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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-01-31
(45)【発行日】2023-02-08
(54)【発明の名称】パルプモウルド製青果物収納トレー
(51)【国際特許分類】
   B65D 85/34 20060101AFI20230201BHJP
   B65D 85/50 20060101ALI20230201BHJP
【FI】
B65D85/34 160
B65D85/50 120
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2021090111
(22)【出願日】2021-05-28
(65)【公開番号】P2022182514
(43)【公開日】2022-12-08
【審査請求日】2021-07-26
(73)【特許権者】
【識別番号】000206392
【氏名又は名称】大石産業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100114731
【弁理士】
【氏名又は名称】藤井 重男
(72)【発明者】
【氏名】上野 正司
(72)【発明者】
【氏名】田中 雅巳
【審査官】吉澤 秀明
(56)【参考文献】
【文献】実開昭61-011580(JP,U)
【文献】実開昭57-098278(JP,U)
【文献】登録実用新案第3174211(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 85/34
B65D 85/50
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
青果物の下部を収納し得る凹部を有するパルプモウルド製青果物収納トレーであって、
上記凹部は略球形の青果物の下部を収納し得るように水平の底部の周縁から、内側面は半球面状に広がり、上記内側面が円形の上縁につながるように構成されており、
かつ、円形の上記上縁の一部が外側に広がって円形からはみ出した円弧状の上縁円弧部が形成され、上記上縁円弧部に向けて上記内側面の一部が円弧面状の傾斜面を形成しており、
略球形の青果物が、上記凹部に、その極半径を垂直状態に収納されるものであり、
又は、略扁長楕円体の青果物が、上記凹部に、その略扁長楕円体の上半部の外周面の下面が上記上縁円弧部及び上記傾斜面に接するように、上記略扁長楕円体の青果物の極半径を上記上縁円弧部の方向に傾斜させて収納されるものであり、
1つの上記凹部に、上記略球形の青果物と、同一の上記凹部に、上記略扁長楕円体の青果物を傾斜して収納することができ、同一の上記凹部に形状の異なる上記青果物を収納することを特徴とするパルプモウルド製青果物収納トレー。
【請求項2】
上記凹部の上記底部に、上記略扁長楕円体の青果物の傾斜方向、即ち上記上縁円弧部の方向を示す矢印を刻印したものである請求項1記載のパルプモウルド製青果物収納トレー。
【請求項3】
上記上縁円弧部の範囲は、上記凹部の上記底部の中心から約60度の範囲である請求項1又は2記載のパルプモウルド製青果物収納トレー。
【請求項4】
上記パルプモウルド製青果物収納トレーは方形であって、上記凹部が第1~第3の凹部の3個設けられており、
トレーの長辺に沿う上側の列を第1列、該第1列に隣接する下側の列を第2列といい、
上記第1の凹部及び上記第2の凹部からなる2個の凹部は上記トレーの長辺に沿って上記第2列に並列され、上記第3の凹部は、上記並列された2個の上記第1、第2の凹部の対向部の隣接位置の上記第1列に設けられ、
上記第3の凹部の上記上縁円弧部は、上記長辺に沿った右側に設けられ、上記第2の凹部の上記上縁円弧部は、下斜め左方向に設けられ、上記第1の凹部の上記上縁円弧部は、上斜め左方向に設けられたものである請求項1~3の何れかに記載のパルプモウルド製青果物収納トレー。
【請求項5】
