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特許7219759電気抵抗溶接により、第1部材と第2部材とをアセンブリするための挿入体、及び該挿入体を用いたアセンブリ方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-01-31
(45)【発行日】2023-02-08
(54)【発明の名称】電気抵抗溶接により、第1部材と第2部材とをアセンブリするための挿入体、及び該挿入体を用いたアセンブリ方法
(51)【国際特許分類】
   B23K 11/11 20060101AFI20230201BHJP
   B23K 11/14 20060101ALI20230201BHJP
【FI】
B23K11/11 540
B23K11/14
【請求項の数】 20
(21)【出願番号】P 2020512093
(86)(22)【出願日】2018-05-02
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-06-25
(86)【国際出願番号】 FR2018051094
(87)【国際公開番号】W WO2018202999
(87)【国際公開日】2018-11-08
【審査請求日】2021-04-21
(31)【優先権主張番号】17/53944
(32)【優先日】2017-05-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】519391745
【氏名又は名称】グロージャン マキシム
(74)【代理人】
【識別番号】110001427
【氏名又は名称】弁理士法人前田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】グロージャン マキシム
【審査官】柏原 郁昭
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-024436(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0167158(US,A1)
【文献】特開2013-022622(JP,A)
【文献】特開2006-220300(JP,A)
【文献】国際公開第2015/075964(WO,A1)
【文献】特開2015-062911(JP,A)
【文献】特開平07-214338(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23K 11/11
B23K 11/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
挿入体(1)と第2部材(200)との電気抵抗溶接により、第1部材(100)と前記第2部材(200)とをアセンブリするための前記挿入体(1)であって、
前記挿入体(1)は、
溶接電極(300)を受けるように構成されたドッキング面(20)と、前記第2部材(200)にアセンブリされた前記第1部材(100)を保持するために前記第1部材(100)に当接するように構成されたベアリング面(22)と、を含むヘッド部(2)と、
前記第1部材(100)に挿入されるように構成されるとともに、前記第2部材(200)に溶接されるように構成された溶接面(40)を含み、前記ヘッド部(2)の断面積よりも小さい断面積を有する本体部(4)と、
前記本体部(4)の周囲に延び、溶接作業中に前記本体部(4)から放出される熱の前記第1部材(100)への伝達を抑制する断熱手段と
を備え
前記断熱手段は、断熱材料を含むように構成された周縁領域又はハウジング(44)を含み、
前記周縁領域又はハウジング(44)は、ヘッド部(2)の下側から突出する1つ又はいくつかの要素(46)によって区画され、
前記周縁領域又はハウジング(44)は、前記突出する1つ又はいくつかの要素(46)によりブロックされる、溶接作業中における溶融物のスプラッシュ(48)の収容領域として機能する
ことを特徴とする挿入体(1)。
【請求項2】
前記挿入体は、前記第1部材(100)を通じて適切な位置に前記挿入体(1)を保持するように構成された保持手段を備えた、請求項1に記載の挿入体(1)。
【請求項3】
前記突出する要素(46)の先端(46c)は、第1部材(100)を切断するように構成された切断刃を形成する、請求項1又は2に記載の挿入体(1)。
【請求項4】
前記溶接面(40)は、前記先端(46c)により形成された前記切断刃より先に、前記第1部材(100)に当接するように構成された、請求項に記載の挿入体(1)。
【請求項5】
前記突出する要素(46)は、前記本体部(4)の中央の高さまで少なくとも延びる、請求項1~4のいずれかに記載の挿入体(1)。
【請求項6】
前記断熱手段は、断熱材料からなる部材を含む、請求項1~のいずれかに記載の挿入体(1)。
【請求項7】
前記断熱手段は、断熱材料コーティングを含む、請求項1~のいずれかに記載の挿入体(1)。
【請求項8】
挿入体(1)と第2部材(200)との電気抵抗溶接により、第1部材(100)と前記第2部材(200)とをアセンブリするための前記挿入体(1)であって、
前記挿入体(1)は、
溶接電極(300)を受けるように構成されたドッキング面(20)と、前記第2部材(200)にアセンブリされた前記第1部材(100)を保持するために前記第1部材(100)に当接するように構成されたベアリング面(22)と、を含むヘッド部(2)と、
前記第1部材(100)に挿入されるように構成されるとともに、前記第2部材(200)に溶接されるように構成された溶接面(40)を含み、前記ヘッド部(2)の断面積よりも小さい断面積を有する本体部(4)と、
前記本体部(4)の周囲に延び、溶接作業中に前記本体部(4)から放出される熱の前記第1部材(100)への伝達を抑制する断熱手段とを備え、
前記ヘッド部(2)は、少なくとも1つの通気用溝(30)を備えている、挿入体(1)。
【請求項9】
前記ヘッド部(2)は、溶接点又は挿入体(1)を壊すための力を前記ヘッド部(2)に付与するためのツールを受けるように構成された係合面(34)を備えた、請求項1~のいずれかに記載の挿入体(1)。
【請求項10】
前記本体部(4)は、前記溶接面(40)の方向に減少する断面積を有する部分(41)を備えた、請求項1~のいずれかに記載の挿入体(1)。
【請求項11】
前記挿入体(1)は、固定手段を備え、
