい。第1操作ボックス10Aの前面には第1蓋体101が開閉可能に設けてあり、第2操作ボックス10Bの前面には第2蓋体102が開閉可能に設けてある(
図34参照)。
図46は操作ボックスの正面図であり、蓋体は省略されている。
【0146】
第1操作ボックス10Aは、スイッチボックスであり、
図46に示すように、第1操作ボックス10A内の前面部100Aには、開放スイッチU、閉鎖スイッチD、停止スイッチSからなる開閉操作スイッチ100が配置されている。開閉操作スイッチ100が電源(臨時電源)に接続されている場合には、開閉操作スイッチ100は、制御部(障害物検知用制御盤11A、シャッター制御盤11B)と電気的に接続されており、開放スイッチUを押すと、制御部を介して開閉機Mによってシャッターカーテン1が上昇し、閉鎖スイッチDを押すと、制御部を介して開閉機Mによってシャッターカーテン1が下降し、停止スイッチSを押すと、制御部を介して開閉機Mの駆動が停止してシャッターカーテン1が停止する。
【0147】
第2操作ボックス10Bは、手動操作ボックスであり、手動閉鎖装置の操作部、及び、自動閉鎖装置6の復旧装置の操作部が設けられる。第2操作ボックス10Bにおいて、前面部100Bの下方部位には手動閉鎖用の非常時閉鎖スイッチ(図示の態様では押スイッチである)103が設けてあり、第2操作ボックス10Bの前面部100Bの側方部位には第2蓋体102に隣接して回動レバー104が回動可能に設けてある。非常時閉鎖スイッチ103の押し操作、及び、回動レバー104の手動回動操作は、第2操作ボックス10Bの第2蓋体102が閉鎖された状態で行うことができる。
【0148】
手動閉鎖装置の操作部(非常時閉鎖スイッチ103、回動レバー104)は、作動部7のブレーキ解放操作、ブレーキ復帰操作を行えるように手動操作用のワイヤW4の一端に機械的に連結されている。ワイヤW4の他端は、作動部7に連結されている。手動閉鎖装置の操作部は、ブレーキ解放作動前の状態から第1の操作(非常時閉鎖スイッチ103の押し操作)によってブレーキを解放するように作動し、ブレーキ解放作動後の状態から第2の操作(回動レバー104)によってブレーキを復帰させるように作動する。第2操作ボックス10B内の前面部100Bには自動閉鎖装置復旧ワイヤW5を巻き掛けするプーリ107が設けてあり、復旧用レバー106(
図36参照)は、自動閉鎖装置復旧ワイヤW5によって復旧機構5と接続されており、復旧機構5と共に、自動閉鎖装置6の復旧装置を構成する。
【0149】
[H-2]臨時電源
図45に示すシャッター装置は、開閉機Mを駆動するための電力を供給するバッテリを搭載しておらず、また、いかなる商用電源にも接続されていない。一般的な電動シャッターの開閉機は、通常、回路遮断器Brを介して商用電源が接続されており、商用電源から供給される電力によって駆動するようになっている。これに対して、本実施形態では、開閉機Mのシャッター制御盤11Bから延びる電線が接続された回路遮断器Brの一次側には、商用電源は接続されておらず、電線EW1が接続されており、電線EW1は壁体(躯体)を介して下方部位まで延びており、電線EW1の端部には、接続部としてのコネクタC1が設けてある。コネクタC1には臨時電源が接続可能となっている。コネクタC1には、外部から電線EW2の先端の接続部が接続可能となっており、電線EW2の基端には臨時電源が接続されている。臨時電源は、開閉機Mへ電力を供給する電線EW1に設けた接続部(コネクタC1)に接続可能な電源であり、かつ、通常のシャッター装置の使用状態では、前記接続部(コネクタC1)に接続されておらず、開閉機Mに対して電力を供給可能な状態に無い電源であり、シャッターの電動駆動が必要となった時にのみ一時的に前記接続部(コネクタC1)に接続される電源である。
【0150】
より具体的には、回路遮断器Brの一次側に接続された電線EW1は、ガイドレール3の側方の壁体内を通って、壁体の下方部位に埋設した操作ボックス10まで延びており、第1操作ボックス10Aの前面部100AからコネクタC1が露出している(
