(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-01-31
(45)【発行日】2023-02-08
(54)【発明の名称】電気コネクタ、それを有する窓ガラス、および窓ガラスをはめ込む方法
(51)【国際特許分類】
H05B 3/84 20060101AFI20230201BHJP
B60J 1/00 20060101ALN20230201BHJP
【FI】
H05B3/84
B60J1/00 B
(21)【出願番号】P 2020528305
(86)(22)【出願日】2018-11-26
(86)【国際出願番号】 GB2018053414
(87)【国際公開番号】W WO2019102225
(87)【国際公開日】2019-05-31
【審査請求日】2021-08-19
(32)【優先日】2017-11-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(73)【特許権者】
【識別番号】591229107
【氏名又は名称】ピルキントン グループ リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100195556
【氏名又は名称】柿沼 公二
(72)【発明者】
【氏名】デトレフ バランスキー
【審査官】土屋 正志
(56)【参考文献】
【文献】特開昭58-032042(JP,A)
【文献】特開昭57-058509(JP,A)
【文献】特表2011-508692(JP,A)
【文献】特開2013-173476(JP,A)
【文献】国際公開第2014/122704(WO,A1)
【文献】独国特許出願公開第04232746(DE,A1)
【文献】特開平11-283734(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05B 3/84
B60J 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
窓ガラスの中または上にある電気構成要素に接続するための電気コネクタ(1)であって、
a)第1および第2の端部(3、4)を有する少なくとも1つの導電体(2)と、
b)前記少なくとも1つの導電体を少なくとも部分的に覆い、前記第1の端部と前記第2の端部との間に位置する層(5)と、を備え、
前記層(5)は、
c)接着剤層(15)を介して窓ガラス(10)に接着するための第1の表面(7´)を有し、接着剤ビード(20)を介して開口部(30)のフランジ(31)に接着するための第2の表面(7´´)を有し、かつ少なくとも2つの直線状の側部(8)を有する平坦な領域(7)を備え、
d)前記少なくとも2つの直線状の側部(8)のそれぞれに配置され、それによって、使用時に窓ガラス(10)上に取り付けられたときに、接着剤ビード(20)を受け入れて前記2つの直線状の側部(8)のそれぞれに沿って水の浸入に対する封止を形成するレセプタクルを形成する不連続部(9、9´)を特徴とする、電気コネクタ。
【請求項2】
前記第1および第2の表面(7´、7´´)が平坦で
ある、請求項1に記載の電気コネクタ。
【請求項3】
前記第1および第2の表面(7´、7´´)が互いに平行である、請求項2に記載の電気コネクタ。
【請求項4】
第1の表面(7´)に接着された接着剤層(15)を含む、請求項
1~3のいずれかに記載の電気コネクタ。
【請求項5】
前記平坦な領域(7)の幅が、前記第1または第2の端部(3、4)に隣接する前記層(5)の幅より大きい、請求項1~
4のいずれかに記載の電気コネクタ。
【請求項6】
前記層(5)が電気絶縁体であ
る、請求項1~
5のいずれかに記載の電気コネクタ。
【請求項7】
第1および第2の端部(3、4)が前記層(5)によって覆われていない、請求項6に記載の電気コネクタ。
【請求項8】
前記層が
、前記第1の端部(3)に隣接する窓ガラス材料のプライ(11、12)のエッジの周りに折り曲げられるような寸法である少なくとも第1の折り位置(6)を含
む、請求項1~
