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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-01-31
(45)【発行日】2023-02-08
(54)【発明の名称】電気化学的エネルギー貯蔵デバイス
(51)【国際特許分類】
   H01G 11/78 20130101AFI20230201BHJP
   H01G 11/62 20130101ALI20230201BHJP
   H01G 11/52 20130101ALI20230201BHJP
   H01G 11/74 20130101ALI20230201BHJP
   H01G 11/12 20130101ALI20230201BHJP
【FI】
H01G11/78
H01G11/62
H01G11/52
H01G11/74
H01G11/12
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2019556734
(86)(22)【出願日】2017-12-27
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-02-06
(86)【国際出願番号】 EP2017084601
(87)【国際公開番号】W WO2018122231
(87)【国際公開日】2018-07-05
【審査請求日】2020-12-25
(31)【優先権主張番号】16207618.6
(32)【優先日】2016-12-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】319008029
【氏名又は名称】マクロキャップス・アンパルツセルスカブ
(74)【代理人】
【識別番号】100069556
【弁理士】
【氏名又は名称】江崎 光史
(74)【代理人】
【識別番号】100111486
【弁理士】
【氏名又は名称】鍛冶澤 實
(74)【代理人】
【識別番号】100139527
【弁理士】
【氏名又は名称】上西 克礼
(74)【代理人】
【識別番号】100164781
【弁理士】
【氏名又は名称】虎山 一郎
(72)【発明者】
【氏名】シャウフル・ライク-ペーター
【審査官】田中 晃洋
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-161245(JP,A)
【文献】特開2001-093508(JP,A)
【文献】特開2016-192435(JP,A)
【文献】特開平11-274004(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01G 11/78
H01G 11/62
H01G 11/52
H01G 11/74
H01G 11/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
筐体と、
第1の複数の第1の電極と、
第2の複数の第2の電極と、
第1および第2の電極の各対の間のセパレータと、
電極間および前記セパレータ内の電解液とを備える、大容量キャパシタであって、
前記第1の複数の第1の電極は、その縁部で第1の端子に各々接続された、少なくとも実質的に平行な平板状導体であり、各第1の電極は、前記第1の端子から第1の所定の方向に沿って所定の第1の距離を延伸し、
前記第2の複数の第2の電極は、互いにかつ前記第1の導体に対して少なくとも実質的に平行であり、その縁部で第2の端子に各々接続された、平板状導体であり、前記第2の複数の導体のうちの1つは、前記第1の複数の隣接する導体対の間に位置決めされ、各第2の電極は、前記第2の端子から第2の所定の方向に沿って所定の第2の距離を延伸し、 前記第1の電極の各々は、前記第1の距離を超える距離にわたって、前記第1の端子に接続され、
前記第2の電極の各々は、前記第2の距離を超える距離にわたって、前記第2の端子に接続され、
前記第1の端子の片側は、前記筐体の外面を形成する周囲に露出され、
前記第2の端子の片側は、前記筐体の外面を形成する周囲に露出され、
前記第1および第2の電極が、前記第1および第2の端子にそれぞれ直接取り付けられる、
前記第1および第2の端子が、前記端子に平行な平面に投影するとき、前記電極が前記端子の内側に接続される2つの最も外側の電極の縁部間の面積を超えない面積を各々有する、大容量キャパシタ。
