(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-01-31
(45)【発行日】2023-02-08
(54)【発明の名称】プロファイリングペプチドおよび感受性プロファイリングのための方法
(51)【国際特許分類】
C07K 14/47 20060101AFI20230201BHJP
C07K 19/00 20060101ALI20230201BHJP
G01N 33/15 20060101ALI20230201BHJP
G01N 33/483 20060101ALI20230201BHJP
C12Q 1/04 20060101ALN20230201BHJP
C12N 15/62 20060101ALN20230201BHJP
C12N 15/12 20060101ALN20230201BHJP
A61K 45/00 20060101ALN20230201BHJP
A61P 35/00 20060101ALN20230201BHJP
A61P 35/02 20060101ALN20230201BHJP
A61P 43/00 20060101ALN20230201BHJP
【FI】
C07K14/47 ZNA
C07K19/00
G01N33/15 Z
G01N33/483 C
C12Q1/04
C12N15/62 Z
C12N15/12
A61K45/00
A61P35/00
A61P35/02
A61P43/00
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2019166124
(22)【出願日】2019-09-12
(62)【分割の表示】P 2018530518の分割
【原出願日】2017-12-19
【審査請求日】2020-12-08
(32)【優先日】2016-12-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2017-09-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】510055334
【氏名又は名称】スミトモ ファーマ オンコロジー, インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100106518
【氏名又は名称】松谷 道子
(74)【代理人】
【識別番号】100138911
【氏名又は名称】櫻井 陽子
(74)【代理人】
【識別番号】100165892
【氏名又は名称】坂田 啓司
(72)【発明者】
【氏名】デイビッド・ジェイ・ベアース
(72)【発明者】
【氏名】アダム・シディッキ-ジャイン
(72)【発明者】
【氏名】クリフォード・ジェイ・ホワットコット
(72)【発明者】
【氏名】ピーター・ダブリュー・ピーターソン
(72)【発明者】
【氏名】スティーブン・エル・ワーナー
(72)【発明者】
【氏名】ラース・モーリツェン
【審査官】原 大樹
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2016/176288(WO,A1)
【文献】国際公開第2016/172214(WO,A1)
【文献】特表2013-533213(JP,A)
【文献】CANCER CELL,2002年,Vol.2,No.3,pp.183-191
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07K
C12N
G01N
A61K
A61P
MEDLINE/BIOSIS/EMBASE/CAplus/REGISTRY(STN)
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
UniProt/GeneSeq
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
配列番号14の配列
からなるプロファイリングペプチド。
【請求項2】
配列番号14の配列
からなるプロファイリングペプチドおよび担体を含む組成物。
【請求項3】
癌細胞をさらに含む、請求項2に記載の組成物。
【請求項4】
癌細胞が血液癌の細胞である、請求項
3に記載の組成物。
【請求項5】
血液癌が、多発性骨髄腫、骨髄異形成症候群(MDS)、急性骨髄性白血病(AML)、急性リンパ芽球性白血病(ALL)、急性リンパ球性白血病、慢性リンパ性白血病、慢性リンパ球性白血病(CLL)、マントル細胞リンパ腫、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫、濾胞性リンパ腫、または非ホジキンリンパ腫である、請求項
4に記載の組成物。
【請求項6】
配列番号14の配列
からなるプロファイリングペプチドおよび検出試薬を含むキット。
【請求項7】
陽性対照および陰性対照をさらに含む、請求項
6に記載のキット。
【請求項8】
陽性対照がカルボニルシアニドm-クロロフェニルヒドラゾン(CCCP)である、請求項
7に記載のキット。
【請求項9】
記載された指示書をさらに含む、請求項
6に記載のキット。
【請求項10】
検出試薬が色素である、請求項
6に記載のキット。
【請求項11】
色素が3,3’-ジヘキシルオキサカルボシアニンヨージド(DiOC
6)である、請求項
10に記載のキット。
【請求項12】
色素が電位差色素である、請求項
10に記載のキット。
【請求項13】
電位差色素がJC-1またはローダミン123である、請求項
12に記載のキット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
配列表に関する記述
本出願に関連する配列表は、紙のコピーの代わりにテキスト形式で提供され、これにより本明細書に参照として組み込まれる。配列表を含むテキストファイルの名称は910208_428WO_Sequence_Listing.txtである。テキストファイルは6KBであり、2017年12月17日に作成し、EFS-Webによって電子的に提出している。
【0002】
分野
本開示は概して、プロファイリングペプチド、組成物およびキット、ならびに処置に対する癌の感受性を予測する方法、癌についての処置を選択する方法、癌についての感受性プロファイルを生成する方法、および癌を処置する方法を対象とする。いくつかの実施形態では、処置は、サイクリン依存性キナーゼ9(CDK9)阻害剤である治療薬の投与を含む。
【背景技術】
【0003】
癌の処置は進歩しているが、化学療法は、大部分が依然、非効率的および非効果的である。化学療法の成果が一般に不十分であることの1つの理由は、選択された処置が、多くの場合、個々の疾患の遺伝的および分子的依存に対して厳密に適合していないことにある。
【0004】
例えば、癌細胞は、DNA損傷、遺伝的不安定性、異常な成長因子シグナル伝達、および異常なまたは欠失したマトリクス相互作用などの異常を示し、それらは、通常であれば、内因性(ミトコンドリア)アポトーシス経路を介してアポトーシスを誘導するはずのものである。癌細胞は、これらの異常な表現型の結果として、アポトーシスシグナルに反応するよりむしろ、細胞の生存を可能にするアポトーシス経路の遮断を発生させる。多くの癌治療はアポトーシスが有効であることに依存するので、特定の治療に対する不応性には、特異的抗アポトーシスタンパク質によるアポトーシスのモジュレーションが関連する可能性がある。
【0005】
「癌遺伝子依存性(Oncogene addiction)」の概念は、特定のタンパク質に基づき、又は依拠して癌細胞が生存する現象を表す。このような依存は、いくつかの癌細胞を、特定の治療に対して耐性にし、同時に、驚くべきことに他の治療に対して感受性にする。
【0006】
抗アポトーシスBcl-2ファミリータンパク質に対する癌細胞の依存は、それでなければ起こらないようなその生存にしばしば関連する。癌細胞は一般に、細胞死シグナルを抑制しアポトーシスに抵抗するために、1つのBcl-2ファミリーメンバーまたはその他(例えばBcl-2、Bcl-xL、Mcl-1)に頼っている。Bcl-2ファミリータンパク質は、生存促進(すなわち抗アポトーシス)メンバーとアポトーシス促進メンバーとの間の、異なるタンパク質間の相互作用によって調節される。この相互作用は主にBcl-2相同ドメイン-3(BH3)を介する結合によって生じ、恒常性、細胞死、アポトーシスに対する感作、およびアポトーシスの遮断を含む、様々な結果をもたらし得る。アポトーシスシグナル伝達が遮断される多くの癌細胞では、ミトコンドリア表面にBH3only活性因子タンパク質が蓄積し、これはこれらタンパク質が抗アポトーシスタンパク質により捕捉された結果である。この蓄積、およびそれらのエフェクター標的タンパク質に対する近接は、「プライムド(primed)」状態のBcl-2ファミリータンパク質のアンタゴニズムに対する感受性の増加を説明する。したがって、抗アポトーシスBcl-2ファミリータンパク質の機能性の測定は、所与のBcl-2ファミリーメンバーへの癌細胞の依存性、および癌患者が処置にどのように反応するか、の良好な予測を提供することが証明されている。
【0007】
現在、BH3プロファイリングのために使用されている2つの主なプロファイリングアッセイが存在する。その2つの一般に使用されているアッセイの主な相違は、反応を測定するためにフローサイトメトリーを使用するか、蛍光マイクロプレートリーダーを使用するか、である。フローサイトメトリーの使用は、様々な細胞表面マーカーに対する抗体を用いて細胞を蛍光標識すること、および細胞の悪性集団における反応だけを測定するためにフローサイトメーターにおいてゲーティング機能を使用することを必要とする。手短に述べると、試料から白血球を単離した後、細胞を標識し、外膜を透過性にし、BH3ペプチド(例えばNOXA)と接触させ、JC-1蛍光色素を用いて染色する。次いでフローサイトメトリーを使用して反応を定量する。
【0008】
一方、マイクロプレートリーダーは、細胞の悪性集団を単離するために細胞表面マーカー抗体および細胞分離技術を使用する。試料から白血球を単離した後、目的の細胞を精製し、外膜を透過性にし、BH3ペプチド(例えばNOXA)と接触させ、JC-1蛍光色素を用いて染色する。次いでマイクロプレートリーダーを使用して反応を定量する。
【0009】
いずれの手法も一般に、癌細胞をジギトニンによって透過性化することを必要とし、これにより、Bcl-2ファミリーペプチド(例えばNOXA、BIMなど)の断片が細胞に侵入し、ミトコンドリアタンパク質と相互作用することが可能となる。標準的なNOXAペプチドを使用する大部分のアッセイにおいて、この工程は必須である。しかしながら、細胞を透過性化する処理は複雑性を増加させ、アッセイに著しい変動をもたらし、アッセイ全体の実行時間を増加させ、これら全てが、コスト効率の高い正確なプロファイリング結果を提供することに対して技術的な課題をもらたす。ジギトニンはミトコンドリア膜を含む生体膜を非選択的に透過性化するので(Hoppel, C, and Cooper, C. Biochem J. 1968 Apr; 107(3): 367-375)、ジギトニンを使用するアッセイは一般に、ミトコンドリア膜への影響が最小で、外側の細胞膜を透過させるウインドウの範囲内の濃度となるように、ジギトニンを正確に滴定する必要がある。ジギトニン濃度および処理時間のこのウインドウは狭く、異なる細胞種間で異なる場合があり、正確な結果をもたらすしっかりとしたアッセイを有することと直接関係する。この課題は、現在、アッセイを正確に実施するために、経験と適切な制御を有する単一の中央検査室でアッセイを実施することにより従来的に克服されている。したがって、細胞の透過性化の工程は、そのようなアッセイの一極集中を排除すること、例えば、臨床検査室で使用し得るインビトロ(in vitro)診断キットを製造すること、に対する障害となっている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
したがって、より正確で、再現性があり、コスト効率の高い、抗アポトーシスBcl-2タンパク質の機能性を測定する改良された方法が必要とされる。
【課題を解決するための手段】
【0011】
一態様では、本開示は、細胞取り込み部分およびMcl-1結合ドメインを含むプロファイリングペプチドであって、Mcl-1結合ドメインが配列番号1の配列に0~8個の改変を有する配列を有する、プロファイリングペプチドを提供する。
【0012】
別の態様では、本開示は、細胞取り込み部分およびMcl-1結合ドメインを含むプロファイリングペプチドであって、Mcl-1結合ドメインが配列番号1の配列に0~8個の改変を有する配列を有する、プロファイリングペプチド、ならびに担体を含む組成物を提供する。
【0013】
さらなる態様では、本開示は、細胞取り込み部分およびMcl-1結合ドメインを含むプロファイリングペプチドであって、Mcl-1結合ドメインが配列番号1の配列に0~8個の改変を有する配列を有する、プロファイリングペプチド、ならびに検出試薬を含むキットを提供する。
【0014】
いくつかの態様では、本開示は、それを必要とする対象において癌を処置する方法であって、治療薬を含む処置レジメンを、Mcl-1依存パーセンテージが所定の値を超える対象に投与することを含み、Mcl-1依存パーセンテージが、複数の癌細胞の第1の部分を、細胞取り込み部分およびMcl-1結合ドメインを含むプロファイリングペプチドであって、Mcl-1結合ドメインが配列番号1の配列に0~8個の改変を有する配列を有する、プロファイリングペプチドと接触させるか、または細胞取り込み部分およびMcl-1結合ドメインを含むプロファイリングペプチドであって、Mcl-1結合ドメインが配列番号1の配列に0~8個の改変を有する配列を有する、プロファイリングペプチドならびに担体を含む組成物と接触させることを含むインビトロの方法によって得られる、方法を提供する。
【0015】
他の実施形態では、本開示は、治療薬に対する対象由来の癌細胞の感受性を予測する方法であって、癌細胞を、細胞取り込み部分およびMcl-1結合ドメインを含むプロファイリングペプチドであって、Mcl-1結合ドメインが配列番号1の配列に0~8個の改変を有する配列を有する、プロファイリングペプチドと接触させること、ならびに癌細胞のミトコンドリアの完全性の変化を検出することを含み、ミトコンドリアの完全性の低下が、癌細胞が治療薬に対して感受性であることを示す、方法を提供する。
【0016】
さらなる実施形態では、本開示は、それを必要とする対象において癌を処置する方法であって、対象由来の癌細胞を、細胞取り込み部分およびMcl-1結合ドメインを含むプロファイリングペプチドであって、Mcl-1結合ドメインが配列番号1の配列に0~8個の改変を有する配列を有する、プロファイリングペプチドと接触させること、癌細胞のミトコンドリアの完全性の変化を検出すること、ならびにミトコンドリアの完全性の低下が検出された場合、有効量の治療薬を対象に投与し、それによって対象における癌を処置することを含む、方法を提供する。
【0017】
別の態様では、本開示は、対象由来の複数の癌細胞について感受性プロファイルを作成する方法であって、複数の癌細胞の第1の部分を、細胞取り込み部分およびMcl-1結合ドメインを含むプロファイリングペプチドであって、Mcl-1結合ドメインが配列番号1の配列に0~8個の改変を有する配列を有する、プロファイリングペプチドと接触させるか、または細胞取り込み部分およびMcl-1結合ドメインを含むプロファイリングペプチドであって、Mcl-1結合ドメインが配列番号1の配列に0~8個の改変を有する配列を有する、プロファイリングペプチドならびに担体を含む組成物と接触させること、ならびに複数の癌細胞の第1の部分のミトコンドリアの完全性の変化を検出することを含む、方法を提供する。
【0018】
さらなる実施形態では、本開示は、対象において癌を処置するための治療薬を選択する方法であって、
対象の癌細胞についての感受性プロファイルを受け取ること、ここで、感受性プロファイルは、細胞取り込み部分およびMcl-1結合ドメインを含むプロファイリングペプチドであって、Mcl-1結合ドメインが配列番号1の配列に0~8個の改変を有する配列を有する、プロファイリングペプチドと接触させたときの癌細胞のミトコンドリアの完全性のデータを含み、ならびに
ミトコンドリアの完全性のデータがミトコンドリアの完全性の低下を示す場合、対象を処置するために治療薬を選択すること
を含む、方法を提供する。
【0019】
さらなる実施形態では、本開示は、それを必要とする対象において癌を処置する方法であって、
対象の癌細胞についての感受性プロファイルを受け取ること、ここで、感受性プロファイルは、細胞取り込み部分およびMcl-1結合ドメインを含むプロファイリングペプチドであって、Mcl-1結合ドメインが配列番号1の配列に0~8個の改変を有する配列を有する、プロファイリングペプチドと接触させたときの癌細胞のミトコンドリアの完全性のデータを含み、ならびに
ミトコンドリアの完全性のデータがミトコンドリアの完全性の低下を示す場合、有効量の治療薬を対象に投与し、それによって対象における癌を処置すること
を含む、方法を提供する。
【0020】
さらなる実施形態では、本開示は、治療薬に対する対象由来の癌細胞の感受性を予測する方法であって、癌細胞を、細胞取り込み部分およびMcl-1結合ドメインを含むプロファイリングペプチドであって、Mcl-1結合ドメインが配列番号1の配列に0~8個の改変を有する配列を有する、プロファイリングペプチドと接触させること、癌細胞のミトコンドリアの完全性の変化を検出すること、ならびにミトコンドリアの完全性の変化に少なくとも基づいて癌細胞についてのMcl-1依存パーセンテージを決定することを含み、ここで、所定の値を超えるMcl-1依存パーセンテージは、癌細胞が治療薬に対して感受性であることを示す、方法を提供する。
【0021】
他の実施形態では、本開示は、それを必要とする対象において癌を処置する方法であって、対象由来の癌細胞を、細胞取り込み部分およびMcl-1結合ドメインを含むプロファイリングペプチドであって、Mcl-1結合ドメインが配列番号1の配列に0~8個の改変を有する配列を有する、プロファイリングペプチドと接触させること、癌細胞のミトコンドリアの完全性の変化を検出すること、ミトコンドリアの完全性の変化に少なくとも基づいて癌細胞についてのMcl-1依存パーセンテージを決定すること、ならびにMcl-1依存パーセンテージが所定の値を超える場合、有効量の治療薬を対象に投与し、それによって対象における癌を処置することを含む、方法を提供する。
【0022】
他の実施形態では、本開示は、対象由来の癌細胞について感受性プロファイルを作成する方法であって、癌細胞を、細胞取り込み部分およびMcl-1結合ドメインを含むプロファイリングペプチドであって、Mcl-1結合ドメインが配列番号1の配列に0~8個の改変を有する配列を有する、プロファイリングペプチドと接触させること、癌細胞のミトコンドリアの完全性の変化を検出すること、ならびにミトコンドリアの完全性の変化に少なくとも基づいて癌細胞についてのMcl-1依存パーセンテージを決定することを含む、方法を提供する。
【0023】
さらに他の実施形態では、本開示は、対象において癌を処置するための治療薬を選択する方法であって、
対象の癌細胞についての感受性プロファイルを受け取ること、ここで、感受性プロファイルは、癌細胞についてのMcl-1依存データを含み、Mcl-1依存データは、細胞取り込み部分およびMcl-1結合ドメインを含むプロファイリングペプチドであって、Mcl-1結合ドメインが配列番号1の配列に0~8個の改変を有する配列を有する、プロファイリングペプチドと接触させたときの癌細胞のミトコンドリアの完全性の変化に少なくとも基づいて決定され、ならびに
Mcl-1依存データが所定の値を超えるMcl-1依存パーセンテージを示す場合、対象を処置するために治療薬を選択すること
を含む、方法を提供する。
【0024】
さらに他の実施形態では、本開示は、それを必要とする対象において癌を処置する方法であって、
対象の癌細胞についての感受性プロファイルを受け取ること、ここで、感受性プロファイルは癌細胞についてのMcl-1依存データを含み、Mcl-1依存データは、細胞取り込み部分およびMcl-1結合ドメインを含むプロファイリングペプチドであって、Mcl-1結合ドメインが配列番号1の配列に0~8個の改変を有する配列を有する、プロファイリングペプチドと接触させたときの癌細胞のミトコンドリアの完全性の変化に少なくとも基づいて決定され、ならびに
Mcl-1依存データが所定の値を超えるMcl-1依存パーセンテージを示す場合、有効量の治療薬を対象に投与し、それによって対象における癌を処置すること
を含む、方法を提供する。
【0025】
別の態様において、本開示は、対象由来の複数の癌細胞についての感受性プロファイルを作成する方法であって、
複数の癌細胞を試料から単離すること、
複数の癌細胞を色素と接触させること、
複数の癌細胞の第1の部分を、陰性対照を用いて処理すること、
複数の癌細胞の第2の部分を、陽性対照を用いて処理すること、
複数の癌細胞の第3の部分を、細胞取り込み部分およびMcl-1結合ドメインを含むプロファイリングペプチドであって、Mcl-1結合ドメインが配列番号1の配列に0~8個の改変を有する配列を有する、プロファイリングペプチド、または細胞取り込み部分およびMcl-1結合ドメインを含むプロファイリングペプチドであって、Mcl-1結合ドメインが配列番号1の配列に0~8個の改変を有する配列を有する、プロファイリングペプチドならびに担体を含む組成物を用いて処理すること、
複数の癌細胞の第1の部分、第2の部分、および第3の部分を色素と接触させること、ならびに
複数の癌細胞の第1の部分、第2の部分、および第3の部分をフローサイトメトリーによって分析すること
を含む、方法を提供する。
【0026】
さらなる態様では、本開示は、Mcl-1依存パーセンテージが少なくとも15%である対象における癌の処置において使用するための治療用組成物であって、Mcl-1依存パーセンテージが、複数の癌細胞の第1の部分を、細胞取り込み部分およびMcl-1結合ドメインを含むプロファイリングペプチドであって、Mcl-1結合ドメインが配列番号1の配列に0~8個の改変を有する配列を有する、プロファイリングペプチドと接触させるか、または細胞取り込み部分およびMcl-1結合ドメインを含むプロファイリングペプチドであって、Mcl-1結合ドメインが配列番号1の配列に0~8個の改変を有する配列を有する、プロファイリングペプチドならびに担体を含む組成物と接触させることを含むインビトロの方法によって得られる、治療用組成物を提供する。
【0027】
さらなる態様では、本開示は、Mcl-1依存パーセンテージが少なくとも15%である対象に投与される、治療薬を含む癌の治療用組成物であって、Mcl-1依存パーセンテージが、複数の癌細胞の第1の部分を、細胞取り込み部分およびMcl-1結合ドメインを含むプロファイリングペプチドであって、Mcl-1結合ドメインが配列番号1の配列に0~8個の改変を有する配列を有する、プロファイリングペプチドと接触させるか、または細胞取り込み部分およびMcl-1結合ドメインを含むプロファイリングペプチドであって、Mcl-1結合ドメインが配列番号1の配列に0~8個の改変を有する配列を有する、プロファイリングペプチドならびに担体を含む組成物と接触させることを含むインビトロの方法によって得られる、治療用組成物を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【
図1】
図1A~1Dは、NOXAと比較した、本明細書に記載されるプロファイリングペプチドを用いた全細胞アッセイの結果を示す。
【
図2】
図2は、NOXAと比較した、本明細書に記載されるプロファイリングペプチドを様々な濃度で用いた場合のMcl-1依存パーセンテージを示す。
【
図3】
図3は、実施例5に記載される、CD45dimおよびCD13、CD33およびCD34highを使用した急性骨髄性白血病(AML)芽球集団に対するゲーティングを示す。
【
図4】
図4は、リアノジン試験の結果を示す。配列番号14のペプチドを用いて処理したMOLM-13細胞におけるカルシウム放出を示す。
【
図5】
図5は、MCL-1依存≧40%であるAML対象における完全奏功(CR)の割合を示す。
【発明を実施するための形態】
【0029】
本開示は、配列番号1~11のいずれか1つの配列を有する改変されてもよいMcl-1結合ドメインを含むプロファイリングペプチド、ならびに組成物、使用方法およびキットに関する。より具体的には、プロファイリングペプチドは任意に細胞取り込み部分およびMcl-1結合ドメインを含み、Mcl-1結合ドメインは配列番号1の配列に0~8個の改変を有する配列を有する。いくつかの実施形態では、プロファイリングペプチドは細胞取り込み部分、および配列番号1~11のいずれか1つの配列を有するMcl-1結合ドメインを含む。このようなプロファイリングペプチドを使用する方法は、癌細胞の感受性を予測すること、治療薬を選択すること、癌を処置すること、感受性プロファイルを作成することなどを含む。
【0030】
本開示をより詳細に説明する前に、本明細書に使用される特定の用語の定義を提供することが本開示の理解に役立ち得る。さらなる定義は本開示全体の中で示される。
【0031】
「任意の」または「任意に」は、その後の記載される要素、成分、事象、または状況が発生してもよいか、または発生しなくてもよいこと、ならびに説明が、要素、成分、事象、または状況が発生する場合およびそれらが発生しない場合を含むことを意味する。
【0032】
「ペプチド」とは、アミノ酸残基のポリマーを指す。ペプチドは、天然に存在するアミノ酸ポリマーおよび天然に存在しないアミノ酸ポリマー、ならびに1つまたは複数のアミノ酸残基が対応する天然に存在するアミノ酸の人工化学模倣物であるアミノ酸ポリマーを包含する。
【0033】
本明細書に使用される場合、「アミノ酸」とは、天然に存在するアミノ酸および合成アミノ酸、ならびに天然に存在するアミノ酸と同様の仕方で機能するアミノ酸類似体およびアミノ酸模倣物を指す。天然に存在するアミノ酸は、遺伝コードによってコードされるアミノ酸、ならびに後で修飾されるそのようなアミノ酸、例えばヒドロキシプロリン、γ-カルボキシグルタメート、およびO-ホスホセリンである。アミノ酸類似体とは、天然に存在するアミノ酸と同じ基本化学構造、すなわち水素、カルボキシル基、アミノ基、およびR基と結合しているα炭素を有する化合物(例えば、ホモセリン、ノルロイシン、メチオニンスルホキシド、およびメチオニンメチルスルホニウム)を指す。このような類似体は、修飾されたR基(例えば、ノルロイシン)または修飾されたペプチド骨格を有するが、天然に存在するアミノ酸と同じ基本化学構造を保持する。アミノ酸模倣物とは、アミノ酸の一般的な化学構造とは異なるが、天然に存在するアミノ酸と同様の仕方で機能する構造を有する化学化合物を指す。
【0034】