上記第1~第3の凹部の各上記底部には、各々上記上縁円弧部の方向を示す矢印が刻印されているものである請求項4記載のパルプモウルド製青果物収納トレー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えばメロン等の青果物を収納するためのパルプモウルド製青果物収納トレーに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、青果物の保持構造であって、球状の青果物の大きさに応じて、内装部材の中央部分の舌片が青果物の大きさに応じて下方に弾性変形し、これにより大きさの異なる青果物を収納可能としたトレーが提案されている(特許文献1)。
【0003】
また、果実支持シートの板面に複数の放射状の切り込みを設け、上記切り込みの中央に果実を収納し、切り込み片を内側又は外側に湾曲させることにより、大きさの異なる果実を収納し得るように構成した果実用クッション体が提案されている(特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2011-126550号公報
【文献】特開2004-99044号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、特許文献1のものは、内装部材の舌片を青果物の大きさに応じて弾性変形させるものであるため、青果物の形状が異なる場合には、形状の異なる青果物を適切に収納し得るとはいえない。
【0006】
また、特許文献2のものは、切り込み片を内側又は外側に湾曲させることにより果実を収納するものであるから、果実の形状が異なる場合は、形状の異なる果実を適切に収納し得るとは言えない。
【0007】
また、特許文献1のものは、何れも方形の外枠と内装部材が必要であり、特許文献2のものは段ボール箱内に、トレーと果実支持シートが必要であり、構造が複雑であるという課題を有している。
【0008】
本発明は、上記従来の課題に鑑みてなされたものであり、形状の異なるメロン等の青果物を何れも適切に保持し得るパルプモウルド製青果物収納トレーを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の目的を達成するため本発明は、
第1に、青果物の下部を収納し得る凹部を有するパルプモウルド製青果物収納トレーであって、上記凹部は略球形の青果物の下部を収納し得るように水平の底部の周縁から、内側面は半球面状に広がり、上記内側面が円形の上縁につながるように構成されており、かつ、円形の上記上縁の一部が外側に広がって円形からはみ出した円弧状の上縁円弧部が形成され、上記上縁円弧部に向けて上記内側面の一部が円弧面状の傾斜面を形成しており、略球形の青果物が、上記凹部に、その極半径を垂直状態に収納されるものであり、又は、略扁長楕円体の青果物が、上記凹部に、その略扁長楕円体の上半部の外周面の下面が上記上縁円弧部及び上記傾斜面に接するように、上記略扁長楕円体の青果物の極半径を上記上縁円弧部の方向に傾斜させて収納されるものであり、1つの上記凹部に、略球形の青果物と、同一の上記凹部に、上記略扁長楕円体の青果物を傾斜して収納することができ、同一の上記凹部に形状の異なる青果物を収納することを特徴とするパルプモウルド製青果物収納トレーにより構成される。
【0010】
このように構成すると、1つの凹部に、略球形の青果物(例えば富良野メロン(登録商標))を収納することができ、同一の凹部に、略扁長楕円体の青果物(例えば夕張メロン(登録商標))を傾斜して収納することができ、同一の凹部に形状の異なる青果物を収納することができ、非常に便宜なパルプモウルド製青果物収納トレーを実現することができる。
【0011】
第2に、上記凹部の上記底部に、上記略扁長楕円体の青果物の傾斜方向、即ち上記上縁円弧部の方向を示す矢印を刻印したものである上記第1記載のパルプモウルド製青果物収納トレーにより構成される。
【0012】
このように構成すると、略扁長楕円体の青果物を収納する際、上縁円弧部の方向が底部に刻印されているので、上記青果物の傾斜方向がすぐにわかり、略扁長楕円体の青果物の傾斜方向がすぐにわかるという利点がある。
【0013】
第3に、上記上縁円弧部の範囲は、上記凹部の上記底部の中心から約60度の範囲である上記第1又は2記載のパルプモウルド製青果物収納トレーにより構成される。
【0014】