前記固定手段は、該固定手段と協働するための構成要素を前記挿入体(1)に固定するように構成されている、請求項1~10のいずれかに記載の挿入体(1)。
【請求項12】
挿入体(1)と第2部材(200)との電気抵抗溶接により、第1部材(100)と前記第2部材(200)とをアセンブリするための前記挿入体(1)であって、
前記挿入体(1)は、
溶接電極(300)を受けるように構成されたドッキング面(20)と、前記第2部材(200)にアセンブリされた前記第1部材(100)を保持するために前記第1部材(100)に当接するように構成されたベアリング面(22)と、を含むヘッド部(2)と、
前記第1部材(100)に挿入されるように構成されるとともに、前記第2部材(200)に溶接されるように構成された溶接面(40)を含み、前記ヘッド部(2)の断面積よりも小さい断面積を有する本体部(4)と、
前記本体部(4)の周囲に延び、溶接作業中に前記本体部(4)から放出される熱の前記第1部材(100)への伝達を抑制する断熱手段とを備え、
前記ヘッド部(2)は、第1材料を含み、
前記本体部(4)は、前記第1材料とは異なる第2材料を含む、挿入体(1)。
【請求項13】
挿入体(1)と第2部材(200)との電気抵抗溶接により、第1部材(100)と前記第2部材(200)とをアセンブリするための前記挿入体(1)であって、
前記挿入体(1)は、
溶接電極(300)を受けるように構成されたドッキング面(20)と、前記第2部材(200)にアセンブリされた前記第1部材(100)を保持するために前記第1部材(100)に当接するように構成されたベアリング面(22)と、を含むヘッド部(2)と、
前記第1部材(100)に挿入されるように構成されるとともに、前記第2部材(200)に溶接されるように構成された溶接面(40)を含み、前記ヘッド部(2)の断面積よりも小さい断面積を有する本体部(4)と、
前記本体部(4)の周囲に延び、溶接作業中に前記本体部(4)から放出される熱の前記第1部材(100)への伝達を抑制する断熱手段とを備え、
前記ベアリング面(22)は、前記第1部材(100)に当接するように構成された周縁フランジ(21、220)を有する、挿入体(1)。
【請求項14】
第1部材(100)と第2部材(200)とをアセンブリする方法であって、
前記アセンブリ方法は、
請求項1~1のいずれかに記載の挿入体(1)を前記第1部材(100)内に挿入するステップと、
前記挿入体(1)を第2部材(200)に溶接するステップと
を備えたアセンブリ方法。
【請求項15】
前記挿入体(1)を前記第1部材(100)内に挿入する前記ステップは、前記第1部材(100)の製造の間に行われる、請求項1に記載のアセンブリ方法。
【請求項16】
前記挿入体(1)を前記第1部材(100)内に挿入する前記ステップは、前記挿入体(1)により前記第1部材(100)を切断するステップを含む、請求項1に記載のアセンブリ方法。
【請求項17】
前記方法は、前記挿入体(1)を冷却するステップを含む、請求項1~1のいずれかに記載のアセンブリ方法。
【請求項18】
前記方法は、前記挿入体(1)に当接される1つの単一電極の使用を含む、請求項1~1のいずれかに記載のアセンブリ方法。
【請求項19】
前記アセンブリ方法は、第1部材(100)及び第2部材(200)を接着させるステップを含む、請求項118のいずれかに記載のアセンブリ方法。
【請求項20】
前記方法は、前記第2部材(200)内のボス(500)の形成を含む、請求項14~19のいずれかに記載のアセンブリ方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気抵抗溶接により、2つ以上の部材をアセンブリするための挿入体、及びこの挿入体を用いてこれら2つの部材をアセンブリする方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特に陸上又は航空運輸の分野において、鋼、アルミニウム、マグネシウム等の構成要素と、マトリックス及び補強材等の複合材料又はプラスチック製の構成要素との両者を一体化させたマルチ材料アセンブリを製造することは公知である。これらのマルチ材料アセンブリは、車両のエネルギー消費を減らすか又は動的な性質を改善するための車両の軽量化、安全性基準を満たすための構造補強、又は、車両の構成要素の点数の低減といった課題に対処する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、マルチ材料アセンブリは、これらのアセンブリのまさしくその性質を考慮して行うことが比較的困難である。そして、異なる特性を有する材料からなり、簡単で、経済的で、耐久性があり、強固な固定部材を必要とする。
【0004】
例えば接着することによりマルチ材料アセンブリを製造することは公知である。しかしながら、この解決策は、一般に比較的相当な架橋時間又は乾燥時間を意味するとともに、経年劣化によりアセンブリの性能が変化するという欠点もあり得る。従って、接着という方法は、依然として限定された場合に制限されている。
【0005】
また、フロードリルねじ及び釘により、マルチ材料アセンブリを製造することも公知である。しかしながら、この解決策では、特に高性能鋼シートメタルを含むアセンブリを製造できない。他の欠点は、アセンブリ後に形成される突起状残留物の存在である。
【0006】
最後に、特にホワイトボディのアセンブリ作業において、スポット溶接技術を用いてアセンブリを製造することは公知である。スポット溶接又は電気抵抗溶接は、機械的レベルで経済的且つ効率的であるという効果を有するアセンブリ技術である。にもかかわらず、この技術は、概して2枚の鋼シートメタル等の同じ性質の材料からなる2つの要素のアセンブリに制限される。この技術は、製造されるアセンブリが、例えばアルミニウム-鋼、鋼-複合材料、アルミニウム-プラスチックアセンブリ等の異なる性質の材料を有する要素を含む場合に、実施することが困難であることが判っている。この問題を克服するために、溶接パッチともいう挿入体を用いることが知られている。溶接パッチは、アセンブリされる要素の1つの中に配置され、その上に溶接電極を接触させて溶接を行う。従って、溶接パッチによりマルチ材料アセンブリを製造できる。
【0007】