「腫瘍」を含む「癌」とは、身体器官および系の正常な機能を妨げる、細胞の制御されない成長および/または異常な細胞生存の増加および/またはアポトーシスの阻害を指す。「癌」(例えば、腫瘍)には、固形および非固形癌が含まれる。癌または腫瘍を有する対象は、対象の身体に存在する客観的に測定可能な数の癌細胞を有する。「癌」には、良性および悪性の癌(例えば、それぞれ良性および悪性腫瘍)、ならびに休眠腫瘍または微小転移が含まれる。「癌」には、次のものが含まれる:急性リンパ芽球性白血病(ALL)、急性骨髄性白血病(AML)、副腎皮質癌、AIDS関連癌、肛門癌、虫垂癌、星状細胞腫(例えば、小児小脳または大脳)、基底細胞癌、胆管癌、膀胱癌、骨腫瘍(例えば、骨肉腫、悪性線維性組織球腫)、脳幹神経膠腫、脳癌、脳腫瘍(例えば、小脳星細胞腫、大脳星細胞腫/悪性神経膠腫、上衣腫、髄芽腫、テント上原始神経外胚葉腫瘍、視覚路および視床下部神経膠腫)、乳癌、気管支腺腫/カルチノイド、バーキットリンパ腫、カルチノイド腫瘍、中枢神経系リンパ腫、小脳星細胞腫、子宮頸癌、慢性リンパ球性白血病(CLL)、慢性骨髄性白血病(CML)、慢性骨髄増殖性疾患、大腸癌、皮膚t細胞性リンパ腫、線維形成性小細胞腫瘍、子宮内膜癌、上衣腫、食道癌、ユーイング肉腫、頭蓋外胚細胞腫瘍、性腺外胚細胞腫瘍、肝外胆管癌、眼癌、胆嚢癌、胃癌、消化管間質腫瘍(GIST)、胚細胞腫瘍(例えば、頭蓋外、性腺外、卵巣)、妊娠性絨毛腫瘍、神経膠腫(例えば、脳幹、大脳星細胞腫、視覚路および視床下部)、胃カルチノイド、頭頸部癌、心臓癌、肝細胞(肝臓)癌、下咽頭癌、視床下部および視覚路神経膠腫、眼内黒色腫、島細胞癌(膵臓内分泌腺)、腎癌(腎細胞癌)、喉頭癌、白血病(例えば、急性リンパ球性白血病、急性骨髄性白血病、慢性リンパ球性白血病、慢性骨髄性白血病、有毛細胞)、口唇および口腔癌、脂肪肉腫、肝癌、肺癌(例えば、非小細胞、小細胞)、リンパ腫(例えば、AIDS関連、バーキット、皮膚T細胞、ホジキン、非ホジキン、原発性中枢神経系)、髄芽腫、黒色腫、メルケル細胞癌、中皮腫、転移性頸部扁平上皮癌、口腔癌、多発性内分泌腺腫症候群、多発性骨髄腫、菌状息肉腫、骨髄異形成症候群、骨髄異形成/骨髄増殖性疾患、骨髄性の白血病、骨髄性白血病、骨髄増殖性障害、慢性の鼻腔および副鼻腔癌、鼻咽腔癌、神経芽細胞腫、非ホジキンリンパ腫、非小細胞肺癌、口腔癌、口腔咽頭癌、骨肉腫、卵巣癌、膵臓癌、副鼻腔および鼻腔癌、副甲状腺癌、陰茎癌、咽頭癌、褐色細胞腫、松果体星細胞腫および/または胚細胞腫、松果体芽細胞腫およびテント上原始神経外胚葉腫瘍、下垂体腺腫、形質細胞腫瘍/多発性骨髄腫、胸膜肺芽腫、原発性中枢神経系リンパ腫、前立腺癌、直腸癌、腎細胞癌(腎癌)、腎盂および尿管、網膜芽腫、横紋筋肉腫、唾液腺癌、肉腫(例えば、ユーイングファミリー、カポジ、軟組織、子宮)、セザリー症候群、皮膚癌(例えば、非黒色腫、黒色腫、メルケル細胞)、小細胞肺癌、小腸癌、軟部組織肉腫、扁平上皮癌、頸部扁平上皮癌、胃癌、テント上原始神経外胚葉腫瘍、t細胞リンパ腫、精巣癌、咽喉癌、胸腺腫および胸腺癌、甲状腺癌、絨毛性腫瘍、尿管および腎盂癌、尿道癌、子宮癌、子宮肉腫、膣癌、視覚路および視床下部膠腫、外陰癌、ワルデンストレームマクログロブリン血症、またはウィルムス腫瘍。
【0035】
「転移」とは、身体における原発部位から他の部位への癌の広がりを指す。「転移」は、それらの元の位置から移動し、生命の維持に必要な器官に播種する癌であり、罹患した器官の機能低下により対象の死を最終的に導く可能性がある。転移は、癌細胞が、原発腫瘍から離れ、リンパ管および血管に浸透し、血流を通って循環し、身体の他の部分の正常組織において離れた病巣として成長する(転移する)ことができる、連続的なプロセスである。そのような新たな部位において、細胞は血液供給を確立し、生命を脅かす塊を形成するように成長することができる。転移は局部的であるか、または遠隔部に起こり得る。腫瘍細胞内の刺激性および阻害性の両方の分子経路がこの挙動を調節し、腫瘍細胞と新たな部位の宿主細胞との間の相互作用もまた重要になる。
【0036】
「対象」には、ヒト、実験動物などの飼育動物(例えば、イヌ、サル、ラット、マウスなど)、家庭用ペット(例えば、ネコ、イヌ、ウサギなど)、および家畜(例えば、ブタ、ウシ、ヒツジ、ヤギ、ウマなど)、ならびに飼育されていない動物(例えば、クマ、ゾウ、ヤマアラシなど)が含まれる。いくつかの実施形態では、対象はヒトである。
【0037】
本明細書に使用される場合、「処置する」または「処置」とは、問題とされる疾患または状態、例えば癌を有する、ヒトなどの対象への医薬または医療ケアの投与を指し、(i)特に対象が状態にかかりやすくなっているが、その状態を有するとはまだ診断されていない場合に、その状態または疾患が対象において発生するのを阻止すること、(ii)疾患もしくは状態を抑制すること、すなわち、その進行を阻止すること、(iii)疾患もしくは状態を緩和すること、すなわち、疾患もしくは状態の退行を引き起こすこと、または(iv)疾患もしくは状態そのものには対処することなく疾患もしくは状態に起因する症状(例えば、疼痛、体重減少、咳、疲労、衰弱など)を緩和することを含む。本明細書に使用される場合、「疾患」および「状態」という用語は、交換可能に使用されてもよいか、または、特定の不調もしくは状態が既知の原因を有さないかもしれず(それ故、病因がまだ確認されておらず)、したがって疾患とはまだ認識されておらず、望ましくない状態または症状としてのみ認識されており、多少の特定の症状群が臨床医によって確認されている、という点で異なっていてもよい。
【0038】
「有効量」とは、ヒトなどの対象に投与される場合、対象の癌の処置をもたらすのに十分である化合物または組成物の量を指す。「有効量」を構成する化合物または組成物の量は、化合物または組成物、処置される状態およびその重症度、投与様式、処置期間、および/または処置される対象の年齢に応じて変化するが、当業者は、その知識および本開示に基づいて慣例的に決定し得る。いくつかの実施形態では、「有効量」は、1つまたは複数の徴候、症状、兆候、診断検査、バイタルサインなどにおける統計学的に有意な変化として測定されるような処置をもたらす(例えば、処置、阻止、抑制、緩和、促進、改善、増加、低減などをもたらす)。他の実施形態では、「有効量」は、1つまたは複数の徴候、症状、兆候、診断検査、バイタルサインなどの統計学的に有意な変化の欠如として測定されるように、状態を抑制、管理または阻止する。
【0039】
本明細書に使用される場合、「統計学的に有意な」とは、スチューデントのt検定を使用して算出した場合、0.050またはそれ未満のp値を指し、測定される特定の事象または結果が偶然に生じる可能性が低いことを示す。
【0040】
本説明において、濃度範囲、パーセンテージ範囲、比率範囲、または整数範囲はいずれも、別に指示されない限り、挙げられた範囲内の任意の整数の値、および適切な場合、それらの分数(整数の10分の1および100分の1など)を含むと理解すべきである。また、ポリマーサブユニット、サイズ、または厚さなどの任意の物理的特徴に関して本明細書に挙げられた数値範囲は、別に指示されない限り、挙げられた範囲内の任意の整数を含むと理解すべきである。本明細書に使用される場合、「約」という用語は、別に指示されない限り、示された範囲、値または構造の±20%、±10%、±5%または±1%を意味する。本明細書に使用される場合、「1つの(a)」および「1つの(an)」という用語は、挙げられた構成要素の「1つまたは複数」を指すと理解されるべきである。選択肢を用いる場合(例えば「または」で示される)は、選択肢の1つ、両方、またはそれらの任意の組合せのいずれかを意味すると理解すべきである。文脈上、別の必要がない限り、本明細書および特許請求の範囲の全体にわたって、「含む」という語、および「含んでいる」などのその変化形、ならびに「包含する」および「有する」のような同義語およびその変化形は、非限定的で包括的な意味で、すなわち、「含むが、限定されない」として解釈されるべきであり、したがって、リストにおける項目の列挙は、本技術の材料、組成物、デバイスおよび方法において有用であり得る他の同様の項目を排除しない。非限定的な用語である「含んでいる」や、同義語の「包含している」、「含有している」または「有している」などが、本明細書中の本発明の説明および特許請求の範囲において使用されるが、本技術またはその実施形態は、挙げた成分「からなる」または「から本質的になる」などのように、より限定的な用語を使用して説明される場合もある。
【0041】
別途定義されない限り、本明細書における全ての技術用語および科学用語は、本発明が属する技術分野において当業者に一般に理解されるのと同じ意味を有する。
【0042】
本明細書全体にわたって、「一実施形態」または「実施形態」の言及は、実施形態と関連して記載される特定の特徴、構造または特性が、本開示の少なくとも1つの実施形態に含まれることを意味する。したがって、本明細書中の異なる箇所での「一実施形態では」または「実施形態では」という語句の出現は、必ずしも全て同じ実施形態を指しているわけではない。同様に、「であり得る」および「であってよい」という用語ならびにそれらの変形は、非限定的であることを意図し、したがって、実施形態が特定の要素または特徴を含み得る、または含んでよい、という記述は、その要素または特徴を含まない本技術の他の実施形態を排除しない。さらに、特定の特徴、構造または特性は、1つまたは複数の実施形態において、任意の適切な方法で組み合わされてもよい。
【0043】
以下の説明において、本開示の様々な実施形態の十分な理解のために、特定の具体例が詳細に記載される。しかしながら、当業者は、そのような具体例の詳細な記載がなくても本開示の発明を実施できることを理解するであろう。
【0044】
プロファイリングペプチド
本明細書に示されるように、本開示はプロファイリングペプチドを提供する。一般に、プロファイリングペプチドは、適宜改変されてもよい、表1に示される配列を有するMcl-1結合ドメインを含む。
【0045】
【0046】
いくつかの実施形態では、プロファイリングペプチドは、配列番号1~11のいずれか1つの配列に0~8個の改変を有する配列を有するMcl-1結合ドメインを含む。いくつかの実施形態では、プロファイリングペプチドは、配列番号1~11のいずれか1つの配列に1~8個の改変を有する配列を有するMcl-1結合ドメインを含む。
【0047】
「改変された」ペプチドは、本明細書に開示される配列と比較して1つまたは複数のアミノ酸置換を有するペプチドを包含する。置換は、保存的または非保存的な置換であり得る。改変されたペプチドは、元のペプチド配列にアミノ酸を付加したペプチド、または元のペプチド配列からアミノ酸を欠失したペプチドも包含する。したがって、改変されたペプチドは、元のペプチド配列の断片を含む。いくつかの実施形態では、改変は、1つまたは複数の保存的なアミノ酸の置換、付加、欠失、またはそれらの組合せを含む。
【0048】
本明細書に使用される場合、「改変」とは、単一アミノ酸の置換、付加または欠失を指す。したがって、改変の数が言及される場合(例えば、配列番号1の配列に2個の改変を有する配列を有するMcl-1結合ドメイン)、その数は、置換、付加または欠失され得る、配列のアミノ酸の数を指す。換言すれば、各「置換」、「付加」または「欠失」はそれぞれ、単一アミノ酸の置換、付加または欠失であるので、1個より多いアミノ酸を置換、付加または欠失する単一の場合を指すわけではない。
【0049】
改変は、プロファイリングペプチドをコードするポリヌクレオチドを変化させることによって導入されてよく、部位特異的または部位指向的な突然変異誘発を包含する様々な方法によって実施され得る。例えば、突然変異は、未改変配列の断片へのライゲーションを可能にする制限酵素部位に隣接する突然変異配列を含むオリゴヌクレオチドを合成することによって、特定の位置において導入されてよい。ライゲーション後、得られた配列は、所望のアミノ酸付加、置換または欠失を有する改変されたペプチドをコードし得る。
【0050】
「保存的な置換」は、以下の保存的な置換群のうちの1つに見出される置換を含む:第1群:アラニン(AlaまたはA)、グリシン(GlyまたはG)、セリン(SerまたはS)、トレオニン(ThrまたはT);第2群:アスパラギン酸(AspまたはD)、グルタミン酸(GluまたはZ);第3群:アスパラギン(AsnまたはN)、グルタミン(GlnまたはQ);第4群:アルギニン(ArgまたはR)、リシン(LysまたはK)、ヒスチジン(HisまたはH);第5群:イソロイシン(IleまたはI)、ロイシン(LeuまたはL)、メチオニン(MetまたはM)、バリン(ValまたはV);および第6群:フェニルアラニン(PheまたはF)、チロシン(TyrまたはY)、トリプトファン(TrpまたはW)。それに加えて、またはその代わりに、アミノ酸は、機能または化学構造または組成(例えば、酸性、塩基性、脂肪族、芳香族、または硫黄含有)の類似性によって、保存的な置換群に分類することができる。例えば、脂肪族の群は、置換の目的のために、Gly、Ala、Val、Leu、およびIleを含んでよい。他の保存的な置換群には、硫黄含有:Metおよびシステイン(CysまたはC);酸性:Asp、Glu、Asn、およびGln;非極性またはわずかに極性の小さな脂肪族残基:Ala、Ser、Thr、プロリン(ProまたはP)、およびGly;極性の負に帯電した残基およびそれらのアミド:Asp、Asn、Glu、およびGln;極性の正に帯電した残基:His、Arg、およびLys;非極性の大きな脂肪族残基:Met、Leu、Ile、Val、およびCys;ならびに大きな芳香族残基:Phe、TyrおよびTrpが含まれる。さらなる情報はCreighton (1984) Proteins, W.H. Freeman and Companyに見出すことができる。
【0051】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載される改変は、合成アミノ酸、アミノ酸類似体もしくはアミノ酸模倣物による、天然に存在するアミノ酸の置換、または合成アミノ酸、アミノ酸類似体もしくはアミノ酸模倣物の付加を含んでよい。このような実施形態では、改変は、1つまたは複数のL-アミノ酸の、D-アミノ酸による置換を含んでよい。D-アミノ酸は、天然の配列に見られるのと同じアミノ酸種であるか、または異なるアミノ酸であってよい。
【0052】
「改変」はまた、天然に存在するアミノ酸の、官能基に結合または会合しているアミノ酸による置換も含む。このようなアミノ酸は、例えば、グリコシル化アミノ酸、PEG化アミノ酸、ファルネシル化アミノ酸、アセチル化アミノ酸、ビオチン化アミノ酸、脂質部分に結合しているアミノ酸、または有機誘導体化剤に結合しているアミノ酸であってよい。このようなアミノ酸の存在は、例えば、ポリペプチド保存安定性を増加させ、および/またはペプチド溶解性を増加させるために好適であり得る。このような改変は、組換え産生中に、または合成手段によって、翻訳と同時もしくは翻訳後に実施することができる。
【0053】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載されるプロファイリングペプチドは、0~1個の改変を有するMcl-1結合ドメイン(例えば、配列番号1~11のいずれか1つ)を含む。いくつかの実施形態では、本明細書に記載されるプロファイリングペプチドは、0~2個の改変を有するMcl-1結合ドメインを含む。いくつかの実施形態では、本明細書に記載されるプロファイリングペプチドは、0~3個の改変を有するMcl-1結合ドメインを含む。いくつかの実施形態では、本明細書に記載されるプロファイリングペプチドは、0~4個の改変を有するMcl-1結合ドメインを含む。いくつかの実施形態では、本明細書に記載されるプロファイリングペプチドは、0~5個の改変を有するMcl-1結合ドメインを含む。いくつかの実施形態では、本明細書に記載されるプロファイリングペプチドは、0~6個の改変を有するMcl-1結合ドメインを含む。いくつかの実施形態では、本明細書に記載されるプロファイリングペプチドは、0~7個の改変を有するMcl-1結合ドメインを含む。いくつかの実施形態では、本明細書に記載されるプロファイリングペプチドは、0~8個の改変を有するMcl-1結合ドメインを含む。いくつかの実施形態では、本明細書に記載されるプロファイリングペプチドは、0~9個の改変、0~10個の改変、0~12個の改変、0~15個の改変、または0~20個の改変を有するMcl-1結合ドメインを含む。
【0054】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載されるプロファイリングペプチドは、1~2個の改変を有するMcl-1結合ドメインを含む。いくつかの実施形態では、本明細書に記載されるプロファイリングペプチドは、1~3個の改変を有するMcl-1結合ドメインを含む。いくつかの実施形態では、本明細書に記載されるプロファイリングペプチドは、1~4個の改変を有するMcl-1結合ドメインを含む。いくつかの実施形態では、本明細書に記載されるプロファイリングペプチドは、1~5個の改変を有するMcl-1結合ドメインを含む。いくつかの実施形態では、本明細書に記載されるプロファイリングペプチドは、1~6個の改変を有するMcl-1結合ドメインを含む。いくつかの実施形態では、本明細書に記載されるプロファイリングペプチドは、1~7個の改変を有するMcl-1結合ドメインを含む。いくつかの実施形態では、本明細書に記載されるプロファイリングペプチドは、1~8個の改変を有するMcl-1結合ドメインを含む。いくつかの実施形態では、本明細書に記載されるプロファイリングペプチドは、1~9個の改変を有するMcl-1結合ドメインを含む。いくつかの実施形態では、本明細書に記載されるプロファイリングペプチドは、1~10個の改変、1~12個の改変、1~15個の改変、または1~20個の改変を有するMcl-1結合ドメインを含む。いくつかの実施形態では、本明細書に記載されるプロファイリングペプチドは、2~3個の改変を有するMcl-1結合ドメインを含む。いくつかの実施形態では、本明細書に記載されるプロファイリングペプチドは、2~4個の改変を有するMcl-1結合ドメインを含む。いくつかの実施形態では、本明細書に記載されるプロファイリングペプチドは、2~5個の改変を有するMcl-1結合ドメインを含む。いくつかの実施形態では、本明細書に記載されるプロファイリングペプチドは、2~6個の改変を有するMcl-1結合ドメインを含む。いくつかの実施形態では、本明細書に記載されるプロファイリングペプチドは、2~7個の改変を有するMcl-1結合ドメインを含む。いくつかの実施形態では、本明細書に記載されるプロファイリングペプチドは、2~8個の改変を有するMcl-1結合ドメインを含む。いくつかの実施形態では、本明細書に記載されるプロファイリングペプチドは、2~9個の改変、2~10個の改変、2~12個の改変、2~15個の改変、または2~20個の改変を有するMcl-1結合ドメインを含む。
【0055】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載されるプロファイリングペプチドは、3~4個の改変を有するMcl-1結合ドメインを含む。いくつかの実施形態では、本明細書に記載されるプロファイリングペプチドは、3~5個の改変を有するMcl-1結合ドメインを含む。いくつかの実施形態では、本明細書に記載されるプロファイリングペプチドは、3~6個の改変を有するMcl-1結合ドメインを含む。いくつかの実施形態では、本明細書に記載されるプロファイリングペプチドは、3~7個の改変を有するMcl-1結合ドメインを含む。いくつかの実施形態では、本明細書に記載されるプロファイリングペプチドは、3~8個の改変を有するMcl-1結合ドメインを含む。いくつかの実施形態では、本明細書に記載されるプロファイリングペプチドは、3~9個の改変、3~10個の改変、3~12個の改変、3~15個の改変、3~20個の改変、4~5個の改変、4~6個の改変、4~7個の改変、4~8個の改変、4~9個の改変、4~10個の改変、4~12個の改変、4~15個の改変、4~20個の改変、5~6個の改変、5~7個の改変、5~8個の改変、5~9個の改変、5~10個の改変、5~12個の改変、5~15個の改変、5~20個の改変、6~7個の改変、6~8個の改変、6~9個の改変、6~10個の改変、7~8個の改変、7~9個の改変、7~10個の改変、8~9個の改変、8~10個の改変、または9~10個の改変を有するMcl-1結合ドメインを含む。いくつかの実施形態では、本明細書に記載されるプロファイリングペプチドは、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、または20個の改変を有する改変されたMcl-1結合ドメインを含む。本開示のプロファイリングペプチドに含まれるMcl-1結合ドメイン配列は、任意の位置において改変を含んでよい。
【0056】
Mcl-1結合ドメインが配列番号1~11のいずれか1つの断片である実施形態では、アミノ酸配列は、5アミノ酸、6アミノ酸、7アミノ酸、8アミノ酸、9アミノ酸、10アミノ酸、11アミノ酸、12アミノ酸、13アミノ酸、または14アミノ酸の最小長さを有してよい。Mcl-1結合ドメインが配列番号1~11のいずれか1つの断片であるいくつかの実施形態では、アミノ酸配列は、15アミノ酸の最小長さを有してよい。Mcl-1結合ドメインが配列番号1~11のいずれか1つの断片であるいくつかの実施形態では、アミノ酸配列は、16アミノ酸の最小長さを有してよい。Mcl-1結合ドメインが配列番号1~11のいずれか1つの断片であるいくつかの実施形態では、アミノ酸配列は、17アミノ酸の最小長さを有してよい。Mcl-1結合ドメインが配列番号1~11のいずれか1つの断片であるいくつかの実施形態では、アミノ酸配列は、18アミノ酸の最小長さを有してよい。Mcl-1結合ドメインが配列番号1~11のいずれか1つの断片であるいくつかの実施形態では、アミノ酸配列は、19アミノ酸の最小長さを有してよい。Mcl-1結合ドメインが配列番号1~11のいずれか1つの断片であるいくつかの実施形態では、アミノ酸配列は、20アミノ酸の最小長さを有してよい。Mcl-1結合ドメインが配列番号1~11のいずれか1つの断片であるいくつかの実施形態では、アミノ酸配列は、21アミノ酸の最小長さを有してよい。
【0057】
いくつかの実施形態では、Mcl-1結合ドメインは配列番号1の断片であり、アミノ酸配列は、5アミノ酸、6アミノ酸、7アミノ酸、8アミノ酸、9アミノ酸、10アミノ酸、11アミノ酸、12アミノ酸、13アミノ酸、または14アミノ酸の最小長さを有する。いくつかの実施形態では、Mcl-1結合ドメインは配列番号1の断片であり、アミノ酸配列は15アミノ酸の最小長さを有する。いくつかの実施形態では、Mcl-1結合ドメインは配列番号1の断片であり、アミノ酸配列は16アミノ酸の最小長さを有する。いくつかの実施形態では、Mcl-1結合ドメインは配列番号1の断片であり、アミノ酸配列は17アミノ酸の最小長さを有する。いくつかの実施形態では、Mcl-1結合ドメインは配列番号1の断片であり、アミノ酸配列は18アミノ酸の最小長さを有する。いくつかの実施形態では、Mcl-1結合ドメインは配列番号1の断片であり、アミノ酸配列は19アミノ酸の最小長さを有する。いくつかの実施形態では、Mcl-1結合ドメインは配列番号1の断片であり、アミノ酸配列は20アミノ酸の最小長さを有する。いくつかの実施形態では、Mcl-1結合ドメインは配列番号1の断片であり、アミノ酸配列は21アミノ酸の最小長さを有する。
【0058】
さらなる実施形態では、Mcl-1結合ドメインは配列番号1~11のいずれか1つの少なくとも10個の連続アミノ酸を含む。いくつかの実施形態では、Mcl-1結合ドメインは配列番号1~11のいずれか1つの少なくとも11個の連続アミノ酸を含む。いくつかの実施形態では、Mcl-1結合ドメインは配列番号1~11のいずれか1つの少なくとも12個の連続アミノ酸を含む。いくつかの実施形態では、Mcl-1結合ドメインは配列番号1~11のいずれか1つの少なくとも13個の連続アミノ酸を含む。いくつかの実施形態では、Mcl-1結合ドメインは配列番号1~11のいずれか1つの少なくとも14個の連続アミノ酸を含む。いくつかの実施形態では、Mcl-1結合ドメインは配列番号1~11のいずれか1つの少なくとも15個の連続アミノ酸を含む。いくつかの実施形態では、Mcl-1結合ドメインは配列番号1~11のいずれか1つの少なくとも16個の連続アミノ酸を含む。いくつかの実施形態では、Mcl-1結合ドメインは配列番号1~11のいずれか1つの少なくとも17個の連続アミノ酸を含む。いくつかの実施形態では、Mcl-1結合ドメインは配列番号1~11のいずれか1つの少なくとも18個の連続アミノ酸を含む。いくつかの実施形態では、Mcl-1結合ドメインは配列番号1~11のいずれか1つの少なくとも19個の連続アミノ酸を含む。いくつかの実施形態では、Mcl-1結合ドメインは配列番号1~11のいずれか1つの少なくとも20個の連続アミノ酸を含む。いくつかの実施形態では、Mcl-1結合ドメインは配列番号1~11のいずれか1つの少なくとも21個の連続アミノ酸を含む。いくつかの実施形態では、Mcl-1結合ドメインは、配列番号1の少なくとも10個の連続アミノ酸、配列番号1の少なくとも11個の連続アミノ酸、配列番号1の少なくとも12個の連続アミノ酸、配列番号1の少なくとも13個の連続アミノ酸、配列番号1の少なくとも14個の連続アミノ酸、配列番号1の少なくとも15個の連続アミノ酸、配列番号1の少なくとも16個の連続アミノ酸、配列番号1の少なくとも17個の連続アミノ酸、配列番号1の少なくとも18個の連続アミノ酸、配列番号1の少なくとも19個の連続アミノ酸、配列番号1の少なくとも20個の連続アミノ酸、または配列番号1の少なくとも21個の連続アミノ酸を含む。
【0059】
いくつかの実施形態では、Mcl-1結合ドメインは、配列番号1~11のいずれか1つの10個以下の連続アミノ酸、配列番号1~11のいずれか1つの11個以下の連続アミノ酸、配列番号1~11のいずれか1つの12個以下の連続アミノ酸、配列番号1~11のいずれか1つの13個以下の連続アミノ酸、配列番号1~11のいずれか1つの14個以下の連続アミノ酸、配列番号1~11のいずれか1つの15個以下の連続アミノ酸、配列番号1~11のいずれか1つの16個以下の連続アミノ酸、配列番号1~11のいずれか1つの17個以下の連続アミノ酸、配列番号1~11のいずれか1つの18個以下の連続アミノ酸、配列番号1~11のいずれか1つの19個以下の連続アミノ酸、配列番号1~11のいずれか1つの20個以下の連続アミノ酸、または配列番号1~11のいずれか1つの21個以下の連続アミノ酸を含む。いくつかの実施形態では、Mcl-1結合ドメインは、配列番号1の10個以下の連続アミノ酸、配列番号1の11個以下の連続アミノ酸、配列番号1の12個以下の連続アミノ酸、配列番号1の13個以下の連続アミノ酸、配列番号1の14個以下の連続アミノ酸、配列番号1の15個以下の連続アミノ酸、配列番号1の16個以下の連続アミノ酸、配列番号1の17個以下の連続アミノ酸、配列番号1の18個以下の連続アミノ酸、配列番号1の19個以下の連続アミノ酸、配列番号1の20個以下の連続アミノ酸、または配列番号1の21個以下の連続アミノ酸を含む。
【0060】