7のいずれかに記載の電気コネクタ。
【請求項9】
前記層が、少なくとも第2の折り位置(6´、6´´)をさらに含む、請求項8に記載の電気コネクタ。
【請求項10】
前記不連続部(9、9´)が、60~120度の範囲で前記直線状の側部(8)に対して配向された少なくとも1つのエッジ(21、22)を含む、請求項1~
9のいずれかに記載の電気コネクタ。
【請求項11】
前記不連続部(9、9´)が、70~110度の範囲で前記直線状の側部(8)に対して配向された少なくとも1つのエッジ(21、22)を含む、請求項10に記載の電気コネクタ。
【請求項12】
前記不連続部(9、9´)が、80~100度の範囲で前記直線状の側部(8)に対して配向された少なくとも1つのエッジ(21、22)を含む、請求項11に記載の電気コネクタ。
【請求項13】
前記不連続部(9、9´)が、楕円、半円、三角形、正方形、長方形、台形および平行四辺形からなる群から選択されるいずれか一つの形状のセグメントとして成形されている、請求項1~
12のいずれかに記載の電気コネクタ。
【請求項14】
前記楕円が、正円である、請求項13に記載の電気コネクタ。
【請求項15】
前記不連続部が窪み(9)または突起(9´)である、請求項1~
14のいずれかに記載の電気コネクタ。
【請求項16】
窓ガラス(10)であって、
a)少なくとも窓ガラス材料の第1のプライ(11)を備え、
b)前記窓ガラス(10)上に取り付けられた、請求項1~
15のいずれかに記載の電気コネクタ(1)を特徴とする、窓ガラス。
【請求項17】
窓ガラス材料の第2のプライ(12)と、窓ガラス材料の第1のプライ(11)と第2のプライ(12)との間に延在する中間層材料のプライ(13)と、をさらに含む、請求項
16に記載の
窓ガラス。
【請求項18】
前記中間層材料のプライ(13)が、前記中間層材料のプライ(13)上に電気構成要素(14)を有し、前記第1の端部(3)がそれに電気接続されている、請求項17に記載の窓ガラス。
【請求項19】
前記窓ガラス材料の第2のプライ(12)上に接着剤層(15)をさらに含み、前記平坦な領域(7)が前記接着剤層(15)に接着されている、請求項
16~18のいずれかに記載の窓ガラス。
【請求項20】
前記接着剤層(15)が、直線状の側部および前記直線状の側部に配置された不連続部を含む、請求項
19に記載の窓ガラス。
【請求項21】
前記直線状の側部および前記不連続部が、前記平坦な領域(7)の前記直線状の側部(8)および前記不連続部(9、9´)と整列している、請求項20に記載の窓ガラス。
【請求項22】
前記直線状の側部および前記不連続部が、接着剤ビード(20)を受け入れるためのレセプタクルを形成している、請求項21に記載の窓ガラス。
【請求項23】
電気コネクタが取り付けられた窓ガラスを開口部(30)にはめ込む方法であって、
a)請求項
16~22のいずれかに記載の窓ガラス(10)を提供するステップと、
b)前記平坦な領域(6)に接着剤ビード(20)を塗布するステップと、を含み、
c)前記窓ガラスを前記開口部(30)のフランジ(31)に押し付けて、接着剤ビード(20)を前記直線状の側部(8)に平行な方向(24)に流れさせ、接着剤ビード(20)を前記不連続部(9、9´)のエッジ(21)に搾り出すステップを特徴とする、方法。
【請求項24】
前記接着剤ビード(20)を、前記直線状のエッジ(8)に垂直な方向(23)
に塗布することを特徴とする、請求項
23に記載の窓ガラスを取り付ける方法。
【請求項25】
前記接着剤ビード(20)を、前記直線状のエッジ(8)に垂直な方向(23)に、押し出しノズルによって塗布することを特徴とする、請求項24に記載の窓ガラスを取り付ける方法。
【請求項26】
前記接着剤ビード(20)を、前記直線状のエッジ(8)に垂直な方向(23)に、押し出しノズルによって涙滴または三角形の形状で塗布することを特徴とする、請求項25に記載の窓ガラスを取り付ける方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気コネクタ、それを有する窓ガラス、および窓ガラスを開口部にはめ込む方法に関する。電気コネクタと窓ガラスは、車両の窓、建物の窓、冷蔵庫のドア、または電子看板に適している。
