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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-01-31
(45)【発行日】2023-02-08
(54)【発明の名称】オーバーヘッドドアの解錠装置
(51)【国際特許分類】
   E05B 65/02 20060101AFI20230201BHJP
   E06B 9/02 20060101ALI20230201BHJP
【FI】
E05B65/02 F
E06B9/02 A
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2019011909
(22)【出願日】2019-01-28
(65)【公開番号】P2020117984
(43)【公開日】2020-08-06
【審査請求日】2021-11-26
(73)【特許権者】
【識別番号】307038540
【氏名又は名称】三和シヤッター工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100103137
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 滋
(74)【代理人】
【識別番号】100145838
【弁理士】
【氏名又は名称】畑添 隆人
(72)【発明者】
【氏名】太田 康弘
(72)【発明者】
【氏名】高村 裕紀
(72)【発明者】
【氏名】宮田 裕文
【審査官】河内 悠
(56)【参考文献】
【文献】特開2000-027507(JP,A)
【文献】特開2005-330680(JP,A)
【文献】実開平01-118578(JP,U)
【文献】特開2001-032656(JP,A)
【文献】特開2005-120603(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E05B 65/02
E06B 9/02
E06B 9/17
E06B 9/56-9/92
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数枚のパネルを高さ方向に連結してなる扉体が全閉姿勢から上動することで開口部を開放するオーバーヘッドドアにおいて、
前記扉体の幅方向両端部に設けられ、第1の位置と第2の位置の間で移動可能であり、第1の位置をとるように付勢されている左右のラッチと、
開口部両端の所定高さ位置に設けられた左右のラッチ掛かりと、
前記扉体の幅方向中央部位に設けられ、連結要素によって前記左右のラッチに連結されている操作部と、
を備え、
全閉姿勢の扉体は、第1の位置にある前記左右のラッチが、前記左右のラッチ掛かりに係止することで上動が規制された施錠状態にあり、
前記連結要素は、前記パネルの面部に沿って延びるワイヤであり、前記ワイヤは、一方のラッチと前記操作部との間で延びる第1部分と、他方のラッチと前記操作部の間で延びる第2部分と、を備え、
前記操作部は、パネルの面部に対して平行に上下動可能なスライダからなり、前記左右のラッチが第1の位置にある時には下側位置にあり、
前記スライダの下端に取手が設けられ、前記スライダの上端に押し上げ部が設けられ、
前記押し上げ部の左右に位置して左右のガイドプーリが設けてあり、
前記ワイヤの前記第1部分の基端側、前記第2部分の基端側は、それぞれ、前記左右のガイドプーリの下側を通って前記押し上げ部に固定されており、
下側位置にある前記スライダをパネルの面部に対して平行に上動させることで、前記スライダの上動に伴う前記押し上げ部の上動に連動して、前記ワイヤの前記第1部分の基端側、前記第2部分の基端側がそれぞれ上方に押し上げられて、前記第1部分、前記第2部分がそれぞれ左右のガイドプーリに案内されながらパネルの幅方向中央部位に向かって引っ張られて前記左右のラッチが第1の位置から第2の位置に移動して施錠状態が解錠される、
オーバーヘッドドアの解錠装置。
【請求項2】
複数枚のパネルを高さ方向に連結してなる扉体が全閉姿勢から上動することで開口部を開放するオーバーヘッドドアにおいて、
前記扉体の幅方向両端部に設けられ、第1の位置と第2の位置の間で移動可能であり、第1の位置をとるように付勢されている左右のラッチと、
開口部両端の所定高さ位置に設けられた左右のラッチ掛かりと、
前記扉体の幅方向中央部位に設けられ、連結要素によって前記左右のラッチに連結されている操作部と、
を備え、
全閉姿勢の扉体は、第1の位置にある前記左右のラッチが、前記左右のラッチ掛かりに係止することで上動が規制された施錠状態にあり、
前記連結要素は、前記パネルの面部に沿って延びるワイヤであり、前記ワイヤは、一方のラッチと前記操作部との間で延びる第1部分と、他方のラッチと前記操作部の間で延びる第2部分と、を備え、
前記ワイヤの前記第1部分と前記第2部分は、1本のワイヤの部分であり、前記第1部分の基端側、前記第2部分の基端側は前記1本のワイヤの長さ方向中間部位であり、