しかしながら、溶接パッチには、いくつかの欠点がある。溶接パッチの寸法、特に直径は、通常、かなり大きい。実際、これにより、ロボット化された溶接アーム上の視野測位システムを接近させる必要もなく、パッチが挿入される部分よりも溶接パッチへの溶接クランプの電極のドッキングが確実になる。また、これにより、溶接パッチが挿入された部材に熱が到達して溶融させる、又はその材料を変質させる前に、溶接中に生じる熱を発散できる。この比較的大きなサイズにすることは、材料コストの高さ、質量の増加を意味し、車両の軽量化という現状の課題に逆行することになる。さらに、アセンブリ対象の部材に溶接パッチを挿入するためには、これらの溶接パッチを受け入れる直径の孔が必要である。この孔の直径は、やはり比較的大きなものとなるから、溶接パッチを受ける部材の強度低下に繋がる。また、例えばプラスチック又は複合材料からなる部材に溶接パッチを効果的に挿入することは、依然として手間がかかる。
【0008】
また、本発明は、アセンブリの強度低下を抑制し、低コストで、大きな設備投資を必要とすることなく使用できる、電気抵抗溶接による2つの部材のアセンブリのための挿入体を提案することによって、これらの欠点の全部又は一部を克服することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
このため、本発明の目的は、挿入体と第2部材との電気抵抗溶接により、第1部材と前記第2部材とをアセンブリするための前記挿入体であって、前記挿入体は、
溶接電極を受けるように構成されたドッキング面と、前記第2部材にアセンブリされた前記第1部材を保持するために前記第1部材に当接するように構成されたベアリング面と、を含むヘッド部と、
前記第1部材に挿入されるように構成されるとともに、前記第2部材に溶接されるように構成された溶接面を含み、前記ヘッド部の断面積よりも小さい断面積を有する本体部と、
前記本体部の周囲に延び、溶接作業中に前記本体部から放出される熱の前記第1部材への伝達を抑制する断熱手段と
を備えたことを特徴とする。
【0010】
このように、本発明に係る挿入体によれば、電気抵抗溶接によりマルチ材料アセンブリを製造できる。このアセンブリは、限られた材料コストでありながら、優れた耐久性を有するとともに、既存の抵抗溶接装置を用いて行うことができるから、さらにコストを低減できる。
【0011】
実際、断熱手段は挿入体が配置される第1部材への熱の伝送を抑制するから、温度上昇の結果第1部材の材料が変性するリスクを抑制できる。このことは、第1部材が例えば複合材料のマトリックス等のプラスチック材料を含む場合に、特に有利である。
【0012】
また、溶接電極を受けるヘッド部と、端に溶接点が形成される本体部との断面積の違いにより、本体部の特にその端において、溶接エネルギー及び温度上昇を集中させることができるとともに、ヘッド部の温度上昇を低減させ、その結果ヘッド部において熱をより急速に放散させることができる。そして、これにより、溶接作業中におけるヘッド部から第1部材への熱の伝達を抑制できる。さらに、断面積の違いにより、比較的大きなドッキング面を提供できる。そうして、溶接電極を挿入体上に運ぶロボットの位置の精度に関し、許容度をもたらす。言い換えると、ロボットに高コストの視野測位システムを追加で付設する必要がなくなる。
【0013】
また、本体部は、第1部材を通じて、特に第1部材を貫通するように形成された孔を通じて挿入されるように構成されている。この本体部は低減された断面積を有するので、孔は低減されたサイズを有する。これにより、第1部材の構造上の強度低下を抑制できる。
【0014】
一実施形態によれば、前記挿入体は、前記第1部材を通じて適切な位置に前記挿入体を保持するように構成された保持手段を備える。
【0015】
これにより、第1部材の劣化リスクを抑制するために、第1部材から少し離間した位置で、溶接中に最も温度が上昇する本体部を保持することができる。
【0016】
一実施形態によれば、前記断熱手段は、断熱材料を含むように構成された周縁領域又はハウジングを含む。
【0017】
この構成により、より低コストで、本体部を第1部材から効果的に分離できる。
【0018】
一実施形態によれば、前記周縁領域又はハウジングは、ヘッド部の下側から突出する1つ又はいくつかの要素によって区画される。
【0019】
一実施形態によれば、前記突出する要素の先端は、第1部材を切断するように構成された切断刃を形成する。
【0020】
一実施形態によれば、前記溶接面は、前記先端により形成された前記切断刃より先に、前記第1部材に当接するように構成されている。従って、溶接面は、この先端に接する面から突出し得る。
【0021】
一実施形態によれば、前記突出する要素は、前記本体部の中央の高さまで少なくとも延びる。
【0022】
一実施形態によれば、前記断熱手段は、断熱材料からなる部材を含む。
【0023】
一実施形態によれば、前記断熱手段は、断熱材料コーティングを含む。
【0024】
この構成によれば、よりコンパクトな構成とすることができ、第1部材に形成された孔のサイズを抑制し、結果としてこの第1部材の機械的強度の低下を抑制できる。
【0025】
一実施形態によれば、前記ヘッド部は、少なくとも1つの通気用溝を備えている。
【0026】
これにより、溶接中にヘッド部において放出される熱をより急速に放散させることができ、結果として第1部材におけるヘッド部と接触する部分の溶融リスクを抑制できる。
【0027】
一実施形態によれば、前記ヘッド部は、溶接点又は挿入体を壊すための力を前記ヘッド部に付与するためのツールを受けるように構成された係合面を備える。
【0028】
この特徴によれば、容易に挿入体を壊すことができ、その結果、第1部材及び第2部材の分解を要する保守又は交換作業が容易になる。
【0029】
一実施形態によれば、前記本体部は、前記溶接面の方向に減少する断面積を有する部分を備える。
【0030】
この断面積の減少により、溶接中において本体部の端に熱を集中させることができ、その結果、挿入体の他の部分及び断熱領域、特に第1部材に向かって熱が拡散するのを抑制できる。
【0031】
一実施形態によれば、前記挿入体は、固定手段を備え、前記固定手段は、該固定手段と協働するための構成要素を前記挿入体に固定するように構成されている。
【0032】
これにより、予め挿入体を用いて形成された第1部材及び第2部材のアセンブリに他の部材を取り付けることができる。
【0033】
一実施形態によれば、前記ヘッド部は、第1材料を含み、前記本体部は、前記第1材料とは異なる第2材料を含む。
【0034】