【0002】
電気コネクタは、窓ガラスの上または中に配置された、アンテナ、ヒーター、またはセンサーなどの電気構成要素に接続することが知られている。電気コネクタは窓ガラスに配置され、封止剤が塗布される。窓ガラスは、車体などの本体の開口部にはめ込まれ、水の浸入に対して開口部を封止する。
先行技術文書
【0003】
DE4232746A1(Paulus)は、プラスチックの平坦な成形品に埋め込まれた金属ストリップを含む電気コネクタを開示している。平坦な成形品は合わせガラスに接着されており、中央で断面積が小さくなるように側面に窪みを有する。合わせガラスに車体に接着するための接着剤ビードを塗布する押出ノズルは、断面積が小さいため、障害なく成形品を通過することができる。
【0004】
US5534879A(Braun)は、合わせガラスの2つのペイン間の電気構成要素に接続するための内側セクション、合わせガラスに接着されるように適合された外側セクション、およびペインのエッジの周りに折り曲げるための少なくとも1つの折り位置を含む薄い金属箔ストリップを有する電気コネクタを開示している。
【0005】
WO2017194961A1(Baranski)は、幅広部分、直線部分、および任意選択で、直線部分に対して90度に配置された入力部分を有する電気コネクタを開示している。
【0006】
FR2913141A3(Habrard)は、10~100μmの厚さのフラットケーブルを開示している。
【0007】
WO2008074894A1(Menu)は、車両の開閉可能な窓ガラスに適した上述のフラットケーブルの代替案を開示している。コネクタは、対向する第1のコネクタアームと第2のコネクタアームとの間の自動車用窓ガラスのエッジ領域を受け入れるように形作られている。
【0008】
WO2013022124A1(Jinno)は、車両の窓ガラス専用ではない防水コネクタを開示している。フラットケーブルは、コネクタハウジングで完全に覆われる位置に形成された一対の切り欠き部を有している。コネクタハウジングを形成する樹脂が、コネクタハウジングがフラットケーブルに強固に保持されるように一対の切り欠き部に入り込む。
【0009】
US5951322A(Nishikigi)は、車両の窓ガラス専用ではない、別のフラットケーブル接続構造を開示している。
【0010】
US5683259A(Sato)は、側面に切り欠き部(ノッチ)が形成され、保持アームに係合するフラットケーブルを備えた、車両の窓ガラス専用ではない回転コネクタを開示している。
解決すべき課題
【0011】
本発明者は、窓ガラスに取り付けられた従来のフラットケーブル電気コネクタが、使用中に、窓ガラスに塗布された接着剤ビードに対する障害物になり、したがって、接着剤ビードが電気コネクタの側面または窓ガラスの隣接領域に付着しないという問題を発見した。接着剤ビード、電気コネクタ、および窓ガラスの隣接領域の間に隙間が形成される。接着剤ビードが車体に押し付けられた後、隙間が残り、水が車両に入る経路を形成する。したがって、接着剤ビードは、隙間のせいで水の浸入に対して車両を封止することに失敗する。
【0012】
本発明の目的は、窓ガラスに取り付けられ、接着剤ビードがそこに塗布されたときに水の浸入を防ぐ電気コネクタを提供することによってこの問題を解決することである。
【発明の概要】
【0013】
本発明は、第1の態様において、請求項1に記載の電気コネクタを提供する。
【0014】
窓ガラスの中または上にある電気構成要素に接続するための電気コネクタであって、第1および第2の端部を有する少なくとも1つの導電体と、少なくとも1つの導電体の少なくとも一部を覆い、第1および第2の端部の間に位置する層であって、平坦な領域であって、接着剤層を介して窓ガラスに接着するための第1の表面を有し、接着剤ビードを介して開口部のフランジに接着するための第2の表面を有し、かつ、使用時に窓ガラスに取り付けられ、不連続部が接着剤ビードを受け入れて2つの直線状の側部のそれぞれに沿って水の浸入に対する封止を形成するためのレセプタクルを形成するように少なくとも2つの直線状の側部のそれぞれに配置された不連続部によって特徴付けられた少なくとも2つの直線状の側部を有する平坦な領域、を含む層と、を含む、電気コネクタ。
