(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-01-31
(45)【発行日】2023-02-08
(54)【発明の名称】熱損失を制限するように設計されたマイクロガスタービン
(51)【国際特許分類】
F02C 7/00 20060101AFI20230201BHJP
F01D 15/10 20060101ALI20230201BHJP
F01D 25/00 20060101ALI20230201BHJP
【FI】
F02C7/00 A
F01D15/10 D
F01D25/00 W
(21)【出願番号】P 2020527926
(86)(22)【出願日】2018-11-19
(86)【国際出願番号】 NL2018050771
(87)【国際公開番号】W WO2019098836
(87)【国際公開日】2019-05-23
【審査請求日】2021-10-27
(32)【優先日】2017-11-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】NL
(73)【特許権者】
【識別番号】520142882
【氏名又は名称】マイクロ タービン テクノロジー ベー.フェー.
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100135079
【氏名又は名称】宮崎 修
(72)【発明者】
【氏名】コルニロフ,ヴィクター
(72)【発明者】
【氏名】スメーツ,パウルス マリア
(72)【発明者】
【氏名】オーストフェン,マルク
(72)【発明者】
【氏名】デ ラテル,マルコ
(72)【発明者】
【氏名】ドウトチェフ,リアン
【審査官】嘉村 泰光
(56)【参考文献】
【文献】特表2016-503859(JP,A)
【文献】特表2017-505878(JP,A)
【文献】特開2014-118927(JP,A)
【文献】特開2005-090367(JP,A)
【文献】特開2003-020912(JP,A)
【文献】特開平06-178599(JP,A)
【文献】欧州特許出願公開第02876280(EP,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F01D 13/00-15/12
F01D 17/00-21/20
F01D 23/00-25/36
F02C 1/00-9/58
F23R 3/00-7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
マイクロガスタービンであって、当該マイクロガスタービンは、
ガスを取り込んで加圧するように設計された圧縮機と、
該圧縮機から加圧ガスを取り込み、且つ燃料の燃焼に基づいて高温ガスを生成するように設計された燃焼器と、
該燃焼器によって生成された高温ガスを取り込んで膨張させるように設計されたタービンと、
該タービンに機械的に結合され、且つ機械的動力に基づいて電力を生成するように設計された発電機と、
当該マイクロガスタービンの動作を制御するように設計された制御装置と、を有しており、
該制御装置は、以下のステップを含むプロセスを繰り返し行うように構成され、前記ステップは、当該マイクロガスタービンの動作中に得られる高温ガスを周囲空気とともに前記圧縮機に流すこと、当該マイクロガスタービンの出力電力に関連する実測値を確認すること、前記出力電力に関連する前記実測値が所定の動作値よりも低いことが判明した場合に、前記出力電力に関連する前記所定の動作値が達成されるまで、当該マイクロガスタービンを駆動して前記タービン及び前記発電機の回転速度を増大させ、プロセスが繰り返される度に高温ガスを圧縮機に流す量を増大させ、前記タービン及び前記発電機の前記回転速度が所定の最大値を下回っている限り、前記プロセスを行うこと、を含
み、
前記制御装置は、前記タービン及び前記発電機の前記回転速度が前記所定の最大値に達すると、後続のプロセスとして、当該マイクロガスタービンの出力電力に関連する実測値を確認するステップを含むプロセスを繰り返し行うようにさらに構成され、前記出力電力に関連する前記実測値が前記所定の動作値よりも低いことが判明した場合に、出力電力に関連する前記所定の動作値が達成されるまで、高温ガスを前記圧縮機に流すことができる前記量を減少させる、
マイクロガスタービン。
【請求項2】
前記制御装置は、所定の時間間隔で、出力電力に関連する実測値を繰り返し確認するステップを行うように構成される、請求項
1に記載のマイクロガスタービン。
【請求項3】
前記圧縮機への入口経路に関連するバルブ機構を含み、該バルブ機構は、前記制御装置によって、前記圧縮機の前記入口経路を当該マイクロガスタービンの動作中に得られた高温ガスに対して開くように制御可能である、請求項1
又は2のいずれか一項に記載のマイクロガスタービン。
【請求項4】