本明細書に開示されるMcl-1結合ドメインのいくつかの実施形態は、配列番号1~11のいずれか1つの配列と少なくとも70%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、Mcl-1結合ドメインは、配列番号1~11のいずれか1つの配列と少なくとも75%の配列同一性を有する。いくつかの実施形態では、Mcl-1結合ドメインは、配列番号1~11のいずれか1つの配列と少なくとも80%の配列同一性を有する。いくつかの実施形態では、Mcl-1結合ドメインは、配列番号1~11のいずれか1つの配列と少なくとも85%の配列同一性を有する。いくつかの実施形態では、Mcl-1結合ドメインは、配列番号1~11のいずれか1つの配列と少なくとも90%の配列同一性を有する。いくつかの実施形態では、Mcl-1結合ドメインは、配列番号1~11のいずれか1つの配列と少なくとも95%の配列同一性を有する。いくつかの実施形態では、Mcl-1結合ドメインは、配列番号1~11のいずれか1つの配列と少なくとも96%の配列同一性を有する。いくつかの実施形態では、Mcl-1結合ドメインは、配列番号1~11のいずれか1つの配列と少なくとも97%の配列同一性を有する。いくつかの実施形態では、Mcl-1結合ドメインは、配列番号1~11のいずれか1つの配列と少なくとも98%の配列同一性を有する。いくつかの実施形態では、Mcl-1結合ドメインは、配列番号1~11のいずれか1つの配列と少なくとも99%の配列同一性を有する。
【0061】
いくつかの実施形態では、Mcl-1結合ドメインは、配列番号1の配列と少なくとも70%の配列同一性を有する配列を有する。いくつかの実施形態では、Mcl-1結合ドメインは、配列番号1の配列と少なくとも75%の配列同一性を有する配列を有する。いくつかの実施形態では、Mcl-1結合ドメインは、配列番号1の配列と少なくとも80%の配列同一性を有する配列を有する。いくつかの実施形態では、Mcl-1結合ドメインは、配列番号1の配列と少なくとも85%の配列同一性を有する配列を有する。いくつかの実施形態では、Mcl-1結合ドメインは、配列番号1の配列と少なくとも90%の配列同一性を有する配列を有する。いくつかの実施形態では、Mcl-1結合ドメインは、配列番号1の配列と少なくとも95%の配列同一性を有する配列を有する。いくつかの実施形態では、Mcl-1結合ドメインは、配列番号1の配列と少なくとも96%の配列同一性を有する配列を有する。いくつかの実施形態では、Mcl-1結合ドメインは、配列番号1の配列と少なくとも97%の配列同一性を有する配列を有する。いくつかの実施形態では、Mcl-1結合ドメインは、配列番号1の配列と少なくとも98%の配列同一性を有する配列を有する。いくつかの実施形態では、Mcl-1結合ドメインは、配列番号1の配列と少なくとも99%の配列同一性を有する配列を有する。
【0062】
「パーセント配列同一性」とは、2つ以上の配列を比較することによって決定した、それら配列間の関係を指す。配列同一性を決定するための好ましい方法は、試験される配列間どうしの一致が最大となるように設計される。例えば、配列を、最適な比較目的のために並べる(例えば、最適なアラインメントのために、第1および第2のアミノ酸または核酸配列の一方または両方に、ギャップを導入し得る)。さらに、非相同配列は、比較目的のために無視してよい。いくつかの実施形態では、比較目的のために並べられる配列の長さは、参照配列の長さの少なくとも70%、80%、90%、または100%である。いくつかの実施形態では、本明細書に記載されるパーセント配列同一性は、参照配列の長さにわたって算出される。配列同一性および類似性を決定する方法は、公知の利用可能なコンピュータプログラムに見出され得る。配列アラインメントおよびパーセント同一性の算出は、BLASTプログラム(例えば、BLAST 2.0、BLASTP、BLASTN、またはBLASTX)を使用して行うことができる。BLASTプログラムに使用される数学アルゴリズムは、Altschul et al., Nucleic Acids Res. 25:3389-3402, 1997に見ることができる。本開示の文脈内で、配列解析ソフトウェアが解析のために使用される場合、解析結果は、使用されたプログラムの「デフォルト値」に基づくと理解され得る。「デフォルト値」は、最初に初期化されたときの、ソフトウェアに元々ロードされている値またはパラメーターの設定を意味する。
【0063】
いくつかの実施形態では、改変されたMcl-1結合ドメインは、Mcl-1との結合に対する未改変配列の特異性および親和性を保持する(すなわち、Mcl-1結合ドメインに対する改変は、統計学的に有意、臨床的に有意、または生物学的に有意な様式において、Mcl-1との結合に対する特異性または親和性を変化させない)。いくつかの実施形態では、改変されたMcl-1結合ドメインが、Mcl-1との結合に対する未改変配列の特異性および親和性を保持するというのは、該改変されたMcl-1結合ドメインの特異性および親和性が未改変配列の特異性および親和性の少なくとも70%、80%、85%、90%、95%、97%、または99%である場合である。例えば、改変されたMcl-1結合ドメインが、Mcl-1との結合に対する未改変配列の特異性および親和性を保持するのは、該改変されたMcl-1結合ドメインの特異性および親和性が配列番号1~11のいずれか1つの特異性および親和性の少なくとも70%、80%、85%、90%、95%、97%、または99%である場合であり得る。
【0064】
いくつかの実施形態では、Mcl-1結合ドメインは、NOXAより少なくとも20倍高い親和性でMcl-1と結合する。いくつかの実施形態では、Mcl-1結合ドメインは、NOXAより少なくとも22倍高い親和性でMcl-1と結合する。いくつかの実施形態では、Mcl-1結合ドメインは、NOXAより少なくとも24倍高い親和性でMcl-1と結合する。特定の実施形態では、Mcl-1結合ドメインは、NOXAより少なくとも28倍高い親和性でMcl-1と結合する。
【0065】
Mcl-1結合ドメインに対する任意のアミノ酸改変の効果は、得られた改変Mcl-1結合ドメインを、生物学的アッセイにおいて機能する能力について、またはモノクローナルもしくはポリクローナル抗体などの標的分子と結合する能力について試験することによって、実験的に決定することができる。例えば、改変されたMcl-1結合ドメインが、改変されていない配列に相当する構造に折り畳まれる能力を、当該技術分野において公知のアッセイを使用して試験することができ、そのようなアッセイは、天然または折り畳まれていないペプチドに特異的であるモノクローナルまたはポリクローナル抗体と反応させること、結合機能の保持を試験すること、およびプロテアーゼによる消化に対する改変されたMcl-1結合ドメインの感受性または耐性を試験することを含み得る。
【0066】
ペプチド三次構造を解析するための、Mcl-1結合ドメインの第1級および第2級アミノ酸構造の解析および/またはコンピューターモデリングは、Mcl-1結合ドメインの構造を顕著に変化させることなく、そしてその結果としてMcl-1結合ドメインの結合特異性および親和性を潜在的に顕著に低減させることなく置換、付加または欠失させ得る特定のアミノ酸残基を識別するのに役立ち得る。
【0067】
いくつかの実施形態では、本開示のプロファイリングペプチドは、細胞取り込み部分をさらに含み、これは任意に、リンカーによってMcl-1結合ドメインに連結されてもよい。「細胞取り込み部分」とは、ペプチドに結合したとき、そのペプチドおよび細胞取り込み部分が外側細胞膜を横切ることを可能にし、それによってペプチドを細胞内に移動させる、アミノ酸配列または化学化合物を指す。さらに、いくつかの実施形態では、細胞取り込み部分は、ペプチドを所望の細胞位置(例えば、ミトコンドリア)に導くように、ターゲティング部位として作用することができる。
【0068】
いくつかの実施形態では、細胞取り込み部分はペプチド配列である。このような実施形態では、細胞取り込み部分ペプチドは、少なくとも4アミノ酸の長さ、少なくとも5アミノ酸の長さ、少なくとも6アミノ酸の長さ、少なくとも7アミノ酸の長さ、少なくとも8アミノ酸の長さ、または少なくとも9アミノ酸の長さである。いくつかの実施形態では、細胞取り込み部分は、1~20アミノ酸、5~20アミノ酸、6~20アミノ酸、7~20アミノ酸、8~20アミノ酸、9~20アミノ酸、10~20アミノ酸、11~20アミノ酸、12~20アミノ酸、15~20アミノ酸、1~15アミノ酸、5~15アミノ酸、6~15アミノ酸、7~15アミノ酸、8~15アミノ酸、9~15アミノ酸、10~15アミノ酸、11~15アミノ酸、12~15アミノ酸、1~12アミノ酸、5~12アミノ酸、6~12アミノ酸、7~12アミノ酸、8~12アミノ酸、9~12アミノ酸、10~12アミノ酸、1~10アミノ酸、5~10アミノ酸、6~10アミノ酸、または7~10アミノ酸のアミノ酸配列を含む。
【0069】
いくつかの実施形態では、細胞取り込み部分ペプチドは、既知のペプチド配列から単離された導入ドメインである。導入ドメインを有するペプチドは、当該技術分野において周知であり、その例には、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)転写活性化因子(Trans-Activator of Transcription)(TAT;Vives et al. J Biol Chem. 1997 Jun 20;272(25):16010-7に記載されている)、単純ヘルペスウイルスのテグメントタンパク質VP22、アンテナペディア細胞膜(Atennapedia plasma membrane)(ANT)移行ドメイン、ポリ-Arg配列などが含まれる。いくつかの実施形態では、細胞取り込み部分ペプチドは、既知の導入ドメイン由来の連続アミノ酸配列である。他の実施形態では、細胞取り込み部分ペプチドは、連続アミノ酸配列においては天然に存在しない、1つ以上の既知の導入ドメイン由来の2つ以上のアミノ酸配列であり、例えば、2つのアミノ酸配列を含む細胞取り込みドメインは、天然の第3のアミノ酸配列によって隔てられ得る。
【0070】
いくつかの実施形態では、細胞取り込み部分ペプチドは、改変されてもよい、既知のペプチド由来の導入ドメインである。改変は、公知の技術を使用してなされ得る。
【0071】
いくつかの実施形態では、細胞取り込み部分ペプチドは、改変されてもよいTAT移行ドメインである。改変されてもよいTAT移行ドメインは、0~1個の改変、0~2個の改変、0~3個の改変、0~4個の改変、0~5個の改変、0~6個の改変、0~7個の改変、0~8個の改変、0~9個の改変、個の改変1~2個の改変、1~3個の改変、1~4個の改変、1~5個の改変、1~6個の改変、1~7個の改変、1~8個の改変、1~9個の改変、2~3個の改変、2~4個の改変、2~5個の改変、2~6個の改変、2~7個の改変、2~8個の改変、2~9個の改変、3~4個の改変、3~5個の改変、3~6個の改変、3~7個の改変、3~8個の改変、3~9個の改変、4~5個の改変、4~6個の改変、4~7個の改変、4~8個の改変、または4~9個の改変を有することができる。細胞取り込み部分ペプチドがTAT移行ドメインの断片であるいくつかの実施形態では、細胞取り込み部分ペプチド配列は、5アミノ酸、6アミノ酸、7アミノ酸、8アミノ酸、9アミノ酸、または10アミノ酸の最小の長さを有することができる。細胞取り込み部分ペプチドがTAT移行ドメインの断片であるいくつかの実施形態では、細胞取り込み部分ペプチド配列は、最小でTAT移行ドメインの5個の連続アミノ酸、6個の連続アミノ酸、7個の連続アミノ酸、8個の連続アミノ酸、9個の連続アミノ酸、または10個の連続アミノ酸を有することができる。本明細書に開示される改変されたTAT移行ドメインは、YGRKKRRQRRRの配列(配列番号12)と、少なくとも70%の配列同一性、少なくとも75%の配列同一性、少なくとも80%の配列同一性、少なくとも85%の配列同一性、少なくとも90%の配列同一性、少なくとも95%の配列同一性、少なくとも96%の配列同一性、少なくとも97%の配列同一性、少なくとも98%の配列同一性、または少なくとも99%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、細胞取り込み部分は、改変されたTAT移行ドメインである。他のいくつかの実施形態では、細胞取り込み部分ペプチドは、配列番号12の配列を有するTAT移行ドメインである。
【0072】
いくつかの実施形態では、本開示のプロファイリングペプチドは、TAT移行ドメイン、および配列番号1~11の1つの配列に0~8個の改変を有する配列を有するMcl-1結合ドメインを含む。いくつかの実施形態では、本開示のプロファイリングペプチドは、TAT移行ドメイン、および配列番号1~11の1つの配列に1~8個の改変を有する配列を有するMcl-1結合ドメインを含む。いくつかの実施形態では、本開示のプロファイリングペプチドは、TAT移行ドメイン、および配列番号1の配列に0~8個の改変を有する配列を有するMcl-1結合ドメインを含む。いくつかの実施形態では、本開示のプロファイリングペプチドは、TAT移行ドメイン、および配列番号1~11のいずれか1つを有するMcl-1結合ドメインを含む。いくつかの実施形態では、本開示のプロファイリングペプチドは、配列番号12を有するTAT移行ドメイン、および配列番号1~11のいずれか1つの配列に0~8個の改変を有する配列を有するMcl-1結合ドメインを含む。いくつかの実施形態では、本開示のプロファイリングペプチドは、配列番号12を有するTAT移行ドメイン、および配列番号1~11のいずれか1つの配列に1~8個の改変を有する配列を有するMcl-1結合ドメインを含む。いくつかの実施形態では、本開示のプロファイリングペプチドは、配列番号12を有するTAT移行ドメイン、および配列番号1の配列に0~8個の改変を有する配列を有するMcl-1結合ドメインを含む。いくつかの実施形態では、本開示のプロファイリングペプチドは、配列番号12を有するTAT移行ドメイン、および配列番号1~11のいずれか1つを有するMcl-1結合ドメインを含む。
【0073】
いくつかの実施形態では、細胞取り込み部分ペプチドは、改変されてもよいANT移行ドメインである。改変されてもよいANT移行ドメインは、0~1個の改変、0~2個の改変、0~3個の改変、0~4個の改変、0~5個の改変、0~6個の改変、0~7個の改変、0~8個の改変、0~9個の改変、1~2個の改変、1~3個の改変、1~4個の改変、1~5個の改変、1~6個の改変、1~7個の改変、1~8個の改変、1~9個の改変、2~3個の改変、2~4個の改変、2~5個の改変、2~6個の改変、2~7個の改変、2~8個の改変、2~9個の改変、3~4個の改変、3~5個の改変、3~6個の改変、3~7個の改変、3~8個の改変、3~9個の改変、4~5個の改変、4~6個の改変、4~7個の改変、4~8個の改変、または4~9個の改変を有することができる。細胞取り込み部分ペプチドがANT移行ドメインの断片であるいくつかの実施形態では、細胞取り込み部分ペプチド配列は、5個のアミノ酸、6個のアミノ酸、7個のアミノ酸、8個のアミノ酸、9個のアミノ酸、または10個のアミノ酸の最小の長さを有することができる。細胞取り込み部分ペプチドがANT移行ドメインの断片であるいくつかの実施形態では、細胞取り込み部分ペプチド配列は、最小でANT移行ドメインの5個の連続アミノ酸、6個の連続アミノ酸、7個の連続アミノ酸、8個の連続アミノ酸、9個の連続アミノ酸、または10個の連続アミノ酸を有することができる。本明細書に開示される改変されたANT移行ドメインは、RQIKIWFQNRRMKWKKの配列(配列番号13)と、少なくとも70%の配列同一性、少なくとも75%の配列同一性、少なくとも80%の配列同一性、少なくとも85%の配列同一性、少なくとも90%の配列同一性、少なくとも95%の配列同一性、少なくとも96%の配列同一性、少なくとも97%の配列同一性、少なくとも98%の配列同一性、または少なくとも99%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、細胞取り込み部分ペプチドは、改変されたANT移行ドメインである。他のいくつかの実施形態では、細胞取り込み部分ペプチドは、配列番号13の配列を有するANT移行ドメインである。
【0074】
いくつかの実施形態では、本開示のプロファイリングペプチドは、ANT移行ドメイン、および配列番号1~11のいずれか1つの配列に0~8個の改変を有する配列を有するMcl-1結合ドメインを含む。いくつかの実施形態では、本開示のプロファイリングペプチドは、ANT移行ドメイン、および配列番号1~11のいずれか1つの配列に1~8個の改変を有する配列を有するMcl-1結合ドメインを含む。いくつかの実施形態では、本開示のプロファイリングペプチドは、ANT移行ドメイン、および配列番号1の配列に0~8個の改変を有する配列を有するMcl-1結合ドメインを含む。いくつかの実施形態では、本開示のプロファイリングペプチドは、ANT移行ドメイン、および配列番号1~11のいずれか1つを有するMcl-1結合ドメインを含む。いくつかの実施形態では、本開示のプロファイリングペプチドは、配列番号13を有するANT移行ドメイン、および配列番号1~11のいずれか1つの配列に0~8個の改変を有する配列を有するMcl-1結合ドメインを含む。いくつかの実施形態では、本開示のプロファイリングペプチドは、配列番号13を有するANT移行ドメイン、および配列番号1~11のいずれか1つの配列に1~8個の改変を有する配列を有するMcl-1結合ドメインを含む。いくつかの実施形態では、本開示のプロファイリングペプチドは、配列番号13を有するANT移行ドメイン、および配列番号1の配列に0~8個の改変を有する配列を有するMcl-1結合ドメインを含む。いくつかの実施形態では、本開示のプロファイリングペプチドは、配列番号13を有するANT移行ドメイン、および配列番号1~11のいずれか1つを有するMcl-1結合ドメインを含む。
【0075】
いくつかの実施形態では、細胞取り込み部分は、ポリ-Arg配列などの、アルギニンに富むアミノ酸配列である。いくつかの実施形態では、アルギニンに富むアミノ酸配列は、3~9個のArg残基、3~10個のArg残基、3~11個のArg残基、3~12個のArg残基、4~9個のArg残基、4~10個のArg残基、4~11個のArg残基、4~12個のArg残基、5~9個のArg残基、5~10個のArg残基、5~11個のArg残基、5~12個のArg残基、6~9個のArg残基、6~10個のArg残基、6~11個のArg残基、6~12個のArg残基、7~9個のArg残基、7~10個のArg残基、7~11個のArg残基、7~12個のArg残基、8~9個のArg残基、8~10個のArg残基、8~11個のArg残基、8~12個のArg残基、9~10個のArg残基、9~11個のArg残基、または9~12個のArg残基を含む。いくつかの実施形態では、ポリ-Arg配列は、3個のArg残基、4個のArg残基、5個のArg残基、6個のArg残基、7個のArg残基、8個のArg残基、9個のArg残基、10個のArg残基、11個のArg残基、または12個のArg残基を含む。いくつかの実施形態では、ポリ-Arg配列は、3~9個の連続Arg残基、3~10個の連続Arg残基、3~11個の連続Arg残基、3~12個の連続Arg残基、4~9個の連続Arg残基、4~10個の連続Arg残基、4~11個の連続Arg残基、4~12個の連続Arg残基、5~9個の連続Arg残基、5~10個の連続Arg残基、5~11個の連続Arg残基、5~12個の連続Arg残基、6~9個の連続Arg残基、6~10個の連続Arg残基、6~11個の連続Arg残基、6~12個の連続Arg残基、7~9個の連続Arg残基、7~10個の連続Arg残基、7~11個の連続Arg残基、7~12個の連続Arg残基、8~9個の連続Arg残基、8~10個の連続Arg残基、8~11個の連続Arg残基、8~12個の連続Arg残基、9~10個の連続Arg残基、9~11個の連続Arg残基、または9~12個の連続Arg残基を含む。
【0076】
いくつかの実施形態では、本開示のプロファイリングペプチドは、アルギニンに富むアミノ酸配列、および配列番号1~11のいずれか1つの配列に0~8個の改変を有する配列を有するMcl-1結合ドメインを含む。いくつかの実施形態では、本開示のプロファイリングペプチドは、アルギニンに富むアミノ酸配列、および配列番号1~11のいずれか1つの配列に1~8個の改変を有する配列を有するMcl-1結合ドメインを含む。いくつかの実施形態では、本開示のプロファイリングペプチドは、アルギニンに富むアミノ酸配列、および配列番号1の配列に0~8個の改変を有する配列を有するMcl-1結合ドメインを含む。いくつかの実施形態では、本開示のプロファイリングペプチドは、アルギニンに富むアミノ酸配列、および配列番号1~11のいずれか1つを有するMcl-1結合ドメインを含む。いくつかの実施形態では、本開示のプロファイリングペプチドは、3~10個の連続Arg残基を有するポリ-Arg配列、および配列番号1~11のいずれか1つの配列に0~8個の改変を有する配列を有するMcl-1結合ドメインを含む。いくつかの実施形態では、本開示のプロファイリングペプチドは、3~10個の連続Arg残基を有するポリ-Arg配列、および配列番号1~11のいずれか1つの配列に1~8個の改変を有する配列を有するMcl-1結合ドメインを含む。いくつかの実施形態では、本開示のプロファイリングペプチドは、3~10個のArg残基を有するポリ-Arg配列、および配列番号1の配列に0~8個の改変を有する配列を有するMcl-1結合ドメインを含む。いくつかの実施形態では、本開示のプロファイリングペプチドは、3~10個の連続Arg残基を有するポリ-Arg配列、および配列番号1~11のいずれか1つを有するMcl-1結合ドメインを含む。
【0077】
いくつかの実施形態では、改変された細胞取り込み部分ペプチドは、あるペプチドと結合したときに細胞膜を横切る未改変配列の能力を保持する(すなわち、細胞取り込み部分ペプチドに対する改変は、統計学的に有意、臨床的に有意、または生物学的に有意な様式において、あるペプチドと結合したときに細胞膜を横切る能力を変化させない)。いくつかの実施形態では、改変された細胞取り込み部分ペプチドが、あるペプチドと結合したときに細胞膜を横切る未改変配列の能力を保持するというのは、改変された細胞取り込み部分ペプチドの内在化効率が、未改変配列の内在化効率の少なくとも70%、80%、85%、90%、95%、97%、または99%である場合である。
【0078】
あるいは、細胞取り込み部分は化学化合物であってもよい。細胞内在化を促進する化学化合物は当業者によって理解され、その例には、コレステロール部分、オクタン酸、リトコール酸、オレイルアルコール、リトコール酸オレイルアミド、およびデカン酸が含まれる。
【0079】
Mcl-1結合ドメインおよび細胞取り込み部分は、当該技術分野において公知の任意の適切な様式において化学カップリングによって連結され得る。細胞取り込み部分はMcl-1結合ドメインに、任意の適切な位置で、例えばMcl-1結合ドメインのN末端またはC末端において、直接に、またはリンカーを介して、連結され得る。いくつかの実施形態では、細胞取り込み部分はMcl-1結合ドメインに、リンカーを介して連結される。いくつかの実施形態では、細胞取り込み部分は、Mcl-1結合ドメインのN末端に連結される。さらなる実施形態では、細胞取り込み部分は、リンカーを介してMcl-1結合ドメインのN末端に連結される。他のいくつかの実施形態では、細胞取り込み部分は、Mcl-1結合ドメインのC末端に連結される。さらなるいくつかの実施形態では、細胞取り込み部分は、リンカーを介してMcl-1結合ドメインのC末端に連結される。
【0080】
適切なリンカーは、当業者によって理解されるように、任意の長さのペプチド配列、および他の化学リンカーを包含する。いくつかの実施形態では、短いペプチド配列、例えば、非荷電アミノ酸、非極性アミノ酸および/または小アミノ酸を含むペプチド配列が使用される。いくつかの実施形態では、リンカーは1~5アミノ酸のアミノ酸配列である。例えば、いくつかの例示的なリンカーには、Gly、Pro、Ala、Val、Leu、Met、Ile、および/またはPheアミノ酸が含まれる。適切なペプチド配列の他の例には、2つのPro残基、3つのGly残基などが含まれる。いくつかの実施形態では、細胞取り込み部分は、細胞取り込み部分が細胞内への侵入時または侵入後に切り離されるように、Mcl-1結合ドメインに連結される。いくつかの実施形態では、リンカーは3つのGly残基、例えばGGGを含む。
【0081】
本開示のプロファイリングペプチドの実施形態は、20~40アミノ酸の長さ、20~45アミノ酸の長さ、20~50アミノ酸の長さ、25~40アミノ酸の長さ、25~45アミノ酸の長さ、25~50アミノ酸の長さ、30~36アミノ酸の長さ、30~37アミノ酸の長さ、30~38アミノ酸の長さ、30~39アミノ酸の長さ、30~40アミノ酸の長さ、30~45アミノ酸の長さ、30~50アミノ酸の長さ、31~36アミノ酸の長さ、31~37アミノ酸の長さ、31~38アミノ酸の長さ、31~39アミノ酸の長さ、31~40アミノ酸の長さ、32~36アミノ酸の長さ、32~37アミノ酸の長さ、32~38アミノ酸の長さ、32~39アミノ酸の長さ、32~40アミノ酸の長さ、33~36アミノ酸の長さ、33~37アミノ酸の長さ、33~38アミノ酸の長さ、33~39アミノ酸の長さ、33~40アミノ酸の長さ、34~36アミノ酸の長さ、34~37アミノ酸の長さ、34~38アミノ酸の長さ、34~39アミノ酸の長さ、34~40アミノ酸の長さ、35~36アミノ酸の長さ、35~37アミノ酸の長さ、35~38アミノ酸の長さ、35~39アミノ酸の長さ、35~40アミノ酸の長さ、35~45アミノ酸の長さ、35~50アミノ酸の長さ、36~37アミノ酸の長さ、36~38アミノ酸の長さ、36~39アミノ酸の長さ、36~40アミノ酸の長さ、37~38アミノ酸の長さ、37~39アミノ酸の長さ、37~40アミノ酸の長さ、38~39アミノ酸の長さ、38~40アミノ酸の長さ、または39~40アミノ酸の長さであってよい。
【0082】
いくつかの実施形態では、プロファイリングペプチドは、細胞取り込み部分、および配列番号1~11のいずれか1つの配列に0~8個の改変を有する配列を有するMcl-1結合ドメインを含む。いくつかの実施形態では、プロファイリングペプチドは、細胞取り込み部分、および配列番号1~11のいずれか1つの配列に1~8個の改変を有する配列を有するMcl-1結合ドメインを含む。いくつかの実施形態では、プロファイリングペプチドは、細胞取り込み部分、および配列番号1の配列に0~8個の改変を有する配列を有するMcl-1結合ドメインを含む。いくつかの実施形態では、プロファイリングペプチドは、細胞取り込み部分、および配列番号1~11のいずれか1つを有するMcl-1結合ドメインを含む。いくつかの実施形態では、プロファイリングペプチドは、細胞取り込み部分、および配列番号1を有するMcl-1結合ドメインを含む。
【0083】
いくつかの実施形態では、プロファイリングペプチドは、配列番号12を有する細胞取り込み部分が、配列番号1~11のいずれか1つの配列に0~8個の改変を有する配列を有するMcl-1結合ドメインに、リンカーによって連結されたものを含む。いくつかの実施形態では、プロファイリングペプチドは、配列番号12を有する細胞取り込み部分が、配列番号1~11のいずれか1つの配列に1~8個の改変を有する配列を有するMcl-1結合ドメインに、リンカーによって連結されたものを含む。いくつかの実施形態では、プロファイリングペプチドは、配列番号12を有する細胞取り込み部分が、配列番号1の配列に0~8個の改変を有する配列を有するMcl-1結合ドメインに、リンカーによって連結されたものを含む。いくつかの実施形態では、プロファイリングペプチドは、配列番号12を有する細胞取り込み部分が、配列番号1~11のいずれか1つを有するMcl-1結合ドメインに、リンカーによって連結されたものを含む。
【0084】