この特徴によれば、ヘッド部と本体部との間の断面積の差により生じる電気抵抗の違いと相補的な、挿入体に沿う電気抵抗の違いをもたらすことができる。その結果、電流線をヘッド部の中心部に向かって集中させることができ、延いてはヘッド部を介して第1部材に熱が伝達されるリスクを抑制できる。従って、挿入体の異なる部分は、異なる材料を含み得る。例えば、ヘッド部はアルミニウム、本体部はより耐性に優れた鋼、及び断熱手段はセラミックからなる。
【0035】
一実施形態によれば、前記ベアリング面は、前記第1部材に当接するように構成された周縁フランジを有する。
【0036】
他の実施形態によれば、本発明の他の目的は、第1部材と第2部材とをアセンブリする方法であって、前記アセンブリ方法は、上述の特徴を有する挿入体を前記第1部材内に挿入するステップと、前記挿入体を第2部材に溶接するステップとを備える。
【0037】
一実施形態によれば、前記挿入体を前記第1部材内に挿入する前記ステップは、前記第1部材の製造の間に行われる。
【0038】
これにより、時間を短縮化でき、延いては当該方法のコストを抑制できる。
【0039】
一実施形態によれば、前記挿入体を前記第1部材内に挿入する前記ステップは、前記挿入体により前記第1部材を切断するステップを含む。
【0040】
一実施形態によれば、前記溶接するステップは、電気抵抗溶接ステップである。方法は、挿入体に溶接電極を当接させるステップを含み得る。好ましくは、この溶接電極は挿入体のヘッド部の断面積と同一か又はそれより大きい断面積を有する。
【0041】
これにより、溶接電極を当接させるときの(第1部材に対する挿入体、第2部材に対する第1部材、第1部材及び挿入体により形成される組合せに対するロボットアーム等の)位置の不正確性を補うことができる。
【0042】
溶接電極は比較的大きなサイズであるから、より広い表面に亘って溶接エネルギーを分配できる。挿入体のヘッド部と電極との間の接触面が大きいほど、単位面積当たりの伝達されるエネルギーは小さくなる。これにより、ヘッド部における温度上昇が抑制され、延いては第1部材の保護に寄与できる。
【0043】
また、電極と挿入体との間の温度上昇を抑制することにより、溶接の反復性及び安定性が向上する。電極は、劣化が抑制され、交換頻度を低減できる。
【0044】
一実施形態によれば、前記方法は、前記挿入体を冷却するステップを含む。
【0045】
これにより、溶接作業中において、第1部材に伝達される熱を抑制できる。また、これにより、電極と挿入体との間の温度上昇を抑制し、延いては電極の劣化を抑制できる。
【0046】
一実施形態によれば、前記方法は、前記挿入体、特に前記挿入体のヘッド部に当接される1つの単一電極の使用を含む。
【0047】
これにより、単一アクセス溶接、すなわち1つの電極を一方だけに当接させることにより行われる溶接が可能になる。言い換えると、もはやアセンブリを2つの電極間に挟まなくてもよく、挿入体が第2部材に接触した状態で、第2部材を、挿入体に当接された溶接電極の極性と反対の極性に設定するだけでよい。これにより、溶接領域に近づくことが困難な部材に対しても作業できる。
【0048】
一実施形態によれば、前記アセンブリ方法は、第1部材及び第2部材を接着させるステップを含む。
【0049】
本発明に係る挿入体と接着させることとを組み合わせることにより、接着効果を向上でき、延いては高価でない接着剤の使用を可能にする。そうして、方法の複雑化を低減できる。
【0050】
一実施形態によれば、前記方法は、前記第2部材内のボスの形成を含む。
【0051】
本発明の他の特徴及び効果は、添付の図面を参照して、非限定的な例示として提供された実施形態についての以下の詳細な説明から明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0052】
図1図1は、本発明の一実施形態に係る挿入体の側面図及び半透視図である。
図2図2は、本発明の一実施形態に係る挿入体の上側斜視図である。
図3図3は、本発明の一実施形態に係る挿入体の下側斜視図である。
図4A図4Aは、本発明の一実施形態に係る挿入体の断面図であり、この挿入体を用いて第1部材と第2部材とをアセンブリする前の図である。
図4B図4Bは、本発明の一実施形態に係る挿入体の断面図であり、この挿入体を用いて第1部材と第2部材とをアセンブリした後の図である。
図5A図5Aは、本発明の一実施形態に係る挿入体の断面図であり、この挿入体を用いて第1部材と第2部材とをアセンブリする前の図である。
図5B図5Bは、本発明の一実施形態に係る挿入体の断面図であり、この挿入体を用いて第1部材と第2部材とをアセンブリした後の図である。
図6A図6Aは、本発明の一実施形態に係る挿入体の断面図であり、この挿入体を用いて第1部材と第2部材とをアセンブリする前の図である。ここに、第1部材と第2部材との間に機能的な間隙が設けられており、特に第1部材及び第2部材の対向面に表面保護を与えることができる。機能的な間隙は流体循環用の通路を形成する。
図6B図6Bは、本発明の一実施形態に係る挿入体の断面図であり、この挿入体を用いて第1部材と第2部材とをアセンブリした後の図である。ここに、第1部材と第2部材との間に機能的な間隙が設けられており、特に第1部材及び第2部材の対向面に表面保護を与えることができる。機能的な間隙は流体循環用の通路を形成する。
図7図7は、本発明の一実施形態に係る挿入体を用いて第1部材と第2部材とをアセンブリする前の当該挿入体の断面図である。挿入体の溶接作業後に第1部材及び第2部材間にアセンブリの機械的応力を発生させることができる。
図8図8は、本発明の一実施形態に係る挿入体の上側斜視図である。
図9図9は、本発明の一実施形態に係る挿入体の部分的な断面斜視図である。
図10A図10Aは、本発明の一実施形態に係る挿入体の上側斜視図であり、固定手段が相補要素に一体化されている。
図10B図10Bは、本発明の一実施形態に係る挿入体の下側斜視図であり、固定手段が相補要素に一体化されている。
図11A図11Aは、本発明の一実施形態に係る挿入体の上側斜視図であり、固定手段が相補要素に一体化されている。
図11B図11Bは、本発明の一実施形態に係る挿入体の下側斜視図であり、固定手段が相補要素に一体化されている。
図12A図12Aは、本発明の一実施形態に係る挿入体を用いたアセンブリ方法のステップを示す断面斜視図である。
図12B図12Bは、本発明の一実施形態に係る挿入体を用いたアセンブリ方法のステップを示す断面斜視図である。
