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特許7219885シャッターのガタツキ音防止装置及びそれを備えたシャッター
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-02-01
(45)【発行日】2023-02-09
(54)【発明の名称】シャッターのガタツキ音防止装置及びそれを備えたシャッター
(51)【国際特許分類】
   E06B 9/17 20060101AFI20230202BHJP
【FI】
E06B9/17 Q
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2019090029
(22)【出願日】2019-05-10
(65)【公開番号】P2020186540
(43)【公開日】2020-11-19
【審査請求日】2022-04-14
(73)【特許権者】
【識別番号】501433619
【氏名又は名称】中西産業株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000239714
【氏名又は名称】文化シヤッター株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100081547
【弁理士】
【氏名又は名称】亀川 義示
(72)【発明者】
【氏名】澤 数人
(72)【発明者】
【氏名】村松 道浩
(72)【発明者】
【氏名】水原 一也
(72)【発明者】
【氏名】渡邉 正博
(72)【発明者】
【氏名】矢澤 昇
(72)【発明者】
【氏名】本庄 俊章
(72)【発明者】
【氏名】田中 剛史
(72)【発明者】
【氏名】野末 崇博
【審査官】野尻 悠平
(56)【参考文献】
【文献】特開2000-145324(JP,A)
【文献】特開平02-178488(JP,A)
【文献】特開平10-072984(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E06B 9/00
9/02
9/06-9/18
9/40-9/50
9/56-9/92
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
シャッターカーテンをガイドレールに沿って昇降して開口部を開閉し、閉鎖状態のシャッター面を押圧してガタツキ音を防止するようにしたガタツキ音防止装置において、ガイドレールに沿って消音装置を設け、該消音装置は、回転軸の一方側にシャッター面に当接可能なクランプ部を形成したクランプ側操作片を設け、他方側に駆動側操作片を設けたカムレバーを具備し、シャッターが開放位置にあるとき上記クランプ部がシャッター面から離れる方向に上記クランプ側操作片を回転するようガイドレールに沿って延びる連動棒を上記カムレバーの駆動側操作片に垂下し、ガイドレールの下方に、シャッターが閉鎖するときシャッターカーテンの下部に当たって上記連動棒を上昇させるよう連動棒駆動部を設けたことを特徴とするシャッターのガタツキ音防止装置。
【請求項2】
上記カムレバーはベルクランク状に屈曲し、屈曲部に回転軸が設けられ、クランプ側操作片に対し駆動側操作片が長く形成されている請求項1に記載のシャッターのガタツキ音防止装置。
【請求項3】
上記連動棒は連動棒ガイドに沿って上下動し、上記カムレバーの駆動側操作片に設けたガイド溝に摺動可能に係合している請求項1に記載のシャッターのガタツキ音防止装置。
【請求項4】
上記クランプ部にはガイドレールに沿って延びるスラットプッシュバーが設けられている請求項1から3のいずれかに記載のシャッターのガタツキ音防止装置。
【請求項5】
上記連動棒駆動部は、シャッターカーテンの下部に当たって降下される入力側ラックギアと、入力側ラックギアの降下動をピニオンギアを介して上昇動として伝達する、連動棒の下部が接続される出力側ラックギアを具備し、上記入力側ラックギアにはシャッター面に沿って突出するスライダーが設けられ、上記シャッターカーテンの下部には、上記スライダーに係合可能なブラケットが設けられている請求項1に記載のシャッターのガタツキ音防止装置。
【請求項6】
上記連動棒には該連動棒を降下する方向に付勢する補助押え部が連設されている請求項1に記載のシャッターのガタツキ音防止装置
【請求項7】
