(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-01-31
(45)【発行日】2023-02-08
(54)【発明の名称】パターン化シリンダを使用して紙製品を作製する方法
(51)【国際特許分類】
D21F 3/02 20060101AFI20230201BHJP
D21F 11/00 20060101ALI20230201BHJP
D21F 3/04 20060101ALI20230201BHJP
D21F 9/00 20060101ALI20230201BHJP
D21F 3/10 20060101ALI20230201BHJP
【FI】
D21F3/02 Z
D21F11/00
D21F3/04
D21F9/00
D21F3/10
(21)【出願番号】P 2020502125
(86)(22)【出願日】2018-07-27
(86)【国際出願番号】 IB2018055644
(87)【国際公開番号】W WO2019030603
(87)【国際公開日】2019-02-14
【審査請求日】2021-06-15
(32)【優先日】2017-08-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2018-06-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】517310924
【氏名又は名称】ジーピーシーピー アイピー ホールディングス エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】110001210
【氏名又は名称】弁理士法人YKI国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ルースベン ポール ジェイ
(72)【発明者】
【氏名】ハーパー フランク ディー
(72)【発明者】
【氏名】ロビンソン マーク エル
【審査官】長谷川 大輔
(56)【参考文献】
【文献】特許第6989511(JP,B2)
【文献】特開平10-245790(JP,A)
【文献】特表2008-500909(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2012/0180966(US,A1)
【文献】特表2009-512791(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
D21B1/00-1/38
D21C1/00-11/14
D21D1/00-99/00
D21F1/00-13/12
D21G1/00-9/00
D21H11/00-27/42
D21J1/00-7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
繊維シートを作製する方法であって、前記方法が、
(a)製紙繊維の水溶液から初期ウェブを形成することと、
(b)前記初期ウェブを移送表面上に移動させることと、
(c)パターン化シリンダの透過性パターン化表面を、
20パーセントの固形分~
70パーセントの固形分の粘稠性を有する前記初期ウェブと接触させることであって、前記パターン化シリンダが、内部及び外部を含み、前記透過性パターン化表面が、(i)前記パターン化シリンダの前記外部上に形成され、(ii)複数の凹部及び複数の突出部
を有し、かつ(iii)空気に対して透過性である、接触させることと、
(d)前記透過性パターン化表面の弧長にわたって、前記移送表面と前記透過性パターン化表面との間で前記初期ウェブを搬送することであって、前記弧長が、成形ゾーンの少なくとも一部分を形成する、搬送することと、
(e)
前記パターン化シリンダの前記内部に
真空を適用
して、前記透過性パターン化表面
の弧長にわたって前記パターン化シリンダの前記内部に空気を流動させる、適用することと、
(f)前記成形ゾーン内で前記移送表面から前記パターン化シリンダの前記透過性パターン化表面に前記初期ウェブを移送することであって、前記真空が、前記移送表面から前記パターン化シリンダの前記透過性パターン化表面への前記初期ウェブの前記移送中に適用され、そのため、前記初期ウェブの製紙繊維が、(i)前記透過性パターン化表面上に再分配され、かつ(ii)前記成形ゾーン内の前記透過性パターン化表面の前記複数の凹部及び前記複数の突出部のうちの少なくとも1つによって形状化されて、成形された紙ウェブを形成する、移送することと、
(g)前記成形された紙ウェブをピックアップ表面に移送することと、
(h)前記成形された紙ウェブを乾燥セクションにおいて乾燥させて、繊維シートを形成することと、を含む、方法。
【請求項2】
パターン化シリンダの透過性パターン化表面を前記初期ウェブと接触させる工程において、前記初期ウェブが、
20パーセントの固形分~
35パーセントの固形分の粘稠性を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記初期ウェブを脱水して、脱水されたウェブを形成することを更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記脱水することが、シュープレス、ロールプレス、真空脱水、変位プレス及び熱乾燥のうちの少なくとも1つを使用して前記初期ウェブを脱水することを含む、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記脱水することが、前記パターン化シリンダの前記透過性パターン化表面に前記初期ウェブを前記移送する工程の前に行われる、請求項3に記載の方法。
【請求項6】
前記真空が、
5水銀柱インチ(
17kPa)~
25水銀柱インチ(
85kPa)である、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記搬送する工程が、前記パターン化シリンダの前記パターン化表面に前記初期ウェブを押圧することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記初期ウェブが、
8ポンド/平方インチゲージ(
55.16kPa)~
32ポンド/平方インチゲージ(220.64kPa)の力で押圧される、請求項
7に記載の方法。
【請求項9】
(i)前記移送表面を移送表面速度で移動させることと、
(j)前記パターン化シリンダの前記透過性パターン化表面をシリンダ速度で回転させることを更に含
む、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記パターン化シリンダの前記内部に正の空気圧を適用して、前記パターン化シリンダの前記透過性パターン化表面を通って半径方向において、前記パターン化シリンダの前記内部から離して、空気を流動させることを更に含み、前記正の空気圧が、前記成形された紙ウェブを前記透過性パターン化表面から離して移送させるために適用される、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記正の空気圧が、前記ピックアップ表面への前記成形されたウェブの前記移送中に適用される、請求項
10に記載の方法。
【請求項12】
真空ゾーンにおいて第2の真空を適用することを更に含み、前記第2の真空が、前記パターン化シリンダの前記透過性パターン化表面から前記ピックアップ表面に前記成形されたウェブを引き寄せるように適用され、前記成形されたウェブが、前記真空ゾーン内で前記パターン化シリンダの前記透過性パターン化表面から前記ピックアップ表面に移送される、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
前記ピックアップ表面が、生地又はベルトを含み、前記真空が、吸引ロールによって適用される、請求項
12に記載の方法。
【請求項14】
前記ピックアップ表面が、生地又はベルトを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項15】
前記成形されたウェブが、前記透過性パターン化表面と前記ピックアップ表面との間に形成されたニップにおいて前記ピックアップ表面に移送される、請求項1に記載の方法。
【請求項16】
(i)前記パターン化シリンダの前記透過性パターン化表面をシリンダ速度で回転させることと、
(j)前記ピックアップ表面をピックアップ表面速度で移動させること
を更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項17】
前記パターン化シリンダと前記ピックアップ表面との間のクレーピング比が、
60パーセント~
115パーセントである、請求項
16に記載の方法。
【請求項18】
前記乾燥セクションが、ヤンキー乾燥機を含み、前記乾燥させる工程が、前記ヤンキー乾燥機を使用して、前記成形された紙ウェブを乾燥させることを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項19】
前記乾燥セクションが、通気乾燥機を含み、前記乾燥させる工程が、前記通気乾燥機を使用して、前記成形された紙ウェブを乾燥させることを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項20】
