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特許7219629料金自動収受機、料金収受方法、及びプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-01-31
(45)【発行日】2023-02-08
(54)【発明の名称】料金自動収受機、料金収受方法、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   G07B 15/00 20110101AFI20230201BHJP
【FI】
G07B15/00 P
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2019028435
(22)【出願日】2019-02-20
(65)【公開番号】P2020135448
(43)【公開日】2020-08-31
【審査請求日】2021-09-10
(73)【特許権者】
【識別番号】309036221
【氏名又は名称】三菱重工機械システム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100162868
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 英輔
(74)【代理人】
【識別番号】100161702
【弁理士】
【氏名又は名称】橋本 宏之
(74)【代理人】
【識別番号】100189348
【弁理士】
【氏名又は名称】古都 智
(74)【代理人】
【識別番号】100196689
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 康一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100210572
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 太一
(72)【発明者】
【氏名】山本 哲也
(72)【発明者】
【氏名】飯田 敦志
【審査官】永安 真
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-174095(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G07B 15/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1操作パネルに設けられた第1カードリーダと、第2操作パネルに設けられた第2カードリーダと、前記第1操作パネル及び前記第2操作パネルの操作に関する通知を出力する操作案内手段と、を備える料金自動収受機であって、
前記第1カードリーダにカード媒体が挿入された場合に、挿入された前記カード媒体に基づいて前記第1カードリーダを介して決済処理を行うことができるか否かを判定する判定処理部と、
前記第1カードリーダを介して前記決済処理を行うことが出来ない場合、前記操作案内手段を通じて前記カード媒体を前記第2カードリーダへ挿入することを通知する通知処理部と、
前記第1カードリーダが前記カード媒体のICチップに記録された情報を読み取る前に、当該カード媒体の種別を判定する種別判定部と、
を備え、
前記判定処理部は、前記種別判定部により判定された前記種別が前記第1カードリーダの読み取り対象である種別と異なる場合、前記第1カードリーダを介して前記決済処理を行うことができないと判定する、
料金自動収受機。
【請求項2】
前記判定処理部は、前記第1カードリーダが前記カード媒体に記録された情報の読み取りを失敗した場合、前記第1カードリーダを介して前記決済処理を行うことができないと判定する、
請求項に記載の料金自動収受機。
【請求項3】
利用に応じた利用料金を算出する利用料金算出処理と、挿入された前記カード媒体に基づく前記決済処理とを含む料金収受処理を実行する料金収受処理部を更に備え、
前記料金収受処理部は、
前記判定処理部により前記第1カードリーダを介して前記決済処理を行うことが出来ないと判定された場合、前記料金収受処理を中断し、
前記第1カードリーダから排出された前記カード媒体が前記第2カードリーダに挿入された後、前記料金収受処理を再開する、
請求項1または2に記載の料金自動収受機。
【請求項4】
第1操作パネルに設けられた第1カードリーダと、第2操作パネルに設けられた第2カードリーダと、前記第1操作パネル及び前記第2操作パネルを介した操作に関する通知を出力する操作案内手段と、を備える料金自動収受機を用いた料金収受方法であって、
第1カードリーダにカード媒体が挿入された場合に、挿入された前記カード媒体に基づいて前記第1カードリーダを介して決済処理を行うことができるか否かを判定する判定処理ステップと、
前記第1カードリーダを介して前記決済処理を行うことが出来ない場合、前記操作案内手段を通じて前記カード媒体を前記第2カードリーダへ挿入することを通知する通知処理ステップと、
前記第1カードリーダが前記カード媒体のICチップに記録された情報を読み取る前に、当該カード媒体の種別を判定する種別判定ステップと、
を有し、
前記判定処理ステップは、前記種別判定ステップにより判定された前記種別が前記第1カードリーダの読み取り対象である種別と異なる場合、前記第1カードリーダを介して前記決済処理を行うことができないと判定する、
料金収受方法。
【請求項5】
第1操作パネルに設けられた第1カードリーダと、第2操作パネルに設けられた第2カードリーダと、前記第1操作パネル及び前記第2操作パネルを介した操作に関する通知を出力する操作案内手段と、を備える料金自動収受機のコンピュータを機能させるプログラムであって、前記コンピュータに、
第1カードリーダにカード媒体が挿入された場合に、挿入された前記カード媒体に基づいて前記第1カードリーダを介して決済処理を行うことができるか否かを判定する判定処理ステップと、
前記第1カードリーダを介して前記決済処理を行うことが出来ない場合、前記操作案内手段を通じて前記カード媒体を前記第2カードリーダへ挿入することを通知する通知処理ステップと、
前記第1カードリーダが前記カード媒体のICチップに記録された情報を読み取る前に、当該カード媒体の種別を判定する種別判定ステップと、
を実行させるプログラムであって、
前記判定処理ステップは、前記種別判定ステップにより判定された前記種別が前記第1カードリーダの読み取り対象である種別と異なる場合、前記第1カードリーダを介して前記決済処理を行うことができないと判定する、