特定の実施形態では、プロファイリングペプチドは、YGRKKRRQRRRGGGRPEIWMTQGLRRLGDEINAYYARの配列(配列番号14)を有する。他の実施形態では、プロファイリングペプチドは、RPEIWMTQGLRRLGDEINAYYARGGGYGRKKRRQRRRの配列(配列番号15)を有する。
【0085】
改変されたプロファイリングペプチドは、標準的な化学的方法によって合成され、精製されてよい。ペプチドは、手作業の技術または自動化された方法によって、化学的に合成されてよい。ペプチドの自動合成のための設備は、Perkin-Elmer, Inc. (Waltham, MA)などの供給業者から市販されており、製造業者の指示書に従って操作することができる。さらに、合成プロファイリングペプチドは、多くのカスタムペプチド合成製造業者から入手することもできる。必要な場合、合成ペプチドを、分取逆相クロマトグラフィー、分配クロマトグラフィー、ゲル濾過、ゲル電気泳動、イオン交換クロマトグラフィー、または当該技術分野において使用される他の方法を使用して精製し得る。
【0086】
あるいは、改変されたプロファイリングペプチドは、遺伝子操作および組換え分子生物学的方法および技術によって容易に製造することができる。例えば、改変されたプロファイリングペプチドをコードするポリヌクレオチドまたはその断片を、組換え方法によって構築、または化学的に合成することができる(自動合成器のような装置を使用して)。化学合成または組換え合成後にポリヌクレオチドを精製するための方法は、当業者に公知である。プロファイリングペプチドを宿主細胞において産生するために、構築または合成されたポリヌクレオチドを、宿主細胞に導入する発現ベクター(例えば、プラスミド、ウイルス粒子、またはファージ)内に組み込むことができる。本明細書に記載されるプロファイリングペプチドをコードするポリヌクレオチドは、様々な異なる宿主細胞において組換えにより発現され得る。次いで、宿主細胞を発現ベクターによって遺伝子的に操作(形質導入、形質変換、またはトランスフェクト)し得る。特定の宿主細胞についての、温度、pHなどの培養条件の選択および維持は、当業者であれば容易に分かるであろう。次いで産生されたペプチドを、当該技術分野において公知の方法を使用して採取し、精製し得る。
【0087】
組成物
本明細書に記載されるプロファイリングペプチドおよび担体を含む組成物もまた、本明細書に開示される。適切な担体には、プロファイリングペプチドの安定性および完全性を維持するものが含まれる。担体は、希釈剤、賦形剤、防腐剤、または溶媒であってもよい。
【0088】
いくつかの実施形態では、1個より多いプロファイリングペプチドが組成物に含まれてもよい。このような実施形態では、少なくとも2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、または10個のプロファイリングペプチドが含まれる。
【0089】
さらなる実施形態では、本明細書に開示される組成物は検出試薬をさらに含む。検出試薬は、蛍光色素、非蛍光色素(例えば、蛍光色素に変換され得る非蛍光色素)、抗体などの、任意の適切な試薬であってよい。蛍光色素には、例えば、5,5’,6,6’-テトラクロロ-1,1’,3,3’-テトラエチル-イミダカルボシアニンヨージド(JC-1)、ヨウ化プロピジウム(PI)、1,1’,3,3,3’,3’-ヘキサメチルインドジカルボ-シアニンヨージド(DilC1)、および3,3’-ジヘキシルオキサカルボシアニンヨージド(DiOC6)が含まれる。様々な実施形態で、蛍光色素は電位差色素である。「電位差色素」とは、電圧変化に応答して、性質を変える、例えば、蛍光を発する色素である。適切な電位差色素には、例えば、DilC1、JC-1、およびローダミン123が含まれる。いくつかの実施形態では、含まれる電位差色素はJC-1またはローダミン123である。他のいくつかの実施形態では、色素は、酸化により蛍光色素ローダミン123に変換され得る非蛍光色素である、ジヒドロローダミン123である。
【0090】
特定の実施形態では、本明細書に記載される組成物は、ジギトニンなどの細胞透過化剤を含まない。「細胞透過化剤」とは、細胞小器官を含む細胞内領域へのアクセスを提供するように外側細胞膜を分解する任意の試薬である。2種類の試薬が一般に細胞透過化剤として使用される:(1)メタノールおよびアセトンなどの有機溶媒、ならびに(2)サポニン、Triton X-100、およびTween-20などの界面活性剤。一般に、有機溶媒は、外側細胞膜の脂質を溶解して膜に穴を開けることによって、外側細胞膜を透過化する。界面活性剤は一般に、膜コレステロールと相互作用し、それを選択的に除去することなどによって、外側細胞膜に孔を生じさせる。
【0091】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載される組成物は、全細胞をさらに含む。いくつかの実施形態では、全細胞は癌細胞である。特定の実施形態では、癌細胞はヒト腫瘍由来の細胞株に由来する。特定の実施形態では、癌細胞は癌幹細胞である。いくつかの実施形態では、癌細胞は腫瘍から単離されたものである。特定の実施形態では、癌細胞は非固形腫瘍の生検に由来する。いくつかの実施形態では、癌細胞は対象由来の末梢血から得られる。他のいくつかの実施形態では、癌細胞は対象の骨髄から得られる。
【0092】
特定の実施形態では、癌細胞は、多発性骨髄腫、AML、急性リンパ球性白血病、慢性リンパ性白血病、マントル細胞リンパ腫、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫、および非ホジキンリンパ腫を有する対象の生検に由来する。いくつかの実施形態では、癌細胞は、例えば、多発性骨髄腫、骨髄異形成症候群(MDS)、AML、ALL、急性リンパ球性白血病、慢性リンパ性白血病、CLL、マントル細胞リンパ腫、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫、濾胞性リンパ腫、または非ホジキンリンパ腫を包含する血液癌に由来する。特定の実施形態では、癌はAMLである。
【0093】
いくつかの実施形態では、癌細胞は固形腫瘍に由来する。いくつかの実施形態では、癌細胞は、例えば、結腸直腸、乳房、前立腺、肺、膵臓、腎臓、または卵巣原発性腫瘍の生検などの、固形腫瘍の生検に由来する。様々な実施形態では、癌細胞は、転移前の癌または転移癌から単離される。
【0094】
本開示の組成物は、Mcl-1依存パーセンテージが少なくとも15%である対象における癌の処置に使用するための治療用組成物を包含し、ここで、Mcl-1依存パーセンテージは、複数の癌細胞の第1の部分を、
細胞取り込み部分およびMcl-1結合ドメインを含むプロファイリングペプチドであって、Mcl-1結合ドメインは、配列番号1の配列に0~8個の改変を有する配列を有する、プロファイリングペプチド、または
細胞取り込み部分およびMcl-1結合ドメインを含むプロファイリングペプチドであって、Mcl-1結合ドメインは、配列番号1の配列に0~8個の改変を有する配列を有する、プロファイリングペプチド、ならびに担体を含む組成物
と接触させることを含むインビトロの方法によって得られる。本開示の組成物はまた、Mcl-1依存パーセンテージが少なくとも15%である対象に投与される、治療薬を含む癌治療用組成物を包含し、ここで、Mcl-1依存パーセンテージは、複数の癌細胞の第1の部分を、
細胞取り込み部分およびMcl-1結合ドメインを含むプロファイリングペプチドであって、Mcl-1結合ドメインは、配列番号1の配列に0~8個の改変を有する配列を有する、プロファイリングペプチド、または
細胞取り込み部分およびMcl-1結合ドメインを含むプロファイリングペプチドであって、Mcl-1結合ドメインは、配列番号1の配列に0~8個の改変を有する配列を有する、プロファイリングペプチド、ならびに担体を含む組成物
と接触させることを含むインビトロの方法によって得られる。
【0095】
キット
本開示は、本明細書に記載されるプロファイリングペプチド、および検出試薬を含むキットをさらに提供する。本開示のキットに含まれる検出試薬は、蛍光色素、蛍光色素に変換され得る非蛍光色素、抗体などの、任意の適切な試薬であってよい。蛍光色素には、例えば、5,5’,6,6’-テトラクロロ-1,1’,3,3’-テトラエチル-イミダカルボシアニンヨージド(JC-1)、ヨウ化プロピジウム(PI)、1,1’,3,3,3’,3’-ヘキサメチルインドジカルボ-シアニンヨージド(DilC1)、および3,3’-ジヘキシルオキサカルボシアニンヨージド(DiOC6)が含まれる。様々な実施形態で、蛍光色素は電位差色素である。適切な電位差色素には、例えば、DilC1、JC-1、およびローダミン123が含まれる。いくつかの実施形態では、含まれる電位差色素は、JC-1またはローダミン123である。他のいくつかの実施形態では、色素は、酸化により蛍光色素ローダミン123に変換され得る非蛍光色素である、ジヒドロローダミン123である。
【0096】
いくつかの実施形態では、1個より多いプロファイリングペプチドがキットに含まれてよい。このような実施形態では、少なくとも2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、または10個のプロファイリングペプチドが含まれる。1個より多いプロファイリングペプチドが提供される様々な実施形態では、使用順序および/またはプロファイリングペプチドの組合せを使用するための指示がキットに含まれてもよい。
【0097】
キットは、本明細書に開示される方法においてキットを使用するための、記載された指示書をさらに含んでもよい。様々な実施形態では、記載された指示書は、プロファイリングペプチドおよび/または検出試薬の調製;キットの使用による結果を解釈するための適した参照レベル;関連する廃棄物の適正な処分などに関する指示を含んでよい。記載された指示書は、キット内に提供される印刷物の形態であるか、またはキットを収容する容器の一部に印刷されたものであってよい。記載された指示書は、シート、パンフレット、冊子、CD-Rom、もしくはコンピューター可読デバイスの形態であるか、またはウェブサイトなどのリモート位置に指示を見出すための方法を示すものであってよい。記載された指示書は、英語および/または公用語もしくは地方言語であってよい。
【0098】
そのようなキットは、1つまたは複数の、試薬、アッセイ対照、または試料の評価に必要な他の供給品、例えば、ウェルを有するプレート、シリンジ、アンプル、バイアル、チューブ、チュービング、フェイスマスク、無針の流体移動デバイス、注射キャップ、スポンジ、滅菌粘着性ストリップ、Chloraprep、グローブなどを、さらに含んでもよい。特定の実施形態では、本明細書に記載されるキットは、ジギトニンなどの細胞透過化剤を含まない。本明細書に記載されるキットのいずれにおいても、内容物に変更を加えてよい。様々な実施形態では、プロファイリングペプチドおよび検出試薬を、場合により、1つまたは複数の試薬または供給品と共に、場合により、使用のための記載された指示書と共に、小型容器内に組み合わせる。
【0099】
いくつかの実施形態では、本開示のキットは、検出試薬、ならびに細胞取り込み部分および配列番号1~11いずれか1つの配列に0~8個の改変を有する配列を有するMcl-1結合ドメインを含むプロファイリングペプチドを含む。いくつかの実施形態では、本開示のキットは、検出試薬、ならびに細胞取り込み部分および配列番号1~11いずれか1つの配列に1~8個の改変を有する配列を有するMcl-1結合ドメインを含むプロファイリングペプチドを含む。いくつかの実施形態では、本開示のキットは、検出試薬、ならびに細胞取り込み部分および配列番号1の配列に0~8個の改変を有する配列を有するMcl-1結合ドメインを含むプロファイリングペプチドを含む。いくつかの実施形態では、本開示のキットは、検出試薬、ならびに細胞取り込み部分および配列番号1~11を有するMcl-1結合ドメインを含むプロファイリングペプチドを含む。上記の実施形態のいずれかにおいて、細胞取り込み部分は、TAT移行ドメインまたはANT移行ドメインであってよい。いくつかの実施形態では、細胞取り込み部分は、リンカーを介してMcl-1結合ドメインに結合している。いくつかの実施形態では、本開示のキットは、検出試薬および(配列番号14)の配列を有するプロファイリングペプチドを含む。いくつかの実施形態では、本開示のキットは、検出試薬および(配列番号15)の配列を有するプロファイリングペプチドを含む。上記の実施形態のいずれにおいても、キットは細胞透過化剤を含まなくてもよい。上記の実施形態のいずれにおいても、検出試薬は電位差色素であってもよい。
【0100】
使用方法
対象由来の癌細胞をプロファイリングする方法もまた、本明細書に記載される。いくつかの実施形態は、癌細胞をプロファイリングペプチドと接触させることを含む。プロファイリングペプチドは、当該技術分野において公知のもののいずれか(例えば、NOXA)、または本明細書に開示されるプロファイリングペプチドのいずれかであってよい。このような方法は、癌細胞または複数の癌細胞についての感受性プロファイルを作成する方法を包含する。いくつかの実施形態では、対象由来の癌細胞についての感受性プロファイルを作成する方法は、癌細胞または複数の癌細胞を対象から単離することを含む。特定の実施形態では、癌細胞は、ヒト腫瘍由来の細胞株に由来する。特定の実施形態では、癌細胞は癌幹細胞である。いくつかの実施形態では、癌細胞は腫瘍から単離される。特定の実施形態では、癌細胞は非固形腫瘍の生検に由来する。いくつかの実施形態では、癌細胞は対象由来の末梢血から得られる。他の実施形態では、癌細胞は対象の骨髄から得られる。
【0101】
特定の実施形態では、癌細胞は、多発性骨髄腫、AML、急性リンパ球性白血病、慢性リンパ性白血病、マントル細胞リンパ腫、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫、および非ホジキンリンパ腫を有する対象の生検に由来する。いくつかの実施形態では、癌細胞は、例えば、多発性骨髄腫、MDS、AML、ALL、急性リンパ球性白血病、慢性リンパ性白血病、CLL、マントル細胞リンパ腫、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫、濾胞性リンパ腫、または非ホジキンリンパ腫を含む血液癌に由来する。特定の実施形態では、癌はAMLである。
【0102】
いくつかの実施形態では、癌細胞は固形腫瘍に由来する。いくつかの実施形態では、癌細胞は、例えば、結腸直腸、乳房、前立腺、肺、膵臓、腎臓、または卵巣原発性腫瘍の生検などの、固形腫瘍の生検に由来する。様々な実施形態では、癌細胞は、転移前の癌、または転移癌から単離される。いくつかの実施形態では、癌細胞は循環腫瘍細胞である。
【0103】
特定の実施形態では、癌細胞は、固形マトリクスまたはビーズに結合した抗CD138抗体を用いる生検試料からの選択により豊富化された多発性骨髄腫細胞である。特定の実施形態では、癌細胞は、CD45に対する抗体との結合によって豊富化されたAML細胞である。特定の実施形態では、癌細胞は、慢性リンパ性白血病またはびまん性大細胞型B細胞リンパ腫(非B細胞枯渇によって豊富化される)に由来する。
【0104】
様々な実施形態では、複数の癌細胞は、凍結されている試料に由来する。他の実施形態では、複数の癌細胞は、凍結されていない、すなわち新たに採取された試料に由来する。
【0105】
癌細胞または複数の癌細胞をプロファイリングする方法は、複数の癌細胞を1つまたは複数の標識と接触させることを含んでもよい。フローサイトメトリーを使用するいくつかの実施形態では、標識は、抗体に、または細胞膜特性もしくは他の細胞構造に対する親和性を有する化学物質に結合しているフルオロフォアである。フローサイトメトリーを使用する他の実施形態では、標識は、抗体に、または細胞膜特性もしくは他の細胞構造に対する親和性を有する化学物質に結合している量子ドットである。これら実施形態のいずれかにおいて、抗体または化学物質は、CD3、CD13、CD20、CD33、CD34、またはCD45などの任意の適切な細胞表面マーカーを認識し得る。様々な実施形態では、標識の組合せが使用される。
【0106】
対象由来の癌細胞をプロファイリングする方法は、癌細胞を本明細書に開示される1つまたは複数のプロファイリングペプチドと接触させること、および癌細胞のミトコンドリアの完全性の変化を検出することを含んでもよい。様々な実施形態では、少なくとも2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、または9個のプロファイリングペプチドを一度に使用してもよい。このような実施形態では、プロファイリングペプチドのパネルを、単一の対象標本に対してスクリーニングしてもよい。
【0107】
ミトコンドリアの完全性の変化は、例えば、ミトコンドリアの膜電位の変化、クロマチン凝縮、生存性の低下、ミトコンドリアの膜間腔からサイトゾルへのシトクロムC移行、ミトコンドリアの膨脹、ミトコンドリアの分裂、形態学的変化(例えば、細胞収縮、膜ブレブ形成など)、ホスファチジルセリン外面化(例えば、アネキシンV染色によって測定される)、または活性酸素中間体の増加などの、任意の適切な様式において検出することができる。当業者によって理解されるように、ミトコンドリアの完全性の変化の指標の各々について、様々な検出方法を用いることができる。例えば、ミトコンドリアの膜電位の変化は、例えば、DilC1、JC-1、またはローダミン123などの電位差色素を使用して測定することができる。一実施形態では、電位差色素は、JC-1またはローダミン123である。別の例では、シトクロムC移行を免疫蛍光染色を使用して測定することができる。さらなる例では、活性酸素中間体の増加を、カルボキシ-ジクロロフルオレセインジアセテートによる染色後にフローサイトメトリー分析によって測定することができる。
【0108】
いくつかの実施形態では、ミトコンドリアの完全性の変化は、ミトコンドリアの完全性の低下であり得る。いくつかの実施形態では、ミトコンドリアの完全性の低下は、ミトコンドリアの膜電位の低下によって測定される。ミトコンドリアの電位の低下は、電位差色素(例えば、JC-1またはローダミン123)を使用することなどの、当該技術分野において公知の任意の適切な方法を使用して決定することができる。いくつかの実施形態では、ミトコンドリアの完全性の低下は、シトクロムC漏出によって測定される。いくつかの実施形態では、低下は、統計学的に有意、臨床的に有意、または生物学的に有意な低下である。いくつかの実施形態では、低下は、本明細書に記載されるようなミトコンドリアの完全性の測定における、対照と比較した場合の2%、5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、60%、70%、80%、または90%の差異である。
【0109】
様々な実施形態では、複数の癌細胞は、プロファイリングの目的のために3つの部分に分けられる。このような実施形態では、1つの部分は陰性対照で処理してよく、1つの部分は陽性対照と接触させてよく、1つの部分は、本明細書に開示される1つもしくは複数のプロファイリングペプチドまたは1つもしくは複数のプロファイリングペプチドを含む組成物と接触させてよい。
【0110】
任意の適切な陽性対照を使用し得る。陽性対照の例には、カルボニルシアニド-4-(トリフルオロメトキシ)フェニルヒドラゾン(FCCP)、カルボニルシアニドm-クロロフェニルヒドラゾン(CCCP)、N5,N6-ビス(2-フルオロフェニル)-[1,2,5]オキサジアゾロ[3,4-b]ピラジン-5,6-ジアミン(BAM-15)などが含まれる。特定の実施形態では、使用される陽性対照はCCCPである。任意の適切な陰性対照を使用し得る。陰性対照の例には、水、ならびにDMSO、エタノール、およびメタノールなどの水溶性有機溶媒が含まれる。
【0111】
いくつかの実施形態では、複数の癌細胞を、次いで、上記のように蛍光色素と接触させる。特定の実施形態では、色素はJC-1またはDiOC6である。このような実施形態では、複数の癌細胞を、次いで、フローサイトメトリーによって解析することができる。フローサイトメトリー解析において、任意の適切なゲーティングを利用してよい。いくつかの実施形態では、このようなゲーティングは、CD45dim、CD13、CD33、およびCD34high集団である。他のいくつかの実施形態では、そのようなゲーティングは、CD34dim、CD3およびCD20high集団である。したがって、本開示の実施形態は、対象由来の複数の癌細胞について感受性プロファイルを作成する方法であって、
複数の癌細胞を試料から単離すること、
複数の癌細胞を標識と接触させること、
複数の癌細胞の第1の部分を、陰性対照を用いて処理すること、
複数の癌細胞の第2の部分を、陽性対照を用いて処理すること、
複数の癌細胞の第3の部分を、細胞取り込み部分およびMcl-1結合ドメインを含むプロファイリングペプチドであって、Mcl-1結合ドメインが配列番号1の配列に0~8個の改変を有する配列を有する、プロファイリングペプチド、または細胞取り込み部分およびMcl-1結合ドメインを含むプロファイリングペプチドであって、Mcl-1結合ドメインが配列番号1の配列に0~8個の改変を有する配列を有する、プロファイリングペプチドならびに担体を含む組成物を用いて処理すること、
複数の癌細胞の第1の部分、第2の部分、および第3の部分を色素と接触させること、ならびに
複数の癌細胞の第1の部分、第2の部分、および第3の部分をフローサイトメトリーによって解析すること
を含む、方法を包含する。
【0112】
いくつかの実施形態では、カルシウムチャネルに対して高い親和性を有する添加剤が、複数の癌細胞に加えられる。いくつかのこのような実施形態では、添加剤はジテルペノイドである。特定の実施形態では、添加剤はリアノジンである。いくつかの実施形態では、添加剤は、非特異的な色素の取り込みを顕著に低減させるか、または阻止するのに十分である濃度で加えられる。いくつかの実施形態では、添加剤は少なくとも20nMの濃度で加えられる。いくつかの実施形態では、添加剤は少なくとも30nMの濃度で加えられる。
【0113】
本開示の方法は、複数の癌細胞を対象試料から単離すること;次いで細胞を標識すること;陰性対照、陽性対照、または本開示のプロファイリングペプチドを用いて処理すること;色素と接触させること;およびフローサイトメトリーにより解析することを含む。
【0114】
本開示の方法の一例では、複数の癌細胞を対象試料から単離し、試料品質を確認する。次いで細胞をペレット化し、BSA中でブロッキングし、標識する。染色後、細胞をペレット化し、3部分に分け、水もしくはジメチルスルホキシド(DMSO)(陰性対照)、CCCP(陽性対照)または本開示のプロファイリングペプチド(本発明)のいずれかを用いて処理する。カチオン性ミトコンドリア色素であるDiOC6を加える。その後、細胞はフローサイトメトリーにより解析する。
【0115】
いくつかの実施形態では、複数の癌細胞を、一次骨髄吸引物から単離し、試料品質を決定する。次いで細胞をペレット化し、BSA中でブロッキングし、BおよびT細胞に特異的なマーカー、ならびに単球分化マーカーおよび芽球特異的マーカーについて標識する。染色後、細胞をペレット化し、3部分に分け、水(陰性対照)、CCCP(陽性対照)または配列番号14(本発明)のいずれかを用いて処理する。カチオン性ミトコンドリア色素であるDiOC6を加える。細胞をフローサイトメトリーにより解析する。芽細胞を、各試料のCD45dim、CD13、CD33およびCD34high集団に対するゲーティングによって単離する。
【0116】
特定の実施形態では、複数の癌細胞を、一次骨髄吸引物から密度勾配遠心分離によって単離する。試料品質を、トリパンブルー排除を利用して決定する。次いで細胞をペレット化し、BSA中でブロッキングし、BおよびT細胞に特異的なマーカー、ならびに単球分化マーカーおよび芽球特異的マーカーについて標識する。染色後、細胞をペレット化し、蛍光活性化細胞ソーティング(FACS)チューブに分け入れ、水(陰性対照)、CCCP(陽性対照)または配列番号14(本発明)のいずれかを用いて処理する。カチオン性ミトコンドリア色素であるDiOC6を加える。次いで細胞をフローサイトメトリーにより解析する。芽細胞を、各試料のCD45dim、CD13、CD33およびCD34high集団に対するゲーティングによって単離する。
【0117】
本明細書に記載されるいくつかの方法は、ミトコンドリアの完全性の変化に少なくとも基づいて、複数の癌細胞の第1の部分についてのMcl-1依存パーセンテージを決定することをさらに含む。
【0118】
いくつかの実施形態では、Mcl-1依存パーセンテージ(Mcl-1プライミングパーセンテージ(PP)とも称される)は、以下の式によって定義される:
【数1】
【0119】
式中、PCは陽性対照のAUCであり、NCは陰性対照のAUCであり、PepはプロファイリングペプチドのAUCである。別途示されない限り、本明細書において算出されるMcl-1依存パーセンテージは、陽性対照としてCCCP、および陰性対照として水またはDMSOを用いた場合の、1μMのプロファイリングペプチド濃度に対応する。AUCは曲線下面積またはシグナル強度のいずれかである。いくつかの実施形態では、AUCは平均蛍光強度(MFI)である。いくつかの実施形態では、曲線下面積は均一な時間分解蛍光(HTRF)によって確立される。いくつかの実施形態では、時間は、約0~約300分間ないし約0~約30分間のウインドウにわたって発生する。いくつかの実施形態では、曲線下面積は、当該技術分野において公知であるかまたは本明細書に記載される、蛍光活性化細胞ソーティング(FACS)またはマイクロプレートアッセイによって確立される。いくつかの実施形態では、シグナル強度は約5分から約300分の間に発生する単一時点の測定値である。
【0120】
1つより多いプロファイリングペプチドが使用される実施形態では、Mcl-1依存パーセンテージ(PP)は、以下の式によって定義される:
【数2】
【0121】
いくつかの実施形態では、ミトコンドリアの完全性の低下は、癌細胞が治療薬に対して感受性であることを示す。本明細書に使用される場合、「治療薬」とは、抗癌治療レジメンの一部として投与される任意の抗癌化合物を指す。いくつかの実施形態では、治療薬はサイクリン依存性キナーゼ9(CDK9)阻害剤である。いくつかの実施形態では、治療薬はアルボシジブである。
【0122】
いくつかの実施形態では、対象由来の癌細胞をプロファイリングする方法は、治療薬に対する対象由来の癌細胞の感受性を予測する方法を包含する。したがって、本開示の方法は、治療薬に対する対象由来の癌細胞の感受性を予測する方法であって、
癌細胞を、細胞取り込み部分、および配列番号1の配列に0~8個の改変を有する配列を有するMcl-1結合ドメインを含むプロファイリングペプチドと接触させること、ならびに
癌細胞のミトコンドリアの完全性の変化を検出すること
を含み、ここで、ミトコンドリアの完全性の低下は、癌細胞が治療薬に対して感受性であることを示す、方法を包含する。さらなる実施形態では、治療薬に対する対象由来の癌細胞の感受性を予測する方法は、
癌細胞を、細胞取り込み部分、および配列番号1の配列に0~8個の改変を有する配列を有するMcl-1結合ドメインを含むプロファイリングペプチドと接触させること、
癌細胞のミトコンドリアの完全性の変化を検出すること、ならびに