前記乾燥セクションが、通気乾燥生地を更に含み、前記ピックアップ表面が、前記通気乾燥生地である、請求項
19に記載の方法。
【請求項21】
前記パターン化シリンダの前記透過性パターン化表面を、前記パターン化シリンダの自由表面において洗浄することを更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項22】
前記洗浄することが、前記パターン化シリンダの半径方向において、前記パターン化シリンダの前記内部から離れて前記透過性パターン化表面を通るように、洗浄媒体を方向付けることを含む、請求項
21に記載の方法。
【請求項23】
前記洗浄媒体が、空気、水、及び洗浄溶液のうちの少なくとも1つを含む、請求項
22に記載の方法。
【請求項24】
繊維シートを作製する方法であって、前記方法が、
(a)製紙繊維の水溶液から初期ウェブを形成することと、
(b)前記初期ウェブを移送表面上に移動させることと、
(c)パターン化シリンダのパターン化表面を、
20パーセントの固形分~
70パーセントの固形分の粘稠性を有する前記初期ウェブと接触させることであって、前記パターン化表面が、(i)前記パターン化シリンダの外部上に形成され、かつ(ii)複数の凹部及び複数の突出部
を有する、接触させることと、
(d)前記パターン化表面の弧長にわたって、前記移送表面と前記パターン化表面との間で前記初期ウェブを搬送することであって、前記弧長が、成形ゾーンの少なくとも一部分を形成する、搬送することと、
(e)前記成形ゾーン内で前記移送表面から前記パターン化シリンダの前記パターン化表面に前記初期ウェブを移送することであって、前記移送により、前記初期ウェブの製紙繊維が、(i)前記パターン化表面上に再分配され、かつ(ii)前記成形ゾーン内の前記パターン化表面の前記複数の凹部及び前記複数の突出部のうちの少なくとも1つによって形状化されて、成形された紙ウェブを形成する、移送することと、
(f)前記成形された紙ウェブをピックアップ表面に移送することと、
(g)前記成形された紙ウェブを乾燥セクション内で乾燥させて、繊維シートを形成することと、を含む、方法。
【請求項25】
パターン化シリンダのパターン化表面を前記初期ウェブと前記接触させる工程において、前記初期ウェブが、
20パーセントの固形分~
35パーセントの固形分の粘稠性を有する、請求項
24に記載の方法。
【請求項26】
前記初期ウェブを脱水して、脱水されたウェブを形成することを更に含む、請求項
24に記載の方法。
【請求項27】
前記脱水することが、シュープレス、ロールプレス、真空脱水、変位プレス及び熱乾燥のうちの少なくとも1つを使用して前記初期ウェブを脱水することを含む、請求項
26に記載の方法。
【請求項28】
前記脱水することが、前記パターン化シリンダの前記パターン化表面に前記初期ウェブを前記移送する工程の前に行われる、請求項
26に記載の方法。
【請求項29】
前記搬送することが、前記パターン化シリンダの前記パターン化表面に前記初期ウェブを押圧することを含む、請求項
24に記載の方法。
【請求項30】
前記初期ウェブが、
8ポンド/平方インチゲージ(
55.15kPa)~
32ポンド/平方インチゲージ(
220.64kPa)の力で押圧される、請求項
29に記載の方法。
【請求項31】
(h)前記移送表面を移送表面速度で移動させることと、
(i)前記パターン化シリンダの前記パターン化表面をシリンダ速度で回転させること
を更に含む、請求項
24に記載の方法。
【請求項32】
真空ゾーンにおいて真空を適用することを更に含み、前記真空が、前記パターン化シリンダの前記パターン化表面から前記ピックアップ表面に前記成形されたウェブを引き寄せるように適用され、前記成形されたウェブが、前記真空ゾーン内で前記パターン化シリンダの前記パターン化表面から前記ピックアップ表面に移送される、請求項
24に記載の方法。
【請求項33】
前記ピックアップ表面が、生地又はベルトを含み、前記真空が、吸引ロールによって適用される、請求項
32に記載の方法。
【請求項34】
前記ピックアップ表面が、生地又はベルトを含む、請求項
24に記載の方法。
【請求項35】
前記成形されたウェブが、前記パターン化表面と前記ピックアップ表面との間に形成されたニップにおいて前記ピックアップ表面に移送される、請求項
24に記載の方法。
【請求項36】
(h)前記パターン化シリンダの前記パターン化表面をシリンダ速度で回転させることと、
(i)前記ピックアップ表面をピックアップ表面速度で移動させること
を更に含む、請求項
24に記載の方法。
【請求項37】
前記パターン化シリンダと前記ピックアップ表面との間のクレーピング比が、
60パーセント~
115パーセントである、請求項
36に記載の方法。
【請求項38】
前記乾燥セクションが、ヤンキー乾燥機を含み、前記乾燥させる工程が、前記ヤンキー乾燥機を使用して、前記成形された紙ウェブを乾燥させることを含む、請求項
24に記載の方法。
【請求項39】
前記乾燥セクションが、通気乾燥機を含み、前記乾燥させる工程が、前記通気乾燥機を使用して、前記成形された紙ウェブを乾燥させることを含む、請求項
24に記載の方法。
【請求項40】
前記乾燥セクションが、通気乾燥生地を更に含み、前記ピックアップ表面が、前記通気乾燥生地である、請求項
38に記載の方法。
【請求項41】
繊維シートを作製する方法であって、前記方法が、
(a)製紙繊維の水溶液から初期ウェブを形成することと、
(b)蒸気充填ドラムの外側表面上に前記初期ウェブを移動させることによって前記初期ウェブを脱水し、
30パーセントの固形分~
60パーセントの固形分の粘稠性を有する脱水されたウェブを形成することと、
(c)成形ゾーンにおいて真空を適用することであって、前記成形ゾーンが、前記蒸気充填ドラムの前記外側表面とパターン化シリンダの透過性パターン化表面との間に画定されたニップであり、前記パターン化シリンダが、内部及び外部を含み、前記透過性パターン化表面が、(i)前記パターン化シリンダの前記外部上に形成され、(ii)複数の凹部及び複数の突出部
を有し、かつ(iii)空気に対して透過性である、適用することと、
(d)前記脱水されたウェブを、前記成形ゾーン内で前記蒸気充填ドラムの前記外側表面から前記パターン化シリンダの前記透過性パターン化表面に移送することであって、前記真空が、前記
蒸気充填ドラムの前記外側表面から前記パターン化シリンダの前記透過性パターン化表面への前記初期ウェブの前記移送中に適用され、そのため、前記初期ウェブの製紙繊維が、(i)前記透過性パターン化表面上に再分配され、かつ(ii)前記成形ゾーン内の前記透過性パターン化表面の前記複数の凹部及び前記複数の突出部のうちの少なくとも1つによって形状化されて、成形された紙ウェブを形成する、移送することと、
(e)前記成形された紙ウェブをピックアップ表面に移送することと、
(f)前記成形された紙ウェブを乾燥セクション内で乾燥させて、繊維シートを形成することと、を含む、方法。
【請求項42】
前記脱水されたウェブが、
40パーセントの固形分~
55パーセントの固形分の粘稠性を有する、請求項
41に記載の方法。
【請求項43】
前記脱水することが、フードから前記初期ウェブに対して熱風を方向付けることを更に含む、請求項
41に記載の方法。
【請求項44】
前記真空が、
5水銀柱インチ(
17kPa)~
25水銀柱インチ(
85kPa)である、請求項
41に記載の方法。
【請求項45】
(g)前記蒸気充填ドラムの前記外側表面をドラム速度で移動させることと、
(h)前記パターン化シリンダの前記透過性パターン化表面をシリンダ速度で回転させること
を更に含む、請求項
41に記載の方法。
【請求項46】
前記パターン化シリンダと前記ピックアップ表面との間のクレーピング比が、
60パーセント~
115パーセントである、請求項45に記載の方法。
【請求項47】
前記パターン化シリンダの前記内部に正の空気圧を適用して、前記パターン化シリンダの前記透過性パターン化表面を通って、半径方向において前記パターン化シリンダの前記内部から離れて、空気を流動させることを更に含み、前記正の空気圧が、前記成形された紙ウェブを前記透過性パターン化表面から離して移送させるように適用される、請求項
41に記載の方法。
【請求項48】
前記正の空気圧が、前記ピックアップ表面への前記成形されたウェブの前記移送中に適用される、請求項
47に記載の方法。
【請求項49】
真空ゾーンにおいて第2の真空を適用することを更に含み、前記第2の真空が、前記パターン化シリンダの前記透過性パターン化表面から前記ピックアップ表面に前記成形されたウェブを引き寄せるように適用され、前記成形されたウェブが、前記真空ゾーン内で前記パターン化シリンダの前記透過性パターン化表面から前記ピックアップ表面に移送される、請求項
41に記載の方法。
【請求項50】
前記ピックアップ表面が、生地又はベルトを含み、前記真空が、吸引ロールによって適用される、請求項
49に記載の方法。
【請求項51】
前記ピックアップ表面が、生地又はベルトを含む、請求項
41に記載の方法。
【請求項52】
前記成形されたウェブが、前記透過性パターン化表面と前記ピックアップ表面との間に形成されたニップにおいて前記ピックアップ表面に移送される、請求項
41に記載の方法。
【請求項53】
(g)前記パターン化シリンダの前記透過性パターン化表面をシリンダ速度で回転させることと、