プログラム
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、料金自動収受機、料金収受方法、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
有料道路の料金所には、有料道路の利用者から利用料金を収受するための料金自動収受機が設けられている場合がある。料金自動収受機は、通行券から読み取った情報に基づいて利用距離等に応じた利用料金を自動的に算出するとともに、利用者から現金又はクレジットカードによる支払いを受け付けて、自動的に通行料金の精算を行うことができる。このような料金自動収受機は、利用者が車両に乗車したまま利用料金の支払いを行えるように、車両が走行する車線を向く前面に、利用者による操作を受け付ける操作パネルが設けられている。また、車両の車種に応じて運転席の高さが異なることがある。このため、例えば特許文献1に記載の料金自動収受機は、二つの操作パネルを上下に並べて、利用者が運転席の高さに応じて上段及び下段の操作パネルのうち何れかを利用できるようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2004-62302号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述の料金自動収受機は、利用者が上段及び下段のうち一方の操作パネルに通行券及びクレジットカードを挿入して利用料金を収受する処理を開始した後、例えばクレジットカードを処理するためのカードリーダが故障等により決済処理を失敗する場合がある。この場合、利用者は一方の操作パネルから通行券及びクレジットカードを引き抜いた後、他方の操作パネルに通行券及びクレジットカードを再度挿入して料金収受に係る操作を最初からやり直す必要があるので、料金収受処理に要するサービスタイムが長くなってしまう。
【0005】
更に、このように何等かの処理が失敗した場合、利用者は次にどのような操作をすべきか戸惑ってしまい、他方の操作パネルを操作するまでに時間がかかる可能性がある。また、利用者は係員を呼び出して応対を求める可能性がある。そうすると、料金収受に要するサービスタイムが増大し、料金所に渋滞が発生する等の影響が生じる可能性がある。
【0006】
本発明は、このような課題に鑑みてなされたものであって、料金収受に要するサービスタイムの増大を抑制可能な料金自動収受機、料金収受方法、及びプログラムを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため、本発明は以下の手段を採用している。
本発明の第1の態様によれば、第1操作パネル(2A)に設けられた第1カードリーダ(22A)と、第2操作パネル(2B)に設けられた第2カードリーダ(22B)と、前記第1操作パネル及び前記第2操作パネルの操作に関する通知を出力する操作案内手段(4,20A,20B,23A,23B)と、を備える料金自動収受機(1)は、前記第1カードリーダにカード媒体が挿入された場合に、挿入された前記カード媒体に基づいて前記第1カードリーダを介して決済処理を行うことができるか否かを判定する判定処理部(30)と、前記第1カードリーダを介して前記決済処理を行うことが出来ない場合、前記操作案内手段を通じて前記カード媒体を前記第2カードリーダへ挿入することを通知する通知処理部(31)と、を備える。
このように、料金自動収受機は、第1操作パネルの第1カードリーダを介して決済処理を行えない場合は、第2操作パネルの第2カードリーダにカード媒体を挿入することを通知することにより、利用者がスムーズに利用料金の支払いを完了できるように誘導することができる。これにより、料金自動収受機は、利用料金の収受に要するサービスタイムの増大を抑制することができる。
【0008】
本発明の第2の態様によれば、第1の態様に係る料金自動収受機(1)は、前記第1カードリーダ(22A)が前記カード媒体のICチップに記録された情報を読み取る前に、当該カード媒体の種別を判定する種別判定部(227A)を更に備える。前記判定処理部(30)は、前記種別判定部により判定された前記種別が前記第1カードリーダ(22A)の読み取り対象である種別と異なる場合、前記第1カードリーダを介して前記決済処理を行うことができないと判定する。
このようにすることで、料金自動収受機は、第1カードリーダの読み取り対象ではない種別のカード媒体が挿入されたことを迅速に判断して、第2カードリーダにカード媒体を挿入し直すように通知するまでの時間を短縮させることができる。
【0009】
本発明の第3の態様によれば、第1又は第2の態様に係る料金自動収受機(1)において、前記判定処理部(30)は、前記第1カードリーダ(22A)が前記カード媒体に記録された情報の読み取りを失敗した場合、前記第1カードリーダを介して前記決済処理を行うことができないと判定する。
このようにすることで、料金自動収受機は、第1カードリーダが故障等によりカード媒体から情報を読み取ることが出来なくなった場合は、利用者に対し第2カードリーダにカード媒体を挿入し直すように迅速に通知を行うことができる。
【0010】
本発明の第4の態様によれば、第1から第3の何れか一の態様に係る料金自動収受機(1)は、利用に応じた利用料金を算出する利用料金算出処理と、挿入された前記カード媒体に基づく前記決済処理とを含む料金収受処理を実行する料金収受処理部(32)を更に備える。前記料金収受処理部は、前記判定処理部(30)により前記第1カードリーダ(22A)を介して前記決済処理を行うことが出来ないと判定された場合、前記料金収受処理を中断し、前記第1カードリーダから排出された前記カード媒体が前記第2カードリーダ(22B)に挿入された後、前記料金収受処理を再開する。
従来の料金自動収受機では、第1操作パネルの第1カードリーダを介した決済処理に失敗した場合、第2操作パネルを操作して料金収受処理を最初からやり直す必要があった。しかしながら、上述の態様に係る料金自動収受機は、第1操作パネルで中断された料金収受処理の続きを、第2操作パネルで再開することができる。これにより、料金自動収受機は、料金収受処理をやり直すことによるサービスタイムの増大を抑制することができる。
【0011】