ミトコンドリアの完全性の変化に少なくとも基づいて癌細胞についてのMcl-1依存パーセンテージを決定すること
を含み、ここで、所定の値を超えるMcl-1依存パーセンテージは、癌細胞が治療薬に対して感受性であることを示す。上記の実施形態のいずれかでは、Mcl-1結合ドメインは、配列番号1~11のいずれか1つの配列に0~8個の改変を有する配列を有する。上記の実施形態のいずれかでは、Mcl-1結合ドメインは、配列番号1~11のいずれか1つの配列に1~8個の改変を有する配列を有する。上記の実施形態のいずれかでは、Mcl-1結合ドメインは、配列番号1~11いずれか1つを有する。上記の実施形態のいずれかでは、細胞取り込部位は、TAT移行ドメインまたはANT移行ドメインであってよい。上記の実施形態のいずれかでは、細胞取り込み部分はリンカーを介してMcl-1結合ドメインに結合している。上記の実施形態のいずれかでは、プロファイリングペプチドは(配列番号14)の配列を有する。上記の実施形態のいずれかでは、プロファイリングペプチドは(配列番号15)の配列を有する。上記の実施形態のいずれかでは、癌細胞は透過性化されなくてもよい。
【0123】
さらなる実施形態は、治療薬に対する対象由来の癌細胞の感受性を予測する方法であって、
癌細胞を、配列番号1の配列に0~8個の改変を有する配列を有するMcl-1結合ドメインを含むプロファイリングペプチドと接触させること、ここで、癌細胞は透過性化されていない、および
癌細胞のミトコンドリアの完全性の変化を検出すること
を含み、ミトコンドリアの完全性の低下は、癌細胞が治療薬に対して感受性であることを示す、方法を提供する。さらに別の実施形態は、治療薬に対する対象由来の癌細胞の感受性を予測する方法であって、
癌細胞を、配列番号1の配列に0~8個の改変を有する配列を有するMcl-1結合ドメインを含むプロファイリングペプチドと接触させること、ここで、癌細胞は透過性化されてない、
癌細胞のミトコンドリアの完全性の変化を検出すること、および
ミトコンドリアの完全性の変化に少なくとも基づいて癌細胞についてのMcl-1依存パーセンテージを決定すること
を含み、ここで、所定の値を超えるMcl-1依存パーセンテージは、癌細胞が治療薬に対して感受性であることを示す、方法を提供する。上記の実施形態のいずれかでは、Mcl-1結合ドメインは、配列番号1~11のいずれか1つの配列に0~8個の改変を有する配列を有する。上記の実施形態のいずれかでは、Mcl-1結合ドメインは、配列番号1~11のいずれか1つの配列に1~8個の改変を有する配列を有する。上記の実施形態のいずれかでは、Mcl-1結合ドメインは、配列番号1~11を有する。
【0124】
さらなる実施形態では、配列番号1の配列に0~8個の改変を有する配列を有するMcl-1結合ドメインを含むプロファイリングペプチドの使用を提供する。したがって、本開示の実施形態は、治療薬に対する患者の反応を予測する方法における、配列番号1の配列に0~8個の改変を有する配列を有するMcl-1結合ドメインを含むプロファイリングペプチドの使用を包含し、ここで、該方法は、
癌細胞を、細胞取り込み部分、および配列番号1の配列に0~8個の改変を有する配列を有するMcl-1結合ドメインを含むプロファイリングペプチドと接触させること
を含む。いくつかの実施形態では、前記方法は、癌細胞のミトコンドリアの完全性の変化を検出することをさらに含み、ここで、ミトコンドリアの完全性の低下は、癌細胞が治療薬に対して感受性であることを示す。上記の実施形態のいずれかでは、Mcl-1結合ドメインは、配列番号1~11のいずれか1つの配列に0~8個の改変を有する配列を有する。上記の実施形態のいずれかでは、Mcl-1結合ドメインは、配列番号1~11のいずれか1つに1~8個の改変を有する配列を有する。上記の実施形態のいずれかでは、Mcl-1結合ドメインは、配列番号1~11のいずれか1つを有する。上記の実施形態のいずれかでは、細胞取り込み部分は、TAT移行ドメインまたはANT移行ドメインであってよい。上記の実施形態のいずれかでは、細胞取り込み部分は、リンカーを介してMcl-1結合ドメインに結合している。上記の実施形態のいずれかでは、プロファイリングペプチドは(配列番号14)の配列を有する。上記の実施形態のいずれかでは、プロファイリングペプチドは(配列番号15)の配列を有する。上記の実施形態のいずれかでは、癌細胞は透過性化されなくてもよい。
【0125】
いくつかの実施形態では、5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、または75%の所定の値を超えるMcl-1依存パーセンテージは、癌細胞が、治療薬、例えば単剤としてのアルボシジブ、またはAra-C、ミトキサントロン、ベネトクラックス、ダウノルビシン、Brd4阻害剤(例えば、JQ1)、および/またはDNAメチルトランスフェラーゼ阻害剤(例えば、アザシチジンまたはデシタビン)などの他の治療薬との組合せとしてのアルボシジブに対して感受性であることを示す。いくつかの実施形態では、15%を超えるMcl-1依存パーセンテージは、癌細胞が、治療薬、例えば単剤としてのアルボシジブ、または他の治療薬との組合せとしてのアルボシジブに対して感受性であることを示す。いくつかの実施形態では、20%を超えるMcl-1依存パーセンテージは、癌細胞が、単剤として、または他の治療薬との組合せとしての治療薬に対して感受性であることを示す。いくつかの実施形態では、25%を超えるMcl-1依存パーセンテージは、癌細胞が、単剤として、または他の治療薬との組合せとしての治療薬に対して感受性であることを示す。いくつかの実施形態では、30%を超えるMcl-1依存パーセンテージは、癌細胞が、単剤として、または他の治療薬との組合せとしての治療薬に対して感受性であることを示す。いくつかの実施形態では、35%を超えるMcl-1依存パーセンテージは、癌細胞が、単剤として、または他の治療薬との組合せとしての治療薬に対して感受性であることを示す。いくつかの実施形態では、40%を超えるMcl-1依存パーセンテージは、癌細胞が、単剤として、または他の治療薬との組合せとしての治療薬に対して感受性であることを示す。いくつかの実施形態では、45%を超えるMcl-1依存パーセンテージは、癌細胞が、単剤として、または他の治療薬との組合せとしての治療薬に対して感受性であることを示す。いくつかの実施形態では、50%を超えるMcl-1依存パーセンテージは、癌細胞が、単剤として、または他の治療薬との組合せとしての治療薬に対して感受性であることを示す。上記の実施形態のいずれかでは、治療薬はアルボシジブである。
【0126】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載される癌をプロファイリングする方法は、対象の評価において、例えば、診断、予後、および処置に対する反応を評価するために有用である。診断とは、例えば、癌などの起こり得る疾患または障害を決定または識別することを試みるプロセスを指す。予後とは、疾患または障害のアウトカムを予測することを指す。完全な予後は、多くの場合、進行する衰弱、断続的な危機状態、または予測できない突然の危機状態などの、疾患経過の予測される期間、作用および詳細を含む。処置に対する反応とは、処置を受けたときの対象の医学的アウトカムの予測である。処置に対する反応は、例えば、病理学的な完全奏効、生存、および無進行での生存であり得る。
【0127】
いくつかの実施形態では、対象由来の癌細胞をプロファイリングする方法は、対象由来の癌細胞についての感受性プロファイルを作成する方法を含む。したがって、本開示の方法は、対象由来の癌細胞についての感受性プロファイルを生成する方法であって、
癌細胞を、細胞取り込み部分、および配列番号1の配列に0~8個の改変を有する配列を有するMcl-1結合ドメインを含むプロファイリングペプチドと接触させること、ならびに
癌細胞のミトコンドリアの完全性の変化を検出すること
を含む方法をさらに包含する。本開示のさらなる方法は、対象由来の癌細胞についての感受性プロファイルを生成する方法であって、
癌細胞を、細胞取り込み部分、および配列番号1の配列に0~8個の改変を有する配列を有するMcl-1結合ドメインを含むプロファイリングペプチドと接触させること、
癌細胞のミトコンドリアの完全性の変化を検出すること、ならびに
ミトコンドリアの完全性の変化に少なくとも基づいて癌細胞についてのMcl-1依存パーセンテージを決定すること
を含む方法を包含する。上記の実施形態のいずれかでは、Mcl-1結合ドメインは、配列番号1~11のいずれか1つの配列に0~8個の改変を有する配列を有する。上記の実施形態のいずれかでは、Mcl-1結合ドメインは、配列番号1~11のいずれか1つの配列に1~8個の改変を有する配列を有する。上記の実施形態のいずれかでは、Mcl-1結合ドメインは、配列番号1~11のいずれか1つを有する。上記の実施形態のいずれかでは、細胞取り込み部分は、TAT移行ドメインまたはANT移行ドメインであってよい。上記の実施形態のいずれかでは、細胞取り込み部分は、リンカーを介してMcl-1結合ドメインに結合している。上記の実施形態のいずれかでは、プロファイリングペプチドは(配列番号14)の配列を有する。上記の実施形態のいずれかでは、プロファイリングペプチドは(配列番号15)の配列を有する。上記の実施形態のいずれかでは、癌細胞は透過性化されなくてもよい。
【0128】
本開示のさらなる方法は、対象由来の癌細胞についての感受性プロファイルを生成する方法であって、
癌細胞を、配列番号1の配列に0~8個の改変を有する配列を有するMcl-1結合ドメインを含むプロファイリングペプチドと接触させること、ここで、癌細胞は透過性化されていない、および
癌細胞のミトコンドリアの完全性の変化を検出すること
を含む方法を包含する。さらなる実施形態では、本開示の方法は、対象由来の癌細胞についての感受性プロファイルを生成する方法であって、
癌細胞を、配列番号1の配列に0~8個の改変を有する配列を有するMcl-1結合ドメインを含むプロファイリングペプチドと接触させること、ここで、癌細胞は透過性化されていない、
癌細胞のミトコンドリアの完全性の変化を検出すること、および
ミトコンドリアの完全性の変化に少なくとも基づいて癌細胞についてのMcl-1依存パーセンテージを決定すること
を含む方法を包含する。上記の実施形態のいずれかでは、Mcl-1結合ドメインは、配列番号1~11のいずれか1つに0~8個の改変を有する配列を有する。上記の実施形態のいずれかでは、Mcl-1結合ドメインは、配列番号1~11のいずれか1つに1~8個の改変を有する配列を有する。上記の実施形態のいずれかでは、Mcl-1結合ドメインは、配列番号1~11のいずれか1つを有する。
【0129】
様々な実施形態では、本明細書に開示される対象由来の癌をプロファイリングする方法は、対象が特定の処置を受けるべきかどうかに関する臨床的決定を方向付ける。様々な実施形態では、本方法は、例えば、どの種類の処置を投与すべき、または控えるべきであるかといったことを含む癌対象の処置について、方向付けを与える。様々な実施形態では、本明細書に記載される方法に基づいて、癌処置が投与されるか、または控えられる。処置の例には、外科的切除、放射線療法、化学療法、薬力学療法、標的化療法、免疫療法、および支持療法(例えば、鎮痛薬、利尿薬、抗利尿薬、抗ウイルス薬、抗生物質、栄養補助剤、貧血治療、血液凝固治療、骨治療、ならびに精神医学的および心理学的治療)が含まれる。様々な実施形態では、処置は、米国特許出願公開第US2012-0225851号および国際特許出願公開第WO2012/122370号に記載されているものを含む。
【0130】
いくつかの実施形態では、本方法は、特定の処置に対して対象が起こす可能性のある反応についての情報を提供する。いくつかの実施形態では、本方法は、反応の高い可能性を提供し、積極的処置を包含する処置を方向付けることができる。いくつかの実施形態では、本方法は、反応の低い可能性を提供し、有効でない化学療法による不必要な毒性を回避して生活の質を高めるために、積極的処置を包含する処置を中止すること、および緩和ケアを用いることを方向付けることができる。
【0131】
いくつかの実施形態では、本方法は、プロアポトーシス薬および/またはアポトーシスを介して作用する薬および/または直接的なタンパク質モジュレーションによって駆動されるアポトーシスを介して作用する薬に対して、反応が高いまたは低い可能性を示す。様々な実施形態では、例示的なプロアポトーシス薬および/またはアポトーシスを介して作用する薬および/または直接的なタンパク質モジュレーションによって駆動されるアポトーシスを介して作用する薬には、ABT-263(ナビトクラックス)、およびオバトクラックス、WEP、ボルテゾミブ、およびカルフィルゾミブが含まれる。いくつかの実施形態では、本方法は、アポトーシスを介して作用しない薬および/または直接的なタンパク質モジュレーションによって駆動されるアポトーシスを介して作用しない薬に対して、反応が高いまたは低い可能性を示す。様々な実施形態では、アポトーシスを介して作用しない例示的な薬には、キネシンスピンドルタンパク質阻害剤、サイクリン依存性キナーゼ阻害剤(例えば、アルボシジブ)、三酸化ヒ素(トリセノックス)、MEK阻害剤、ポマリドミド、アザシチジン、デシチビン(decitibine)、ボリノスタット、エンチノスタット、ディナシクリブ、ゲムツズマブ、BTK阻害剤、PI3キナーゼデルタ阻害剤、レナリドミド、アントラサイクリン、シタラビン、メルファラン、Akt阻害剤、mTOR阻害剤が含まれる。特定の実施形態では、本方法は、本明細書に記載される処置(薬を包含する)のいずれかに対する対象の反応を予測するのに有用である。
【0132】
いくつかの実施形態では、本方法は、プロアポトーシス薬またはアポトーシスを介して作用する薬に対する陽性反応を予測する。いくつかの実施形態では、本方法は、アポトーシスを介して作用しない薬に対する陽性反応を予測する。さらなる実施形態では、本方法は、アポトーシスエフェクター薬および/またはアポトーシスを介して作用しない薬に対する反応しないことを予測する。
【0133】
特定の実施形態では、本明細書に記載される方法は、1つまたは複数の治療薬を含む処置レジメンに対する対象の反応を予測する。いくつかの実施形態では、本明細書に記載される方法は、対象における癌を処置するための治療薬の選択を方向付ける。いくつかの実施形態では、治療薬はサイクリン依存性キナーゼ9(CDK9)阻害剤である。いくつかの実施形態では、CDK9阻害剤はアルボシジブである。
【0134】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載される方法は、2つ以上の治療薬の組合せを含む治療レジメンに対する対象の反応を予測する。いくつかの実施形態では、2つ以上の治療薬はCDK9阻害剤を含む。いくつかの実施形態では、2つ以上の治療薬はアルボシジブを含む。いくつかの実施形態では、2つ以上の治療剤は、アルボシジブ、シタラビン、ミトキサントロン、ダウノルビシン、デシタビン、アザシチジン、ベネトクラックス、ボルテゾミブ、ダコゲン(dacogen)、イブルチニブ、レナリドミド、サリドマイド、またはそれらの組合せを含む。いくつかの実施形態では、2つ以上の治療薬は、アルボシジブおよびシタラビン、ミトキサントロン、ダウノルビシン、デシタビン、アザシチジン、ベネトクラックス、ボルテゾミブ、ダコゲン、イブルチニブ、レナリドミド、サリドマイド、またはそれらの組合せを含む。
【0135】
いくつかの実施形態では、対象由来の癌細胞をプロファイリングする方法は、対象における癌を処置するための治療薬を選択する方法を包含する。したがって、本開示の方法は、対象における癌を処置するための治療薬を選択する方法であって、
癌細胞を、細胞取り込部位および配列番号1の配列に0~8個の改変を有する配列を有するMcl-1結合ドメインを含むプロファイリングペプチドと接触させること、
癌細胞のミトコンドリアの完全性の変化を検出すること、ならびに
ミトコンドリアの完全性の変化がミトコンドリアの完全性の低下である場合、対象を処置するために治療薬を選択すること
を含む方法をさらに包含する。本開示のさらなる方法は、対象由来の癌細胞についての感受性プロファイルを生成する方法であって、
癌細胞を、細胞取り込部位および配列番号1の配列に0~8個の改変を有する配列を有するMcl-1結合ドメインを含むプロファイリングペプチドと接触させること、
癌細胞のミトコンドリアの完全性の変化を検出すること、
ミトコンドリアの完全性変化に少なくとも基づいて癌細胞についてのMcl-1依存パーセンテージを決定すること、ならびに
Mcl-1依存パーセンテージが所定の値を超える場合、対象を処置するために治療薬を選択すること
を含む方法を包含する。上記の実施形態のいずれかでは、Mcl-1結合ドメインは、配列番号1~11のいずれか1つの配列に0~8個の改変を有する配列を有する。上記の実施形態のいずれかでは、Mcl-1結合ドメインは、配列番号1~11のいずれか1つの配列に1~8個の改変を有する配列を有する。上記の実施形態のいずれかでは、Mcl-1結合ドメインは、配列番号1~11のいずれか1つを有する。上記の実施形態のいずれかでは、細胞取り込み部分は、TAT移行ドメインまたはANT移行ドメインであってよい。上記の実施形態のいずれかでは、細胞取り込み部分は、リンカーを介してMcl-1結合ドメインに結合している。上記の実施形態のいずれかでは、プロファイリングペプチドは(配列番号14)の配列を有する。上記の実施形態のいずれかでは、プロファイリングペプチドは(配列番号15)の配列を有する。上記の実施形態のいずれかでは、癌細胞は、例えばジギトニンなどの細胞透過化剤によって、透過性化されなくてもよい。
【0136】
本開示のさらなる方法は、対象における癌を処置するための治療薬を選択する方法であって、
対象の癌細胞についての感受性プロファイルを受け取ること、ここで、感受性プロファイルは、細胞取り込み部分および配列番号1の配列に0~8個の改変を有する配列を有するMcl-1結合ドメインを含むプロファイリングペプチドと接触させたときの癌細胞のミトコンドリアの完全性のデータを含む、ならびに
ミトコンドリアの完全性のデータがミトコンドリアの完全性の低下を示す場合、対象を処置するために治療薬を選択すること
を含む方法を包含する。本開示のさらに別の方法は、対象における癌を処置するための治療薬を選択する方法であって、
対象の癌細胞についての感受性プロファイルを受け取ること、ここで、感受性プロファイルは癌細胞についてのMcl-1依存データを含み、Mcl-1依存データは、細胞取り込み部分および配列番号1の配列に0~8個の改変を有する配列を有するMcl-1結合ドメインを含むプロファイリングペプチドと接触させたときの癌細胞のミトコンドリアの完全性の変化に少なくとも基づいて決定される、ならびに
Mcl-1依存データが所定の値を超えるMcl-1依存パーセンテージを示す場合、対象を処置するために治療薬を選択すること
を含む方法を包含する。上記の実施形態のいずれかでは、Mcl-1結合ドメインは、配列番号1~11のいずれか1つの配列に0~8個の改変を有する配列を有する。上記の実施形態のいずれかでは、Mcl-1結合ドメインは、配列番号1~11のいずれか1つの配列に1~8個の改変を有する配列を有する。上記の実施形態のいずれかでは、Mcl-1結合ドメインは、配列番号1~11のいずれか1つを有する。上記の実施形態のいずれかでは、細胞取り込み部分は、TAT移行ドメインまたはANT移行ドメインであってよい。上記の実施形態のいずれかでは、細胞取り込み部位は、リンカーを介してMcl-1結合ドメインに結合している。上記の実施形態のいずれかでは、プロファイリングペプチドは(配列番号14)の配列を有する。上記の実施形態のいずれかでは、プロファイリングペプチドは(配列番号15)の配列を有する。上記の実施形態のいずれかでは、癌細胞は、例えばジギトニンなどの細胞透過化剤によって、透過性化されなくてもよい。
【0137】
本開示のさらなる方法は、対象における癌を処置するための治療薬を選択する方法であって、
癌細胞を、配列番号1の配列に0~8個の改変を有する配列を有するMcl-1結合ドメインを含むプロファイリングペプチドと接触させること、ここで、癌細胞は透過性化されていない、
癌細胞のミトコンドリアの完全性の変化を検出すること、および
ミトコンドリアの完全性の変化がミトコンドリアの完全性の低下である場合、対象を処置するために治療薬を選択すること
を含む方法を包含する。本開示のさらに別の方法は、対象における癌を処置するための治療薬を選択する方法であって、
癌細胞を、配列番号1の配列に0~8個の改変を有する配列を有するMcl-1結合ドメインを含むプロファイリングペプチドと接触させること、ここで、癌細胞は透過性化されていない、
癌細胞のミトコンドリアの完全性の変化を検出すること、
ミトコンドリアの完全性の変化に少なくとも基づいて癌細胞についてのMcl-1依存パーセンテージを決定すること、および
Mcl-1依存パーセンテージが所定の値を超える場合、対象を処置するために治療薬を選択すること
を含む方法を包含する。上記の実施形態のいずれかでは、Mcl-1結合ドメインは、配列番号1~11のいずれか1つの配列に0~8個の改変を有する配列を有する。上記の実施形態のいずれかでは、Mcl-1結合ドメインは、配列番号1~11のいずれか1つの配列に1~8個の改変を有する配列を有する。上記の実施形態のいずれかでは、Mcl-1結合ドメインは、配列番号1~11のいずれか1つを有する。
【0138】
さらなる実施形態では、本開示の方法は、対象における癌を処置するための治療薬を選択する方法であって、
対象の癌細胞についての感受性プロファイルを受け取ること、ここで、感受性プロファイルは、配列番号1の配列に0~8個の改変を有する配列を有するMcl-1結合ドメインを含むプロファイリングペプチドと接触させたときの癌細胞のミトコンドリアの完全性のデータを含み、癌細胞は透過性化されていない、および
ミトコンドリアの完全性のデータがミトコンドリアの完全性の低下を示す場合、対象を処置するための治療薬に選択すること
を含む方法を包含する。さらなる実施形態では、本開示の方法は、対象における癌を処置するための治療薬を選択する方法であって、
対象の癌細胞についての感受性プロファイルを受け取ること、ここで、感受性プロファイルは癌細胞についてのMcl-1依存データを含み、Mcl-1依存データは、配列番号1の配列に0~8個の改変を有する配列を有するMcl-1結合ドメインを含むプロファイリングペプチドと接触させたときの癌細胞のミトコンドリアの完全性の変化に少なくとも基づいて決定され、癌細胞は透過性化されていない、および
Mcl-1依存データが所定の値を超えるMcl-1依存パーセンテージを示す場合、対象を処置するために治療薬を選択すること
を含む方法を包含する。上記の実施形態のいずれかでは、Mcl-1結合ドメインは、配列番号1~11のいずれか1つの配列に0~8個の改変を有する配列を有する。上記の実施形態のいずれかでは、Mcl-1結合ドメインは、配列番号1~11のいずれか1つの配列に1~8個の改変を有する配列を有する。上記の実施形態のいずれかでは、Mcl-1結合ドメインは、配列番号1~11のいずれか1つを有する。
【0139】
いくつかの実施形態では、本開示の方法は、対象の癌細胞を、本明細書に開示されるプロファイリングペプチドのいずれか1つまたは複数と接触させることによって得られる、ミトコンドリアの完全性および/またはMcl-1依存データに基づいて、本明細書に記載される治療薬を対象に投与することを包含する。一実施形態では、治療薬は、BH3模倣薬、エピジェネティック修飾薬、トポイソメラーゼ阻害剤、サイクリン依存性キナーゼ阻害剤(例えば、アルボシジブ)、および/またはキネシンスピンドルタンパク質安定化薬のうちの1つまたは複数である。別の実施形態では、治療薬は、プロテアソーム阻害剤;および/または細胞周期調節のモジュレーター(例えば、サイクリン依存性キナーゼ阻害剤);および/または細胞エピジェネティック機構のモジュレーター(例えば、ヒストンデアセチラーゼ(HDAC)(例えばボリノスタットまたはエンチノスタットのうちの1つまたは複数)、アザシチジン、デシタビンのうちの1つまたは複数);および/またはアントラサイクリンもしくはアントラセンジオン(例えば、エピルビシン、ドキソルビシン、ミトキサントロン、ダウノルビシン、イダルビシンのうちの1つまたは複数);および/または白金ベースの治療剤(例えば、カルボプラチン、シスプラチン、およびオキサリプラチンのうちの1つまたは複数);シタラビンもしくはシタラビンベースの化学療法剤;BH3模倣薬(例えば、BCL2、BCLXL、またはMCL1のうちの1つまたは複数);およびMCL1の阻害剤である。
【0140】
