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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-02-01
(45)【発行日】2023-02-09
(54)【発明の名称】ルアー
(51)【国際特許分類】
   A01K 85/02 20060101AFI20230202BHJP
   A01K 85/00 20060101ALI20230202BHJP
   A01K 85/16 20060101ALI20230202BHJP
【FI】
A01K85/02
A01K85/00 G
A01K85/16
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2021136733
(22)【出願日】2021-08-24
【審査請求日】2021-10-25
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 1 公開 令和3年3月15日 場所 埼玉県三郷市幸房463―1 (株式会社やまと社内) 2 公開 令和3年6月28日 場所 埼玉県三郷市幸房463―1 (株式会社やまと社内) 3 公開 令和3年7月2日 場所 埼玉県三郷市幸房463―1 (株式会社やまと社内) 4 公開 令和3年8月17日 場所 埼玉県三郷市幸房463―1 (株式会社やまと社内)
(73)【特許権者】
【識別番号】521283166
【氏名又は名称】株式会社やまと社
(74)【代理人】
【識別番号】100209152
【弁理士】
【氏名又は名称】岡 幹男
(72)【発明者】
【氏名】中川 圭
(72)【発明者】
【氏名】田村 直人
【審査官】竹中 靖典
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2014/0000148(US,A1)
【文献】特開2009-178115(JP,A)
【文献】特開2019-103430(JP,A)
【文献】特開2010-075167(JP,A)
【文献】登録実用新案第3191129(JP,U)
【文献】米国特許第03002311(US,A)
【文献】特開2008-067639(JP,A)
【文献】特開2019-106892(JP,A)
【文献】特開2016-082904(JP,A)
【文献】米国特許第04819363(US,A)
【文献】特開2017-139966(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01K 85/00 - 85/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
前後を有するルアー本体と、
前記ルアー本体の外殻から突出して設けられた1以上のフックアイと、
前記フックアイを貫通して設けられた貫通孔と、
一本の線状部材からなり、該中央を弧状に曲げられて一つの環状連結部が形成され、両端が曲げられて二つの針部が形成され、該環状連結部から二つの針部との間に伸び互いに平行となる一対の基部が形成され、前記貫通孔と前記環状連結部とが前記針部を該貫通孔に挿通して連結されるダブルフックと、を備え、
前記フックアイは、板状であって前記一対の基部で挟持される挟持部を有しており、かつ、該フックアイにルアー本体後方に向かって前記貫通孔と該挟持部とがこの順番で連続して配置されているとともに、
前記挟持部は、前記フックアイの両面に平坦に設けられていて、前記貫通孔の隣接位置から前記ルアー本体後方に向かって連続して延び、かつ、厚みが一対の基部間の間隙よりも厚く形成され、
前記貫通孔が、上下方向の幅が全長にわたりダブルフックの線状部材の線径よりも大きく形成されていて、前後の長さが前記ダブルフックの一対の基部に沿う方向における環状連結部の孔の長さよりも大きく形成されたことを特徴としたルアー。
【請求項2】
前記挟持部が、前記フックアイの両面に平坦に設けられていて、一対の基部の長さより短い長さであって、前記貫通孔の隣接位置から前記ルアー本体後方に向かって連続して延び、かつ、厚みが一対の基部間の間隙よりも厚く形成され、
前記貫通孔が、上下方向の幅が全長にわたりダブルフックの線状部材の線径よりも大きく形成されていて、前後の長さが前記ダブルフックの一対の基部に沿う方向における環状連結部の孔の長さよりも大きく形成されたことを特徴とした請求項1に記載のルアー。