このように構成すると、上記上縁円弧部は、凹部の中心から約60度の範囲で形成されており、それに向かう傾斜面が形成されているので、略扁長楕円体の青果物を安定して上記凹部に収納し得るという効果がある。しかも、同一の凹部に略球形状の青果物も安定して収納し得るため、形状の異なる青果物を1つの凹部において安定して収納可能である。
【0015】
第4に、上記パルプモウルド製青果物収納トレーは方形であって、上記凹部が第1~第3の凹部の3個設けられており、トレーの長辺に沿う上側の列を第1列、該第1列に隣接する下側の列を第2列といい、上記第1の凹部及び上記第2の凹部からなる2個の凹部は上記トレーの長辺に沿って上記第2列に並列され、上記第3の凹部は、上記並列された2個の上記第1、第2の凹部の対向部の隣接位置の上記第1列に設けられ、上記第3の凹部の上記上縁円弧部は、上記長辺に沿った右側に設けられ、上記第2の凹部の上記上縁円弧部は、下斜め左方向に設けられ、上記第1の凹部の上記上縁円弧部は、上斜め左方向に設けられたものである上記第1~3の何れかに記載のパルプモウルド製青果物収納トレーにより構成される。



【0016】
このように構成すると、1つの方形のトレーに、略球形の3つの青果物又は略扁長楕円体の3つの青果物を各々収納することができ、例えば3つの略扁長楕円体の青果物を収納する際は、傾斜方向が第1~第3の凹部毎に異なるため、略扁長楕円体の3つの青果物を互いに接することなく、きれいに収納支持することができる。
【0017】
第5に、上記第1~第3の凹部の各上記底部には、各々上記上縁円弧部の方向を示す矢印が刻印されているものである上記第4記載のパルプモウルド製青果物収納トレーにより構成される。
【0018】
このように構成すると、第1~第3の凹部において、底部に、上記上縁円弧部の方向を示す矢印が各々刻印されているものであるから、略扁長楕円体の3つの青果物を、第1の凹部から第3の凹部に収納する際、青果物の傾斜方向が分り易いという利点がある。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、1つの凹部に、略球形の青果物(例えばメロン)を収納することができ、同一の凹部に、略扁長楕円体の青果物(例えばメロン)を傾斜して収納することができ、このように形状の異なる青果物を1つの凹部に収納可能であり、非常に便宜なパルプモウルド製青果物収納トレーを実現することができる。
【0020】
また、略扁長楕円体の青果物を収納する際、上縁円弧部の方向が底部に刻印されているので、上記青果物の傾斜方向がすぐにわかり、略扁長楕円体の青果物の傾斜方向がすぐにわかるという利点がある。
【0021】
また、上記上縁円弧部は、凹部の中心から約60度の範囲で形成されており、それに向かう傾斜面が形成されているので、略扁長楕円体の青果物を安定して上記凹部に収納し得るという効果がある。しかも、同一の凹部に略球形の青果物も安定して収納し得るため、形状の異なる青果物を1つの凹部において安定して収納可能であるという効果がある。
【0022】
また、1つの方形のトレーに、略球形の3つの青果物又は略扁長楕円体の3つの青果物を各々収納することができ、例えば3つの略扁長楕円体の青果物を収納する際は、傾斜方向が第1~第3の凹部毎に異なるため、略扁長楕円体の3つの青果物を互いに接することなく、きれいに収納支持することができる。
【0023】
また、第1~第3の凹部において、底部に、上縁円弧部の方向を示す矢印が各々刻印されているものであるから、略扁長楕円体の3つの青果物を、第1の凹部から第3の凹部に収納する際、青果物の傾斜方向が分り易いという利点がある。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】本発明に係るパルプモウルド製青果物収納トレーを示す図面であり、(a)は平面図、(b)は(a)のA-A線断面図、(c)は(a)のB-B線断面図である。
図2】同上トレーの斜視図である。
図3】同上トレーに略球形状のメロンを収納した状態を示す図であり、(a)は平面図、(b)は(a)のC-C線断面図である。
図4】同上トレーに略球形のメロンを収納した状態の斜視図である。
図5】同上トレーに略扁長楕円体のメロンを収納した状態を示す図であり、(a)は平面図、(b)は(a)のD-D線断面図である。