上記請求項1から6のいずれかに記載のシャッターのガタツキ音防止装置を備えたシャッター。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、閉鎖状態のシャッターカーテンが風にあおられて、ガイドレールとシャッターカーテンのスラット間で発生するガタツキ音を防止するようにしたシャッターのガタツキ音防止装置及びそれを備えたシャッターに関するものである。
【背景技術】
【0002】
シャッターカーテンは、シャッターカーテンを構成するスラットの両側がガイドレールに沿って上下動するが、開閉の際の移動を円滑にするようガイドレールとの間には隙間が設けられている。そのため、シャッターカーテンが風にあおられて振動すると、スラット間やガイドレールに当たる両側部でガタツキ音を発生する。そのような騒音を生じないようガイドレールの内側に軟質樹脂材料や弾性シート等の消音部材を設けることが知られているが、この消音部材にはスラットの端部が摺接するので、摺動摩擦で摩耗、変形したり、あるいは閉鎖時にスラットが圧接して消音部材が変形しやすい。このように、消音部材をガイドレール内に設置した場合には、摺接摩擦音はある程度消音できるかもしれないが、風にあおられて発生するガタツキ音は長期にわたって消音することができない。
【0003】
消音部材をガイドレールの内側に設けるのではなく、シャッターを閉鎖したときシャッター面に押圧板を押し付けてガイドレールの内面に圧接するようにした装置が知られている。このような装置としては、シャッターを閉鎖したあと手動で押圧板を押し付けるようにしたものや、シャッターの閉鎖動に連動して押圧板をシャッター面に押し付けるようにしたものが提案されている(例えば特許文献1、特許文献2参照)。
【0004】
特許文献1に記載のシャッターの騒音防止装置は、シャッター面を押圧する移動棒の駆動手段として平行四辺形リンク機構を用いている。具体的には、ガイドレールに沿って垂直に固定棒を固定し、この固定棒と平行に移動棒を並置し、固定棒と移動棒を連結棒及び引張ばねを介してリンク連結し、移動棒の下端に受け止め片を設けてある。そして、シャッター閉鎖時に、シャッターカーテンが降下してその座板が受け止め片に当たって移動棒を引っ張りばねの力に抗して引き下げると、移動棒は、平行四辺形リンク機構を介して前進してシャッター面に接触し、シャッター面をガイドレールの溝の側面に押圧するよう構成されている。この構成によれば、シャッターが閉鎖するときに、連動して移動棒(押圧板)をシャッター面に押し付けることができるが、実際にはうまく動作しないおそれがある。すなわち、シャッターの閉鎖工程を考慮すると、移動棒による押圧は、シャッターカーテンが完全に降下してから移動棒が前進してシャッター面を押圧するのが理想的であるが、特許文献1に記載の装置では、受け止め片は移動棒に固定されているので、受け止め片にシャッターカーテンの下端があたると、移動棒は、シャッターカーテンとともに同時に降下前進することになる。そのため、シャッターカーテンが十分に降下しない状態で移動棒がシャッター面に当たり始めるようになり、シャッターの閉鎖動が妨げられるおそれがある。このような事態を避けるには、押圧のタイミングを調整したり、押圧強さを調整すればよいが、上記のようにシャッターカーテンが受け止め片に当ると同時に移動棒の降下が始まるから、簡単にはいかない。また、充分に移動板をシャッター面に押圧するとき、シャッターカーテンの座板と床の間に受け止め片を押し込むことになるから、受け止め片が摩耗損傷しやすく、シャッター面方向への移動棒の移動が妨げられるおそれもある。その上、移動棒が前進してシャッター面に単に接触するだけなので、押圧力を大きくすることがむずかしい。
【0005】
さらに、移動棒を引張ばねにより斜め方向に引き上げているので、傾斜角度が大きくなると、ばねによる移動棒の引き上げ効率が悪くなり、調整もむずかしい。通常、ばねは端部を突片状の取付部に引っ掛けて固定されるが、このとき、取付部には斜め方向の曲げ力と引張力が作用することになって、取付部が損傷しやすい。そして、若し折損すると、移動棒は自重で降下前進し、シャッターカーテンの降下路を塞ぎ、シャッターを閉鎖することができなくなるおそれもある。なお、ガイドレールの内部にばねを設けて押圧体を付勢する構成も知られているが、ばね等の機器をガイドレール内に内蔵すると、故障や修理が非常に面倒である。
【0006】