前記操作部は、パネルの面部に対して平行に上下動可能なスライダからなり、前記左右のラッチが第1の位置にある時には下側位置にあり、
前記スライダの下端に取手が設けられ、前記スライダの上端に押し上げ部が設けられ、
前記押し上げ部の左右に位置して左右のガイドプーリが設けてあり、
前記ワイヤの前記第1部分の基端側、前記第2部分の基端側は、それぞれ、前記左右のガイドプーリの下側を通って前記長さ方向中間部位が前記押し上げ部に接触しており、
下側位置にある前記スライダをパネルの面部に対して平行に上動させることで、前記スライダの上動に伴う前記押し上げ部の上動によって、前記長さ方向中間部位が上方に押し上げられて、前記第1部分、前記第2部分がそれぞれ左右のガイドプーリに案内されながらパネルの幅方向中央部位に向かって引っ張られて前記左右のラッチが第1の位置から第2の位置に移動して施錠状態が解錠される、
オーバーヘッドドアの解錠装置。
【請求項3】
前記押し上げ部において、押し上げ時に前記ワイヤの前記第1部分、前記第2部分に接触する部分は湾曲面となっている、
請求項1、2いずれか1項に記載の解錠装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、オーバーヘッドドアの解錠装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
オーバーヘッドドアは、倉庫やガレージ等の建物の屋外と屋内とを連通する開口部に設置する建具として知られている。図13に示すように、オーバーヘッドドアの扉体は、横長方形状の複数枚のパネル1´を、丁番2を介して上下方向に互いに回動可能に連結することで構成されており、各パネル1´の幅方向左右両端のガイドローラが開口部の幅方向左右に設けたガイドレール4に案内されながら上昇、下降することで開口部を開閉する。オーバーヘッドドアは、全閉姿勢の扉体の上動を規制する施錠装置を備えており、施錠装置は、前記扉体の幅方向両端部に設けられ、第1の位置と第2の位置の間で移動可能であり、第1の位置をとるように付勢されている左右のラッチと、開口部両端の所定高さ位置に設けられた左右のラッチ掛かりと、からなり、下降する扉体の下端が着床して全閉状態となった時に、左右のラッチが左右のラッチ掛かりに係止して、扉体の上動が規制される。図14に示すように、前記扉体の幅方向中央部位には、ワイヤ70´、71´によって前記左右のラッチに連結されている解錠操作レバーLが設けてあり、開口部を開放する際には、解錠操作レバーの回動操作によって、施錠状態を解除して、扉体を上昇させる。同様の施錠装置が特許文献1に開示されている。
【0003】
特許文献1、図13図14に開示された施錠装置において、施錠状態にある扉体を開放させる場合には、解錠操作レバーLを掴んで回転して解錠操作を行った上で、ハンドルHを持って扉体を上方に持ち上げる必要があった。解除姿勢まで回動させた解錠操作レバーLを持って開放操作を行うとすると、扉体の荷重が解錠操作レバーLを含む解錠操作部に作用するため、解錠操作部が破損するおそれがあることから、別途ハンドルHが必要である。また、特許文献1に係る施錠装置は、パネルの室内外に面して操作部が設けてあるため、オーバーヘッドドアを冷蔵倉庫等の開口に設置した場合には、施錠装置を通して熱伝導が生じて内部に結露が発生するおそれがあった。
【0004】
特許文献2に開示されたオーバーヘッドドアの施錠解錠装置は、握り部材を握って上下回動レバーをほぼ水平方向まで回動させることで、オーバーヘッドドアの解錠及び引き上げ、また引き下げ及び施錠両動作を上下回動レバーの上下操作のみで可能とするものである。しかしながら、上下回動レバーの回動時に、テコの作用により施錠解錠装置の取付部位に負荷がかかって取付ネジが外れたり、パネル表面に不要な力が作用して凹凸が生じてしまうおそれがある。
【文献】特開平6-330680
【文献】実用新案登録第3174802号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、施錠解錠装置やパネルに不要な力を作用させることなく、施錠機構の解錠及び扉体の開放をワンアクションで行うことを可能とするオーバーヘッドドアの解錠装置を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明が採用した技術手段は、
複数枚のパネルを高さ方向に連結してなる扉体が全閉姿勢から上動することで開口部を開放するオーバーヘッドドアにおいて、
前記扉体の幅方向両端部に設けられ、第1の位置と第2の位置の間で移動可能であり、第1の位置をとるように付勢されている左右のラッチと、
開口部両端の所定高さ位置に設けられた左右のラッチ掛かりと、
前記扉体の幅方向中央部位に設けられ、連結要素によって前記左右のラッチに連結されている操作部と、
を備え、
全閉姿勢の扉体は、第1の位置にある前記左右のラッチが、前記左右のラッチ掛かりに係止することで上動が規制された施錠状態にあり、