(h)前記ピックアップ表面をピックアップ表面速度で移動させること
を更に含む、請求項
41に記載の方法。
【請求項54】
前記乾燥セクションが、通気乾燥機を含み、前記乾燥させる工程が、前記通気乾燥機を使用して、前記成形された紙ウェブを乾燥させることを含む、請求項
41に記載の方法。
【請求項55】
前記乾燥セクションが、通気乾燥生地を更に含み、前記ピックアップ表面が、前記通気乾燥生地である、請求項
54に記載の方法。
【請求項56】
前記パターン化シリンダの前記透過性パターン化表面を、前記パターン化シリンダの自由表面において洗浄することを更に含む、請求項
41に記載の方法。
【請求項57】
前記洗浄することが、前記パターン化シリンダの半径方向において、前記パターン化シリンダの前記内部から離れて前記透過性パターン化表面を通るように、洗浄媒体を方向付けることを含む、請求項
56に記載の方法。
【請求項58】
前記洗浄媒体が、空気、水、及び洗浄溶液のうちの少なくとも1つを含む、請求項
57に記載の方法。
【請求項59】
繊維シートを作製する方法であって、前記方法が、
(a)製紙繊維の水溶液から初期ウェブを形成することと、
(b)蒸気充填ドラムの外側表面上に前記初期ウェブを移動させることによって前記初期ウェブを脱水し、
30パーセントの固形分~
60パーセントの固形分の粘稠性を有する脱水されたウェブを形成することと、
(c)前記脱水されたウェブを、成形ゾーン内で前記蒸気充填ドラムの前記外側表面からパターン化シリンダのパターン化表面に移送することであって、前記成形ゾーンが、前記蒸気充填ドラムの前記外側表面と前記パターン化シリンダの前記パターン化表面との間に画定されたニップであり、前記パターン化表面が、(i)前記パターン化シリンダの外部上に形成され、かつ(ii)複数の凹部及び複数の突出部のうちの少なくとも1つを有し、そのため、前記初期ウェブの製紙繊維が、(i)前記パターン化表面上に再分配され、かつ(ii)前記成形ゾーン内の前記パターン化表面の前記複数の凹部及び前記複数の突出部のうちの少なくとも1つによって形状化されて、成形された紙ウェブを形成する、移送することと、
(d)前記成形された紙ウェブをピックアップ表面に移送することと、
(e)前記成形された紙ウェブを乾燥セクション内で乾燥させて、繊維シートを形成することと、を含む、方法。
【請求項60】
前記脱水されたウェブが、
40パーセントの固形分~
55パーセントの固形分の粘稠性を有する、請求項
59に記載の方法。
【請求項61】
前記脱水することが、フードから前記初期ウェブに対して熱風を方向付けることを更に含む、請求項
59に記載の方法。
【請求項62】
(f)前記蒸気充填ドラムの前記外側表面をドラム速度で移動することと、
(g)前記パターン化シリンダの前記パターン化表面をシリンダ速度で回転させること
を更に含む、請求項
59に記載の方法。
【請求項63】
前記パターン化シリンダと前記ピックアップ表面との間のクレーピング比が、
60パーセント~
115パーセントである、請求項
62に記載の方法。
【請求項64】
真空ゾーンにおいて真空を適用することを更に含み、前記真空が、前記パターン化シリンダの前記パターン化表面から前記ピックアップ表面に前記成形されたウェブを引き寄せるように適用され、前記成形されたウェブが、前記真空ゾーン内で前記パターン化シリンダの前記パターン化表面から前記ピックアップ表面に移送される、請求項
59に記載の方法。
【請求項65】
前記ピックアップ表面が、生地又はベルトを含み、前記真空が、吸引ロールによって適用される、請求項
64に記載の方法。
【請求項66】
前記ピックアップ表面が、生地又はベルトを含む、請求項
59に記載の方法。
【請求項67】
前記成形されたウェブが、前記パターン化表面と前記ピックアップ表面との間に形成されたニップにおいて前記ピックアップ表面に移送される、請求項
59に記載の方法。
【請求項68】
(f)前記パターン化シリンダの前記パターン化表面をシリンダ速度で回転させることと、
(g)前記ピックアップ表面をピックアップ表面速度で移動させること
を更に含む、請求項
59に記載の方法。
【請求項69】
前記乾燥セクションが、通気乾燥機を含み、前記乾燥させる工程が、前記通気乾燥機を使用して、前記成形された紙ウェブを乾燥させることを含む、請求項
59に記載の方法。
【請求項70】
前記乾燥セクションが、通気乾燥生地を更に含み、前記ピックアップ表面が、前記通気乾燥生地である、請求項
69に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、2017年8月8日に出願された米国特許仮出願第62/542,378号に基づく、2018年6月29日に出願された米国特許仮出願第16/023,451号に基づく。前述の出願の優先権は、本明細書によって主張され、それらの開示は、それらの全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
(発明の分野)
本発明は、ペーパータオル及びトイレットペーパーなどの紙製品を製造するための方法及び装置に関する。具体的には、本発明は、紙製品の形成中にパターン化シリンダを使用して紙ウェブを成形する方法に関する。
【背景技術】
【0003】
一般的に言えば、紙製品は、製紙繊維の水性スラリーを含み後述にて詳説されるファーニッシュを形成セクション上に堆積させて紙ウェブを形成することと、次いで、ウェブを脱水して紙製品を形成することとによって、形成される。様々な方法及び機械類を使用して、紙ウェブを形成し、ウェブを脱水する。ティッシュ及びタオル製品を作製するための製紙プロセスでは、例えば、それぞれ実質的な変動性を有する、プロセス中に水を除去する多くの手法が存在する。その結果、紙製品も同様に、特性に大きな変動性を有する。
【0004】
紙ウェブを脱水する1つのこのような方法は、従来の湿式プレス(conventional wet pressing、CWP)として当該技術分野において既知である。
図1は、CWP製紙機100の一例を示す。製紙機100は、形成セクション110を有し、これは、この場合では、当該技術分野において三日月形形成具と称される。形成セクション110は、形成生地114と製紙フェルト116との間に水性のファーニッシュ(後述にて定義される)を堆積させるヘッドボックス112を含み、それによって、最初に初期ウェブ102を形成する。形成生地114は、ロール122、124、126、128によって支持される。製紙フェルト116は、形成ロール120によって支持される。初期ウェブ102は、プレスロール132へと延在するフェルトラン118に沿って製紙フェルト116によって移送され、このプレスロール132では、初期ウェブ102が、プレスニップ130においてヤンキー乾燥機セクション140上に堆積される。初期ウェブ102は、ヤンキー乾燥機セクション140への移送と同時にプレスニップ130において湿式プレスされる。結果として、ウェブ102の粘稠性は、プレスニップ130の直前の約20パーセントの固形分から、プレスニップ130の直後の約30パーセントの固形分~約50パーセントの固形分の間へと増加する。ヤンキー乾燥機セクション140は、例えば、蒸気充填ドラム142(「ヤンキードラム」)及び熱風乾燥機フード144、146を備え、ウェブ102を更に乾燥させる。ウェブ102は、ドクターブレード152によってヤンキードラム142から除去されてもよく、このドクターブレード152では、次に、ウェブ102はリール(図示せず)上に巻かれて、親ロール190を形成する。
【0005】
製紙機100などのCWP製紙機は、典型的には、低い乾燥コストをもたらし、毎分約3000フィート(914.4m)~毎分50000フィート(15240m)を超過する速度で親ロール190を迅速に生産することができる。CWPを使用する製紙は、高度な走行性及び稼働時間を有する製紙機を提供する成熟したプロセスである。プレスニップ130においてウェブ102を脱水するために使用される圧縮の結果として、得られる紙製品は、典型的には、対応する高い繊維コストを伴う低い嵩を有する。これにより、ロール当たり多くのシート数を有するペーパータオル又はトイレットペーパーなどのロール紙製品をもたらすことができるが、紙製品は一般に、低い吸収性を有し、触感に粗い感じを与え得る。
【0006】
消費者は、柔らかく感じ、かつ高い吸収性を有する紙製品を望むことが多いので、他の製紙機及び方法が開発されてきた。通気乾燥(Through-air-drying、TAD)は、これらの特性を有する紙製品をもたらし得る1つの方法である。
図2は、TAD製紙機200の一例を示す。この製紙機200の形成セクション230は、当該技術分野においてツインワイヤ形成セクションとして知られるもので示され、それは、三日月形形成具(
図1の形成セクション110)によって生産されるものと同様のシートを生産する。