図6】同上トレーに略扁長楕円体のメロンを収納した状態の斜視図である。
図7】同上トレーの第3の凹部の上縁部分を示す概念図である。
図8】同上トレーの第3の凹部を示す部分拡大写真である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、添付図面に基づいて本発明に係るパルプモウルド製青果物収納トレー1について詳細に説明する。
【0026】
尚、図1(a)において、同図(a)の平面図を見た場合、長方形状に沿うトレー1の左右方向を「左」、「右」、紙面に対向してみた場合、長辺に沿う上側の列を第1列、該第1列に隣接する下側の列を第2列といい、短辺側を「縦」、長辺側を「横」、深さ方向を「上下方向」という。
【0027】
青果物は、略球形のメロンM1(例えば富良野メロン(登録商標))(図3図4参照)と、略扁長楕円体(楕円形状を極座標に沿って回転した立体形状、例えばラグビーボール型)のメロンM2(例えば夕張メロン(登録商標))(図5図6参照)を例にして説明するが、メロン等の果実に限定されるものではなく、果実ではなく野菜でも良い。また、上記メロンM1の赤道半径は約90mm、極半径P1は約90mm、上記メロンM2の赤道半径は約90mmであり、上記極半径P2は約105mmである。
【0028】
本発明は、青果物(例えばメロン等)の下部を収納し得る凹部2,2,2(第1の凹部2、第2の凹部2、第3の凹部 )を有するパルプモウルド製青果物収納トレー1から構成されている。上記凹部2,2,2の深さ(上下方向の深さ)は、約73mmである。


【0029】
上記トレー1は、図1(a)に示すように平面視にて長方形(方形)であり(例えば、縦約330mm、横約430mm)、上記凹部が第1~第3の凹部2,2,2の3個が設けられている。
【0030】
上記第1の凹部2及び上記第2の凹部2からなる2個の凹部は、上記トレー1の長辺に沿って上記第2列に横方向に並列され、上記第3の凹部2は、上記並列された2個の上記第1、第2の凹部2,2の対向部の隣接位置の上記第1列に設けられており、従って、トレー1の長辺に沿う、図1(a)の上記第1列の中央に1個の上記第3の凹部2、トレー2の長辺に沿う、上記第3の凹部2に隣接して、2個の上記第1、第2の凹部2,2が上記第2列に沿って設けられ、上記第3の凹部2は、第1、第2の凹部2,2の対向部に隣接する上記第1列の中央部に設けられている。即ち、上記第3の凹部2の右斜め下に第2の凹部2が設けられ、上記第3の凹部2の左斜め下に第1の凹部2が設けられている。
【0031】
ここで、凹部2,2,2は、略同一形状なので、第3の凹部2を代表として説明する。
【0032】
上記第3の凹部2は略球形状(略球形)のメロンM1の下部を収納し得るように略水平の十字状の底部3が設けられている(十字状の底部3の各腕部3a,3a,3a,3aは、縦方向と横方向を向いている)。上記底部3は、十字状の4つの各腕部3a,3a,3a,3aの線部3b,3b,3b,3bまでは略水平であるが(図2参照)、上記各線部3b,3b,3b,3bから上方に立ち上がり、上記線部3b,3b,3b,3bから上方位置の各面3c,3c,3c,3cは円周方向に円弧状の面が形成されている(図1(a)、図2参照)。
【0033】
また、上記各腕部3a,3a,3a,3aの上側の各中央は突出部分3d,3d,3d,3dが形成されており、各突出部分3d,3d,3d,3dから上記内側面4に面一に溶け込んでいる(図2図8参照)。
【0034】
また、上記十字状の底部3を除く上記第3の凹部2の内側面4は、半球面状に広がり、上記内側面4が円形(円形状)(上縁円弧部6の範囲を除く円形(円形状))の上縁5につながるように構成されている。即ち、上記凹部2は略球形の青果物M1の下部を収納し得るように水平の底部3の周縁(十字状の底部3の上側の外周縁)から、内側面4は半球面状に広がり、上記内側面4が円形の上縁5につながるように構成されている。
【0035】
また、上記内側面4は、上記底部3の中心Qに向かう突出部4a,4a,4a,4aが設けられており、上記突出部4a,4a,4a,4aを含めて、上記内側面4は、全体として半球面状に構成されている。
