(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-01-31
(45)【発行日】2023-02-08
(54)【発明の名称】医薬製剤投薬のための密度流量計
(51)【国際特許分類】
A61M 5/142 20060101AFI20230201BHJP
G16H 20/10 20180101ALI20230201BHJP
【FI】
A61M5/142 530
G16H20/10
(21)【出願番号】P 2022506226
(86)(22)【出願日】2020-07-29
(86)【国際出願番号】 EP2020071428
(87)【国際公開番号】W WO2021018978
(87)【国際公開日】2021-02-04
【審査請求日】2022-03-25
(32)【優先日】2019-07-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】519135460
【氏名又は名称】キャタレント・ユーケー・スウィンドン・ザイディス・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】デイヴィッド・ワディントン
(72)【発明者】
【氏名】マシュー・ウォート
(72)【発明者】
【氏名】キャサリン・アーニール
【審査官】佐藤 秀之
(56)【参考文献】
【文献】特表2019-505451(JP,A)
【文献】特表2003-528306(JP,A)
【文献】特開2013-123702(JP,A)
【文献】特表平06-503055(JP,A)
【文献】米国特許第05996650(US,A)
【文献】米国特許出願公開第2005/0270899(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65B 3/00
A61J 1/00
A61M 5/00
G16H 20/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
医薬製剤を投薬するシステムであって、
医薬製剤を貯蔵する容器と、
前記容器に流体連結された密度流量計、ならびに前記密度流量計および前記容器に流体連結された再循環ポンプ、を備える再循環システムであって、前記再循環ポンプが、前記医薬製剤を前記容器から前記密度流量計を通って
流すように構成され、前記密度流量計が、前記医薬製剤の密度を測定するように構成される、再循環システムと、
前記再循環システムに流体連結され、前記医薬製剤を前記再循環システムから予備成形型内へと
流すように構成された、少なくとも1つのポンプと、
を備え、
前記少なくとも1つのポンプが、前記密度流量計によって測定される前記医薬製剤の前記密度が所定の閾値を下回ったときに、前記再循環システムからの前記医薬製剤の
流れを停止するように構成される、
システム。
【請求項2】
コンピュータをさらに備え、前記コンピュータ、前記密度流量計、および前記少なくとも1つのポンプが、互いに通信可能に接続されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記密度流量計が、前記医薬製剤の前記密度を含むデータを前記コンピュータに送信するように構成される、請求項2に記載のシステム。
【請求項4】
前記コンピュータが、前記ポンプの起動状態を変更するように、1つ以上の命令または制御信号を前記少なくとも1つのポンプに送信するように構成される、請求項2または3に記載のシステム。
【請求項5】
前記起動状態が、オン構成およびオフ構成を含む、請求項4に記載のシステム。
【請求項6】
前記医薬製剤の前記密
度が所定の閾値を下回ったときに、前記コンピュータから前記少なくとも1つのポンプに送信される前記1つ以上の命令または制御信号が、前記少なくとも1つのポンプをオフにする信号を含む、請求項4または5に記載のシステム。
【請求項7】
前記コンピュータ、前記密度流量計、および前記少なくとも1つのポンプが、互いに無線通信可能に接続されている、請求項2から6のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項8】
前記再循環ポンプが、前記容器から前記密度流量計を通り、前記再循環ポンプを通って前記容器に戻るように、前記医薬製剤を
流すように構成される、請求項1から7のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項9】
前記再循環システムが、マニホールドをさらに備える、請求項1から8のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項10】
前記再循環ポンプが、前記容器から前記密度流量計を通り、前記再循環ポンプを通り、前記マニホールドを通って前記容器に戻るように、前記医薬製剤を
流すように構成される、請求項9に記載のシステム。
【請求項11】
前記少なくとも1つのポンプが、前記医薬製剤を前記マニホールドから予備成形型内へと
流すように構成される、請求項9または10に記載のシステム。
【請求項12】
前記容器が、攪拌機を備える、請求項1から11のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項13】
前記医薬製剤が、少なくとも1つの界面活性剤を含む、請求項1から12のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項14】
前記界面活性剤が、ラウリル硫酸ナトリウムおよびドキュセートナトリウムのうちの少なくとも1つを含む、請求項13に記載のシステム。
【請求項15】
再循環システムから予備成形型内へと医薬製剤を投薬する方法であって、
医薬製剤を容器に貯蔵するステップと、
前記医薬製剤を、前記容器から、前記医薬製剤の密度を測定するように構成された密度流量計を通って
流すステップと、
前記医薬製剤を
前記再循環システムから予備成形型内へと投薬するステップと、
前記密度流量計によって測定される前記医薬製剤の前記密度が所定の閾値を下回ったときに、前記医薬製剤の予備成形型内への前記投薬を停止するステップと、
を含む、方法。
【請求項16】