図2に示されるように、ファーニッシュは、最初にヘッドボックス202を通じて製紙機200に供給される。ファーニッシュは、ヘッドボックス202によって、形成ロール208よりも前の、第1の形成生地204と第2の形成生地206との間に形成されたニップに向けられる。第1の形成生地204及び第2の形成生地206は、連続ループ内で移動し、形成ロール208を越えて通過した後に分岐する。真空ボックスなどの真空要素、又は箔要素(図示せず)は、シートを脱水させるためにも、また、シートが第2の形成生地206に接着したままであることを確実にするためにも、分岐ゾーンにおいて採用することができる。第1の形成生地204から分離した後、第2の形成生地206及びウェブ102は、追加の脱水ゾーン212を通過し、この追加の脱水ゾーン212では、吸引ボックス214がウェブ102及び第2の形成生地206から水分を除去し、それによってウェブ102の粘稠性を、例えば、約10パーセントの固形分~約28パーセントの固形分に増加させる。熱風がまた、脱水ゾーン212において使用され、脱水を増進させてもよい。次いで、ウェブ102は、移送ニップ218において通気乾燥(TAD)生地216に移送され、ここで、シュー220は、例えば、TAD生地216を第2の形成生地206に対して押圧する。いくつかのTAD製紙機では、シュー220は、真空を適用してTAD生地216へのウェブ102の移送を支援する真空シューである。加えて、いわゆるラッシュ移送を使用して、ウェブ102を移送ニップ218内に移送するのみならず、ウェブ102を構造化してもよい。ラッシュ移送は、第2の形成生地206がTAD生地216よりも速い速度で進行するときに行われる。
【0007】
次に、紙ウェブ102を運ぶ生地216は、通気乾燥機222、224の周囲を通り、ここで、熱風が、ウェブを通過して、約28パーセントの固形分~約80パーセントの固形分へと紙ウェブ102の粘稠性を増加させる。ウェブ102は、次に、ヤンキー乾燥機セクション140に移送され、ここで、ウェブ102は、更に乾燥される。次いで、シートが、ドクターブレード152によってヤンキードラム142からかき落とされ、リール(図示せず)によって巻き取られて、親ロール(図示せず)を形成する。乾燥プロセス中の最小限の圧縮の結果として、得られる紙製品は、対応する低い繊維コストを伴って高い嵩を有する。残念なことに、このプロセスは高価な熱乾燥によって多くの水が除去されるため、稼働費用がかさむ。加えて、TADによって作製される紙製品中の製紙繊維は、典型的には強く結合されず、脆弱であり得る紙製品をもたらす。
【0008】
紙製品の嵩及び柔軟性をCWPと比較して増加させる一方で、紙ウェブの強度を依然として保持し、かつTADと比較して低い乾燥コストを有する他の方法が開発されてきた。これらの方法は、一般に、所望の特性を達成するために、ウェブを圧縮可能に脱水することと、次いで、ウェブ繊維を再分配するようにウェブをベルトクレーピングすることとを含む。この方法は、本明細書ではベルトクレーピングと称され、例えば、米国特許第7,399,378号、同第7,442,278号、同第7,494,563号、同第7,662,257号、及び同第7,789,995号(これらの開示は、それらの全体が参照により本明細書に組み込まれる)に記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【文献】米国特許第6,161,303号明細書
【文献】米国特許第6,248,210号明細書
【文献】米国特許第6,416,631号明細書
【文献】米国特許第7,399,378号明細書
【文献】米国特許第7,442,278号明細書
【文献】米国特許第7,494,563号明細書
【文献】米国特許第7,662,257号明細書
【文献】米国特許第7,789,995号明細書
【文献】米国特許第8,080,130号明細書
【文献】米国特許出願公開第2010/0186913号明細書
【文献】国際公開第2017/139123号
【文献】国際公開第2017/139124号
【文献】国際公開第2017/139125号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
図3は、ベルト又は生地クレーピングに使用される製紙機300の一例を示す。
図1に示されるCWP製紙機100と同様に、この製紙機300は、形成セクション110として、上述した三日月形形成具を使用する。形成セクション110を去った後、ロール108によって一端に支持されたフェルトラン118は、シュープレスセクション310へと延在する。ここで、ウェブ102は、バッキングロール312とシュープレスロール314との間に形成されたニップにおいて、製紙フェルト116からバッキングロール312に移送される。シュー316は、ニップに負荷をかけて、ウェブ102を移送と同時に脱水するために使用される。
【0011】
次いで、ウェブ102は、クレーピングニップ320の作用によって、クレーピングニップ320内のクレーピングベルト又は生地322上に移送される。クレーピングニップ320は、バッキングロール312とクレーピングベルト又は生地322との間に画定されており、クレーピングベルト又は生地322は、クレーピングロール326によってバッキングロール312に対して押圧されている。クレーピングニップ320における移送において、ウェブ102のセルロース繊維は、再配置され、配向される。ウェブ102は、クレーピングベルト又は生地322に対して、バッキングロール312のより滑らかな表面に付着する傾向があり得る。したがって、バッキングロール312からクレーピングベルト322への移送を容易にするために、バッキングロール312上に剥離油を適用することが望ましい場合がある。また、バッキングロール312は、蒸気加熱ロールであってもよい。ウェブ102がクレーピングベルト又は生地322上に移送された後、ウェブ102をクレーピングベルト又は生地322の構造形態に引き込むことによって、シート厚さを増加させるために、真空ボックス324を使用して、ウェブ102に真空を適用してもよい。
【0012】
ウェブ102をクレーピングベルト又は生地322に移送させるのを容易にするために、かつシートの嵩及び柔軟性を更に改善するために、バッキングロール312からクレーピングベルト又は生地322へのウェブ102のラッシュ移送を実行することが一般的に望ましい。ラッシュ移送中、クレーピングベルト又は生地322は、バッキングロール312上のウェブ102よりも遅い速度で進行する。とりわけ、ラッシュ移送は、嵩を増加させるために、かつクレープベルト又は生地322への移送を強化するために、紙ウェブ102をクレーピングベルト又は生地322上に再分配して、紙ウェブ102に構造を付与する。
【0013】
このクレーピング動作後、ウェブ102は、低強度プレスニップ328内のヤンキー乾燥機セクション140においてヤンキードラム142上に堆積される。
図1に示したCWP製紙機100と同様に、ウェブ102は、次に、ヤンキー乾燥機セクション140において乾燥され、次いで、リール(図示せず)上に巻かれる。クレーピングベルト322は、ウェブ102に望ましい嵩及び構造を付与するが、クレーピングベルト322は使用するのが困難であり得る。クレーピングベルト又は生地322がその進行を経て移動すると、ベルトは、曲がって屈曲し、ベルト又は生地322の疲労をもたらす。したがって、クレーピングベルト又は生地322は、疲労破壊を受けやすい。加えて、クレーピングベルト及び生地322は、他の商業用類似物を有さないカスタム設計要素である。これらは、標的構造を紙ウェブに付与するように設計されており、また、低容積要素であるため、かつ事前の商業的履歴がほとんど存在しないため、製造が困難であり得る。加えて、織生地322によってウェブ102に付与され得る構造のパターン及び種類は、ベルト設計及び構成から生じる制約のために制限される。更に、製紙機300の速度は、ウェブ102がバッキングロール312からクレーピングベルト又は生地322にラッシュ移送されるときのクレープ比によって減速される。より遅い退出ウェブ速度は、非ベルトクレープシステムと比較して、より低い生産速度をもたらす。加えて、このようなクレーピングベルトランは、大量の床面積を必要とし、したがって、製紙機300のサイズ及び複雑さを増加させる。更に、クレーピングベルト又は生地322への均一な信頼性の高いシート移送は、達成することが困難であり得る。したがって、生地クレーピングによって提供されるものに匹敵する紙品質を達成することができる方法及び装置ではあるが、クレーピングベルトの困難さを伴わない方法及び装置を開発することが望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0014】
一態様によれば、本発明は、繊維シートの作製方法に関する。本方法は、製紙繊維の水溶液から初期ウェブを形成することと、移送表面上で初期ウェブを移動させることと、を含む。本方法はまた、パターン化シリンダの透過性パターン化表面を、約20パーセントの固形分~約70パーセントの固形分の粘稠性を有する初期ウェブと接触させることを含む。パターン化シリンダは、内部及び外部を含む。透過性パターン化表面は、(i)パターン化シリンダの外部上に形成され、(ii)複数の凹部及び複数の突出部のうちの少なくとも1つを有し、かつ(iii)空気に対して透過性である。本方法は、透過性パターン化表面の弧長にわたって、移送表面と透過性パターン化表面との間で初期ウェブを搬送することを更に含む。弧長は、成形ゾーンの少なくとも一部分を形成する。本方法は、弧長の少なくとも一部分の上に真空を適用することを更に含む。真空は、パターン化シリンダの内部に適用されて、透過性パターン化表面を通って、パターン化シリンダの内部に空気を流動させる。本方法はまた、成形ゾーン内で、移送表面からパターン化シリンダの透過性パターン化表面へと初期ウェブを移送することを含む。真空が、移送表面からパターン化シリンダの透過性パターン化表面への初期ウェブの移送中に適用され、そのため、初期ウェブの製紙繊維が、(i)透過性パターン化表面上に再分配され、かつ(ii)成形ゾーン内の透過性パターン化表面の複数の凹部に引き込まれて、成形された紙ウェブを形成する。本方法は、成形された紙ウェブをピックアップ表面に移送することと、成形された紙ウェブを乾燥セクション内で乾燥させて、繊維シートを形成することと、を更に含む。