様々な実施形態では、化学療法薬は、下記のものから選択される:1つまたは複数の、チオテパおよびCYTOXANシクロホスファミド(cyclosphosphamide)などのアルキル化剤;ブスルファン、インプロスルファンおよびピポスルファンなどのアルキルスルホネート;ベンゾドーパ(benzodopa)、カルボコン、メツレドーパ(meturedopa)、およびウレドーパ(uredopa)などのアジリジン;アルトレタミン、トリエチレンメラミン、トリエチレンホスホルアミド、トリエチレンチオホスホルアミド(triethiylenethiophosphoramide)およびトリメチロールメラミン(trimethylolomelamine)を含むエチレンイミンおよびメチルメラミン(methylamelamine);アセトゲニン(例えば、ブラタシンおよびブラタシノン(bullatacinone));カンプトテシン(合成類似体であるトポテカンを包含する);ブリオスタチン;カリスタチン;CC-1065(そのアドゼレシン、カルゼレシンおよびビゼレシン合成類似体を包含する);クリプトフィシン(例えば、クリプトフィシン1およびクリプトフィシン8);ドラスタチン;ズオカルマイシン(合成類似体KW-2189およびCB1-TM1を包含する);エロイテロビン;パンクラチスタチン;サルコジクチイン;スポンギスタチン;クロラムブシル、クロルナファジン、コロホスファミド(cholophosphamide)、エストラムスチン、イホスファミド、メクロレタミン、塩酸メクロレタミンオキシド、メルファラン、ノベンビキン(novembichin)、フェネステリン(phenesterine)、プレドニムスチン、トロホスファミド、ウラシルマスタードなどのナイトロジェンマスタード;カルムスチン、クロロゾトシン、フォテムスチン、ロムスチン、ニムスチン、およびラニムスチン(ranimustine)などのニトロソ尿素;エンジイン抗生物質などの抗生物質(例えば、カリケアマイシン、特に、カリケアマイシンガンマ11およびカリケアマイシンオメガ11(例えば、Agnew, Chem. Intl. Ed. Engl., 33: 183-186 (1994)を参照のこと);ジネマイシンAを包含するジネマイシン;クロドロネートなどのビスホスホネート;エスペラマイシン;ならびにネオカルジノスタチンクロモフォアおよび関連色素タンパク質エンジイン抗生物質クロモフォア)、アクラシノマイシン、アクチノマイシン、アウトラマイシン(authramycin)、アザセリン、ブレオマイシン、カクチノマイシン、カラビシン(carabicin)、カミノマイシン(caminomycin)、カルジノフィリン、クロモマイシニス(chromomycinis)、ダクチノマイシン、ダウノルビシン、デトルビシン、6-ジアゾ-5-オキソ-L-ノルロイシン、アドリアマイシンドキソルビシン(モルホリノ-ドキソルビシン、シアノモルホリノ-ドキソルビシン、2-ピロリノ-ドキソルビシンおよびデオキシドキソルビシンを包含する)、エピルビシン、エソルビシン、イダルビシン、マルセロマイシン、マイトマイシンCなどのマイトマイシン、ミコフェノール酸、ノガラマイシン、オリボマイシン、ペプロマイシン、ポトフィロマイシン(potfiromycin)、ピューロマイシン、クエラマイシン(quelamycin)、ロドルビシン(rodorubicin)、ストレプトニグリン、ストレプトゾシン、ツベルシジン、ウベニメクス、ジノスタチン、ゾルビシン;メトトレキサートおよび5-フルオロウラシル(5-FU)などの代謝拮抗物質;デノプテリン、メトトレキサート、プテロプテリン、トリメトレキサートなどの葉酸類似体;フルダラビン、6-メルカプトプリン、チアミプリン、チオグアニンなどのプリン類似体;アンシタビン、アザシチジン、6-アザウリジン、カルモフール、シタラビン、ジデオキシウリジン、ドキシフルリジン、エノシタビン、フロキシウリジンなどのピリミジン類似体;カルステロン、プロピオン酸ドロモスタノロン、エピチオスタノール、メピチオスタン、テストラクトンなどのアンドロゲン;ミノグルテチミド(minoglutethimide)、ミトタン、トリロスタンなどの抗副腎剤(anti-adrenal);フォリン酸などの葉酸補給剤;アセグラトン;アルドホスファミドグリコシド;アミノレブリン酸;エニルウラシル;アムサクリン;ベストラブシル;ビサントレン;エダトラキサート(edatraxate);デメコルシン;ジアジクオン;エルフォルミチン(elformithine);酢酸エリプチニウム;エポチロン;エトグルシド;硝酸ガリウム;ヒドロキシ尿素;レンチナン;ロニダイニン;メイタンシンおよびアンサミトシンなどのメイタンシノイド;ミトグアゾン;ミトキサントロン;モピダンモール(mopidanmol);ニトラエリン(nitraerine);ペントスタチン;フェナメット(phenamet);ピラルビシン;ロソキサントロン;ポドフィリン酸;2-エチルヒドラジド;プロカルバジン;PSK多糖複合体(JHS Natural Products, Eugene, Oreg.);ラゾキサン;リゾキシン;シゾフラン(sizofuran);スピロゲルマニウム;テヌアゾン酸;トリアジクオン;2,2’,2”-トリクロロトリエチルアミン;トリコテセン(例えば、T-2毒素、ベラクリン(verracurin)A、ロリジンAおよびアングイジン(anguidine));ウレタン;ビンデシン;ダカルバジン;マンノムスチン;ミトブロニトール;ミトラクトール;ピポブロマン;ガシトシン(gacytosine);アラビノシド(「Ara-C」);シクロホスファミド;チオテパ;タキソイド、例えば、TAXOLパクリタキセル(Bristol-Myers Squibb Oncology, Princeton, N.J.)、ABRAXANE(Cremophorを含まない、パクリタキセルのアルブミン操作ナノ粒子製剤)(American Pharmaceutical Partners, Schaumberg, 111.)、およびTAXOTEREドキセタセル(doxetaxel)(Rhone-Poulenc Rorer, Antony, France);クロラムブシル;GEMZARゲムシタビン;6-チオグアニン;メルカプトプリン;メトトレキサート;シスプラチン、オキサリプラチンおよびカルボプラチンなどの白金類似体;ビンブラスチン;白金;エトポシド(VP-16);イホスファミド;ミトキサントロン;ビンクリスチン;NAVELBINE.ビノレルビン;ノバントロン;テニポシド;エダトレキサート;ダウノマイシン;アミノプテリン;ゼローダ;イバンドロネート;イリノテカン(Camptosar、CPT-11)(イリノテカンと5-FUおよびロイコボリンを組合せた処置レジメンを包含する);トポイソメラーゼ阻害剤RFS 2000;ジフルオロメチルオルニチン(DMFO);レチノイン酸などのレチノイド;カペシタビン;コンブレタスタチン;ロイコボリン(LV);オキサリプラチン処置レジメン(FOLFOX)を包含するオキサリプラチン;ラパチニブ(Tykerb);細胞増殖を低減させる、PKC-I、Raf、H-Ras、EGFR(例えば、エルロチニブ(Tarceva))およびVEGF-Aの阻害剤、ダコゲン、ベルケイド、ならびに本明細書に列挙された薬のいずれかの薬学的に許容可能な塩、酸または誘導体。例示的な治療薬には、アルボシジブ、シタラビン、ミトキサントロン、ダウノルビシン、デシタビン、アザシチジン、ベネトクラックス、ボルテゾミブ、ダコゲン、イブルチニブ、レナリドミド、サリドマイド、およびそれらの薬学的に許容可能な塩、酸または誘導体が含まれる。
【0141】
適切な方法は、プロアポトーシス薬および/またはアポトーシスを介して作用する薬および/または直接的なタンパク質モジュレーションによって駆動されるアポトーシスを介して作用する薬の投与を含んでよい。このような薬の例には、ABT-263(Navitoclax)、およびオバトクラックス、WEP、ボルテゾミブ、およびカルフィルゾミブが含まれる。他の適切な処置は、アポトーシスを介して作用しない薬および/または直接的なタンパク質モジュレーションによって駆動されるアポトーシスを介して作用しない薬を含んでよい。このような薬の例には、キネシンスピンドルタンパク質阻害剤、サイクリン依存性キナーゼ(CDK)阻害剤、三酸化ヒ素(トリセノックス)、MEK阻害剤、ポマリドミド、アザシチジン、デシチビン、ボリノスタット、エンチノスタット、ディナシクリブ、ゲムツズマブ、BTK阻害剤、PI3キナーゼデルタ阻害剤、レナリドミド、アントラサイクリン、シタラビン、メルファラン、Akt阻害剤、mTOR阻害剤が含まれる。いくつかの実施形態では、CDK阻害剤はCDK9阻害剤である。いくつかの実施形態では、CDK9阻害剤はアルボシジブである。
【0142】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示される処置方法は、有効量の治療薬を対象に投与し、それによってその癌を処置することを含む。様々な実施形態では、有効量の治療薬は、腫瘍細胞の数を減少させ、転移の数を減少させ、腫瘍体積を減少させ、癌細胞のアポトーシスを誘発し、癌細胞死を誘発し、癌細胞の感受性または放射線感受性を誘発し(induce - or radio-sensitivity in cancer cells)、癌細胞付近の血管形成を阻害し、癌細胞増殖を阻害し、腫瘍成長を阻害し、転移を阻止し、転移の数を低減させ、寿命を伸ばし、対象を延命し、癌に伴う疼痛を低減させ、および/または処置後の癌の再燃もしくは再発を低減させることができる。
【0143】
投与に関して、有効量(用量とも称される)は、インビトロアッセイおよび/または動物モデル研究の結果に基づいて、最初に推定することができる。例えば、用量は、特定の標的に対して細胞培養において決定されるIC50を包含する血中濃度範囲を達成するように、動物モデルにおいて推定することができる。このような情報は、目的の対象における有用な用量をより正確に決定するために使用することができる。
【0144】
特定の対象に投与される実際の用量は、標的、体重、状態の重症度、癌の種類、以前の、または併行する治療的介入、対象の特発症、および投与経路を含む、身体的および生理的要因などのパラメーターを考慮して、医師、獣医師または研究者が決定することができる。
【0145】
いくつかの実施形態では、対象由来の癌細胞をプロファイリングする方法は、必要とする対象において癌を処置する方法を包含する。したがって、本開示の方法は、必要とする対象において癌を処置するための方法であって、
治療薬を含む処置レジメンを、所定の値を超えるMcl-1依存パーセンテージを有する対象に投与すること
を含み、ここで、Mcl-1依存パーセンテージは、複数の癌細胞の第1の部分を、細胞取り込み部分および配列番号1の配列に0~8個の改変を有する配列を有するMcl-1結合ドメインを含むプロファイリングペプチドと、または細胞取り込み部分および配列番号1の配列に0~8個の改変を有する配列を有するMcl-1結合ドメインを含むプロファイリングペプチドならびに担体を含む組成物と接触させることを含むインビトロの方法によって得られる、方法を包含する。さらに、本開示の方法は、必要とする対象において癌を処置する方法であって、
対象由来の癌細胞を、細胞取り込み部分および配列番号1の配列に0~8個の改変を有する配列を有するMcl-1結合ドメインを含むプロファイリングペプチドと接触させること、
癌細胞のミトコンドリアの完全性の変化を検出すること、ならびに
ミトコンドリアの完全性の低下が検出される場合、有効量の治療薬を対象に投与し、それによって対象における癌を処置すること
を含む方法を包含する。本開示のさらなる方法は、必要とする対象において癌を処置する方法であって、
対象由来の癌細胞を、細胞取り込み部分および配列番号1の配列に0~8個の改変を有する配列を有するMcl-1結合ドメインを含むプロファイリングペプチドと接触させること、
癌細胞のミトコンドリアの完全性の変化を検出すること、
ミトコンドリアの完全性の変化に少なくとも基づいて癌細胞についてのMcl-1依存パーセンテージを決定すること、ならびに
Mcl-1依存パーセンテージが所定の値を超える場合、有効量の治療薬を対象に投与し、それによって対象における癌を処置すること
を含む方法を包含する。上記の実施形態のいずれかでは、Mcl-1結合ドメインは、配列番号1~11のいずれか1つの配列に0~8個の改変を有する配列を有する。上記の実施形態のいずれかでは、Mcl-1結合ドメインは、配列番号1~11のいずれか1つの配列に1~8個の改変を有する配列を有する。上記の実施形態のいずれかでは、Mcl-1結合ドメインは、配列番号1~11のいずれか1つを有する。上記の実施形態のいずれかでは、細胞取り込み部分は、TAT移行ドメインまたはANT移行ドメインであってよい。上記の実施形態のいずれかでは、細胞取り込み部分は、リンカーを介してMcl-1結合ドメインに結合している。上記の実施形態のいずれかでは、プロファイリングペプチドは(配列番号14)の配列を有する。上記の実施形態のいずれかでは、プロファイリングペプチドは(配列番号15)の配列を有する。上記の実施形態のいずれかでは、癌細胞は透過性化されなくてもよい。
【0146】
いくつかの実施形態では、本開示の方法は、必要とする対象において癌を処置する方法であって、
対象の癌細胞についての感受性プロファイルを受け取ること、ここで、感受性プロファイルは、細胞取り込み部分および配列番号1の配列に0~8個の改変を有する配列を有するMcl-1結合ドメインを含むプロファイリングペプチドと接触させたときの癌細胞のミトコンドリアの完全性のデータを含む、ならびに
ミトコンドリアの完全性のデータがミトコンドリアの完全性の低下を示す場合、有効量の治療薬を対象に投与し、それによって対象における癌を処置すること
を含む方法を包含する。さらなる実施形態では、本開示の方法は、必要とする対象において癌を処置する方法であって、
対象の癌細胞についての感受性プロファイルを受け取ること、ここで、感受性プロファイルは癌細胞についてのMcl-1依存データを含み、Mcl-1依存データは、細胞取り込み部分および配列番号1の配列に0~8個の改変を有する配列を有するMcl-1結合ドメインを含むプロファイリングペプチドと接触させたときの癌細胞のミトコンドリアの完全性の変化に少なくとも基づいて決定される、ならびに
Mcl-1依存データが所定の値を超えるMcl-1依存パーセンテージを示す場合、有効量の治療薬を対象に投与し、それによって対象における癌を処置すること
を含む方法を包含する。上記の実施形態のいずれかでは、Mcl-1結合ドメインは、配列番号1~11のいずれか1つの配列に0~8個の改変を有する配列を有する。上記の実施形態のいずれかでは、Mcl-1結合ドメインは、配列番号1~11のいずれか1つの配列に1~8個の改変を有する配列を有する。上記の実施形態のいずれかでは、Mcl-1結合ドメインは、配列番号1~11のいずれか1つを有する。上記の実施形態のいずれかでは、細胞取り込み部分は、TAT移行ドメインまたはANT移行ドメインであってよい。上記の実施形態のいずれかでは、細胞取り込み部分は、リンカーを介してMcl-1結合ドメインに結合している。上記の実施形態のいずれかでは、プロファイリングペプチドは(配列番号14)の配列を有する。上記の実施形態のいずれかでは、プロファイリングペプチドは(配列番号15)の配列を有する。上記の実施形態のいずれかでは、癌細胞は透過性化されなくてもよい。
【0147】
本開示のさらなる実施形態は、必要とする対象において癌を処置する方法であって、
対象由来の癌細胞を、配列番号1の配列に0~8個の改変を有する配列を有するMcl-1結合ドメインを含むプロファイリングペプチドと接触させること、ここで、癌細胞は透過性化されていない、
癌細胞のミトコンドリアの完全性の変化を検出すること、および
ミトコンドリアの完全性の低下が検出される場合、有効量の治療薬を対象に投与し、それによって対象における癌を処置すること
を含む方法を包含する。さらに別の実施形態では、本開示の方法は、必要とする対象において癌を処置する方法であって、
対象由来の癌細胞を、配列番号1の配列に0~8個の改変を有する配列を有するMcl-1結合ドメインを含むプロファイリングペプチドと接触させること、ここで、癌細胞は透過性化されていない、
癌細胞のミトコンドリアの完全性の変化を検出すること、
ミトコンドリアの完全性の変化に少なくとも基づいて癌細胞についてのMcl-1依存パーセンテージを決定すること、および
Mcl-1依存パーセンテージが所定の値を超える場合、有効量の治療薬を対象に投与し、それによって対象における癌を処置すること
を含む方法を包含する。上記の実施形態のいずれかでは、Mcl-1結合ドメインは、配列番号1~11のいずれか1つの配列に0~8個の改変を有する配列を有する。上記の実施形態のいずれかでは、Mcl-1結合ドメインは、配列番号1~11のいずれか1つの配列に1~8個の改変を有する配列を有する。上記の実施形態のいずれかでは、Mcl-1結合ドメインは、配列番号1~11のいずれか1つを有する。
【0148】
本開示のさらなる実施形態は、必要とする対象において癌を処置する方法であって、
対象の癌細胞についての感受性プロファイルを受け取ること、ここで、感受性プロファイルは、配列番号1の配列に0~8個の改変を有する配列を有するMcl-1結合ドメインを含むプロファイリングペプチドと接触させたときの癌細胞のミトコンドリアの完全性のデータを含み、癌細胞は透過性化されていない、および
ミトコンドリアの完全性のデータがミトコンドリアの完全性の低下を示す場合、有効量の治療薬を対象に投与し、それによって対象における癌を処置すること
を含む方法を包含する。いくつかの実施形態では、本開示の方法は、必要とする対象において癌を処置する方法であって、
対象の癌細胞についての感受性プロファイルを受け取ること、ここで、感受性プロファイルは癌細胞についてのMcl-1依存データを含み、Mcl-1依存データは、配列番号1の配列に0~8個の改変を有する配列を有するMcl-1結合ドメインを含むプロファイリングペプチドと接触させたときの癌細胞のミトコンドリアの完全性の変化に少なくとも基づいて決定され、癌細胞は透過性化されていない、および
Mcl-1依存データが所定の値を超えるMcl-1依存パーセンテージを示す場合、有効量の治療薬を対象に投与し、それによって対象における癌を処置すること
を含む方法を包含する。上記の実施形態のいずれかでは、Mcl-1結合ドメインは、配列番号1~11のいずれか1つの配列に0~8個の改変を有する配列を有する。上記の実施形態のいずれかでは、Mcl-1結合ドメインは、配列番号1~11のいずれか1つの配列に1~8個の改変を有する配列を有する。上記の実施形態のいずれかでは、Mcl-1結合ドメインは、配列番号1~11のいずれか1つを有する。
【0149】
上記の実施形態のいずれかでは、以下の治療薬のうちの1つまたは複数を有効量で対象に投与し得る:(i)CDK阻害剤(例えば、CDK4阻害剤、CDK6阻害剤、CDK7阻害剤、CDK8阻害剤、CDK9阻害剤、CDK10阻害剤、および/またはCDK11阻害剤);(ii)ブロモドメイン阻害剤(例えば、Brd2阻害剤、Brd3阻害剤、Brd4阻害剤および/またはBrdT阻害剤);(iii)ヒストンメチルトランスフェラーゼ阻害剤(例えば、DOT1様ヒストンメチルトランスフェラーゼ(Dot1L)阻害剤);(iv)ヒストンデアセチラーゼ(HDAC)阻害剤(例えば、クラスI HDAC(例えば、HDAC1、HDAC2、HDAC3およびHDAC8)阻害剤、クラスIIa HDAC(例えば、HDAC4、HDAC5、HDAC7、およびHDAC9)阻害剤;クラスIIb HDAC(例えば、HDAC6およびHDAC10)阻害剤;ならびにクラスIV HDAC(例えば、HDAC11)阻害剤);ならびに(v)ヒストンデメチラーゼ阻害剤(例えば、リシン特異的デメチラーゼ1A(Lsd1)などのリシン特異的デメチラーゼの阻害剤)。
【0150】
いくつかの実施形態では、CDK阻害剤は、CDK7、CDK9阻害剤、またはその両方である。いくつかの実施形態では、CDK阻害剤は、CDK9特異的siRNA、アルボシジブ、またはディナシクリブである。いくつかの実施形態では、ブロモドメイン阻害剤はBrd4阻害剤である。いくつかの実施形態では、ブロモドメイン阻害剤は、JQ-1(Nature 2010 Dec 23;468(7327):1067-73)、BI2536(ACS Chem. Biol. 2014 May 16;9(5):1160-71; Boehringer Ingelheim)、TG101209(ACS Chem. Biol. 2014 May 16;9(5):1160-71)、OTX015(Mol. Cancer Ther. November 201312; C244; Oncoethix)、IBET762(J Med Chem. 2013 Oct 10;56(19):7498-500; GlaxoSmithKline)、IBET151(Bioorg. Med. Chem. Lett. 2012 Apr 15;22(8):2968-72; GlaxoSmithKline)、PFI-1(J. Med. Chem. 2012 Nov 26;55(22):9831-7; Cancer Res. 2013 Jun 1;73(11):3336-46; Structural Genomics Consortium)、またはCPI-0610(Constellation Pharmaceuticals)である。いくつかの実施形態では、ヒストンメチルトランスフェラーゼ阻害剤は、EPZ004777、EPZ-5676(Blood. 2013 Aug 8;122(6):1017-25)またはSGC0946(Nat. Commun. 2012;3:1288)である。特定の実施形態では、ヒストンメチルトランスフェラーゼ阻害剤はEPZ-5676である。いくつかの実施形態では、HDAC阻害剤は、トリコスタチンA、ボリノスタット(Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. 1998 Mar 17;95(6):3003-7)、ギビノスタット、アベキシノスタット(Mol. Cancer Ther. 2006 May;5(5):1309-17)、ベリノスタット(Mol. Cancer Ther. 2003 Aug;2(8):721-8)、パノビノスタット(Clin. Cancer Res. 2006 Aug 1;12(15):4628-35)、レスミノスタット(Clin. Cancer Res. 2013 Oct 1;19(19):5494-504)、キシノスタット(Clin. Cancer Res. 2013 Aug 1;19(15):4262-72)、デプシペプチド(Blood. 2001 Nov 1;98(9):2865-8)、エンチノスタット(Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. 1999 Apr 13;96(8):4592-7)、モセチノスタット(Bioorg. Med. Chem. Lett. 2008 Feb 1;18(3):1067-71)またはバルプロ酸(EMBO J. 2001 Dec 17;20(24):6969-78)である。例えば、いくつかの実施形態では、HDAC阻害剤はパノビノスタットである。いくつかの実施形態では、ヒストンデメチラーゼ阻害剤は、HCI-2509(BMC Cancer. 2014 Oct 9;14:752)、トラニルシプロミンまたはORY-1001(J. Clin. Oncol 31, 2013 (suppl; abstr e13543)である。
【0151】
いくつかの実施形態では、以下の治療薬のうちの2つ以上を有効量で対象に投与し得る:(i)サイクリン依存性キナーゼ阻害剤;(ii)ブロモドメイン阻害剤;(iii)ヒストンメチルトランスフェラーゼ阻害剤;(iv)ヒストンデアセチラーゼ阻害剤;および(v)ヒストンデメチラーゼ阻害剤。
【0152】
いくつかの実施形態では、2つ以上の治療薬は、CDK阻害剤、およびブロモドメイン阻害剤である。いくつかの実施形態では、CDK阻害剤は、アルボシジブまたはCDK9特異的siRNAである。特定の実施形態では、CDK阻害剤はアルボシジブである。いくつかの実施形態では、CDK阻害剤は、アルボシジブまたはディナシクリブであり、ブロモドメイン阻害剤は、JQ1、IBET762、またはOTX015である。特定の実施形態では、ブロモドメイン阻害剤はJQ1である。特定の実施形態では、ブロモドメイン阻害剤はIBET762である。特定の実施形態では、ブロモドメイン阻害剤はOTX015である。いくつかの実施形態では、2つ以上の治療薬は、アルボシジブおよびJQ1である。いくつかの実施形態では、2つ以上の治療薬は、アルボシジブおよびIBET762である。いくつかの実施形態では、2つ以上の治療薬は、アルボシジブおよびOTX015である。
【0153】
いくつかの実施形態では、治療薬はCDK阻害剤であり、有効量のヒストンデアセチラーゼ阻害剤もまた、対象に投与される。いくつかの実施形態では、CDK阻害剤はアルボシジブである。いくつかの実施形態では、ヒストンデアセチラーゼ阻害剤はパノビノスタットである。いくつかの実施形態では、CDK阻害剤は、アルボシジブまたはディナシクリブであり、ヒストンデアセチラーゼ阻害剤はパノビノスタットである。特定の実施形態では、CDK阻害剤はアルボシジブであり、ヒストンデアセチラーゼ阻害剤はパノビノスタットである。
【0154】
上記の実施形態のいずれかでは、治療薬はCDK阻害剤であり、有効量のDNAメチルトランスフェラーゼ阻害剤が対象にさらに投与される。このような実施形態では、CDK阻害剤は、アルボシジブまたはディナシクリブであってよく、DNAメチルトランスフェラーゼはヌクレオシド類似体であってよい。いくつかの実施形態では、CDK阻害剤は、アルボシジブまたはディナシクリブであってよく、DNAメチルトランスフェラーゼは、アザシチジンまたはデシタビンであってよい。
【0155】
上記の実施形態のいずれかでは、治療薬はCDK9阻害剤である。このような実施形態では、CDK9阻害剤はアルボシジブであってよい。上記の実施形態のいずれかでは、治療薬はアルボシジブであり、有効量のAra-Cおよびミトキサントロンが対象にさらに投与される。別の実施形態では、治療薬はアルボシジブであり、ベネトクラックスなどの有効量のBcl-2阻害剤が対象にさらに投与される。特定の実施形態では、治療薬はアルボシジブであり、Bcl-2阻害剤はベネトクラックスである。上記の実施形態のいずれかでは、治療薬はアルボシジブであり、有効量のAra-Cおよびダウノルビシンが対象にさらに投与される。上記の実施形態のいずれかでは、治療薬はアルボシジブであり、JQ1などの有効量のBrd4阻害剤が対象にさらに投与される。上記の実施形態のいずれかでは、治療薬はアルボシジブであり、アザシチジンまたはデシタビンなどの有効量のDNAメチルトランスフェラーゼ阻害剤が対象にさらに投与される。さらに上記の実施形態のいずれかでは、治療薬はアルボシジブであり、アザシチジンまたはデシタビンなどの有効量のDNAメチルトランスフェラーゼ阻害剤、およびJQ1などのBrd4阻害剤が対象にさらに投与される。
【0156】
上記の実施形態のいずれかでは、CDK9阻害剤はディナシクリブである。
【0157】
上記の実施形態のいずれかでは、治療薬はベネトクラックスである。上記の実施形態のいずれかでは、治療薬はAra-Cである。上記の実施形態のいずれかでは、治療薬はAra-Cであり、有効量のダウノルビシンがさらに投与される。
【0158】
上記の実施形態のいずれかでは、2つ以上の治療薬の組合せが対象に投与される。いくつかの実施形態では、2つ以上の治療薬はCDK9阻害剤を含む。いくつかの実施形態では、2つ以上の治療薬はアルボシジブを含む。いくつかの実施形態では、2つ以上の治療薬は、アルボシジブ、シタラビン、ミトキサントロン、ダウノルビシン、デシタビン、アザシチジン、ベネトクラックス、ボルテゾミブ、ダコゲン、イブルチニブ、レナリドミド、サリドマイド、またはそれらの組合せを含む。いくつかの実施形態では、2つ以上の治療薬は、アルボシジブおよびシタラビン、ミトキサントロン、ダウノルビシン、デシタビン、アザシチジン、ベネトクラックス、ボルテゾミブ、ダコゲン、イブルチニブ、レナリドミド、サリドマイド、またはそれらの組合せを含む。
【0159】
さらなるいくつかの実施形態では、癌細胞標本は固形腫瘍の生検に由来する。さらに別の実施形態では、癌細胞標本は非固形腫瘍の生検に由来する。前述の処置方法のいずれかでは、癌は血液癌である。例えば、いくつかの実施形態では、血液癌は、多発性骨髄腫、MDS、AML、ALL、急性リンパ球性白血病、慢性リンパ性白血病、CLL、マントル細胞リンパ腫、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫、濾胞性リンパ腫、または非ホジキンリンパ腫である。いくつかの特定の実施形態では、血液癌はAMLである。いくつかの他の実施形態では、血液癌はMDSである。別の実施形態では、血液癌はCLLである。
【0160】
上記の実施形態のいずれかでは、プロファイリングされる癌細胞は、例えばジギトニンなどの細胞透過化剤によって、透過性化されなくてもよい。
【0161】
上記の実施形態のいずれかでは、さらなる処置手段を選択し、場合により投与してもよい。このような手段の例には、本明細書に記載される特定のものなどの、抗癌薬物、療法、外科処置、補助療法、およびネオアジュバント療法のうちの1つまたは複数が含まれる。
【0162】
一実施形態では、本方法は、対象が、一次の、主要な、または初期の処置に次ぐ補助療法(単独の補助的療法を包含する)を受けるべきかどうかに関する臨床的決定を方向付ける。補助療法は、一次の、主要な、または初期の処置に加えて投与される処置である。例えば、補助療法は、全ての検出可能な疾患を取り除いたが、潜在する疾患による再発の統計学的リスクがある場合に、外科処置後に通常投与される追加の処置であり得る。
【0163】