前記密度流量計が、前記医薬製剤の前記密度を含むデータをコンピュータに送信するように構成される、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記コンピュータが、前記医薬製剤の前記密度を含む前記データが所定の閾値を下回ったときに、前記医薬製剤の前記投薬を停止する1つ以上の命令または制御信号を送信するように構成される、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記コンピュータが、前記医薬製剤の投薬を停止する前記1つ以上の命令または制御信号を、少なくとも1つのポンプに送信する、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記コンピュータ、前記密度流量計、および前記少なくとも1つのポンプが、互いに無線通信可能に接続されている、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記医薬製剤の一部分を、前記密度流量計を通過した後に前記容器に再循環させるステップをさらに含む、請求項15から19のいずれか一項に記載の方法。
【請求項21】
前記医薬製剤が、少なくとも1つの界面活性剤を含む、請求項15から20のいずれか一項に記載の方法。
【請求項22】
前記界面活性剤が、ラウリル硫酸ナトリウムおよびドキュセートナトリウムのうちの少なくとも1つを含む、請求項21に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本願は、参照によりその内容全体が本明細書に組み込まれる、2019年7月31日出願の米国仮特許出願第62/881,145号の利得を請求する。
【0002】
本開示は、投薬される医薬製剤への空気の侵入のリスクを低減させるシステムおよび方法に関する。本開示は、より詳細には、投薬される医薬製剤への空気の侵入のリスクを低減させるために密度流量計を用いるシステムおよび方法に関する。
【背景技術】
【0003】
医薬剤形を形成する典型的な手順では、医薬製剤(すなわち、懸濁液または溶液)が貯蔵容器から引き出され、そのような製剤の一定分量が予備成形ブリスターパック/型の中へと配置される。医薬製剤の液位が貯蔵容器の底に達すると、バッチが完了し、投薬プロセスは、投薬された最後の単位に空気が侵入することを防ぐために停止されなければならない。各バッチのこの終了点は通常、オペレータによって視覚的に評価される。オペレータがこの終了点を見逃すと、再循環ポンプによって空気が貯蔵容器の再循環システムに引き込まれることがあり、その後、空気が混入した製剤が予備成形ブリスターパック/型へと投薬される。最終剤形への空気の侵入によって、結果的に重量不足または効力不足の投薬単位になり得る。いくつかの例では、オペレータによる終了点の決定が早過ぎることによって、結果的に製品の損失、したがって収量の低下になり得る。オペレータによる終了点の決定は、投薬プロセスに変動を生じさせ、したがって、投薬終了における製品全体の品質の保証をより低下させる可能性がある。
【0004】
なぜオペレータが各バッチの終了点を視覚的に正確に評価することができないことがあるのかについては多くの理由がある。例えば、貯蔵容器のサイズが原因でオペレータが貯蔵容器の底を見ることが難しいことがよくある。加えて、貯蔵容器のなかには、オペレータがその中を見るための小さなサイトグラス付きで設計されるものもある。さらに、サイトグラスが結露で覆われることがある、および/または、貯蔵容器の底の眺めが貯蔵容器内の攪拌機構によりたびたび遮られる。したがって、これらの問題点が組み合わさって、オペレータによるバッチ終了点の視覚的な決定を妨げ、それによって投薬プロセス中の空気の侵入のリスクがより高くなり得る。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
出願人らは、発泡が起こりやすい医薬製剤の投薬時における空気の侵入のリスクを低減させるために密度流量計を用いるシステムおよび方法を発見した。背景技術で説明したように、従来の投薬プロセスでは、医薬貯蔵容器内の混合物液位の視覚的な評価、ならびに投薬プロセスについての終了点の評価が必要である。これは、結果的に、最終剤形への空気の侵入になる終了点の見逃し、または、製品の収量を下げることになる終了点の時期尚早の決定につながることがある。
【0007】
背景技術で論じた問題についての可能な修正として、様々な他の解決策が確認された。それらとしては、調合の変更(しかし、一般的に、開発過程において調合を変更するのは遅すぎる)、貯蔵容器内における保持状態の最適化(攪拌速度、温度は開発中にすべて評価されるが、攪拌速度は、ときには懸濁液を均一に保つために発泡レベルを促進する可能性がある速度に保たれる必要がある)、異なる貯蔵容器の使用(オペレータが残っている製剤量の評価をより簡単にできるもの、しかし、これは依然として、問題の手動による入力/オペレータの感覚的な部分を排除しない)が挙げられる。出願人らは、これらの問題に対する最良の解決策は、貯蔵容器からの医薬製剤の密度があるレベルよりも低下したら投薬を自動的に停止することによって投薬される医薬製品への空気の侵入を防ぐために密度流量計を用いるシステムであることを決定した。したがって、投薬プロセス中の密度流量計の使用によって、オペレータによるバッチの終了点の視覚的な決定を省くことができる。
【0008】
密度流量計の典型的な使用は、コリオリ効果を測定することによって管内を移動する流体の工程中の密度を監視することである。この工程中測定は、典型的には、流体の質量流量を制御することに使用される。密度流量計の他の典型的な使用は、流体の濃度(単位体積当たりに含まれる溶質の量)の測定を支援することである。これらの典型的な工程中での使用とは対照的に、出願人らのシステムにおいて密度流量計は、最終製品の均一性を管理することに使用され得る。
【課題を解決するための手段】
【0009】
