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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-01-31
(45)【発行日】2023-02-08
(54)【発明の名称】電磁調理器
(51)【国際特許分類】
   H05B 6/12 20060101AFI20230201BHJP
【FI】
H05B6/12 312
H05B6/12 305
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2020008257
(22)【出願日】2020-01-22
(65)【公開番号】P2021118041
(43)【公開日】2021-08-10
【審査請求日】2021-10-01
(73)【特許権者】
【識別番号】519452644
【氏名又は名称】野口 俊雄
(74)【代理人】
【識別番号】100122552
【弁理士】
【氏名又は名称】松下 浩二郎
(74)【代理人】
【識別番号】100092808
【弁理士】
【氏名又は名称】羽鳥 亘
(74)【代理人】
【識別番号】100140981
【弁理士】
【氏名又は名称】柿原 希望
(72)【発明者】
【氏名】野口 俊雄
【審査官】杉浦 貴之
(56)【参考文献】
【文献】特開平03-289086(JP,A)
【文献】特表2008-541392(JP,A)
【文献】国際公開第2011/114603(WO,A1)
【文献】特開2001-221443(JP,A)
【文献】特開平04-039525(JP,A)
【文献】特開2009-117091(JP,A)
【文献】特開2005-322511(JP,A)
【文献】特開2011-192659(JP,A)
【文献】実開昭62-009395(JP,U)
【文献】実開昭61-030992(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05B 6/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
天板の下に電磁誘導式の加熱コイルを有して前記天板の上に載置した調理器具を加熱する加熱部を備えているとともに、前記天板上面の少なくとも一部が所定温度以上の高温状態であることを表示する高温表示部を前記天板の所定位置に配置してなる電磁調理器において、前記高温表示部は、所定の色を有した半透明ガラス製の前記天板の下に配置したLEDが点灯することで、LED光が前記天板を透過して外部から目視可能な状態で発光しながら前記高温状態の表示を行ものであり、前記高温表示部になる位置の前記天板の上面には、設定した温度未満で前記天板の上面の配色に略等しい明度・色調を維持し前記設定した温度以上で可逆的に無色になる示温塗料を塗布してなる示温部分を備えており、前記示温部分は、その位置の前記天板の上面温度が前記設定した温度未満で有色状態を維持して下方からの前記LED光の透過量を制限し、前記設定した温度以上で無色となって前記透過量を増大させる、ことを特徴とする電磁調理器。
【請求項2】
前記高温表示部では、異なる設定温度の前記示温塗料を塗布してなる複数種類の前記示温部分を備えており、前記天板の上面の温度変化に応じて部分的に前記LED光の透過状態を変化させながら前記温度変化を段階的に表示可能とされている、ことを特徴とする請求項1に記載した電磁調理器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、天板の下方に電磁誘導式の加熱コイルを備えた電磁調理器に関し、殊に、高温の天板に触って火傷を負わないように注意喚起するための高温表示手段を天板の一部に備えた電磁調理器に関する。
【背景技術】
【0002】
電磁調理器において鍋やフライパン等の調理器具を載せる耐熱ガラス製の天板は、調理中及び調理後しばらくの間は高温の状態になっているのが通常であるが、その高温状態が見た目では分かりにくいため、天板の上面にうっかり触れて火傷を負ってしまうことが問題となっている。
【0003】
この問題に対し、特開平5-52354号公報には、天板上に複数配置した加熱部(調理部)の前方側において、天板の下に配置した複数個のLEDが点灯することで高温状態を表示する高温表示部を各々設け、各加熱部に配置した温度センサの検出温度に応じて表示部のLEDの点灯・消灯を各々制御するものとして、安全な低温であるときは総てのLEDが消灯し、それよりも高温のときにはその温度が高くなるほど点灯個数が増加する方式とした電磁調理器が提案されている。
【0004】
