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特許7219771違反者特定装置、違反者特定システム、違反者特定方法、及びプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-01-31
(45)【発行日】2023-02-08
(54)【発明の名称】違反者特定装置、違反者特定システム、違反者特定方法、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   G08G 1/01 20060101AFI20230201BHJP
【FI】
G08G1/01
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2020537322
(86)(22)【出願日】2018-08-15
(86)【国際出願番号】 JP2018030362
(87)【国際公開番号】W WO2020035916
(87)【国際公開日】2020-02-20
【審査請求日】2021-02-15
(73)【特許権者】
【識別番号】309036221
【氏名又は名称】三菱重工機械システム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100162868
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 英輔
(74)【代理人】
【識別番号】100161702
【弁理士】
【氏名又は名称】橋本 宏之
(74)【代理人】
【識別番号】100189348
【弁理士】
【氏名又は名称】古都 智
(74)【代理人】
【識別番号】100196689
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 康一郎
(72)【発明者】
【氏名】舛元 伸一
(72)【発明者】
【氏名】北嶋 一欽
(72)【発明者】
【氏名】樋口 竜也
【審査官】上野 博史
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-139322(JP,A)
【文献】特開2002-032890(JP,A)
【文献】特開2016-095733(JP,A)
【文献】特開2009-059313(JP,A)
【文献】国際公開第2009/034644(WO,A1)
【文献】特開2002-208049(JP,A)
【文献】特開2006-107315(JP,A)
【文献】特開平9-237357(JP,A)
【文献】特開2016-130934(JP,A)
【文献】特開2002-133043(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2002/0141618(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08G 1/00-99/00
G01C 21/00-21/36
23/00-25/00
G07B 11/00-17/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両が利用したサービスに対する利用料金を収受する料金収受システムが設けられた施設において、前記車両の走行に係る違反者を特定し、前記違反者に対する聴取、査問、または処罰を行う取締機関に提供する違反者特定装置であって、
前記料金収受システムが具備する路側カメラで撮影された画像から前記違反者が搭乗する前記車両を特定可能な車両特定情報を取得する車両特定情報取得部と、
前記料金収受システムが有するセンサで計測された前記車両の速度、重量、車高、及び車長のうち少なくとも一つの計測結果が制限値よりも大きい場合に、当該車両の違反を検出する違反検出部と、
前記料金収受システムが具備するデータベースであって、前記サービスの利用者の個人情報が登録されたデータベースから前記車両特定情報と関連付けられた個人情報を取得する個人情報取得部と、
前記画像と前記個人情報と前記違反が検出された計測結果を含む違反内容とを関連付けた違反情報を前記取締機関の端末装置に出力する出力部と、
を備える違反者特定装置。
【請求項2】
前記個人情報取得部は、前記車両特定情報と関連付けられた前記個人情報の提供を前記データベースに要求する、
請求項1に記載の違反者特定装置。
【請求項3】
前記画像は、前記違反者の顔画像を含む、
請求項1又は2に記載の違反者特定装置。
【請求項4】
車両が利用したサービスに対する利用料金を収受する料金収受システムと、
前記料金収受システムが設けられた施設において、前記車両の走行に係る違反者を特定し、前記違反者に対する聴取、査問、または処罰を行う取締機関に提供する違反者特定装置と、
を備える違反者特定システムであって、
前記料金収受システムは、
前記施設に到来した車両の画像を撮影する路側カメラと、