少なくとも前記圧縮機、前記燃焼器、及び前記タービンを収容するキャビネットを含み、該キャビネットの内部に空気を供給することにより、前記キャビネットの内部のパージを実現するように設計されたパージ機構をさらに含み、前記バルブ機構は、前記制御装置によって、前記圧縮機の前記入口経路を前記キャビネットの内部に対して開いて、前記圧縮機が前記パージ機構によって供給された空気を前記キャビネットの内部に取り込めるように制御可能である、請求項
3に記載のマイクロガスタービン。
【請求項5】
前記パージ機構は、前記キャビネット内に空気の流れを生成するように設計された換気機構を含む、請求項
4に記載のマイクロガスタービン。
【請求項6】
バルブ機構は、前記制御装置によって、前記圧縮機の入口経路を前記タービンに関連する排気部に対して開いて、前記圧縮機が前記タービンから排気ガスを取り込めるように制御可能である、請求項1乃至
5のいずれか一項に記載のマイクロガスタービン。
【請求項7】
前記バルブ機構は、バルブと、3つの接続領域を有する接続ピースとを含み、前記圧縮機は、前記バルブを介して前記接続ピースの前記接続領域の1つに接続され、前記排気部は、前記接続ピースの前記接続領域の別の領域に接続され、キャビネットは、前記接続ピースの前記接続領域のさらに別の領域に接続される、請求項
4又は
5に従属する場合の、請求項7に記載のマイクロガスタービン。
【請求項8】
前記接続ピースは、Y字形状であり、且つ2つの分岐脚部と主脚部とを含み、前記圧縮機は、前記バルブを介して前記接続ピースの前記分岐脚部の一方に接続され、前記排気部は、前記接続ピースの前記分岐脚部の他方に接続され、前記キャビネットは、前記接続ピースの前記主脚部に接続される、請求項
7に記載のマイクロガスタービン。
【請求項9】
動作中に当該マイクロガスタービンによって生成された電力を送電網に出力するように設計されたグリッドコンバータをさらに含む、請求項1乃至
8のいずれか一項に記載のマイクロガスタービン。
【請求項10】
当該マイクロガスタービンの前記出力電力に関連する前記所定の動作値は、前記グリッドコンバータにおける最大許容電流レベルにリンクされる、請求項
9に記載のマイクロガスタービン。
【請求項11】
加圧ガスが前記タービンからの排気ガスと熱交換できるようにすることにより、前記燃焼器に供給される前に前記圧縮機から得られる前記加圧ガスを予熱するための復熱器として機能するように構成及び配置された熱交換器を含む、請求項1乃至
10のいずれか一項に記載のマイクロガスタービン。
【請求項12】
外部媒体が前記タービンからの排気ガスと熱交換できるようにすることにより、前記外部媒体を加熱するように構成及び配置された熱交換器を含む、請求項1乃至
11のいずれか一項に記載のマイクロガスタービン。
【請求項13】
当該マイクロガスタービンの前記出力電力に関する値が、当該マイクロガスタービンの出力電流の値である、請求項1乃至
12のいずれか一項に記載のマイクロガスタービン。
【請求項14】
当該マイクロガスタービンの前記出力電力に関する値が、当該マイクロガスタービンの電気効率の値である、請求項1乃至
12のいずれか一項に記載のマイクロガスタービン。
【請求項15】
マイクロガスタービンであって、当該マイクロガスタービンは、
ガスを取り込んで加圧するように設計された圧縮機と、
該圧縮機から加圧ガスを取り込み、且つ燃料の燃焼に基づいて高温ガスを生成するように設計された燃焼器と、
該燃焼器によって生成された高温ガスを取り込んで膨張させるように設計されたタービンと、
該タービンに機械的に結合され、且つ機械的動力に基づいて電力を生成するように設計された発電機と、
当該マイクロガスタービンの動作を制御するように設計された制御装置と、
前記圧縮機への入口経路に関連するバルブ機構であって、前記制御装置によって、前記圧縮機の入口経路を当該マイクロガスタービンの動作中に得られた高温ガスに対して開くように制御可能であるバルブ機構と、
少なくとも前記圧縮機、前記燃焼器、及び前記タービンを収納するキャビネットと、
前記キャビネットの内部に空気を供給することにより、前記キャビネットの内部のパージを実現するように設計されたパージ機構と、を有しており、
前記バルブ機構は、前記制御装置によって、前記圧縮機の前記入口経路が前記キャビネットの内部に対して開いて、前記圧縮機が前記パージ機構により供給された空気を前記キャビネットの内部に取り込めるように制御可能である、
マイクロガスタービン。
【請求項16】
前記パージ機構は、前記キャビネット内に空気の流れを生成するように設計された換気機構を含む、請求項
15に記載のマイクロガスタービン。
【請求項17】
前記バルブ機構はまた、前記制御装置によって、前記圧縮機の前記入口経路を前記タービンに関連する排気部に対して開いて、前記圧縮機が前記タービンから排気ガスを取り込めるように制御可能である、請求項
15又は
16に記載のマイクロガスタービン。
【請求項18】
前記バルブ機構は、バルブと、3つの接続領域を有する接続ピースとを含み、前記圧縮機は、前記バルブを介して前記接続ピースの前記接続領域の1つに接続され、前記排気部は、前記接続ピースの前記接続領域の別の領域に接続され、前記キャビネットは、前記接続ピースの前記接続領域のさらに別の領域に接続される、請求項
17に記載のマイクロガスタービン。