【請求項2】
前記第1および第2の端子が、前記端子に平行な平面に投影するとき、前記電極が前記端子の内側に接続される2つの最も外側の電極の縁部間の面積を超えない面積を各々有し、かつ、
各端子の片側は、完全に周囲に露出される、
請求項1に記載のキャパシタ。
【請求項3】
前記第1および第2の端子が、前記筐体の2つの相対する外面を形成する、
請求項1または2に記載のキャパシタ。
【請求項4】
前記第1および第2の端子が、前記端子に平行な平面に投影するとき、前記電極が前記端子に接続される前記電極の前記縁部の少なくとも50%で重なり合う面積を各々有する、
請求項1~3のいずれか一つに記載のキャパシタ。
【請求項5】
前記電極が、平板である、
請求項1~4のいずれか一つに記載のキャパシタ。
【請求項6】
前記第1の電極の各々は、前記第1の距離を1.5倍超える距離にわたって、前記第1の端子に接続され、前記第2の電極の各々は、前記第2の距離を1.5倍超える距離にわたって、前記第2の端子に接続される、
請求項1~5のいずれか一つに記載のキャパシタ。
【請求項7】
前記第1の電極の各々は、前記第1の距離を2倍超える距離にわたって、前記第1の端子に接続され、前記第2の電極の各々は、前記第2の距離を2倍超える距離にわたって、前記第2の端子に接続される、
請求項6に記載のキャパシタ。
【請求項8】
少なくとも1つの電極が、底部層と、前記底部層の2つの相対する側面上の被覆とを含む、
請求項1~7のいずれか一つに記載のキャパシタ。
【請求項9】
前記被覆が、大表面積を有する、
請求項8に記載のキャパシタ。
【請求項10】
前記底部層が、導電性材料から作られる
請求項8または9のいずれか一つに記載のキャパシタ。
【請求項11】
前記被覆が、炭素を含む、
請求項8~10のいずれか一つに記載のキャパシタ。
【請求項12】
前記底部層が、アルミニウムを含む、
請求項8~11のいずれか一つに記載のキャパシタ。
【請求項13】
前記電解液が、1-エチル-3-メチルイミダゾリウム ビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド(C11)を含む、
請求項1~12のいずれか一つに記載のキャパシタ。
【請求項14】
前記セパレータは、前記電解液がその内部に通過可能にする孔を備えるPTFEを含む、
請求項1~13のいずれか一つに記載のキャパシタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高密度電気エネルギー貯蔵デバイスに関し、好ましくは、デバイスは、二重層効果が発現する界面において、液体導電体(電解質)が、大表面積を伴う導体(電極)との接触する(好ましくは多孔質炭素、折り畳まれたグラフェンなど)ヘルムホルツ二重層効果に基づいた、高密度電気エネルギー貯蔵デバイスに関する。
【0002】
電気二重層組立体は通常、通過多孔性を有するセパレータによって互いに分離された、負に帯電した炭素複合電極と、正に帯電した炭素複合電極とからなり、一方、両電極の活性層は、微孔性炭素またはグラフェン層と、導電性集電体材料の電極よって形成される。
【背景技術】
【0003】
現況技術のキャパシタの不利な点は、それらが、電流が電極からキャパシタ筐体外の端子までの経路で通過しなければならないボトルネックすなわち先細りを有することである。そのような好ましくない構造は、高い内部抵抗をもたらす。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
電流フローおよび内部抵抗の点で電流制限を克服するために、課題は、今までにない寸法および電流フローを最適化した電極集電体の組立体を発明することであった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
第1の態様では、本発明は、
筐体(ハウジング)と、
第1の複数の第1の電極と、
第2の複数の第2の電極と、
第1および第2の電極の各対の間のセパレータと、
電極間およびセパレータ内の電解液とを備える、大容量キャパシタであって、
第1の複数の第1の電極は、その縁部で第1の端子に各々接続された、少なくとも実質的に平行な平板状導体であり、各第1の電極は、第1の端子から第1の所定の方向に沿って所定の第1の距離を延伸し、