【0036】
また、上記内側面4の各突出部4a,4a,4a,4aは、図2に示すように、その先端部4b,4b,4b,4bは上記十字状の上記底部3の対応位置より若干高い位置にあるが、上記先端部4b,4b,4b,4bよりも上方の各突出部4a,4a,4a,4aの各面は、上方に行くにつれて、上記底部3の上記各面3cより徐々に内側方向に高くなるように構成され(図2図8参照)、かつ各突出部4a,4a,4a,4aの上面は、各々1つの半球面状に広がっており、従って、上記十字状の底部3の各面3c,3c,3c,3cとの間に段差が形成されている(勿論、突出部4a,4a,4a,4aが各面3c,3c,3c,3cよりも高い)。
【0037】
上記各突出部4a,4a,4a,4aは、その上面部4c,4c,4c,4cにおいて、上記内側面4に一体化(面一化)しており、上記内側面4、及び、上記突出部4a,4a,4a,4aの上面が、全体として半球面状の立体的な面が構成されている。
【0038】
従って、図3(b)に示すように、略球形の上記メロンM1を収納すると、上記メロンM1の下半部(下部)23bの球面が、上記内側面4及び上記突出部4a,4a,4a,4aの上面及び底部3の水平面に接するように構成される。即ち、略球形のメロンM1が、上記第1~第3の凹部2,2,2に、その極半径P1を垂直状態に収納することができる(図3(a)参照)。
【0039】
また、上記上縁5は、全体としては円形であるが、図1(a)において、上記上縁5の右側の一部が、上記上縁5の円形の円周から、外側に広がって上記上縁5の円形からはみ出した円弧状の上縁円弧部6(範囲T)が形成されている。上記上縁円弧部6の円弧は、円形の上縁5と同一方向の円弧であるが、上縁5の円形とは、外側方向(右側方向)に大きく広がっており、しかも、上縁円弧部6の円弧の曲率半径は、上記上縁5の曲率半径より小さくなるように構成されている(図7参照)。また、上記上縁円弧部6の中心の水平線は上記底部3の中心Qを通る線(水平線)L1(=中心線R1)となる。尚、第3の凹部2では水平線L1と水平線R1が同一となる。
【0040】
そして、上記上縁円弧部6に向けて上記半球面状の上記内側面の上半部が円弧面状の傾斜面6aが形成されている(図1(b)参照)。尚、上記上縁円弧部6は上記第3の凹部2の中心Qから略60度の角度θを有している。即ち、中心Qを通る中心線R1(水平線L1)を中心として、θ=約60度の範囲で、上記上縁円弧部6が設けられている(図7参照)。
【0041】
より詳細に説明すると、上記上縁円弧部6は、上記底部3の1つの腕3aの方向であり、上記傾斜面6aは、図1(b)に示すように、上記腕3aの面3cの傾斜角度より、より外側に寝た傾斜角度で、上記腕3aの上端部3a’から、上記上縁円弧部6に向かって末広がり状に広がっており、その内面は、上記上縁円弧部6に沿うように三次元的に内側に向かう緩やかな三次元的な湾曲面を形成している。従って、上記上縁5の範囲は、約300度の範囲となっている(図7参照)。
【0042】
そして、図5(b)に示すように、略扁長楕円体のメロンM2が、上記第3の凹部2に、その略扁長楕円体の上半部の外周面7aの下面が、上記上縁円弧部6及び傾斜面6aに接触するように、上記略扁長楕円体のメロンM2の極半径P2を上記上縁円弧部6及び傾斜面6aの方向に傾斜させて収納されることを可能したものである(図5参照)。
【0043】
上記第3の凹部2の上記底部3に、上記略扁長楕円体のメロンM2の傾斜方向(図5(b)参照)、即ち上記上縁円弧部6の方向を示す矢印8が刻印されている。この矢印8は、その先端部8aが、上記上縁円弧部6の方向(図1(a)における右側)を向いており、これにより、略扁長楕円体のメロンM2の傾斜方向を示している。
【0044】
次に、第1、第2の凹部2,2について説明する。
上記第1、第2の凹部2,2は、基本的構成は、上記第3の凹部2と同様であるから、対応部分には同一符号を付して、各部の説明は省略する。尚、上記第3の凹部2との相違点は、上記上縁円弧部6の方向である。
【0045】