【0015】
平坦な領域は、厚さ1mm以下および厚さの少なくとも10倍の幅で画定される。好ましくは、第1および第2の表面は、部分的または完全に平坦である。好ましくは、第1および第2の表面は互いに平行である。
【0016】
好ましくは、接着剤層が第1の表面に接着されて、電気コネクタとの一体片を形成する。好ましくは、接着剤層は、平坦な領域と第1または第2の端部との間の層を覆うように延在する。有利には、接着剤層は、接着剤ビードでより良好な封止を提供し、合わせガラスの中間層により容易に埋め込まれるように、電気コネクタとの一体片を形成する。
【0017】
好ましくは、不連続部は、接着剤ビードを受け入れるためのレセプタクルを形成する。
【0018】
好ましくは、平坦な領域の幅は、第1または第2の端部に隣接する層の幅よりも広い。発明者は、平坦な領域の幅が引き離し力を最適化して窓ガラスから電気コネクタを取り除くのに役立つことを見出した。好ましい実施形態では、電気コネクタは、10Nを超える引き離し力を達成するため、窓ガラスの重量のいくらかを支えるために使用された場合でも、窓ガラスから外れない。対照的に、本発明者は、第1または第2の端部に隣接する層の幅は、可撓性フライングリードを作るか、または合わせガラスの中間層に容易に埋め込むために、平坦な領域の幅以下でなければならないことを見出した。
【0019】
好ましくは、層は電気絶縁体である。好ましくは、第1および第2の端部は層によって覆われていない。好ましくは、この層は、導体の基板としてのベース層と、導体を覆いかつそれを封入するために接着された被覆層とを含む。有利な実施形態では、電気コネクタは、平坦な領域に少なくとも1つの接合部を有し、導電体の第2の端部は、接合部に接続されたリード線である。好ましくは、リード線は層によって覆われていない。
【0020】
好ましくは、電気コネクタは少なくとも2つの導電体を含む。
【0021】
好ましくは、層は、好ましくは、窓ガラス材料のプライのエッジの周りに折り曲げられ、第1の端部に隣接するように寸法決めされている、少なくとも第1の折り位置を含む。好ましくは、層は、合わせガラス上で使用するための第1の折り位置に隣接する第2の折り位置をさらに含む。好ましくは、層は、第2の端部に隣接して位置決めされた第2の折り位置をさらに含む。折り位置を逆にすることで、電気コネクタを窓ガラスから「持ち上げる」ことが可能になり、電気コネクタは、接着剤層によって窓ガラスに接着されない。代替的に、折り位置により、電気コネクタは、窓ガラス材料のプライのエッジの周りに折り曲げることができる。第1と第2の折り位置により、電気コネクタは、窓ガラス材料のプライのエッジの周りに180度折り曲げることができるため、第1の端部を合わせガラスの中間層に組み込むことができる。
【0022】
好ましくは、不連続部は、60~120度、より好ましくは70~110度、最も好ましくは80~100度の範囲で直線状の側部に対して配向された少なくとも1つのエッジを含む。
【0023】
好ましくは、不連続部は、楕円のセグメント、より好ましくは、円、半円、三角形、正方形、長方形、台形、平行四辺形またはそれらの組み合わせのセグメントとして形作られる。これらの例は限定的なものではない。
【0024】
好ましくは、不連続部は窪みまたは突起である。好ましくは、電気コネクタは、平坦な領域がバイオリン形状を有するように2つの窪みを含む。
【0025】
本発明は、第2の態様において、請求項10に記載の窓ガラスを提供する。
【0026】
好ましくは、窓ガラスは、窓ガラス材料の第2のプライと、窓ガラス材料の第1および第2のプライの間に延在し、好ましくは中間層材料のプライ上に電気構成要素を有し、第1の端部がそこに電気的に接続された中間層材料のプライとをさらに含む。
【0027】