第2の複数の第2の電極は、互いにかつ第1の導体に対して少なくとも実質的に平行であり、その縁部で第2の端子に各々接続された、平板状導体であり、第2の複数の導体のうちの1つは、第1の複数の隣接する導体対の間に位置決めされ、各第2の電極は、第2の端子から第2の所定の方向に沿って所定の第2の距離を延伸し、
第1の電極の各々は、第1の距離を超える距離にわたって、第1の端子に接続され、
第2の電極の各々は、第2の距離を超える距離にわたって、第2の端子に接続され、
第1の端子の片側は、筐体の外面を形成する周囲に露出され、
第2の端子の片側は、筐体の外面を形成する周囲に露出される、大容量キャパシタに関する。
【0006】
本状況において、大容量キャパシタまたはエネルギー貯蔵デバイスは、大きな充電量を貯蔵可能なデバイスであり得る。大容量キャパシタは、250kF、500kF、またはそれ以上などの100kFを超える容量を有し得る。
【0007】
キャパシタは通常、電荷が蓄積し電極間に電界を生成し得る、少なくとも2つの電極を備える。この電荷は、この後再び放出され得る。
【0008】
本キャパシタは、第1の複数の第1の電極と、第2の複数の第2の電極とを備える。第1の電極は、第1の端子に接続され、第2の電極は、第2の端子に接続される。
【0009】
好ましくは、個別の第1の電極は、電極が一つおきに位置決めされるように、2つの隣接する第2の電極の各対の間に延在する。
【0010】
セパレータは、好ましくは、第1および第2の電極の各対の間に配設される。セパレータは、理想的には省略され得るが、第1の電極が第2の電極と直接接触しないことを確実にする役割を果たす。セパレータは、好ましくは、電解液または少なくともそのイオンが、それを通過することを可能にし得る。
【0011】
後述するように、電極は、好ましくは、キャパシタに関して現在最も効率的なタイプである2層タイプのものである。
【0012】
第1および第2の電極は、少なくとも実質的に平行平板状の導体である。この平行形状が、隣接する電極間距離が同一であることを確実にし、高効率および高容量を得るために可能な限り小さくさせ得る。このことは、キャパシタでは、普通のことである。当然、製造不均一性および偏差が生じうるが、好ましくは、電極は、可能な限り平行である。
【0013】
平板形状は、電極が厚さ方向と垂直な平面での最長寸法またはさらに最短寸法と比較して少なくとも5、しかし好ましくは少なくとも10、20、30分の1、またはそれ以下のように非常に薄い厚さを伴う形状を有する、形状である。多くの場合、平板状電極は、平坦または平面であるが、曲げられたまたは巻かれた形状などの任意の形状が使用され得る。好ましくは、電極は、全体で同一の厚さを有する。
【0014】
第1および第2の電極は各々、その片方の縁部で、第1および第2の端子にそれぞれ接続される。
【0015】
第1の電極は、第1の所定の方向に沿って、第1の端子から所定の第1の距離を各々延伸し、第1の電極の各々は、第1の距離を超える距離にわたって第1の端子に接続される。第2の電極の状況も同一である。
【0016】
この状況において、方向は、電極が端子に接続される側面と垂直な方向などの、任意の方向であり得る。次に、第1および第2の方向は、平行かつ反対であり得る。
【0017】
実際には、第1、第2の距離は、第1、第2の電極の任意の部分から端子への最短距離であり得る。
【0018】
したがって、好ましくは、端子から電極の任意の部分への距離は、電極が端子に接続される距離よりも短い。この距離は、好ましくは、端子と電極との間の接触面で画定され、そこから電極を通り当該位置への最短経路として定義される。
【0019】
したがって、端子と電極との間の接触面は、電荷が電極内に移動しなければならない距離と比較して、大きい。この方法で、高速充電は可能である。
【0020】
本キャパシタはそれゆえ、周知の低容量の巻型コンデンサと比較して、電極の各々が、セパレータによってかつ集電体を端子接続部まで拡大することによって、絶縁された複数の層に分割されるという点で異なる。
【0021】
第1および/または第2の電極が長方形である状況では、端子は、長方形のもう一方の側面の長さを超える側面の部分に沿って、好ましくは全体長さで、電極の長手側面に接続され得る。
【0022】
好ましくは、第1および第2の電極は、電極のうちの1つに平行な平面上へと投影するとき、重なり合う。この重なり合いは、好ましくは、片方の電極(第1の電極などの)が隣接する電極(第2の電極などの)の表面に重なり合う断面において、表面の少なくとも50%など、少なくとも60%など、少なくとも70%など、少なくとも80%など、少なくとも90%など、可能な限り大きい。