前記操作部は、パネルの面部に対して平行に上下動可能に設けられており、前記左右のラッチが第1の位置にある時には下側位置にあり、
下側位置にある前記操作部をパネルの面部に対して平行に上動させることで、前記連結要素を介して前記左右のラッチが第1の位置から第2の位置に移動して施錠状態が解錠される、
オーバーヘッドドアの解錠装置、である。
【0007】
1つの態様では、前記解錠装置は、前記操作部が上側位置まで上動した時に、前記操作部が当接する被当接部が設けてあり、前記操作部をパネルの面部に対して平行に上動させる力が、前記被当接部を介して扉体の開放方向の力として作用する。
後述する実施形態では、操作部(スライダ8)が上側位置まで上動した時に、操作部(スライダ8の第1側辺81、第2側辺82のガイド開口810、820の下端縁8101、8201)が被当接部(ガイドプレート97の下端971)に当接する。
【0008】
1つの態様では、前記連結要素は、前記パネルの面部に沿って延びるワイヤであり、前記ワイヤは、一方のラッチと前記操作部との間で延びる第1部分と、他方のラッチと前記操作部の間で延びる第2部分と、を備え、
前記操作部の上動に連動して、前記第1部分、前記第2部分がパネルの幅方向中央部位に向かって引っ張られて前記左右のラッチが第1の位置から第2の位置に移動する。
【0009】
1つの態様では、前記ワイヤの前記第1部分と前記第2部分は、1本のワイヤの部分であり、前記第1部分の基端側、前記第2部分の基端側は前記1本のワイヤの長さ方向中間部位である。
【0010】
1つの態様では、前記操作部は、パネルの面部に対して平行に上下動可能なスライダからなり、
前記スライダの下端に取手が設けられ、前記スライダの上端に押し上げ部が設けられ、
前記押し上げ部の左右に位置して左右のガイドプーリが設けてあり、
前記ワイヤの前記第1部分の基端側、前記第2部分の基端側は、それぞれ、前記左右のガイドプーリの下側を通って前記押し上げ部に固定されており、
前記スライダの上動に伴う前記押し上げ部の上動によって、前記第1部分の基端側、前記第2部分の基端側がそれぞれ上方に押し上げられて、前記第1部分、前記第2部分がそれぞれ左右のガイドプーリに案内されながら引っ張られる。
【0011】
1つの態様では、前記操作部は、パネルの面部に対して平行に上下動可能なスライダからなり、
前記スライダの下端に取手が設けられ、前記スライダの上端に押し上げ部が設けられ、
前記押し上げ部の左右に位置して左右のガイドプーリが設けてあり、
前記ワイヤの前記第1部分の基端側、前記第2部分の基端側は、それぞれ、前記左右のガイドプーリの下側を通り、前記長さ方向中間部位が前記押し上げ部に接触しており(前記押し上げ部に固定されていても、固定されていなくてもよい)、
前記スライダの上動に伴う前記押し上げ部の上動によって、前記長さ方向中間部位が上方に押し上げられて、前記第1部分、前記第2部分がそれぞれ左右のガイドプーリに案内されながら引っ張られる。
【0012】
1つの態様では、前記押し上げ部において、押し上げ時に前記ワイヤの前記第1部分、前記第2部分に接触する部分は湾曲面となっている。
【発明の効果】
【0013】
本発明では、操作部の上動というワンアクションでオーバーヘッドドアの解錠、扉体の開放操作を行うことができ、一連の動作でスムーズに開口部を開放することができる。
操作部を上動させる力のベクトルは、扉体を開放(上昇)させる力のベクトルと一致しているので、操作部を上動させる力は、そのまま扉体の開放力として作用し、パネルや解錠装置に不要な力が作用することがない。
解錠操作を行う操作部は、扉体の開放操作の操作部として機能するので、パネルに別途取手を設ける必要がない。
操作部の上動は、操作部を掴まなくても可能であり、例えば、冷蔵倉庫内で厚手のグローブをはめたままであっても、施錠機構の解錠、扉体の開放を容易に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】全閉姿勢にあるオーバーヘッドドアを室内側から見た正面図である。
図2】全閉姿勢にあるオーバーヘッドドアの側面図である。
図3】全閉姿勢にあるオーバーヘッドドアの最下位のパネルの幅方向端部の横断面図である。
図4】施解錠装置が設けられたパネルを室内側から見た正面図である。
図5】施解錠装置が設けられたパネルの幅方向端部の横断面図である。
図6】施解錠装置が設けられたパネルの幅方向端部を室内側から見た正面図である。
図7】解錠装置が設けられたパネルの縦断面図である。
図8】解錠装置を示す図であり、(A)は平面図、(B)は側面図、(C)は正面図である。図8において、スライダは下側位置にあり、ラッチは第1の位置(施錠姿勢)にある。
図9】解錠装置を示す正面図であり、スライダは上側位置にあり、ラッチは第2の位置(解錠姿勢)にある。
図10】スライダを示す図であり、(A)は平面図、(B)は側面図、(C)は正面図である。
図11】ベースを示す図であり、(A)は平面図、(B)は側面図、(C)は正面図である。
図12】(A)はガイド装着片を示し、(B)はガイドプレートを示す。