本発明の第5の態様によれば、第1操作パネル(2A)に設けられた第1カードリーダ(22A)と、第2操作パネル(2B)に設けられた第2カードリーダ(22B)と、前記第1操作パネル及び前記第2操作パネルを介した操作に関する通知を出力する操作案内手段(4,20A,20B,23A,23B)と、を備える料金自動収受機(1)を用いた料金収受方法は、第1カードリーダにカード媒体が挿入された場合に、挿入された前記カード媒体に基づいて前記第1カードリーダを介して決済処理を行うことができるか否かを判定する判定処理ステップと、前記第1カードリーダを介して前記決済処理を行うことが出来ない場合、前記操作案内手段を通じて前記カード媒体を前記第2カードリーダへ挿入することを通知する通知処理ステップと、を有する。
【0012】
本発明の第6の態様によれば、第1操作パネル(2A)に設けられた第1カードリーダ(22A)と、第2操作パネル(2B)に設けられた第2カードリーダ(22B)と、前記第1操作パネル及び前記第2操作パネルを介した操作に関する通知を出力する操作案内手段(4,20A,20B,23A,23B)と、を備える料金自動収受機(1)のコンピュータ(900)を機能させるプログラムであって、前記コンピュータに、第1カードリーダにカード媒体が挿入された場合に、挿入された前記カード媒体に基づいて前記第1カードリーダを介して決済処理を行うことができるか否かを判定する判定処理ステップと、前記第1カードリーダを介して前記決済処理を行うことが出来ない場合、前記操作案内手段を通じて前記カード媒体を前記第2カードリーダへ挿入することを通知する通知処理ステップと、を実行させる。
【発明の効果】
【0013】
本発明に係る料金自動収受機、料金収受方法、及びプログラムによれば、料金収受に要するサービスタイムの増大を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の一実施形態に係る料金自動収受機の概要を示す図である。
図2】本発明の一実施形態に係る料金自動収受機の機能構成を示す図である。
図3】本発明の一実施形態に係るカードリーダの機能構成を示す図である。
図4】本発明の一実施形態に係る料金自動収受機の処理の一例を示す第1のシーケンス図である。
図5】本発明の一実施形態に係る料金自動収受機の処理の一例を示すフローチャートである。
図6】本発明の一実施形態に係る料金自動収受機の処理の一例を示す第2のシーケンス図である。
図7】本発明の一実施形態に係る料金自動収受機のハードウェア構成の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の一実施形態に係る料金自動収受機1について、図1図7を参照しながら説明する。
【0016】
(料金自動収受機の全体構成)
図1は、本発明の一実施形態に係る料金自動収受機の概要を示す図である。
本実施形態に係る料金自動収受機1は、有料道路の料金所に設置される。より具体的には、料金自動収受機1は、図1に示すように料金所の車線Lの路側に敷設されたアイランドI上に設置され、車線Lを走行する車両Aから自動で利用料金を収受する。
【0017】
料金自動収受機1の筐体の車線Lを向く面(前面)には、車両Aの利用料金を収受する際に操作される第1操作パネル及び第2操作パネルが上下に配置される。本実施形態では、第1操作パネルは料金自動収受機1の鉛直方向上方に配置された上段操作パネル2Aであり、第2操作パネルは鉛直方向下方に配置された下段操作パネル2Bである。なお、他の実施形態では、第1操作パネルが下段操作パネル2Bであり、第2操作パネルが上段操作パネル2Aであってもよい。
【0018】
上段操作パネル2A及び下段操作パネル2Bは、車両Aの搭乗者(以下、「利用者」とも記載する)から車両Aの利用料金の支払いを受け付ける。なお、車両Aは、車種(普通車、大型車等の車両の外形的な特徴に基づく種別)に応じて運転席の高さが異なる場合がある。このため、利用者は乗車する車両Aの運転席の高さに応じて、上段操作パネル2A及び下段操作パネル2Bのうち何れかを利用することができる。これにより、利用者は、車両Aに乗車したまま利用料金の支払いを行うことができる。
【0019】
上段操作パネル2A(第1操作パネル)は、表示部20Aと、通行券処理部21Aと、カードリーダ22A(第1カードリーダ)と、挿入口案内部23Aと、を有している。
【0020】
表示部20Aは、液晶ディスプレイ等の表示装置であり、上段操作パネル2Aの操作に関する通知を表示する。表示部20Aは、本実施形態における「操作案内手段」の一態様である。
【0021】
通行券処理部21Aは、利用者により挿入された通行券から、料金収受処理に関する情報を読み取る。なお、通行券は、有料道路の入口料金所で発行され、車両Aが有料道路に進入した時刻、通過した入口料金所を特定可能な情報等が記録される。
【0022】
カードリーダ22Aは、挿入されたカード媒体に記録された情報を読み取る装置である。
【0023】
挿入口案内部23Aは、カードリーダ22Aの近傍に設けられたLED等のランプである。挿入口案内部23Aは、カードリーダ22Aへカード媒体を挿入可能である場合に点灯して、利用者にカード媒体をどこに挿入可能であるかを通知する。また、挿入口案内部23Aは、カードリーダ22Aへカード媒体を挿入不可である場合に消灯して、利用者にカード媒体を受け付けないことを通知する。挿入口案内部23Aは、本実施形態における「操作案内手段」の一態様である。
【0024】
下段操作パネル2B(第2操作パネル)は、表示部20Bと、通行券処理部21Bと、カードリーダ22B(第2カードリーダ)と、挿入口案内部23Bと、を有している。
【0025】
表示部20Bは、上段操作パネル2Aの表示部20Aと同様の装置であり、下段操作パネル2Bの操作に関する通知を表示する。表示部20Bは、本実施形態における「操作案内手段」の一態様である。
【0026】
通行券処理部21Bは、上段操作パネル2Aの通行券処理部21Aと同様の装置である。
【0027】
カードリーダ22Bは、挿入されたカード媒体に記録された情報を読み取る装置である。
【0028】
挿入口案内部23Bは、カードリーダ22Bの近傍に設けられたLED等のランプである。挿入口案内部23Bは、カードリーダ22Bにカード媒体を挿入可能である場合は点灯し、挿入不可である場合は消灯することにより、利用者に対しカード挿入可否を通知する。挿入口案内部23Bは、本実施形態における「操作案内手段」の一態様である。
【0029】
料金自動収受機1の前面には、更にスピーカ4が設けられている。スピーカ4は、上段操作パネル2A及び下段操作パネル2Bの操作に関する通知を音声で出力する。スピーカ4は、本実施形態における「操作案内手段」の一態様である。
【0030】
(料金自動収受機の機能構成)
図2は、本発明の一実施形態に係る料金自動収受機の機能構成を示す図である。