【0023】
キャパシタは、筐体と第1および第2の対向する導電性表面を有し、第1の対向する導電性表面が第1の複数の電極に接続され、第2の対向する表面が第2の複数の電極に接続される。実際には、第1、第2の導電性表面は、実際の第1、第2の端子の表面である。
【0024】
第1および第2の端子は、筐体の外側導電性表面を形成する。したがって、各端子の片側(内側)は、電極に接続され、各端子のもう一方(外側)は、周囲に露出し、それにより筐体の外面を形成する。したがって、電流は、電極から端子の厚さを横断し筐体の導電性表面へと流れることができ、その結果、低内部抵抗が達成されることになる。
最先端技術によるキャパシタでは、電流は、電極から少なくとも端子に沿って筐体外の接続点へと流れる必要がある。本発明によれば、各端子の片側は、少なくとも部分的に周囲に露出される。好ましくは、各端子の片側は、完全に周囲に露出される
【0025】
好ましくは、第1および第2の端子は、2つの筐体の相対する外面を形成する。したがって、本発明のキャパシタは、2つの相対表面上に露出された端子を伴う筐体内に配設されることが好ましい。このことは、キャパシタが簡単に積層体に積層され得て、より高い電圧を扱うことができる、またはより高い容量を達成するために並列に組合せすることができる、という利点を有する。
【0026】
好ましくは、筐体の2つの最大表面は、第1および第2の第2の端子の外面によって形成され得る。好ましくは、これらの表面は、最も外側の表面であり、その結果、キャパシタは、隣接するキャパシタの電極に接触するように簡単に積層され得る
【0027】
第1および第2の端子は、端子に平行な平面に投影するとき、電極が当該端子に接続される電極の縁部の少なくとも50%、より好ましくは少なくとも75%、特に少なくとも90%で重なり合う面積を各々有する。
【0028】
好ましい実施形態では、第1および第2の第2の端子は、端子に平行な平面に投影するとき、端子に接続される電極よって形成された領域を有する、重なり合う面積を各々有する。好ましくは、端子の当該面積は、電極の当該面積の少なくとも50%、より好ましくは少なくとも75%、特に少なくとも90%で重なり合う。
【0029】
好ましい実施形態では、第1および第2の端子は、端子に平行な平面に投影するとき、電極が端子の内側に接続される2つの最も外側の電極の縁部間の面積を超えない面積を各々有する。
【0030】
好ましい実施形態では、第1および第2の第2の端子は、端子に平行な平面に投影するとき、筐体の残りの部分の外側縁部から突き出ない。
【0031】
好ましくは、第1、第2の導電性表面は、筐体の周囲に露出するだけでなく、それらの表面または側面で筐体の中央離れる方向の最遠部に延伸し、その結果、2つのキャパシタが積層され得て、それによって一方の第1、第2の表面がもう一方と直接係合する。このとき、キャパシタの簡単に積層が可能である。
【0032】
好ましくは、キャパシタ筐体は、2つの大面積の対向側面と小面積の4つの側面を有する箱状であり、2つの大面積の対向側面は、導電性表面を有する、または導電性表面によって構成される。
【0033】
好ましくは、第1の電極の各々は、第1の距離を1.5倍超える距離にわたって、第1の端子に接続され、第2の電極の各々は、第2の距離を1.5倍超える距離にわたって、第2の端子に接続される。この因子は、少なくとも2倍、少なくとも3倍、少なくとも4倍、または少なくとも5倍のより高い場合もある。因子は、電極と端子との間の接触面の単位長によって与えられる充電量に関係する。因子が高いほど、同一電極面積毎の、同一充電毎の充電量は低くなる。因子が高いほど、充電をより速くすることが可能になり、より低い発熱が見られる。
【0034】
ある実施形態では、導体は、平坦である。このことは、大きなキャパシタの製造を容易にする。
【0035】
好ましくは、第1および第2の電極は、第1および第2の端子にそれぞれ直接取り付けられる。この取付けまたは接続は、電極へのまたは電極からの電荷を輸送することになり、好ましくは低抵抗にされる。取付けは、圧入嵌合による、または電極の導電率の少なくとも50%を有する高導電率を有する材料を用いるはんだ付け/溶接による、電極の端子への直接的な固定であってもよい。
【0036】
上述したように、好ましくは、少なくとも1つの電極、しかし好ましくは全ての電極は、底部層または集電体と、底部層の2つの相対する側面上の被覆とを含む。したがって、周知の2層技術が使用され得る。