前記サービスの利用者の個人情報が登録されたデータベースと、
を備え、
前記違反者特定装置は、
前記路側カメラで撮影された画像から前記違反者が搭乗する前記車両を特定可能な車両特定情報を取得する車両特定情報取得部と、
前記料金収受システムが有するセンサで計測された前記車両の速度、重量、車高、及び車長のうち少なくとも一つの計測結果が制限値よりも大きい場合に、当該車両の違反を検出する違反検出部と、
前記データベースから前記車両特定情報と関連付けられた個人情報を取得する個人情報取得部と、
前記画像と前記個人情報と前記違反が検出された計測結果を含む違反内容とを関連付けた違反情報を前記取締機関の端末装置に出力する出力部と、
を備える違反者特定システム。
【請求項5】
車両が利用したサービスに対する利用料金を収受する料金収受システムと、前記料金収受システムが設けられた施設において、前記車両の走行に係る違反者を特定し、前記違反者に対する聴取、査問、または処罰を行う取締機関に提供する違反者特定装置と、を用いて車両の走行に係る違反者を特定する違反者特定方法であって、
前記違反者特定装置が、前記料金収受システムが具備する路側カメラで撮影された画像から前記違反者が搭乗する前記車両を特定可能な車両特定情報を取得する車両特定情報取得ステップと、
前記料金収受システムが有するセンサで計測された前記車両の速度、重量、車高、及び車長のうち少なくとも一つの計測結果が制限値よりも大きい場合に、当該車両の違反を検出する違反検出ステップと、
前記違反者特定装置が、前記料金収受システムが具備するデータベースであって、前記サービスの利用者の個人情報が登録されたデータベースから前記車両特定情報と関連付けられた個人情報を取得する個人情報取得ステップと、
前記違反者特定装置が、前記画像と前記個人情報と前記違反が検出された計測結果を含む違反内容とを関連付けた違反情報を前記取締機関の端末装置に出力する出力ステップと、
を実行する違反者特定方法。
【請求項6】
車両が利用したサービスに対する利用料金を収受する料金収受システムが設けられた施設において、前記車両の走行に係る違反者を特定し、前記違反者に対する聴取、査問、または処罰を行う取締機関に提供する違反者特定装置のコンピュータを機能させるプログラムであって、前記コンピュータに、
前記料金収受システムが具備する路側カメラで撮影された画像から前記違反者が搭乗する前記車両を特定可能な車両特定情報を取得する車両特定情報取得ステップと、
前記料金収受システムが有するセンサで計測された前記車両の速度、重量、車高、及び車長のうち少なくとも一つの計測結果が制限値よりも大きい場合に、当該車両の違反を検出する違反検出ステップと、
前記料金収受システムが具備するデータベースであって、前記サービスの利用者の個人情報が登録されたデータベースから前記車両特定情報と関連付けられた個人情報を取得する個人情報取得ステップと、
前記画像と前記個人情報と前記違反が検出された計測結果を含む違反内容とを関連付けた違反情報を前記取締機関の端末装置に出力する出力ステップと、
を実行させるプログラム。
【請求項7】
前記違反検出部は、前記車両特定情報取得部が前記車両の前記車両特定情報を取得し、且つ、前記料金収受システムが具備する路側無線通信装置と、当該車両に取り付けられた媒体との間の無線通信が行われなかった場合に、当該車両の違反を検出する、
請求項1から3の何れか一項に記載の違反者特定装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、違反者特定装置、違反者特定システム、違反者特定方法、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
有料道路等の車両に関するサービスを提供する施設には、利用者が安全に利用できるように車両の走行に係る規制(例えば、速度、重量、車高、車長等)が定められている。警察等の取締機関は、このような規制に違反した違反車両及び違反者を特定して処罰を行うことにより、施設における安全を維持している。
例えば特許文献1には、有料道路において違反車両の取締を行うために、カメラで撮影された車両のナンバープレート画像から、違反車両の車両登録番号を特定するシステムが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2013-200845号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
違反車両が検出されると、取締機関は、違反車両の所有者を特定して当該所有者に対して聴取、査問、処罰に関する通知書の発行等を行う。このとき、従来のシステムでは、取締機関は国に登録された車両の情報(車両登録番号、所有者の氏名及び住所等)を提供する車両登録情報提供機関に違反車両の車両登録番号を照会して、所有者の個人情報を取得する手続きを行う必要がある。このような手続きは煩雑であり、取締機関の労力が増大する要因となっていた。