このように、温度センサによる検出温度が所定温度以上であるときに、加熱部付近に配置した高温表示部を発光させて注意喚起を行うとともに、高温の程度に応じて点灯状態を変化させる方式を採用したことで、使用者が天板の温度状態を容易に把握できるようにして電磁調理器を安全に使用しやすいものとしている。
【0005】
また、特開2003―142245号公報には、複数個配置した加熱部の各々に熱源の運転状態を点灯により報知する光サイン表示部を設けるとともに、各熱源に配置した温度センサよる検出温度が予め設定した温度以上に達した場合に高温表示を行う1個の高温表示部を備えた電磁調理器も提案されており、温度センサが設定温度以上であることを検出した場合に、光サイン表示部と高温表示部の両方を点灯させることで、高温部分の表示を一層認識しやすいものとしている。
【0006】
また、上述した電磁調理器は、加熱部の運転終了後に電源スイッチを切った後においても、天板が所定温度以上の高温の場合は高温表示を継続するようになっており、電源をOFFにした後であっても高温の天板に触れないように注意喚起を継続するようにしている。
【0007】
しかし、上述した先行技術を含む高温表示機能を備えた従来の電磁調理器は、各加熱部に配置した温度センサの検出温度に基づいて制御手段が天板の温度状態を判定しながら高温表示部の発光を制御する、という複雑な構成であるため、電磁調理器の製造コストが嵩みやすくなるという難点がある。
【0008】
また、高温表示部は、それが発光しない状態においても天板上でその存在が認識できる態様で配置されているため、電磁調理器における天板の美観・デザイン性を損ないやすかった。さらに、その高温表示部は、加熱部の操作手段を配置した側にのみ配置されることから、卓上型の電磁調理器の場合はその周囲総てに人が存在する可能性があるため、その高温表示を認識しにくい位置では高温の注意喚起が機能しにくい状況も生じていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【文献】特開平5-52354号公報
【文献】特開2003―142245号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、上記のような問題を解決しようとするものであり、電磁調理器について、美観の低下とコストの高騰を伴うことなく天板の高温状態を認識しやすいものとすることを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0011】
そこで、本発明は、天板の下に電磁誘導式の加熱コイルを有して天板上に載置した調理器具を加熱する加熱部を備えているとともに、天板上面の少なくとも一部が所定温度以上の高温状態であることを表示する高温表示部を天板の所定位置に配置してなる電磁調理器において、その高温表示部は、所定の色を有した半透明ガラス製の天板の下に配置したLEDが点灯することで、LED光が天板を透過して外部から目視可能な状態で発光しながら高温状態の表示を行う、ことを特徴とするものとした。
【0012】
このように、半透明ガラス製の天板の下に配置したLEDを点灯させて高温表示を行う方式を採用したことで、安全な温度の通常状態においては、天板が半透明ガラス製であることで天板下方に配置したLED等の高温表示機能を発揮する部分が外部から目視しにくい状態となり、すっきりとした外観の天板を実現して電磁調理器の美観を確保しやすいものとなり、天板が危険な高温状態になった場合は、LEDが点灯して天板を透過しながら高温表示部が発光して、注意喚起の表示が明瞭に表示されるため、天板が高温状態であることを認識しやすいものとなる。
【0013】
また、この電磁調理器において、その高温表示部は、少なくとも加熱運転が終了した時点から予め設定した時間は高温状態の表示を行うものとされ、その設定時間の経過前に主電源を切っても前記表示を継続する、ことを特徴としたものとすれば、温度センサによる検出温度データを用いない単純な構成による低廉なコストで高温表示機能を実現できるとともに、主電源を切った後でも安全性を確保しやすいものとなる。
【0014】
さらに、上述した電磁調理器において、その高温表示部になる位置の天板上面には、設定温度未満で天板上面の配色に略等しい明度・色調を維持し設定温度以上で可逆的に無色になる示温塗料を塗布してなる示温部分を備えており、この示温部分は、その位置の天板上面温度が前記設定温度未満で有色状態を維持して下方からのLED光の透過量を制限し、前記設定温度以上で無色となって前記透過量を増大させる、ことを特徴としたものとすれば、天板の美観を損なうことなく天板上面における実際の温度変化を詳細に表示することが可能となる。
【0015】
