(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-01-31
(45)【発行日】2023-02-08
(54)【発明の名称】シャッターの改修方法
(51)【国際特許分類】
E06B 9/70 20060101AFI20230201BHJP
E06B 9/82 20060101ALI20230201BHJP
E06B 9/17 20060101ALI20230201BHJP
E05F 15/72 20150101ALI20230201BHJP
E06B 9/68 20060101ALI20230201BHJP
A62C 2/06 20060101ALI20230201BHJP
E06B 9/84 20060101ALN20230201BHJP
【FI】
E06B9/70
E06B9/82 B
E06B9/82 E
E06B9/17 Z
E05F15/72
E06B9/68 Z
A62C2/06 503
E06B9/84 C
(21)【出願番号】P 2019071677
(22)【出願日】2019-04-03
【審査請求日】2022-01-27
(73)【特許権者】
【識別番号】307038540
【氏名又は名称】三和シヤッター工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100103137
【氏名又は名称】稲葉 滋
(74)【代理人】
【識別番号】100145838
【氏名又は名称】畑添 隆人
(72)【発明者】
【氏名】浅見 優次
(72)【発明者】
【氏名】皆川 澄人
【審査官】野尻 悠平
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-087544(JP,A)
【文献】特開2013-217128(JP,A)
【文献】実開平07-040995(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E06B 9/02-9/50
E06B 9/56-9/92
E05F 15/72
A62C 2/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
躯体に設置した左右のガイドレールと、
左右のガイドレール間の開口部を開閉するシャッターカーテンと、
シャッターカーテンが巻き取られる巻取シャフトと、
前記巻取シャフトの回転を規制するブレーキを備えており、モータを備えていない手動開閉機と、
手動閉鎖装置と、
火災検知信号の入力あるいは前記手動閉鎖装置からの操作に応じてブレーキを解放してシャッターカーテンを自重降下させる自動閉鎖装置と、
シャッターカーテン降下時に障害物を検知して障害物検知信号を生成する障害物検知手段と、
障害物検知信号の入力に応じてブレーキ復帰信号を生成してブレーキを復帰させて自重降下中のシャッターカーテンを停止させる制御装置と、
前記制御装置と電気的に接続されており、当該制御装置に電力を供給する商用電源と、
を備えたシャッターにおいて、
前記手動開閉機を、ブレーキ及びモータを備えている電動開閉機に交換
して、前記巻取シャフトに連結すること、
商用電源とは異なる臨時電源と電気的に接続可能な接続部を設けること、
前記電動開閉機と前記接続部を電気的に接続すること、
を含む、シャッターの改修方法。
【請求項2】
前記臨時電源を用いてシャッターカーテンの開操作を行う電動開放操作部を設けること、
を含む、請求項1に記載のシャッターの改修方法。
【請求項3】
前記電動開閉機と前記接続部を電気的に接続することは、前記電動開閉機と前記接続部を当該電動開閉機に電力を供給する電線で接続することを含み、前記電線は、前記躯体あるいは前記ガイドレールを介して、前記躯体の下方部位あるいは前記ガイドレールの下方部位まで延びており、前記電線は、前記下方部位において外部から接続可能な接続部を備えている、
請求項1、2いずれか1項に記載のシャッターの改修方法。
【請求項4】
前記接続部を設けること及び前記電動開放操作部を設けることは、前記接続部と前記電動開放操作部を備えた電源接続装置を用意し、前記電源接続装置を設けることであり、
前記電動開閉機と前記接続部を電気的に接続することは、前記電動開閉機と前記電源接続装置の前記接続部を電気的に接続することである、
請求項2、3いずれか1項(請求項2の従属項に限定)に記載のシャッターの改修方法。
【請求項5】
前記電源接続装置は、前記接続部及び前記電動開放操作部が設けられた筐体を備え、前記躯体の下方部位あるいは前記ガイドレールの下方部位に設けられる、
請求項4に記載のシャッターの改修方法。
【請求項6】
前記躯体の下方部位には、前記手動閉鎖装置が設けてあり、前記電源接続装置は、前記手動閉鎖装置に隣接して設けられる、
請求項4、5いずれか1項に記載のシャッターの改修方法。
【請求項7】
前記臨時電源は、発電機、電源コンセント、バッテリのいずれか1つである、
請求項1~6いずれか1項に記載のシャッターの改修方法。
【請求項8】
改修によって得られたシャッターにおいて、前記電動開閉機は、通常時には前記臨時電源及び前記商用電源を含むいかなる電源にも接続されておらず、開口部を開放する時に、前記接続部に前記臨時電源を接続することで、前記電動開放操作部から開操作によってシャッターカーテンを電動上昇させるように構成されている、