いくつかの実施形態では、本方法は、対象の処置に補助療法を含めるという方向付けを与える。例えば、特定の処置に対して反応性があるとスコア付けされている対象は、補助療法のような処置を受け得る。さらに、本方法は、補助療法の識別、例えば、プロアポトーシス様式で誘導および/または作用する処置であるか、またはそうでないかの識別を方向付けることができる。一実施形態では、本方法は、対象が特定の処置に対して反応性がないか、またはほとんどないであろうことを示すことができ、したがってそのような対象は、そのような処置を補助療法として受けなくてよい。したがって、いくつかの実施形態では、本方法は、見込まれる対象の反応に応じて、補助療法を提供するか、または控えることを方向付ける。このようにして、対象の生活の質、およびケアのコストを改善することができる。
【0164】
上記の実施形態のいずれかでは、方法は、臨床的因子を評価することをさらに含む。様々な実施形態では、臨床的因子は、年齢、細胞遺伝学的状態、パフォーマンス、組織学的サブクラス、性別、および疾患ステージのうちの1つまたは複数である。いくつかの実施形態では、臨床的因子は年齢である。このような実施形態では、対象年齢プロファイルは、約10歳超、約20歳超、約30歳超、約40歳超、約50歳超、約60歳超、約70歳超、約80歳超のように分類される。
【0165】
いくつかの実施形態では、臨床的因子は細胞遺伝学的状態である。細胞遺伝学的状態は当該技術分野において公知の様々な方法で測定することができる。例えば、FISH、従来の染色体分析、および仮想染色体分析(例えば、比較ゲノムハイブリダイゼーションアレイ、CGH、および一塩基多型アレイ)を使用し得る。例えば、FISHを用いて、特定の遺伝子座における染色体再配列(このような現象は疾患リスク状態と関連する)を評価することができる。いくつかの実施形態では、細胞遺伝学的状態は、有益であるか、有益でないか、またはそれらの中間である。
【0166】
いくつかの実施形態では、臨床的因子はパフォーマンスである。パフォーマンスステータスは、任意のシステムを使用して定量化することができ、対象のパフォーマンスステータスをスコア付けするための方法は当該技術分野において公知である。このような測定は、多くの場合、対象が療法を受けることができるかどうかの決定、用量調節の調節の決定、および緩和ケアの強度の決定のために使用される。カルノフスキースコアおよびズブロド(Zubrod)スコアを含む、様々なスコアリングシステムが存在する。同様のスコアリングシステムには、精神医学の診断と統計マニュアル(Diagnostic and Statistical Manual)(DSM)に5番目の軸として組み込まれている、機能の全体的評定(Global Assessment of Functioning)(GAF)スコアがある。高いパフォーマンスステータス(例えば、カルノフスキースコアリングシステムを使用して少なくとも80%、または少なくとも70%)は、疾患状態の進行を阻止するため、および対象の、療法および/または放射線処置受容能力を向上させるための処置を指示し得る。例えば、これらの実施形態では、対象は歩行可能であり、セルフケア可能である。他の実施形態では、評価は、対象が低いパフォーマンスステータス(例えば、カルノフスキースコアリングシステムを使用して50%未満、30%未満、または20%未満)を有することを示し、従来の放射線療法および/または療法を耐えられるように行うことを指示する。これらの実施形態では、対象は、殆どベッドまたは椅子で過ごし、セルフケア不可能でさえある。
【0167】
カルノフスキースコアは100から0の範囲であり、100は「完全な」健康であり、0は死である。スコアは10の間隔で利用することができる:100%は、正常、疾患なし、疾患の兆候なし;90%は、正常な活動が可能、疾患のわずかな症状または兆候あり;80%は、正常な活動がいくぶん困難、いくらかの症状または兆候あり;70%は、セルフケア可能、正常な活動または作業が不可能;60%は、いくらかの助けが必要、ほとんどの個人的要求に対処可能;50%は、しばしば助けが必要、頻繁な医療ケアが必要;40%は、不自由、特別なケアおよび助けが必要;30%は、著しく不自由、入院指示、死亡リスクはなし;20%は、極めて重篤、緊急に入院が必要、指示療法または手段が必要;10%は、瀕死、致死的疾患過程の急進。
【0168】
パフォーマンスステータスについてのズブロドスコアリングシステムは、以下を含む: 0:十分に活動的で、疾患にかかる前のパフォーマンス全てを制限なく継続可能;1:身体的に激しい活動に制限があるが、歩行可能で、軽度または座位での作業の類、例えば簡単な家事、事務作業は依然可能;2:歩行可能、セルフケア全て可能で、労働活動はもはや不可能であるが、覚醒時間の50%超は床を離れて動く;3:可能なセルフケアは限られ、覚醒時間の50%超をベッドまたは椅子で過ごす;4:全く不自由で、セルフケアはもはや不可能であり、完全にベッドまたは椅子で過ごす;5:死亡。
【0169】
さらなる実施形態では、臨床的因子は組織学的サブクラスである。いくつかの実施形態では、腫瘍の組織試料を、Elston & Ellis, Histopathology, 1991, 19:403-10(その内容はそれらの全体が参照として本明細書に組み込まれる)に従って等級分けする。
【0170】
いくつかの実施形態では、臨床的因子は性別である。一実施形態では、性別は男性である。別の実施形態では、性別は女性である。
【0171】
いくつかの実施形態では、臨床的因子は疾患ステージである。例えば、全般的なステージ分類を用いると、ステージIの癌は身体の一部に限られ;ステージIIの癌は局部的に進行しており、ステージIIIの癌も同様である。癌がステージIIに分類されるかステージIIIに分類されるかは、癌の種類に依存し得る。一例として、ホジキン疾患のステージIIは、リンパ節の罹患が横隔膜の片側のみであることを示すのに対して、ステージIIIは、リンパ節罹患が横隔膜の上にも下にもあることを示す。したがって、ステージIIおよびIIIの特定の基準は、診断によって異なる。ステージIVの癌は、多くの場合、転移しているか、他の器官に広がっているか、または身体全体に広がっている。
【0172】
いくつかの実施形態では、臨床的因子は、血液疾患についてのFrench-American-British(FAB)分類システムである(例えば、骨髄増殖異常(dysmyelopoiesis)の存在ならびに骨髄芽球および赤芽球の定量化を示す)。一実施形態では、急性リンパ芽球性白血病についてのFABはLI-L3であり、急性骨髄性白血病についてのFABはM0-M7である。さらに、いくつかの実施形態では、以下の臨床的因子のうちのいずれか1つが本明細書に記載される方法において有用であり得る:性別;遺伝学的リスク因子;家族歴;既往歴;人種および民族性;特定の組織の特徴;様々な良性状態(例えば、非増殖性病変);以前の胸部放射線;発癌物質への曝露など。
【0173】
別の実施形態では、方法は、突然変異状態、一塩基多型、定常状態のタンパク質レベル、および動的タンパク質レベルから選択される、さらなるバイオマーカーの測定をさらに含み、それによりさらなる特異性および/または感受性を加えることができる。いくつかの実施形態では、さらなるバイオマーカーの測定は、細胞表面マーカーCD33、細胞表面マーカーCD34、FLT3突然変異状態、p53突然変異状態、MEK-1キナーゼのリン酸化状態、およびBcl-2の70位のセリンのリン酸化、のうちの1つまたは複数の測定であってよい。いくつかの実施形態では、バイオマーカーは、例えばインターロイキン-6を包含する、サイトカインの発現レベルである。別の実施形態では、バイオマーカーは、遺伝子MLL、AML/ETO、Flt3-ITD、NPM1(NPMc+)、CEBPI、IDH1、IDH2、RUNX1、ras、およびWT1のうちの1つもしくは複数における突然変異、および/またはエピジェネティック修飾遺伝子TET2およびASXLにおける突然変異である。さらなる実施形態では、バイオマーカーの測定は、細胞シグナル伝達タンパク質プロファイルの変化を示す。
【0174】
ウィルムス腫瘍および網膜芽細胞腫などのいくつかの癌では、例えば、腫瘍抑制因子に関連する染色体領域が通常、欠失または突然変異しているので、遺伝子の欠失または不活性化が癌の進行を開始する原因となる。例えば、神経膠腫、非小細胞肺癌、白血病および黒色腫において、染色体領域9p21に欠失、逆位および転座が通常検出される。理論によって束縛されることを望まないが、これらの染色体変化は、腫瘍抑制因子であるサイクリン依存性キナーゼ阻害因子2Aを不活性化し得る。特定の遺伝子のそのような欠失と共に、染色体の大きな部分も失われ得る。例えば、固形腫瘍細胞において染色体1pおよび16qが通常失われている。遺伝子複製および遺伝子コピー数増加も、癌の原因となり得、これは転写解析またはコピー数多型アレイにより検出することができる。例えば、染色体領域12q13-q14は、多くの肉腫において増幅する。この染色体領域はMDM2と呼ばれる結合タンパク質をコードし、これはp53と呼ばれる腫瘍抑制因子と結合することが知られている。MDM2は増幅されると、p53による細胞増殖調節を妨げ、結果として腫瘍形成が起こり得る。さらに、特定の乳癌は、ヒト上皮成長因子受容体2(ERBB2)遺伝子の過剰発現およびコピー数増加と関連する。また、染色体1qおよび3qなどの染色体の数の増加もまた、癌リスクの増加と関連している。
【0175】
様々な実施形態では、本方法は、バイオマーカーを測定するときなどに、タンパク質および/または核酸の存在、不在、またはレベルを評価することをさらに含む。様々な実施形態では、本方法は、タンパク質および/または核酸の存在、不在、またはレベルを評価することをさらに含み、これにより感受性プロファイリングの特異性および/または感受性を向上させることができる。いくつかの実施形態では、評価は、対象の反応についてのマーカーの評価である。いくつかの実施形態では、本方法は、免疫組織化学的染色、ウェスタンブロッティング、インセルウェスタン、免疫蛍光染色、ELISA、および蛍光活性化セルソーティング(FACS)のうちの1つまたは複数、または本明細書に記載されるかもしくは当該技術分野において公知の任意の他の方法を使用した測定を含む。本方法は、抗体を腫瘍標本(例えば生検または組織または体液)と接触させて、組織または体液に特異的であり癌の状態の指標であるエピトープを識別することを含んでもよい。
【0176】
様々な実施形態では、抗体は、全抗体および/または任意の抗原結合断片(例えば、抗原結合部分)および/またはそれらの一本鎖(例えば、ジスルフィド結合によって相互に結合されている少なくとも2本の重(H)鎖および2本の軽(L)鎖を含む抗体、Fab断片、VL、VH、CLおよびCH1ドメインからなる一価断片;F(ab)2断片、ヒンジ領域においてジスルフィド架橋によって連結されている2つのFab断片を含む二価断片;VHおよびCH1ドメインからなるFd断片;抗体の単一アームのVLおよびVHドメインからなるFv断片など)を包含する。様々な実施形態では、ポリクローナルおよびモノクローナル抗体が、単離されたヒトもしくはヒト化抗体またはそれらの機能的断片と同様に有用である。
【0177】
一般に、体液または組織中の抗原のエピトープを検出する方法には、直接的方法および間接的方法の2つがある。直接的方法は、ワンステップ染色を含み、体液または組織試料中の抗原と直接に反応する標識された抗体(例えばFITC結合抗血清)を用い得る。間接的方法は、体液または組織の抗原と反応する標識されていない一次抗体、および一次抗体と反応する標識された二次抗体を用いる。標識は、放射性標識、蛍光標識、ビオチンなどのハプテン標識、またはホースラディッシュペルオキシダーゼもしくはアルカリホスファターゼなどの酵素を包含し得る。これらのアッセイを行う方法は当該技術分野において周知である。例えば、Harlow et al. (Antibodies, Cold Spring Harbor Laboratory, NY, 1988)、Harlow et al. (Using Antibodies, A Laboratory Manual, Cold Spring Harbor Laboratory, NY, 1999)、Virella (Medical Immunology, 6th edition, Informa HealthCare, New York, 2007)、およびDiamandis et al. (Immunoassays, Academic Press, Inc., New York, 1996)を参照のこと。前記アッセイを行うためのキットは、例えば、Clontech Laboratories,LLC.(Mountain View, CA)から市販されている。
【0178】
様々な種類の標的に対する抗体の結合能力を評価するための標準的なアッセイは、当該技術分野において公知であり、例えば、ELISA、ウェスタンブロットおよびRIAを包含する。抗体の結合キネティクス(例えば、結合親和性)もまた、当該技術分野において公知の標準的なアッセイ、例えばBiacore解析によって評価することができる。
【0179】
別の実施形態では、測定は、核酸の存在、不在、またはレベルを評価することを含む。当業者は、多くの方法が、適切なマーカーのDNA/RNAレベルを検出または定量するために利用可能であることを理解する。
【0180】
遺伝子発現は、例えば、レポーター遺伝子アッセイ、ノーザンブロット、蛍光インサイチュハイブリダイゼーション(FISH)、および逆転写PCR(RT-PCR)を包含する、低ないし中程度の多重技術(low-to-mid-plex technique)を使用して測定することができる。遺伝子発現はまた、例えば、遺伝子発現連続解析(SAGE)、DNAマイクロアレイ、タイリングアレイ、RNA-Seq/全トランスクリプトームショットガンシーケンシング(WTSS)、ハイスループットシーケンシング、マルチプレックスPCR、マルチプレックスライゲーション依存性プローブ増幅(MLPA)、ライゲーションによるDNAシーケンシング、およびルミネックス/XMAPを包含する、より高度の多重技術を使用して測定することもできる。当業者は、マイクロアレイなどのアレイ、RT-PCR(定量的PCRを含む)、ヌクレアーゼプロテクションアッセイおよびノーザンブロット解析を包含する多くの方法が、試料中のバイオマーカーのRNA産物のレベルを検出または定量するために使用可能であることを理解する。
【0181】
別の実施形態では、方法は、対象における臨床的反応を予測することをさらに含む。別の実施形態では、臨床的反応は、少なくとも約1年、約2年、約3年、または約5年の無増悪/無イベント生存率である。
【0182】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示される方法は、予防的処置を含む。例えば、本明細書に記載される方法に従って、癌に罹患する可能性がある対象に処置を投与することである。いくつかの実施形態では、対象が、癌の高いリスク、癌に対する遺伝的素因(例えば遺伝的リスク因子)、過去の癌の発症(例えば新たな癌および/または再発)、癌の家族歴、癌誘発要因(例えば環境要因)に対する曝露、および薬理ゲノミクス情報(治療の薬物動態、薬力学または有効性プロファイルに対する遺伝子型の効果)のうちの1つまたは複数によって特徴付けられる場合、対象は癌に罹患する可能性がある。
【0183】
いくつかの実施形態では、対象は、癌の高いリスクによって特徴付けられる場合、癌に罹患する可能性がある。いくつかの実施形態では、対象は、癌に対する遺伝的素因によって特徴付けられる場合、癌に罹患する可能性がある。いくつかの実施形態では、癌に対する遺伝的素因は、当該技術分野において公知のような遺伝的臨床的因子である。このような臨床的因子には、例えば、少なくとも大腸、子宮、小腸、胃、尿道の癌に関して、HNPCC、MLH1、MSH2、MSH6、PMS1、PMS2が含まれ得る。いくつかの実施形態では、対象は、過去の癌の発症によって特徴付けられる場合、癌に罹患する可能性がある。いくつかの実施形態では、そのような対象には、1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、または6つの過去の癌の発症がある。いくつかの実施形態では、対象は、癌の家族歴によって特徴付けられる場合、癌に罹患する可能性がある。いくつかの実施形態では、親、および/または祖父母、および/または兄弟姉妹、および/またはおば/おじ、および/または大おば/大おじ、および/またはいとこの1人が、癌に罹患したことがあるか、または罹患している。いくつかの実施形態では、対象は、癌誘発要因(例えば環境要因)に対する曝露によって特徴付けられる場合、癌に罹患する可能性がある。例えば、強い太陽光への皮膚曝露は、皮膚癌についての臨床的因子である。例えば、喫煙は、肺、口腔、喉頭、膀胱、腎臓、およびいくつかの他の器官の癌についての臨床的因子である。
【0184】
本発明の実施形態を以下の非限定的な実施例によってさらに説明する。
【実施例1】
【0185】
透過処理した細胞および透過処理していない細胞においてプロファイリングペプチドを使用した全細胞アッセイ
簡潔に述べると、冷凍MOLM-13およびOCI-AML3細胞ストックを短時間に解凍し、細胞生存性をトリパンブルー排除によって決定した。細胞をPBS中で洗浄し、DTEB(またはMEB)緩衝液(135mMのトレハロース[または150mMのマンニトール]、10mMのHEPES、50mMのKCl、20μMのEGTA、20μMのEDTA、0.1%のBSA、および5mMのスクシネート)中に再懸濁した。プロファイリングペプチドおよびNOXA(AELPPEFAAQLRKIGDKVYC;配列番号16)を水中に再構成して、下記の最終濃度を与えるような作業溶液を調製した:配列番号1(100μM)、配列番号14(100μM)、配列番号15(100μM)、およびNOXA(100μM)。DMSOおよびFCCP(50μM)を、陰性対象および陽性ペプチド対照として使用した。プロファイリングペプチド、対照、またはNOXA(比較目的のため)を、最初にマイクロプレートに入れた。次いで、DTEBまたはMEB緩衝液中に再懸濁した細胞(4×10
5)を染色溶液(20mg/mLのオリゴマイシン、50mg/mLのジギトニン、40μMのJC-1、1Mの2-メルカプトエタノール、DTEBまたはMEB緩衝液)に加え、それを上記のマイクロプレートのウェルに加えた(ジギトニン処理しない試料のためには、上記の染色溶液にジギトニンを加えなかった)。次いで、細胞透過化(必要な場合)、ペプチドまたは化合物のデリバリー、およびミトコンドリアの脱分極を起こさせために、混合物を30℃にて最長で2時間インキュベートした。各ウェルの蛍光シグナルを、Envisionマルチラベルプレートリーダーを使用してEx475/Em530およびEx530/Em595にて測定した。別に、ペプチドで処理しなかったがジギトニンで処理した細胞をヨウ化プロピジウム(PI)で染色して、細胞がジギトニンによって効果的に透過化されたかどうかを評価した。次いで正規化したミトコンドリア電位(ウェルの平均JC-1赤色蛍光)を、DMSO(陰性)およびFCCP(陽性)対照と比較した。この比較の結果を
図1A~1Dに示す。
図1Aおよび1BはMOLM-13細胞の結果を示し、
図1Cおよび1DはOCI-AML3細胞の結果を示す。また、
図1Aおよび1Cはジギトニン処理した細胞の結果を示し、
図1Bおよび1Dはジギトニンに曝露しなかった細胞の結果を示す。図中の記号の意味は次の通りである:(NC)陰性対照-DMSO;(PC)陽性対照-FCCP;(1)NOXA、(2)配列番号1、(3)配列番号14、および(4)配列番号15。
【0186】
図1A~1Dからわかるように、同様のアッセイにおいて一般に使用されるNOXAペプチドにアポトーシスを誘導させるためには、細胞膜透過化が必要である。一方、本開示のプロファイリングペプチドは、ジギトニンの使用を必要としない。ジギトニンの不在下で、細胞取り込み部分がMcl-1結合ドメインのアミノ末端に付加されている本開示のプロファイリングペプチドである配列番号14は、Mcl-1結合ドメインのみを含むプロファイリングペプチド、または細胞取り込み部分がMcl-1結合ドメインのカルボキシ末端に付加されているプロファイリングペプチドである配列番号15と比較して、優れた効果を示す。
【0187】
さらに、
図1A~1Dに示される結果は、脱共役剤であり陽性対照であるFCCPが、効果的に細胞に侵入し、十分にミトコンドリア外膜の透過化を開始させるために、ジギトニンなどの細胞透過化剤を必要とすることを示す。したがって、MOLM-13細胞におけるジギトニンを用いない試験(
図1B)では、配列番号14および配列番号15の効果が陽性対照の効果を上回った。
【0188】
次いで、上記アッセイについてZ値を評価した。Z値は、生物学的アッセイの信頼性を評価するための有益な方法である。アッセイの目標は、Z値が0.5以上になることである。Z値算出による前記感受性プロファイリングアッセイのシグナル対ノイズ比を評価は、本開示のプロファイリングペプチドを使用した場合に、アッセイの信頼性が顕著に高いことを示している(表2)。さらに、細胞透過化工程を省略したことにより、シグナル対ノイズ比が顕著に改善されている(表3)。
【0189】
【0190】
【実施例2】
【0191】
プロファイリングペプチド濃度の滴定
本開示のプロファイリングペプチドを細胞透過化剤の不在下で使用して得られるMcl-1依存パーセンテージの値が、NOXAを細胞透過化剤の存在下で使用して得られる値に匹敵するように、本開示のプロファイリングペプチドの濃度を設定する試みにおいて、下記の実験を行った。
【0192】
簡潔に述べると、冷凍OCI-AML3細胞ストックを短時間に解凍し、細胞生存性をトリパンブルー排除によって決定した。細胞をPBS中で洗浄し、DTEB(またはMEB)緩衝液(135mMのトレハロース[または150mMのマンニトール]、10mMのHEPES、50mMのKCl、20μMのEGTA、20μMのEDTA、0.1%のBSA、5mMのスクシネート)中に再懸濁した。プロファイリングペプチドおよびNOXA(配列番号16)を水中に再懸濁して、下記の最終濃度を与えるような作業溶液を調製した:配列番号1(100μM)、配列番号1(30μM)、配列番号1(10μM)、およびNOXA(100μM)。DMSOおよびFCCP(50μM)を、陰性対照および陽性ペプチド対照として使用した。プロファイリングペプチド、対照、またはNOXA(比較目的のため)を、最初にマイクロプレートに入れた。次いで、DTEBまたはMEB緩衝液中に再懸濁した細胞(4×105)を、染色溶液(20mg/mLのオリゴマイシン、50mg/mLのジギトニン、40μMのJC-1、1Mの2-メルカプトエタノール、DTEBまたはMEB緩衝液)に加え、それを上記マイクロプレートのウェルに加えた(ジギトニン処理しない試料のためには、上記の染色溶液にジギトニンを加えなかった)。次いで、細胞透過化(必要な場合)、ペプチドまたは化合物のデリバリー、およびミトコンドリアの脱分極を起こさせるために、混合物を30℃にて最長で2時間インキュベートした。各ウェルの蛍光シグナルを、Envisionマルチラベルプレートリーダーを使用してEx475/Em530およびEx530/Em595にて測定した。次いでゲーティングした集団の平均JC-1赤色蛍光から、DMSO(陰性)およびFCCP(陽性)対照に対して、依存%を計算した。
【0193】
統計的解析:各ペプチドについて、Mcl-1依存パーセンテージを、該依存を決定する下記式を使用して計算した:
【数3】
【0194】
式中、PCは陽性対照の蛍光強度であり、NCは陰性対照の蛍光強度であり、Pepは示した濃度におけるペプチドの蛍光強度である。
【0195】
結果を
図2に示す。図中の記号の意味は次の通りである:(1)NOXA、(2)配列番号1、100μM、(3)配列番号1、30μM、および(4)配列番号1、10μM。
図2からわかるように、OCI-AML-3細胞において、本開示のプロファイリングペプチドの濃度を10μMまで低下しても、標準的なNOXAペプチドを100μMで用いた場合と同等のMcl-1依存パーセンテージ値が得られる。
【実施例3】
【0196】
AML対象をベースとするコホートを使用した研究
新たにAMLと診断された対象に由来する末梢血および骨髄の試料を入手し、該試料由来の細胞を、本明細書に開示されるプロファイリングペプチド(例えば、配列番号1、配列番号14、または配列番号15)のいずれか1つまたは複数と接触させることによって解析する。試料におけるMcl-1依存が所定の値を超える場合(例えば、5%超、10%超、15%超、20%超、25%超、または30%超)、その対象をアルボシジブを含むレジメン(例えば、FLAM:アルボシジブ(フラボピリドール)、Ara-Cおよびミトキサントロン)を用いて処置する。処置した対象のうちの統計学的に有意なパーセンテージ(例えば、75%超、またはさらには95%超)が、完全奏功を示す。完全奏功は、全ての細胞株が正常に成熟しており骨髄芽球が5%未満であること、ANC1000/μLおよび血小板数100000/μL、末梢血中の芽球の不在、骨髄中の白血病細胞の不在、疾患に関連する細胞遺伝学のクリアランス、ならびに過去の髄外疾患のクリアランスによって特徴付けられる。
【0197】
感受性プロファイリング
簡潔に述べると、冷凍した抽出白血球試料を短時間に解凍し、細胞生存性をトリパンブルー排除によって決定する。細胞をFACS緩衝液(2%のFBSを含む1×PBS)中で洗浄し、蛍光標識したCD45、CD3およびCD20モノクローナル抗体を使用して免疫表現型をタイピングする。次いで、細胞を、Newmeyer緩衝液(10mMのトレハロース、10mMのHEPES、80mMのKCl、20μMのEGTA、20μMのEDTA、5mMのスクシネート、pH7.4)中に、撹拌により再懸濁する。プロファイリングペプチドをNewmeyer緩衝液中に希釈して、下記の最終濃度を与えるような作業溶液を調製する:配列番号1(100μM)、配列番号14(100μM)、および配列番号15(100μM)。DMSOおよびBAM-15を、陰性対照および陽性ペプチド対照として使用する。個々のFACSチューブに、オリゴマイシン、続いてプロファイリングペプチドを加える。次いで、細胞をFACSチューブに加え、ペプチドのデリバリーおよびミトコンドリアの脱分極を起こさせるために室温にて2時間15分間インキュベートする。インキュベーション後、JC-1色素をNewmeyer緩衝液中に調製し、処理した細胞に直接加える。45分間のJC-1とのインキュベーション後、細胞を3レーザーBD FACSCanto IIにおいて解析する。AML芽球を、次の3つのパラメーターに基づいてゲーティングする:1)SSCに基づくシングレット識別、2)CD45dimおよびCD3/CD20 negative、ならびに 3)SSC low。ゲーティングした芽球集団の平均JC-1赤色蛍光から、DMSO(陰性)およびBAM-15(陽性)対照との比較としての脱分極%を計算する。個々の対象の細胞遺伝学的リスク分類(低、中、および高)を、Cancer and Leukemia Group B(CALGB)ガイドラインから決定する。
【0198】
統計的解析:各ペプチドに関して、Mcl-1依存パーセンテージを、DMSO陰性対照(全くプライムドでない対照)およびBAM-15(100%プライムド対照)に対して依存を決定する下記式を使用して計算する:
【数4】
【0199】
式中、PCは陽性対照のAUCであり、NCは陰性対照のAUCであり、PepはペプチドのAUCである。
【0200】