【請求項19】
前記接続ピースは、Y字形状であり、且つ2つの分岐脚部と主脚部とを含み、前記圧縮機は、前記バルブを介して前記接続ピースの前記分岐脚部の一方に接続され、前記排気部は、前記接続ピースの前記分岐脚部の他方に接続され、前記キャビネットは、前記接続ピースの前記主脚部に接続される、請求項
18に記載のマイクロガスタービン。
【請求項20】
動作中に当該マイクロガスタービンによって生成された電力を送電網に出力するように設計されたグリッドコンバータをさらに含む、請求項
15乃至
19のいずれか一項に記載のマイクロガスタービン。
【請求項21】
加圧ガスが前記タービンからの排気ガスと熱交換できるようにすることにより、前記燃焼器に供給される前に前記圧縮機から得られる前記加圧ガスを予熱するための復熱器として機能するように構成及び配置された熱交換器を含む、請求項
15乃至
20のいずれか一項に記載のマイクロガスタービン。
【請求項22】
外部媒体が前記タービンからの排気ガスと熱交換できるようにすることにより、前記外部媒体を加熱するように構成及び配置された熱交換器を含む、請求項
15乃至
21のいずれか一項に記載のマイクロガスタービン。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マイクロガスタービンに関し、このマイクロガスタービンは、ガスを取り込んで加圧するように設計された圧縮機と、圧縮機から加圧ガスを取り込み、且つ燃料の燃焼に基づいて高温ガスを生成するように設計された燃焼器と、燃焼器によって生成された高温ガス取り込んで膨張させるように設計されたタービンと、タービンに機械的に結合され、且つ機械的動力に基づいて電力を生成するように設計された発電機と、マイクロガスタービンの動作を制御するように設計された制御装置とを含む。
【0002】
本発明は、ガスタービン、特にマイクロガスタービンの分野である。マイクロガスタービンの可能な用途は、熱電併給(CHP)の用途であり、これは、他の用途も実行可能であるという事実を変更するものではない。マイクロガスタービン及び/又はマイクロガスタービンベースのCHPシステムは、従来のボイラーの代わりに、一例を挙げると、大きな家、オフィス、プラント、学校、店舗等で使用され得、或いは別の例を挙げると、ハイブリッド電気自動車、そのような車両の範囲に拡張して使用され得る。一般に、マイクロガスタービンは、高い電気効率、軽量、及び低排出量と相まって、高い信頼性、低いメンテナンス要求、及び低い騒音レベルとして知られている。
【背景技術】
【0003】
マイクロガスタービンは、典型的に、圧縮機、燃焼器、及びタービンを含む。マイクロガスタービンの動作中に、周囲空気が圧縮機によって吸い込まれ、加圧される。圧縮空気は、燃料の燃焼に基づいて高温ガスを生成する燃焼器に供給される。マイクロガスタービンには、復熱器と呼ばれる特別なタイプの熱交換器を設置するのが一般的であり、復熱器は、この場合に、燃焼器に供給される前に空気を予熱するのに役立つ。燃焼器から、高温の加圧ガスがタービンに供給され、そこで膨張して、タービンに機械的に結合された発電機と圧縮機との両方に機械的動力を与える。
【0004】
発電機の機械的動力は、マイクロガスタービンからの第1のタイプの出力として電力を生成するために使用される。電力を送電網に送るために、マイクロガスタービンには適切なグリッドコンバータが装備されている。
【0005】
膨張ガス、すなわちタービンからの排気ガスは、上述したように復熱器を通って流れることができ、その場合に、排気ガスからの熱は、空気を燃焼器に供給する前に、圧縮機によって圧縮された空気を予熱するために使用される。さらに、マイクロガスタービンは、ガス液化(gas-to-liquid)熱交換器を含むことが可能であり、その場合に、この熱交換器は、例えば水を加熱するために使用され得、それによって、温水がマイクロガスタービンから第2のタイプの出力として得られる。代替として、北米でよくあるように、建物で強制空気加熱が使用される場合は、空気加熱システムからの周囲空気をエアハンドラー(air handler)を使用して加熱できる。
【0006】
マイクロCHPシステムとしてのマイクロガスタービンの実際の用途を考慮して、マイクロガスタービンの全効率、すなわち電気効率と熱効率との組合せは、好ましくは全ての状況下で可能な限り高く維持される、マイクロガスタービンの重要な特性である。マイクロガスタービンの設計プロセスでは、電力の特定の動作出力値が考慮される。実際の状況では、そのような動作出力値は、例えばグリッドインバータでの最大許容電流値を考慮することにより選択する、又はマイクロガスタービンの1つ又は複数の構成要素の別の動作限界まで選択することができる。いずれにせよ、マイクロガスタービンの設計は、動作出力値を考慮して最適化される。これは、マイクロガスタービンの実際の動作中に最高の全体効率を実現するために、マイクロガスタービンが、電力の動作出力値を実際に実現するモードであることを確実にすることが有利であることを意味する。
【0007】