図2に示すように、料金自動収受機1は、上述の各構成に加え、CPU3と、記憶部5と、を更に備えている。
【0031】
CPU3は、料金自動収受機1全体の動作を司るプロセッサであり、所定のプログラムに従って動作することにより、判定処理部30、通知処理部31、料金収受処理部32としての機能を発揮する。
【0032】
判定処理部30は、上段操作パネル2Aのカードリーダ22Aにカード媒体が挿入された場合に、挿入されたカード媒体に基づいてカードリーダ22Aを介して決済処理を行うことができるか否かを判定する。同様に、判定処理部30は、下段操作パネル2Bのカードリーダ22Bにカード媒体が挿入された場合に、挿入されたカード媒体に基づいてカードリーダ22Bを介して決済処理を行うことができるか否かを判定する。
【0033】
通知処理部31は、上段操作パネル2Aのカードリーダ22Aを介して決済処理を行うことが出来ない場合、カードリーダ22Aからカード媒体を排出させるとともに、操作案内手段を通じてカード媒体を下段操作パネル2Bのカードリーダ22Bへ挿入することを通知する。同様に、通知処理部31は、下段操作パネル2Bのカードリーダ22Bを介して決済処理を行うことが出来ない場合、カードリーダ22Bからカード媒体を排出させるとともに、操作案内手段を通じてカード媒体を上段操作パネル2Aのカードリーダ22Aへ挿入することを通知する。
【0034】
料金収受処理部32は、車両Aによる有料道路の利用に応じた利用料金を算出する利用料金算出処理と、上段操作パネル2Aのカードリーダ22A、又は下段操作パネル2Bのカードリーダ22B挿入されたカード媒体に基づく決済処理とを含む料金収受処理を実行する。
【0035】
(カードリーダの機能構成)
ここで、本実施形態に係る上段操作パネル2Aのカードリーダ22A及び下段操作パネル2Bのカードリーダ22Bが読み取るカード媒体について説明する。
本実施形態では、カード媒体は、IC(Integrated Circuit)チップを搭載したカード媒体である「EMV(Europay, MasterCard, VISA protocol)-ICカード」、ICチップを搭載したカード媒体である「EMV-ICカード以外のICカード」(例えば、ETC(Electronic Toll Collection System)-ICカード)、ICチップを搭載しないカード媒体である「おもて面磁気ストライプカード」の三つの種別があるとする。ICチップを搭載したカード媒体は、カード媒体の裏面に磁気ストライプを有する。そして、EMV-ICカードでは、JIS規格であるID-1(旧JIS-I)によって第2トラックが規定されている。また、おもて面磁気ストライプカードは、表面に磁気ストライプを有する。そして、おもて面磁気ストライプカードは、規格である旧JIS-IIによって規定されている。
【0036】
ICチップを搭載するカード媒体が有する磁気ストライプは、ISO(International Organization for Standardization)、JIS(Japanese Industrial Standards)などで規格化されている。具体的には、磁気ストライプとして、第1トラックと第2トラックの2つのトラックを含むものと、第1トラック、第2トラック、第3トラックの3つのトラックを含むものが存在する。
第1トラックの規格は、国際航空運送協会(International Air Transport Association、IATA)によって策定された規格である。第2トラックの規格は、アメリカの銀行業界団体(米国銀行協会、American Bankers Association、ABA)によって策定された。第3トラックの規格は、アメリカの年金業界によって策定された規格である。また、第3トラックの規格は、欧州のユーロ規格である。第1トラックには、氏名の情報などが記録されている。第2トラックには、クレジットカードであることを示すカード番号(すなわち、クレジットカードであることを示す特有の数字の配列パターン)などの情報が記録されている。第3トラックは、主に米国の年金業界に関連する情報、または、ユーロカードの情報である。
つまり、カード媒体がクレジットカードである場合、磁気ストライプの第2トラックには、クレジットカードであることを示すカード番号(すなわち、EMV-ICカードである可能性の高いことを示す特有の数字の配列パターン)が含まれている。
【0037】
近年では、クレジットカードの不正使用対策として、EMV-ICクレジットカードを用いたクレジット決済に対応することが求められている。このため、本実施形態に係る料金自動収受機1は、上段操作パネル2Aのカードリーダ22A及び下段操作パネル2Bのカードリーダ22Bのうち少なくとも一方において、EMV-ICカードの読み取りに対応するものとする。
【0038】
具体的には、本実施形態では、上段操作パネル2Aのカードリーダ22Aは、上述のカード媒体のうち、「EMV-ICカード以外のICカード」と、「おもて面磁気ストライプカード」の二つのカード媒体の読み取りが可能であるとする。また、下段操作パネル2Bのカードリーダ22Bは、「EMV-ICカード」、「EMV-ICカード以外のICカード」、及び「おもて面磁気ストライプカード」の全てのカード媒体の読み取りが可能であるとする。このように、本実施形態では、上段操作パネル2Aのカードリーダ22Aと、下段操作パネル2Bのカードリーダ22Bとで、読み取り可能なカード媒体の種別が異なる。すなわち、読み取り対象とするカード媒体の種別が少ない上段操作パネル2Aのカードリーダ22Aは、下段操作パネル2Bのカードリーダ22Bよりも安価な構成とすることができる。このようにすることで、料金自動収受機1全体にかかるコストを低減させることができる。
【0039】
図3は、本発明の一実施形態に係るカードリーダの機能構成を示す図である。
図3に示すように、上段操作パネル2Aのカードリーダ22Aは、筐体221と、スロット部222と、カード検出部223と、搬送部224と、磁気読取部225と、ICチップ読取部226と、信号処理装置227と、を備える。
【0040】
筐体221は、図3に示すように、スロット部222、カード検出部223、搬送部224、磁気読取部225、ICチップ読取部226、信号処理装置227を内部に格納する。
【0041】
スロット部222は、カード媒体が挿入され、そのカード媒体を収める構造を有する。スロット部222の一端は、料金自動収受機1の筐体前面に開口し、カード媒体の挿入口となる。
【0042】