上記第1、第2の凹部2,2は、上記トレー1の上記第2列における上記第3の凹部2の隣接位置に左右方向に並列されている。そして、上記第3の凹部2は、上記トレー1の上記第1列における中央部に設けられている。また、上記第2の凹部2は、上記第3の凹部2の右斜め下方に設けられ、第1の凹部2は、上記第3の凹部2の左斜め下方に設けられている。
【0046】
そして、上記第3の凹部2と上記第2の凹部2は、各上縁5,5の一部である上縁部5aにて重合しており、上記第3の凹部2と上記第1の凹部2は、各々上縁5,5の一部である上縁部5bにて重合している。
【0047】
上記第2の凹部2は、上記トレー1の長辺に沿った第2列に設けられ、上記第2の凹部2の上記上縁円弧部6は、下斜め左方向に設けられている。即ち、上記第2の凹部2の底部3の中心Qを通る中心線R2を中心として、左斜め下方にθ(=約60度)の角度の範囲で上記上縁円弧部6が位置するように構成されている。また、上記中心線R2は、水平線L2から(第2の凹部2の中心Qを通る水平線L2)(中心Qから反時計方向に)、下斜め左方向に角度θ’(=約40度)傾斜している。
【0048】
上記十字状の底部3は、4つの各腕部3a,3a,3a,3aの内、上記上縁円弧部6の方向を向いた腕部3aが、上記中心線R2を中心とする方向になるように構成されている。そして、上記中心線R2の角度は、底部3の中心Qを通る水平線L2に対して反時計方向にθ’(=約40度)の角度、下斜め左方向に傾斜している。従って、上記第2の凹部2の上記上縁円弧部6は、トレー1に対して下斜め左方向に設けられている。
【0049】
上記第1の凹部2は、上記トレー1の長辺に沿う第2列の左側に設けられ、上記第1の凹部2の上記上縁円弧部6は、上斜め左方向に設けられている。即ち、上記第1の凹部2の底部3の中心Qを通る中心線R3に対して、左斜め上方にθ(=約60度)の角度の範囲で、上記上縁円弧部6が位置するように構成されている。また、上記中心線R3は、水平線L3から(第1の凹部2の中心Qを通る水平線L3)(中心Qから時計方向に)、上斜め左方向に角度θ”(=約40度)傾斜している。
【0050】
上記十字状の底部3は、4つの各腕部3a,3a,3a,3aの内、上記上縁円弧部6の方向を向いた腕部3aが、上記中心線R3を中心とする方向になるように構成されている。従って、上記第1の凹部2の上記上縁円弧部6は、トレー1に対して上斜め左方向に設けられている。
【0051】
また、上記第2の凹部2と上記第1の凹部2の上記各底部3の中央には、上記上縁円弧部6,6の方向を示す矢印8,8が刻印されている。上記第2の凹部2の上記矢印8はその先端部8aが中心線R2の方向(下斜め左方向)を向いており、上記上縁円弧部6の方向(メロンM2の傾斜方向)を指し示している。上記第1の凹部2の上記矢印8はその先端部8aが中心線R3の方向(上斜め左方向)を向いており、上記上縁円弧部6の方向(メロンM2の傾斜方向)を指し示している。
【0052】
上記トレー1の外周部は水平の水平部22が周囲に亘って長方形状(方形)に設けられており、上記第3の凹部2の左側は、補強のため浅い凹所9(t=10mm)が形成され、上記第3の凹部2の右側は、補強のため浅い凹所10(t=10mm)が形成され、かつ左右方向に補強用凸部11,12が上方向きで突出されている。
【0053】
上記第2の凹部2と上記トレー1の右側下のコーナ部には三角状の凹所13が形成され、上記第1の凹部2と上記トレー1の左側下のコーナ部には三角状の凹所14が形成されている。
【0054】
また、第1の凹部2と第2の凹部2の対向部には、外周側(第2列側)から凹所15、中央部の補強用凸部16、補強用の凹所17、補強用の凹所18、上記凹所18の中央に縦方向の凸部19、さらに第1~第3の凹部2,2,2の中央に補強用の凸部20が形成されている。
【0055】
上記第3の凹部2の上縁5の長辺側(第1列側)の2か所には、補強用の溝部21a,21bが形成されることにより、上縁5が分断されており、第2の凹部2の上縁5の上記中心線R2に沿う2か所には、補強用の溝部21c,21dが形成されることにより、上記上縁5が分断されており、上記第1の凹部2の上縁5の上記中心線R3に沿う2か所には、補強用の溝部21e,21fが設けられることにより、上記上縁5が分断されている。
【0056】