図13】全閉姿勢にあるオーバーヘッドドア(従来の解錠装置を備えている)を室内側から見た正面図である。
図14】従来の解錠装置を備えたパネルの部分拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
[A]オーバーヘッドドアの全体構成
図1は、全閉姿勢にあるオーバーヘッドドアを室内側から見た正面図であり、図2はオーバーヘッドドアの側面図である。オーバーヘッドドアの扉体は、横長方形状の複数枚のパネル1を、丁番2を介して上下方向に互いに回動可能に連結することで構成されている。各パネル1の幅方向左右両端にはガイドローラ3を回転自在に支持するローラブラケット3´が設けてあり、扉体は、各パネル1の幅方向左右両端のガイドローラ3が開口部の幅方向左右に設けたガイドレール4に案内されながら上昇、下降することで開口部を開閉する。本実施形態に係るオーバーヘッドドアは、限定されないものの、冷蔵倉庫の開口部に設置される。
【0016】
図2に示すように、ガイドレール4は、開口部の高さ方向に延びる第1部位40と、第1部位40の上方から室内側に向かって後方に延びる湾曲状の第2部位41と、第2部位41の後方から天井CLに沿って後方に延びる第3部位42と、からなる。第1部位40は、下方から上方に向かって室内側へ緩やかに傾斜している。第3部位42は、室内側に向かって上方に緩やかに傾斜している。
【0017】
扉体の下端が床面FLに着床する開口部全閉状態では、各パネル1(最上位のパネル1を除く)はガイドレール4の第1部位40に位置することで複数枚のパネル1がほぼ垂直姿勢となって開口部を閉鎖する。開口部全開状態では、各パネル1がほぼ垂直姿勢から第3部位42に位置するほぼ水平姿勢まで移動して(最下位のパネル1は第2部位41に位置する)、扉体が室内側空間の天井CLに沿って横方向に延びた姿勢となって開口部を開放する。
【0018】
ガイドレール4(第1部位40)は、開口部のほぼ全高に亘って垂直状に延びる支持枠400及び支持プレート401を介して、開口部左右の躯体20から持ち出し状に支持されている(図3図5参照)。支持枠400は、第1辺4000と第2辺4001とから断面視L形状を備えた長尺部材であり、第1辺4000を躯体20に重ねるようにして螺子21によって躯体20に連結されている。第1辺4000が躯体20に連結された状態において、第2辺4001は、室内側に向かって躯体20に対して垂直状に延びている。第2辺4001の外面には、支持プレート401が面接触して連結されており、支持プレート401の室内側部位は、第2辺4001の端部を超えて室内側に延びる延出部位となっており、延出部位の内面にガイドレール4が連結されている。なお、本実施形態ででは、支持枠400と支持プレート401を別個の部材から構成したが、これらを一体形成してもよい。
【0019】
図3図4図5に示すように、パネル1は、室内側面部10と、室外側面部11と、幅方向左右の側面12を備えており、パネル1の幅方向両端部には縦框12´が設けてある。縦框12´は、パネル1の室内側面部10に密着する第1見付辺120と、パネル1の室外側面部11に密着する第2見付辺121と、見込辺122と、から断面視ほぼコ字状に形成されており、見込辺122がパネル1の側面12となっている。パネル1は、凸状の上框13、凹状の下框14を備えており、開口部全閉状態では、上側に位置するパネル1の凹状の下框14に下側に位置するパネル1の凸状の上框13が嵌合するようになっている。
【0020】
図3に示すように、パネル1の室外側面部11の幅方向両端部(すなわち、縦框12´の第2辺121)は、隙間を存して躯体20に離間対向している。躯体20には、フィン状のシール材22、中空状のシール材23が設けられており、扉体が開口部全閉状態にある時に、パネル1の室外側面部11の幅方向端部と躯体20との間に形成された隙間を塞ぐようになっている。
【0021】
本実施形態に係るオーバーヘッドドアは手動式である。開口部の上方には、バランススプリング15を備えた回転軸16が配設されており、回転軸16の両端部に軸支したドラム17に一端をそれぞれ固定した吊持ワイヤ18(図2参照)の他端は、最下位のパネル1の左右両端のワイヤ固定部19(図3参照)にそれぞれ接続されており、バランススプリング15の巻き上げ方向の付勢力により吊持ワイヤ18を巻き取ることで、全閉姿勢にある扉体を上動させて開口部を開放する。最下位のパネル1の室内側面部10の幅方向両端部位には、吊持ワイヤ18が切断したような緊急時にパネル1の落下を防止する落下防止装置24が設けてあり、落下防止装置24は、カバー24´によって覆われている。
【0022】
[B]オーバーヘッドドアの施錠機構
本実施形態では、オーバーヘッドドアの扉体の下から2番目のパネル1の幅方向左右両端には左右のラッチ5が設けてあり、左右のガイドレール4には、開口部全閉時の左右のラッチ5の高さに対応するように所定高さに位置して、ガイドレール4から室内側に突出するラッチ掛かり6が設けてある。左右のラッチ5と左右のラッチ掛かり5から施錠機構が形成されており、扉体が全閉姿勢となった時に、左右のラッチ5が左右のラッチ掛かり6に係止することで、全閉姿勢にある扉体の上動が規制され、オーバーヘッドドアが施錠状態となる。