解析のために、CRと分類されない全ての対象を、非反応者[微小残存病変(MRD)、部分寛解(PR)、およびTF(処置不成功)]として処理する。プロファイリングペプチド(および他の腫瘍特性、例えば細胞遺伝学など)と反応の間で、スチューデントのt検定、マン・ホイットニー順位和ノンパラメトリック検定、多変量ロジスティック回帰、およびROC曲線解析を、GraphPad Prism Version 5.04およびMedCalc Version 14.8.1を使用して計算する。
【0201】
FLAMプロトコールに登録されたAML対象試料のミトコンドリアプロファイリング
対象から得た臨床的変数を反応と比較して、それらの因子のうちのいずれかが、対象が治療に反応するか否かに影響を与えるかを決定する。CRに大きく関連することが予想される変数は、細胞遺伝学的リスク因子であり、高リスクと分類される対象は、治療に反応する可能性が低い。WBC、MDSの病歴、およびどのプロトコールに従ったかは、潜在的に有意義である。
【0202】
上記のような解析に感受性プロファイリングを追加すれば、アルボシジブ(単独または併用療法)に反応する対象の識別能を大いに向上させることができると考えられる。
【実施例4】
【0203】
例示的アッセイ手順
一次骨髄吸引物から単核細胞を密度勾配遠心分離により単離する。試料品質を、トリパンブルー排除を使用して決定する。次いで、細胞をペレット化し、BSA中でブロッキングし、BおよびT細胞に特異的なマーカー、ならびに単球分化マーカーおよび芽球特異的マーカーに対して染色する。染色後、細胞をペレット化し、蛍光活性化セルソーティング(FACS)チューブに分け入れ、水(陰性対照)、CCCP(陽性対照)または配列番号14(本発明)のいずれかを用いて処理する。1時間後、カチオン性のミトコンドリア染料であるDiOC
6を加える。1時間後、細胞をフローサイトメトリーによって解析する。芽細胞を、各試料のCD45dim、CD13、CD33およびCD34high集団に対するゲーティングによって単離する。下記式に従って、各試料におけるDiOC
6の平均蛍光強度(MFI)から依存値を計算する:
【数5】
【実施例5】
【0204】
例示的なアッセイ手順
フィコール調製物を使用して一次骨髄吸引物から白血球を単離する。白血球は、新鮮なもの、または冷凍されたものであってよい。冷凍品の場合、試験前に試料を解凍する。試料をDNase 1含有RPMI中で、37℃のインキュベーターにおいて60分間インキュベートする。次いで、細胞をペレット化し、氷上の1%BSA含有PBS中で15分間ブロッキングした後、暗所にて氷上で30分間染色する。染色後、細胞をペレット化し、リアノジン(30nM)およびオリゴマイシンを含有するDTEB中に再懸濁する。37℃のインキュベーター内で30分間インキュベートした後、試料を蛍光活性化セルソーティング(FACS)チューブに分け入れ、水(陰性対照)、CCCP(陽性対照)または配列番号14(本発明)のいずれかを用いて処理し、37℃のインキュベーター内で60分間インキュベートする。次いで、カチオン性のミトコンドリア染料であるDiOC
6を加え、37℃のインキュベーター内で60分間インキュベートする。次いで、細胞をフローサイトメトリーによって解析する。芽細胞を、各試料のCD45dim、CD13、CD33およびCD34high集団に対するゲーティングによって単離する(
図3を参照のこと)。指示される場合、細胞を、さらにCD3およびCD20を用いてゲーティングし得る。下記式に従って、各試料におけるDiOC
6の平均蛍光強度(MFI)から依存値を計算する:
【数6】
【実施例6】
【0205】
アッセイへのリアノジンの追加
実施例5に記載したアッセイにリアノジンの追加したことの効果を評価した。リアノジンをアッセイに加え、この効果はTatが仲介するERからのカルシウム放出に起因したこと、および20mMのリアノジンによる処理が非特異的色素取り込みを抑制したことを決定した。
図4に示されるように、リアノジンの添加は、非特異性を低減させ、本プロファイリングペプチド濃度の増加を可能にするので、本プロファイリングペプチドのアッセイ結果をNOXAアッセイ結果と完全に同等化することが可能となる。
【実施例7】
【0206】
NOXAプライミングアッセイの比較
NOXAアッセイの結果を、実施例5に記載されるアッセイの結果と比較した。表4に、NOXA試験の結果が公開されている細胞株(Ishizawa et al. (2015) Mitochondrial Profiling of Acute Myeloid Leukemia in the Assessment of Response to Apoptosis Modulating Drugs. PLoS ONE 10(9): e0138377)に対する、NOXAおよび配列番号14アッセイの結果の比較を示す。
【0207】
【0208】
表5に、NOXA試験の結果が出されている対象試料に対する、NOXAおよび配列番号14アッセイの結果の比較を示す。表5の試料17~19は、FLAMで処置され、治療に対する完全奏功を示した対象から採取されたものであったことに注目すべきである。
【0209】
【0210】
表4および表5からわかるように、依存値が公開されている19個の試料のうちの15個において質的な一致が見られ、依存値が公開されている7個の細胞株の7個において質的な一致が見られ、合計26個の試料(対象試料および細胞株)のうちの22個で一致が見られた。観測された全体的な精度は、81%の特異性(陰性試料 17/21)、および100%の感受性(陽性試料 5/5)であった。
【0211】
表5からわかるように、4個の試料が、従来の試験で陰性と判定されたが、新たな配列番号14アッセイでは陽性と判定された。これら4個の試料は、改良された本アッセイ方法論およびフローサイトメトリーゲーティングストラテジーによって陽性とみなされた。
【0212】
この研究の結果は、配列番号14アッセイおよび従来のNOXAアッセイが、依存40%以上というカットオフを使用したとき、85%より高い一致を示すことを示す。
図5は、MCL-1依存が40%以上であるAML対象において、完全奏功を示すものの割合が100%であることを示す。
【0213】
当業者は、本明細書に具体的に記載される特定の実施形態に対する多数の等価物を、過度の実験なしに、認識するか、または確認することができる。このような等価物は、特定の実施形態の範囲に包含されることを意図する。
【0214】
本明細書中で参照される米国特許、米国特許出願公開、米国特許出願、外国特許、外国特許出願および非特許文献(本出願が優先権主張する、出願日2016年12月19日の米国仮特許出願第62/436,221号、および出願日2017年9月25日の米国仮特許出願第62/562,990号を包含する)はいずれも、本説明と矛盾しない範囲で、その全体が参照として本明細書に組み込まれる。態様の実施形態は、必要であれば様々な特許、出願および文献の概念を利用するように、改変されて、さらなる実施形態となって提供され得る。態様のこのような変更および他の変更は、上記の詳細な説明の考慮の下になされ得る。
【0215】
したがって、本明細書において、説明の目的で、本発明の特定の実施形態を記載したが、本発明の趣旨および範囲から逸脱することなく様々な変更がなされ得ることが理解される。したがって、本発明は、特許請求の範囲によるものを除いて、限定を受けない。
本開示は以下のものも含む。
[1]
細胞取り込み部分およびMcl-1結合ドメインを含むプロファイリングペプチドであって、Mcl-1結合ドメインが配列番号1の配列に0~8個の改変を有する配列を有する、プロファイリングペプチド。
[2]
Mcl-1結合ドメインが配列番号1の配列に0~6個の改変を有する配列を有する、前記1に記載のプロファイリングペプチド。
[3]
Mcl-1結合ドメインが配列番号1との少なくとも75%の同一性を有する、前記1または2に記載のプロファイリングペプチド。
[4]
Mcl-1結合ドメインが配列番号1の配列に0~3個の改変を有する配列を有する、前記1~3のいずれか一項に記載のプロファイリングペプチド。
[5]
Mcl-1結合ドメインが配列番号1との少なくとも90%の同一性を有する、前記1~4のいずれか一項に記載のプロファイリングペプチド。
[6]
Mcl-1結合ドメインが配列番号1の配列に0~2個の改変を有する配列を有する、前記1~5のいずれか一項に記載のプロファイリングペプチド。
[7]
Mcl-1結合ドメインが配列番号1の少なくとも10個の連続アミノ酸を含む、前記1~6のいずれか一項に記載のプロファイリングペプチド。
[8]
Mcl-1結合ドメインが配列番号1との少なくとも95%の同一性を有する、前記1~7のいずれか一項に記載のプロファイリングペプチド。
[9]
Mcl-1結合ドメインが配列番号1の配列に0または1個の改変を有する配列を有する、前記1~8のいずれか一項に記載のプロファイリングペプチド。
[10]
前記改変がそれぞれ独立して、保存的なアミノ酸の置換、付加または欠失である、前記1~9のいずれか一項に記載のプロファイリングペプチド。
[11]
Mcl-1結合ドメインが配列番号1の少なくとも15個の連続アミノ酸を含む、前記1~10のいずれか一項に記載のプロファイリングペプチド。
[12]
Mcl-1結合ドメインが配列番号1の少なくとも20個の連続アミノ酸を含む、前記1~11のいずれか一項に記載のプロファイリングペプチド。
[13]
Mcl-1結合ドメインが配列番号1の配列を有する、前記1~12のいずれか一項に記載のプロファイリングペプチド。
[14]
細胞取り込み部分が1~20アミノ酸のアミノ酸配列を含む、前記1~13のいずれか一項に記載のプロファイリングペプチド。
[15]
細胞取り込み部分が、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)転写活性化因子(TAT)ペプチド導入ドメインの少なくとも5個の連続アミノ酸を含む、前記1~14のいずれか一項に記載のプロファイリングペプチド。
[16]
細胞取り込み部分が配列番号12との少なくとも90%の同一性を有する、前記1~15のいずれか一項に記載のプロファイリングペプチド。
[17]
細胞取り込み部分が配列番号12の配列を含む、前記1~16のいずれか一項に記載のプロファイリングペプチド。
[18]
細胞取り込み部分が、アンテナペディア細胞膜(ANT)移行ドメインの少なくとも5個の連続アミノ酸を含む、前記1~14のいずれか一項に記載のプロファイリングペプチド。
[19]
細胞取り込み部分が配列番号13との少なくとも90%の同一性を有する、前記1~14または18のいずれか一項に記載のプロファイリングペプチド。
[20]
細胞取り込み部分が配列番号13の配列を含む、前記1~14、18または19のいずれか一項に記載のプロファイリングペプチド。
[21]
細胞取り込み部分がアルギニンに富むアミノ配列を含む、前記1~14のいずれか一項に記載のプロファイリングペプチド。
[22]
細胞取り込み部分が3~10個の連続アルギニン残基を含む、前記1~14または21のいずれか一項に記載のプロファイリングペプチド。
[23]
細胞取り込み部分がMcl-1結合ドメインのN末端に結合している、前記1~22のいずれか一項に記載のプロファイリングペプチド。
[24]
細胞取り込み部分がMcl-1結合ドメインのC末端に結合している、前記1~22のいずれか一項に記載のプロファイリングペプチド。
[25]
細胞取り込み部分が、リンカーを介してMcl-1結合ドメインに結合している、前記1~24のいずれか一項に記載のプロファイリングペプチド。
[26]
リンカーが1~5アミノ酸のアミノ酸配列である、前記25に記載のプロファイリングペプチド。
[27]
20アミノ酸から50アミノ酸の長さである、前記1~26のいずれか一項に記載のプロファイリングペプチド。
[28]
30アミノ酸から40アミノ酸の長さである、前記1~27のいずれか一項に記載のプロファイリングペプチド。
[29]
配列番号14または配列番号15の配列を含む、前記1~18または24~28のいずれか一項に記載のプロファイリングペプチド。
[30]
配列番号14または配列番号15の配列からなる、前記1~18または24~29のいずれか一項に記載のプロファイリングペプチド。
[31]
前記1~30のいずれか一項に記載のプロファイリングペプチド、および担体を含む、組成物。
[32]
検出試薬をさらに含む、前記31に記載の組成物。
[33]
検出試薬が、3,3’-ジヘキシルオキサカルボシアニンヨージド(DiOC6)である、前記32に記載の組成物。
[34]
検出試薬が電位差色素である、前記32に記載の組成物。
[35]
電位差色素がJC-1またはローダミン123である、前記34に記載の組成物。
[36]
細胞透過化剤を含まない、前記32~35のいずれか一項に記載の組成物。
[37]
細胞をさらに含む、前記32~36のいずれか一項に記載の組成物。
[38]
細胞が癌細胞である、前記37に記載の組成物。
[39]
癌細胞が血液癌である、前記38に記載の組成物。
[40]
血液癌が、多発性骨髄腫、骨髄異形成症候群(MDS)、急性骨髄性白血病(AML)、急性リンパ芽球性白血病(ALL)、急性リンパ球性白血病、慢性リンパ性白血病、慢性リンパ球性白血病(CLL)、マントル細胞リンパ腫、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫、濾胞性リンパ腫、または非ホジキンリンパ腫である、前記39に記載の組成物。
[41]
必要とする対象において癌を処置するための方法であって、治療薬を含む処置レジメンを、Mcl-1依存パーセンテージが少なくとも15%である対象に投与することを含み、Mcl-1依存パーセンテージが、複数の癌細胞の第1の部分を、前記1~30のいずれか一項に記載のプロファイリングペプチドまたは前記31~36のいずれか一項に記載の組成物と接触させることを含むインビトロの方法によって得られる、方法。
[42]
インビトロの方法が、前記複数の癌細胞のミトコンドリアの完全性の変化を検出することをさらに含む、前記41に記載の方法。
[43]
前記複数の癌細胞についてのMcl-1依存パーセンテージが、ミトコンドリアの完全性の変化に少なくとも基づく、前記42に記載の方法。
[44]
対象が少なくとも20%のMcl-1依存パーセンテージを有する、前記41~43のいずれか一項に記載の方法。
[45]
対象が少なくとも30%のMcl-1依存パーセンテージを有する、前記41~44のいずれか一項に記載の方法。
[46]
対象が少なくとも40%のMcl-1依存パーセンテージを有する、前記41~45のいずれか一項に記載の方法。
[47]
治療薬がサイクリン依存性キナーゼ9(CDK9)阻害剤である、前記41~46のいずれか一項に記載の方法。
[48]
CDK9阻害剤がアルボシジブである、前記47に記載の方法。
[49]
Ara-Cもしくはミトキサントロンまたはその両方を投与することをさらに含む、前記41~48のいずれか一項に記載の方法。
[50]
Bcl-2阻害剤を投与することをさらに含む、前記41~49のいずれか一項に記載の方法。
[51]
Bcl-2阻害剤がベネトクラックスである、前記50に記載の方法。
[52]
Ara-Cもしくはダウノルビシンまたはその両方を投与することをさらに含む、前記41~51のいずれか一項に記載の方法。
[53]
Brd4阻害剤もしくはDNAメチルトランスフェラーゼ阻害剤またはその両方を投与することをさらに含む、前記41~52のいずれか一項に記載の方法。
[54]
インビトロの方法が、前記複数の癌細胞の少なくとも第1の部分をジテルペノイドと接触させることをさらに含む、前記41~53のいずれか一項に記載の方法。
[55]
インビトロの方法が、
前記複数の癌細胞の第2の部分を、陰性対照を用いて処理すること、および
前記複数の癌細胞の第3の部分を、陽性対照を用いて処理すること
をさらに含む、前記41~54のいずれか一項に記載の方法。
[56]
インビトロの方法が、前記複数の癌細胞の第1の部分、第2の部分および第3の部分をフローサイトメトリーによって解析することをさらに含む、前記55に記載の方法。
[57]
対象由来の複数の癌細胞についての感受性プロファイルを作成する方法であって、
複数の癌細胞の第1の部分を、前記1~30のいずれか一項に記載のプロファイリングペプチドまたは前記31~36のいずれか一項に記載の組成物と接触させること、および
前記複数の癌細胞の第1の部分のミトコンドリアの完全性の変化を検出すること
を含む、方法。
[58]
ミトコンドリアの完全性の変化に少なくとも基づいて前記複数の癌細胞の第1の部分についてのMcl-1依存パーセンテージを決定することをさらに含む、前記57に記載の方法。
[59]
前記複数の癌細胞の第2の部分を、陰性対照を用いて処理すること、および
前記複数の癌細胞の第3の部分を、陽性対照を用いて処理すること
をさらに含む、前記57または58に記載の方法。
[60]
ミコトンドリア完全性の変化が、ミトコンドリアの膜電位の変化によって測定される、前記42~59のいずれか一項に記載の方法。
[61]
ミトコンドリアの膜電位の変化が、検出試薬を使用して測定される、前記60に記載の方法。
[62]
検出試薬が色素である、前記61に記載の方法。
[63]
ミトコンドリアの完全性の変化が、シトクロムC漏出によって測定される、前記42~59のいずれか一項に記載の方法。
[64]
対象由来の複数の癌細胞についての感受性プロファイルを作成する方法であって、
複数の癌細胞を試料から単離すること、
前記複数の癌細胞を標識と接触させること、
前記複数の癌細胞の第1の部分を、陰性対照を用いて処理すること、
前記複数の癌細胞の第2の部分を、陽性対照を用いて処理すること、
前記複数の癌細胞の第3の部分を、前記1~30のいずれか一項に記載のプロファイリングペプチドまたは前記31~36のいずれか一項に記載の組成物を用いて処理すること、
前記複数の癌細胞の第1の部分、第2の部分および第3の部分を色素と接触させること、ならびに
前記複数の癌細胞の第1の部分、第2の部分および第3の部分をフローサイトメトリーによって解析すること
を含む、方法。
[65]
色素が、3,3’-ジヘキシルオキサカルボシアニンヨージド(DiOC6)である、前記62または64に記載の方法。
[66]
色素が電位差色素である、前記62または64に記載の方法。
[67]
電位差色素がJC-1またはローダミン123である、前記66に記載の方法。
[68]
前記複数の癌細胞が血液癌由来である、前記41~67のいずれか一項に記載の方法。
[69]
血液癌が、多発性骨髄腫、骨髄異形成症候群(MDS)、急性骨髄性白血病(AML)、急性リンパ芽球性白血病(ALL)、急性リンパ球性白血病、慢性リンパ性白血病、慢性リンパ球性白血病(CLL)、マントル細胞リンパ腫、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫、濾胞性リンパ腫、または非ホジキンリンパ腫である、前記68に記載の方法。
[70]
血液癌が急性骨髄性白血病(AML)である、前記69に記載の方法。
[71]
前記複数の癌細胞が対象の末梢血から得られる、前記41~70のいずれか一項に記載の方法。
[72]
前記複数の癌細胞が対象の骨髄から得られる、前記41~71のいずれか一項に記載の方法。
[73]
前記複数の癌細胞が冷凍されている、前記41~72のいずれか一項に記載の方法。
[74]
前記複数の癌細胞の第1の部分が、細胞透過化剤によって透過化されていない、前記41~73のいずれか一項に記載の方法。
[75]
前記複数の癌細胞の第1の部分をジテルペノイドと接触させることをさらに含む、前記57~74のいずれか一項に記載の方法。
[76]
ジテルペノイドがリアノジンである、前記54または75に記載の方法。
[77]
陰性対照が水である、前記54、55または58~76のいずれか一項に記載の方法。
[78]
陽性対照が、カルボニルシアニド-4-(トリフルオロメトキシ)フェニルヒドラゾン(FCCP)、カルボニルシアニドm-クロロフェニルヒドラゾン(CCCP)、またはN5,N6-ビス(2-フルオロフェニル)-[1,2,5]オキサジアゾロ[3,4-b]ピラジン-5,6-ジアミン(BAM-15)である、前記55、56または59~77のいずれか一項に記載の方法。
[79]
陽性対照がCCCPである、前記55、55または59~78のいずれか一項に記載の方法。
[80]
前記複数の癌細胞の第1の部分、第2の部分および第3の部分をフローサイトメトリーによって解析することをさらに含む、前記59~79に記載の方法。
[81]
前記複数の癌細胞の第1の部分、第2の部分および第3の部分のフローサイトメトリーによる解析が、CD45dim、CD13、CD33およびCD34high集団に対してゲーティングすることを含む、前記56または80に記載の方法。
[82]
前記複数の癌細胞の第1の部分、第2の部分および第3の部分のフローサイトメトリーによる解析が、CD45dim、CD3およびCD20high集団に対してゲーティングすることを含む、前記56または80に記載の方法。
[83]
前記1~30のいずれか一項に記載のプロファイリングペプチドまたは前記31~40のいずれか一項に記載の組成物、および検出試薬を含むキット。
[84]
細胞透過化剤を含まない、前記83に記載のキット。
[85]
前記41~82のいずれか一項に記載の方法の工程を含む記載された指示書をさらに含む、前記83または84に記載のキット。
[86]
Mcl-1依存パーセンテージが少なくとも15%である対象において癌の処置に使用するための治療用組成物であって、Mcl-1依存パーセンテージが、
複数の癌細胞の第1の部分を、前記1~30のいずれか一項に記載のプロファイリングペプチドまたは前記31~36のいずれか一項に記載の組成物と接触させること
を含むインビトロの方法によって得られる、治療用組成物。
[87]
Mcl-1依存パーセンテージが少なくとも15%である対象に投与される、治療薬を含む癌治療用組成物であって、Mcl-1依存パーセンテージが、
複数の癌細胞の第1の部分を、前記1~30のいずれか一項に記載のプロファイリングペプチドまたは前記31~36のいずれか一項に記載の組成物と接触させること
を含むインビトロの方法によって得られる、治療用組成物。
[88]
対象が少なくとも20%の予め決定された値のMcl-1依存パーセンテージを有する、前記86または87に記載の治療用組成物。
[89]
対象が少なくとも30%の予め決定された値のMcl-1依存パーセンテージを有する、前記86~88のいずれか一項に記載の治療用組成物。
[90]
対象が少なくとも40%のMcl-1依存パーセンテージを有する、前記86~89のいずれか一項に記載の治療用組成物。
[91]
治療薬がサイクリン依存性キナーゼ9(CDK9)阻害剤である、前記86~90のいずれか一項に記載の治療用組成物。
[92]
CDK9阻害剤がアルボシジブである、前記91に記載の治療用組成物。
[93]
Ara-Cもしくはミトキサントロンまたはその両方の投与をさらに含む、前記86~92のいずれか一項に記載の治療用組成物。
[94]
Bcl-2阻害剤の投与をさらに含む、前記86~93のいずれか一項に記載の治療用組成物。
[95]
Bcl-2阻害剤がベネトクラックスである、前記94に記載の治療用組成物。
[96]
Ara-Cもしくはダウノルビシンまたはその両方の投与をさらに含む、前記86~95のいずれか一項に記載の治療用組成物。
[97]
Brd4阻害剤もしくはDNAメチルトランスフェラーゼ阻害剤またはその両方の投与をさらに含む、前記86~96のいずれか一項に記載の治療用組成物。
[98]
癌細胞が血液癌である、前記86~97のいずれか一項に記載の治療用組成物。
[99]
血液癌が、多発性骨髄腫、骨髄異形成症候群(MDS)、急性骨髄性白血病(AML)、急性リンパ芽球性白血病(ALL)、急性リンパ球性白血病、慢性リンパ性白血病、慢性リンパ球性白血病(CLL)、マントル細胞リンパ腫、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫、濾胞性リンパ腫、または非ホジキンリンパ腫である、前記98に記載の治療用組成物。
[100]
前記複数の癌細胞が対象の末梢血から得られる、前記86~99のいずれか一項に記載の治療用組成物。
[101]
前記複数の癌細胞が対象の骨髄から得られる、前記86~99のいずれか一項に記載の治療用組成物。
[102]
前記複数の癌細胞が冷凍されている、前記86~101のいずれか一項に記載の治療用組成物。
[103]
前記複数の癌細胞の第1の部分が、細胞透過化剤によって透過化されていない、前記86~102のいずれか一項に記載の治療用組成物。
[104]
インビトロの方法が、前記複数の癌細胞のミトコンドリアの完全性の変化を検出することをさらに含む、前記86~103に記載の治療用組成物。
[105]
前記複数の癌細胞についてのMcl-1依存パーセンテージが、ミトコンドリアの完全性の変化に少なくとも基づく、前記104に記載の治療用組成物。
[106]
ミトコンドリアの完全性の変化が、ミトコンドリアの膜電位の変化によって測定される、前記104または105に記載の治療用組成物。
[107]
ミトコンドリアの膜電位の変化が検出試薬を使用して測定される、前記106に記載の治療用組成物。
[108]
検出試薬が色素である、前記107に記載の治療用組成物。
[109]
色素が、3,3’-ジヘキシルオキサカルボシアニンヨージド(DiOC6)である、前記108に記載の治療用組成物。
[110]
色素が電位差色素である、前記108に記載の治療用組成物。
[111]
電位差色素がJC-1またはローダミン123である、前記110に記載の治療用組成物。
[112]
ミトコンドリアの完全性の変化が、シトクロムC漏出によって測定される、前記104または105に記載の治療用組成物。
[113]
インビトロの方法が、少なくとも前記複数の癌細胞の第1の部分をジテルペノイドと接触させることをさらに含む、前記86~112に記載の治療用組成物。
[114]
ジテルペノイドがリアノジンである、前記113に記載の治療用組成物。
[115]
インビトロの方法が、
前記複数の癌細胞の第2の部分を、陰性対照を用いて処理すること、および
前記複数の癌細胞の第3の部分を、陽性対照を用いて処理すること
をさらに含む、前記86~114に記載の治療用組成物。
[116]
陰性対照が水である、前記115に記載の治療用組成物。
[117]
陽性対照が、カルボニルシアニド-4-(トリフルオロメトキシ)フェニルヒドラゾン(FCCP)、カルボニルシアニドm-クロロフェニルヒドラゾン(CCCP)、またはN5,N6-ビス(2-フルオロフェニル)-[1,2,5]オキサジアゾロ[3,4-b]ピラジン-5,6-ジアミン(BAM-15)である、前記115または116に記載の治療用組成物。
[118]
陽性対照がCCCPである、前記117に記載の治療用組成物。
[119]
前記複数の癌細胞の第1の部分、第2の部分および第3の部分のフローサイトメトリーによる解析をさらに含む、前記115~118に記載の治療用組成物。
[120]
前記複数の癌細胞の第1の部分、第2の部分および第3の部分のフローサイトメトリーによる解析が、CD45dim、CD13、CD33およびCD34high集団に対してゲーティングすることを含む、前記115~119に記載の治療用組成物。
[121]
前記複数の癌細胞の第1の部分、第2の部分および第3の部分のフローサイトメトリーによる解析が、CD45dim、CD3およびCD20high集団に対してゲーティングすることを含む、前記111~120に記載の治療用組成物。
【配列表】