請求項2~7いずれか1項(請求項2の従属項に限定)に記載のシャッターの改修方法。
【請求項9】
改修によって得られたシャッターにおいて、前記電動開閉機は、通常時には前記臨時電源及び前記商用電源を含むいかなる電源にも接続されておらず、開口部を開放する時に、前記臨時電源と、前記臨時電源を用いてシャッターカーテンの開操作を行う電動開放操作部と、を用意し、前記接続部に前記臨時電源を接続することで、前記電動開放操作部から開操作によってシャッターカーテンを電動上昇させるように構成されている、
請求項1に記載のシャッターの改修方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シャッターの改修方法に係り、詳しくは、火災時に、自動閉鎖装置の作動あるいは手動閉鎖装置の操作によってブレーキを解放することによって自重降下するシャッターカーテンを備えた手動式防火シャッターの改修方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
防火シャッターは、火災時に建物内に区画を形成して火災の延焼を防止するために設置される。防火シャッターは、開口部全開状態では開閉機のブレーキによってシャッターカーテンの自重降下が規制されているが、感知器が火災を検知すると、防災盤からの信号に基づいて前記ブレーキを解放することで、シャッターカーテンを全閉状態まで自重降下させて区画を形成する。防火シャッターには、火災時にシャッターカーテンを自重降下させると共に、自重降下中のシャッターカーテンに避難者が接触したような場合にシャッターカーテンの自重降下を停止させるために、いわゆる危害防止連動中継器が設けられる。
【0003】
危害防止連動中継器は、火災時に防災盤からの信号を当該危害防止連動中継器が受信すると、当該危害防止連動中継器から自動閉鎖装置(ブレーキ解放・復帰機構を備える)に信号を送信して当該自動閉鎖装置を作動させてブレーキを解放してシャッターカーテンを自重降下させる一方、自重降下するシャッターカーテンが障害物(例えば避難者)に接触して生成される障害物検知信号を当該危害防止連動中継器が受信すると、ブレーキを復帰させてシャッターカーテンの自重降下を停止させるように構成されている。危害防止連動中継器は、停電時であっても電源を出力して自動閉鎖装置を作動させるためにバッテリを搭載している。従来の危害防止機構は、例えば、特許文献1に記載されている。
【0004】
物流倉庫等において、防火シャッターを仕切り壁として全閉状態で運用する場合があるが、メンテナンス等の必要性から通常時は全閉状態にあるシャッターを、年間1~2回程度開放させたいという要望がある。
【0005】
上記手動式防火シャッターにおいて、危害防止連動中継器は、所定の信号を受信して、所定の信号を出力する制御装置であるため、商用電源に接続されているが、手動式防火シャッターの手動開閉機はモータを備えておらず、手動開閉機に対して商用電源は敷設されていない。したがって、既設で上記手動式防火シャッター装置が設置されている場合には、開閉機の入力軸を手動で操作することで全閉状態のシャッターカーテンを開放させることになるが、例えば、特に倉庫内の開口部は大きいため、手動でシャッターカーテンを巻き上げるにはかなりの時間を要することになる。ここで、電動開閉機を用いてシャッターカーテンを電動駆動させることが考えられるが、電動開閉機を商用電源で電動駆動させるためには、電動開閉機を電動駆動するための商用電源の敷設工事が必要となり、敷設工事には多大の費用が発生することから、年間1~2回程度の開放のために商用電源を敷設することは経済的ではない。
【0006】
特許文献2には、シャッター開閉機の電源として発電機を用いることが記載されているが、通常時の電源(第1電源)である商用電源と、非常時の電源(第2電源)としての発電機とを切り替える電源切替方法を開示するものであり、通常時にはシャッター開閉機の電源として商用電源を用いることが前提となっている。
【文献】特開2008-031714
【文献】特開2018-35560
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、既設の手動式防火シャッターを改修することで、シャッターカーテンの電動開放を可能とすることを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明が採用した技術手段は、
躯体に設置した左右のガイドレールと、
左右のガイドレール間の開口部を開閉するシャッターカーテンと、
ブレーキを備えており、モータを備えていない手動開閉機と、
手動閉鎖装置と、
火災検知信号の入力あるいは前記手動閉鎖装置からの操作に応じてブレーキを解放してシャッターカーテンを自重降下させる自動閉鎖装置と、
シャッターカーテン降下時に障害物を検知して障害物検知信号を生成する障害物検知手段と、
障害物検知信号の入力に応じてブレーキ復帰信号を生成してブレーキを復帰させて自重降下中のシャッターカーテンを停止させる制御装置と、
前記制御装置と電気的に接続されており、当該制御装置に電力を供給する商用電源と、
を備えたシャッターにおいて、
前記手動開閉機を、ブレーキ及びモータを備えている電動開閉機に交換すること、