好ましくは、窓ガラスは、窓ガラス材料の第2のプライ上に接着剤層をさらに含み、平坦な領域がそこに接着される。
【0028】
好ましくは、接着剤層は、直線状の側部およびその中に配置された不連続部であって、好ましくは平坦な領域の直線状の側部および不連続部と整列し、より好ましくは接着剤ビードを受け入れるためのレセプタクルを形成する、直線状の側部およびその中に配置された不連続部を含む。
【0029】
本発明は、第3の態様において、請求項14に記載の窓ガラスをはめ込む方法を提供する。
【0030】
好ましくは、窓ガラスをはめ込む方法は、好ましくは押し出しノズルによって、より好ましくは涙滴または三角形の形状で、直線状の側部に垂直な方向に接着剤ビードを塗布するステップを含む。
発明の効果
【0031】
本発明は、直線状の側部と、その中に不連続部とを有する平坦な領域を含む電気コネクタを提供する。不連続部は、接着剤ビードを受け入れるためのレセプタクルを形成する。電気コネクタが窓ガラスに取り付けられ、開口部に押し付けられるとき、接着剤ビードが直線状の側部に平行な方向に流れ、レセプタクルのエッジを封止する。接着剤ビード、窓ガラス、および電気コネクタの間の水路は、水の浸入を妨げる閉塞物としてレセプタクルに形成された接着剤ビードの残留物によってブロックされる。したがって、封止が、車両の窓、建物の窓、冷蔵庫のドア、または電子看板などの開口部に提供される。好ましくは、平坦な領域および第1と第2の折り位置の間の領域に接着された接着剤層を有する電気コネクタには、直線状の側部と、平坦な領域の不連続部と整列した不連続部とが提供されて、水の浸入に対する封止を提供できる一体片を形成する。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【
図1】2つの窪みを有する本発明による電気コネクタを示す。
【
図2】2つの突起を有する本発明による電気コネクタを示す。
【
図3】露出した端部を有する本発明による電気コネクタを示す。
【
図4】折り位置を有する本発明による電気コネクタを示す。
【
図6】
図6および
図6aは
、本発明による合わせガラスを示す。
【
図7】
図7および
図7aは、本発明による別の合わせガラスを示す。
【
図8】本発明による合わせ窓ガラスのはめ込みを示す。
【
図9】本発明による合わせ窓ガラスのはめ込みを示す。
【
図10】本発明によるモノリシック窓ガラスのはめ込みを示す。
【
図11】本発明によるモノリシック窓ガラスのはめ込みを示す。
【0033】
図面の詳細な説明
図1は、第1および第2の端部(3、4)を有する少なくとも1つの導電体(2)と、少なくとも1つの導電体(2)の少なくとも一部を覆い、第1の端部と第2の端部(3、4)との間に位置する層(5)とを含む、本発明による電気コネクタ(1)の平面図である。電気コネクタ(1)は、車両のサイドウィンドウ用の強化ガラスなどのモノリシック窓ガラスに適した、少なくとも1つの折り位置(6)を含み、どちらも窪みであって、それぞれ平行四辺形と三角形の形状をした2つの不連続部を有する平坦な領域(7)を含む。
【0034】
図2は、どちらも突起(9´)であって、台形および三角形の形状をした2つの不連続部を有する本発明による電気コネクタ(1)の平面図である。
【0035】
図3は、どちらも窪み(9)であって、半円の形状をした2つの不連続部を有する本発明による電気コネクタ(1)の平面図である。電気コネクタは、2つの導電体(2)および2つの端部領域(3、4)を含み、導電体(2)は、絶縁層(5)で覆われていない。
【0036】
図4は、どちらも窪み(9)であって、それぞれ三角形および台形として成形された2つの不連続部を有する本発明による電気コネクタ(1)の平面図である。電気コネクタ(1)は、第1の端部(3)が合わせガラスの中間層(13)に組み込まれ得るように窓ガラス材料のプライ(12)のエッジの周りに180度折り曲げるのに適した第1および第2の折り位置(6、6´)を含む。2つの導電体(2)があり、それぞれ、平坦な領域に位置された接合部を含み、かつ、導体の第2の端部(4)を形成する接合部に接続されたリード線を有している。