【0023】
図5図6に示すように、本実施形態に係るラッチ5は、パネル1の室内側面部10の幅方向端部に固定したベースプレート50に対して立ち上がり状に対向して設けた上下一対の回動アーム51と、一対の回動アーム51の先端に一体形成され、回動アーム51の先端から外側(パネル1の幅方向中央から離間する側)に傾斜状に延びる係止部52と、を備えている。一対の回動アーム51は、パネル1の室内側面部10から水平状に突出しており、垂直状に延びる回動軸510を中心として、左右に回動可能となっており、係止部52がパネル1の側面12から突出する第1の位置(施錠姿勢)と、係止部52(図示の態様では、ほぼ大部分)がパネル1の側面12よりもパネル幅方向中央側に位置する第2の位置(解錠姿勢)と、をとるようになっている。図5において、第2の位置を、ラッチ5´、回動アーム51´、係止部52´で示している。
【0024】
回動アーム51は、回動アーム51を外側(パネル1の幅方向中央から離間する側)に回動するように付勢する手段としてのスプリング53(回動軸510に外装されている)を備えている。ラッチ5(回動アーム51及び係止部52)が第1の位置にある時には、回動アーム51が回動軸510を中心に外側(パネル1の幅方向中央から離間する側)に回動し、係止部52がパネル1の幅方向端面12から突出しており、スプリング53によって、第1の位置が保持されている。
【0025】
ラッチ掛かり6は、左右のガイドレール4の第1部分40の所定高さに位置して設けてあり、ラッチ掛かり6は、ガイドレール4の第1部分40から室内側に突出する被係止部60を備えている。ラッチ掛かり6の被係止部60には、傾斜状のガイド面が形成されており、降下中の扉体が全閉状態になる寸前に、回動アーム51を第2の位置側に少し回動させながら係止部52がガイド面を乗り越えて下降し、開口部全閉状態となった時に係止部52の上端がラッチ掛かり6の被係止部60の下端に下方から当接ないし近接して施錠状態となるように構成されている。図5に示すように、ラッチ5´(回動アーム51´及び係止部52´)が第2の位置にある時には、回動アーム51´が回動軸510を中心に内側(パネル1の幅方向中央側)に回動し、ラッチ5の係止部52´とラッチ掛かり6の被係止部60の係止状態が解除される。なお、ラッチ5とラッチ掛かり6からなる施錠機構の具体的な形状や構成は、図示の態様に限定されるものではない。
【0026】
[C]オーバーヘッドドアの解錠装置
オーバーヘッドドアは、扉体の施錠機構の施錠状態を解錠する解錠装置を備えている。幅方向両端部に左右のラッチ5を備えたパネル1の室内側面部10の幅方向中央部位には、解錠装置の操作部が設けてあり、左右のラッチ5と操作部は連結要素としてのワイヤ7によって連結されている。操作部の解錠操作によってワイヤ7を介して施錠状態を解錠する。本明細書において、「パネル1の室内側面部10の幅方向中央部位」とは、幅寸法の1/2の地点に限定されるものではなく、操作部による解錠操作の操作性に実質的な影響を与えない範囲で、幅寸法の1/2の地点から左右方向(パネル1の幅方向)にずれた部位も含む。なお、連結要素は、ワイヤ7に限定されるものではなく、連結杆等を用いてラッチ5と操作部を連結するものでもよい。本実施形態に係るオーバーヘッドドアの解錠装置は、パネル1の室外側面部11には設けておらず、解錠装置を介してパネル1の室内外で熱伝導が生じることがなく、オーバーヘッドドアを冷蔵倉庫の開口部に設置した場合において、解錠装置内部に結露が発生することがない。
【0027】
本実施形態に係る操作部は、パネル1の室内側面部10に対して平行に上下動可能に設けられたスライダ8であり、スライダ8は、左右のラッチ5が第1の位置(施錠姿勢)にある時には下側位置にあり、下側位置にあるスライダ8をパネル1の室内側面部10に対して平行に上動させることで、ワイヤ7を介して左右のラッチ5を第1の位置(施錠姿勢)から第2の位置(解錠姿勢)に移動させて施錠状態を解錠する。
【0028】
図10に示すように、スライダ8は、上面80と、上面80の左右端部から垂下する第1側辺81、第2側辺82と、第1側辺81と第2側辺82の下端間に設けた取手83と、から、正面視略方形状を備えている。本実施形態では、取手83は円筒状ないし円柱状であるが、取手83の形状(断面形状等)は限定されない。スライダ8の上面80は、パネル1の幅方向に延びており、スライダ8の上面80の幅方向中央部位には、スライダ8の上動に伴ってワイヤ7の第1部分70の基端側、第2部分71の基端側を押し上げる押し上げ部84が設けてある。
【0029】