【0005】
本発明は、このような課題に鑑みてなされたものあって、違反車両及び違反者の取締に係る労力を低減させることができる違反者特定装置、違反者特定システム、違反者特定方法、及びプログラムを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、本発明は以下の手段を採用している。
本発明の第1の態様によれば、車両の走行に係る違反者を特定する違反者特定装置(10)は、路側カメラ(125)で撮影された画像から前記違反者が搭乗する前記車両を特定可能な車両特定情報を取得する車両特定情報取得部(100)と、車両に関するサービスの提供を行うシステムが具備するデータベース(13)から前記車両特定情報と関連付けられた個人情報を取得する個人情報取得部(103)と、前記画像と前記個人情報とを関連付けた違反情報を出力する出力部(104)と、を備える。
このようにすることで、違反者特定装置は、既存のサービスで登録済みの個人情報を取得して違反情報として出力することが可能となる。これにより、違反者特定装置は、装置利用者による違反車両の所有者を特定するための煩雑な手続きを省略することができるので、違反車両及び違反者の取締に係る労力を低減させることができる。
【0007】
本発明の第2の態様によれば、第1の態様に係る違反者特定装置(10)において、前記個人情報取得部は、前記車両特定情報と関連付けられた前記個人情報の提供を前記データベースに要求する。
このようにすることで、違反者特定装置は、違反を検出した場合、自動的にデータベースに要求を行い、個人情報を取得することができるので、違反車両の所有者を特定するための労力を更に低減させることができる。
【0008】
本発明の第3の態様によれば、第1又は第2の態様に係る違反者特定装置(10)において、前記画像は、前記違反者の顔画像を含む。
このようにすることで、違反者特定装置は、車両の所有者と運転者が同一であるか否かを判断可能な証拠として、違反者の顔画像を含む違反情報を取締機関に提供することができる。
【0009】
本発明の第4の態様によれば、第1から第3の何れか一の態様に係る違反者特定装置(10)は、センサ(120、121、122、123)で計測された前記車両の速度、重量、車高、及び車長のうち少なくとも一つを含む計測結果に基づいて当該車両の違反を検出する違反検出部(102)を更に備える。
このようにすることで、違反者特定装置は、車両が速度、重量、車高、及び車長のうち少なくとも一つの規制に違反したか否かを自動的に検出することができる。
【0010】
本発明の第5の態様によれば、第4の態様に係る違反者特定装置(10)において、前記出力部(104)は、前記センサで計測された前記計測結果を更に含む前記違反情報を出力する。
違反者特定装置は、このように違反時に取得した計測結果及び画像を含む違反情報を出力するので、取締機関において当該違反情報を違反の証拠として使用することができる。
【0011】
本発明の第6の態様によれば、車両の走行に係る違反者を特定する違反者特定システム(1)は、前記違反者及び当該違反者が搭乗する車両を含む画像を撮影する路側カメラ(125)と、前記路側カメラ(125)で撮影された画像から前記違反者が搭乗する前記車両を特定可能な車両特定情報を取得する車両特定情報取得部(100)と、車両に関するサービスの提供を行うシステムが具備するデータベース(13)から前記車両特定情報と関連付けられた個人情報を取得する個人情報取得部(103)と、前記画像と前記個人情報とを関連付けた違反情報を出力する出力部(104)と、を備える。
【0012】
本発明の第7の態様によれば、車両の走行に係る違反者を特定する違反者特定方法は、路側カメラ(125)で撮影された画像から前記違反者が搭乗する前記車両を特定可能な車両特定情報を取得する車両特定情報取得ステップと、車両に関するサービスの提供を行うシステムが具備するデータベース(13)から前記車両特定情報と関連付けられた個人情報を取得する個人情報取得ステップと、前記画像と前記個人情報とを関連付けた違反情報を出力する出力ステップと、を有する。
【0013】
本発明の第8の態様によれば、車両の走行に係る違反者を特定する違反者特定装置(10)のコンピュータ(900)を機能させるプログラムであって、前記コンピュータ(900)に、路側カメラ(125)で撮影された画像から前記違反者が搭乗する前記車両を特定可能な車両特定情報を取得する車両特定情報取得ステップと、車両に関するサービスの提供を行うシステムが具備するデータベース(13)から前記車両特定情報と関連付けられた個人情報を取得する個人情報取得ステップと、前記画像と前記個人情報とを関連付けた違反情報を出力する出力ステップと、を実行させる。
【発明の効果】
【0014】