【0015】
別の態様によれば、本発明は、繊維シートの作製方法に関する。本方法は、製紙繊維の水溶液から初期ウェブを形成することと、移送表面上で初期ウェブを移動させることと、を含む。本方法はまた、パターン化シリンダのパターン化表面を、約20パーセントの固形分~約70パーセントの固形分の粘稠性を有する初期ウェブと接触させることを含む。パターン化表面は、(i)パターン化シリンダの外部上に形成され、かつ(ii)複数の凹部及び複数の突出部のうちの少なくとも1つを有する。本方法は、パターン化表面の弧長にわたって、移送表面とパターン化表面との間で初期ウェブを搬送することを更に含み、弧長が、成形ゾーンの少なくとも一部分を形成する。本方法は、成形ゾーン内で移送表面からパターン化シリンダのパターン化表面へと初期ウェブを移送することを更に含み、そのため、初期ウェブの製紙繊維が、(i)パターン化表面上に再分配され、かつ(ii)成形ゾーン内でパターン化表面の複数の凹部及び複数の突出部のうちの少なくとも1つによって形状化されて、成形された紙ウェブを形成する。本方法は、成形された紙ウェブをピックアップ表面に移送することと、成形された紙ウェブを乾燥セクション内で乾燥させて、繊維シートを形成することと、を更に含む。
【0016】
更なる態様によれば、本発明は、繊維シートの作製方法に関する。本方法は、製紙繊維の水溶液から初期ウェブを形成することを含む。本方法はまた、蒸気充填ドラムの外側表面上に初期ウェブを移動させることによって初期ウェブを脱水し、約30パーセントの固形分~約6パーセント0の固形分の粘稠性を有する脱水されたウェブを形成することも含む。本方法は、成形ゾーンにおいて真空を適用することを更に含む。成形ゾーンは、蒸気充填ドラムの外側表面とパターン化シリンダの透過性パターン化表面との間に画定されるニップである。パターン化シリンダは、内部及び外部を含む。透過性パターン化表面は、(i)パターン化シリンダの外部上に形成され、(ii)複数の凹部及び複数の突出部のうちの少なくとも1つを有し、かつ(iii)空気に対して透過性である。本方法は、脱水されたウェブを、蒸気充填ドラムの外側表面から成形ゾーン内のパターン化シリンダの透過性パターン化表面に移送することを更に含む。真空が、移送表面からパターン化シリンダの透過性パターン化表面への初期ウェブの移送中に適用され、そのため、初期ウェブの製紙繊維が、(i)透過性パターン化表面上に再分配され、かつ(ii)成形ゾーン内で透過性パターン化表面の複数の凹部及び複数の突出部のうちの少なくとも1つによって形状化されて、成形された紙ウェブを形成する。加えて、本方法は、成形された紙ウェブをピックアップ表面に移送することと、成形された紙ウェブを乾燥セクションで乾燥させて、繊維シートを形成することと、を含む。
【0017】
更に別の態様によれば、本発明は、繊維性シートの作製方法に関する。本方法は、製紙繊維の水溶液から初期ウェブを形成することを含む。本方法はまた、蒸気充填ドラムの外側表面上に初期ウェブを移動させることによって初期ウェブを脱水し、約30パーセントの固形分~約6パーセント0の固形分の粘稠性を有する脱水されたウェブを形成することも含む。本方法は、脱水されたウェブを、蒸気充填ドラムの外側表面から成形ゾーン内のパターン化シリンダのパターン化表面に移送することを更に含む。成形ゾーンは、蒸気充填ドラムの外側表面とパターン化シリンダのパターン化表面との間に画定されるニップである。パターン化表面は、(i)パターン化シリンダの外部上に形成され、かつ(ii)複数の凹部及び複数の突出部のうちの少なくとも1つを有する。それによって、初期ウェブの製紙繊維は、(i)パターン化表面上に再分配され、かつ(ii)成形ゾーン内のパターン化表面の複数の凹部及び複数の突出部のうちの少なくとも1つによって形状化されて、成形された紙ウェブを形成する。加えて、本方法は、成形された紙ウェブをピックアップ表面に移送することと、成形された紙ウェブを乾燥セクションで乾燥させて、繊維シートを形成することと、を含む。
【0018】
本発明のこれら及び他の態様は、以下の開示から明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図3】ベルトクレーピングと共に使用される製紙機の概略図である。
【
図4A】本発明の第1の好ましい実施形態の製紙機構成の概略図である。
【
図4B】
図4Aに示されるパターン化シリンダのシェルの詳細4Bを示す詳細図である。
【
図4C】
図4Aに示されるパターン化シリンダのシェルの代替の構成の詳細4Bを示す詳細図である。
【
図4D】
図4Aに示されるパターン化シリンダのシェルの別の代替の構成の詳細4Bを示す詳細図である。
【
図5】本発明の第2の好ましい実施形態の製紙機構成の概略図である。
【
図6】本発明の第3の好ましい実施形態の製紙機構成の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明は、紙製品を生産するためにパターン化シリンダを使用する製紙プロセス及び装置に関する。本発明者らは、添付図面を参照して以下に詳細に本発明の実施形態を説明する。本明細書及び添付の図面全体を通して、同じ又は類似の構成要素又は特徴を指すために、同じ参照番号が使用される。
【0021】
本明細書で使用する際、用語「紙製品」は、製紙繊維を組み込む任意の製品を包含する。これには、例えば、ペーパータオル、トイレットペーパー、フェイシャルティッシュなどとして販売されている製品が挙げられる。製紙繊維としては、バージンパルプ若しくはリサイクル(二次)セルロース繊維、又は少なくとも51パーセントのセルロース繊維を含む繊維混合物が挙げられる。このようなセルロース繊維は、木材繊維及び非木材繊維の両方を含んでもよい。木材繊維としては、例えば、北部及び南部軟材クラフト繊維などの軟材繊維、並びに、例えば、ユーカリ、カエデ、カバノキ、ポプラなどの硬材繊維を含む、落葉樹及び針葉樹から得られるものが挙げられる。本発明の製品を作製するのに好適な繊維の例としては、綿繊維又は綿誘導体、アバカ、ケナフ、サバイ草、亜麻、エスパルト草、わら、黄麻、バガス、トウワタ繭毛羽繊維、及びパイナップル葉繊維などの非木材繊維が挙げられる。追加の製紙繊維としては、炭酸カルシウム、二酸化チタン無機充填剤などの非セルロース系物質、並びにポリエステル、ポリプロピレンなどの典型的な人工繊維が挙げられ得、これは、ファーニッシュに意図的に添加されてもよく、又はファーニッシュにおいてリサイクル紙を使用するときに組み込まれてもよい。
【0022】
「ファーニッシュ」及び同様の用語は、紙製品を作製するための、製紙繊維、及び任意選択的に、湿潤強度樹脂、剥離剤などを含む水性組成物を指す。本発明の実施形態では、様々なファーニッシュを使用することができる。いくつかの実施形態では、ファーニッシュは、米国特許第8,080,130号に説明されている明細書に従って使用され、その開示は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。本明細書で使用するとき、製紙プロセスにおいて最終製品へと乾燥される初期繊維及び液体混合物(又はファーニッシュ)は、「ウェブ」、「紙ウェブ」、「セルロースシート」、及び/又は「繊維シート」と称される。最終製品はまた、セルロースシート及び/又は繊維シートと称される場合もある。加えて、他の修飾語を様々に使用して、製紙機又はプロセスにおける特定の点でウェブを説明することができる。例えば、ウェブはまた、「初期ウェブ」、「湿った初期のウェブ」、「成形されたウェブ」、「脱水されたウェブ」、及び「乾燥されたウェブ」とも称され得る。
【0023】
本明細書において本発明を説明するとき、用語「機械方向」(machine derection、MD)及び「機械横断方向」(cross machine direction、CD)は、当該技術分野におけるそれらの十分に理解された意味に従って使用される。すなわち、生地又は他の構造体のMDは、製紙プロセスにおいて製紙機上で構造体が移動する方向を指し、一方で、CDは、構造体のMDを横断する方向を指す。同様に、紙製品を参照するとき、紙製品のMDは、製紙プロセスにおいて製紙機上で製品が移動した製品上の方向を指し、製品のCDは、製品のMDを横断する方向を指す。
【0024】
本明細書において本発明を説明するとき、抄紙機及び加工ラインの動作条件の具体例が使用される。例えば、様々な速度及び圧力が、抄紙機上の紙生産を説明する際に使用される。当業者であれば、本発明が、本明細書に開示される速度及び圧力を含む動作条件の具体例に限定されないことを認識するであろう。
【0025】
製紙機の第1の実施形態
