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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-02-01
(45)【発行日】2023-02-09
(54)【発明の名称】高圧エヤ発生装置
(51)【国際特許分類】
   F04B 49/10 20060101AFI20230202BHJP
【FI】
F04B49/10 331Q
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2021135354
(22)【出願日】2021-08-23
(62)【分割の表示】P 2018530365の分割
【原出願日】2017-07-26
(65)【公開番号】P2021185312
(43)【公開日】2021-12-09
【審査請求日】2021-09-15
(31)【優先権主張番号】P 2016146337
(32)【優先日】2016-07-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】512235851
【氏名又は名称】株式会社コーク
(73)【特許権者】
【識別番号】593115518
【氏名又は名称】武部 光利
(74)【代理人】
【識別番号】100081673
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100141483
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 生吾
(72)【発明者】
【氏名】永島 政人
(72)【発明者】
【氏名】武部 光利
【審査官】嘉村 泰光
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-227878(JP,A)
【文献】特開2012-198004(JP,A)
【文献】特開2010-024868(JP,A)
【文献】特開2007-162629(JP,A)
【文献】特開2000-283052(JP,A)
【文献】特開2004-036487(JP,A)
【文献】特開平09-158845(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F04B 49/00-51/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
エヤの噴出又は吸引を行う高圧エヤ発生装置であって、
ブロワと、
電動モータと、
電動モータからブロワに伝動される動力を断続するクラッチと、
電動モータの駆動及びクラッチの断続を制御する制御部と、
上記噴出又は吸引の操作を検出する操作検出手段と、
該操作の前に先立って必然的に行われる前準備を検出する前準備検出手段とを備え、
前記制御部は、上記ブロワを駆動させる場合、上記駆動モータが駆動されていることを条件として、前記クラッチを接続作動させるように構成され、
さらに、上記駆動モータが駆動停止し且つ上記クラッチが切断されている状態で、前記ブロワを駆動させる場合、前記クラッチを切断させた状態で上記電動モータを駆動させ、その後に該クラッチを接続作動させるにあたり、
前記制御部を、上記前準備検出手段によって前準備が検出された場合には前記電動モータを駆動させ、上記操作検出手段によって上記噴出又は吸引の操作が検出された場合にはクラッチを接続作動させるように構成した
ことを特徴とする高圧エヤ発生装置。
【請求項2】
前記前準備検出手段は、電源の入切を検出する電源入切検出手段である
請求項1に記載の高圧エヤ発生装置。
【請求項3】
前記ブロワはルーツブロワである
請求項に記載の高圧エヤ発生装置。
【請求項4】
前記電動モータを冷却する冷却ファンと、
前記冷却ファン側へのエヤの流路と、
前記冷却ファンから送風され且つ電動モータを冷却した後の高温のエヤを上記ブロワ側に流動させる流路とを備えた
請求項に記載の高圧エヤ発生装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エヤの噴出又は吸引を行う高圧エヤ発生装置に関する。
【背景技術】
【0002】