押し上げ部84は、上面部840と、上面部840の左右方向の一側から下向き湾曲状に延びる弧状の第1湾曲面841と、上面部840の左右方向の他端から下向き湾曲状に延びる弧状の第2湾曲面842と、上面部840から前方(パネル1の室内側面部10から離間する側、すなわち室内側)に水平に延びる連結片843と、を備えている。押し上げ部84は、連結片843をスライダ8の上面80の幅方向中央部位に上方から重ねて螺子8430で固定されている。本実施形態では、押し上げ部84は上面80と別体で形成して螺子8430で一体化されているが、押し上げ部84と上面80を一部材から一体形成してもよい。
【0030】
スライダ8の上面80の幅方向中央部位には舌状の連結片800が、パネル1の室内側面部10に向かって水平に突成されており、連結片800は押し上げ部84の上面部840の下面に当接している。押し上げ部84の上面部840には、押えプレート844が螺子8440によって固定されており、螺子8440は、上面部840に下側から当接する連結片800に螺着される。
【0031】
本実施形態に係るワイヤ7は、開口部の略全幅に亘って延びており、長さ方向中央部位において、押し上げ部84の上面部840に固定されている。本実施形態では、押えプレート844と上面840との間にワイヤ7の長さ方向中央部位を挟み込んだ状態で、押えプレート844を螺子8440で上面部840、連結片800に固定することで、ワイヤ7を押し上げ部84の上面部840に密着させて固定している。パネル1の幅方向に延びるワイヤ7は、長さ方向左右の先端が連結されたラッチ5のスプリング53によって引張されて水平状に延びている。
【0032】
本実施形態に係るワイヤ7は、長さ方向の中央の固定部位(上面部840に固定された部位)を挟んで一方の第1部分70と、他方の第2部分71と、からなる。すなわち、ワイヤ7の長さ方向の中央の固定部位が、ワイヤ7の第1部分70の基端側、第2部分71の基端側となっており、ワイヤ7の第1部分70の基端側、第2部分71の基端側が押し上げ部84の上面部840に固定されていることになる。本実施形態では、第1部分70及び第2部分71を1本のワイヤ7から形成したが、第1部分70、第2部分71をそれぞれ独立したワイヤから形成してもよい。
【0033】
ワイヤ7の第1部分70の先端には一方のラッチ5が連結されており、ワイヤ7の第2部分71の先端には他方のラッチ5が連結されている。より具体的には、ワイヤ7の第1部分70の先端は、一方のラッチ5の上側の回動アーム51の先端側に連結フック54を介して連結されており、ワイヤ7の第2部分71の先端は、他方のラッチ5の上側の回動アーム51の先端側に連結フック54を介して連結されている。押し上げ部84によって、ワイヤ7の第1部分70の基端側、第2部分71の基端側をそれぞれ押し上げることによって、ワイヤ7の第1部分70の先端側、第2部分71の先端側をパネル1の幅方向中央に引っ張り、第1の位置にあるラッチ5を第2の位置に移動させるようになっている。
【0034】
本実施形態では、1本のワイヤ7の長さ方向の中央部位を押し上げ部84の上面部840に固定しているが、1本のワイヤ7の長さ方向の中央部位を、固定せずに、押し上げ部84の上面部840に外れないように接触させたものでもよい。例えば、1本のワイヤ7の長さ方向の中央部位を押し上げ部84の上面部840に設けた挿通孔に挿通させておき、スライダ8の上動によって押し上げ部84が1本のワイヤ7の長さ方向の中央部位を上方に押し上げるようにしてもよい。第1部分70と第2部分71の長さは実質的に同じであり、左右のラッチ5のスプリング53の付勢力は実質的に同じなので、1本のワイヤ7の長さ方向の中央部位が固定されていなくても、押し上げ部84の上動によって、第1部分70、第2部分71が均等にパネル1の幅方向中央側に引っ張られる。
【0035】
本実施形態に係るスライダ8は、パネル1の室内側面部10の幅方向中央部位に固定されたベース9に対して垂直方向に上下動可能に支持されており、下側位置と上側位置をとるようになっている。スライダ8が下側位置にある時にはラッチ5は第1の位置(施錠姿勢)にあり、スライダ8が上側位置にある時にはラッチ5は第2の位置(解錠姿勢)にある。スライダ8がベース9に組み込まれた状態を図8図9に示しており、図8ではスライダ8が下側位置にあり、図9ではスライダ8が上側位置にある。
【0036】
図11に示すように、ベース9は、パネル1の室内側面部10に固定される垂直面90と、垂直面90の幅方向左右両端から垂直面90(パネル1の室内側面部10)に対して垂直に延びる左右の第1側面91、第2側面92と、を備え、垂直面90の上方部位には、パネル1の幅方向に離間して左右の第1ガイドプーリ93、第2ガイドプーリ94が設けてある。図7に示すように、パネル1の室内側面部10において、ベース9の垂直面90が固定される部位には、表面材の内側に位置して補強プレート100が設けてある。第1ガイドプーリ93は、垂直面90に固定した支持ブラケット930によって、垂直面90から持ち出した位置で回転自在に支持されており、第2ガイドプーリ94は、垂直面90に固定した支持ブラケット940によって、垂直面90から持ち出した位置で回転自在に支持されている。
【0037】