いくつかの実施形態では、医薬製剤を投薬するシステムは、医薬製剤を貯蔵する容器と、容器に流体連結された密度流量計、ならびに密度流量計および容器に流体連結された再循環ポンプを備える再循環システムであって、再循環ポンプが、医薬製剤を容器から密度流量計を通って変位させるように構成され、密度流量計が、医薬製剤の密度を測定するように構成される、再循環システムと、再循環システムに流体連結され、医薬製剤を再循環システムから予備成形型の中へと変位させるように構成された、少なくとも1つのポンプと、を含み、少なくとも1つのポンプが、密度流量計によって測定される医薬製剤の密度が所定の閾値を下回ったときに再循環システムからの医薬製剤の変位を停止するように構成される。いくつかの実施形態では、システムは、コンピュータを備え、コンピュータ、密度流量計および少なくとも1つのポンプが、互いに通信可能に接続されている。いくつかの実施形態では、密度流量計が、医薬製剤の密度を含むデータをコンピュータに送信するように構成される。いくつかの実施形態では、コンピュータが、ポンプの起動状態を変更するように、1つ以上の命令または制御信号を少なくとも1つのポンプに送信するように構成される。いくつかの実施形態では、起動状態が、オン構成およびオフ構成を含む。いくつかの実施形態では、医薬製剤の密度を含むデータが所定の閾値を下回ったときに、コンピュータから少なくとも1つのポンプに送信される1つ以上の命令または制御信号が、少なくとも1つのポンプをオフにする信号を含む。いくつかの実施形態では、コンピュータ、密度流量計および少なくとも1つのポンプが、互いに無線通信可能に接続されている。いくつかの実施形態では、再循環ポンプが、容器から密度流量計を通り、再循環ポンプを通って容器に戻るように、医薬製剤を変位させるように構成される。いくつかの実施形態では、再循環システムが、マニホールドをさらに備える。いくつかの実施形態では、再循環ポンプが、容器から密度流量計を通り、再循環ポンプを通り、マニホールドを通って容器に戻るように、医薬製剤を変位させるように構成される。いくつかの実施形態では、少なくとも1つのポンプが、マニホールドから予備成形型の中へと医薬製剤を変位させるように構成される。いくつかの実施形態では、容器が、攪拌機を備える。いくつかの実施形態では、医薬製剤が、ラウリル硫酸ナトリウムおよびドキュセートナトリウムなどの少なくとも1つの界面活性剤を含む。
【0010】
いくつかの実施形態では、医薬製剤を投薬する方法は、医薬製剤を容器に貯蔵するステップと、医薬製剤を、容器から、医薬製剤の密度を測定するように構成された密度流量計を通って変位させるステップと、医薬製剤を予備成形型の中へと投薬するステップと、密度流量計によって測定される医薬製剤の密度が所定の閾値を下回ったときに、医薬製剤の予備成形型の中への投薬を停止するステップと、を含む。いくつかの実施形態では、密度流量計が、医薬製剤の密度を含むデータをコンピュータに送信するように構成される。いくつかの実施形態では、コンピュータが、医薬製剤の密度を含むデータが所定の閾値を下回ったときに、医薬製剤の投薬を停止する1つ以上の命令または制御信号を送信するように構成される。いくつかの実施形態では、コンピュータが、医薬製剤の投薬を停止する1つ以上の命令または制御信号を、少なくとも1つのポンプに送信する。いくつかの実施形態では、コンピュータ、密度流量計、および少なくとも1つのポンプが、互いに無線通信可能に接続されている。いくつかの実施形態では、方法は、医薬製剤の一部分を、密度流量計を通過した後に容器に再循環させるステップを含む。いくつかの実施形態では、医薬製剤が、ラウリル硫酸ナトリウムおよびドキュセートナトリウムなどの少なくとも1つの界面活性剤を含む。
【0011】
さらなる利点は、以下の詳細な記述から、当業者に容易に明らかになるであろう。本明細書の例および記述は、本質的に例示的であって、限定的ではないとみなされるべきである。
【0012】
本出願で参照されている、特許文献、科学論文およびデータベースを含むすべての刊行物は、それぞれ個々の刊行物が参照により個々に組み込まれるのと同程度に、それらの全体がすべての目的に対して参照により組み込まれる。本明細書に記載された定義が、参照により本明細書に組み込まれた特許、出願、公開された出願および他の刊行物に記載された定義と反する、または矛盾する場合、本明細書に記載された定義が、参照により本明細書に組み込まれた定義に優先する。
【0013】
次に、単なる一例として添付の図面を参照して本発明について述べる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】いくつかの実施形態による、医薬製剤投薬中の空気の侵入を減少させるシステムの図である。
【
図2】いくつかの実施形態による、医薬製剤中の空気の侵入を減少させるシステムの図である。
【
図3】いくつかの実施形態によるコンピュータの図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
出願人らは、医薬製剤の投薬時に空気が侵入するリスクを低減させるために密度流量計を用いるシステムおよび方法を発見した。詳細には、出願人らのシステムは、密度流量計を用いて、貯蔵容器からの医薬製剤の密度があるレベルよりも低下したときに投薬を自動的に停止することによって、投薬される医薬製剤への空気の侵入を防ぐ。したがって、投薬プロセス中の密度流量計の使用によって、オペレータによるバッチの終了点の視覚的な決定を省くことができる。
【0016】
本明細書で開示されるシステムおよび方法は、剤形の製造に使用される医薬製剤の密度を測定することができる。医薬製剤は、少なくとも、マトリックス形成剤、構造形成剤、溶媒、APIおよび/または他の薬学的に許容される薬剤または賦形剤を含む様々な成分を含むことができる。マトリックス形成剤は、取り扱い中の強度および弾性を与える、剤形のネットワーク構造を提供することができる。好適なマトリックス形成剤としては、ゼラチン、プルラン、デンプンまたはそれらの組合せが挙げられるが、これらに限定されない。追加のマトリックス形成剤は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる、特許文献1に見出すことができる。ゼラチンは、魚ゼラチン、ウシゼラチン、ブタゼラチンまたはそれらの組合せであり得る。ゼラチンの各々は、様々なゲル化特徴を有することができる。ゼラチン溶液がゲルを形成する程度は、ゼラチンの濃度およびゼラチン溶液の温度に依存し得る。ウシゼラチンの溶液は、18℃未満の温度でゲル化する傾向があり、したがって、ゲル化ゼラチンとみなすことができる。対照的に、魚ゼラチンは、5℃の低い温度で溶液のままであることがあり、したがって、非ゲル化ゼラチンとみなすことができる。いくつかの実施形態では、ゼラチンは、低エンドトキシンゼラチン、例えば、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる仮出願第62/640,394号で開示する方法に従って供給されるゼラチンまたは産生されるゼラチンであってもよい。いくつかの実施形態では、魚ゼラチンは、高分子量魚ゼラチン、標準分子量魚ゼラチンまたはそれらの組合せであり得る。高分子量魚ゼラチンは、分子量分布の50%超が30,000ダルトンを超える魚ゼラチンとして定義される。標準分子量魚ゼラチンは、分子量分布の50%超が30,000ダルトン未満である魚ゼラチンとして定義される。
【0017】
