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特許7219714レーザーマーキング用熱可塑性化合物のためのアンチモン不含組成物
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  • 特許-レーザーマーキング用熱可塑性化合物のためのアンチモン不含組成物 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-01-31
(45)【発行日】2023-02-08
(54)【発明の名称】レーザーマーキング用熱可塑性化合物のためのアンチモン不含組成物
(51)【国際特許分類】
   C08L 101/00 20060101AFI20230201BHJP
   C08K 3/22 20060101ALI20230201BHJP
   C08K 3/32 20060101ALI20230201BHJP
   C08K 3/34 20060101ALI20230201BHJP
   B23K 26/00 20140101ALI20230201BHJP
【FI】
C08L101/00
C08K3/22
C08K3/32
C08K3/34
B23K26/00 B
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2019544040
(86)(22)【出願日】2018-02-20
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-03-19
(86)【国際出願番号】 EP2018054058
(87)【国際公開番号】W WO2018150033
(87)【国際公開日】2018-08-23
【審査請求日】2021-02-15
(31)【優先権主張番号】17156822.3
(32)【優先日】2017-02-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】517092075
【氏名又は名称】アヴィエント スウィッツァランド ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】100069556
【弁理士】
【氏名又は名称】江崎 光史
(74)【代理人】
【識別番号】100111486
【弁理士】
【氏名又は名称】鍛冶澤 實
(74)【代理人】
【識別番号】100139527
【弁理士】
【氏名又は名称】上西 克礼
(74)【代理人】
【識別番号】100164781
【弁理士】
【氏名又は名称】虎山 一郎
(72)【発明者】
【氏名】ヴォルフ・ユルゲン
(72)【発明者】
【氏名】パン・チュン・イップ
【審査官】岩田 行剛
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-206062(JP,A)
【文献】特開平10-224041(JP,A)
【文献】国際公開第2012/077453(WO,A1)
【文献】中国特許出願公開第103951945(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第103951946(CN,A)
【文献】国際公開第2014/188828(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2011/0165381(US,A1)
【文献】特開2015-066721(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08L 1/00-101/14
C08K 3/22
C08K 3/013
C08K 3/34
B23K 26/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱可塑性ポリマー、酸化ビスマス、
ならびに、ヒドロキシリン酸銅および雲母からなる群から選択される添加剤を含むレーザーマーキング可能なプラスチックであって、酸化ビスマスに対する添加剤の量が2~80質量%であり、レーザーマーキング可能なプラスチックの全質量に対して、酸化ビスマス0.2~5質量%を含み、
熱可塑性ポリマーが熱可塑性のポリウレタンである、
レーザーマーキング可能なプラスチック。
【請求項2】
酸化ビスマスに対する添加剤の量が10~30質量%である、請求項1に記載のレーザーマーキング可能なプラスチック。
【請求項3】
酸化ビスマスの粒径d50が、0.5~20ミクロンである、請求項1~のいずれか一つに記載のレーザーマーキング可能なプラスチック。
【請求項4】
溶融混合法において、酸化ビスマスおよび添加剤を熱可塑性ポリマー中に分散させるステップを含む、請求項1~のいずれか一つに記載のレーザーマーキング可能なプラスチックを製造する方法。