商用電源とは異なる臨時電源と電気的に接続可能な接続部を設けること、
前記電動開閉機と前記接続部を電気的に接続すること、
を含む、シャッターの改修方法、である。
典型的には、さらに、前記臨時電源を用いてシャッターカーテンの開操作を行う電動開放操作部を設けること、を含む。
本発明において、シャッターカーテン降下時に障害物を検知して障害物検知信号を生成する障害物検知手段は有線式(例えば、コードリール方式)、無線式(例えば、赤外線や電波を用いる方式)のいずれのタイプでもよい。
1つの態様では、火災検知信号、前記手動閉鎖装置からの手動閉鎖信号、障害物検知信号は、前記制御装置に入力され、これらの信号を受信した制御部は、自動閉鎖装置(ブレーキ解放機構、ブレーキ復帰機構を備える)に所定の信号を送信する。
より具体的には、制御装置(危害防止連動中継器)は、火災時には、煙感知器の検知に基づく防災盤からの信号(例えばDC24V)に基づいて作動信号(ブレーキ解放信号)を自動閉鎖装置に出力することで、自動閉鎖装置(ブレーキ解放機構)を作動させて手動開閉機のブレーキを解放し、シャッターカーテンを自重降下させて火災の延焼を防止し、シャッターカーテンの降下中に障害物を検知した場合には、障害物検知手段からの信号に基づいて、ブレーキ復帰信号を自動閉鎖装置に出力することで、自動閉鎖装置(ブレーキ復帰機構)を作動させて手動開閉機のブレーキを復帰してシャッターカーテンの降下を停止させる。
1つの態様では、前記制御装置は、小容量のバッテリを備えており、停電時であっても、前記バッテリの電力を用いて、自動閉鎖装置に信号を出力可能となっている。
【0009】
改修工程の上記記載は、各工程の順序を限定するものではなく、例えば、開閉機を交換すること、接続部を設けること、電動開放操作部を設けることは、いずれを先に行ってもよい。また、接続部と電動開放操作部を備えた電源接続装置を設けることで、接続部を設けることと、電動開放操作部を設けることを同時に行ってもよい。電源接続装置は、典型的には、蓋を備えた操作ボックスであり、蓋を開けると前記接続部と前記電動開放操作部が設けられた前面部が露出するようになっている。
本明細書において、自動閉鎖装置には、ブレーキの解放・復帰手段としての作動部が含まれ得るものとし、前記作動部は、自動閉鎖装置本体に隣接又は一体化して設けても、あるいは、自動閉鎖装置本体と離間して設けてもよい。
【0010】
1つの態様では、前記電動開閉機と前記接続部を電気的に接続することは、前記電動開閉機と前記接続部を当該電動開閉機に電力を供給する電線で接続することを含み、前記電線は、前記躯体あるいは前記ガイドレールを介して、前記躯体の下方部位あるいは前記ガイドレールの下方部位まで延びており、前記電線は、前記下方部位において外部から接続可能な接続部を備えている。
【0011】
1つの態様では、前記接続部を設けること及び前記電動開放操作部を設けることは、前記接続部と前記電動開放操作部を備えた電源接続装置を用意し、前記電源接続装置を設けることであり、
前記電動開閉機と前記接続部を電気的に接続することは、前記電動開閉機と前記電源接続装置の前記接続部を電気的に接続することである。
【0012】
1つの態様では、前記電源接続装置は、前記接続部及び前記電動開放操作部が設けられた筐体を備え、前記躯体の下方部位あるいは前記ガイドレールの下方部位に設けられる。
1つの態様では、前記筐体はいわゆる操作ボックスであり、前記開放操作部及び前記接続部は、操作ボックスとしての筐体内(例えば、筐体内の前面部)に設けてある。
1つの態様では、前記開放操作部と前記接続部は、前記開放操作部が上側、前記接続部が下側に位置して、上下に隣接して設けてある。
なお、電源接続装置において、前記接続部と前記電動開放操作部が、別個の筐体に設けられていてもよい。
なお、接続部と電動開放操作部は必ずしも近傍に設けなくてもよい。
また、改修方法に「前記臨時電源を用いてシャッターカーテンの開操作を行う電動開放操作部を設けること」を含まない態様としては、例えば、臨時電源を用いる時に電動開放操作部が用意される場合、より具体的には、接続部とコンセント(発電機等)の間のコードに電動開放操作部が設けてあり、臨時電源が接続される場合に電動開放操作部が用意される態様、あるいは、電源接続装置に前記接続部とは別のコネクタが設けてあり、臨時電源を用いる場合に電動開放操作部を前記コネクタに接続する態様等が挙げられる。
【0013】
1つの態様では、前記躯体の下方部位には、前記手動閉鎖装置が設けてあり、前記電源接続装置は、前記手動閉鎖装置に隣接して設けられる。
1つの態様では、手動閉鎖装置は、操作ボックスとしての筐体内に設けてある。
1つの態様では、手動閉鎖装置、電源接続装置がそれぞれ独立した筐体内に設けられるが、共通する筐体内に設けるように改修してもよい。
【0014】
1つの態様では、前記臨時電源は、発電機、電源コンセント、バッテリのいずれか1つである。
典型的には、前記臨時電源としての発電機は可搬式発電機である。
1つの態様では、前記臨時電源としてのバッテリは、シャッターを開閉可能な電力を供給可能なバッテリを備えた移動体、例えば電気自動車等であってもよい。
【0015】