比較的冷たい周囲空気が圧縮機によって取り込まれると、マイクロガスタービンの電力及び/又は電気効率が増大する一方で、マイクロガスタービンの熱出力及び/又は熱効率が減少することが起こる。第1の効果は、冷たい空気を圧縮することが、より高い温度の空気を圧縮するよりも少ないエネルギーしか必要としないという一般的な事実に基づいて理解することができる。また、電力の動作出力値は、圧縮機、タービン、及び発電機のアセンブリ(以下、回転アセンブリと呼ぶ)のより低い回転速度で実現され、その結果、マイクロガスタービンで使用される空気の量が減少し、加熱に必要なエネルギーが少なくて済む。第2の効果は、マイクロガスタービンの入口ガスと出口ガスとの温度差が大きく、マイクロガスタービンの排気により失われる熱エネルギーの量が大きくなるという事実に基づいて理解することができる。
【発明の概要】
【0008】
本発明の目的は、比較的冷たい周囲空気の取込みに続く熱効率及び/又は熱出力に対する効果の減少を補償する方法を提供することである。この目的は、前述したように、圧縮機、燃焼器、タービン、発電機、及び制御装置を含むマイクロガスタービンによって達成される。制御装置は、以下のステップを含むプロセスを繰り返し行うように構成されており、ステップは、マイクロガスタービンの動作中に得られる高温ガスを周囲空気とともに(besides)圧縮機に流すこと、マイクロガスタービンの出力電力に関連する実測値を確認すること、出力電力に関連する実測値が所定の動作値よりも低いことが判明した場合に、出力電力に関連する所定の動作値が達成されるまで、マイクロガスタービンを駆動してタービン及び発電機の回転速度を増大させ、プロセスが繰り返される度に高温ガスを圧縮機に流す量を増大させ、タービン及び発電機の回転速度が所定の最大値を下回っている限り、プロセスを行うことを含む。
【0009】
本発明によれば、マイクロガスタービンの動作中に得られる高温ガスは、マイクロガスタービンの熱効率及び/又は熱出力を改善する目的で使用される。事実、高温ガスはマイクロガスタービンの動作中に利用可能であり、高温ガスの総量の少なくとも一部は、圧縮機の入口ガスの温度を上昇させる目的で使用され得る。また、出力電流の実測値又は電気効率の実測値等の、マイクロガスタービンの出力電力に関する実測値が所定の動作値を下回っていないかを確認する。これがそのケースであると思われる場合に、タービン及び発電機の回転速度の増大が実現される。圧縮機によって取り込まれるガスの温度を上げることにより、電力レベル及び/又は電気効率が低下することが達成され、それにより、出力電力に関する所定の動作値が実現されるポイントまで、回転アセンブリの回転速度の増大が可能になる。回転アセンブリの回転速度が所定の最大値(機械的な最大値ではなく、最適な総合効率を考慮した最大値)でない限り、圧縮機への高温ガスの供給を実現するプロセスが行われ、ここで、プロセスで使用される高温ガスの量がある程度まで増大するステップが取られる。こうして、プロセスの全て新しいステップの結果として、圧縮機の入口ガスの温度が上昇することが達成され、出力電力に関連する所定の動作値は、回転アセンブリのより高い回転速度で実現され、環境に出力される熱エネルギーの量が削減されるため、熱効率が改善される。
【0010】
制御装置はさらに、タービン及び発電機の回転速度が所定の最大値に達すると、後続のプロセス、特にマイクロガスタービンの出力電力に関連する実測値を確認するステップを含むプロセスを繰り返し行うように構成され、出力電力に関連する実測値が所定の動作値よりも低いことが判明した場合に、出力電力に関連する所定の動作値が達成されるまで、高温ガスを圧縮機に流すことができる量を減少させる。こうして、マイクロガスタービンの動作が回転アセンブリの最大速度での回転を伴う状況では、マイクロガスタービンの出力電力に関連する所定の動作値を維持することは、圧縮機への高温ガスの供給を減らすことにより行われる。回転アセンブリの回転速度を変更することにより電力制御を実現することができなくなるので、圧縮機への高温ガスの供給は、その目的のために変更される。制御プロセスの所望の結果は同じままである。つまり、回転アセンブリの回転速度及び出力電力が、マイクロガスタービンの設計値を前述したように最適化する値と同じか、可能な限り近い値になるように、マイクロガスタービンを動作させる。回転アセンブリの回転速度が所定の最大値にまだ達していない状況の場合に、所定の動作値に対する出力電力に関連する実測値の確認は、連続するラウンド(round)で行うことができ、圧縮機への高温ガスの供給の段階的な減少は、出力電力に関連する所定の動作値に近づくプロセスで実現でき、熱損失をその状況下で最小レベルに保つことができる。
【0011】
制御装置が出力電力に関連する実測値を所定の時間間隔で繰り返し確認するステップを行うように構成される場合に、それは実用的である。また、マイクロガスタービンが圧縮機への入口経路に関連するバルブ機構を含む場合に、バルブ機構は、制御装置によって、圧縮機の入口経路をマイクロガスタービンの動作中に得られる高温ガスに対して開くように制御可能であることが実用的である。