第1ガイドプーリ93は、ワイヤ7の第1部分70を案内し、第2ガイドプーリ94は、ワイヤ7の第2部分71を案内する。ベース9の第1側面91、第2側面92には、第1ガイドプーリ93、第2ガイドプーリ94の下端の高さ位置に対応して、ワイヤ7の挿通孔910、920が形成されており、ワイヤ7の第1部分70が挿通孔910、第1ガイドプーリ93の下側を通って水平状に延びており、ワイヤ7の第2部分71が挿通孔920、第2ガイドプーリ94の下側を通って水平状に延びている。
【0038】
ベース9の第1側面91、第2側面92の先端には、折り曲げ片912が形成されている。第1側面91、第2側面92の上端には、折り曲げ片913が形成されている。ベース9の垂直面90の下端には水平状に延びる底面95が形成されており、底面95の先端は、ガイドプーリ93、94の下方に位置しており、底面95の先端には幅方向両側に位置して、立ち上がり片950が形成されている。ベース9の第1側面91、第2側面92の先端の折り曲げ片912と、底面95の先端の立ち上がり片950との間の空間にスライダ8の第1側辺81、第2側辺82が上下動可能に受け入れられている。ベース9の前面は開放状となっており、スライダ8を受け入れた状態で、カバー96(図4参照)が装着されている。
【0039】
ベース9の第1側面91、第2側面92の内面には、ガイド装着片96を用いて、ガイドプレート97が固定されている。ガイド装着片96は、垂直部960と、垂直部960の上端の折り曲げ部961と、垂直部960の下端の折り曲げ部962と、からコ字形状を有している。ガイド装着片96の垂直部960の上下の角部は、湾曲面となっている。垂直部960にはガイドプレート97の取付用の螺子98の螺子孔963が形成されている。
【0040】
ガイドプレート97は、上端970、下端971、側縁972、973から縦長方形状となっており、面部には螺子98の挿通孔974が形成されている。ベース9の第1側面91、第2側面92には螺子98の挿通孔911(第2側面92の挿通孔は図示せず)が形成されている。ベース9の第1側面91、第2側面92の内面の所定高さ位置に、螺子98を用いて、ガイド装着片96、ガイドプレート97が固定されている。
【0041】
図10に示すように、スライダ8の第1側辺81、第2側辺82には、ガイドプレート97を受け入れる縦長方形状のガイド開口810、820が形成されている。ガイド開口810、820の高さ寸法は、ガイドプレート97の高さ寸法よりも大きく、幅寸法は、ガイドプレート97の幅寸法よりも僅かに大きくなっている(ガイドプレート97に対する第1側辺81、第2側辺82のスライドを許容する程度に密接している)。スライダ8の第1側辺81、第2側辺82のガイド開口810、820内に、ベース9に固定したガイドプレート97が相対的にスライド可能に受け入れられており、高さ位置が固定されたガイドプレート97に対して、スライダ8の第1側辺81、第2側辺82が上下にスライド移動するようになっている。なお、スライダ8のスライド機構は、ガイド開口810、820、ガイドプレート97を用いたものに限定されるものではなく、他の構成を採り得る。
【0042】
スライダ8が下側位置にある時には、ガイドプレート97の上端970に、第1側辺81、第2側辺82のガイド開口810、820の上端縁8100、8200が当接する。スライダ8が上側位置にある時には、ガイドプレート97の下端971に、第1側辺81、第2側辺82のガイド開口810、820の下端縁8101、8201が当接する。上側位置にあるスライダ8に上向きの力を作用させると、第1側辺81、第2側辺82のガイド開口810、820の下端縁8101、8201がガイドプレート97の下端971に当接してガイドプレート97を押し上げる力として作用し、ガイドプレート97が固定されているベース9、ベース9が固定されているパネル1を上昇させる力として作用する。1つの態様では、スライダ8が上側位置まで上動する前に、第1の位置(施錠姿勢)にあるラッチ5は、第2の位置(解錠姿勢)となる。また、スライダ8が上側位置まで上動する前に、吊持ワイヤ18を介したバランススプリング15の巻き上げ方向の付勢力によって、パネル1の上昇が開始されてもよい。
【0043】
スライダ8の第1側辺81、第2側辺82の内面は、ベース9に固定されたガイド装着片96の垂直面960に僅かな隙間を存して近接している。ガイド装着片97の上下端の角部(特に下端の角部)を湾曲面としたことで、スライダ8が上下動する際に、第1側辺81、第2側辺82が角部に接触することがなく、スムーズな上下スライドを可能としている。
【0044】