図13図13は、本発明の一実施形態に係る挿入体によるアセンブリ方法のステップを示す断面斜視図である。
図14図14は、本発明の一実施形態に係る挿入体の断面図である。
図15図15は、本発明の一実施形態に係る挿入体の断面図である。
図16図16は、本発明の一実施形態に係る挿入体の断面図である。
図17図17は、本発明の一実施形態に係る挿入体の断面図である。
図18図18は、本発明の一実施形態に係る挿入体の断面図である。
図19図19は、本発明の一実施形態に係る挿入体の断面図である。
図20A図20Aは、本発明の一実施形態に係る挿入体の断面図である。
図20B図20Bは、本発明の一実施形態に係る挿入体の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0053】
図1は、本発明の一実施形態に係る挿入体1を示す。挿入体1は、例えば図4A及び図4Bに示すように、抵抗スポット溶接(RSW)とも呼ばれる電気抵抗溶接により、第1部材100と第2部材200とをアセンブリするためのものである。また、挿入体1は、図20A及び図20Bに示すように、電気抵抗溶接により、2つより多い部材又は積層されたシートメタルのアセンブリも可能とし得る。
【0054】
挿入体1は、第1部材100に形成された孔を通じて挿入されるように構成されており、ここでは第1部材の下に配置された第2部材200と接触して配置される。そして、温度上昇を生じさせ、延いては挿入体1及び第2部材200の溶接を行うために、電流が印加される。そうして、第1部材100は、挿入体1によって第2部材200に組み付けられ状態で保持される。
【0055】
第1部材100及び第2部材200は、異なる材料を含み得る。例として、第1部材100は、例えば熱可塑性又は熱硬化性マトリックスと、短繊維又は長繊維タイプの強化材とを含む、プラスチック又は複合材料からなり得る。一方、第2部材200は、金属、例えば鋼からなり得る。第1部材100が、例えば金属等の導電性材料からなる場合、挿入体1は、短絡を避けるために部分的に又は完全に電気的に絶縁されたコーティングにより被覆され得る。
【0056】
挿入体1は、ヘッド部2と本体部4とを備える。
【0057】
ヘッド部2は、ディスク形状を有し得る。ヘッド部2は、図12A及び図12Bに示すように、溶接電極300を受けるように構成されたドッキング面20と、その下側、ドッキング面20の反対側に、第1部材100及び第2部材200の分解を抑制するために第1部材100に当接するように構成されたベアリング面22とを含む。好ましくは、ベアリング面22は、ヘッド部2の下側の周面に対応する。ベアリング面22は、環状形状を有することができる。ドッキング面20及び/又はベアリング面22は、挿入体1の縦軸Aに対して直交か、又は互いに平行であってもよい。
【0058】
ヘッド部2は、ドッキング面20及びヘッド部2の下側を接続する例えば円筒状の横壁24を含み得る。横壁24は、図5A図5B図6A及び図6Bに示すように、第1部材100及び挿入体1の保持に寄与するために、第1部材100に当接するように構成され得る。図5A及び図5Bの例によれば、挿入体1と、第1部材100及び第2部材200とにより形成されたセットの剪断抵抗は、剪断応力が挿入体1の最大可能表面上に分散されることにより、高まる。本体部4は、第1部材100に挿入されるように構成されている。本体部4は、円筒状形状を有することができる。
【0059】
本体部4は、軸Aに沿って長手方向に延び得る。本体部4は、ヘッド部2の下側から延びる。本体部4は、ヘッド部2の下側においてヘッド部2に接続された第1端部4aと、反対の第2端部4bとを備える。好ましくは、本体部4は、図4A図6A又は図7に示すように、その第2端部4bに向かって断面積差を有してもよく、特に部分41は、ヘッド部2に接続された本体部4の一部と比べてより小さい断面積を有してもよい。好ましくは、より小さい又は減少する断面積を有する部分41は、本体部4の第2端部4bにおいて延び、減少する断面積を有するこの部分41は、溶接面40に隣接し得る。例えば、減少する断面積を有する部分41は、円筒状及び/又は円錐状形状を有し得る。この断面積の減少によれば、特にプライマ43によって溶接工程が開始した後の熱をかなり局所的に集中させることができる。これにより、正確且つ安定した溶融点を生成できる。また、これにより、第1部材100の厚さの変化を補い、延いては、良質なドッキングに適用し、第1部材100及び第2部材200間を接続するように、溶接において本体部4の実際の長さを自己調整する余剰の材料をもたらすことができる。より小さい又は減少する断面積を有する部分41、好ましくはプライマ43は、この余剰材料が第1部材100から少し離間した状態で、断熱領域の範囲内に含まれるように構成される。このように、挿入体1は、第1部材100の厚さの変化という観点から、より広い範囲で使用できる。
【0060】
第2端部4bは、第2部材200に溶接されるように構成された溶接面40を含む。本体部4は、横壁42を有する。溶接面40は、ヘッド部2と反対側の方向に減少する断面積を有し得る。例えば、溶接面40は、円錐又は円錐台状の形状を有し得る。さらに、溶接面40は、溶接面40から突起状に延びる溶接プライマ43を含み得る。
【0061】
ヘッド部2及び本体部4は、ドッキング面20から溶接面40まで電流を循環させ得るように構成されている。特に、ヘッド部2及び本体部4は、例えば金属等の導電性材料を含む。挿入体1、特にヘッド部2及び/又は本体部4は、鋼、アルミニウム、チタン又は銅を含み得る。
【0062】
ヘッド部2及び本体部4は、一体であるか、又は互いに固定されて挿入体1を形成していてもよい。ヘッド部2は、第1材料を含み、本体部4は、第1材料とは異なる、特に第1材料よりも電気抵抗の高い第2材料を含み得る。これにより、ヘッド部2と本体部4との間の電気抵抗差を高め、好ましくは電気エネルギー、延いては生じた熱を挿入体1の中心部に局所化させることができる。例えば、ヘッド部2はアルミニウムを含み、本体部4は鋼を含む。1つの可能性によれば、本体部4は、異なる電気抵抗を有するいくつかの材料を含み得る。また、特に、本体部の第2端部4bは、本体部4の残りの部分よりも高い電気抵抗を有する材料又は第2部材200との良質な溶接点の形成により適した材料を含み得る。
【0063】