図46参照)。第1操作ボックス10Aの蓋体101(
図34参照)を開放することで、コネクタC1に外部から電線EW2の先端の接続部C2が接続可能となる。
【0151】
臨時電源として可搬式の発電機Gを用意し、発電機Gの出力側にコネクタC1に接続できるコネクタC2を備えた電線EW2を設けて、第1操作ボックス10Aの前面部100Aに露出するコネクタC1に発電機Gを接続可能となっている。発電機Gは、例えば、走行ローラを備えた可動式の発電機Gであり、通常時には、適所に格納されている。
【0152】
このように、開閉操作スイッチ100を備えた操作ボックス10内に外部から臨時電源としての発電機Gが接続可能なコネクタC1を設けることで、シャッターの開閉操作スイッチ100と同じ箇所で発電機Gの接続を行うことができ、発電機Gの接続、開閉操作スイッチ100からの操作をスムーズに行うことができる。また、開閉操作スイッチ100に接続された電線が延びるパイプ等(壁体内に埋設されている)の中空部の一部を利用して、電線EW1を躯体内に配線することができる。図示の態様では、電線EW1の端部のコネクタC1は、第1操作ボックス10Aの前面部100Aに露出しているが、第2操作ボックス10Bの前面部100Bに露出させてもよい。この場合も、ワイヤW4が延びるパイプ等(壁体内に埋設されている)の中空部の一部を利用して、電線EW1を躯体内に配線することができる。
【0153】
上記例では、開閉機Мへ電力を供給する電線EW1は壁体内を通るように設けてあるが、電線EW1を、壁体の外面に沿って設けてもよい。また、電線EW1を、ガイドレール3を介して開口部下方まで案内してもよい。より具体的には、電線は、ガイドレール3内を通って、または、ガイドレール3外面に沿って、ガイドレール3の下方部位まで延びており、下方部位において電線EW1の端部には、外部から接続可能な接続部としてのコネクタC1を設ける。コネクタC1はガイドレール3の外面に露出可能に設けてもよく、あるいは、ガイドレール3に開閉操作部ないし手動閉鎖装置が設けてある場合には、開閉操作部ないし手動閉鎖装置において外部に露出可能に設けてもよい。あるいは、電線EW1は、壁体内あるいはガイドレール3内を通って、または、壁体外面あるいはガイドレール3の外面に沿って、ガイドレール3の下方部位あるいは壁体の下方部位(床面ないし床内を含む)まで延びており、操作ボックス10及びガイドレール3とは独立した壁体上ないし床面上あるいは床面内の部位において、外部から接続可能な接続部としてのコネクタC1を設けてもよい。
【0154】
発電機Gに代えて、壁体に露出した電源コンセント(図示せず)を臨時電源として、電線EW2を用いて、電源コンセントと電線EW1の端部のコネクタC1を接続してもよい。電源コンセントを臨時電源とする場合には、必要に応じて(例えば、開閉機が200Vで動作する場合)、適宜、変圧器を設けて電圧を変換する。
【0155】
本実施形態において、開閉機Mを駆動するための電力を供給する臨時電源は、コネクタC1に接続可能な可搬式発電機あるいは電源コンセントであるが、これらの臨時電源は通常時(シャッター装置は通常の使用状態では開口部全開状態あるいは開口部全閉状態にある)には、コネクタC1に接続されておらず、すなわち、これらの臨時電源と開閉機Mとは接続されていない。
【0156】
図45に示すシャッター装置は、1つの態様では、通常時は、シャッター全閉状態で使用され、通常時の使用状態では、コネクタC1には、可搬式発電機あるいは電源コンセントは接続されていない。通常時(全閉状態)において、操作ボックス10の開放スイッチUを押しても、全閉姿勢にあるシャッターカーテン1は上昇しない。メンテナンス等の理由からシャッターを開放させる必要が生じた場合には、発電機Gを用意して、発電機GをコネクタC1に接続することで、発電機Gを臨時電源として開閉機Mに電気を供給することで、開閉機Mが駆動可能となり、開放スイッチUを押すことでシャッターは開放する。