特許文献2に記載の騒音防止装置付きシャッターは、シャッター部材が降下するとき、シャッター受け部材を介して昇降体が降下し、伝達部材により押圧板をバネに抗して引き下げるよう構成されている。押圧板には、押圧手段の誘導部材内を転動するローラーを介して押圧力が加わり、シャッター部材側に移動してシャッター部材を押圧する。そして、シャッター部材を上昇するとき、押圧板及びシャッター受け部材は、バネによりもとの状態に戻る。しかし、このような構成では、シャッター受け部材と押圧板は直結しているので、押圧板とシャッター部材は、同時に一緒に移動することになるから、シャッター部材の押圧のタイミング調整や押圧強さの調整がむずかしいし、上記特許文献1に記載の装置と同様に、バネの取付部が折損したときに押圧板が自重で降下してシャッターカーテンの降下路を妨げるおそれがある。
【0007】
また、特許文献2に記載の押圧板は、下端が昇降体に挿通した伝達部材によりシャッター部材に対して上下方向に垂直方向に移動するのに対し、押圧板の上方部分は押圧手段の誘導部材内を転動するローラーにより斜め方向に上下動するから、全体として押圧板はシャッター部材側に移動するとき傾斜状態を変化させながらシャッター部材を押圧することになる。そのため、シャッター部材を平行かつ均等に押圧したり、押圧解除をすることができにくくなり、押圧作業の確実性が得られないし、押圧力を強くすることができない。さらに、上記のような従来の消音装置は、押圧板とシャッター受け止め片が固定若しくは直結されているので、調整が非常にむずかしい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【文献】特開平2-178488号公報(特許請求の範囲、第3図、第5図)
【文献】実公平4-39998号公報(実用新案登録請求の範囲、第1図)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、シャッターの閉鎖時に、閉鎖間際にシャッター面を押圧してガタツキ音を防止でき、バネの取付部が損傷して押圧板がシャッターカーテンの降下路を塞ぐというような事故を生じることもなく、シャッター面を所望の強さで押圧することができ、調整も容易にできるシャッターのガタツキ音防止装置及びそれを備えたシャッターを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明によれば、シャッターカーテンをガイドレールに沿って昇降して開口部を開閉し、閉鎖状態のシャッター面を押圧してガタツキ音を防止するようにしたガタツキ音防止装置において、ガイドレールに沿って消音装置を設け、該消音装置は、回転軸の一方側にシャッター面に当接可能なクランプ部を形成したクランプ側操作片を設け、他方側に駆動側操作片を設けたカムレバーを具備し、シャッターが開放位置にあるとき上記クランプ部がシャッター面から離れる方向に上記クランプ側操作片を回転するようガイドレールに沿って延びる連動棒を上記カムレバーの駆動側操作片に垂下し、ガイドレールの下方に、シャッターが閉鎖するときシャッターカーテンの下部に当たって上記連動棒を上昇させるよう連動棒駆動部を設けたことを特徴とするシャッターのガタツキ音防止装置及びそれを備えたシャッターが提供される。
【0011】
また、本発明によれば、上記カムレバーはベルクランク状に屈曲し、屈曲部に回転軸が設けられ、上記クランプ部はガイドレールに沿って延びるスラットプッシュバーを有し、上記連動棒駆動部は、シャッターカーテンの下部に当たって降下される入力側ラックギアと、入力側ラックギアの降下動を、ピニオンギアを介して上昇動として伝達する、連動棒の下部が接続される出力側ラックギアを具備し、上記連動棒には該連動棒を降下する方向に付勢する補助押え部が連設されている上記シャッターのガタツキ音防止装置及びそれを備えたシャッターが提供される。
【発明の効果】
【0012】
本発明は、上記のように構成され、消音装置は、回転軸の一方側にシャッター面に当接可能なクランプ部を形成したクランプ側操作片を有し他方側に駆動側操作片を設けたカムレバーを具備し、上記クランプ部がシャッター面から離れる方向に上記クランプ側操作片が回転するよう上記駆動側操作片にガイドレールに沿って延びる連動棒を垂下したので、シャッターが開放位置にあるとき、クランプ部は連動棒の重さで、シャッター面から離れる方向に回転して停止している。そのため、従来の押圧板のようにばねで上方に引き上げておく構造ではないから、ばねの取付部が損傷したときに、押圧板が降下してシャッターカーテンの降下路を塞ぎ、シャターを閉鎖できなくなるというおそれはない。
【0013】