医薬製剤に好適な構造形成剤としては、これらに限定されないが、マンニトール、デキストロース、ラクトース、ガラクトース、シクロデキストリンまたはそれらの組合せを含む糖が挙げられ得る。構造形成剤は、結晶化して構造的頑健性を凍結乾燥製品に与えるので、充填剤として凍結乾燥において使用することができる。医薬製剤中の溶媒は、水(例えば、精製水)とすることができる。
【0018】
医薬製剤は、少なくとも1つの活性医薬成分を含む。活性成分は、ヒトまたは獣医学的疾患の処置のための活性医薬成分、生物製剤またはワクチン抗原であり得る。活性成分は、剤形を使用して送達する成分である。活性成分は、抗細菌剤、抗真菌剤、抗原虫剤、抗ウイルス剤、陣痛誘発剤、殺精子剤、プロスタグランジン、ステロイドおよび殺菌剤、タンパク質/ペプチド、ならびに、ワクチン抗原の1つ以上であり得る。活性医薬成分は、単一の化学物質などの単一の活性医薬成分であり得るか、またはいくつかの活性医薬成分の混合物であり得る。活性医薬成分は、多くのカテゴリーの活性医薬成分のいずれかであり得る。活性医薬成分は、これらに限定されないが、アシクロビル、フルコナゾール、プロゲステロンおよびその誘導体、ノノキシノール-9、テルブタリン、リドカイン、テストステロンおよび誘導体、ジノプロストン、乳酸菌、エストロゲンおよび誘導体、ナフタレン2-スルホネート、ブトコナゾール、硝酸/リン酸クリンダマイシン、硫酸ネオマイシン、硫酸ポリミキシン、ナイスタチン、クロトリマゾール、硫酸デキストリン、グリミノックス、硝酸ミコナゾール、塩化ベンザルコニウム、ラウリル硫酸ナトリウム、テノホビル、インスリン、カルシトニン、ダナゾール、アクリフラビン、酢酸リュープロレリン、メトロニダゾール、塩酸ベンジダミン、クロラムフェニコール、オキシブチニン、エチニルエストラジオール、プロスタグランジン、インスリン、カルシトニン、ならびに、それらの組合せからなる群から選択され得る。活性医薬成分はまた、B型肝炎、HIV、HPV、クラミジア、淋菌の感染の処置のためのものなどのワクチン抗原であり得る。
【0019】
活性成分は、前述の活性成分のいずれかの塩、エステル、水和物、溶媒和物、および誘導体を含むことができる。好適な誘導体は、活性レベルがより低いかより高い可能性はあるが、活性成分と同様の活性を有する当業者に既知の誘導体である。
【0020】
医薬製剤のための追加の薬学的に許容される薬剤または賦形剤としては、マンニトール、デキストロース、およびラクトースなどの糖、塩化ナトリウムおよびケイ酸アルミニウムなどの無機塩、哺乳動物起源のゼラチン、魚ゼラチン、変性デンプン、保存剤、抗酸化剤、界面活性剤、キレート剤、粘度増強剤、着色剤、香味剤、pH調整剤、甘味料、矯味剤、ならびにそれらの組合せが挙げられるが、これらに限定されない。好適な着色剤としては、赤色酸化鉄、黒色酸化鉄および黄酸化鉄、ならびにFD&C青No.2およびFD&C赤No.40などのFD&C染料、ならびにそれらの組合せが挙げられ得る。適切な香味剤としては、ミント、ラズベリー、甘草、オレンジ、レモン、グレープフルーツ、キャラメル、バニラ、チェリーおよびグレープ香料、ならびにそれらの組合せが挙げられ得る。好適なpH調節剤には、クエン酸、酒石酸、リン酸、塩酸、マレイン酸、水酸化ナトリウム(例えば、3% w/w水酸化ナトリウム溶液)およびそれらの組合せが挙げられ得る。好適な甘味料としては、スクラロース、アスパルテーム、アセスルファムKおよびタウマチン、ならびにそれらの組合せが挙げられ得る。好適な矯味剤としては、様々な香味剤およびそれらの組合せが挙げられ得る。
【0021】
いくつかの実施形態では、賦形剤を含む医薬製剤は、医薬製剤の混合物に泡のヘッドを作り出す、および/または医薬製剤の混合プロセスにわたって泡を生じさせることがある。加えて、製剤が攪拌されるときに発泡を生じさせることがある賦形剤がいくつかある(例えば、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(「HPMC」)およびポリビニルピロリドン(「PVP」))。医薬製剤の発泡を生じさせる最も一般的な成分は界面活性剤であり、発泡の程度は界面活性剤の種類に応じて決まり得る。アルキル硫酸ナトリウム(例えば、ラウリル硫酸ナトリウム)などのアニオン性界面活性剤は、発泡を生じさせ得る。ソルビタンエステルおよびポリソルベートなどの非イオン性界面活性剤は、アニオン性界面活性剤よりも泡が少ないことがあるが、それらの泡は非常に安定しており除去が難しいことがある。カチオン性界面活性剤(例えば、四級アンモニウム界面活性剤およびピリジニウムカチオン性界面活性剤)も発泡し得るが、これらの泡は安定性が低く除去しやすい。
【0022】
投薬プロセスの間、医薬製剤は予備成形型の中へと投薬される。本明細書で使用される、「投薬される」は、所定の一定分量の溶液または懸濁液の配置を指す。本明細書で使用される場合、「予備成形型」とは、水溶液または懸濁液が配置され、その中で次に冷凍乾燥され得る、任意の好適なコンテナまたは区画を指す。本開示のある特定の実施形態では、予備成形型は、1つ以上のブリスターポケットを有するブリスターパックである。約125~1500mgまたは約500mgの湿式充填投薬重量の量の医薬製剤の所定の一定分量を計量して、予備成形型に入れてもよい。最小単位サイズ(湿式充填重量、125mg)は、単位用量に比例する溶液中の活性医薬成分(「API」)の量を最小にするように、そしてその表面積および最終剤形における酸化分解の可能性を最小にするように選択され得る。
【0023】
投薬の前に、医薬製剤が、貯蔵容器に貯蔵され得る。いくつかの実施形態では、貯蔵容器は、中間貯蔵容器とすることができる。貯蔵容器は、その中の医薬製剤を連続的に混ぜる攪拌機を有することができる。いくつかの実施形態では、攪拌機は、
図2に示されるようなゲート攪拌機(gate stirrer)とすることができる。いくつかの実施形態では、貯蔵容器は、泡が存在しても医薬製剤を脱泡する能力はない(すなわち、温度やより低い攪拌速度で泡を収拾することができない場合、真空引きが他の唯一の選択肢である)。
【0024】
図2は、医薬製剤中の空気の侵入を減少させるシステムを示す。
図2に示されるように、貯蔵容器は、再循環システムに連結され得る。再循環システムは、貯蔵容器に流体連結される再循環ポンプを含むことができる。再循環ポンプは、製剤が移動し続けるように医薬製剤を再循環システム内で循環させることができる。再循環システムはさらに、再循環ポンプおよび貯蔵容器に流体連結される少なくとも1つのマニホールドを含むことができる。少なくとも1つのマニホールドは、個々の予備成形型に入れるためのいくつかの異なる投薬ラインに医薬製剤を分ける分岐装置として使用され得る。したがって、医薬製剤は、貯蔵容器から再循環ポンプを通り、マニホールドを通ってまた貯蔵容器に戻ることができる。