【0157】
発電機Gを臨時電源として一旦上昇させたシャッターカーテン1を降下させる場合には、閉鎖スイッチDを押すことでシャッターカーテン1は降下を開始する。シャッターカーテン1の降下中に、障害物検知が行われた場合には、電気的停止手段(マイクロスイッチSW1の作動)によってシャッターカーテン1が停止し、障害物非検知状態後に、閉鎖スイッチDを押すことで停止したシャッターカーテン1が再降下して全閉状態となる。手動閉鎖装置からの操作によってシャッターカーテン1を降下させてもよく、シャッターカーテン1の降下中に、障害物検知が行われた場合には、機械式停止手段(ブレーキ解放レバーMLの機械的な復帰)によってシャッターカーテン1が停止し、障害物非検知状態となると、自重再降下手段により停止したシャッターカーテン1が再降下して全閉状態となる。点検時にシャッターカーテン1を自重降下させる場合に、手動閉鎖装置に代えて、防災盤の作動ボタンの押圧により生成される疑似信号を用いてシャッターカーテン1を自重降下させてもよく、あるいは、ブレーキ解放レバーを直接作動させることでシャッターカーテン1を自重降下させてもよい。
【0158】
本実施形態では、シャッター装置を商用電源と接続せずに、シャッターを開放させる時のみ発電機を簡単に接続できるようにしたことで、商用電源を利用するための電気配線が不要となり、電源の敷設工事の費用を抑えることができる。本実施形態では、発電機や電源コンセントがあれば、通常時は全閉状態で用いられるシャッター装置(商用電源に接続されておらず、また、バッテリも搭載されていない)を電動で開放することができ、また、1つの可搬式の発電機を用いて複数のシャッター装置の電動開放も可能である。また、本実施形態に係るシャッター装置は、機械式危害防止装置を備えていることで、通常時に電源に接続されておらず、またバッテリを搭載していないものであっても、障害物検知が可能であり、かつ、障害物除去後の再降下が可能である。
【0159】
[H-3]倉庫内に設置されたシャッター装置
図47は、複数のシャッター装置SD1~SD12が配置された倉庫の概略平面図である。シャッター装置SD4~SD12は、
図45に示す防火シャッター装置である。倉庫は平面視方形状の外壁を備え、外壁の1つには3つの開口部(出入口)が形成されており、各開口を開閉するように、シャッター装置SD1、SD2、SD3が設置されている。図示の態様では、これらのシャッター装置SD1、SD2、SD3は全開状態にある。
【0160】
倉庫内には、開口部に離隔対向して、荷揚げ用の段差部Fが設けてあり、段差部F近傍まで搬送車が進入可能となっている。倉庫内には長手方向、短手方向に延びる壁体が設けてあり、これらの壁体には複数の開口が形成されており、各開口にはシャッター装置SD4~SD12が設置されている。図示の態様では、シャッター装置SD4、SD5、SD6、SD7、SD11、SD12が全閉状態にあり、シャッター装置SD8、SD9、SD10が全開状態にある。すなわち、シャッター装置SD4、SD5、SD6、SD7、SD11、SD12が仕切り壁を形成しており、倉庫内空間が、3つの区画に仕切られている。このように、必要に応じて、シャッター装置を選択して開放姿勢、閉鎖姿勢とすることで、倉庫内に所望の区画を形成することができる。
【0161】
1つの態様では、シャッター装置SD1~SD3は、商用電源に接続されており、倉庫の出入口を電動で開閉可能となっており、荷物の搬入時間外には、シャッター装置SD1~SD3を全閉状態として、倉庫の出入口を閉鎖する。通常時(荷物の搬入時間の内外にかかわらず)には、シャッター装置SD4、SD5、SD6、SD7、SD11、SD12は開口部全閉状態で使用されており、シャッター装置SD8、SD9、SD10は開口部全開状態で使用されている。
【0162】