1つの態様では、改修によって得られたシャッターにおいて、前記電動開閉機は、通常時には前記臨時電源及び前記商用電源を含むいかなる電源にも接続されておらず、開口部を開放する時に、前記接続部に前記臨時電源を接続することで、前記電動開放操作部から開操作によってシャッターカーテンを電動上昇させるように構成されている。
1つの態様では、改修によって得られたシャッターにおいて、前記電動開閉機は、通常時には前記臨時電源及び前記商用電源を含むいかなる電源にも接続されておらず、開口部を開放する時に、前記臨時電源と、前記臨時電源を用いてシャッターカーテンの開操作を行う電動開放操作部と、を用意し、前記接続部に前記臨時電源を接続することで、前記電動開放操作部から開操作によってシャッターカーテンを電動上昇させるように構成されている。
すなわち、臨時電源は、通常のシャッター装置の使用状態では、前記接続部に接続されておらず、開閉機に対して電力を供給可能な状態に無い電源であり、シャッターの電動駆動が必要となった時にのみ一時的に前記接続部に接続される電源である。
【0016】
1つの態様では、前記シャッター装置は、通常時は開口部全閉状態あるいは開口部全開状態で使用されており、通常時において、いかなる電源(商用電源やバッテリを含む)も前記開閉機に電力供給可能な状態に無い。
1つの態様では、前記シャッター装置は、倉庫ないし工場内の仕切り壁を構成しており、通常時は開口部全閉状態で使用されている。
なお、電源接続装置に、前記電動開放操作部に加えて、電動閉鎖操作部を設けることで、シャッターカーテンの電動降下を可能としてもよい。
【発明の効果】
【0017】
本発明では、手動式の防火シャッターにおいて、シャッター装置の手動開閉機を電動開閉機に交換する一方、前記電動開閉機を商用電源と接続せずに、シャッターを開放させる時のみ臨時電源を簡単に接続できるようにしたことで、商用電源を利用して電動開閉機を駆動させるための電気配線が不要となり、電源の敷設工事の費用を抑えることができる。本実施形態では、発電機や電源コンセント等の臨時電源を用意しておけば、通常時は全閉状態で用いられるシャッター装置(商用電源に接続されておらず、また、大容量バッテリも搭載されていない)を電動で開放することができ、また、1つの可搬式の発電機を用いて複数のシャッター装置の電動開放も可能である。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】危害防止装置を備えた手動式防火シャッター装置(改修前)の概略正面図である。
【
図2】危害防止装置を備えた手動式防火シャッター装置(改修後)の概略正面図である。
【
図3】複数のシャッター装置が設置された倉庫の概略平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
[A]危害防止装置付き手動防火シャッター(改修前)
図1を参照しつつ、危害防止装置付き防火シャッターについて説明する。図中、要素間を繋ぐ実線は電線である。
図1に示すように、既設のシャッター装置は、左右のガイドレール2の間に形成された開口部を開閉するシャッターカーテン1と、開口部の上方に設けられ、シャッターカーテン1が巻き取られる巻取シャフト(図示せず)と、開口部上方において、開口幅方向の一側に寄った部位に設けられ、巻取シャフトと伝動連結されている手動開閉機M1と、手動閉鎖装置3と、制御装置(危害防止連動中継器)4と、自動閉鎖装置5と、火災感知器6aと、防災盤6bと、制御装置4に電力を供給する商用電源と、を備えている。
【0020】
手動防火シャッターのシャッターカーテン1は、複数枚の開口幅方向に延びる長尺状のスラットを上下に連結して構成されており、下端には座板1Aが設けてある。座板1Aは、開口部幅方向に延びる長尺状の上座板(図示せず)と、上座板の下方側に上座板に対して相対的に上下動自在に吊持された長尺状の下座板(図示せず)とからなり、座板1Aは、障害物検知手段の一構成要素である座板スイッチを備えている。
【0021】
既設の手動防火シャッターは、1つの態様では、通常時は開口部上方の天井裏内の巻取シャフト(図示せず)に巻装されて開口部を開放する収納姿勢にあり、開口部全開状態で火災が発生すると、火災感知器6aによって火災が感知され、防災盤6bからの火災検知信号に基づく自動閉鎖装置5の作動によって、シャッターカーテン1が、その幅方向両端部がガイドレール2の溝部に案内されながら自重降下し、シャッターカーテン1の最下端の座板1Aが着床して開口部を全閉する。
【0022】
手動開閉機M1は、ブレーキを備え、モータを備えていない開閉機であり、手動開閉機M1の出力軸(図示せず)は、チェーンやスプロケット等の伝動要素を介して巻取シャフトと伝動連結されている。ブレーキが有効な状態では、開閉機の出力軸及び巻取シャフトの回転が規制されており、ブレーキが解放された状態では、開閉機の出力軸及び巻取シャフトの回転が可能となっている。手動開閉機M1のブレーキが解放された状態では、全開姿勢にあるシャッターカーテン1の自重降下が可能である。また、手動開閉機M1の出力軸をハンドル操作で回転させることで、全閉姿勢にあるシャッターカーテン1の手動巻き上げが可能である。
【0023】