上述の違反者特定装置、違反者特定システム、違反者特定方法、及びプログラムによれば、違反車両及び違反者の取締に係る労力を低減させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の一実施形態に係る違反者特定システムの全体構成を示す図である。
図2】本発明の一実施形態に係る個人情報の一例を示す図である。
図3】本発明の一実施形態に係る違反者特定システムの機能構成を示す図である。
図4】本発明の一実施形態に係る違反者特定システムの処理の一例を示すフローチャートである。
図5】本発明の一実施形態に係る違反情報の一例を示す図である。
図6】本発明の一実施形態に係る違反者特定装置のハードウェア構成の一例を示す図である。
図7】本発明のその他の実施形態に係る違反者特定システムの全体構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の一実施形態に係る違反者特定システム1について、図を参照しながら説明する。
【0017】
(全体構成)
図1は、本発明の一実施形態に係る違反者特定システムの全体構成を示す図である。
違反者特定システム1は、車両の走行に係る違反者を特定するためのシステムであり、車両に関するサービスの提供を行う施設に設けられる。
車両に関するサービスの提供を行う施設とは、例えば有料道路、駐車場等である。本実施形態では、図1に示すように、違反者特定システム1が有料道路の料金所に設けられている態様を例として説明する。
また、車両の走行に係る違反とは、例えば、法令又は施設の管理者により定められた車両の速度、重量、車高、車長等の規制を逸脱する行為を示す。
【0018】
図1に示すように、違反者特定システム1は、違反者特定装置10と、料金収受システム11とを備えている。
【0019】
違反者特定装置10は、有料道路の料金所に到来した車両Aの違反の有無を検出する。また、違反者特定装置10は、車両Aが何等かの違反を行ったことを検出した場合は、運転者である違反者を特定する。また、違反者特定装置10は、特定した違反者に関する情報を取締機関が有する端末装置20に送信する。
【0020】
料金収受システム11は、有料道路を利用する車両Aから利用料金を収受するためのシステムである。有料道路を利用する車両Aは、有料道路の入口又は出口に設けられた料金所において一般道路と有料道路とを接続する車線を走行する。
料金収受システム11は、図1に示すように、車線の路側に設置された路側装置12と、遠隔地に設けられたデータベース13とを有している。
【0021】
路側装置12は、料金所に到来した車両Aの車種区分に応じた利用料金を収受するための装置群である。なお、本実施形態では、路側装置12は、違反者特定装置10が車両Aの違反の検出、及び違反者を特定するための各種情報を取得する装置群としても利用される。
路側装置12は、車速センサ120と、重量センサ121と、車高検知器122と、車長検知器123と、路側無線通信装置124と、路側カメラ125とを有している。
【0022】
車速センサ120は、料金所に到来した車両Aの速度を計測するためのセンサである。例えば、本実施形態に係る車速センサ120は、図1に示すように、既存の料金収受システム11が有する複数の車両検知器120A、120Bで構成される。車両検知器120A、120Bは、所定の検出位置に車両Aが存在するか否かを検出する装置である。
車速センサ120は、上流側(図1の-X側)の車両検知器120Aが車両Aを検出してから、下流側(図1の+X側)の車両検知器120Bが車両Aを検出するまでの時間に基づいて、車両Aの速度を計測する。
なお、他の実施形態では、車速センサ120は、速度計測用のレーダーであってもよい。
【0023】
重量センサ121は、料金所に到来した車両Aの重量を計測するためのセンサである。例えば、本実施形態に係る重量センサ121は、図1に示すように、既存の料金収受システム11が有する踏板である。重量センサ121(踏板)は、車両Aのタイヤによる踏み付けを検知して、車両Aの重量(軸重)を計測する。
なお、他の実施形態では、重量センサ121として、車両Aの総重量を計測するセンサが設けられていてもよい。
【0024】
車高検知器122は、料金所に到来した車両Aの車高を計測するためのセンサである。本実施形態では、車高検知器122は、既存の料金収受システム11が有する車高検知器を用いる。
【0025】
車長検知器123は、料金所に到来した車両Aの車長を計測するためのセンサである。本実施形態では、車長検知器123は、既存の料金収受システム11が有する車長検知器を用いる。
【0026】
路側無線通信装置124は、DSRC(Dedicated Short Range Communications)、RFID(Radio Frequency IDentifier)等の無線通信技術を利用して、車両Aに取り付けられた媒体Xとの間で無線による通信処理を行う。そして、路側無線通信装置124は、電子式料金収受システム(ETC:Electronic Toll Collection System(登録商標)、「自動料金収受システム」とも言う)に基づいて、車両Aから有料道路の利用料金を収受する処理を行う。