【請求項3】
前記ルアー本体に、後ろに向かって括れた段差を設けて、括れた部分に請求項1又は請求項2のフックアイを設けたことを特徴とするルアー。
【請求項4】
前記針部が側面視でルアー本体に重なることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかの項に記載のルアー。
【請求項5】
芯に剛性を有する金属板芯材を用い、該芯からフックアイが延設され、該芯を軟質材で覆って外殻としたことを特徴とする請求項1乃至4のいずれかの項に記載のルアー。
【請求項6】
芯が、フックアイと錘と一体として鋳造され、該芯を軟質材で覆って外殻としたことを特徴とする請求項1乃至4のいずれかの項に記載のルアー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ルアーに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、特許文献1にあるように、ルアー本体に設けられるフックアイとリングとフックの環状部分を順に連結して、フックの釣り針の向きが自在に変化できるよう互いの環状部分を連結して垂下させる構成等が一般に知られている。
釣り針がその向きを自在に変化できるように構成する目的は、ルアー本体のアクション時に水の中でフックに受ける水の抵抗により、当該フックにリングを介して連結されているルアー本体自体の予定するアクションに影響を与えないためであるのと、水の中でルアー本体のアクション時にフックが受ける水の抵抗によりフックの針先がルアー本体が引かれる方に凡そ向かせるためで、これにより対象魚が後方から捕食行動をとった際には口等に刺さり易く、また刺さった際には逃さないためである。
【0003】
しかし、対象魚は水底の水草、倒木や漁礁等を隠れ蓑又は捕食場としていることが多く、そのような所でルアーをアクションさせれば、ルアー本体が水の抵抗を受けて揺れる動き等をするので、その影響によりルアー本体に連結されているフック自体も自然にあとから揺れ動かされることになり、水草や漁礁等で根掛かりする原因となっていた。
そこで下記特許文献2に於いて、フックを水中に投入して使用する際にルアー本体に一時的に係止させる構成が提案された。このルアーは、ルアー本体の表面から突出して設けられた板状部材と、この板状部材の一部に貫設されたフック取付孔と、このフック取付孔に挿通して装着されるダブルフックとを備えたもので、水中に投入して使用する際、一時的にダブルフックにより板状部材を挟持させることで、ダブルフックの釣り針の向きが自在に変化しないように係止できるようにしていた。
これにより、水中に投入して使用する際、ダブルフックがルアー本体に係止されるので根掛かりし難く、後方から捕食行動をする対象魚の口に刺さったときには、ダブルフックの係止が解除されるので、ダブルフックの釣り針をルアー本体が引かれる方向に完全に向けて、対象魚を逃し難くできる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開平10-165048号公報
【文献】特開2009-178115号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献2のような従来のルアーは、水中に投入して使用する際、ダブルフックにより板状部材を挟持させていても、障害物等に当たった場合にはダブルフックの係止が外れやすく、根掛かりし易いなどの問題点があった。
【0006】
そこで、本発明は、ルアー本体に連結されたダブルフックを、水中に投入して使用する際に、ルアー本体に安定して係止でき、根掛かりし難いルアーを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を解決する本発明のルアーは、前後を有するルアー本体と、前記ルアー本体の外殻から突出して設けられた1以上のフックアイと、前記フックアイを貫通して設けられた貫通孔と、一本の線状部材からなり、該中央を弧状に曲げられて一つの環状連結部が形成され、両端が曲げられて二つの針部が形成され、該環状連結部から二つの針部との間に伸びる互いに平行となる一対の基部が形成され、前記貫通孔と前記環状連結部とが前記針部を該貫通孔に挿通して連結されるダブルフックと、を備え、前記フックアイは、前記一対の基部で挟持される挟持部を有しており、かつ、該フックアイに、後方に向かって前記貫通孔と該挟持部とが、この順番で連続して配置されているとともに、該貫通孔が前記環状連結部の孔よりも大きく形成されたことを特徴とするルアーである。
