(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-01-31
(45)【発行日】2023-02-08
(54)【発明の名称】シートスライド装置
(51)【国際特許分類】
B60N 2/06 20060101AFI20230201BHJP
【FI】
B60N2/06
(21)【出願番号】P 2019038848
(22)【出願日】2019-03-04
【審査請求日】2021-12-10
(73)【特許権者】
【識別番号】598106326
【氏名又は名称】トヨタ車体精工株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000110
【氏名又は名称】弁理士法人 快友国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】小見山 斉
(72)【発明者】
【氏名】堀 喜久
(72)【発明者】
【氏名】小笠原 貴行
(72)【発明者】
【氏名】兵藤 宏昭
(72)【発明者】
【氏名】高橋 理
【審査官】岡▲さき▼ 潤
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-030527(JP,A)
【文献】特開2018-086885(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0166091(US,A1)
【文献】特開平10-159845(JP,A)
【文献】特開平11-072118(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60N 2/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車体に取り付け可能なロアレールと、
シートに取り付け可能であり、前記ロアレールに移動可能に係合しているアッパレールと、
前記アッパレールに取り付けられており、前記ロアレールまたは前記車体に押し付けられているローラと、
前記ローラを回転させるアクチュエータと、
を備えており、
前記ロアレールは、
底板と、
前記底板のロアレール短手方向の両端から上方へ延びている一対の側板と、
夫々の前記側板の上端から前記ロアレールの短手方向の中心側へ向けて延びている上板と、
夫々の上板の前記中心側の端から下方へ延びている内板と、
を備えており、
前記アッパレールには、夫々の前記上板と当該上板につながっている前記内板の連結角部に当接する一対の前記ローラが備えられており、
一対の前記ローラの夫々の直径が前記中心側に向かって漸増している、シートスライド装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書が開示する技術は、自動車のシートをアクチュエータで移動させるシートスライド装置に関する。
【背景技術】
【0002】
アクチュエータでシートを移動(スライド)させるシートスライド装置が知られている。シートスライド装置は、車体に取り付けられる長尺のロアレールと、ロアレールに係合しているアッパレールを備えている。アッパレールにシートが取り付けられる。特許文献1のシートスライド装置は、ロアレールの内部にリードスクリュを配置している。一方、アッパレールは、リードスクリュに螺合するスクリューナットと、スクリューナットを回転させるアクチュエータとウォームギアを備えている。アクチュエータとウォームギアでスクリューナットを回転させると、スクリューナットとともにアッパレール(即ちシート)が移動する。
【0003】
特許文献2のシートスライド装置は、車体の床に接する球状の回転体と、回転体を直交する2方向に回転させる複数のアクチュエータを備えている。回転体が2方向に回転するので、シートスライド装置は、車体の床面上を二次元的に自在に移動することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2004-210113号公報
【文献】特開2018-020665号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1のシートスライド装置と特許文献2のシートスライド装置はいずれも移動機構の構造が複雑であり、コストが嵩む。本明細書は、簡単な構造でアッパレールをアクチュエータによって動かすことができるシートスライド装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本明細書が開示するシートスライド装置は、車体に取り付け可能なロアレールと、シートに取り付け可能であるとともにロアレールに対して移動可能(スライド可能)に係合しているアッパレールと、アッパレールに取り付けられておりロアレールまたは車体に押し付けられているローラと、ローラを回転させるアクチュエータを備えている。このシートスライド装置は、動力を有していない従来のシートスライド装置にローラとアクチュエータを追加するだけでよいので、構造が簡単である。