媒体Xとは、車両A又は車両Aの所有者と関連付けられた情報が記憶されている装置であり、例えば車載器、ICタグ等である。媒体Xに記憶される情報(以下、「媒体情報」とも記載する)は、例えば車両Aを特定可能な車両特定情報、媒体Xを特定可能な識別情報等である。車両特定情報は、車両Aのナンバープレート情報(ナンバープレート上に表記されている分類番号及び車両番号)である。また、識別情報とは、車載器ID、利用者ID等である。また、媒体情報には、車両Aの車種区分等、他の情報が含まれていてもよい。
なお、路側装置12は、媒体Xが取り付けられていない車両Aから料金収受を行うために、路側無線通信装置124に代えて、収受員が常駐する有人ブース、又は自動料金収受機を有していてもよい。
【0027】
路側カメラ125は、料金所に到来した車両Aの画像を撮影する。例えば、本実施形態に係る路側カメラ125は、図1に示すように、既存の料金収受システム11が有するナンバープレート読取装置である。なお、路側カメラ125が撮影する画像には、少なくとも車両Aのナンバープレートが含まれる。本実施形態に係る路側カメラ125は、図1に示すように車両Aの前方(車両Aの車線方向下流側(+X側))に取り付けられたナンバープレートを撮影するが、これに限られることはない。他の実施形態では、路側カメラ125は車両Aの後方(車両Aの車線方向上流側(-X側))に取り付けられたナンバープレートを撮影してもよい。また、路側カメラ125は、車両Aの前方に取り付けられたナンバープレートを撮影する下流側カメラと、車両Aの後方に取り付けられたナンバープレートを撮影する上流側カメラとの両方を有していてもよい。
更に、路側カメラ125は車両Aの運転者の顔を含む画像を撮影してもよい。このとき、路側カメラ125は、車両Aのナンバープレートと運転者の顔を含む領域を撮影範囲としてもよい。また、路側カメラ125は、ナンバープレートを撮影するカメラと、運転者の顔を撮影するカメラとの両方を有していてもよく、この場合、ナンバープレートを撮影するカメラは車両Aの前方及び後方に取り付けられたナンバープレートのうち少なくとも一方を撮影する。
また、路側に車両Aのナンバープレート及び運転者の顔の少なくとも一方が映るように鏡(不図示)が設置され、路側カメラ125がこの鏡に映されたナンバープレート及び運転者の顔を撮影するようにしてもよい。このようにすることで、運転者に撮影していることを意識されにくくなる。この場合、車両別にナンバープレート位置及び運転者の位置が変化することを考慮して、複数個所に鏡を設置するようにしてもよい。
なお、本実施形態に係る路側カメラ125は、車両検知器120Aが車両Aを検出したタイミングで撮影を行うが、これに限られることはない。他の実施形態では、路側カメラ125は常時撮影及び画像処理を行い、ナンバープレートが含まれる画像を取得するようにしてもよい。路側カメラ125は、ナンバープレート及び運転者の顔を異なるカメラで撮影している場合、画像処理によりナンバープレートを含む画像を取得したタイミングで、運転者の顔を撮影するようにしてもよい。
【0028】
データベース13には、電子式料金収受システムを利用する複数の利用者それぞれの個人情報D1(図2)が予め登録されている。
図2は、本発明の一実施形態に係る個人情報の一例を示す図である。
個人情報D1は、例えば図2に示すように、利用者の「氏名」及び「住所」、利用者が搭乗する車両Aの「車両特定情報」及び「車種区分」、車両Aに取り付けられた媒体Xの「識別情報」、利用料金の「支払手段」等を関連付けた情報である。支払手段は、銀行の預金口座番号、クレジットカード番号等である。
【0029】
(機能構成)
図3は、本発明の一実施形態に係る違反者特定システムの機能構成を示す図である。
図3に示すように、違反者特定システム1の違反者特定装置10は、車両特定情報取得部100と、無線通信部101と、違反検出部102と、個人情報取得部103と、出力部104と、記憶媒体105とを備えている。
【0030】
車両特定情報取得部100は、路側カメラ125で撮影された画像から違反者が搭乗する車両Aを特定可能な車両特定情報を取得する。
【0031】
無線通信部101は、路側無線通信装置124を介して車両Aの媒体Xに記憶されている媒体情報を取得する。
【0032】
違反検出部102は、センサ(車速センサ120、重量センサ121、車高検知器122、車長検知器123)で計測された車両Aの速度、重量、車高、及び車長のうち少なくとも一つを含む計測結果に基づいて車両Aの違反を検出する。
【0033】