【0037】
図5は、導電体(2)の第1および第2の端部(3、4)が、窓ガラス(10)の同じ表面に隣接し、
図1のような2つの不連続部(9)を含む電気コネクタ(1)を有するような、本発明によるモノリシック窓ガラス(10)の平面図である。窓ガラス(10)および平坦な領域(7)に塗布された接着剤ビード(20)も示されている。電気コネクタ(1)の長手方向軸に垂直な第1の軸A-Aは、平坦な領域(7)の直線状の側部(8)で接着剤ビード(20)と交差する。電気コネクタ(1)の長手方向軸に垂直な第2の軸B-Bは、2つの不連続部(9)内で接着剤ビード(20)と交差する。
【0038】
図5aは、本発明による
図5の窓ガラス(10)のA-A上の断面図である。接着剤ビード(20)は、電気コネクタ(1)およびその下の接着剤層(15)を覆い、両側に水路(25)を形成するギャップを残す。
【0039】
図5bは、本発明による
図5の窓ガラス(10)のB-B上の断面図である。接着剤ビード(20)は、不連続部(9)によって形成されたレセプタクルに受け入れられ、水路に閉塞物(26)を両側に形成する。
【0040】
図6は、本発明による合わせガラス(10)の平面図である。電気コネクタ(1)の長手方向軸に垂直な軸A-Aは、平坦な領域の直線状の側部で不連続部(9、9´)と交差する。
【0041】
図6aは、本発明による
図6の合わせガラス(10)のA-A上の断面図である。水路は直線状の側部のエッジに隣接して示されている。第1の端部が、母線(14)などの電気構成要素に接触するように窓ガラス材料のプライのエッジの周りに折り曲げられ、この第1の端部は中間層材料(13)のプライに埋め込まれる。
【0042】
図7は、本発明による合わせガラス(10)、例えば、車両のフロントガラスの平面図である。不連続部は、それぞれ長方形と台形の形をした窪み(9)と突起(9´)である。電気コネクタ(1)の長手方向軸に平行な軸A-Aは、水路内の閉塞物(26)が形成される位置で不連続部の2つのエッジと交差するように配置される。
【0043】
図7aは、本発明による
図7の合わせガラス(10)のA-A上の断面図である。閉塞物(26)が、不連続部(9)のエッジに隣接して示されている。水路(25)は、水の浸入を防ぐ2つの閉塞物(26)によって塞がれている。接着剤層(15)は、一体片として電気コネクタの下に延在し、電気コネクタを窓ガラス材料のプライに接着する。折り位置(6)および第2の折り位置(6´)により、電気コネクタは、窓ガラス材料のプライの(12)エッジの周りに、好ましくは180度まで折り曲げることができる。
【0044】
図8は、本発明による
図7aの合わせガラス(10)上の導電体(1)の軸上の断面図である。断面図の接着剤ビード(20)は、涙滴の形をしている。好ましくは、接着剤ビード(20)は、電気コネクタ(1)の軸に垂直な方向(23)に塗布され、平坦な領域(7)の直線状の側部(8)に平行な方向(24)に自由に移動する。
【0045】
図9は、開口部(30)にはめ込まれた合わせガラス(10)を示す。接着剤ビード(20)は、開口部(30)のフランジ(31)に押し付けられた後のバレルの形状である(すなわち、平坦な領域(7)の直線状の側部(8)に平行な方向(24)に流れている)。
【0046】
図10は、開口部(30)内のモノリシック窓ガラスを示す。電気コネクタ(1)は、第1の折り位置(6)を有し、好ましくは、折れ曲がりは90度未満である。反転された第2の折り位置(6´´)は、電気コネクタを窓ガラス(10)から「持ち上げる」ことを可能にする。
【0047】
図11は、開口部(30)のフランジ(31)を支持する車体(32)の断面を示す。フランジ(31)の第1の点で、接着剤ビード(20)は、電気コネクタ(1)および接着剤層(15)を介してフランジ(31)を窓ガラス(10)に接着する。フランジ(31)の第2の点で、接着剤ビード(20)がフランジ(31)を窓ガラス(10)に直接接着する。
発明を実施するための最良の形態
【0048】