エヤの噴出又は吸引を行う高圧エヤ発生装置であって、ブロワと、該ブロワを駆動させる電動モータとを備えた高圧エヤ発生装置が公知になっている(例えば、特許文献1を参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2012-198004号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記文献の高圧エヤ発生装置は、通常のコンプレッサのようにエヤタンクを設けることなく、高圧エヤを発生させることが可能であるため、構成を簡略化できる一方で、駆動と駆動停止とを頻繁に繰返した場合、電動モータの駆動時に該駆動モータに流れる電流(起動電流)に起因して電力消費量が多くなる。
【0005】
本発明は、エヤの噴出又は吸引を行う高圧エヤ発生装置であって、ブロワの駆動時に駆動モータに流れる電流を低減させ、消費電力を低く抑えることが可能な高圧エヤ発生装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、エヤの噴出又は吸引を行う高圧エヤ発生装置であって、ブロワと、電動モータと、電動モータからブロワに伝動される動力を断続するクラッチと、電動モータの駆動及びクラッチの断続を制御する制御部と、上記噴出又は吸引の操作を検出する操作検出手段と、該操作の前に先立って必然的に行われる前準備を検出する前準備検出手段とを備え、前記制御部は、上記ブロワを駆動させる場合、上記駆動モータが駆動されていることを条件として、前記クラッチを接続作動させるように構成され、さらに、上記駆動モータが駆動停止し且つ上記クラッチが切断されている状態で、前記ブロワを駆動させる場合、前記クラッチを切断させた状態で上記電動モータを駆動させ、その後に該クラッチを接続作動させるにあたり、前記制御部を、上記前準備検出手段によって前準備が検出された場合には前記電動モータを駆動させ、上記操作検出手段によって上記噴出又は吸引の操作が検出された場合にはクラッチを接続作動させるように構成したことを特徴とする。
【0007】
前記前準備検出手段は、電源の入切を検出する電源入切検出手段であるものとしてもよい。
【0009】
前記ブロワはルーツブロワであるものとしてもよい。
【0010】
前記電動モータを冷却する冷却ファンと、前記冷却ファン側へのエヤの流路と、前記冷却ファンから送風され且つ電動モータを冷却した後の高温のエヤを上記ブロワ側に流動させる流路とを備えたものとしてもよい。
【発明の効果】
【0011】
ブロワを駆動させる場合、上記駆動モータが駆動されていることを条件として、前記クラッチを接続作動させるため、高負荷な状態で電動モータの駆動が開始されることが防止され、ブロワの駆動時に電動モータに流れる電流が低下し、消費電力を低く抑えることが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明を適用した高圧エヤ発生装置の平断面図である。
図2】本発明を適用した高圧エヤ発生装置の側断面図である。
図3】本高圧エヤ発生装置のエヤの流動制御構成を示す回路図である。
図4】ルーツブロワの断面図であって、(A),(B)及び(C)は一のロータの吸気状態、圧縮状態及び排気状態をそれぞれ示している。
図5】(A),(B)は噴射ノズルの格納状態と使用状態との切換構成を示す側面図及び正面図である。
図6】制御部の構成を示すブロック図である。
図7】制御部の処理フロー図である。
図8】本発明の別実施形態に係る制御部の処理フロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
図1図2は、本発明を適用した高圧エヤ発生装置の平断面図及び側断面図である。これらの図面に示された高圧エヤ発生装置は、直方体状に成形されて上部が開閉される筐体1を備えている。この筐体1内には、各種機器が設置されて装置本体2を構成している。ちなみに、ここでは、高圧は大気圧と比較して高い気圧を意味するものとする。
【0014】
この装置本体2は、筐体1の底面から複数のスペーサ3によって底上げされた水平板であるベース4と、該ベース4の上面側に設置された設置されたルーツブロワ(ブロワ,エヤポンプ)6と、該ルーツブロワ6の吸気口6a側に設置されるストレーナ(フィルタ)7と、筐体1の外部から内部にエヤの吸気する吸気管8と、該吸気管8における筐体1内側の端部に接続された吸気側マフラー9と、筐体1の内部から外部にエヤを排気する排気菅11と、該排気管11における筐体1内側の端部に接続された排気側マフラー12と、該排気側マフラー12の排気管11を接続させる側とは反対側の端部と前記ルーツブロワ6の排気口6bとを接続させる接続管13と、直流式又は交流式の電動モータ14と、該電動モータ14から出力される動力をルーツブロワ6に伝動する伝動機構16とを備えている。