図4Aは、本発明の第1の好ましい実施形態に従う紙ウェブを作成するために使用される製紙機400を示す。
図4Aに示される製紙機400の形成セクション110は、上述した、
図1及び
図3に示される形成セクション110と同様の三日月形形成具である。しかしながら、他の好適な形成セクションが使用されてもよい。このような代替の形成セクションの例は、
図2に示される、ツインワイヤ形成セクション230である。そのような構成において、ツインワイヤ形成セクションの下流で、そのような製紙機の残りの構成要素は、製紙機400のものと類似の手法で構成及び配置されてもよい。ツインワイヤ形成セクションを有する製紙機の別の例は、米国特許出願公開第2010/0186913号に見ることができる(その開示は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる)。製紙機で使用することができる代替的な形成セクションのなお更なる例としては、Cラップツインワイヤ形成具、Sラップツインワイヤ形成具、又は吸引ブレストロール形成具が挙げられる。当業者であれば、これらの、又はなお更なる代替的な形成セクションをどのように、製紙機に組み込むことができるか、及び以下で論じる本発明の特徴と共に使用することができるかを認識するであろう。
【0026】
初期ウェブ102が形成セクション110を去ると、初期ウェブ102は、フェルトラン118に沿って移送され、続いて、パターン化シリンダ420のパターン化表面422に移送される。初期ウェブ102は、以下で更に論じられるように、成形されたウェブ102を形成するために、パターン化シリンダ420上にシリンダクレーピングされ、成形される。初期ウェブ102は、湿っているときに、シリンダクレーピングされ、成形されてもよく、繊維は、約20パーセントの固形分~約70パーセントの固形分の粘稠性で可動である。いくつかの実施形態では、初期ウェブ102は、形成セクション110の後及びパターン化シリンダ420の前に生じる著しい脱水なしに、シリンダクレーピングされ、成形されてもよく、その場合において、初期ウェブ102は、好ましくは、約20パーセントの固形分~約35パーセントの固形分の粘稠性で、シリンダクレーピングされ、成形される。しかしながら、初期ウェブ102の好ましい粘稠性は、所望の用途に応じて変動し得る。
【0027】
しかしながら、いくつかの実施形態では、形成セクション110とは別個の脱水セクション410を使用して、パターン化シリンダ420の上流で初期ウェブ102を脱水してもよい。脱水セクション410は、初期ウェブ102の固形分含量を増加させて、湿った初期ウェブ102を形成する。湿った初期のウェブ102の好ましい粘稠性は、所望の用途に応じて変動し得る。この実施形態では、初期ウェブ102は、脱水され、好ましくは約30パーセントの固形分~約60パーセントの固形分、より好ましくは約40パーセントの固形分~約55パーセントの固形分の粘稠性を有する湿った初期ウェブ102を形成する。
【0028】
この実施形態では、初期ウェブ102は、製紙フェルト116上で移動される際に脱水される。
図4Aに示される脱水セクション410は、シュープレスロール412を使用して、初期ウェブ102を脱水する。シュープレスロール412のシュー414は、バッキングロール416に対して初期ウェブ102及び製紙フェルト116を押圧して、初期ウェブ102から水を除去する。好適なプレスロール412としては、例えば、フィンランドのエスポーのValmet社によって作製されたViscoNip(登録商標)プレス機、又は米国特許第6,248,210号に記載されているプレス機(その開示は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる)が挙げられる。当業者であれば、初期ウェブ102は、例えば、米国特許第6,161,303号及び同第6,416,631号に記載されているようなロールプレス又は変位プレスを含む当該技術分野において既知の任意の好適な方法を使用して脱水され得ることを認識するであろう。
【0029】
初期ウェブ102が脱水セクション410内で脱水されるか否かにかかわらず、初期ウェブ102は、移送表面によって成形ゾーン430へと移動される。この実施形態では、移送表面は、製紙フェルト116である。パターン化シリンダ420のパターン化表面422は、初期ウェブ102が製紙フェルト116上で移動される際に、成形ゾーン430内で初期ウェブ102と接触する。パターン化表面422は、パターン化シリンダ420のシェル426上に形成された複数の凹部(又はセル)424を含んでもよい。
図4Bは、複数の凹部424を有するパターン化シリンダ420のシェル426の詳細4Bを示す詳細図である。パターン化表面422はまた、
図4Cに示されるように、複数の突出部425を含んでもよい。パターン化表面422はまた、
図4Dに示されるように、セル424及び突出部425の両方を含んでもよい。セル424は、例えば、レーザーエッチングを含む、任意の好適な方法を使用して形成されてもよく、また、任意の好適なパターンを有してもよい。同様に、突出部425は、レーザーエッチングに起因してもよく、又は雄型エンボス加工要素がエンボス加工ローラ上に形成される手法と同様に形成されてもよい。これらの方法を使用してパターン化表面422が形成されている場合、ウェブ102に使用又は付与され得るパターンの種類にほとんど制限はない。その上、シェル426は、例えば、パターン化シリンダ420上で使用される異なるパターンを有する、異なるシェル426を可能にするスリーブとして設計されてもよい。
【0030】
セル424及び突出部425は、それぞれ、任意の好適な深さ又は高さを有してもよいが、好ましくは約万分のインチ(ミル)~約50ミルである。セル424及び突出部425は、パターン又は深さ及び高さのいずれにおいても均一である必要はない。例えば、パターン化表面422は、背景パターン及びシグネチャパターンの両方をウェブ102に付与することができる。
【0031】
図4Aに示されるように、パターン化シリンダ420は、製紙フェルト116に対して配置され、そのため、製紙フェルト116は、初期ウェブ102をパターン化シリンダ420のパターン化表面422の中、特にセル424の中へ押圧する。この実施形態では、初期ウェブ102は、例えばニップにおいて押圧され成形されるのとは対照的に、透過性パターン化表面422の弧長にわたって、製紙フェルト116と透過性パターン化表面422との間で押圧されて搬送される。透過性パターン化表面422の中へ初期ウェブ102を押圧することにより、可変及びパターン化された繊維配向を有するように紙ウェブ102内の製紙繊維を再分配及び再配向させて、成形されたウェブ102を形成する。製紙フェルト116とパターン化表面422との間で初期ウェブ102が搬送される弧長は、したがって、成形ゾーン430の少なくとも一部分を形成する。好適なプレス荷重は、約8ポンド/平方インチゲージ(psig)(約55.16kPA)~約32psig(約220.64kPa)とすることができる。
【0032】
初期ウェブ102の成形を更に支援するために、真空が成形ゾーン430内にも適用されてもよい。
図4B及び
図4Cに見られるように、パターン化シリンダ420のシェル426は、パターン化表面422、特にセル424が、パターン化シリンダ420の内部と連通することを可能にする複数のチャネル428を含む。(
図4Dは、後述の真空又は他の特徴なしに使用され得る非透過性シェル426の例を示すが、あるいは透過性シェル426として、セル424と突出部425との組み合わせと共に使用されてもよい。)その結果、いくつかの実施形態では、パターン化表面422は透過性であり、本明細書では透過性パターン化表面422とも称される。パターン化シリンダ420のシェル426内のチャネル428の密度及び幾何学形状は、好ましくは、シェル426が、シェル426に加えられた負荷などのパターン化シリンダ420の動作条件に耐えるのに好適な構造剛性を維持するように設計され、更に後述するように、パターン化表面422に比較的均一な真空又は空気圧を依然として提供する。
【0033】
図4Aに示すように、シェル426は、パターン化シリンダ420の内部上に配置された静止真空ボックス432の周りを回転可能である。真空ボックス432のための任意の好適な構成が使用されてもよく、これには、同一出願人による公開された国際公開第2017/139123号、同第2017/139124号、及び同第2017/139125号の成形ロールに使用するために示され記載された真空ボックスが挙げられる(その開示は、それらの全体が参照により本明細書に組み込まれる)。真空ボックス432は、製紙フェルト116と透過性パターン化表面422との間で初期ウェブ102が搬送される弧長の少なくとも一部分の下に延在する。この実施形態では、真空ボックス432は、透過性パターン化表面422が最初に初期ウェブ102と接触する場所で、又はその直前に開始し、製紙フェルト116が紙ウェブ102から分離する点を越えて延在する。
【0034】
真空は、真空ボックス432内に確立され、シェル426のチャネル428を通って、空気などの流体を引き寄せるために使用され、成形ゾーン430内に真空を生成する。次いで、成形ゾーン430内の真空は、パターン化シリンダ420の透過性パターン化表面422の上へ、特に複数のセル424の中へ、紙ウェブ102を引き寄せる。したがって、真空は、紙ウェブ102を成形し、可変かつパターン化された繊維配向を有するように紙ウェブ102内の製紙繊維を再配向させる。