この場合、その高温表示部では、異なる設定温度の示温塗料を塗布してなる複数種類の示温部分を備えており、天板上面温度の変化に応じて部分的にLED光の透過状態を変化させながら天板上面の温度変化を段階的に表示可能とされている、ことを特徴としたものとすれば、使用者が天板上面の温度変化状況をより詳細に認識できるようになるため、一層安全に使用しやすいものとなる。
【0016】
さらにまた、上述した電磁調理器において、その高温表示部には、非透光性で天板表面の配色と同等以下の明度の塗料からなる注意喚起のための文字が1つ以上表示されており、LED光が天板を透過して高温表示部が発光している状態で、前記文字が外部から認識可能な状態に表示される、ことを特徴としたものとすれば、使用者が天板の高温状態を一層認識しやすいものとなる。
【0017】
加えて、上述した電磁調理器は、1つの加熱部を有して天板が平面視略正方形を呈した卓上式のものとされ、前記高温表示部が加熱部を囲むように天板の4つの側辺に沿って各々配置されている、ことを特徴としたものとすれば、総ての方向から天板の高温状態を認識しやすいものとなる。
【発明の効果】
【0018】
半透明ガラス製の天板の下方に配置したLEDを点灯させることで高温表示を行うものとした本発明によると、美観の低下とコストの高騰を伴うことなく天板の高温状態を認識しやすいものとなる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明における実施の形態である電磁調理器の平面図である。
図2図1の電磁調理器の高温表示部の詳細を示す拡大した縦断面部分図である。
図3図2の高温表示部の一例を示す平面部分図であって、(A)は安全な通常の温度状態、(B)は危険な高温状態である。
図4図2の高温表示部の応用例を示す縦断面部分図である。
図5図4の高温表示部の一例を示す平面部分図であって、(A)は加熱部が100℃の状態、(B)は加熱部が60℃に低下した状態、(C)は加熱部が45℃に低下した状態、(D)は加熱部が25℃に低下した状態である。
図6図1の電磁調理器の変形例を示す平面図である。
図7図6の電磁調理器の応用例を示す平面図である。
図8図7の電磁調理器における高温表示部の詳細を示す拡大した縦断面部分図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下に、図面を参照しながら本発明を実施するための形態を説明する。
【0021】
図1は、本実施の形態である電磁調理器1Aを示している。この電磁調理器1Aは、耐熱ガラス製の天板10の下に図示しない電磁誘導式の加熱コイルが配置されて天板10に載せた調理器具を加熱する2つの加熱部10a,10bと、天板10の前方側でこれと面一の状態に配置された操作部14とを備えた、薄型で2口式で薄型の加熱調理器具である。
【0022】
また、この電磁調理器1Aでは、その加熱部10a,10bの位置及びその付近において、天板10の上面が所定温度以上の高温状態であることを表示して使用者が天板10に触って火傷を負わないように注意喚起を行う高温表示部7a,7bが、天板10における加熱部10a,10bの近接位置に配設されている。
【0023】
その高温表示部7a,7bは、図2の縦断面部分図に示すように、半透明ガラス製の天板10の下に配置した照明体15の複数個のLED150が点灯することで外部から目視可能な状態で発光して、これに近接している加熱部10a,10bのある位置及びその付近の天板10上面が高温状態であることを表示する機能を有しており、この点が本発明における第1の特徴部分となっている。
【0024】
本実施の形態では、その天板10に黒やダークブラウン等の暗色系で通常は反対側が透視しにくい半透明ガラス(耐熱ガラス)を使用することを想定しており、その天板10の下方でこれを支持する支持板12を、平面視長方形の高温表示部7a,7bの位置・形状に合わせて切り欠いた切欠き部121が形成され、その下方に、その形状に沿ってLED150,150,150,150を並べて配置するとともに、高温表示部7a,7bになる天板10の表面に非透光性で天板10の配色と同等以下の明度を有した塗料による注意喚起用の文字101,102,103,104,105を表示している。
【0025】
図3は、本実施の形態における高温表示部7aの平面視の状態を示しており、図(A)は天板10が安全な温度の通常の状態、(B)は天板10が危険な高温の状態を示している。図(A)に示したように、天板10は暗色系の半透明の耐熱ガラスであるため、高温表示部7aにおける支持板12の長方形の切欠き部121及びその下方に配置したLED150,150,150,150は上方から殆ど目視することができず、最上面に設けた文字101,102,103,104,105も、非透光性で天板10表面の配色に略等しい黒等の明度・色調になる塗料で表示されているため、殆ど目立たない状態となっている。