【0007】
本明細書が開示するシートスライド装置の一態様は次の構造を有していてよい。ロアレールは車体のフロアに設けられた溝の中に配置されている。ローラはフロアの溝とロアレールの間の隙間を覆うカバーの上面に押し付けられている。カバーは金属製であってもよいが、樹脂製であるとなおよい。樹脂製のカバーは摩擦係数が高く、アクチュエータによって駆動されるローラを摩擦係数の高い樹脂製のカバーの上面に押し付けることによって、ローラが滑り難くなる。樹脂製のカバーは、その下面に、溝とロアレールの間に入り込む垂下部を備えているとさらによい。
【0008】
本明細書が開示するシートスライド装置の別の一態様は、次の構造を有していてもよい。アッパレールには複数のローラが備えられている。1個乃至複数のローラがロアレールの短手方向の一方側の側板にロアレールの内側から押し付けられており、残りのローラが他方側の側板にロアレールの内側から押し付けられている。アクチュエータは、複数のローラの少なくとも1個を回転させる。そのような態様のシートスライド装置では、第一に、駆動されるローラがロアレールの内側に配置されるので、装置全体の大きさが従来のシートスライド装置と同じで済む。第二に、ロアレールの短手方向の中心側から夫々の側板へ向けてローラが押し付けられているので、ローラと側板の間の摩擦力を大きくすることができる。それゆえ、ローラが滑り難くなる。
【0009】
本明細書が開示するシートスライド装置のさらに別の一態様は、次の構造を有していてもよい。ロアレールは、底板と、底板のロアレール短手方向の両端から上方へ延びている一対の側板と、夫々の側板の上端からロアレールの短手方向の中心側へ向けて延びている上板と、夫々の上板の中心側(ロアレール短手方向の中心側)の端から下方へ延びている内板を備えている。アッパレールには、夫々の上板と当該上板につながっている内板との連結角部に当接する一対のローラが備えられている。一対のローラの夫々は、直径が中心側(ロアレールの短手方向の中心側)に向かって漸増している。上記の態様のシートスライド装置では、直径が漸増している一対のローラが、ロアレールの短手方向の剛性によってロアレールの一対の連結角部の間に強く挟まれる。その結果、ローラと連結角部の間の摩擦力が大きくなり、ローラが滑り難くなる。
【0010】
本明細書が開示する技術の詳細とさらなる改良は以下の「発明を実施するための形態」にて説明する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】第1実施例のシートスライド装置の側面図である。
【
図2】レール長手方向に直交する平面でカットしたシートスライド装置の断面図である。
【
図3】第2実施例のシートスライド装置の断面図である。
【
図4】第3実施例のシートスライド装置の断面図である。
【
図5】第4実施例のシートスライド装置の断面図である。
【
図6】第5実施例のシートスライド装置の断面図である。
【
図7】第6実施例のシートスライド装置の断面図である。
【
図8】第7実施例のシートスライド装置の断面図である。
【
図9】第8実施例のシートスライド装置の断面図である。
【
図10】第8実施例のシートスライド装置の模式的平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
(第1実施例)図面を参照して第1実施例のシートスライド装置2を説明する。
図1に、自動車に取り付けられたシートスライド装置2の側面図を示す。シートスライド装置2は、ロアレール10とアッパレール20で構成されている。ロアレール10は長尺である。アッパレール20は、ロアレール10に対してその長手方向に移動可能(スライド可能)に取り付けられている。ロアレール10は車体のフロアパネル90に固定される。アッパレール20は、シート80のシートクッション81の下部に取り付けられる。アッパレール20は、不図示のフレームを介してシートクッション81の下部に取り付けられる。シートスライド装置2は、シートクッション81の下部の左右に夫々取り付けられる。図中の座標系のX方向がロアレール10とアッパレール20のレール長手方向に相当する。Y方向がレール短手方向に相当する。図中の座標系の+Z方向が上方を示す。
【0013】
アッパレール20には、アクチュエータで駆動される駆動ローラ31が取り付けられている。