また、上記カムレバーのクランプ側操作片と駆動側操作片の長さや屈曲角度を種々に設定することにより連動棒とクランプ部の移動のタイミングや押圧強さを適宜調整することができ、連動棒が十分に上昇してからクランプ部がシャッター面に当接するようにできる。そのため、シャッターの閉鎖間際にクランプ部がシャッター面に強くあたるように調整できるので、ガタツキ音の防止効果が高まり、シャッターの閉鎖を妨げるおそれもない。また、従来の消音装置のように、押圧板とシャッター受け部材を直接固定していないので、調整が容易である。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の一実施例を示し、シャッターが開放されているときの断面図。
図2】シャッターカーテンが降下している途中の断面図。
図3】シャッターが閉鎖したときの断面図。
図4】カムレバー部分の説明図。
図5】連動棒を示し、(A)は正面図、(B)は側面図。
図6】連動棒ガイドを示し、(A)は正面図、(B)は断面図、(C)は平面図。
図7】補助押え部の分解斜視図。
図8】カムレバーの駆動側操作片とクランプ側操作片の関連を示す説明図。
【発明を実施するための形態】
【0015】
図1図3を参照し、シャッターは、複数のスラット2を連接し下端部に座板を設けたシャッターカーテン1を有し、図示を省略したが、該シャッターカーテンの巻き上げ、巻き戻しをする巻き上げ収納部が上方に形成され、シャッターカーテンの両側部には、公知のようにシャッターカーテンの移動を案内するガイドレール3が床面の両側に垂直に固定されている。また、ガタツキ音防止装置として、シャッターを閉鎖するとき、シャッターカーテン1を構成するスラット2(シャッター面)をクランプ(押圧)してガイドレールのガイド溝の内面に押し付け、風にあおられてシャッターカーテンとガイドレール間で発生するガタツキ音をなくすための消音装置4が、上記ガイドレールに沿って設けられている。
【0016】
上記消音装置4は、ガイドレール3に沿って適宜複数個所に設けることができ、図4に示すように、ガイドレールの外側面若しくは窓、出入り口等の開口部に設けた竪枠(図示略)の側面にねじ等の止着具で取付座5を固定し、この取付座5に回転軸6を設けて平板状のカムレバー7を回転可能に枢着してある。カムレバー7は、回転軸6の一方側が、シャッター面に当接可能なクランプ部8を形成したクランプ側操作片9となり、回転軸6の他方側が駆動側操作片10となっている。図4等に示す実施例では、カムレバー7はベルクランク状に屈曲し、屈曲部を回転軸6に枢着しているが、直線状、湾曲状、円板状その他適宜の形状に形成することができ、上記クランプ側操作片9と駆動側操作片10の長さ、屈曲角度を適宜に設定することによりクランプ側操作片9のクランプ部8がシャッター面に接するタイミングや押圧力を調整することができる。
【0017】
上記クランプ側操作片9のクランプ部8は、その板状の外縁部が直接シャッター面に接するように形成して一体型クランプ部とすることができる。また、ガイドレール3に沿って延びるプラスチック材料等で形成したスラットプッシュバー11を形成し、このスラットプッシュバー11の上下を、上下の消音装置のクランプ側操作片9にねじ等の止着具12で2か所で回転可能に取り付け、カムレバー7が回転したときシャッター面に向かって上下動しながら平行移動するクランプ部とすることもでき、これらを適宜組み合わせて設けることができる。図4は、スラットプッシュバーを用いないクランプ部を示してあるが、スラットプッシュバー11を取り付ける場合であっても、その取付位置は、図4において、カムレバー7のクランプ側操作片がほぼ水平なクランプ位置にあるとき、回転軸6の中心を通る仮想水平線Xよりも上方部分でかつ回転軸6の中心を通る仮想垂直線Yよりもシャッター面側の範囲内に設けると、シャッターの開閉に支障をあたえることなく、シャッター面を確実に押圧することができる。
【0018】