【請求項5】
産業用製品および消費者向け製品、ならびに動物の個々のタグ付けのプラスチックマークをラベル付けするための、請求項1~のいずれか一つに記載のレーザーマーキング可能なプラスチックの使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アンチモンを含まない、レーザーマーキング可能なプラスチック組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
多くのプラスチック用途において、賞味期限または製造業者を示すべき食品包装材や、型の記述またはシリアル番号を加えるべき電子部品にかかわらず、製造された最終製品のマーキングが必要とされる。今日、消費者ならびに産業界は、特に持続可能な調達および製造が望まれる場合、価値連鎖にわたって、透明性および追跡可能性を求める。
【0003】
熱可塑性物質をマーキングしなければならないとき、今日の好ましい技術は非接触レーザーマーキングである。インクによるパッド印刷とは異なり、レーザーマーキングは、溶媒を含まず、非接触であり、優れた適応性および迅速性をもたらす。
【0004】
レーザーマーキングのために、様々な種類の材料およびレーザー技術が利用可能である。
【0005】
プラスチックのレーザーマーキングには、一般に、周波数1064nmのNd:YAGシステムが、安価で、適応性があるゆえに用いられる。しかし、全てのプラスチックが、発された波長内で、同じ吸収能でレーザーとカップリングするわけではない。したがって、レーザーマーキング用添加剤は、例えば、ポリカーボネートなどの、本来レーザーマーキング可能ではない熱可塑性物質のマーキング性を高めるのに必要である。ポリオレフィンまたは熱可塑性ウレタンなどのポリマーには、コントラストおよびエッジ鮮明度の、正確なレーザーマーキング結果をもたらす、追加の添加剤が必要とされる。レーザーマーキング用添加剤は、通常、添加剤または着色濃縮物(マスターバッチ)をポリマー中に希釈することによって、ポリマーに組み込まれる。
【0006】
一般に、レーザーマーキング用添加剤は、2つの異なる作用モード:内在的および非内在的作用性添加剤で作用する。
【0007】
非内在的添加剤は、レーザーのエネルギーを吸収し、周囲のポリマーマトリクスに移動する。ポリマーのフィードバックに応じて、ポリマーは、通常、ポリマー表面に茶色がかった、もしくは灰色がかったコントラストをもたらす炭化し得るか、またはポリマーは、表面で気化して発泡体を形成する傾向がある、短い長さの分子およびモノマーに分解する。これにより、様々な固体相間の界面で、様々な屈折率によって生じる、明るいマーキングが得られる。レーザーマーキングは、その両方のメカニズムの結果でもあり得る。
【0008】
内在的添加剤は、それ自体の化学構造を変化させることによって作用する。例えば、一般に用いられる三酸化アンチモンSbは、暗い色を有するアンチモンSbを減らして、マーキングの十分なコントラストをもたらす。内在的レーザーマーキング用添加剤は、良好に均一化されて、ポリマーマトリクス中に分散されており、したがって、通常、エッジ鮮明度は、非内在的添加剤を用いる場合よりも良好である。
【0009】
しかし、レーザーマーキング用添加剤である三酸化アンチモンは、その毒性特性ゆえに置き換える必要がある。三酸化アンチモンは、健康および環境に危険なものとして分類され、規則(EC)No.272/2008によって、健康に有害なものとして識別されているはずである。
【0010】
特に重要な一態様は、牛の耳タグのマーキングのためのレーザーマーキング用添加剤の使用である。今日、三酸化アンチモンは、こうした製品のマーキングに好ましい添加剤である。しかし、三酸化アンチモンは、環境に配慮しない特性を有し、したがってマーキングで求められる、他の解決法によって置き換えられる可能性のある候補である。代替物がないために、三酸化アンチモンまたはアンチモンを含有する添加剤は、依然としてこの用途に用いられる添加剤の大半である。
【0011】
米国特許第4816374号(Lecomte)(特許文献1)は、家畜動物の耳タグを作り、使用するために、耐摩耗性のフランス規格(番号NF-T-54006)を満たす、ポリウレタンプラスチック材料中のレーザー放射乳白剤物質としての酸化アンチモンの使用を開示している。しかし、健康および安全の理由で、熱可塑性化合物に、アンチモンなどの重金属を使用することは好ましくない。確かに、アンチモンは、哺乳動物で引き起こされ得る健康問題に関して、依然として研究されている。
【0012】
米国特許第6214917号(Linzmeierら)(特許文献2)は、レーザーマーキング可能なプラスチックとして熱可塑性ポリウレタンを開示している。TPUは、それに二酸化スズの被覆を有する顔料を含み、その被覆は、アンチモン、ヒ素、ビスマス、銅、ガリウム、ゲルマニウム、またはその対応する酸化物0.5~20質量%でドープされる。