本実施形態に係る自動閉鎖装置5は、手動開閉機M1に隣接して設けられ、防災盤6bからの火災検知信号の入力あるいは手動閉鎖装置3からの手動閉鎖信号の入力によってシャッターカーテン1を自重降下させる。本実施形態では、火災検知信号、手動閉鎖信号は制御装置(危害防止連動中継器)4に入力され、火災検知信号あるいは手動閉鎖信号の入力に応じて、制御装置(危害防止連動中継器)からブレーキ解放信号が自動閉鎖装置5に出力され、自動閉鎖装置(ブレーキ解放機構)5の作動によって手動開閉機M1のブレーキを解放して、シャッターカーテン1を自重降下させる。
【0024】
シャッターカーテン1の最下端に設けた座板1Aは、座板スイッチを有しており、自重下降中のシャッターカーテン1の下方に障害物が存在する場合に、これを座板スイッチで検出し、障害物検知信号を信号線1Bによって制御装置(危害防止連動中継器)4に出力する。座板スイッチに接続される信号線1Bは、開口部上端に位置して取り付けられたコードリールC内に巻き取り方向への付勢力を保持して巻装される。
【0025】
図1に示すように、防災盤6b、自動閉鎖装置5、有線式の障害物検知手段は、例えば天井裏に配設された制御装置(危害防止連動中継器)4にケーブルを介してそれぞれ電気的に接続されている。制御装置(危害防止連動中継器)4は、火災時に煙感知器6aの検知に基づく防災盤6bからの信号を受信すると、自動閉鎖装置5にブレーキ解放信号を送信して自動閉鎖装置(ブレーキ解放機構)5を作動させて手動開閉機M1のブレーキを解放してシャッターカーテン1を自重降下させる。一方、制御装置(危害防止連動中継器)4は、自重降下するシャッターカーテン1が障害物(例えば避難者)に接触して生成される障害物検知信号を受信すると、有線式の障害物検知によって、自動閉鎖装置5にブレーキ復帰信号を送信して自動閉鎖装置(ブレーキ復帰機構)5を作動させて、手動開閉機M1のブレーキを復帰させてシャッターカーテン1の自重降下を停止させる。
【0026】
自動閉鎖装置5の作動について説明する。防災盤6bからの火災信号を制御装置(危害防止連動中継器)4が受信すると、制御装置4からの通電によって自動閉鎖装置(ブレーキ解放機構)5が作動して、手動開閉機M1のブレーキ部を解放させてシャッターを自重降下させて防火区画を形成する。自重降下するシャッターカーテン1の下端の座板1Aに障害物が当接した時には、座板スイッチから障害物検知信号が制御装置4に送信され、障害物検知信号を受信した制御装置4からの指令で、手動開閉機M1のブレーキが復帰する。
【0027】
座板スイッチから検知信号が制御装置(危害防止連動中継器)4に送信されると、検知信号を受信した制御装置4から自動閉鎖装置5に所定時間、例えば、0.5秒から1秒程度、DC24Vが通電(ブレーキ復帰信号)されて、ブレーキ復帰機構が作動して、手動開閉機M1のブレーキが復帰する。障害物が除去されると、制御装置4は、障害物が除去されたことを、座板スイッチを介して検知する。障害物が除去されたことを検知した後、所定時間、例えば、10秒から20秒後に、制御装置4から自動閉鎖装置5に起動信号(DC24)が通電され、手動開閉機M1のブレーキが解放され、シャッターカーテン1は自重降下を再開する。
【0028】
本実施形態に係る障害物検知手段は有線式であり、座板スイッチに接続される信号線1Bは、開口部上端に位置して取り付けられたコードリールC内に巻き取り方向への付勢力を保持して巻装されており、シャッターカーテン1の昇降駆動に伴って、信号線1BがコードリールCに巻き取られ、あるいは、繰り出されるようになっている。座板スイッチの具体的な構成としては、座板を上座板と下座板から構成して、上座板に対して下座板が上動することで上座板と下座板との間に設けたスイッチが入力されるもの、座板の下面にテープスイッチを設けたもの、座板を上座板と下座板から構成して、上座板に対して下座板が上動することで座板の端部に設けたリンク機構によってガイドレール内のテープスイッチが入力されるもの、等が例示される。また、障害物検知は無線方式であってもよい。
【0029】
ガイドレール2の側方に位置する壁には手動閉鎖装置3が設けてある。手動閉鎖装置3は、シャッター装置の近傍の壁面において、操作し易い高さに設けた操作ボックスを備え、操作ボックスは蓋を備えており、蓋を開けることで露出する前面部の下方部位には、非常作動スイッチ30(蓋を開けずに押し操作可能)が設けてある。本実施形態に係る手動閉鎖装置3は電気式手動閉鎖装置であって、例えば、非常作動スイッチ30を押すことで、無電圧接点信号が生成されて、制御装置4からブレーキ解放信号を出力する。非常作動スイッチ30は、例えば、火災信号入力による制御作動に先立ってシャッターカーテン1を直ちに自重降下させたいような場合に用いられる。手動閉鎖装置3の前面部には、復旧ボタン(図示せず)が設けてあり、復旧ボタンを押し操作することで、制御装置4が火災モードから通常モードに復旧する。
【0030】
本実施形態に係る手動防火シャッターの制御システムでは、制御装置(危害防止連動中継器)4を経由して制御が行われている。制御装置(危害防止連動中継器)4には、通常時の商用電源とは別に停電時の制御動作を確保するために小容量のバッテリ(図示せず)が内蔵されており、火災時に、停電で商用電源が遮断されるような緊急状態であっても、バッテリによって、火災検知信号に基づいて信号を出力して、自動閉鎖装置5を作動させて、シャッターカーテン1の自重降下を行えるようになっている。
【0031】