カード検出部223は、カード媒体の挿入口からスロット部222にカード媒体が挿入されたことを検出する。
【0043】
搬送部224は、カード媒体が挿入されたことをカード検出部223が検出したときに、モータ駆動するローラ等によってそのカード媒体をスロット部222の内部の所定の位置まで搬送する。また、搬送部224は、料金自動収受機1のCPU3からカード媒体の排出を指示された場合、カード媒体を挿入口に向かって搬送する。
【0044】
磁気読取部225は、スロット部222の内部を搬送されるカード媒体の磁気ストライプに記録されている情報を読み取る。本実施形態に係る磁気読取部225は、磁気読取部225aと、磁気読取部225bとにより構成される。
【0045】
磁気読取部225aは、おもて面磁気ストライプカードの磁気ストライプに記録されている情報を読み取る。磁気読取部225bは、ICチップを搭載したカード媒体、すなわち、EMV-ICカード及びEMV-ICカード以外のICカードの磁気ストライプに記録されている情報を読み取る。磁気読取部225a、225bは、磁気ストライプから読み取った情報を信号処理装置227に出力する。以下、磁気読取部225a、225bが読み取った情報を「磁気読取情報」と呼ぶ。
【0046】
ICチップ読取部226は、スロット部222の所定の位置に配置されており、カード媒体に搭載されているICチップに記録されている情報を読み取る。ICチップ読取部226は、読み取った情報を信号処理装置227に出力する。以下、ICチップ読取部226が読み取った情報を「ICチップ読取情報」と呼ぶ。
【0047】
信号処理装置227は、通信線LNを介して料金自動収受機1のCPU3と接続される。また、信号処理装置227は、種別判定部227Aと、制御部227Bと、記憶部227Cとを有する。
【0048】
種別判定部227Aは、カードリーダ22Aがカード媒体のICチップに記録された情報を読み取る前に、当該カード媒体の種別を判定する。上述のように、カード媒体がEMV-ICカードである場合、磁気ストライプの第2トラックには、クレジットカードであることを示すカード番号(すなわち、EMV-ICカードである可能性の高いことを示す特有の数字の配列パターン)が含まれている。したがって、種別判定部227Aは、磁気読取部225bが読み取った磁気読取情報が、所定の配列パターンに一致する数字の配列を含んでいる場合、読取対象のカード媒体はEMV-ICカードであると判定する。一方、種別判定部227Aは、磁気読取部225bが読み取った磁気読取情報が、所定の配列パターンに一致する数字の配列を含んでいない場合、読取対象のカード媒体はEMV-ICカード以外のICカードであると判定する。種別判定部227Aは、この判定結果を料金自動収受機1のCPU3に通信線LNを介して出力する。
【0049】
制御部227Bは、料金自動収受機1のCPU3(料金収受処理部32)からの指令を受けて、決済処理においてカードリーダ22Aがカード媒体に対して行う各種処理(カード媒体からの情報読取処理等)を制御する。なお、本実施形態では、上段操作パネル2Aのカードリーダ22Aが有する制御部227Bは、EMV-ICカード以外のICカード、及びおもて面磁気ストライプカードの二つの種別を対象とした処理を実行する機能を有しているものとする。
【0050】
記憶部227Cには、磁気読取部225が読み取った磁気読取情報、ICチップ読取部226が読み取ったICチップ読取情報等が記憶される。また、記憶部227Cには、EMV-ICカードである可能性の高いことを示す特有の数字の配列パターンを示す参照データが予め記憶されていてもよい。
【0051】
なお、下段操作パネル2Bのカードリーダ22Bも、図3に示す上段操作パネル2Aのカードリーダ22Aと同様の構成を有している。しかしながら、カードリーダ22Bの制御部227Bは、上段操作パネル2Aのカードリーダ22Aとは異なり、EMV-ICカード、EMV-ICカード以外のICカード、及びおもて面磁気ストライプカードの三つの種別を対象とした処理を実行する機能を有しているものとする。即ち、下段操作パネル2Bのカードリーダ22Bは、上段操作パネル2Aのカードリーダ22Aが処理可能なカード媒体に加え、更に多くの種類のカード媒体を処理することができる。これにより、料金自動収受機1は、上段操作パネル2Aのカードリーダ22Aを介してEMV-ICカードに対する処理を行うことはできないが、下段操作パネル2Bのカードリーダ22Bを介してEMV-ICカードに対する処理を行うことができる。
【0052】
(料金自動収受機の処理)
図4は、本発明の一実施形態に係る料金自動収受機の処理の一例を示す第1のシーケンス図である。
図5は、本発明の一実施形態に係る料金自動収受機の処理の一例を示すフローチャートである。
図6は、本発明の一実施形態に係る料金自動収受機の処理の一例を示す第2のシーケンス図である。
以下、図4図6を参照しながら、本実施形態に係る料金自動収受機1の処理の流れについて説明する。
【0053】
まず、図4に示すように、料金所に車両Aが到来すると、車両Aに搭乗する利用者は、入口料金所で発行された通行券を料金自動収受機1に挿入する。図4の例では、利用者が上段操作パネル2Aの通行券処理部21Aに通行券を挿入したとする。そうすると、通行券処理部21Aは、通行券に記録された料金収受処理に関する情報を読み取り(ステップS100)、読み取った情報(通行券情報)をCPU3に出力する(ステップS101)。
【0054】
CPU3の料金収受処理部32は、通行券処理部21Aにより通行券情報が読み取られると、料金収受処理を開始する。まず、料金収受処理部32は、通行券情報に基づいて車両Aの利用料金を算出する利用料金算出処理を実行する(ステップS102)。また、料金収受処理部32は、通行券が挿入された操作パネル、すなわち、上段操作パネル2Aの表示部20Aに算出した利用料金を含む料金情報を出力(表示)するように指示を行う(ステップS103)。なお、料金収受処理部32は、スピーカ4に料金情報を音声で出力するように指示を行ってもよい。このとき、上段操作パネル2の挿入口案内部23Aを点灯させて、カードリーダ22にカード媒体を挿入可能であることを利用者に示すようにしてもよい。
【0055】
上段操作パネル2Aの表示部20Aは、料金収受処理部32からの指示にしたがい、料金情報を表示する(ステップS104)。また、スピーカ4は、料金収受処理部32から指示を受けた場合、料金情報を音声で出力してもよい。
【0056】