シャッター装置SD4~SD12は、いかなる商用電源にも接続されておらず、また、バッテリも備えていない。シャッター装置SD4~SD12の各シャッター装置の各開閉機Mから延びる電線EW1は、壁体あるいはガイドレール3を介して下方部位にまで延びており、電線EW1の端部にはコネクタC1が設けてある。コネクタC1は、外部から発電機Gの接続部C2が接続可能となっている。
【0163】
メンテナンス等の理由から、シャッター装置SD4~SD12の開閉動作が必要となった場合には、所望のシャッター装置のコネクタC1に発電機Gの接続部C2を接続し、発電機Gを臨時電源として開閉機Mに電気を供給することで、開閉機Mが駆動可能となる。シャッター装置SD4、SD5、SD6、SD7、SD11、SD12については、開放スイッチUを押すことでシャッターカーテン1を上昇させる。シャッター装置SD8、SD9、SD10について、閉鎖スイッチDを押すことでシャッターカーテン1を下降させる。
【0164】
このように、複数のシャッター装置SD1~SD12のうちの一部あるいは全部のシャッター装置(本実施形態では、シャッター装置SD4~SD12)は、通常時は開口部全閉状態(SD4、SD5、SD6、SD7、SD11、SD12)あるいは開口部全開状態(SD8、SD9、SD10)で使用されており、これらのシャッター装置の開閉機Mには、通常時には、いかなる電源も接続されていない。開口部全閉状態にある所望のシャッター装置(SD4、SD5、SD6、SD7、SD11、SD12)を開放する時には、当該シャッター装置に対応するコネクタC1に発電機Gないし電源コンセントを接続し、開閉操作スイッチ100からの開操作によってシャッターカーテン1を電動上昇させ、開口部全開状態にある所望のシャッター装置(SD8、SD9、SD10)を閉鎖する時には、当該シャッター装置に対応するコネクタC1に発電機Gないし電源コンセントを接続し、開閉操スイッチ100からの閉操作によってシャッターカーテン1を電動下降させるか、あるいは、手動閉鎖装置を用いてシャッターカーテン1を自重降下させる。
【0165】
[I]商用電源を用いない機械式危害防止装置付き防火シャッター(第2実施形態)
図45Aを参照しつつ、商用電源を用いない機械式危害防止装置付き防火シャッターの第2実施形態について説明する。
図45Aは、
図45と類似の図であり、同じ参照番号を付した要素については、以下の異なる点を除き、既述の説明を援用することができる。
図45に示す第1実施形態と
図45Aに示す第2実施形態において大きく異なる点は、第1実施形態の制御部が障害物検知用制御盤11Aを備えているのに対して、第2実施形態の制御部は障害物検知用制御盤11Aを備えていない点、第1実施形態の作動部7がマイクロスイッチSW1、SW2を備えているのに対して、第2実施形態の制御部はマイクロスイッチSW1、SW2を備えていない点である。
【0166】
[I-1]防火シャッターの全体構成
図45Aに示すように、シャッター装置は、左右のガイドレール3の間に形成された開口部を開閉するシャッターカーテン1と、開口部上方において、開口幅方向の一側に寄った部位に設けられた開閉機Mと、制御部(シャッター制御盤11B)と、操作部(開放スイッチU)と、手動閉鎖装置(非常時閉鎖スイッチ103)と、防災盤6bからの火災検知信号の入力あるいは手動閉鎖装置からの操作によってシャッターカーテン1を自重降下させる自動閉鎖装置6と、自重下降するシャッターカーテン1が障害物に当たった時に障害物を検知する障害物検知手段と、この障害物検知手段を用いた機械式危害防止装置と、を備えている。
【0167】
シャッター装置は、火災時にシャッターカーテン1を自重降下させる自動閉鎖装置6及び作動部7(ブレーキ解放・復帰装置)を備えている。自動閉鎖装置6は、防災盤6bからの火災検知信号の入力によって作動して、ワイヤW1、作動部7を介してブレーキを解放させる。図示の態様では、自動閉鎖装置6と作動部7は離間しており、自動閉鎖装置6と作動部7がワイヤW1を介して機械的に接続されており、火災信号が入力されると自動閉鎖装置6が作動してワイヤW1を引っ張ることで、作動部7がブレーキ解放姿勢となって開閉機Mのブレーキが解放される。本実施形態では、自動閉鎖装置6には、復旧機構5が一体化されている。第2実施形態に係る作動部7は、マイクロスイッチSW1、SW2を備えていない点において、第1実施形態に係る作動部7と異なる。自動閉鎖装置6、作動部7、復旧機構5の具体的な構成については、マイクロスイッチSW1、SW2に関する記載を除き、既述の説明を参照することができる。