このように、上記パルプモウルド製青果物収納トレー1は方形(例えば長方形)であって、上記凹部が第1~第3の凹部2,2,2の3個設けられており、上記第1の凹部2及び上記第2の凹部2からなる2個の凹部は上記トレー1の長辺に沿って並列され、上記第3の凹部2は、上記並列された2個の上記第1、第2の凹部2,2の対向部の隣接位置に設けられ、上記第3の凹部2の上記上縁円弧部6は、上記長辺に沿った右側に設けられ、上記第2の凹部2の上記上縁円弧部6は、下斜め左方向に設けられ、上記第1の凹部2の上記上縁円弧部6は、上斜め左方向に設けられている。
【0057】
本発明は上述のように構成されているので、以下、メロンM1,M2を収納する動作について説明する。
【0058】
先ず、略球形のメロンM1を、本発明に係るトレー1に収納する場合を説明する。
【0059】
上記3個のメロンM1は、図3(b)に示すように、各々の極半径P1を垂直状態に立てた状態(メロンM1の上半部23aが垂直に立った状態)で、収納する(各メロンM1の蔕は頂上部)。即ち、3個のメロンM1の各底部(下半部23b)の球面状部分を、上記第1~第3の凹部2,2,2に収納する。すると、上記3個のメロンM1の各下半部23bの球面状部分は、上記内側面4及び上記突出部4a, 4a,4a,4aの上面の1つの球面状凹部及び底部3の水平部に沿って支持され、従って、略球形のメロンM1,M1,M1の下半部23bの球面状部分が、上記第1~第3の凹部2,2,2に支持される。
【0060】
そして、この状態において、上記第1~第3の凹部2,2,2の上記上縁5,5,5は、上記各上縁円弧部6,6,6を除く範囲(360度中の約300度の範囲)で、上記メロンM1,M1,M1の下半部近傍の外周に接触するため、上記3個のメロンM1,M1,M1は、上記第1~第3の凹部2,2,2において、安定的に保持することができる。
【0061】
即ち、上記メロンM1の下半部23bの半球状部分は、上記凹部2,2,2の半球状の内側面4及び4つの突出部4a,4a,4a,4aにて保持されると共に、上縁5は約300度の範囲において、上記メロンM1の下半部近傍の外周に接するので、上記3個のメロンを安定して支持することができる。
【0062】
尚、上記上縁円弧部6の範囲(360度中の約60度の範囲)及び傾斜面6aは、上記メロンM1の外周に接していない範囲が存在するが、360度中の約60度の範囲であるし、上記メロンM2の下半部23bの半球状部分は、360度の全周に亘り、内側面4及び突出部4a,4a,4a, 4aにて支持されているので、上記メロンM1を安定して支持することができる。このように3個の略球形のメロンM1を安定して支持することができるものである。また、略球形のメロンM1,M1,M1を収納した状態において、各メロンは相互に当接しないので、互いに傷つくことなく安定して収納支持することができる。
【0063】
次に、略球形のメロンM1とは形状の異なる青果物、即ち、略扁長楕円形状のメロンM2を収納する場合を説明する。3個のメロンM2は、図5(b)に示すように、各々の極半径P2を各上縁円弧部6,6,6側に傾斜させた状態で、収納する(各メロンM2の蔕は上部側に存在する)。即ち、底部3の中央に表示された矢印8の先端部8aが示す方向に、極半径P2を傾斜させて、上記各第1~第3の凹部2,2,2に収納する(図5(a)、図6参照)。
【0064】
即ち、第3の凹部2には、矢印8の先端8aが右側方向を向いているので、上記メロンM2の極半径P2を右側方向に傾斜させて収納し、上記上縁円弧部6及び傾斜面6aには、上記メロンM2の上半部7aの下面が接触し、第2の凹部2には、矢印8の先端8aが下斜め左方向を向いているので、上記メロンM2の極半径P2を下斜め左方向に傾斜させて収納し、上記上縁円弧部6及び傾斜面6aには、上記メロンM2の上半部7aの下面が接触し、第1の凹部2には、矢印8の先端部8aが上斜め左方向を向いているので、上記メロンM2の極半径P2を上斜め左方向に傾斜させて収納し、上記上縁円弧部6及び傾斜面6aには、上記メロンM2の上半部7aの下面が接触する(図5(a)、図6参照)。
【0065】