【0008】
本件発明のルアーは、前記貫通孔が、前記ダブルフックの環状連結部の孔よりも前後に大きく形成されたことを特徴としてもよい。
【0009】
本件発明のルアーは、前記ルアー本体に、後ろに向かって括れた段差を設けて、括れ部分に前記フックアイを設けてもよい。
【0010】
本件発明のルアーは、前記針部が側面視でルアー本体に重なる構成としてもよい。
【0011】
本件発明のルアーは、芯に剛性を有する金属板芯材を用い、該芯から前記フックアイが延設され、該芯を軟質材で覆って外殻とした構成でもよい。
【0012】
本件発明のルアーは、芯が、前記フックアイと錘と一体として鋳造され、該芯を軟質材で覆って外殻とした構成としてもよい。
【発明の効果】
【0013】
本発明のルアーによれば、フックアイにダブルフックの環状連結部の孔より大きな貫通孔と挟持部とが形成されているので、使用時に於いて、一対の基部を挟持部へ向けて移動するだけで、ルアー本体とダブルフックの一対の基部がルアー本体に沿った状態に固定でき、しかもダブルフックを前へ押し出すだけで、環状連結部の孔の中で挟持されていない挟持部を活用して、一対の基部でより広い範囲で挟持部を挟持することができ、ダブルフックを安定してルアー本体に係止できる。そのためルアー本体に連結されたダブルフックを、水中に投入して使用する際に、ルアー本体に安定して係止でき、根掛かりし難いルアーを提供することが可能である。
【0014】
本発明のルアーにおいて、環状連結部の孔より前後に大きく形成された貫通孔を有した1以上のフックアイであれば、環状連結部の孔よりも貫通孔が前後に大きく形成された長孔であるので、フックアイの上下の長さが短く済み、フックアイが障害物に接触する可能性が低くなる。
【0015】
本発明のルアーにおいて、ルアー本体に、後ろに向かって括れた段差を設けて、括れた部分にフックアイを設ければ、ルアー本体からの突出が少なくなる。これにより水中で一層の根掛かり防止効果を生む。
【0016】
本発明のルアーにおいて、針部がルアー本体に重なることで、水底の障害物に対して根掛かりし難く、またダブルフックの針部が障害物に当たり難くなるのでダブルフックの一対の基部が挟持部から外れることも防止できる。
【0017】
本発明のルアーにおいて、芯に剛性を有する金属板芯材を用い、芯からフックアイが延設され、芯を軟質材で覆って外殻とすれば、剛性を有する芯とフックアイが一体として製造でき、その芯を軟質材で覆ったので、対象魚が岸壁等を隠れ蓑にしている場合に、キャストした際に岸壁などの障害物に当たってもフックアイが破損し難く、当たった音も硬質のプラグルアーより静かで対象魚に違和感を与えない。また硬質のプラグルアーのように割れて破損することはないので攻めた釣りができる。その他、軟質材であるので対象魚が捕食の際の触感が捕食対象に近い効果が得られる。
【0018】
本発明のルアーにおいて、芯がフックアイと錘と一体として鋳造されていれば、外殻に外力が加わってもそれぞれが離脱し難い。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明の第1の実施形態の使用状態又は使用準備状態を示す側面図である。
図2】本発明の第1の実施形態の使用準備状態前を示す側面図である。
図3】a)乃至d)は第1の実施形態の使用準備状態前から使用準備状態に至るまでの針部の変移を示した説明図である。
図4図3の変移過程におけるフックアイA-A’及びB-B’断面図である。
図5】ダブルフックの針部がルアー本体に重なる様子を示したルアー本体の側面から視た図である。
図6】実施形態1の変形例を示した側面図である。
図7】実施形態2における魚型ルアーの側面を表わした図である。
図8】実施形態2の魚型ルアーの内部にある芯を説明する図である。
図9】実施形態2の魚型ルアーの正面から視たC-C’断面図である。
図10】ダブルフックを説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施形態について図を用いて詳細に説明する。この実施形態では
魚型ルアーの例を用いて説明する。
【0021】
[第1実施形態]