【0012】
上記で述べたように、高温ガスは、マイクロガスタービンの動作中に利用可能である。第1の実現可能なオプションによれば、マイクロガスタービンが、キャビネットの内部に空気を供給することにより、キャビネットの内部のパージを実現するように設計されたパージ機構さらに含むと仮定すると、圧縮機、燃焼器、タービン、及びマイクロガスタービンのより多くの構成要素を収容するマイクロガスタービンのキャビネットから高温ガスを取り出すことができる。その場合に、バルブ機構が、制御装置によって、圧縮機の入口経路をキャビネットの内部に対して開いて、圧縮機がパージ機構によって供給された空気をキャビネットの内部に取り込めるように制御するのが実用的である。実際には、燃焼器又はマイクロガスタービンの他の構成要素の動作により、マイクロガスタービンの動作中にキャビネットの内部が高温になる。第2の実行可能なオプションによれば、タービンの出口側にある位置で高温ガスを回収することができ、その場合に、バルブ機構は、制御装置によって、圧縮機の入口経路をタービンに関連する排気部に対して開いて、圧縮機がタービンから排気ガスを取り込めるように制御可能に設計され得る。復熱器及びガス液化熱交換器等の1つ又は複数の熱交換器がタービンの出口側に配置される実際の場合に、そのような排気部は、1つ又は複数の熱交換器の下流に位置付けされる。
【0013】
第2の実現可能なオプションに関して、復熱器を有するマイクロガスタービンの空気過剰率は、従来の内燃機関の空気過剰率よりもはるかに大きいことに留意されたい。マイクロガスタービンの空気と燃料との標準値、すなわち、動作中にマイクロガスタービンに取り込まれる燃焼プロセス中の空気と燃料との質量比は、90:1である。一方、空気の質量流量が高いと、化学量論に近い燃焼条件で動作するシステムと比較して、熱損失が大きくなる。一方、空気の質量流量が高いと、タービンからの排気ガスに依然としてかなりの量の酸素が含まれているため、タービンからの排気ガスを圧縮機の入口ガスとして使用できる。
【0014】
本発明の枠組み内で、マイクロガスタービンは、キャビネット及びタービンの出口側の一方又は両方から生じる高温ガスの使用を可能にするように設計され得る。後者の場合に、バルブ機構は、バルブと、3つの接続領域を有する接続ピースで構成され、圧縮機は、バルブを介して接続ピースの接続領域の1つに接続され、排気部は、接続ピースの接続領域の別の領域に接続され、キャビネットは、接続ピースの接続領域のさらに別の領域に接続されるのが実用的である。例えば、接続ピースは、Y字型であり、且つ2つの分岐脚部と1つの主脚部とを含み、圧縮機は、バルブを介して接続ピースの分岐脚部の一方に接続され、タービンに関連する排気部は、接続ピースの分岐脚部の他方に接続され、キャビネットは、接続ピースの主脚部に接続される。このような場合に、複雑なバルブ構造及び関連する複雑な制御機能を適用する必要はない。圧縮機の動作により、接続ピースの分岐脚部の一方で僅かな負圧が発生することが自動的に達成される。さらに、パージ機構がキャビネット内に空気の流れを生成するように設計された換気機構を含むと仮定すると、接続ピースの分岐脚部の他方でより高い圧力が支配的となることが自動的に達成される。その結果、バルブを開くと、キャビネットから圧縮機への高温空気の流れが可能になる。バルブをさらに開くことにより、最終的には、タービンから発生した高温ガスの流れも吸い込まれることが達成される。この構成では、バルブを閉じた場合に、キャビネットからの空気がタービンからの排気ガスとともに排出される通常の状況が実現される。
【0015】
Y字型の接続ピースは、バルブ機構の実際の実施形態に適用され得る構成要素のほんの一例である。あるいはまた、例えば、T形状の接続ピース又は3つの脚部/分岐部を有する別の接続ピースを使用してもよい。
【0016】
前述したように、実際の場合において、マイクロガスタービンは、その動作中にマイクロガスタービンによって生成された電力を送電網に出力するように設計されたグリッドコンバータをさらに含む。1つの可能性によれば、マイクロガスタービンの出力電力に関連する所定の動作値は、グリッドコンバータでの最大許容電流レベルに関連して選択され得る、すなわち、グリッドコンバータでの最大許容電流レベルにリンクされ得る。
【0017】
前述したことから、本発明は、動作中にマイクロガスタービンの熱効率を様々な状況下で最適に維持するのを達成するようにマイクロガスタービンを制御するアルゴリズムを提供することになる。特に、本発明は、圧縮機に供給される周囲空気が比較的冷たい場合に熱効率を改善するための手段を提供する。マイクロガスタービンの設計プロセス中に想定される温度の実測値の例は15℃である。回転アセンブリの回転速度及びグリッドコンバータの出力電流の最大/最適値の実際の例は、それぞれ240,000rpm及び14Aである。これらの値は、約3kWの電力を生成するマイクロガスタービンに関連し得ることに留意されたい。
【0018】