【0037】
好ましくは、被覆は、炭素を含むときなどかつ/またはナノチューブを含むときに構築されるなど、大表面積を有する。
【0038】
好ましくは、底部層は、アルミニウムなどの導電性材料からなる。
【0039】
好ましくは、電解液は、1-エチル-3-メチルイミダゾリウム ビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド(C11S)を含む。原理的に、水、塩水、その他などの任意の導電性液体が使用され得る。
【0040】
好ましくは、セパレータは、多孔質であり、たとえば電解液がその内部に通過可能にする孔を有するPTFEを含み得る。
【0041】
当然、キャパシタは、電子機器用のPCB取付け用のキャパシタ向けとして知られる筐体などの、任意の種類の筐体内に配設され得る。
【0042】
しかしながら、本キャパシタは主に、全く異なる目的に非常に高い容量が所望される、完全に異なる領域に向けられる。本キャパシタは、送電系統からの電力を貯蔵するような寸法に、たとえば、その周波数が補正される必要があるとき、または余剰電力が後の使用のために貯蔵されることになるとき、作られ得る。したがって、容量および貯蔵されることになる充電量は、通常のキャパシタ用に作られたものよりも何桁も大きな規模である。0.5MFから1MFのオーダーのまたはいっそう高い容量が予見され、それによってキャパシタは、それ自体で10kcmから15kcm(10~15L)またはいっそう大きいサイズあるいは体積を有することになる。
【0043】
後述するように、キャパシタが極性を持ち得るので、表面の物理的な符号が与えられ得て、その結果、キャパシタがどのように互いに接続されるかが重要となる。
【0044】
以下において、図面を用いて好ましい実施形態について説明する。
【図面の簡単な説明】
【0045】
図1】従来技術の大容量キャパシタの図である。
図2】本発明による大容量キャパシタ(筐体が部分的にのみ示されている)の図である。
図3図2のキャパシタ内で用いられる電極の寸法の図である。
図4】筐体を含む図2のキャパシタの側面図である。
図5図4キャパシタの上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0046】
図1は、いくつかの第1および第2の電極を有する、従来技術の大容量キャパシタを示し、その第1の電極12および第2の電極16が示されている。電極は、平行様式で配設され、全ての第1の電極は、第1の端子14に接続され、全ての第2の電極は、第2の端子18に接続される。通常、より高い容量(表面積)を得るために、液体電解質が、電極間に提供され、セパレータ材料(図示せず)が、隣接する各電極対間に配設される。
【0047】
接続は、電極材料の薄い延伸部を介してなされる(上部で)。この設計で見られる問題は、電極上にもたらされる電荷が、端子において使用できるように、電極の狭い延伸部を通り移動しなければならないことである。この狭い延伸部は、ボトルネックを形成し、内部抵抗およびそれによる高速充放電中の発熱を増大させる。さらに、狭い延伸部は、高速充放電速度を全体的に制限する。
【0048】
図2では、本発明によるキャパシタ20が示されており、円の構成部分は、内部構造を示すために拡大されている。構造詳細のより良好な理解のために、キャパシタ筐体の構成要素は図示しない。しかしながら、筐体の外側導電性表面を形成する、第1の端子24および第2の端子28は、示されている。第1および第2の端子24、28は、キャパシタ筐体の2つの相対する表面を形成する。
【0049】
さらに、第1および第2の電極は、交互的平行構造で配設される。さらに、セパレータ27は、隣接する電極の各対の間に配設され、液体電解質が、電極間およびセパレータ内部に提供される。
【0050】
第1の電極22は、第1の端子24に取り付けられ、第2の電極26は、第2の端子28に取り付けられる。
【0051】
しかしながら、電極は、このとき、電荷が直接端子から電極へ供給されるように、その側面に沿って端子に直接取り付けられる。
【0052】
実際、図3を見ると、電極22、26は、好ましくは、四角形であり、端子に直接取り付けられ(上側の太線部)、端子に取り付けられた縁部に沿って幅Wを有し、これは、端子からそれに直角になるように離れる方向の長さである長さLより長い。