図1ではアクチュエータの図示は省略している。駆動ローラ31はフロアパネル90に接している。アッパレール20は、アクチュエータで駆動される駆動ローラ31によって、ロアレール10に対して移動することができる。すなわち、シートスライド装置2は、電動でシートを移動(スライド)させることができる。
【0014】
図2に、シートスライド装置2の断面図を示す。
図2の断面は、ロアレール10とアッパレール20を、レール長手方向(X方向)に直交する平面でカットした断面を示している。
図2は、後述するアクチュエータ32よりも前方でアッパレール20をカットした断面図である。なお、アッパレール20には、アッパレール20をロアレール10に対して固定するロック機構が設けられているが、ロック機構の図示は省略した。ロック機構は従来のシートスライド装置が備えている機構と同じであるので説明も省略する。
【0015】
図2を参照して、まず、ロアレール10の形状を説明する。ロアレール10は、フロアパネル90に設けられたレール溝91に収められる。ロアレール10は、車体に取り付けられる底板3と、一対の外側板4と、一対の上板5と、一対の内側板6を備えている。一対の外側板4は、レール短手方向(図中のY方向)で底板3の両端の夫々から上方に向かって延びている。一対の上板5は、夫々の外側板4の上端からレール短手方向の中央へ向けて横方向に延びている。一対の内側板6は、夫々の上板5の内側端から下方へ延びている。一対の内側板6は、互いに対向している。一対の内側板6の間で、ロアレール10は上方に向けて開口している。ロアレール10は、上面がレール長手方向に沿って細長く開口している。
【0016】
アッパレール20について説明する。アッパレール20の本体下部22はロアレール10の内側に位置しており、従動ローラ23を支持している。従動ローラ23は、ロアレール10の底板3に接しており、アッパレール20の移動を円滑にする。アッパレール20は、ロアレール10の長手方向に沿って移動可能(スライド可能)である。アッパレール20の本体上部21は、ロアレール10よりも上側に露出している。本体上部21に不図示のフレームが取り付けられ、そのフレームにシートクッション81(
図1参照)が固定される。本体上部21と本体下部22は、ロアレール10の開口を通じて繋がっている。別言すれば、アッパレール20は、一部(本体下部22)がロアレール10の内部に位置しており、ロアレール10の開口を通じて残部(本体上部21)がロアレール10よりも上方へ突き出ている。
【0017】
アッパレール20の本体上部21にアクチュエータ32が固定されており、アクチュエータ32の出力軸に駆動ローラ31が固定されている。アクチュエータ32は、モータとギアセットからなる。モータの駆動軸がギアセットの入力軸に連結されており、ギアセットの出力軸(アクチュエータ32の出力軸)が駆動ローラ31に連結されている。ギアセットは、モータの回転を減速して駆動ローラ31に伝達する。駆動ローラ31は、フロアパネル90の上面90aに押し付けられている。アクチュエータ32によって駆動ローラ31が回転する。先に述べたように、アッパレール20は、アクチュエータ32と駆動ローラ31によって、ロアレール10に対してその長手方向に移動することができる。駆動ローラ31のフロアパネル90に接している外周面にはゴムが貼り付けられており、駆動ローラ31は、フロアパネル90に対してスリップすることなく回転することができる。
【0018】
上記したように、第1実施例のシートスライド装置2は、アクチュエータを備えない従来のシートスライド装置にアクチュエータ32と駆動ローラ31を追加しただけの単純な構造を有している。
【0019】
(第2実施例)
図3に、第2実施例のシートスライド装置2aの断面図を示す。
図3の断面図は、
図2の断面図と同様に、ロアレール10とアッパレール20をレール長手方向(図中の座標系のX方向)に直交する平面でカットした断面を示している。
図2と同様に、
図3はアクチュエータ32の前方でアッパレール20をカットした断面図である。
【0020】
第2実施例のシートスライド装置2aのアッパレール20も、第1実施例のシートスライド装置2と同様にアクチュエータ32と駆動ローラ31を備えている。駆動ローラ31は、アクチュエータ32の出力軸に連結されている。第1実施例のシートスライド装置2と異なり、駆動ローラ31は、フロアパネル90の上面90aではなく、ロアレール10の上板5に押し付けられている。第2実施例のシートスライド装置2aのアッパレール20も、アクチュエータ32と駆動ローラ31によってロアレール10に対してその長手方向に電動で移動することができる。
【0021】
(第3実施例)
図4に、第3実施例のシートスライド装置2bの断面図を示す。
図4の断面図も、
図2、