【0025】
再循環システムは、
図2に示されるように、密度流量計をさらに含むことができる。いくつかの実施形態では、再循環ポンプは、医薬製剤を貯蔵容器から密度流量計を通って変位させる。いくつかの実施形態では、再循環ポンプは、貯蔵容器から密度流量計を通じ、少なくとも1つのマニホールドを通じて、医薬製剤を引き出すことができる。いくつかの実施形態では、密度流量計は、貯蔵容器と再循環ポンプとの間に流体連結される。いくつかの実施形態では、密度流量計は、貯蔵容器とマニホールドとの間に流体連結される。いくつかの実施形態では、再循環ポンプは、貯蔵容器から密度流量計を通じ、再循環ポンプを通じ、マニホールドを通じて貯蔵容器に、医薬製剤を引き込むことができる。
【0026】
貯蔵容器内の製剤の液位が低すぎる場合、空気が再循環ポンプによって貯蔵容器の再循環システムに引き込まれることがある。その後、この空気は医薬製剤とともに予備成形ブリスターパック/型に投薬され、その結果、重量不足および/または効力不足の剤形になる。いくつかの実施形態では、再循環ポンプは、蠕動ポンプである。
【0027】
従来の投薬プロセスでは、オペレータが貯蔵容器内の医薬製剤の液位を監視する。医薬製剤の液位が製剤戻りポート(容器内に残る投薬されるべき製剤の液位を決定することに使用される貯蔵容器内のポート)の高さよりも低下したら、オペレータは液位をより詳しく監視する。医薬製剤の液位が容器内のあるポイント(例えば、容器の内壁の高さまたは容器の熱電対ハウジングの基部または製剤戻りポート自体の高さ)に達したら、オペレータは、バッチ投薬重量の終わりを得ることができ、そのバッチの投薬プロセスを停止することができる。投薬後の容器内に残る医薬製剤は、廃棄され得る。
【0028】
上述のように、オペレータにバッチの終了を見逃させる、またはバッチを時期尚早に終了させるおそれのある様々な問題がある。例えば、医薬製剤は、溶解時に空気混入および/または泡を生じさせるAPI(例えば、リルゾール)を含むことがあり、それによって貯蔵容器の底のオペレータの視野が遮られることにより投薬バッチの終了が不明瞭になる。APIは、リルゾールに限定されない。例えば、医薬製剤が少なくとも1つのAPIおよびSLSのような界面活性剤を含む場合、界面活性剤が製剤の表面張力を減少させることができ、それによって製剤が攪拌されるときに結果的に泡になる気泡が閉じ込められる傾向がある。加えて、医薬製剤は、空気混入および/または泡を生じさせる賦形剤(例えば、ドキュセートナトリウム)を含むことがあり、それによって貯蔵容器の底のオペレータの視野が遮られることにより投薬バッチの終了が不明瞭になる。例えば、医薬製剤は、投薬プロセスの間に過度の泡の発生を引き起こすことがあるラウリル硫酸ナトリウム(「SLS」)および/またはドキュセートナトリウムを含むことがある。さらに、医薬製剤の均一性を維持するのに必要なプロセスのセットポイントが、バッチの終了に向けて空気混入および/または泡を生じさせることがある。
【0029】
図1は、いくつかの実施形態による、医薬製剤投薬プロセスの間の空気の侵入を減少させるシステム100を示す。
図1に示されるように、システム100は、密度流量計102、医薬製剤密度評価システム104、および少なくとも1つの容積型ポンプ106を含むことができる。これらの構成要素のそれぞれは、互いにネットワーク通信を介して電子情報を送受信することができるように互いに通信可能に接続され得る。
図1の例に示されるように、評価システム104は、密度流量計102と少なくとも1つの容積型ポンプ106の両方に通信可能に接続され得る。加えて、密度流量計は、貯蔵容器に流体連結され得る。したがって、医薬製剤は、貯蔵容器から引き出されると、密度流量計を通って流れ、そこで密度が測定され得る。いくつかの実施形態では、密度流量計は、
図2に示されるような再循環システムの一部とすることができる。例えば、密度流量計は、貯蔵容器と再循環ポンプとの間に流体連結され得る。
【0030】
いくつかの実施形態では、密度流量計102は、投薬の一貫した科学的な終了点をもたらし、最終剤形への空気の侵入を防ぐことに使用され得る。いくつかの実施形態では、密度流量計は、コリオリ効果を測定することによって流体の密度を測定することができる。いくつかの実施形態では、密度流量計は、単管のコリオリ質量流量計である。したがって、製剤の密度は、医薬製剤が貯蔵容器から引き出されるとき、製剤の振動数および温度の評価によって測定され得る。いくつかの実施形態では、密度流量計は、クローネ社が製造する密度流量計である。いくつかの実施形態では、密度流量計は、kg/m3単位で密度をを測定する。いくつかの実施形態では、密度流量計は、医薬製剤の質量流量および密度を測定/監視することができる。
【0031】
いくつかの実施形態では、医薬製剤は、少なくとも1つの容積型ポンプによって貯蔵容器から引き出され得る。いくつかの実施形態では、医薬製剤は、
図2に投薬ポンプと記載される少なくとも1つの容積型ポンプによって再循環システムから引き出され得る。いくつかの実施形態では、医薬製剤は、複数の容積型ポンプによって貯蔵容器から引き出され得る。いくつかの実施形態では、医薬製剤は、複数の容積型ポンプによって再循環システムから引き出され得る。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの容積型ポンプは、貯蔵容器、密度流量計、再循環システム、少なくとも1つのマニホールドおよび/または予備成形ブリスターパック/型に流体連結され得る。少なくとも1つの容積型ポンプは、医薬製剤を貯蔵容器から予備成形ブリスターパック/型へと変位させる役割を果たすことができる。例えば、少なくとも1つの容積型ポンプは、再循環システム内で循環する医薬製剤を、再循環システムから予備成形ブリスターパック/型へと変位させることができる。
図2に示されるように、少なくとも1つの容積型ポンプは、再循環システムの少なくとも1つのマニホールドを通過している医薬製剤を変位させ、それを投薬ラインを通して投薬ノズルから予備成形ブリスターパック/型に流し入れることができる。したがって、医薬製剤は、予備成形型に入れられる前に、様々な管(すなわち、投薬ライン/管)を通り、密度流量計、再循環ポンプ、マニホールド、および少なくとも1つの容積型ポンプ自体を通って運ばれ得る。上述のように、マニホールドは、個々の予備成形ブリスターパック/型に入れるためのいくつかの異なる投薬管に医薬製剤を分ける分岐装置として使用され得る。