電気コネクタ
電気コネクタ(1)は、窓ガラス(10)の中または上にある電気構成要素(14)に接続するために提供される。窓ガラス内で、電気構成要素(14)、例えば、ワイヤーアンテナまたは銅母線またはワイヤー加熱要素が、合わせガラスの窓ガラス材料のプライ(11、12)の間に配置されるか、または合わせ窓ガラスの内面に印刷される。窓ガラス(10)上で、アンテナまたは加熱要素などの電気構成要素(14)は、モノリシック窓ガラスの表面上または合わせ窓ガラスの外面上に印刷され得る。
【0049】
電気コネクタ(1)は、第1および第2の端部(3、4)を有する少なくとも1つの導電体(2)を含む。導体(2)は、例えば、10μm~0.9mmの範囲の厚さを有する銅製の金属ストリップを含んでもよい。任意の導電性材料を使用することができる。
【0050】
電気コネクタ(1)は、少なくとも1つの導電体(2)を覆い、第1および第2の端部(3、4)の間に位置する層(5)を含む。好ましくは、層(5)は電気絶縁体、例えば、ポリイミド、特にEI du Pont de Nemours and Companyに属するDuPont Kapton(登録商標)であり、米国オハイオ州サークルビルのDuPont Electronic Technologiesから入手可能である。
【0051】
層(5)は、接着剤層(15)を介して窓ガラス(10)に接着するための第1の表面(7´)を有し、接着剤ビード(20)を介して開口部(30)のフランジ(31)に接着するための第2の表面(7´´)を有し、かつ少なくとも2つの直線状の側部(8)を有する、第1および第2の端部(3、4)の間に位置する平坦な領域(7)を含む。 平坦な領域(7)は、1mm以下の厚さと、厚さの少なくとも10倍の幅とを有する。第1および第2の表面(7´、7´´)は、好ましくは少なくとも部分的に平坦であり、好ましくは接着剤層(15)または接着剤ビード(20)により良好に接着するための表面構造を有する。
【0052】
図3の電気コネクタ(1)の実施例は、長さ21mm、幅20mmの平坦な領域(7)を有する。平坦な領域(7)と第1の端部(3)との間の領域は、長さ23mm、幅8mmである。平坦な領域(7)と第2の端部(4)との間の領域は、長さ50mm、幅10mmである。接着剤層(15)の長さは40mmでし、第1の端部(3)と第1の折り位置(6)との間の領域を除き、平坦な領域(7)および、平坦な領域(7)と第1の端部(3)との間の領域を覆う。導体(2)は、厚さ35μmの銅ストリップであり、厚さ25μmのベース層および厚さ25μmの被覆層を含み、導体(2)を挟む層(5)によって絶縁され、例えば、両面テープによって一緒に接着される。層(5)の色は、層(5)の材料に顔料を加えることによって、または層(5)の表面にペイントを塗布することによって選択することができる。層(5)の色は、好ましくは、窓ガラス(10)上の黒色印刷に対してカモフラージュされるように黒色であるか、またはFR2913141A3に開示されるように目立たないように透明である。
【0053】
平坦な領域(7)は、2つの直線状の側部(8)のそれぞれに不連続部(9、9´)を有する。不連続部は、窪み(9)または突起(9´)であってよい。任意の形状の不連続部が使用され得る。この実施例では、不連続部(9)は、平坦な領域(7)の2つの直線状の側部(8)のそれぞれで直径5mmの半円の形状である。各不連続部(9)は、直線状の側部(8)から2.5mm(すなわち、直径の半分)窪んだレセプタクルを形成する。
【0054】
接着剤層(15)は、好ましくは、第1の表面(7´)に取り付けられて、一体片を形成する。好ましくは、不連続部(9)の形状は、エッジが位置合わせされるように、層(5)および接着剤層(15)で同時に切断される。接着剤層(15)は、好ましくは、両面接着テープ(例えば、米国ミネソタ州セントポールの3Mから入手可能な、厚さ50μmのタイプ966接着剤転写テープ)である。好ましくは、接着剤層(15)は、接着剤表面を環境から保護するための剥離ライナーを含む。剥離ライナーは、手作業での取り外しを容易にするために、接着剤表面の外側に延在することができる。