【0026】
そして、天板10の裏側でLED150が点灯すると、図(B)に示したように、切欠き部121の部分及び半透明の天板10をLED光が透過して、長方形の高温表示部7aの全体が発光するとともに、その部分に設けた文字101,102,103,104,105による「高温注意」の表示が浮かび上がって目視可能な状態となり、天板10が高温であることを使用者に対して明瞭に注意喚起を行うものである。
【0027】
このように、半透明ガラスからなる天板10の下方に配置したLED150を点灯させて高温表示を行う方式を採用したことで、天板10が安全な温度の状態では、天板10が半透明であることでその下方にある消灯状態のLED150等が外部から目視しにくくなるため、高温表示部10a,10bが目立たないすっきりとした外観の天板10となるため、電磁調理器1Aにおける美観を確保しやすいものとしている。
【0028】
一方、天板10が火傷を負う可能性があるような高温状態においては、天板10の下に配置したLED150が点灯して高温表示部10a,10bが発光しながら注意喚起を行うようになっている。このように、本実施の形態の電磁調理器1Aは、簡易な構成による低コストなものでありながら、天板10が高温状態であるときに、それを容易に認識することができる。
【0029】
尚、天板10の加熱部10a,10bの位置及びその付近が危険な高温状態であるときに、高温表示部7a,7bにおいてLED150を点灯させるための方式としては、従来例と同様に加熱部10a,10bに配置した温度センサの検出温度を基に、制御手段が所定範囲の温度域を検出している間は該当する高温表示部10a,10bのLED150を点灯させる方式のほか、加熱部10a,10bが加熱運転している間は高温表示部10a,10bを点滅状態で発光させるとともに、加熱運転終了後の所定時間は一律に点灯させる方式とすることが推奨される。このようにすることで、温度センサによる検出と複雑な制御システムを用いない簡易な構成で済むものとなり、低廉なコストで確実な高温表示機能を実現することができる。
【0030】
また、加熱運転終了後も所定時間点灯させる方式の場合は、様々な状況で実際に加熱調理を行いながら、加熱部10a,10bの天板10の上面温度を連続的に計測し、触っても火傷の心配のない例えば40℃以下になる時間を求めるとともに、所定の安全係数を掛けて点灯時間(例えば15分)を決定して、その時間を予め設定しておくとともに、所定の計時手段でLED150の点灯・消灯を操作することが想定される。また、この場合、安全性確保の観点から主電源を切った場合でも、設定時間の経過前であれば点灯を継続させることが好ましい。
【0031】
図4は、図2の高温表示部7aの応用例としての高温表示部8aを示している。この例では、その高温表示部8aになる位置の天板10上面に、設定温度未満で天板10上面の配色に略等しい明度・色調を維持し設定温度以上で可逆的に無色(透明)になる示温塗料を塗布した部分としての示温部分802,803を備えている点を特徴としている。
【0032】
また、この高温表示部8aは、耐熱性に優れた透明の粘着シート800を高温表示部8aの形状・サイズに合わせて長方形のテープ状にしたものの上に、異なる設定温度の示温塗料を塗布してなる示温部分802,803を設けるとともに、その左右両端側に示温塗料を塗らない透明部分801,804を設けてなる示温テープ80とし、この示温テープ80でLED光を通過させる切欠き部121の上方を覆うように貼付してなるものであり、その示温部分802,803には、その上面に上述した高温表示部7aと同様の注意喚起用の文字が表示されている。
【0033】
このような構成を備えた高温表示部8aにおいては、その位置の天板10の上面温度が示温塗料の配合により予め設定した温度未満である場合は、示温部分802,803の下方からのLED光の透過量を制限してその部分における発光量を低減させ、設定温度以上ではLED光の大部分を透過させてその部分における発光量を増大させることができ、天板10及び電磁調理器1Aの美観を損なうことなく実際の天板10の上面温度の変化を詳細に表示することが可能となる。
【0034】
また、この高温表示部8aにおいては、示温部分802,803が異なる設定温度の示温塗料を塗布したものであるため、天板10の上面温度の変化に応じて部分的にLED光の透過状態を変化させながら、前記上面温度の変化を段階的に表示可能としている。これにより、使用者が天板10上面の温度変化の状況をより詳細に認識できるようにして、その安全性を一層確保しやすいものとしている。
【0035】