【0168】
開口部全開状態で火災が発生すると、火災感知器6aによって火災が感知され、防災盤6bからの火災検知信号によって自動閉鎖装置6が作動して、ワイヤW1を介して作動部7がブレーキ解放姿勢となって、開閉機Mのブレーキを解放する。ブレーキが解放されると、シャッターカーテン1は、幅方向両端部がガイドレール3の溝部に案内されながら自重で下降し、座板4が着床することで開口部を全閉する。
【0169】
シャッター装置は、いわゆる危害防止装置を備えており、自重降下中のシャッターカーテン1の下端の座板4が障害物に当たって当該障害物を検知すると、復帰ワイヤを介して開閉機Mのブレーキを復帰させて、シャッターカーテン1の降下を停止させるようになっている。復帰ワイヤは、第1ワイヤW2と第2ワイヤW3とから構成されている。開口部上方部位には、開口幅方向の開閉機Mが設置された側に寄って、中継装置8が設けてあり、座板4には、中継装置8の下方に位置するように開口幅方向の一側に寄って、ロック装置9が設けてある。
【0170】
第1ワイヤW2と第2ワイヤW3は中継装置8を介して接続されている。第1ワイヤW2の一端はブレーキ解放体(第1作動体73)をブレーキ復帰方向に移動させるように作動部7(第1作動体73)に連結されており、他端は中継装置8に連結されている。第2ワイヤW3の一端は中継装置8に連結されており、他端は座板4に設けたロック装置9に連結されている。第2ワイヤW3は、シャッターカーテン1の降下に伴ってシャッターカーテン1の面部に沿って延びるように引き出される。
【0171】
ロック装置9は、上座板40に設けられ、降下中のシャッターカーテン1の下座板41が障害物に当たって上座板40に対して相対的に上動することで、復帰用ワイヤ(第2ワイヤW3)の引き出しを機械的に規制し、当該引き出しが規制された復帰ワイヤ(第2ワイヤW3+第1ワイヤW2)によりブレーキ解放体(第1作動体73)をブレーキ復帰方向に引っ張るようになっている。このようにして、自重降下中のシャッターカーテン1の下座板41が障害物に当たった場合には、復帰ワイヤ(第2ワイヤW3+第1ワイヤW2)によりブレーキ解放体(第1作動体73)をブレーキ復帰位置に移動させてシャッターカーテン1の自重降下を停止させる。
【0172】
障害物が除去されると、復帰ワイヤの引き出しが可能となって、ブレーキ解放体(第1作動体73)がブレーキ解放方向に移動して、シャッターカーテン1が自重再降下する。また、障害物除去後において、シャッターカーテン1が自重で再降下するタイミングを遅延させるようになっている。中継装置8、ロック装置9の具体的な構成については既述の記載を援用することができる。
【0173】
本実施形態では、自重降下中のシャッターカーテン1が障害物に当たった時のシャッターカーテン1の降下の停止は、作動部7を介して(ブレーキ解放レバーMLの機械的な復帰)行われる。本実施形態に係るシャッター装置は、シャッターカーテン1の自重降下時に障害物を検知する障害物検知手段(座板4、検知レバー42、ロック装置9の巻取ドラム91、第2ワイヤW3等から構成される)と、障害物検知時に自重降下中のシャッターカーテン1を機械的に停止させる機械式停止手段(ブレーキ解放レバーMLの機械的な復帰)と、を備えている。既述のように、本実施形態に係るシャッター装置は、障害物検知状態から障害物非検知状態となった時に、停止したシャッターカーテン1を再降下させる再降下手段(自重再降下手段)を備えている。
【0174】
図45Aに示すように、シャッター装置の近傍の壁面には、操作し易い高さに操作ボックス10´が設けてある。