第1実施形態は、魚型ルアー1の例である。 図1a)及び図1b)に示すように、魚型ルアー1は、前後を有するルアー本体2と、ルアー本体2の外殻13から突出して設けられた1以上のフックアイ4と、フックアイを貫通して設けられた貫通孔3と、該貫通孔3と環状連結部5とが針部を該貫通孔3に挿通して連結されるダブルフック9とを備えている。
【0022】
この魚型ルアー1では、ダブルフック9が着脱可能であり、図1a)、図1b)のように、針部8の向きをルアー本体2に対して適宜選択して装着することが可能である。
【0023】
ルアー本体2は、金属、木、硬質樹脂のような硬質の材料により内部から外殻13まで一体に形成された硬質プラグルアーの本体である。ルアー本体2には前端に釣り糸を連結する連結部が設けられ、後端に揺動自在にダブルフック9や尾を連結するための連結部が設けられている。
【0024】
なおフックアイ4は、ルアー本体と一体して形成されるほか、ルアー本体の材質とは別に金属、硬質樹脂のような硬質の材料で形成して、ルアー本体に突出させて設けてもよい。
【0025】
ルアー本体2の形状は任意であるが、全長がダブルフック9の全長より長く、特にルアー本体2のフックアイ4の貫通孔3より後方の長さがダブルフック9の全長より長く形成されているのがよい。また上下方向の厚みが、側面視におけるダブルフック9の後述する基部6と一対の針部8,8’の先端との間の間隔より大きく形成されている。左右方向の厚みは上下方向の厚みと同等以下とされていてもよい。
【0026】
このルアー本体2には、フックアイ4が設けられている部位またはその前方に、括れ部分11が設けられている。この括れ部分11は、ルアー本体2の後ろに向かって段差状に上下方向厚みが減少する形状を有している。
【0027】
フックアイ4は、ルアー本体2の腹部の下部から下方に突出して設けられ、全体が前後方向に略一定厚みで延びる板状に形成されている。
【0028】
フックアイ4には左右方向に貫通した貫通孔3が前後に長い長孔形状に設けられている。また貫通孔3の後方にはダブルフック9の後述する一対の基部7により挟持される挟持部10が設けられている。
【0029】
これにより、フックアイ4に後方に向かって前記貫通孔3と該挟持部10とが、この順番で連続して配置されることになる。
【0030】
貫通孔3は、ダブルフック9の後述する環状連結部5の孔6よりも前後に大きく形成されている。
【0031】
この貫通孔3は、詳細には上下方向の幅が全長にわたりダブルフック9の線状部材の線径よりも大きく形成されていて、ダブルフック9の環状連結部5が移動及び変位自在である。
【0032】
貫通孔3の前後方向の長さは、ダブルフック9の一対の基部8に沿う方向における環状連結部5の孔6の長さより大きく設けられているのが好適である。
【0033】
挟持部10は、フックアイ4の両面に平坦に設けられていて、貫通孔3の隣接位置からルアー本体2の後ろに向かって連続して延びている。挟持部10の厚みはダブルフック9の後述する一対の基部7,7’間の間隙よりも厚く形成されている。
【0034】
ダブルフック9は、図10a)及びb)に示すように、一本の線状部材からなり、線状部材の略中央部分が弧状に曲げられて一つの環状連結部5が形成されている。両端側には、線状部材が反転方向に弧状に曲げられて、各端部に針部8,8’が形成されている。また環状連結部5と二つの針部8,8’との間の線状部材が、互いに隣接して略平行に配置されることで一対の基部7,7’が形成されている。
【0035】
ダブルフック9の一対の基部7,7’は線状部材の弾性により、常時互いに当接方向に付勢されていて、環状連結部5と針部8,8’との間のより長い区間で当接可能となっている。本実施形態では、一対の基部7,7’の互いに当接する区間の長さはフックアイ4の挟持部10の前後方向の長さより長く形成されている。
【0036】
環状連結部5と一対の基部7,7’との間、及び、針部8,8’と一対の基部7,7’との間では、それぞれ線状部材間の距離が徐々に漸増漸減する形状を有している。
【0037】
ダブルフック9はルアー本体2のフックアイ4に着脱されるものであり、装着時には、針部8,8’と一対の基部7,7’との間の形状を利用して、フックアイ4を一対の基部7,7’間の付勢力に抗して進入させて通過させることで、環状連結部5をフックアイ4の貫通孔3に連結することができる。一方、ダブルフック9の取外し時には、環状連結部5と一対の基部7,7’との間の形状を利用して、フックアイ4を一対の基部7,7’間の付勢力に抗して進入させて通過させることで、離脱させることができる。