本発明によるマイクロガスタービンは、任意の実用的なタイプであり得る。その点で、マイクロガスタービンは、マイクロガスタービンの分野で一般的であるように、加圧ガスがタービンからの排気ガスで熱交換できるようにすることにより、燃焼器に供給される前に圧縮機から得られる加圧ガスを予熱するための復熱器として機能するように構成及び配置された熱交換器を含み得ることに留意されたい。同様に、マイクロガスタービンは、外部媒体がタービンからの排気ガスと熱交換できるようにすることにより、外部媒体を加熱するべく役立つように構成及び配置された熱交換器を含み得る。
【0019】
本発明は、マイクロガスタービンの圧縮機によって取り込まれる空気が比較的低い、つまり、基準設計温度よりも低い温度であっても、最適な熱効率で動作されるように設計されたマイクロガスタービンの例の以下の説明に基づいてさらに解明される。図面が参照される。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】本発明によるマイクロガスタービンの様々な構成要素の概略図である。
【
図2】マイクロガスタービンのバルブ機構の一部であり得るY形状接続ピース及びバルブを図式的に示す。
【発明を実施するための形態】
【0021】
これらの図は、これから説明するように、本発明による特徴を有するマイクロガスタービン1に関する。図示及び説明するマイクロガスタービン1は、本発明の枠組み内に存在する多くの可能性のほんの一例を表す。
【0022】
図1は、マイクロガスタービン1の様々な構成要素の概略図を示しており、流体の流れが、大きな矢印によって示されている。マイクロガスタービン1は、例えば30kWまでの電力を生成するように寸法決めされ得るが、より低い電力値も可能である。マイクロガスタービン1は、圧縮機2、燃焼器3、タービン4、高速発電機5、復熱器6、熱交換器7、及び排気部8を含む。高速発電機5は、圧縮機2及びタービン4の共通のシャフト9上に配置される。マイクロガスタービン1が動作すると、空気が圧縮機2に入力され、燃料が燃焼器3に入力される。圧縮機2は、空気を圧縮し、それにより空気を加圧するように作用する。空気の圧力は、例えば、約3バールに増大させることができる。圧縮空気は、復熱器6に供給され、そこでタービン4からの排気ガスとの熱交換の影響下で予熱される。圧縮空気は、燃焼器3での燃料の燃焼によって生成される熱の影響下でさらに加熱される。高温の加圧ガスがタービン4で膨張し、これに基づいて、圧縮機2と高速発電機5との両方に動力を供給するために使用される機械的動力が得られる。このプロセスではあ、共通シャフト9は、
図1の曲がった小さな矢印で示されるように回転運動を行う。
【0023】
タービン4からの排気ガスは、上述したように、圧縮機2からの圧縮空気を加熱するために復熱器6に供給される。復熱器6を通過した後に、タービン4からのガスは、熱交換器7を通って流れ、最終的に排気部8を通って流れる。熱交換器7は、水等の適切な媒体を加熱する役割を果たす。こうして、マイクロガスタービン1の出力は、熱交換器7で、また高速発電機5でも実現される。後者に関して、高速発電機5は、機械的動力に基づいて電流を生成するべく使用されるように設計され、マイクロガスタービン1は、送電網(図示せず)に電流を出力するためのグリッドコンバータ10をさらに含むことに留意されたい。
【0024】
マイクロガスタービン1の動作を制御するために、制御装置11が設けられる。制御装置11は、マイクロガスタービン1の全ての機能が適切に実行されて、マイクロガスタービン1の想定する動作を実現するように注意を払うように構成される。制御装置11は、2つの例のみについて述べるが、圧縮機2、タービン4、高速発電機5、及び共通シャフト9から構成される回転アセンブリ12の回転速度を設定し、燃焼器3への燃料の供給を制御する。
【0025】
マイクロガスタービン1の設計がそれらの条件に最適化されていると仮定すると、マイクロガスタービン1の設計プロセス中に考慮に入れられる条件下でマイクロガスタービン1を動作させることができれば、マイクロガスタービン1の総合効率はこれらの条件において最適であるので有利である。しかしながら、実際の事実は、これらの条件のうち、圧縮機2によって取り込まれる周囲空気の温度が可変因子であることである。周囲空気の実際の温度が、例えば15℃であり得る基準設計温度から逸脱すると、マイクロガスタービン1の熱効率が低下する。この現象を少なくとも可能な限り補償するために、周囲空気の実際の温度が基準設計温度よりも低い場合に、マイクロガスタービン1には、バルブ機構13が備え付けられる。
【0026】
図示の例では、バルブ機構13は、圧縮機2の入口側、排気部8、及びキャビネット14に関連し、キャビネット14には、圧縮機2、燃焼器3、タービン4を含むマイクロガスタービン1の様々な構成要素が収容される。バルブ機構13は、一方では圧縮機2の入口側と他方では排気部8及びキャビネット14との間の位置に少なくとも1つのバルブを含む。また、マイクロガスタービン1は、キャビネット14にパージ用空気を供給し、且つキャビネット14の内部にパージ用空気の流れを生成するためのファン16を含むパージ機構15を含む。これは、例えば、予期しない漏れが発生した場合に、発生し得るキャビネット14内の可燃性/爆発性ガスの蓄積のリスクを最小限にするために行われる。