図46Aに示すように、操作ボックス10´は、縦長直方体の箱体である左側の第1操作ボックス10A´と、縦長直方体の箱体である右側の第2操作ボックス10B´と、からなる。操作ボックス10´は、例えば、1つの箱体の内部空間を左右の空間に仕切ることで、第1操作ボックス10A´、第2操作ボックス10B´を形成しても、あるいは、2つの独立した箱体を隣接させたものでもよい。第1操作ボックス10A´、第2操作ボックス10B´の前面には、それぞれ蓋体が開閉可能に設けてあるが、
図46Aでは蓋体は省略されている。
【0175】
本実施形態では、制御部は、シャッター制御盤11Bからなる。
図46Aに示すように、第1操作ボックス10A´内の前面部100A´には、開放スイッチUが配置されている。
図45Aに示すように、操作ボックス10´の開放スイッチUとシャッター制御盤11Bが電気的に接続可能となっている。臨時電源が有効な場合には、開放スイッチUは、シャッター制御盤11Bと電気的に接続されており、電動開放時において、開放スイッチUの入力に基づく開放信号はシャッター制御盤11Bに送信され、シャッター制御盤11Bを介して開閉機Mによってシャッターカーテン1が上昇する。1つの態様では、開放スイッチUの押し切り動作(開放スイッチUの押し操作を継続している間だけシャッターカーテン1が上昇する)によってシャッターカーテン1を上昇させる。あるいは、開放スイッチUの押圧パターンによって、停止操作を行ってもよく、例えば、開放スイッチUの1回目の押圧によって、シャッターカーテン1が上昇を開始し、2回目の押圧によって上昇中のシャッターカーテン1を停止させるようにしてもよい。あるいは、開放スイッチUとは別に停止スイッチを設けてもよい。
【0176】
第1操作ボックス10A´には、さらに、手動閉鎖装置の操作部が設けられる。
図46Aに示すように、第1操作ボックス10A´において、前面部100A´の下方部位には手動閉鎖用の非常時閉鎖スイッチ(図示の態様では押スイッチである)103が設けてあり、第1操作ボックス10A´の前面部100A´の側方部位には蓋体(図示せず)に隣接して回動レバー104が回動可能に設けてある。非常時閉鎖スイッチ103の押し操作、及び、回動レバー104の手動回動操作は、第1操作ボックス10A´の蓋体(図示せず)が閉鎖された状態で行うことができる。
【0177】
手動閉鎖装置の操作部(非常時閉鎖スイッチ103、回動レバー104)は、作動部7のブレーキ解放操作、ブレーキ復帰操作を行えるように手動操作用のワイヤW4の一端に機械的に連結されている。ワイヤW4の他端は、作動部7に連結されている。手動閉鎖装置の操作部は、ブレーキ解放作動前の状態から第1の操作(非常時閉鎖スイッチ103の押し操作)によってブレーキを解放するように作動し、ブレーキ解放作動後の状態から第2の操作(回動レバー104)によってブレーキを復帰させるように作動する。手動閉鎖装置の具体的な構成については既述の記載を援用できる。
【0178】
第2操作ボックス10B´内の底面部(前面に対して奥まった位置にある)100B´には自動閉鎖装置復旧ワイヤW5を巻き掛けするプーリ107が設けてあり、復旧用レバー106(
図36参照)は、自動閉鎖装置復旧ワイヤW5によって復旧機構5と接続されており、復旧機構5と共に、自動閉鎖装置6の復旧装置を構成する。第2操作ボックス10B´内には、電線EW1の下方部位が垂れ下がるように延びており、電線EW1の下端には接続部としてのコネクタC1が設けてある(
図46A参照)。復旧機構5の具体的な構成については既述の記載を援用できる。
【0179】
[I-2]臨時電源