個人情報取得部103は、車両Aに関するサービスの提供を行うシステムが具備するデータベース13から車両特定情報と関連付けられた個人情報を取得する。より具体的には、個人情報取得部103は、車両特定情報と関連付けられた個人情報の提供をデータベース13に要求する指令を送信することにより、その応答としてデータベース13から個人情報を取得する。
車両Aに関するサービスの提供を行うシステムは、本実施形態では料金収受システム11である。なお、他の実施形態では、このシステムは、駐車場の利用料金を収受する料金収受システムであってもよい。
【0034】
出力部104は、路側カメラ125により撮影された画像と、個人情報取得部103が取得した個人情報と、センサによる計測結果とを関連付けた違反情報を、取締機関が有する端末装置20に出力する。これにより、取締機関は、端末装置20により収集された違反情報に基づいて、違反者の処罰を行うことができる。
【0035】
記憶媒体105には、有料道路別の車両の速度、重量、車高、車長の制限値を示す規制情報が予め記憶されている。また、記憶媒体105には、出力部104により作成された違反情報等が記憶されてもよい。
【0036】
(処理フロー)
図4は、本発明の一実施形態に係る違反者特定システムの処理の一例を示すフローチャートである。
以下、図4を参照しながら、違反者特定システム1の違反者特定装置10が違反の検出及び違反者の特定を行う処理の一例について説明する。
【0037】
車両Aが料金所に到来する(車両検知器120Aが車両Aの存在を検知する)と、車両特定情報取得部100は、路側カメラ125で撮影された画像から車両Aの車両特定情報を取得する(ステップS10)。本実施形態では、車両特定情報取得部100は、路側カメラ125で撮影された画像に所定の画像処理を施すことにより、車両Aのナンバープレート情報(ナンバープレート上に表記されている分類番号及び車両番号)を読み取って車両特定情報として取得する。
【0038】
次に、違反検出部102は、車速センサ120、重量センサ121、車高検知器122、及び車長検知器123のそれぞれで計測された計測結果に基づいて、車両Aが違反を行ったか否かを判断する(ステップS11)。
例えば、違反検出部102は、車速センサ120が計測した車両Aの速度が、記憶媒体105に予め記憶されている規制情報が示す速度の制限値(最高速度)よりも大きい場合、車両Aは速度超過の違反を行ったと判断する(ステップS11:YES)。違反検出部102は、車両Aの重量、車高、及び車長についても同様の判断を行う。そして、違反検出部102は、速度、重量、車高、及び車長のうち少なくとも一つの計測結果が制限値よりも大きい場合、車両Aは違反を行ったと判断する(ステップS11:YES)。
一方、違反検出部102は、車両Aの速度、重量、車高、及び車長の何れも制限値を超えていない場合、車両Aは違反を行っていないと判断する(ステップS11:NO)。
なお、違反検出部102は、センサの計測誤差等を考慮して、各計測結果が制限値よりも所定の許容値以上大きい場合、車両Aが違反を行ったと判断するようにしてもよい。この場合、許容値は、センサ別に任意の値が設定される。
【0039】
違反検出部102が車両Aの違反を検出した場合(ステップS11:YES)、個人情報取得部103は、料金収受システム11のデータベース13から個人情報を取得する(ステップS12)。このとき、個人情報取得部103は、ステップS10において取得した車両特定情報(ナンバープレート情報)と関連付けられた個人情報の提供をデータベース13に要求する。
【0040】
また、出力部104は、車両Aの違反情報D2(図5)を作成して、取締機関が有する端末装置20に出力する(ステップS13)。
【0041】
図5は、本発明の一実施形態に係る違反情報の一例を示す図である。
図5に示すように、違反情報D2は、違反を検出した「日時」と、車両Aの「車両特定情報」と、「違反内容」と、「個人情報」と、「画像」とが関連付けられた情報である。
車両特定情報は、ステップS10において特定された車両Aのナンバープレート情報である。
違反内容は、ステップS11において違反があったと判断された項目(速度、重量、車高、車長)とその制限値及び計測結果とを含む情報である。例えば車両Aが速度超過の違反を行った場合、図5に示すように、違反内容に含まれる項目、制限値、及び計測結果として、それぞれ「速度超過」、「最高速度:100km/h」、「計測速度:150km/h」という情報が記録される。なお、車両Aが複数の項目について違反を行った場合、出力部104は、違反情報D2に複数の違反内容を含めてもよいし、違反した項目別に複数の違反情報D2を作成してもよい。
個人情報は、ステップS12においてデータベース13より取得した個人情報であり、例えば、図5に示すように、車両Aの所有者の「氏名」、「住所」、「支払い手段」等が含まれる。
画像は、路側カメラ125により撮影された車両Aのナンバープレートを含む画像である。