スライダ8が下側位置にある時には、第1側辺81、第2側辺82のガイド開口810、820の上端縁8100、8200(図10参照)がガイドプレート97の上端970(図12(B)参照)に当接している。図8に示すように、スライダ8が下側位置にある時には、第1ガイドプーリ93の下端、第2ガイドプーリ94の下端と押し上げ部84の上面部840は、略同じ高さ位置にあり、第1ワイヤ70、第2ワイヤ71は、第1ガイドプーリ93の下側、第2ガイドプーリ94の下側を通って、実質的に水平状に延びている。左側の第1ガイドプーリ93の右側端は、押し上げ部84の上面部840の左側の第1湾曲面841の左側端よりも僅かに左側に位置しており、右側の第2ガイドプーリ94の左側端は、押し上げ部84の上面部840の右側の第2湾曲面842の右側端よりも僅かに右側に位置している。
【0045】
左右のラッチ5が第1の位置にある時には、スライダ8は下側位置にあり、ワイヤ7の第1部分70、第2部分71は、それぞれパネル1の幅方向に水平に延びている(図4参照)。この状態から、下側位置にあるスライダ8を上方に押し上げると、スライダ8は、第1側辺81、第2側辺82に形成したガイド開口810、820を介してガイドプレート97に案内されながら上動する。スライダ8の上動に伴い、スライダ8の押し上げ部84がワイヤ7の長さ方向の中央部位(第1部分70の基端側、第2部分71の基端側)を押し上げ、この時、第1部分70、第2部分71がパネル1の幅方向中央側(図9の矢印方向)に引っ張られる。ワイヤ7の第1部分70の基端側、第2部分71の基端側がパネル1の幅方向中央側に引っ張られると、第1部分70及び第2部分71の先端に連結された左右のラッチ5が第1の位置(施錠姿勢)から第2の位置(解錠姿勢)へ回動し、施錠状態にあるラッチ5が解錠される。
【0046】
下側位置にあるスライダ8を上方に押し上げると、スライダ8は、第1側辺81、第2側辺82のガイド開口810、820の下端縁8101、8201(図10参照)がガイドプレート97の下端971(図12(B)参照)に当接する上側位置まで上昇する。上側位置にあるスライダ8を上方に押し上げる力は、扉体の開放方向の力として作用するため、下側位置にあるスライダ8を上方に押し上げると、施錠機構が解錠され、スライダ8が上側位置に移動した後は、スライダ8を上動させる力によって扉体が上昇して、開口部が開放される。扉体を上昇させた後にスライダ8から手を離すと、上側位置にあるスライダ8は、左右のラッチ5のスプリング53の付勢力によるワイヤ7の引張力及び自重で下動して下側位置となり、左右のラッチ5は第2の位置から第1の位置に復帰する。
【0047】
図9に示すように、スライダ8が上側位置にある時には、第1ガイドプーリ93の下端、第2ガイドプーリ94の下端と押し上げ部84の第1湾曲面841、第2湾曲面842の下端がほぼ同じ高さ位置にあり、押し上げ部84の上面部840は、第1ガイドプーリ93の上端、第2ガイドプーリ94の上端よりも僅かに上方の位置にあり、ワイヤ7の第1部分70の基端側は、第1ガイドプーリ93の下端から押し上げ部84の上面部840の第1湾曲面841に沿って延びており、ワイヤ7の第2部分71の基端側は、第2ガイドプーリ94の下端から押し上げ部84の上面部840の第2湾曲面842に沿って延びている。すなわち、スライダ8の上動に伴い、スライダ8の押し上げ部84の第1湾曲面841が第1部分70の基端側に当接して押し上げ、押し上げ部84の第2湾曲面842が第2部分71の基端側に当接して押し上げるようになっているので、施錠機構の解錠が繰り返し実行された時に、ワイヤ7のダメージを可及的に防止しワイヤ7の耐久性を向上させている。なお、スライダ8が下側位置にある時、上側位置にある時における、各要素の位置関係(例えば、第1ガイドプーリ93、第2ガイドプーリ94と押し上げ部84との位置関係)は、図示の態様に限定されるものではない。
【0048】
本実施形態では、スライダ8の上動というワンアクションでオーバーヘッドドアの解錠、扉体の開放操作を行うことができ、一連の動作でスムーズに開口部を開放することができる。スライダ8は、パネルの室内側面部10に対して平行に上動するので、スライダ8を上動させる力のベクトルは、扉体を開放(上昇)させる力のベクトルと一致しており、スライダ8を上動させる力は、そのまま扉体の開放力として作用し、パネル1や解錠装置に不要な力が作用することがない。また、解錠操作を行うスライダ8は、扉体の開放操作の取手として機能するので、パネル1に別途取手を設ける必要がない。
【0049】
スライダ8を上動させる時には、取手83に下側から手を添えて上動させればよいので、必ずしも取手83を掴む必要がなく、例えば、冷蔵倉庫内での作業に用いる厚手のグローブをはめた状態であっても、容易にスライダ8を上動させて施錠機構を解錠し、そのまま、一連の動作で扉体を上昇させて開口部を開放することができる。
【符号の説明】
【0050】
1 パネル
10 室内側面部
4 ガイドレール
5 ラッチ
6 ラッチ掛かり
7 ワイヤ
70 第1部分
71 第2部分
8 スライダ
81 第1側辺
810 ガイド開口
82 第2側辺
820 ガイド開口
84 押し上げ部
841 第1湾曲面
842 第2湾曲面
9 ベース
93 ガイドプーリ
94 ガイドプーリ
97 ガイドプレート

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14