図45Aに示すシャッター装置は、開閉機Mを駆動するための電力を供給するバッテリを搭載しておらず、また、いかなる商用電源にも接続されていない。本実施形態では、開閉機Mのシャッター制御盤11Bから延びる電線が接続された回路遮断器Brの一次側には、商用電源は接続されておらず、電線EW1が接続されており、電線EW1は壁体(躯体)を介して下方部位まで延びており、電線EW1の端部にはコネクタC1が設けてあり、コネクタC1には臨時電源が接続可能となっている。コネクタC1には、外部から電線EW2の先端の接続部(コネクタC2)が接続可能となっており、電線EW2の基端には臨時電源が接続されている。臨時電源は、開閉機Mへ電力を供給する電線EW1に設けた接続部(コネクタC1)に接続可能な電源であり、かつ、通常のシャッター装置の使用状態では、前記接続部(コネクタC1)に接続されておらず、開閉機Mに対して電力を供給可能な状態に無い電源であり、シャッターの電動開放が必要となった時にのみ一時的に前記接続部(コネクタC1)に接続される電源である。
【0180】
より具体的には、回路遮断器Brの一次側に接続された電線EW1は、ガイドレール3の側方の壁体内を通って、壁体の下方部位に埋設した操作ボックス10´まで延びており、電線EW1の下端部位は、第2操作ボックス10B´内に延びており(
図46A参照)、第2操作ボックス10B´の蓋体を開放することで、電線EW1の下端に設けたコネクタC1に外部から電線EW2の先端の接続部(コネクタC2)が接続可能となっている。
【0181】
臨時電源として可搬式の発電機Gを用意し、発電機Gの出力側にコネクタC1に接続できるコネクタC2を備えた電線EW2を設けて、第1操作ボックス10B内に垂れ下がった電線EW1の下端に設けたコネクタC1に発電機Gを接続可能となっている。発電機Gは、例えば、走行ローラを備えた可動式の発電機Gであり、通常時には、適所に格納されている。
【0182】
このように、開放スイッチUを備えた操作ボックス10´内に外部から臨時電源としての発電機Gが接続可能なコネクタC1を設けることで、シャッターの開放スイッチUと同じ箇所で発電機Gの接続を行うことができ、発電機Gの接続、開放スイッチUを用いた開放操作をスムーズに行うことができる。また、ワイヤW4が延びるパイプ等(壁体内に埋設されている)の中空部の一部を利用して、電線EW1を躯体内に配線することができる。あるいは、電線EW1の端部のコネクタC1を、第1操作ボックス10Aの前面部100Aに露出させることで(
図46参照)、開放スイッチUに接続された電線が延びるパイプ等(壁体内に埋設されている)の中空部の一部を利用して、電線EW1を躯体内に配線してもよい。
【0183】
上記例では、開閉機Mへ電力を供給する電線EW1は壁体内を通るように設けてあるが、電線EW1を、壁体の外面に沿って設けてもよい。また、電線EW1を、ガイドレール3を介して開口部下方まで案内してもよい。より具体的には、電線は、ガイドレール3内を通って、または、ガイドレール3外面に沿って、ガイドレール3の下方部位まで延びており、下方部位において電線EW1の端部には、外部から接続可能な接続部としてのコネクタC1を設ける。コネクタC1はガイドレール3の外面に露出可能に設けてもよく、あるいは、ガイドレール3に操作部ないし手動閉鎖装置が設けてある場合には、操作部ないし手動閉鎖装置において外部に露出可能に設けてもよい。あるいは、電線EW1は、壁体内あるいはガイドレール3内を通って、または、壁体外面あるいはガイドレール3の外面に沿って、ガイドレール3の下方部位あるいは壁体の下方部位(床面ないし床内を含む)まで延びており、操作ボックス10及びガイドレール3とは独立した壁体上ないし床面上あるいは床面内の部位において、外部から接続可能な接続部としてのコネクタC1を設けてもよい。
【0184】
発電機Gに代えて、壁体に露出した電源コンセント(図示せず)を臨時電源として、電線EW2を用いて、電源コンセントと電線EW1の端部のコネクタC1を接続してもよい。電源コンセントを臨時電源とする場合には、必要に応じて(例えば、開閉機が200Vで動作する場合)、適宜、変圧器を設けて電圧を変換する。臨時電源として電源コンセントを用いる場合には、電線EW2として電源ドラムを用いることができる。
【0185】