次に、利用者は、表示部20A(又はスピーカ4)から出力された料金情報を参照して、利用料金を支払うために上段操作パネル2Aのカードリーダ22Aにカード媒体を挿入する。そうすると、カードリーダ22Aは、挿入されたカード媒体の種別を判定するカード種別判定処理を実行する(ステップS105)。ここで、カードリーダ22Aは、カード種別判定処理(ステップS105)において、図5に示す各処理を実行する。
【0057】
カードリーダ22Aのカード検出部223によりカード媒体がスロット部222に挿入されたことが検出されると、磁気読取部225によりカード媒体の磁気ストライプに記録されている情報を読み取りながら、搬送部224によりカード媒体をスロット部222の所定の位置まで搬送する(ステップS1050)。なお、カード媒体がICチップを搭載したカード媒体である場合には、磁気読取部225のうち、図3の下側に配置された磁気読取部225bがカード媒体の磁気ストライプに記録されている情報を搬送中に読み取る。また、カード媒体がおもて面磁気ストライプカードである場合には、磁気読取部225のうち、図3の上側に配置された磁気読取部225aがカード媒体の磁気ストライプに記録されている情報を搬送中に読み取る。磁気読取部225は、読み取った磁気読取情報を信号処理装置227に出力する。
【0058】
次に、信号処理装置227の種別判定部227Aは、挿入されたカード媒体に搭載されたICチップ内の情報を読み取る前に、当該カード媒体の種別を判定する。具体的には、種別判定部は、磁気読取部225から出力された磁気読取情報に基づいて、当該カード媒体がEMV-ICカードであるか否かを判定する(ステップS1051)。
【0059】
例えば、種別判定部227Aは、磁気読取部225が読み取った磁気読取情報(磁気ストライプにおける第2トラックに記録されている情報)がEMV-ICカードの所定の配列パターンに一致する数字の配列を含んでいる場合、当該カード媒体はEMV-ICカードであると判定する(ステップS1051:YES)。この場合、種別判定部227Aは、挿入されたカード媒体がEMV-ICカードであると判定したことを示す「第1判定結果」をCPU3に出力する(ステップS1052)。
【0060】
一方、種別判定部227Aは、磁気読取部225が読み取った磁気読取情報(がEMV-ICカードの所定の配列パターンに一致する数字の配列を含んでいない場合、当該カード媒体はEMV-ICカード以外のICカードであると判定する(ステップS1051:NO)。この場合、種別判定部227Aは、挿入されたカード媒体がEMV-ICカード以外のICカードであると判定したことを示す「第2判定結果」をCPU3に出力する(ステップS1053)。
【0061】
次に、図4に戻り、CPU3の判定処理部30は、カードリーダ22A(種別判定部227A)から出力された判定結果に基づいて、上段操作パネル2Aのカードリーダ22Aを介して決済処理を行うことができるか否かを判定する(ステップS106)。
【0062】
判定処理部30は、カードリーダ22Aから出力された判定結果が第2判定結果である場合、すなわち、カードリーダ22Aに挿入されたカード媒体がEMV-ICカード以外のICカードであると判定された場合、カードリーダ22Aを介して決済処理を行うことができると判定する(ステップS106:YES)。
【0063】
判定処理部30によりカードリーダ22Aを介して決済処理を行うことができると判定された場合(ステップS106:YES)、料金収受処理部32は、カードリーダ22Aを介して決済処理を実行する(ステップS107)。なお、ステップS107において行われる決済処理は、従来の料金自動収受機で行われる決済処理と同様である。例えば、料金収受処理部32は、カードリーダ22Aに対し決済処理に必要な情報を読み取る指示を行う。そうすると、カードリーダ22Aは、ICチップ読取部226を介してICチップ内に記録された情報を読み取り、ICチップ読取情報として料金収受処理部32に出力する。また、カードリーダ22Aは、ICチップ読取部226による読み取りに失敗すると、カード媒体がおもて面磁気ストライプカードである可能性が高いと判断する。この場合、カードリーダ22Aは、磁気読取部225aを介して磁気ストライプに記録された情報を読み取り、磁気読取情報として料金収受処理部32に出力する。料金収受処理部32は、カードリーダ22Aから出力されたICチップ読取情報又は磁気読取情報に基づいて、クレジット決済を行う。
【0064】
次に、判定処理部30は、料金収受処理部32による決済処理が成功したか否かを判定する(ステップS108)。判定処理部30は、料金収受処理部32による決済処理が成功した場合(ステップS108:YES)、カードリーダ22Aにカード媒体を排出するように指示する(ステップS109)。そうすると、カードリーダ22Aの搬送部224は、カード媒体を挿入口に向かって搬送して、カード媒体をスロット部222から排出する(ステップS110)。排出されたカード媒体が利用者により引き抜かれると、料金自動収受機1は、料金収受処理を終了する。
【0065】
判定処理部30は、カードリーダ22Aから出力された判定結果が第1判定結果である場合、すなわち、カードリーダ22Aに挿入されたカード媒体がEMV-ICカードであると判定された場合、カードリーダ22Aを介して決済処理を行うことができないと判定する(ステップS106:NO)。この場合、料金自動収受機1は、上述のステップS107~S110の処理に代えて、図6に示す各種処理を実行する。
【0066】
また、例えば、カードリーダ22Aの故障(磁気読取部225a又はICチップ読取部226の接触不良等)によりカード媒体からICチップ読取情報又は磁気読取情報が取得できなかった場合、判定処理部30は決済処理が失敗した(カードリーダ22Aを介して決済処理を行うことができない)と判定する(ステップS108:NO)。この場合も、料金自動収受機1は、上述のステップS109~S110の処理に代えて、図6に示す各種処理を実行する。
【0067】
以下、図6を参照しながら、上段操作パネル2Aのカードリーダ22Aを介して決済処理ができないケースにおける処理の流れについて説明する。
判定処理部30がカードリーダ22Aを介して決済処理を行うことができないと判定した場合(ステップS106:NO、又は、ステップS108:NO)、料金収受処理部32は、図6に示すように、料金収受処理を一時中断する(ステップS200)。このとき、料金収受処理部32は、利用料金算出処理(図4のステップS102)で算出した利用料金、カードリーダ22Aの種別判定部227Aから通知された判定結果等、ここまでの料金収受処理において実行済みの処理内容(取得、生成された各種情報等)を記憶部5に記憶しておく。