なお、画像には、運転者の顔が含まれていてもよい。この場合、ナンバープレートの画像と、運転者の顔画像とは一つの画像であってもよいし、別々の画像であってもよい。
また、車両Aの車体全体を含む画像が更に含まれていてもよい。
【0042】
違反者特定装置10は、料金所に車両Aが到来する度に、上述の処理を繰り返し実行する。これにより、違反者特定装置10は、車両Aが違反を行ったことを検出した場合は、違反内容と車両Aのナンバープレート(及び違反者の画像)とを含む違反情報を自動的に取締機関に提供することができる。
【0043】
なお、図4の例では、違反検出部102が車両Aの違反を検出する度に、出力部104が違反情報を取締機関の端末装置20に出力する態様を説明したが、これに限られることはない。他の実施形態では、出力部104は、作成した違反情報を記憶媒体105に記憶しておき、所定のタイミングで複数の違反情報をまとめて端末装置20に出力するようにしてもよい。
【0044】
(ハードウェア構成)
図6は、本発明の一実施形態に係る違反者特定装置のハードウェア構成の一例を示す図である。
以下、図6を参照して、違反者特定装置10のハードウェア構成の一例について説明する。
図6に示すように、コンピュータ900は、CPU901、主記憶装置902、補助記憶装置903、インタフェース904を備える。
上述の違反者特定装置10は、コンピュータ900に実装される。そして、上述した各処理部の動作は、プログラムの形式で補助記憶装置903に記憶されている。CPU901は、プログラムを補助記憶装置903から読み出して主記憶装置902に展開し、当該プログラムに従って上記処理を実行する。また、CPU901は、プログラムに従って、違反者特定装置10が各種処理に用いる記憶領域を主記憶装置902に確保する。また、CPU901は、プログラムに従って、処理中のデータを記憶する記憶領域(記憶媒体105)を補助記憶装置903に確保する。
【0045】
補助記憶装置903の例としては、HDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)、磁気ディスク、光磁気ディスク、CD-ROM(Compact Disc Read Only Memory)、DVD-ROM(Digital Versatile Disc Read Only Memory)、半導体メモリ等が挙げられる。補助記憶装置903は、コンピュータ900のバスに直接接続された内部メディアであってもよいし、インタフェース904又は通信回線を介してコンピュータ900に接続される外部メディアであってもよい。また、このプログラムが通信回線によってコンピュータ900に配信される場合、配信を受けたコンピュータ900が当該プログラムを主記憶装置902に展開し、上記処理を実行してもよい。少なくとも1つの実施形態において、補助記憶装置903は、一時的でない有形の記憶媒体である。
【0046】
また、当該プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであってもよい。
更に、当該プログラムは、前述した機能を補助記憶装置903に既に記憶されている他のプログラムとの組み合わせで実現するもの、いわゆる差分ファイル(差分プログラム)であってもよい。
【0047】
(作用効果)
以上のように、本実施形態に係る違反者特定装置10は、車両Aの走行に係る違反者を特定する違反者特定装置10は、路側カメラ125で撮影された画像から違反者が搭乗する車両Aを特定可能な車両特定情報を取得する車両特定情報取得部100と、車両Aに関するサービスの提供を行うシステムが具備するデータベース13から車両特定情報と関連付けられた個人情報を取得する個人情報取得部103と、画像と個人情報とを関連付けた違反情報を出力する出力部104と、を備える。
このようにすることで、違反者特定装置10は、既存のサービスで登録済みの個人情報を取得して違反情報として出力することが可能となる。これにより、違反者特定装置10は、装置利用者による違反車両の所有者を特定するための煩雑な手続きを省略することができるので、違反車両及び違反者の取締に係る労力を低減させることができる。なお、装置利用者は、例えば車両に関するサービスの提供を行う施設の運営者、又は取締機関である。
【0048】
また、個人情報取得部103は、車両特定情報と関連付けられた個人情報の提供をデータベース13に要求する。
このようにすることで、違反者特定装置10は、違反を検出した場合、自動的にデータベース13に要求を行い、個人情報を取得することができるので、違反車両の所有者を特定するための労力を更に低減させることができる。
【0049】
また、画像は、違反者の顔画像を含む。
このようにすることで、違反者特定装置10は、車両Aの所有者と運転者が同一であるか否かを判断可能な証拠として、違反者の顔画像を含む違反情報を取締機関に提供することができる。これにより、例えば車両Aの所有者以外の者が車両Aを運転していた場合、違反を行っていない車両Aの所有者が処罰されてしまうことを抑制することができる。