本実施形態において、開閉機Mを駆動するための電力を供給する臨時電源は、コネクタC1に接続可能な可搬式発電機あるいは電源コンセントであるが、これらの臨時電源は通常時(シャッター装置は通常の使用状態では開口部全開状態あるいは開口部全閉状態にある)には、コネクタC1に接続されておらず、すなわち、これらの臨時電源と開閉機Mとは接続されていない。
【0186】
図45Aに示すシャッター装置は、1つの態様では、通常時は、シャッター全閉状態で使用され、通常時の使用状態では、コネクタC1には、可搬式発電機あるいは電源コンセントは接続されていない。通常時(全閉状態)において、操作ボックス10の開放スイッチUを押しても、全閉姿勢にあるシャッターカーテン1は上昇しない。メンテナンス等の理由からシャッターを開放させる必要が生じた場合には、発電機Gを用意して、発電機GをコネクタC1に接続することで、発電機Gを臨時電源として開閉機Mに電気を供給することで、開閉機Mが駆動可能となり、開放スイッチUを押すことでシャッターは開放する。
【0187】
発電機Gを臨時電源として上昇させたシャッターカーテン1を降下させる場合には、手動閉鎖装置からの操作によってシャッターカーテン1を降下させることができ、シャッターカーテン1の降下中に、障害物検知が行われた場合には、機械式停止手段(ブレーキ解放レバーMLの機械的な復帰)によってシャッターカーテン1が停止し、障害物非検知状態となると、自重再降下手段により停止したシャッターカーテン1が再降下して全閉状態となる。点検時にシャッターカーテン1を自重降下させる場合に、手動閉鎖装置に代えて、防災盤の作動ボタンの押圧により生成される疑似信号を用いてシャッターカーテン1を自重降下させてもよく、あるいは、ブレーキ解放レバーを直接作動させることでシャッターカーテン1を自重降下させてもよい。
【0188】
本実施形態では、シャッター装置を商用電源と接続せずに、シャッターを開放させる時のみ発電機を簡単に接続できるようにしたことで、商用電源を利用するための電気配線が不要となり、電源の敷設工事の費用を抑えることができる。本実施形態では、発電機や電源コンセントがあれば、通常時は全閉状態で用いられるシャッター装置(商用電源に接続されておらず、また、バッテリも搭載されていない)を電動で開放することができ、また、1つの可搬式の発電機を用いて複数のシャッター装置の電動開放も可能である。また、本実施形態に係るシャッター装置は、機械式危害防止装置を備えていることで、通常時に電源に接続されておらず、またバッテリを搭載していないものであっても、障害物検知が可能であり、かつ、障害物除去後の再降下が可能である。
【0189】
図45に示す第1実施形態、
図45Aに示す第2実施形態の両方において、開閉機Mへ電力を供給する電線EW1は、躯体を介して、前記躯体の下方部位まで延びており、前記電線は、前記下方部位において外部から接続可能な接続部(コネクタC1)を備えているが、開閉機Mへ電力を供給する電線EW1は、開口部上方部位(例えば、シャッターケース内部又は天井)において外部から接続可能な接続部を備えていてもよい。
【0190】
図45に示す第1実施形態では、操作部は開閉操作部(開放スイッチU、閉鎖スイッチD、停止スイッチSからなる開閉操作スイッチ100)であり、
図45Aに示す第2実施形態では、操作部は開放操作部(開放スイッチU)であるが、操作部は、例えば、電線EW2に設けたスイッチでもよく、電線EW2のコネクタC2を電線EW1のコネクタC1に接続した状態では、上記スイッチはOFFとなっており、当該スイッチをONとすることで、開閉機Mに電流が供給され、シャッターカーテン1が自動上昇するようにしてもよい(上昇するシャッターカーテン1はリミットスイッチによって全開位置で停止する)。
【符号の説明】
【0191】
1 シャッターカーテン
3 ガイドレール
6 自動閉鎖装置
10 操作ボックス
10A 第1操作ボックス
10B 第2操作ボックス
M 開閉機
G 発電機
C1 接続部(コネクタ)
C2 接続部
EW1 電線
EW2 電線