【0032】
いくつかの実施形態では、少なくとも1つの容積型ポンプは、医薬製剤を再循環システムから予備成形ブリスターパック/型の中へと変位させる。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの容積型ポンプは、医薬製剤を再循環システムのマニホールドから予備成形ブリスターパック/型の中へと変位させる。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの容積型ポンプは、医薬製剤を貯蔵容器から密度流量計を通って変位させる。いくつかの実施形態では、少なくとも容積型ポンプは、医薬製剤を貯蔵容器から密度流量計を通し、予備成形ブリスターパック/型の中へと引き込むことができる。いくつかの実施形態では、密度流量計は、貯蔵容器と少なくとも1つの容積型ポンプとの間に流体連結される。いくつかの実施形態では、密度流量計は、貯蔵容器とマニホールドとの間に流体連結される。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの容積型ポンプは、医薬製剤を再循環システムから少なくとも1つの容積型ポンプ(および、少なくとも1つの容積型ポンプの前後の投薬管/ライン)を通し、(投薬ノズルを用いて)予備成形ブリスターパック/型の中へと引き込むことができる。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの容積型ポンプは、医薬製剤を再循環システムのマニホールドから少なくとも1つの容積型ポンプ(および、少なくとも1つの容積型ポンプの前後の投薬管/ライン)を通し、(投薬ノズルを用いて)予備成形ブリスターパック/型の中へと引き込むことができる。
【0033】
いくつかの実施形態では、医薬製剤密度評価システム104は、医薬製剤の密度データを受信し、受信した密度データを評価および/または処理し、密度評価の結果に従って1つ以上の出力信号を生成し送信するように構成される1つ以上のコンピュータプロセッサを備える任意のデバイスまたはシステムとすることができる。いくつかの実施形態では、評価システム104は、全体的または部分的に、デスクトップコンピューティングデバイス、ラップトップ、タブレット、携帯型電子機器、専用の密度処理デバイス、コンピューティングモジュールのプロセッサ、サーバ、クラウドコンピューティングシステム、分散コンピューティングシステムなどの全部または一部として設けられ得る。いくつかの実施形態では、医薬製剤密度評価システム104は、容積型ポンプ106および/または密度流量計104に対してローカル(例えば、投薬が行われる室内)に設けてもよく、その一方、いくつかの実施形態では、密度評価システム104は、容積型ポンプ106および/または密度流量計104からリモート(例えば、投薬が行われる場所の外の、リモートサーバの場所などに)に設けてもよい。
【0034】
いくつかの実施形態では、評価システム104は、密度流量計102から密度データを受信し、医薬製剤の密度が投薬プロセスを停止させるための所定の閾値以下であるかどうかを決定するためにその密度データを処理するように構成され得る。いくつかの実施形態では、所与の医薬製剤についての所定の密度閾値は、オペレータによって評価システムに入力され得る。例えば、所与の医薬製剤について、その製剤の許容密度は、商業用の投薬前に行われる研究によって、投薬プロセス前に決定され得る。これらの研究は、密度が投薬の進行に比例して低下する正確な点を明らかにするために、投薬プロセス全体にわたって得られるデータの再検討を含む。次いで、このデータは、限度を設定することに使用され、密度流量計は、密度がこの限度よりも低下すると投薬動作を中止するようにプログラムされる。オペレータは、この場合、投薬プロセスを開始する前に評価システムに密度閾値を入力することができる。いくつかの実施形態では、終了点(すなわち、所定の閾値密度)は、開発研究の間に設定され、投薬プロセスの間に記録されるレベルより典型的には50kg/m3低くすることができる。
【0035】
いくつかの実施形態では、評価システム104は、容積型ポンプにポンプの起動状態を変更させる(例えば、オフからオンに変える、またはオンからオフに変える)ように構成される1つ以上の命令または制御信号を容積型ポンプ106に送信するように構成され得る。いくつかの実施形態では、本明細書において詳細に述べられるように、評価システム104は、密度流量計102から受信する密度データの分析に基づいて決定された密度に従って命令または制御信号を送信することができる。例えば、いくつかの実施形態では、医薬製剤の密度が所定の閾値よりも低下すると、容積型ポンプ106をオフにするように指示する信号が送信され、それによって投薬プロセスが停止され得る。いくつかの実施形態では、容積型ポンプ106がオフにされると、それ以上医薬製剤が再循環システムから引き出されなくなる。いくつかの実施形態では、密度流量計がマトリックスの質量流量の変化(すなわち空気侵入または粒子状物質)を検出すると、アラームがトリガされ、投薬手順が自動的に停止され得る。
【0036】
本明細書に記載されるように、容積型ポンプ106は、密度流量計によって測定される医薬製剤の密度が所定の閾値よりも低下するとオフになる(すなわち、医薬製剤を再循環システムまたは貯蔵容器から予備成形型に変位させることを停止する)ように構成され得る。上述のように、いくつかの実施形態では、容積型ポンプ106は、任意の好適なネットワーク通信プロトコル経由を含む、任意の有線または無線の電子通信媒体によって医薬製剤密度評価システム104から受信する命令信号または制御信号に従って変更される起動状態を有するように構成され得る。
【0037】
したがって、空気が貯蔵容器の再循環システムに引き込まれ始めると(すなわち、貯蔵容器が空になると)、医薬製剤の密度は、空気が製剤に加えられるにつれて低下し始め得る。この変化によって、密度流量計は投薬中止の信号を出すことができる。したがって、オペレータが貯蔵容器内の医薬製剤を視覚的に監視する必要がなくなる。代わりに、製剤の密度が所定の閾値に達すると、投薬プロセスは停止され得る。バッチ投薬重量の終わりとみなされ、バッチは自動的に停止され得る。こうして、医薬製剤の密度があるレベルよりも低下したときに、剤形への空気の侵入が、投薬プロセスのこの自動的な中止によって防止され得る。
【0038】