【0038】
次に、魚型ルアー1の使用方法について説明する。
魚型ルアー1を使用するには、予めダブルフック9を図2に示すようにダブルフック9をフックアイ4に装着しておく。この状態では、魚型ルアー1においてダブルフック9が挟持部10を挟持していない使用準備前の状態であり、ダブルフック9がルアー本体2の下部にあるフックアイ4の貫通孔3に連結されて垂下している。このときダブルフック9の針部8、8’の向きは自在に変化できる。
【0039】
そして魚釣りを開始して水中に投入して使用する際には、一時的にダブルフック9により挟持部10を挟持させる。図1a)、図1b)は、使用準備状態又は使用状態(以下、使用状態を含めて「使用準備状態」という。)を示したものある。
【0040】
図1a)、図1b)のルアー使用準備状態までに至る変移を図2及び図3で説明する。
図3a)に示すように、ダブルフック9をルアー本体2のフックアイ4から垂下した状態から、図3b)で示すように、ルアー本体2の腹部に沿わせるようにダブルフック9を上げる。すると図3c)で示すように、一対の基部7,7’によって挟持部10を挟持する。
【0041】
この時のダブルフック9の環状連結部5の孔6は、図4A-A’断面図に示すように、ダブルフック9の一対の基部7,7’の一部がフックアイ4の挟持部10の一部を挟持する。この状態ではダブルフック9の環状連結部5の孔6の中には未だ挟持されていない挟持部10がある。
【0042】
次いで、ダブルフック9を前方へ移動させると、図4B-B’断面図に示すように、ダブルフック9の一対の基部7,7’がフックアイ4の挟持部10のより広い範囲を挟持する。
【0043】
このときダブルフック9の環状連結部5の孔6の中にあった挟持部10が一対の基部7,7’により挟持される。これにより、挟持されていなかった挟持部10を一対の基部7,7’で挟持させることができ、図3d)に示すようにダブルフック9を安定した状態でフックアイ4に係止することができる。
【0044】
このようにして、ダブルフック9をルアー本体2から垂下した使用準備前の状態から変移させてルアーを使用準備状態にすることができる。
【0045】
この時、図5で示すように、魚型ルアー1の針部8は側面視でルアー本体2に重なる位置に配置され、ルアー本体2の側面から見て一方及び他方の針部8,8’がルアー本体2を挟むように重なって配置される。
このような使用準備状態にして、魚型ルアー1を水中に投入して使用することができる。
【0046】
以上のような第1実施形態の魚型ルアー1によれば、フックアイ4にダブルフック9の環状連結部5の孔6より大きな貫通孔3と挟持部10とが形成されているので、使用時に於いて、一対の基部7,7’を挟持部10へ向けて移動するだけで、ルアー本体2とダブルフック9の基部7がルアー本体2に沿った状態に固定でき、しかもダブルフック9を前へ押し出すだけで、一対の基部7,7’により、より広い範囲で挟持部10を挟持することができて、安定して配置することができる。 ダブルフック9を前へ押し出すだけで、環状連結部5の孔6の中で挟持されていない挟持部10をも活用でき、ダブルフック9を安定してルアー本体2に沿う位置に保持することができる。 そのため魚型ルアー1を水中に投入して使用する際、ダブルフック9がフックアイ4の挟持部10から脱落することを防止でき、使用中のダブルフック9の揺れ動きを防止でき、根係りし難くできる。
【0047】
またこの魚型ルアー1では、フックアイ4がダブルフック9の環状連結部5の孔6より前後に大きく形成された貫通孔3を有していて、特に環状連結部5の孔6よりも貫通孔3が前後に大きく形成された長孔であるので、フックアイ4の上下の長さが短くて済み、フックアイ4が障害物に接触する可能性が低くなる。
【0048】
さらにこの魚型ルアー1では、ルアー本体2に後ろに向かって括れた段差を設けて、括れ部分11にフックアイ4を設けているので、正面側から見てルアー本体2からの突出が少なくなる。これにより水中で一層の根掛かり防止の効果を生む。
【0049】
またこの魚型ルアー1では、針部8が側面視でルアー本体2に重なるように設けられることで、水底の障害物に対して根掛かりし難くできるとともに、ダブルフック9の針部7が障害物に当たり難くなるので、ダブルフック9の一対の基部7,7’が挟持部10から外れることも防止できる。