【0013】
欧州特許第0697433号(特許文献3)は、レーザーマーキングの目的のための銅塩の使用を開示している。例えば、ヒドロキシリン酸銅は、高コントラストレーザーマーキングで高い有効性を有することが周知である。それでも、例えば、牛の耳タグの用途では、ヒドロキシリン酸銅は、動物の排泄物と反応し、色彩変化を生じる可能性があるので、使用が制限される。
【0014】
欧州特許第1190988号(特許文献4)は、レーザーマーキング乳白剤の目的のための、三酸化アンチモンの代替品としてのビスマス含有化合物の使用を特許請求している。しかし、その効果は、Sbと比較して、コントラストでの性能がより低く、またより高価である。
【0015】
独国特許出願公開第102014000359号(特許文献5)において、ビスマス化合物をベースにした顔料、好ましくはレーザー吸収性添加剤としてのその使用、およびそれを調製する方法が特許請求されている。しかし、こうした化合物の製造は、複雑であり、高価である。三酸化アンチモンを好適に置換するには、その費用は、それほど高くない可能性がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0016】
【文献】米国特許第4816374号
【文献】米国特許第6214917号
【文献】欧州特許第0697433号
【文献】欧州特許第1190988号
【文献】独国特許出願公開第102014000359号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
したがって、アンチモンを含まず、レーザー処理後に良好なコントラストをもたらす、安価で、環境および毒性学的に配慮された、レーザーマーキング可能なプラスチックを提供する必要性がある。
【課題を解決するための手段】
【0018】
意外なことに、内在的にレーザーマーキング可能な酸化ビスマスに特定の共吸収性(co-absorbing)添加剤(単に添加剤とも示す)を添加することによって、単独で用いられるとき、これらの添加される物質のみではほとんど効果を示さないものの、レーザーマーキング結果を高めて、高コントラストおよびエッジ鮮明度をもたらすことができる。
【0019】
したがって、本発明の主題は、熱可塑性ポリマー、酸化ビスマス、ならびに小板状ケイ酸塩、および無機の銅、コバルト、アルミニウム、または鉄を含有する顔料からなる群から選択される共吸収性添加剤を含むレーザーマーキング可能なプラスチックであって、酸化ビスマスに対する共吸収性添加剤の量は、2~80質量%、好ましくは5~50質量%、より好ましくは10~40質量%である、レーザーマーキング可能なプラスチックである。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明で用いられる酸化ビスマスは、好ましくはBiである。内在的レーザー活性材料として用いられる酸化ビスマスは、任意の粒径のもの、例えばd500.5~25ミクロンであってもよい。しかし、意外なことに、工業等級粒径は、微細等級またはサブミクロン等級の材料よりも、より良好なコントラスト値デルタL(ΔL)をもたらすことが明らかになった。したがって、酸化ビスマスの好ましい粒径d50は、0.5~20ミクロン、より好ましくは2~10ミクロンである。
【0021】
酸化ビスマスの量は、レーザーマーキング可能なプラスチックの全質量に対して、好ましくは0.2~5質量%、より好ましくは0.5~2.5質量%、最も好ましくは0.75~2質量%である。
【0022】
便宜上、本発明に好適な熱可塑性ポリマーは、全ての熱可塑性ポリマー、好ましくはポリウレタン、アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン、および他のプラストマー系ポリマーである。
【0023】
共吸収性添加剤は、好ましくは、例えば、雲母、タルク、およびカオリンからなる群から選択される、小板状ケイ酸塩、例えばフィロケイ酸塩である。
【0024】
共吸収性添加剤の好ましい粒径d50は、1~20ミクロン、より好ましくは3~10ミクロンである。
【0025】
任意の理論に捉われることなく、共吸収性添加剤は、主に、レーザーシステムによって与えられるエネルギーを吸収するように機能して、酸化ビスマスによって吸収され得る、より多くのエネルギーをもたらすと考えられる。特に、通常、レーザーマーキングでコントラストを示さないフィロケイ酸塩は、酸化ビスマスと共に用いられるとき、共吸収性添加剤として高める効果を有する。
【0026】
一部のレーザーマーキング添加剤、例えば、単独で用いられるとき、かなり不利な点を有するヒドロキシリン酸銅は、酸化ビスマスと組み合わせて用いられるとき、この欠点を示さず、酸化ビスマスの色彩変化の結果も改善する。