本体部4はヘッド部2の部分の断面積よりも小さい断面積を有する点に留意すべきである。特に、本体部4は、(軸Aに沿ったその高さを除いて、)ヘッド部2のサイズより小さいサイズを有する。図1に示すように、本体部4は、ヘッド部の直径Dより小さい直径dを有し得る。好ましくは、本体部4及びヘッド部2間の断面積又は直径比率は、少なくとも15%の範囲内である。
【0064】
好ましくは、電気抵抗溶接作業の間に挿入体1を流れる電流線が挿入体1の中央部に集中されるように、本体部4はヘッド部2から中央に延びる。
【0065】
挿入体1は、溶接作業中における本体部4から第1部材100への熱の伝達を抑制するように構成された断熱手段を備える。断熱手段は、溶接作業中において、本体部4及び第1部材100の間、より具体的には、本体部4及びベアリング面22の間に配置されるように構成されている。断熱手段は、第1端部4aとベアリング面22との間において、本体部4の全周、特に本体部4の第1端部4aの全周に亘って延びる。
【0066】
特に、断熱手段が引き出しバイアスに対応できる材料を含む場合に、さらにヘッド部2及び第1部材100の間、すなわちヘッド部2及び特にヘッド部2の横壁24の周囲に延びる断熱手段を提供することも可能である。さらに、特に断熱手段が第1部材100と接触するように構成されている場合、断熱手段は、剪断応力に耐え、延いては第1部材100の保持に寄与するのに適した材料を含み得る。
【0067】
図3に示すように、好ましくは、断熱手段は、本体部4の横壁42の周囲に延び、例えば空気等の断熱材料を含むように構成された、例えば環状形状の周縁領域又はハウジング44を含む。
【0068】
断熱領域又はハウジング44は、ヘッド部2の下側から突出する、例えば環状の1つ又はいくつかの要素46によって区画され得る。突出する要素46は、本体部4から離間して、特に本体部4の全周に亘って配置される。突出する要素46は、内側面46a及び外側面46bを有し得る。ここに、断熱領域又はボリューム44は、本体部4の横壁42、突出する要素46の面46b、及び底壁45によって、部分的に区画される。断熱手段は、例えばセラミック等の断熱材料からなり得る突出する要素46を含み得る。
【0069】
図14に示すように、突出する要素46の先端46cは、突出する形状、特に挿入体1が挿入されるための第1部材100の孔を切断することを可能にするように構成された切断刃の形状を有し得る。図14に示すように、切断刃は、外側に向いていてもよい:従って、この刃は、本体部4側に配置された傾斜面460よりも軸Aに関して傾きが小さい外側に配置された傾斜面を含む2つの傾斜面の接合部に形成され得る。
【0070】
好ましくは、切断前に第1部材100の材料に予め張力がかかるように、本体部4の第2端部4bは先端46cと同一平面上の平面から突出する。これにより、この切断の効果が向上する。先端46cは、例えばアルミニウム、プラスチック、複合材料又は鋼の切断に適し得る。
【0071】
突出する要素46は、例えば円形、卵形、長方形、正方形等の通路に沿って本体部4の周囲に延び得る。
【0072】
領域又はハウジング44は、ヘッド部2の下側において少なくとも部分的に凹んだ状態で、すなわち、ベアリング面22とドッキング面20との間に含まれる高さにおいて延びる底45を有する状態で、延びてもよい。これにより、本体部4からの放射方向の熱の伝達が抑制される。
【0073】
断熱手段は、例えばセラミック等の断熱材料からなる部材を含んでもよく、当該部材は、好ましくは当該領域又はハウジング44の内側に部分的に又は完全に配置され得る。この部材は、例えば突出する要素46により形成され得るリングに相当してもよく、この突出する要素46が断熱材料を含み得る。
【0074】
代わりに又は相補的に、断熱手段は、本体部4の材料に比べてより断熱性の材料からなるコーティング(図示せず)を含んでもよい。このコーティングは、全体、すなわち挿入体1の全体を覆っていてもよいし、部分的、すなわち例えば本体部4の横壁42等に配置されていてもよい。
【0075】
好ましくは、図15に示すように、周縁領域又はハウジング44は、突出する要素46によりブロックされて、溶接作業中における溶融物のスプラッシュ4の収容領域として機能する。また、フリーの収容領域に向かう溶融物の排出は、特にその円錐又は円錐台形状により、第2端部4b、より具体的には溶接面40の断面積が減少することにより促進される。
【0076】
また、図16に示すように、第1部材100及び本体部4の間の自由領域により、第2部材200は、溶接作業中この自由領域において変形できる。これにより溶接作業の結果得られたアセンブリの張力を効果的に保持するバイアスを形成できる。実際、溶接作業中に、本体部4の材料は消費され、その結果、第2部材200は電極による挟持の影響により自由領域において変形し、本体部4の長さの減少を補う。こうして、張力は、最終的にアセンブリに保存される。
【0077】
また、図16に関し、ヘッド部2は、下側に、第1部材100に当接されるように構成された周縁フランジ21を有し得ることに留意する必要がある。この周縁フランジ21は、ベアリング面22の端部に形成されてもよく、例えば軸Aに直交する平面に関して傾いた状態でもよく、これによりヘッド部2の下側に周縁ポケット23が形成され、アセンブリの張力に寄与する弾性をヘッド部2に与えることができる。また、このポケットにより、異なる材料で形成され得る第1部材100と挿入体1との間の膨張差により生じ得る差異を吸収できる。
【0078】
図19に示すように、外側面46bは、溶接後に残った横壁42の表面積S2よりも大きい表面積S1を有するように構成され得る。特に、突出する要素46は、その先端46cが本体部4の中央のレベル又はその下側にくるような高さを超えて軸Aに沿って延び得る。これにより、ピーニング又は微小な裂け目の問題が抑制される。
【0079】
好ましくは、挿入体1は、第1部材100を通じて適切な位置に挿入体1を固定するように構成された保持手段を含み、これにより、本体部4と第1部材100とを接触させたときの互いの相対的な位置ずれを抑制できる。
【0080】
例えば、保持手段はブロッキング面6を含む。ブロッキング面6は、突出する要素46の外側面46b及び/又は先端面又は軸面46c、及び/又は、ヘッド部2の横壁24でもよく、挿入体1がこの第1部材100に挿入されたときに、第1部材100から少し離間して本体部4を保持するように構成されている。
【0081】
保持手段は、ヘッド部2及び第1部材100を互いに係合させるように、側方のブロッキング面6、特に突出する要素46の先端46cに配置された突出部又は陥凹部47を含み得る。