【0015】
筐体1内の長手方向(縦方向)一方側にルーツブロワ6が配置され、他方側に吸気側マフラー9及び排気側マフラー12が配置されている。吸気管8及び吸気側マフラー9は筐体1の短軸方向(横方向)一方側に配置され、排気管11及び排気側マフラー12は筐体1の横方向他方側に配置されている。この吸気側マフラー9及び排気側マフラー12の直下には、上述の電動モータ14が横向きに配置されている。
【0016】
ルーツブロワ6は、自身の吸気口6aが吸気側マフラー9のエヤ流出部9aに近い側を向くとともに自身の排気口6bが吸気側マフラー9及び排気側マフラー12から遠い側を向いた状態で、筐体1内に設置されている。上下方向に延びる円柱状に成形された一対のストレーナ7は、ルーツブロワ6の吸気口6aから上方突出した状態で、吸気側マフラー9のエヤ流出部9aのエヤ流出方向正面側に配置される。
【0017】
伝動機構16は、電動モータ14の出力軸17に直結され且つ該出力軸17と一体回転する主動プーリ18と、ルーツブロワ6側に回転可能に支持された従動プーリ19と、主動プーリ18及び従動プーリ19に掛け回される環状の伝動ベルト21と、伝動ベルト21にテンションを付与するテンションプーリ22と、従動プーリ19側の回転動力をルーツブロワ6に断続伝動して該ルーツブロワ6の駆動の入切を行うクラッチ23(図3図6参照)とを有している。
【0018】
伝動ベルト21は本例ではポリドライブベルトを採用している。クラッチ23は本例では乾式単板電磁クラッチを採用している。このクラッチ23は、従動プーリ19と、ルーツブロワ6に動力を入力する受動軸24との間に設けられ、従動プーリ19と受動軸24の間の動力伝動を断続切換させる。ちなみに、クラッチ23によるルーツブロワ6への動力の断続切換は、電動モータ14を駆動させている最中も実行可能である。言換えると、このクラッチ23には、従動プーリ19と受動軸24との回転数を同期させる同期手段が設けられている。
【0019】
図3は、本高圧エヤ発生装置のエヤの流動制御構成を示す回路図である。吸気管8から吸気側マフラー9を介して筐体1内に吸気されたエヤは、該吸気側マフラー9のエヤ流出部9aから筐体1内に流出される。この流出されたエヤは、ストレーナ7を介して、吸気口6aに形成された入力側流路P1内に流入する。
【0020】
吸気側流路P1内のエヤは、ルーツブロワ6によって高圧化されて高圧エヤとなり、出力側流路P2へ流出される。ちなみに、吸気管8、吸気側マフラー9、ストレーナ7及び入力側流路P1と続く、エヤの流動は、ルーツブロワ6の吸引力によって発生させるが、このルーツブロワ6とは別に、吸気ファン26を、ストレーナ7内又はその入口付近に設けてもよい。ちなみに、この吸気ファン26は、上述した電動モータ14の動力によって駆動させてもよいし、或は、別途設けた電動モータ等のアクチュエータによって駆動させてもよい。
【0021】
出力側流路P2に排気された高圧のエヤは、蓄熱器27を通過して該蓄熱器27への蓄熱を行った後、分岐流路P3に達する。この分岐流路P3内のエヤは、電磁比例制御弁からなる切換バルブ28を介して、排気側流路P4と、還元流路P5との少なくとも何れか一方に流動される。
【0022】
排気側流路P4のエヤは接続管13及び排気側マフラー12を介して外部に排気される一方で、還元流路P5のエヤは入力側流路P1に戻される。
【0023】
切換バルブ28は、分岐流路P3側のエヤを排気側流路P4のみに流動させる「排気状態」と、分岐流路P3側のエヤを還元流路P5のみに流動させる「還元状態」と、分岐流路P3側のエヤを排気側流路P4と及び還元流路P5との両方に流動させる「分岐状態」
との何れへの切換を行う。
【0024】
排気状態への切換を行った場合、ルーツブロワ6から排出された高圧エヤが排気管8からダイレクトに排気される。
【0025】
還元状態又は分岐状態への切換を行った場合、少なくとも一部のエヤは、出力側流路P2→還元流路P5→入力側流路P1→ルーツブロワ6→出力側流路P2→・・・と循環する。この循環の過程で、エヤの圧力上昇による昇温が行われ、この熱を蓄熱器27に蓄熱することにより、エヤの加熱をヒータレス状態で実現できる。
【0026】
分岐状態への切換を行った場合、排気状態への切換時と同様に、エヤの排気が可能になるが、その排気に併せて、所定量だけルーツブロワ6の入力側にエヤを還元することが可能になる。ちなみに、循環するエヤが所定の圧力及び温度に達した場合には、それ以上の循環は不要であるため、還元状態から排気状態又は分岐状態、或は分岐状態から排気状態への切換を行う。