既設のシャッターの開閉機は手動開閉機M1であり、巻取シャフトと伝動連結された出力軸と当該出力軸の回転を規制するブレーキを備えており、モータは備えていない。手動開閉機M1は電力を必要としないため、手動開閉機M1に電力を供給する商用電源も用意されていない。開口部全開時において、手動開閉機M1のブレーキが解放されると、シャッターカーテンは自重で降下する。開口部全閉時において、手動開閉機の入力軸を操作してシャッターカーテンを巻き上げることができるが、多大な労力を要する。
【0032】
[B]危害防止装置付き手動防火シャッターの改修方法
本実施形態は、危害防止装置付き手動防火シャッターの改修方法に係り、より具体的には、躯体に設置した左右のガイドレール2と、左右のガイドレール2間の開口部を開閉するシャッターカーテン1と、ブレーキを備えており、モータを備えていない手動開閉機M1と、手動閉鎖装置3と、防災盤6bからの火災検知信号の入力あるいは手動閉鎖装置3からの手動閉鎖信号の入力に応じて手動開閉機M1のブレーキを解放してシャッターカーテン1を自重降下させる自動閉鎖装置5と、シャッターカーテン降下時に障害物を検知して障害物検知信号を生成する障害物検知手段(座板1A、信号線1B、コードリールC)と、障害物検知信号の入力に応じてブレーキ復帰信号を生成してブレーキを復帰させて自重降下中のシャッターカーテン1を停止させる制御装置4と、制御装置4と電気的に接続されており、当該制御装置4に電力を供給する商用電源と、を備えた危害防止装置付き手動防火シャッターの改修方法であって、当該改修方法は、手動開閉機M1を、ブレーキ及びモータを備えている電動開閉機M2に交換すること;商用電源とは異なる臨時電源としての発電機Gと電気的に接続可能な接続部(コネクタC1)を設けること;電動開閉機M2と接続部(コネクタC1)を電気的に接続すること;臨時電源(発電機G)を用いてシャッターカーテン1の開操作を行う電動開放操作部7Aを設けること;を含む。
【0033】
より具体的には、本実施形態に係るシャッターの改修方法は、手動開閉機M1を、ブレーキ及びモータを備えている電動開閉機M2に交換すること;臨時電源(発電機G)と電気的に接続可能な接続部(コネクタC1)と、電動開放操作部(開スイッチ7A)と、を備えた電源接続装置7を設けること;電動開閉機M2と、電源接続装置7の接続部(コネクタC1)と、を電線EW1、電線EW1´、電線EW1´´で電気的に接続すること、を含む。図示の態様では、電線EW1と電線EW1´´が電源線であり、電線EW1´が信号線である。
【0034】
手動開閉機M1の電動開閉機M2への交換は、シャッター全閉状態で行う。手動開閉機M1を電動開閉機M2に交換することにおいて、電動開閉機M2は、巻取シャフトと伝動連結された出力軸と、当該出力軸を回転させるモータと、当該出力軸の回転を規制するブレーキと、電力供給によってモータを駆動するシャッター制御盤6と、を備えている。シャッター制御盤6には、電線の接続ポートが設けてある。手動開閉機M1を電動開閉機M2に交換することは、1つの態様では、手動開閉機M1から自動閉鎖装置5を取り外すこと、手動開閉機M1をブラケットから取り外すこと、ブラケットに電動開閉機M2を取り付けること、電動開閉機M2に自動閉鎖装置5を取り付けること、を含む。
【0035】
本実施形態では、電動開放操作部(開スイッチ7A)と、接続部としてのコネクタC1と、を備えた筐体としての操作ボックスからなる電源接続装置7を用意する。このような電源接続装置7を設けることで、電動開放操作部(開スイッチ7A)と、接続部としてのコネクタC1と、を同時に設けるようになっている。本実施形態では、電動開放操作部(開スイッチ7A)と接続部(コネクタC1)は、開スイッチ7Aが上側、コネクタC1が下側に位置して、上下に隣接して設けてある。コネクタC1には臨時電源としての発電機Gが接続可能となっている。より具体的には、コネクタC1には、外部から電線EW2の先端の接続部(コネクタC2)が接続可能となっており、電線EW2の基端には臨時電源としての発電機Gが接続可能あるいは予め接続されている。本実施形態では、電源接続装置7の操作ボックスは、手動閉鎖装置3の操作ボックスに隣接して躯体(壁)に設けられる。
【0036】
電動開閉機M2と、電源接続装置7の接続部(コネクタC1)を、電線EW1´、電線EW1で電気的に接続する。電動開閉機M2のシャッター制御盤6から延びる電線EW1´´が接続された回路遮断器Brの一次側には、商用電源は接続されておらず、電線EW1の第1端が接続されており、電線EW1は壁体(躯体)を介して下方部位まで延びており、電線EW1の第2端には、臨時電源との接続部としてのコネクタC1が設けてある。電源接続装置7は、予めコネクタC1に電気的に接続されている電線EW1を備えており、電線EW1の第1端を回路遮断器Brに接続してもよく、あるいは、電線EW1の第2端を電源接続装置7に電気的に接続してもよい。信号線である電線EW1´は、一端が電動開閉機M2のシャッター制御盤6に接続され、他端が電源接続装置7に電気的に接続される。
【0037】
1つの態様では、回路遮断器Brの一次側に接続された電線EW1は、ガイドレール2の側方の壁体内を通って、壁体の下方部位に埋設した電源接続装置7の操作ボックスまで延びており、電線EW1の第2端には電源接続装置7が電気的に接続されている。同様に、信号線である電線EW1´は、壁体内を通って延びている。電源接続装置7の操作ボックスには図示しない蓋が設けてあり、蓋を開けることで前面部70及び前面部70に設けた開スイッチ7A、コネクタC1が露出するようになっている。