【0050】
また、違反者特定装置10は、センサ(車速センサ120、重量センサ121、車高検知器122、車長検知器123)で計測された車両Aの速度、重量、車高、及び車長のうち少なくとも一つを含む計測結果に基づいて当該車両Aの違反を検出する違反検出部102を更に備える。
このようにすることで、違反者特定装置10は、車両Aが速度、重量、車高、及び車長のうち少なくとも一つの規制に違反したか否かを自動的に検出することができる。
【0051】
また、出力部104は、センサ(車速センサ120、重量センサ121、車高検知器122、車長検知器123)で計測された計測結果を更に含む違反情報を出力する。
違反者特定装置10は、このように違反時に取得した計測結果及び画像を含む違反情報を出力するので、取締機関において当該違反情報を違反の証拠として使用することができる。
【0052】
(その他の実施形態)
また、上述の実施形態において、違反者特定システム1が有料道路の料金所に設けられている態様を例として説明したが、これに限られることはない。他の実施形態に係る違反者特定システム1は、例えばマルチレーンフリーフロー方式(以下、「MLFF方式」とも記載する)の有料道路に適用されてもよい。
【0053】
図7は、本発明のその他の実施形態に係る違反者特定システムの全体構成を示す図である。
図7に示すように、違反者特定システム1Aは、違反者特定装置10と、MLFF方式の料金収受システム11Aとを備えている。
【0054】
MLFF方式の料金収受システム11Aは、路側装置12として、少なくとも路側無線通信装置124と、路側カメラ125とを有している。
路側無線通信装置124の機能は、上述の実施形態と同様である。
【0055】
路側カメラ125は、上述の実施形態(図1)と同様に路側に設けられていてもよいし、図7に示すように路側無線通信装置124とともにガントリ上に設けられていてもよい。路側カメラ125は、上述の実施形態と同様に、車両Aのナンバープレートを含む画像を撮影する。なお、路側カメラ125は、車両Aの運転者の顔を更に含む画像を更に撮影してもよい。
また、路側カメラ125は常時、車線を通行する車両Aを撮影し、車両Aの違反を検出するための違反検出部として機能してもよい。例えば、路側カメラ125は、時系列に連続する車両Aの複数画像から、車両Aの速度、車高、及び車長を計測して車両Aの違反を検出するようにしてもよい。
違反者特定システム1は、このようにMLFF方式の料金収受システム11A適用された場合も、上述の実施形態と同様の作用効果を得ることが可能である。
【0056】
以上、本発明の実施形態について詳細に説明したが、本発明の技術的思想を逸脱しない限り、これらに限定されることはなく、多少の設計変更等も可能である。
例えば、上述の実施形態において、違反者特定装置10が車両Aの速度、重量、車高、及び車長の違反を行った違反者を特定する態様について説明したが、これに限られることはない。他の実施形態では、違反者特定装置10は、公道で車両Aを使用するために国別に定められたロードタックス(自動車税等)を支払っていない違反者を特定するようにしてもよい。この場合、違反者特定装置10の違反検出部102は、図4のステップS11において、ロードタックスの管理を行う機関に車両特定情報を問い合わせ、ロードタックスが支払われているか否かを確認するようにしてもよい。
【0057】
また、更に他の実施形態では、違反者特定装置10は、利用時に車両Aに媒体Xを取り付けることが義務付けられている施設(有料道路、駐車場等)において、媒体Xを取り付けずに不正に施設を利用した者を違反者として特定するようにしてもよい。この場合、違反者特定装置10の違反検出部102は、図4のステップS11において、車両特定情報取得部100が車両Aの車両特定情報を取得したにもかかわらず、無線通信部101が当該車両Aと無線通信を行えなかった場合、当該車両Aは媒体Xが取り付けられていない違反車両であると判断する。
【産業上の利用可能性】
【0058】
上述の違反者特定装置、違反者特定システム、違反者特定方法、及びプログラムによれば、違反車両及び違反者の取締に係る労力を低減させることができる。
【符号の説明】
【0059】
1 違反者特定システム
10 違反者特定装置
100 車両特定情報取得部
101 無線通信部
102 違反検出部
103 個人情報取得部
104 出力部
105 記憶媒体
11、11A 料金収受システム
12 路側装置
120 車速センサ(センサ)
121 重量センサ(センサ)
122 車高検知器(センサ)
123 車長検知器(センサ)
124 路側無線通信装置
125 路側カメラ
13 データベース
20 端末装置
A 車両
X 媒体
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7