【0027】
マイクロガスタービン1の動作が開始されると、制御装置11は、回転アセンブリ12の回転速度の増大をもたらすように機能する。そのプロセスで、ある時点で、グリッドインバータ10において最大許容電流に到達し、その時点で回転速度の増大が停止される。バルブ機構13の全閉位置から開始して、グリッドインバータ10の出力電流が確認されている間に、バルブ機構13の少なくとも1つのバルブが段階的に開かれる。圧縮機2の入口側に供給される高温ガスの量が増大する度に、マイクロガスタービン1が動作する機械的動力レベルが低下し、その結果、出力電流も低下する。出力電流が特定の最小許容値に達すると直ぐに、回転アセンブリ12の回転速度を増大させるプロセスが行われ、その後、圧縮機2の入口側への高温ガスの供給が増大し、回転アセンブリ12の回転速度の増大につながるプロセスは、最初からやり直される。そのため、圧縮機2の入口側への高温ガスの供給を徐々に増やすことにより、回転速度を設計回転速度に近づけることができる。グリッドコンバータ10における出力電流のレベルを確認するために、任意の適切な手段が適用され得る。
【0028】
バルブ機構13の少なくとも1つのバルブを徐々に開けるプロセスは、回転アセンブリ12の回転速度が最大レベルにあるときに終了する。その瞬間から、グリッドインバータ10の出力電流のレベルが最高レベルよりも低く、最低レベルよりも低いことが判明した場合に、バルブ機構13はさらに閉位置に置かれる一方、回転アセンブリ12の回転速度は最大レベルに維持される。これらの状況下では、圧縮機2の吸気流の温度の低下により、機械的動力レベルが上昇し、グリッドインバータ10の出力電流のレベルが増大することが達成される。
【0029】
マイクロガスタービン1が圧縮機2の入口側と排気部8とキャビネット14との間の位置にバルブ機構13を含まない場合であって、制御装置11がバルブ機構13を前述した方法で制御するように構成されない場合に、マイクロガスタービン1の熱効率は、圧縮機2によって取り込まれた周囲空気の温度が比較的低い、つまり、マイクロガスタービン1の設計プロセスで考慮される基準温度より低い場合に、不十分なレベルになる。マイクロガスタービン1の適切な動作を保証するために、内部燃焼等の従来の技術で使用される質量流量と比較して大きい質量流量が必要であり、大量の熱エネルギーが排気部8を通ってマイクロガスタービン1を出るので、周囲温度が低いことは重要である。
【0030】
バルブ機構13を有し、バルブ機構13を特定の方法で制御することにより、マイクロガスタービン1の実際の動作条件を、基準設計条件に近づけることができ、マイクロガスタービン1の熱効率を可能な限り高く保つことができる。特に、バルブ機構13を制御することは、回転アセンブリ12の回転速度を所定の最大レベルにすると同時に、グリッドコンバータ10の出力電流を所定の動作レベルにすることを目的とする。このプロセスでは、マイクロガスタービン1で利用可能な高温ガスが使用され、所望の制御機能を実現するために追加のエネルギーフローを必要としない。高温ガスは、パージ機構15がキャビネット14に空気を供給するように作用するという事実、及びキャビネット14内で支配的な温度が動作中に高いという事実を考慮して、キャビネット14から取り出すことができる。代替的又は追加的に、高温ガスは、排気ガス8から取り出すことができ、その場合に、高温ガスは、マイクロガスタービン1を出る前に回収されるタービン4からの排気ガスである。
【0031】
図2には、バルブ機構13の可能な実施形態が示されている。特に、バルブ機構13の一部であり得るようなY形状接続ピース17及びバルブ18が示されている。バルブ18は、接続ピース17の分岐脚部17a、17bの一方、すなわち、
図2に示されるように図の左側に示され、以下で圧縮機用脚部17aと呼ばれる分岐脚部17aに配置される。接続ピース17の分岐脚部17a、17bの他方、すなわち、
図2に示されるように図の右側に示される分岐脚部17bは、バルブ機構13を排気部8に接続するのに役立ち、以下、排気用脚部17bと呼ばれる。接続ピース17の主脚部17cは、バルブ機構13をキャビネット14に接続するのに役立ち、以下、キャビネット用脚部17cと呼ばれる。
【0032】
マイクロガスタービン1の動作中に圧縮機2によって生成される流れに基づいて、バルブ18の入口側、すなわち圧縮機用脚部17aにおいて、僅かな負圧が発生する。パージ機構15のファン16の動作の影響下で、キャビネット用脚部17cで支配的な圧力はより高いレベルにあり、それにより、バルブ18を開くと、キャビネット14から圧縮機2への空気流が得られる。バルブ18を完全に開くと、排気部8からのガスの流れも同様に実現され、ガスは排気用脚部17bを介して引き込まれる。バルブ18を完全に閉じるか、又はほぼ完全に閉じる場合に、キャビネット14から排気部8への空気流が得られる。
【0033】