【0027】
さらに、切換バルブ28は、比例制御弁であるため、排気側流路P4への開度を変更可能であり、該構成によって、排気する高圧エヤの量は適宜調整可能である。なお、還元流路P5側への開度も調整可能に構成してもよい。
【0028】
ちなみに、出力側流路P2、蓄熱器27、切換バルブ28及び排気側流路P4は、ルーツブロワ6の排気口6b側に設けてもよいが、スペース上の問題から、出力側流路P2及び排気側流路P4の一部と、蓄熱器27及び切換バルブ28とをルーツブロワ6の排出口6b外に設けてもよい。
【0029】
このようなエヤの流動制御によれば、蓄熱器27を利用して、ヒータレスによりエヤを加熱可能になるが、これと併せて、電動モータ14から発生する熱を利用することが可能である。
【0030】
具体的には、図2に示すように、電動モータ14には、周面に全周に亘り放射状に突出した複数の放熱フィン29と、隣接する放熱フィン29の間にエヤを流動させて該放熱フィン29から熱を奪う冷却ファン31とが設けられている。
【0031】
そして、図1に示すように、吸気側マフラー9のエヤ流出部9aから流出したエヤの一部は、横方向に並べられた一対のストレーナ7,7の間を通り抜けて筐体1の壁面側を流動し電動モータ14側に達する。電動モータ14側に達したエヤは冷却ファン31によって電動モータ14の一方端側から他方端側に流動され、この過程で放熱フィン29から熱を奪って加熱される。このように加熱されたエヤはストレーナ7からルーツブロワ6内に流入される。
【0032】
言換えると、隙間の調整や、ストレーナ7の位置の調整や、冷却ファン31の送風方向や配置の調整によって、吸引側マフラー9のエヤ流出部9aから冷却ファン31側にエヤを流動させる流路C1と、冷却ファン31によって送風され且つ電動モータ31によって加熱された後のエヤをストレーナ7側(ルーツブロワ6側)まで流動させる流路C2とが筐体1内に形成されている。
【0033】
図4はルーツブロワの断面図であって、(A),(B)及び(C)は一のロータの吸気状態、圧縮状態及び排気状態をそれぞれ示している。ルーツブロワ6は、2葉ルーツブロワや、3葉ルーツブロワや、ベーン式ルーツブロワ等を用いることが可能であるが、本例では、2葉ルーツブロワを用いている。
【0034】
ルーツブロワ6は、一対のロータ32,33と、該一対のロータ32,33を収容するケーシング34とを有している。
【0035】
各ロータ32,33は軽量且つ硬質な耐熱性の合成樹脂製材料によって構成され、その内部にはさらなる軽量化を目的として空洞部32a,33aが形成されている。一対のロータ32,33は、位相が互いに常時4分の1周期ずれるようにして、反対方向に回転駆動される。
【0036】
ケーシング34は、金属性部材によって構成されている。このケーシング34には、互いに対向するように吸気口34a及び排気口34bがそれぞれ開口形成されている。
【0037】
各ロータ32,33が回転駆動している最中、この一対のロータ32,33の間の隙間は常時微小に保持されるとともに、該一対のロータ32,33とケーシング34の内壁面との隙間も常時微小に保持される。
【0038】
そして、一のロータ32は4分の1周期毎に、吸気口34aからエヤを吸気する吸気状態(図4(A)参照)と、該吸気したエヤを圧縮する圧縮状態(図4(B)参照)と、該圧縮したエヤを排気する排気状態(図4(C)参照)とをこの順番で繰返す。さらに、その他の一のロータ33は、前記一のロータ32から4分の1周期ずれて、この吸気状態と圧縮状態と排気状態とを同様の順番で繰返す。
【0039】
なお、吸気口34aや排気口34bに不純物等を除去するフィルタ36を設けてもよく、図4に示す例では、仮想線で示すように、フィルタ36がケーシング34の吸気口34aに設けられている。
【0040】
図5(A),(B)は噴射ノズルの格納状態と使用状態との切換構成を示す側面図及び正面図である。図示する例では、排気管11の先端部にエヤを噴射する噴射ノズル(通気具)37を接続している。噴射ノズル37は、筒状に成形された装置本体38と、該装置本体38の先端部からさらにその先に延長されるように突出形成されたノズル39と、装置本体38の中途部からから該装置本体3と交差(具体的には直交)する方向に突設された把持部41とを有している。ちなみに、排気管11のノズル39が突設された先端部とは反対側の端部(基端部)側には、上述した排気管11の先端部が接続される。