【0035】
紙ウェブ102はまた、成形ゾーン430内で製紙生地116からパターン化シリンダ420の透過性パターン化表面422に移送される。第1の移送ニップ434は、製紙生地116を支持する支持ロール436と、パターン化シリンダ420との間に形成される。製紙生地116及び透過性パターン化表面422が第1の移送ニップ434から出る際、それらは分岐して、紙ウェブ102は、パターン化シリンダ420の透過性パターン化表面422上に留まる。真空が適用される場合に上述したように、真空ボックス432は、好ましくは、第1の移送ニップ434を越えて延在して真空を引き込み、製紙フェルト116に続く代わりに、紙ウェブ102を透過性パターン化表面422上に保持するのを支援する。第1の移送ニップ434はまた、ウェブ102の移送を支援するために、第1の移送ニップ434の上流で製紙生地116によって付与される負荷よりも高い圧力で負荷をかけられてもよい。
【0036】
真空ボックス432によって引き込まれる真空は、好ましくは、透過性パターン化表面422のセル424の中への所望の繊維浸透深さを達成するように、かつ製紙フェルト116から透過性パターン化表面422への紙ウェブ102の一貫した移送を達成するように設定される。好ましくは、真空は、約5水銀柱インチ~約25水銀柱インチ(約17kPa~約85kPa)である。
【0037】
成形及び移送を更に支援するために、初期ウェブ102は、ラッシュ移送によって、製紙生地116からパターン化シリンダ420に移送されてもよい。ラッシュ移送中、パターン化シリンダ420は、製紙生地116、したがって紙ウェブ102よりも遅い速度で進行する。この点に関して、ウェブ102は、速度差によってクレーピングされ、クレーピングの度合いは、クレーピング比と呼ばれることが多い。この実施形態におけるクレーピング比(パーセントで表される)は、式(1)に従って計算することができる。
クレーピング比(%)=(S1/S2-1)×100% 式(1)
式中、S1は製紙生地116の速度であり、S2はパターン化シリンダ420の速度である。クレーピング比は、多くの場合、シートの嵩の度合いに比例するが、製紙機400の処理量に反比例し、したがって、製紙機400の歩留まりに反比例する。この実施形態では、製紙フェルト116上の紙ウェブ102の速度は、好ましくは、毎分約1000フィート(約304.8m)~毎分約6500フィート(約1981.2m)であり得る。より好ましくは、製紙フェルト116上の紙ウェブ102の速度は、プロセスが許す限り高速であり、これは、典型的には、乾燥セクション450によって制限される。より遅い製紙機速度に対応することができるより高い嵩の製品では、より高いクレーピング比が使用される。
【0038】
成形ゾーン430内で成形された後、成形された紙ウェブ102は、第2の移送ニップ440に搬送され、そこで、成形された紙ウェブ102は、パターン化シリンダ420の透過性パターン化表面422からピックアップ表面に移送される。この実施形態では、ピックアップ表面は、ピックアップ生地442であるが、例えば、ベルト又はロールを含む他の好適なピックアップ表面が使用されてもよい。第2の移送ニップ440は、パターン化シリンダ420と、ピックアップ生地442を支持する支持ロール444との間に形成され得る。
【0039】
パターン化シリンダ420はまた、第2の移送ニップ440においてブローボックス446を有してもよく、そこで、ウェブ102は、透過性パターン化表面422からピックアップ生地442に移送される。ブローボックス446の任意の好適な構成が使用されてもよく、これには、同一出願人による公開された国際公開第2017/139123号、同第2017/139124号、及び同第2017/139125号の成形ロールに使用するために示され記載されたブローボックスが挙げられる(これらの開示は、それらの全体が参照により本明細書に組み込まれる)。正の空気圧が、チャネル428及びパターン化シリンダ420の透過性パターン化表面422を通ってブローボックス446から及ぼされてもよい。正の空気圧は、ウェブ102を透過性パターン化表面422から離してピックアップ生地442へ向かって押圧することによって、第2の移送ニップ440における成形されたウェブ102の移送を促進する。ブローボックス446内の圧力は、ピックアップ生地442への成形されたウェブ102の一貫した移送を達成するのに十分なレベルであって、ブローボックス446からの空気のためにウェブ102への欠陥の誘導を回避するのに十分低いレベルに設定される。ウェブ102を透過性パターン化表面422から解放させるために、ウェブ102を横切る十分な圧力降下が存在するはずである。ブローボックス446は、好ましくは、パターン化シリンダ420の透過性パターン化表面422に続く代わりに、成形されたウェブ102をピックアップ生地442上に保持するのを支援するために、第2の移送ニップ440を越えて延在して、空気を吹き込むことができる。
【0040】
図4Aに示される実施形態では、ピックアップ生地支持ロール444は、真空ピックアップロールである。真空ピックアップロール444は、第2の移送ニップ440において真空を適用するために真空ボックス448を含む。真空ピックアップロール444によって適用される真空は、成形されたウェブ102を透過性パターン化表面422からピックアップ生地442に移送するのを更に支援する。ブローボックス446と同様に、真空ピックアップロール444の真空ボックス448は、好ましくは、パターン化シリンダ420の透過性パターン化表面422に続く代わりに、ピックアップ生地442上に成形されたウェブ102を保持するのを支援するために、第2の移送ニップ440を越えて延在し、真空を引き込むことができる。
【0041】
また、パターン化シリンダ420とピックアップ生地442との間の速度差を使用して、成形されたウェブ102をパターン化シリンダ420からピックアップ生地442に移送するのを支援してもよい。速度差が使用されるとき、クレーピング比(パーセントで表される)は、式(2)を用いて計算され、式(2)は、以下のように、式(1)に類似する。
クレーピング比(%)=(S2/S3-1)×100% 式(2)
式中、S2はパターン化シリンダ420の速度であり、S3はピックアップ生地442の速度である。好ましくは、ウェブ102は、約20パーセント~約200パーセント、より好ましくは約60パーセント~約115パーセントの比でクレーピングされる。ラッシュ移送が成形ゾーン430及び第2の移送ニップ440の両方に使用されるとき、合計クレーピング比は、各ニップにクレーピング比を加えることによって計算することができ、上述の好ましいクレーピング比を達成するように制御することができる。
【0042】
成形後、成形されたウェブ102は、ピックアップ生地442によって乾燥セクション450に移送され、そこで、ウェブ102は、約95パーセントの固形分の粘稠性へと更に乾燥される。乾燥セクション450は、主に、ヤンキー乾燥機セクション140を含んでもよい。上述のように、ヤンキー乾燥機セクション140は、例えば、ウェブ102を乾燥させるために使用される蒸気充填ドラム142(「ヤンキードラム」)を含む。加えて、ウェブ102がヤンキードラム142上で搬送される際にウェブ102を更に乾燥させるために、湿潤エンドフード144及び乾燥エンドフード146からの熱風が、ウェブ102に対して向けられる。
【0043】
ウェブ102は、ニップ452において、ヤンキードラム142の表面上に堆積される。クレーピング接着剤が、ヤンキードラム142の表面に塗布されて、ウェブ102がヤンキードラム142に接着するのを助けてもよい。ヤンキードラム142が回転すると、ウェブ102は、ドクターブレード152によってヤンキードラム142から除去されてもよく、次いで、それがリール(図示せず)上に巻かれて、親ロールを形成する。リールは、ウェブ102に更なるクレープを付与するために、定常状態でヤンキードラム142よりも低速で動作されてもよい。
【0044】
使用後、パターン化シリンダ420の透過性パターン化表面422は、洗浄を必要とし得る。製紙繊維及び他の物質が、パターン化表面422、特にセル424及びチャネル428上に保持されてもよい。動作中のいずれかの時点で、パターン化表面422の一部分のみが、紙ウェブ102に接触して成形している。
図4Aに示されるロールの配置では、パターン化シリンダ420の周囲の約半分は、紙ウェブ102に接触し、他方の半分は、接触していない。紙ウェブ102に接触していないパターン化表面422の部分は、本明細書では、パターン化表面422の「自由表面」と称される。洗浄セクション460は、自由表面を有するパターン化シリンダ420のセクションにおいて、パターン化シリンダ420の内側に構築されてもよい。透過性パターン化表面422の利点は、洗浄デバイスが、洗浄溶液又は洗浄媒体を外向きに方向付けることによって、パターン化表面422、特にセル424及びチャネル428を洗浄するために、成形ロールの内部に配置され得ることである。1つの好適な洗浄デバイスは、パターン化シリンダ420内に位置するシャワー462であってもよい。シャワー462は、チャネル428及び透過性パターン化表面422を通って外向きに、水及び/又は洗浄溶液(洗浄媒体として)を噴霧させて、それらを洗浄することができる。他の好適な洗浄デバイスとしては、例えば、チャネル428及び透過性パターン化表面422を通って加圧空気(洗浄媒体として)を押し込むブローボックス(図示せず)又はエアナイフ(図示せず)が挙げられ得る。