圧縮機2の入口流れの温度が変化する程度は、この温度が排気部8での高温ガスの温度と、ある程度、キャビネット14内の支配的な温度とを決定するので、バルブ機構13の機能的位置、パージ機構15のファン16の回転速度(これは、キャビネット14の支配的な温度に依存し得る)、回転アセンブリ12の回転速度、及び熱交換器7で加熱される媒体の温度を含む多くの要因に依存することに留意されたい。
【0034】
前述したことから、本発明によるマイクロガスタービン1では、ファン16を含むパージ機構15の存在を有利に利用することができる。キャビネット14からの比較的高温の空気は、マイクロガスタービン1の動作中に、熱効率を最適レベルに維持するプロセスで使用され得る。また、タービン4からの排気ガスは、上述したプロセスで使用することができ、有利な使用は、排気ガスの酸素のレベルが、そのガスが燃焼器3を含むアセンブリから出されるにもかかわらず、依然としてかなり高い状況での使用である。
【0035】
当業者には、本発明の範囲が前述した例に限定されないが、そのいくつかの修正及び変更が、添付の特許請求の範囲で規定される本発明の範囲から逸脱することなく、可能であることは明らかであろう。
【0036】
完全を期すために、「回転アセンブリ12の回転速度が最大レベルにある」のような本発明の態様が言及される場合に、これらの態様は、実際に許容範囲が適用されることを考慮に入れて、それらの実際的な意味について理解すべきであることに留意されたい。
【0037】
本発明の可能な要約は以下の通りである。周囲空気の温度が比較的低いと、マイクロガスタービン1の熱出力及び熱効率が低下する。熱効率の損失を補償するために、マイクロガスタービン1にはバルブ機構13が備え付けられ、バルブ機構13によって、マイクロガスタービン1の動作は、特にマイクロガスタービン1の動作中に得られる高温ガスの供給を調整することにより、影響され、最適化することができ、その高温ガスは、マイクロガスタービン1のキャビネット14及び/又は排気部8から例えば圧縮機2の入口側への高温ガスであり得る。
【0038】
キャビネット14から圧縮機2の入口側に高温ガスを供給する概念は、マイクロガスタービン1の動作を制御する特定の方法に必ずしもリンクしているわけではない。その観点から、本発明は、マイクロガスタービン1にも関し、このマイクロガスタービン1は、ガスを取り込んで加圧するように設計された圧縮機2と;圧縮機2から加圧ガスを取り込み、且つ燃料の燃焼に基づいて高温ガスを生成するように設計された燃焼器3と;燃焼器3によって生成された高温ガスを取り込んで膨張させるように設計されたタービン4と;タービン4に機械的に結合され、且つ機械的動力に基づいて電力を生成するように設計された発電機5と;マイクロガスタービン1の動作を制御するように設計された制御装置11と;圧縮機2への入口経路に関連するバルブ機構13であって、制御装置11によって、圧縮機2の入口経路をマイクロガスタービン1の動作中に得られる高温ガスに対して開くように制御可能であるバルブ機構13と;少なくとも圧縮機2、燃焼器3、及びタービン4を収容するキャビネット14と;キャビネットの内部に空気を供給することによりキャビネットの内部のパージを実現するように設計されたパージ機構15と;を含み、バルブ機構13は、制御装置2によって、圧縮機2の入口経路をキャビネットの内部に対して開いて、圧縮機2がパージ機構15によって供給された空気をキャビネットの内部に取り入れるように制御可能である。
【0039】
キャビネットの内部からの空気をデフォルトのオプションとして使用し、圧縮機2の入口側への高温ガスの特定の供給を達成する必要がある場合にのみ、タービン4からの排気を追加で使用することは、タービン4からの排気のみ使用する場合に対して有利である。このようにして、キャビネットの内部からの空気の排出による熱損失が制限される。また、キャビネットの内部からの空気は、タービン4から排出される排気よりも酸素の含有量が多く且つ燃焼生成物の含有量が少ないため、燃焼器3での燃料の燃焼プロセスでの使用により適している。
【0040】
さらに、本発明は、必ずしもバルブ機構13を使用することなく、キャビネット14からの高温ガスを圧縮機2の入口側に供給する可能性に関する。その観点から、本発明は、マイクロガスタービン1にも関し、このマイクロガスタービン1は、ガスを取り込んで加圧するように設計された圧縮機2と;圧縮機2から加圧ガスを取り込んで、且つ燃料の燃焼に基づいて高温ガスを生成するように設計された燃焼器3と;燃焼器3によって生成された高温ガスを取り込んで膨張させるように設計されたタービン4と;タービン4に機械的に結合され、且つ機械的動力に基づいて電力を発生するように設計された発電機5と;少なくとも圧縮機2、燃焼器3、及びタービン4を収容するキャビネット14と;キャビネットの内部に空気を供給することによりキャビネットの内部のパージを実現するように設計されたパージ機構15と;を含み、圧縮機2の入口経路は、キャビネットの内部に対して開いており、圧縮機2がパージ機構15によって供給される空気をキャビネットの内部に取り入れるのを可能にする。