【0082】
ヘッド部2の横壁24はドッキング面20の方向に減少する断面積を備えた部分24aを有してもよく、これにより、保持手段は横壁24の減少する断面積を備えたこの部分24aを含むことができる。
【0083】
また、保持手段は、ドッキング面20を横壁24の残りに接続するヘッド部2の横壁24の部分24aを備えてもよい。この部分24aは、ドッキング面の方向に減少する断面積を有する。第1部材100は、例えばオーバーモールド成形により、減少する断面積を備えたこの部分24aを超えて延び得る。
【0084】
図17に示される実施形態によれば、保持手段は、例えば環状であり、ベアリング面22から突出する突起220を含み得る。好ましくは、この突起220は周縁フランジ21であってもよく、ポケットはこの突起及び突出する要素46との間で区画され得る。
【0085】
好ましくは、保持手段は、ヘッド部2に配置される。
【0086】
好ましくは、断熱手段は、本体部4及び保持手段の間に配置される。
【0087】
このように、断熱手段は、溶接作業前及び溶接作業中において、本体部4から少し離間して第1部材100を保持するように構成される。
【0088】
図2図9、及び図11Aの例に示すように、ドッキング面20は、溶接作業中に、例えば空気等の冷却剤を循環させるように構成された1つ又はいくつかの通気用溝30を区画する1つ又はいくつかの突起28を有し得る。例えば、冷却剤は、ドッキング面30の方向に溶接電極300の外側又は内側を経て放出される。通気用溝30は、通気用溝30からの冷却剤の放出を可能とする放射状の開口部32を有する。好ましくは、放射状の開口部32は、ヘッド部2の横壁24の上方に配置される。
【0089】
さらに、ヘッド部2、特にドッキング面20は、好ましくは、溶接点又は挿入体1を壊すための力、特にトルクをヘッド部2に付与するために、例えばスクリュードライバー又はキー等のツールを受けるように構成された、例えばオルトラジアル又はオルトラジアル要素を有する係合面34を備えることに留意すべきである。この係合面34はドッキング面の突起28の横壁に相当してもよく、好ましくは、部分的に1つ以上の通気用溝30を区画してもよい。図9の例によれば、係合面34は、例えばインプリント又はヘクサロビュラ内部キー等、星型の突起28の横壁に形成される。係合面34は、横壁24の一部に相当してもよい。
【0090】
図10A図10B図11A及び図11Bに示すように、挿入体1は、例えばネジ又はナットなどの構成要素を挿入体1に固定するように構成された固定手段を備え得る。この構成要素は、挿入体1の固定手段と協働するように構成された相補型固定手段を含み得る。固定手段は、挿入体を貫通する孔82の横壁、又は本体部4の第2端部から延びるロッドの横壁に形成され得るスレッド80を含み得る。固定手段は、例えば溶接又は圧挿のための、例えばバヨネット型の挟持要素又は嵌合要素のための表面等の固定面を備え得る。
【0091】
本発明の他の目的は第1部材100と第2部材200とをアセンブリする方法であって、前記アセンブリ方法は、
先に述べた特徴の全部又は一部を有する挿入体1を前記第1部材100内に挿入するステップと、
前記挿入体1を第2部材200に溶接するステップと
を備える。
【0092】
一実施形態によれば、溶接ステップは、挿入体1を第2部材200に電気抵抗溶接するステップである。方法は、予め、溶接電極300を挿入体1のヘッド部2に当接させるステップを含み得る。
【0093】
挿入体1を第1部材100に挿入するステップは、例えば圧着又はリベット固定と同様に、リワーク、特に挿入体1における好ましくは保持手段を形成するような突出部等の一部の変形、又は、第1部材100の変形により行われ得る。また、図8に示すように、特に挿入体1が第1部材100と係合する突出部又は陥凹部47を備える場合には、挿入体1は、第1部材100に螺挿、枢挿され得る。
【0094】
あるいは、第1部材100を形成するための装置内のプレス型に挿入体1を直接セットしてもよい。言い換えると、挿入体1を第1部材100に挿入するステップは、好ましくは、第1部材100を製造する工程、特に第1部材100の成形作業において行われ得る。第1部材100が射出成形、例えばプラスチック射出成形により成形される場合、挿入体1はオーバーモールドされ、延いては第1部材100に連結され得る。このオーバーモールディングは、挿入体の変形を伴い、これにより挿入体1及び第1部材100の間の機械的な相互作用が強化され得る。
【0095】
さらに、挿入ステップは、特に第1部材100が構造により形成された、又は構造化されているか否かにかかわらず長繊維ベースの強化材により形成された複合材料からなる場合に、挿入体1のセットアップを可能とするハウジングをもたらすために、第1部材100の切断を含み得る。図13に示すように、切断は、例えば中空管401を用いて、型締めにより行われ得る。装置を閉める又は型締めの間に、管は第1部材100の物体片又は切り屑402を切断するように構成される。この物体片又は切り屑402は、切断を行った管の内部を通じて装置を開く又は型開き前に取り出され得る。例えば、切断により生じた孔の内部に挿入体1を挿入する間に挿入体1がこの物体片又は切り屑を管内に押し出すように構成されている場合、このような挿入体1を用いることにより、物体片又は切り屑402の取り出しは、連続的に行うことができ、延いては製造工程が中断されることがない。また、物体片又は切り屑の切断は、カッティングスタンプ、特にトランスファープレスのカッティングスタンプにより形成された、金属製、例えばアルミニウム製の第1部材に関連し得る。この場合も、当該切断ステップにおいて、挿入体を挿入するステップは、リワーク中ではなく、第1部材100の製造中に行われる。
【0096】
図14の例によれば、切断は挿入体1自体、より具体的には、突出する切断刃46cにより行われる。切断の効果は、第2端部4bを長くすることにより高まる。これは、切断刃46cが切断を始める前に第2端部4bが第1部材100に接触するためである。これにより、第1部材100は、挿入体1に加えられた負荷により曲がり、この負荷に対して、管又は中空体401を通じて反力がはたらく。中空体401の空洞は、まず、第1部材100の湾曲に適応する。切断刃46c又は中空体401により形成された孔開け具は、挿入体1の軸方向に移動を続け、突出する要素46により形成されたクラウンのサイズ及び形状に近いサイズを有する物体片又は切り屑402を切断する。その後、この削り屑402は、中空体401に配置された空洞403を通じて除去される。切断は、低温又は高温で行われ得る。