【0055】
導電体(2)の第2の端部(4)は、直線状の側部(8)に対して任意の角度(例えば、90度)で、すなわち、参照によりその全体が本明細書に組み込まれるWO2017194961A1にあるような開口部(30)を有する本体(32)のエッジ部と平行に配置され得る。
【0056】
窓ガラス
本発明によるコネクタを有する窓ガラスは、窓ガラス材料(11)の第1のプライを少なくとも含む。窓ガラス材料は、例えば、1mm~25mm、好ましくは1.5mm~6mmの範囲の厚さを有するフロートガラスであってもよい。窓ガラス材料は、アニール済みガラス、半強化ガラス、または強化ガラスであってもよい。ガラス組成は、任意の既知の組成、特にソーダライムシリカガラス、例えば、赤外線吸収ガラスであってもよい。窓ガラス材料は、任意の既知の方法によって堆積された任意の既知の機能性コーティング、例えば、化学蒸着またはマグネトロンスパッタリングによって堆積された透明導電性酸化物を含む赤外線反射コーティングを有することができる。
【0057】
窓ガラスは、窓ガラス材料の第1および第2のプライ(11、12)を含んでよく、中間層材料のプライ(13)は、窓ガラス材料の第1および第2のプライの間に延在し、それらを一緒に接着する。中間層材料(13)は、ポリマー、例えば、ポリビニルブチラール(PVB)であってよい。中間層材料の追加のプライ(13)、例えば、任意選択で機能性コーティングを担持するポリエチレンテレフタレート(PET)、を使用してもよい。機能性コーティングは、電気構成要素(14)として機能する導電体であってもよい。
【0058】
窓ガラス(10)は、好ましくは接着剤層(15)、例えば、両面接着テープによって窓ガラス(10)に取り付けられた電気コネクタ(1)を備える。
【0059】
窓ガラスをはめ込む方法
電気コネクタ(1)が取り付けられた窓ガラス(10)を開口部(30)にはめ込む方法は、窓ガラス(10)を提供するステップと、直線状の側部(8)およびその中に不連続部(9)を有する、電気コネクタ(1)の少なくとも平坦な領域(7)に接着剤ビード(20)を塗布するステップと、窓ガラス(10)を開口部のフランジ(31)に押し付けて、接着剤ビード(20)を直線状の側部(8)に平行な方向(24)に流れるようにするステップと、不連続部のエッジ(21)に接着剤ビード(20)を絞り出すステップと、を含む。
【0060】
接着剤ビード(20)の材料は、ポリマー、例えば、ポリウレタンであってもよい。
【0061】
接着剤ビード(20)は、好ましくは、ノズルを使用して、直線状の側部(8)に垂直な方向(23)に塗布される。好ましくは、ノズルの直径は5mm~25mmの範囲にある。
【0062】
窓ガラスの使用
本発明による電気コネクタ(1)を有するモノリシックガラスまたは合わせガラス(10)は、加熱窓ガラスの建物の安全性または保安性を改善するための建築用途、車両のフロントガラス、サイドウィンドウ、リアウィンドウおよびルーフウィンドウなどの自動車用途、冷蔵庫のドア、白物家電、家具を含む加熱窓ガラス用途、または電子看板および太陽光発電などの電子用途に使用される。
【0063】
図面の要点
1-電気コネクタ
2-導電体
3、4-導電体の第1および第2の端部
5-導電体を少なくとも部分的に覆う層
6、6´、6´´-第1および第2の折り位置、反転された第2の折り位置
7-層の平坦な領域
8-平坦な領域の直線状の側部
9、9´-直線状のエッジの不連続部;9=窪み、9´=突起
10-窓ガラス
11、12-窓ガラス材料の第1および第2のプライ
13-中間層材料のプライ
14-電気構成要素
15-接着剤層
20-接着剤ビード
21、22-接着剤ビードを受け入れるためのレセプタクルを部分的に区切っている不連続部のエッジ
23-窓ガラスに接着剤ビードを取り付けるためのノズル移動方向
24-フランジに押し付けたときの接着剤ビードの直線状の側部に平行な流れ方向
25、26-水路、水路の閉塞物
30、31、32-開口部、開口部のフランジ、開口部を有する本体