【0053】
この構造を用いて、電極に供給される電荷は、大面積全体でそれに供給され、それによって抵抗は低く維持される。加えて、電荷が移動しなければならない距離は、可能な限り短く維持され、それによってさらに、抵抗は最小化され、発熱は最低限に維持され、一方、充放電時間は最適化される。
【0054】
寸法は、キャパシタのパラメータに直接影響を与え得る。長さは、電荷が移動しなければならない距離を、それゆえ、充放電時間ならびに抵抗および発熱を示し、一方、幅は、キャパシタの全体の容量を示す。
【0055】
好ましくは、電極は、内側層と、集電体と、そのコーティングと、電極材料とを含む。
【0056】
好ましい集電体は、高導電率を有し、同時に安価で軽量であるため、アルミニウムから作られる。しかしながら、銅、金、および銀などの他の導体も使用され得る。基本的に任意の導電性元素またはその複合材が、使用され得る。
【0057】
好ましい電極は、多孔質炭素および特にナノチューブを含む材料などの大表面積を有する炭素に基づく材料に基づく。シリコンに基づく材料または金属との複合材などの他の導電性材料が、使用され得る。
【0058】
目下の好ましい電解質は、1-エチル-3-メチルイミダゾリウム ビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド(C11)である。通常、水性の電解質は、高速だが、低分解電圧を有し、一方、有機電解質は、低速だが高分解電圧を有する。当然、高分解電圧を有する高速電解質が所望される。
【0059】
代替の電解質は、プロピレンカーボネート(PC)またはアセトニトリル(AN)のどちらかの中のテトラエチルアンモニウム テトラフルオロホウ酸塩(TEABF)(C20BFN)-(CN(BF)などの一般的な有機電解質であり得る。一般的な水性電解質は、KOHおよびHSOを含む。
【0060】
目下の好ましいセパレータは、PTFEに基づく膜状材料である。好ましくは、セパレータは、化学的に不活性であり、カスタマイズ可能な孔サイズおよび孔分布を有する。
【0061】
代替のセパレータ材料は、紙、布、または個別に調整されたプラスチックであり得る。基本的に、任意の材料が、それが電解質を通過されるのに十分な大きさの孔を有する限り、使用され得る。
【0062】
本キャパシタは特に、非常に大きな充電を伴う使用に好適であり、それゆえ、非常に大きな容量のとき好適である。0.5MFから1MFのオーダーの容量が予見され、それによってキャパシタは、それ自体で10,000cmから15,000cmのサイズあるいは体積を有することになる(10~15L)。したがって、本キャパシタは、PCBに取り付けられる小型のキャパシタとは非常に異なる状況で使用され得る。
【0063】
本キャパシタは、筐体内に配設され(図4および5を参照のこと)、端子24、28は、筐体の外側導電性表面を形成する。好ましくは、端子24、28は、2つの相対する表面上に露出され、その結果、本キャパシタは、より高い電圧を取り扱うことが可能にするために積層体に簡単に積層され得て、またはより高い容量を達成するために並列に組み合わされ得る。
【0064】
したがって、筐体30の2つの最も大きな表面は、端子24、28の外面または電極に接続された構成要素よって形成され得る。筐体30は、好ましくは箱状の筐体である。
好ましくは、これらの表面は、最も外側の表面であり、その結果、キャパシタは、隣接するキャパシタの電極に接触するように簡単に積層され得る。第1および第2の端子24、28は、第1および第2の端子24、28に平行な平面に投影するとき、筐体30の残りの部分の外側縁部から突き出ない。端子に平行な平面に投影するとき、第1および第2の端子24、28は、電極が当該端子の内側に接続され、電極の当該面積の少なくとも50%、より好ましくは少なくとも75%、特に少なくとも90%をさらに有する、電極の縁部の少なくとも50%、より好ましくは少なくとも75%、特に少なくとも90%で重なり合う面積を各々有する。
【0065】
図5では、図4のキャパシタが上部から示されている。したがって、周囲に露出された端子28は、端子に平行な平面に投影するとき(
【0066】
【数1】
平面図)、端子の内側に接続される2つの最も外側の電極の縁部間の面積を超えない、面積を各々有する。
【0067】