図3の断面図と同様に、ロアレール10とアッパレール20をレール長手方向(図中の座標系のX方向)に直交する平面でカットした断面を示している。
【0022】
第3実施例のシートスライド装置2bのアッパレール20にも、アクチュエータ32と駆動ローラ31が取り付けられている。ただし、第3実施例の場合、アクチュエータ32は、アッパレール20の本体上部21に固定されているフレーム29を介してアッパレール20に取り付けられている。先に述べたように、フレーム29にシートクッション(
図1参照)が取り付けられる。アクチュエータ32の出力軸に駆動ローラ31が連結されており、駆動ローラ31は、フロアパネル90の上面に押し付けられている。第3実施例のシートスライド装置2bも、アクチュエータ32と駆動ローラ31によって、アッパレール20がロアレール10に対してその長手方向に電動で移動することができる。
【0023】
(第4実施例)
図5に第4実施例のシートスライド装置2cの断面図を示す。第5実施例のシートスライド装置2cは、一対のT形状モール93を備えている。
【0024】
一対のT形状モール93は、フロアパネル90に設けられたレール溝91の内側面92とロアレール10との間の隙間を塞ぐために備えられている。T形状モール93は、フロアパネル90の上面とロアレール10の上板5を覆う平坦部93bと、レール短手方向で平坦部93bの下面中央から下方へ延びている垂下部93aを備えている。垂下部93aが、レール溝91の内側面92とロアレール10との隙間に差し込まれる。別言すれば、T形状モール93は、レール溝91とロアレール10の間の隙間に入り込むとともに隙間の両側(フロアパネル90とロアレール10の上板5)を覆っている。T形状モール93は、柔軟性の高い樹脂で作られている。
【0025】
第4実施例のシートスライド装置2cでは、駆動ローラ31がT形状モール93の上面に押し付けられている。先に述べたように、T形状モール93は、柔軟性の高い樹脂で作られており、表面の摩擦係数が高い。それゆえ、駆動ローラ31は、T形状モール93に対して滑り難くなる。第4実施例のシートスライド装置2cは、駆動ローラ31が滑り難いという利点を備えている。また、T形状モール93は、レール溝91とロアレール10との間の隙間に差し込まれる垂下部93aを備えているので、上面を駆動ローラ31が移動してもT形状モール93がずれ難いという利点を備える。
【0026】
T形状モール93を採用するときに得られる利点には及ばないが、T形状モール93に代えて、レール溝91とロアレール10の間の隙間を覆うカバーの上を駆動ローラ31が移動するようにしてもよい。カバーは樹脂製であることが望ましいが、金属そのほかの材料でつくられていてもよい。
【0027】
(第5実施例)
図6に第5実施例のシートスライド装置2dの断面図を示す。シートスライド装置2dでは、ロアレール10は、平坦なフロアパネル90の上面に固定されており、外側板4が露出している。駆動ローラ31は、ロアレール10の露出している外側板4に外側から押し付けられている。
【0028】
(第6実施例)
図7に第6実施例のシートスライド装置2eの断面図を示す。シートスライド装置2eでは、駆動ローラ31は、ロアレール10の内側板6に押し付けられている。なお、
図7では、駆動ローラ31を駆動するアクチュエータの図示は省略した。第6実施例のシートスライド装置2eでは、駆動ローラ31がロアレール10の内側に位置するので、装置全体の体格の増加が抑えられる。
【0029】
(第7実施例)
図8に第7実施例のシートスライド装置2fの断面図を示す。ロアレール10の構造的特徴を再記する。ロアレール10は、底板3と、一対の外側板4と、一対の上板5と、一対の内側板6を備えている。一対の外側板4は、底板3のレール短手方向の両端から上方へ延びている。一対の上板5の夫々は、夫々の外側板4の上端からロアレール10のレール短手方向の中心側へと延びている。一対の内側板6の夫々は、夫々の上板5のレール短手方向の中心側の端から下方へ延びている。
【0030】
シートスライド装置2fのアッパレール20には、一対の駆動ローラ131が備えられている。一対の駆動ローラ131も、アクチュエータ32の出力軸に連結されている。一対の駆動ローラ131の夫々は、ロアレール10の夫々の上板5と内側板6との連結角部7に当接している。駆動ローラ131は、その直径がロアレール10の短手方向の外側から中心側に向かって漸増している。別言すれば、駆動ローラ131は、レール短手方向の外側から中心側に向かって拡径するテーパ形状を有している。
【0031】
また、アクチュエータ32の上部とアッパレール20の本体上部21との間にばね33が備えられている。ばね33は、アクチュエータ32を下方へ押し付けている。ばね33は、アクチュエータ32を介して駆動ローラ131をロアレール10に押し付ける。