上記駆動側操作片10には、シャッターカーテン1が降下してシャッターが開放位置にあるとき上記クランプ部8がシャッター面から離れる方向に上記クランプ側操作片9を回転するようガイドレール3に沿って延びる連動棒13が垂下されている。図1等に示す実施例では、駆動側操作片10には、回転軸の半径方向に延びるガイド溝14を設けてあり、このガイド溝14に連動棒13に設けた駆動ピン15を摺動可能に挿入して連動棒13を垂下しているが、駆動側操作片10にピンを設け、連動棒13にガイド溝を設けたり、連動棒13と駆動側操作片10をピンで遊動可能に連結してもよい(図示略)。なお、連動棒13の上下ストロークに対してスラットプッシュバー11の上下ストロークが少なくなるよう、好ましくは、駆動側操作片10の長さがクランプ側操作片9の長さよりも長くなるように形成されている。具体的には、カムレバー7の回転軸6から上記駆動側操作片10に連動棒13の駆動ピン15が連結される位置までの長さは、回転軸6からスラットプッシュバー11がクランプ側操作片9に連結される位置までの長さよりも長くなるように設けることが好ましい。
【0019】
上記連動棒13は、好ましくは連動棒ガイド16に沿って上下動可能に設けられている。図6に示すように、連動棒ガイド16は、連動棒13を上下方向に挿通させることができるよう断面略コ字状に形成され、ねじ等の止着具17を挿入してガイドレールの外側面若しくは竪枠の側面に固定するための取付筒18を有し、上記連動棒13に設けた駆動ピン15を挿通するための長孔19を平面部に開口している。一方、上記連動棒13には、連動棒ガイド16の取付筒18が挿通する逃げ孔20が設けられている。
【0020】
ガイドレール3の下方には、シャッターカーテン1を降下してシャッターを閉鎖するときシャッターカーテン1の下部に当たって上記連動棒を上昇させるよう連動棒駆動部21が設けられている。該連動棒駆動部21はシャッターカーテンの降下動を連動棒13の上昇動に変換できる適宜の機構、例えばリンク機構やカム機構その他の機構を採用することができるが、図1等に示す実施例では、ラックピニオン機構を採用している。図1に示すように、略直方体状のケース22を形成し、その内部に支持軸23を突設し、該支持軸に止着具を挿通してその先端を図示を省略したガイドレールの外側面若しくは竪枠の側面に固定する。ケース22の上面には、蓋24を重ねてねじ等の止着具25で固定してある。ケース22内には、ピニオン軸26を設けてピニオンギア27を回転自在に装着してあり、該ピニオンギア27の両側に、上下方向に移動可能な入力側ラックギア28と出力側ラックギア29をそれぞれ噛み合わせてある。これにより入力側ラックギアの降下動をピニオンギアを介して上昇動をして出力側ラックギアに伝達し、入力側ラックギア28と出力側ラックギア29が反対方向に上下動するようにしている。上記入力側ラックギア28には、スライダー30を一体的に設けてあり、蓋24に設けた長孔31からスライダー30の先端がシャッター面に沿って突出する。
【0021】
上記出力側ラックギア29には連動棒13が連結される。すなわち、出力側ラックギア29の先端は、ケース22から上方に突出し、先端には略L字状に屈曲する受台32が形成されている。連動棒の下端には、下方に突出する支持軸33を設けたガイドブロック34を固定してあり、該支持軸33を上記受台32に設けた支持孔35に挿入して連動棒13を出力側ラックギア29に連結する。また、上記スライダー30の直上に対応するシャッターカーテン1の下部には、ブラケット36を設けてあり、該ブラケット36は、上方から上記スライダー30を包持して係合できるよう略L字状に屈曲している。上記の構成により、シャッターカーテン1の最下端部よりも上方に、スライダー30とブラケット36の係合部が位置することになるから、シャッターカーテンが降下するとき、ブラケット36がスライダー30に当たると、入力側ラックギア28が押されて降下し、それによりピニオンギア27を介して出力側ラックギア29が上昇し、それとともに上記連動棒13が上昇する。このとき、従来のようにシャッターカーテンの下端部と床面の間でシャッター受け止め片等を挟着する構成ではなく、床面より上方の位置でスライダーの上面にブラケットが当たるようにしているので、従来のような摩耗損傷のおそれはない。
【0022】
上記のように、カムレバー7は、駆動側操作片10に連動棒13が垂下しているので、常態では駆動側操作片10側が降下し、クランプ側操作片9側が上昇した状態になっており、クランプ部8はシャッター面から離れているが、補助的に上記連動棒を降下する方向に付勢する補助押え部37を連設することもできる。図7は補助押え部37の一実施例を示し、ケース38内に、押え片39を上下動可能に収納してある。該押え片39は、断面略矩形状に形成された押え片本体の上端に、ケース38内面に設けた収納溝40に沿って摺動するストッパー41を有し、ケース38から突出する下端には、上記連動13に連絡する押え部42を有している。上記押え片本体の上部に設けた受孔43と収納溝40の上縁間には、押えばね44を設けてあり、上記押え片39を介して上記連動棒13を下方に押圧している。該ケース48には、蓋45が設けられ、取付孔46より止着具を挿入してガイドレールの外側面等に固定される。なお、上述した実施例では消音装置、連動棒駆動部、補助押え部等を、それぞれガイドレールの外側面等に固定するようにしているが、これらの部材を共通するプレートに設けて固定するようにしてもよい(図示略)。