【0041】
把持部41には、押し操作可能なモーメンタリ式の操作ボタン(操作検出手段)42が設置されている。作業者が把持部41を把持し、ノズル39を対象部に向け、操作ボタン42を押し操作すると、ルーツブロワ6によって高圧化されたエヤがノズル39の先端側から前記対象部に噴射され、該対象部にある埃等の異物を吹飛ばす。
【0042】
この噴射ノズル37は、このようにして作業者に利用される一方で、未使用の状態では、格納された状態(格納状態)になる。この格納状態を具体的に説明すると、上下方向に延びる支柱43に軸方向に調整可能に固定具44が外装固定され、この固定具44には上下方向に延びる筒状の支持具46が取付固定されている。噴射ノズル37の格納状態時、この支持具46の内周面側に把持部41が挿入された噴射ノズル37(さらに具体的には装置本体38)の外周面が、一対の挟持板47,47によって、下側から弾力的に挟持して係止される。
【0043】
格納状態の噴射ノズル37が向いた方向を前後方向とした場合、一対の挟持板47,47の下側半部は、前記支持具46の左右の側面にそれぞれ固定され、各挟持体47の上部は支持具46から上方に突出した状態になる。
【0044】
この噴射ノズル37の格納状態の有無を検出する検出スイッチ(格納状態検出手段)48が前記支持具46に設けられている。具体的には、支持具46の外周面中、格納状態とした噴射ノズル37の先端に近い側の面(正面)又は基端に近い側の面(背面)の何れか一方(図示する例では正面)側に、上述の検出スイッチ48が設置されている。
【0045】
検出スイッチ48は、検出体48aと、該検出体48aを揺動自在に支持するスイッチ本体48bとを有している。この検出体48aは、格納状態の噴射ノズル37の軸方向視(正面視)で、噴射ノズル37(装置本体38)と重複する揺動位置(初期位置)に弾性付勢され、噴射ノズル37を格納状態とした場合、装置本体38の外周面との接当によって、この検出体48aが、正面視で、該噴射ノズル37と非ラップとなる位置(検出位置)まで揺動される。
【0046】
検出スイッチ48は、この検出体48aの初期位置から検出位置への揺動によって、ONからOFF(或はOFFからON)に切換えられ、格納状態になったことを検出する。一方、検出スイッチ48は、この検出体48aの検出位置から初期位置への揺動によって、OFFからON(或はONからFF)に切換えられ、格納状態ではなくなったことを検出する。
【0047】
以上のような機械構成の高圧エヤ発生装置では、マイコンや制御回路等から構成された制御部49(図6参照)が、操作ボタン42による操作の有無の検出や、検出スイッチ48による格納状態の有無の検出等に基づいて、電動モータ14の駆動の入切制御と、クラッチ23の断続制御と、切換バルブ28の切換制御とを行う。
【0048】
図6は、制御部の構成を示すブロック図である。制御部49の入力側には、上述した操作ボタン42及び検出スイッチ48と、高圧エヤ発生装置の電源のON・OFF(入切)を検出する電源入切検出手段51と、高圧エヤ発生装置内の所定部分の圧力を検出する圧力検出手段52と、高圧エヤ発生装置内の所定部分の温度を検出する温度検出手段53とが接続されている。一方、制御部49の出力側には、上述した電動モータ14、クラッチ23及び切換バルブ28が接続されている。
【0049】
この制御部49は、高圧エヤ発生装置内の圧力や温度に応じて、切換バルブ28による状態切換を行う。
【0050】
例えば、制御部49は、蓄熱器27の温度が予め定めた所定値以上に上昇したことを温度検出手段53によって検出した場合、蓄熱器27への蓄熱が十分であると判断し、切換バルブ28によって、還元状態から分岐状態又は排気状態への切換、或は分岐状態から排気状態への切換を行う。
【0051】
また、制御部49は、入力側流路P1内、出力側流路P2内、蓄熱器27内又は分岐流路P3内の圧力が予め定めた所定値以上に上昇したことを圧力検出手段52によって検出した場合、その圧力を下降させるため、切換バルブ28によって、還元状態から分岐状態又は排気状態への切換、或は分岐状態から排気状態への切換を行う。
【0052】
ところで、電動モータ14のOFF状態からON状態への切換(起動)を行う際、該電動モータ14に流れる電流(起動電流)は、電力消費増大の大きな要因の1つになる。
【0053】