【0038】
上記例では、電動開閉機M2へ電力を供給する電線EW1、信号を供給する電線EW1´は壁体内を通るように設けてあるが、電線EW1、EW1´を、壁体の外面に沿って設けてもよい。また、電線EW1、EW1´を、ガイドレール2を介して開口部下方まで案内してもよい。より具体的には、電線は、ガイドレール2内を通って、または、ガイドレール2外面に沿って、ガイドレール2の下方部位まで延びており、下方部位において電線EW1の端部には外部から接続可能な接続部としてのコネクタC1が設けられる。コネクタC1はガイドレール2の外面に露出可能に設けてもよく、あるいは、ガイドレール2に電源接続装置が設けてある場合には、当該電源接続装置の前面において外部に露出可能に設けてもよい。あるいは、電線EW1は、壁体内あるいはガイドレール2内を通って、または、壁体外面あるいはガイドレール2の外面に沿って、ガイドレール2の下方部位あるいは壁体の下方部位(床面ないし床内を含む)まで延びており、電源接続装置の操作ボックス及びガイドレール2とは独立した壁体上ないし床面上あるいは床面内の部位において、外部から接続可能な接続部としてのコネクタC1を設けてもよい。
【0039】
[C]改修後の機械式危害防止付き防火シャッター
図2を参照しつつ、改修後の商用電源を用いない機械式危害防止装置付き防火シャッターについて説明する。図中、要素間を繋ぐ実線は電線である。改修の前後で同じ要素については、
図1と
図2において同一の参照番号ないし参照符号を付してあり、同じ参照番号ないし参照符号が付された要素の説明や動作の説明については、改修前のシャッターの説明を援用することができる。
【0040】
図2に示す改修後のシャッター装置は、電動開閉機M2を備えるものでありながら、電動開閉機M2を駆動するための電力を供給するバッテリを搭載しておらず、また、いかなる商用電源にも接続されていない。一般的な電動シャッターの開閉機は、通常、回路遮断器Brを介して商用電源が接続されており、商用電源から供給される電力によって駆動するようになっている。これに対して、本実施形態では、電動開閉機M2のシャッター制御盤6から延びる電線EW1´´が接続された回路遮断器Brの一次側には、商用電源は接続されておらず、電線EW1が接続されており、電線EW1は壁体(躯体)を介して下方部位まで延びており、電線EW1の端部には、接続部としてのコネクタC1が設けてある。コネクタC1には臨時電源が接続可能となっている。コネクタC1には、外部から電線EW2の先端の接続部が接続可能となっており、電線EW2の基端には臨時電源が接続されている。
【0041】
臨時電源は、電動開閉機M2へ電力を供給する電線EW1に設けた接続部(コネクタC1)に接続可能な電源であり、かつ、通常のシャッター装置の使用状態では、前記接続部(コネクタC1)に接続されておらず、電動開閉機M2に対して電力を供給可能な状態に無い電源であり、シャッターの電動駆動が必要となった時にのみ一時的に前記接続部(コネクタC1)に接続される電源である。
【0042】
本実施形態では、臨時電源として可搬式の発電機Gを用意し、発電機Gの出力側にコネクタC1に接続できるコネクタC2を備えた電線EW2を設けて、電源接続装置7の操作ボックスの前面部70に露出するコネクタC1に発電機Gを接続可能となっている。発電機Gは、例えば、走行ローラを備えた可動式の発電機Gであり、通常時には、適所に格納されている。
【0043】
このように、電動開放操作スイッチ7Aを備えた操作ボックス内に外部から臨時電源としての発電機Gが接続可能なコネクタC1を設けることで、シャッターの開スイッチ7Aと同じ箇所で発電機Gの接続を行うことができ、発電機Gの接続、開スイッチ7Aからの操作をスムーズに行うことができる。
【0044】
発電機Gに代えて、壁体に露出した電源コンセント(図示せず)を臨時電源として、電線EW2を用いて、電源コンセントと電線EW1の端部のコネクタC1を接続してもよい。電源コンセントを臨時電源とする場合には、必要に応じて(例えば、開閉機が200Vで動作する場合)、適宜、変圧器を設けて電圧を変換する。
【0045】
本実施形態において、電動開閉機M2を駆動するための電力を供給する臨時電源は、コネクタC1に接続可能な可搬式発電機あるいは電源コンセント、バッテリであるが、これらの臨時電源は通常時(本実施形態に係るシャッター装置は通常の使用状態では開口部全開状態あるいは開口部全閉状態にある)には、コネクタC1に接続されておらず、すなわち、これらの臨時電源と電動開閉機M2とは接続されていない。
【0046】
図2に示すシャッター装置は、1つの態様では、通常時は、シャッター全閉状態で使用され、通常時の使用状態では、コネクタC1には、可搬式発電機あるいは電源コンセントは接続されていない。メンテナンス等の理由からシャッターを開放させる必要が生じた場合には、発電機Gを用意して、発電機Gから延びる電線EW2のコネクタC2をコネクタC1に接続することで、発電機Gを臨時電源として電動開閉機M2に電気を供給することで、電動開閉機M2が駆動可能となり、開スイッチ7Aを押すことでシャッターカーテン1が上昇する。