投薬後、投薬された医薬製剤は、予備成形ブリスターパック/型の中で凍結され得る。予備成形ブリスターパック/型の中の投薬製剤は、当該技術分野において既知の任意の手段によって凍結され得る。例えば、製剤は、極低温チャンバ(例えば、液体窒素トンネル)に通され得る。いくつかの実施形態では、予備成形ブリスターパック/型の中の凍結単位は、凍結乾燥前に収集されフリーザに入れられる。凍結単位は、剤形を形成するように凍結乾燥され得る。凍結乾燥プロセス中、凍結単位から水が昇華する。いくつかの実施形態では、凍結単位は、凍結乾燥機の棚に載せられ得る。凍結単位が凍結乾燥機に入れられた後、凍結乾燥サイクルが開始され得る。いくつかの実施形態では、凍結乾燥サイクルの開始後、真空にし、棚温度を上昇させてもよい。凍結乾燥機は、低圧(すなわち、真空)で動作することができる。
【0039】
凍結乾燥された剤形は、凍結乾燥機から取り出され、欠陥がないか検査され得る。凍結乾燥サイクルの完了後、剤形は密封(例えば、ブリスターに蓋箔が適用)され得る。本開示の剤形は、溶解剤形であり、したがって、より速い崩壊時間の明確な利点を有する。
【0040】
図3は、いくつかの実施形態によるコンピュータを示す。コンピュータ300は、
図1および
図2に関して上述したように、医薬製剤の投薬のためのシステムの一構成要素とすることができる。いくつかの実施形態では、コンピュータ300は、上述のように医薬製剤を投薬する方法を実行するように構成され得る。
【0041】
コンピュータ300は、ネットワークに接続されたホストコンピュータとすることができる。コンピュータ300は、クライアントコンピュータまたはサーバであってもよい。
図3に示されるように、コンピュータ300は、パーソナルコンピュータ、ネットワークステーション、サーバ、電話またはタブレットなどの携帯型コンピュータデバイスなど、任意の好適なタイプのマイクロプロセッサベースのデバイスであってもよい。コンピュータは、例えば、プロセッサ310、入力装置320、出力装置330、記憶装置340および通信装置360のうちの1つ以上を含むことができる。
【0042】
入力装置320は、タッチスクリーンもしくはモニタ、キーボード、マウスまたは音声認識装置など、入力をもたらす任意の好適なデバイスとすることができる。出力装置330は、タッチスクリーン、モニタ、プリンタ、ディスクドライブまたはスピーカなど、出力をもたらす任意の好適なデバイスとすることができる。
【0043】
記憶装置340は、RAM、キャッシュ、ハードドライブ、CD-ROMドライブ、テープドライブ、またはリムーバブル記憶ディスクを含む電気メモリ、磁気メモリまたは光メモリなど、記憶をもたらす任意の好適なデバイスとすることができる。通信装置360は、ネットワークインターフェースチップまたはカードなど、ネットワークを通じて信号を送受信することができる任意の好適なデバイスを含むことができる。コンピュータの構成要素同士は、物理バスまたは無線を介してなど、任意の好適なやり方で接続され得る。記憶装置340は、プロセッサ310のような1つ以上のプロセッサによって実行されると1つ以上のプロセッサに医薬製剤の投薬に関する上述の方法のすべてまたは一部など本明細書に記載の方法を実行させる1つ以上のプログラムを含む非一時的コンピュータ可読記憶媒体とすることができる。
【0044】
記憶装置340に記憶されプロセッサ310によって実行され得るソフトウェア350は、例えば、本開示の機能性を組み込む(例えば、システム、コンピュータ、サーバおよび/または上述したようなデバイス内に組み込まれるような)プログラミングを含むことができる。いくつかの実施形態では、ソフトウェア350は、アプリケーションサーバおよびデータベースサーバなどのサーバの組合せ上において実装および実行され得る。
【0045】
ソフトウェア350はさらに、命令実行システム、装置またはデバイスからソフトウェアに関連する命令をフェッチおよび実行することができる、命令実行システム、装置、または上述したようなデバイスによってまたはそれに関連して使用される任意のコンピュータ可読記憶媒体内に記憶および/または転送され得る。この開示の文脈では、コンピュータ可読記憶媒体は、命令実行システム、装置またはデバイスによってまたはそれに関連して使用されるプログラミングを収容または記憶することができる記憶装置340などの任意の媒体とすることができる。
【0046】
ソフトウェア350はさらに、命令実行システム、装置またはデバイスからのソフトウェアに関連する命令をフェッチおよび実行することができる、命令実行システム、装置または上述のようなデバイスによってまたはそれに関連して使用される任意の運搬媒体内で伝播され得る。この開示の文脈では、運搬媒体は、命令実行システム、装置またはデバイスによってまたはそれに関連して使用されるプログラミングを通信、伝播または運搬することができる任意の媒体とすることができる。運搬可読媒体は、これらに限定されないが、電子的、磁気的、光学的、電磁的、または赤外線による有線もしくは無線の伝播媒体を含むことができる。
【0047】
コンピュータ300は、任意の好適なタイプの相互接続される通信システムとすることができるネットワークに接続され得る。ネットワークは、任意の好適な通信プロトコルを実施することができ、任意の好適なセキュリティプロトコルによって保護され得る。ネットワークは、無線ネットワーク接続、T1またはT3回線、ケーブルネットワーク、DSLまたは電話回線など、ネットワーク信号の送受信を実施することができる任意の好適な装置のネットワークリンクを含むことができる。
【0048】
コンピュータ300は、ネットワーク上での動作に適した任意のオペレーティングシステムを実装することができる。ソフトウェア350は、C、C++、JavaまたはPythonなどの任意の好適なプログラミング言語で書かれ得る。様々な実施形態において、本開示の機能性を組み込むるアプリケーションソフトウェアは、例えば、クライアント/サーバ構成、またはウェブベースのアプリケーションもしくはウェブサービスとしてウェブブラウザ経由など、様々な構成に展開され得る。
【0049】
先述の説明は、例示的な方法、パラメータなどを示す。しかし、そうした説明は、本開示の範囲の限定を意図するものではなく、例示的な実施形態の説明として提供されることを認識されたい。上述の例示的な実施形態は、網羅的であることまたは本開示を開示した通りの形に限定することを意図していない。上述の教示を鑑みて、多くの変更および変形が可能である。実施形態は、開示の技術の原理およびそれらの実際の適用を最良に説明するために選択され、説明されたものである。それによって他の当業者が技術および意図された特定の使用に適するような様々な修正形態を含む様々な実施形態を最良に利用することが可能になる。