【0097】
このように、挿入体1自体が孔開け具として機能する。そのため、第1部材100への挿入体1のセットアップを確実にするために予め設けられた孔はない。さらに、第1部材の切断は突出する要素46により形成されたクラウンに合うように調節されるされるから、挿入体1は少しも間隙を開けることなく第1部材100に確実に固定される。
【0098】
挿入ステップは、ホワイトボディのアセンブリ作業中に行われ得る。
【0099】
電極300を当接させるステップは、ドッキング面20に対して溶接電極300を接触させることにより行われる。このステップは、好ましくは、挿入体1のヘッド部2のそれぞれ断面積、直径と同一か又はそれより大きい断面積、特に直径を有する電極の使用を含む。実際には、電極300は挿入体1のヘッド部2の直径と同一の直径を有し得る。このことに、第1部材100に対する挿入体1の位置、第2部材200に対する第1部材の位置、並びに、ロボットアーム及びより一般的には溶接チップに対する第1部材100及び第2部材200により構成されたセットの位置の不確実性が加わる。従って、全ての位置の欠陥を補うのは電極300の直径である。
【0100】
方法は、第2部材200、特に挿入体1の反対側に、第2電極400を当接させることを含み得る。しかしながら、単一アクセス溶接を行うために、1つの単一電極、すなわち、挿入体1に当接される電極300だけを備える構成とすることも可能である。実際、第2端部4bは挿入体1及び第2部材200間の限られた位置又は表面における接触をもたらすから、例えば電気抵抗溶接によりアセンブリされる2枚のシートメタル間で行われるように、挿入体1及び第2部材200間で接触点を得るために2つの電極間に挿入体1及び第2部材200を挟持する必要がない。従って、方法は、好ましくは、挿入体及び第2部材200により形成されたセットを2つの溶接電極間に挟持しない。1つの単一電極300を使用する場合、第2部材200、又は、好ましくは、第3シートメタル又は第4シートメタルのような第2部材200に対して直接又は間接に当接する部分は、例えばグラウンド又は反対の極性に接続されている。第2電極400を使用する場合、第2電極400の断面積又はサイズ、特に直径は、挿入体1のヘッド部2に当接された電極300の断面積又はサイズ、特に直径よりも小さくてもよく、例えば、挿入体1の本体部4の断面積又はサイズ、特に直径と同等でもよい。
【0101】
抵抗溶接ステップは、溶接電極300及び/又は挿入体1を冷却するステップを含み得る。この冷却ステップは、電極300の導管302を通じた空気、例えば圧縮空気等の冷却剤10の循環、及び、挿入体1の方向、特に挿入体のヘッド部2又はドッキング面20の方向へのその突出を含む。その後、この冷却剤は、ドッキング面20上に形成された、又は溶接電極300の端部に形成された、放射状の通気用溝30を通じて循環し得る。そうして、第1部材100に接触する挿入体のヘッド部2を効果的に冷却し得る。冷却は、冷却剤を、図12Bに示すように、溶接電極300の内部を通じて、特に中心方向に運び、例えば溶接電極300周りに配置されたノズルを用い、溶接電極300の外側を通じて、周方向に運ぶことにより行われ得る。好ましくは、冷却ステップは、溶接作業中及び/又は溶接作業後、すなわち挿入体1を通じて電流が循環する間及び/又は循環した後に行われる。
【0102】
アセンブリ方法は、特に挿入体1の第2部材への溶接ステップ前に、第1部材100及び第2部材200を接着させるステップを含む。溶接ステップは、接着剤の乾燥及び/又は架橋反応前に介在してもよく、これにより、接着された接合部の接着が確実化されるのを待つ間、すなわち乾燥又は架橋反応後に、第1部材100及び第2部材200の保持が確実なものとなる。さらに好ましくは、接着ステップは、第1部材100及び/又は第2部材200を覆う接着剤の塗布、そして好ましくは互いに対する第1部材100及び第2部材200の局在化を含む。その後、方法は、挿入体1を第2部材200へ溶接するときに、第1部材100及び第2部材200のドッキング、すなわち接触を行うために、挿入体1に圧力を加えるステップを含む。この接触は、最終的に、第2部材200に溶接された挿入体1を介して保持され、接着剤のみを用いたアセンブリ方法において通常あるような遅延時間は発生しない。換言すると、接着剤の乾燥又は架橋反応を待つ必要はない。第1部材100及び第2部材200は固定される。従って、接着剤は、製造工程の後続作業中、例えば後続の電気泳動法型処理ステップの間等に乾燥又は架橋され得る。
【0103】
図18を参照すると、方法は、挿入体1の本体部4が内接され、溶接されるボス500の形成を含み得る。これにより、得られたアセンブリの機械的強度が増加するとともに、例えば別の溶接中にボス500を用いて第2のアセンブリを行うこともできる。ボス500は、電極の終端に凹部404を備えた第2電極400により、溶接エネルギーの伝達前又は伝達中に、形成され得る。
【0104】
他の実施形態によれば、溶接ステップは、摩擦溶接ステップである。挿入体1は、軸A回りに回転される。この回転は、軸Aによる軸力に関連し、第2端部4b及び第2部材200間の局所的な温度上昇をもたらす。この温度上昇により、溶接が行われる。挿入体1の軸A回りの回転は、係合面34に当接されたツールを用いて確実に行われ得る。
【0105】
本発明に係る挿入体1によれば、追加コストなしで高強度の多材料アセンブリを得ることができる。本発明は、例えば自動車業界におけるホワイトボディ及び構成要素のアセンブリ、例えばドア、フード、又はトランク等のドアリーフのアセンブリ、航空業界における例えば要素又は構造要素のアセンブリ、及び特に鉄道、農業分野等に関する他の業界におけるアセンブリに適用される。
【0106】
もちろん、本発明は上述の実施形態に限られるものではなく、この実施形態は例として提供されている。本発明の範囲から逸脱することなく、特に各種デバイスの構成に関して、又は、技術的同等物を用いた置換により、変更は可能である。
図1
図2
図3
図4A
図4B
図5A
図5B
図6A
図6B
図7
図8
図9
図10A
図10B
図11A
図11B
図12A
図12B
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20A
図20B