さらに、本タイプのキャパシタは通常極性を与えられるので、突出した構成要素32は、外側導電性表面を形成する端子28を備える筐体30の側面に、配置され得る。対応する出入りが、さらなる外側導電性表面を形成する端子24を備える筐体30の相対する側面(図示せず)に配設される。したがって、突出した構成要素32は、一方の極性に配設され、もう一方の他のキャパシタの反対に極性を与えられた表面が筐体の端子28に接続されることを避け得る。これは、積層するときの、キャパシタの簡単な物理的符号化を保証する補正アタッチメントである。
また、本発明は以下の項目を含む。
[項目1]
筐体と、
第1の複数の第1の電極と、
第2の複数の第2の電極と、
第1および第2の電極の各対の間のセパレータと、
電極間および前記セパレータ内の電解液とを備える、大容量キャパシタであって、
前記第1の複数の第1の電極は、その縁部で第1の端子に各々接続された、少なくとも実質的に平行な平板状導体であり、各第1の電極は、前記第1の端子から第1の所定の方向に沿って所定の第1の距離を延伸し、
前記第2の複数の第2の電極は、互いにかつ前記第1の導体に対して少なくとも実質的に平行であり、その縁部で第2の端子に各々接続された、平板状導体であり、前記第2の複数の導体のうちの1つは、前記第1の複数の隣接する導体対の間に位置決めされ、各第2の電極は、前記第2の端子から第2の所定の方向に沿って所定の第2の距離を延伸し、 前記第1の電極の各々は、前記第1の距離を超える距離にわたって、前記第1の端子に接続され、
前記第2の電極の各々は、前記第2の距離を超える距離にわたって、前記第2の端子に接続され、
前記第1の端子の片側は、前記筐体の外面を形成する周囲に露出され、
前記第2の端子の片側は、前記筐体の外面を形成する周囲に露出され、
前記第1および第2の電極が、前記第1および第2の端子にそれぞれ直接取り付けられる、
前記第1および第2の端子が、前記端子に平行な平面に投影するとき、前記電極が前記端子の内側に接続される2つの最も外側の電極の縁部間の面積を超えない面積を各々有し、かつ/または
各端子の片側は、完全に周囲に露出される、
大容量キャパシタ。
[項目2]
前記第1および第2の端子が、前記端子に平行な平面に投影するとき、前記電極が前記端子の内側に接続される2つの最も外側の電極の縁部間の面積を超えない面積を各々有し、かつ、
各端子の片側は、完全に周囲に露出される、
項目1に記載のキャパシタ。
[項目3]
前記第1および第2の端子が、前記筐体の2つの相対する外面を形成する、
項目1または2に記載のキャパシタ。
[項目4]
前記第1および第2の端子が、前記端子に平行な平面に投影するとき、前記電極が前記端子に接続される前記電極の前記縁部の少なくとも50%、より好ましくは少なくとも75%、特に少なくとも90%で重なり合う面積を各々有する、
項目1~3のいずれか一つに記載のキャパシタ。
[項目5]
前記電極が、平板である、
項目1~4のいずれか一つに記載のキャパシタ。
[項目6]
前記第1の電極の各々は、前記第1の距離を1.5倍超える距離にわたって、前記第1の端子に接続され、前記第2の電極の各々は、前記第2の距離を1.5倍超える距離にわたって、前記第2の端子に接続される、
項目1~5のいずれか一つに記載のキャパシタ。
[項目7]
前記第1の電極の各々は、前記第1の距離を2倍超える距離にわたって、前記第1の端子に接続され、前記第2の電極の各々は、前記第2の距離を2倍超える距離にわたって、前記第2の端子に接続される、
項目6に記載のキャパシタ。
[項目8]
少なくとも1つの電極が、底部層と、前記底部層の2つの相対する側面上の被覆とを含む、
項目1~7のいずれか一つに記載のキャパシタ。
[項目9]
前記被覆が、大表面積を有する、
項目8に記載のキャパシタ。
[項目10]
前記底部層が、導電性材料から作られる
項目8または9のいずれか一つに記載のキャパシタ。
[項目11]
前記被覆が、炭素を含む、
項目8~10のいずれか一つに記載のキャパシタ。
[項目12]
前記底部層が、アルミニウムを含む、
項目8~11のいずれか一つに記載のキャパシタ。
[項目13]
前記電解液が、1-エチル-3-メチルイミダゾリウム ビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド(C 11 )を含む、
項目1~12のいずれか一つに記載のキャパシタ。
[項目14]
前記セパレータは、前記電解液がその内部に通過可能にする孔を備えるPTFEを含む、
項目1~13のいずれか一つに記載のキャパシタ。
図1
図2
図3
図4
図5