【0027】
ヒドロキシリン酸銅は、牛の耳タグで単独で用いられるとき、動物の排泄物と接触して、添加剤がこうした物質と反応することによる、強度の変色をもたらすことがある。
【0028】
また、微細なアルミニウム顔料の使用は、生じる強い灰色のために制限される。また、この場合、酸化ビスマスのレーザーマーキング効果は、色合いに影響を及ぼす可能性がない、ごく少量のアルミニウムを用いることによって改善される。
【0029】
本発明のさらなる主題は、便宜上、好ましくは二軸押出成形機での溶融混合法によって、酸化ビスマスおよび共吸収性添加剤を熱可塑性ポリマー中に分散させるステップを含む、レーザーマーキング可能なプラスチックを製造する方法である。これは、直接配合することによって、または予め分散させた濃縮物である、添加剤マスターバッチを用いることによって行うことができる。
【0030】
マスターバッチが用いられる場合、樹脂は、備えられる最終ポリマーと同じ熱可塑性ポリマーであってもよく、異なるポリマー担体、いわゆる多用途担体であってもよい。こうした担体を、最終ポリマー中に分散させ、添加剤組成物に、混和性の促進などの追加の利点をもたらし、これと共に分散性を改善することができる。これらの多用途担体の一部を使用することの、他の利点は、備えられるべき添加剤充填ポリマーと比較して、機械的性質が改善されることであり得る。さらに、これらのポリマーにより、添加剤中に加えることができる、添加剤をより高濃度にすることができ、その用途のポリマー自体として、費用効率をより良くすることができる。こうした樹脂の例は、EVA(エチレン酢酸ビニル)またはEBA(エチレンアクリル酸ブチル)である。
【0031】
前述の本発明の添加剤に加えて、さらに慣例の添加剤、例えば、UV安定剤、酸化防止剤、ワックス、加工助剤、および着色剤、例えば、顔料、染料、または両方を添加して、レーザーマーキングに対して、特定の色により良好なコントラストをもたらすことができる。
【0032】
本発明のレーザーマーキング可能なプラスチックは、例えば、バーコードまたはシリアル番号による産業用製品および消費者向け製品のラベル付け、ならびに動物の個々のタグ付け、例えば耳タグのプラスチックマークに使用することができる。
【0033】
他の用途は、例えば、廃棄物処理勧告、ロット番号、認証、および他の情報をマーキングしなければならない電気部品および電子部品である。また装飾目的のマーキングを、任意の可能な消費財に施すことができる。プラスチックのレーザーラベル付けは、好ましくは、特定波長1064nmを有するパルスエネルギービームを発するNd-YAGレーザーを用いて実施される。レーザーによる刻印は、上記レーザーの光線経路に試験試料を導入することによって実施される。
【実施例
【0034】
【0035】
【表1】
【0036】
表2に列挙されたいくつかの配合物を、2個の質量式配合装置および副供給装置を備えた、スクリュー径27mmおよびL/D比40の二軸押出成形機「Leistritz ZSE40」で製造した。いわゆる担体樹脂を、主供給装置を介して投入した。他の添加剤および酸化防止剤と共に予め混合された添加剤配合物を、副供給装置を使用して投入した。ダイスからくるストランドを水槽で冷却し、ストランドペレタイザーによって円筒形ペレットに切断した。全てのマスターバッチを、黄色の着色濃縮物3%と共にレットダウンさせ、市販のTPU Elastollan11 85Aで希釈した。
【0037】
これらの、このように製造されたマスターバッチを、BOY35射出成形機で希釈して、熱可塑性ウレタン製のプラークを製造した。
【0038】
これらの、このように製造された射出成形プラークは、構造化され、固められた表面領域を含む。これは、家畜の識別タグの用途で、バーコードスキャナーが適用されるとき、歪みを避けるために特に重要である。
【0039】
例1
異なる配合物のレーザーマーキング効果を試験するために、これらの、このように装備された射出成形プラークをレーザーマーキングシステムに適用した。前述の試験について、Trumpf社による、20Wレーザー源を備えたNd:YAGマーキングレーザー(TruMark3020)を備えた装置を用いた。
【0040】
熱可塑性化合物の高められた吸収を可視化するために、プラークを、いわゆる「試験グリッド」でマーキングした。これと共に、マーキング速度およびパルス周波数などの、主なレーザーマーキングパラメーターを変化させる。結果は、これらの様々なパラメーターの影響を認めることができるマトリクスである。これは、レーザーの光学設定を見つけるのに役立ち、システムのロバスト性を示す。この試験グリッドのより多くの部分が、良好なコントラストを示すほど、そのシステムは、レーザー設定の変化にあまり影響されない。試験の適用性を実証するために、牛の耳タグの用途と同様に、バーは、やはり、特定のレーザーパラメーターで、文字および番号ならびにバーコードをマーキングされた。