【0068】
このとき、通知処理部31は、下段操作パネル2Bに対し、決済処理を上段操作パネル2Aから下段操作パネル2Bに移管することを通知する(ステップS201)。そうすると、下段操作パネル2Bは、挿入口案内部23Bを点灯させて、下段操作パネル2Bのカードリーダ22Bにカード媒体を挿入可能であることを通知する(ステップS202)。また、下段操作パネル2Bの他の挿入口(通行券処理部21B)の不図示のシャッタを閉鎖して、カード媒体が誤った挿入口に挿入されることを抑制するようにしてもよい。これにより、利用者はどこにカード媒体を挿入すればよいかを容易に理解することができる。
【0069】
また、通知処理部31は、ステップS201~S202の処理と並行して、上段操作パネル2Aの表示部20Aに対し、利用者を下段操作パネル2Bのカードリーダ22Bに誘導する案内通知を出力するように指示する(ステップS202)。また、通知処理部31は、スピーカ4に対し、同様の案内通知を音声で出力するように指示してもよい。
【0070】
上段操作パネル2Aの表示部20Aは、判定処理部30の指示にしたがい、下段操作パネル2Bのカードリーダ22Bにカード媒体を挿入し直すように促す案内通知を表示する(ステップS203)。また、スピーカ4から同様の案内通知を音声により出力してもよい。このとき、上段操作パネル2Aは、挿入口案内部23Aを消灯するとともに、他の挿入口(通行券処理部21A)の不図示のシャッタを閉鎖するようにしてもよい。
【0071】
次に、判定処理部30は、上段操作パネル2Aのカードリーダ22Aにカード媒体を排出するように指示する(ステップS205)。そうすると、カードリーダ22Aの搬送部224は、カード媒体を挿入口に向かって搬送して、カード媒体をスロット部222から排出する(ステップS206)。
【0072】
利用者は、案内通知にしたがって、上段操作パネル2Aのカードリーダ22Aからカード媒体を引き抜く。このとき、上段操作パネル2Aは、カード媒体が引き抜かれた後、利用者が誤ってカード媒体を挿入しないように、カードリーダ22Aの不図示のシャッタを閉鎖するようにしてもよい。
【0073】
また、利用者が下段操作パネル2Bのカードリーダ22Bにカード媒体を挿入し直すと、料金収受処理部32は、記憶部5に記憶された処理内容を読み出して料金収受処理を再開する(ステップS207)。これにより、料金収受処理部32は、上段操作パネル2Aの各部を介して実行済みの処理(例えば図4のステップS100~S105における各種処理)を、下段操作パネル2Bの各部を介して再度実行する必要がないので、料金収受処理にかかる時間が長期化することを抑制することができる。
【0074】
次に、料金収受処理部32は、料金収受処理を再開すると、これまでの料金収受処理で完了していない残りの処理を実行する。例えば、料金収受処理部32は、下段操作パネル2Bのカードリーダ22Bを介して決済処理を実行する(ステップS208)。例えば、図4のステップS105において上段操作パネル2Aのカードリーダ22Aから「第1判定結果」が出力された場合、料金収受処理部32は所定のアプリケーションプログラムを実行することにより、カードリーダ22Bに対しEMV-ICカードによる決済処理を行うための各種指示を行う。一方、図4のステップS105において上段操作パネル2Aのカードリーダ22Aから「第1判定結果」が出力された場合、料金収受処理部32は、図4のステップS107と同様の決済処理を、下段操作パネル2Bのカードリーダ22Bとの間で実行する。
【0075】
次に、料金収受処理部32は、決済処理が終了すると、カードリーダ22Bにカード媒体を排出するように指示する(ステップS209)。そうすると、カードリーダ22Bの搬送部224は、カード媒体を挿入口に向かって搬送して、カード媒体をスロット部222から排出する(ステップS210)。排出されたカード媒体が利用者により引き抜かれると、料金自動収受機1は、料金収受処理を終了する。
【0076】
なお、図4図6では、上段操作パネル2Aのカードリーダ22Aを介した決済処理が行えなかった場合、下段操作パネル2Bのカードリーダ22Bにカード媒体を挿入し直して決済処理を行う例が示されているが、これに限られることはない。下段操作パネル2Bのカードリーダ22Bが決済処理を行えなかった場合は、料金自動収受機1は図4図6と同様の処理を行い、上段操作パネル2Aのカードリーダ22Aにカード媒体を挿入し直すように通知してもよい。
【0077】
(料金自動収受機のハードウェア構成)
図7は、本発明の一実施形態に係る料金自動収受機のハードウェア構成の一例を示す図である。
以下、図7を参照して、本実施形態に係る料金自動収受機1のハードウェア構成について説明する。
【0078】
コンピュータ900は、CPU901、主記憶装置902、補助記憶装置903、インタフェース904を備える。
【0079】
上述の料金自動収受機1は、コンピュータ900に実装される。そして、上述した料金自動収受機1の各部の動作は、プログラムの形式でそれぞれのコンピュータ900が有する補助記憶装置903に記憶されている。CPU901は、プログラムを補助記憶装置903から読み出して主記憶装置902に展開し、当該プログラムに従って上記処理を実行する。また、CPU901(CPU3)は、プログラムに従って、処理に伴い取得、生成した各種情報を記憶するための記憶領域(記憶部5)を主記憶装置902に確保する。また、CPU901は、プログラムに従って、処理中のデータを記憶する記憶領域を補助記憶装置903に確保する。
【0080】
なお、コンピュータ900は、インタフェース904を介して、外部記憶装置910と接続されており、上記記憶領域は、外部記憶装置910に確保されてもよい。
【0081】
なお、少なくとも一つの実施形態において、補助記憶装置903は、一時的でない有形の媒体の一例である。一時的でない有形の媒体の他の例としては、インタフェース904を介して接続される磁気ディスク、光磁気ディスク、CD-ROM、DVD-ROM、半導体メモリ等が挙げられる。また、このプログラムが通信回線によってコンピュータ900に配信される場合、配信を受けたコンピュータ900が当該プログラムを主記憶装置902に展開し、上記処理を実行しても良い。
【0082】
また、当該プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであっても良い。さらに、当該プログラムは、前述した機能を補助記憶装置903に既に記憶されている他のプログラムとの組み合わせで実現するもの、いわゆる差分ファイル(差分プログラム)であっても良い。