【0023】
上記の構成により、シャッターカーテン1が上方に巻き取られ、シャッターが窓,出入り口等の開口部を開放しているときには、消音装置4のカムレバー7は、駆動側操作片10に垂下した連動棒13によりクランプ側操作片9側が上昇しているので、シャッターカーテンの降下路から退避しており、シャッターカーテンの移動を妨げるおそれはない。
【0024】
上記シャッターを閉鎖するとき、閉鎖間際でシャッターカーテンに設けたブラケット36がスライダー30に当たると、入力側ラックギア28、ピニオンギア27を介して出力側ラックギア29が上昇し始める。それにより、連動棒13が上昇し始めるが、カムレバー7の駆動側操作片10とクランプ側操作片9は、屈曲角度、長さ等を適宜設定することにより移動量、移動速度、タイミング等を所望に調整できるので、クランプ部がすぐにシャッター面に当接することはない。
【0025】
図8は、カムレバー7の回動に伴う駆動側操作片10とクランプ側操作片9に設けたクランプ部8の関係を示している。図8において、シャッターが開放され、連動棒13が降下しているとき、駆動側操作片10の先端P1が、連動棒13により降下されて下方に位置にし、カムレバ7ーの回転軸6の中心Oから屈曲して延びるクランプ側操作片9は、長さLでクランプ部8の位置として、中心Oを通る垂直線上にある位置B1の例と、それよりも連動棒側13に位置する位置A1の例につき考察する。カムレバー7の回転角を90度として考えると、連動棒13が下降終点から上昇終点まで移動するときの上下ストロークはSとなり、カムレバー7が回転すると、上記クランプ位置A1は、位置A2に移動し、このときのクランプストロークはC1となり、スラットプッシュバーの上下ストロークはS1となる。このストロークS1は、連動棒の上下ストロークSよりもはるかに小さい。また上記クランプ位置B1の場合は、カムレバー7の回転により位置B2に移動し、クランプストロークはC2となり、上下ストロークはS2となって、これも上記連動棒の上下ストロークSよりも小さい。ただし、実際にはクランプ側操作片9がシャッター面に対して垂直に押圧すると、デッドポイントに入ってしまい、シャッターカーテンの上昇時に押圧解除しにくくなるため、B2よりもA2寄りにするのが好ましい。連動棒の上昇動は、シャッターカーテンに押されて入力側ラックギア28が降下することにより開始するが、上記のように連動棒13の上下の移動量に比べてクランプ部8の上下の移動量は少なく、ゆっくりとクランプ位置に近ずくことになるから、結果としてシャッターの閉鎖間際にクランプ位置にスラットプッシュバー11が下降してシャッター面を押圧することができ、連動棒13の押し上げ力が小さくても、シャッター面の押圧力を大きくできる。さらに、シャッターカーテンが上昇した際、スライドプッシュバーの重量に打ち勝って連動棒の自重で垂下状態に復帰することができる。
【0026】
シャッターを閉鎖位置から開放位置に移動するとき、シャッターカーテンの下部が上昇すると、カムレバー7は、連動棒13によりクランプ部8がシャッター面から離れる方向にクランプ側操作片9を回転させることになるので、シャッターカーテンの上昇に合わせてスラットプッシュバーは上昇しつつ押圧を解除しながら移動し、シャッターカーテンを支障なく巻き上げることができる。
【0027】
以上のように、本発明においては、消音装置のクランプ部と連動棒駆動部のスライダーが分離され、それぞれ独立して調整できるので、組付け作業や保守作業を簡単に行うことができる。
【符号の説明】
【0028】
1 シャッターカーテン
4 消音装置
6 回転軸
7 カムレバー
9 クランプ側操作片
10 駆動側操作片
11 スラットプッシュバー
13 連動棒
15 駆動ピン
16 連動棒ガイド
21 連動棒駆動部
27 ピニオン
28 入力側ラックギア
29 出力側ラックギア
30 スライダー
36 ブラケット
37 補助押え部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8