この起動電流を低減させるため、ルーツブロワ6を駆動させるにあたり、前記制御部49は、クラッチ23を切断させて電動モータ14からルーツブロワ6への動力伝動が遮断させた状態で、該電動モータ14への電力供給を開始させることにより、空回り状態(低負荷状態又は無負荷状態)で電動モータ14を起動し、その後、クラッチ23を接続させる。
【0054】
具体的には、制御部49は、噴射ノズル37による噴射を行うための操作である操作ボタン42の押し操作の前に先立って必然的に行われる前準備を検出した場合、電動モータ14を駆動(起動)させ、操作ボタン42の押し操作を検出した場合、クラッチ23を切断状態から接続状態に切換える。
【0055】
ちなみに、本例では、噴射ノズル37を格納状態から格納されていない状態とする作業や、本高圧エヤ発生装置の電源をONとする作業が上述した前準備となる。すなわち、上述した電源入切検出手段51及び格納状態検出手段48は、それぞれ前準備を検出する前準備検出手段として機能する。
【0056】
以上のような制御部49の内容を処理手順に沿って以下に説明する。
【0057】
図7は、制御部の処理フロー図である。制御部49は、処理を開始すると、ステップS101に処理を進める。ステップS101では、上述した前準備検出手段48,51によって前準備出の有無を確認し、前準備が行われたことが確認された場合にはステップS102に進む。
【0058】
なお、ステップS101において、電源入切検出手段51によって電源ONが確認された場合のみ、前準備が確認されたとしてもよいし、検出スイッチ48によって格納状態でないと確認された場合のみ、前準備が確認されたとしてもよいし、或は、電源ONの確認と格納状態でない状態の確認の両方が確認された場合のみ、前準備が確認されたとしてもよい。
【0059】
ステップS102では、電動モータ14を駆動させ、ステップS103に進む。ステップS103では、操作ボタン42によって高圧エヤの噴出のための操作(操作ボタン42の押し操作)が検出された場合、ステップS104に進む一方で、検出されない場合にはステップS101に処理を戻す。ステップS104では、クラッチ23を接続状態とし、ルーツブロワ6を駆動させ、ステップS101に処理を戻す。
【0060】
ステップS101において、前準備が確認されなかった場合、ステップS105に処理を進める。ステップS105では、クラッチ23を切断状態とし、ステップS101に処理を戻す。
【0061】
以上の処理手順によって、電動モータ14の起動電流が低減されるため、全体の消費電流も低くすることが可能になり、高圧エヤの噴出・噴出停止を繰返す間欠駆動をさせることも容易になる。
【0062】
なお、電動モータ14の電力供給開始時、ソフトスタータによって、電圧を低減させ、起動電流を低減させることも可能である。また、電動モータ14を、サーマルプロテクタ(過熱保護装置)付のマグネットコンダクターと並列接続させ、定格回転まで回転数が達した該電動モータ14の保護を行う。
【0063】
また、この高圧エヤ発生装置は、図示しない吸気ノズル(通気具)を吸気管8側に接続し、掃除機等に利用してもよい。この場合、格納状態を検出する構成等は、噴射ノズル37と同様とすることが可能である。
【0064】
また、上述の切換バルブ28によって切換えられる状態を、構造を簡略化する目的で、還元状態及び分岐状態の2つのみとしてもよし、還元状態及び排気状態の2つのみとしてもよし、或は分岐状態及び排気状態の2つのみとしてもよい。この他、この切換バルブ28を比例制御弁から方向切換弁に変更して構成を簡略化させてもよい。
【0065】
さらに、上述した例では、クラッチ23として、制御部49からの電気的な制御信号によって直接制御可能な電磁式のものを用いたが、このクラッチ23として、伝動ベルト21のテンションの有無の切換によってルーツブロワ6への動力伝動を断続させるテンションプーリを用いてもよい。この場合には、制御部49から直接制御可能な図示しない電動モータによってクラッチ23を断続作動させる。
【0066】
次に、図8に基づき、本発明の別実施形態について、上述の形態と異なる部分を説明する。
【0067】
図8は、本発明の別実施形態に係る制御部の処理フロー図である。制御部49は、ステップS201から処理を開始する。ステップS201では、エヤの噴出又は吸引の指令信号の有無を確認し、該指令がある場合にはステップS202に進む一方で、該指令がない場合にはステップS201の処理を繰返す。
【0068】