【0083】
(作用効果)
以上のように、本実施形態に係る料金自動収受機1は、上段操作パネル2A(第1操作パネル)に設けられたカードリーダ22A(第1カードリーダ)と、下段操作パネル2B(第2操作パネル)に設けられたカードリーダ22B(第2カードリーダ)と、上段操作パネル2A及び下段操作パネル2Bの操作に関する通知を出力する操作案内手段(スピーカ4、表示部20A、表示部20B、挿入口案内部23A、挿入口案内部23B)と、を備える料金自動収受機1であって、上段操作パネル2Aのカードリーダ22Aにカード媒体が挿入された場合に、挿入されたカード媒体に基づいてカードリーダ22Aを介して決済処理を行うことができるか否かを判定する判定処理部30と、カードリーダ22Aを介して決済処理を行うことが出来ない場合、操作案内手段を通じてカード媒体を下段操作パネル2Bのカードリーダ22Bへ挿入することを通知する通知処理部31と、を備える。
このように、料金自動収受機1は、上段操作パネル2Aのカードリーダ22Aを介して決済処理を行えない場合は、下段操作パネル2Bのカードリーダ22Bにカード媒体を挿入することを通知することにより、利用者がスムーズに利用料金の支払いを完了できるように誘導することができる。これにより、料金自動収受機1は、利用料金の収受に要するサービスタイムの増大を抑制することができる。
【0084】
また、料金自動収受機1は、カードリーダ22Aがカード媒体のICチップに記録された情報を読み取る前に、当該カード媒体の種別を判定する種別判定部227Aを更に備える。判定処理部30は、種別判定部227Aにより判定された種別がカードリーダ22Aの読み取り対象である種別と異なる場合、カードリーダ22Aを介して決済処理を行うことができないと判定する。
このようにすることで、料金自動収受機1は、上段操作パネル2Aのカードリーダ22Aの読み取り対象ではない種別のカード媒体が挿入されたことを迅速に判断して、下段操作パネル2Bのカードリーダ22Bにカード媒体を挿入し直すように通知するまでの期間を短縮させることができる。
【0085】
また、判定処理部30は、カードリーダ22Aがカード媒体に記録された情報の読み取りを失敗した場合、カードリーダ22Aを介して決済処理を行うことができないと判定する。
このようにすることで、料金自動収受機1は、上段操作パネル2Aのカードリーダ22Aが故障等によりカード媒体から情報を読み取ることが出来なくなった場合は、利用者に対し下段操作パネル2Bのカードリーダ22Bにカード媒体を挿入し直すように迅速に通知を行うことができる。
【0086】
また、料金自動収受機1は、利用に応じた利用料金を算出する利用料金算出処理と、挿入されたカード媒体に基づく決済処理とを含む料金収受処理を実行する料金収受処理部32を更に備える。料金収受処理部32は、判定処理部30によりカードリーダ22Aを介して決済処理を行うことが出来ないと判定された場合、料金収受処理を中断し、上段操作パネル2Aのカードリーダ22Aから排出されたカード媒体が下段操作パネル2Bのカードリーダ22Bに挿入された後、料金収受処理を再開する。
従来の料金自動収受機では、上段操作パネルのカードリーダを介した決済処理に失敗した場合、下段操作パネルを操作して料金収受処理を最初からやり直す必要があった。しかしながら、本実施形態に係る料金自動収受機1は、上段操作パネル2Aで中断された料金収受処理の続きを、下段操作パネル2Bで再開することができる。これにより、料金自動収受機1は、料金収受処理をやり直すことによるサービスタイムの増大を抑制することができる。
【0087】
以上、本発明の実施形態について詳細に説明したが、本発明の技術的思想を逸脱しない限り、これらに限定されることはなく、多少の設計変更等も可能である。
【0088】
例えば、他の実施形態では、上段操作パネル2Aのカードリーダ22AがEMV-ICカード、EMV-ICカード以外のICカード、及びおもて面磁気ストライプカードの全ての種別に対応し、下段操作パネル2Bのカードリーダ22BがEMV-ICカード以外のICカード、及びおもて面磁気ストライプカードの二つの種別のみに対応する態様であってもよい。
【0089】
また、更に他の実施形態では、上段操作パネル2Aのカードリーダ22Aと、下段操作パネル2Bのカードリーダ22Bの両方が、EMV-ICカード、EMV-ICカード以外のICカード、及びおもて面磁気ストライプカードの全ての種別に対応する態様であってもよい。この場合、図4のステップS106の処理は省略してもよい。
【0090】
また、上述の実施形態において、上段操作パネル2Aのカードリーダ22Aを介して決済処理を行うことが出来ない場合、通知処理部31がカードリーダ22Aからカード媒体を排出させる態様について説明したが、これに限られることはない。例えば、他の実施形態では、操作者(利用者又は収受員)が排出ボタンを押下する等の操作を行って、カード媒体を排出させるようにしてもよい。また、更に他の実施形態において、カード媒体全体がカードリーダ22A内部に引き込まれず、カード媒体の一部が筐体221の外部に突出した状態で決済処理が行われる場合、操作者がカード媒体を手動で引き抜くようにしてもよい。また、下段操作パネル2Bのカードリーダ22Bについても同様である。この場合、通知処理部31は、通知案内手段を介してカード排出のための操作(排出ボタンの押下、手動で引き抜く等の操作)の案内を出力するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0091】
1 料金自動収受機
2A 上段操作パネル(第1操作パネル)
20A 表示部(操作案内手段)
21A 通行券処理部
22A カードリーダ(第1カードリーダ)
221 筐体
222 スロット部
223 カード検出部
224 搬送部
225、225a、225b 磁気読取部
226 ICチップ読取部
227 信号処理装置
227A 種別判定部
227B 制御部
227C 記憶部
23A 挿入口案内部(操作案内手段)
2B 下段操作パネル(第2操作パネル)
20B 表示部(操作案内手段)
21B 通行券処理部
22B カードリーダ(第2カードリーダ)
23B 挿入口案内部(操作案内手段)
3 CPU
30 判定処理部
31 通知処理部
32 料金収受処理部
4 スピーカ(操作案内手段)
5 記憶部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7