図5は、図4に示した高温表示部8aの作動状態の一例を部分平面図で段階的に示している。電磁誘導加熱を用いる電磁調理器においては、その加熱運転による天板の温度上昇は、調理器具を載せる加熱部と比べてその周囲部分は比較的小さいことが分かっている。しかし、ある程度時間が経過した状況にあっては、天板の熱伝導により加熱部の周囲側もある程度温度上昇するとともに、その温度の低下についても加熱部の温度低下とある程度の相関関係を有しているため、その相関関係について実機を用いて調べることにより、その高温表示部における示温部分の設定温度を決定することができる。
【0036】
図(A)を参照して、この例では、示温部分802の設定温度が40℃、示温部分803の設定温度が30℃としているところ、加熱運転終了後の天板10の上面温度は、加熱部10aによる加熱位置が100℃の場合に高温表示部8aの表示位置が50℃であるとすると、示温部分802,803の両方が無色となり、両端側の透明部分801.804も含む総ての部分が下方からのLED光を透光させながら高温表示部8aを発光させて「高温注意」の文字を明瞭に表示している。
【0037】
その後、時間が経過し、図(B)に示すように、加熱位置が60℃、表示位置35℃に低下すると、示温部分802は有色となってLED光の透過量を大幅に制限して、その部分が天板10の配色に近くなるとともに「高温」の文字が目立たなくなり、示温部分803の「注意」の文字のみが目立って表示される態様となり、天板10の温度がやや下がったことを認識できるようになる。
【0038】
それからさらに時間経過し、図(C)に示すように、加熱位置が45℃、表示位置が25℃に低下すると、示温部分803も有色となって前述と同様に「注意」の文字も目立たなくなるとともに発光面積が大幅に縮小することで、天板10の温度がさらに下がったことが認識可能な状態となる。その後、図(D)に示すように、加熱運転終了後、設定された15分を経過した状況においては、加熱位置は25℃となって天板10に触れても安全な状態となっており、LED150は消灯して高温表示部8aが天板10の配色とほぼ同様になり、殆ど目立たない状態となっている。
【0039】
図6は、図1の電磁調理器1Aの変形例としての電磁調理器1Bを示している。この電磁調理器1Bは、加熱部11aを1つ有しているとともに天板11が正方形を呈した卓上式のものとされ、天板11の前方には操作部15を備えている。また、その正方形の天板11においては、高温表示部8c,8d,8e,8fが、加熱部11aを囲むように正方形の4辺に沿うように配置されている点を特徴としており、総ての方向から天板の高温状態を認識しやすいものとしている。
【0040】
図7は、図6の電磁調理器1Bの応用例としての電磁調理器1Cを示している。この電磁調理器1Cにおいては、操作部15側の高温表示部8cはそのままであるが、残りの高温表示部9a,9b,9cは、図8の縦断面部分図に示すように、明度が高く明るい色の粘着シート900を長方形のテープ状にカットしたものの上面に、図中左側から25℃設定の示温塗料による示温部901、40℃設定の示温塗料による示温部分902、30℃設定の示温塗料による示温部分903、25℃設定の示温塗料による示温部分904を並べて配置してなる示温テープ90を貼付してなるものとした点を特徴としている。
【0041】
このような示温テープ90を天板11上面に貼付して配置することで、それによる高温表示部9a,9b,9cは、その位置の温度が25℃未満では総て暗色を呈してその下側の粘着シート900表面の明るい地色(白やオレンジ等、或いは蛍光色)を総て覆いながら周囲の天板11の配色に溶け込んで目立たない態様となり、その位置の温度が25℃以上、30℃以上、40℃以上になるに従って、明るい色の表示面積を拡大するとともに最上面に設けた文字が目立ちやすくなるものとして、高温表示としての機能を充分に発揮するものとしている。
【0042】
また、このように、LEDの点灯を制御する方式による高温表示部8cの他の3つの高温表示部9a,9b,9cが、LEDを用いずに示温塗料による温度の変化状況を表示する示温テープ90を貼付する構成を採用したことにより、上述した電磁調理器1Bと比べて製造コストを大幅に低減することができる。
【0043】
以上、述べたように、電磁調理器について、本発明により、美観の低下とコストの高騰を伴うことなく、天板の高温状態を認識しやすいものとなった。
【符号の説明】
【0044】
1A,1B,1C 電磁調理器、7a,7b,8a,8c,8d,8e,8f,9a,9b,9c 高温表示部、10,11 天板、101,102,103,104 文字、150 LED、803,804,901,902,903,904 示温部分
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8