【0047】
1つの態様では、開スイッチ7Aの押し切り動作(開スイッチ7Aの押し操作を継続している間だけシャッターカーテン1が上昇する)によってシャッターカーテン1を上昇させる。あるいは、押し切り動作ではなく自己保持回路を用いて、開スイッチ7Aの押圧パターンによって、停止操作を行ってもよく、例えば、開スイッチ7Aの1回目の押圧によって、シャッターカーテン1が上昇を開始し、2回目の押圧によって上昇中のシャッターカーテン1を停止させるようにしてもよい。あるいは、開スイッチ7Aに加えて、停止スイッチを設けてもよい。
【0048】
発電機Gを臨時電源として一旦上昇させたシャッターカーテン1を降下させる場合には、手動閉鎖装置からの操作によってシャッターカーテン1を降下させることができ、シャッターカーテン1の降下中に、障害物検知が行われた場合には、機械式停止手段によってシャッターカーテン1が停止し、障害物非検知状態となると、自重再降下手段により停止したシャッターカーテン1が再降下して全閉状態となる。
【0049】
本実施形態では、シャッター装置を商用電源と接続せずに、シャッターを開放させる時のみ発電機を簡単に接続できるようにしたことで、商用電源を利用するために商用電源と電動開閉機を接続する電気配線が不要となり、電源の敷設工事の費用を抑えることができる。本実施形態では、発電機や電源コンセントがあれば、通常時は全閉状態で用いられるシャッター装置(商用電源に接続されておらず、また、バッテリも搭載されていない)を電動で開放することができ、また、1つの可搬式の発電機を用いて複数のシャッター装置の電動開放も可能である。また、本実施形態に係るシャッター装置は、機械式危害防止装置を備えていることで、通常時に電源に接続されておらず、またバッテリを搭載していないものであっても、シャッターカーテン1の自重降下時に障害物検知が可能であり、かつ、障害物除去後の再降下が可能である。
【0050】
図3は、複数のシャッター装置SD1~SD12が配置された倉庫の概略平面図である。倉庫は平面視方形状の外壁を備え、外壁の1つには3つの開口部(出入口)が形成されており、各開口を開閉するように、シャッター装置SD1、SD2、SD3が設置されている。シャッター装置SD1、SD2、SD3は管理併用の電動シャッターであり、図示の態様では、これらのシャッター装置SD1、SD2、SD3は全開状態にある。
【0051】
倉庫内には、開口部に離隔対向して、荷揚げ用の段差部Fが設けてあり、段差部F近傍まで搬送車が進入可能となっている。倉庫内には長手方向、短手方向に延びる壁体が設けてあり、これらの壁体には複数の開口が形成されており、各開口にはシャッター装置SD4~SD12が設置されている。図示の態様では、シャッター装置SD4、SD5、SD6、SD7、SD11、SD12が全閉状態にあり、シャッター装置SD8、SD9、SD10が全開状態にある。すなわち、シャッター装置SD4、SD5、SD6、SD7、SD11、SD12が仕切り壁を形成しており、倉庫内空間が、3つの区画に仕切られている。このように、必要に応じて、シャッター装置を選択して開放姿勢、閉鎖姿勢とすることで、倉庫内に所望の区画を形成することができる。
【0052】
シャッター装置SD4~SD12は、
図1に示す手動開閉機M1を備えた既設の手動式防火シャッターであったものを、
図2に示す防火シャッターに改修したものである。シャッター装置SD4~SD12は、いかなる商用電源にも接続されておらず、また、バッテリも備えていない。シャッター装置SD4~SD12の各シャッター装置の各電動開閉機M2から延びる電線EW1は、壁体あるいはガイドレール2を介して下方部位にまで延びており、電線EW1の端部にはコネクタC1が設けてある。コネクタC1は、外部から発電機Gの接続部C2が接続可能となっている。
【0053】
メンテナンス等の理由から、シャッター装置SD4~SD12の開閉動作が必要となった場合には、所望のシャッター装置のコネクタC1に発電機Gの接続部C2を接続し、発電機Gを臨時電源として電動開閉機M2に電気を供給することで、電動開閉機M2が駆動可能となる。シャッター装置SD4、SD5、SD6、SD7、SD11、SD12については、開スイッチ7Aを押すことでシャッターカーテン1を上昇させる。シャッター装置SD8、SD9、SD10について、手動閉鎖装置3からの操作や疑似火災信号の入力でシャッターカーテン1を自重下降させる。また、一旦開放したシャッターカーテン1を再度閉鎖姿勢とする場合には、手動閉鎖装置3からの操作や疑似火災信号の入力でシャッターカーテン1を自重下降させ、一旦閉鎖したシャッターカーテン1を再度開放姿勢とする場合には、所望のシャッター装置のコネクタC1に発電機Gの接続部C2を接続し、開スイッチ7Aを押すことで、発電機Gを臨時電源としてシャッターカーテン1を電動開放する。
【符号の説明】
【0054】
1 シャッターカーテン
2 ガイドレール
3 手動閉鎖装置
4 制御装置(危害防止連動中継器)
5 自動閉鎖装置
7 電源接続装置
7A 電動開放操作部(開スイッチ)
M1 手動開閉機
M2 電動開閉機
G 発電機
C1 接続部(コネクタ)
C2 接続部(コネクタ)
EW1 電線(電源線)
EW1´ 電線(信号線)
EW1´´ 電線(電源線)
EW2 電線