【0050】
[第2実施形態]
図7に示す第2実施形態の魚型ルアー201は、ルアー本体2の構造が異なる他は、第1実施形態の魚型ルアー1と同様である。
【0051】
魚型ルアー201のルアー本体2では、ルアー本体2の前後方向の全長に設けられた芯12と、芯12の周囲を軟質材で覆って形成された外殻13と、を有する。
【0052】
芯12は、長手方向中間位置の下方側に突出板状に設けられたフックアイ4と錘14とが一体に鋳造されている。
【0053】
外殻13は、PVC等の軟質樹脂からなる軟質材により成形されていて、下方側に芯12のフックアイ4が突出するともとに、前端及び後端から芯12が突出している。
突出した芯12は円環状に形成されている。 これによりルアー本体の前端部には釣り糸を結び、後端部にはスプリットリングを介してトリプルフックやブレード等を連結することができる。
【0054】
このような魚型ルアー201であっても、第1実施形態と同様の作用効果が得られる。
しかも、この魚型ルアー201では、芯12に剛性を有する金属板芯材を用い、芯12からフックアイ4が延設され、芯12を軟質材で覆って外殻13としている。
【0055】
そのため剛性を有する芯12とフックアイ4が一体として製造できる上、芯12を軟質材で覆ったので、対象魚が岸壁等を隠れ蓑にしている場合に、そのような場所にキャストした際に岸壁などの障害物に当たってもフックアイ4が破損し難く、当たったときの音も硬質のプラグルアーより静かで対象魚に違和感を与えない。また硬質のプラグルアーのように割れて破損することはないので攻めた釣りができる。その他、軟質材であるので対象魚が捕食の際の触感が捕食対象に近い効果が得られる。
【0056】
またこの魚型ルアー201では、芯12がフックアイ4と錘14と一体として鋳造され、芯12を軟質材で覆って外殻13としているので、外殻13に外力が加わってもそれぞれが離脱し難い。
【0057】
なお上記実施形態は本発明の範囲内において適宜変更可能である。
例えば上記ではルアー本体2の腹部の位置に、横側面に貫通孔を有するフックアイ4を単数設けた例について説明したが、左右方向に貫通するフックアイ4の位置や数は特に限定されない。例えば背部に設けていてもよく、複数個設けることも可能である。
【0058】
また上記実施形態では、ルアー本体2に設けられた括れ部分11について、段差形状の括れを設けた例について説明したが、特に限定されるものではなく、図6の魚型ルアー101ようにルアー本体2の括れ部分11をルアー本体2の前後を結ぶ中心線に向かって傾斜を設けた構成であってもよい。
【0059】
上記実施形態のフックアイ4のように、ルアー本体2に設けられた板状のフックアイ4のルアー本体2の外殻13から遠くにある角を角丸にしてもよい。 また板状のフックアイ4の挟持部の上下の長さをルアー本体の後方に向かって順に短くなる構成としてもよく、これに限られるものではない。
【0060】
さらに上記実施形態では、針部8,8’が弧状に折り曲げられているが、針部8,8’の形状はこれに限定するものではない。
【符号の説明】
【0061】
1、101、201魚型ルアー
2 ルアー本体
3 貫通孔
4 フックアイ
5 環状連結部
6 環状連結部の孔
7 基部
8 針部
9 ダブルフック
10 挟持部
11 括れ部分
12 芯
13 外殻
14 錘
【要約】
【課題】ルアー本体に沿わせるようにダブルフックを安定して維持できるので、障害物に当たってもダブルフックの着脱防止、根掛かり等を図れるルアーを提供する。
【解決手段】図1a)及び図1b)に示すように、前後を有するルアー本体2と、ルアー本体2の外殻13から突出して設けられた1以上のフックアイ4と、フックアイを貫通して設けられた貫通孔3と、該貫通孔3と環状連結部5とが針部を該貫通孔3に挿通して連結されるダブルフック9とを備え、フックアイ4は、前記一対の基部7,7’で挟持される挟持部8,8’を有しており、かつ、該フックアイ4に、後方に向かって前記貫通孔3と該挟持部10とが、この順番で連続して配置されているとともに、該貫通孔3が前記環状連結部5の孔6よりも大きく形成された構成とするものである。
【選択図】図1
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10