【0050】
添付の図面を参照して開示および例を十分に説明してきたが、様々な変形および変更が当業者には明らかであることに留意すべきである。そのような変形および変更は特許請求の範囲で定義されるような開示および例の範囲に含まれるとして理解すべきである。開示および実施形態の上述の説明では、説明のため、実施可能な具体的な実施形態が示されている添付の図面が参照される。本開示の範囲から逸脱することなく、他の実施形態および例が実施され、変更が加えられ得ることを理解すべきである。
【0051】
先述の説明では、様々な要素を説明するのに第1、第2などの用語を用いるが、これらの要素はこれらの用語によって限定されるべきではない。これらの用語は、単に1つの要素と別の要素を区別するために使用される。
【0052】
さらに、先述の説明で使用される単数形「a」、「an」および「the」は、文脈がそうでないことを示さない限り、複数形も含むと意図されることを理解すべきである。また、「および/または」という用語は、本明細書で使用される場合、関連付けられる列挙される項目のうちの1つ以上の任意の、およびすべての可能な組合せについて言及し、包含することが理解されるべきである。「含む(includes)」、「含んでいる(including)」、「備える(comprises)」および/または「備えている(comprising)」という用語は、本明細書で使用される場合、言明される特色、整数、工程、操作、要素、成分および/または単位の存在を特定するが、1つ以上の他の特色、整数、工程、操作、要素、成分、単位および/またはそれらの群の存在または付加を除外しないことをさらに理解されるべきである。
【0053】
用語「場合(if)」は、文脈に応じて、「とき」または「したとき」または「決定に応答して」または「検出に応答して」を意味すると解釈することができる。
【0054】
添付の図面を参照して開示および例を十分に説明してきたが、様々な変形および変更が当業者には明らかであることに留意すべきである。そのような変形および変更は特許請求の範囲で定義されるような開示および例の範囲に含まれるとして理解すべきである。
【0055】
以下の付番された条項は、本発明のさらなる実施形態を示す。
1.医薬製剤を投薬するシステムであって、
医薬製剤を貯蔵する容器と、
容器に流体連結された密度流量計、ならびに密度流量計および容器に流体連結された再循環ポンプ、を備える再循環システムであって、再循環ポンプが、医薬製剤を容器から密度流量計を通って変位させるように構成され、密度流量計が、医薬製剤の密度を測定するように構成される、再循環システムと、
再循環システムに流体連結され、医薬製剤を再循環システムから予備成形型内へと変位させるように構成された、少なくとも1つのポンプと、
を備え、
少なくとも1つのポンプが、密度流量計によって測定される医薬製剤の密度が所定の閾値を下回ったときに、再循環システムからの医薬製剤の変位を停止するように構成される、
システム。
2.コンピュータをさらに備え、コンピュータ、密度流量計、および少なくとも1つのポンプが、互いに通信可能に接続されている、条項1に記載のシステム。
3.密度流量計が、医薬製剤の密度を含むデータをコンピュータに送信するように構成される、条項2に記載のシステム。
4.コンピュータが、ポンプの起動状態を変更するように、1つ以上の命令または制御信号を少なくとも1つのポンプに送信するように構成される、条項3に記載のシステム。
5.起動状態が、オン構成およびオフ構成を含む、条項4に記載のシステム。
6.医薬製剤の密度を含むデータが所定の閾値を下回ったときに、コンピュータから少なくとも1つのポンプに送信される1つ以上の命令または制御信号が、少なくとも1つのポンプをオフにする信号を含む、条項4または5に記載のシステム。
7.コンピュータ、密度流量計、および少なくとも1つのポンプが、互いに無線通信可能に接続されている、条項2から6のいずれか一項に記載のシステム。
8.再循環ポンプが、容器から密度流量計を通り、再循環ポンプを通って容器に戻るように、医薬製剤を変位させるように構成される、条項1から7のいずれか一項に記載のシステム。
9.再循環システムが、マニホールドをさらに備える、条項1から8のいずれか一項に記載のシステム。
10.再循環ポンプが、容器から密度流量計を通り、再循環ポンプを通り、マニホールドを通って容器に戻るように、医薬製剤を変位させるように構成される、条項9に記載のシステム。
11.少なくとも1つのポンプが、医薬製剤をマニホールドから予備成形型内へと変位させるように構成される、条項9または10に記載のシステム。
12.容器が、攪拌機を備える、条項1から11のいずれか一項に記載のシステム。
13.医薬製剤が、ラウリル硫酸ナトリウムおよびドキュセートナトリウムのうちの少なくとも1つを含む、条項1から12のいずれか一項に記載のシステム。
14.医薬製剤を投薬する方法であって、
医薬製剤を容器に貯蔵するステップと、
容器から、医薬製剤の密度を測定するように構成された密度流量計を通って、医薬製剤を変位させるステップと、
医薬製剤を予備成形型内へと投薬するステップと、
密度流量計によって測定される医薬製剤の密度が所定の閾値を下回ったときに、医薬製剤の予備成形型内への投薬を停止するステップと、
を含む、方法。
15.密度流量計が、医薬製剤の密度を含むデータをコンピュータに送信するように構成される、条項14に記載の方法。
16.コンピュータが、医薬製剤の密度を含むデータが所定の閾値を下回ったときに、医薬製剤の投薬を停止する1つ以上の命令または制御信号を送信するように構成される、条項15に記載の方法。
17.コンピュータが、医薬製剤の投薬を停止する1つ以上の命令または制御信号を、少なくとも1つのポンプに送信する、条項16に記載の方法。
18.コンピュータ、密度流量計、および少なくとも1つのポンプが、互いに無線通信可能に接続されている、条項17に記載の方法。
19.医薬製剤の一部分を、密度流量計を通過した後に容器に再循環させるステップをさらに含む、条項14から18のいずれか一項に記載の方法。
20.医薬製剤が、ラウリル硫酸ナトリウムおよびドキュセートナトリウムのうちの少なくとも1つを含む、条項14から19のいずれか一項に記載の方法。
【符号の説明】
【0056】
100 システム
102 密度流量計
104 評価システム
106 容積型ポンプ
300 コンピュータ
310 プロセッサ
320 入力装置
330 出力装置
340 記憶装置
350 ソフトウェア
360 通信装置