上記3個のメロンM2の極半径P2の傾斜角度は、各傾斜面6a,6a,6aと略同様である。同時に、3個のメロンM2の下半部7bが、上記第1~第3の凹部2,2,2の上記上縁円弧部6に対向する十字状の底部3の腕部3aの突出部4a、及び他の突出部4a,4a,4aと各突出部4a,4a,4a,4a及び上面部4c,4c,4c,4cから上側の内側面4、及び、十字状の底部3の水平面に各々接触した状態となる。
【0066】
3個の上記メロンM2は、略扁長楕円体なので、図5(b)をみると、十字状の底部3の上記上縁円弧部6の方向の腕部3aの面3cに対応する空間Sに隙間ができるが、上記上縁5と上記上縁円弧部6は上記メロンM2の外周面に接しており、しかも、上記傾斜面6aはメロンM2の上半部7aの下面側面に密着しており、さらに、メロンM2の下半部(下部)7bは、底部3の水平面と、4つの突出部4a,4a,4a,4aと内側面4の半球面状の面により支持されているので、各第1~第3の凹部2,2,2にて、3個のメロンM2,M2,M2を確実に収納支持することができる。即ち、3個のメロンM2,M2,M2の中間部の外周は、上記各上縁5と上記各上縁円弧部6に各々接しているので、傾斜した3個のメロンM2,M2,M2を安定して支持することができる。
【0067】
しかも3個のメロンM2,M2,M2の傾斜方向が各々異なるため、(第3の凹部2は右側、第2の凹部2は下斜め左方向、第1の凹部2は上斜め左方向)、各メロンM2,M2,M2が相互に干渉することなく、相互に接することもなく、安定して収納支持することができる。
【0068】
尚、本発明に係るパルプモウルド製青果物収納トレー1は、通常は直方体のダンボール内の底にセットされ、上記青果物M1又は青果物M2が、ダンボール内のトレー1上に収納されるものである。
【0069】
以上のように本発明によれば、1つの凹部2に、略球形の青果物(例えばメロンM1)を収納することができ、同一の凹部2に、略扁長楕円体の青果物(例えばメロンM2)を傾斜して収納することができ、このように形状の異なる青果物を1つの凹部に収納可能であり、非常に便宜なパルプモウルド製青果物収納トレー1を実現することができる。
【0070】
また、略扁長楕円体の青果物(例えばメロンM2)を収納する際、上縁円弧部6の方向が底部3に刻印(矢印8)されているので、上記青果物の傾斜方向がすぐにわかり、略扁長楕円体の青果物の傾斜方向がすぐにわかるという利点がある。
【0071】
また、上記上縁円弧部6は、凹部2の中心から約60度(θ)の範囲で形成されており、それに向かう傾斜面6aが形成されているので、略扁長楕円体の青果物(例えばメロンM2)を安定して上記凹部2に収納し得るという効果がある。しかも、同一の凹部2に略球形状(略球形)の青果物M1も安定して収納し得るため、形状の異なる青果物を1つの凹部において安定して収納可能であるという効果がある。
【0072】
また、1つの方形のトレー1に、略球形の3つの青果物M1又は略扁長楕円体の3つの青果物M2を各々収納することができ、例えば3つの略扁長楕円体の青果物を収納する際は、傾斜方向が第1~第3の凹部2,2,2毎に異なるため、略扁長楕円体の3つの青果物を互いに接することなく、傷付くことなく、きれいに収納支持することができる。
【0073】
また、第1~第3の凹部2,2,2において、底部3に、上縁円弧部6の方向を示す矢印8が各々刻印されているものであるから、略扁長楕円体の3つの青果物を、第1の凹部2から第3の凹部2に収納する際、青果物の傾斜方向が分り易いという利点がある。尚、上記凹部は1個、2個、4個又は5個以上でも良い。
【産業上の利用可能性】
【0074】
本発明に係るパルプモウルド製青果物収納トレーによれば、略球形の青果物と、略扁長楕円体の青果物(形状の異なる青果物)を1つの凹部に収納することができ、例えばメロン等のトレーとして広く利用が期待される。
【符号の説明】
【0075】
1 パルプモウルド製青果物収納トレー(トレー)
第1の凹部
第2の凹部
第3の凹部
3 底部
4 内側面
5 上縁
6 上縁円弧部
6a 傾斜面
7a 外周面
7b 下半部(下部)
8 矢印
23b 下半部(下部)
M1,M2 メロン(青果物)
P1,P2 極半径
Q 中心
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8