【0041】
結果を数値的に定量化するために、黒丸を、試験配合物の各3つの成形プラークにマーキングした。分光器Datacolor SF600(登録商標)PLUS-CTを用いて、マーキングされていないおよびマーキングされたマーキングされた丸の明るさをマーキングし、デルタL値に計算した。負のデルタL値がより高いほど、マーキングコントラストはより良好になる。
【0042】
【表2】
【0043】
結果例1
前述の配合物1では、レーザーマーキングの最先端と称され得る配合物2、とりわけTPUと比較して、コントラストおよびエッジ鮮明度が改善されたことが見出された。これは、共吸収剤と共にマーキングされるとき、酸化ビスマスの量に比例して、デルタL値がより高くなることによって証明される。これにより、前述の混合物が減少し、純粋な酸化ビスマスで得られるのと同じ性能が実現され、大抵の場合、費用を削減し、添加剤配合物の色影響を減らすことになる。
【0044】
また、配合物1および配合物3が、配合物4および配合物5よりもより良好に機能することも認識できる。意外なことに、これによって、中程度から、より大きな粒径の酸化ビスマスは、より小さな粒径のものよりも、より効率的にレーザーエネルギーを吸収するという結論が導かれる。
【0045】
例2
前述したのと同じ、試験試料を製造する方法を用いた、様々な試験を、ColorLite sph900装置を用いて測定した。この装置では、いわゆるK値(明るいコントラスト値)を測定することができる。デルタL値と同様に、結果から、マーキング品質の指標が示されるが、光の反射率も識別される。値がより低いほど、マーキングコントラストはより良好である。
【0046】
これらの試験に用いられたレーザーは、ファイバー技術を備えたDatalogic50Hzであった。3つの異なる測定を、3つの異なるレーザーマーキング速度(1000mm/秒、2000mm/秒、3000mm/秒)を用いて実施した。
【0047】
【表3】
【図面の簡単な説明】
【0048】
結果例2
前述の配合物K5~K12では、配合物K4と比較して、コントラストおよびエッジ鮮明度が改善されることが見出された。これは、単独でマーキングされるとき、かつ共吸収剤と共にマーキングされるとき、酸化ビスマスの量に比例して、K値がより高くなることによって証明された。配合物K2および配合物K3は、ベンチマークと称することができる。同量の活性成分があれば、より低い費用で、アンチモン含有量を含まなくても、コントラストは、同等、またはさらに良好である。
【0049】
雲母は、共吸収剤として用いられるとき、粒径に関して、異なる性能を示すことを認識することもできる。
さらに、本発明は以下の項目を含む。
[項目1]
熱可塑性ポリマー、酸化ビスマス、
ならびに、小板状ケイ酸塩、および無機の銅、コバルト、アルミニウム、または鉄を含有する顔料からなる群から選択される共吸収性添加剤を含むレーザーマーキング可能なプラスチックであって、酸化ビスマスに対する共吸収性添加剤の量が2~80質量%である、レーザーマーキング可能なプラスチック。
[項目2]
酸化ビスマスに対する共吸収性添加剤の量が10~30質量%である、項目1に記載のレーザーマーキング可能なプラスチック。
[項目3]
熱可塑性ポリマーが、熱可塑性のポリウレタン、アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン、または他の非内在的にレーザーマーキング可能なポリマーである、項目1または2に記載のレーザーマーキング可能なプラスチック。
[項目4]
レーザーマーキング可能なプラスチックの全質量に対して、酸化ビスマス0.2~5質量%を含む、項目1~3のいずれか一つに記載のレーザーマーキング可能なプラスチック。
[項目5]
小板状ケイ酸塩がフィロケイ酸塩である、項目1~4のいずれか一つに記載のレーザーマーキング可能なプラスチック。
[項目6]
小板状ケイ酸塩が、雲母、タルク、およびカオリンからなる群から選択される、項目1~5のいずれか一つに記載のレーザーマーキング可能なプラスチック。
[項目7]
酸化ビスマスの粒径d 50 が、0.5~20ミクロンである、項目1~6のいずれか一つに記載のレーザーマーキング可能なプラスチック。
[項目8]
溶融混合法において、酸化ビスマスおよび共吸収性添加剤を熱可塑性ポリマー中に分散させるステップを含む、項目1~7のいずれか一つに記載のレーザーマーキング可能なプラスチックを製造する方法。
[項目9]
産業用製品および消費者向け製品、ならびに動物の個々のタグ付けのプラスチックマークをラベル付けするための、項目1~7のいずれか一つに記載のレーザーマーキング可能なプラスチックの使用。
図1