ステップS202では、電動モータ14を駆動させ、ステップS203に処理を進める。ステップS203では、制御部49に内蔵されたカウンターを利用してカウントを開始し、ステップS204に処理を進める。ステップS204では、ステップS203において開始させたカウントが終了しているか否かを確認し、終了していなければ再びステップS204の処理を行う一方で、カウントが終了していれば、ステップS205に進む。
【0069】
ステップS205では、クラッチ23を接続状態として、ルーツブロワ6を駆動させ、ステップS201に処理を戻す。このような処理手順によれば、電動モータ14を駆動させてから、予め定めた所定の時間(本例では、2~3秒程度)が経過するまでは、ステップS204の処理を繰返され、クラッチ23が切断状態で保持され、電動モータ14が低負荷又は無負荷で回転されるため、起動電流を低減させることが可能になる。
【0070】
該構成によれば、前準備を検出する必要がなく、所定時間の経過を待つことによって、起動電流を低減させることが可能になる。ちなみに、待機する時間は数秒であるため、使用感には、それ程の影響はない。
【0071】
このような高圧エヤ発生装置は、焼却炉へのエヤ供給や、水中での気泡発生や、養殖池への酸素供給や、ジェットバス等に用いることも可能である。この他、この高圧エヤ発生装置を、対象物の吸引による保持に用いることも可能である。この場合には、可動可能なアームの先端側に形成された対象物の保持部に吸気口を開口して形成し、この吸気口に吸気管8の先端部を接続する。
【0072】
次に、本発明の別実施形態について、上述の形態と異なる部分を説明する。
【0073】
上述の形態では、電動モータ14が駆動停止され且つクラッチ23が切断されている状態において、ルーツブロワ6を駆動させるための制御内容について説明したが、本実施形態では、ルーツブロワ6を間欠駆動させるための制御内容について説明する。
【0074】
具体的には、ルーツブロワ6を駆動状態から駆動停止状態に切換え、その後、再び駆動停止状態から駆動状態に切換える。
【0075】
まず、ルーツブロワ6を駆動状態から駆動停止状態に切換えるにあたり、電動モータ14は駆動状態で保持し、クラッチ23を接続状態から切断状態に切換える。
【0076】
続いて、ルーツブロワ6を駆動停止状態から駆動状態に切換えるにあたり、電動モータ14は駆動状態で保持し、クラッチ23を切断状態から切断状態に切換える。
【0077】
このような制御内容によれば、ルーツブロワ6の間欠駆動時において、クラッチ23が接続されて高負荷な状態において、電動モータ14の駆動が開始され、該電動モータ14に大量の電流が流れ、電力が大量に消費されるような事態を効率的に防止できる。このため、ルーツブロワ6の間欠駆動時の消費電力も大幅に低減させることが可能になる。
【0078】
次に、本発明を適用したクラッチ23付きの高圧エヤ発生装置(以下、「高圧エヤ発生装置A」)と、クラッチ23を設けていない比較例の高圧エヤ発生装置(以下、「高圧エヤ発生装置B」)とを比較実験を説明する。
【0079】
測定機器は「Tektronix」の「PA400 Power Analyzer」を用い、島根県産業技術センターの電気・電気技術科において、各状態における電動モータの電流値を測定した。その結果は、以下に示す通りである。
【0080】
【表1】
【0081】
上述の結果によれば、高圧エヤ発生装置Aにおける無負荷(低負荷)状態での電動モータ14の駆動開始時の電流値と、その後のクラッチ23の切断状態から接続状態への切換時(負荷作用開始時)の電流値とは、高圧エヤ発生装置Bにおける負荷状態での駆動開始時の電流値と比べて、低減されている状態が確認できた。
【0082】
さらに、クラッチ23の断続による高圧エヤ発生装置A(ルーツブロワ6)の間欠駆動時の電流値は、負荷状態時の電動モータ14の駆動の入切による高圧エヤ発生装置B(ルーツブロワ)の間欠駆動時の電流値と比べて、大幅に低減されている。これは、高圧エヤ発生装置Aでは、電動モータ14の慣性を効率的に利用できているためと考えられる。
【符号の説明】
【0083】
6 ルーツブロワ(ブロワ,エヤポンプ)
14 電動モータ
23 クラッチ
37 噴射ノズル(通気具)
42 操作ボタン(操作検出手段)
48 検出スイッチ(前準備検出手段,格納状態検出手段)
49 制御部
51 電源入切検出手段(前準備検出手段)
C1 流路
C2 流路
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8