【0045】
製紙機の第2の実施形態
図5は、本発明の第2の好ましい実施形態を示す。本発明者らは、湿った初期ウェブ102の粘稠性が低くなるのは、それが成形ロール上に成形されるときであり、成形が、嵩及び吸収性などの望ましいシート特性に大きな影響を与えることを見出した。したがって、一般に、シートの嵩及び吸収性を増加させるために、初期ウェブ102を最小限に脱水することが有利であり、場合によっては、形成中に生じる脱水が、成形に十分であり得る。ウェブ102が最小限に脱水されると、湿った初期ウェブ102は、好ましくは、約20パーセントの固形分~約35パーセントの固形分、より好ましくは、約20パーセントの固形分~約30パーセントの固形分の粘稠性を有する。このような低い粘稠性では、脱水/乾燥の多くが、成形後に行われる。成形中にウェブ102に付与される構造の多くを可能な限り保存するために、非圧縮性乾燥プロセスが使用されてもよい。1つの好適な非圧縮性乾燥プロセスは、TADの使用である。したがって、様々な実施形態の中でも、湿った初期ウェブ102は、約20パーセントの固形分~約70パーセントの固形分に及ぶ粘稠性の範囲にわたって成形され得る。
【0046】
図5は、
図4Aを参照して上述したパターン化シリンダ420と共に、TAD乾燥セクション530を使用する第2の実施形態の例示的な製紙機500を示す。この実施形態では、任意の好適な形成セクション510を使用してウェブ102を形成して脱水してもよいが、形成セクション510は、
図2に関して上述したものと同様のツインワイヤ形成セクションである。次いで、ウェブ102は、第2の形成生地206から移送ニップ514において移送生地512に移送され、そこで、シュー516は、第2の形成生地206に対して移送生地512を押圧する。シュー516は、ウェブ102の移送生地512への移送を支援するために真空を適用する真空シューであってもよい。
【0047】
次に、ウェブ102は、成形ゾーン430に移送生地512によって移送され、そこで、
図4Aを参照して上述したように、ウェブ102が成形され、移送生地からパターン化シリンダ420の透過性パターン化表面422に移送される。成形後、成形されたウェブ102は、次いで、パターン化シリンダ420から第2の移送ニップ440において乾燥セクション530に移送される。この実施形態では、ピックアップ表面は、通気乾燥生地216である。
図2を参照して上述した製紙機200と同様に、真空を適用して、第2の移送ニップ440において真空シュー522を使用して、パターン化シリンダ420から通気乾燥生地216へのウェブ102の移送を支援してもよい。
【0048】
次に、紙ウェブ102を運ぶ生地216は、通気乾燥機222、224の周囲を通過し、ここで、熱風が、ウェブ102を通過して、紙ウェブ102の粘稠性を約80パーセントの固形分へと増加させる。次いで、ウェブ102は、ヤンキー乾燥機セクション140に移送され、ここで、ウェブ102は、更に乾燥され、ドクターブレード152によってヤンキー乾燥機セクション140から取り外された後、リール(図示せず)によって巻き取られて、親ロール(図示せず)を形成する。
【0049】
あるいは、初期ウェブ102は、別個の脱水ゾーン212で最小限に脱水されてもよい。この実施形態では、脱水ゾーン212は真空脱水ゾーンであり、真空脱水ゾーンでは、吸引ボックス214がウェブ102から水分を除去して、シートが成形ゾーン430に到達する前に約20パーセントの固形分及び約35パーセントの固形分の望ましい粘稠性を達成する。熱風がまた、脱水ゾーン212において使用され、脱水を増進させてもよい。
【0050】
製紙機の第3の実施形態
図6は、本発明の第3の実施形態の例示的な製紙機600を示す。ここで、成形ニップ610は、パターン化シリンダ420とヤンキードラム142との間に形成され、湿った初期ウェブ102は、パターン化シリンダ420によって成形され、成形ニップ610において成形されたウェブ102を形成する。この実施形態では、初期ウェブ102は、
図1を参照して上述したCWP製紙機100と同様に形成される(ヤンキー乾燥セクション140の追加的特徴は、
図4及び乾燥セクション450を参照して第1の実施形態においても議論されている)。しかしながら、この実施形態では、プレスニップ130及びヤンキー乾燥機セクション140は、ウェブ102を脱水して、湿った初期ウェブ102を形成するために使用される。好ましくは、湿った初期ウェブ102は、成形ニップ610に入るとき、約30パーセントの固形分~約60パーセントの固形分、より好ましくは、約40パーセントの固形分~約55パーセントの固形分の粘稠性を有する。
【0051】
湿った初期ウェブ102は、成形ニップ610において、ヤンキードラム142からパターン化シリンダ420に移送される。成形及び移送を更に支援するために、湿った初期ウェブ102は、ラッシュ移送によって、ヤンキードラム142からパターン化シリンダ420に移送されてもよい。速度差が使用される場合、クレーピング比(パーセントで表される)は、式(3)を使用して計算され、式(3)は、以下のように、式(1)及び(2)に類似する。
クレーピング比(%)=(S4/S5-1)×100% 式(3)
式中、S4は、ヤンキードラム142の速度であり、S5は、パターン化シリンダ420の速度である。好ましくは、湿った初期ウェブ102は、約20パーセント~約200パーセント、より好ましくは、約60パーセント~約115パーセントの比でクレーピングされる。
【0052】
先の実施形態と同様に、パターン化シリンダ420のパターン化表面422は、真空が成形ニップ610内の真空ボックス432によって引き込まれることを可能にするように透過性であり、ウェブ102の移送及び成形の両方を支援することができる。透過性パターン化表面422が使用される場合、ブローボックス446及び洗浄セクション460などの他の特徴も使用され得る。
【0053】
成形後、成形されたウェブ102は、パターン化シリンダ420から乾燥セクション620に移送されて、乾燥したウェブ102を形成する。この実施形態では、
図5を参照して第2の実施形態に示され、説明されたTAD乾燥セクション530などの非圧縮性乾燥プロセスが、成形されたウェブ102に付与されたパターンを変更することを回避するために使用される。成形されたウェブ102は、
図5を参照して、第2の実施形態で上述した第2の移送ニップ440においてTAD生地216に移送されてもよい。通気乾燥機222、224によって乾燥された後、乾燥されたウェブ102は、TAD生地216から除去され、次いで、これはリール(図示せず)上に巻かれて、親ロール190を形成する。
【0054】
他の実施形態
上述した実施形態では、複数のパターン化シリンダ420を使用して、初期(湿った初期)ウェブ102にパターンを成形して付与することができる。例えば、第1の背景パターンが、第1のパターン化シリンダ420によって付与されてもよく、次いで、第2のシグネチャパターンが、第2のパターン化シリンダ420によって背景パターンの上に重ね合わされてもよい。2つのパターン化シリンダ420が上述した実施形態と共に使用される場合、両方のパターン化シリンダ420は、乾燥セクション(それぞれ、450、530、620)の上流に位置してもよく、2つのパターン化シリンダ420の間の中間乾燥なしにウェブ102を処理し、その結果、両方のパターンが、同様の粘稠性でウェブ102に付与される。
【0055】
2つのパターン化シリンダ420を使用する別の変形は、第1の実施形態と第3の実施形態との組み合わせであってもよい。第1のパターン化シリンダ420は、
図4を参照して第1の実施形態に説明されるように位置し、操作されてもよい。ヤンキードラム142及び第2のパターン化シリンダ420は、
図6を参照して第3の実施形態に説明されるように操作されてもよい。次いで、
図6を参照して第3の実施形態に説明されるように、成形されたウェブ102を乾燥させて、乾燥されたウェブ102を形成してもよい。好ましくは、この変形を採用する製紙機は、第1及び第2のパターンの両方が紙ウェブ102の同じ表面に付与されるように構成される。
【0056】
本発明は一定の特定の例示的な実施形態において説明されたが、本開示を考慮することで、多くの追加的な修正及び変形が当業者には明らかであろう。したがって、本発明は、具体的に記載されるもの以外に実施され得ることを理解されたい。したがって、本発明の例示的な実施形態は、全ての点において例示的であり、限定的ではないと見なされるべきであり、本発明の範囲は、前述の説明ではなく、本出願及びその等価物によってサポート可能ないずれかの特許請求の範囲によって決定されるべきである。
【産業上の利用可能性】
【0057】
産業上の適用可能性
本発明は、ペーパータオル及びトイレットペーパーなどの望ましい紙製品を生産するために使用することができる。したがって、本発明は、紙製品業界に適用可能である。