【0032】
第7実施例のシートスライド装置2fでは、ロアレール10のレール短手方向の中心側へ向けて直径が漸増している駆動ローラ131がロアレール10の連結角部7に押し付けられている。この押し付け力により、一対の連結角部7には、レール外側へ向かう荷重が発生し、一対の連結角部7がレール短手方向の外側に向けて変形する。変形に対する復元力は、一対の連結角部7をレール短手方向の中心側へ向かって働く。この復元力がテーパ形状の駆動ローラ131のテーパ面に強く作用する。駆動ローラ131に作用する復元力によって、駆動ローラ131はより一層滑り難くなる。第7実施例のシートスライド装置2fは、駆動ローラ131がロアレール10に対して顕著に滑り難くなっている。
【0033】
(第8実施例)
図9に第8実施例のシートスライド装置2gの断面図を示す。シートスライド装置2gでは、駆動ローラ31は、ロアレール10の内側から、外側板4に押し付けられている。なお、
図9では、駆動ローラ31を駆動するアクチュエータの図示は省略した。第8実施例のシートスライド装置2gでは、駆動ローラ31がロアレール10の内側に位置するので、装置全体の体格の増加が抑えられる。
【0034】
図10にシートスライド装置2gの模式的平面図を示す。
図10は、シートスライド装置2gを図中の座標系の+Z方向から見た図である。
図10では、アッパレール20を仮想線で描いてある。アクチュエータ32と駆動ローラ31と第2従動ローラ39は、アッパレール20に隠れるので破線で描いてある。
【0035】
図10に示すように、シートスライド装置2gは、駆動ローラ31のほか、2個の第2従動ローラ39を備えている。駆動ローラ31は、ロアレール10のレール短手方向の中心側から、ロアレール10の一方側の外側板4に押し付けられており、2個の第2従動ローラ39は、ロアレール10のレール短手方向の中心側から他方側の外側板4に押し付けられている。シートスライド装置2gは、複数のローラ(駆動ローラ31と第2従動ローラ39)を備えており、そのうちの1個(駆動ローラ31)がロアレール10の中心側から一方側の外側板4に押し付けられており、残りのローラ(第2従動ローラ39)がロアレール10の中心側から他方側の外側板4に押し付けられている。すなわち、シートスライド装置2gでは、複数のローラが、ロアレールのレール短手方向の中心側から両方の外側に向かって分散して押し付けられている。この構造によって駆動ローラ31はロアレール10の外側板4に強く押し付けられるので、駆動ローラ31はロアレール10に対して一層滑り難くなる。
【0036】
なお、シートスライド装置2gは、駆動ローラを2個以上備えていてもよい。すなわち、シートスライド装置は、複数のローラを有しており、それらローラの1個乃至いくつかは、ロアレールの内側から一方側の側板に押し付けられており、残りのローラはロアレールの内側から他方側の側板に押し付けられている。複数のローラの1個乃至いくつかは、アクチュエータによって駆動される。
【0037】
実施例で説明した技術に関する留意点を述べる。アクチュエータ32が備えるモータは、電動モータである。すなわち、実施例のシートスライド装置2、2a-2gは、電動でアッパレール(即ちシート)を動かすことができる。なお、アクチュエータを起動するスイッチは、シートに設けられている。アクチュエータを起動するスイッチは、運転席にも設けられているとよい。
【0038】
実施例のシートスライド装置2、2a-2gは、いずれも、簡単な構造でアッパレール20(即ちシート)を電動で動かすことができる。
【0039】
以上、本発明の具体例を詳細に説明したが、これらは例示に過ぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。特許請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。本明細書または図面に説明した技術要素は、単独であるいは各種の組合せによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時請求項記載の組合せに限定されるものではない。また、本明細書または図面に例示した技術は複数目的を同時に達成し得るものであり、そのうちの一つの目的を達成すること自体で技術的有用性を持つものである。
【符号の説明】
【0040】
2、2a-2g:シートスライド装置
3:底板
4:外側板
5:上板
6:内側板
7:連結角部
10:ロアレール
20:アッパレール
23:従動ローラ
31、131:駆動ローラ
32:アクチュエータ
39:第2従動ローラ
80:シート
81:シートクッション
90:フロアパネル
91:レール溝
93:T形状モール